(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ボイラシステム、および、ボイラシステムの運転方法
(51)【国際特許分類】
F23N 1/00 20060101AFI20231024BHJP
F23N 5/00 20060101ALI20231024BHJP
F23G 5/02 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
F23N1/00 115Z
F23N1/00 113A
F23N1/00 113Z
F23N5/00 L
F23G5/02 D
(21)【出願番号】P 2022565771
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(86)【国際出願番号】 JP2022017489
(87)【国際公開番号】W WO2022254970
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2021091171
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 知歌子
(72)【発明者】
【氏名】奥原 洋人
(72)【発明者】
【氏名】安田 健太
(72)【発明者】
【氏名】大野 恵美
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-046280(JP,A)
【文献】特開2017-145972(JP,A)
【文献】特開昭60-256722(JP,A)
【文献】特開2021-001701(JP,A)
【文献】特開昭58-040407(JP,A)
【文献】特開2011-052916(JP,A)
【文献】特開2015-190727(JP,A)
【文献】特開平08-021618(JP,A)
【文献】米国特許第04441922(US,A)
【文献】特開2002-333122(JP,A)
【文献】特開2012-177485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 1/00
F23N 5/00
F23C 1/00
F23J 15/00
F23K 3/02
F23G 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体燃料としてバイオマスを貯留する第1燃料貯留部と、固体燃料として石炭を貯留する第2燃料貯留部とを含む、複数の燃料貯留部と、
シリカおよびアルミナを少なくとも含む添加剤を、火炉の二次空気供給口に供給する添加剤供給部と、
燃焼後の燃焼灰に含まれるカルシウムの濃度が30質量%以下となるように、前記複数の燃料貯留部それぞれから前記固体燃料を火炉に供給する燃料供給部と、
を備え
、
前記第1燃料貯留部は、
木質系バイオマスおよび草本系バイオマスのうちのいずれか一方または両方を貯留する第1バイオマス貯留部と、
パーム椰子の空果房およびパーム椰子殻のうちのいずれか一方または両方を含む廃棄物系バイオマスを貯留する第2バイオマス貯留部と、
を有する、ボイラシステム。
【請求項2】
前記添加剤を貯留する添加剤貯留部を備え、
前記燃料供給部は、前記固体燃料に加え、前記添加剤を前記火炉に供給する、請求項1に記載のボイラシステム。
【請求項3】
前記燃料供給部は、
前記複数の燃料貯留部それぞれから供給された前記固体燃料と、前記添加剤貯留部から供給された前記添加剤とを混合するバンカと、
前記バンカによって混合された前記固体燃料と前記添加剤を粉砕し、前記火炉に供給するミルと、
を有する、請求項2に記載のボイラシステム。
【請求項4】
前記燃料供給部は、前記燃焼灰に含まれるシリカおよびアルミナの濃度が40質量%以上となるように、前記複数の燃料貯留部それぞれから前記火炉に供給する前記固体燃料および前記添加剤貯留部から前記火炉に供給する前記添加剤の量を制御する、請求項2または3に記載のボイラシステム。
【請求項5】
前記火炉から排気された燃焼排ガスから燃焼灰を回収する除塵装置を備え、
前記添加剤は、前記除塵装置によって回収された燃焼灰である、請求項4に記載のボイラシステム。
【請求項6】
前記火炉から排気された燃焼排ガスと水とを熱交換する熱交換器と、
前記熱交換器によって熱交換された水で前記燃焼灰を洗浄する洗浄部と、
を備え、
前記添加剤は、前記洗浄部によって洗浄された後の前記燃焼灰である、請求項5に記載のボイラシステム。
【請求項7】
前記熱交換器は、前記火炉と前記除塵装置との間に設けられている、請求項6に記載のボイラシステム。
【請求項8】
前記燃料供給部は、前記火炉に供給する前記固体燃料全体に含まれる硫黄の濃度が20mmol/kg以上となるように、前記複数の燃料貯留部それぞれから前記火炉に供給する前記固体燃料の量を制御する、請求項1に記載のボイラシステム。
【請求項9】
前記添加剤は、石炭およびバイオマスのいずれか一方または両方の燃焼灰である、請求項2に記載のボイラシステム。
【請求項10】
火炉から排気された燃焼排ガスから燃焼灰を回収する除塵装置と、
前記火炉から排気された燃焼排ガスと水とを熱交換する熱交換器と、
前記熱交換器によって熱交換された水で、前記燃焼灰を洗浄する洗浄部と、
前記洗浄部によって洗浄された後の前記燃焼灰を、前記火炉の二次空気供給口に供給する添加剤供給部と、
バイオマスを前記火炉に供給する燃料供給部と、
を備え
、
前記バイオマスは、
木質系バイオマスおよび草本系バイオマスのうちのいずれか一方または両方、ならびに、パーム椰子の空果房およびパーム椰子殻のうちのいずれか一方または両方を含む廃棄物系バイオマスである、ボイラシステム。
【請求項11】
木質系バイオマスおよび草本系バイオマスのうちのいずれか一方または両方を固体燃料として貯留する第1バイオマス貯留部と、パーム椰子の空果房およびパーム椰子殻のうちのいずれか一方または両方を含む廃棄物系バイオマスを固体燃料として貯留する第2バイオマス貯留部と、を有する第1燃料貯留部と、固体燃料として石炭を貯留する第2燃料貯留部とを含む、複数の燃料貯留部を備えるボイラシステムの運転方法であって、
シリカおよびアルミナを少なくとも含む添加剤を、火炉の二次空気供給口に供給し、
燃焼後の燃焼灰に含まれるカルシウムの濃度が30質量%以下となるように、前記複数の燃料貯留部それぞれから前記固体燃料を前記火炉に供給する、ボイラシステムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボイラシステム、および、ボイラシステムの運転方法に関する。本出願は2021年5月31日に提出された日本特許出願第2021-91171号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化を防止するために、CO2(二酸化炭素)排出量の削減が求められている。このため、ボイラにおいて、石炭に加えてバイオマスを燃焼させる技術や、石炭に代えてバイオマスを燃焼させる技術(例えば、特許文献1)が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、バイオマスの種類によっては、燃焼させることで生じる、バイオマスの燃焼灰の融点が低く、バイオマスの燃焼灰が溶融してボイラの内壁に固着する場合がある。この場合、ボイラの熱交換効率が低下してしまうという問題があった。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑み、燃焼灰の融点を上昇させることが可能なボイラシステム、および、ボイラシステムの運転方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係るボイラシステムは、固体燃料としてバイオマスを貯留する第1燃料貯留部と、固体燃料として石炭を貯留する第2燃料貯留部とを含む、複数の燃料貯留部と、シリカおよびアルミナを少なくとも含む添加剤を、火炉の二次空気供給口に供給する添加剤供給部と、燃焼後の燃焼灰に含まれるカルシウムの濃度が30質量%以下となるように、複数の燃料貯留部それぞれから固体燃料を火炉に供給する燃料供給部と、を備え、第1燃料貯留部は、木質系バイオマスおよび草本系バイオマスのうちのいずれか一方または両方を貯留する第1バイオマス貯留部と、パーム椰子の空果房およびパーム椰子殻のうちのいずれか一方または両方を含む廃棄物系バイオマスを貯留する第2バイオマス貯留部と、を有する。
また、添加剤を貯留する添加剤貯留部を備え、燃料供給部は、固体燃料に加え、添加剤を火炉に供給してもよい。
また、燃料供給部は、複数の燃料貯留部それぞれから供給された固体燃料と、添加剤貯留部から供給された添加剤とを混合するバンカと、バンカによって混合された固体燃料と添加剤を粉砕し、火炉に供給するミルと、を有してもよい。
【0008】
また、燃料供給部は、燃焼灰に含まれるシリカおよびアルミナの濃度が40質量%以上となるように、複数の燃料貯留部それぞれから火炉に供給する固体燃料および添加剤貯留部から火炉に供給する添加剤の量を制御してもよい。
【0011】
また、火炉から排気された燃焼排ガスから燃焼灰を回収する除塵装置を備え、添加剤は、除塵装置によって回収された燃焼灰であってもよい。
【0012】
また、火炉から排気された燃焼排ガスと水とを熱交換する熱交換器と、熱交換器によって熱交換された水で燃焼灰を洗浄する洗浄部と、を備え、添加剤は、洗浄部によって洗浄された後の燃焼灰であってもよい。
また、熱交換器は、火炉と除塵装置との間に設けられていてもよい。
また、燃料供給部は、火炉に供給する固体燃料全体に含まれる硫黄の濃度が20mmol/kg以上となるように、複数の燃料貯留部それぞれから火炉に供給する固体燃料の量を制御してもよい。
また、添加剤は、石炭およびバイオマスのいずれか一方または両方の燃焼灰であってもよい。
【0013】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る他のボイラシステムは、火炉から排気された燃焼排ガスから燃焼灰を回収する除塵装置と、火炉から排気された燃焼排ガスと水とを熱交換する熱交換器と、熱交換器によって熱交換された水で、燃焼灰を洗浄する洗浄部と、洗浄部によって洗浄された後の燃焼灰を、火炉の二次空気供給口に供給する添加剤供給部と、バイオマスを火炉に供給する燃料供給部と、を備え、バイオマスは、木質系バイオマスおよび草本系バイオマスのうちのいずれか一方または両方、ならびに、パーム椰子の空果房およびパーム椰子殻のうちのいずれか一方または両方を含む廃棄物系バイオマスである。
【0014】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係るボイラシステムの運転方法は、木質系バイオマスおよび草本系バイオマスのうちのいずれか一方または両方を固体燃料として貯留する第1バイオマス貯留部と、パーム椰子の空果房およびパーム椰子殻のうちのいずれか一方または両方を含む廃棄物系バイオマスを固体燃料として貯留する第2バイオマス貯留部と、を有する第1燃料貯留部と、固体燃料として石炭を貯留する第2燃料貯留部とを含む、複数の燃料貯留部を備えるボイラシステムの運転方法であって、シリカおよびアルミナを少なくとも含む添加剤を、火炉の二次空気供給口に供給し、燃焼後の燃焼灰に含まれるカルシウムの濃度が30質量%以下となるように、複数の燃料貯留部それぞれから固体燃料を火炉に供給する。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、燃焼灰の融点を上昇させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るボイラシステムを説明する図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る燃料供給ユニットを説明する図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るボイラシステムの運転方法の処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、燃焼灰に含まれる、アルミノシリケートと塩化物イオンとの関係を説明する図である。
【
図5】
図5は、固体燃料全体に含まれる硫黄と塩化物イオンとの関係を説明する図である。
【
図6】
図6は、燃焼灰に含まれる、カルシウムと塩化物イオンとの関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
[ボイラシステム100]
図1は、本実施形態に係るボイラシステム100を説明する図である。なお、
図1中、実線の矢印は、固体燃料、燃焼灰、および、水の流れを示す。
図1中、破線の矢印は、空気の流れを示す。
【0019】
図1に示されるように、ボイラシステム100は、燃料供給ユニット110と、火炉112と、押込ファン114と、脱硝装置120と、空気予熱器122と、除塵装置124と、誘引ファン126と、再加熱器128と、脱硫装置130と、ブーストアップファン132と、ポンプ140と、熱交換器142と、洗浄部144と、乾燥部146とを備える。
【0020】
燃料供給ユニット110は、固体燃料および添加剤を火炉112に供給する。燃料供給ユニット110については、後に詳述する。
【0021】
火炉112には、給気流路10が接続されている。給気流路10には、押込ファン114が設けられる。押込ファン114によって供給された空気は、後述する空気予熱器122によって予熱され、給気流路10を通じて火炉112に導かれる。火炉112は、燃料供給ユニット110によって供給された固体燃料を空気で燃焼させる。火炉112は、例えば、微粉炭ボイラ(PCボイラ)または循環流動層ボイラ(CFBボイラ)である。火炉112において生じた燃焼排ガスは、煙道20を通過して、煙突30から大気に放散される。
【0022】
火炉112において固体燃料が燃焼されることで生じる燃焼排ガスには、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、燃焼灰、水銀、ハロゲンが含まれる。このため、火炉112と煙突30とを接続する煙道20には、脱硝装置120、空気予熱器122、除塵装置124、誘引ファン126、再加熱器128、脱硫装置130、および、ブーストアップファン132が設けられる。
【0023】
誘引ファン126およびブーストアップファン132は、火炉112において生じた燃焼排ガスを煙突30まで導く。
【0024】
脱硝装置120は、脱硝触媒を含む。脱硝装置120は、燃焼排ガスに含まれる窒素酸化物を還元する。
【0025】
空気予熱器122は、煙道20における脱硝装置120の下流側に設けられる。空気予熱器122は、脱硝装置120によって窒素酸化物が除去された燃焼排ガスと、給気流路10を通過する空気とを熱交換させる。すなわち、空気予熱器122は、燃焼排ガスが有する熱で、押込ファン114によって供給された空気を加熱する。
【0026】
除塵装置124は、煙道20における空気予熱器122の下流側に設けられる。除塵装置124は、例えば、電気集塵機、バグフィルタである。除塵装置124は、燃焼排ガスから燃焼灰を回収する。
【0027】
誘引ファン126は、煙道20における除塵装置124の下流側に設けられる。再加熱器128は、煙道20における誘引ファン126の下流側に設けられる。再加熱器128は、誘引ファン126と脱硫装置130との間を流れる燃焼排ガスと、ブーストアップファン132と煙突30との間を流れる燃焼排ガスとを熱交換させる。
【0028】
脱硫装置130は、煙道20における誘引ファン126の下流側に設けられる。燃焼排ガスに含まれる硫黄酸化物および塩化水素(HCl)を水溶液に溶解させて除去する。ブーストアップファン132は、煙道20における脱硫装置130の下流側に設けられる。
【0029】
ポンプ140は、熱交換器142に水を供給する。熱交換器142は、煙道20における空気予熱器122と除塵装置124との間に設けられる。熱交換器142は、間接熱交換器である。熱交換器142は、ポンプ140によって供給された水と、煙道20を流れる燃焼排ガスとを熱交換する。すなわち、熱交換器142は、燃焼排ガスが有する熱で水を加熱する。熱交換器142は、例えば、70℃以上100℃未満(80℃程度)に水を加熱する。
【0030】
洗浄部144には、除塵装置124によって回収された燃焼灰、および、熱交換器142によって加熱された水が導かれる。洗浄部144は、熱交換器142によって加熱された水で燃焼灰を洗浄する。洗浄後の燃焼灰は、乾燥部146に導かれる。
【0031】
また、洗浄後の水には、カリウムおよびリンが含まれている。したがって、洗浄後の水は、所定の処理が施された後、肥料として利用されてもよい。
【0032】
乾燥部146は、洗浄部144によって洗浄された燃焼灰と、給気流路10を流れる空気とを熱交換する。乾燥部146は、間接熱交換器である。乾燥部146によって燃焼灰と空気とが熱交換されることにより、燃焼灰が乾燥される。熱交換後の燃焼灰は、燃料供給ユニット110に導かれる。また、熱交換後の空気は、給気流路10に導かれる。
【0033】
[燃料供給ユニット110]
続いて、燃料供給ユニット110について説明する。
図2は、本実施形態に係る燃料供給ユニット110を説明する図である。
図2に示されるように、燃料供給ユニット110は、第1燃料貯留部210と、第2燃料貯留部212と、添加剤貯留部214と、燃料供給部220とを含む。
【0034】
第1燃料貯留部210(燃料貯留部)は、バイオマス(固体燃料)を貯留する。バイオマスは、木質系バイオマス、草本系バイオマスおよび、廃棄物系バイオマスのうちのいずれか1または複数である。木質系バイオマスは、例えば、木材、おがくず、樹皮等である。また、草本(草木)系バイオマスは、例えば、サトウキビ、ソルガム、竹、麦わら、稲わら等である。廃棄物系バイオマスは、例えば、パーム椰子からパーム油を生産した結果生じる空果房(EFB:Empty Fruit Bunch)、パーム椰子殻(PKS:Palm Kernel Shell)等である。なお、第1燃料貯留部210は、バイオマスのペレットを貯留してもよい。ペレットは、固体燃料(バイオマス)を数ミリメートルから数センチメートル程度の円筒形状に加工したものである。
【0035】
第2燃料貯留部212(燃料貯留部)は、石炭(固体燃料)を貯留する。石炭は、無煙炭、半無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、および、褐炭のうちのいずれか1または複数である。
【0036】
添加剤貯留部214は、添加剤を貯留する。添加剤は、シリカ(SiO2)およびアルミナ(Al2O3)を少なくとも含む。例えば、添加剤は、アルミノシリケート(SiO2・Al2O3)を含む。本実施形態において、添加剤貯留部214は、上記洗浄部144によって洗浄され、乾燥部146によって乾燥された後の燃焼灰を、添加剤として貯留する。
【0037】
燃料供給部220は、バイオマス、および、石炭に加えて、添加剤を火炉112に供給する。本実施形態において、燃料供給部220は、第1供給管230と、第2供給管232と、第3供給管234と、第1バルブ240と、第2バルブ242と、第3バルブ244と、バンカ250と、ミル252と、燃料制御部260とを含む。
【0038】
第1供給管230は、第1燃料貯留部210とバンカ250とを連通する配管である。第2供給管232は、第2燃料貯留部212とバンカ250とを連通する配管である。第3供給管234は、添加剤貯留部214とバンカ250とを連通する配管である。
【0039】
第1バルブ240は、第1供給管230に設けられる。第1バルブ240は、第1供給管230に形成される流路の開度を変化させる。本実施形態において、第1燃料貯留部210は、バンカ250の上方に位置する。したがって、第1バルブ240が開かれると、第1燃料貯留部210に貯留されたバイオマスは、自重でバンカ250に供給される。
【0040】
第2バルブ242は、第2供給管232に設けられる。第2バルブ242は、第2供給管232に形成される流路の開度を変化させる。第1燃料貯留部210と同様に、本実施形態において、第2燃料貯留部212は、バンカ250の上方に位置する。したがって、第2バルブ242が開かれると、第2燃料貯留部212に貯留された石炭は、自重でバンカ250に供給される。
【0041】
第3バルブ244は、第3供給管234に設けられる。第3バルブ244は、第3供給管234に形成される流路の開度を変化させる。第1燃料貯留部210および第2燃料貯留部212と同様に、本実施形態において、添加剤貯留部214は、バンカ250の上方に位置する。したがって、第3バルブ244が開かれると、添加剤貯留部214に貯留された添加剤は、自重でバンカ250に供給される。
【0042】
第1バルブ240、第2バルブ242、および、第3バルブ244は、例えば、ロータリーバルブである。
【0043】
バンカ250は、バイオマス、石炭、および、添加剤を混合する。ミル252は、バンカ250によって混合された、バイオマス、石炭、および、添加剤を粉砕する。ミル252で粉砕された、バイオマス、石炭、および、添加剤は、火炉112の燃焼ポートに供給される。
【0044】
燃料制御部260は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。燃料制御部260は、ROMからCPUを動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。燃料制御部260は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して燃料供給部220全体を管理および制御する。本実施形態において、燃料制御部260は、第1バルブ240の開度、第2バルブ242の開度、および、第3バルブ244の開度を調整する。
【0045】
具体的に説明すると、燃料制御部260は、ミル252から火炉112へ供給される固体燃料および添加剤の混合物が、下記条件(A)、条件(B)、および、条件(C)を満たすように、第1バルブ240の開度、第2バルブ242の開度、および、第3バルブ244の開度を調整する。
条件(A)火炉112で燃焼することで生じる燃焼灰(燃焼後の燃焼灰)に含まれるシリカおよびアルミナの濃度が40質量%(wt%)以上となる
条件(B)火炉112に供給する固体燃料(バイオマスおよび石炭)全体に含まれる硫黄(S)の濃度が20mmol/kg以上となる
条件(C)燃焼後の燃焼灰に含まれるカルシウム(Ca)の濃度が30質量%以下となる
【0046】
なお、石炭は、バイオマスと比較してカルシウムが少ない。また、石炭は、バイオマスと比較して、シリカおよびアルミナが多い。さらに、石炭は、バイオマスと比較して、硫黄が多い。また、上記したように、添加剤は、シリカおよびアルミナを含む。
【0047】
また、第1燃料貯留部210に貯留される固体燃料(バイオマス)、第2燃料貯留部212に貯留される固体燃料(石炭)、および、添加剤貯留部214に貯留される添加剤それぞれに含まれる、シリカ、アルミナ、硫黄、カルシウムの単位体積あたりの量は、所定の装置を用いて、予め測定される。所定の装置は、誘導結合プラズマ(ICP)質量分析(ICP-MASS)装置、ICP発光分光分析(ICP-AES)装置、または、原子吸光(AAS)装置である。
【0048】
[ボイラシステムの運転方法]
続いて、上記ボイラシステム100の運転方法について説明する。
図3は、本実施形態に係るボイラシステム100の運転方法の処理の流れを説明するフローチャートである。
図3に示されるように、ボイラシステム100の運転方法は、燃料調整工程S110と、供給工程S120とを含む。
【0049】
[燃料調整工程S110]
燃料制御部260は、ミル252から火炉112へ供給される固体燃料および添加剤の混合物が、上記条件(A)、条件(B)、および、条件(C)を満たすように、第1バルブ240の開度、第2バルブ242の開度、および、第3バルブ244の開度を調整する。
【0050】
そうすると、バイオマス、石炭、および、添加剤が、バンカ250に供給される。バンカ250は、バイオマス、石炭、および、添加剤を混合する。バンカ250によって混合された、バイオマス、石炭、および、添加剤は、上記条件(A)、条件(B)、および、条件(C)をすべて満たす。
【0051】
そして、バンカ250によって生成された混合物は、ミル252に導かれる。
【0052】
[供給工程S120]
ミル252は、バンカ250によって生成された混合物を火炉112に供給する。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係るボイラシステム100およびボイラシステム100の運転方法は、上記条件(A)、および、条件(C)を満たすように、固体燃料および添加剤の混合物を火炉112に供給する。これにより、ボイラシステム100は、火炉112において生じる燃焼灰の融点を上昇させることができる。したがって、ボイラシステム100は、火炉112の内壁への燃焼灰の固着を抑制することができる。つまり、ボイラシステム100は、火炉112の内壁に付着した燃焼灰の脱落を促進させることができる。このため、ボイラシステム100は、熱交換効率の低下を抑制することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態に係るボイラシステム100およびボイラシステム100の運転方法は、上記条件(A)、条件(B)、および、条件(C)を満たすように、固体燃料および添加剤の混合物を火炉112に供給する。これにより、火炉112の気相中において、下記反応式(1)、反応式(2)を進行させることができる。
Al2O3・2SiO2+2KCl+H2O → K2O・Al2O3・2SiO2+2HCl …反応式(1)
2KCl+SO2+(1/2O2)+H2O → K2O4+2HCl …反応式(2)
したがって、ボイラシステム100は、火炉112の内壁および配管の腐食の要因となるアルカリ塩化物(KCl)を塩化水素(HCl)に変化させることが可能となる。これにより、ボイラシステム100は、火炉112の内壁および配管の腐食を抑制することができる。なお、上記したように、反応式(1)、反応式(2)が進行することで生成された塩化水素は、脱硫装置130によって除去される。
【0055】
また、上記したように、ボイラシステム100は、上記条件(A)、条件(B)、および、条件(C)を満たすように、固体燃料、および、添加剤をバンカ250で混合する。これにより、ボイラシステム100は、固体燃料と添加剤とを別々のポートを介して火炉112に供給する比較例よりも、火炉112の内壁への燃焼灰の固着および燃焼灰による腐食を抑制できる。具体的に説明すると、比較例は、火炉112内部の流動状況によって、シリカ、アルミナ、および、硫黄が流れる箇所が限定される場合があり、燃焼灰の固着および燃焼灰による腐食を軽減することのできる箇所に偏りが生じる。これに対し、ボイラシステム100は、固体燃料および添加剤を実質的に均一に混合された状態で火炉112に供給することができる。これにより、ボイラシステム100は、シリカ、アルミナ、および、硫黄を火炉112内に偏りなく流動させることができ、火炉112の内壁への燃焼灰の固着および燃焼灰による腐食を抑制することが可能となる。
【0056】
また、ボイラシステム100は、上記条件(A)、および、条件(C)を満たすように、固体燃料および添加剤の混合物を火炉112に供給する。これにより、ボイラシステム100は、バイオマスの種類、産地等のバイオマスの性状に拘わらず、火炉112の内壁への燃焼灰の固着および燃焼灰による腐食を抑制することが可能となる。
【0057】
また、ボイラシステム100は、上記条件(A)を満たすように、固体燃料および添加剤の混合物を火炉112に供給する。つまり、ボイラシステム100は、燃焼灰に含まれるシリカおよびアルミナの濃度を調整する。単位体積あたりの燃焼灰の量は、固体燃料の種類によって異なる。したがって、固体燃料に含まれるシリカおよびアルミナの濃度を調整する比較例と比較して、ボイラシステム100は、燃焼灰にシリカおよびアルミナが過剰に含まれる事態を回避することができる。
【0058】
また、上記したように、ボイラシステム100は、固体燃料として、バイオマスを火炉112に供給する。したがって、ボイラシステム100は、石炭のみを火炉112に供給する場合と比較して、CO2排出量を低減することができる。
【0059】
また、上記したように、ボイラシステム100は、除塵装置124によって回収された燃焼灰を添加剤として用いる。これにより、ボイラシステム100は、添加剤に要するコストを削減することができる。
【0060】
また、従来、除塵装置124によって回収された燃焼灰は、埋め立てられていた。これに対し、ボイラシステム100は、除塵装置124によって回収された燃焼灰の少なくとも一部を添加剤として用いる。このため、ボイラシステム100は、燃焼灰の埋め立てに要するコストを低減することができる。
【0061】
また、ボイラシステム100は、除塵装置124によって回収された燃焼灰の少なくとも一部を添加剤として用いるため、燃焼灰の性状を安定化することができる。したがって、ボイラシステム100は、除塵装置124によって回収された燃焼灰であって、添加剤として利用されなかった燃焼灰を、コンクリート原料、または、肥料として利用することが可能となる。
【0062】
また、ボイラシステム100は、洗浄部144を備える。これにより、除塵装置124によって回収された燃焼灰からアルカリ金属およびアルカリ土類金属を除去することができる。したがって、洗浄後の燃焼灰を添加剤として利用することにより、ボイラシステム100は、燃焼灰の融点が低下してしまう事態を回避することができる。
【0063】
[実施例]
メタル温度を650℃に制御した模擬水管を内部に備える燃焼炉で固体燃料を燃焼させた。そして、模擬水管に付着した燃焼灰に含まれる塩化物イオン(Cl-)の濃度を測定した。
【0064】
図4は、燃焼灰に含まれる、アルミノシリケートと塩化物イオンとの関係を説明する図である。
図4中、横軸は、燃焼灰に含まれるアルミノシリケートの濃度[wt%]を示す。
図4中、縦軸は、燃焼灰に含まれる塩化物イオンの濃度[mmol/kg]を示す。
【0065】
図4に示されるように、燃焼灰に含まれるアルミノシリケートの量が増加するほど、燃焼灰に含まれる塩化物イオンの濃度は低下する。また、アルミノシリケートの量が0wt%超40wt%未満の範囲では、アルミノシリケートの量が増加するほど、塩化物イオンの濃度が急激に低下する。一方、アルミノシリケートの量が40wt%以上75wt%以下の範囲では、アルミノシリケートの量の増加に伴う塩化物イオンの濃度の低下は、緩やかである。
【0066】
以上の結果より、条件(A)、すなわち、燃焼後の燃焼灰に含まれるシリカおよびアルミナの濃度を40wt%以上100wt%以下とすることにより、ボイラシステム100は、塩化物イオンの濃度を効率よく低減できることが確認された。
【0067】
図5は、固体燃料全体に含まれる硫黄と塩化物イオンとの関係を説明する図である。
図5中、横軸は、固体燃料全体に含まれる硫黄の濃度[mmol/kg]を示す。
図5中、縦軸は、燃焼灰に含まれる塩化物イオンの濃度[mmol/kg]を示す。
【0068】
図5に示されるように、固体燃料全体に含まれる硫黄の量が増加するほど、燃焼灰に含まれる塩化物イオンの濃度は低下する。また、硫黄の量が0mmol/kg超20mmol/kg未満の範囲では、硫黄の量が増加するほど、塩化物イオンの濃度が急激に低下する。一方、硫黄の量が20mmol/kg以上60mmol/kg以下の範囲では、硫黄の量の増加に伴う塩化物イオンの濃度の低下は、緩やかである。
【0069】
以上の結果より、条件(B)、すなわち、固体燃料全体に含まれる硫黄の濃度を20mmol/kg以上781mmol/kg(2.5wt%)とすることにより、ボイラシステム100は、塩化物イオンの濃度を効率よく低減できることが確認された。
【0070】
図6は、燃焼灰に含まれる、カルシウムと塩化物イオンとの関係を説明する図である。
図6中、横軸は、燃焼灰に含まれるカルシウム(カルシウムの酸化物換算値となるCaO)の濃度[wt%]を示す。
図6中、縦軸は、燃焼灰に含まれる塩化物イオンの濃度[mmol/kg]を示す。
【0071】
図6に示されるように、燃焼灰に含まれるカルシウムの量が0wt%超50wt%以下の範囲では、カルシウムの量が増加するほど、燃焼灰に含まれる塩化物イオンの濃度は増加する。また、カルシウムの量が0wt%超20wt%以下の範囲では、カルシウムの量が増加すると、塩化物イオンの濃度は微増する。カルシウムの量が20wt%超30wt%以下の範囲では、カルシウムの量が増加するほど、塩化物イオンの濃度は急激に増加する。また、カルシウムの量が30wt%超35wt%以下の範囲では、カルシウムの量が増加するほど、塩化物イオンの濃度は急激に増加する。カルシウムの量が35wt%超40wt%以下の範囲では、カルシウムの量が増加すると、塩化物イオンの濃度は微増する。カルシウムの量が40wt%超50wt%以下の範囲では、カルシウムの量の増加に伴う、塩化物イオンの濃度の増加は緩やかである。
【0072】
一方、カルシウムの量が50wt%超65wt%以下の範囲では、カルシウムの量が増加すると、塩化物イオンの濃度は微減する。
【0073】
以上の結果より、条件(C)、すなわち、燃焼後の燃焼灰に含まれるカルシウムの濃度を0wt%超30wt%以下とすることにより、ボイラシステム100は、塩化物イオンの濃度を効率よく低減できることが確認された。
【0074】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0075】
例えば、上記実施形態において、ボイラシステム100が、2つの燃料貯留部(第1燃料貯留部210、第2燃料貯留部212)を備える構成を例に挙げた。しかし、ボイラシステム100は、3つ以上の燃料貯留部を備えていてもよい。また、ボイラシステム100が、バイオマスを貯留する第1燃料貯留部210と、石炭を貯留する第2燃料貯留部212とを備える場合を例に挙げた。しかし、ボイラシステム100は、複数種類のバイオマスから選択される、種類の異なる固体燃料をそれぞれ貯留する複数の燃料貯留部を備えていればよい。もしくは、ボイラシステム100は、1または複数種類のバイオマスおよび1または複数種類の石炭から選択される、種類の異なる固体燃料をそれぞれ貯留する、複数の燃料貯留部を備えていればよい。なお、燃料貯留部は、予め所定の大きさに切断された、もしくは、粗粉砕された固体燃料を貯留するとよい。
【0076】
例えば、木質系バイオマス(バーク、もみ殻を含む)、および、水で洗浄した草本系バイオマスのうちのいずれか一方を貯留する燃料貯留部と、廃棄物系バイオマスを貯留する燃料貯留部とを備えてもよい。木質系バイオマス(バーク、もみ殻を含む)、および、水で洗浄した草本系バイオマスは、廃棄物系バイオマスと比較して、シリカ、アルミナ、および、硫黄が多く含まれる。
【0077】
また、上記実施形態において、ボイラシステム100が、添加剤貯留部214を備える場合を例に挙げた。しかし、ボイラシステム100は、添加剤貯留部214を備えずともよい。
【0078】
また、上記実施形態において、ボイラシステム100が、洗浄部144を備える構成を例に挙げた。しかし、ボイラシステム100は、洗浄部144を備えずともよい。この場合、除塵装置124によって回収された燃焼灰がそのまま添加剤として用いられる。この場合、ボイラシステム100は、添加剤に要するコストを削減することができる。また、ボイラシステム100は、燃焼灰の埋め立てに要するコストを低減することができる。さらに、ボイラシステム100は、燃焼灰の性状を安定化することができる。
【0079】
また、上記実施形態において、ボイラシステム100が、除塵装置124によって回収された燃焼灰を添加剤として利用する場合を例に挙げた。しかし、添加剤は、シリカおよびアルミナを少なくとも含んでいればよい。例えば、添加剤は、石炭およびバイオマスいずれか一方または両方の燃焼灰、もしくは、カオリナイトであってもよい。
【0080】
なお、添加剤として石炭の燃焼灰(石炭灰)を用いる場合、他の石炭専焼のボイラシステムで生じた石炭灰のうち、火炉の底部に堆積した石炭灰を用いてもよい。火炉の底部に堆積した石炭灰を用いることにより、ボイラシステム100において生じる燃焼灰への重金属、および、微量成分の混入を抑制することができる。重金属は、例えば、水銀(Hg)、セレン(Se)、ヒ素(As)、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)である。微量成分は、フッ素(F)、ホウ素(B)、ヨウ素(I)である。
【0081】
また、添加剤としてバイオマスの燃焼灰(バイオマス灰)を用いる場合、バイオマス灰を水で洗浄した後のものを用いてもよい。これにより、ボイラシステム100において生じる燃焼灰の融点が低下してしまう事態を回避することができる。
【0082】
また、上記実施形態において、複数種類の固体燃料、および、添加剤が、バンカ250で混合される場合を例に挙げた。しかし、複数種類の固体燃料、および、添加剤それぞれが、独立して火炉112に供給されてもよい。例えば、複数種類の固体燃料は、バンカ250に供給され、添加剤は、ミル252と火炉112との間で供給されてもよい。また、複数種類の固体燃料は、バンカ250に供給され、添加剤は、火炉112の二次空気供給口から供給されてもよい。
【0083】
また、上記実施形態において、燃料供給部220が、上記条件(A)、条件(B)、および、条件(C)をすべて満たすように、固体燃料および添加剤の混合物を火炉112に供給する場合を例に挙げた。しかし、燃料供給部220は、少なくとも条件(C)を満たすように、固体燃料および添加剤の混合物を火炉112に供給すればよい。これにより、燃料供給部220は、燃焼灰の融点を上昇させることができる。
【0084】
また、上記実施形態において、燃料制御部260が、第1バルブ240、第2バルブ242、および、第3バルブ244の開度を同時に制御する場合を例に挙げた。しかし、燃料制御部260は、第1バルブ240、第2バルブ242、および、第3バルブ244の開度を排他的に制御してもよい。例えば、第1バルブ240、第2バルブ242、および、第3バルブ244を開閉弁で構成しておき、燃料制御部260は、バンカ250内の固体燃料および添加剤が上記条件(A)、条件(B)、および、条件(C)を満たすように、第1バルブ240、第2バルブ242、および、第3バルブ244を排他的に開閉制御してもよい。
【0085】
また、上記実施形態において、ボイラシステム100は、上記条件(A)、条件(B)、および、条件(C)をすべて満たすように、固体燃料および添加剤の混合物を火炉112に供給する燃料供給部220を備える場合を例に挙げた。しかし、ボイラシステムは、燃料供給部220に代えて、洗浄部144によって洗浄された後の燃焼灰と、バイオマスとを火炉112に供給する燃料供給部を備えてもよい。すなわち、ボイラシステムは、火炉112から排気された燃焼排ガスから燃焼灰を回収する除塵装置124と、火炉112から排気された燃焼排ガスと水とを熱交換する熱交換器142と、熱交換器142によって熱交換された水で、燃焼灰を洗浄する洗浄部144と、洗浄部144によって洗浄された後の燃焼灰と、バイオマスとを火炉112に供給する燃料供給部と、を備えてもよい。これにより、ボイラシステムは、添加剤に要するコストを削減することができる。また、ボイラシステムは、燃焼灰の埋め立てに要するコストを低減することができる。さらに、ボイラシステムは、燃焼灰の性状を安定化することができる。
【0086】
本開示は、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」および目標13「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0087】
100:ボイラシステム 112:火炉 124:除塵装置 142:熱交換器 144:洗浄部 210:第1燃料貯留部(燃料貯留部) 212:第2燃料貯留部(燃料貯留部) 214:添加剤貯留部 220:燃料供給部