特許 7371816 エレベーターのインターホンの点検に用いられる監視装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-10-23

(45)【発行日】2023-10-31

(54)【発明の名称】エレベーターのインターホンの点検に用いられる監視装置

(51)【国際特許分類】

   B66B 3/00 20060101AFI20231024BHJP

   B66B 5/00 20060101ALI20231024BHJP

【ＦＩ】

B66B3/00 T

B66B3/00 R

B66B5/00 D

【請求項の数】 3

(21)【出願番号】P 2023522134

(86)(22)【出願日】2021-05-20

(86)【国際出願番号】 JP2021019225

(87)【国際公開番号】W WO2022244205

(87)【国際公開日】2022-11-24

【審査請求日】2023-07-19

【早期審査対象出願】

(73)【特許権者】

【識別番号】000236056

【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110003199

【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】池内 雄哉

(72)【発明者】

【氏名】橋口 拓弥

(72)【発明者】

【氏名】大森 陽太

【審査官】三宅 達

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１９－１４２６２５（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平０５－２１３５５２（ＪＰ，Ａ）

【文献】国際公開第２０１７／１６８６７９（ＷＯ，Ａ１）

【文献】特開平０３－１８２４８４（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平０８－１８１７８６（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６６Ｂ ３／００

Ｂ６６Ｂ ５／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

情報を受信する受信部と、
情報を送信する送信部と、
かごの内部に設けられた子機と前記子機の呼出釦が押された際にブザー音を出力してオフフック状態になったときに前記子機と通話可能状態になる親機とを備えたインターホンに対し、前記受信部が前記親機のブザー音の出力を要求する情報を携帯端末から受信した際に、前記親機に対してブザー音の出力を指示する情報を前記送信部に送信させ、前記親機がオフフックされた状態において前記受信部が前記かごのスピーカの音の出力を要求する情報を前記携帯端末から受信した際に、前記スピーカに対して音の出力を指示する情報を前記送信部に送信させる指示部と、
を備えたエレベーターの監視装置。

【請求項2】

前記指示部は、前記親機がオフフックされた状態において前記受信部が前記子機に入力された音の出力を要求する情報を前記携帯端末から受信した場合に、前記携帯端末に向けて前記子機に入力された音の情報を前記送信部に送信させる請求項１に記載のエレベーターの監視装置。

【請求項3】

前記指示部は、前記親機がオフフックされた状態において前記受信部が前記かごのマイクに入力された音の出力を要求する情報を前記携帯端末から受信した場合に、前記携帯端末に向けて前記マイクに入力された音の情報を前記送信部に送信させる請求項１に記載のエレベーターの監視装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、エレベーターのインターホンの点検に用いられる監視装置に関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１は、エレベーターの点検装置を開示する。当該点検装置によれば、インターホンを点検し得る。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】日本特開２０１９－１４２６２５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、特許文献１に記載の点検装置は、親機のブザー音について点検するだけである。このため、インターホンに対する点検項目が少ない。

【0005】

本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、インターホンに対してより多くの項目を点検することができるエレベーターの監視装置を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示に係るエレベーターの監視装置は、情報を受信する受信部と、情報を送信する送信部と、かごの内部に設けられた子機と前記子機の呼出釦が押された際にブザー音を出力してオフフック状態になったときに前記子機と通話可能状態になる親機とを備えたインターホンに対し、前記受信部が前記親機のブザー音の出力を要求する情報を携帯端末から受信した際に、前記親機に対してブザー音の出力を指示する情報を前記送信部に送信させ、前記親機がオフフックされた状態において前記受信部が前記かごのスピーカの音の出力を要求する情報を前記携帯端末から受信した際に、前記スピーカに対して音の出力を指示する情報を前記送信部に送信させる指示部と、を備えた。

【発明の効果】

【0007】

本開示によれば、監視装置は、親機のブザー音の出力を要求する情報を携帯端末から受信した際に、親機に対してブザー音の出力を指示する情報を送信する。監視装置は、親機がオフフックされた状態においてかごのスピーカの音の出力を要求する情報を携帯端末から受信した際に、スピーカに対して音の出力を指示する情報を送信する。このため、インターホンに対してより多くの項目を点検することができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】実施の形態１におけるエレベーターの監視装置が適用されるエレベーターシステムの構成図である。

【図2】実施の形態１におけるエレベーターの監視装置を用いてインターホンの点検方法を説明するための図である。

【図3】実施の形態１におけるエレベーターの監視装置と制御装置とインターホンとの接続図である。

【図4】実施の形態１におけるエレベーターの監視装置のハードウェア構成図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

実施の形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。

【0010】

実施の形態１．
図１は実施の形態１におけるエレベーターの監視装置が適用されるエレベーターシステムの構成図である。

【0011】

図１のエレベーターシステムにおいて、昇降路１は、図示されない建築物の各階を貫く。巻上機２は、昇降路１の上部に設けられる。主ロープ３は、巻上機２に巻き掛けられる。

【0012】

一対のかご側ガイドレール４は、昇降路１の内部に設けられる。一対のかご側ガイドレール４の各々の長手方向は、鉛直方向である。かご５は、昇降路１の内部に設けられる。かご５は、下方から主ロープ３の一側に支持される。かご５は、一対のかご側ガイドレール４に鉛直方向に案内される。

【0013】

一対のおもり側ガイドレール６は、昇降路１の内部に設けられる。一対のおもり側ガイドレール６の各々の長手方向は、鉛直方向である。つり合いおもり７は、昇降路１の内部に設けられる。つり合いおもり７の上部は、主ロープ３の他側に支持される。つり合いおもり７は、一対のおもり側ガイドレール６に鉛直方向に案内される。

【0014】

ガバナ８は、昇降路１の上部に設けられる。張り車９は、昇降路１の下部に設けられる。ガバナロープ１０は、無端状に設けられる。ガバナロープ１０は、ガバナ８と張り車９とに巻き掛けられる。

【0015】

スピーカ１１は、かご５の内部に設けられる。マイク１２は、かご５の天井部に設けられる。

【0016】

インターホンの子機１３は、かご５の内部に設けられる。子機１３は、呼出釦１３ａを備える。インターホンの親機１４は、かご５の外部においてエレベーターが設けられた建築物の管理室の内部に設けられる。

【0017】

制御装置１５は、昇降路１の上部に設けられる。制御装置１５は、エレベーターを全体的に制御し得るように設けられる。

【0018】

監視装置１６は、昇降路１の上部に設けられる。監視装置１６は、制御装置１５に電気的に接続される。監視装置１６は、制御装置１５からの情報に基づいてエレベーターの状態を監視し得るように設けられる。

【0019】

通信装置１７は、エレベーターが設けられた建築物から離れた場所に設けられる。例えば、通信装置１７は、エレベーターの保守会社に設けられる。

【0020】

情報センター装置１８は、エレベーターが設けられた建築物から離れた場所に設けられる。例えば、情報センター装置１８は、エレベーターの保守会社に設けられる。情報センター装置１８は、通信装置１７を介して監視装置１６からの情報を受信する。情報センター装置１８は、監視装置１６からの情報に基づいてエレベーターの状態を把握し得るように設けられる。

【0021】

図１のエレベーターにおいて、制御装置１５は、巻上機２を回転させる。主ロープ３は、巻上機２の回転に追従して移動する。かご５とつり合いおもり７とは、主ロープ３の移動に追従して互いに反対方向に昇降する。この際、ガバナロープ１０は、かご５の昇降に追従して移動する。ガバナ８は、ガバナロープ１０の移動に追従して回転する。制御装置１５は、ガバナ８の回転速度に基づいてかご５の鉛直方向の位置を認識する。

【0022】

かご５の内部において、利用者が子機１３の呼出釦１３ａを押すと、親機１４がブザー音を出力する。管理室の内部において、管理者は、当該ブザー音を聞いて親機１４をオフフック状態にする。その結果、子機１３と親機１４とは、通話可能状態になる。

【0023】

この状態において、利用者と管理者とは通話し得る。具体的には、利用者は、子機１３を用いて管理者と通話し得る。管理者は、親機１４を用いて利用者と通話し得る。

【0024】

次に、図２を用いて、インターホンの点検方法を説明する。
図２は実施の形態１におけるエレベーターの監視装置を用いたインターホンの点検方法を説明するための図である。
図２に示されるように、監視装置１６は、受信部１６ａと送信部１６ｂと指示部１６ｃとを備える。監視装置１６は、処理部１９を備える。処理部１９は、接点１９ａを備える。

【0025】

受信部１６ａは、情報を受信し得るように設けられる。送信部１６ｂは、情報を送信し得るように設けられる。指示部１６ｃは、受信部１６ａと送信部１６ｂとを制御し得るように設けられる。

【0026】

インターホンの点検時において、点検者は、メンテナンスコンピュータ、スマートフォン等の携帯端末Ａを操作して親機１４のブザー音の出力を要求する情報を送信する。

【0027】

情報センター装置１８は、携帯電話回線（ＶＰＮ）を介して親機１４のブザー音の出力を要求する情報を受信する。情報センター装置１８は、通信装置１７に向けて親機１４のブザー音の出力を要求する情報を送信する。

【0028】

通信装置１７は、親機１４のブザー音の出力を要求する情報を情報センター装置１８から受信する。通信装置１７は、監視回線を介して監視装置１６に向けて親機１４のブザー音の出力を要求する情報を送信する。

【0029】

監視装置１６において、受信部１６ａは、親機１４のブザー音の出力を要求する情報を通信装置１７から受信する。指示部１６ｃは、接点１９ａを一定時間だけ閉じることで制御装置１５に向けて親機１４に対してブザー音の出力を指示する情報を送信部１６ｂに送信させる。

【0030】

制御装置１５は、親機１４のブザー音の出力を要求する情報を監視装置１６から受信している間、親機１４に対してブザー音を出力させる。

【0031】

点検者は、親機１４のブザー音を聞いて親機１４をオフフック状態にする。この状態において、点検者は、携帯端末Ａを操作してスピーカ１１の音の出力を要求する情報を送信する。

【0032】

情報センター装置１８は、携帯電話回線（ＶＰＮ）を介してスピーカ１１の音の出力を要求する情報を受信する。情報センター装置１８は、通信装置１７に向けてスピーカ１１の音の出力を要求する情報を受信する

【0033】

通信装置１７は、スピーカ１１の音の出力を要求する情報を情報センター装置１８から受信する。通信装置１７は、監視回線を介して監視装置１６に向けてスピーカ１１の音の出力を要求する情報を送信する。

【0034】

監視装置１６において、受信部１６ａは、スピーカ１１の音の出力を要求する情報を通信装置１７から受信する。指示部１６ｃは、制御装置１５に向けてスピーカ１１の音の出力を要求する情報を送信部１６ｂに送信させる。

【0035】

制御装置１５は、スピーカ１１の音の出力を要求する情報を監視装置１６から受信している間、スピーカ１１に対して予め設定されたアナウンス音を出力させる。

【0036】

子機１３は、スピーカ１１からのアナウンス音の入力を受け付ける。子機１３は、当該アナウンス音の情報を親機１４に向けて送信する。

【0037】

点検者は、子機１３からの当該アナウンス音が親機１４から聞こえるか否かを確認する。

【0038】

次に、図３を用いて、親機１４のブザー音の出力を説明する。
図３は実施の形態１におけるエレベーターの監視装置と制御装置とインターホンとの接続図である。

【0039】

図３に示されるように、子機１３は、呼出釦１３ａと子側音声入力部１３ｂと子側音声出力部１３ｃと処理部１３ｄとを備える。親機１４は、親側音声入力部１４ａと親側音声出力部１４ｂと処理部１４ｃとを備える。

【0040】

図３に示されるように、子機１３と親機１４とは、インターホン信号を介して制御装置１５に既に接続されている。監視装置１６の処理部１９において、接点１９ａは、制御装置１５に新規に接続される。この状態において、接点１９ａが閉じることにより、呼出釦１３ａを押した場合に流れる信号と同等の信号が流れる。その結果、親機１４において、処理部１４ｃは、親側音声出力部１４ｂにブザー音を出力させる。

【0041】

以上で説明した実施の形態１によれば、監視装置１６は、親機１４のブザー音の出力を要求する情報を携帯端末Ａから受信した際に、親機１４に対してブザー音の出力を指示する情報を送信する。監視装置１６は、親機１４がオフフックされた状態においてスピーカ１１の音の出力を要求する情報を携帯端末Ａから受信した際に、スピーカ１１に対して音の出力を指示する情報を送信する。このため、１人の点検者において、インターホンに対してより多くの項目を点検することができる。具体的には、親機１４のブザー音の出力だけなく、子機１３から親機１４への音声の情報の伝達も点検することができる。

【0042】

なお、監視装置１６において、指示部１６ｃは、親機１４がオフフックされた状態において受信部１５ａが子機１３に入力された音の出力を要求する情報を携帯端末Ａから受信した場合に、通信装置１７と情報センター装置１８とを介して携帯端末Ａに向けて子機１３に入力された音の情報を送信部１６ｂに送信させてもよい。この場合、インターホンに対してより多くの項目を点検することができる。具体的には、点検者が親機１４に音声を入力することで子機１３が当該音声を出力し、当該音声が子機１３に入力されれば、携帯端末Ａからの音声出力により、親機１４から子機１３への音声の情報の伝達も点検することができる。

【0043】

また、監視装置１６において、指示部１６ｃは、親機１４がオフフックされた状態において受信部１５ａがマイク１２に入力された音の出力を要求する情報を携帯端末Ａから受信した場合に、通信装置１７と情報センター装置１８とを介して携帯端末Ａに向けてマイク１２に入力された音の情報を送信部１６ｂに送信させてもよい。この場合、インターホンに対してより多くの項目を点検することができる。具体的には、点検者が親機１４に音声を入力することで子機１３が当該音声を出力し、当該音声がマイク１２に入力されれば、携帯端末Ａからの音声出力により、親機１４から子機１３への音声の情報の伝達も点検することができる。

【0044】

次に、図４を用いて、監視装置１６の例を説明する。
図４は実施の形態１におけるエレベーターの監視装置のハードウェア構成図である。

【0045】

監視装置１６の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも１つのプロセッサ１００ａと少なくとも１つのメモリ１００ｂとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも１つの専用のハードウェア２００を備える。

【0046】

処理回路が少なくとも１つのプロセッサ１００ａと少なくとも１つのメモリ１００ｂとを備える場合、監視装置１６の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも１つのメモリ１００ｂに格納される。少なくとも１つのプロセッサ１００ａは、少なくとも１つのメモリ１００ｂに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、監視装置１６の各機能を実現する。少なくとも１つのプロセッサ１００ａは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ＤＳＰともいう。例えば、少なくとも１つのメモリ１００ｂは、ＲＡＭ、ＲＯＭ、フラッシュメモリ、ＥＰＲＯＭ、ＥＥＰＲＯＭ等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、ＤＶＤ等である。

【0047】

処理回路が少なくとも１つの専用のハードウェア２００を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ＡＳＩＣ、ＦＰＧＡ、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、監視装置１６の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、監視装置１６の各機能は、まとめて処理回路で実現される。

【0048】

監視装置１６の各機能について、一部を専用のハードウェア２００で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、指示部１６ｃの機能については専用のハードウェア２００としての処理回路で実現し、指示部１６ｃの機能以外の機能については少なくとも１つのプロセッサ１００ａが少なくとも１つのメモリ１００ｂに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。

【0049】

このように、処理回路は、ハードウェア２００、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで監視装置の各機能を実現する。

【0050】

図示されないが、制御装置１５の各機能も、監視装置１６の各機能を実現する処理回路と同等の処理回路で実現される。情報センター装置１８の各機能も、監視装置１６の各機能を実現する処理回路と同等の処理回路で実現される。

【0051】

なお、巻上機２と制御装置１５と監視装置１６とが昇降路１の下部に設けられるエレベーターまたは巻上機２と制御装置１５と監視装置１６とが機械室に設けられるエレベーターに対し、実施の形態１の監視装置１６を適用してもよい。

【産業上の利用可能性】

【0052】

以上のように、本開示のエレベーターの監視装置は、エレベーターシステムに利用できる。

【符号の説明】

【0053】

１ 昇降路、 ２ 巻上機、 ３ 主ロープ、 ４ かご側ガイドレール、 ５ かご、 ６ おもり側ガイドレール、 ７ つり合いおもり、 ８ ガバナ、 ９ 張り車、 １０ ガバナロープ、 １１ スピーカ、 １２ マイク、 １３ 子機、 １３ａ 呼出釦、 １３ｂ 子側音声入力部、 １３ｃ 子側音声出力部、 １３ｄ 処理部、 １４ 親機、 １４ａ 親側音声入力部、 １４ｂ 親側音声出力部、 １４ｃ 処理部、 １５ 制御装置、 １６ 監視装置、 １６ａ 受信部、 １６ｂ 送信部１６ｂ 指示部、 １７ 通信装置、 １８ 情報センター装置、 １９ 処理部、 １９ａ 接点、 ２０ 直話基板、 ２１ａ 第２接点、 １００ａ プロセッサ、 １００ｂ メモリ、 ２００ ハードウェア

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】