(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】光源装置、及び投影装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20231024BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20231024BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20231024BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231024BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20231024BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20231024BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
F21S2/00 311
F21V9/40 200
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2021149569
(22)【出願日】2021-09-14
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻野 浩
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-124563(JP,A)
【文献】特開2014-077980(JP,A)
【文献】特開2015-090432(JP,A)
【文献】特開2015-022249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
G03B 21/00
H04N 5/74
F21S 2/00
F21V 9/40
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を出射する励起光照射装置と、
前記励起光の波長帯域と異なる所定の波長帯域の光を透過するとともに前記励起光を反射するフィルタ領域と、前記励起光を屈曲させて透過する透過屈曲領域とを含む回転ホイールを備える回転ホイール装置と、
前記フィルタ領域で反射した前記励起光が照射され、前記フィルタ領域に向けて前記所定の波長帯域の光を含む蛍光を発光する蛍光発光装置と、を備え、
前記回転ホイール装置は、前記透過屈曲領域を透過した前記励起光の光軸と、前記フィルタ領域を透過した前記所定の波長帯域の蛍光の光軸とが重なるように配置されていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記フィルタ領域で反射した前記励起光を前記蛍光発光装置に導く導光部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記回転ホイールは、前記透過屈曲領域と対応する反対側の面の領域に前記透過屈曲領域を透過した前記励起光を拡散させて透過する透過拡散領域を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記回転ホイールは、前記蛍光発光装置を含む面に対して傾斜する角度で配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記回転ホイールは、前記フィルタ領域と対応する反対側の面の領域に前記励起光の波長帯域以外の波長帯域の光を透過して前記励起光を反射する励起光反射領域を含むことを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記回転ホイールは、前記フィルタ領域と対応する反対側の面の領域に、前記回転ホイールに対して斜めに入射した前記励起光を前記回転ホイールの法線方向に反射する反射屈曲領域を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記回転ホイールは、前記蛍光発光装置の蛍光発光領域を含む面に対して平行となる角度で配置されていることを特徴とする請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記透過屈曲領域に前記励起光を回折させる回折格子が形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記透過屈曲領域に前記励起光を屈折させる傾斜面を有する屈折部材が形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記反射屈曲領域に前記励起光を前記回転ホイールの板面の法線方向に反射しつつ回折させる反射回折格子が形成されていることを特徴とする請求項
6に記載の光源装置。
【請求項11】
前記反射屈曲領域に前記励起光を所定の角度に反射させる傾斜面を有する反射屈折部材が形成されていることを特徴とする請求項
6に記載の光源装置。
【請求項12】
前記回転ホイール装置を透過した光を導くライトトンネル又は導光ロッドを備えることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項13】
前記回転ホイール装置を透過した光を導くマイクロレンズアレイを備えることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項14】
前記蛍光発光装置は蛍光ホイール装置であることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の光源装置と、
画像光を生成する表示素子と、
前記表示素子から出射された前記画像光を被投影体に投影する投影光学系と、
前記光源装置と前記表示素子とを制御する制御部と、
を備えることを特徴とする投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、及び投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータの画面やビデオ画面、メモリカード等に記憶されている画像データ等をスクリーンに投影する投影装置が利用されている。この投影装置は、光源から出射された光をDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子や液晶板に集光させ、スクリーン上にカラー画像を表示させている。
【0003】
例えば、特許文献1には、青色波長帯域光(第一波長帯域光)の光源と蛍光ホイールとダイクロイックミラーとカラーホイールと制御部とを備える光源装置が開示されている。カラーホイールは、ダイクロイックミラーにより合成された赤色波長体域光(第二波長帯域光)と、緑色波長帯域光(第三波長帯域光)の長波長側の一部の光と、を第四波長帯域光として選択する青赤透過領域と、全色透過領域と、を含む。制御部は、蛍光ホイールとカラーホイールを同期制御し、出力モードによって、蛍光ホイールに対するカラーホイールの同期位置をずらして制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の光源装置のように蛍光ホイールとカラーホイールに加えてダイクロイックミラーを別途配置した構成では、励起光である青色波長帯域光の光路と励起光と異なる波長帯域光の光路とが別光路となることがある。この場合、装置が大型化し、また、別光路となることによる誤差に起因する色ムラが発生することが想定される。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、装置の小型化を図りつつ、色ムラの発生を低減することができる光源装置と、この光源装置を備える投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光源装置は、励起光を出射する励起光照射装置と、前記励起光の波長帯域と異なる所定の波長帯域の光を透過するとともに前記励起光を反射するフィルタ領域と、前記励起光を屈曲させて透過する透過屈曲領域とを含む回転ホイールを備える回転ホイール装置と、前記フィルタ領域で反射した前記励起光が照射され、前記フィルタ領域に向けて前記所定の波長帯域の光を含む蛍光を発光する蛍光発光装置と、を備え、前記回転ホイール装置は、前記透過屈曲領域を透過した前記励起光の光軸と、前記フィルタ領域を透過した前記所定の波長帯域の蛍光の光軸とが重なるように配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の投影装置は、上記の光源装置と、画像光を生成する表示素子と、前記表示素子から出射された前記画像光を被投影体に投影する投影光学系と、前記光源装置と前記表示素子とを制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置の小型化を図りつつ、色ムラの発生を低減することができる光源装置と、この光源装置を備える投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る投影装置の機能回路ブロックを示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る投影装置の内部構造を示す平面模式図である。
【
図3】第1実施形態に係る回転ホイール装置を示す模式図であり、(a)は回転ホイールの平面模式図であり、(b)は(a)のIIIb-IIIb断面を示す断面模式図である。
【
図4】(a)は
図3(b)の破線で囲まれる部分を拡大した回転ホイール装置の断面模式図であり、(b)は(a)で示した部分の変形例に係る断面模式図であり、(c)は(a)で示した部分の他の変形例に係る断面模式図である。
【
図5】第1実施形態の変形例に係る投影装置の内部構造を示す平面模式図である。
【
図6】第1実施形態に係る回転ホイール装置に照射された励起光が回転ホイール装置を透過する様子を示す平面模式図である。
【
図7】第1実施形態に係る回転ホイール装置に照射された励起光が回転ホイール装置で反射され、蛍光発光装置の蛍光発光領域に照射されて蛍光が発光する様子を示す平面模式図である。
【
図8】第2実施形態に係る回転ホイール装置に照射された励起光が回転ホイール装置を透過する様子、及び回転ホイール装置に照射された励起光が回転ホイール装置で反射され、蛍光発光装置の蛍光発光領域に照射されて蛍光が発光する様子を示す平面模式図である。
【
図9】(a)は回転ホイール装置の反射屈曲領域を拡大した断面模式図であり、(b)は(a)で示した部分の変形例に係る断面模式図であり、(c)は(a)で示した部分の他の変形例に係る断面模式図である。
【
図10】第3実施形態に係る回転ホイール装置に照射された励起光が回転ホイール装置を透過する様子、及び回転ホイール装置に照射された励起光が回転ホイール装置で反射され、蛍光発光装置の蛍光発光領域に照射されて蛍光が発光する様子を示す平面模式図である。
【
図11】第3実施形態に係る回転ホイールの平面模式図である。
【
図12】第4実施形態に係る投影装置の内部構造を示す平面模式図である。
【
図13】第4実施形態に係る回転ホイール装置を示す模式図であり、(a)は回転ホイールの平面模式図であり、(b)は(a)のXIIIb-XIIIb断面を示す断面模式図である。
【
図14】(a)は
図13(b)の破線で囲まれる部分を拡大した回転ホイール装置の断面模式図であり、(b)は(a)で示した部分の変形例に係る断面模式図である。
【
図15】第4実施形態に係る回転ホイール装置に照射された励起光が回転ホイール装置を屈曲して透過する様子を示す平面模式図である。
【
図16】第4実施形態に係る回転ホイール装置に照射された励起光が回転ホイール装置を透過し、蛍光発光装置の蛍光発光領域に照射されて蛍光が発光する様子を示す平面模式図である。
【
図17】第5実施形態に係る回転ホイール装置に照射された励起光が回転ホイール装置を透過する様子、及び回転ホイール装置に照射された励起光が回転ホイール装置を透過し、蛍光発光装置の蛍光発光領域に照射されて蛍光が発光する様子を示す平面模式図である。
【
図18】第6実施形態に係る回転ホイール装置に照射された励起光が回転ホイール装置で反射する様子、及び回転ホイール装置に照射された励起光が回転ホイール装置を透過し、蛍光発光装置の蛍光発光領域に照射されて蛍光が発光する様子を示す平面模式図である。
【
図19】(a)は第6実施形態に係る回転ホイール装置の一部を拡大した断面模式図であり、(b)は第6実施形態に係る回転ホイール装置の他の一部を拡大した断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図7を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、投影装置10の機能回路ブロック図である。投影装置制御部は、画像変換部23と制御部38とを含むCPU、入出力インターフェース22を含むフロントエンドユニット、表示エンコーダ24と表示駆動部26等から構成される。入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバスSBを介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0012】
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶した上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0013】
表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜のフレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子50を駆動する。一実施形態では、表示素子50は、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)である。投影装置10は、光源装置60から出射された光線束を、導光光学系を介して表示素子50に照射することにより、表示素子50の反射光で光画像を形成し、投影光学系220(
図2参照)を介して図示しないスクリーン等の被投影体に画像を投影表示する。なお、この投影光学系220の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動を行うことができる。
【0014】
また、画像圧縮/伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体であるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。さらに、画像圧縮/伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力する。よって、画像圧縮/伸長部31は、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の出力を行うことができる。
【0015】
制御部38は、投影装置10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成される。
【0016】
キー/インジケータ部37は、筐体に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成される。キー/インジケータ部37の操作信号は、制御部38に直接送出される。また、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36でコード信号に復調されて制御部38に出力される。
【0017】
制御部38はシステムバスSBを介して音声処理部47と接続されている。音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0018】
制御部38は、光源制御回路41を制御している。光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源装置60から出射されるように、光源装置60の励起光照射装置70や回転ホイール装置100(
図2参照)の動作を個別に制御する。
【0019】
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源装置60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファン81の回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等により投影装置10本体の電源オフ後も冷却ファン81の回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によっては投影装置10本体の電源をオフにする等の制御も行う。
【0020】
次に、投影装置10の内部構造について説明する。
図2は、投影装置10の内部構造を示す平面模式図である。ここで、投影装置10の筐体は、略箱状に形成されて、図示しない上面パネル及び下面パネルと、正面パネル12、背面パネル13、右側パネル14及び左側パネル15を備える。なお、以下の説明においては、投影装置10における左右とは投影口12aからの投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10の被投影体側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0021】
投影装置10は、左側パネル15の近傍に制御回路基板242を備える。この制御回路基板242は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等を備えている。また、投影装置10は、投影装置10の略中央部分に配された光源装置60と、光源装置60の左側に配された光源光学系170と、光源光学系170と制御回路基板242との間に配された投影光学系220と、を備える。
【0022】
光源装置60は、青色波長帯域光(第一波長帯域光)の光源であって励起光の光源でもある励起光照射装置70と、赤色波長帯域光(第三波長帯域光)及び緑色波長帯域光(第四波長帯域光)の光源である赤緑色光源装置80と、回転ホイール装置100と、固定蛍光体200(蛍光発光装置)と、を備える。赤緑色光源装置80は、励起光照射装置70と回転ホイール装置100と固定蛍光体200により構成される。また、光源装置60には、回転ホイール装置100で反射した励起光を固定蛍光体200側に導光するとともに固定蛍光体200の蛍光発光領域202から発せられる蛍光を回転ホイール装置100側に導光する導光光学系140と、回転ホイール装置100を透過した光を導光する光源光学系170と、が配置されている。
【0023】
励起光照射装置70は、任意の位置に配置することができ、本実施形態では、投影装置10の中央付近の正面パネル12側に配置される。励起光照射装置70は、共通の保持部材に保持され、半導体発光素子である複数の青色レーザダイオード71(励起光源)と、コリメータレンズ73とを備える。複数の青色レーザダイオード71は、マトリクス状に配置される。青色レーザダイオード71の正面パネル12側には冷却ファン81が設けられており、青色レーザダイオード71及び回転ホイール装置100が冷却される。
【0024】
コリメータレンズ73は、各青色レーザダイオード71の光軸上にそれぞれ配置され、青色レーザダイオード71からの出射光の指向性を高めるように各々平行光に変換する。各コリメータレンズ73は、対応する青色レーザダイオード71の光軸に対して、マトリクス状に配置された中央側の青色レーザダイオード71側へずれて配置される。各青色レーザダイオード71から出射される青色波長帯域光はコリメータレンズ73により所定の範囲に制限された光束となる。なお、コリメータレンズ73と回転ホイール装置100の間の光路上に、各コリメータレンズ73を介して各青色レーザダイオード71から出射される青色波長帯域光を集光する集光レンズ等の光学部材を配置してもよい。
【0025】
なお、本実施形態においては、青色レーザダイオード71の光軸上にコリメータレンズ73を配置した例について示しているが、青色レーザダイオード71の光軸上に光ファイバを配置する等してもよい。この場合、励起光照射装置70は、光ファイバをさらに備え、各青色レーザダイオード71の光軸上に光ファイバの入射部が配置され、光ファイバの出射部は、回転ホイール装置100側に向けて配置される。上記光ファイバを使用する場合、各青色レーザダイオード71の配置は、
図2の位置に限定されない。一実施形態では、各青色レーザダイオード71は、投影装置10の筐体の外側に配置されていてもよい。また、本実施形態においては、複数の青色レーザダイオード71を配置した例について示しているが、1個の青色レーザダイオード71を配置して励起光の光源としてもよい。また、励起光源は、第一波長帯域光を発する光源であれば、青色レーザダイオードに限定されない。一実施形態では、励起光源として、青色LED(Light Emitting Diode)を使用してもよい。
【0026】
ここで、回転ホイール装置100の構成について説明する。回転ホイール装置100は、励起光照射装置70から出射される励起光の光路上であって、コリメータレンズ73の出射側に配置される。回転ホイール装置100は、回転ホイール101、及びモータ110を有する。
図3(a)、
図3(b)に示すように、回転ホイール101は円板状に形成され、その中央部がモータ110のモータ軸110aに軸支されており、モータ110が駆動することにより回転ホイール101がモータ軸110a周りに回転駆動する。回転ホイール101は、励起光照射装置70から出射される光が回転ホイール101の板面(表面)に対して斜めに入射するように、後述する固定蛍光体200の蛍光発光領域202を含む面に対して傾斜した角度で配置される。なお、光源装置60では、励起光照射装置70及び後述する固定蛍光体200が回転ホイール101の表面側(モータ110が配置された側とは反対側)に配置されている。言い換えれば、励起光照射装置70と、固定蛍光体200とは、回転ホイール101の板面に対して同じ側に配置されており、励起光照射装置70および固定蛍光体200(蛍光発光装置)は、回転ホイール101の板面を向いて配置されている。
【0027】
回転ホイール101は、透過性を有するガラスや樹脂等の透明な材料で形成され、フィルタ領域104と透過屈曲領域106を有するカラーホイールである。フィルタ領域104は、回転ホイール101の両板面のうち励起光照射装置70側に第1のフィルタ領域104aと第2のフィルタ領域104bとを含む。透過屈曲領域106は、回転ホイール101の両板面のうち励起光照射装置70側(表面側)におけるフィルタ領域104とは異なる領域に設けられている。第1のフィルタ領域104a、第2のフィルタ領域104b、及び透過屈曲領域106aは回転ホイール101の周方向に並設され、
図3(a)に示す例ではそれぞれ略120度の角度範囲で配置される。なお、第1のフィルタ領域104aと第2のフィルタ領域104bと透過屈曲領域106aの各領域が占める割合はそれぞれ略120度の角度範囲に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0028】
フィルタ領域104における第1のフィルタ領域104a及び第2のフィルタ領域104bは、ダイクロイックミラー加工されており、後述する蛍光発光領域202から発せられる蛍光の波長帯域のうちの一部の波長帯域の光を透過し、励起光からなる所定の波長帯域の光と、上記蛍光の波長帯域のうちの他の一部の波長帯域の光と、を反射する。具体的には、第1のフィルタ領域104aは、緑色波長帯域光(第四波長帯域光)を透過し、励起光の波長帯域とされる青色波長帯域光(第一波長帯域光)と赤色波長帯域光(第三波長帯域光)とを反射する。第2のフィルタ領域104bは、赤色波長帯域光を透過し、青色波長帯域光と緑色波長帯域光とを反射する。
【0029】
図3(b)は、回転ホイール101の断面模式図である。回転ホイール101は、第1のフィルタ領域104a及び第2のフィルタ領域104bと対応する反対側の面(励起光照射装置70側とは反対側の面)の領域に、励起光反射領域105を含む。励起光反射領域105は、励起光の波長帯域である青色波長帯域以外の波長帯域の光を透過して、青色波長帯域光を反射する。
【0030】
透過屈曲領域106は、励起光の波長帯域とされる青色波長帯域光を屈曲させて透過する。透過屈曲領域106に入射した青色波長帯域光は、後述するライトトンネル175側に向けて導光されるように屈折される。具体的には、透過屈曲領域106に入射した青色波長帯域光は、その光軸が後述する導光光学系170の導光方向と重なるような角度に屈曲される。本実施形態では、
図4(a)に示すように、透過屈曲領域106に青色波長帯域光を回折させる透過回折格子106a(回折格子)が形成されている。透過屈曲領域106を構成する透過回折格子106aは、回転ホイール101の板面に溝を設けることで容易に形成することができる。透過回折格子106aが形成されていることにより、透過屈曲領域106に入射した青色波長帯域光は、
図4(a)の矢印で示すような光路で導光される。この透過屈曲領域106には、必要に応じて青色波長帯域光を拡散させる拡散性を持たせてもよい。
【0031】
なお、本実施形態においては、透過屈曲領域106に透過回折格子106aを形成した例について示しているが、
図4(b)に示すように、透過屈曲領域106に青色波長帯域光を屈折させる傾斜面を有し、同心円状に配置された複数の微小な透過屈折部材106b2(屈折部材)を形成してもよい。また、
図4(c)に示すように、透過屈曲領域106に青色波長帯域光を屈折させる傾斜面を有する1つの透過屈折部材106cを形成してもよい。この場合、透過屈曲領域106に入射した青色波長帯域光は、
図4(b)、
図4(c)の矢印で示すような光路で導光される。透過屈折部材106b,106cにより構成される透過屈曲領域106は、回転ホイール101の板面上に透過屈折部材106b,106cを設けることで、容易に形成することができる。
【0032】
回転ホイール101は、透過屈曲領域106と対応する反対側の面(励起光照射装置70側とは反対側の面)の領域に、透過拡散領域107を含む。透過拡散領域107は、透過屈曲領域106を透過した青色波長帯域光を透過して拡散させる。一実施形態では、回転ホイール101は、透過拡散領域107を有していなくてもよい。例えば、青色波長帯域光が回転ホイール101で拡散されなくても被投影体に投影される画像の画質が良好であれば回転ホイール101は、透過拡散領域107を有していなくてもよい。
【0033】
回転ホイール装置100は、透過屈曲領域106で屈曲されるとともに透過屈曲領域106を透過した青色波長帯域光の光軸と、第1のフィルタ領域104a又は第2のフィルタ領域104bを透過した蛍光の光軸と、が重なるように配置されている。即ち、回転ホイール装置100は、透過屈曲領域106を透過する青色波長帯域光を、フィルタ領域104を透過する緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光と同一の光軸に合成する機能を有する。具体的には、励起光照射装置70、回転ホイール装置100、及び固定蛍光体200(蛍光発光装置)は、透過屈曲領域106を透過した青色波長帯域光の光軸と、フィルタ領域104を透過した蛍光の光軸と、が重なるように配置されている。
【0034】
図2に戻り、導光光学系140は、第1集光レンズ141(導光部材)及び第2集光レンズ142(導光部材)を備えている。第1集光レンズ141は第2集光レンズ142より小径とされ、第2集光レンズ142と固定蛍光体200の間に配置される。第1集光レンズ141及び第2集光レンズ142は、回転ホイール装置100のフィルタ領域104で反射された青色波長帯域光の光線束を固定蛍光体200に向けて屈折させるとともに固定蛍光体200から回転ホイール装置100側に向けて出射された光線束を集光する。具体的には、固定蛍光体200から回転ホイール装置100側に向けて出射された光線束は、回転ホイール101の第1のフィルタ領域104a又は第2のフィルタ領域104bに入射するように集光される。
【0035】
固定蛍光体200は、基材201及び蛍光発光領域202等から構成される。基材201は、銅やアルミニウム等の金属材料により形成することができる。基材201の回転ホイール装置100側の表面には、銀蒸着等によりミラー加工された平坦状の反射部が形成されている。蛍光発光領域202は、基材201の表面の反射部上に配置される。固定蛍光体200の右側パネル14側には第1ヒートシンク150が設けられており、固定蛍光体200が冷却される。
【0036】
蛍光発光領域202は、蛍光体粒子を分散させた蛍光体層からなる。蛍光体粒子は、蛍光発光領域202に照射された励起光としての青色波長帯域光により励起され、黄色波長帯域光(第二波長帯域光)の蛍光が発せられる。蛍光発光領域202に照射された励起光の一部は蛍光体粒子を励起し、これにより蛍光発光領域202から蛍光が発せられ、他の一部はミラー加工された基材201の反射部で反射されて蛍光体粒子を励起するが、基材201の反射部で反射された励起光の一部は蛍光体粒子を励起せず、そのまま蛍光発光領域202から出射される。また、蛍光体粒子が励起されると、蛍光が全方位に発せられ、一部はそのまま、他の一部は基材201で反射されて蛍光体領域202から出射される。
【0037】
蛍光体領域202から出射されて回転ホイール装置100のフィルタ領域104に入射した黄色波長帯域の蛍光は、フィルタ領域104によって励起光の波長帯域と異なる所定の波長帯域の光に分光される。具体的には、黄色波長帯域の蛍光は、赤色波長帯域光と緑色波長帯域光を含み、第1のフィルタ領域104aにより赤色波長帯域光が反射して取り除かれ、緑色波長帯域光が分光され、第2のフィルタ領域104bにより緑色波長帯域光は反射して取り除かれ、赤色波長帯域光が分光されて回転ホイール101を透過する。
【0038】
なお、本実施形態においては、光源装置60が赤緑色光源装置80を備える構成としたが、赤色波長帯域光を出射する赤色光源装置を別途設け、固定蛍光体200の蛍光発光領域202を緑色波長帯域の蛍光を発する蛍光体層からなるものとしてもよい。この場合、回転ホイール装置100の回転ホイール101は、フィルタ領域104に換えて、青色波長帯域光を反射して緑色波長帯域光を透過するフィルタ領域と、透過屈曲領域106とを有する。そして、導光光学系140とライトトンネル175の間には、青色及び緑色波長帯域光を透過し赤色波長帯域光を反射するダイクロイックミラーが配置される。赤色発光ダイオード等の半導体発光素子からなる赤色光源を備える赤色光源装置は、出射する赤色波長帯域光が背面パネル13から正面パネル12の方向で該ダイクロイックミラーに向けて出射するよう配置される。該ダイクロイックミラーにより反射された赤色波長帯域光は、ライトトンネル175に入射される。固体蛍光体200からの緑色波長帯域の蛍光は、該フィルタ領域と該ダイクロイックミラーを透過してライトトンネル175に入射する。透過屈曲領域106により屈曲して透過した青色波長帯域光は、該ダイクロイックミラーを透過してライトトンネル175に入射する。
【0039】
光源光学系170は、導光部材としてのライトトンネル175、第3集光レンズ178、第4集光レンズ179、照射ミラー185、及びコンデンサレンズ195等から構成される。なお、コンデンサレンズ195は、コンデンサレンズ195の背面パネル13側に配置される表示素子50から出射された画像光を投影光学系220に向けて出射するので、投影光学系220の一部でもある。
【0040】
ライトトンネル175、第3集光レンズ178、第4集光レンズ179、照射ミラー185は順に、回転ホイール装置100の左側パネル15側の光軸上に配置される。ライトトンネル175の出射口から出射した光線束は、第3集光レンズ178及び第4集光レンズ179で集光された後、照射ミラー185により、コンデンサレンズ195を介して表示素子50に所定の角度で照射される。
【0041】
なお、本実施形態においては、光源光学系170の一部にライトトンネル175を配置した例について示しているが、ライトトンネル175の代わりに導光ロッドを配置してもよい。ライトトンネル175の代わりに導光ロッドを用いることにより光を効率的に導くことができる。また、本実施形態の変形例として、
図5に示すように、ライトトンネル175の代わりにマイクロレンズアレイ90を配置し、第3集光レンズ178の代わりに凹レンズ181を配置してもよい。マイクロレンズアレイ90を用いることにより、ライトトンネル175等を用いる場合に比して省スペース化を図ることができる。
【0042】
投影光学系220は、コンデンサレンズ195、可動レンズ群235、固定レンズ群225により構成される。コンデンサレンズ195の正面パネル12側の光軸上に配置される固定レンズ群225は、固定鏡筒に内蔵され、手動又は自動により移動されることにより、ズーム調整やフォーカス調整を可能としている。
【0043】
次に、回転ホイール装置100の光の出入射を説明する。まず、
図6に基づいて、回転ホイール装置100から励起光である青色波長帯域光が出射する場合について説明する。ここで、励起光(
図6において実線で示す光L1)が入射する回転ホイール101上の位置を照射スポットS1とする(
図3(a)も参照)。
図6では、照射スポットS1に、回転ホイール101の透過屈曲領域106が位置している。
【0044】
励起光照射装置70から出射された励起光は、回転ホイール101の表側の板面に対して斜めに入射される。照射スポットS1に透過屈曲領域106が位置しているときには、回転ホイール101に対して斜めに入射した励起光は、回転ホイール101の透過屈曲領域106に入射する。透過屈曲領域106に入射した励起光は、透過屈曲領域106によりライトトンネル175側へ屈曲されつつ透過屈曲領域106を透過し、さらに透過拡散領域107で拡散されつつ透過拡散領域107を透過して、ライトトンネル175に向けて出射される。このようにして、青色波長帯域光とされる励起光は、光源光として利用することができる。
【0045】
次に、
図7に基づいて、回転ホイール装置100から緑色波長帯域光の蛍光が出射される場合、及び回転ホイール装置100から赤色波長帯域光の蛍光が出射される場合について説明する。
図7では、照射スポットS1に、回転ホイール101のフィルタ領域104における第1のフィルタ領域104a又は第2のフィルタ領域104bが位置する。
【0046】
励起光照射装置70から出射されて回転ホイール101の板面(表面)に対して斜めに入射した励起光は、回転ホイール101のフィルタ領域104における第1のフィルタ領域104a又は第2のフィルタ領域104bに入射する。フィルタ領域104に入射した励起光は、フィルタ領域104により導光光学系140側へ反射される。
【0047】
導光光学系140側へ反射された励起光(
図7において実線で示す光L2)は、第2集光レンズ142に入射し、第2集光レンズ142、第1集光レンズ141と順に屈折されて、固定蛍光体200の蛍光発光領域202を照射する。光源装置60では、回転ホイール101が、固定蛍光体200の蛍光発光領域202を含む面に対して傾斜する角度で配置されていることにより、フィルタ領域104で反射した励起光を第1集光レンズ141及び第2集光レンズ142によって集光することができる。蛍光発光領域202の蛍光体粒子に励起光が照射されると、黄色波長帯域の蛍光(
図7において一点鎖線で示す光L3)が全方位に発せられる。ここで、蛍光発光領域202から出射される光には、黄色波長帯域の蛍光と、蛍光体粒子に照射されずにそのまま基材201により反射された励起光(以下、「残留励起光」という。)が存在する。蛍光体領域202から出射された蛍光及び残留励起光のうち光源光学系140側へ出射された蛍光及び残留励起光は、第1集光レンズ141及び第2集光レンズ142により集光され、回転ホイール101に入射する。
【0048】
回転ホイール101の照射スポットS1に第1のフィルタ領域104aが位置する場合には、第1のフィルタ領域104aにより、黄色波長帯域の蛍光のうち赤色波長帯域の蛍光が反射して取り除かれて、緑色波長帯域の蛍光が第1のフィルタ領域104aを透過する。また、第1のフィルタ領域104aに入射した残留励起光の一部は第1のフィルタ領域104aにより反射して取り除かれる。そして、第1のフィルタ領域104aで除去しきれず透過した残留励起光は、励起光反射領域104cにより反射され除去される。同様に、照射スポットS1に第2のフィルタ領域104bが位置する場合には、第2のフィルタ領域104bにより、黄色波長帯域の蛍光のうち緑色波長帯域の蛍光が反射して取り除かれて、赤色波長帯域の蛍光が第2のフィルタ領域104bを透過する。第2のフィルタ領域104bに入射した残留励起光の一部は第2のフィルタ領域104bにより反射して取り除かれる。そして、第2のフィルタ領域104bで除去しきれず透過した残留励起光は、励起光反射領域104cにより反射され除去される。このように励起光反射領域104cを介することにより、残留励起光がほぼ除去された赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光(
図7において一点鎖線で示す光L4)を得ることができる。一実施形態では、フィルタ領域104は、励起光反射領域105を有していなくてもよい。例えば、残留励起光が第1のフィルタ領域104a及び第2のフィルタ領域104bで許容されるレベルまで除去される場合は、フィルタ領域104は、励起光反射領域105を有してなくてもよい。
【0049】
フィルタ領域104を透過した赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光は、ライトトンネル175に向けて出射される。このとき、回転ホイール装置100からライトトンネル175に向かう赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光の光路は、回転ホイール装置100からライトトンネル175に向かう励起光の光路と同一である。即ち、回転ホイール装置100は、透過屈曲領域106を透過した励起光の光軸と、フィルタ領域104を透過した赤色波長帯域光、緑色波長帯域光の光軸とが重なるような位置及び角度で配置されている。
【0050】
以上のように光源装置60では、励起光である青色波長帯域光の光路と励起光と異なる赤色波長帯域光の光路及び緑色波長帯域光の光路とが同一光路となることにより、励起光の光路と励起光と異なる波長帯域光の光路とが別光路となった従来の光源装置に比して部材点数を減らすことができ、装置の小型化、高効率化を図ることができる。また、光源装置60では、励起光の光路と励起光と異なる波長帯域光の光路とが別光路となることによる誤差に起因する色ムラの発生を低減することができる。また、回転ホイール101は、励起光を屈曲させて透過する透過屈曲領域106を有しているため、励起光を屈曲させるための部材を必要とせず、装置の小型化を図ることができる。
【0051】
さらに光源装置60では、励起光である青色波長帯域光を光源光学系170側へ出射させる場合、青色波長帯域光を回転ホイール装置100の透過屈曲領域106aで屈曲させることにより、固定蛍光体200を介することなく青色波長帯域光を光源光学系170側へ導くことができる。このため、回転ホイール装置100と固定蛍光体200との間で青色波長帯域光の光路と固定蛍光体200から発せられた蛍光の光路とが重なることがなく、カラーホイール等による分光によって青色波長帯域光を出射させる構成を別途設ける必要がないため、装置の小型化を図ることができる。
【0052】
また、光源装置60では、励起光照射装置70及び固定蛍光体200が回転ホイール101の表面側、即ちモータ110が配置された側とは反対側に配置されている。これにより、励起光照射装置70及び固定蛍光体200がモータ110から発生する熱の影響を受け難く、励起光照射装置70及び固定蛍光体200を効率良く放熱することができるため、光源装置60に設ける冷却ファンの小型化を図ることができ、装置の小型化を図ることができる。
【0053】
また、投影装置10は、光源装置60からの光源光が照射され、画像光を生成する表示素子50と、表示素子50から出射された画像光をスクリーン等の被投影体に投影する投影光学系220と、光源装置60と表示素子50とを制御する制御部と、を有する。これにより、装置の小型化、高効率化を図ることができ、色ムラの発生を低減することができる投影装置10を提供することができる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、
図8及び
図9を参照して本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略又は簡素化する。第2実施形態に係る光源装置においては、回転ホイール装置300の回転ホイール301が、固定蛍光体200の基材201の回転ホイール装置300側に向けられた面(蛍光発光領域202を含む面)に対して平行となる角度で、回転ホイール装置300が配置される。
【0055】
また、回転ホイール301におけるフィルタ領域304は、回転ホイール301の両板面のうち励起光照射装置70側とは反対側に、第1のフィルタ領域と第2のフィルタ領域とを含む。第1のフィルタ領域と第2のフィルタ領域は、励起光照射装置70側とは反対側の面において、透過屈曲領域106と対応する反対側の面の領域(透過拡散領域107)と周方向に並設される。
【0056】
回転ホイール301は、回転ホイール301の両板面のうち励起光照射装置70側であって、第1のフィルタ領域及び第2のフィルタ領域と対応する反対側の面の領域に、反射屈曲領域305を含む。反射屈曲領域305は、回転ホイール301の板面に対して斜めに入射した励起光である青色波長帯域光を、回転ホイール301の板面の法線方向に反射する。なお、反射屈曲領域305は、青色波長帯域光を反射して、青色波長帯域以外の波長帯域の光を透過するようダイクロイックコーティング等が施されている。本実施形態では、
図9(a)に示すように、反射屈曲領域305に、青色波長帯域光を回転ホイール301の板面の法線方向に反射しつつ回折させる反射回折格子305aが形成されている。反射回折格子305aが形成されていることにより、反射屈曲領域305に入射した青色波長帯域光は、
図9(a)の矢印で示すような光路で反射される。この反射屈曲領域305には、必要に応じて青色波長帯域光を拡散させる拡散性を持たせてもよい。
【0057】
なお、本実施形態においては、反射屈曲領域305に反射回折格子305aを形成した例について示しているが、
図9(b)に示すように、反射屈曲領域305に青色波長帯域光を所定の角度に反射させる傾斜面を有する複数の微小な反射屈折部材305b(屈折部材)を形成してもよい。また、
図9(c)に示すように、反射屈曲領域305に青色波長帯域光を所定の角度に反射させる傾斜面を有する1つの反射屈折部材305cを形成してもよい。この場合、所定の角度は青色波長帯域光を導光光学系140側へ反射させる角度であり、反射屈曲領域305に入射した青色波長帯域光は、
図9(b)、
図9(c)の矢印で示すような光路で反射される。
【0058】
次に、
図8に基づいて、第2実施形態の光源装置において、回転ホイール装置300から緑色波長帯域光の蛍光が出射される場合、及び回転ホイール装置300から赤色波長帯域光の蛍光が出射される場合の光の出入射について説明する。励起光照射装置70から出射されて回転ホイール301の板面に対して斜めに入射した励起光は、回転ホイール301の反射屈曲領域305に入射する。反射屈曲領域305に入射した励起光は、反射屈曲領域305により回転ホイール301の板面の法線方向に反射され、導光光学系140側へ向かう。
【0059】
導光光学系140側へ反射された励起光(
図8において実線で示す光L5)は、その光軸が第1集光レンズ141の光軸方向及び第2集光レンズ142の光軸方向に沿った形で、第2集光レンズ142、第1集光レンズ141と順に入射し、固定蛍光体200の蛍光発光領域202を照射する。このとき励起光は、固定蛍光体200の基材201の板面に対して垂直となる形で蛍光発光領域202を照射する。励起光が蛍光発光領域202を照射することにより蛍光発光領域202から発せられた黄色波長帯域の蛍光(
図8において一点鎖線で示す光L6)及び残留励起光は、第1集光レンズ141及び第2集光レンズ142により集光されて、回転ホイール301の反射屈曲領域305に入射する。本実施形態では、回転ホイール301を蛍光発光装置200の蛍光発光領域202を含む面に対して平行となる角度で配置した場合であっても、回転ホイール301の反射屈曲領域305で反射した励起光を蛍光発光領域202に照射させることができるため、回転ホイール301を蛍光発光領域202に対して傾斜させる場合に比して光源装置60の設計を容易にすることができる。
【0060】
回転ホイール301の反射屈曲領域305に入射した蛍光は、反射屈曲領域305を透過し、フィルタ領域304における第1のフィルタ領域又は第2のフィルタ領域に入射することで赤色波長帯域光又は緑色波長帯域光に分光され、ライトトンネル175に向けて出射される。このとき、回転ホイール装置300からライトトンネル175に向かう赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光の光路は、回転ホイール装置300からライトトンネル175に向かう励起光の光路と同一である。即ち、回転ホイール装置300は、透過屈曲領域106を透過した励起光の光軸と、フィルタ領域304を透過した赤色波長帯域光、緑色波長帯域光の光軸とが重なるような位置及び角度で配置されている。具体的には、励起光照射装置70、回転ホイール装置300、及び固定蛍光体200(蛍光発光装置)は、透過屈曲領域106を透過した励起光の光軸と、フィルタ領域304を透過した赤色波長帯域光、緑色波長帯域光の光軸と、が重なるような位置及び角度で配置されている。
【0061】
このように第2実施形態に係る光源装置においても、励起光である青色波長帯域光の光路と励起光と異なる赤色波長帯域光の光路及び緑色波長帯域光の光路とが同一光路となることにより、励起光の光路と励起光と異なる波長帯域光の光路とが別光路となった従来の光源装置に比して部材点数を減らすことができる。このため、装置の小型化、高効率化を図ることができ、色ムラの発生を低減することができる。
【0062】
(第3実施形態)
次に、
図10及び
図11を参照して本発明の第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略又は簡素化する。第3実施形態に係る光源装置は、蛍光発光装置としての蛍光ホイール装置400を備える。蛍光ホイール装置400は、円板状に形成された蛍光ホイール401と、蛍光ホイール401上に形成された蛍光発光領域402とを有する。蛍光ホイール401は、その中央部がモータのモータ軸に軸支されており、モータが駆動することにより蛍光ホイール401がモータ軸周りに回転駆動する。蛍光ホイール401の両板面のうち導光光学系140側には、銀蒸着等によりミラー加工された平坦状の反射部が形成されている。蛍光発光領域402は、蛍光ホイール401の表面の反射部上に環状に配置される。
【0063】
また、
図11に示すように、回転ホイール装置500における回転ホイール501は、回転ホイール501の両板面のうち励起光照射装置70側に、フィルタ領域504と透過屈曲領域506とを含む。さらに、フィルタ領域504は、第1のフィルタ領域504a、第2のフィルタ領域504b、及び第3のフィルタ領域504cを含む。第1のフィルタ領域504a、第2のフィルタ領域504b、第3のフィルタ領域504c、及び透過屈曲領域506は回転ホイール501の周方向に並設され、
図11に示す例ではそれぞれ略90度の角度範囲で配置される。
【0064】
第1のフィルタ領域504a、第2のフィルタ領域504b、及び第3のフィルタ領域504cはいずれもダイクロイックミラー加工されている。第1のフィルタ領域504aは、緑色波長帯域光を透過し、青色波長帯域光と赤色波長帯域光とを反射する。第2のフィルタ領域504bは、赤色波長帯域光を透過し、青色波長帯域光と緑色波長帯域光とを反射する。第3のフィルタ領域504cは、黄色波長帯域光を透過し、青色波長帯域光、緑色波長帯域光、及び赤色波長帯域光を反射する。
【0065】
図10に示すように、回転ホイール501のフィルタ領域504は、第1のフィルタ領域504a、第2のフィルタ領域504b、及び第3のフィルタ領域504cと対応する反対側の面の領域に励起光反射領域505を含む。また、回転ホイール501は、透過屈曲領域506と対応する反対側の面の領域に、透過拡散領域507を含む。本実施形態に係る光源装置では、色味設計に応じて、蛍光発光領域402から発せられた蛍光をフィルタ領域504の第3のフィルタ領域504cに透過させることで、黄色波長帯域光を光源光学系側に導くことができる。一実施形態では、回転ホイール501は、透過拡散領域507を有していなくてもよく、励起光反射領域505を有していなくてもよい。
【0066】
図10に示すように、第3実施形態に係る光源装置においても、励起光である青色波長帯域光の光路と励起光と異なる赤色波長帯域光、緑色波長帯域光、及び黄色波長帯域光の光路とが同一光路となる(
図10では、導光光学系140側へ反射された励起光(青色波長帯域光)、回転ホイール装置500を透過した励起光を実線で示し、蛍光ホイール装置400の蛍光発光領域402から出射した黄色波長帯域の蛍光、回転ホイール装置500を透過した赤色波長帯域光、緑色波長帯域光、黄色波長帯域光を一点鎖線で示している)。このため、第1実施形態に係る光源装置60、及び第2実施形態に係る光源装置と同様の作用効果(装置の小型化、高効率化、色ムラ発生の低減)を得ることができる。
【0067】
また、蛍光発光装置として蛍光ホイール装置400を用いることにより、蛍光発光領域402から出射される蛍光の色を、必要に応じて黄色波長帯域光以外の色に変えることができる。さらに、蛍光ホイール装置400を用いることにより、励起光が照射されることによる熱が蛍光発光領域402の一部に集中することを抑制することができる。
【0068】
一実施形態では、上述した第1実施形態および第2実施形態においても、蛍光発光装置として、固定蛍光体200に代えて蛍光ホイール装置400を用いてもよい。さらに一実施形態では、上述した第1実施形態および第2実施形態においても、
図10および
図11を参照して説明した回転ホイール501の構成を適用してもよい。具体的には、フィルタ領域104(またはフィルタ領域304)は、第1のフィルタ領域104a(またはフィルタ領域304の第1のフィルタ領域)および第2のフィルタ領域104b(またはフィルタ領域304の第2のフィルタ領域)と同じ側の面に、黄色波長帯域光を透過し、青色波長帯域光、緑色波長帯域光、及び赤色波長帯域光を反射する第3のフィルタ領域504cと同様な第3のフィルタ領域を有していてもよい。この場合、第1のフィルタ領域104a(またはフィルタ領域304の第1のフィルタ領域)、第2のフィルタ領域104b(またはフィルタ領域304の第2のフィルタ領域)、第3のフィルタ領域、及び透過屈曲領域106(または透過拡散領域107)は回転ホイール101,301の周方向に並設される。
【0069】
(第4実施形態)
次に、
図12~
図16を参照して本発明の第4実施形態について説明する。なお、第4実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略又は簡素化する。
図12に示すように、第4実施形態に係る投影装置10は、投影装置10の略中央部分に配された光源装置560と、光源装置560の左側に配された光源光学系170と、光源光学系170と制御回路基板242との間に配された投影光学系220と、を備える。
【0070】
光源装置560は、青色波長帯域光(第一波長帯域光)の光源であって励起光の光源でもある励起光照射装置70と、赤色波長帯域光(第三波長帯域光)及び緑色波長帯域光(第四波長帯域光)の光源である赤緑色光源装置80と、回転ホイール装置600と、固定蛍光体200(蛍光発光装置)と、を備える。励起光照射装置70は、回転ホイール装置600が有する回転ホイール601の板面を向いて配置されており、固定蛍光体200(蛍光発光装置)は、回転ホイール601の励起光照射装置70とは反対側の板面を向いて配置されている。励起光照射装置70の構成及び作用については、第1実施形態と同様である。赤緑色光源装置80は、励起光照射装置70と回転ホイール装置600と固定蛍光体200により構成される。また、光源装置560には、回転ホイール装置600を透過した励起光を固定蛍光体200側に導光するとともに固定蛍光体200の蛍光発光領域202から発せられる蛍光を回転ホイール装置600側に導光する導光光学系140と、回転ホイール装置600を透過した光を導光する光源光学系170と、が配置されている。
【0071】
次に、回転ホイール装置600が有する回転ホイールの構成601について説明する。回転ホイール601は、透過性を有するガラスや樹脂等の透明な材料で形成され、フィルタ領域604と透過屈曲領域606を有するカラーホイールである。回転ホイール601を回転駆動させるための構成については、第1実施形態と同様である(
図13(b)参照)。フィルタ領域604は、回転ホイール601の両板面のうち励起光照射装置70とは反対側(表面側)に第1のフィルタ領域604aと第2のフィルタ領域604bとを含む。透過屈曲領域606は、回転ホイール601の両板面のうち励起光照射装置70とは反対側(表面側)におけるフィルタ領域604とは異なる領域に設けられている。第1のフィルタ領域604a、第2のフィルタ領域604b、及び透過屈曲領域606は回転ホイール601の周方向に並設され、
図13(a)に示す例ではそれぞれ略120度の角度範囲で配置される。なお、第1のフィルタ領域604aと第2のフィルタ領域604bと透過屈曲領域606の各領域が占める割合はそれぞれ略120度の角度範囲に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0072】
フィルタ領域604における第1のフィルタ領域604a及び第2のフィルタ領域604bは、ダイクロイックミラー加工されており、後述する蛍光発光領域202から発せられる蛍光の波長帯域のうちの一部の波長帯域の光を反射し、励起光からなる所定の波長帯域の光と、上記蛍光の波長帯域のうちの他の一部の波長帯域の光と、を透過する。具体的には、第1のフィルタ領域604aは、緑色波長帯域光(第四波長帯域光)を反射し、励起光の波長帯域とされる青色波長帯域光(第一波長帯域光)と赤色波長帯域光(第三波長帯域光)とを透過する。第2のフィルタ領域604bは、赤色波長帯域光を反射し、青色波長帯域光と緑色波長帯域光とを透過する。
【0073】
透過屈曲領域606は、励起光の波長帯域とされる青色波長帯域光を屈曲させて透過する。透過屈曲領域606に入射した青色波長帯域光は、後述するライトトンネル175側に向けて導光されるように屈折される。具体的には、透過屈曲領域606に入射した青色波長帯域光は、その光軸が後述する導光光学系170の導光方向と重なるような角度に屈曲される。本実施形態では、
図14(a)に示すように、透過屈曲領域606に青色波長帯域光を回折させる透過回折格子606a(回折格子)が形成されている。過屈曲領域606aを構成する透過回折格子606aは、回転ホイール601の板面に溝を設けることで容易に形成することができる。透過回折格子606aが形成されていることにより、透過屈曲領域606に入射した青色波長帯域光は、
図14(a)の矢印で示すような光路で導光される。この透過屈曲領域606には、必要に応じて青色波長帯域光を拡散させる拡散性を持たせてもよい。
【0074】
なお、本実施形態においては、透過屈曲領域606を回転ホイール601の表面側に設け、透過屈曲領域606に透過回折格子606aを形成した例について示しているが、
図14(b)に示すように、回転ホイール601のうちフィルタ領域604と対応しない裏面の領域に透過屈曲領域606を設け、さらに回転ホイール601のうち透過屈曲領域606と対応する表面の領域に透過屈曲領域606を透過した青色波長帯域光を透過して拡散させる透過拡散領域607を設けてもよい。この場合、透過屈曲領域606に入射した青色波長帯域光は、
図14(b)の矢印で示すような光路で導光される。一実施形態では、透過屈曲領域606に
図4(b),(c)で示す構成を適用してもよい。すなわち、透過屈曲領域606に、青色波長帯域光を屈折させる傾斜面を有し、かつ同心円状に配置された複数の微小な透過屈折部材を形成してもよく、青色波長帯域光を屈折させる傾斜面を有する1つの透過屈折部材を形成してもよい。さらに一実施形態では、
図14(b)の構成において透過拡散領域607を設けなくてもよい。例えば、青色波長帯域光が回転ホイール601で拡散されなくても被投影体に投影される画像の画質が良好であれば、透過拡散領域607を設けなくてもよい。
【0075】
回転ホイール装置600は、透過屈曲領域606で屈曲されるとともに透過屈曲領域606を透過した青色波長帯域光の光軸と、フィルタ領域604(第1のフィルタ領域104a又は第2のフィルタ領域604b)で反射した蛍光の光軸と、が重なるように配置されている。即ち、回転ホイール装置600は、透過屈曲領域606を透過する青色波長帯域光を、フィルタ領域604で反射される緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光と同一の光軸に合成する機能を有する。具体的には、励起光照射装置70、回転ホイール装置600、及び固定蛍光体200(蛍光発光装置)は、透過屈曲領域606を透過した青色波長帯域光の光軸と、フィルタ領域604で反射した蛍光の光軸と、が重なるように配置されている。
【0076】
蛍光体領域202から出射されて回転ホイール装置600のフィルタ領域604に入射した黄色波長帯域の蛍光は、フィルタ領域604によって励起光の波長帯域と異なる所定の波長帯域の光に分光される。具体的には、黄色波長帯域の蛍光は、赤色波長帯域光と緑色波長帯域光を含み、第1のフィルタ領域604aにより赤色波長帯域光が透過して取り除かれ、緑色波長帯域光が分光されて回転ホイール601で反射し、第2のフィルタ領域604bにより緑色波長帯域光が透過して取り除かれ、赤色波長帯域光が分光されて回転ホイール601で反射する。
【0077】
次に、回転ホイール装置600の光の出入射を説明する。まず、
図15に基づいて、回転ホイール装置600から励起光である青色波長帯域光が出射する場合について説明する。ここで、励起光(
図15において実線で示す光L7)が入射する回転ホイール601上の位置を照射スポットS2とする(
図13(a)も参照)。
図15では、照射スポットS2に、回転ホイール601の透過屈曲領域606が位置している。
【0078】
励起光照射装置70から出射された励起光は、回転ホイール601の裏面に対して斜めに入射される。照射スポットS2に透過屈曲領域606が位置しているときには、回転ホイール601に対して斜めに入射した励起光は、回転ホイール601の透過屈曲領域606に入射する。透過屈曲領域606に入射した励起光は、透過屈曲領域606によりライトトンネル175側へ屈曲されつつ透過屈曲領域606を透過して、ライトトンネル175に向けて出射される。このようにして、青色波長帯域光とされる励起光は、光源光として利用することができる。なお、回転ホイール601において透過屈曲領域606と対応する表面の領域に透過拡散領域607が設けられている場合、回転ホイール601に対して斜めに入射した励起光は、透過屈曲領域606で屈曲された後、透過拡散領域607で拡散されて、ライトトンネル175に向けて出射される。
【0079】
次に、
図16に基づいて、回転ホイール装置600から緑色波長帯域光の蛍光が出射される場合、及び回転ホイール装置600から赤色波長帯域光の蛍光が出射される場合について説明する。
図16では、照射スポットS2に、回転ホイール601のフィルタ領域604における第1のフィルタ領域604a又は第2のフィルタ領域604bが位置する。
【0080】
励起光照射装置70から出射されて回転ホイール601の板面(裏面)に対して斜めに入射した励起光は、回転ホイール601のフィルタ領域604における第1のフィルタ領域604a又は第2のフィルタ領域604bに入射する。フィルタ領域604に入射した励起光は、フィルタ領域604を屈曲することなく透過して導光光学系140側へ出射される。
【0081】
導光光学系140側へ出射された励起光(
図16において実線で示す光L8)は、第2集光レンズ142にその正面から入射し、第2集光レンズ142、第1集光レンズ141と順に透過して、固定蛍光体200の蛍光発光領域202を照射する。光源装置560では、励起光出射装置70が、固定蛍光体200の蛍光発光領域202を含む面に対して回転ホイール601を挟んで対向する形で配置されていることにより、フィルタ領域604を透過した励起光を第1集光レンズ141及び第2集光レンズ142にその正面から入射させることができる。蛍光発光領域202の蛍光体粒子に励起光が照射されると、黄色波長帯域の蛍光(
図16において一点鎖線で示す光L9)が全方位に発せられる。ここで、蛍光発光領域202から出射される光には、黄色波長帯域の蛍光と、蛍光体粒子に照射されずにそのまま基材201により反射された残留励起光が存在する。蛍光体領域202から出射された蛍光及び残留励起光のうち光源光学系140側へ出射された蛍光及び残留励起光は、第1集光レンズ141及び第2集光レンズ142により集光され、回転ホイール601に対してその表面から入射する。
【0082】
回転ホイール601の照射スポットS2に第1のフィルタ領域604aが位置する場合には、第1のフィルタ領域604aにより、黄色波長帯域の蛍光のうち赤色波長帯域の蛍光が透過して取り除かれて、緑色波長帯域の蛍光が第1のフィルタ領域604aで反射する。また、第1のフィルタ領域604aに入射した残留励起光は第1のフィルタ領域604aを透過することにより取り除かれる。同様に、照射スポットS2に第2のフィルタ領域604bが位置する場合には、第2のフィルタ領域604bにより、黄色波長帯域の蛍光のうち緑色波長帯域の蛍光が透過して取り除かれて、赤色波長帯域の蛍光が第2のフィルタ領域604bで反射する。第2のフィルタ領域604bに入射した残留励起光は第2のフィルタ領域604bを透過することにより取り除かれる。このようにして、残留励起光がほぼ除去された赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光(
図16において一点鎖線で示す光L10)を得ることができる。
【0083】
フィルタ領域604で反射した赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光は、ライトトンネル175に向けて出射される。光源装置560では、回転ホイール601が、固定蛍光体200の蛍光発光領域202を含む面に対して傾斜する角度で配置されていることにより、フィルタ領域604で反射した赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光をライトトンネル175へ導くことができる。このとき、回転ホイール装置600からライトトンネル175に向かう赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光の光路は、回転ホイール装置600からライトトンネル175に向かう励起光の光路と同一である。即ち、回転ホイール装置600は、透過屈曲領域606を透過した励起光の光軸と、フィルタ領域604で反射した赤色波長帯域光、緑色波長帯域光の光軸とが重なるような位置及び角度で配置されている。
【0084】
以上のように光源装置560では、励起光である青色波長帯域光の光路と励起光と異なる赤色波長帯域光の光路及び緑色波長帯域光の光路とが同一光路となることにより、励起光の光路と励起光と異なる波長帯域光の光路とが別光路となった従来の光源装置に比して部材点数を減らすことができ、装置の小型化、高効率化を図ることができる。また、光源装置560では、励起光の光路と励起光と異なる波長帯域光の光路とが別光路となることによる誤差に起因する色ムラの発生を低減することができる。また、回転ホイール601は、励起光を屈曲させて透過する透過屈曲領域606を有しているため、励起光を屈曲させるための部材を必要とせず、装置の小型化を図ることができる。
【0085】
また、光源装置560では、励起光照射装置70は、回転ホイール601の板面を挟んで固定蛍光体200が配置された側とは反対側に配置されている。これにより、励起光照射装置70から出射される励起光を導光光学系140へ入射させ易くなるため、励起光照射装置70の配置自由度を高めることができ、光軸調整を容易に行うことができる。
【0086】
(第5実施形態)
次に、
図17を参照して本発明の第5実施形態について説明する。なお、第5実施形態の説明において、第4実施形態と同様の構成については、その説明を省略又は簡素化する。第5実施形態に係る光源装置660は、励起光照射装置70、固定蛍光体200、導光光学系140の配置、回転ホイール装置700の配置及び構成が第4実施形態のものと異なる。
図7に示すように、光源装置660では、励起光照射装置70から出射される励起光の光軸上にライトトンネル175が位置するように励起光照射装置70がライトトンネル175に対して対向する形で配置される。
【0087】
回転ホイール装置700における回転ホイール701は、励起光照射装置70から出射される光が回転ホイール701の板面(裏面)に対して斜めに入射するように、固定蛍光体200の蛍光発光領域202を含む面に対して傾斜した角度で配置される。回転ホイール701は、その板面において同じ領域にフィルタ領域704と透過屈曲領域706とを含む。即ち、回転ホイール701は、その両板面のうち励起光照射装置70とは反対側(表面側)にフィルタ領域704を含み、フィルタ領域704と対応する裏面の領域に透過屈曲領域706を含む。また、フィルタ領域704は、回転ホイール701の周方向に並設された第1のフィルタ領域と第2のフィルタ領域とを含む。フィルタ領域704、透過屈曲領域706、第1のフィルタ領域、第2のフィルタ領域の作用については、第4実施形態と同様である。
【0088】
また、回転ホイール701の両板面のうち励起光照射装置70側(裏面側)におけるフィルタ領域704及び透過屈曲領域706と異なる領域には、励起光透過領域707が設けられている。励起光透過領域707は、青色波長帯域光を透過する。この励起光透過領域707には、必要に応じて青色波長帯域光を拡散させる拡散性を持たせてもよい。一実施形態では、励起光透過領域707は、透過性を有するガラスや樹脂等の透明な材料で形成される。さらに一実施形態では、励起光透過領域707は、回転ホイール701の表面側に設けられてもよく、回転ホイール701の両面に設けられてもよい。
【0089】
一実施形態では、第1実施形態で説明したように、透過屈曲領域706に青色波長帯域光を回折させる透過回折格子を形成してもよい。また、透過屈曲領域706に青色波長帯域光を屈折させる傾斜面を有し、同心円状に配置された複数の微小な透過屈折部材を形成してもよい。また、透過屈曲領域706に青色波長帯域光を屈折させる傾斜面を有する1つの透過屈折部材を形成してもよい。
【0090】
回転ホイール装置700は、励起光透過領域707を透過した青色波長帯域光の光軸と、フィルタ領域704(第1のフィルタ領域又は第2のフィルタ領域)で反射した蛍光の光軸と、が重なるように配置されている。即ち、回転ホイール装置700は、励起光透過領域707を透過する青色波長帯域光を、フィルタ領域704で反射される緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光と同一の光軸に合成する機能を有する。
【0091】
次に、第5実施形態における回転ホイール装置700の光の出入射を説明する。まず、回転ホイール装置700から励起光である青色波長帯域光が出射する場合について説明する。この場合、励起光が入射する回転ホイール701上の照射スポットには、回転ホイール701の励起光透過領域707が位置している。励起光照射装置70から出射された励起光は、回転ホイール701の板面(裏面)に対して斜めに入射される。照射スポットに励起光透過領域707が位置しているときには、回転ホイール701に対して斜めに入射した励起光は、回転ホイール701の励起光透過領域707に入射する。励起光透過領域707に入射した励起光は、励起光透過領域707を屈曲することなく透過してライトトンネル175側に向けて出射される。このようにして、青色波長帯域光とされる励起光は、光源光として利用することができる。
【0092】
次に、回転ホイール装置700から緑色波長帯域光の蛍光が出射される場合、及び回転ホイール装置700から赤色波長帯域光の蛍光が出射される場合について説明する。この場合、回転ホイール701上の照射スポットには、表面側にフィルタ領域704が位置し、裏面側に透過屈曲領域706が位置する。励起光照射装置70から出射されて回転ホイール701の板面(裏面)に対して斜めに入射した励起光は、回転ホイール701の透過屈曲領域706に入射する。透過屈曲領域706に入射した励起光は、透過屈曲領域706により導光光学系140側へ屈曲されつつ透過屈曲領域706及びフィルタ領域704を透過して、導光光学系140側へ出射される。
【0093】
導光光学系140側へ出射された励起光(
図17において実線で示す光L11)は、第2集光レンズ142にその正面から入射し、第2集光レンズ142、第1集光レンズ141と順に透過して、固定蛍光体200の蛍光発光領域202を照射する。蛍光発光領域202の蛍光体粒子に励起光が照射されると、黄色波長帯域の蛍光(
図17において一点鎖線で示す光L12)が全方位に発せられる。蛍光体領域202から出射された蛍光及び残留励起光のうち光源光学系140側へ出射された蛍光及び残留励起光は、第1集光レンズ141及び第2集光レンズ142により集光され、回転ホイール701に対してその表面から入射する。
【0094】
回転ホイール701の照射スポットに第1のフィルタ領域が位置する場合には緑色波長帯域の蛍光が第1のフィルタ領域で反射し、第2のフィルタ領域が位置する場合には赤色波長帯域の蛍光が第2のフィルタ領域で反射する。フィルタ領域704で反射した赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光は、ライトトンネル175に向けて出射される。このとき、回転ホイール装置700からライトトンネル175に向かう赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光の光路は、回転ホイール装置700からライトトンネル175に向かう励起光の光路と同一である。
【0095】
以上説明したように本実施形態に係る光源装置660では、回転ホイール701が、透過屈曲領域706と対応する反対側の面の領域に設けられ、緑色波長帯域の蛍光及び赤色波長帯域の蛍光を反射するとともに励起光を透過するフィルタ領域704と、透過屈曲領域706と異なる領域に設けられ、励起光を透過する励起光透過領域707とを含む。そして、回転ホイール装置700は、励起光透過領域707を透過した励起光の光軸と、フィルタ領域704で反射した緑色波長帯域の蛍光及び赤色波長帯域の蛍光の光軸とが重なるように配置されている。このため、第4実施形態と同様に、従来の光源装置に比して部材点数を減らすことができ、装置の小型化、高効率化を図ることができる。また、励起光の光路と励起光と異なる波長帯域光の光路とが別光路となることによる誤差に起因する色ムラの発生を低減することができる。
【0096】
また、本実施形態に係る光源装置660では、励起光照射装置70から出射される励起光を回転ホイール701の透過屈曲領域706により屈曲させることにより、固定蛍光体200の蛍光発光領域202に照射させる。このため、励起光を固定蛍光体200に照射させ易いものとすることができる。
【0097】
(第6実施形態)
次に、
図18及び
図19を参照して本発明の第6実施形態について説明する。なお、第6実施形態の説明において、第4実施形態と同様の構成については、その説明を省略又は簡素化する。第6実施形態に係る光源装置760は、励起光照射装置70、固定蛍光体200、導光光学系140の配置、回転ホイール装置800の配置及び構成が第4実施形態のものと異なる。第6実施形態に係る光源装置760では、固定蛍光体200が回転ホイール装置800を挟んでライトトンネル175と対向する形で配置される。
【0098】
回転ホイール装置800における回転ホイール801は、励起光照射装置70から出射される光が回転ホイールの板面(表面)に対して斜めに入射するように、固定蛍光体200の蛍光発光領域202を含む面に対して傾斜した角度で配置される。
図19(a)に示すように、回転ホイール801は、その板面において同じ領域にフィルタ領域804と透過屈曲領域806とを含む。即ち、回転ホイール801は、その両板面のうち励起光照射装置70側(表面側)にフィルタ領域804を含み、フィルタ領域804と対応する裏面の領域に透過屈曲領域806を含む。また、フィルタ領域804は、回転ホイール801の周方向に並設された第1のフィルタ領域と第2のフィルタ領域とを含む。回転ホイール801の表面からフィルタ領域804に入射した青色波長帯域光は、
図19(a)の矢印で示すように、フィルタ領域804を透過して透過屈曲領域806により屈曲されつつ透過屈曲領域806を透過する。
【0099】
ここで、第6実施形態は、透過屈曲領域806の作用、フィルタ領域804における第1のフィルタ領域及び第2のフィルタ領域の作用が第4実施形態、第5実施形態のものと異なる。即ち、透過屈曲領域806は、青色波長帯域光に加え、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光を透過する。透過屈曲領域806の例として、体積ホログラムや、積層構造を有する回折格子が挙げられる。また、第1のフィルタ領域は、緑色波長帯域光と青色波長帯域光とを透過し、赤色波長帯域光を反射する。第2のフィルタ領域は、赤色波長帯域光と青色波長帯域光とを透過し、緑色波長帯域光を反射する。
【0100】
図19(b)に示すように、回転ホイール801の両板面のうち励起光照射装置70側(表面側)におけるフィルタ領域804及び透過屈曲領域806と異なる領域には、励起光反射領域805が設けられている。励起光反射領域805は、励起光である青色波長帯域光を反射する。この励起光反射領域805には、必要に応じて青色波長帯域光を拡散させる拡散性を持たせてもよい。回転ホイール801の表面から励起光反射領域805に入射した青色波長帯域光は、
図19(b)の矢印で示すように、励起光反射領域805で反射する。
【0101】
回転ホイール装置800は、励起光反射領域805で反射した青色波長帯域光の光軸と、フィルタ領域804(第1のフィルタ領域又は第2のフィルタ領域)を透過した蛍光の光軸と、が重なるように配置されている。即ち、回転ホイール装置800は、励起光反射領域805で反射する青色波長帯域光を、フィルタ領域804を透過する緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光と同一の光軸に合成する機能を有する。具体的には、励起光照射装置70、回転ホイール装置800、及び固定蛍光体200(蛍光発光装置)は、励起光反射領域805で反射した青色波長帯域光の光軸と、フィルタ領域804を透過した蛍光の光軸と、が重なるように配置されている。
【0102】
次に、
図18に基づいて、第6実施形態における回転ホイール装置800の光の出入射を説明する。まず、回転ホイール装置800から励起光である青色波長帯域光が出射する場合について説明する。この場合、励起光が入射する回転ホイール801上の照射スポットには、回転ホイール801の励起光反射領域805が位置している。励起光照射装置70のコリメータレンズ73から出射された励起光は、回転ホイール801の表面に対して斜めに入射される。照射スポットに励起光反射領域805が位置しているときには、回転ホイール801に対して斜めに入射した励起光は、回転ホイール801の励起光反射領域805に入射する。励起光反射領域805に入射した励起光は、励起光反射領域805によりライトトンネル175側へ反射される。このようにして、青色波長帯域光とされる励起光は、光源光として利用することができる。
【0103】
次に、回転ホイール装置800から緑色波長帯域光の蛍光が出射される場合、及び回転ホイール装置800から赤色波長帯域光の蛍光が出射される場合について説明する。この場合、回転ホイール801上の照射スポットには、表面側にフィルタ領域804が位置し、裏面側に透過屈曲領域806が位置する。励起光照射装置70から出射されて回転ホイール801の板面(表面)に対して斜めに入射した励起光は、回転ホイール801のフィルタ領域804に入射する。フィルタ領域804に入射した励起光は、フィルタ領域804を透過して透過屈曲領域806により導光光学系140側へ屈曲されつつ透過屈曲領域806を透過して、導光光学系140側へ出射される。
【0104】
導光光学系140側へ出射された励起光(
図18において実線で示す光L13)は、第2集光レンズ142にその正面から入射し、第2集光レンズ142、第1集光レンズ141と順に透過して、固定蛍光体200の蛍光発光領域202を照射する。蛍光発光領域202の蛍光体粒子に励起光が照射されると、黄色波長帯域の蛍光(
図18において一点鎖線で示す光L14)が全方位に発せられる。蛍光体領域202から出射された蛍光及び残留励起光のうち光源光学系140側へ出射された蛍光及び残留励起光は、第1集光レンズ141及び第2集光レンズ142により集光され、回転ホイール801に対してその裏面から入射する。
【0105】
回転ホイール801に対してその裏面から入射した蛍光及び残留励起光は、透過屈曲領域806を透過して第1のフィルタ領域又は第2のフィルタ領域に入射する。回転ホイール801の照射スポットに第1のフィルタ領域が位置する場合には緑色波長帯域の蛍光が第1のフィルタ領域を透過し、第2のフィルタ領域が位置する場合には赤色波長帯域の蛍光が第2のフィルタ領域を透過する。フィルタ領域804を透過した赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光は、ライトトンネル175に向けて出射される。このとき、回転ホイール装置800からライトトンネル175に向かう赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光の光路は、回転ホイール装置800からライトトンネル175に向かう励起光の光路と同一である。
【0106】
以上説明したように本実施形態に係る光源装置760では、透過屈曲領域806は、緑色波長帯域の蛍光及び赤色波長帯域の蛍光を透過し、回転ホイール801は、透過屈曲領域806と対応する反対側の面の領域に設けられ、緑色波長帯域の蛍光又は赤色波長帯域の蛍光を透過するとともに励起光を透過するフィルタ領域804と、透過屈曲領域806と異なる領域に設けられ、励起光を反射する励起光反射領域805とを含み、回転ホイール装置800は、励起光反射領域805で反射した励起光の光軸と、フィルタ領域804を透過した所定の波長帯域の蛍光の光軸とが重なるように配置されている。このため、第4実施形態と同様に、従来の光源装置に比して部材点数を減らすことができ、装置の小型化、高効率化を図ることができる。また、励起光の光路と励起光と異なる波長帯域光の光路とが別光路となることによる誤差に起因する色ムラの発生を低減することができる。一実施形態では、透過屈曲領域806が回転ホイール801の励起光照射装置70側の板面に設けられてもよく、フィルタ領域804が固定蛍光体200側の板面に設けられてもよい。さらに一実施形態では、第4実施形態~第6実施形態においても、ライトトンネル175の代わりに導光ロッドを用いてもよく、ライトトンネル175の代わりに
図5を参照して説明したマイクロレンズアレイ90を配置し、第3集光レンズ178の代わりに凹レンズ181を配置してもよい。
【0107】
一実施形態では、上述した第4実施形態~第6実施形態においても、蛍光発光装置として、固定蛍光体200に代えて第3実施形態に係る蛍光ホイール装置400を用いてもよい。さらに一実施形態では、上述した第4実施形態~第6実施形態においても、
図10および
図11を参照して説明した回転ホイール501に対応する構成を適用してもよい。具体的には、第4実施形態及び第5実施形態においては、フィルタ領域604,704は、第1のフィルタ領域604aおよび第2のフィルタ領域604bと同じ側の面に、黄色波長帯域光を反射し、青色波長帯域光、緑色波長帯域光、及び赤色波長帯域光を透過する第3のフィルタ領域を有していてもよい。第6実施形態においては、フィルタ領域804は、第1のフィルタ領域および第2のフィルタ領域と同じ側の面に、黄色波長帯域光を透過し、青色波長帯域光、緑色波長帯域光、及び赤色波長帯域光を反射する第3のフィルタ領域504cと同様な第3のフィルタ領域を有していてもよい。
【0108】
以上説明した各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0109】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]励起光を出射する励起光照射装置と、
前記励起光の波長帯域と異なる所定の波長帯域の光を透過するとともに前記励起光を反射するフィルタ領域と、前記励起光を屈曲させて透過する透過屈曲領域とを含む回転ホイールを備える回転ホイール装置と、
前記フィルタ領域で反射した前記励起光が照射され、前記フィルタ領域に向けて前記所定の波長帯域の光を含む蛍光を発光する蛍光発光領域を有する蛍光発光装置と、を備え、
前記回転ホイール装置は、前記透過屈曲領域を透過した前記励起光の光軸と、前記フィルタ領域を透過した前記所定の波長帯域の蛍光の光軸とが重なるように配置されていることを特徴とする光源装置。
[2]前記フィルタ領域で反射した前記励起光を前記蛍光発光装置に導く導光部材を備えることを特徴とする前記[1]に記載の光源装置。
[3]前記回転ホイールは、前記透過屈曲領域と対応する反対側の面の領域に前記透過屈曲領域を透過した前記励起光を拡散させて透過する透過拡散領域を含むことを特徴とする前記[1]又は前記[2]のいずれかに記載の光源装置。
[4]前記回転ホイールは、前記蛍光発光装置を含む面に対して傾斜する角度で配置されていることを特徴とする前記[1]~[3]のいずれかに記載の光源装置。
[5]前記回転ホイールは、前記フィルタ領域と対応する反対側の面の領域に前記励起光の波長帯域以外の波長帯域の光を透過して前記励起光を反射する励起光反射領域を含むことを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
[6]前記回転ホイールは、前記フィルタ領域と対応する反対側の面の領域に、前記回転ホイールに対して斜めに入射した前記励起光を前記回転ホイールの法線方向に反射する反射屈曲領域を含むことを特徴とする前記[1]~[3]のいずれかに記載の光源装置。
[7]前記回転ホイールは、前記蛍光発光装置の蛍光発光領域を含む面に対して平行となる角度で配置されていることを特徴とする前記[6]に記載の光源装置。
[8]前記透過屈曲領域に前記励起光を回折させる回折格子が形成されていることを特徴とする前記[5]~[7]のいずれかに記載の光源装置。
[9]前記透過屈曲領域に前記励起光を屈折させる傾斜面を有する屈折部材が形成されていることを特徴とする前記[1]~[7]のいずれかに記載の光源装置。
[10]前記反射屈曲領域に前記励起光を前記回転ホイールの板面の法線方向に反射しつつ回折させる反射回折格子が形成されていることを特徴とする前記[6]~[9]のいずれかに記載の光源装置。
[11]前記反射屈曲領域に前記励起光を所定の角度に反射させる傾斜面を有する反射屈折部材が形成されていることを特徴とする前記[6]~[9]のいずれかに記載の光源装置。
[12]前記回転ホイール装置を透過した光を導くライトトンネル又は導光ロッドを備えることを特徴とする前記[1]~[11]のいずれかに記載の光源装置。
[13]前記回転ホイール装置を透過した光を導くマイクロレンズアレイを備えることを特徴とする前記[1]~[11]のいずれかに記載の光源装置。
[14]前記蛍光発光装置は蛍光ホイール装置であることを特徴とする前記[1]~[13]のいずれかに記載の光源装置。
[15]前記[1]~[14]のいずれかに記載の光源装置と、
画像光を生成する表示素子と、
前記表示素子から出射された前記画像光を被投影体に投影する投影光学系と、
前記光源装置と前記表示素子とを制御する制御部と、
を備えることを特徴とする投影装置。
【符号の説明】
【0110】
10 投影装置 12 正面パネル
12a 投影口 13 背面パネル
14 右側パネル 15 左側パネル
21 入出力コネクタ部 22 入出力インターフェース
23 画像変換部 24 表示エンコーダ
25 ビデオRAM 26 表示駆動部
31 画像圧縮/伸長部 32 メモリカード
35 Ir受信部 36 Ir処理部
37 キー/インジケータ部 38 制御部
41 光源制御回路 43 冷却ファン駆動制御回路
45 レンズモータ 47 音声処理部
48 スピーカ 50 表示素子
60 光源装置 70 励起光照射装置
71 青色レーザダイオード 73 コリメータレンズ
80 赤緑色光源装置 81 冷却ファン
90 マイクロレンズアレイ 100 回転ホイール装置
101 回転ホイール 104 フィルタ領域
104a 第1のフィルタ領域 104b 第2のフィルタ領域
105 励起光反射領域 106 透過屈曲領域
106a 透過回折格子 106b 透過屈折部材
106c 透過屈折部材 107 透過拡散領域
140 導光光学系 141 第1集光レンズ
142 第2集光レンズ 150 第1ヒートシンク
170 光源光学系 175 ライトトンネル
178 第3集光レンズ 179 第4集光レンズ
181 凹レンズ 185 照射ミラー
195 コンデンサレンズ 200 固定蛍光体
201 基材 202 蛍光発光領域
220 投影光学系 225 固定レンズ群
235 可動レンズ群 242 制御回路基板
300 回転ホイール装置 301 回転ホイール
304 フィルタ領域 305 反射屈曲領域
305a 反射回折格子 305b 反射屈折部材
305c 反射屈折部材 400 蛍光ホイール装置
401 蛍光ホイール 402 蛍光発光領域
500 回転ホイール装置 501 回転ホイール
504 フィルタ領域 504a 第1のフィルタ領域
504b 第2のフィルタ領域 504c 第3のフィルタ領域
505 励起光反射領域 506 透過屈曲領域
507 透過拡散領域 560 光源装置
600 回転ホイール装置 601 回転ホイール
604 フィルタ領域 604a 第1のフィルタ領域
604b 第2のフィルタ領域 606 透過屈曲領域
606a 透過回折格子 606b 透過屈折部材
607 透過拡散領域 660 光源装置
700 回転ホイール装置 701 回転ホイール
704 フィルタ領域 706 透過屈曲領域
707 励起光反射領域 760 光源装置
800 回転ホイール装置 801 回転ホイール
804 フィルタ領域 805 励起光反射領域
806 透過屈曲領域 L1~L14 光
S1,S2 照射スポット