(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】撮像装置、透過率指示装置、透過率制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G03B 11/00 20210101AFI20231024BHJP
G03B 17/12 20210101ALI20231024BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20231024BHJP
H04N 23/75 20230101ALI20231024BHJP
【FI】
G03B11/00
G03B17/12 Z
H04N23/55
H04N23/75
(21)【出願番号】P 2021520057
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2020007432
(87)【国際公開番号】W WO2020235166
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2019095174
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】吉牟田 淳基
【審査官】小川 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-243928(JP,A)
【文献】特開2005-294988(JP,A)
【文献】特開2012-005027(JP,A)
【文献】特開2015-198292(JP,A)
【文献】特開2016-095451(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0339326(US,A1)
【文献】国際公開第2013/047591(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/034133(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/181515(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/00
G03B 17/12
H04N 23/55
H04N 23/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過率が可変な可変減光フィルタと、
前記可変減光フィルタを介した被写体光が結像する撮像素子部と、
透過率制御値に応じて前記可変減光フィルタの透過率を変更する透過率可変駆動部と、
形態変化により第1状態及び第2状態をとることができる操作子と、
前記操作子が前記第1状態であるときは前記操作子の操作量に応じて前記透過率可変駆動部に指示する透過率制御値を設定し、前記操作子が前記第2状態であるときはプリセット記憶された複数の透過率制御値のうちで前記操作子の操作に応じて選択した一の透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する透過率制御値とする透過率指示部と、を備えた
撮像装置。
【請求項2】
前記透過率指示部は、
前記操作子が前記第1状態であるときは、前記操作子の特定操作の操作量に応じて前記透過率可変駆動部に指示する透過率制御値を設定し、
前記操作子が前記第2状態であるときは、プリセット記憶された複数の透過率制御値のうちで前記操作子の前記特定操作に応じて選択した一の透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する透過率制御値とする
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記操作子は回転体を有し、
前記特定操作は、前記回転体を回転させる操作である
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記プリセット記憶として複数の透過率制御値を書き換え可能な状態で記憶するプリセット記憶部を備える
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記プリセット記憶として複数の透過率制御値を記憶するプリセット記憶部を備え、
前記透過率指示部は、
前記操作子が前記第1状態から前記第2状態にされた際に、前記プリセット記憶部に記憶された一の透過率制御値を選択する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記透過率指示部は、
前記操作子が前記第1状態から前記第2状態にされた際には、前回、前記第2状態にあったときに最後に選択されていたプリセットナンバを選択し、該プリセットナンバに対応して前記プリセット記憶部に記憶されている透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記透過率指示部は、
前記操作子が前記第1状態から前記第2状態にされた際には、前回、前記第2状態にあったときに最後に選択されていたプリセットナンバに対応して記憶されていた透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記透過率指示部は、
前記操作子が前記第1状態から前記第2状態にされた際には、前記プリセット記憶部に記憶された透過率制御値のうちで、直前の前記第1状態において前記透過率可変駆動部に指示していた透過率制御値に最も近い透過率制御値を選択し、前記透過率可変駆動部に指示する
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項9】
被写体光の光量を検出する光量検出部と、
前記光量検出部により検出された光量から目的の露光量となる透過率を算出する露光量演算部と、
前記プリセット記憶として複数の透過率制御値を書き換え可能な状態で記憶するプリセット記憶部と、
を有し、
前記透過率指示部は、前記露光量演算部により算出された透過率を指示するための透過率制御値を前記プリセット記憶部に記憶させる処理を行う
請求項1から請求項8のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項10】
前記透過率指示部は、前記露光量演算部により算出された透過率を指示するための透過率制御値を、選択可能に用意されたプリセットナンバのうちで略中央値となるプリセットナンバに対応させて前記プリセット記憶部に記憶させ、前記略中央値以外のプリセットナンバに対応される透過率制御値も、前記略中央値に対応する透過率制御値を基準にして更新する
請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記透過率指示部は、前記露光量演算部により算出された透過率を指示するための透過率制御値を前記プリセット記憶部に記憶させるとともに、該透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する
請求項9に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記操作子は、回転体と、該回転体に設けられた押圧部とを有し、
前記第1状態と前記第2状態は、前記押圧部の押圧状態が異なる状態である
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記操作子は回転体を有し、
前記第2状態とは、前記第1状態に比して前記回転体を回転軸方向に移動させた状態である
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記操作子は回転体を有し、
前記第2状態とは、前記第1状態に比して前記回転体の回転軸位置が変化するように前記回転体を移動させた状態である
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記操作子は、前記第2状態において、所定の操作量毎にクリック感を生じさせるとともに、
前記透過率指示部は、クリックタイミングで前記透過率可変駆動部に指示する透過率制御値を異なるものとする
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項16】
形態変化により第1状態及び第2状態をとることができる操作子が前記第1状態であるときは、透過率が可変な可変減光フィルタを制御する透過率制御値を前記操作子の操作量に応じて設定し
て前記可変減光フィルタの透過率を変更する透過率可変駆動部に指示し、前記操作子が前記第2状態であるときは、前記可変減光フィルタを制御する透過率制御値を、プリセット記憶された複数の透過率制御値のうち
で前記操作子の操作に応じて選択
した一の透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する透過率指示部を備えた
透過率指示装置。
【請求項17】
透過率が可変な可変減光フィルタと、
前記可変減光フィルタを介した被写体光が結像する撮像素子部と、
透過率制御値に応じて前記可変減光フィルタの透過率を変更する透過率可変駆動部と、
形態変化により第1状態及び第2状態をとることができる操作子と、
を有する撮像装置が、
前記操作子が前記第1状態であるときは前記操作子の操作量に応じて透過率の制御値を設定して前記透過率可変駆動部に指示し、
前記操作子が前記第2状態であるときはプリセット記憶された複数の透過率制御値のうちで前記操作子の操作に応じて選択した一の透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する
透過率制御方法。
【請求項18】
形態変化により第1状態及び第2状態をとることができる操作子が前記第1状態であるときに、透過率が可変な可変減光フィルタに対する透過率制御値を前記操作子の操作量に応じて設定
して前記可変減光フィルタの透過率を変更する透過率可変駆動部に指示する処理と、
前記操作子が前記第2状態であるときに、前記可変減光フィルタに対する透過率制御値を、プリセット記憶された複数の透過率制御値のうち
で前記操作子の操作に応じて選択
した一の透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する処理と、
を情報処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は撮像装置、透過率指示装置、透過率制御方法、プログラムに関し、特に撮像装置のフィルタの透過率可変制御に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置において、絞り開口径を変化させずに入射光量を変化させる手段として、ある透過率のフィルタを光路上に挿入することで減光の役割を果たすND(Neutral Density)フィルタが存在する。
例えば特許文献1には、それぞれ透過率が異なる複数の透過率固定のNDフィルタをターレット構造に配し、ユーザ操作に伴ってターレットを回転させることで複数の減光バリエーションが得られる装置が記載されている。この場合の操作系は例えばポジションスイッチが採用され、ポジション位置とターレットの回転位置とが紐づいている。
【0003】
また、透過率可変NDフィルタも知られており、その場合は、NDフィルタの電極に対して印加する電圧を変更することで複数の減光バリエーションを提供する。その際の操作系は、例えば無段階調のダイヤルが採用され、ダイヤルの回転量と透過率変化量(印加電圧値)とが紐づくようにされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで透過率可変NDフィルタを搭載する撮像装置では、例えば無段階調のダイヤルにより透過率を連続的に変化させるモード(バリアブルモード)が実現できるだけでなく、例えば離散的な複数の透過率を予めプリセットしておき、ポジションスイッチによりプリセットされた透過率を指定するモード(プリセットモード)も実現できる。これらのモードを切り替えて使用可能とすることで、ユーザに状況に応じた透過率可変操作の環境を提供することができる。
【0006】
しかしながら、バリアブルモードとプリセットモードを用意することで、それぞれに対応する操作子を設ける必要があり、操作系が複雑化する。
操作系が複雑化すると撮像中の透過率操作が容易ではなくなる。特にカメラマンが撮像装置を所持して撮像しているときは、通常、ビューファインダや液晶モニタ等の表示部で被写体を注視しているため、透過率可変操作やモード切り替えのためのダイヤルやボタンを探しにくく、また誤操作も生じやすいものとなってしまう。
そこで本開示では、透過率可変操作のための複数のモードを提供しつつも操作性を良好に保つようにする技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術に係る撮像装置は、透過率が可変な可変減光フィルタと、前記可変減光フィルタを介した被写体光が結像する撮像素子部と、透過率制御値に応じて前記可変減光フィルタの透過率を変更する透過率可変駆動部と、形態変化により第1状態及び第2状態をとることができる操作子と、前記操作子が前記第1状態であるときは前記操作子の操作量に応じて前記透過率可変駆動部に指示する透過率制御値を設定し、前記操作子が前記第2状態であるときはプリセット記憶された複数の透過率制御値のうちで前記操作子の操作に応じて選択した一の透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する透過率制御値とする透過率指示部と、を備える。
即ち操作子の形態が第1状態と第2状態に変化するものとする。この第1状態と第2状態に応じて、指示する透過率の設定方式が異なるようにする。
操作子の形態変化としては、操作子の全部又は一部についての、外観の変化、形状の変化、位置の変化、内部機構状態の変化などがある。
透過率制御値は、特定の透過率を指示する値であればよく、透過率そのものでもよいし、透過率そのものでなくとも目的の透過率を実現するための透過率可変駆動部に対する制御値でもよい。
【0008】
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記透過率指示部は、前記操作子が前記第1状態であるときは、前記操作子の特定操作の操作量に応じて前記透過率可変駆動部に指示する透過率制御値を設定し、前記操作子が前記第2状態であるときは、プリセット記憶された複数の透過率制御値のうちで前記操作子の前記特定操作に応じて選択した一の透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する透過率制御値とすることが考えられる。
第1情報、第2状態のいずれの場合も、共通の特定操作が透過率を変化させる操作となるようにする。
【0009】
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記操作子は回転体を有し、前記特定操作は、前記回転体を回転させる操作とすることが考えられる。
第1情報、第2状態のいずれの場合も、回転操作が透過率を変化させる操作となるようにする。
【0010】
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記プリセット記憶として複数の透過率制御値を書き換え可能な状態で記憶するプリセット記憶部を備えることが考えられる。
プリセット記憶部は透過率制御値としての複数の値を記憶する。
【0011】
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記プリセット記憶として複数の透過率制御値を記憶するプリセット記憶部を備え、前記透過率指示部は、前記操作子が前記第1状態から前記第2状態にされた際に、前記プリセット記憶部に記憶された一の透過率制御値を選択することが考えられる。
第2状態に切り替えられることに応じて、或るプリセット値が選択され、可変減光フィルタの透過率が制御されるようにする。
【0012】
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記透過率指示部は、前記操作子が前記第1状態から前記第2状態にされた際には、前回、前記第2状態にあったときに最後に選択されていたプリセットナンバを選択し、該プリセットナンバに対応して前記プリセット記憶部に記憶されている透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示することが考えられる。
即ち操作子が第2状態とされたときには、前回、第2状態であったときの最後のプリセットナンバの状態が引き継がれるようにする。
【0013】
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記透過率指示部は、前記操作子が前記第1状態から前記第2状態にされた際には、前回、前記第2状態にあったときに最後に選択されていたプリセットナンバに対応して記憶されていた透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示することが考えられる。
即ち操作子が第2状態とされたときには、前回、第2状態であったときの最後の透過率制御値の状態が引き継がれるようにする。
【0014】
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記透過率指示部は、前記操作子が前記第1状態から前記第2状態にされた際には、前記プリセット記憶部に記憶された透過率制御値のうちで、直前の前記第1状態において前記透過率可変駆動部に指示していた透過率制御値に最も近い透過率制御値を選択し、前記透過率可変駆動部に指示することが考えられる。
即ち操作子が第2状態とされたときには、直前の第1状態であったときの透過率制御値に近い状態が引き継がれるようにする。
【0015】
上記した本技術に係る撮像装置においては、被写体光の光量を検出する光量検出部と、前記光量検出部により検出された光量から目的の露光量となる透過率を算出する露光量演算部と、前記プリセット記憶として複数の透過率制御値を書き換え可能な状態で記憶するプリセット記憶部と、を有し、前記透過率指示部は、前記露光量演算部により算出された透過率を指示するための透過率制御値を前記プリセット記憶部に記憶させる処理を行うことが考えられる。
即ちプリセットモードの透過率制御値が、望ましい透過率とするための値に書き換えられるようにする。
【0016】
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記透過率指示部は、前記露光量演算部により算出された透過率を指示するための透過率制御値を、選択可能に用意されたプリセットナンバのうちで略中央値となるプリセットナンバに対応させて前記プリセット記憶部に記憶させ、前記略中央値以外のプリセットナンバに対応される透過率制御値も、前記略中央値に対応する透過率制御値を基準にして更新することが考えられる。
即ち例えばプリセットナンバとして「1」から「9」が用意されている場合、中央値となる「5」に対応させて、望ましい透過率とするための透過率制御値が記憶される。
【0017】
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記透過率指示部は、前記露光量演算部により算出された透過率を指示するための透過率制御値を前記プリセット記憶部に記憶させるとともに、該透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示することが考えられる。
即ち操作子が第2状態とされたときに、プリセットモードの透過率制御値を望ましい透過率とするための値に書き換えるとともに、透過率可変駆動部に指示して、当該望ましい透過率の状態とするようにする。
【0018】
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記操作子は、回転体と、該回転体に設けられた押圧部とを有し、前記第1状態と前記第2状態は、前記押圧部の押圧状態が異なる状態であることが考えられる。
回転体に押圧部を設け、押圧部の押圧操作により第1情報、第2状態が切り替えられるようにする。例えば押圧部の押下位置状態が異なる状態とする。
【0019】
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記操作子は回転体を有し、前記第2状態とは、前記第1状態に比して前記回転体を回転軸方向に移動させた状態であることが考えられる。
回転体自体が軸方向に移動して第1状態と第2状態をとる構造とする。
【0020】
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記操作子は回転体を有し、前記第2状態とは、前記第1状態に比して前記回転体の回転軸位置が変化するように前記回転体を移動させた状態であることが考えられる。
回転体自体が軸方向とは垂直となる方向に移動して第1状態と第2状態をとる構造とする。
【0021】
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記操作子は、前記第2状態において、所定の操作量毎にクリック感を生じさせるとともに、前記透過率指示部は、クリックタイミングで前記透過率可変駆動部に指示する透過率制御値を異なるものとすることが考えられる。
例えば回転体の操作において所定量毎にクリックが生じるようにする。
【0022】
本技術に係る透過率指示装置は、形態変化により第1状態及び第2状態をとることができる操作子が前記第1状態であるときは、透過率が可変な可変減光フィルタを制御する透過率制御値を前記操作子の操作量に応じて設定して前記可変減光フィルタの透過率を変更する透過率可変駆動部に指示し、前記操作子が前記第2状態であるときは、前記可変減光フィルタを制御する透過率制御値を、プリセット記憶された複数の透過率制御値のうちで前記操作子の操作に応じて選択した一の透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する透過率指示部を備える。
撮像装置内のマイクロコンピュータ等の装置、或いは撮像装置とは別体の操作装置(例えばリモートコントローラなど)などが当該透過率指示装置として機能することが想定される。
【0023】
本技術に係る透過率制御方法は、透過率が可変な可変減光フィルタと、前記可変減光フィルタを介した被写体光が結像する撮像素子部と、透過率制御値に応じて前記可変減光フィルタの透過率を変更する透過率可変駆動部と、形態変化により第1状態及び第2状態をとることができる操作子と、を有する撮像装置が、前記操作子が前記第1状態であるときは前記操作子の操作量に応じて透過率の制御値を設定して前記透過率可変駆動部に指示し、前記操作子が前記第2状態であるときはプリセット記憶された複数の透過率制御値のうちで前記操作子の操作に応じて選択した一の透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示するものとする。
これにより、第1状態と第2状態に変化する一つの操作子を用いた各モードの透過率操作を可能とする。
【0024】
本技術に係るプログラムは、形態変化により第1状態及び第2状態をとることができる操作子が前記第1状態であるときに、透過率が可変な可変減光フィルタに対する透過率制御値を前記操作子の操作量に応じて設定して前記可変減光フィルタの透過率を変更する透過率可変駆動部に指示する処理と、前記操作子が前記第2状態であるときに、前記可変減光フィルタに対する透過率制御値を、プリセット記憶された複数の透過率制御値のうちで前記操作子の操作に応じて選択した一の透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する処理とを情報処理装置に実行させるプログラムである。
撮像装置内のマイクロコンピュータ等の情報処理装置、或いは撮像装置とは別体の操作装置(例えばリモートコントローラなど)における情報処理装置などが、このようなプログラムにより動作することが想定される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本技術の実施の形態の撮像装置の外観例の説明図である。
【
図2】実施の形態の透過率操作子の動作の説明図である。
【
図3】実施の形態の撮像装置の内部構成例のブロック図である。
【
図4】比較例としての撮像装置の操作系の説明図である。
【
図5】第1の実施の形態の透過率設定処理のフローチャートである。
【
図6】第2の実施の形態の透過率設定処理のフローチャートである。
【
図7】第3の実施の形態の透過率設定処理のフローチャートである。
【
図8】第3の実施の形態の適用プリセットナンバ判定のフローチャートである。
【
図9】第4の実施の形態の透過率操作子の動作の説明図である。
【
図10】第4の実施の形態の撮像装置の内部構成例のブロック図である。
【
図11】第4の実施の形態の透過率設定処理のフローチャートである。
【
図12】第4の実施の形態のプリセットデータ更新のフローチャートである。
【
図13】第5の実施の形態の透過率操作子の動作の説明図である。
【
図14】第6の実施の形態の撮像装置の内部構成例のブロック図である。
【
図15】実施の形態の光学ブロックの分解斜視図である。
【
図16】
図15とは異なる方向から見た状態で示す光学ブロックの分解斜視図である。
【
図17】駆動機構を含む位置で切断した状態で光学ブロックを示す断面図である。
【
図18】第1の可動ユニットと第2の可動ユニットが支持された状態を示す正面図である。
【
図19】一部を省略して示す光学ブロックの斜視図である。
【
図20】第1の可動ユニットが光透過位置に移動されると共に第2の可動ユニットが退避位置に移動された状態を示す正面図である。
【
図21】第2の可動ユニットが光透過位置に移動されると共に第1の可動ユニットが退避位置に移動された状態を示す正面図である。
【
図22】実施の形態の可変減光フィルタの挿入時の動作の説明図である。
【
図23】実施の形態の可変減光フィルタの抜去時の動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.第1の実施の形態の撮像装置の構成>
<2.比較例>
<3.第1の実施の形態の処理例>
<4.第2の実施の形態>
<5.第3の実施の形態>
<6.第4の実施の形態>
<7.第5の実施の形態>
<8.第6の実施の形態>
<9.可変減光フィルタを含む光学ブロック機構>
<10.まとめ及び変形例>
【0027】
<1.第1の実施の形態の撮像装置の構成>
図1に実施の形態の撮像装置1の外観例を示す。撮像装置1は筐体2の内外に所要の各部が配置されて成る。
【0028】
筐体2は前方に開口された箱状の本体部3と本体部3の前端部に取り付けられたパネル部4を有している。パネル部4にはマウント部4aが取り付けられており、マウント部4aによりレンズ鏡筒8が着脱可能とされる。
尚、マウント部4aはパネル部4と一体に形成されパネル部4の一部として設けられていてもよい。
【0029】
本体部3には各種の操作部6、6、・・・が配置されている。操作部6、6、・・・としては、例えば、電源釦、撮影釦、ズーム摘子、モード切替摘子等が設けられている。
【0030】
本体部3の上面側には把手部7が設けられている。
筐体2の前端部における上面には液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)パネル等によるディスプレイ5が、例えば、回動可能に支持されている。ディスプレイ5は後方を向く表示面5aを有している。
使用者(カメラマン)は把手部7を把持しディスプレイ5の表示面5aに表示される画像を視認した状態で撮影等を行うことが可能にされている。
なお、ディスプレイ5に代えて、又はディスプレイ5とともに、電子ビューファインダや光学ビューファインダ等のビューファインダが設けられてもよい。
【0031】
例えば筐体2の前面側のパネル部4には、透過率操作子9が設けられている。透過率操作子9は、ユーザが後述する可変減光フィルタの透過率を変化させるための操作子とされる。
この透過率操作子9は、一例として、円柱状の回転体9aと、回転体9aの前面側(円柱の上面)、即ち回転軸ARに対して垂直な面に配置された押圧部9bを有する構造とされる。
図2A、
図2Bに透過率操作子9の動作を示している。なお、これらの図ではパネル部4に取り付けられている透過率操作子9を模式的に示している。
【0032】
図2Aには、押圧部9bが押し込まれていない状態(第1状態)を示している。この状態で回転体9aは回転軸ARを中心にして右回り方向及び左回り方向に回転操作可能とされている。
図2Bには、押圧部9bが押し込まれた状態(第2状態)を示している。この状態でも回転体9aは回転軸ARを中心にして右回り方向及び左回り方向に回転操作可能とされている。
【0033】
押圧部9bは、例えば
図2Aの状態からユーザが押圧することで、
図2Bのように押し込まれた状態となる。また
図2Bの状態からユーザが再度押圧することで、
図2Aのように押し込まれていない状態に戻る。即ち押圧部9bは押す度に第1状態と第2状態が切り替わるプッシュ/プッシュスイッチとしての機構を持つものとなる。なお、もちろん押圧部9bはプッシュ/プルスイッチとされてもよい。
そして例えばこの押圧部9bが
図2Aの第1状態にあるときは、例えば透過率操作に関しバリアブルモードが設定され、
図2Bの第2状態にあるときは、透過率操作に関しプリセットモードが設定されることになる。つまり押圧部9bはモード切替スイッチとして機能する。
なお、逆に
図2Bを第1状態、
図2Aを第2状態としてもよいが、以下では
図2Aの状態を第1状態、
図2Bを第2状態として説明する。
【0034】
回転体9aは無段階に回転可能とされる。また回転体9aは、回転端がなく、右回転左回転の両方向に無制限に回転可能である。なお、変形例としては回転体9aが回転端を有するようにすることも考えられる。
透過率操作子9が第1状態とされているときは、回転体9aの操作はバリアブルモードとして透過率を連続的に変化させるための操作子となる。
透過率操作子9が第2状態とされているときは、回転体9aの操作はプリセットモードとして透過率を段階的にプリセットされた透過率(透過率制御値)を選択するための操作子となる。
【0035】
図3に撮像装置1の内部構成のブロック図を示している。
撮像装置1には、上記の透過率操作子9に対応して押圧検知部100、回転検知部101が設けられている。
これら押圧検知部100、回転検知部101については、押圧検知部100が押圧部9bの押下状態(第1状態/第2状態)を検出できるものであり、また回転検知部101が回転体9aの回転量を検出できるものであれば内部構造に制約はない。
【0036】
例えば回転検知部101は、MRセンサを使用して、プリセットモード/バリアブルモードに依らず、回転体9aの回転量を検出する。
もちろんこれに限らず、例えば、回転検知部101は、回転体9aの回転量を、光学式ロータリーエンコーダを使用して一定周期で変化量を検出するものなど、他の例も考えられる。
また押圧検知部100は、押圧部9bの押下状態を、例えば押下状態時に電気的接触に伴う電圧レベル変化で電圧レベルのハイ(High)/ロー(Low)を検出する仕組みが一例として挙げられる。
【0037】
撮像装置1においては、不図示の光学系(カバーレンズ、ズームレンズ、フォーカスレンズ等)を介して集光された被写体光は、絞り103の開口径の大きさに伴ってさらに光束制限され、可変減光フィルタ102を通過することで減光した後に撮像素子部104に結像する。
【0038】
可変減光フィルタ102は、端子に加える電圧を変えることでフィルタ透過率を可変的に制御することが可能なデバイスである。
例えば可変減光フィルタ102は、入射光量を「1」としたときに、光量を「1/4」から「1/128」の任意の明るさまで減光することが可能である。
【0039】
可変減光フィルタ102の透過率可変駆動のための電圧印加は透過率可変駆動部108によって行われる。透過率可変駆動部108は、指示された透過率制御値に応じた透過率となるように可変減光フィルタ102に印加する電圧値を変化させる。
可変減光フィルタ102の現在の透過率は例えば透過型フォトインタラプタによる透過型センサ114によって検出されている。透過率可変駆動部108は、透過型センサ114の出力を元に指定の透過率に収束するように、可変減光フィルタ102に印加する電圧値をフィードバック系で制御している。
【0040】
絞り103は、複数の絞り羽根がアクチュエータの駆動に連動して動作し、開口径を自由に変化できる部材である。絞り羽根を複数枚で構成することでより正円に近い開口形状を提供できる。
【0041】
撮像素子部104は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型やCCD(Charge Coupled Device)型などのイメージセンサを有して構成される。
この撮像素子部104では、イメージセンサで受光した光を光電変換して得た電気信号について、例えばCDS(Correlated Double Sampling)処理、AGC(Automatic Gain Control)処理などを実行し、さらにA/D(Analog/Digital)変換処理を行う。そしてデジタルデータとしての撮像信号を、後段の画像信号処理部121やAE(Automatic Exposure)検波部105に出力する。
【0042】
画像信号処理部121は、例えばDSP(Digital Signal Processor)等により画像処理プロセッサとして構成される。この画像信号処理部121は、撮像素子部104からのデジタル信号(撮像画像信号)に対して、各種の信号処理を施す。例えば画像信号処理部121は、前処理、同時化処理、YC生成処理、解像度変換処理、コーデック処理等を行う。
【0043】
記録部123は、例えば不揮発性メモリによる記録媒体に対して記録再生を行う。記録部123は例えば記録媒体に対し動画データや静止画データ等の画像ファイルやサムネイル画像等を記録する処理を行う。
記録部123の形態は多様に考えられる。例えば記録部123は、撮像装置1に内蔵されるフラッシュメモリに対する書込/読出回路として構成されてもよいし、撮像装置1に着脱できる記録媒体、例えばメモリカード(可搬型のフラッシュメモリ等)に対して記録再生アクセスを行うカード記録再生部による形態でもよい。また撮像装置1に内蔵されている形態としてHDD(Hard Disk Drive)などとして実現されることもある。
【0044】
表示部122はカメラマン等のユーザに対して各種表示を行う表示部であり、例えば撮像装置1の筐体に配置されるディスプレイ5やビューファインダとされる。
表示部122は、表示画面上に各種表示を実行させる。例えば表示部122は、記録部123において記録媒体から読み出された画像データの再生画像を表示させる。
また表示部122には画像信号処理部121で表示用に解像度変換された撮像画像の画像データが供給され、表示を行う場合がある。これにより構図確認中の撮像画像である、いわゆるスルー画(被写体のモニタリング画像)が表示される。
また表示部122は各種操作メニュー、アイコン、メッセージ等、即ちGUI(Graphical User Interface)としての表示を画面上に実行させる。
【0045】
通信部124は、外部機器との間のデータ通信やネットワーク通信等を有線又は無線で行う。 例えば外部の情報処理装置、表示装置、記録装置、再生装置等に対して画像信号処理部121で処理された撮像画像データ(動画や静止画)の送信出力を行う。
【0046】
以上の画像処理部121、表示部122、記録部123、通信部124の動作は、例えば撮像装置内の全体制御を行う不図示のマイクロコンピュータ(演算処理装置)により制御される。
当該マイクロコンピュータは、CPU(central processing unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ、インタフェース部等を有し、例えば操作部6等によるユーザ操作や各種のセンサ情報に応じて、ROMやフラッシュメモリ等に記憶されたプログラムを実行することで、必要なカメラ動作のための各種の制御を行う。
例えばマイクロコンピュータは、撮像素子部104のシャッタースピードの制御、画像信号処理部121における各種信号処理の指示、ユーザの操作に応じた撮像動作や記録動作、記録した画像ファイルの再生動作、レンズ鏡筒8におけるズーム、フォーカス、絞り調整等のレンズ系の動作、ユーザインタフェース動作等について、必要各部の動作を制御する。
【0047】
そして以下説明するAE検波部105、AE(Automatic Exposure)制御部106、絞り制御部107、透過率可変駆動部108、透過率指示部110は、上記のマイクロコンピュータの制御・演算機能として実現されることが考えられる。
なおこれら各部がマイクロコンピュータの制御・演算機能として実現されることは一例で、それぞれが個別のプロセッサ、ロジック回路などにより構成されてもよい。
【0048】
撮像素子104に結像された被写体像の光量情報はAE検波部105にも入力される。AE検波部105は入力された光量を数値変換する。
測光のエリア、エリア重点の有無などはユーザが任意に設定でき、AE検波部105はユーザ設定に従って検波処理を実施する。
【0049】
AE制御部106は、AE検波部105の検波結果と、ユーザが設定する適正露光との差分情報を元に自動露出制御を実施する。
即ちAE制御部106は、差分が0であれば現在の被写体に対して露光制御は適切であるため現状維持し、差分があれば露光制御ブロックを変更して適正露光に近づける制御を実施する。
本実施の形態では、露光制御ブロックに相当するのは、可変減光フィルタ102、および絞り103の2つのデバイスである。
AE制御部106は、算出した制御値を絞り制御値、透過率制御値に分解し、絞り制御値を絞り制御部107へ出力し、また透過率制御値を透過率可変駆動部108へ出力する(厳密には本構成例では透過率制御値はオート(Auto)/マニュアル(Manual)判断部109を介して透過率可変駆動部108へ出力する)。
なお、他にも露光時間を制御するシャッタースピードや内部で信号増幅を行うゲイン回路を露光制御ブロックに含め、AE制御部106が制御するようにしてもよい。
【0050】
絞り制御部107は、AE制御部106から受け取った絞り制御値を、対応する絞り103の開口径に換算し、絞り羽根が指定された開口径になるようにアクチュエータの駆動量を決定し、アクチュエータに対して駆動信号を出力する。
【0051】
透過率可変駆動部108は、受け取った透過率制御値に応じた電圧を可変減光フィルタ102に与える。例えばオート/マニュアル判断部109を介してAE制御部106から受け取った透過率制御値を対応する可変減光フィルタ102の透過率に換算し、これが透過率制御値で指定された透過率になるように印加電圧を決定し、可変減光フィルタ102の端子に所定電圧を印加する。
透過率可変駆動部108は、後述のようにオート/マニュアル判断部109を介して設定透過率算出部113から受け取った透過率制御値に応じた印加電圧を決定し、可変減光フィルタ102の端子に印加する場合もある。
また上述のように透過率可変駆動部108では、透過型センサ114の出力をフィードバック情報として帰還させ、指定された透過率に収束するように印加電圧を微調するフィードバック回路系を組んでいる。
なお透過率可変駆動部108が受け取る透過率制御値は、特定の透過率を指示する値であればよく、透過率そのものでもよいし、透過率そのものでなくとも目的の透過率を実現するための制御値でもよい。
【0052】
透過率指示部110は、例えばオート/マニュアル判断部109、操作情報検出部111、プリセット記憶部112、設定透過率算出部113を有する。
【0053】
オート/マニュアル判断部109は、可変減光フィルタ102の透過率制御をAE制御部106から算出される透過率制御値に基づいて制御するオートモードか、透過率操作子9によるユーザ操作に基づいて制御するマニュアルモードかを判断する。
このオート/マニュアル判断部109への入力は、AE制御部106からの透過率制御値と、設定透過率算出部113からの透過率制御値である。
オートモードの場合は、オート/マニュアル判断部109はAE制御部106からの透過率制御値を透過率可変駆動部108に供給する。
マニュアルモードの場合は、オート/マニュアル判断部109は設定透過率算出部113からの透過率制御値を透過率可変駆動部108に供給する。
【0054】
このオートモード/マニュアルモードの設定は、オート/マニュアル切り替え部120によって行われる。オート/マニュアル切り替え部120は、可変減光フィルタ102の透過率制御をAE制御部106に基づく自動制御により行うか、透過率操作子9に基づく手動制御で行うかを切り替える手段である。
このオート/マニュアル切り替え部120は、例えば操作子6としてのキー部材での切替え手段でもよく、またディスプレイ5での表示によるユーザインタフェース上での切替え手段でもよい。
また、例えばボタン系操作部材を有し、デフォルトではマニュアルモードで動作し、ボタンを押している間のみオートモードで動作するような制御仕様でもよい。
オート/マニュアル切り替え部120の出力値はオート/マニュアル判断部109へ入力され、本出力値を基にオート/マニュアル判断部109がオート動作かマニュアル動作かを判断して切替を行う。
【0055】
操作情報検出部111は、押圧検知部100、及び回転検知部101の出力信号を検出する。
操作情報検出部111は、押圧検知部100からの押圧状態(第1状態/第2状態)の検出信号を検知し、例えば第1状態(非押下状態)であればローレベル、第2状態(押下状態)であればハイレベルの2値信号を出力する。
操作情報検出部111は、このハイ/ローの2値信号を押圧部9bの出力信号として、設定透過率算出部113へ出力する。
また操作情報検出部111は、回転体9aの出力信号は、押圧部9bの押下状態によらず、ひとつのセンサ信号を出力する。操作情報検出部111はポーリング制御によって前回ポーリング時の回転位置からの相対回転量(正負で回転方向を表現)を検出し、相対回転量を設定透過率算出部113へ出力する。
【0056】
プリセット記憶部112は、プリセットモード時に設定される透過率制御値を記憶するメモリ部である。記憶する透過率制御値は、透過率可変駆動部108に指示する制御値であり、透過率自体の値でもよいし、透過率に対応する制御値でもよい。
プリセットモードとしては、例えば「1」「2」「3」・・・「8」のようにプリセットナンバが振られ、それぞれのプリセットナンバに対して透過率制御値が割り当てられる。
【0057】
プリセット記憶部112においてプリセットナンバに対応して記憶された透過率制御値は、設定用のユーザインタフェースからユーザが自由に変更でき、変更した際は逐次プリセット記憶部112の該当メモリに保存される。
なお、変形例としてプリセット記憶部112においてプリセットナンバに対応して記憶された透過率制御値は書換不能とすることも考えられる。
【0058】
設定透過率算出部113は、操作情報検出部111の情報を基にユーザからの操作によって設定された透過率を算出する。
設定透過率算出部113は、まず押圧検知部100の出力値からバリアブルモード、プリセットモードのモード判別を行う。
【0059】
バリアブルモードの場合、設定透過率算出部113は、操作情報検出部111から得られる回転体9aの相対回転量から透過率変化量を求め、可変減光フィルタ102の現在の透過率に加算する。即ち「現在の透過率+透過率変化量」が、指示すべき透過率として設定し、それに応じた透過率制御値を出力する。
なお、「現在の透過率+透過率変化量」が設定可能な透過率範囲(例えば「1/4」から「1/128」の範囲)を超えている場合は、設定可能な透過率範囲内にリミットされる。
設定透過率算出部113は、このように求めた透過率制御値を、マニュアルモードでの指示値としてオート/マニュアル判断部109へ出力する。
【0060】
プリセットモードの場合、設定透過率算出部113は、操作情報検出部111から得られる回転体9aの相対回転量をプリセット切り替え数に換算し、現在のプリセットナンバに加算する。即ち「現在のプリセットナンバ+プリセット切り替え数」を新たなプリセットナンバとする。
なお「現在のプリセットナンバ+プリセット切り替え数」が設定可能なプリセットナンバ範囲(例えば「1」から「8」)を超えている場合はプリセットナンバ範囲内にリミットされる。
設定透過率算出部113は、このように求めたプリセットナンバに対応する透過率制御値をプリセット記憶部112から取得し、その透過率制御値をマニュアルモードでの指示値としてオート/マニュアル判断部109へ出力する。
【0061】
<2.比較例>
以上の構成の実施の形態の具体的動作を説明する前に、ここで比較例を示しておく。
透過率制御に関し、バリアブルモードとプリセットモードを用意する場合、通常は、操作系としては、バリアブルモードの操作のための無段階調のダイヤルと、プリセットモードのためのポジションスイッチを設けることが想定される。
【0062】
図4には、そのような操作系を備えた撮像装置400を示している。なお、
図1と同じ部分は同じ符号を付している。
この撮像装置400では、回転操作部300としてバリアブルモードの操作のためのダイヤルを設けている。またプリセット操作部302として、例えばスライドスイッチ構造の操作部を設け、ユーザがプリセットナンバ「1」から「4」を選択できるようにしている。
これらとは別に、例えばスライドスイッチ構造のモード操作部301を設け、バリアブルモードとプリセットモードをユーザが選択できるようにしている。
【0063】
このようにバリアブルモードとプリセットモードを用意すると、各モードについてそれぞれ操作部材を設け、またモードを切り替えるための操作部材を別途設けることになり、操作系が複雑化してしまう。また撮影をしながらの切り替え操作は難度が高くなってしまう。実際に撮影時には、カメラマンはディスプレイ5やビューファインダを注視しており、操作子は手探りで探すことになる。このためモード切り替えやプリセット選択の操作性は悪化するとともに、誤操作の可能性が高まる。
【0064】
そこで本実施の形態では、透過率操作子9として回転体9aと押圧部9bを備えることとして、バリアブルモードとプリセットモードの操作性を著しく向上させる。
以下、このための具体的処理例を説明する。
【0065】
<3.第1の実施の形態の処理例>
図5に本実施の形態の透過率操作に対応する処理例を示す。
図5は
図3における透過率指示部110(操作情報検出部111、設定透過率算出部113、プリセット記憶部112、オート/マニュアル判断部109)の処理例を示している。
【0066】
透過率指示部110は
図5の処理を例えば100msec周期で繰り返し、操作系の変化を監視する。
【0067】
ステップS1000で透過率指示部110は、オート/マニュアル設定を確認する。即ちオート/マニュアル切り替え部120の操作状態を判定する。
ユーザによってオートモードが指定されている場合は、透過率指示部110はステップS1013に進み、AE制御部106でAE検波に基づいて算出された透過率制御値を透過率可変駆動部108に指示する透過率制御値とし、ステップS1014で透過率可変駆動部108に対して透過率指示を行う。
これによりオートモードではAE制御部106によって自動生成された透過率制御値に基づいて可変減光フィルタ102の透過率が制御される。
【0068】
ステップS1000でマニュアルモードと判定された場合は、透過率指示部110の処理はステップS1001に進む。
【0069】
ステップS1001では透過率指示部110は、ユーザからのプリセットモード/バリアブルモードのモード切り替え操作を検知する。即ち押圧部9bの操作である。
ユーザからの操作自体はシーケンス上のどこであっても問題ないが、内部処理では押圧部9bの押下状態を検出する押圧検知部100の出力信号確認は本ステップでのみ実施する。
透過率指示部110は、ステップS1001にて押圧部9bの押下状態(第1状態/第2状態)を取得した後、ステップS1002へ遷移する。
【0070】
ステップS1002で透過率指示部110は、可変減光フィルタ102の操作モードがプリセットモードか、バリアブルモードかを判別する。即ちステップS1001で取得した押圧部9bの押下状態によってモード判別を行い、プリセットモードの場合はステップS1004へ、バリアブルモードの場合はステップS1003へ遷移する。
【0071】
ステップS1003で透過率指示部110は、バリアブルモードにおける前回値を取得する。ここでいう前回値とは、直前のバリアブルモードにおける可変減光フィルタ102の透過率制御値である。
例えば前回ポーリング時(約100msec前)もバリアブルモードであれば、可変減光フィルタ102の現在の透過率に相当する透過率制御値を取得する。
バリアブルモードではポーリング周期間隔で透過率を相対的に変化させるため、その基準位置として前回値を使用するものである。
ステップS1003で前回値を取得したら透過率指示部110の処理はステップS1005へ遷移する。
【0072】
一方、プリセットモードでステップS1004に進んだ場合、透過率指示部110は、プリセットモードにおける前回値を取得する。ここでいう前回値とは、直前(例えば前回ポーリング時である約100msec前)のプリセットモードにおける可変減光フィルタ102の透過率制御値、及びプリセットナンバである。本ステップ終了後、透過率指示部110の処理はステップS1005へ遷移する。
【0073】
ステップS1005で透過率指示部110は、ユーザによる回転体9a操作を検知する。ステップS1001同様に、ユーザ操作自体はどのタイミングで実施されてもよいが、内部処理においては、このステップS1005で、前回ポーリング時のステップS1005以降から現在までの累積回転量を取得する。
【0074】
ステップS1006で透過率指示部110は、回転体9aの操作を回転角度情報として取得し、これを透過率変化量に換算する。
回転角度は±360degで記憶し、回転角度から透過率への変換はプリセット/バリアブルモードによって変換係数が異なる。MRセンサは、360deg以内であれば回転角度の絶対位置を検出可能である。360degを超えるケースはポーリング周期を100msecに規定しているため、現実的には起こりえず、前提条件として排除している。変換係数については、プリセットモードの場合は45degで変化量「1」、バリアブルモードの場合は10degで変化量「1」(例えば1/6EV単位の透過率変化)とする。
【0075】
ステップS1007で透過率指示部110は、ステップS1002同様にモードによって処理を分岐する。即ちプリセットモードの場合はステップS1009へ、バリアブルモードの場合はステップS1008へ遷移する。
【0076】
透過率指示部110は、ステップS1008では、バリアブルモードにおいて指示する透過率制御値を設定透過率算出部113にて算出する。
この場合、基準値となるステップS1003で取得した前回値と、ステップS1006で算出した透過率変化量を加算し、設定可能域(「1/4」から「1/128」)に収まるようにリミット処理を施す。本ステップ終了後はステップS1012へ遷移する。
なお、このステップS1008では、次回のステップS1003の処理で前回値として用いるため、算出した新たな透過率制御値を記憶しておく。
【0077】
また透過率指示部110はステップS1009に進んだ場合は、プリセットモードにおけるプリセットナンバを設定透過率算出部113にて算出する。
例えば基準値となるステップS1004で取得した前回値のプリセットナンバと、ステップS1006で算出した透過率変化量(プリセットナンバと単位系が合致するように変換係数を工夫している)を加算する。また、プリセットナンバの範囲である設定可能域(「1」から「8」)に収まるようにリミット処理を施す。これにより新たなプリセットナンバを算出する。そしてステップS1010へ遷移する。
なお、このステップS1009では、次回のステップS1004の処理で前回値として用いるため、算出した新たなプリセットナンバを記憶しておく。
【0078】
ステップS1010で透過率指示部110は、ステップS1009で算出したプリセットナンバに対応する透過率制御値を取得する。即ちプリセットナンバをキーとしてプリセット記憶部112へアクセスし、対応する透過率を指定透過率として取得する。
本ステップ終了後はステップS1012へ遷移する。
【0079】
ステップS1012で透過率指示部110は、マニュアルモードにおいて透過率可変駆動部108に指示する透過率制御値を設定する。
即ちステップS1008からS1012に遷移した場合は、透過率指示部110は、ステップS1008で算出した透過率制御値を透過率可変駆動部108に指示する透過率制御値として設定する。
またステップS1010からS1012に遷移した場合は、透過率指示部110は、ステップS1010でプリセット記憶部112から取得した透過率制御値を透過率可変駆動部108に指示する透過率制御値として設定する。
【0080】
そして透過率指示部110はステップS1014で、透過率可変駆動部108に対して透過率制御値を供給することで透過率指示を行う。
これによりマニュアルモードでは、透過率操作子9の操作に応じて、バリアブルモード又はプリセットモードによる透過率制御値が設定され、可変減光フィルタ102の透過率が制御される。
【0081】
以上が、第1の実施の形態の透過率制御処理となる。
例えば、前回のポーリング制御から回転体9aの操作がなかった場合は、ステップS1006の回転角度が0degになり、可変減光フィルタ102の透過率は前値保持となる。
また、押圧部9bを切り替えた場合は、直前の透過率を保持するのではなく、切り替え先のモードにおける特定の透過率であったり、以前の当該切り替え先のモードでの透過率を設定することが考えられる。
また押圧部9bの操作でプリセットモードからバリアブルモードに切り替えられた際には、そのプリセットモードの最後の時点の透過率が維持されるようにすればよい。すると、ユーザはプリセットモードでの透過率を起点にして、透過率を微調整できることになる。
【0082】
<4.第2の実施の形態>
第2の実施の形態としての透過率指示部110の処理例を
図6で説明する。
なお以降のフローチャートの説明では、既述の処理例と同じ処理については同じステップ番号を付し、重複説明を避ける。
【0083】
図6の処理例は、透過率指示部110は、透過率操作子9が第1状態から第2状態にされた際、つまりバリアブルモードからプリセットモードに切り替えられる際には、前回、第2状態(プリセットモード)にあったときに最後に選択されていたプリセットナンバに対応して記憶されていた透過率制御値を、透過率可変駆動部108に指示するようにしたものである。
【0084】
図6において
図5と異なるのは、ステップS1050,S1051が追加されている点である。
透過率指示部110はステップS1002からS1004に進んだ後、ステップS1050として、今回はバリアブルモードからプリセットモードに切り替えられたタイミングであったか否かを判定している。
前回(例えば100msec前の処理時)もプリセットモードであったら透過率指示部110はステップS1005に進み、
図5と同様の処理を行う。
【0085】
前回がバリアブルモードであって、今回がプリセットモードへの切り替えタイミングであった場合、透過率指示部110はステップS1050からS1051に進み、前回のプリセットナンバ、つまり過去にプリセットモードとされていたときの最後に選択されていたプリセットナンバを取得し、そのプリセットナンバに対応する透過率制御値をプリセット記憶部112から取得する。
【0086】
そして透過率指示部110はステップS1012に進む。この場合、透過率指示部110は、ステップS1051でプリセット記憶部112から取得した透過率制御値を透過率可変駆動部108に指示する透過率制御値として設定する。
そして透過率指示部110はステップS1014で、透過率可変駆動部108に対して透過率制御値を供給することで透過率指示を行う。
【0087】
これにより第2の実施の形態の場合、バリアブルモードからプリセットモードに切り替えられたときには、可変減光フィルタ102の透過率は、まず前回プリセットモードとしていたときの最後のプリセットナンバによる透過率に制御されることになる、
【0088】
なお、ステップS1009では、算出したプリセットナンバを、次回のステップS1004の処理で前回値として用いるため、算出した新たなプリセットナンバを記憶しておくが、そのプリセットナンバはバリアブルモードの期間もその記憶は保持するようにしている。いわゆるラストメモリとして最新の選択されたプリセットナンバが記憶されていることで、ステップS1051では、その記憶されたプリセットナンバを用いればよいことになる。
【0089】
ところで、この処理例では、前回のプリセットモード時の最後のプリセットナンバを記憶しておくため、今回のプリセットモードに切り替えられるまでに、ユーザ操作などによりプリセットナンバに対応する透過率制御値が書き換えられてしまった場合、前回のプリセットモード時の最後のプリセットナンバを用いても、前回とは異なる透過率制御値が読み出されて制御に用いられることも生ずる。
【0090】
そこで、プリセットナンバではなく、前回のプリセットモード時に最後に読み出された透過率制御値を記憶しておき、ステップS1051では、その透過率制御値を読み出すようにすることも考えられる。
例えばステップS1010では、プリセット記憶部112から読み出した透過率制御値を別途、前回の透過率制御値として記憶するようにしておけばよい。
【0091】
なお、そのようにすると、プリセットモードに移行したときの最初の透過率は、現在のプリセット記憶部112には記憶されていない値(対応するプリセットナンバが存在しない状態)となることもある。プリセット記憶部112で各プリセットナンバに対応する透過率制御値が書き換えられた場合である。
そのような場合は、ステップS1051での透過率を最初に設定した後は、現在のプリセットナンバは、その透過率に最も近い透過率となるプリセットナンバであると仮定して、その後のプリセットナンバの変更操作(回転体9aの操作)に対応するようにすることが考えられる。
なお、逆にプリセットモードからバリアブルモードに切り替えられた際には、そのプリセットモードの最後の時点の透過率が維持されるようにすることや、或いは前回のバリアブルモードでの最後の透過率となるようにすることも考えられる。
【0092】
<5.第3の実施の形態>
第3の実施の形態としての透過率指示部110の処理例を
図7、
図8で説明する。
図7の処理例は、透過率指示部110は、透過率操作子9が第1状態から第2状態にされた際、つまりバリアブルモードからプリセットモードに切り替えられる際には、可変減光フィルタ102の透過率が、その直前のバリアブルモードの透過率に最も近い状態となるようにする例である。
【0093】
図7において
図5と異なるのは、ステップS1060,S1061が追加されている点である。
透過率指示部110はステップS1002からS1004に進んだ後、ステップS1060として、今回はバリアブルモードからプリセットモードに切り替えられたタイミングであったか否かを判定している。
前回(例えば100msec前の処理時)もプリセットモードであったら透過率指示部110はステップS1005に進み、
図5と同様の処理を行う。
【0094】
前回がバリアブルモードであって、今回がプリセットモードへの切り替えタイミングであった場合、透過率指示部110はステップS1060からS1061に進み、直前のバリアブルモードでの透過率に近い透過率になるように適用するプリセットナンバの判定処理を行う。
【0095】
このステップS1061の処理を
図8に示している。
なおここでは、説明上、透過率制御値=透過率とする。
【0096】
ステップS1071で透過率指示部110は、プリセットモードの開始時の目標透過率として直前のバリアブルモードの値(前回値)を設定する。この前回値は、即ちステップS1008で計算され、記憶されている透過率制御値(=透過率)であればよい。つまりバリアブルモードが継続されていればステップS1003で取得される前回値である。
【0097】
ステップS1072で透過率指示部110は、目標透過率誤差を設定する。例えばEV値(Exposure Value)として目標透過率誤差を設定する。例えば「0xFFFF」として誤差の最大値を設定する。
【0098】
そしてループ処理LP1としてステップS1073,S1074,S1075を所要回数繰り返す。
この場合、プリセットナンバを示す変数iについて、初期状態をi=1とし、i≦9の範囲で変数iをインクリメントしていくものとする。
【0099】
ステップS1073では、(目標透過率)-(プリセットナンバiの透過率)の値が、目標透過率誤差以上であるか否かを判定する。
なお、ここでいう(目標透過率)-(プリセットナンバiの透過率)の値は絶対値で扱うものとする。
(目標透過率)-(プリセットナンバiの透過率)の値が、目標透過率誤差以上であれば、ループ処理の1回を終了し、変数iをインクリメントしてステップS1073に戻る。
【0100】
(目標透過率)-(プリセットナンバiの透過率)の値が、目標透過率誤差以上でなければ、透過率指示部110はステップS1074において、その(目標透過率)-(プリセットナンバiの透過率)の値を、目標透過率誤差とする。即ち目標透過率誤差を更新する。
そしてステップS1075で現在のプリセットナンバiを暫定プリセットナンバとして記憶する。つまり(目標透過率)-(プリセットナンバiの透過率)の値が現時点で最も小さいプリセットナンバとして記憶する。
【0101】
この処理をプリセットナンバ「1」から「8」まで繰り返すと、(目標透過率)-(プリセットナンバiの透過率)の値が最も小さいプリセットナンバが、暫定プリセットナンバとして残ることになる。つまり、前回のバリアブルモードの透過率に最も近い透過率のプリセットナンバである。
【0102】
そこでステップS1076で透過率指示部110は、暫定プリセットナンバの値を、最漸近プリセットナンバとする。
そしてステップS1077で透過率指示部110は、最漸近プリセットナンバに対応する透過率制御値をプリセット記憶部112から取得する。
【0103】
以上の処理を終えたら透過率指示部110は
図7のステップS1012に進む。この場合、透過率指示部110は、ステップS1061の適用プリセットナンバ判定の処理におけるステップS1077でプリセット記憶部112から取得した透過率制御値を透過率可変駆動部108に指示する透過率制御値として設定する。
そして透過率指示部110はステップS1014で、透過率可変駆動部108に対して透過率制御値を供給することで透過率指示を行う。
【0104】
これにより第3の実施の形態の場合、バリアブルモードからプリセットモードに切り替えられたときには、可変減光フィルタ102の透過率は、大きく変動しないこととなる。直前のバリアブルモードで指示していた透過率に近い透過率となるようにプリセットナンバが選択されるためである。
従って、単にバリアブルモードからプリセットモードにモード変更するのみで、露光が急激に変わるようなことを望まない場合に有用となる。
なお、逆にプリセットモードからバリアブルモードに切り替えられた際には、そのプリセットモードの最後の時点の透過率が維持されるようにすればよい。つまりユーザがプリセットモードでの透過率を起点にして、透過率を微調整できるようにする。但し、プリセットモードからバリアブルモードに切り替えられた際に、前回のバリアブルモードでの最後の透過率となるようにすることも考えられる。
【0105】
<6.第4の実施の形態>
第4の実施の形態として、透過率操作子9の他の形態例、及び第1、第2、第3の実施の形態とは異なる処理例を合わせて説明する。
【0106】
図9には
図2と同様に模式的に透過率操作子9の例を示している。
この
図9の例の場合、透過率操作子9は、
図2のような押圧部9bを設けておらず、回転体9aのみで、モード切替え及び透過率指示を実現する。
【0107】
回転体9aは、回転端がなく、両方向に回転可能である。
この回転体9aは回転軸の位置が、
図9Aの回転軸AR1、
図9Bの回転軸AR2として示すように変化する。即ち回転体9aは回転軸位置が変化するようにスライド移動する機構とされている。
例えば
図9Aが第1状態のスライド位置であり、この位置にあるときはバリアブルモードとして機能し、
図9Bが第2状態のスライド位置であり、この位置にあるときはプリセットモードとして機能する。
【0108】
内部は回転体9aに電極を設け、第1状態のスライド位置の時に本体側の電極と接触することで電気回路として短絡状態となり、ローレベルが検出される。第2状態のスライド位置の時に電極が離れることで開放状態となり、ハイレベルが検出され、これをセンサ出力として、回転体9aの位置を検出する。もちろん逆論理でもよい。
第1状態/第2状態のいずれのスライド位置であっても回転体9aは回転可能で無段階調整可能な機構とする。
【0109】
図10には第4の実施の形態の場合の撮像装置1の内部構成例を示している。
図3の構成と異なる点は、スライド検知部200、プリセット生成部201が設けられる点である。他は、
図3と同一であるため同一符号を付して説明を省略する。
プリセット生成部201は、透過率指示部110の1つの機能となる。
【0110】
スライド検知部200は、回転体9aのスライド位置としての第1状態/第2状態を検知する。即ち上記のようにスライド位置に応じてハイレベル/ローレベルの検出信号を出力する構成である。この検出信号が操作情報検出部111に供給されることで、設定透過率算出部113が第1状態/第2状態を判定することができる。
【0111】
プリセット生成部201は、AE制御部106にて求められる、適正露光との差分情報、及び絞り103の開口径、可変減光フィルタ102の透過率の状態から、適正露光となる可変減光フィルタ102の透過率をプリセット情報として生成する。
【0112】
本例では例えばプリセットモードで選択できるプリセットナンバを「1」から「9」とする。この場合に、適正露光となる可変減光フィルタ102の透過率を、プリセットナンバの中央値であるプリセットナンバ「5」に登録し、プリセットナンバ「4」から「1」は0.5EV刻みで透過率が高くなる方向、プリセットナンバ「6」から「9」は0.5EV刻みで透過率が低くなる方向に設定されるものとする。
なお、プリセットナンバ「1」~「4」、「6」~「9」の刻み幅についてはユーザが任意に設定できるものとする。
【0113】
例えば、今現在の絞り103の開口径がF4、可変減光フィルタ102の透過率が「1/32」の時、AE制御部106にて算出される適正露光との差分が2EV暗い状態の場合、透過率を2EV高くする(明るくする)と適正露光に収束する。
そのため、プリセットナンバ「5」は「1/8」となり、プリセットナンバ「1」から「4」の透過率制御値としては「1/4」「1/4」「1/4」「29/164」、プリセットナンバ「6」から「9」は「1/11」「1/16」「1/22」「1/32」が記憶される。
なお、プリセットナンバ「1」「2」「3」はすべて透過率「1/4」であるが、これは可変減光フィルタ102の最大透過率が「1/4」のためであり、設定リミットに到達した場合にはこのように同値が設定されるという例である。
これらの値はあくまで内部値であり、ユーザに通知する透過率は所定の量子化を施して通知する。
【0114】
本機能は、プリセット自動設定機能がユーザ指示によって許可状態、かつオート/マニュアル切り替え部120がマニュアル設定、かつスライド検知部200によりバリアブルモードからプリセットモードへ切り替えられたことが検知されるときに実行される。それ以外の時はプリセット記憶部112の情報はプリセット生成部201によっては変更されない。
【0115】
図11に第4の実施の形態としての7には、本実施の形態における透過率操作に対する処理のフローチャートを示す。
図11の処理は例えば100msec周期で繰り返され、操作系の変化を監視する。
【0116】
ステップS2001で透過率指示部110は、プリセット自動設定状態とプリセット変化幅設定を取得する。いずれも不図示の撮像装置のユーザインタフェース上でユーザが設定可能であり、ユーザが指定することで状態が変化する。
プリセット自動設定が許可状態であればプリセット生成部201によるプリセット自動設定が有効状態となり、プリセット自動設定が有効時のプリセットナンバ間の透過率の刻み幅はプリセット変化幅設定によって定められる。本ステップ終了後はステップS2002へ遷移する。
【0117】
ステップS2002で透過率指示部110は、ユーザからのプリセットモード/バリアブルモードの切り替え操作を検知する。即ち透過率指示部110の回転体9aのスライド操作による第1状態/第2状態を検知する。
ユーザからの操作自体はシーケンス上のどこであっても問題ないが、内部処理でスライド位置状態を検出するスライド検知部200の出力信号確認は、本ステップでのみ実施する。本ステップにて透過率操作子9のスライド位置を検出後、ステップS2003へ遷移する。
【0118】
ステップS2003で透過率指示部110は、可変減光フィルタ102の操作状態がプリセットモードか、バリアブルモードかを判別する。
ステップS2002で取得したスライド位置状態によってモード判別がなされ、プリセットモードの場合はステップS2004へ、バリアブルモードの場合はステップS1003へ遷移する。
ステップS1003へ進んだ場合は、第1の実施の形態の
図5と同様にステップS1003,S1005,S1006,S1007,S1008の処理が行われる。
【0119】
ステップS2004で透過率指示部110は、本ポーリング制御周期がバリアブルモードからプリセットモードへ遷移した切り替わりタイミングであるかを判別する。
直前のポーリング制御時(約100msec前)がバリアブルモードであればステップS2020へ、そうでなければステップS1004へ遷移する。
ステップS1004へ進んだ場合は、第1の実施の形態の
図5と同様にステップS1004,S1005,S1006,S1007,S1009,S1010の処理が行われる。
【0120】
今回、バリアブルモードからプリセットモードに切り替えられたタイミングであった場合は、透過率指示部110はステップS2020で、プリセットデータ更新処理を行う。
このステップS2020の処理の詳細を
図12に示す。
【0121】
図12のステップS2005で透過率指示部110は、プリセット生成部201にてAE制御部106から適正露光情報を取得する。
適正露光情報とは、適正露光と撮像素子104に入光する実露光の差分情報、及び絞り103の露光時の開口径、絞り103の現在の開口径、可変減光フィルタ102の露光時の透過率である。適正露光とは撮像装置として提供される所定の露光量でもよく、またユーザが任意に設定できる任意の露光量であってもよい。
【0122】
ステップS2006で透過率指示部110は、プリセット生成部201にて適正露光となる可変減光フィルタ102の透過率を算出する。
実露光は、絞り103の露光時の開口径、可変減光フィルタ102の露光時の透過率で光量制限された光量であり、この時の露光量と、目標とする適正露光との差分を求めることで、絞り103ないし可変減光フィルタ102をどのくらい操作すればよいかが明確になる。ただし、被写体が一定であることを前提とする。
【0123】
また撮像素子104で露光してからAE制御部106で演算するまでにいくらかの遅延があるため、露光タイミングから絞り103の開口径が変化している場合は、現在の絞り103の開口径と露光結果とは紐づかない。そのため、絞り103の現在の開口径を取得する。適正露光との差分情報から、可変減光フィルタ102の透過率の相対変位量を算出し、絞り103の開口径の露光時と現在時の差分から相対変位量に反映し、露光時の可変減光フィルタ102の透過率に相対変位量を加算することで適正露光となる可変減光フィルタ102の透過率が求めるようにしている。
【0124】
ステップS2007で透過率指示部110は、ステップS2006で求めた可変減光フィルタ102の適正露光透過率をプリセット記憶部112へ保存する。
例えばプリセットナンバの中央値である「5」に保存する。これはプリセットナンバを前後に等価に振ることができるためである。例えば、可変減光フィルタ102の透過率の設定可能領域(「1/4」から「1/128」)を鑑みて、適正露光透過率が設定端に近ければ、適正露光透過率の保存位置をプリセットナンバ「5」からずらしてもよい。
例えば適正露光透過率が1/8であれば、プリセットナンバ「3」に保存すると、上述のようにプリセットナンバ「1」から「3」で透過率「1/4」が連なることはない。
【0125】
ステップS2008で透過率指示部110は、残りのプリセットナンバ「1」から「4」、及び「6」から「9」に紐づける透過率(透過率制御値)を設定しプリセット記憶部112に記憶する。この場合、リセットナンバ「5」に記憶させる適正露光透過率を基準にし、ステップS2001で取得したプリセット変化幅設定に基づいて等間隔に設定する。
【0126】
ステップS2009で透過率指示部110は、設定透過率算出部113にて現在のプリセットナンバを強制的に「5」に設定し、プリセット記憶部112からプリセットナンバ「5」に紐づく透過率制御値(=適正露光透過率)を取得する。
本ステップ終了後は
図11のステップS2021へ遷移する。
【0127】
図11のステップS2021では、オート/マニュアル切り替え部120によるオートモード、マニュアルモードの設定確認を行う。
なお、
図5、
図6、
図7の各処理例では、この処理をステップS1000で行ったが、この
図11ではその変形例としてステップS2021で行う例を挙げている。
【0128】
ステップS2021で透過率指示部110は、可変減光フィルタ102の透過率制御がオートモードか否かを判別し、オートモード設定の場合はステップS1013へ、マニュアルモード設定の場合はステップS1012へ遷移する。
【0129】
ステップS1012で透過率指示部110は、マニュアルモードにおいて透過率可変駆動部108に指示する透過率制御値を設定する。
即ちステップS1008からS1012に遷移した場合は、透過率指示部110は、ステップS1008で算出した透過率制御値を透過率可変駆動部108に指示する透過率制御値として設定する。
またステップS1010からS1012に遷移した場合は、透過率指示部110は、ステップS1010でプリセット記憶部112から取得した透過率制御値を透過率可変駆動部108に指示する透過率制御値として設定する。
またステップS2020からS1012に遷移した場合は、透過率指示部110は、ステップS2020でプリセット記憶部112のプリセットナンバ「5」から取得した透過率制御値(=適正露光透過率)を透過率可変駆動部108に指示する透過率制御値として設定する。
【0130】
そして透過率指示部110はステップS1014で、透過率可変駆動部108に対して透過率制御値を供給することで透過率指示を行う。
これによりマニュアルモードでは、透過率操作子9の操作に応じて、バリアブルモード又はプリセットモードによる透過率制御値が設定され、可変減光フィルタ102の透過率が制御される。
加えて、バリアブルモードからプリセットモードに切り替えた時点では、算出された適正露光透過率の状態にセットされ、かつその時点のプリセットナンバは例えば中央値である「5」とされる。
【0131】
なおオートモードであってステップS1013に進んだ場合は、透過率指示部110は、設定透過率算出部113の出力値を棄却し、AE制御部106でAE検波に基づいて算出された透過率制御値を最終的な透過率制御値として確定する。そしてステップS1014で当該透過率制御値を透過率可変駆動部108に指示することになる。
【0132】
以上のように、プリセットモード移行と同時に、適正露光となる可変減光フィルタ102の透過率に設定することで、プッシュAE相当の動作が実現できる。
利点としては、前回値を引き継いでしまうと、適正露光になるまで回転体9aを操作し続けなければならない操作時間を大幅に短縮できる点、及びプリセット記憶部112に適正露光となる透過率が存在しない場合のプリセット情報(プリセットナンバと透過率)変更の手間を削減することができる点が挙げられる。変更の手間とは、例えば「1/8」が適正露光だが、プリセットナンバ「1」から「9」までに「1/8」になる設定を記憶していない場合に、ユーザがプリセット情報を登録しなおす手間などである。
【0133】
絞りの場合、被写界深度や回折現象の誘発など画質に影響を与えてしまうが、可変減光フィルタであれば光量を増減するのみであるため、ユーザの画造り(主に画質面)に影響を与えることなく、適切な露光量を提供できる。
【0134】
なお、第4の実施の形態として透過率操作子9の例と、適正露光を求めてプリセットデータ更新を行う処理例を挙げたが、これらは必ずしも両方が関連しているわけではない。
例えば透過率操作子9が
図2で示した構成においても、
図11,
図12の処理を採用することも当然可能である。
【0135】
<7.第5の実施の形態>
第5の実施の形態として、透過率操作子9の他の形態例を
図13で説明する。
図13は
図2と同様に模式的に透過率操作子9の例を示している。
この
図13の例の場合、透過率操作子9は、押圧部9bを設けておらず、回転体9aのみで、モード切替え及び透過率指示を実現する。
【0136】
回転体9aは、回転端がなく、両方向に回転可能である。
この回転体9aは
図13Aの非押し込み状態(第1状態)、
図13Bの押し込み状態(第2状態)に変化する。即ち回転体9aは回転軸方向に変位可能な機構とされている。
例えば
図13Aの第1状態にあるときはバリアブルモードとして機能し、
図13Bの第2状態にあるときはプリセットモードとして機能する。
【0137】
内部機構としては、第1状態の時に本体側の電極と接触することで電気回路として短絡状態となり、ローレベルが検出され、第2状態の押し込み位置の時に電極が離れることで開放状態となり、ハイレベルが検出され、これをセンサ出力として、回転体9aの位置を検出するような構造が考えられる。
【0138】
このような透過率操作子9を、上述の第1から第4の実施の形態の処理を適用する場合の操作子としてもよい。
【0139】
<8.第6の実施の形態>
第6の実施の形態として、プリセットモードとバリアブルモードの違いを操作感覚で明示するために、各モードで操作時の感触を変化させる例を挙げる。
具体的には、バリアブルモードでは、回転体9aの回転操作時にはなめらかな操作感が生じ、プリセットモードのときは、回転体9aの回転操作時にはクリック感が伴うようにする。特にクリック感が得られる回転量で、プリセットナンバが変化するようにする。
【0140】
透過率操作子9が
図2の構造の場合、押圧部9bを押下した際に部材が押されたことに連動して内部のギヤ機構を変更させる。
バリアブルモード時は一定のトルク感を伴う滑らかな回転動作を提供し、プリセットモード時は回転体9aの1回転あたり8回のクリック感を伴わせる回転動作を提供する。8回とするのは、プリセットナンバが「1」から「8」を用意する場合である。
そしてプリセットナンバ(透過率)の切り替わりタイミングとクリックタイミングを同期させることでユーザの操作性をより向上することが可能となる。
【0141】
透過率操作子9が
図9の構造の場合、第1状態/第2状態のスライド位置の変更によってギヤ機構を組み替え、第2状態のスライド位置のプリセットモード時は回転体9aの1回転で9回のクリック感(プリセットナンバ「1」から「9」の場合)を伴わせる機構とし、第1状態のスライド位置の時はクリック感なく、無段階調整可能な機構設計とする。
【0142】
透過率操作子9が
図13の構造の場合、第1状態/第2状態の押し込み位置の変更によってギヤ機構を組み替え、第2状態の押し込み位置のプリセットモード時は回転体9aの1回転で9回のクリック感(プリセットナンバが「1」から「9」の場合)を伴わせる機構とし、第1状態の時はクリック感なく、無段階調整可能な機構設計とする。
【0143】
このように機構的にプリセットモードの状態でクリック感が生ずるものとする以外に、振動子により振動を発生させることも考えられる。
図14は
図3の構造に振動部202を追加した構成例を示している。振動部202はいわゆるバイブレータ機構として、振動子の回転により振動を発生させる。
この振動部202を例えば操作情報検出部111が制御する。
操作情報検出部111は、回転体9aの回転操作量は、プリセットモードにおいてプリセットナンバの変化を生じさせる操作量となったことを検知したら、振動部202を駆動させる。
このようにすることで、プリセットナンバの変化に応じたクリック操作感をユーザに与えることができ、回転体9aによるプリセットナンバ選択操作をわかりやすいものとすることができる。
【0144】
<9.可変減光フィルタを含む光学ブロック機構>
以下に、可変減光フィルタ102を含む光学ブロック10の構成について説明する(
図15乃至
図21参照)。
【0145】
尚、以下の説明にあっては、撮像装置1の本体部3にレンズ鏡筒8が装着された状態において撮影者から見た方向で前後上下左右の方向を示すものとする。従って、被写体側が前方となり、撮影者側が後方となる。
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本技術の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0146】
光学ブロック10は本体部3の内部においてパネル部4の直ぐ後側に配置され、フロントベース11とリアベース12と第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14と素子ユニット15と駆動機構16を有している(
図15乃至
図17参照)。
【0147】
フロントベース11は前後方向を向く略矩形の板状に形成されたベース面部17とベース面部17の外周部から後方に突出された結合枠部18とを有し、ベース面部17の上半部に矩形の透過孔17aを有している。フロントベース11には透過孔17aの周囲に前方に突出された円環部19が設けられている。円環部19の下端部における内周側には端子配置部20が設けられ、端子配置部20には複数の接続端子20aが周方向に並んで配置されている。
【0148】
レンズ鏡筒8が本体部3に装着された状態において、レンズ鏡筒8の後端面に設けられた図示しない複数の電極部がそれぞれ接続端子部20aに接続される。従って、本体部3とレンズ鏡筒8が電気的に接続され、本体部3とレンズ鏡筒8の間での信号の送受信等が可能な状態にされる。
【0149】
フロントベース11には透過孔17aを後方から覆う状態で赤外線カットフィルタ21が取り付けられている。赤外線カットフィルタ21によってレンズ鏡筒8を介して取り込まれる外部の光のうち赤外領域の光が吸収され、撮影に適する光が撮像素子部104へ向かう。
【0150】
リアベース12は前後方向を向く略矩形の板状に形成された取付ベース部22と取付ベース部22の外周部から前方に突出された外枠部23とを有し、取付ベース部22の上半部に矩形の入射孔22aを有している。取付ベース部22には入射孔22aの直ぐ下側に前後に貫通された挿入孔22bが形成されている。挿入孔22bは取付ベース部22の左右方向における一方の端部に寄った位置に形成されている。
【0151】
リアベース12には左右両端部にそれぞれ前方に開口された配置空間12a、12bが形成されている。
【0152】
リアベース12には第1のガイド軸24、24と第2のガイド軸25、25が取り付けられている(
図17及び
図18参照)。
第1のガイド軸24、24は軸方向が上下方向にされ、上下両端部がそれぞれ外枠部23の上下両端部に固定されることによりリアベース12に取り付けられている。第1のガイド軸24、24はそれぞれ配置空間12a、12bに位置されている。
第2のガイド軸25、25は軸方向が上下方向にされ、上下両端部がそれぞれ外枠部23の上下両端部に固定されることによりリアベース12に取り付けられている。第2のガイド軸25、25はそれぞれ第1のガイド軸24、24の内側において配置空間12a、12bに位置されている。
【0153】
取付ベース部22の前面における上下両端部にはそれぞれ第1のバネ26と第2のバネ27が取り付けられている。
第1のバネ26と第2のバネ27は、例えば、板バネであり、それぞれ被取付部26a、27aと弾性変形部26b、27bから成る。第1のバネ26は被取付部26aが取付ベース部22の上端部に取り付けられ、弾性変形部26bが被取付部26aに対して略上下方向へ弾性変形可能にされている。
第2のバネ27は被取付部27aが取付ベース部22の下端部に取り付けられ、弾性変形部27bが被取付部27aに対して略上下方向へ弾性変形可能にされている。
【0154】
第1のバネ26の弾性変形部26bと第2のバネ27の弾性変形部27bとは、それぞれ取付ベース部22の左右方向における両端寄りに位置されている。
【0155】
取付ベース部22の左右方向における一方の端部には光検出器28と光検出器29が上下に離隔した状態で取り付けられている。光検出器28、29は取付ベース部22を前後に貫通した状態で取り付けられ、それぞれ前側の端部が検出部28a、29aとして設けられている。検出部28a、29aは配置空間12bに位置され、それぞれ左右に離隔する一対の突部によって構成されている。
【0156】
第1の可動ユニット13はフィルタ保持部30と可変減光フィルタ102と軸受31を有している(
図15及び
図16参照)。
フィルタ保持部30は略矩形状の保持枠32と保持枠32の左右方向における一端部から後方に突出された被作用突部33とを有している。
保持枠32には上方に突出された上側突部32aと下方に突出された下側突部32bとが設けられ、上側突部32aは左右方向における一端部に寄った位置に設けられ、下側突部32bは左右方向における他端部に寄った位置に設けられている。
【0157】
被作用突部33には上下に貫通された軸受孔33aが形成されている。被作用突部33の左右方向における一方の面にはラック部33bが形成されている。被作用突部33の下端部には後方に突出された被検出片33cが設けられている。
【0158】
可変減光フィルタ102は外周部がフィルタ保持部30における保持枠32の内周部に貼り付けられ、第1の可動ユニット13は可変減光フィルタ102の厚み方向が光軸方向(前後方向)に一致されている。可変減光フィルタ102はND(Neutral Density)フィルタであり、電圧が印加されることにより光の透過率が変化する電子可変フィルタとして機能する。
【0159】
軸受31は保持枠32の左右方向における他端部の後面に取り付けられ、ラック部33b側に開口されている。
【0160】
第2の可動ユニット14はフィルタ保持部34と透明フィルタ102Xと軸受35を有している。フィルタ保持部34は略矩形状の保持枠36と保持枠36の左右方向における一端部から後方に突出された被作用突部37とを有している。第2の可動ユニット14は、左右方向における大きさが第1の可動ユニット13の左右方向における大きさより小さくされ、被作用突部37の保持枠36からの突出量が第1の可動ユニット13における被作用突部33の保持枠32からの突出量より小さくされている。
【0161】
保持枠36には上方に突出された上側突部36aと下方に突出された下側突部36bとが設けられ、上側突部36aは左右方向における一端部に寄った位置に設けられ、下側突部36bは左右方向における他端部に寄った位置に設けられている。
【0162】
被作用突部37には上下に貫通された軸受孔37aが形成されている。被作用突部37の左右方向における一方の面にはラック部37bが形成されている。被作用突部37の上端部には後方に突出された被検出片37cが設けられている。
【0163】
透明フィルタ102Xは外周部がフィルタ保持部34における保持枠36の内周部に貼り付けられ、第2の可動ユニット14は透明フィルタ102Xの厚み方向が光軸方向に一致されている。透明フィルタ102Xには電圧が印加されず、電子可変フィルタの機能は有していない。
【0164】
軸受35は保持枠36の左右方向における他端部の後面に取り付けられ、ラック部37bと反対側に開口されている。
【0165】
第1の可動ユニット13は一方の第1のガイド軸24が軸受孔33aに挿入され他方の第1のガイド軸24が軸受31に挿入され、被作用突部33と軸受31がそれぞれ第1のガイド軸24、24に案内されてリアベース12に対して上下方向へ移動可能にされる(
図19参照)。
また、第2の可動ユニット14は一方の第2のガイド軸25が軸受孔37aに挿入され他方の第2のガイド軸25が軸受35に挿入され、被作用突部37と軸受35がそれぞれ第2のガイド軸25、25に案内されてリアベース12に対して上下方向へ移動可能にされる。
【0166】
このとき第1の可動ユニット13はフィルタ保持部30が第2の可動ユニット14のフィルタ保持部34より前側に位置され、被作用突部33と軸受31がそれぞれ第2の可動ユニット14の被作用突部37と軸受35より左右方向において外側に位置される。従って、第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14は干渉せず、それぞれリアベース12に対して各別に上下方向へ移動可能にされる。
【0167】
第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14がリアベース12に対して上下方向へ移動可能にされた状態において、フロントベース11の結合枠部18とリアベース12の外枠部23とが前後で突き合わされて結合され、第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14がフロントベース11とリアベース12の間で上下方向へ移動可能にされる(
図17参照)。
【0168】
素子ユニット15は撮像素子部104を含む構成にされ、矩形の枠状に形成された保持フレーム38と保持フレーム38に保持された撮像素子39とを有している(
図15及び
図16参照)。
【0169】
駆動機構16はケース体40に所要の各部が取り付けられ又は支持されることにより構成され、駆動モーター41とウォームギヤ42と駆動ギヤ43と反転ギヤ44を有している(
図16及び
図19参照)。
【0170】
駆動モーター41のモーター軸は軸方向が左右方向にされ、モーター軸にはギヤ41aが固定されている。ギヤ41aは軸方向が上下方向にされたウォームギヤ42を介して駆動ギヤ43に噛合されている。
駆動ギヤ43は軸方向が前後方向にされ、同軸上に設けられた伝達ギヤ部43aと動力ギヤ部43bを有し、伝達ギヤ部43aと動力ギヤ部43bが連結体43cによって連結され、伝達ギヤ部43aと動力ギヤ部43bが連結体43cと一体になって同期して回転される。
反転ギヤ44は動力ギヤ部43bに噛合され、動力ギヤ部43bの回転に伴って動力ギヤ部43bと反対方向へ回転される。
【0171】
駆動機構16はケース体41がリアベース12における取付ベース部22の後面に取り付けられ、連結体43cが挿入孔22bに挿通され、反転ギヤ44と動力ギヤ部43bが取付ベース部22の前面側に位置される(
図17乃至
図19参照)。
反転ギヤ44は第1の可動ユニット13のラック部33bに噛合され、動力ギヤ部43bは第2の可動ユニット14のラック部37bに噛合される。従って、駆動モーター41の駆動力による反転ギヤ44の回転に伴って第1の可動ユニット13が上下方向へ移動され、駆動モーター41の駆動力による動力ギヤ部43bの回転に伴って第2の可動ユニット14が上下方向へ移動される。
【0172】
第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14の上方の移動端は撮像素子39の正面の位置であり、可変減光フィルタ102又は透明フィルタ102Xに赤外線カットフィルタ21を介して入射される光の透過が可能な光透過位置とされている。
第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14の下方の移動端は撮像素子39の正面側から下方に退避される退避位置とされ、退避位置においては光が可変減光フィルタ102と透明フィルタ102Xを透過されない。
【0173】
駆動モーター41の駆動時には反転ギヤ44と動力ギヤ部43bが互いに反対方向へ回転されるため、第1の可動ユニット13の移動方向と第2の可動ユニット14の移動方向が反対方向になり、第1の可動ユニット13が上方へ移動されるときには第2の可動ユニット14が第1の可動ユニット13に同期して下方へ移動され、第1の可動ユニット13が下方へ移動されるときには第2の可動ユニット14が第1の可動ユニット13に同期して上方へ移動される。また、第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14は光軸方向においてすれ違う状態で上下方向において反対方向へ移動される。
【0174】
第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14の移動は、所定の操作に応じた制御に基づいて行われる。
【0175】
所定の操作に応じて、第1の可動ユニット13が上方へ向けて移動され被検出片33cが検出部29aの一対の突部間に挿入されると、第1の可動ユニット13が光透過位置まで移動されたことが光検出器29によって検出され、駆動モーター41の駆動が停止されて第1の可動ユニット13が光透過位置に保持される(
図20参照)。
第1の可動ユニット13が上方へ向けて光透過位置まで移動されたときには、駆動モーター41の駆動が停止され、このとき上側突部32aが第1のバネ26の弾性変形部26bに下方から接触され、第1の可動ユニット13に第1のバネ26による下方への付勢力が付与される。従って、ラック部33bのラック歯に反転ギヤ44のギヤ歯が押し付けられ、バックラッシの発生が防止される。
【0176】
このとき第2の可動ユニット14は下方へ向けて退避位置まで移動されており、下側突部36bが第2のバネ27の弾性変形部27bに上方から接触され、第2の可動ユニット14に第2のバネ27による上方への付勢力が付与される。従って、ラック部37bのラック歯に動力ギヤ部43bのギヤ歯が押し付けられ、バックラッシの発生が防止される。
【0177】
一方、所定の操作に応じて、第2の可動ユニット14が上方へ向けて移動され被検出片37cが検出部28aの一対の突部間に挿入されると、第2の可動ユニット14が光透過位置まで移動されたことが光検出器28によって検出され、駆動モーター41の駆動が停止されて第2の可動ユニット14が光透過位置に保持される。第2の可動ユニット14が上方へ向けて光透過位置まで移動されたときには、駆動モーター41の駆動が停止され、このとき上側突部36aが第1のバネ26の弾性変形部26bに下方から接触され、第2の可動ユニット14に第1のバネ26による下方への付勢力が付与される。従って、ラック部37bのラック歯に動力ギヤ部43bのギヤ歯が押し付けられ、バックラッシの発生が防止される。
【0178】
このとき第1の可動ユニット13は下方へ向けて退避位置まで移動されており、下側突部32bが第2のバネ27の弾性変形部27bに上方から接触され、第1の可動ユニット13に第2のバネ27による上方への付勢力が付与される。従って、ラック部33bのラック歯に反転ギヤ44のギヤ歯が押し付けられ、バックラッシの発生が防止される。
【0179】
上記のように、第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14が光透過位置と退避位置に移動された状態において、ラック部37b、33bと反転ギヤ44又は動力ギヤ部43bとの間のバックラッシが防止される。従って、第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14の光透過位置又は退避位置から退避位置又は光透過位置へ向けての移動の開始時に駆動モーター41から第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14に動力の伝達が行われない時間帯が存在しないため、第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14の移動位置に関する高い位置精度を確保することができる。
【0180】
また、第1のバネ26と第2のバネ27によってバックラッシの発生を防止しているため、バックラッシの発生を防止するための構造が簡素であり、光学ブロック10の構造の簡素化を確保した上で第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14の移動位置に関する高い位置精度を確保することができる。
【0181】
上記のように、第1の可動ユニット13が光透過位置に移動された状態においては、可変減光フィルタ102に電圧が印加されることにより光の透過率が変化し、撮像素子39に入射される光量の制御が行われ、可変減光フィルタ102が用いられることにより発色に影響を与えることなく、撮像素子39に入射される光量を減らすことが可能になる。
このように可変減光フィルタ102が用いられることにより、発色に影響を与えることなく撮像素子39に入射される光量を減らすことが可能になるため、例えば、シャッター速度を低下させても露出オーバーが生じ難く、画像が白く飛んでしまう所謂白飛びが防止され、撮影する画像の画質の向上を図ることができる。
【0182】
また、透過率操作子9における回転体の操作により可変減光フィルタ102における光の透過率を所望の透過率に設定することが可能であると共に、第2の可動ユニット14を光透過位置に移動させることにより、透明フィルタ102Xにより撮像素子39への光の透過量を最大にすることが可能になる。
【0183】
従って、可変減光フィルタ102と透明フィルタ102Xにより撮像素子39への光の透過量の変動範囲を大きくすることができ、使用者の用途や趣向に応じて所望の画像を撮影することが可能になり、画質の向上を図った上で撮像装置1の使い勝手の向上を図ることができる。
【0184】
さらに、光学ブロック10に第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14を反対方向へ同期して移動させる駆動機構16が設けられ、第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14は一方が光透過位置に移動された状態において他方が退避位置に移動される。
【0185】
従って、駆動機構16によって第1の可動ユニット13が光透過位置に移動されたときに第2の可動ユニット14が退避位置に移動され、駆動機構16によって第2の可動ユニット14が光透過位置に移動されたときに第1の可動ユニット13が退避位置に移動される。これにより、一つの駆動機構14によって第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14が光透過位置又は退避位置に移動されるため、撮像装置1の構造の簡素化を図った上で第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14をそれぞれ所定の位置に移動させることができる。
【0186】
また、第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14がともに光透過位置と退避位置の間で移動されるため、第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14の移動が同じ移動範囲において行われる。従って、第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14の移動範囲を各別に設定する必要がなく、第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14の移動範囲を最小限に設定することが可能になり、撮像装置1の小型化を図ることができる。
【0187】
さらに、第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14は、すれ違うことにより光透過位置又は退避位置へ向けて移動される。
従って、接近した状態での移動により第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14が光透過位置又は退避位置に移動されるため、第1の可動ユニット13の移動スペースと第2の可動ユニット14の移動スペースが小さく、撮像装置1の一層の小型化を図ることができる。
【0188】
さらにまた、第1の可動ユニット13は可変減光フィルタ102の厚み方向が光軸方向に一致され、第2の可動ユニット14は透明フィルタ102Xの厚み方向が光軸方向に一致され、第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14が光軸方向に直交する方向へ移動される。
従って、厚み方向が光軸方向に一致された状態で第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14が光軸方向に直交する方向へ移動されるため、光軸方向において第1の可動ユニット13と第2の可動ユニット14の移動スペースを必要とせず、撮像装置1の光軸方向における小型化を図ることができる。
【0189】
ここで、第1の可動ユニット13の駆動による可変減光フィルタ102の挿入/抜去の制御タイミングについて
図22,
図23で説明する。
上記の構造からわかるように、可変減光フィルタ102は物理的に2か所の定位置があり、ひとつは、
図3のように絞り103の開口面と撮像素子部104間を結ぶ被写体光の入射光路と可変減光フィルタ102とが接する位置である(以降「挿入位置」と述べる)。
もうひとつは、入射光路と可変減光フィルタ102とが接しない位置である(以降「抜去位置」と述べる)。
【0190】
図22は、可変減光フィルタ102を抜去位置から挿入位置へ移動させる場合のタイミングチャート、
図23は可変減光フィルタ102を挿入位置から抜去位置へ移動させる場合のタイミングチャートである。
各図においては、所定の操作に応じた挿入状態と抜去状態の切替指示、駆動モーター41の回転状態、光検出器28,29に対する電源供給状態、光検出器28の検出出力、光検出器29の検出出力を示している。
【0191】
図22で可変減光フィルタ102の挿入時の動作を説明する。
時点t0でフィルタ挿入の切替指示が発生したとする。このとき光検出器28、29には電源供給が開始される。なお、挿抜時以外は、光検出器28、29は電源オフとされることで無駄な消費電力を削減している。
時点t0で電源供給が開始されることで光検出器28、29は、そのときの状態に応じた検出信号を出力する。この時点で可変減光フィルタ102(第1の可動ユニット13)は抜去位置にあるため、光検出器28の出力はオープン状態(フォトインタラプタを遮光する物体がない状態)のハイレベルになる。また光検出器29の出力は遮光状態(フォトインタラプタに遮光する物体がある状態)のローレベルになる。
なお、駆動モーター41はスタンバイ状態(「SB」と表記)とされている。
【0192】
時点t0-t1間は位置確認時間とされる。可変減光フィルタ102の挿抜動作を制御する制御部(例えば透過率指示部110の機能を備えるマイクロコンピュータ)は、光検出器28,29の検出信号により、第1の可動ユニット13の位置状態を確認する。
上記制御部は、当該確認により第1の可動ユニット13が抜去位置にあることを確認したら、時点t1から駆動モーター41に反時計方向回転(「CCW」と表記)を実行させる。
【0193】
駆動モーター41の反時計方向回転により時点t1から第1の可動ユニット13の挿入位置への移動が開始される。その後、時点t2では、第1の可動ユニット13の上昇によって光検出器29が遮光されなくなり、出力がハイレベルになる。
【0194】
その後、第1の可動ユニット13が上昇していくことで、時点t3で、光検出器28を遮光する位置に達し、光検出器28の出力がローレベルになる。
時点t3で光検出器28の出力がローレベルになることで、上記制御部は駆動モーター41のブレーキ制御を行う。実際に駆動モーター41の反時計方向回転が止まってスタンバイ状態になるのは制御遅延時間により時点t4となる。
【0195】
時点t4から時点t5は移動後の位置確認時間とされる。即ち上記制御部は光検出器28の出力がローレベル、光検出器29の出力がハイレベルであることを確認する。
上記制御部は、その確認後、時点t6で光検出器28、29に対する電源供給をオフに制御する。
【0196】
次に
図23で可変減光フィルタ102の抜去時の動作を説明する。
時点t10でフィルタ挿入からクリア(抜去状態)への切替指示が発生したとする。このとき光検出器28、29には電源供給が開始される。
電源供給が開始されることで光検出器28、29は、そのときの状態に応じた検出信号を出力する。この時点で可変減光フィルタ102(第1の可動ユニット13)は挿入位置にあるため、光検出器28の出力は遮光状態のハイレベルになる。また光検出器29の出力はオープン状態のローレベルになる。
【0197】
時点t10-t11間は位置確認時間とされ、上記制御部は、光検出器28,29の検出信号により、第1の可動ユニット13の位置状態を確認する。
上記制御部は、当該確認により第1の可動ユニット13が挿入位置にあることを確認したら、時点t11から駆動モーター41に時計方向回転(「CW」と表記)を実行させる。
【0198】
駆動モーター41の時計方向回転により時点t11から第1の可動ユニット13の抜去位置への移動が開始される。その後、時点t12では、第1の可動ユニット13の下降によって光検出器28が遮光されなくなり、出力がハイレベルになる。
【0199】
その後、第1の可動ユニット13が下降していくことで、時点t13で、光検出器29を遮光する位置に達し、光検出器29の出力がローレベルになる。
時点t13で光検出器29の出力がローレベルになることで、上記制御部は駆動モーター41のブレーキ制御を行う。実際に駆動モーター41の時計方向回転が止まってスタンバイ状態になるのは制御遅延時間により時点t14となる。
【0200】
時点t14から時点t15は移動後の位置確認時間とされる。即ち上記制御部は光検出器28の出力がハイレベル、光検出器29の出力がローレベルであることを確認する。
上記制御部は、その確認後、時点t16で光検出器28、29に対する電源供給をオフに制御する。
【0201】
以上の制御により、第1の可動ユニット13(可変減光フィルタ102)の挿入・抜去が行われる。可変減光フィルタ102が抜去位置から挿入位置へ移動する際、光検出器28の出力は挿入位置よりも手前の挿入検出位置でローレベルに変化する。また可変減光フィルタ102が挿入位置から抜去位置へ移動する際、光検出器29の出力は抜去位置よりも手前の抜去検出位置でローレベルに変化する。
【0202】
これは上記制御部がローレベルへの変化を検出してから駆動モーター41に停止指示を与えるまでに所定の時間を要するためである。
もし可変減光フィルタ102が停止すべき位置に達したときに光検出器28の出力がローレベルに変化したとすると、停止が間に合わず可変減光フィルタ102がメカ端に衝突し、部材の破損、可変減光フィルタ102の故障・特性変化につながる恐れがある。上記動作ではこれを回避して、安全な移動制御が行われる。また、移動前後の位置確認処理により、正確に移動制御が行われる。
【0203】
<10.まとめ及び変形例>
以上の実施の形態では、次のような効果が得られる。
実施の形態の撮像装置1は、透過率が可変な可変減光フィルタ102と、可変減光フィルタ102を介した被写体光が結像する撮像素子部104と、透過率制御値に応じて可変減光フィルタ102の透過率を変更する透過率可変駆動部108を有している。また撮像装置1は、形態変化により第1状態及び第2状態をとることができる透過率操作のための透過率操作子9と、透過率指示部110を備えている。
透過率指示部110は、透過率操作子9が第1状態であるときは透過率操作子9の操作量に応じて透過率可変駆動部108に指示する透過率制御値を設定する。
また透過率指示部110は、透過率操作子9が第2状態であるときはプリセット記憶された複数の透過率制御値のうちで透過率操作子9の操作に応じて選択した一の透過率制御値を透過率可変駆動部108に指示する透過率制御値とする。
従って透過率操作子9によっては、第1状態としてバリアブルモードの操作が可能であり、第2状態としてプリセットモードの操作が可能となるため、各モードについてそれぞれ独立した操作子を用意する必要はなく、操作子数(部品点数)の削減、それによる撮像装置1の構成の簡易化、コストダウンを図ることができる。
また、バリアブルモードとプリセットモードにおける各操作を同じ操作子で行うことができることで、操作性の向上を図ることができる。
例えばユーザは、バリアブルモードとプリセットモードの切り替え前後で異なる操作子を操作する必要はなく、操作が容易であるとともに誤操作も発生しにくいものとなる。特にカメラマンの場合、撮像時には表示面5aやビューファインダなどにより撮像している被写体を注視していることが通常である。その状態では、操作子を手探りで探すことになり、操作に手間取ったり、異なる操作子を操作してしまったりすることが生じ易い。これに対して本実施の形態の場合、透過率操作はバリアブルモードとプリセットモードのいずれの場合も回転部9aの回転操作により行うことができるため、ユーザにとっては、被写体を注視しながらの透過率操作が非常に容易となる。
もちろんバリアブルモードとプリセットモードの切り替えも同じ操作子を用いることができるため、容易となる。
なお、透過率操作子9の形態変化としては、操作子の全部又は一部についての、外観の変化、形状の変化、位置の変化、内部機構状態の変化などがある。例えば押圧部9bの変化、回転体9aの位置の変化などを挙げたが、一体的に設けられたスライダの変化、つまみ形状の変化などによるものとしてもよい。
【0204】
実施の形態では、透過率指示部110は、透過率操作子9が第1状態であるときは、その特定操作の操作量に応じて透過率可変駆動部108に指示する透過率制御値を設定し、透過率操作子9が第2状態であるときは、プリセット記憶された複数の透過率制御値のうちで透過率操作子9の特定操作に応じて選択した一の透過率制御値を透過率可変駆動部108に指示する透過率制御値とするものとした。
即ち第1状態、第2状態のいずれの場合も、回転体9aの回転操作などの特定操作が透過率を変化させる操作となるようにした。
バリアブルモードとプリセットモードのいずれの場合も共通して、ユーザは、特定操作により透過率を変化させることができるため、ユーザはモードを意識することなく、操作が直感的にわかりやすく、使用勝手がよいものとなる。
もちろんバリアブルモードとプリセットモードの共通に透過率変化を指示する特定操作は、回転体9aの回転操作に限られない。透過率操作子9とされるデバイスの構造によったものであればよく、例えばスライダを設ける場合、特定操作はスライド操作としてもよい。
さらにボタン操作として、押圧回数や押圧時間によって透過率が上昇されたり下降されたりするようにしてもよいが、その押圧操作を特定操作としてもよい。
【0205】
実施の形態では透過率操作子9は回転体9aを有し、特定操作は、回転体9aを回転させる操作であるとした。
例えば透過率操作子9は、第1状態にあるときは回転体9aの回転操作でバリアブルモードでの透過率可変操作が行われ、第2状態にあるときは回転体9aの回転操作でプリセットモードの選択操作が行われるようにしている。
つまり、バリアブルモードとプリセットモードのいずれの場合も、ユーザは、回転体9aの回転という特定操作で透過率を変化させることができる。このようにモードにかかわらず、透過率を変化させる操作が共通であることで、ユーザにとっては操作が直感的にわかりやすく、使用勝手がよいものとなる。
また、バリアブルモードとプリセットモードのいずれでも、回転方向と透過率変化方向を共通にしていることで、ユーザは回転体9aの回転方向によって透過率が低くなったり高くなったりするというように覚えておけばよく、操作に迷うことはない。
回転体9aをプリセットモードでのプリセットナンバの選択に用いることは、プリセットナンバ数を多くしたい場合に有利となる。例えば
図4の比較例のようにスライドスイッチ構造のプリセット操作部302を設ける場合、多くのプリセットナンバを用意する場合、そのスライド範囲を広くする必要があり、筐体2上で配置が困難となる。回転体9aであればこのような問題を生じずに、例えば上述の8個や9個のプリセットナンバに対応することが容易である。
【0206】
実施の形態では、プリセット記憶として複数の透過率制御値を書き換え可能な状態で記憶するプリセット記憶部112を備える例を挙げた。
プリセットモードの場合、プリセット記憶部112に記憶された透過率制御値が回転体9aの操作に応じて選択される。
プリセット記憶部112が書き換え可能であることにより、各種の透過率制御値をプリセットすることができる。例えばアップロードとしてプリセット記憶が更新されたり、ユーザが任意にプリセットを書き換えたり、使用状況に応じて書き換えるようなことも可能となる。
また第4の実施の形態の処理も、プリセット記憶部112が書き換え可能とされることで実現できるものとなる。
【0207】
実施の形態では、透過率指示部110は、透過率操作子9が第1状態から第2状態にされた際に、プリセット記憶部に記憶された一の透過率制御値を選択するものとした。
例えば押圧部9bが押されたり、透過率操作子9の位置が移動させられたりして第2状態に切り替えられることで、プリセットされた或る透過率制御値が選択されるようにしている。つまりプリセットモードに切り替えられた時点で既にプリセットされたいずれかの状態になる。このときのプリセットナンバの選択によっては、素早く適切な透過率に制御できることにもなる。
またプリセットモードとされた時点でいずれかのプリセットナンバに対応する透過率となっていることで、その後の例えば回転操作によってプリセット値が切り替えられていっても、それらはプリセットされた変化幅となり、違和感がない。
【0208】
第2の実施の形態では、透過率指示部110は、透過率操作子9が第1状態から第2状態にされた際には、前回、第2状態にあったときに最後に選択されていたプリセットナンバを選択し、該プリセットナンバに対応してプリセット記憶部112に記憶されている透過率制御値を透過率可変駆動部108に指示する例を挙げた。
これにより、例えば押圧部9bが押されて第2状態に切り替えられたとき、前回プリセットモードで選択していたプリセットナンバの状態に戻る。従ってユーザは前回のプリセットモードの状態に戻すという意味で、押圧部9bを用いることができる。つまりプリセットモードに移行した瞬間の状態を認識しながら操作を行うことができる。これにより意図しない光量変化を生じないようにもすることができる。
またその状態から例えば回転体9aの回転操作により任意のプリセットナンバを選択することができる、所望の光量操作を行うことができる。
【0209】
第2の実施の形態において変形例として述べたが、透過率指示部110は、透過率操作子9が第1状態から第2状態にされた際には、前回、第2状態にあったときに最後に選択されていたプリセットナンバに対応して記憶されていた透過率制御値を透過率可変駆動部108に指示する例を挙げた。
これにより、例えば押圧部9bが押されて第2状態に切り替えられたとき、前回プリセットモードで指示していた透過率制御値の状態に戻る。従ってユーザは前回のプリセットモードの最後の透過率の状態に戻すという意味で、押圧部9bを用いることができる。これは上記のように前回の第2状態の最後のプリセットナンバを選択することと同じ意味がではあるが、より透過率を確実に前回の状態に戻すという意味がある。前回と同じプリセットナンバとする場合、もし、そのプリセットナンバに対応する透過率制御値が書き換えられていた場合、前回のプリセットモードの最後の状態と同じ透過率にならない。そこで、前回のプリセットナンバを記憶しておくのではなく、前回のプリセットモードでの最後の透過率制御値自体を記憶しておき、それを用いるようにする。これにより、プリセット記憶部112の書換があったとしても、前回のプリセットモード時と同じ透過率として、今回のプリセットモードを開始することができる。
【0210】
第3の実施の形態では、透過率指示部110は、透過率操作子9が第1状態から第2状態にされた際には、プリセット記憶部112に記憶された透過率制御値のうちで、直前の第1状態において透過率可変駆動部108に指示していた透過率制御値に最も近い透過率制御値を選択し、透過率可変駆動部108に指示する例を挙げた。
これにより、例えば押圧部9bが押されて第2状態に切り替えられたとき、直前のバリアブルモードで指示していた透過率制御値に近い状態でプリセットモードが開始されることになる。つまり、プリセットモードを指示したときに、いきなり大きく透過率が変化してしまうことがないようにされる。これにより撮像中にモード変更をしても画像に大きな光量変化が生じないようにすることができる。
またユーザは、その状態から例えば回転体9aの回転操作により任意のプリセットナンバを選択することができ、所望の光量操作を行うことができる。
【0211】
なお、例えば押圧部9bが再度押されて第1状態に切り替えられたとき、つまりプリセットモードからバリアブルモードに変化された際にも、この考え方を適用するとよい。即ちバリアブルモードが開始されるときは、その直前のプリセットモードの最後の透過率制御値がそのまま用いられるようにする(つまりプリセットモードからバリアブルモードに変化された際には、透過率は変化させない)ことが考えられる。
これにより、モード変化による光量の急激な変化が生じないようにすることができる。
またこの場合は、バリアブルモードに変化させる操作を行うことで、プリセットモードの最後の透過率を起点として、ユーザ任意に透過率を変化させることができるようになることを意味する。つまりプリセットモードでの透過率からバリアブルモードで微調整するという操作を提供できるものともなる。
【0212】
第4の実施の形態では、被写体光の光量を検出する光量検出部(AE検波部105)と、光量検出部により検出された光量から目的の露光量となる透過率を算出する適正露光量演算部(AE制御部106)と、プリセット記憶として複数の透過率制御値を書き換え可能な状態で記憶するプリセット記憶部112を有する構成において、透過率指示部110は、露光量演算部により算出された透過率を指示するための透過率制御値をプリセット記憶部112に記憶させる処理を行う例を述べた。
この場合、プリセットされる透過率制御値が、そのときの撮像環境に応じて望ましい透過率制御値に更新されることになる。
具体的には、バリアブルモードからプリセットモードに切り替えられたときに、その時点で望ましい露光量となるように、プリセットさせる透過率制御値が求められ、プリセット記憶部112の或るプリセットナンバ(例えばプリセットナンバ「5」)に対して記憶される(
図12のステップS2005,S2006,S2007)。これによりプリセットされている透過率制御値が撮像環境に適した値となるように適応的に更新されることになる。
特に、他のプリセットナンバに対応する透過率制御値も合わせて書き換えられることで、プリセット全体が現在の撮像環境に適した値となる。これによりプリセットモードの動作がより有効なものとなる。
【0213】
第4の実施の形態では、透過率指示部110は、露光量演算部(AE制御部106)により算出された透過率を指示するための透過率制御値を、選択可能に用意されたプリセットナンバのうちで略中央値となるプリセットナンバに対応させてプリセット記憶部112に記憶させ、略中央値以外のプリセットナンバに対応される透過率制御値も、略中央値に対応する透過率制御値を基準にして更新する例を述べた。
即ち例えばプリセットナンバとして「1」から「9」が用意されている場合、バリアブルモードからプリセットモードに切り替えられたときに、その時点で望ましい露光量となる透過率制御値が、プリセット記憶部112の中央のプリセットナンバ「5」に対して記憶され、さらに、「1」から「4」及び「6」から「9」など他のプリセットナンバに対応する透過率制御値も合わせて書き換えられる。即ち「1」から「4」及び「6」から「9」に対する透過率制御値は、プリセットナンバ「5」から所定の変化幅を持つ値に更新される(
図12のステップS2007、S2008)。
このようにすることで、プリセット全体が現在の撮像環境に適した値となる。ユーザはプリセットナンバの選択操作を行うことで、中央値であるプリセットナンバ「5」を中心にして、露光量を上下させることができる。これによりプリセットモードの動作がより有効かつわかりやすいものとなる。
【0214】
第4の実施の形態では、透過率指示部110は、露光量演算部(AE制御部106)により算出された透過率を指示するための透過率制御値をプリセット記憶部112に記憶させるとともに、該透過率制御値を透過率可変駆動部108に指示するものとした。
これにより、例えば押圧部9bが押されて第2状態に切り替えられたとき、その時点で適切な露光量となるように可変減光フィルタ102の透過率が制御される(
図12のステップS2009)。従ってユーザがプリセットモードに操作することで、その時点の最適な露光状態が自動的に得られることになる。
またこの適切な露光量となる透過率制御値が中央値である例えばプリセットナンバ「5」に対応させられた場合は、ユーザは、プリセットモードに操作することで、現在の環境に適した露光状態を得た上で、プリセットナンバの選択操作により、露光状態を適切に調整できることになる。つまり、例えば回転体9aの左回転で露光量を上げ、右回転で露光量を下げるといことを、現状最適とされた露光状態を基準に行うことができる。
【0215】
第1の実施の形態では、透過率操作子9は、回転体9aと、該回転体9aに設けられた押圧部9bとを有し、第1状態と第2状態は、押圧部9bの押圧状態が異なる状態であるとする例を挙げた。
例えば
図2で説明したように、透過率操作子9は、押圧部9bが押下されていない位置状態を第1状態として回転体9aの回転操作でバリアブルモードでの透過率可変操作が行われ、押圧部9bが押し込まれた位置状態を第2状態として回転体9aの回転操作でプリセットモードの選択操作が行われるようにしている。
つまりユーザは回転体9aを操作しながら、押圧部9bによりモード切り替えを行うことができる。これによりモード切り替えと透過率変化の操作をそれぞれ極めて容易に行うことができる。例えばユーザがカメラマンとして表示面5aやビューファインダなどを注視していても、透過率制御のモード選択と透過率変更の操作に迷うことがなくなる。
またモード切り替え操作は、回転体9aの回転に対して明らかに異なる押圧操作となるため、回転操作との違いが明確で、誤操作を生じさせにくい。
なお、押圧部9bをプッシュ/プッシュスイッチとして構成する場合、押圧部9bの位置状態が変化しない構成も考えられる。その場合には、例えば発光部などにより、第1状態、第2状態が切り替えられたことを示すようにしてもよい。
【0216】
第5の実施の形態では、透過率操作子9は回転体9aを有し、第2状態とは、第1状態に比して回転体9aを回転軸方向に移動させた状態である例を挙げた。
例えば
図13で説明したように、透過率操作子9は、回転体9aが押しこまれていない状態を第1状態として回転体9aの回転操作でバリアブルモードでの透過率可変操作が行われ、回転体9aが押し込まれた状態を第2状態として回転体9aの回転操作でプリセットモードの選択操作が行われるようにする。
これによってもユーザはモード切り替えと透過率変化の操作をそれぞれ極めて容易に行うことができる。
またモード切り替え操作は、回転体9aの回転に対して明らかに異なる回転体9aの軸方向の移動とすることでユーザは、回転操作と明確に異なる操作としてモード操作を行うことができ、誤操作を生じさせにくい。
【0217】
第4の実施の形態では、透過率操作子9は回転体9aを有し、第2状態とは、第1状態に比して回転体9aの回転軸位置が変化するように回転体9aを移動させた状態であるとする例を挙げた。
例えば
図11で説明したように、透過率操作子9は、回転体9aの位置がスライドするような構造とされて、その位置状態で第1状態(バリアブルモードの状態)と第2状態(プリセットモードの状態)をとる。いずれの場合も回転体9aの回転操作で透過率を変化させる操作が行われるようにする。
またモード選択操作は、回転体9aの回転に対して明らかに異なる回転体9aの横方向の移動とすることで、ユーザは、回転操作と明確に異なる操作としてモード操作を行うことができ、誤操作を生じさせにくい。
【0218】
なお透過率操作子9は回転体9aを有するものとしたが、回転体9aを有さない例も考えられる。例えばスライダを有し、スライダ操作により透過率が変化されるようにしてもよい。或いはボタン、キーとして、その押圧回数で透過率が変化されるものとしてのよい。さらにはタッチパネル操作子として実現される例も考えられる。
【0219】
第6の実施の形態の透過率操作子9は、第2状態において、所定の操作量毎にクリック感を生じさせるとともに、透過率指示部110は、クリックタイミングで透過率可変駆動部に指示する透過率制御値を異なるものとする例を挙げた。
第2状態とされたプリセットモードの場合は、所定回転量毎に、プリセットナンバが切り替えられていく。例えば
図14では振動部202による振動でユーザにクリック感が生じる例を挙げたが、このプリセットナンバが切り替えられるタイミングでクリック感を生じさせることで、ユーザは、プリセットナンバの切り替わりを確実に知覚することができ、操作のガイドとして好適となる。
またこのクリックタイミング、即ちプリセットナンバの切り替わりのタイミングで、新たなプリセットナンバの透過率制御値が透過率可変駆動部108に与えられることになり、実際に可変減光フィルタ102の透過率が変化する。これによりユーザは、クリック感とともにプリセットナンバの変化を認識し、同時に実際の光量変化を視認することになり、極めてわかりやすい操作を提供できる。
逆にバリアブルモードではクリック感を生じないようにすることで、ユーザは無段階な感覚で透過率調整を行うことに適している。
【0220】
なお、以上の実施の形態では撮像装置1に透過率指示部110が内蔵される例を挙げたが、透過率指示装置として撮像装置1とは別体の装置構成も考えられる。
例えば撮像装置1に対して透過率指示を行うことのできるリモートコントローラとして、透過率操作子9及び透過率指示部110を有する構成が考えられる。
【0221】
実施の形態のプログラムは、
図5、又は
図6、又は
図7、
図8、又は
図11、
図12のような処理を、例えばCPU、DSP等、或いはこれらを含むデバイスに実行させるプログラムである。
即ち実施の形態のプログラムは、形態変化により第1状態及び第2状態をとることができる透過率操作子9が第1状態であるときに、可変減光フィルタ102に対する透過率制御値を透過率操作子9の操作量に応じて設定する処理と、透過率操作子9が第2状態であるときに、可変減光フィルタ102に対する透過率制御値を、プリセット記憶された複数の透過率制御値のうちから透過率操作子9の操作に応じて選択する処理とを情報処理装置に実行させるプログラムである。
撮像装置1内のマイクロコンピュータ等の情報処理装置、或いは撮像装置1とは別体の操作装置(例えばリモートコントローラなど)における情報処理装置などが、このようなプログラムにより動作することが想定される。
【0222】
このようなプログラムはコンピュータ装置等の機器に内蔵されている記録媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magnet optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))、磁気ディスク、半導体メモリ、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
【0223】
またこのようなプログラムによれば、実施の形態の画像処理装置の広範な提供に適している。例えばパーソナルコンピュータ、携帯型情報処理装置、携帯電話機、ゲーム機器、ビデオ機器、PDA(Personal Digital Assistant)等にプログラムをダウンロードすることで、当該パーソナルコンピュータ等を、本開示の画像処理装置として機能させることができる。
【0224】
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0225】
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
透過率が可変な可変減光フィルタと、
前記可変減光フィルタを介した被写体光が結像する撮像素子部と、
透過率制御値に応じて前記可変減光フィルタの透過率を変更する透過率可変駆動部と、
形態変化により第1状態及び第2状態をとることができる操作子と、
前記操作子が前記第1状態であるときは前記操作子の操作量に応じて前記透過率可変駆動部に指示する透過率制御値を設定し、前記操作子が前記第2状態であるときはプリセット記憶された複数の透過率制御値のうちで前記操作子の操作に応じて選択した一の透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する透過率制御値とする透過率指示部と、を備えた
撮像装置。
(2)
前記透過率指示部は、
前記操作子が前記第1状態であるときは、前記操作子の特定操作の操作量に応じて前記透過率可変駆動部に指示する透過率制御値を設定し、
前記操作子が前記第2状態であるときは、プリセット記憶された複数の透過率制御値のうちで前記操作子の前記特定操作に応じて選択した一の透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する透過率制御値とする
上記(1)に記載の撮像装置。
(3)
前記操作子は回転体を有し、
前記特定操作は、前記回転体を回転させる操作である
上記(2)に記載の撮像装置。
(4)
前記プリセット記憶として複数の透過率制御値を書き換え可能な状態で記憶するプリセット記憶部を備える
上記(1)に記載の撮像装置。
(5)
前記プリセット記憶として複数の透過率制御値を記憶するプリセット記憶部を備え、
前記透過率指示部は、
前記操作子が前記第1状態から前記第2状態にされた際に、前記プリセット記憶部に記憶された一の透過率制御値を選択する
上記(1)から(4)のいずれかに記載の撮像装置。
(6)
前記透過率指示部は、
前記操作子が前記第1状態から前記第2状態にされた際には、前回、前記第2状態にあったときに最後に選択されていたプリセットナンバを選択し、該プリセットナンバに対応して前記プリセット記憶部に記憶されている透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する
上記(5)に記載の撮像装置。
(7)
前記透過率指示部は、
前記操作子が前記第1状態から前記第2状態にされた際には、前回、前記第2状態にあったときに最後に選択されていたプリセットナンバに対応して記憶されていた透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する
上記(5)に記載の撮像装置。
(8)
前記透過率指示部は、
前記操作子が前記第1状態から前記第2状態にされた際には、前記プリセット記憶部に記憶された透過率制御値のうちで、直前の前記第1状態において前記透過率可変駆動部に指示していた透過率制御値に最も近い透過率制御値を選択し、前記透過率可変駆動部に指示する
上記(5)に記載の撮像装置。
(9)
被写体光の光量を検出する光量検出部と、
前記光量検出部により検出された光量から目的の露光量となる透過率を算出する露光量演算部と、
前記プリセット記憶として複数の透過率制御値を書き換え可能な状態で記憶するプリセット記憶部と、
を有し、
前記透過率指示部は、前記露光量演算部により算出された透過率を指示するための透過率制御値を前記プリセット記憶部に記憶させる処理を行う
上記(1)から(8)のいずれかに記載の撮像装置。
(10)
前記透過率指示部は、前記露光量演算部により算出された透過率を指示するための透過率制御値を、選択可能に用意されたプリセットナンバのうちで略中央値となるプリセットナンバに対応させて前記プリセット記憶部に記憶させ、前記略中央値以外のプリセットナンバに対応される透過率制御値も、前記略中央値に対応する透過率制御値を基準にして更新する
上記(9)に記載の撮像装置。
(11)
前記透過率指示部は、前記露光量演算部により算出された透過率を指示するための透過率制御値を前記プリセット記憶部に記憶させるとともに、該透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する
上記(9)又は(10)に記載の撮像装置。
(12)
前記操作子は、回転体と、該回転体に設けられた押圧部とを有し、
前記第1状態と前記第2状態は、前記押圧部の押圧状態が異なる状態である
上記(1)から(11)のいずれかに記載の撮像装置。
(13)
前記操作子は回転体を有し、
前記第2状態とは、前記第1状態に比して前記回転体を回転軸方向に移動させた状態である
上記(1)から(11)のいずれかに記載の撮像装置。
(14)
前記操作子は回転体を有し、
前記第2状態とは、前記第1状態に比して前記回転体の回転軸位置が変化するように前記回転体を移動させた状態である
上記(1)から(11)のいずれかに記載の撮像装置。
(15)
前記操作子は、前記第2状態において、所定の操作量毎にクリック感を生じさせるとともに、
前記透過率指示部は、クリックタイミングで前記透過率可変駆動部に指示する透過率制御値を異なるものとする
上記(1)から(14)のいずれかに記載の撮像装置。
(16)
形態変化により第1状態及び第2状態をとることができる操作子が前記第1状態であるときは、透過率が可変な可変減光フィルタを制御する透過率制御値を前記操作子の操作量に応じて設定し、前記操作子が前記第2状態であるときは、前記可変減光フィルタを制御する透過率制御値を、プリセット記憶された複数の透過率制御値のうちから前記操作子の操作に応じて選択する透過率指示部を備えた
透過率指示装置。
(17)
透過率が可変な可変減光フィルタと、
前記可変減光フィルタを介した被写体光が結像する撮像素子部と、
透過率制御値に応じて前記可変減光フィルタの透過率を変更する透過率可変駆動部と、
形態変化により第1状態及び第2状態をとることができる操作子と、
を有する撮像装置が、
前記操作子が前記第1状態であるときは前記操作子の操作量に応じて透過率の制御値を設定して前記透過率可変駆動部に指示し、
前記操作子が前記第2状態であるときはプリセット記憶された複数の透過率制御値のうちで前記操作子の操作に応じて選択した一の透過率制御値を前記透過率可変駆動部に指示する
透過率制御方法。
(18)
形態変化により第1状態及び第2状態をとることができる操作子が前記第1状態であるときに、透過率が可変な可変減光フィルタに対する透過率制御値を前記操作子の操作量に応じて設定する処理と、
前記操作子が前記第2状態であるときに、前記可変減光フィルタに対する透過率制御値を、プリセット記憶された複数の透過率制御値のうちから前記操作子の操作に応じて選択する処理と、
を情報処理装置に実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0226】
1 撮像装置、2 筐体、3 本体部、4 パネル部、4a マウント部、5 ディスプレイ、5a 表示面、6 操作子、7 把手部、8 レンズ鏡筒、9 透過率操作子、9a 回転体、9b 押圧部、100 押圧検知部、101 回転検知部、102 可変減光フィルタ、103 絞り、104 撮像素子部、105 AE検波部、106 AE制御部、107 絞り制御部、108 透過率可変駆動部、109 オート/マニュアル判断部、110 透過率指示部、111 操作情報検出部、112 プリセット記憶部、113 設定透過率算出部、114 透過型センサ、120 オート/マニュアル切り替え部、121 画像信号処理部、122 表示部、123 記録部、124 通信部、200 スライド検知部、201 プリセット生成部、202 振動部