(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/262 20210101AFI20231024BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20231024BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20231024BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20231024BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20231024BHJP
H01M 50/291 20210101ALN20231024BHJP
H01M 50/293 20210101ALN20231024BHJP
【FI】
H01M50/262 S
H01M50/211
H01M50/588
H01M50/591
H01M50/204 401H
H01M50/291
H01M50/293
(21)【出願番号】P 2021060844
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真史
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-093239(JP,A)
【文献】特開2012-119232(JP,A)
【文献】国際公開第2015/121926(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/262812(WO,A1)
【文献】特開2003-257407(JP,A)
【文献】特開2004-158434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/10-50/298
H01M50/50-50/598
H01G11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電セルが積層された積層体と、
前記積層体が収容された収容ケースと、を備え、
前記収容ケースは、積層方向において、前記積層体が間に位置するように設けられた一対の壁部を含み、
前記一対の壁部の各々は、前記積層方向に対して直交する面方向において中央に位置する中央部と、前記中央部の周囲に位置する外周部とを含み、
前記一対の壁部の各々は、前記外周部に対して前記中央部が前記積層体に近づく凹形状を有しており、
前記積層体は、前記一対の壁部の各々に含まれる前記中央部によって挟持されて
おり、
前記複数の蓄電セルの各々は、電極体と、前記電極体を封止する外装フィルムと、前記外装フィルム内に収容された電解液と、前記電極体に接続され、前記外装フィルムから突出するように設けられた集電板とを含み、
絶縁性を有し、前記外装フィルムから突出する部分の前記集電板を被覆する被覆部をさらに備え、
前記被覆部は、前記外装フィルムと前記集電板とを接着する接着剤と、前記収容ケース内に部分的に充填された充填部材とを含み、
前記充填部材は、前記接着剤および前記外装フィルムから突出する部分の前記集電板を覆うように設けられている、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電装置として、特開2013-229266号公報(特許文献1)には、上面視が長方形状であり対向する一対の短辺の各々から端子が突出したラミネート型の蓄電セルが積層方向に複数積層された積層体が、板状のエンドプレートによって積層方向に挟持された構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の蓄電装置にあっては、積層方向の両側から一対のエンドプレートによって積層体が挟持されているため、複数の蓄電セルの各々が膨張した場合には、過剰な力が積層体に印加される。
【0005】
また、蓄電装置に振動が加えられると、曲げ剛性が低い場合には、蓄電装置全体が曲げられるように変形して場合によっては共振してしまうことがある。
【0006】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、蓄電セルの膨張時に過剰の力が蓄電セルに印加されることを抑制しつつ、曲げ剛性を向上させることができる蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に基づく蓄電装置は、複数の蓄電セルが積層された積層体と上記積層体が収容された収容ケースと、を備える。上記収容ケースは、積層方向において、上記積層体が間に位置するように設けられた一対の壁部を含む。上記一対の壁部の各々は、上記積層方向に対して直交する面方向において中央に位置する中央部と、上記中央部の周囲に位置する外周部とを含む。上記一対の壁部の各々は、上記外周部に対して上記中央部が上記積層体に近づく凹形状を有している。上記積層体は、上記一対の壁部の各々に含まれる上記中央部によって挟持されている。
【0008】
上記構成によれば、一対の壁部の中央部が積層体に近づく凹形状を有していることにより、蓄電セルが膨張した場合には、当該中央部が蓄電セルの膨張を吸収するように弾性変形する。これにより、蓄電セルの膨張によって作用する応力が緩和され、積層体に過剰な力が印加されることを抑制することができる。さらに、一対の壁部の中央部が積層体に近づく凹形状を有していることにより、一対の壁部が、平坦な板状である場合と比較して、曲げ剛性を高めることができる。これにより、蓄電装置に振動が伝達された場合であっても、蓄電装置全体が曲げられるように変形することが抑制される。この結果、蓄電装置に伝達された振動によって、蓄電装置が共振することを抑制することができる。
【0009】
上記本開示に基づく蓄電装置にあっては、上記複数の蓄電セルの各々は、電極体と、上記電極体を封止する外装フィルムと、上記外装フィルム内に充填された電解液と、上記電極体に接続され、上記外装フィルムから突出するように設けられた集電板とを含む。この場合には、絶縁性を有し、上記外装フィルムから突出する部分の上記集電板を被覆する被覆部をさらに備えていてもよい。
【0010】
上記構成によれば、外装フィルムから突出する部分の集電板を被覆する被覆部が設けられることにより、電解液が外装フィルムから漏出した場合においても、各蓄電セル間が短絡することを抑制できる。
【0011】
上記本開示に基づく蓄電装置にあっては、上記被覆部は、上記外装フィルムと上記集電板とを接着する接着剤と、上記収容ケース内に部分的に充填された充填部材とを含んでいてもよい。この場合には、上記充填部材は、上記接着剤および上記外装フィルムから突出する部分の上記集電板を覆うように設けられていることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、充填部材を介して蓄電セルから発生した熱を収容ケースに伝導させて、収容ケース外に放熱することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、蓄電セルの膨張時に過剰の力が蓄電セルに印加されることを抑制しつつ、曲げ剛性を向上させることができる蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0016】
図1は、実施の形態に係る蓄電装置を示す概略断面図である。
図1を参照して、実施の形態に係る蓄電装置100について説明する。
【0017】
蓄電装置100は、車両に搭載される。当該車両は、モータとエンジンとの少なくとも一方の動力を用いて走行可能なハイブリッド車両、または、電気エネルギによって得られた駆動力で走行する電動車両である。
【0018】
図1に示すように、蓄電装置100は、収容ケース10、蓄電モジュール20、および被覆部60を備える。
【0019】
蓄電モジュール20は、複数の蓄電セル30が積層方向DR1に積層された積層体と、バスバ33、34とを有する。積層方向DR1は、たとえば、鉛直方向と平行な方向である。
【0020】
複数の蓄電セル30の各々は、電極体35、外装フィルム36、正極集電板37、負極集電板38、電解液(不図示)、および接着剤52を含む。
【0021】
外装フィルム36は、アルミラミネートフィルムなどによって形成されている。外装フィルム36は、電極体35と、図示されていない電解液を内部に収容している。外装フィルム36は、平面視した場合に長方形形状を有し、一対の長辺部と一対の短辺部とを含む。一対の長辺部は、長手方向DR2に沿って延在する。一対の短辺部は、上記積層方向DR1および長手方向DR2方向と直交する方向に延在する。
【0022】
外装フィルム36は、上側フィルム39Aおよび下側フィルム39Bを含む。上側フィルム39Aは電極体35を上方から覆うように配置されており、下側フィルム39Bは電極体35を下方から覆うように設けられている。
【0023】
上側フィルム39Aの外周縁部と、下側フィルム39Bの外周縁部とは図示されていない接着剤によって接着されている。
【0024】
電極体35は直方体形状に形成されている。電極体35は、積層方向DR1に積層された複数の正極シートと、複数のセパレータと、複数の負極シートとを含む。正極シートおよび負極シートの間にセパレータが配置されている。
【0025】
正極集電板37はアルミニウムなどによって形成されている。正極集電板37は、長手方向DR2の一方側あるいは他方側に配置されており、外装フィルム36から長手方向DR2に突出するように配置されている。すなわち、正極集電板37は、外装フィルム36の一対の短辺部のいずれかから長手方向DR2方向に沿って外装フィルム36の外側に突出する。正極集電板37には、正極シートが複数溶接されている。これにより、正極集電板37は、電極体35に接続されている。
【0026】
正極集電板37は、接着剤52によって外装フィルム36に接着されている。正極集電板37は、上記長手方向DR2において、外装フィルム36および接着剤52よりも外側に突出している。正極集電板37は、外装フィルム36および接着剤52から露出する露出部50を含む。
【0027】
負極集電板38は銅などによって形成されている。負極集電板38は、長手方向DR2において、上記正極集電板37が配置されている側とは反対側に配置されており、外装フィルム36から長手方向に突出するように配置されている。すなわち、負極集電板38は、外装フィルム36の一対の短辺部のうち正極集電板37が突出する短辺部とは反対側に位置する短辺部から、長手方向DR2方向に沿って外装フィルム36の外側に突出する。負極集電板38には、負極シートが複数溶接されている。これにより、負極集電板38は、電極体35に接続されている。
【0028】
接着剤52は、正極集電板37が突出する外装フィルム36の縁部において正極集電板37の上面および下面に設けられている。これにより、接着剤52によって、上側フィルム39Aの内表面と正極集電板37の上面、下側フィルム39Bの内表面と正極集電板37の下面とが接着されている。なお、接着剤52は、正極集電板37が突出する外装フィルム36の縁部から、長手方向DR2に沿って外装フィルム36の外側に突出するように設けられている。
【0029】
接着剤52は、負極集電板38が突出する外装フィルム36の縁部において負極集電板38の上面および下面に設けられている。これにより、接着剤52によって、上側フィルム39Aの内表面と負極集電板38の上面、下側フィルム39Bの内表面と負極集電板38の下面とが接着されている。なお、接着剤52は、負極集電板38が突出する外装フィルム36の縁部から、長手方向DR2に沿って外装フィルム36の外側に突出するように設けられている。
【0030】
複数の蓄電セル30は、積層方向DR1において、正極集電板37と負極集電板38とが交互に並ぶように配置されている。
【0031】
バスバ33は、長手方向DR2の一方側において、正極集電板37と負極集電板38とを接続する。バスバ33は、露出部50における正極集電板37の下面と、露出部51における負極集電板38の上面とを接続する。
【0032】
バスバ33は、露出部50における正極集電板37の下面および露出部51における負極集電板38の上面に接触する一対の横壁部と、一対の横壁部を接続する縦壁部とを含む。縦壁部は、一対の横壁部のうち長手方向DR2の一方側に位置する端部同士を接続する。
【0033】
バスバ34は、長手方向DR2の他方側において、正極集電板37と負極集電板38とを接続する。バスバ34は、露出部50における正極集電板37の下面と、露出部51における負極集電板38の上面とを接続する。
【0034】
バスバ34は、露出部50における正極集電板37の下面および露出部51における負極集電板38の上面に接触する一対の横壁部と、一対の横壁部を接続する縦壁部とを含む。縦壁部は、一対の横壁部の端部のうち長手方向DR2の他方側に位置する端部同士を接続する。
【0035】
このように複数のバスバ33,34によって、複数の蓄電セル30は直列で接続される。
【0036】
被覆部60は、外装フィルム36から突出する部分の集電板を被覆する。具体的には、たとえば、被覆部60は、上記接着剤52と充填部材としての絶縁部材25,26によって構成されている。
【0037】
絶縁部材25は、収容ケース10内において、長手方向DR2の一方側に設けられている。絶縁部材25は、長手方向DR2の一方側に位置する収容ケース10の側壁から蓄電モジュール20に達するように充填されている。絶縁部材25は、たとえば絶縁性を有する樹脂部材である。絶縁部材25は、一定程度の熱伝導性を有する。
【0038】
絶縁部材25は、長手方向DR2の一方側において、正極集電板37の露出部50と、負極集電板38の露出部51と、バスバ33とを覆う。これにより、長手方向DR2の一方側において、外装フィルム36から突出する部分の正極集電板37および負極集電板38は、絶縁部材25と接着剤52とによって全体が被覆されることとなる。
【0039】
絶縁部材26は、収容ケース10内において、長手方向DR2の他方側に設けられている。絶縁部材26は、長手方向DR2の他方側に位置する収容ケース10の側壁から蓄電モジュール20に達するように充填されている。絶縁部材26は、たとえば絶縁性を有する樹脂部材である。絶縁部材26は、一定程度の熱伝導性を有する。
【0040】
絶縁部材26は、長手方向DR2の他方側において、正極集電板37の露出部50と、負極集電板38の露出部51と、バスバ34とを覆う。これにより、長手方向DR2の他方側において、外装フィルム36から突出する部分の正極集電板37および負極集電板38は、絶縁部材26と接着剤52とによって全体が被覆されることとなる。
【0041】
このように、被覆部60が設けられることにより、電解液が外装フィルム36から漏出した場合においても、各蓄電セル30間が短絡することを抑制できる。
【0042】
また、露出部50、51と、バスバ33、34は金属材料で構成されている。このため、充放電によって蓄電モジュール20が発熱した場合には、蓄電モジュール20内の熱を、絶縁部材25、26に伝導することができる。当該絶縁部材25、26は、長手方向DR2の一方側および他方側に位置する収容ケース10の側壁に接触しているため、絶縁部材25、26に伝達された熱は、長手方向DR2の一方側および他方側に位置する上記側壁から放熱することができる。
【0043】
また、上記のようにバスバ33の縦壁部が、上記一対の横壁部の端部のうち長手方向DR2の一方側に位置する端部同士を接続することにより、バスバ33から効率良く、長手方向DR2の一方側に位置する上記側壁に熱を伝導させることができる。
【0044】
同様に、バスバ34の縦壁部が、上記一対の横壁部の端部のうち長手方向DR2の他方側に位置する端部同士を接続することにより、バスバ34から効率良く、長手方向DR2の他方側に位置する側壁に熱を伝導させることができる。
【0045】
さらに、長手方向DR2の一方側および他方側に位置する収容ケース10の側壁の外側に、当該側壁を冷却するための冷却装置を配置してもよい。この場合には、蓄電モジュール20をより効果的に冷却することができる。
【0046】
収容ケース10は、アッパーケース11およびロアケース12を含み、内部に蓄電モジュール20を収容する。
【0047】
アッパーケース11は、下方に向けて開口する略箱形形状を有する。アッパーケース11の内表面は、絶縁樹脂等の絶縁部材(不図示)によって被覆されている。アッパーケース11は、上壁部111、および周壁部112を含む。周壁部112は、上壁部111の周縁から下方に向けて延びるように設けられている。
【0048】
上壁部111は、中央部111a、および当該中央部111aの周囲に位置する外周部111bを有する。上壁部111は、中央部111aが蓄電モジュール20に近づく凹形状を有している。中央部111aは、蓄電モジュール20を挟み込み可能となるように、外周部111bよりも蓄電モジュール20側に位置している。外周部111bは、中央部111aを取り囲む。外周部111bは、上壁部111の周縁に向かうに連れて蓄電モジュール20から離れるように設けられている。
【0049】
ロアケース12は、上方に向けて開口する略箱形形状を有する。ロアケース12の内表面は、絶縁樹脂等の絶縁部材(不図示)によって被覆されている。ロアケース12は、底壁部121および周壁部122を含む。周壁部122は、底壁部121の周縁から上方に向けて延びるように設けられている。
【0050】
底壁部121は、中央部121a、および中央部121aの周囲に位置する外周部121bを有する。底壁部121は、中央部121aが蓄電モジュール20に近づく凹形状を有する。中央部121aは、蓄電モジュール20を挟み込み可能となるように、外周部121bよりも蓄電モジュール20側に位置している。外周部121bは、中央部121aを取り囲む。外周部121bは、底壁部121の周縁に向かうにつれて蓄電モジュール20から離れるように設けられている。
【0051】
アッパーケース11とロアケース12とは、ロアケース12の周壁部122の先端側が、アッパーケース11の周壁部112の下端側の内側に圧入された状態で固定されている。なお、ロアケース12の周壁部122の先端側と、アッパーケース11の周壁部112の下端側との間には、パッキン等のシール部材が配置されていてもよい。
【0052】
蓄電モジュール20は、上壁部111の中央部111aおよび底壁部121の中央部121aによって積層方向DR1に挟持されている。
【0053】
上壁部111および底壁部121は、弾性変形可能に設けられており、蓄電セル30が膨張した際には、蓄電セル30の膨張を吸収するように上壁部111および底壁部121が変形する。これにより、蓄電セル30の膨張時に、蓄電モジュール20に過剰な力が印加されることを抑制し、適度な力で蓄電モジュール20を拘束することができる。
【0054】
一方で、外周部111bが上壁部111の周縁に向かうに連れて蓄電モジュール20から離れるように設けられ、外周部121bが底壁部121の周縁に向かうに連れて蓄電モジュール20から離れるように設けられていることにより、上壁部111および底壁部121が平坦な板状である場合と比較して、曲げ剛性を高めることができる。これにより、蓄電装置100に振動が伝達された場合であっても、蓄電装置100全体が凸状あるいは凹状に曲げられるように変形することが抑制される。この結果、蓄電装置100に伝達された振動によって、蓄電装置100が共振することを抑制することができる。
【0055】
また、中央部111aおよび中央部121aの面積を大きくした場合には、外装フィルム36内でガスが発生した場合に、当該ガスが外装フィルム36の外周側に移動しやすくなり、ガス抜け性を向上させることができる。すなわち、互いに隣り合う蓄電セル30間においてガス抜け性を向上させることができる。
【0056】
さらに、初期状態において、外周部111b、121bに対して中央部111a、121aが積層体に近づく凹み量を増やすことで積層体が挟持される挟持力を向上させることができ、更なる耐振動性を向上させることができる。一方で、積層体を挟持した状態において、上記凹み量を減少させて、外周部111b、121bおよび中央部111a、121aが平坦に近づくことで、互いに隣り合う蓄電セル30間あるいは、互いに隣り合う積層体間における極間距離の維持が容易になる。すなわち、一対の壁部である上壁部111および底壁部121によって積層体を挟み込む前の状態において、外周部111b、121bに対する中央部111a、121aの凹み量は、上壁部111および底壁部121によって積層体を挟み込んた後状態における上記凹み量よりも小さくてもよい。
【0057】
(その他の変形例)
なお、上述した実施の形態においては、バスバ33の縦壁部が、上記一対の横壁部の端部のうち長手方向DR2の一方側に位置する端部同士を接続し、バスバ34の縦壁部が、上記一対の横壁部の端部のうち長手方向DR2の一方側に位置する端部同士を接続する場合を例示して説明したがこれに限定されない。バスバ33の縦壁部が、上記一対の横壁部の端部のうち長手方向DR2の他方側に位置する端部同士を接続し、バスバ34の縦壁部が、上記一対の横壁部の端部のうち長手方向DR2の一方側に位置する端部同士を接続してもよい。この場合には、バスバ33,34と、正極集電板37および負極集電板38とを容易に溶接することができる。
【0058】
上述した実施の形態においては、正極集電板37および負極集電板38は、外装フィルム36の短辺部から、長手方向DR2に沿って外装フィルム36の外側に突出する場合を例示して説明したが、これに限定されない。正極集電板37および負極集電板38は、外装フィルム36の長辺部から、短手方向に沿って外装フィルム36の外側に突出してもよい。また、正極集電板37および負極集電板38とは、異なる辺部から突出する場合を例示して説明したが、これ限定されず、同一の辺部から突出してもよい。
【0059】
なお、上述した実施の形態においては、被覆部60が、絶縁部材25,26および接着剤52によって構成される場合を例示して説明したが、これに限定されない。被覆部60は、絶縁部材25,26を省略し、接着剤52によって構成されてもよい。この場合には、接着剤52によって外装フィルム36から突出する部分の集電板が全体的に覆われる。
【0060】
また、被覆部60は、絶縁部材25,26によって構成されてもよい。この場合には、接着剤52は、外装フィルム36から外側に突出しないように設けられ、絶縁部材25,26によって外装フィルム36から突出する部分の集電板が全体的に覆われる。
【0061】
上述した実施の形態においては、蓄電モジュール20に含まれる蓄電セルが、外装フィルム内に電解液と電極体35が収容されたラミネート型の電池である場合を例示して説明したがこれに限定されず、外装フィルム内に電解液が収容されず、固体状の電解質が用いられたラミネート型の全固体電池であってもよい。
【0062】
以上、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0063】
10 収容ケース、11 アッパーケース、12 ロアケース、20 蓄電モジュール、25,26 絶縁部材、30 蓄電セル、33,34 バスバ、35 電極体、36 外装フィルム、37 正極集電板、38 負極集電板、39A 上側フィルム、39B 下側フィルム、50,51 露出部、52 接着剤、60 被覆部、100 蓄電装置、111 上壁部、111a 中央部、111b 外周部、112 周壁部、121 底壁部、121a 中央部、121b 外周部、122 周壁部。