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特許7371623表示制御装置、プログラムおよび表示制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】表示制御装置、プログラムおよび表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20231024BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231024BHJP
   G06T 7/55 20170101ALI20231024BHJP
【FI】
G06T19/00 600
G06T7/00 C
G06T7/55
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020521749
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2019013244
(87)【国際公開番号】W WO2019230169
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2018103088
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 太記
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/056567(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
G06T 7/00 - 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実空間の3次元データを構成する各要素データの信頼度を示す信頼度情報を取得する情報取得部と、
前記信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部により特定された前記領域の見え方を変化させる表示制御を行う表示制御部と、
を備え
前記3次元データは、複数の視点位置で得られた複数のデプスマップを統合することで得られ、
前記信頼度は、前記3次元データを構成する前記各要素データである各ボクセルまたは各ポリゴンメッシュに関連付けられ、
前記複数のデプスマップにおいて各ボクセルが観測された回数の合計に基づいて各ボクセルまたは各ボクセルに対応するポリゴンメッシュの前記信頼度を算出する信頼度算出部をさらに備える、表示制御装置。
【請求項2】
実空間の3次元データを構成する各要素データの信頼度を示す信頼度情報を取得する情報取得部と、
前記信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部により特定された前記領域の見え方を変化させる表示制御を行う表示制御部と、
を備え、
前記3次元データは、複数の視点位置で得られた複数のデプスマップを統合することで得られ、
前記信頼度は、前記3次元データを構成する前記各要素データである各ボクセルまたは各ポリゴンメッシュに関連付けられ、
前記複数のデプスマップには、各デプスマップで観測されたボクセルに個別信頼度が設定され、
記複数のデプスマップの各ボクセルに設定された個別信頼度の合計に基づいて各ボクセルまたは各ボクセルに対応するポリゴンメッシュの前記信頼度を算出する信頼度算出部をさらに備える、表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、画像における前記領域の視認性を低下させる表示制御を行う、請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記画像における前記領域に透明度を設定する、請求項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記画像における前記領域に他の表示を配置する、請求項に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記領域特定部により特定される前記領域は3次元領域であり、
前記表示制御部は、前記3次元領域に対応する位置にオブジェクトを配置する、請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記3次元領域に対応する位置は、前記3次元領域と同一の位置、または前記3次元領域よりも視点位置側である、請求項に記載の表示制御装置。
【請求項8】
コンピュータを、
実空間の3次元データを構成する各要素データの信頼度を示す信頼度情報を取得する情報取得部と、
前記信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部により特定された前記領域の見え方を変化させる表示制御を行う表示制御部と、
として機能させるための、プログラムであって、
前記3次元データは、複数の視点位置で得られた複数のデプスマップを統合することで得られ、
前記信頼度は、前記3次元データを構成する前記各要素データである各ボクセルまたは各ポリゴンメッシュに関連付けられ、
前記コンピュータをさらに、
前記複数のデプスマップにおいて各ボクセルが観測された回数の合計に基づいて各ボクセルまたは各ボクセルに対応するポリゴンメッシュの前記信頼度を算出する信頼度算出部として機能させるための、プログラム
【請求項9】
コンピュータを、
実空間の3次元データを構成する各要素データの信頼度を示す信頼度情報を取得する情報取得部と、
前記信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部により特定された前記領域の見え方を変化させる表示制御を行う表示制御部と、
として機能させるための、プログラムであって、
前記3次元データは、複数の視点位置で得られた複数のデプスマップを統合することで得られ、
前記信頼度は、前記3次元データを構成する前記各要素データである各ボクセルまたは各ポリゴンメッシュに関連付けられ、
前記複数のデプスマップには、各デプスマップで観測されたボクセルに個別信頼度が設定され、
前記コンピュータをさらに、
前記複数のデプスマップの各ボクセルに設定された個別信頼度の合計に基づいて各ボクセルまたは各ボクセルに対応するポリゴンメッシュの前記信頼度を算出する信頼度算出部として機能させるための、プログラム。
【請求項10】
実空間の3次元データを構成する各要素データの信頼度を示す信頼度情報を取得することと、
前記信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域を特定することと、
特定された前記領域の見え方を変化させる表示制御をプロセッサにより行うことと、
を含む、表示制御方法であって、
前記3次元データは、複数の視点位置で得られた複数のデプスマップを統合することで得られ、
前記信頼度は、前記3次元データを構成する前記各要素データである各ボクセルまたは各ポリゴンメッシュに関連付けられ、
前記複数のデプスマップにおいて各ボクセルが観測された回数の合計に基づいて各ボクセルまたは各ボクセルに対応するポリゴンメッシュの前記信頼度を前記プロセッサにより算出することをさらに含む、表示制御方法
【請求項11】
実空間の3次元データを構成する各要素データの信頼度を示す信頼度情報を取得することと、
前記信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域を特定することと、
特定された前記領域の見え方を変化させる表示制御をプロセッサにより行うことと、
を含む、表示制御方法であって、
前記3次元データは、複数の視点位置で得られた複数のデプスマップを統合することで得られ、
前記信頼度は、前記3次元データを構成する前記各要素データである各ボクセルまたは各ポリゴンメッシュに関連付けられ、
前記複数のデプスマップには、各デプスマップで観測されたボクセルに個別信頼度が設定され、
前記複数のデプスマップの各ボクセルに設定された個別信頼度の合計に基づいて各ボクセルまたは各ボクセルに対応するポリゴンメッシュの前記信頼度を前記プロセッサにより算出することをさらに含む、表示制御方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示制御装置、プログラムおよび表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、実空間に仮想オブジェクト表示を重畳する拡張現実(AR:Augmented Reality)と呼ばれる技術が注目されている。例えば、AR処理を行う情報処理端末は、実空間の3次元データ、仮想オブジェクトに設定された3次元位置、および情報処理端末の3次元位置を認識し、情報処理端末の撮像により得られた実空間画像において仮想オブジェクトに設定された3次元位置に対応する位置を特定し、当該特定した位置に仮想オブジェクト表示を重畳する。これにより、ユーザは、仮想オブジェクトが実空間に存在するかのように感じることができる。このようなAR処理に関しては例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-221250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
AR処理においては、仮想オブジェクトの3次元位置が実空間の物体の背後に設定されている場合、情報処理端末は仮想オブジェクト表示を実空間画像に重畳しないことが望ましい。しかし、実空間の3次元データが示す実空間の3次元構造と実際の実空間の3次元構造に差がある場合、仮想オブジェクト表示が誤って重畳される、または、重畳されるべき仮想オブジェクト表示が重畳されず、不自然なAR画像が得られることがある。
【0005】
この点に関し、特許文献1には、仮想オブジェクト表示が重畳される実物体の位置や姿勢の認識の安定度に応じて仮想オブジェクト表示の態様を変化させる方法が開示されている。
【0006】
本開示では、実空間の見え方を変化させることで表示の不自然さを低減することが可能な、新規かつ改良された表示制御装置、プログラムおよび表示制御方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、実空間の3次元データを構成する各要素データの信頼度を示す信頼度情報を取得する情報取得部と、前記信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域を特定する領域特定部と、前記領域特定部により特定された前記領域の見え方を変化させる表示制御を行う表示制御部と、を備える、表示制御装置が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、コンピュータを、実空間の3次元データを構成する各要素データの信頼度を示す信頼度情報を取得する情報取得部と、前記信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域を特定する領域特定部と、前記領域特定部により特定された前記領域の見え方を変化させる表示制御を行う表示制御部と、として機能させるための、プログラムが提供される。
【0009】
また、本開示によれば、実空間の3次元データを構成する各要素データの信頼度を示す信頼度情報を取得することと、前記信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域を特定することと、特定された前記領域の見え方を変化させる表示制御をプロセッサにより行うことと、を含む、表示制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本開示によれば、実空間の見え方を変化させることで表示の不自然さを低減することが可能である。なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態による情報処理端末10の外観を示す説明図である。
図2】AR処理の具体例を示す説明図である。
図3】情報処理端末10の構成を示す説明図である。
図4】信頼度を算出する第1の方法を示す説明図である。
図5】信頼度を算出する第2の方法を示す説明図である。
図6】情報処理端末10の動作を示すフローチャートである。
図7】第1の表示制御例の具体例を示す説明する。
図8】信頼度マップの具体例を示す説明図である。
図9】第2の表示制御例を示す説明図である。
図10】他の第2の表示制御例を示す説明図である。
図11】第3の表示制御例を示す説明図である。
図12】第4の表示制御例を示す説明図である。
図13】付加オブジェクトの配置方法を示す説明図である。
図14】付加オブジェクトの配置方法を示す説明図である。
図15】情報処理端末10のハードウェア構成を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、複数の構成要素の各々に同一符号のみを付する。
【0014】
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.情報処理端末の概要
2.情報処理端末の構成
3.情報処理端末の動作
4.表示制御例
4-1.第1の表示制御例
4-2.第2の表示制御例
4-3.第3の表示制御例
4-4.第4の表示制御例
5.ハードウェア構成
6.むすび
【0015】
<1.情報処理端末の概要>
図1は、本開示の一実施形態による情報処理端末10の外観を示す説明図である。図1に示すように、本実施形態による情報処理端末10は、例えばユーザUの頭部に装着されるメガネ型のヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)により実現される。
【0016】
情報処理端末10は、表示制御装置の一例であり、図1に示したように撮像部130および表示部150を有する。撮像部130は、ユーザUの視線方向に向けられており、ユーザUの視線方向に存在する被写体の画像を取得する。表示部150は、情報処理端末10がユーザに装着された際にユーザUの眼前に位置する。表示部150は、透過型のディスプレイであってもよいし、非透過型のディスプレイであってもよい。表示部150が透過型のディスプレイである場合、表示部150には仮想オブジェクト表示が配置されてもよい。一方、表示部150が非透過型のディスプレイである場合、表示部150には、撮像部130により得られた実空間画像、および実空間画像に重畳された仮想オブジェクト表示が表示されてもよい。いずれの場合においても、ユーザUは、実空間に仮想オブジェクトが存在するかのような感覚を得ることが可能である。
【0017】
なお、図1においてはユーザUの両眼の眼前に2つの表示部150が設けられる例を示しているが、ユーザUの片眼の眼前にのみ1つの表示部150が設けられてもよい。また、図1においては表示制御装置の一例としてメガネ型の情報処理端末10を示しているが、表示制御装置はメガネ型の情報処理端末10に限定されない。例えば、表示制御装置は、ヘッドバンド型(頭部の全周を回るバンドで装着されるタイプ。また、側頭部だけでなく頭頂部を通るバンドが設ける場合もある)のHMDや、ヘルメットタイプ(ヘルメットのバイザー部分がディスプレイに相当する)のHMDであってもよい。また、表示制御装置は、リストバンド型(例えばスマートウォッチ。ディスプレイがある場合または無い場合を含む)、ヘッドホン型(ディスプレイなし)、またはネックフォン型(首掛けタイプ。ディスプレイがある場合または無い場合を含む)等のウェアラブル装置により実現されてもよい。また、表示制御装置は、スマートフォン、または携帯電話などの携帯端末であってもよい。
【0018】
ここで、表示部150が非透過型のディスプレイである場合に実空間画像に仮想オブジェクト表示を重畳する方法について言及する。情報処理端末10は、実空間の3次元データ、仮想オブジェクトに設定された3次元位置、および情報処理端末10の3次元位置を認識し、情報処理端末10により得られた実空間画像において仮想オブジェクトに設定された3次元位置に対応する位置を特定し、当該特定した位置に仮想オブジェクト表示を重畳する。
【0019】
AR処理、すなわち仮想オブジェクト表示の重畳に関し、仮想オブジェクトの3次元位置が実空間の物体の背後に設定されている場合、情報処理端末10は仮想オブジェクト表示を実空間画像に重畳しないことが望ましい。しかし、実空間の3次元データの精度が低い場合、仮想オブジェクト表示が誤って重畳される、または、重畳されるべき仮想オブジェクト表示が重畳されず、不自然なAR画像が得られることが懸念される。この点に関し、図2を参照してより具体的に説明する。
【0020】
図2は、AR処理の具体例を示す説明図である。図2に示した実物体であるソファに関し、ソファの全体に亘り精度が高い3次元データD1が得られており、ソファの座面上に仮想オブジェクトの3次元位置が設定されている場合、ソファの画像に仮想オブジェクト表示V1が重畳された画像E1が表示される。画像E1において、ソファの肘置きの領域に仮想オブジェクト表示V1が重畳されないことで、ユーザはソファの肘置きの後側に仮想オブジェクトが存在するように感じることができる。
【0021】
一方、3次元データD2において破線で示したように、ソファの肘置きの領域の認識精度が低い場合、仮想オブジェクトと肘置きの領域の前後関係の判断に誤りが生じ、結果、画像E2に示したように、不自然に欠けた仮想オブジェクト表示V2がソファの画像に重畳されることが懸念される。
【0022】
本件発明者は、上記事情を一着眼点にして本開示の実施形態を創作するに至った。本開示の実施形態によれば、AR処理に関して、実空間の見え方を変化させることで表示の不自然さを低減することが可能である。以下、このような本開示の実施形態による情報処理端末10の構成および動作を順次詳細に説明する。なお、以下では、表示部150が非透過型のディスプレイであることを主に想定して実施形態が説明されるが、透過型のディスプレイにも同様に本開示の実施形態を適用可能である。
【0023】
<2.情報処理端末の構成>
図3は、情報処理端末10の構成を示す説明図である。図3に示したように、本開示の実施形態による情報処理端末10は、距離計測部120、位置推定部122、3次元統合部124、信頼度算出部126、信頼度つき3次元データ記憶部128、撮像部130、仮想オブジェクト記憶部132、領域特定部134、表示制御部136および表示部150を有する。
【0024】
(距離計測部)
距離計測部120は、複数のカメラにより得られた画像と、複数のカメラの位置関係に基づき、視点位置から実空間上の物体までの距離を計測し、デプスマップを取得する。距離計測部120は、多視点ステレオまたはIRパターン投射ステレオであってもよい。
【0025】
(位置推定部)
位置推定部122は、情報処理端末10の位置を推定する。位置推定部122は、例えば、異なるタイミングで得られた複数の画像を比較することで視点位置の変化を推定する。位置推定部122は、撮像にステレオカメラまたは単眼カメラなどが用いられる場合、VisualSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)を用いて撮像位置を推定してもよい。
【0026】
(3次元統合部)
3次元統合部124は、複数の視点位置で得られたデプスマップを統合することで実空間の3次元データを生成する。例えば、3次元統合部124は、3次元データとしてボクセルボリューム上のTSDF(Truncated Signed Distance Function)、または点群(Point Cloud)などを用いることが可能である。複数の視点位置で得られたデプスマップを統合することにより、大規模な空間の3次元データを得ることが可能である。なお、事前に用意された3次元データを利用することも可能であり、この場合、視線位置とメッシュモデルの位置合わせが行われる。
【0027】
また、3次元統合部124は、3次元データからポリゴンメッシュを抽出する。3次元データとしてTSDFが用いられる場合、3次元統合部124は、Marching Cubesを用いf(x)=0の面を抽出してもよい(fは距離場、xは3次元位置)。3次元データとして点群が用いられる場合、3次元統合部124は、Poisson Surface Reconstructionを用いてもよい。
【0028】
(信頼度算出部)
信頼度算出部126は、3次元データを構成する各要素データの信頼度を算出する。例えば、信頼度算出部126は3次元データを構成する各ボクセルの信頼度を算出する。以下、図4および図5を参照して信頼度の算出の具体例を説明する。
【0029】
図4は、信頼度を算出する第1の方法を示す説明図である。図4は部屋の平面図を示し、当該平面図において各ボクセルが模式的に示されている。高さ方向にも複数のボクセルが存在するが、説明の便宜上、高さ方向上では1つのボクセルのみが示されている。
【0030】
第1の方法は、各ボクセルが観測された回数の合計数を各ボクセルの信頼度として算出する方法である。図4に示したように、視点位置P1、P2およびP3でデプスマップが得られた場合を考える。この場合、視点位置P1では、ボクセルB5、C5、C6およびD6が観測され、視点位置P2では、ボクセルB5、C5、C6、D6およびE6が観測され、視点位置P3ではボクセルE6、F6、G5、G6、H5およびH6が観測される。結果、図4には、各ボクセルの信頼度として、B5=2、C5=2、C6=2、D6=2、E6=2、F6=1、G5=1、G6=1、H5=1、H6=1が算出された例を示している。
【0031】
図5は、信頼度を算出する第2の方法を示す説明図である。図5は、図4と同様に部屋の平面図を示し、当該平面図において各ボクセルが模式的に示されている。高さ方向にも複数のボクセルが存在するが、説明の便宜上、高さ方向上では1つのボクセルのみが示されている。
【0032】
第2の方法は、各デプスマップで観測されたボクセルに設定された個別信頼度の合計値を各ボクセルの信頼度として算出する方法である。図5に示したように視点位置P4およびP5でデプスマップが得られた場合を考える。この場合、視点位置P4および視点位置P5の各々で複数のボクセルが観測されるが、各ボクセルについて計測された距離の個別信頼度が異なる。個別信頼度は、例えば、ToFの反射率であってもよいし、ステレオマッチングのスコアであってもよい。結果、図5には、各ボクセルの信頼度として、B4=2、B5=1、B6=1、C4=0.2、C5=0.2、D4=2、E4=2が算出された例を示している。
【0033】
なお、信頼度算出部126は、3次元データを構成する各要素データの信頼度として、各ポリゴンメッシュ(3角形メッシュの場合は1つの3角形)の信頼度を算出してもよい。この場合、ポリゴンメッシュには、ポリゴンメッシュに対応するボクセルまたは点の信頼度が割り当てられ得る。ポリゴンメッシュに複数のボクセルまたは複数の点が対応する場合、信頼度算出部126は、ポリゴンメッシュに、複数のボクセルの信頼度の平均値、または複数の点の信頼度の平均値が割り当ててもよい。
【0034】
(信頼度つき3次元データ記憶部)
信頼度つき3次元データ記憶部128は、3次元統合部124により生成された3次元データを構成する各要素データに信頼度算出部126により算出された信頼度を示す信頼度情報が関連付けられたデータ、すなわち、信頼度つき3次元データを記憶する。なお、信頼度情報が関連付けられる要素データは、ボクセルであってもよいし、ポリゴンメッシュであってもよい。以下では、ポリゴンメッシュに信頼度情報が関連付けられていることを主に想定して説明を進める。
【0035】
(撮像部)
撮像部130は、図1を参照して説明したように、ユーザの視線方向に向けられており、ユーザの視線方向に存在する被写体の画像を取得する。
【0036】
(仮想オブジェクト記憶部)
仮想オブジェクト記憶部132は、各仮想オブジェクトに関し、仮想オブジェクトの表示データである仮想オブジェクト表示、および仮想オブジェクトに設定された3次元位置を含む仮想表示用データを記憶する。なお、仮想オブジェクトは移動してもよく、この場合、仮想オブジェクトには動的に変化する3次元位置が設定される。
【0037】
(領域特定部)
領域特定部134は、3次元データにおいて信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域を特定する。領域特定部134は、例えば、信頼度つき3次元データ記憶部128から信頼度つき3次元データを取得する情報取得部の機能を有し、3次元データ(メッシュモデル)を情報処理端末10の位置へ投影し、各画素に対応する要素データの信頼度を各画素に与えることで、信頼度マップを得ることができる。そして、領域特定部134は、信頼度マップにおいて信頼度が基準値未満である画素に基づき、信頼度が基準値未満である要素データに対応する3次元領域、または、撮像部130により得られた実空間画像上で特定される2次元領域を特定してもよい。
【0038】
(表示制御部、表示部)
表示制御部136は、仮想オブジェクト記憶部132に記憶された仮想表示用データを用い、撮像部130により得られた実空間画像に仮想オブジェクト表示を重畳し、仮想オブジェクト表示が重畳された実空間画像を表示部150に表示させる。さらに、表示制御部136は、領域特定部134により特定された領域の見え方を変化させる表示制御を行う。当該表示制御については「4.表示制御例」以降で詳細に説明する。本開示の実施形態の表示制御によれば、本開示の実施形態の表示制御が実装されていな端末と比較して、3次元データが示す実空間の3次元構造と実際の実空間の3次元構造に差がある場合に起こり得る仮想オブジェクト表示の不自然さを低減することが可能である。
【0039】
<3.情報処理端末の動作>
以上、本開示の実施形態による情報処理端末10の構成を説明した。続いて、図6を参照し、本開示の実施形態による情報処理端末10の動作を整理する。
【0040】
図6は、情報処理端末10の動作を示すフローチャートである。図6に示したように、まず、距離計測部120が複数の視点位置で実空間のデプスマップを取得する(S310)。そして、3次元統合部124が、距離計測部120により取得された複数のデプスマップを統合することにより、実空間の3次元構造を表現する3次元データを生成する(S320)。また、信頼度算出部126は、3次元統合部124により生成された3次元データを構成する各要素データの信頼度を算出する(S330)。そして、信頼度つき3次元データ記憶部128が、信頼度つき3次元データを記憶する(S340)。
【0041】
その後、撮像部130により実空間画像が取得されると(S350)、領域特定部134が、例えば3次元データにおいて信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域を実空間画像上で特定する(S360)。そして、表示制御部136は、領域特定部134により特定された領域の見え方を変化させる表示制御を行う(S370)。以下、図7図14を参照し、表示制御部136による表示制御の幾つかの具体例を順次詳細に説明する。
【0042】
<4.表示制御例>
(4-1.第1の表示制御例)
第1の表示制御例は、実空間画像において、信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域(低信頼度領域)が仮想オブジェクトに設定されている位置に重なる場合に行われる表示制御例である。表示制御部136は、実空間画像において、低信頼度領域が仮想オブジェクトに設定されている位置に重なる場合に、仮想オブジェクト表示を実空間画像に重畳しない。具体的には、表示制御部136は、仮想オブジェクトに設定されている3次元位置よりも視点位置側に低信頼度領域が存在する場合に、仮想オブジェクト表示を実空間画像に重畳しなくてもよい。以下、図7を参照し、このような第1の表示制御例をより具体的に説明する。
【0043】
図7は、第1の表示制御例の具体例を示す説明する。図7に示した実物体(ソファ)の3次元データにおける肘置きの領域Tが低信頼度領域であり、肘置きの領域Tが仮想オブジェクトに設定されている位置Sよりも視点位置側している場合を考える。この場合、表示制御部136は、画像E3に示したように、実空間画像に仮想オブジェクト表示を重畳しなくてもよい。これにより、不自然な仮想オブジェクト表示の発生を抑制することが可能である。
【0044】
また、表示制御部136は、画像E4に示したように、仮想オブジェクトに設定されている位置と肘置きの領域Tとの関係により仮想オブジェクト表示が重畳されていないことを示すメッセージM(図7に示した例では、「表示可能エリア外です。」というメッセージ)を表示してもよい。かかる構成により、ユーザは、仮想オブジェクト表示が重畳されていない理由を混乱無しに理解することが可能である。
【0045】
(4-2.第2の表示制御例)
第2の表示制御例では、実空間画像における低信頼度領域に、低信頼度領域の視認性を低下させる表示制御が行われる。表示制御部136は、例えば、実空間画像における低信頼度領域に透明度を設定してもよいし、実空間画像における低信頼度領域に他の表示を配置してもよい。以下、図8図10を参照し、このような第2の表示制御例をより具体的に説明する。
【0046】
図8、信頼度マップの具体例を示す説明図である。図8では、説明の便宜上、信頼度マップを構成する画素数が35個である例が示されているが、信頼度マップはより多数の画素により構成され得る。図8に示した例では、ソファの肘掛けの領域Tを含む画素の信頼度が0~0.5である。領域特定部134が信頼度「1」未満である画素に対応する領域を低信頼度領域として特定する場合、領域特定部134は、肘掛けの領域Tを低信頼度領域として特定する。
【0047】
図9は、第2の表示制御例を示す説明図である。図9に示した画像E5のように、表示制御部136は、低信頼度領域として特定された肘掛けの領域Tに透明度を設定してもよい。かかる構成により、仮想オブジェクト表示Vと肘掛けの領域Tとの前後表現に誤りがあっても、当該誤りが目立たなくなるので、ユーザに与える不自然な印象を緩和することが可能である。ここで、表示制御部136は、肘掛けの領域Tを構成する各部分に、各部分に対応する信頼度マップ上の画素の信頼度が低いほど高い透明度を設定してもよい。かかる構成により、低信頼度領域と他の領域との間で滑らかに透明度を遷移させることが可能となる。なお、低信頼度領域の視認性を低下させる表示制御は、透明度の設定に限られず、例えば、ボカシ量の制御、または色濃度の制御などであってもよい。
【0048】
図10は、他の第2の表示制御例を示す説明図である。図10に示した画像E6のように、表示制御部136は、低信頼度領域として特定された肘掛けの領域Tにテクスチャ表示62を配置してもよい。かかる構成により、仮想オブジェクト表示Vと肘掛けの領域Tとの前後関係に誤りがあっても、当該誤りが目立たなくなるので、ユーザに与える不自然な印象を緩和することが可能である。ここで、表示制御部136は、肘掛けの領域Tを構成する各部分に、各部分に対応する信頼度マップ上の画素の信頼度が低いほど濃い濃度を有するテクスチャ表示62を配置してもよい。かかる構成により、低信頼度領域と他の領域との間でテクスチャ表示62の存在感を滑らかに遷移させることが可能である。
【0049】
(4-3.第3の表示制御例)
第3の表示制御例では、3次元データにおける低信頼度領域に対応する位置であって、特に、3次元データにおける低信頼度領域と同一の位置に、実物体の代替オブジェクトが配置される。以下、図11を参照し、このような第3の表示制御例をより具体的に説明する。
【0050】
図11は、第3の表示制御例を示す説明図である。表示制御部136は、例えば、低信頼度領域として特定された肘置きの領域Tに、上記代替オブジェクトとして、実物体である肘置きの形状を表現するワイヤーフレームを配置してもよい。これにより、図11に示した画像E7のように、肘置きの領域Tの表示はワイヤーフレームの表示に置換される。かかる構成により、仮想オブジェクト表示Vがユーザに与える不自然な印象を緩和すると共に、ユーザに3次元データの精度が不十分である領域を伝えることが可能である。
【0051】
(4-4.第4の表示制御例)
第4の表示制御例でも、3次元データにおける低信頼度領域に対応する位置であって、特に、3次元データにおける低信頼度領域よりも視点位置側に、実物体を遮る付加オブジェクトが配置される。ここで、視点位置は、ユーザの近傍の位置である。本実施形態においては、距離計測部120および表示部150などが一体的に情報処理端末10に構成され、当該情報処理端末10がユーザに装着されるので、視点位置は情報処理端末10の位置に対応し得る。一方、距離計測部120および表示部150が分離され、距離計測部120がユーザから離れて位置する場合には、視点位置は距離計測部120でなく表示部150の位置に対応し得る。以下、図12を参照し、このような第4の表示制御例をより具体的に説明する。
【0052】
図12は、第4の表示制御例を示す説明図である。表示制御部136は、例えば、低信頼度領域として特定された肘置きの領域よりも視点位置側に、上記付加オブジェクトとして、肘置きの領域を隠す雲形の付加オブジェクトを配置してもよい。これにより、図12に示した画像E8のように、肘置きの領域の手前側に存在するように見える雲形の付加オブジェクト82が表示される。かかる構成により、仮想オブジェクト表示Vが低信頼度領域との関係でユーザに与える不自然な印象を緩和することが可能である。
【0053】
ここで、図13および図14を参照し、付加オブジェクトの配置方法について具体的に説明する。
【0054】
図13において、実物体81の3次元データにおいて太線で示した範囲が低信頼度領域として特定された場合を考える。この場合、表示制御部136は、図13に示したように、低信頼度領域に含まれる各ポリゴンメッシュの各頂点(xi)から法線方向に距離dだけオフセットした点(x’i)を特定する。距離dは、固定値であってもよいし、視点位置と実物体81との間の距離に応じた距離(例えば、所定割合の距離)であってもよい。
【0055】
そして、図14の左図に示したように各頂点(xi)に対応する点(x’i)が特定されると、表示制御部136は、図14の左図に示すように各点(x’i)の中心に順次に付加オブジェクト82を配置する。そして、表示制御部136は、全ての点(x’i)が付加オブジェクト82に含まれると、付加オブジェクト82の配置を終了する。
【0056】
なお、表示制御部136は、仮想オブジェクトに設定された位置と低信頼度領域とが重なる場合に上述した付加オブジェクトの配置を行ってもよい。仮想オブジェクトに設定された位置と低信頼度領域とが重なる場合に、仮想オブジェクト表示と低信頼度領域との前後表現の誤りが生じ得るからである。第2の表示制御例および第3の表示制御例についても同様に、仮想オブジェクトに設定された位置と低信頼度領域とが重なる場合に、上述した表示制御が行われてもよい。
【0057】
<5.ハードウェア構成>
以上、本開示の実施形態を説明した。上述した領域特定および表示制御などの情報処理は、ソフトウェアと、以下に説明する情報処理端末10のハードウェアとの協働により実現される。
【0058】
図15は、情報処理端末10のハードウェア構成を示した説明図である。図15に示したように、情報処理端末10は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、入力装置208と、出力装置210と、ストレージ装置211と、ドライブ212と、撮像装置213と、通信装置215とを備える。
【0059】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理端末10内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバスにより相互に接続されている。CPU201、ROM202およびRAM203とソフトウェアとの協働により、上述した3次元統合部124、信頼度算出部126、領域特定部134および表示制御部136などの機能が実現され得る。
【0060】
入力装置208は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。情報処理端末10のユーザは、該入力装置208を操作することにより、情報処理端末10に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0061】
出力装置210は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。さらに、出力装置210は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。例えば、表示装置は、撮像された画像や生成された画像などを表示する。一方、音声出力装置は、音声データ等を音声に変換して出力する。
【0062】
ストレージ装置211は、本実施形態にかかる情報処理端末10の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。このストレージ装置211は、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。ストレージ装置211は、図3を参照して説明した信頼度つき3次元データ記憶部128の機能を包含し得る。
【0063】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、情報処理端末10に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203に出力する。また、ドライブ212は、リムーバブル記憶媒体24に情報を書き込むこともできる。
【0064】
撮像装置213は、光を集光する撮影レンズおよびズームレンズなどの撮像光学系、およびCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの信号変換素子を備える。撮像光学系は、被写体から発せられる光を集光して信号変換部に被写体像を形成し、信号変換素子は、形成された被写体像を電気的な画像信号に変換する。
【0065】
通信装置215は、例えば、ネットワーク12に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置215は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、LTE(Long Term Evolution)対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0066】
なお、ネットワーク12は、ネットワーク12に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、ネットワーク12は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、ネットワーク12は、IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0067】
<6.むすび>
以上説明した本開示の実施形態によれば、多様な作用効果が得られる。例えば、本開示の実施形態によれば、低信頼度領域の見え方を変化させることで、仮想オブジェクト表示と低信頼度領域との前後表現に誤りがあっても、当該誤りが目立たなくなるので、ユーザに与える不自然な印象を緩和することが可能である。
【0068】
なお、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0069】
例えば、上記では図3に示した各構成が情報処理端末10に含まれる例を説明したが、図3に示した一部の構成は他の装置に実装されてもよい。例えば、3次元統合部124、信頼度算出部126、領域特定部134または表示制御部136の少なくともいずれかはクラウドサーバに実装され、クラウドサーバが表示制御装置として機能してもよい。
【0070】
また、上記では、信頼度算出部126により算出された信頼度つき3次元データにおいて信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域が特定される例を説明した。しかし、上記領域の特定のために用いられる信頼度つき3次元データは、信頼度算出部126により算出された信頼度つき3次元データでなくてもよい。例えば、信頼度つき3次元データは他の方法、例えばネットワーク上のサーバから受信する方法で得られてもよい。また、情報処理端末10は、信頼度の初期値が付いた3次元データをサーバから受信し、当該3次元データを処理または加工することで信頼度つき3次元データを得てもよい。
【0071】
また、本明細書の情報処理端末10の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、情報処理端末10の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0072】
また、情報処理端末10に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した情報処理端末10の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【0073】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0074】
また、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
実空間の3次元データを構成する各要素データの信頼度を示す信頼度情報を取得する情報取得部と、
前記信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部により特定された前記領域の見え方を変化させる表示制御を行う表示制御部と、
を備える、表示制御装置。
(2)
前記表示制御部は、画像における前記領域の視認性を低下させる表示制御を行う、前記(1)に記載の表示制御装置。
(3)
前記表示制御部は、前記画像における前記領域に透明度を設定する、前記(2)に記載の表示制御装置。
(4)
前記表示制御部は、前記画像における前記領域に他の表示を配置する、前記(2)に記載の表示制御装置。
(5)
前記領域特定部により特定される前記領域は3次元領域であり、
前記表示制御部は、前記3次元領域に対応する位置にオブジェクトを配置する、前記(1)に記載の表示制御装置。
(6)
前記3次元領域に対応する位置は、前記3次元領域と同一の位置、または前記3次元領域よりも視点位置側である、前記(5)に記載の表示制御装置。
(7)
前記3次元データは、複数の視点位置で得られた複数のデプスマップを統合することで得られる、前記(1)~(6)のいずれか一項に記載の表示制御装置。
(8)
前記信頼度は、前記3次元データを構成する前記各要素データである各ボクセルまたは各ポリゴンメッシュに関連付けられる、前記(7)に記載の表示制御装置。
(9)
前記表示制御装置は、前記複数のデプスマップにおいて各ボクセルが観測された回数の合計に基づいて各ボクセルまたは各ボクセルに対応するポリゴンメッシュの前記信頼度を算出する信頼度算出部をさらに備える、前記(8)に記載の表示制御装置。
(10)
各デプスマップには、各デプスマップで観測されたボクセルに個別信頼度が設定され、
前記表示制御装置は、前記複数のデプスマップの各ボクセルに設定された個別信頼度の合計に基づいて各ボクセルまたは各ボクセルに対応するポリゴンメッシュの前記信頼度を算出する信頼度算出部をさらに備える、前記(8)に記載の表示制御装置。
(11)
コンピュータを、
実空間の3次元データを構成する各要素データの信頼度を示す信頼度情報を取得する情報取得部と、
前記信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部により特定された前記領域の見え方を変化させる表示制御を行う表示制御部と、
として機能させるための、プログラム。
(12)
実空間の3次元データを構成する各要素データの信頼度を示す信頼度情報を取得することと、
前記信頼度が基準を満たさない要素データに対応する領域を特定することと、
特定された前記領域の見え方を変化させる表示制御をプロセッサにより行うことと、
を含む、表示制御方法。
【符号の説明】
【0075】
10 情報処理端末
120 距離計測部
122 位置推定部
124 次元統合部
126 信頼度算出部
128 3次元データ記憶部
130 撮像部
132 仮想オブジェクト記憶部
134 領域特定部
136 表示制御部
150 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15