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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20231024BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20231024BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20231024BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20231024BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/04014
H01M8/0606
H01M8/12 101
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021554790
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 IB2019001246
(87)【国際公開番号】W WO2021090041
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】臼田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 晋
(72)【発明者】
【氏名】姫野 友克
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-207510(JP,A)
【文献】再公表特許第2014/155928(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0134470(US,A1)
【文献】国際公開第2021/044766(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動ガスの供給を受けて発電する燃料電池を備える燃料電池システムであって、前記燃料電池から排出されるオフガスを燃焼させる燃焼器と、前記作動ガスを前記燃料電池に供給するとともに、前記燃焼器からの排ガスと熱交換を行う熱交換デバイスと、前記燃料電池と、前記燃焼器及び前記熱交換デバイスとの間に配置されるマニホールドと、を備え、前記マニホールドは、前記燃料電池から排出される前記オフガスを前記燃焼器へと導くオフガス流路と、前記燃焼器から排出される前記排ガスを前記熱交換デバイスへと導く排ガス流路と、を有する、燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池システムであって、前記作動ガスは、燃料ガスとしてのアノードガスと、酸化剤ガスとしてのカソードガスとを含み、前記熱交換デバイスは、前記排ガスの熱を用いて前記カソードガスを加熱するカソード熱交換器と、前記排ガスの熱を用いて原燃料を前記アノードガスに改質する改質器と、を備え、前記排ガス流路は、前記排ガスの一部を前記カソード熱交換器へと導く第1排ガス流路と、前記排ガスの残りを前記改質器へと導く第2排ガス流路と、を備える、燃料電池システム。
【請求項3】
請求項2に記載の燃料電池システムであって、前記燃焼器は、前記オフガスを燃焼させる第1触媒燃焼器と、前記第1触媒燃焼器で生成された前記排ガスと熱交換することで前記原燃料を気化させ、気化した燃料を前記燃焼器へと供給する蒸発器と、を備え、前記排ガス流路には、前記蒸発器を通じて前記マニホールド内に流入した前記排ガスを燃焼させる第2触媒燃焼器が設けられる、燃料電池システム。
【請求項4】
請求項3に記載の燃料電池システムであって、前記第2触媒燃焼器は、前記第1及び第2排ガス流路にそれぞれ別々に配置される、燃料電池システム。
【請求項5】
請求項4に記載の燃料電池システムであって、 前記第1排ガス流路に配置される前記第2触媒燃焼器の大きさと、前記第2排ガス流路に配置される前記第2触媒燃焼器の大きさは互いに異なる、 燃料電池システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の燃料電池システムであって、前記第1排ガス流路に配置される前記第2触媒燃焼器の数と、前記第2排ガス流路に配置される前記第2触媒燃焼器の数は互いに異なる、燃料電池システム。
【請求項7】
請求項3から請求項6のいずれか一つに記載の燃料電池システムであって、前記第2触媒燃焼器は、複数の平板がガス流れ方向と平行となるよう配置された担体と、前記担体に担持された触媒とから構成される、燃料電池システム。
【請求項8】
請求項3から請求項6のいずれか一つに記載の燃料電池システムであって、前記第2触媒燃焼器は、筒状のハニカム構造体としての担体と、前記担体に担時された触媒とから構成される、燃料電池システム。
【請求項9】
請求項3から請求項8のいずれか一つに記載の燃料電池システムであって、前記マニホールド内における前記第2触媒燃焼器に前記原燃料を供給するための供給配管をさらに備える、燃料電池システム。
【請求項10】
請求項9に記載の燃料電池システムであって、前記供給配管は、先端部が前記マニホールド内に挿入された状態で当該マニホールドに取り付けられ、前記先端部には、配管延設方向に沿って複数の燃料供給口が設けられる、燃料電池システム。
【請求項11】
請求項10に記載の燃料電池システムであって、前記複数の燃料供給口は、前記排ガス流路の下流に向かって前記原燃料が供給されるように配置される、燃料電池システム。
【請求項12】
請求項2から請求項11のいずれか一つに記載の燃料電池システムであって、前記マニホールドは、前記改質器で生成された前記アノードガスを前記燃料電池へと供給するためのアノード流路をさらに備え、前記マニホールドの幅方向において、前記オフガス流路は前記マニホールドの一端側に位置し、前記アノード流路は前記マニホールドの他端側に位置し、前記排ガス流路は前記オフガス流路と前記アノード流路の間に位置する、燃料電池システム。
【請求項13】
請求項12に記載の燃料電池システムであって、前記マニホールドは、前記カソード熱交換器で加熱された前記カソードガスを前記燃料電池へと供給するためのカソード流路をさらに備え、前記幅方向と直交する方向において、前記カソード流路は前記第1排ガス流路と前記第2排ガス流路との間に位置する、燃料電池システム。
【請求項14】
請求項13に記載の燃料電池システムであって、前記燃料電池が配置される側の前記マニホールドの端面において、前記カソード流路に対向する部位は当該燃料電池に向かって突出する突出部として形成されており、前記突出部には、前記カソードガスを前記燃料電池に対して供給するための供給口が形成される、燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
JPH11-176461Aには、改質ガスストリームから供給される水素及びオキシダントストリームから供給される酸素を用いて発電する燃料セルを備える燃料セル装置が開示されている。
【発明の概要】
【0003】
この燃料セル装置は、メタノールを改質した改質ガスを改質ガスストリームに供給する燃料改質器、燃料セルから排出されたガス等を燃焼させる燃焼器、及び燃焼器から排出された排ガスを用いて燃料改質器を加熱する熱交換器をさらに備えている。これら燃料改質器や燃焼器、熱交換器は、種々の配管を介して、燃料セル等と接続されている。このような燃料セル装置では非常に多くの配管が使用されているため、燃料セル装置が大型化するという問題がある。
【0004】
したがって、本発明の目的は、コンパクトな構成の燃料電池システムを提供することである。
【0005】
本発明の一態様による燃料電池システムは、作動ガスの供給を受けて発電する燃料電池と、燃料電池から排出されるオフガスを燃焼させる燃焼器と、作動ガスを燃料電池に供給するとともに、燃焼器からの排ガスと熱交換を行う熱交換デバイスと、燃料電池と燃焼器及び熱交換デバイスとの間に配置されるマニホールドと、を備える。マニホールドは、燃料電池から排出されるオフガスを燃焼器へと導くオフガス流路と、燃焼器から排出される排ガスを熱交換デバイスへと導く排ガス流路と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、一実施形態による燃料電池システムの概略構成図である。
図2A図2Aは、一実施形態による燃料電池システムの平面図である。
図2B図2Bは、一実施形態による燃料電池システムの斜視図である。
図3図3は、排気燃焼器の分解斜視図である。
図4図4は、燃料電池スタックと排気燃焼器を接続するマニホールドの分解斜視図である。
図5図5は、マニホールドの内部の様子を説明するための図である。
図6図6は、マニホールド内に配置される第2触媒燃焼器の側面図である。
図7図7は、排ガスの温度変化を示す図である。
図8図8は、本実施形態の燃料電池システムの第1変形例を示す図である。
図9図9は、本実施形態の第2変形例による燃料電池システムのマニホールドを示す図である。
図10図10は、本実施形態の第3変形例による燃料電池システムのマニホールドを示す図である。
図11図11は、本実施形態の第4変形例による燃料電池システムのマニホールドを示す図である。
図12図12は、本実施形態の第4変形例による燃料電池システムのマニホールドの第1プレートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態による燃料電池システム100の概略構成図である。
【0009】
図1に示す燃料電池システム100は、例えば車載用の燃料電池システムである。燃料電池システム100は、燃料電池スタック1と、燃料電池スタック1の発電に利用される原燃料を蓄える燃料タンク10と、を備える。さらに、燃料電池システム100は、原燃料をアノードガスに改質する改質器20と、カソードガスとしての空気を加熱する空気熱交換器30と、燃料電池スタック1から排出されたオフガスを燃焼させる排気燃焼器40と、アノードガス、カソードガス、及びオフガス等を各種機器へと導くマニホールド50とを備えている。
【0010】
燃料電池スタック1は、作動ガス(アノードガス及びカソードガス)の供給を受けて発電する燃料電池の積層体である。燃料電池スタック1の発電電力は、ハイブリッド車両に搭載されたバッテリ等を充電するために用いられる。燃料電池スタック1は複数の燃料電池を積層して構成され、発電源である個々の燃料電池は例えば固体酸化物型燃料電池(SOFC)である。
【0011】
燃料タンク10は、燃料電池スタック1に供給されるアノードガスを生成したり、システム構成部品等を暖機する際に利用される燃焼ガスを生成するために必要な原燃料を貯蔵する。原燃料は、例えば水とエタノールからなる液体燃料(40体積%のエタノールを含有する含水エタノール)である。液体燃料は、含水エタノールに限られず、ガソリン又はメタノール等を含む液体燃料であってもよい。
【0012】
燃料タンク10に蓄えられた原燃料は、第1インジェクタ11を介して改質器20に供給され、当該改質器20においてアノードガスに改質される。改質器20で生成されたアノードガスは、マニホールド50を通じて燃料電池スタック1へ供給される。
【0013】
一方で、エアブロワ31を介して空気熱交換器30に供給される空気は、当該空気熱交換器30で加熱される。加熱されたカソードガスとしての空気は、マニホールド50を通じて燃料電池スタック1へと供給される。
【0014】
燃料電池スタック1は、燃料ガスとしてのアノードガス及び酸化剤ガスとしてのカソードガスの供給を受けて発電する。発電時に使用されなかったアノードガス及びカソードガスは、それぞれアノードオフガス及びカソードオフガスとして燃料電池スタック1から排出される。これらオフガスは、マニホールド50を通じて排気燃焼器40へ供給され、当該排気燃焼器40で燃焼される。
【0015】
排気燃焼器40で燃焼されたオフガスは、高温の排ガス(燃焼ガス)として、マニホールド50を通じて改質器20及び空気熱交換器30に供給される。改質器20に供給された排ガスは、改質器20に内蔵される改質触媒との熱交換に利用された後、外部へ排出される。また、空気熱交換器30に供給された排ガスは、当該空気熱交換器30内を通過するカソードガスとの熱交換に利用された後、外部へ排出される。このように、改質器20及び空気熱交換器30は、排気燃焼器40から排出される排ガスの熱を用いて熱交換を行う熱交換デバイスとして構成されている。
【0016】
なお、燃料電池システム100は、システム始動時等にシステム構成機器を暖機するために、原燃料を排気燃焼器40へ直接供給可能な燃料供給ラインLをさらに備えている。燃料供給ラインLには第2インジェクタ12が設けられており、第2インジェクタ12から噴射された原燃料はヒータ13で加熱された後に排気燃焼器40に供給される。始動時等において、排気燃焼器40は、ヒータ13で加熱された原燃料を燃焼させる。排気燃焼器40で燃焼された燃焼ガス(排ガス)は、改質器20及び空気熱交換器30の暖機に利用される。
【0017】
図2A及び図2Bを参照して、燃料電池システム100の構成についてさらに説明する。図2Aは本実施形態による燃料電池システムの平面図であり、図2Bは本実施形態による燃料電池システムの斜視図である。図2Bにおいては、改質器等のシステム構成部品の一部の記載が省略されている。
【0018】
図2A及び図2Bに示すように、燃料電池システム100では、マニホールド50は、燃料電池スタック1と、改質器20等の熱交換デバイス及び排気燃焼器40との間に配置されている。改質器20、空気熱交換器30、排気燃焼器40、及びマニホールド50は一体的に構成されている。より具体的には、マニホールド50は略矩形薄板状の部材として構成されており、燃料電池スタック1とは反対側のマニホールド端面に改質器20、空気熱交換器30及び排気燃焼器40が当接するように接続されている。マニホールド50に接続された状態で、改質器20、空気熱交換器30及び排気燃焼器40は、燃料電池スタック1の幅方向に沿って並設するよう配置される。改質器20及び排気燃焼器40は幅方向外側に位置し、空気熱交換器30は、改質器20と排気燃焼器40との間に位置している。
【0019】
一方、マニホールド50は、アノードガス供給管2、カソードガス供給管3、アノードオフガス排出管4A、及びカソードオフガス排出管4Bを介して、燃料電池スタック1と連結されている。
【0020】
アノードガス供給管2は、燃料電池スタック1の前面と燃料電池スタック側のマニホールド端面とを接続し、マニホールド50内を通過したアノードガスを燃料電池スタック1へ供給する。カソードガス供給管3は、燃料電池スタック1の前面と燃料電池スタック側のマニホールド端面とを接続し、アノードガス供給管2よりも下方に配置される。カソードガス供給管2は、マニホールド50内を通過したカソードガスを燃料電池スタック1へ供給する。
【0021】
カソードオフガス排出管4Bは、燃料電池スタック1の前面と燃料電池スタック側のマニホールド端面とを接続し、燃料電池スタック1から排出されたカソードオフガスをマニホールド50へ供給する。アノードオフガス排出管4Aは、燃料電池スタック1の前面と燃料電池スタック側のマニホールド端面とを接続し、カソードオフガス排出管4Bよりも下方に配置される。アノードオフガス排出管4Aは、燃料電池スタック1から排出されたアノードオフガスをマニホールド50へ供給する。
【0022】
なお、本実施形態の燃料電池システム100では、燃料電池スタック1とマニホールド50とが4つの管2,3,4A,4Bにより連結されるよう構成されているが、これら配管を省略して燃料電池スタック1とマニホールド50とが隣接するよう配置されてもよい。燃料電池スタック1とマニホールド50とを隣り合うように接触させる場合、燃料電池スタック1及びマニホールド50の両方の当接面には、各種ガスを流通させるための複数のガス通過孔が形成されることとなる。
【0023】
次に、図2A及び図3を参照して、排気燃焼器40の構成について説明する。図3は、排気燃焼器40の分解斜視図である。
【0024】
排気燃焼器40は、燃料電池スタック1から排出されたアノードオフガス及びカソードオフガスを流す流路部41と、流路部41の下流端に設けられるヒータ42と、ヒータ42の下流端に設けられる第1触媒燃焼器43と、第1触媒燃焼器43の下流側に設けられる蒸発器44と、を備える。
【0025】
流路部41は、上流端がマニホールド50に接続されており、マニホールド50から排出されたオフガスをヒータ42へと供給するガス通路である。この流路部41は、マニホールド50から離間するように直線的に延設された後に、マニホールド50に向かって折り返された略U字状の通路部材として構成されている。
【0026】
流路部41の下流端には、ヒータ42が配置されている。ヒータ42は、例えば、円板状のハニカム構造体であって、内部を通過するガスを加熱するよう構成されている。このヒータ42の下流端には、第1触媒燃焼器43が配置されている。
【0027】
第1触媒燃焼器43は、筒状のハニカム構造体としての担体と、担体に担時された触媒とから構成される燃焼器である。第1触媒燃焼器43は、アノードオフガス及びカソードオフガスを触媒燃焼させ、高温の排ガスを生成する。
【0028】
蒸発器44は、第1触媒燃焼器43の下流端に設けられる。蒸発器44は、複数のガス通過孔44Aを有する筒状部材として構成されており、下流端がマニホールド50の端面に溶接等により接続されている。第1触媒燃焼器43で生成された排ガスは、蒸発器44のガス通過孔44Aを通じてマニホールド50へ供給される。
【0029】
蒸発器44は、ガス通過孔44Aとは独立した内部流路44Bを有しており、燃料供給ラインLから供給された原燃料を当該内部流路44Bを通じて流路部41の上流側に供給する。つまり、蒸発器44は、システム起動時等に第1触媒燃焼器43で生成された高温の排ガスがガス通過孔44Aを通過する際に、内部流路44Bを通過する原燃料と熱交換することで、当該原燃料を気化させて燃料ガスを流路部41に供給するように構成されている。なお、暖機終了後には内部流路44Bへの原燃料の供給は停止されるため、蒸発器44は、第1触媒燃焼器43から排出された排ガスをマニホールド50へと導く通路部材として機能する。
【0030】
次に、図4を参照して、マニホールド50の構成について説明する。図4は、マニホールド50の分解斜視図である。
【0031】
図4に示すように、マニホールド50は、両端が開口する矩形状枠体として形成された本体部53と、本体部53の燃料電池スタック1側の開口を覆う第1プレート51と、本体部53の排気燃焼器40側の開口を覆う第2プレート52と、を有している。
【0032】
本体部53は、その内側を複数の空間に仕切る仕切壁53Aを有している。本体部53内の複数の空間と、本体部53の両端に配置される第1及び第2プレート51,52とにより、マニホールド50の内部には各種ガスを流す4つの流路が形成される。マニホールド50内には、各種ガスを流す流路として、アノード流路60、カソード流路70、オフガス流路80、及び排ガス流路90が形成される。
【0033】
アノード流路60は、改質器20で生成されたアノードガスを燃料電池スタック1へと供給する流路である。アノード流路60は、マニホールド50の幅方向において図中右端寄りの位置に配置されている。
【0034】
第2プレート52にはアノード流路60へアノードガスを供給するためのアノード供給口61が形成されており、第1プレート51にはアノード流路60を通過したアノードガスを燃料電池スタック1へと排出するアノード排出口62が形成されている。なお、アノード排出口62には、上述したアノードガス供給管2(図2B参照)の上流端が接続される。
【0035】
カソード流路70は、空気熱交換器30で加熱されたカソードガスを燃料電池スタック1へと供給する流路である。カソード流路70は、マニホールド50の略中央位置に配置されている。
【0036】
第2プレート52にはカソード流路70へカソードガスを供給するためのカソード供給口71が形成されており、第1プレート51にはカソード流路70を通過したカソードガスを燃料電池スタック1へと排出するカソード排出口72が形成されている。なお、カソード排出口72には、上述したカソードガス供給管3(図2B参照)の上流端が接続される。
【0037】
オフガス流路80は、燃料電池スタック1から排出されるアノードオフガス及びカソードガスを合流させ、排気燃焼器40の流路部41へと導く流路である。オフガス流路80は、マニホールド50の幅方向において図中左端寄りの位置に配置されている。
【0038】
第1プレート51には、オフガス流路80へアノードオフガスを供給するためのアノードオフガス供給口81と、オフガス流路80へカソードオフガスを供給するためのカソードオフガス供給口82とが形成されている。アノードオフガス供給口81には上述したアノードオフガス排出管4Aの下流端が接続され、カソードオフガス供給口82には上述したカソードオフガス排出管4Bの下流端が接続される。第2プレート52には、オフガス流路80を通過したオフガスを排気燃焼器40へと排出するオフガス排出口83が形成されている。なお、第1プレート51において、アノードオフガス供給口81は、カソードオフガス供給口82よりも下方に形成されている。
【0039】
オフガス流路80から排気燃焼器40へと流れ込んだオフガスは排気燃焼器40の第1触媒燃焼器43で燃焼され、燃焼後の排ガスは排気燃焼器40の蒸発器44を通じてマニホールド50の排ガス流路90へと供給される。
【0040】
排ガス流路90は、排気燃焼器40から排出される排ガスを熱交換デバイスとしての改質器20及び空気熱交換器30へと導く流路である。排ガス流路90は、下流側が2つの流路に分岐するように構成されている。つまり、排ガス流路90の一方の分岐流路は、排気燃焼器40からマニホールド50内に流入した排ガスの一部を空気熱交換器30へと導く第1排ガス流路90Aとして構成されており、排ガス流路90の他方の分岐流路は、排ガスの残りを改質器20へと導く第2排ガス流路90Bとして構成されている。
【0041】
排ガス流路90は、マニホールド50の幅方向において、オフガス流路80とアノード流路60の間に位置するよう配置されている。さらに、第1排ガス流路90Aはカソード流路70の上方を横切るように延設されており、第2排ガス流路90Bはカソード流路70の下方を横切るように延設されている。このように、カソード流路70は、マニホールド50の幅方向と直交する上下方向において、第1排ガス流路90Aと第2排ガス流路90Bとの間に位置するよう配置されている。
【0042】
第1プレート51には、第1及び第2排ガス流路90A、90Bの上流部位である排ガス流路90へ排ガスを供給するための排ガス供給口91が形成されている。さらに、第1プレート51には、第1排ガス流路90Aを通過した排ガスを空気熱交換器30へ供給する第1排ガス供給口92と、第2排ガス流路90Bを通過した排ガスを改質器20へ供給する第2排ガス排出口93とが形成されている。
【0043】
上述の通り、本実施形態の燃料電池システム100では、一のマニホールド50内に形成した各種流路を用いてオフガス及び排ガス等のガスを導く構成が採用されているため、マニホールド50を使用せずに複数の配管を用いてガスを誘導する従来手法と比較して、燃料電池システム100をコンパクトに構成することが可能となっている。
【0044】
また、燃料電池システム100では、排気燃焼器40の第1触媒燃焼器43でオフガスを燃焼させ、燃焼後の排ガスを改質器20等の熱交換デバイスに対する熱源として利用している。しかしながら、燃料電池システム100のように、第1触媒燃焼器43の下流に蒸発器44等を配置する場合、排ガスが蒸発器44を通過する際に排ガス温度が低下してしまい、熱交換デバイスとの熱交換効率が悪化することが考えられる。
【0045】
そこで、排ガス温度の低下を抑制すべく、燃料電池システム100のマニホールド50には、蒸発器44を通じてマニホールド50内に流入した排ガスを燃焼させる第2触媒燃焼器54が設けられている。
【0046】
図5図7を参照して、第2触媒燃焼器54について説明する。図5は、マニホールド50の内部を説明するための図である。図6は、マニホールド50内に配置される第2触媒燃焼器54の側面図である。図7は、排ガスの温度変化を示す図である。
【0047】
図5に示すように、第2触媒燃焼器54は、第1及び第2排ガス流路90A.90Bが分岐する前の排ガス流路90内において、当該排ガス流路90を上下に縦断するように設けられている。第2触媒燃焼器54は、第2プレート52に形成された排ガス供給口91と、第1及び第2排ガス排出口92、93との間に位置するよう配置されている。
【0048】
図6に示すように、第2触媒燃焼器54は、基板54A及び基板表面から垂直に起立する複数の平板54Bからなる担体54Cと、担体54Cに担持された触媒54Dとから構成されている。図5の矢印に示すように、複数の平板54Bはガス流れ方向と平行となるよう配置されており、これら平板54Bの間を排ガスが通過する際に、排ガス内に残留している燃料成分が触媒燃焼する。
【0049】
図2A及び図7に示すように、燃料電池スタック1から排出されたオフガスは排気燃焼器40の第1触媒燃焼器43で燃焼されるため、排ガスが第1触媒燃焼器43(位置A~位置B)を通過するまでの間、排ガス温度は上昇する。その後、第1触媒燃焼器43から排出された排ガスは蒸発器44を通過するため、当該蒸発器44を通過するまでの間は、蒸発器44との熱交換により、排ガス温度は低下することとなる。
【0050】
しかしながら、蒸発器44を通過してマニホールド50内に流入した排ガスは、図5の矢印に示すように第2触媒燃焼器54を通過する。排ガスが第2触媒燃焼器54を通過する間は排ガス中に含まれる燃料成分が燃焼されるため、図7に示すように、第2触媒燃焼器54を通過する位置Cから排ガス温度は再度上昇する。このように、マニホールド50の第2触媒燃焼器54によれば、蒸発器44を通過する際に排ガス温度が低下している場合であっても、排ガス温度を上昇させることが可能となる。
【0051】
上記した本実施形態の燃料電池システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0052】
燃料電池システム100は、アノードガス及びカソードガス等の作動ガスの供給を受けて発電する燃料電池スタック1と、燃料電池スタック1から排出されるオフガスを燃焼させる排気燃焼器40と、作動ガスを燃料電池スタック1に供給するとともに、排気燃焼器40からの排ガスと熱交換を行う改質器20等の熱交換デバイスとを備える。この燃料電池システム100は、燃料電池スタック1と、排気燃焼器40及び改質器20等の熱交換デバイスとの間に配置されるマニホールド50をさらに備えている。マニホールド50は、燃料電池スタック1から排出されるオフガスを排気燃焼器40へと導くオフガス流路80と、排気燃焼器40から排出される排ガスを改質器20等の熱交換デバイスへと導く排ガス流路90と、を有している。より具体的には、排ガス流路90は、排気燃焼器40から排出される排ガスの一部を空気熱交換器30(カソード熱交換器)へと導く第1排ガス流路90Aと、当該排ガスの残りを改質器20へと導く第2排ガス流路90Bと、を備えている。
【0053】
このように、燃料電池システム100では、一のマニホールド50内にオフガス流路80及び排ガス流路90等の複数の流路を形成し、マニホールド50を燃料電池スタック1と排気燃焼器40及び熱交換デバイスとの間に配置することで、複数の配管を用いてこれら機器を接続する場合よりも、システム構成をコンパクト化することが可能となる。
【0054】
燃料電池システム100の排気燃焼器40は、オフガスを燃焼させる第1触媒燃焼器43と、第1触媒燃焼器43で生成された排ガスと熱交換することで原燃料を気化させ、気化した燃料を排気燃焼器40へと供給する蒸発器44と、を備える。そして、マニホールド50の排ガス流路90には、蒸発器44を通じて当該マニホールド50内に流入した排ガスを燃焼させる第2触媒燃焼器54が設けられる。
【0055】
このような構成により、蒸発器44を通過してマニホールド50内に流入した排ガスが第2触媒燃焼器54を通過する際に、排ガス中に含まれる燃料成分が燃焼されるため、蒸発器44通過時に低下した排気ガス温度を第2触媒燃焼器54にて再度上昇させることが可能となる。したがって、改質器20及び空気熱交換器30等の熱交換デバイスに流入する直前の排ガスの温度を高温に維持することができ、熱交換デバイスでの熱交換効率の悪化を抑制することが可能となる。
【0056】
マニホールド50に設けられる第2触媒燃焼器54は、複数の平板54Bがガス流れ方向と平行となるよう配置された担体54Cと、担体54Cに担持された触媒54Dとから構成されている。
【0057】
このような構成により、排ガスが平板54Bを通過する際に、排ガス中に含まれる燃料成分を触媒54Dを用いてより確実に触媒燃焼させることができ、排ガス温度を効率的に高めることが可能となる。また、排ガスが第2触媒燃焼器54の平板54B間を通過することにより、排ガス流れを均一化することができる。したがって、第2触媒燃焼器54を通過した後の排ガスにおいて温度むらが生じることを防止できる。
【0058】
マニホールド50は、改質器20で生成されたアノードガスを燃料電池スタック1へと供給するためのアノード流路60をさらに備える。マニホールド50の幅方向において、オフガス流路80はマニホールド50の一端側に位置し、アノード流路60はマニホールド50の他端側に位置し、排ガス流路90はオフガス流路80とアノード流路60の間に位置している。
【0059】
このように排ガス流路90をマニホールド50内においてオフガス流路80とアノード流路60の間に形成することで、排ガス流路90の流路長さを短縮することができる。これにより、排気燃焼器40から排出された排ガスが第2触媒燃焼器54に到達するまでの間における排ガス温度の低下を抑制でき、第2触媒燃焼器54の触媒を早期に活性温度まで昇温させることが可能となる。また、第2触媒燃焼器54から改質器20等の熱交換デバイスまでの距離も短くなるため、第2触媒燃焼器54を通過した後の排ガスの温度低下も抑制でき、熱交換デバイスでの熱交換効率を高めることが可能となる。
【0060】
マニホールド50は、空気熱交換器30で加熱されたカソードガスを燃料電池スタック1へと供給するためのカソード流路70をさらに備える。カソード流路70は、マニホールド50の幅方向と直交する方向において、第1排ガス流路90Aと第2排ガス流路90Bとの間に位置している。
【0061】
このような流路配置とすることで、マニホールド50内の各種流路を無駄なスペースを生じさせずにレイアウトすることができる。これにより、燃料電池システム100をより小型化することが可能となる。
【0062】
(第1変形例)
次に、図8を参照して、上述した実施形態の第1変形例による燃料電池システム100について説明する。以下の変形例の説明においては、本実施形態と同じ機能を果たす構成等には同一の符号を用い、重複する説明を適宜省略する。
【0063】
図8は、本実施形態の燃料電池システム100の第1変形例を示す概略構成図である。図8においては、改質器20、空気熱交換器30、及び第1プレート51等の一部の部品の記載が省略されている。
【0064】
図8に示すように、第1変形例による燃料電池システム100は、マニホールド50内の排ガス流路90における第2触媒燃焼器(図示省略)の上流に原燃料を供給するための供給配管14をさらに備えている。
【0065】
供給配管14は、一端が燃料タンク10(図1参照)に接続され、他端がマニホールド50内に挿入されるように構成されている。このように、供給配管14は、先端部14Aがマニホールド50の排ガス流路90内に挿入された状態で当該マニホールド50に取り付けられている。供給配管14の先端部14Aは排ガス流路90内においてマニホールド50の幅方向に直交する上下方向に直線的に延設されており、この先端部14Aには配管延設方向に沿って複数の燃料供給口14Bが設けられている。これら複数の燃料供給口14Bは、排ガス流路90の下流に向かって、より具体的には第2触媒燃焼器54と対向するように設けられている。
【0066】
本変形例の燃料電池システム100では、改質器20等の熱交換デバイスの温度をより効率的に昇温させる必要がある場合に、燃料タンク10の原燃料が供給配管14の燃料供給口14Bから第2触媒燃焼器54に向かって噴射供給される。このように第2触媒燃焼器54に燃料が直接的に供給されることで、第2触媒燃焼器54での触媒燃焼が促進され、改質器20等の熱交換デバイスに高温の排ガスを十分に供給することができる。
【0067】
なお、本変形例では、供給配管14の先端部14Aは、直線的に延設されているが、排ガス流路90内に燃料を供給することができれば、直線形状以外の形状であってもよい。また、燃料供給口14Bの数及び向きについても、燃料供給口14Bから供給された燃料を第2触媒燃焼器54にて燃焼させることができるかぎり、上述とは異なる数及び向きとされてもよい。
【0068】
上記した第1変形例の燃料電池システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0069】
燃料電池システム100は、マニホールド50内における第2触媒燃焼器54の上流に原燃料を供給するための供給配管14をさらに備える。このような構成によれば、必要に応じて原燃料を供給配管14から第2触媒燃焼器54に供給することができ、改質器20等の熱交換デバイスに高温の排ガスを十分に供給することが可能となる。
【0070】
なお、供給配管14は先端部14Aがマニホールド50内に挿入された状態で当該マニホールド50に取り付けられており、先端部14Aには配管延設方向に沿って複数の燃料供給口14Bが設けられている。このように配管延設方向に沿って配置された燃料供給口14Bから燃料を供給することで、マニホールド50内の生成される燃料流を均一化することができ、第2触媒燃焼器54で生成される排ガスの温度分布も均一なものとすることができる。
【0071】
また、複数の燃料供給口14Bは、マニホールド50の下流に向かって燃料が供給されるように配置されている。このように構成することで、供給配管14の下流に位置する第2触媒燃焼器54に対して十分な量の燃料を供給することが可能となる。
【0072】
(第2変形例)
次に、図9を参照して、第2変形例による燃料電池システム100について説明する。図9は、第2変形例による燃料電池システム100のマニホールド50の分解斜視図である。
【0073】
第2変形例による燃料電池システム100のマニホールド50は、第1プレート51の構成が、図4に示したマニホールドの第1プレートと相違する。
【0074】
図9に示すように、第2変形例のマニホールド50では、第1プレート51におけるカソード流路70に対向する部位が、燃料電池スタック1に向かって突出する突出部51Aとして形成されている。突出部51Aは、内部空間がカソード流路70と連通するように構成されている。
【0075】
突出部51Aは略直方体の筒状に形成されており、突出部51Aの一側面にはカソード流路70を通過したカソードガスを燃料電池スタック1へと排出するカソード排出口72が形成されている。このカソード排出口72には、図2Bで説明したようにカソードガス供給管3の上流端が接続される。
【0076】
カソード排出口72にはボルト締結等の締結手段によりカソードガス供給管3の上流端が固定されるため、カソード排出口72の周囲にはカソードガス供給管3を固定するための締結スペースが要求される。しかしながら、カソード流路70に隣接する排ガス流路90には第2触媒燃焼器54が配置されるため、図4のように第1プレートのプレート端面にカソード排出口72を形成すると、カソードガス供給管3を固定するための締結スペースを確保することが難しい場合がある。
【0077】
本変形例のマニホールド50では、マニホールド端面を構成する第1プレート51に突出部51Aを設け、この突出部51Aにカソード排出口72を形成することで、第1プレート51の端面とは異なる位置にカソード排出口72を配置でき、突出部51Aにカソードガス供給管3のための締結スペースを確保することが可能となる。
【0078】
(第3変形例)
次に、図10を参照して、本実施形態の第3変形例による燃料電池システム100について説明する。図10は、第3変形例による燃料電池システム100のマニホールド50の内部の様子を示す図である。
【0079】
図10に示すように、第3変形例によるマニホールド50では、三つの第2触媒燃焼器54が排ガス流路90内に設けられる。つまり、排ガスを空気熱交換器30へと導く第1排ガス流路90Aに一つの第2触媒燃焼器54-1が設けられ、排ガスを改質器20へと導く第2排ガス流路90Bに二つの第2触媒燃焼器54-2,54-3が設けられる。二つの第2触媒燃焼器54-2,54-3は、第2排ガス流路90Bの延設方向(ガス流れ方向)に沿って隣接するよう配置される。
【0080】
第2触媒燃焼器54-1,54-2,54-3は、図6に示したものと同様、基板及び基板表面から垂直に起立する複数の平板からなる担体と、担体に担持された触媒とから構成されている。第2触媒燃焼器54-1の複数の平板は第1排ガス流路90Aのガス流れ方向と平行となるように配置され、第2触媒燃焼器54-2,54-3の複数の平板は第2排ガス流路90Bのガス流れ方向と平行となるよう配置される。
【0081】
本変形例では、第2触媒燃焼器54-1,54-2,54-3は第1及び第2排ガス流路90A,90Bのそれぞれに別々に配置される。このような構成によっても、蒸発器44通過時に低下した排気ガス温度を各第2触媒燃焼器54-1,54-2,54-3にて再度上昇させることが可能となる。したがって、改質器20及び空気熱交換器30等の熱交換デバイスに流入する排ガスの温度を高温に維持することができ、熱交換デバイスでの熱交換効率の悪化を抑制することが可能となる。
【0082】
また、本変形例の燃料電池システム100では、空気熱交換器30に供給する排ガスの流量を改質器20に供給する排ガスの流量よりも多くするため、第1排ガス流路90Aに一つの第2触媒燃焼器54-1を配置し、第2排ガス流路90Bに二つの第2触媒燃焼器54-2,54-3を配置することで、第1排ガス流路90Aの通気抵抗を第2排ガス流路90Bの通気抵抗よりも小さくしている。このように、流路内に配置される第2触媒燃焼器54の数を異ならせることで、第1及び第2排ガス流路90A,90Bを流れる各排ガスの流量を調整することができ、マニホールド50に分流機能を持たせることが可能となる。
【0083】
なお、本変形例では、第1排ガス流路90Aに一つの第2触媒燃焼器54-1が配置され、第2排ガス流路90Bに二つの第2触媒燃焼器54-2,54-3が配置されるが、各流路に配置される第2触媒燃焼器の数は、改質器等の熱交換デバイスで要求される排ガス流量に応じて任意に設定され得る。したがって、第1排ガス流路90Aに配置される第2触媒燃焼器の数が第2排ガス流路90Bに配置される第2触媒燃焼器の数よりも多くてもよい。また、第1排ガス流路90Aに配置される第2触媒燃焼器の数と、第2排ガス流路90Bに配置される第2触媒燃焼器の数とが同じであってもよい。
【0084】
さらに、第1及び第2排ガス流路90A,90Bに配置される第2触媒燃焼器の大きさを異ならせてもよい。つまり、第2排ガス流路90Bに配置される第2触媒燃焼器は、図10の第2触媒燃焼器54-2,54-3を一体形状とした触媒燃焼器であってもよい。この場合には、第2排ガス流路90Bに配置される第2触媒燃焼器の幅が、第1排ガス流路90Aに配置される第2触媒燃焼器の幅の約2倍に設定される。
【0085】
(第4変形例)
次に、図11及び図12を参照して、本実施形態の第4変形例による燃料電池システム100のマニホールド50について説明する。図11は第4変形例によるマニホールド50の内部の様子を示す図であり、図12は第4変形例によるマニホールド50の第1プレート51を示す図である。
【0086】
図11に示すように、第4変形例による燃料電池システム100のマニホールド50では、第1及び第2排ガス流路90A,90Bのそれぞれに一の第2触媒燃焼器54-4,54-5が設けられる。第2触媒燃焼器54-4,54-5は、本体部53の仕切壁53Aにより支持された状態で流路に固定されている。
【0087】
第2触媒燃焼器54-4,54-5は、略円筒状のハニカム構造体としての担体54Eと、担体54Eに担時された触媒54Fとから構成されている。第2触媒燃焼器54-4,54-5は、担体54E内の内部通路の延設方向が流路内のガス流れ方向と平行となるように配置される。
【0088】
本変形例では、第2触媒燃焼器54-4,54-5は第1及び第2排ガス流路90A,90Bのそれぞれに別々に配置される。このような構成によっても、蒸発器44通過時に低下した排気ガス温度を各第2触媒燃焼器54-4,54-5にて再度上昇させることが可能となる。したがって、改質器20及び空気熱交換器30等の熱交換デバイスに流入する排ガスの温度を高温に維持することができ、熱交換デバイスでの熱交換効率の悪化を抑制することが可能となる。
【0089】
また、本変形例の燃料電池システム100では、空気熱交換器30に供給する排ガスの流量を改質器20に供給する排ガスの流量よりも多くするため、第1排ガス流路90Aに配置される第2触媒燃焼器54-4の通路断面積を第2排ガス流路90Bに配置される第2触媒燃焼器54-5の通路断面積よりも大きくすることで、第1排ガス流路90Aの通気抵抗を第2排ガス流路90Bの通気抵抗よりも小さくしている。このように、流路内に配置される第2触媒燃焼器54の大きさを異ならせることで、第1及び第2排ガス流路90A,90Bを流れる各排ガスの流量を調整することができ、マニホールド50に分流機能を持たせることが可能となる。
【0090】
第2触媒燃焼器54-4,54-5の形状を大きくすると、本体部53に第2触媒燃焼器54-4,54-5を設置した際に触媒燃焼器54-4,54-5の一部が本体部53から外側に突出してしまうことがある。このような場合には、図12に示すように、第1プレート51に排ガス流路90に沿った凹部51Bを形成することで、第2触媒燃焼器54-4,54-5の外側への突出が許容されることとなる。
【0091】
なお、第1及び第2排ガス流路90A,90Bに配置される第2触媒燃焼器の大きさを同じとし、第2排ガス流路90Bに配置される第2触媒燃焼器の数を第1排ガス流路90Aに配置される第2触媒燃焼器の数よりも多くすることにより、第1排ガス流路90Aを流れる排ガスの流量を第2排ガス流路90Bを流れる排ガスの流量よりも多くしてもよい。
【0092】
また、本変形例では、第1排ガス流路90Aの第2触媒燃焼器54-4を第2排ガス流路90Bの第2触媒燃焼器54-5よりも大きく構成したが、各流路に配置される第2触媒燃焼器の大きさは、改質器等の熱交換デバイスで要求される排ガス流量に応じて任意に設定され得る。したがって、第1排ガス流路90Aに配置される第2触媒燃焼器が、第2排ガス流路90Bに配置される第2触媒燃焼器よりも大きく構成されてもよいし、第2排ガス流路90Bに配置される第2触媒燃焼器と同じ大きさであってもよい。また、第1排及び第2排ガス流路90A,90Bに配置される第2触媒燃焼器の通路断面積を同じにして、第2触媒燃焼器のガス流れ方向における長さを異ならせることで通気抵抗を調整し、排ガス流量を調節してもよい。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を、上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。上記実施形態に対し、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内で様々な変更及び修正が可能である。また、上述した実施形態及び変形例で説明した技術思想は適宜組み合わせが可能である。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12