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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】導電性ペーストおよび半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20231024BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20231024BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20231024BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
H01B1/22 A
C08L63/00 C
C08K3/08
H01L21/52 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022554556
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 JP2022011253
(87)【国際公開番号】W WO2022202434
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2021049634
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 弓依
(72)【発明者】
【氏名】渡部 直輝
(72)【発明者】
【氏名】高本 真
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/167824(WO,A1)
【文献】特開2007-265802(JP,A)
【文献】国際公開第2012/102304(WO,A1)
【文献】特開2015-026519(JP,A)
【文献】特開2016-072595(JP,A)
【文献】特開2018-190540(JP,A)
【文献】特開2011-071057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/22
C08L 63/00
C08K 3/08
H01L 21/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀粉と、
一般式(1)で表される化合物と、
-(シクロヘキシル)-(CH-OH (1)
(式(1)において、nは、0~4の整数であり、Rは、ヒドロキシメチル基である)
希釈剤と、
を含む導電性ペーストであって、
前記希釈剤は、単官能エポキシモノマーを含む、導電性ペースト。
【請求項2】
前記式(1)で表される化合物において、nが1である、請求項1に記載の導電性ペースト。
【請求項3】
前記式(1)で表される化合物が、当該導電性ペースト全体に対して、0.1質量%以上10質量%以下の量である、請求項1または2に記載の導電性ペースト。
【請求項4】
前記銀粉が、当該導電性ペースト全体に対して、40質量%以上90質量%以下の量である、請求項1~のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項5】
熱硬化性樹脂をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項6】
反応性希釈剤をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項7】
硬化剤をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項8】
前記銀粉が、脂肪酸で表面処理された銀粉を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項9】
支持部材と、
前記支持部材上に接着層を介して搭載された半導体素子と、を備え、
前記接着層は、請求項1~のいずれか一項に記載の導電性ペーストからなる、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ペーストおよび半導体装置に関する。より詳細には、本発明は、半導体素子を金属フレームなどの支持部材上に接着、固定するために用いられる半導体搭載用ダイアタッチペーストとして使用される導電性ペースト、および当該導電性ペーストを用いて製造された半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置は、半導体チップなどの半導体素子をダイボンディング材によりリードフレームやガラスエポキシ配線板等の支持部材に接着して製造される。このようなダイボンディング材としては、導電性フィラーがバインダー樹脂中に分散された樹脂ペースト、およびバインダー樹脂を含まない焼結タイプの銀ペーストが知られている。
【0003】
樹脂ペーストとしては、アクリル酸エステル化合物またはメタクリル酸エステル化合物、エポキシ樹脂、および充填材を含有する(メタ)アクリル樹脂/エポキシ樹脂混合系ペースト組成物が公知である(例えば、特許文献1)。また、銀ペーストとしては、銀粒子および揮発性分散媒を含むペースト状組成物が提案されており、例えば、特許文献2では、マイクロサイズ銀粒子と、沸点が130~250℃のアミノ基またはカルボキシル基を有する有機物で被覆したナノサイズの銀粒子とを混合した銀ペーストを用いることにより、銀焼結体の耐熱性や高緻密性を確保する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-179769号公報
【文献】特開2012-119132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の(メタ)アクリル樹脂/エポキシ樹脂混合系ペーストや特許文献2に記載の銀ペーストについて本発明者が検討したところ、これらに含まれる銀粉の焼結性の点で改善の余地があることが明らかになった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、高い焼結性と高い熱伝導性を有する導電性ペースト、当該導電性ペーストを使用することにより、リードフレーム等の支持部材に対する密着性が改善され、よって半導体素子と支持部材とを強固に接着することができる、信頼性に優れた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、特定の添加剤を用いることにより、銀粉のシンタリングが促進され、よって高い熱伝導性を有する導電性ペーストが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明によれば、
銀粉と、
一般式(1)で表される化合物と、
-(シクロヘキシル)-(CH-OH (1)
(式(1)において、nは、0~4の整数であり、Rは、ヒドロキシメチル基である)
希釈剤と、
を含む導電性ペーストであって、
前記希釈剤は、単官能エポキシモノマーを含む、導電性ペーストが提供される。
【0009】
また、本発明によれば、
支持部材と、
前記支持部材上に接着層を介して搭載された半導体素子と、を備え、
前記接着層は、上記導電性ペーストからなる、半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高い焼結性と高い熱伝導性を有する導電性ペースト、および当該導電性ペーストを用いて製造される信頼性に優れた半導体装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。
図2】本実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
(導電性ペースト)
本実施形態の導電性ペーストは、半導体素子等の電子部品を、リードフレームまたは配線基板等の支持部材に接着するためのダイアタッチ層を形成するために用いられるダイアタッチペーストである。本実施形態の導電性ペーストは、導電性金属粉である銀粉と、一般式(1)で表される化合物と、希釈剤とを含む。
-(シクロヘキシル)-(CH-OH (1)
式(1)において、nは、0~4の整数であり、Rは、水素原子、水酸基、炭素数1~6の有機基、または水酸基で置換された炭素数1~6の有機基である。
【0014】
本実施形態の導電性ペーストは、熱処理により、銀粉同士が互いに凝集して銀粒子連結構造を形成する。このように導電性ペーストを加熱して得られるダイアタッチ層は、導電性または熱導電性を有するとともに、支持部材に対する高い密着性を有する。
【0015】
本実施形態の導電性ペーストは、上記式(1)で表される化合物を含むことにより、銀粉のシンタリングが促進され、結果として高い熱導電性を有する接着層として機能し得る。この理由は必ずしも明らかではないが、銀粉に施された表面処理剤と、式(1)の化合物またはその分解物との相互作用により、銀粉の表面に存在する表面処理剤が脱離して、銀粉の表面が活性化され、銀粉同士の凝集および焼結が促進されると考えられる。
【0016】
本実施形態の導電性ペーストに用いられる各成分について、以下に説明する。
(銀粉)
本実施形態の導電性ペーストに含まれる銀粉は、導電性ペーストに対して熱処理が施されることにより、凝集して銀粒子連結構造を形成する。すなわち、導電性ペーストを加熱して得られるダイアタッチペースト層において、銀粉同士は互いに凝集して存在する。これにより、導電性や熱伝導性、支持部材への密着性が発現される。
【0017】
銀粉の形状は、特に限定されないが、例えば、球状、フレーク状、および鱗片状等を挙げることができる。本実施形態においては、銀粉が球状粒子を含むことがより好ましい。これにより、銀粉の凝集の均一性を向上させることができる。また、コストを低減させる観点からは、銀粉がフレーク状粒子を含む態様を採用することもできる。さらには、コストの低減と凝集均一のバランスを向上させる観点から、銀粉が球状粒子とフレーク状粒子の双方を含んでいてもよい。
【0018】
銀粉の平均粒径(D50)は、例えば、0.1μm以上10μm以下である。銀粉の平均粒径が上記下限値以上であることにより、比表面積の過度な増大を抑制し、接触熱抵抗による熱伝導性の低下を抑えることが可能となる。また、銀粉の平均粒径が上記上限値以下であることにより、銀粉間の銀粒子連結構造体の形成性を向上させることが可能となる。また、導電性ペーストのディスペンス性を向上させる観点から、銀粉の平均粒径(D50)は、0.6μm以上2.7μm以下であることがより好ましく、0.6μm以上2.0μm以下であることが特に好ましい。なお、銀粉の平均粒径(D50)は、例えば、市販のレーザー式粒度分布計(例えば、株式会社島津製作所製、SALD-7000等)を用いて測定することができる。
【0019】
また、銀粉の最大粒径は、特に限定されないが、例えば、1μm以上50μm以下とすることができ、3μm以上30μm以下であることがより好ましく、4μm以上18μm以下であることが特に好ましい。これにより、銀粉の凝集の均一性とディスペンス性のバランスをより効果的に向上させることが可能となる。
【0020】
導電性ペースト中における銀粉の含有量は、導電性ペースト全体に対して、例えば、40質量%以上90質量%以下であり、好ましくは、50質量%以上80質量%以下である。上記下限値以上とすることにより、導電性ペーストを熱処理して得られるダイアタッチペースト層の熱伝導性と導電性の向上に寄与することが可能となる。一方で、上記上限値以下とすることにより、得られる導電性ペーストの塗布作業性や、導電性ペーストを熱処理して得られるダイアタッチペースト層の機械強度等の向上に寄与することができる。
【0021】
本実施形態の導電性ペーストに用いられる銀粉は、脂肪酸で表面処理された銀粉を含んでもよい。銀粉の表面処理に用いられる脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸等が挙げられる。製造容易性および入手容易性の観点から、ステアリン酸またはオレイン酸で表面処理された銀粒子を用いることが好ましい。銀粒子をステアリン酸等の脂肪酸で表面処理する方法としては、例えば、溶剤に希釈した脂肪酸を、銀粒子と共にボールミル等で処理した後に溶剤を乾燥させる方法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
脂肪酸で表面処理された銀粒子を用いる場合、その量は、用いる銀粉全体に対して、例えば、0.05質量%以上1質量%以下、好ましくは、0.2質量%以上0.7質量%以下である。上記範囲内の量で脂肪酸処理銀粒子を用いることにより、得られる導電性ペーストの、支持部材に対する密着性が向上し得る。
【0023】
本実施形態の導電性ペーストは、上述の銀粉に加え、他の導電性金属粉を含んでもよい。ほかの導電性金属粉としては、金粉、白金粉、パラジウム粉、銅粉、またはニッケル粉、あるいはこれらの合金を用いることができる。他の導電性金属粉を用いる場合、上記銀粒子に対して、例えば、0.05質量%以上1質量%以下、好ましくは、0.2質量%以上0.7質量%以下である。上記範囲内の量で他の導電性金属粉を用いることにより、銀粒子と他の導電性金属粉とが金属粒子連結構造体を良好に形成し得る。
【0024】
(式(1)で表される化合物)
本実施形態の導電性ペーストは、式(1)で表される化合物を含む。
-(シクロヘキシル)-(CH-OH (1)
式(1)において、nは、0~4の整数であり、好ましくは、1~3の整数であり、より好ましくは、1または2であり、Rは、水素原子、水酸基、炭素数1~6の有機基、または水酸基で置換された炭素数1~6の有機基である。
本実施形態の導電性ペーストは、良好な焼結性を有し、結果として、高い熱伝導性と高い接着性を有するこれは上述のとおり、銀粉の表面に存在する表面処理剤に対し、式(1)の化合物が作用することに起因すると考えられる。
【0025】
本実施形態の導電性ペーストに用いられる式(1)で表される化合物は、大気圧下で100℃以上300℃以下の範囲の沸点を有することが好ましい。式(1)で表される化合物の沸点は、より好ましくは、大気圧下で120℃以上280℃以下の範囲であり、さらにより好ましくは、大気圧下で140℃以上260℃以下の範囲である。本実施形態で用いられる式(1)で表される化合物は、0.2kPaの圧力下で80℃以上200℃以下の範囲の沸点を有することが好ましく、1.3kPaの圧力下で120℃以上300℃以下の範囲の沸点を有することが好ましい。上記範囲内の沸点を有する式(1)で表される化合物を用いることにより、導電性ペーストを加熱した際、式(1)で表される化合物の、銀粉表面に存在する表面処理剤との相互作用が高められ、表面処理剤の銀粉表面からの脱離が促進され、結果として銀粉の焼結性が向上する。
【0026】
好ましい実施形態において、式(1)で表される化合物は、Rが(メタ)アクリロイル基である。別の好ましい実施形態において、式(1)で表される化合物は、Rがヒドロキシメチル基である。別の好ましい実施形態において、式(1)で表される化合物は、nが1である化合物である。式(1)で表される化合物として、上述の特定の化合物を用いることにより、銀粉の焼結性がさらに改善され得る。
【0027】
本実施形態の導電性ペーストにおいて、式(1)で表される化合物は、以下に説明する希釈剤中に溶解または分散された形態で存在することが好ましい。式(1)で表される化合物が、希釈剤中に溶解または分散された状態で存在することにより、式(1)の化合物の、銀粉表面に存在する表面処理剤に対する作用がより増強され得る。
【0028】
導電性ペースト中における式(1)で表される化合物の含有量は、導電性ペースト全体に対して、例えば、0.1質量%以上10質量%以下であり、好ましくは、0.5質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは、1質量%以上3質量%以下である。式(1)で表される化合物の含有量が上記範囲内であることにより、導電性ペーストの支持部材に対する密着性の効果がより顕著に得られる。
【0029】
(希釈剤)
本実施形態の導電性ペーストは、支持部材への塗布性や細部への充填性を考慮して、導電性ペーストを適切な粘度とするために、希釈剤を含む。希釈剤としては、反応性希釈剤または非反応性溶剤を用いることができる。ここで、反応性希釈剤とは、加熱処理により硬化して、銀粒子の凝集を促進させる重合性単量体、または導電性ペーストにバインダー樹脂としての熱硬化性樹脂が含まれる場合には、この樹脂との架橋反応に関与する反応性基を有する化合物を意味する。非反応性溶剤とは、重合性または架橋性を有する反応基を有していない、加熱処理により揮発し得る溶剤を意味する。
【0030】
反応性希釈剤として用いられる重合性単量体としては、例えば、グリコールモノマー、アクリルモノマー、エポキシモノマー、マレイミドモノマー、およびイミドモノマー等が挙げられる。
【0031】
重合性単量体として用いられるグリコールモノマーとしては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn-プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノn-ブチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラチレングリコールモノメチル、テトラチレングリコールモノエチル、テトラエチレングリコールモノn-ブチル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn-ブチルエーテルなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
導電性ペーストを熱処理した場合、これに含まれる銀粒子同士が凝集して銀粒子連結構造を良好に形成する観点より、グリコールモノマーとしては、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテルまたはエチレングリコールモノ-n-ブチルアセテートを用いることが好ましい。
【0033】
重合性単量体として用いられるアクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル基を1つのみ有する単官能アクリルモノマー、または(メタ)アクリル基を2つ以上有する多官能アクリルモノマーを用いることができる。
【0034】
単官能アクリルモノマーとしては、例えば、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングルコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキシド変性(メタ)アクリレート、フェニルフェノールエチレンオキシド変性(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、グリシジル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、および2-(メタ)アクロイロキシエチルアシッドホスフェートなどを挙げることができる。単官能アクリルモノマーとしては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
単官能アクリルモノマーとしては、上記具体例のうち、2-フェノキシエチルメタクリレートを用いることが好ましい。これにより、得られる導電性ペーストの支持部材への密着性を向上することができる。
【0036】
多官能アクリルモノマーとしては、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アタクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ヘキサン-1,6-ジオールビス(2-メチル(メタ)アクリレート)、4,4'-イソプロピリデンジフェノールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ビス((メタ)アクリロイルオキシ)-2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロヘキサン、1,4-ビス((メタ)アクリロイルオキシ)ブタン、1,6-ビス((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキサン、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、N,N'-ジ(メタ)アクリロイルエチレンジアミン、N,N'-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビス(メタ)アクリルアミド、又は1,4-ビス((メタ)アクリロイル)ピペラジンなどが挙げられる。
【0037】
重合性単量体として用いられるエポキシモノマーとしては、エポキシ基を1つのみ有する単官能エポキシモノマー、またはエポキシ基を2つ以上備える多官能エポキシモノマーを用いることができる。
【0038】
単官能エポキシモノマーとしては、4-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、m,p-クレジルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテルなどが挙げられる。単官能エポキシモノマーとしては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
多官能エポキシモノマーとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノールなどのビスフェノール化合物またはこれらの誘導体;水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、水素添加ビフェノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シジロヘキサンジエタノールなどの脂環構造を有するジオールまたはこれらの誘導体;ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールなどの脂肪族ジオールまたはこれらの誘導体などをエポキシ化した2官能のもの;トリヒドロキシフェニルメタン骨格、アミノフェノール骨格を有する3官能のもの;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂などをエポキシ化した多官能のものなどが挙げられる。多官能エポキシモノマーとしては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
重合性単量体として用いられるマレイミドモノマーとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール-ジ(2-マレイミドアセテート)等が挙げられる。
【0041】
重合性単量体として用いられるイミドモノマーとしては、ピロメリット酸二無水物等の酸無水物、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル等のジアミン等が挙げられる。
【0042】
本実施形態において、導電性ペースト中における重合性単量体の含有量は、導電性ペースト全体に対して3質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましい。これにより、導電性ペーストの塗布作業性や、得られる接着層の平坦性をより効果的に向上させることができる。一方で、導電性ペースト中における重合性単量体の含有量は、導電性ペースト全体に対して20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。これにより、塗布作業中における液だれの発生等を抑制して、塗布作業性の向上を図ることができる。また、導電性ペーストの硬化性を向上させることも可能となる。
【0043】
本実施形態の導電性ペーストは、非反応性溶剤を含んでもよい。非反応性溶剤を含むことにより、得られる導電性ペーストの流動性を調整して、取扱い性や作業性を向上することができる。非反応性溶剤としては、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、メチルメトキシブタノール、α-ターピネオール、β-ターピネオール、へキシレングリコール、ベンジルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、イゾパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールもしくはグリセリン等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)、2-オクタノン、イソホロン(3、5、5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン)もしくはジイソブチルケトン(2、6-ジメチル-4-ヘプタノン)等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、アセトキシエタン、酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デカン酸メチル、メチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1,2-ジアセトキシエタン、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジルもしくはリン酸トリペンチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エトキシエチルエーテル、1,2-ビス(2-ジエトキシ)エタンもしくは1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン等のエーテル類;酢酸2-(2ブトキシエトキシ)エタン等のエステルエーテル類;2-(2-メトキシエトキシ)エタノール等のエーテルアルコール類;トルエン、キシレン、n-パラフィン、イソパラフィン、ドデシルベンゼン、テレピン油、ケロシンもしくは軽油等の炭化水素類;アセトニトリルもしくはプロピオニトリル等のニトリル類;アセトアミドもしくはN,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類;低分子量の揮発性シリコンオイル、または揮発性有機変性シリコンオイル等が挙げられる。
【0044】
本実施形態の導電性ペーストは、非反応性溶剤を含まなくてもよい。ここで非反応性溶剤を含まないとは、実質的に含まないことを意味し、導電性ペースト全体に対する非反応性溶剤の含有量が0.1質量%以下である場合を指す。
【0045】
(熱硬化性樹脂)
本実施形態の導電性ペーストは、必要に応じて、バインダー樹脂としての熱硬化性樹脂を含んでもよい。熱硬化性樹脂としては、シアネート樹脂、エポキシ樹脂、ラジカル重合性の炭素-炭素二重結合を1分子内に2つ以上有する樹脂、アリル樹脂、およびマレイミド樹脂から選択される一種または二種以上を用いることができる。
【0046】
熱硬化性樹脂として用いられるエポキシ樹脂としては、1分子内にグリシジル基を2つ以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。本実施形態で用いられるエポキシ樹脂としては、たとえばビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂等のナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ樹脂としては、たとえばグリシジル基を1分子内に2つ以上含む化合物のうちの、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノールなどのビスフェノール化合物またはこれらの誘導体、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、水素添加ビフェノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノールなどの脂環構造を有するジオールまたはこれらの誘導体、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールなどの脂肪族ジオールまたはこれらの誘導体などをエポキシ化した2官能のもの、トリヒドロキシフェニルメタン骨格、アミノフェノール骨格を有する3官能のもの、を用いることも可能である。熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂は、上記に例示されたものから選択される一種または二種以上を含むことができる。
【0047】
これらの中でも、得られる導電性ペーストの塗布作業性や接着性を向上させる観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むことがより好ましく、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を含むことが特に好ましい。また、本実施形態においては、導電性ペーストの塗布作業性をより効果的に向上させる観点からは、室温(25℃)において液状である液状エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。
【0048】
熱硬化性樹脂として用いられるシアネート樹脂は、特に限定されないが、たとえば1,3-ジシアナトベンゼン、1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-ジシアナトナフタレン、1,4-ジシアナトナフタレン、1,6-ジシアナトナフタレン、1,8-ジシアナトナフタレン、2,6-ジシアナトナフタレン、2,7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4,4'-ジシアナトビフェニル、ビス(4-シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-シアナトフェニル)メタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-シアナトフェニル)プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、トリス(4-シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4-シアナトフェニル)ホスフェート、ノボラック樹脂とハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類、ならびにこれらの多官能シアネート樹脂のシアネート基を三量化することによって形成されるトリアジン環を有するプレポリマーから選択される一種または二種以上を含むことができる。上記プレポリマーは、上記の多官能シアネート樹脂モノマーを、たとえば鉱酸、ルイス酸などの酸、ナトリウムアルコラート、第三級アミン類などの塩基、または炭酸ナトリウムなどの塩類を触媒として重合させることにより得ることができる。
【0049】
熱硬化性樹脂として用いられるラジカル重合性の炭素-炭素二重結合を1分子内に2つ以上有する樹脂としては、たとえば分子内に(メタ)アクリロイル基を二つ以上有するラジカル重合性のアクリル樹脂を使用することができる。本実施形態においては、上記アクリル樹脂として、分子量が500~10000であるポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリ(メタ)アクリレートであって、(メタ)アクリル基を有する化合物を含むことができる。なお、熱硬化性樹脂としてラジカル重合性の炭素-炭素二重結合を1分子内に2つ以上有する樹脂を用いる場合、熱伝導性ペーストは、たとえば熱ラジカル重合開始剤等の重合開始剤を含むことができる。
【0050】
熱硬化性樹脂として用いられるアリル樹脂は、ジカルボン酸と、アリルアルコールと、アリル基を備える化合物とを反応することで得られるアリルエステル樹脂が挙げられる。ここで、上記ジカルボン酸としては、具体的には、しゅう酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸などが挙げられる。ジカルボン酸としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記アリル基を備える化合物としては、具体的には、アリル基を備えるポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブタジエン、ブタジエンアクリロニトリル共重合体などが挙げられる。アリル基を備える化合物としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。アリル樹脂としては、具体的には、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(2-プロペニル)とプロパン-1,2-ジオールとの重合体などを用いることができる。
【0051】
熱硬化性樹脂として用いられるマレイミド樹脂は、特に限定されないが、たとえばN,N'-(4,4'-ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンなどのビスマレイミド樹脂から選択される一種または二種以上を含むことができる。
【0052】
熱硬化性樹脂は、ビフェニル骨格を有する樹脂として、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂(ビフェニル型エポキシ樹脂)を含むことができる。これにより、導電性ペーストの金属密着性を向上させることができる。
【0053】
ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂は、その分子構造内にビフェニル骨格を有し、かつ、エポキシ基を2個以上有するものであれば、その構造は特に限定するものではないが、例えば、ビフェノールまたはその誘導体をエピクロロヒドリンで処理した2官能エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられ、これらは単独で用いても混合して用いてもよい。これらの中でも、特に分子内にエポキシ基を2つ有するエポキシ樹脂は、優れた耐熱性を有するため好ましい。そのようなエポキシ樹脂としては、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂などの、ビフェノール誘導体をエピクロロヒドリンで処理した2官能エポキシ樹脂;ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂のうち、エポキシ基が2個であるもの(フェノール核体数が2であると表現されることもある);ビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型樹脂のうち、エポキシ基が2個であるもの;などが挙げられる。
【0054】
本実施形態の導電性ペーストにおいて、熱硬化性樹脂が配合される場合、熱硬化性樹脂の含有量の下限値は、導電性ペースト全体に対して、例えば、1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上である。これにより、導電性ペーストの取扱い性を良好にすることができる。また導電性ペーストの粘度を使用に適切な程度にすることができる。また、熱硬化性樹脂の含有量の上限値は、導電性ペースト全体に対して、例えば、15質量%以下であり、好ましくは12質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。これにより、導電性ペーストの導電性、支持部材に対する密着性等の諸特性のバランス向上を図ることができる。
【0055】
(硬化剤)
本実施形態の導電性ペーストは、硬化剤を含んでもよい。これにより、導電性ペーストの硬化性を向上させることができる。硬化剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、ジシアンジアミド、ジヒドラジド化合物、酸無水物、およびフェノール化合物から選択される一種または二種以上を用いることができる。これらの中でも、ジシアンジアミドおよびフェノール化合物のうちの少なくとも一方を含むことが、製造安定性を向上させる観点から特に好ましい。
【0056】
硬化剤として用いられるジヒドラジド化合物としては、アジピン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、p-オキシ安息香酸ジヒドラジドなどのカルボン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。また、硬化剤として用いられる酸無水物としてはフタル酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、無水マレイン酸とポリブタジエンの反応物、無水マレイン酸とスチレンの共重合体等が挙げられる。
【0057】
硬化剤として用いられるフェノール化合物は、1分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物である。より好ましい1分子内のフェノール性水酸基の数は2~5であり、特に好ましい1分子内のフェノール性水酸基数は2つまたは3つである。これにより、導電性ペーストの塗布作業性をより効果的に向上させることができるとともに、硬化時に架橋構造を形成して導電性ペーストの硬化物特性を優れたものとすることができる。上記フェノール化合物は、たとえばビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラメチルビフェノール、エチリデンビスフェノール、メチルエチリデンビス(メチルフェノール)、シクロへキシリデンビスフェノール、ビフェノールなどのビスフェノール類およびその誘導体、トリ(ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(ヒドロキシフェニル)エタンなどの3官能のフェノール類およびその誘導体、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのフェノール類とホルムアルデヒドを反応することで得られる化合物で2核体または3核体がメインのものおよびその誘導体から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、ビスフェノール類を含むことがより好ましく、ビスフェノールFを含むことが特に好ましい。
【0058】
また、本実施形態において、硬化剤としてのビフェニル骨格を有する樹脂としては、ビフェニル骨格を有するフェノール樹脂(フェノール化合物)を用いることができる。これにより、導電性ペーストの導電性および支持部材に対する密着性を向上させることができる。ビフェニル骨格を有するフェノール樹脂としては、その分子構造内にビフェニル骨格を有し、かつ、フェノール基を2個以上有するものであれば、その構造は特に限定するものではない。
【0059】
本実施形態において、導電性ペースト中における硬化剤の含有量は、熱伝導性ペースト全体に対して0.5質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましい。これにより、導電性ペーストの硬化性を、より効果的に向上させることができる。一方で、導電性ペースト中における硬化剤の含有量は、導電性ペースト全体に対して10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましい。これにより、導電性ペーストを用いて形成される接着層の、低熱膨張性や耐湿性を向上させることができる。
【0060】
(その他の成分)
本実施形態の導電性ペーストは、上述の成分に加え、必要に応じて、当該分野で通常用いられる種々のさらなる成分を含み得る。さらなる成分としては、シランカップリング剤、硬化促進剤、ラジカル重合開始剤、低応力剤、無機フィラー等が挙げられるが、これらに限定されず、所望の性能に応じて選択することができる。
【0061】
シランカップリング剤は、導電性ペーストと支持部材との密着性を向上するために用いられる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシラン;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン;p-スチリルトリメトキシシランなどのスチリルシラン;3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのメタクリルシラン;メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリルシラン;N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン;イソシアヌレートシラン;アルキルシラン;3-ウレイドプロピルトリアルコキシシランなどのウレイドシラン;3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシラン;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネートシラン等が挙げられる。
【0062】
硬化促進剤は、重合性単量体として用いられるエポキシモノマー、またはバインダー樹脂として用いられるエポキシ樹脂と、硬化剤との反応を促進させるために用いられる。硬化促進剤としては、例えば、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;ジシアンジアミド、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、ベンジルジメチルアミン等のアミジンや3級アミン;上記アミジンまたは上記3級アミンの4級アンモニウム塩等の窒素原子含有化合物などが挙げられる。
【0063】
ラジカル重合開始剤としては、具体的には、アゾ化合物、過酸化物などを用いることができる。
【0064】
低応力剤としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム等のシリコーン化合物;ポリブタジエン無水マレイン酸付加体などのポリブタジエン化合物;アクリロニトリルブタジエン共重合化合物等を用いることができる。
【0065】
無機フィラーとしては、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ等の溶融シリカ;結晶シリカ、非晶質シリカ等のシリカ;二酸化ケイ素;アルミナ;水酸化アルミニウム;窒化珪素;および窒化アルミ等が挙げられる。
【0066】
(導電性ペーストの調製)
導電性の調製方法は、特に限定されないが、たとえば上述した各成分を予備混合した後、3本ロールを用いて混練を行い、さらに真空脱泡することにより、ペースト状の組成物を得ることができる。この際、たとえば予備混合を減圧下にて行う等、調製条件を適切に調整することによって、導電性ペーストの長期作業性を向上することができる。
【0067】
本実施形態の導電性ペーストは、用途に応じて粘度を調整することができる。導電性ペーストの粘度は、用いるバインダー樹脂の種類、希釈剤の種類、それらの配合量等を調整することにより制御することができる。本実施形態の導電性ペーストの粘度の下限値は、例えば、10Pa・s以上であり、好ましくは20Pa・s以上であり、より好ましくは30Pa・s以上である。これにより、導電性ペーストの作業性を向上させることができる。一方で、導電性ペーストの粘度の上限値は、例えば、1×10Pa・s以下であり、好ましくは5×10Pa・s以下であり、より好ましくは2×10Pa・s以下である。これにより、塗布性を向上させることができる。
【0068】
(用途)
本実施形態の導電性ペーストの用途について説明する。
本実施形態に係る導電性ペーストは、例えば、基板と、半導体素子とを接着するために用いられる。ここで、半導体素子としては、例えば、半導体パッケージ、LEDなどが挙げられる。
本実施形態に係る導電性ペーストは、従来のペースト状接着剤組成物と比べて、接続信頼性と外観とが向上できる。これにより、発熱量が大きい半導体素子を基板に搭載する用途に好適に用いることができる。なお、本実施形態において、LEDとは、発光ダイオード(Light Emitting Diode)を示す。
【0069】
LEDを用いた半導体装置としては、具体的には、砲弾型LED、表面実装型(Surface Mount Device:SMD)LED、COB(Chip On Board)、Power LEDなどが挙げられる。
【0070】
なお、上記半導体パッケージの種類としては、具体的には、CMOSイメージセンサ、中空パッケージ、MAP(Mold Array Package)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、CSP(Chip Size Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded Package)、SON(Small Outline Non-leaded Package)、BGA(Ball Grid Array)、LF-BGA(Lead Flame BGA)、FC-BGA(Flip Chip BGA)、MAP-BGA(Molded Array Process BGA)、eWLB(Embedded Wafer-Level BGA)、Fan-In型eWLB、Fan-Out型eWLBなどの種類が挙げられる。
【0071】
以下に、本実施形態に係る導電性ペーストを用いた半導体装置の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。
本実施形態に係る半導体装置100は、支持部材30と、導電性ペーストの硬化物である接着剤層10を介して支持部材30上に搭載された半導体素子20とを備える。半導体素子20と支持部材30は、たとえばボンディングワイヤ40等を介して電気的に接続される。また、半導体素子20は、たとえば封止樹脂50により封止される。
【0072】
ここで、接着剤層10の厚さの下限値は、例えば、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。これにより、導電性ペーストの硬化物の熱容量を向上し、放熱性を向上できる。また、接着剤層10の厚さの上限値は、例えば、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。これにより、導電性ペーストが、放熱性を向上した上で好適な密着力を発現できる。
【0073】
図1において、支持部材30は、例えば、リードフレームである。この場合、半導体素子20は、ダイパッド32または支持部材30上に接着剤層10を介して搭載されることとなる。また、半導体素子20は、例えば、ボンディングワイヤ40を介してアウターリード34(支持部材30)へ電気的に接続される。リードフレームである支持部材30は、例えば、42アロイ、Cuフレームにより構成される。
【0074】
支持部材30は、有機基板や、セラミック基板であってもよい。有機基板としては、たとえばエポキシ樹脂、シアネート樹脂、マレイミド樹脂等によって構成されるものが好ましい。なお、支持部材30の表面は、例えば、銀、金などの金属により被膜されていてもよい。これにより、接着剤層10と、支持部材30との接着性を向上できる。
【0075】
図2は、図1の変形例であり、本実施形態に係る半導体装置100の一例を示す断面図である。本変形例に係る半導体装置100において、支持部材30は、たとえばインターポーザである。インターポーザである支持部材30のうち、半導体素子20が搭載される一面と反対側の他面には、たとえば複数の半田ボール52が形成される。この場合、半導体装置100は、半田ボール52を介して他の配線基板へ接続されることとなる。
【0076】
(半導体装置の製造方法)
本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例について説明する。
まず、支持部材30の上に、導電性ペーストを塗工し、次いで、その上に半導体素子20を配置する。すなわち、支持部材30、ペースト状接着剤組成物、半導体素子20がこの順で積層される。導電性ペーストを塗工する方法としては限定されないが、具体的には、ディスペンシング、印刷法、インクジェット法などを用いることができる。
【0077】
次いで、導電性ペーストを前硬化、続いて後硬化することで、導電性ペーストを硬化させる。前硬化および後硬化といった熱処理により、導電性ペースト中の銀粒子が凝集し、複数の銀粒子同士の界面が消失してなる熱伝導層が接着剤層10中に形成される。これにより、接着剤層10を介して、支持部材30と、半導体素子20とが接着される。次いで、半導体素子20と支持部材30を、ボンディングワイヤ40を用いて電気的に接続する。次いで、半導体素子20を封止樹脂50により封止する。これにより半導体装置を製造することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、実施形態の例を付記する。
1. 銀粉と、
一般式(1)で表される化合物と、
-(シクロヘキシル)-(CH -OH (1)
(式(1)において、nは、0~4の整数であり、R は、水素原子、水酸基、炭素数1~6の有機基、または水酸基で置換された炭素数1~6の有機基である)
希釈剤と、
を含む導電性ペースト。
2. 前記式(1)で表される化合物において、R が(メタ)アクリロイル基である、1.に記載の導電性ペースト。
3. 前記式(1)で表される化合物において、R がヒドロキシメチル基である、1.に記載の導電性ペースト。
4. 前記式(1)で表される化合物において、nが1である、1.~3.のいずれかに記載の導電性ペースト。
5. 前記式(1)で表される化合物が、当該導電性ペースト全体に対して、5質量%以上50質量%以下の量である、1.~4.のいずれかに記載の導電性ペースト。
6. 前記銀粉が、当該導電性ペースト全体に対して、40質量%以上90質量%以下の量である、1.~5.のいずれかに記載の導電性ペースト。
7. 熱硬化性樹脂をさらに含む、1.~6.のいずれかに記載の導電性ペースト。
8. 反応性希釈剤をさらに含む、1.~7.のいずれかに記載の導電性ペースト。
9. 硬化剤をさらに含む、1.~8.のいずれかに記載の導電性ペースト。
10. 前記銀粉が、脂肪酸で表面処理された銀粉を含む、1.~9.のいずれかに記載の導電性ペースト。
11. 支持部材と、
前記支持部材上に接着層を介して搭載された半導体素子と、を備え、
前記接着層は、1.~10.のいずれかに記載の導電性ペーストからなる、半導体装置。
【実施例
【0079】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0080】
実施例および比較例で用いた成分を以下に示す。
(熱硬化性樹脂)
-エポキシ樹脂1:ビスフェノール-F-ジグリシジルエーテル(日本化薬社製、RE-303SL、エポキシ当量160g/eq)
(希釈剤)
-エポキシモノマー1:m-グリシジルエーテルとp-グリシジルエーテルとの混合物(阪本薬品工業社製、m,p-CGE、Mw=165、エポキシ当量165g/eq)
(硬化剤)
-硬化剤1:ジヒドロキシジフェニルメタン(DIC社製、DIC-BPF)
-硬化剤2:ジシアンアミド(ADEKA社製、EH-3636AS)
(硬化促進剤)
-硬化促進剤1:イミダゾール(四国化成工業社製、キュアゾール2PZ-PW)
(添加剤)
-添加剤1:1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(CHDMMA、沸点:140℃/2mmHg、三菱ケミカル製)
-添加剤2:p-シクロヘキサンジメタノール(沸点:162℃/1.3kPa、東京化成工業株式会社製)
-添加剤3:p-ジメチルシクロヘキサン(沸点:120℃、東京化成工業株式会社製)
-添加剤4:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(沸点:85℃/0.7kPa、東京化成社製)
-添加剤5:プロピレングリコールモノフェニルエーテル(沸点:244℃、日本乳化剤社製)
-添加剤6:ジエチレングリコール(沸点:245℃、東京化成社製)
-添加剤7:トリエチレングリコール(沸点:276℃、東京化成社製)
-添加剤8:ポリエチレングリコール(平均分子量:260~340、東京化成社製、PEG300)
(導電性金属粉)
-銀粉1:球状銀粉(平均粒径:0.7μm、DOWAハイテック社製、AG-DSB-114)
-銀粉2:フレーク状銀粉(平均粒径:2.0μm、福田金属箔粉工業製、HKD-16)
【0081】
(実施例1~4、比較例1~7)
<ペースト状接着剤組成物の作製>
まず表1の「ワニス状樹脂組成物の組成」に記載の配合量の成分を、常温で、3本ロールミルで混練することにより、ワニス状樹脂組成物を作製した。次いで、得られたワニス状樹脂組成物を、表1の「ペースト状接着剤組成物の組成」に記載の配合量で用い、銀粉を混合し、常温で、3本ロールミルで混練することにより、ペースト状の組成物(導電性ペースト)を得た。
【0082】
各実施例及び各比較例の導電性ペーストを、以下の項目について測定した。結果を表1に示す。
<熱伝導率>
得られたペースト状樹脂組成物を、テフロン板上に塗布し、窒素雰囲気下で、30℃から200℃まで60分間かけて昇温し、続けて200℃で120分間熱処理した。これにより、厚さ1mmの、ペースト状樹脂組成物の熱処理後の試験片を得た(「テフロン」は、フッ素樹脂に関する登録商標である)。
次いで、レーザーフラッシュ法により、熱処理体の厚み方向の熱拡散係数αを測定した。測定温度は25℃とした。
また、示差走査熱量(Differential scanning calorimetry:DSC)測定により、比熱Cpを測定した。
さらに、JIS K 6911に準拠して、密度ρを測定した。
これらの値を用いて、以下の式に基づいて、熱伝導率λを算出した。
熱伝導率λ[W/(m・K)]=α[m/sec]×Cp[J/kg・K]×ρ[g/cm
【0083】
<剥離、ボイドの有無>
上述ペースト状樹脂組成物の熱処理後の試験片を、SAT(超音波探傷)により観察し、テフロン板と樹脂層との界面に生じる剥離の有無を確認した。結果を、以下の評価基準で表1に示す。
OK:剥離が全く観察されない。
NG:剥離が観察される。
【0084】
<弾性率(室温)>
得られたペースト状樹脂組成物を、テフロン板上に塗布し、30℃から200℃まで60分間かけて昇温し、続けて200℃で120分間熱処理した。これにより、厚さ0.3mmの、熱伝導性組成物の熱処理後の試験片を得た。
得られた熱処理体をテフロン板から剥がして、測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、DMS6100)にセットし、引張モード、周波数1Hzでの動的粘弾性測定(DMA)を行った。これにより、25℃における貯蔵弾性率E'(MPa)を測定した。
【0085】
【表1】
【0086】
上記式(1)の化合物を含む実施例の樹脂組成物は、これに含まれる銀粉のシンタリングが促進され、よって高い熱伝導性を有する。
【0087】
この出願は、2021年3月24日に出願された日本出願特願2021-049634号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0088】
100 半導体装置
10 接着剤層
20 半導体素子
30 支持部材
32 ダイパッド
34 アウターリード
40 ボンディングワイヤ
50 封止樹脂
52 半田ボール
200 銅フレーム
210 導電性ペースト
220 シリコンチップ
230 治具
図1
図2