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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】検出システム、検出方法、及び検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 21/00 20060101AFI20231024BHJP
   G01D 5/353 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G01D21/00 Q
G01D5/353 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021550756
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2019038524
(87)【国際公開番号】W WO2021064797
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小島 崇
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-190428(JP,A)
【文献】特開2002-140774(JP,A)
【文献】特開平10-267707(JP,A)
【文献】特開2017-220981(JP,A)
【文献】特開2005-257570(JP,A)
【文献】特開2001-66117(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0290734(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 21/00-21/02、
5/26-5/38
G01B 11/16
G01K 11/32-11/324
G02B 6/00
G01M 11/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境情報を検知する光ファイバと、
前記光ファイバから受信した光信号に含まれる前記環境情報を取得する取得部と、
第1の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第1の環境パターン及び第2の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第2の環境パターンに基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する検出部と、
を備え、
前記取得部は、
前記光ファイバにおける複数の区間から受信した前記光信号から、前記区間ごとに前記環境情報を取得し、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターン及び前記第2の環境パターンを生成し、
前記検出部は、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターンと前記第2の環境パターンとの変位を求め、
前記区間ごとに、前記変位が所定の条件を満たした場合、前記所定の条件に対応する事象を検出し、
2以上の区間で前記変位が前記所定の条件を満たした場合、前記変位が前記所定の条件を満たす2以上の区間の中で、前記変位が最も大きな区間を、前記所定の条件に対応する事象が生じている位置に近い区間として特定する、
検出システム。
【請求項2】
前記取得部は、
前記第1の期間に対応する光信号から取得した前記環境情報を積算することで前記第1の環境パターンを生成し、
前記第2の期間に対応する光信号から取得した前記環境情報を積算することで前記第2の環境パターンを生成する、
請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記検出部は、
前記第1の環境パターンと前記第2の環境パターンとの変位に基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する、
請求項1又は2に記載の検出システム。
【請求項4】
前記取得部は、
前記光ファイバの温度、前記光ファイバの振動、及び前記光ファイバに加わる圧力の少なくとも1つを示す前記環境情報を取得する、
請求項1からのいずれか1項に記載の検出システム。
【請求項5】
前記検出部が事象を検出したことを報知する報知部を更に備える、
請求項1からのいずれか1項に記載の検出システム。
【請求項6】
検出システムによる検出方法であって、
環境情報を検知する光ファイバから受信した光信号に含まれる前記環境情報を取得する取得ステップと、
第1の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第1の環境パターン及び第2の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第2の環境パターンに基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する検出ステップと、
を含み、
前記取得ステップでは、
前記光ファイバにおける複数の区間から受信した前記光信号から、前記区間ごとに前記環境情報を取得し、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターン及び前記第2の環境パターンを生成し、
前記検出ステップでは、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターンと前記第2の環境パターンとの変位を求め、
前記区間ごとに、前記変位が所定の条件を満たした場合、前記所定の条件に対応する事象を検出し、
2以上の区間で前記変位が前記所定の条件を満たした場合、前記変位が前記所定の条件を満たす2以上の区間の中で、前記変位が最も大きな区間を、前記所定の条件に対応する事象が生じている位置に近い区間として特定する、
検出方法。
【請求項7】
環境情報を検知する光ファイバから受信した光信号に含まれる前記環境情報を取得する取得部と、
第1の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第1の環境パターン及び第2の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第2の環境パターンに基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する検出部と、
を備え、
前記取得部は、
前記光ファイバにおける複数の区間から受信した前記光信号から、前記区間ごとに前記環境情報を取得し、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターン及び前記第2の環境パターンを生成し、
前記検出部は、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターンと前記第2の環境パターンとの変位を求め、
前記区間ごとに、前記変位が所定の条件を満たした場合、前記所定の条件に対応する事象を検出し、
2以上の区間で前記変位が前記所定の条件を満たした場合、前記変位が前記所定の条件を満たす2以上の区間の中で、前記変位が最も大きな区間を、前記所定の条件に対応する事象が生じている位置に近い区間として特定する、
検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出システム、検出方法、及び検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバセンシングに関連する技術として、光ファイバから受信した光信号の強度に基づいて、光ファイバの周辺で生じた事象を検出する技術がある。
例えば、特許文献1に記載の技術は、フェンスに取り付けられた光ファイバからの光信号を監視し、光信号の強度が、所定時間連続して、予め設定された閾値を超えた場合に、侵入行為があったと特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-198973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術は、フェンス乗り越えのような瞬間的に判断可能な事象の検出には向いているが、長期間にわたって徐々に状況が変化していく事象(例えば、地中でのトンネル掘削やパイプラインの劣化等)を精度良く検出することは難しい。
【0005】
例えば、トンネル掘削を検出する際に、特許文献1に記載の技術を採用すると、トンネル掘削に直接寄与しない事象(例えば、光ファイバの近隣で発生した工事等)の影響によって、トンネル掘削を誤検出してしまうおそれがある。
【0006】
そこで本開示の目的は、上述した課題を解決し、光ファイバセンシングによって、光ファイバの周辺の事象をより正確に検出することができる検出システム、検出方法、及び検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様による検出システムは、
環境情報を検知する光ファイバと、
前記光ファイバから受信した光信号に含まれる前記環境情報を取得する取得部と、
第1の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第1の環境パターン及び第2の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第2の環境パターンに基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する検出部と、
を備える。
【0008】
一態様による検出方法は、
環境情報を検知する光ファイバから受信した光信号に含まれる前記環境情報を取得する取得ステップと、
第1の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第1の環境パターン及び第2の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第2の環境パターンに基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する検出ステップと、
を含む。
【0009】
一態様による検出装置は、
環境情報を検知する光ファイバから受信した光信号に含まれる前記環境情報を取得する取得部と、
第1の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第1の環境パターン及び第2の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第2の環境パターンに基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する検出部と、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
上述の態様によれば、光ファイバセンシングによって、光ファイバの周辺の事象をより正確に検出できる検出システム、検出方法、及び検出装置を提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る検出システムの構成例を示す図である。
図2】実施の形態1に係る取得部による環境パターンの生成動作の例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る取得部による環境パターンの生成動作の具体例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る取得部による環境パターンの生成動作の具体例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る取得部におけるパルス光の送信タイミングと光信号(後方散乱光)の受信タイミングとの関係の例を示す図である。
図6】実施の形態1に係る検出システムの全体的な動作の流れの例を示すフロー図である。
図7】実施の形態1に係る検出システムの変形構成例を示す図である。
図8】実施の形態2に係る検出システムの構成例を示す図である。
図9】実施の形態2に係る取得部が保持する対応テーブルの例を示す図である。
図10】実施の形態2に係る検出システムの全体的な動作の流れの例を示すフロー図である。
図11】実施の形態2に係る検出システムの変形構成例を示す図である。
図12】実施の形態3に係る検出システムの構成例を示す図である。
図13】実施の形態3に係る取得部による環境パターンの生成動作の具体例を示す図である。
図14】実施の形態3に係る取得部による環境パターンの生成動作の具体例を示す図である。
図15】実施の形態3に係る検出システムの変形動作例を示す図である。
図16】実施の形態4に係る検出システムの構成例を示す図である。
図17】実施の形態4に係る取得部による環境パターンの生成動作の具体例を示す図である。
図18】実施の形態4に係る取得部による環境パターンの生成動作の具体例を示す図である。
図19】実施の形態5に係る検出システムの構成例を示す図である。
図20】実施の形態5に係る取得部が保持する対応テーブルの例を示す図である。
図21】実施の形態5に係る取得部による環境パターンの生成動作の具体例を示す図である。
図22】実施の形態6に係る検出システムの構成例を示す図である。
図23】実施の形態6に係る取得部による環境パターンの生成動作の具体例を示す図である。
図24】実施の形態7に係る検出システムの構成例を示す図である。
図25】実施の形態7に係る取得部による環境パターンの生成動作の具体例を示す図である。
図26】実施の形態7に係る取得部による環境パターンの生成動作の具体例を示す図である。
図27】各実施の形態に係る検出部が環境パターンを比較する期間の例を示す図である。
図28】各実施の形態に係る検出装置を実現するコンピュータのハードウェア構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。以下の実施の形態に示す具体的な数値等は、本開示の理解を容易とするための例示にすぎず、それに限定されるものではない。また、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0013】
<実施の形態1>
まず、図1を参照して、本実施の形態1に係る検出システムの構成例について説明する。
図1に示されるように、本実施の形態1に係る検出システムは、光ファイバ10及び検出装置20を備えている。また、検出装置20は、取得部21及び検出部22を備えている。
【0014】
光ファイバ10は、光ファイバセンシング用の光ファイバであり、一端が検出装置20の取得部21に接続されている。
取得部21は、光ファイバセンシングを実行する場合、光ファイバ10にパルス光を送信し、そのパルス光が光ファイバ10を伝送されることに伴い発生した後方散乱光を、光信号として受信する。
【0015】
ここで、光ファイバ10の周辺で何らかの事象が生じると、その事象によって光ファイバ10には、熱、振動、及び圧力等が加わる。これにより、光ファイバ10の温度、光ファイバ10の振動、光ファイバ10に加わる圧力が変化し、その結果、光ファイバ10を伝送される光信号の特性が変化する。例えば、光ファイバ10に加わる振動が変化した場合、光ファイバ10を伝送される光信号の波長が変化する。そのため、光ファイバ10は、光ファイバ10の温度、光ファイバ10の振動、光ファイバ10に加わる圧力等を示す環境情報を検知可能である。なお、環境情報は、光ファイバ10の温度、光ファイバ10の振動、光ファイバ10に加わる圧力の少なくとも1つを示すものであれば良い。また、光ファイバ10を伝送される光信号は、光ファイバ10が検知した環境情報に応じて特性が変化することから、光ファイバ10が検知した環境情報を含んでいる。
【0016】
そこで、取得部21は、図2に示されるように、光ファイバ10から受信した光信号から、その光信号に含まれる環境情報を順次取得する。
そして、取得部21は、第1の期間(図2の例では、Day1)に取得した複数の環境情報を蓄積し、蓄積した複数の環境情報に基づいて、第1の環境パターンを生成する。例えば、取得部21は、第1の期間に取得した複数の環境情報を積算することで、第1の環境パターンを生成する。
【0017】
同様に、取得部21は、第2の期間(図2の例では、Day2)に取得した複数の環境情報を蓄積し、蓄積した複数の環境情報に基づいて、第2の環境パターンを生成する。例えば、取得部21は、第2の期間に取得した複数の環境情報を積算することで、第2の環境パターンを生成する。
【0018】
ここで、第1の期間及び第2の期間は、互いに同じ時間に設定される。また、この時間は固定の長さとなる。図2の例では、第1の期間及び第2の期間は、1日に設定されているが、これには限定されず、例えば、1週間、半日(12時間)、1時間等でも良い。
【0019】
検出部22は、第1の期間における第1の環境パターンと、第2の期間における第2の環境パターンと、に基づいて、光ファイバ10の周辺の事象を検出する。
より詳細には、検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとを比較し、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位に基づいて、光ファイバ10の周辺の事象を検出する。例えば、検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が所定の条件を満たした場合に、その条件に対応する事象を検出する。例えば、検出部22は、変位が振動の増加を示す場合は、異常を検出する。
【0020】
続いて以下では、図3を参照して、取得部21による環境パターンの生成動作及び検出部22による環境パターンの比較動作の具体例について説明する。図3の例では、光ファイバ10の振動の大きさ[nm]を示す環境情報を使用する。
【0021】
(A-1)取得部21による環境パターンの生成動作の具体例
図3に示されるように、取得部21は、第1の期間において、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt1,t2,t3にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報を取得する。詳細には、光ファイバ10から受信タイミングt1,t2,t3でそれぞれ受信した3つの光信号のそれぞれから、3つの環境情報を取得する。そして、取得部21は、取得した3つの環境情報に基づいて、第1の環境パターンを生成する。例えば、取得部21は、3つの環境情報の最小値(=2nm)、最大値(=30nm)、最小値の平均値(=5.7nm)、又は、最大値の平均値(=15.7nm)のいずれかを、第1の環境パターンとする。ただし、これには限定されず、第1の環境パターンは、3つの環境情報の中央値や全体の平均値等でも良い。
【0022】
また、取得部21は、第2の期間においても同様に、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt4,t5,t6にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報を取得する。そして、取得部21は、取得した3つの環境情報に基づいて、第2の環境パターンを生成する。なお、第2の環境パターンは、第1の環境パターンと同様の生成方法で生成すれば良い。
【0023】
(A-2)検出部22による環境パターンの比較動作の具体例
ここでは、図3の例において、第1の環境パターン及び第2の環境パターンとして、3つの環境情報の最小値を使用するとする。この場合、第1の環境パターンは2nmであるのに対して、第2の環境パターンは7nmである。
【0024】
検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとを比較する。比較の結果、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位は振動の増加傾向を示している。そのため、検出部22は、異常を検出する。
【0025】
なお、図3の例では、光ファイバ10から光信号(後方散乱光)を受信した受信タイミングに対応付けられた環境情報に基づいて環境パターンを生成したが、これには限定されない。環境情報は、光ファイバ10にパルス光を送信した送信タイミングに対応付けられても良い。例えば、図4に示されるように、環境情報は、第1の期間においては、光ファイバ10にパルス光を送信した送信タイミングt1,t2,t3にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報としても良い。また、環境情報は、第2の期間においては、光ファイバ10にパルス光を送信した送信タイミングt4,t5,t6にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報としても良い。図5に示されるように、例えば、第1の期間において、光ファイバ10に送信タイミングt1,t2,t3で送信した3つのパルス光に対応する光信号は、光ファイバ10から受信タイミングt1’,t2’,t3’で受信した3つの光信号である。そのため、取得部21は、受信タイミングt1’,t2’,t3’で受信した3つの光信号のそれぞれから、3つの環境情報を取得する。なお、図5の例では、送信タイミングt3で送信したパルス光に対応する光信号は、光ファイバ10から受信タイミングt3’で受信した光信号であるが、受信タイミングt3’は第2の期間になっている。しかし、この場合でも、取得部21は、送信タイミングt3に対応付けられた環境情報を、第1の期間の環境情報として取得する。
【0026】
続いて以下では、図6を参照して、本実施の形態1に係る検出システムの全体的な動作の流れの例について説明する。
【0027】
図6に示されるように、取得部21は、光ファイバ10から受信した光信号から、環境情報を取得する(ステップS11)
そして、取得部21は、第1の期間に取得した環境情報に基づいて、第1の環境パターンを生成する(ステップS12)。
同様に、取得部21は、第2の期間に取得した環境情報に基づいて、第2の環境パターンを生成する(ステップS13)。
【0028】
続いて、検出部22は、第1の期間における第1の環境パターンと、第2の期間における第2の環境パターンと、に基づいて、光ファイバ10の周辺の事象を検出する(ステップS14)。なお、この検出は、例えば、上述したように、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位に基づいて、行えば良い。
【0029】
上述したように本実施の形態1によれば、取得部21は、第1の期間に光信号から取得した環境情報に基づいて、第1の環境パターンを生成すると共に、第2の期間に光信号から取得した環境情報に基づいて、第2の環境パターンを生成する。検出部22は、第1の期間における第1の環境パターンと、第2の期間における第2の環境パターンと、に基づいて、光ファイバ10の周辺の事象を検出する。このように、互いに異なる2つの期間における環境パターンに基づいて、光ファイバ10の周辺の事象を検出するため、長期間にわたって徐々に状況が変化していく事象についても、精度良く検出することができる。したがって、光ファイバセンシングによって、光ファイバ10の周辺の事象をより正確に検出することができる。
【0030】
<実施の形態1の変形例>
取得部21は、第3の期間における第3の環境パターン(図2参照)や、第4の期間における第4の環境パターンを追加で生成しても良い。すなわち、取得部21は、3つ以上の期間における3つ以上の環境パターンを生成しても良い。3つ以上の環境パターンを生成する場合、複数の変位が求められる(例えば、3つの環境パターンを生成する場合は、3つの変位が求められる)。そのため、検出部22は、複数の変位が予め定められている条件を満たした場合に、光ファイバ10の周辺の事象(異常)を検出しても良い。
【0031】
以下、3つ以上の環境パターンを生成した場合において、光ファイバ10の周辺の事象(異常)を検出する手順について詳細に説明する。例えば、取得部21は、第1の期間における第1の環境パターン、第2の期間における第2の環境パターン、第3の期間における第3の環境パターン、第4の期間における第4の環境パターン及び第5の期間における第5の環境パターンを生成したとする。この例において、各期間は、第1の期間、第2の期間、第3の期間、第4の期間及び第5の期間の順に経過したものとする。 この例においては、第1の環境パターン及び第2の環境パターン間における第1の変位、第2の環境パターン及び第3の環境パターン間における第2の変位、第3の環境パターン及び第4の環境パターン間における第3の変位、並びに第4の環境パターン及び第5の環境パターン間における第4の変位が求められる。
【0032】
検出部22は、求められた変位の全てが、所定の条件を満たす(例えば、振動の増加を示す)場合に、光ファイバ10の周辺の事象(異常)を検出する。
また、検出部22は、求められた変位のうち、所定の数以上の変位が所定の条件を満たす場合に、光ファイバ10の周辺の事象(異常)を検出しても良い。例えば、検出部22は、4つの変位のうち、3つ以上の変位が所定の条件を満たす場合に光ファイバ10の周辺の事象(異常)を検出する。なお、所定の数は、変位の数に対する任意の割合により求められても良い。
【0033】
また、上記の説明では、第1~第4の変位が求められるとしたが、求められる変位はこれに限られない。例えば、第1の環境パターン及び第3の環境パターン間の第5の変位を求めても良い。
【0034】
また、図7に示されるように、検出装置20は、報知部23を更に備えても良い。
報知部23は、検出部22が事象を検出したことを報知する。報知部23の報知方法は、例えば、ディスプレイやモニター等である表示部30にGUI(Graphical User Interface)画面を表示する方法が挙げられる。この場合、表示部30は、検出装置20が設けられている施設と同じ施設に設けられても良いし、別の施設に設けられていても良い。なお、報知部23の報知方法は、不図示のスピーカからメッセージを音声出力する方法でも良い。
【0035】
<実施の形態2>
本実施の形態2に係る検出システムは、上述した実施の形態1と比較して、基本的な構成は同様であるが、動作が異なる。
図8に示されるように、本実施の形態2に係る検出システムは、光ファイバ10が敷設された区間を複数の区間(図8の例では、区間A~Dの4区間)に分割し、区間ごとに、光ファイバ10の周辺の事象を検出する。
【0036】
取得部21は、図9に示されるように、光ファイバ10における検出装置20からの距離と各区間とを対応付けた対応テーブルを予め保持しておく。
また、取得部21は、例えば、光ファイバ10にパルス光を送信してから光信号(後方散乱光)を受信するまでの時間差や、受信した光信号の強度等に基づいて、その光信号が光ファイバ10上のどの位置(光ファイバ10における検出装置20からの距離)で発生したかを特定することが可能である。
【0037】
そのため、取得部21は、光信号が発生した光ファイバ10上の位置と、図9に示される対応テーブルと、に基づいて、光信号に含まれる環境情報が、光ファイバ10上のどの区間のものであるのかを特定することが可能である。
【0038】
そこで、取得部21は、光ファイバ10における複数の区間から受信した光信号から、区間ごとに、その区間の光信号に含まれる環境情報を順次取得する。
そして、取得部21は、区間ごとに、第1の期間に取得した複数の環境情報を蓄積し、蓄積した複数の環境情報に基づいて、第1の環境パターンを生成する。
同様に、取得部21は、区間ごとに、第2の期間に取得した複数の環境情報を蓄積し、蓄積した複数の環境情報に基づいて、第2の環境パターンを生成する。
なお、上述した実施の形態1と同様に、第1の期間及び第2の期間は、互いに同じ時間に設定される。また、この時間は固定の長さとなる。
【0039】
検出部22は、区間ごとに、第1の期間における第1の環境パターンと、第2の期間における第2の環境パターンと、に基づいて、光ファイバ10の周辺の事象を検出する。
より詳細には、検出部22は、区間ごとに、第1の環境パターンと第2の環境パターンとを比較し、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位に基づいて、光ファイバ10の周辺の事象を検出する。例えば、検出部22は、ある区間において、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が所定の条件を満たした場合、その条件に対応する事象を検出する。
【0040】
続いて以下では、図10を参照して、本実施の形態2に係る検出システムの全体的な動作の流れの例について説明する。
【0041】
図10に示されるように、取得部21は、光ファイバ10における複数の区間から受信した光信号から、区間ごとに、環境情報を取得する(ステップS21)。
そして、取得部21は、区間ごとに、第1の期間に取得した環境情報に基づいて、第1の環境パターンを生成する(ステップS22)。
同様に、取得部21は、区間ごとに、第2の期間に取得した環境情報に基づいて、第2の環境パターンを生成する(ステップS23)。
【0042】
続いて、検出部22は、区間ごとに、第1の期間における第1の環境パターンと、第2の期間における第2の環境パターンと、に基づいて、光ファイバ10の周辺の事象を検出する(ステップS24)。なお、この検出は、例えば、上述したように、区間ごとに、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位に基づいて、行えば良い。
【0043】
上述したように本実施の形態2によれば、取得部21は、区間ごとに、第1の期間における第1の環境パターンを生成すると共に、第2の期間における第2の環境パターンを生成する。検出部22は、区間ごとに、第1の期間における第1の環境パターンと、第2の期間における第2の環境パターンと、に基づいて、光ファイバ10の周辺の事象を検出する。したがって、区間ごとに、光ファイバ10の周辺の事象をより正確に検出することができる。
【0044】
<実施の形態2の変形例>
一部の区間を、他の区間と比較して、より短い周期の期間で監視するようにしても良い。例えば、区間Cでの事象を早く検出したい場合は、取得部21は、区間A,B,Dでは1日毎の環境パターンを生成しつつ、区間Cのみ12時間毎の環境パターンを生成しても良い。これにより、区間Cでは、他の区間よりも早く事象を検出することができる。
【0045】
また、検出部22は、区間ごとに、第1の環境パターンと第2の環境パターンとを比較した結果、2以上の区間で第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が所定の条件を満たしたとする。この場合、変位が最も大きな区間は、事象が生じている位置に近い区間と考えられる。そのため、検出部22は、変位が所定の条件を満たす2以上の区間の中で、変位が最も大きな区間を特定しても良い。これにより、事象が生じている位置に近い区間を特定することができる。
【0046】
また、検出部22は、区間ごとに求めた第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位を、区間同士で互いに比較することで、事象を検出しても良い。例えば、事象が侵入行為である場合、区間ごとに求めた変位を、区間同士で互いに比較することで、侵入行為の発生位置の移動方向を特定することが可能である(詳細は後述する)。
【0047】
また、上述した実施の形態1と同様に、取得部21は、3つ以上の期間における3つ以上の環境パターンを生成しても良い。また、3つ以上の環境パターンを生成する場合、複数の変位が求められるため、検出部22は、複数の変位が予め定められている条件を満たした場合に、光ファイバ10の周辺の事象(異常)を検出しても良い。
【0048】
また、上述した実施の形態1と同様に、図11に示されるように、検出装置20は、報知部23を更に備えても良い。
このとき、報知部23の報知先は、区間ごとに異なっていても良い。図11の例では、区間A,Bで生じた事象の報知先は、施設#1に設けられた表示部30-1になっており、区間C,Dで生じた事象の報知先は、施設#2に設けられた表示部30-2になっている。なお、図11の例では、報知部23の報知方法が、表示部30-1,30-2にGUI画面を表示する方法になっている。ただし、報知部23の報知方法は、不図示のスピーカからメッセージを音声出力する方法でも良い。
【0049】
<実施の形態3>
本実施の形態3に係る検出システムは、光ファイバ10の周辺の事象として、トンネル掘削やトンネル内移動等の侵入行為を検出するものである。本実施の形態3に係る検出システムは、基本的な構成及び動作は、上述した実施の形態1,2と同様である。
【0050】
図12に示されるように、本実施の形態3に係る検出システムにおいては、光ファイバ10は、国境、敷地と外部との境界等に沿って地中Gに敷設されている。なお、光ファイバ10を地中Gに敷設する場合、地中Gに設けられた配管の内部に光ファイバ10を敷設しても良いし、地中Gに直に光ファイバ10を敷設しても良い。ただし、光ファイバ10の敷設方法はこれには限定されない。例えば、国境等に沿ってフェンスFや壁等が設置されている場合には、光ファイバ10は、フェンスFや壁等に取り付けられていても良い。
【0051】
侵入行為の発生位置は、徐々に光ファイバ10に近付いてくる。これを利用して、検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が、振動の増加傾向を示す場合に、侵入行為を検出する。
【0052】
報知部23は、検出部22が侵入行為を検出した場合、侵入行為の発生及び侵入行為の発生区間を監視施設に報知する。また、報知部23は、侵入行為の発生区間内にいる監視者を特定し、侵入行為の発生及び侵入行為の発生区間を、特定した監視者に報知しても良い。なお、図12の例では、報知部23の報知方法が、監視施設内の表示部30や、監視者が所持する端末40にGUI画面を表示する方法であることを想定している。ただし、報知部23の報知方法は、不図示のスピーカからメッセージを音声出力する方法でも良い。
【0053】
続いて以下では、取得部21による環境パターンの生成動作及び検出部22による環境パターンの比較動作の具体例について説明する。
【0054】
(B)トンネル掘削を検出する場合の具体例
まず、図13を参照して、トンネル掘削を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作及び検出部22による環境パターンの比較動作の具体例について説明する。図13の例では、光ファイバ10の振動の大きさ[nm]を示す環境情報を使用する。
【0055】
(B-1)トンネル掘削を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作の具体例
図13に示されるように、取得部21は、第1の期間において、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt1,t2,t3にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第1の環境パターンを生成する。また、取得部21は、第2の期間においても同様に、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt4,t5,t6にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第2の環境パターンを生成する。
なお、トンネル掘削の場合、環境情報は、長い期間をかけて徐々に変化すると考えられる。そのため、第1の期間及び第2の期間は、長い期間(例えば、1日、半日等)とする。
【0056】
(B-2)トンネル掘削を検出する場合の、検出部22による環境パターンの比較動作の具体例
ここでは、図13の例において、第1の環境パターン及び第2の環境パターンとして、3つの環境情報のそれぞれの平均値の和を使用するとする。この場合、第1の環境パターンは32nmであるのに対して、第2の環境パターンは49nmである。
【0057】
検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとを比較する。比較の結果、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位は振動の増加傾向を示している。そのため、検出部22は、トンネル掘削を検出する。
【0058】
(C)トンネル内移動を検出する場合の具体例
続いて、図14を参照して、トンネル内移動を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作及び検出部22による環境パターンの比較動作の具体例について説明する。図14の例では、光ファイバ10の振動の大きさ[nm]を示す環境情報を使用する。
【0059】
(C-1)トンネル内移動を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作の具体例
図14に示されるように、取得部21は、第1の期間において、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt1,t2,t3にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第1の環境パターンを生成する。また、取得部21は、第2の期間においても同様に、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt4,t5,t6にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第2の環境パターンを生成する。
なお、トンネル内移動の場合、環境情報は、短い期間に変化すると考えられる。そのため、第1の期間及び第2の期間は、短い期間(例えば、30分、10分等)とする。
【0060】
(C-2)トンネル内移動を検出する場合の、検出部22による環境パターンの比較動作の具体例
図14の例においては、第1の期間及び第2の期間が短い。そのため、第1の環境パターン及び第2の環境パターンとして、3つの環境情報の平均値を使用した場合、外乱による環境パターンの変動が大きく現れるおそれがある。一方で、第1の期間及び第2の期間が短くとも、最小値であれば、外乱の影響を抑制することができる。
【0061】
そこで、ここでは、図14の例において、第1の環境パターン及び第2の環境パターンとして、3つの環境情報の最小値を使用するとする。この場合、第1の環境パターンは3nmであるのに対して、第2の環境パターンは6nmである。
【0062】
検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとを比較する。比較の結果、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位は振動の増加傾向を示している。そのため、検出部22は、トンネル内移動を検出する。
【0063】
上述したように本実施の形態3によれば、検出部22は、侵入行為の発生位置が徐々に光ファイバ10に近付いてくることを利用して、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が振動の増加傾向を示す場合に、侵入行為を検出する。これにより、振動が一定の事象(近隣での工事、地上の監視員の並行移動等)や瞬間的に振動が生じる事象(地震、事故や発砲等)と区別して、侵入行為を検出することができる。
【0064】
<実施の形態3の変形例>
検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が振動の増加傾向を示した後に、変位が振動の減少傾向を示した場合、侵入行為の発生位置が国境等の境界を超えたことを検出しても良い。
【0065】
また、検出部22は、区間ごとの変位を比較して、侵入行為の発生位置の移動方向を求めても良い。例えば、区画Bでの変位が区画Aでの変位よりも大きい状態から、区画Aでの変位が区画Bでの変位よりも大きい状態に遷移し、区画Aと区画Bとの間で変位の大小関係が入れ替わったとする。この場合、検出部22は、図15に示されるように、侵入行為の発生位置が区画Bから区間Aに向かって横方向に移動していることを検出できる。
【0066】
<実施の形態4>
本実施の形態4に係る検出システムは、光ファイバ10の周辺の事象として、パイプラインの劣化を検出するものである。本実施の形態4に係る検出システムは、基本的な構成及び動作は、上述した実施の形態1,2と同様である。
【0067】
図16に示されるように、本実施の形態4に係る検出システムにおいては、光ファイバ10は、パイプラインPLに取り付けられている。なお、図16の例では、直線状の光ファイバ10を、パイプラインPLに沿って、パイプラインPLの内部を通しているが、光ファイバ10の取り付け方法は、これには限定されない。例えば、光ファイバ10は螺旋状としても良いし、光ファイバ10を、パイプラインPLに沿って、パイプラインPLの内部又は外部を這わせても良い。また、パイプラインPLは、3つの柱Pによって支持されて地上に敷設されているが、パイプラインPLの敷設場所は、地上、地中、天井、床、壁等の任意の場所で良い。
【0068】
パイプラインPLは劣化するに伴って、振動が大きくなる。これを利用して、検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が、振動の増加傾向を示す場合に、パイプラインPLの劣化を検出する。
【0069】
また、パイプラインPLは劣化するに伴って、詰り等が発生し、これにより、温度が上昇する。これを利用して、検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が、温度の増加傾向を示す場合に、パイプラインPLの劣化を検出する。
【0070】
報知部23は、検出部22がパイプラインPLの劣化を検出した場合、パイプラインPLの劣化の発生及び劣化の発生位置を監視施設に報知する。また、報知部23は、劣化の発生位置の近くにいる作業者を特定し、パイプラインPLの劣化の発生及び劣化の発生位置を、特定した作業者に報知しても良い。なお、図16の例では、報知部23の報知方法が、監視施設内の表示部30や、作業者が所持する端末40にGUI画面を表示する方法であることを想定している。ただし、報知部23の報知方法は、不図示のスピーカからメッセージを音声出力する方法でも良い。
【0071】
続いて以下では、パイプラインPLの劣化を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作及び検出部22による環境パターンの比較動作の2つの具体例について説明する。
【0072】
(D1)パイプラインPLの劣化を検出する場合の具体例1
まず、図17を参照して、パイプラインPLの劣化を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作及び検出部22による環境パターンの比較動作の具体例1について説明する。図17の例では、光ファイバ10の振動の大きさ[nm]を示す環境情報を使用する。
【0073】
(D1-1)パイプラインPLの劣化を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作の具体例1
図17に示されるように、取得部21は、第1の期間において、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt1,t2,t3にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第1の環境パターンを生成する。また、取得部21は、第2の期間においても同様に、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt4,t5,t6にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第2の環境パターンを生成する。
なお、パイプラインPLの劣化の場合、環境情報は、長い期間をかけて徐々に変化すると考えられる。そのため、第1の期間及び第2の期間は、長い期間(例えば、1週間、1日等)とする。
【0074】
(D1-2)パイプラインPLの劣化を検出する場合の、検出部22による環境パターンの比較動作の具体例1
ここでは、図17の例において、第1の環境パターン及び第2の環境パターンとして、3つの環境情報のそれぞれの平均値の和を使用するとする。この場合、第1の環境パターンは26nmであるのに対して、第2の環境パターンは38nmである。
【0075】
検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとを比較する。比較の結果、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位は振動の増加傾向を示している。そのため、検出部22は、パイプラインPLの劣化を検出する。
【0076】
(D2)パイプラインPLの劣化を検出する場合の具体例2
続いて、図18を参照して、パイプラインPLの劣化を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作及び検出部22による環境パターンの比較動作の具体例2について説明する。図18の例では、光ファイバ10の温度[℃]を示す環境情報を使用する。
【0077】
(D2-1)パイプラインPLの劣化を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作の具体例2
図18に示されるように、取得部21は、第1の期間において、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt1,t2,t3にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第1の環境パターンを生成する。また、取得部21は、第2の期間においても同様に、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt4,t5,t6にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第2の環境パターンを生成する。
なお、第1の期間及び第2の期間は、上述した(D1)の具体例1と同様に、長い期間(例えば、1週間、1日等)とする。
【0078】
(D2-2)パイプラインPLの劣化を検出する場合の、検出部22による環境パターンの比較動作の具体例2
ここでは、図18の例において、第1の環境パターン及び第2の環境パターンとして、3つの環境情報のそれぞれの平均値の和を使用するとする。この場合、第1の環境パターンは66℃であるのに対して、第2の環境パターンは71.5℃である。
【0079】
検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとを比較する。比較の結果、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位は温度の増加傾向を示している。そのため、検出部22は、パイプラインPLの劣化を検出する。
【0080】
上述したように本実施の形態4によれば、検出部22は、パイプラインPLは劣化するに伴って、振動が大きくなることを利用して、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が振動の増加傾向を示す場合に、パイプラインPLの劣化を検出する。これにより、振動が一定の事象(周辺装置の稼働等)や瞬間的に振動が生じる事象(パイプラインPLへの衝突等)と区別して、パイプラインPLの劣化を検出することができる。
【0081】
又は、検出部22は、パイプラインPLは劣化するに伴って、温度が上昇することを利用して、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が温度の増加傾向を示す場合に、パイプラインPLの劣化を検出する。これにより、一次的に温度が変化する事象(外気温の変化)と区別して、パイプラインPLの劣化を検出することができる。
【0082】
<実施の形態4の変形例>
本実施の形態4は、パイプラインPLの劣化を検出していたが、これには限定されない。例えば、光ファイバ10を、橋、建物、道路等の建造物に取り付け、これら構造物の劣化を検出しても良い。これら構造物への光ファイバ10の取り付け方法は、パイプラインPLへの取り付け方法と同様で良い。
【0083】
<実施の形態5>
本実施の形態5に係る検出システムは、光ファイバ10の周辺の事象として、土砂災害を検出するものである。本実施の形態5に係る検出システムは、基本的な構成及び動作は、上述した実施の形態1,2と同様である。
【0084】
図19に示されるように、本実施の形態5に係る検出システムにおいては、光ファイバ10は、山の斜面に敷設されている。また、光ファイバ10が敷設された領域を複数の領域(図19の例では、領域A~Dの4領域)に分割し、複数の領域の上下の位置関係を予め定めておく。図19の例では、領域Aが上で、領域Bが下という上下の位置関係が定められると共に、領域Dが上で、領域Cが下という上下の位置関係が定められている。
【0085】
また、取得部21は、図20に示されるように、光ファイバ10における検出装置20からの距離と各領域とを対応付けた対応テーブルを予め保持しておく。
また、取得部21は、上述したように、パルス光を送信してから光信号(後方散乱光)を受信するまでの時間差や、受信した光信号(後方散乱光)の強度等に基づいて、その光信号が光ファイバ10上のどの位置(光ファイバ10における検出装置20からの距離)で発生したかを特定することが可能である。
【0086】
そのため、取得部21は、光信号が発生した光ファイバ10上の位置と、図20に示される対応テーブルと、に基づいて、光信号に含まれる環境情報が、光ファイバ10上のどの領域のものであるのかを特定することが可能である。
【0087】
地すべり等の土砂災害が生じると、徐々に土砂の量が下方向へ移動する。これを利用して、検出部22は、上下の位置関係にある2つの領域のうち、上の領域では、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が、光ファイバ10に加わる圧力の減少傾向を示し、下の領域では、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が、光ファイバ10に加わる圧力の増加傾向を示す場合に、土砂災害を検出する。
【0088】
報知部23は、検出部22が土砂災害を検出した場合、土砂災害の発生位置を管轄する警察署や、土砂災害の発生位置付近に居住する周辺住人に対し、土砂災害の発生、氾濫のおそれがあること等を報知する。なお、図19の例では、報知部23の報知方法が、警察署内の表示部30や、周辺住人が所持する端末40にGUI画面を表示する方法であることを想定している。ただし、報知部23の報知方法は、不図示のスピーカからメッセージを音声出力する方法でも良い。
【0089】
続いて以下では、図21を参照して、土砂災害を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作及び検出部22による環境パターンの比較動作の具体例について説明する。図21の例では、光ファイバ10に加わる圧力[nPa]を示す環境情報を使用しており、上下の位置関係にある2つの領域A,Bの環境情報が示されている。
【0090】
(E-1)土砂災害を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作の具体例
図21に示されるように、取得部21は、第1の期間において、領域A,Bごとに、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt1,t2,t3にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第1の環境パターンを生成する。また、取得部21は、第2の期間においても同様に、領域A,Bごとに、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt4,t5,t6にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第2の環境パターンを生成する。
なお、土砂災害の場合、環境情報は、長い期間をかけて徐々に変化すると考えられる。そのため、第1の期間及び第2の期間は、長い期間(例えば、1週間、1日等)とする。
【0091】
(E-2)土砂災害を検出する場合の、検出部22による環境パターンの比較動作の具体例
ここでは、図21の例において、第1の環境パターン及び第2の環境パターンとして、3つの環境情報のそれぞれの平均値の和を使用するとする。この場合、領域Aにおいては、第1の環境パターンは54nPaであるのに対して、第2の環境パターンは42nPaである。また、領域Bにおいては、第1の環境パターンは28.5nPaであるのに対して、第2の環境パターンは46nPaである。
【0092】
検出部22は、領域A,Bごとに、第1の環境パターンと第2の環境パターンとを比較する。比較の結果、上の領域Aにおいては、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位は圧力の減少傾向を示している。一方、下の領域Bにおいては、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位は圧力の増加傾向を示している。そのため、検出部22は、土砂災害を検出する。
【0093】
なお、図21の例においては、上下の位置関係にある2つの領域A,Bの環境パターンに基づいて、土砂災害を検出したが、上下の位置関係にある2つの領域D,Cの環境パターンに基づいて、土砂災害を検出しても良い。
【0094】
上述したように本実施の形態5によれば、検出部22は、地すべり等の土砂災害が生じると、徐々に土砂の量が下方向へ移動することを利用して、上の領域では、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が光ファイバ10に加わる圧力の減少傾向を示し、下の領域では、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が光ファイバ10に加わる圧力の増加傾向を示す場合に、土砂災害を検出する。これにより、1つの領域内のみで圧力の変位が生じる事象(トンネル工事や建造物の建築等)や、圧力が瞬間的に生じる事象(地震等)と区別して、土砂災害を検出することができる。
【0095】
<実施の形態6>
本実施の形態6に係る検出システムは、光ファイバ10の周辺の事象として、川の氾濫のおそれを検出するものである。本実施の形態6に係る検出システムは、基本的な構成及び動作は、上述した実施の形態1,2と同様である。
【0096】
図22に示されるように、本実施の形態6に係る検出システムにおいては、光ファイバ10は、川Rvの長手方向に沿って、川Rvの側面に敷設されている。ただし、光ファイバ10の敷設方法は、これには限定されず、例えば、川Rvの長手方向に沿って、川Rvの底面に敷設されても良い。
【0097】
川Rvの氾濫のおそれが高まると、川Rvの水量が増加する。また、川Rvの水量が増加すると、水圧が増加する。これを利用して、検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が、光ファイバ10に加わる圧力(水圧)の増加傾向を示す場合に、川Rvの氾濫のおそれを検出する。
【0098】
報知部23は、検出部22が川Rvの氾濫のおそれを検出した場合、氾濫のおそれがある位置を管轄する警察署や、その位置付近に居住する周辺住人に対し、氾濫のおそれがあることを報知する。なお、図22の例では、報知部23の報知方法が、警察署内の表示部30や、周辺住人が所持する端末40にGUI画面を表示する方法であることを想定している。ただし、報知部23の報知方法は、不図示のスピーカからメッセージを音声出力する方法でも良い。
【0099】
続いて以下では、図23を参照して、川Rvの氾濫のおそれを検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作及び検出部22による環境パターンの比較動作の具体例について説明する。図23の例では、光ファイバ10に加わる圧力[nPa]を示す環境情報を使用する。
【0100】
(F-1)川Rvの氾濫のおそれを検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作の具体例
図23に示されるように、取得部21は、第1の期間において、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt1,t2,t3にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第1の環境パターンを生成する。また、取得部21は、第2の期間においても同様に、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt4,t5,t6にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第2の環境パターンを生成する。
なお、川Rvの氾濫の場合、環境情報は、短い期間に変化すると考えられる。そのため、第1の期間及び第2の期間は、短い期間(例えば、1時間、30分等)とする。
【0101】
(F-2)川Rvの氾濫のおそれを検出する場合の、検出部22による環境パターンの比較動作の具体例
図23の例においては、第1の期間及び第2の期間が短い。
そのため、ここでは、図23の例において、第1の環境パターン及び第2の環境パターンとして、3つの環境情報の最小値を使用するとする。最小値を使用する理由は、上述した実施の形態3で述べた通りである。この場合、第1の環境パターンは3nPaであるのに対して、第2の環境パターンは5nPaである。
【0102】
検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとを比較する。比較の結果、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位は圧力の増加傾向を示している。そのため、検出部22は、川Rvの氾濫のおそれを検出する。
【0103】
上述したように本実施の形態6によれば、検出部22は、川Rvの氾濫のおそれが高まると、川Rvの水量が増加することを利用して、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が、光ファイバ10に加わる圧力(水圧)の増加傾向を示す場合に、川Rvの氾濫のおそれを検出する。これにより、水圧が瞬間的に上昇する事象(船の通過等)と区別して、川Rvの氾濫のおそれを検出することができる。
【0104】
<実施の形態6の変形例>
本実施の形態6は、川Rvの氾濫のおそれを検出していたが、これには限定されない。例えば、光ファイバ10をダムの水門に敷設し、水門を通る水の流量に応じた水圧の増減傾向に基づいて、ダムの水量の増加及び減少を検出しても良い。
【0105】
<実施の形態7>
本実施の形態7に係る検出システムは、光ファイバ10の周辺の事象として、道路の渋滞を検出するものである。本実施の形態7に係る検出システムは、基本的な構成及び動作は、上述した実施の形態1,2と同様である。
【0106】
図24に示されるように、本実施の形態7に係る検出システムにおいては、光ファイバ10は、道路Rdに沿って、敷設されている。なお、光ファイバ10は、道路Rdに沿って、直線状に敷設されても良いし、波状に敷設されても良い。また、光ファイバ10は、道路Rdの下に敷設されても良いし、道路Rdの脇に敷設されても良い。
【0107】
道路Rdに渋滞が生じると、車両の密度が増加する。また、車両の密度が増加すると、圧力が増加する。これを利用して、検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が、圧力の増加傾向を示す場合に、渋滞を検出する。
【0108】
また、道路Rdに渋滞が生じると、車両が減速する。また、車両が減速すると、振動が減少する。これを利用して、検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が、振動の減少傾向を示す場合に、渋滞を検出する。
【0109】
報知部23は、検出部22が渋滞を検出した場合、渋滞の発生及び渋滞の発生位置を道路Rdの管理施設に報知する。なお、図24の例では、報知部23の報知方法が、監視施設内の表示部30にGUI画面を表示する方法であることを想定している。ただし、報知部23の報知方法は、不図示のスピーカからメッセージを音声出力する方法でも良い。
【0110】
続いて以下では、道路Rdの渋滞を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作及び検出部22による環境パターンの比較動作の2つの具体例について説明する。
【0111】
(G1)道路Rdの渋滞を検出する場合の具体例1
まず、図25を参照して、道路Rdの渋滞を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作及び検出部22による環境パターンの比較動作の具体例1について説明する。図25の例では、光ファイバ10に加わる圧力[nPa]を示す環境情報を使用する。
【0112】
(G1-1)道路Rdの渋滞を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作の具体例1
図25に示されるように、取得部21は、第1の期間において、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt1,t2,t3にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第1の環境パターンを生成する。また、取得部21は、第2の期間においても同様に、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt4,t5,t6にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第2の環境パターンを生成する。
なお、道路Rdの渋滞の場合、環境情報は、短い期間に変化すると考えられる。そのため、第1の期間及び第2の期間は、短い期間(例えば、1時間、30分等)とする。
【0113】
(G1-2)道路Rdの渋滞を検出する場合の、検出部22による環境パターンの比較動作の具体例1
図25の例においては、第1の期間及び第2の期間が短い。
そのため、ここでは、図25の例において、第1の環境パターン及び第2の環境パターンとして、3つの環境情報の最小値を使用するとする。最小値を使用する理由は、上述した実施の形態3で述べた通りである。この場合、第1の環境パターンは10nPaであるのに対して、第2の環境パターンは14nPaである。
【0114】
検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとを比較する。比較の結果、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位は圧力の増加傾向を示している。そのため、検出部22は、渋滞を検出する。
【0115】
(G2)道路Rdの渋滞を検出する場合の具体例2
続いて、図26を参照して、道路Rdの渋滞を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作及び検出部22による環境パターンの比較動作の具体例2について説明する。図26の例では、光ファイバ10の振動の大きさ[nm]を示す環境情報を使用する。
【0116】
(G2-1)道路Rdの渋滞を検出する場合の、取得部21による環境パターンの生成動作の具体例2
図26に示されるように、取得部21は、第1の期間において、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt1,t2,t3にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第1の環境パターンを生成する。また、取得部21は、第2の期間においても同様に、光ファイバ10から光信号を受信した受信タイミングt4,t5,t6にそれぞれ対応付けられた3つの環境情報に基づいて、第2の環境パターンを生成する。
なお、第1の期間及び第2の期間は、上述した(G1)の具体例1と同様に、短い期間(例えば、1時間、30分等)とする。
【0117】
(G2-2)道路Rdの渋滞を検出する場合の、検出部22による環境パターンの比較動作の具体例2
図26の例においては、第1の期間及び第2の期間が短い。
そのため、ここでは、図26の例において、第1の環境パターン及び第2の環境パターンとして、3つの環境情報の最小値を使用するとする。この場合、第1の環境パターンは12nmであるのに対して、第2の環境パターンは8nmである。
【0118】
検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとを比較する。比較の結果、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位は振動の減少傾向を示している。そのため、検出部22は、渋滞を検出する。
【0119】
なお、検出部22は、上述した(G1)及び(G2)を組み合わせて、渋滞を検出しても良い。すなわち、検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が、圧力の増加傾向及び振動の減少傾向の両方を示す場合に、渋滞を検出しても良い。
【0120】
上述したように本実施の形態7によれば、検出部22は、道路Rdに渋滞が生じると、車両の密度が増加することを利用して、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が圧力の増加傾向を示す場合に、渋滞を検出する。これにより、圧力が一定の事象(道路工事等)や圧力が瞬間的に生じる事象(地震や高重量車両の通過等)と区別して、渋滞を検出することができる。
【0121】
又は、検出部22は、道路Rdに渋滞が生じると、車両が減速することを利用して、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が振動の減少傾向を示す場合に、渋滞を検出する。これにより、振動が一定の事象(道路工事等)や振動が瞬間的に生じる事象(地震や高重量車両の通過等)と区別して、渋滞を検出することができる。
【0122】
<他の実施の形態>
上述した実施の形態においては、検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位の大きさにかかわらず、第2の環境パターンが、第1の環境パターンよりも大きい場合に増加傾向を示すと判断していたが、これには限定されない。例えば、検出部22は、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が閾値以下であるときは増加傾向を示すとは判断せず、変位が閾値を超えたときに増加傾向を示すと判断しても良い。減少傾向を示すと判断する場合においても同様である。
【0123】
また、上述した実施の形態においては、第1の環境パターンと第2の環境パターンとの変位が特定の傾向(減少傾向又は増加傾向)を示している例について説明した。しかし、変位が無い場合や、変位が閾値以下となった場合には、変位が特定の傾向を示さないと判断することになる。変位が特定の傾向を示さない場合には、検出部22は、事象を検出しなくても良い。この場合、取得部21は、環境情報の取得を繰り返せば良い。
【0124】
また、上述した実施の形態においては、検出部22は、環境パターン同士(第1の環境パターンと第2の環境パターン)の1回の比較により、変位が特定の傾向を示していれば、事象を検出したが、これには限定されない。例えば、検出部22は、環境パターン同士の比較を複数回実施し、特定の傾向が連続して基準回数以上示された場合、又は、特定の傾向が基準回数以上示された場合に、事象を検出しても良い。この場合、検出部22は、連続する期間(例えば、図27の第1の期間及び第2の期間)の環境パターン同士を比較することに限られず、連続しない期間(例えば、図27の第1の期間及び第3の期間)の環境パターン同士を比較しても良い。
【0125】
また、上述した実施の形態においては、検出装置20に複数の構成要素(取得部21、検出部22、及び報知部23)が設けられているが、これには限定されない。検出装置20に設けられていた構成要素は、1つの装置に設けることには限定されず、複数の装置に分散して設けられていても良い。
【0126】
<検出装置のハードウェア構成>
続いて以下では、図28を参照して、上述した各実施の形態に係る検出装置20を実現するコンピュータ50のハードウェア構成について説明する。
【0127】
図28に示されるように、コンピュータ50は、プロセッサ501、メモリ502、ストレージ503、入出力インタフェース(入出力I/F)504、及び通信インタフェース(通信I/F)505等を備える。プロセッサ501、メモリ502、ストレージ503、入出力インタフェース504、及び通信インタフェース505は、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路で接続されている。
【0128】
プロセッサ501は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置である。メモリ502は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリである。ストレージ503は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはメモリカード等の記憶装置である。また、ストレージ503は、RAMやROM等のメモリであっても良い。
【0129】
ストレージ503は、検出装置20が備える構成要素(取得部21、検出部22、及び報知部23)の機能を実現するプログラムを記憶している。プロセッサ501は、これら各プログラムを実行することで、検出装置20が備える構成要素の機能をそれぞれ実現する。ここで、プロセッサ501は、上記各プログラムを実行する際、これらのプログラムをメモリ502上に読み出してから実行しても良いし、メモリ502上に読み出さずに実行しても良い。また、メモリ502やストレージ503は、検出装置20が備える構成要素が保持する情報やデータを記憶する役割も果たす。
【0130】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータ(コンピュータ50を含む)に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Compact Disc-ROM)、CD-R(CD-Recordable)、CD-R/W(CD-ReWritable)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAMを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されても良い。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0131】
入出力インタフェース504は、表示装置5041、入力装置5042、音出力装置5043等と接続される。表示装置5041は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、モニターのような、プロセッサ501により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置5042は、オペレータの操作入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、マウス、及びタッチセンサ等である。表示装置5041及び入力装置5042は一体化され、タッチパネルとして実現されていても良い。音出力装置5043は、スピーカのような、プロセッサ501により処理された音響データに対応する音を音響出力する装置である。
【0132】
通信インタフェース505は、外部の装置との間でデータを送受信する。例えば、通信インタフェース505は、有線通信路または無線通信路を介して外部装置と通信する。
【0133】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述した実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
例えば、上述した実施の形態は、一部又は全部を相互に組み合わせて用いても良い。
【0134】
また、上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
環境情報を検知する光ファイバと、
前記光ファイバから受信した光信号に含まれる前記環境情報を取得する取得部と、
第1の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第1の環境パターン及び第2の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第2の環境パターンに基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する検出部と、
を備える、検出システム。
(付記2)
前記取得部は、
前記第1の期間に対応する光信号から取得した前記環境情報を積算することで前記第1の環境パターンを生成し、
前記第2の期間に対応する光信号から取得した前記環境情報を積算することで前記第2の環境パターンを生成する、
付記1に記載の検出システム。
(付記3)
前記検出部は、
前記第1の環境パターンと前記第2の環境パターンとの変位に基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する、
付記1又は2に記載の検出システム。
(付記4)
前記取得部は、
前記光ファイバにおける複数の区間から受信した前記光信号から、前記区間ごとに前記環境情報を取得し、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターン及び前記第2の環境パターンを生成し、
前記検出部は、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターン及び前記第2の環境パターンに基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する、
付記1から3のいずれか1項に記載の検出システム。
(付記5)
前記検出部は、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターンと前記第2の環境パターンとの変位を求め、
前記区間ごとに、前記変位に基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出し、
前記変位が最も大きい区間を特定する、
付記4に記載の検出システム。
(付記6)
前記取得部は、
前記光ファイバにおける複数の区間から受信した前記光信号から、前記区間ごとに前記環境情報を取得し、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターン及び前記第2の環境パターンを生成し、
前記検出部は、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターンと前記第2の環境パターンとの変位を求め、
異なる区間の前記変位の差に基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する、
付記1から3のいずれか1項に記載の検出システム。
(付記7)
前記取得部は、
前記光ファイバの温度、前記光ファイバの振動、及び前記光ファイバに加わる圧力の少なくとも1つを示す前記環境情報を取得する、
付記1から6のいずれか1項に記載の検出システム。
(付記8)
前記検出部が事象を検出したことを報知する報知部を更に備える、
付記1から7のいずれか1項に記載の検出システム。
(付記9)
前記検出部は、
前記第1の期間に受信した光信号から取得した環境情報に基づく前記第1の環境パターン及び前記第2の期間に受信した光信号から取得した環境情報に基づく前記第2の環境パターンに基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する、
付記1から5のいずれか1項に記載の検出システム。
(付記10)
前記検出部は、
前記第1の期間に出射された光により前記光ファイバにおいて生じた後方散乱光から取得した環境情報に基づく前記第1の環境パターン及び前記第2の期間に出射された光により前記光ファイバにおいて生じた後方散乱光から取得した環境情報に基づく前記第2の環境パターンに基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する、
付記1から5のいずれか1項に記載の検出システム。
(付記11)
検出システムによる検出方法であって、
環境情報を検知する光ファイバから受信した光信号に含まれる前記環境情報を取得する取得ステップと、
第1の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第1の環境パターン及び第2の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第2の環境パターンに基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する検出ステップと、
を含む、検出方法。
(付記12)
前記取得ステップでは、
前記第1の期間に対応する光信号から取得した前記環境情報を積算することで前記第1の環境パターンを生成し、
前記第2の期間に対応する光信号から取得した前記環境情報を積算することで前記第2の環境パターンを生成する、
付記11に記載の検出方法。
(付記13)
前記検出ステップでは、
前記第1の環境パターンと前記第2の環境パターンとの変位に基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する、
付記11又は12に記載の検出方法。
(付記14)
前記取得ステップでは、
前記光ファイバにおける複数の区間から受信した前記光信号から、前記区間ごとに前記環境情報を取得し、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターン及び前記第2の環境パターンを生成し、
前記検出ステップでは、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターン及び前記第2の環境パターンに基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する、
付記11から13のいずれか1項に記載の検出方法。
(付記15)
前記検出ステップでは、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターンと前記第2の環境パターンとの変位を求め、
前記区間ごとに、前記変位に基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出し、
前記変位が最も大きい区間を特定する、
付記14に記載の検出方法。
(付記16)
前記取得ステップでは、
前記光ファイバにおける複数の区間から受信した前記光信号から、前記区間ごとに前記環境情報を取得し、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターン及び前記第2の環境パターンを生成し、
前記検出ステップでは、
前記区間ごとに、前記第1の環境パターンと前記第2の環境パターンとの変位を求め、
異なる区間の前記変位の差に基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する、
付記11から13のいずれか1項に記載の検出方法。
(付記17)
前記取得ステップでは、
前記光ファイバの温度、前記光ファイバの振動、及び前記光ファイバに加わる圧力の少なくとも1つを示す前記環境情報を取得する、
付記11から16のいずれか1項に記載の検出方法。
(付記18)
前記検出ステップで事象を検出したことを報知する報知ステップを更に含む、
付記11から17のいずれか1項に記載の検出方法。
(付記19)
前記検出ステップでは、
前記第1の期間に受信した光信号から取得した環境情報に基づく前記第1の環境パターン及び前記第2の期間に受信した光信号から取得した環境情報に基づく前記第2の環境パターンに基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する、
付記11から15のいずれか1項に記載の検出方法。
(付記20)
前記検出ステップでは、
前記第1の期間に出射された光により前記光ファイバにおいて生じた後方散乱光から取得した環境情報に基づく前記第1の環境パターン及び前記第2の期間に出射された光により前記光ファイバにおいて生じた後方散乱光から取得した環境情報に基づく前記第2の環境パターンに基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する、
付記11から15のいずれか1項に記載の検出方法。
(付記21)
環境情報を検知する光ファイバから受信した光信号に含まれる前記環境情報を取得する取得部と、
第1の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第1の環境パターン及び第2の期間に対応する光信号から取得した環境情報に基づく第2の環境パターンに基づいて、前記光ファイバの周辺の事象を検出する検出部と、
を備える、検出装置。
【符号の説明】
【0135】
10 光ファイバ
20 検出装置
21 取得部
22 検出部
23 報知部
30,30-1,30-2 表示部
40 端末
50 コンピュータ
501 プロセッサ
502 メモリ
503 ストレージ
504 入出力インタフェース
5041 表示装置
5042 入力装置
5043 音出力装置
505 通信インタフェース
F フェンス
G 地中
PL パイプライン
Rv 川
Rd 道路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
図20
図21
図22
図23
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図26
図27
図28