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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】飛行体離陸制御システム
(51)【国際特許分類】
   B64F 3/00 20060101AFI20231024BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20231024BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20231024BHJP
【FI】
B64F3/00
B64C39/02
B64C27/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020127707
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2022024881
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥野 伸弘
(72)【発明者】
【氏名】宮原 謙太
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-510805(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0196756(US,A1)
【文献】特表2018-528123(JP,A)
【文献】特開2016-138853(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0172348(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0276353(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0278699(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 39/02,27/08,
B64F 3/00,
B64U 70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転翼を備える飛行体と、
前記飛行体が離陸するポートと、
前記ポートの周辺の風速及び風向を取得する風速風向取得部と、
前記風速風向取得部による取得結果に基づいて、前記ポート上の前記飛行体の目標姿勢を算出する目標姿勢算出部と、
前記複数の回転翼のそれぞれを独立して制御可能とされ、前記ポート上の前記飛行体が前記目標姿勢となるように、前記複数の回転翼のそれぞれを制御する回転翼制御部と、
前記飛行体を前記ポートにロックする複数のロック機構と、
前記複数のロック機構の各々のロック及びアンロックを独立して制御可能とされ、前記風速風向取得部による取得結果に応じて、前記ポート上の前記飛行体が前記目標姿勢をとれるように、前記複数のロック機構のうちの一部をロックさせて他の一部をアンロックさせるロック制御部と、
を有する飛行体離陸制御システム。
【請求項2】
複数の回転翼を備える飛行体と、
前記飛行体が離陸するポートと、
前記ポートの周辺の風速及び風向を取得する風速風向取得部と、
前記風速風向取得部による取得結果に基づいて、前記ポート上の前記飛行体の目標姿勢を算出する目標姿勢算出部と、
前記複数の回転翼のそれぞれを独立して制御可能とされ、前記ポート上の前記飛行体が前記目標姿勢となるように、前記複数の回転翼のそれぞれを制御する回転翼制御部と、
を有し、
前記風速風向取得部は前記ポートに設けられ、前記目標姿勢算出部及び前記回転翼制御部は前記飛行体に設けられ、
前記風速風向取得部が取得した情報を前記飛行体に送信する送信部と、
前記飛行体に設けられて前記送信部から送信された情報を受信する受信部と、
を有する、飛行体離陸制御システム。
【請求項3】
前記飛行体は、当該飛行体の姿勢を検出する姿勢検出部を備え、
前記ロック制御部は、前記姿勢検出部によって検出された前記飛行体の姿勢と前記目標姿勢とが一致した場合に前記複数のロック機構のすべてがアンロック状態になるように制御する、請求項記載の飛行体離陸制御システム。
【請求項4】
前記ポートの周辺の風速及び風向の情報以外の情報であってかつ前記ポート上で前記飛行体を前記目標姿勢にする場合に当該飛行体の姿勢に影響を及ぼす可能性のある要因に関する情報を取得する関連情報取得部を有し、
前記回転翼制御部は、前記ポート上の前記飛行体が前記目標姿勢となるように前記複数の回転翼のそれぞれを制御する場合に、前記関連情報取得部によって取得された情報に応じて前記複数の回転翼のそれぞれの制御を調整する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の飛行体離陸制御システム。
【請求項5】
前記飛行体の離陸の安全に関する情報を取得する安全情報取得部と、
前記安全情報取得部によって取得された情報に基づいて、前記飛行体の離陸時刻を決定する時刻決定部と、
を有し、
前記回転翼制御部は、前記離陸時刻に前記飛行体が前記目標姿勢となるように前記複数の回転翼のそれぞれを制御し、その際に、前記関連情報取得部によって取得された情報に応じて前記複数の回転翼のそれぞれの制御を調整する、請求項4記載の飛行体離陸制御システム。
【請求項6】
前記ポートは車両に設けられている、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の飛行体離陸制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体離陸制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチコプターの離陸等を想定したヘリポートに関する技術として、相対風速等からヘリパッドの傾きを算出し、その算出結果に応じてヘリパッドを傾ける技術が開示されている(例えば、下記特許文献1の図78参照)。このような先行技術によれば、ヘリポートの周辺で風が発生している状況であっても、ヘリパッドの傾斜面からマルチコプターをスムーズに離陸させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-202767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術による場合、ヘリポートに角度変更可能なヘリパッドを設ける必要があり、ヘリポートの複雑化を抑える点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、ポートに角度変更機能を設けなくても、風が発生している状況下において、複数の回転翼を備える飛行体をスムーズに離陸させることができる飛行体離陸制御システムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明の飛行体離陸制御システムは、複数の回転翼を備える飛行体と、前記飛行体が離陸するポートと、前記ポートの周辺の風速及び風向を取得する風速風向取得部と、前記風速風向取得部による取得結果に基づいて、前記ポート上の前記飛行体の目標姿勢を算出する目標姿勢算出部と、前記複数の回転翼のそれぞれを独立して制御可能とされ、前記ポート上の前記飛行体が前記目標姿勢となるように、前記複数の回転翼のそれぞれを制御する回転翼制御部と、前記飛行体を前記ポートにロックする複数のロック機構と、前記複数のロック機構の各々のロック及びアンロックを独立して制御可能とされ、前記風速風向取得部による取得結果に応じて、前記ポート上の前記飛行体が前記目標姿勢をとれるように、前記複数のロック機構のうちの一部をロックさせて他の一部をアンロックさせるロック制御部と、を有する。
請求項に記載する本発明の飛行体離陸制御システムは、複数の回転翼を備える飛行体と、前記飛行体が離陸するポートと、前記ポートの周辺の風速及び風向を取得する風速風向取得部と、前記風速風向取得部による取得結果に基づいて、前記ポート上の前記飛行体の目標姿勢を算出する目標姿勢算出部と、前記複数の回転翼のそれぞれを独立して制御可能とされ、前記ポート上の前記飛行体が前記目標姿勢となるように、前記複数の回転翼のそれぞれを制御する回転翼制御部と、を有し、前記風速風向取得部は前記ポートに設けられ、前記目標姿勢算出部及び前記回転翼制御部は前記飛行体に設けられ、前記風速風向取得部が取得した情報を前記飛行体に送信する送信部と、前記飛行体に設けられて前記送信部から送信された情報を受信する受信部と、を有する
【0007】
なお、「複数の回転翼のそれぞれを制御する」の概念には、複数の回転翼のそれぞれの回転を制御することが含まれる他、各回転翼が可変ピッチプロペラの場合には羽根の角度を制御することも含まれる。
【0008】
請求項1及び請求項2に記載の構成によれば、複数の回転翼を備える飛行体は、ポートから離陸する。ポートの周辺の風速及び風向は、風速風向取得部によって取得される。この風速風向取得部による取得結果に基づいて、目標姿勢算出部は、ポート上の飛行体の目標姿勢を算出する。また、回転翼制御部は、複数の回転翼のそれぞれを独立して制御可能となっており、ポート上の飛行体が目標姿勢となるように、複数の回転翼のそれぞれを制御する。よって、目標姿勢になった段階で飛行体を離陸させることで、ポートに角度変更機能を設けなくても、風が発生している状況下において、飛行体をスムーズに離陸させることが可能となる。
【0010】
また、請求項1に記載の構成によれば、飛行体は、複数のロック機構によってポートにロックされる。また、ロック制御部は、複数のロック機構の各々のロック及びアンロックを独立して制御可能となっており、風速風向取得部による取得結果に応じて、ポート上の飛行体が目標姿勢をとれるように、複数のロック機構のうちの一部をロックさせて他の一部をアンロックさせる。よって、飛行体は、ポート上において離陸のための傾斜姿勢を容易にとることができる。
また、請求項2に記載の構成によれば、ポートの周辺の風速及び風向の情報は、ポートに設けられた風速風向取得部によって取得される。風速風向取得部が取得した情報は、送信部によって飛行体に送信され、飛行体に設けられた受信部によって受信される。そして、飛行体においては、受信部によって受信された情報に基づいて目標姿勢算出部が目標姿勢を算出し、回転翼制御部が飛行体を目標姿勢にするための制御を実行する。上記のように風速風向取得部が飛行体でなくポートに設けられることで、飛行体の重量化を抑えることができる。
【0011】
請求項3に記載する本発明の飛行体離陸制御システムは、請求項記載の構成において、前記飛行体は、当該飛行体の姿勢を検出する姿勢検出部を備え、前記ロック制御部は、前記姿勢検出部によって検出された前記飛行体の姿勢と前記目標姿勢とが一致した場合に前記複数のロック機構のすべてがアンロック状態になるように制御する。
【0012】
上記構成によれば、飛行体の姿勢は、当該飛行体が備える姿勢検出部によって、取得される。また、ロック制御部は、姿勢検出部によって検出された飛行体の姿勢と目標姿勢とが一致した場合に複数のロック機構のすべてがアンロック状態になるように制御する。これにより、飛行体は、自身が備える姿勢検出部の検出結果を用いて、一層スムーズに離陸することができる。
【0013】
請求項4に記載する本発明の飛行体離陸制御システムは、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の構成において、前記ポートの周辺の風速及び風向の情報以外の情報であってかつ前記ポート上で前記飛行体を前記目標姿勢にする場合に当該飛行体の姿勢に影響を及ぼす可能性のある要因に関する情報を取得する関連情報取得部を有し、前記回転翼制御部は、前記ポート上の前記飛行体が前記目標姿勢となるように前記複数の回転翼のそれぞれを制御する場合に、前記関連情報取得部によって取得された情報に応じて前記複数の回転翼のそれぞれの制御を調整する。
【0014】
上記構成によれば、ポートの周辺の風速及び風向の情報以外の情報であってかつポート上で飛行体を目標姿勢にする場合に当該飛行体の姿勢に影響を及ぼす可能性のある要因に関する情報が、関連情報取得部によって取得される。そして、回転翼制御部は、ポート上の飛行体が目標姿勢となるように複数の回転翼のそれぞれを制御する場合に、関連情報取得部によって取得された情報に応じて複数の回転翼のそれぞれの制御を調整する。よって、ポート上の飛行体を容易に目標姿勢にすることができ、飛行体を一層スムーズに離陸させることが可能となる。
【0015】
請求項5に記載する本発明の飛行体離陸制御システムは、請求項4記載の構成において、前記飛行体の離陸の安全に関する情報を取得する安全情報取得部と、前記安全情報取得部によって取得された情報に基づいて、前記飛行体の離陸時刻を決定する時刻決定部と、を有し、前記回転翼制御部は、前記離陸時刻に前記飛行体が前記目標姿勢となるように前記複数の回転翼のそれぞれを制御し、その際に、前記関連情報取得部によって取得された情報に応じて前記複数の回転翼のそれぞれの制御を調整する。
【0016】
上記構成によれば、飛行体の離陸の安全に関する情報が安全情報取得部によって取得され、安全情報取得部によって取得された情報に基づいて、時刻決定部は飛行体の離陸時刻を決定する。そして、回転翼制御部は、離陸時刻に飛行体が目標姿勢となるように複数の回転翼のそれぞれを制御し、その際に、関連情報取得部によって取得された情報に応じて複数の回転翼のそれぞれの制御を調整する。よって、ポート上の飛行体は、離陸時刻に容易に目標姿勢になることができ、スムーズに離陸することができる。
【0019】
請求項に記載する本発明の飛行体離陸制御システムは、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の構成において、前記ポートは車両に設けられている。
【0020】
上記構成によれば、車両に設けられたポートの上において飛行体を目標姿勢で配置することができ、車両に設けられたポートから飛行体をスムーズに離陸させることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明の飛行体離陸制御システムによれば、ポートに角度変更機能を設けなくても、風が発生している状況下において、複数の回転翼を備える飛行体をスムーズに離陸させることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施形態に係る飛行体離陸制御システムの概略構成を示す図である。
図2図1に示す車両に搭載される機器のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3A図1に示す車両のルーフ部のポートの上にドローンが配置された状態を示す概略構成図である。
図3B図3Aのドローンが姿勢を変えて傾斜姿勢になった状態を示す概略構成図である。
図4図1に示すドローンに搭載される機器のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5A】第1の実施形態の車両に搭載された制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図5B】第1の実施形態のドローンに搭載された制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図6】第1の実施形態の車両に搭載された制御装置が担当する制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】第1の実施形態のドローンに搭載された制御装置が担当する制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8A】第2の実施形態の車両に搭載された制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図8B】第2の実施形態のドローンに搭載された制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図9】第2の実施形態の車両に搭載された制御装置が担当する制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】第2の実施形態のドローンに搭載された制御装置が担当する制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る飛行体離陸制御システムについて図1図7を用いて説明する。なお、図1図3A及び図3Bにおいて示される矢印FRは車両20の車両前方側を示しており、矢印UPは車両20の車両上方側を示している。
【0024】
図1には、本実施形態に係る飛行体離陸制御システム10の概略構成が示されている。図1に示されるように、飛行体離陸制御システム10は、複数の回転翼44を備える飛行体としてのドローン40と、ドローン40が離陸及び着陸するポート12と、を有する。ポート12は、車両20のルーフ部20Rに設けられており、走行中の車両20のルーフ部20Rにおいてドローン40が離陸及び着陸できるようになっている。本実施形態において、車両20は制御装置200を備え、ドローン40はフライトコントローラ400を備えている。そして、飛行体離陸制御システム10において、車両20の制御装置200及びドローン40のフライトコントローラ400は、ネットワークN1を介して種々のサーバ14に接続されている。また、車両20の制御装置200及びドローン40のフライトコントローラ400は、ネットワークN1を介して互いに接続され、更にネットワークN1を介さずに互いに無線通信可能に構成されている。
【0025】
図2には、車両20に搭載される機器のハードウェア構成の一例がブロック図で示されている。図2に示されるように、車両20は、上述した制御装置200の他、風速風向取得部としての風速風向計22、車速センサ24、GPS(Global Positioning System)装置26、カーナビゲーション装置(「カーナビ装置」ともいう)28、Gセンサ30、ヨーレートセンサ31、傾斜センサ32、ロック装置34、及びアクチュエータ36を備えている。
【0026】
風速風向計22は、ポート12に設けられ(図3A参照)、ポート12の周辺の風速及び風向を取得する。車速センサ24は、車両20の車速を検出する。GPS装置26は、車両20の現在位置を取得する。カーナビゲーション装置28は、行先情報(目的地)を入力可能とされ、目的地までの走行ルートを探索して表示する。Gセンサ30は、車両20の重心付近の前後及び左右の加速度を検出する。ヨーレートセンサ31は、車両20のヨーレートを検出する。傾斜センサ32は、車両20の傾きを検出する。ロック装置34は、詳細後述するが、ドローン40をポート12にロックするための複数のロック部34A(図3A参照)を備える。アクチュエータ36は、車両20の加減速及び操舵を行う。
【0027】
制御装置200は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、ストレージ204、通信I/F(Inter Face)205及び入出力I/F206を含んで構成されている。CPU201、ROM202、RAM203、ストレージ204、通信I/F205及び入出力I/F206は、バス208を介して相互に通信可能に接続されている。
【0028】
CPU201は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU201は、ROM202又はストレージ204からプログラム(ドローン40を離陸させる際の車両側制御用の離陸プログラムを含む)を読み出し、RAM203を作業領域としてプログラムを実行し、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0029】
ROM202は、各種プログラム及び各種データを記憶している。RAM203は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶している。ストレージ204は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを記憶している。本実施形態では、ROM202又はストレージ204には、ドローン40を離陸させる際の車両側制御用の離陸プログラム等が記憶されている。通信I/F205は、ドローン40のフライトコントローラ400及びサーバ14等の他の機器と通信するためのインタフェースである。当該通信には、例えば、4G、5G、又はWi-Fi(登録商標)等の無線通信の規格が用いられる。
【0030】
入出力I/F206は、車両20に搭載される各機器と通信するためのインタフェースである。本実施形態の制御装置200には、入出力I/F206を介して風速風向計22、車速センサ24、GPS装置26、カーナビゲーション装置28、Gセンサ30、ヨーレートセンサ31、傾斜センサ32、ロック装置34、及びアクチュエータ36が接続されている。なお、風速風向計22、車速センサ24、GPS装置26、カーナビゲーション装置28、Gセンサ30、ヨーレートセンサ31、傾斜センサ32、ロック装置34、及びアクチュエータ36は、バス208に対して直接接続されていてもよい。
【0031】
図3Aには、車両20のルーフ部20Rのポート12の上にドローン40が配置された状態の概略構成図が示されている。図3Bには、図3Aのドローン40が姿勢を変えて傾斜姿勢になった状態の概略構成図が示されている。
【0032】
図3Aに示されるように、ドローン40は、複数の回転翼44が設けられたドローン本体42を備える。なお、回転翼44には、可変ピッチプロペラを適用することが可能である。回転翼44は、一例として計四個設けられている。四個の回転翼44は、ドローン本体42を上方側から見た状態では周方向に等間隔で並ぶように配置されている。各回転翼44は、それぞれ別個のモータ50によって駆動される。ドローン本体42からは下方側に延びる複数のスキッド部(脚部)46が設けられている。スキッド部46は、一例として計4本設けられており、図3Aの方向視で図中に示されるスキッド部46と重なる位置にも設けられている。
【0033】
各スキッド部46の先端部には、ロック部34Aと共にロック機構38を構成する鋼製の接地用部材48が固定されている。接地用部材48には、一例として薄板状に形成されたものが適用されている。各接地用部材48は、それぞれ別個のロック部34Aによってロック及びアンロックされる。ロック部34Aは、ポート12に設けられて電磁石で構成され、所定の励磁電流が供給された場合に磁力を発生して接地用部材48を吸引して固定する。ロック部34Aへの励磁電流の供給は、制御装置200(図2参照)によって制御される。一方、ドローン40は、ドローン40の姿勢を検出する姿勢検出部としての傾斜センサ52を備える。傾斜センサ52が検出するドローン40の姿勢の情報には、ドローン40が傾斜姿勢の場合にはドローン40の機体が水平姿勢に対してどちら側に傾いているか及びその機体傾斜角度が含まれる。また、ドローン本体42の内部にはフライトコントローラ400が設けられている。
【0034】
図4には、ドローン40に搭載される機器のハードウェア構成の一例がブロック図で示されている。ドローン40は、上述したフライトコントローラ400、モータ50、及び傾斜センサ52の他、ドローン40の現在位置を取得するGPS装置54と、ドローン40の周囲の環境を認識する環境認識センサ56と、を備えている。ここで、環境認識センサ56は、超音波センサ、ジャイロセンサ、気圧センサ、コンパス等を含んで構成されている。
【0035】
フライトコントローラ400は、CPU401、ROM402、RAM403、ストレージ404、通信I/F405及び入出力I/F406を含んで構成されている。CPU401、ROM402、RAM403、ストレージ404、通信I/F405及び入出力I/F406は、バス408を介して相互に通信可能に接続されている。
【0036】
CPU401は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU401は、ROM402又はストレージ404からプログラム(ドローン40を離陸させる際のドローン側制御用の離陸プログラムを含む)を読み出し、RAM403を作業領域としてプログラムを実行し、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0037】
ROM402は、各種プログラム及び各種データを記憶している。RAM403は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶している。ストレージ404は、HDD又はSSD等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを記憶している。本実施形態では、ROM402又はストレージ404には、ドローン40を離陸させる際のドローン側制御用の離陸プログラム等が記憶されている。通信I/F405は、車両20の制御装置200及びサーバ14等の他の機器と通信するためのインタフェースである。当該通信には、例えば、4G、5G、又はWi-Fi(登録商標)等の無線通信の規格が用いられる。
【0038】
入出力I/F406は、ドローン40に搭載される各機器と通信するためのインタフェースである。本実施形態のフライトコントローラ400には、入出力I/F406を介してモータ50、傾斜センサ52、GPS装置54、及び環境認識センサ56が接続されている。なお、モータ50、傾斜センサ52、GPS装置54、及び環境認識センサ56は、バス408に対して直接接続されていてもよい。
【0039】
図5Aには、車両20に搭載された制御装置200の機能構成の一例がブロック図で示されている。図5Aに示されるように、制御装置200は、関連情報取得部210、送信部220及びロック制御部230を有する。各機能構成は、CPU201がROM202又はストレージ204に記憶された車両側制御用の離陸プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0040】
図5Bには、ドローン40に搭載されたフライトコントローラ400の機能構成の一例がブロック図で示されている。図5Bに示されるように、フライトコントローラ400は、機能構成として、受信部410、目標姿勢算出部420及び回転翼制御部430を有する。各機能構成は、CPU401がROM402又はストレージ404に記憶されたドローン側制御用の離陸プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0041】
図5Aに示される関連情報取得部210は、ポート12の周辺の風速及び風向の情報以外の情報であってかつポート12上でドローン40を目標姿勢(目標姿勢算出部420(図5B参照)が算出する目標姿勢)にする場合に当該ドローン40の姿勢に影響を及ぼす可能性のある要因に関する情報を取得する。なお、以下の説明においては、便宜上、関連情報取得部210が取得する情報を、適宜「姿勢影響要因に関する情報」と略す。関連情報取得部210は、一例として通信I/F205を用いてネットワークN1を介してサーバ14にアクセスし、及び入出力I/F206を用いて車両20に搭載される機器と通信して、姿勢影響要因に関する情報を取得する。
【0042】
なお、姿勢影響要因に関する情報には、例えば、ポート12の上空における現在の天候の情報、及びポート12の傾きの情報が含まれる。補足説明すると、ポート12の上空から雨が降る場合、その雨がドローン40の姿勢に影響を及ぼす可能性がある。また、ポート12が水平に対して傾いている場合、ドローン40の機体上下方向(機体の中心軸の方向)に対する重力の作用方向が変わるので、ポート12の傾きがドローン40の姿勢に影響を及ぼす可能性がある。
【0043】
送信部220は、風速風向計22が取得した情報及び関連情報取得部210が取得した情報を、ネットワークN1を介さずにドローン40に送信する。図5Bに示される受信部410は、送信部220から送信された情報を、ネットワークN1を介さずに受信する。
【0044】
目標姿勢算出部420は、風速風向計22による取得結果に基づいて、ポート12上のドローン40の目標姿勢(例えば、図3Bに示されるような姿勢)を算出する。目標姿勢とは、目標とする姿勢である。目標姿勢算出部420は、ポート12上のドローン40の目標姿勢を傾斜姿勢にする必要がある場合にはポート12上のドローン40の機体をどちら側に傾けてその機体傾斜角度を何度にするのかを算出する。
【0045】
なお、ポート12上のドローン40の目標姿勢は、次のように算出できる。例えば、目標姿勢算出部420は、ポート12の上方側から見た平面視において、風速風向計22が取得した風向とは反対方向でかつ風速風向計22が取得した風速と同等の速度で、離陸できるような姿勢を目標姿勢として算出する。すなわち、目標姿勢算出部420は、一例として、走行する車両20のポート12から離陸したドローン40が、移動するポート12に合わせてその上方側に向かって、回転翼44により得られる推力によって飛び立てるような姿勢を目標姿勢として算出する。
【0046】
図5Bに示される回転翼制御部430は、複数の回転翼44のそれぞれを独立して制御可能とされ、ポート12上のドローン40が、目標姿勢算出部420によって算出された目標姿勢となるように、複数の回転翼44のそれぞれを制御する。回転翼44の制御は、本実施形態では回転翼44のモータ50の出力を制御することで実行される。また、本実施形態では、回転翼制御部430は、ポート12上のドローン40が前記目標姿勢となるように複数の回転翼44のそれぞれを制御する場合に、関連情報取得部210によって取得された情報(つまり関連情報取得部210によって取得されて送信部220から送信されて受信部410によって受信された情報)に応じて、複数の回転翼44のそれぞれの制御を調整する。
【0047】
図5Aに示されるロック制御部230は、複数のロック機構38の各々のロック及びアンロックを独立して制御可能とされ、風速風向計22による取得結果に応じて、ポート12上のドローン40が、目標姿勢算出部420によって算出された目標姿勢をとれるように、複数のロック機構38のうちの一部をロックさせて他の一部をアンロックさせる。また、本実施形態では、ロック制御部230は、傾斜センサ52によって検出されたドローン40の姿勢と前記目標姿勢とが一致した場合に複数のロック機構38のすべてがアンロック状態になるように制御する。
【0048】
次に、飛行体離陸制御システム10の作用について説明する。飛行体離陸制御システム10で実行される制御処理は、車両20に搭載された制御装置200及びドローン40に搭載されたフライトコントローラ400によって分担される。したがって、以下では、車両20に搭載された制御装置200及びドローン40に搭載されたフライトコントローラ400がそれぞれ担当する制御処理の部分について説明する。
【0049】
図6には、車両20に搭載された制御装置200が担当する制御処理の流れの一例がフローチャートで示されている。CPU201がROM202又はストレージ204から車両側制御用の離陸プログラムを読み出して、RAM203に展開して実行することにより、制御装置200による制御処理が行なわれる。ドローン40の操作者によって離陸のための所定操作(一例として離陸用スイッチの押圧操作)がされた場合に、図6に示される制御処理の実行が開始される。なお、図6に示される制御処理の実行が開始される時点では、複数のロック機構38のすべてがロック状態になっており、ドローン40は、ポート12の上においてすべてのスキッド部46が固定された状態で配置されている。
【0050】
まず、CPU201は、風速風向計22により風速及び風向を取得する(ステップS100)。次に、CPU201は、風速風向計22が取得した情報をドローン40に送信する(ステップS102)。
【0051】
次に、CPU201は、風速風向計22による取得結果に応じて、ポート12上のドローン40が目標姿勢(後述するステップS122(図7参照)で算出される目標姿勢)をとれるように、複数のロック機構38のうちの一部をロックさせて他の一部をアンロックさせる(ステップS104)。すなわち、CPU201は、複数のロック部34Aのうちの一部に励磁電流を供給させて他の一部には励磁電流を供給させない。よって、ドローン40は、ポート12上において離陸のための傾斜姿勢を容易にとることができる。なお、車両20の走行中においては、CPU201は、複数のロック部34Aのうちの車両前後方向前側(広義には一方の片側)に設置されたものに励磁電流を供給させると共に複数のロック部34Aのうちの車両前後方向後側(広義には他方の片側)に設置されたものには励磁電流を供給させない。
【0052】
次に、CPU201は、ドローン40から全解除信号(後述するステップS128(図7参照)で送信される信号)を受信したか否かを判断する(ステップS106)。CPU201は、ドローン40から全解除信号を受信していないと判断した場合(ステップS106:N)、ステップS100からの処理を繰り返す。一方、CPU201は、ドローン40から全解除信号を受信したと判断した場合(ステップS106:Y)、ステップS108の処理へ移行する。
【0053】
ステップS108において、CPU201は、複数のロック機構38のすべてがアンロック状態になるように(つまりすべてのロック部34Aに励磁電流を供給しない状態となるように)ロック装置34を制御する。そして、CPU201は、図6に示される制御処理を終了(言い換えれば車両側制御用の離陸プログラムを終了)する。
【0054】
図7には、ドローン40に搭載されたフライトコントローラ400が担当する制御処理の流れの一例がフローチャートで示されている。CPU401がROM402又はストレージ404からドローン側制御用の離陸プログラムを読み出して、RAM403に展開して実行することにより、フライトコントローラ400による制御処理が行なわれる。ドローン40の操作者によって離陸のための所定操作(一例として離陸用スイッチの押圧操作)がされた場合に、図7に示される制御処理の実行が開始される。なお、図7に示される制御処理の実行が開始される時点では、ドローン40は、ポート12の上においてすべてのスキッド部46が固定された状態で配置されている。
【0055】
まず、CPU401は、風速風向計22が取得した風速及び風向の情報を受信したか否かを判断する(ステップS120)。CPU401は、風速及び風向の情報を受信していないと判断した場合(ステップS120:N)、ステップS120の処理を繰り返す。一方、CPU401は、風速及び風向の情報を受信したと判断した場合(ステップS120:Y)、ステップS122の処理へ移行する。
【0056】
ステップS122において、CPU401は、風速風向計22による取得結果に基づいて、ポート12上のドローン40の目標姿勢を算出する。なお、本実施形態において、ドローン40の目標姿勢は、例えば、車両20の走行中において移動するポート12に対してドローン40が直上側に離陸できる状態になったときのドローン40の姿勢と同じ姿勢である。
【0057】
次に、CPU401は、ポート12上のドローン40が、(ステップS122で算出された)目標姿勢となるように、複数の回転翼44のそれぞれを制御する(ステップS124)。このように制御することで、ポート12に角度変更機能を設けなくても、複数の回転翼44を備えるドローン40をスムーズに離陸させることが可能となる。なお、例えば、車両20の走行中においては、CPU401は、走行風を踏まえて複数の回転翼44のそれぞれを制御することになる。
【0058】
また、ステップS124において、CPU401は、姿勢影響要因に関する情報(関連情報取得部210が取得した情報)に応じて複数の回転翼44のそれぞれの制御を調整する。これにより、ポート12上のドローン40を容易に目標姿勢にすることができ、ドローン40を一層スムーズに離陸させることが可能となる。
【0059】
次に、CPU401は、傾斜センサ52によって検出されたドローン40の姿勢と目標姿勢とが一致したか否かを判断する(ステップS126)。CPU401は、傾斜センサ52によって検出されたドローン40の姿勢と目標姿勢とが一致していないと判断した場合(ステップS126:N)、ステップS120からの処理を繰り返す。一方、CPU401は、傾斜センサ52によって検出されたドローン40の姿勢と目標姿勢とが一致したと判断した場合(ステップS126:Y)、ステップS128の処理へ移行し、ロック機構38のすべてをアンロック状態にする旨の指令信号である全解除信号を車両20に送信する。
【0060】
次に、CPU401は、ドローン40がポート12から離陸したか否かを判断する(ステップS130)。CPU401は、ドローン40がポート12から離陸していないと判断した場合(ステップS130:N)、ステップS120からの処理を繰り返す。一方、CPU401は、ドローン40がポート12から離陸したと判断した場合(ステップS130:Y)、図7に示される制御処理を終了(言い換えればドローン側制御用の離陸プログラムを終了)する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の飛行体離陸制御システム10によれば、ポート12に角度変更機能を設けなくても、風が発生している状況下において、複数の回転翼44を備えるドローン40をスムーズに離陸させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、ポート12に角度変更機能を設けないので、ポートに角度変更機能を設ける構成と比べてポート12の製造コストを抑えることができると共に、ポート12を車両20に容易に設けることができる。
【0063】
また、本実施形態では、ドローン40は、自身が備える傾斜センサ52からの情報を用いて、ドローン40が目標姿勢になったことを確認してから離陸するので、ドローン40の一層スムーズな離陸を実現することができる。
【0064】
また、本実施形態では、風速風向計22をドローン40でなくポート12に設けているので、その分、ドローン40の軽量化が可能となっている。
【0065】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について図1図4を流用しながら図8A図10を用いて説明する。本実施形態の飛行体離陸制御システムは、以下に説明する点を除いて第1の実施形態の飛行体離陸制御システム10と同様とされる。第1の実施形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。また、本実施形態の飛行体離陸制御システムのハードウェア構成は、第1の実施形態の飛行体離陸制御システム10のハードウェア構成と同様であるため、図1図4を流用して図示及び詳細説明を省略する。
【0066】
本実施形態においては、車両20(図1参照)に搭載される図2に示される制御装置200のROM202又はストレージ204には、第1の実施形態で説明した車両側制御用の離陸プログラムと同様の車両側制御用の離陸プログラム、及び第1の実施形態で説明した車両側制御用の離陸プログラムとは別の車両側制御用の自動離陸プログラム等が格納されている。
【0067】
また、本実施形態においては、ドローン40(図1参照)に搭載される図4に示されるフライトコントローラ400のROM402又はストレージ404には、第1の実施形態で説明したドローン側制御用の離陸プログラムと同様のドローン側制御用の離陸プログラム、及び第1の実施形態で説明したドローン側制御用の離陸プログラムとは別のドローン側制御用の自動離陸プログラム等が格納されている。
【0068】
図8Aには、車両20に搭載された本実施形態の制御装置200の機能構成の一例がブロック図で示されている。図8Aに示されるように、制御装置200は、関連情報取得部210、安全情報取得部215、送信部220及びロック制御部230を有する。各機能構成は、CPU201がROM202又はストレージ204に記憶された車両側制御用の自動離陸プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0069】
安全情報取得部215は、通信I/F205を用いてネットワークN1を介してサーバ14にアクセスし、及び入出力I/F206を用いて車両20に搭載される各機器と通信して、ドローン40の離陸の安全に関する情報を取得する。送信部220は、風速風向計22が取得した情報、関連情報取得部210が取得した情報、及び安全情報取得部215が取得した情報を、ネットワークN1を介さずにドローン40に送信する。
【0070】
なお、ドローン40の離陸の安全に関する情報には、例えば、空港周辺等のドローン飛行禁止区域の情報、地域毎かつ時間帯毎の天気予報の情報、車両20の現在位置の情報、カーナビゲーション装置28に入力された行先情報、及び車両20の車速に関する情報が含まれる。
【0071】
図8Bには、ドローン40に搭載された本実施形態のフライトコントローラ400の機能構成の一例がブロック図で示されている。図8Bに示されるように、フライトコントローラ400は、機能構成として、受信部410、時刻決定部415、目標姿勢算出部420及び回転翼制御部430を有する。各機能構成は、CPU401がROM402又はストレージ404に記憶されたドローン側制御用の自動離陸プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0072】
時刻決定部415は、安全情報取得部215によって取得された情報(本実施形態では安全情報取得部215によって取得されて送信部220から送信されて受信部410によって受信された情報)に基づいて、ドローン40の離陸時刻を決定する。
【0073】
なお、ドローン40の離陸時刻は、一例として次のように決定される。例えば、時刻決定部415は、まず、車両20の現在位置の情報、カーナビゲーション装置28に入力された行先情報、及び車両20の車速に関する情報等に基づいて、車両20の将来の時刻毎の位置を予測する。次に、時刻決定部415は、予測した車両20の将来の時刻毎の位置、ドローン飛行禁止区域の情報、及び地域毎かつ時間帯毎の天気予報の情報に基づいて、車両20がドローン飛行禁止区域外でかつ悪天候下にいないと予測される時刻をドローン40の離陸時刻として決定する。
【0074】
回転翼制御部430は、時刻決定部415が決定した離陸時刻にドローン40が前記目標姿勢となるように複数の回転翼44のそれぞれを制御し、その際に、関連情報取得部210によって取得された情報(つまり関連情報取得部210によって取得されて送信部220から送信されて受信部410によって受信された情報)に応じて複数の回転翼44のそれぞれの制御を調整する。
【0075】
次に、本実施形態の飛行体離陸制御システムの作用について説明する。本実施形態の飛行体離陸制御システムで実行される制御処理は、車両20に搭載された制御装置200及びドローン40に搭載されたフライトコントローラ400によって分担される。したがって、以下では、車両20に搭載された制御装置200及びドローン40に搭載されたフライトコントローラ400がそれぞれ担当する制御処理の部分について説明する。
【0076】
図9には、本実施形態の車両20に搭載された制御装置200が担当する制御処理の流れの一例がフローチャートで示されている。CPU201がROM202又はストレージ204から車両側制御用の自動離陸プログラムを読み出して、RAM203に展開して実行することにより、制御装置200による制御処理が行なわれる。ドローン40の操作者によって自動離陸のための所定操作(一例として自動離陸用スイッチの押圧操作)がされた場合に、図9に示される制御処理の実行が開始される。なお、図9に示される制御処理の実行が開始される時点では、複数のロック機構38のすべてがロック状態になっており、ドローン40は、ポート12の上においてすべてのスキッド部46が固定された状態で配置されている。
【0077】
まず、CPU201は、ドローン40の離陸の安全に関する情報(以下、適宜「安全情報」と略す)を取得する(ステップS90)。次に、CPU201は、安全情報をドローン40に送信する(ステップS92)。
【0078】
次に、CPU201は、離陸時刻(後述するステップS112(図10参照)で決定される離陸時刻)の情報を受信したか否かを判断する(ステップS94)。CPU201は、離陸時刻の情報を取得していないと判断した場合(ステップS94:N)、ステップS94の処理を繰り返す。一方、CPU201は、離陸時刻の情報を取得したと判断した場合(ステップS94:Y)、ステップS96の処理へ移行する。
【0079】
ステップS96において、CPU201は、離陸時刻の所定秒前になったか否かを判断する。CPU201は、離陸時刻の所定秒前になっていないと判断した場合(ステップS96:N)、ステップS96の処理を繰り返す。一方、CPU201は、離陸時刻の所定秒前になったと判断した場合(ステップS96:Y)、ステップS100の処理へ移行する。ステップS100~ステップS108の処理は、図6に示されるステップS100~ステップS108の処理と同じであるため、詳細説明を省略する。
【0080】
図10には、本実施形態のドローン40に搭載されたフライトコントローラ400が担当する制御処理の流れの一例がフローチャートで示されている。CPU401がROM402又はストレージ404からドローン側制御用の自動離陸プログラムを読み出して、RAM403に展開して実行することにより、フライトコントローラ400による制御処理が行なわれる。ドローン40の操作者によって自動離陸のための所定操作(一例として自動離陸用スイッチの押圧操作)がされた場合に、図10に示される制御処理の実行が開始される。なお、図10に示される制御処理の実行が開始される時点では、ドローン40は、ポート12の上においてすべてのスキッド部46が固定された状態で配置されている。
【0081】
まず、CPU401は、車両20側から安全情報を受信したか否かを判断する(ステップS110)。CPU401は、安全情報を受信していないと判断した場合(ステップS110:N)、ステップS110の処理を繰り返す。一方、CPU401は、安全情報を受信したと判断した場合(ステップS110:Y)、ステップS112の処理へ移行する。
【0082】
ステップS112において、CPU401は、受信した安全情報に基づいて、ドローン40の離陸時刻を決定する。
【0083】
次に、CPU401は、ステップS112で決定した離陸時刻の所定秒前になったか否かを判断する(ステップS114)。CPU401は、離陸時刻の所定秒前になっていないと判断した場合(ステップS114:N)、ステップS114の処理を繰り返す。一方、CPU401は、離陸時刻の所定秒前になったと判断した場合(ステップS114:Y)、ステップS120の処理へ移行する。ステップS120~ステップS130の処理は、図7に示されるステップS120~ステップS130の処理と同じであるため、詳細説明を省略する。
【0084】
第2の実施形態では、ポート12上のドローン40を離陸時刻に容易に目標姿勢にすることができ、離陸時刻にドローン40をスムーズに離陸させることができる。
【0085】
[実施形態の補足説明]
なお、上記第1、第2の実施形態では、ロック機構38が電磁力を利用したロック機構とされているが、ロック機構は、部材同士が係合することでロックされる機械的なロック機構とされてもよい。例えば、ロック機構は、ドローン(40)のスキッド(46)の下端部に設けられた被係合部と、ポート(12)に設けられて前記被係合部と係合可能なフックと、前記被係合部と係合する位置と前記被係合部と係合しない位置との間で前記フックを移動させるためのアクチュエータ(図示省略)と、を含んで構成されてもよい。
【0086】
また、上記第1、第2の実施形態では、ドローン40をポート12にロックする複数のロック機構38を有しており、このような構成が好ましいが、ロック機構38が設けられない構成も採り得る。
【0087】
また、上記第1、第2の実施形態では、ロック制御部230は、傾斜センサ52によって検出されたドローン40の姿勢と目標姿勢とが一致した場合に複数のロック機構38のすべてがアンロック状態になるように制御しており、このような構成が好ましいが、ロック制御部は、姿勢検出部(上記実施形態では傾斜センサ52)の検出結果を用いずに、ポート(12)上のドローン(40)が目標姿勢となるように、複数の回転翼(44)のそれぞれを制御した後に、複数のロック機構(38)のすべてがアンロック状態になるように制御してもよい。
【0088】
また、上記第1、第2の実施形態の変形例として、回転翼制御部(430)は、ポート(12)上のドローン(40)が目標姿勢となるように複数の回転翼(44)のそれぞれを制御する場合に、関連情報取得部(210)によって取得された情報を用いない、といった構成も採り得る。
【0089】
また、上記第1、第2の実施形態の変形例として、風速風向取得部(上記実施形態では風速風向計22)がドローン(40)に設けられる構成も採り得る。また、上記第1、第2の実施形態の変形例として、各スキッド部(46)の先端部に鋼製の接地用部材(48)に代えて電磁石が固定され、ポート(12)のロック部(34A)に代えて鋼製部材が配置されると共に、ロック制御部(230)がドローン(40)に設けられる構成も採り得る。また、第2の実施形態の変形例として、時刻決定部(415)が車両(20)に設けられる構成も採り得る。
【0090】
また、第2の実施形態の変形例として、安全情報取得部(215)によって取得された情報に基づいてドローン(40)が離陸すべき時間帯を決定する時刻帯決定部を設け、回転翼制御部(430)は、前記離陸すべき時間帯で所定の条件(例えばポートの周辺の風速が所定値以下であること)を満たした段階でドローン(40)が目標姿勢となるように複数の回転翼(44)のそれぞれを制御する、といった構成も採り得る。
【0091】
また、上記第1、第2の実施形態では、ポート12は車両20に設けられているが、ポートは、船舶等のように車両以外に設けられてもよい。
【0092】
また、上記第1、第2の実施形態では、飛行体がドローン40とされているが、飛行体は有人の飛行体であってもよい。
【0093】
なお、上記第1、第2の実施形態で図2に示されるCPU201及び図4に示されるCPU401がそれぞれソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0094】
また、上記実施形態で説明した各プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0095】
なお、上記実施形態及び上述の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0096】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0097】
10 飛行体離陸制御システム
12 ポート
20 車両
22 風速風向計(風速風向取得部)
38 ロック機構
40 ドローン(飛行体)
44 回転翼
52 傾斜センサ(姿勢検出部)
210 関連情報取得部
215 安全情報取得部
220 送信部
230 ロック制御部
410 受信部
415 時刻決定部
420 目標姿勢算出部
430 回転翼制御部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10