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  • 特許-車両管理システム及び情報処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】車両管理システム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20231024BHJP
【FI】
G06Q50/30
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020069691
(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公開番号】P2021165991
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】谷口 真
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-181986(JP,A)
【文献】特開2009-296837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配置地域にそれぞれ配置されている車両を管理する車両管理システムであって、
前記車両の走行傾向を含む車両情報を取得する取得処理と、
取得した前記車両情報に基づいて前記車両が有する部品の劣化度合いを演算する劣化度合い演算処理と、
前記劣化度合いが規定値以上の部品を有する車両の配置地域を、当該部品の前記劣化度合いが前記規定値未満である車両が配置されている地域に変更する配置変更処理と、
カーシェアリングのユーザからの利用申請情報を受け付ける受付処理と、を実行する実行装置を備え
前記実行装置は、
前記利用申請情報として、前記劣化度合いが前記規定値以上の部品を有する車両の配置地域を出発地とし、当該部品の前記劣化度合いが前記規定値未満である車両の配置地域を目的地とする情報が入力された場合には、前記配置変更処理として、前記劣化度合いが前記規定値以上の部品を有する前記車両を前記ユーザに貸し出す処理を実行する
車両管理システム。
【請求項2】
前記車両情報は、前記車両の温度情報を含む
請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項3】
前記実行装置は、取得した前記走行傾向に基づいて前記配置地域の区分けを行う地域分け処理を実行する
請求項1または2に記載の車両管理システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両管理システムにおける前記実行装置を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両管理システム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、複数の配置地域にそれぞれ配置されている車両を管理するシステムとしてのカーシェアリングシステムが記載されている。この文献に記載の車両管理システムでは、車両の需要予測に基づいて各配置地域に配置する車両の台数などを最適化するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-168827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両が有する部品のうちで劣化が進みやすい部品は、高負荷運転が多い走行傾向や加減速走行が多い走行傾向など、当該車両の走行傾向に応じて異なる。ここで、例えば山間部が多い地域では高負荷運転が多い走行傾向になり、都心部では加減速走行が多い走行傾向になるなど、車両の走行傾向は地域毎に特徴があるため、車両が配置される配置地域毎に劣化が進む部品は異なる。そのため、車両の配置地域を固定していると、特定の部品の劣化が他の部品の劣化よりも進みやすくなる。従って、他の部品よりも先に特定の部品の寿命が尽きてしまい、その結果、まだ十分に使える部品があるにもかかわらず、車両の耐久寿命が早期に尽きてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する車両管理システムは、複数の配置地域にそれぞれ配置されている車両を管理する車両管理システムである。このシステムは、前記車両の走行傾向を含む車両情報を取得する取得処理と、取得した前記車両情報に基づいて前記車両が有する部品の劣化度合いを演算する劣化度合い演算処理と、前記劣化度合いが規定値以上の部品を有する車両の配置地域を、当該部品の前記劣化度合いが前記規定値未満である車両が配置されている地域に変更する配置変更処理と、を実行する実行装置を備えている。
【0006】
同構成によれば、劣化度合いが規定値以上の部品を有する車両は、当該部品の劣化が進みにくい地域に配置変更されるため、配置地域に応じた部品の劣化が抑えられるようになり、車両の各部品の劣化は平均化されるようになるため、車両の耐久寿命が延びるようになる。
【0007】
また、上記車両管理システムにおいて、前記車両情報は前記車両の温度情報を含んでもよい。
車両に使われる樹脂部品は、車両の温度環境に応じて劣化度合いが異なる。また、車両に使われるベアリングは、車両の温度環境に応じた潤滑油の粘度変化に対応して劣化度合いが異なる。この点、同構成によれば、上記車両情報には、車両の温度情報も含まれるため、樹脂部品やベアリングの劣化度合いも演算可能になる。
【0008】
また、上記車両管理システムにおいて、前記実行装置は、取得した前記走行傾向に基づいて前記配置地域の区分けを行う地域分け処理を実行してもよい。
同構成によれば、実際の走行傾向に応じて車両の配置地域が区分けされるため、車両の部品の劣化をより適切に抑えることができる。
【0009】
また、上記車両管理システムにおいて、前記車両管理システムは、カーシェアリングに利用されるシステムであって、前記実行装置は、カーシェアリングのユーザからの利用申請情報を受け付ける受付処理を実行するとともに、前記利用申請情報として、前記劣化度合いが前記規定値以上の部品を有する車両の配置地域を出発地とし、当該部品の前記劣化度合いが前記規定値未満である車両の配置地域を目的地とする情報が入力された場合には、前記配置変更処理として、前記劣化度合いが前記規定値以上の部品を有する前記車両を前記ユーザに貸し出す処理を実行してもよい。
【0010】
同構成によれば、カーシェアリングによる車両の利用を通じて車両の移動が自ずと行われるため、車両の配置変更を効率よく行うことができる。
また、こうした車両管理システムを構成するものとして、前記実行装置を備える情報処理装置が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態の車両管理システムの構成を示す模式図。
図2】同実施形態の実行装置が実行する処理を示すブロック図。
図3】配置地域ごとの走行傾向及び温度環境を部品の劣化度合いとの関係を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、車両管理システムの一実施形態を、図1図3を参照して説明する。
本実施形態の車両管理システムは、カーシェアリングに適用される車両管理システムであり、情報処理装置10、車両が配置される配置地域ARにそれぞれ配置される複数の車両20、複数のユーザ端末30、通信ネットワーク40などで構成されている。
【0013】
情報処理装置10は、CPU11、メモリ12、周辺回路13、通信機14などを備えており、メモリ12に記憶されたプログラムをCPU11が実行することにより各種処理が実行される。これらCPU11及びメモリ12によって実行装置100が実現されている。この情報処理装置10は、通信ネットワーク40を介して各車両20や各ユーザ端末30と相互通信を行う。そして、ユーザからのカーシェアリングの利用申請情報を受け付けて当該ユーザに車両20を貸し出す処理など、カーシェアリングに関する各種処理などを実行する。なお、この情報処理装置10は、1または複数の情報処理装置から構成されていたり、クラウドサーバや仮想サーバにて構成されていてもよい。
【0014】
車両20は、カーシェアリングに利用される車両であって、当該車両の原動機(例えば内燃機関や電動モータなど)の出力や、変速機の変速動作を制御する制御装置25を備えている。この制御装置25は、CPU、メモリ、周辺回路、通信機などを備えており、通信ネットワーク40を介して情報処理装置10と相互通信を行う。また、制御装置25には、車両20の各種情報、例えば車両運転者の要求出力、原動機の回転速度、車両20の車速SP、車両20の加速度G、車両周辺の外気温THout、変速機の作動油であるATFの温度THatf(以下、ATF温度THatfという)等が各種センサで検出されて、その検出信号が制御装置25に入力される。
【0015】
また、車両20は、基本的には、後述する区分け設定処理を通じて設定された複数の配置地域AR毎(図1には、複数の配置地域ARのうちの3つの配置地域ARa、ARb、ARcを図示)に配置が管理されている。
【0016】
ユーザ端末30は、カーシェアリングを利用するユーザが使う端末であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、携帯端末、ノートパソコン、デスクトップパソコン、カーシェアリング専用の通信端末などである。ユーザは、ユーザ端末30に表示される画面に対して出発地や目的地、利用日や利用時間などの各種情報を含む利用申請情報を入力して、その利用申請情報を情報処理装置10に送信することにより、カーシェアリングの利用予約を行う。
【0017】
図2に示すように、実行装置100は、受付処理M11、取得処理M12、劣化度合い演算処理M13、地域分け処理M14、配置変更処理M15などの各種処理を実行する。
受付処理M11は、カーシェアリングのユーザからの上記利用申請情報を受け付ける処理である。
【0018】
取得処理M12は、車体製造番号などの車両20の個体識別情報及び同車両20の走行傾向に関する情報及び同車両20の温度情報を含む車両情報を各車両20から取得する処理である。ここで、走行傾向に関する情報とは、高負荷走行の頻度、高速走行の頻度、加減速走行の頻度、一定速度走行の頻度である。
【0019】
高負荷走行の頻度とは、車両20が高負荷走行していると判定することのできる原動機の出力トルクTQを閾値Aとしたときに、出力トルクTQが閾値A以上となっていた積算走行時間が車両20の総走行時間に占める比率である。
【0020】
また、高速走行の頻度とは、車両20が高速走行していると判定することのできる車速SPを閾値Bとしたときに、車速SPが閾値B以上となっていた積算走行時間が車両20の総走行時間に占める比率である。
【0021】
また、加減速走行の頻度とは、車両20が比較的大きな加速度で加減速走行していると判定することのできる加速度Gを閾値Cとしたときに、加速度Gが閾値C以上となっていた積算走行時間が車両20の総走行時間に占める比率である。
【0022】
また、一定速度走行の頻度とは、車両20が一定速度走行していると判定することのできる車速SPの短時間当たりの変化量の範囲を範囲Dとしたときに、車速SPが範囲D内に収まっていた積算走行時間が車両20の総走行時間に占める比率である。
【0023】
また、車両20の温度情報とは、車両20が曝されている外気の温度である外気温THoutの変化履歴や、ATF温度THatfの変化履歴である。
車両20の制御装置25は、上述した高負荷走行の頻度、高速走行の頻度、加減速走行の頻度、一定速度走行の頻度、外気温THoutの変化履歴、及びATF温度THatfの変化履歴を演算しており、それらの演算結果を定期的に情報処理装置10に送信している。
【0024】
劣化度合い演算処理M13は、取得処理M12にて取得した車両情報に基づいて車両20が有する部品の劣化度合いを個々の車両20毎に演算する処理である。なお、部品の劣化度合とは、例えば未使用の部分の劣化度合いを「0%」とし、使用不可となった部品の劣化度合いを「100%」とする値である。そして、劣化度合い演算処理M13では、以下のようにして劣化度合いが算出される。
【0025】
まず、高負荷走行の頻度が多い車両ほど、駆動系や原動機のギヤ(図3に示す部品Dに相当)は傷みやすい傾向があるため、高負荷走行の頻度が多いほどギヤの劣化度合いが大きくなるように当該劣化度合いを算出する。
【0026】
また、高速走行の頻度が多い車両ほど、駆動系や原動機のベアリング(図3に示す部品Aに相当)は傷みやすい傾向があるため、高速走行の頻度が多いほどそうしたベアリングの劣化度合いが大きくなるように当該劣化度合いを算出する。
【0027】
また、加減速走行の頻度が多い車両ほど、駆動系のデファレンシャルケース内のギヤや、車両20に設けられたオイルポンプ(図3に示す部品Cに相当)は傷みやすい傾向があるため、加減速走行の頻度が多いほど、デフケース内のギヤやオイルポンプの劣化度合いが大きくなるように当該劣化度合いを算出する。
【0028】
また、一定速度走行の頻度が多い車両ほど、変速機が幽するインプットシャフトのオイルシールや上記デファレンシャルケースのオイルシール(図3に示す部品Bに相当)は傷みやすい傾向があるため、一定速度走行の頻度が多いほど、そうしたオイルシールの劣化度合いが大きくなるように当該劣化度合いを算出する。
【0029】
また、原動機や変速機のブッシュ、あるいは電動モータのモールドなどのように車両に使われる樹脂部品は、車両20の温度環境が高いほど劣化が進む。また、車両20に使われるベアリング、例えば原動機や変速機などに使われるベアリングは、車両20の温度環境の低温化に伴う潤滑油の粘度増加が進むほど劣化しやすくなる。
【0030】
そのため、劣化度合い演算処理M13は、外気温THoutの変化履歴から車両20が低温に曝されていた時間を算出し、その算出した低温時間が長いほど、原動機に使われているベアリングの劣化度合いが大きくなるように当該劣化度合いを算出する。また、同じく、外気温THoutの変化履歴から車両20が高温に曝されていた時間を算出し、その算出した高温時間が長いほど、車両20に使われている上記樹脂部品の劣化度合いが大きくなるように当該劣化度合いを算出する。
【0031】
また、劣化度合い演算処理M13は、ATF温度THatfの変化履歴から変速機が低温になっていた時間を算出し、その算出した低温時間が長いほど、変速機に使われているベアリングの劣化度合いが大きくなるように当該劣化度合いを算出する。また、同じく、ATF温度THatfの変化履歴から変速機が高温になっていた時間を算出し、その算出した高温時間が長いほど、変速機に使われている樹脂部品の劣化度合いが大きくなるように当該劣化度合いを算出する。
【0032】
地域分け処理M14は、取得した上記車両情報に含まれる車両の走行傾向に基づいて配置地域ARの区分けを行う処理である。
図3及び図1に示すように、地域分け処理M14では、例えば高負荷走行の頻度、高速走行の頻度、加減速走行の頻度、及び一定速度走行の頻度のうちで高速走行の頻度が多い車両20が配置されている配置エリアを第1配置地域ARaとして区分けする。ちなみに、こうした第1配置地域ARaに区分けされやすい地域としては、例えば信号の少ない直線道路が多く存在する地方の郊外などの地域が挙げられる。
【0033】
また、それら各頻度のうちで、加減速走行の頻度が多い車両20が配置されている配置エリアを第2配置地域ARbとして区分けする。ちなみに、こうした第2配置地域ARbに区分けされやすい地域としては、例えば発進や停止が頻繁に繰り返される都心部の地域等が挙げられる。
【0034】
また、それら各頻度のうちで、高負荷走行の頻度が多い車両20が配置されている配置エリアを第3配置地域ARcとして区分けする。ちなみに、こうした第3配置地域ARcに区分けされやすい地域としては、例えば坂路走行による高負荷走行が行われやすい山間部の地域等が挙げられる。
【0035】
配置変更処理M15は、上述した各部品のうちで、劣化度合いが規定値以上の部品を有する車両20の配置地域を、当該部品の劣化度合いが同規定値未満である車両20が配置されている地域に変更する処理である。すなわち、上記劣化度合いを算出する各部品のそれぞれについて、全車両20における平均値を算出する(例えば図3に示す部品Aの平均値AVEa、部品Bの平均値AVEb、部品Cの平均値AVEc、部品Dの平均値AVEd)。そして、その平均値を上記規定値とする。そして、劣化度合いが規定値以上の部品を有する車両20を、当該部品の劣化度合いが規定値未満である車両20、より好適には当該部品の劣化度合いが規定値から所定値を減じた値以下となっており、同劣化度合いが規定値に対して十分に余裕のある状態になっている車両20が配置されている地域に変更する。
【0036】
例えば、図3に示すように、部品Aの劣化度合いが平均値AVEa以上となっている第1配置地域ARaの車両20について当該車両20の配置地域ARを、部品Aの劣化度合いが平均値AVEa未満となっている第2配置地域ARbに変更する処理を実行する。
【0037】
こうした車両20の移動は、次の処理を通じて行われる。すなわち、上述したカーシェアリングの利用申請情報として、劣化度合いが規定値以上の部品(図3に示す例では部品A)を有する車両20の配置地域AR(図3に示す例では第1配置地域ARa)を出発地とし、当該部品の劣化度合いが規定値未満である車両20の配置地域AR(図3に示す例では第2配置地域ARb)を目的地とする情報が入力された場合には、配置変更処理として、劣化度合いが規定値以上の部品(図3に示す例では部品A)を有する車両20をユーザに貸し出す処理を実行する。
【0038】
本実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(1)車両20が有する部品のうちで劣化が進みやすい部品は、高負荷運転が多い走行傾向や加減速走行が多い走行傾向など、当該車両20の走行傾向に応じて異なる。ここで、例えば山間部が多い地域では高負荷運転が多い走行傾向になり、都心部では加減速走行が多い走行傾向になるなど、車両20の走行傾向は地域毎に特徴があるため、車両20が配置される配置地域AR毎に劣化が進む部品は異なる。この点、本実施形態では、劣化度合いが規定値以上の部品を有する車両20は、上述した配置変更処理M15の実行を通じて、当該部品の劣化が進みにくい地域に配置変更されるため、配置地域ARに応じた部品の劣化が抑えられるようになり、車両20の各部品の劣化は平均化されるようになるため、車両20の耐久寿命が延びるようになる。
【0039】
(2)上述したように、車両20に使われる樹脂部品は、車両20の温度環境に応じて劣化度合いが異なる。また、車両20に使われるベアリングは、車両20の温度環境に応じた潤滑油の粘度変化に対応して劣化度合いが異なる。この点、本実施形態によれば、上述した劣化度合い演算処理M13が参照する上記車両情報には、外気温THoutやATF温度THatfといった車両20の温度情報も含まれるため、そうした樹脂部品やベアリングの劣化度合いも演算可能になる。
【0040】
(3)取得した走行傾向に基づいて配置地域ARの区分けを行う上記地域分け処理M14が実行されるため、車両20の実際の走行傾向に応じて車両20の配置地域ARは区分けされる。従って、配置地域ARは、実際の部品の劣化に応じて適切に区分けされるようになり、これにより上記配置変更処理M15による車両20の移動が部品の劣化に合わせて適切に行われるようになる。そのため、走行傾向の予測に基づいて予め配置地域ARを設定しておく場合と比較して、車両20の部品の劣化をより適切に抑えることができる。
【0041】
(4)上記配置変更処理M15を実行するに際して上述した利用申請情報を利用することにより、ユーザによるカーシェアリングの利用を通じて車両20の移動を行うようにしている。従って、配置地域間における車両20の移動は、カーシェアリングによる車両20の利用を通じて自ずと行われるため、車両20の配置変更を効率よく行うことができる。
【0042】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・高負荷走行の頻度、高速走行の頻度、加減速走行の頻度、一定速度走行の頻度、外気温THoutの変化履歴、及びATF温度THatfの変化履歴を車両20の制御装置25で演算するようにした。この他、車両20の制御装置25は、出力トルクTQ、車速SP、加速度G、外気温THout、及びATF温度THatfの各値を繰り返し情報処理装置10に送信する。そして上述した高負荷走行の頻度、高速走行の頻度、加減速走行の頻度、一定速度走行の頻度、外気温THoutの変化履歴、及びATF温度THatfの変化履歴の演算については情報処理装置10で行うようにしてもよい。
【0043】
・上述した走行傾向や温度情報に基づき、上記部品とは異なる他の部品の劣化度合いを算出してもよい。
・上述した走行傾向とは異なる他の走行傾向に基づき、上記部品とは異なる他の部品の劣化度合いを算出してもよい。
【0044】
・車両20の制御装置25が送信する車両情報のうちで上記温度情報を省略してもよい。この場合でも、上記(2)以外の作用効果を得ることができる。
・上述した地域分け処理M14の実行を省略する。そして、走行傾向毎に区分けした複数の配置地域ARを、例えば県や市区町村ごとに設定してもよい。例えば高速走行の頻度が多い上記第1配置地域ARaとして北海道などを設定したり、加減速走行の頻度が多い上記第2配置地域ARbとして東京都を設定したり、高負荷走行の頻度が多い上記第3配置地域ARcとして九州地区を設定したりしてもよい。この場合でも、上記(3)以外の作用効果を得ることができる。
【0045】
・ユーザによるカーシェアリングの利用を通じて車両20の移動を行うようにしたが、他の態様で車両20の移動を行ってもよい。例えば、上記配置変更処理M15として、配置変更の必要がある車両20と、当該車両20の配置変更先の配置地域とを、カーシェアリングの事業者に知らせる処理を実行する。そして、同事業者によって車両20の移動を行うようにしてもよい。この場合でも、上記(4)以外の作用効果を得ることができる。
【0046】
また、車両20が、目的地まで自動運転することが可能な車両である場合には、配置変更先の配置地域内に存在するステーションなどを目的地に指定して、当該車両20を自動運転にて移動させるようにしてもよい。
【0047】
・上述した車両管理システムは、複数の配置地域にそれぞれ配置されている車両を管理する車両管理システムに適用可能であり、カーシェアリング以外に適用してもよい。例えば公共交通機関であるバスやタクシーなども、複数の配置地域にそれぞれ配置されている車両に該当するため、そうしたバスやタクシーなどを管理するシステムに上記車両管理システムを適用することにより、上記(4)以外の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
10…情報処理装置
11…CPU
12…メモリ
13…周辺回路
14…通信機
20…車両
25…制御装置
30…ユーザ端末
40…通信ネットワーク
100…実行装置
図1
図2
図3