(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】制御装置、制御プログラム及び制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231024BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20231024BHJP
B60L 53/00 20190101ALI20231024BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20231024BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20231024BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L53/00
B60L53/68
B60L58/12
H02J7/00 B
H02J13/00 311K
(21)【出願番号】P 2021001029
(22)【出願日】2021-01-06
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 義正
(72)【発明者】
【氏名】山田 築
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真輝
(72)【発明者】
【氏名】吉田 咲子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐希
(72)【発明者】
【氏名】今村 朋範
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-235541(JP,A)
【文献】特開2013-229992(JP,A)
【文献】特開2017-135945(JP,A)
【文献】特開2012-123819(JP,A)
【文献】国際公開第2015/178158(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02J 13/00
H01M 10/42 - 10/48
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置が備える蓄電装置の充放電を制御する制御装置であって、
災害発生の予測時刻を含む災害情報を取得した場合に、前記蓄電装置の蓄電残量が、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができるか否かを判定し、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができると判定した場合に、前記予測時刻までに放電可能な放電量を算出
し、前記駆動装置に対し、前記放電量以下の放電を許可するプロセッサ、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、算出した前記放電量に基づいて、前記駆動装置を制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができないと判定した場合に、前記蓄電装置の使用を禁止する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記駆動装置は、電動車両であり、
前記プロセッサは、前記放電量以下の放電の範囲において前記電動車両の使用を許可する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記蓄電装置への給電を行う給電装置の種別に応じた充電効率に基づいて、前記放電量を算出する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
駆動装置が備える蓄電装置の充放電を制御する制御装置のプロセッサに、
災害発生の予測時刻を含む災害情報を取得した場合に、前記蓄電装置の蓄電残量が、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができるか否かを判定し、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができると判定した場合に、前記予測時刻までに放電可能な放電量を算出
し、前記駆動装置に対し、前記放電量以下の放電を許可する、
ことを実行させる制御プログラム。
【請求項7】
前記プロセッサに、算出した前記放電量に基づいて、前記駆動装置を制御する、
ことを実行させる請求項
6に記載の制御プログラム。
【請求項8】
前記プロセッサに、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができないと判定した場合に、前記蓄電装置の使用を禁止する、
ことを実行させる請求項
6に記載の制御プログラム。
【請求項9】
前記駆動装置は、電動車両であり、
前記プロセッサに、前記放電量以下の放電の範囲において前記電動車両の使用を許可する、
ことを実行させる請求項
6に記載の制御プログラム。
【請求項10】
前記プロセッサに、前記蓄電装置への給電を行う給電装置の種別に応じた充電効率に基づいて、前記放電量を算出する、
ことを実行させる請求項
6に記載の制御プログラム。
【請求項11】
蓄電装置を備えた駆動装置と、
前記蓄電装置の充放電を制御するプロセッサであって、災害発生の予測時刻を含む災害情報を取得した場合に、前記蓄電装置の蓄電残量が、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができるか否かを判定し、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができると判定した場合に、前記予測時刻までに放電可能な放電量を算出
し、前記駆動装置に対し、前記放電量以下の放電を許可するプロセッサを備える制御装置と、
を備える制御システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、算出した前記放電量に基づいて、前記駆動装置を制御する、
請求項
11に記載の制御システム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができないと判定した場合に、前記蓄電装置の使用を禁止する、
請求項
11に記載の制御システム。
【請求項14】
前記駆動装置は、電動車両であり、
前記プロセッサは、前記放電量以下の放電の範囲において前記電動車両の使用を許可する、
請求項
11に記載の制御システム。
【請求項15】
前記電動車両の使用予約を管理する第2のプロセッサを備える管理サーバをさらに備え、
前記第2のプロセッサは、前記制御装置のプロセッサが前記電動車両の使用を許可した場合に、前記電動車両の使用予約を受け付ける、
請求項
14に記載の制御システム。
【請求項16】
前記第2のプロセッサは、前記制御装置のプロセッサが、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができないと判定して前記蓄電装置の使用を禁止した場合に、前記電動車両の使用予約の受け付けを中止する、
請求項
15に記載の制御システム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記蓄電装置への給電を行う給電装置の種別に応じた充電効率に基づいて、前記放電量を算出する、
請求項
11に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、制御プログラム及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、災害リスクの度合いを指数化したリスク指数に応じて目標充電容量を算出し、算出した目標充電容量に基づいてバッテリの充放電を制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の制御では、災害が予測される際、算出時点において目標充電容量に達していない場合、バッテリの放電が禁止され、該バッテリを使用することができない。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、災害が予測される際に、予測時刻までに目標誘電容量に到達させつつ、災害発生予測時刻まで効率的にバッテリを使用することができる制御装置、制御プログラム及び制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る制御装置は、駆動装置が備える蓄電装置の充放電を制御する制御装置であって、災害発生の予測時刻を含む災害情報を取得した場合に、前記蓄電装置の蓄電残量が、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができるか否かを判定し、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができると判定した場合に、前記予測時刻までに放電可能な放電量を算出するプロセッサ、を備える。
【0007】
また、本開示に係る制御プログラムは、駆動装置が備える蓄電装置の充放電を制御する制御装置のプロセッサに、災害発生の予測時刻を含む災害情報を取得した場合に、前記蓄電装置の蓄電残量が、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができるか否かを判定し、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができると判定した場合に、前記予測時刻までに放電可能な放電量を算出する、ことを実行させる。
【0008】
また、本開示に係る制御システムは、蓄電装置を備えた駆動装置と、前記蓄電装置の充放電を制御するプロセッサであって、災害発生の予測時刻を含む災害情報を取得した場合に、前記蓄電装置の蓄電残量が、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができるか否かを判定し、前記予測時刻までに目標充電容量に到達させることができると判定した場合に、前記予測時刻までに放電可能な放電量を算出するプロセッサを備える制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、災害が予測される際に、予測時刻までに目標誘電容量に到達させつつ、災害発生予測時刻まで効率的にバッテリを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係る制御システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態に係る制御システムが備える車両の構成を説明するためのブロック図である。
【
図3】
図3は、一実施の形態に係る制御システムが行う制御処理を説明するシーケンス図である。
【
図4】
図4は、一実施の形態に係る制御システムの処理の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、変形例に係る制御システムを示す概略図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る制御システムが行う制御処理を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。また、本開示は以下に説明する実施形態によって限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態)
まず、一実施の形態に係る制御システムについて説明する。
図1は、一実施の形態に係る制御システムを示す概略図である。
図2は、一実施の形態に係る制御システムが備える車両の構成を説明するためのブロック図である。
【0013】
制御システム1は、災害情報管理装置20、車両30、給電管理装置40及び給電装置60を備える。この一実施形態による制御システム1においては、災害情報管理装置20、各車両30、及び給電装置60が、ネットワーク10によって互いに通信可能に接続されている。ネットワーク10は、災害情報管理装置20、車両30、給電管理装置40及び給電装置60の相互間で通信可能な、インターネット回線網や携帯電話回線網等から構成される。本実施の形態において、車両30は、ハイブリッド走行モードやEV走行モードで走行可能な電動車両であるものとする。
【0014】
災害情報管理装置20は、取得した災害に応じた給電制御に関する情報(以下、給電制御情報)を、該当する地域を走行する車両30へ送信する。
【0015】
災害情報管理装置20は、災害情報取得部21、制御部22及び記憶部23を備える。災害情報管理装置20は、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を含む一つ又は複数のコンピュータ等を用いて構成される。
【0016】
災害情報管理装置20は、ネットワーク10に接続して、車両30、及び給電装置60と通信を行う。災害情報管理装置20は、例えば国や地方自治体の防災センター等から災害に関する情報(以下、災害情報ともいう)を受信し、制御に関する情報を車両30に送信する。また、災害情報管理装置20は、給電管理装置40又は給電装置60から車両30に関する情報を受信したり、送信対象の車両30に給電信号を含む各種情報を送信したりしてもよい。
【0017】
災害情報取得部21は、外部から取得した災害情報を取得し、車両30等に送信する。災害情報は、今後予測される災害の発生予測時刻を含む。
【0018】
制御部22は、災害情報管理装置20の各部の動作を統括的に制御する。
【0019】
記憶部23は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を用いて構成され、各種プログラム及び各種データが書き込み及び読み出し可能に格納されている。この記録媒体としては、光ディスク、フラッシュメモリ、磁気ディスク等の記憶媒体、及びこれらの記憶媒体のドライブ装置を有して構成される。
【0020】
続いて、車両30の構成について
図1及び
図2を参照して説明する。車両30は、給電管理装置40によって管理される給電部41から供給される電力、又は、給電装置60によって管理される有線給電部61若しくは無線給電部62から供給される電力によってバッテリ39が充電される。
【0021】
車両30は、送受信部31、並びに、通信部32、GPS(Global Positioning System)部33、入出力部34、判定部35、算出部36、記憶部37及びECU(Electronic Control Unit)38を備える。また、車両30には、各部に電力を供給するバッテリ39が設けられる。このバッテリ39は、蓄電装置であって、充電可能に構成される。車両30を制御する部品は、CPU、FPGA、ROM、及びRAM等からなる一つ又は複数のコンピュータ等を用いて構成される。
【0022】
送受信部31は、給電部41又は無線給電部62からの給電信号を受信する受信部として機能する。また、送受信部31は、給電部41や給電装置60に自身の情報を電磁波に乗せて送信する送信部として機能する。なお、受信部と、給電装置60に自身の情報を送信する送信部とは、一体ではなく別体で設けてもよい。
【0023】
通信部32は、ネットワーク10を介した無線通信によって、外部の各装置との間で通信を行う。通信部32は、災害情報管理装置20から、災害に関する情報や、車両30の運転を支援する運転支援情報を受信する。なお、運転支援情報は、規制や渋滞等の道路交通情報を含む。
【0024】
GPS部33は、GPS衛星からの電波を受信して、車両30の位置を検出する。検出された位置は、車両30の位置情報として、外部に出力されるか、又は記憶部に格納される。
【0025】
入出力部34は、タッチパネルディスプレイや、スピーカ、マイク等から構成される。入出力部34は、ECU38による制御に従って、タッチパネルディスプレイの画面上に文字や図形等を表示したり、スピーカから音を出力したりして、運転支援に関する情報等の所定の情報を入出力可能に構成される。また、入出力部34は、車両30の利用者等がタッチパネルディスプレイを操作したり、マイクに向けて音声を発したりすることによって、ECU38に所定の情報を入力可能に構成される。
【0026】
判定部35は、バッテリ39の現在の蓄電残量に基づいて、災害発停予測時刻までに、目標充電容量に到達させることができるか否かを判定する。蓄電残量は、例えばSOC(State Of Charge)である。
【0027】
算出部36は、判定部35が蓄電残量を目標充電容量に到達させることができると判定した場合に、放電可能量を算出する。
【0028】
記憶部37は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を用いて構成され、各種プログラム及び各種データが書き込み及び読み出し可能に格納されている。この記録媒体としては、ハードディスクや半導体メモリ、光ディスク、フラッシュメモリ、磁気ディスク等の記憶媒体、及びこれらの記憶媒体のドライブ装置を有して構成される。記憶部37には、ECU38が車両30の各部の作動を統括的に制御するために必要なオペレーティングシステム(OS)や各種アプリケーションのプログラムが格納されている。
【0029】
ECU38は、CPU、FPGA、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータ等の情報処理装置によって構成されている。ECU38は、車両30の各部の電気的な動作を統括的に制御する。ECU38は、入力されたデータや予め記憶しているデータ及びプログラムを使用して演算を行い、その演算結果を制御指令信号として出力するように構成されている。
【0030】
なお、車両30は、前進側に近付く物体を検知するセンサ等を備える。また、車両30には、車両30を駆動するための制御機構及び操作機構を備えている。具体的に、車両30は、駆動機構として、パワートレイン及び駆動輪とを備える。パワートレインは、駆動力を発生して出力軸から出力する動力源と、動力源が出力した駆動力を駆動輪2に伝達する動力伝達機構と、を備えている。
また、操作機構は、シフトレバーや、アクセルペダル等によって構成される。
なお、車両30の自動運転を行う場合は、ECU38の制御のもと、各部が指示信号に従って駆動する。
【0031】
給電管理装置40は、給電部41を制御する。
給電部41は、車両が走行する走行レーン50に設けられ、給電管理装置40と電気的に接続する。また、本実施の形態において、給電部41は、当該給電部41上に位置する車両30を検知する検知機能や、当該車両30の情報を受信する受信機能を備える。この検知機能及び受信機能は、例えばループアンテナを用いて構成される。例えば、検知機能は、車両30を検知した際には給電管理装置40に検知信号を送信する。なお、給電用のコイル等によって車両の検知が可能であれば、そのコイルを給電用と共通に検知用として用いてもよい。
【0032】
給電装置60は、有線給電部61と、無線給電部62と、を有する。給電装置60は、CPU、FPGA、ROM、及びRAM等からなる一つ又は複数のコンピュータ等を用いて構成される。
【0033】
有線給電部61は、車両30に接続するコネクタを有する。有線給電部61は、コネクタを車両30に接続した状態で、当該車両30に給電信号を送信する。
【0034】
無線給電部62は、車両30の送受信部31との間で無線通信することによって車両30へ給電信号を送信する。無線給電部62による給電信号の送信によって、車両30と給電装置60との間において非接触充電が実施される。車両30に設けられる送受信部31と、給電装置60に接続する給電装置60とが通信することによって、給電信号が車両30に供給される。
【0035】
また、本実施の形態において、給電装置60は、当該給電装置60上に位置する車両30を検知する検知機能や、当該車両30の情報を受信する受信機能を備える。この検知機能及び受信機能は、例えばループアンテナを用いて構成される。例えば、検知機能は、車両30を検知した際には給電装置60に検知信号を送信する。なお、給電用のコイル等によって車両の検知が可能であれば、そのコイルを給電用と共通に検知用として用いてもよい。
【0036】
本実施の形態では、車両30と給電部41との間、及び、車両30と無線給電部62との間で、非接触充電が実施される。車両30に設けられる送受信部31と、給電部41又は無線給電部62とが通信することによって、給電信号が車両30に送信される。送受信部31、給電部41及び無線給電部62は、例えば、それぞれコイル、スイッチング回路及び整流平滑回路を用いて構成され、磁界共鳴方式によって給電信号を送受信する。これにより、車両30と、給電部41とは非接触の状態で通信する。なお、本実施の形態では、電磁波を利用して給電、及び情報を送信する例を説明するが、光を利用して給電/情報送信する構成としてもよい。
【0037】
続いて、制御システム1が行う制御処理について、
図3を参照して説明する。
図3は、実施の形態1に係る制御システムが行う制御処理を説明するシーケンス図である。
【0038】
まず、災害情報取得部21は、災害に関する情報を受信したか否かを判断する(ステップS101)。災害情報取得部21は、災害情報を受信していないと判断した場合(ステップS101:No)、受信確認を繰り返す。これに対し、災害情報取得部21は、災害情報を受信したと判断した場合(ステップS101:Yes)、ステップS102に移行する。
【0039】
ステップS102において、災害情報取得部21は、災害情報を、該当する地域を走行する車両30に送信する。
【0040】
一方、車両30では、通信部32が、災害情報を取得したか否かを判断する(ステップS103)。給電制御部43は、災害情報を取得していない場合(ステップS103:No)、取得確認を繰り返す。これに対し、給電制御部43は、給電制御情報を受信したと判断した場合(ステップS103:Yes)、ステップS104に移行する。
【0041】
ステップS104において、判定部35は、バッテリ39の現在の蓄電残量に基づいて、災害発生予測時刻までに、蓄電残量を目標充電容量に到達させることができるか否かを判定する。この際、判定部35は、予め設定されている充電効率に基づいて、蓄電残量を目標充電容量に到達させることができるか否かを判定する。なお、判定部35は、充電方式ごとに、その充電効率に基づいて目標充電容量に達するか否かを判定するようにしてもよい。ECU38は、判定部35によって、災害発生予測時刻までに蓄電残量を目標充電容量に到達させることができると判定された場合(ステップS104:Yes)、ステップS105に移行する。一方、ECU38は、判定部35によって、災害発生予測時刻までに蓄電残量を目標充電容量に到達させることができないと判定された場合(ステップS104:No)、ステップS107に移行する。
【0042】
ステップS105において、算出部36は、判定部35が蓄電残量を目標充電容量に到達させることができると判定した場合に、放電可能量を算出する。
図4は、一実施の形態に係る制御システムの処理の一例を示す図である。
図4は、時刻と蓄電残量との関係の一例を示す図である。ここで、時刻t
Rは算出処理の時刻であり、SOC
Rは時刻t
Rにおける蓄電残量を示す。また、時刻t
Cは災害発生予測時刻であり、SOC
Gは目標充電容量である。目標充電容量SOC
Gは、例えば蓄電残量の上限値や、上限値の80%の値等が設定される。
【0043】
算出部36は、例えば、現在の蓄電容量、目標充電容量及び充電効率から、最短で目標充電容量に達する時間(これを完了到達時間という)を算出する。算出部36は、時刻tRと時刻tCとの間の時間tD(これを充電制御期間tDという)と、完了到達時間との差分を算出する。この差分は、充放電が可能な時間(これを充放電時間という)に相当する。算出部36は、充放電時間において放電可能量を算出する。この放電可能量は、当該放電時間内に放電しても充電によって蓄電残量を目標充電容量に到達させることができる電力量である。
【0044】
ECU38は、算出部36が算出した放電可能量の放電を許可する(ステップS106)。
【0045】
ステップS107において、ECU38は、放電禁止の設定を行う。この際、車両30において、蓄電残量を目標充電容量に近付けるため、充電を早急に開始する、又は充電を継続する旨のメッセージを表示するようにしてもよい。
【0046】
一方、災害情報管理装置20では、制御部22が、災害の解消情報を受信したか否かを判断する(ステップS108)。ここで、制御部22は、解消情報を受信していないと判断した場合(ステップS108:No)、受信確認を繰り返す。これに対し、制御部22は、解消情報を受信したと判断すると(ステップS108:Yes)、ステップS109に移行する。
【0047】
ステップS109において、制御部22は、災害による充放電制御を解除させる解除情報を車両30に送信する。
【0048】
車両30では、解除情報を受信したか否かを判断する(ステップS110)。ECU38は、解除情報を受信していないと判断した場合(ステップS110:No)、受信確認を繰り返す。これに対し、ECU38は、解除情報を受信したと判断した場合(ステップS110:Yes)、ステップS111に移行する。
【0049】
ステップS111において、ECU38は、充放電制御を通常状態に戻し、充放電の禁止設定等を解除する。ここでいう通常状態とは、災害が発生していない、又は取得した災害とは別の発生が予測されていない状態をさす。
【0050】
以上説明した実施の形態では、災害発生が予測される場合、車両30では、自身の蓄電残量が災害発生予測時刻までに目標充電容量に到達可能か否かを判定して充放電を制御する。本実施の形態によれば、災害予測時刻までに蓄電残量を目標充電容量に到達させることができれば、充放電を許可するようにしたので、災害が予測される際に、予測時刻までに目標誘電容量に到達させつつ、災害発生予測時刻まで効率的にバッテリを使用することができる。
【0051】
(変形例)
次に、実施の形態の変形例について説明する。
図5は、変形例に係る制御システムを示す概略図である。変形例に係る制御システム1Aは、実施の形態に係る制御システム1の構成に対し、シェア管理サーバ70をさらに備える。以下、実施の形態とは異なる部分(シェア管理サーバ70の構成、及び制御システム1Aの処理内容)について説明する。
【0052】
シェア管理サーバ70は、例えば、シェアのための車両30を管理する。具体的には、シェア管理サーバ70は、車両30の使用予約を受け付けたり、使用者の情報を管理したりする。シェア管理サーバ70は、CPU、FPGA、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータ等の情報処理装置によって構成されている。
【0053】
続いて、制御システム1Aが行う制御処理について、
図6を参照して説明する。
図6は、変形例に係る制御システムが行う制御処理を説明するシーケンス図である。
【0054】
図3に示すフローチャートのステップS101~S104と同様にして、災害情報取得部21が災害情報を車両30に送信し、車両30の判定部35が、バッテリ39の現在の蓄電残量に基づいて、災害発生予測時刻までに、蓄電残量を目標充電容量に到達させることができるか否かを判定する(ステップS201~S204)。この際、ECU38は、判定部35によって、災害発生予測時刻までに蓄電残量を目標充電容量に到達させることができると判定された場合(ステップS204:Yes)、ステップS205に移行する。一方、ECU38は、判定部35によって、災害発生予測時刻までに蓄電残量を目標充電容量に到達させることができないと判定された場合(ステップS204:No)、ステップS207に移行する。
【0055】
ステップS205において、算出部36は、ステップS205と同様にして、放電可能量を算出する。
【0056】
ECU38は、算出部36が算出した放電可能量までの車両30の使用を許可する(ステップS206)。
【0057】
一方、ステップS207において、ECU38は、放電禁止の設定を行う。
【0058】
その後、ECU38は、ステップS206又はS207の設定に基づいて、予約制御情報を作成し、シェア管理サーバ70に当該予約制御情報を送信する(ステップS208)。
【0059】
シェア管理サーバ70は、車両30から予約制御情報を受信したか否かを判定する(ステップS209)。シェア管理サーバ70は、予約制御情報を受信していないと判断した場合(ステップS209:No)、受信確認を繰り返す。これに対し、シェア管理サーバ70は、予約制御情報を受信したと判断した場合(ステップS209:Yes)、ステップS210に移行する。
【0060】
ステップS210において、シェア管理サーバ70は、予約制御情報を参照し、当該予約制御情報を送信した車両30の予約受付の許可の可否を判断する。シェア管理サーバ70は、当該車両30が予約受付を許可していると判断した場合(ステップS210:Yes)、ステップS211に移行する。これに対し、シェア管理サーバ70は、当該車両30が予約受付を許可していないと判断した場合(ステップS210:No)、ステップS212に移行する。
【0061】
ステップS211において、シェア管理サーバ70は、当該予約制御情報を送信した車両30の予約受付を許可する。
【0062】
ステップS212において、シェア管理サーバ70は、当該予約制御情報を送信した車両30の予約受付を禁止する。これにより、当該予約制御情報を送信した車両30の予約受付が中止される。
【0063】
一方、災害情報管理装置20では、制御部22が、災害の解消情報を受信したか否かを判断する(ステップS213)。ここで、制御部22は、解消情報を受信していないと判断した場合(ステップS213:No)、受信確認を繰り返す。これに対し、制御部22は、解消情報を受信したと判断すると(ステップS213:Yes)、ステップS214に移行する。
【0064】
ステップS214において、制御部22は、災害による充放電制御(ここでは予約の可否制御)を解除させる解除情報を車両30に送信する。
【0065】
車両30では、解除情報を受信したか否かを判断する(ステップS215)。ECU38は、解除情報を受信していないと判断した場合(ステップS215:No)、受信確認を繰り返す。これに対し、ECU38は、解除情報を受信したと判断した場合(ステップS215:Yes)、ステップS216に移行する。
【0066】
ステップS216において、ECU38は、解除情報をシェア管理サーバ70に送信する。なお、ステップS214において、災害情報管理装置20は、シェア管理サーバ700に解除情報を直接送信してもよい。
【0067】
シェア管理サーバ70は、車両30から解除情報を受信したか否かを判断する(ステップS217)。シェア管理サーバ70は、解除情報を受信していないと判断した場合(ステップS217:No)、受信確認を繰り返す。これに対し、シェア管理サーバ70は、解除情報を受信したと判断した場合(ステップS217:Yes)、ステップS218に移行する。
【0068】
ステップS218において、シェア管理サーバ70は、使用予約を通常状態に戻す。すなわち、シェア管理サーバ70は、蓄電残量によらず、車両30の使用予約の受付を行う。
【0069】
以上説明した変形例では、災害発生が予測される場合、車両30では、自身の蓄電残量が災害発生予測時刻までに目標充電容量に到達可能か否かを判定してシェア用の車両30の充放電を制御する。本変形例によれば、災害予測時刻までに蓄電残量を目標充電容量に到達させることができれば、充放電を許可するようにしたので、災害が予測される際に、予測時刻までに目標誘電容量に到達させつつ、災害発生予測時刻まで効率的にバッテリを使用することができる。
【0070】
変形例において、
図6に示すシーケンス図では、シェア管理サーバ70が管理対象の車両30の使用予約を制御する例について説明したが、車両30が個々に使用許可及び禁止を設定するようにしてもよい。
【0071】
なお、実施の形態及び変形例では、蓄電装置を備えた電動車両に対して行う例について説明したが、電動車両のような蓄電装置を備えた移動体に限らず、蓄電装置を備え、災害時に目標充電容量の蓄電残量を確保すべき駆動装置、例えば蓄電装置を備えた発電機やラジオ等に対して適用することが可能である。
【0072】
(記録媒体)
一実施形態において、給電制御システムによる処理方法を実行可能なプログラムを、コンピュータその他の機械又は装置(以下、コンピュータなど、という)が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、当該コンピュータ等が給電制御システムの各装置の制御部として機能する。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データ又はプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータなどから読み取ることができる非一時的な記録媒体をいう。このような記録媒体のうちのコンピュータなどから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disk)、BD、DAT、磁気テープ、フラッシュメモリ等のメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM等がある。さらに、SSDは、コンピュータなどから取り外し可能な記録媒体としても、コンピュータ等に固定された記録媒体としても利用可能である。
【0073】
(その他の実施形態)
また、一実施形態による制御システムにおいては、「部」は、「回路」等に読み替えることができる。例えば、通信部は、通信回路に読み替えることができる。
【0074】
また、一実施形態による制御システムの各装置に実行させるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0075】
さらなる効果、変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 制御システム
10 ネットワーク
20 災害情報管理装置
21 災害情報取得部
22 制御部
23、37 記憶部
30 車両
31 送受信部
32 通信部
33 GPS部
34 入出力部
35 判定部
36 算出部
38 ECU
39 バッテリ
40 給電管理装置
41 給電部
60 給電装置
61 有線給電部
62 無線給電部
70 シェア管理サーバ