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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ハニカムコアの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 47/00 20060101AFI20231024BHJP
   B32B 3/12 20060101ALI20231024BHJP
   B21D 47/01 20060101ALI20231024BHJP
   B62D 21/05 20060101ALN20231024BHJP
【FI】
B21D47/00 E
B32B3/12 A
B21D47/01 C
B62D21/05
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020168587
(22)【出願日】2020-10-05
(65)【公開番号】P2022060855
(43)【公開日】2022-04-15
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】林 竜之
(72)【発明者】
【氏名】金原 宏
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-211062(JP,A)
【文献】特開平09-253757(JP,A)
【文献】特開2017-070968(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0138185(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 47/00 - 47/01
B32B 3/12
B62D 21/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平板(26)、第2の平板(27)、第3の平板(28)、第4の平板(29)から成り、断面形状が等脚台形である中空パイプ(25)を用いてハニカムコア(22)を製造するハニカムコア(22)の製造方法であって、
前記第1の平板(26)及び前記第2の平板(27)は前記等脚台形の両脚に対応しており、
前記第3の平板(28)及び前記第4の平板(29)は前記等脚台形の上辺及び下辺に対応しており、
前記第2の平板(27)を除くすべての平板(26、28、29)を切断するように前記中空パイプ(25)に第1のスリット(S1)を形成し、
前記中空パイプ(25)の長手方向において前記第1のスリット(S1)の位置と異なる位置に、前記第1の平板(26)を除くすべての平板(27、28、29)を切断するように前記中空パイプ(25)に第2のスリット(S2)を形成し、
前記中空パイプ(25)の長手方向において前記第1のスリット(S1)及び前記第2のスリット(S2)の位置と異なる位置に、前記第2の平板(27)を除くすべての平板(26、28、29)を切断するように前記中空パイプ(25)に第3のスリット(S3)を形成し、
前記中空パイプ(25)の長手方向において、前記第1のスリット(S1)、前記第2のスリット(S2)、前記第3のスリット(S3)は、この記載順に形成されており、
前記第1のスリット(S1)において前記第2の平板(27)を180度折り返し、前記第2のスリット(S2)において前記第1の平板(26)を180度折り返し、前記第3のスリット(S3)において前記第2の平板(27)を180度折り返すことにより、アーチ型のハニカムコア(22)を形成する、
ハニカムコアの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、金属製で三角形のハニカムコアを規則的に並べて構成されたハニカムコア構造を開示している。2つのハニカムコアの間には、ガラス繊維をマット状にした結合層が配置されている。結合層の両面には接着剤が塗布されており、これにより結合層は、2つのハニカムコアが連結するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2017-519663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のハニカムコア構造体は耐久性の面で改善の余地が残されている。
【0005】
本発明の目的は、フレームの耐久性を向上する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の観点によれば、第1から第N(Nは3以上の自然数)の平板から成るN角形状の中空パイプからフレームを製造するフレーム製造方法であって、前記第1の平板を除くすべての平板を切断するように前記中空パイプに第1のスリットを形成すると共に、前記中空パイプの長手方向において前記第1のスリットの位置と異なる位置に、前記第2の平板を除くすべての平板を切断するように前記中空パイプに第2のスリットを形成し、前記第1のスリットの位置において前記第1の平板を折り返すと共に、前記第2のスリットの位置において前記第2の平板を折り返す、フレーム製造方法が提供される。以上の製造方法によれば、フレームの耐久性を向上することができる。
好ましくは、前記Nは3であって前記中空パイプは三角形状である。
好ましくは、更に、前記長手方向において前記第1のスリットの位置及び前記第2のスリットの位置と異なる位置に、前記第3の平板を除くすべての平板を切断するように前記中空パイプに第3のスリットを形成し、更に、前記第3のスリットの位置において前記第3の平板を折り返す。以上の製造方法によれば、一直線状に延びるフレームが実現される。
好ましくは、前記Nは4であって前記中空パイプは四角形状である。
好ましくは、前記第1の平板と前記第2の平板は、前記中空パイプの内部空間を挟んで互いに対向している。以上の製造方法によれば、一直線状に延びるフレームが実現される。
好ましくは、更に、前記長手方向において前記第1のスリットの位置及び前記第2のスリットの位置と異なる位置に、前記第1の平板を除くすべての平板を切断するように前記中空パイプに第3のスリットを形成し、更に、前記第3のスリットの位置において前記第1の平板を折り返す。以上の製造方法によれば、大型で一直線状に延びるフレームが実現される。
好ましくは、前記中空パイプは、長方形状である。
好ましくは、前記中空パイプは、台形状である。前記第1の平板及び前記第2の平板は、前記中空パイプの脚に対応している。以上の製造方法によれば、アーチ型のフレームが実現される。
好ましくは、前記中空パイプは、等脚台形状である。
好ましくは、前記中空パイプは、金属製又は樹脂製である。
好ましくは、前記フレームが強度部品、自動車の足回り部品、シャーシ部品、又はラダーフレームである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フレームの耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ハニカム構造の斜視図である。(第1実施形態)
図2】ハニカムコアの斜視図である。(第1実施形態)
図3】ハニカム構造の製造フローである。(第1実施形態)
図4】中空パイプの斜視図である。(第1実施形態)
図5】スリットが形成された中空パイプの斜視図である。(第1実施形態)
図6】スリットが形成された中空パイプの斜視図である。(第1実施形態)
図7】スリットが形成された中空パイプを折り曲げている様子を示す斜視図である。(第1実施形態)
図8】第1変形例におけるハニカムコアの図である。(第1実施形態)
図9】第2変形例におけるハニカムコアの図である。(第1実施形態)
図10】ハニカムコアの斜視図である。(第2実施形態)
図11】中空パイプの斜視図である。(第2実施形態)
図12】スリットが形成された中空パイプの斜視図である。(第2実施形態)
図13】スリットが形成された中空パイプを折り曲げている様子を示す斜視図である。(第2実施形態)
図14】ハニカム構造が適用されたキックバックフレームを示す正面図である。(第2実施形態)
図15】スリットが形成された中空パイプの斜視図である。(第3実施形態)
図16】ハニカムコアの正面図である。(第3実施形態)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図1から図7を参照して、第1実施形態を説明する。
【0010】
図1には、ハニカム構造1の斜視図を示している。図1に示すように、ハニカム構造1は、ハニカムコア2と、ハニカムコア2を挟む2つの天板3と、を含んで構成されている。ハニカム構造1は、フレームの一具体例である。ハニカム構造1(フレーム)は、強度を高めるための強度部材として利用することができる。例えば、ハニカム構造1(フレーム)は、自動車の足回り部品やシャーシ部品にも適用可能である。また、ハニカム構造1(フレーム)は、ラダーフレームとして用いることも可能である。したがって、後述するフレーム製造方法は、強度部品、足回り部品、シャーシ部品、又はラダーフレーム等の製造方法ということもできる。
【0011】
図2には、ハニカムコア2の斜視図を示している。図2に示すように、本実施形態においてハニカムコア2は、三角形状の短尺の中空パイプであるコア要素4をコア要素4の長手方向に対して直交する方向に積み重ねることで形成されている。
【0012】
図3には、ハニカム構造1の製造フローを示している。以下、図3の製造フローに沿って、ハニカム構造1の製造を説明する。
【0013】
S100:スリット形成
図4には、三角形状の長尺の中空パイプ5の斜視図を示している。中空パイプ5は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金などの金属製又は樹脂製であって、断面形状が中空の三角形状である溶接管である。中空パイプ5は、第1の平板6、第2の平板7、第3の平板8を含む。第1の平板6、第2の平板7、第3の平板8は、各平板が正三角形の各辺に対応するように配置されている。第1の平板6、第2の平板7、第3の平板8は、正三角形の各頂点において互いに接続している。中空パイプ5の板厚、即ち、第1の平板6、第2の平板7、第3の平板8の板厚は、例えば、1ミリメートルから3ミリメートルであるが、これに限定されない。
【0014】
図5及び図6には、第1のスリット6S、第2のスリット7S、第3のスリット8Sが形成された中空パイプ5を示している。
【0015】
図5及び図6に示すように、中空パイプ5の長手方向において異なる位置に、第1のスリット6S、第2のスリット7S、第3のスリット8Sを形成する。
【0016】
図6に示すように、中空パイプ5の長手方向において、第1のスリット6Sが形成される位置を第1のスリット位置6Pとし、第2のスリット7Sが形成される位置を第2のスリット位置7Pとし、第3のスリット8Sが形成される位置を第3のスリット位置8Pとする。
【0017】
中空パイプ5の長手方向において、第1のスリット6S、第2のスリット7S、第3のスリット8Sは、この記載順に形成されている。第1のスリット6S、第2のスリット7S、第3のスリット8Sは、中空パイプ5を中空パイプ5の長手方向において4等分するように形成されている。
【0018】
第1のスリット6Sは、第1の平板6を除くすべての平板、即ち、第2の平板7及び第3の平板8を完全に切断するように、第2の平板7及び第3の平板8に形成されている。第1のスリット6Sは、中空パイプ5の長手方向に対して直交する方向に延びるように形成されている。第1のスリット6Sは、中空パイプ5の長手方向で見るとV字に延びるように形成されている。第1のスリット6Sのスリット幅は、典型的には中空パイプ5の板厚の2倍である。しかし、第1のスリット6Sのスリット幅は、中空パイプ5の板厚の2倍よりも大きくてもよく、可及的に小さくしてもよい。
【0019】
第2のスリット7Sは、第2の平板7を除くすべての平板、即ち、第1の平板6及び第3の平板8を完全に切断するように、第1の平板6及び第3の平板8に形成されている。第2のスリット7Sは、中空パイプ5の長手方向に対して直交する方向に延びるように形成されている。第2のスリット7Sは、中空パイプ5の長手方向で見るとV字に延びるように形成されている。第2のスリット7Sのスリット幅は、典型的には中空パイプ5の板厚の2倍である。しかし、第2のスリット7Sのスリット幅は、中空パイプ5の板厚の2倍よりも大きくてもよく、可及的に小さくしてもよい。
【0020】
第3のスリット8Sは、第3の平板8を除くすべての平板、即ち、第1の平板6及び第2の平板7を完全に切断するように、第1の平板6及び第2の平板7に形成されている。第3のスリット8Sは、中空パイプ5の長手方向に対して直交する方向に延びるように形成されている。第3のスリット8Sは、中空パイプ5の長手方向で見るとV字に延びるように形成されている。第3のスリット8Sのスリット幅は、典型的には中空パイプ5の板厚の2倍である。しかし、第3のスリット8Sのスリット幅は、中空パイプ5の板厚の2倍よりも大きくてもよく、可及的に小さくしてもよい。
【0021】
このように、中空パイプ5に第1のスリット6S、第2のスリット7S、第3のスリット8Sを形成したことで、中空パイプ5は、中空パイプ5の長手方向において、第1コア要素10、第2コア要素11、第3コア要素12、第4コア要素13に分割される。
【0022】
第1コア要素10と第2コア要素11は、第1のスリット6Sによって分割されており、第1の平板6を介して互いに繋がっている。第2コア要素11と第3コア要素12は、第2のスリット7Sによって分割されており、第2の平板7を介して互いに繋がっている。第3コア要素12と第4コア要素13は、第3のスリット8Sによって分割されており、第3の平板8を介して互いに繋がっている。
【0023】
S110:折返し
図7には、中空パイプ5の第1の平板6、第2の平板7、第3の平板8を折り返す途中の様子を示している。
【0024】
図2及び図7に示すように、第1の平板6を第1のスリット位置6Pで折り返す。即ち、第1のスリット6Sのスリット幅が拡張する方向に第1の平板6を第1のスリット位置6Pで180度、折り返す。同様に、第2の平板7を第2のスリット位置7Pで折り返す。即ち、第2のスリット7Sのスリット幅が拡張する方向に第2の平板7を第2のスリット位置7Pで180度、折り返す。同様に、第3の平板8を第3のスリット位置8Pで折り返す。即ち、第3のスリット8Sのスリット幅が拡張する方向に第3の平板8を第3のスリット位置8Pで180度、折り返す。
【0025】
この結果、図2に示すように、隣り合うコア要素4は、中空パイプ5の母材自体により互いに連結している。即ち、第1コア要素10及び第2コア要素11は、第1の平板6を第1のスリット位置6PにおいてU字状に湾曲変形させることで形成された第1湾曲部6Rを介して互いに接続している。第2コア要素11及び第3コア要素12は、第2の平板7を第2のスリット位置7PにおいてU字状に湾曲変形させることで形成された第2湾曲部7Rを介して互いに接続している。第3コア要素12及び第4コア要素13は、第3の平板8を第3のスリット位置8PにおいてU字状に湾曲変形させることで形成された第3湾曲部8Rを介して互いに接続している。従って、隣り合うコア要素4を接着剤で連結した場合と比較して、隣り合うコア要素4の結合強度を大きく確保することができる。接着剤は、金属と比較して耐水性や耐熱性に劣る。従って、中空パイプ5が金属製である場合は、隣り合うコア要素4を中空パイプ5の母材自体により繋がることで、耐水性及び耐熱性に優れたハニカムコア2が実現される。
【0026】
また、図5から図7に示すように、中空パイプ5の長手方向において、第1のスリット6S、第2のスリット7S、第3のスリット8Sをこの記載順で形成することで、図2に示すように複数のコア要素4が一直線上に並んだハニカムコア2が実現される。図4に示す中空パイプ5よりも更に長尺な中空パイプ5に第1のスリット6S、第2のスリット7S、第3のスリット8Sをこの記載順で繰り返し形成することで、図2に示すハニカムコア2を更に大型化することができる。
【0027】
なお、図2に示すように各コア要素4の長さを互いに等しくすることで、各コア要素4の切断面が同一面内に位置するようになる。
【0028】
S120:天板取り付け
そして、図1に示すように、2つの天板3でハニカムコア2を挟むように、2つの天板3をハニカムコア2に取り付ける。具体的には、各天板3を各コア要素4の切断面4aに、ロウ付け又はレーザ溶接、アーク溶接により取り付ける。これにより、ハニカム構造1が完成する。なお、ハニカム構造1の使用環境に水気がないようであれば、各天板3を各コア要素4の切断面4aに接着剤で取り付けてもよい。
【0029】
図1に示すハニカム構造1は、軽量であって高剛性であるため、例えば車両の柱を含む各種梁に適用することができるが、これに限定されない。
【0030】
以上に、第1実施形態を説明したが、上記実施形態は、以下の特徴を有する。
【0031】
第1の平板6及び第2の平板7、第3の平板8から成る三角形状の中空パイプ5からハニカム構造1(フレーム)を製造する製造方法は、以下の工程を含む。
図5及び図6に示すように、第1の平板6を除くすべての平板(第2の平板7及び第3の平板8)を切断するように中空パイプ5に第1のスリット6Sを形成すると共に、中空パイプ5の長手方向において第1のスリット位置6P(第1のスリットの位置)と異なる位置に、第2の平板7を除くすべての平板(第1の平板6及び第3の平板8)を切断するように中空パイプ5に第2のスリット7Sを形成するスリット形成工程。
第1のスリット位置6Pにおいて第1の平板6を折り返すと共に、第2のスリット位置7P(第2のスリットの位置)において第2の平板7を折り返す折返し工程。
【0032】
以上の方法によれば、第1のスリット6S及び第2のスリット7Sによって分割された複数のコア要素4同士が中空パイプ5の母材自体で繋がっているので、コア要素4同士が接着剤で連結される場合と比較して、耐水性及び耐熱性に優れたハニカム構造1が実現される。
【0033】
また、スリット形成工程においては、更に、長手方向において第1のスリット位置6P及び第2のスリット位置7Pと異なる位置に、第3の平板8を除くすべての平板(第1の平板6及び第2の平板7)を切断するように中空パイプ5に第3のスリット8Sを形成する。そして、折返し工程においては、更に、第3のスリット位置8P(第3のスリットの位置)において第3の平板8を折り返す。以上の方法によれば、図2に示すように、第1のスリット6S及び第2のスリット7S、第3のスリット8Sによって分割された複数のコア要素4が一直線に並んだハニカム構造1が実現される。
【0034】
上記第1実施形態は、以下のように変更できる。
【0035】
例えば、図8に示すように、複数のコア要素4を一直線上に並べて構成されたハニカムコア2同士を重ねて用いてもよい。
【0036】
また、図9に示すように、複数のコア要素4を円弧に沿って並べることで六角形状のハニカムコア2を擬似的に構成してもよい。図9の例では、更に、複数のコア要素4をS字に沿って配置することで、2つの隣り合う六角形状のハニカムコア2を擬似的に実現している。
【0037】
(第2実施形態)
次に、図10から図14を参照して、第2実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0038】
図10には、ハニカム構造21のハニカムコア22の斜視図を示している。ただし、図10では、ハニカム構造21が備える2つの天板の描画を省略している。図10に示すように、本実施形態においてハニカムコア22は、四角形状の短尺の中空パイプであるコア要素24をコア要素24の長手方向に対して直交する方向に一直線上に積み重ねることで形成されている。
【0039】
本実施形態のハニカム構造21の製造フローは、図3に示す製造フローと同一である。
【0040】
S100:スリット形成
図11には、四角形状の長尺の中空パイプ25の斜視図を示している。中空パイプ25は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金などの金属製又は樹脂製であって、断面形状が中空の正方形状である溶接管である。ここで、正方形状は、長方形状の一具体例である。長方形状は、四角形状の一具体例である。中空パイプ25は、第1の平板26、第2の平板27、第3の平板28、第4の平板29を含む。第1の平板26、第2の平板27、第3の平板28、第4の平板29は、各平板が正方形の各辺に対応するように配置されている。第1の平板26、第2の平板27、第3の平板28、第4の平板29は、正方形の各頂点において互いに接続している。中空パイプ25の板厚、即ち、第1の平板26、第2の平板27、第3の平板28、第4の平板29の板厚は、例えば、1ミリメートルから3ミリメートルであるが、これに限定されない。第1の平板26と第2の平板27は、中空パイプ25の内部空間を挟んで互いに対向している。第1の平板26と第2の平板27は、互いに平行な板である。第3の平板28及び第4の平板29は、中空パイプ25の内部空間を挟んで互いに対向している。第3の平板28及び第4の平板29は、互いに平行な板である。
【0041】
図12には、第1のスリットS1、第2のスリットS2、第3のスリットS3が形成された中空パイプ25を示している。
【0042】
図12に示すように、中空パイプ25の長手方向において異なる位置に、第1のスリットS1、第2のスリットS2、第3のスリットS3を形成する。
【0043】
中空パイプ25の長手方向において、第1のスリットS1が形成される位置を第1のスリット位置P1とし、第2のスリットS2が形成される位置を第2のスリット位置P2とし、第3のスリットS3が形成される位置を第3のスリット位置P3とする。
【0044】
中空パイプ25の長手方向において、第1のスリットS1、第2のスリットS2、第3のスリットS3は、この記載順に形成されている。第1のスリットS1、第2のスリットS2、第3のスリットS3は、中空パイプ25を中空パイプ25の長手方向において4等分するように形成されている。
【0045】
第1のスリットS1は、第1の平板26を除くすべての平板、即ち、第2の平板27、第3の平板28、第4の平板29を完全に切断するように、第2の平板27、第3の平板28、第4の平板29に形成されている。第1のスリットS1は、中空パイプ25の長手方向に対して直交する方向に延びるように形成されている。第1のスリットS1は、中空パイプ25の長手方向で見るとU字に延びるように形成されている。第1のスリットS1のスリット幅は、典型的には中空パイプ25の板厚の2倍である。しかし、第1のスリットS1のスリット幅は、中空パイプ25の板厚の2倍よりも大きくてもよく、可及的に小さくしてもよい。
【0046】
第2のスリットS2は、第2の平板27を除くすべての平板、即ち、第1の平板26、第3の平板28、第4の平板29を完全に切断するように、第1の平板26、第3の平板28、第4の平板29に形成されている。第2のスリットS2は、中空パイプ25の長手方向に対して直交する方向に延びるように形成されている。第2のスリットS2は、中空パイプ25の長手方向で見るとU字に延びるように形成されている。第2のスリットS2のスリット幅は、典型的には中空パイプ25の板厚の2倍である。しかし、第2のスリットS2のスリット幅は、中空パイプ25の板厚の2倍よりも大きくてもよく、可及的に小さくしてもよい。
【0047】
第3のスリットS3は、第1の平板26を除くすべての平板、即ち、第2の平板27、第3の平板28、第4の平板29を完全に切断するように、第2の平板27、第3の平板28、第4の平板29に形成されている。第3のスリットS3は、中空パイプ25の長手方向に対して直交する方向に延びるように形成されている。第3のスリットS3は、中空パイプ25の長手方向で見るとU字に延びるように形成されている。第3のスリットS3のスリット幅は、典型的には中空パイプ25の板厚の2倍である。しかし、第3のスリットS3のスリット幅は、中空パイプ25の板厚の2倍よりも大きくてもよく、可及的に小さくしてもよい。
【0048】
このように、中空パイプ25に第1のスリットS1、第2のスリットS2、第3のスリットS3を形成したことで、中空パイプ25は、中空パイプ25の長手方向において、第1コア要素30、第2コア要素31、第3コア要素32、第4コア要素33に分割される。
【0049】
第1コア要素30と第2コア要素31は、第1のスリットS1によって分割されており、第1の平板26を介して互いに繋がっている。第2コア要素31と第3コア要素32は、第2のスリットS2によって分割されており、第2の平板27を介して互いに繋がっている。第3コア要素32と第4コア要素33は、第3のスリットS3によって分割されており、第1の平板26を介して互いに繋がっている。
【0050】
S110:折返し
図13には、中空パイプ25の第1の平板26及び第2の平板27を折り返す途中の様子を示している。
【0051】
図10及び図13に示すように、第1の平板26を第1のスリット位置P1で折り返す。即ち、第1のスリットS1のスリット幅が拡張する方向に第1の平板26を第1のスリット位置P1で180度、折り返す。同様に、第2の平板27を第2のスリット位置P2で折り返す。即ち、第2のスリットS2のスリット幅が拡張する方向に第2の平板27を第2のスリット位置P2で180度、折り返す。同様に、第1の平板26を第3のスリット位置P3で折り返す。即ち、第3のスリットS3のスリット幅が拡張する方向に第1の平板26を第3のスリット位置P3で180度、折り返す。
【0052】
この結果、図10に示すように、隣り合うコア要素24は、中空パイプ25の母材自体により互いに連結している。即ち、第1コア要素30及び第2コア要素31は、第1の平板26を第1のスリット位置P1においてU字状に湾曲変形させることで形成された第1湾曲部R1を介して互いに接続している。第2コア要素31及び第3コア要素32は、第2の平板27を第2のスリット位置P2においてU字状に湾曲変形させることで形成された第2湾曲部R2を介して互いに接続している。第3コア要素32及び第4コア要素33は、第1の平板26を第3のスリット位置P3においてU字状に湾曲変形させることで形成された第3湾曲部R3を介して互いに接続している。従って、隣り合うコア要素24を接着剤で連結した場合と比較して、隣り合うコア要素24の結合強度を大きく確保することができる。接着剤は、金属と比較して耐水性や耐熱性に劣る。従って、中空パイプ25が金属製である場合は、隣り合うコア要素24を中空パイプ25の母材自体により繋がることで、耐水性及び耐熱性に優れたハニカムコア22が実現される。
【0053】
また、図12及び図13に示すように、中空パイプ25の長手方向において、第1のスリットS1、第2のスリットS2、第3のスリットS3をこの記載順で形成することで、図10に示すように複数のコア要素24が一直線上に並んだハニカムコア22が実現される。図11に示す中空パイプ25よりも更に長尺な中空パイプ25に第1のスリットS1、第2のスリットS2、第3のスリットS3をこの記載順で繰り返し形成することで、図10に示すハニカムコア22を更に大型化することができる。
【0054】
なお、図10に示すように各コア要素24の長さを互いに等しくすることで、各コア要素24の切断面24aが同一面内に位置するようになる。
【0055】
S120:天板取り付け
2つの天板をハニカムコア22に取り付けることは、第1実施形態を説明する際に説明した通りである。
【0056】
図10に示すハニカム構造21は、軽量であって高剛性であるため、例えば車両の柱を含む各種梁に適用することができるが、これに限定されない。
【0057】
中空パイプ25のどの平板にスリットを形成するかによって中空パイプ25を曲げる方向を自在に変更可能となる。従って、例えば、図14に示すように、ハニカム構造21を車室のフロア材40として用いることに加えて、ハニカム構造21を車軸41周りのキックアップフレーム42に適用できる。この場合、キックアップフレーム42のキック角を大きく確保できるので、結果としてフロア材40の低床化に寄与する

【0058】
以上に、第2実施形態を説明したが、上記実施形態は、以下の特徴を有する。
【0059】
第1の平板26、第2の平板27、第3の平板28、第4の平板29から成る四角形状の中空パイプ25からハニカム構造21(フレーム)を製造する製造方法は、以下の工程を含む。
図12に示すように、第1の平板26を除くすべての平板(第2の平板27、第3の平板28、第4の平板29)を切断するように中空パイプ25に第1のスリットS1を形成すると共に、中空パイプ25の長手方向において第1のスリット位置P1(第1のスリットS1の位置)と異なる位置に、第2の平板27を除くすべての平板(第1の平板26、第3の平板28、第4の平板29)を切断するように中空パイプ25に第2のスリットS2を形成するスリット工程。
第1のスリット位置P1において第1の平板26を折り返すと共に、第2のスリット位置P2(第2のスリットS2の位置)において第2の平板27を折り返す折返し工程。
【0060】
以上の方法によれば、第1のスリットS1及び第2のスリットS2によって分割された複数のコア要素24同士が中空パイプ25の母材自体で繋がっているので、コア要素24同士が接着剤で連結される場合と比較して、耐水性及び耐熱性に優れたハニカム構造21が実現される。
【0061】
また、スリット形成工程においては、更に、長手方向において第1のスリット位置P1及び第2のスリット位置P2と異なる位置に、第1の平板26を除くすべての平板(第2の平板27、第3の平板28、第4の平板29)を切断するように中空パイプ25に第3のスリットS3を形成する。折返し工程においては、更に、第3のスリット位置P3(第3のスリットS3の位置)において第1の平板26を折り返す。以上の方法によれば、図10に示すように、第1のスリットS1及び第2のスリットS2、第3のスリットS3によって分割された複数のコア要素24が一直線に並んだハニカム構造21が実現される。
【0062】
(第3実施形態)
以下、図15及び図16を参照して、第3実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第2実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0063】
上記第2実施形態では、図11に示すように、断面形状が正方形状の中空パイプ25を用いてハニカム構造21を製造した。これに対し、本実施形態では、図15に示すように、断面形状が等脚台形状の中空パイプ25を用いてハニカム構造21を製造する。等脚台形状は、台形状の一具体例である。
【0064】
具体的には、第1の平板26及び第2の平板27が、中空パイプ25の断面形状である台形の脚に対応している。そして、第3の平板28及び第4の平板29が、中空パイプ25の断面形状である台形の上辺及び下辺にそれぞれ対応している。
【0065】
断面形状が等脚台形状の中空パイプ25を用いることで、図16に示すようなアーチ型のハニカムコア22が実現される。アーチ型のハニカムコア22は、後輪側のサスペンションメンバー(suspension crossmember)に適用可能である。その他、アーチ型のハニカムコア22は、フェンダーやルールなどアーチ形状が求められる梁に適用可能である。更には、アーチ型のハニカムコア22は、橋梁や家屋といった構造物の梁にも適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 ハニカム構造
2 ハニカムコア
3 天板
4 コア要素
4a 切断面
5 中空パイプ
6 第1の平板
6S 第1のスリット
6P 第1のスリット位置
6R 第1湾曲部
7 第2の平板
7S 第2のスリット
7P 第2のスリット位置
7R 第2湾曲部
8 第3の平板
8S 第3のスリット
8P 第3のスリット位置
8R 第3湾曲部
10 第1コア要素
11 第2コア要素
12 第3コア要素
13 第4コア要素
21 ハニカム構造
22 ハニカムコア
24 コア要素
24a 切断面
25 中空パイプ
26 第1の平板
27 第2の平板
28 第3の平板
29 第4の平板
30 第1コア要素
31 第2コア要素
32 第3コア要素
33 第4コア要素
S1 第1のスリット
S2 第2のスリット
S3 第3のスリット
P1 第1のスリット位置
P2 第2のスリット位置
P3 第3のスリット位置
R1 第1湾曲部
R2 第2湾曲部
R3 第3湾曲部
40 フロア材
41 車軸
42 キックアップフレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16