(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】地中熱空調システム
(51)【国際特許分類】
F24T 10/17 20180101AFI20231024BHJP
F24F 3/00 20060101ALI20231024BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
F24T10/17
F24F3/00 B
F24F5/00 K
F24F5/00 Z
(21)【出願番号】P 2023092006
(22)【出願日】2023-06-03
【審査請求日】2023-06-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年6月9日に埼玉県川越市大字小室566番地6に着工
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年9月26日に倉沢建設株式会社のウェブサイト(http://kurasawa-const.com/)に掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年1月26日に金子弘行のFacebook(https://www.facebook.com/kaneko.hiroyuki)に掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年2月7日に倉沢延寿のFacebook(https://www.facebook.com/nobuhisa.kurasawa)に掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年4月15日に埼玉新聞に掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年4月15日に埼玉新聞のウェブサイト(https://www.saitama-np.co.jp/articles/22998/postDetail)に掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年4月18日にYAHOO!JAPANニュースに掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年4月15日に吉田雄亮のFacebook(https://www.facebook.com/yusuke.yoshida.942)に掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年4月15日に福永信之のFacebookに掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年4月15日に清水真理のFacebookに掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年4月19日に深谷顕史のFacebook(https://www.facebook.com/kenji.fukaya.18)に掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年4月23日に一般社団法人環境共創イニシアチブに対して令和5年度ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業ZEBプランナーを登録申請
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年4月28日に一般社団法人環境共創イニシアチブ二対して令和5年度ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業ZEBリーディング・オーナー登録申請
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514215457
【氏名又は名称】株式会社イノベックス
(73)【特許権者】
【識別番号】523110525
【氏名又は名称】倉沢建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160990
【氏名又は名称】亀崎 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】福宮 健司
(72)【発明者】
【氏名】倉沢 延寿
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特公昭63-067618(JP,B2)
【文献】特開2022-033475(JP,A)
【文献】特開2009-192185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24T 10/17
F24F 3/00
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調室となる地下室を有している建物に採用される地中熱空調システムであって、
地中熱を取り出す地中熱源ヒートポンプと、
前記空調室に設置され、前記空調室の中の空気を吸い込み、前記地中熱源ヒートポンプで取り出された冷熱又は温熱を利用して、吸い込んだ空気の温度を調節してから、温度を調節した空気を、空気導入ダクトを介して地上の部屋に送り出すエアハンドリングユニットと、
前記部屋から前記空調室につながる空気の流路と、
前記空調室の中の空気を前記建物の外に排出する空気排出装置と、
前記建物の外の空気を前記空調室の中に導入する空気導入装置と、
前記空気排出装置によって前記建物の外に排出される空気、及び前記空気導入装置によって前記空調室の中に導入される空気の間で熱交換を行う熱交換器と、を備え
、
前記空気排出装置、前記空気導入装置、及び前記熱交換器は、前記エアハンドリングユニットと別の構成であることを特徴とする
地中熱空調システム。
【請求項2】
前記建物は、二階建て又は多層階建物であり、
前記エアハンドリングユニットは、各階別々に空気を送り出すことを特徴とする
請求項1
に記載の地中熱空調システム。
【請求項3】
前記部屋から前記空調室に回収される空気に含まれる塵埃を除去するフィルターを備えていることを特徴とする
請求項1又は2に記載の地中熱空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中熱空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地中熱を利用したシステムとして、特許文献1には、入口側から外気を取り入れ可能であり、土壌中に設置された地中熱交換器と、前記地中熱交換器の出口側に接続され、該地中熱交換器を通過した外気を居室内に導入する吸気ブロアと、居室内の室内空気を外部へ排気する排気ブロアとを備えた暖冷房換気装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、消費するエネルギーを削減すると共に使用するエネルギーを自ら生産することにより年間のエネルギーの消費量を正味ゼロ又はマイナスにするゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB)の実現が望まれている。このような中、上述したような地中熱を利用したシステムにおいては、冷暖房効率を高めることが求められている。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、冷暖房効率を高めた地中熱空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、空調室となる地下室(例えば、後述する地下室B2)を有している建物(例えば、後述する建物BU)に採用される地中熱空調システム(例えば、後述する地中熱空調システム1)であって、地中熱を取り出す地中熱源ヒートポンプ(例えば、後述する地中熱源ヒートポンプ2)と、前記空調室に設置され、前記空調室の中の空気を吸い込み、前記地中熱源ヒートポンプで取り出された冷熱又は温熱を利用して、吸い込んだ空気の温度を調節してから、温度を調節した空気を、空気導入ダクトを介して地上の部屋に送り出すエアハンドリングユニット(例えば、後述するエアハンドリングユニット3)と、前記部屋から前記空調室につながる空気の流路(例えば、後述する空気排出ダクト12a,12b及び吹抜け13)と、前記空調室の中の空気を前記建物の外に排出する空気排出装置(例えば、後述する空気排出装置41)と、前記建物の外の空気を前記空調室の中に導入する空気導入装置(例えば、後述する空気導入装置42)と、前記空気排出装置によって前記建物の外に排出される空気、及び前記空気導入装置によって前記空調室の中に導入される空気の間で熱交換を行う熱交換器(例えば、後述する熱交換器43)と、を備え、前記空気排出装置、前記空気導入装置、及び前記熱交換器は、前記エアハンドリングユニットと別の構成であることを特徴とする地中熱空調システムである。
【0007】
本発明によれば、地上の部屋と比較して閉鎖され且つ遮熱された空間である地下室で温度を調節した空気を、建物全体に循環させるので、冷暖房効率を高めることができる。
本発明によれば、建物の外に排出される空気、及び地下室の中に導入される空気の間で熱交換を行うので、冷暖房効率を高めることができる。
【0010】
(2)本発明はまた、前記建物は、二階建て又は多層階建物であり、前記エアハンドリングユニットは、各階別々に空気を送り出すことを特徴とする上記(1)に記載の地中熱空調システムである。
【0011】
本発明によれば、各階別々に空気を送り出して、各階の状況に応じた空調を行うので、冷暖房効率を高めることができる。
【0012】
(3)本発明はまた、前記部屋から前記空調室に回収される空気に含まれる塵埃を除去するフィルター(例えば、後述するフィルター14)を備えていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の地中熱空調システムである。
【0013】
本発明によれば、地下室に回収される空気に含まれる塵埃を除去するフィルターを備えているので、建物全体の空気の清浄を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
上記(1)~(3)に記載の地中熱空調システムによれば、冷暖房効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る地中熱空調システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る地中熱空調システム1(
図1参照)について詳細に説明する。
【0017】
まず、
図1を用いて、地中熱空調システム1の構成について説明する。
図1は、地中熱空調システム1の概略図である。
【0018】
図1に示す地中熱空調システム1は、空調室となる地下室B2を有している建物BUに採用されるシステムであり、地中熱を利用して建物BUにおける地上の部屋F1,F2の空調を行う。この地中熱空調システム1は、制御盤20(
図2参照)の制御下において動作して、その動作状況が制御盤20(
図2参照)によって管理される。なお、本実施形態では、建物BUが二階建てであって、かつ、地下室B1及び空調室となる地下室B2を有している場合を例に説明する。
【0019】
具体的に、地中熱空調システム1は、地中熱源ヒートポンプ2と、エアハンドリングユニット3と、換気・熱交換ユニット4と、ボアホール5と、第1循環管6と、第1循環ポンプ7と、揚水装置8と、第2循環管9と、第2循環ポンプ10と、空気導入ダクト11a,11bと、空気排出ダクト(流路)12a,12bと、吹抜け(流路)13と、フィルター14と、制御盤20(
図2参照)と、等を備えている。
【0020】
地中熱源ヒートポンプ2は、地中熱を取り出す装置であり、地下室B2に設置されている。この地中熱源ヒートポンプ2は、ボアホール5との間で水等の液体を循環させる第1循環管6、及びエアハンドリングユニット3との間で水等の液体を循環させる第2循環管9を引き込んでいる。また、地中熱源ヒートポンプ2は、第1循環管6を流れる液体の冷熱又は温熱をかき集め、当該冷熱又は温熱を、第2循環管9を流れる液体に移動させる。
【0021】
エアハンドリングユニット3は、地下室B2に設置されている。このエアハンドリングユニット3は、地中熱源ヒートポンプ2との間で液体を循環させる第2循環管9を引き込んでいると共に、地上の部屋F1,F2につながる空気導入ダクト11a、11bが接続されている。また、エアハンドリングユニット3は、地下室B2の中の空気を吸い込み、地中熱源ヒートポンプ2で第2循環管9に取り出された冷熱又は温熱を利用して、吸い込んだ空気の温度を調節してから、温度を調節した空気を、空気導入ダクト11a,11bを介して地上の部屋F1,F2に送り出す。また、エアハンドリングユニット3は、各階別々に空気を送り出す。すなわち、エアハンドリングユニット3は、空気導入ダクト11aを介して1階の部屋F1に空気を送り出すと共に、空気導入ダクト11bを介して2階の部屋F2に空気を送り出す。
【0022】
換気・熱交換ユニット4は、地下室B2に設置されている。この換気・熱交換ユニット4は、第1種換気方式で換気を行うと共に、換気で出入りする空気の間で熱交換を行う。具体的に、換気・交換ユニット4は、空気排出装置41と、空気導入装置42と、熱交換器43と、を備えている。
【0023】
空気排出装置41は、ファン又はポンプ等の動力源(図示省略)を有しており、地下室B2の中から建物BUの外への空気の流れを強制的に発生させて、地下室B2の中の空気を建物BUの外に排出する。
【0024】
空気導入装置42は、ファン又はポンプ等の動力源(図示省略)を有しており、建物BUの外から地下室B2の中への空気の流れを強制的に発生させて、建物BUの外の空気を地下室B2の中に導入する。
【0025】
熱交換器43は、空気排出装置41によって地下室B2の中から建物BUの外に排出される空気、及び空気導入装置42によって建物BUの外から地下室B2の中に導入される空気の間で熱交換を行う。
【0026】
ボアホール5は、地中の帯水層に達する穴である。帯水層は、地下水Wを含む地層である。帯水層の上面は、一般的に、地表面から50m以上100m以下程度の深さに位置する。このため、ボアホール5の深さは、帯水層に達するように50m以上100m以下程度の範囲で適宜設定されている。このボアホール5は、帯水層から浸入する地下水Wで満たされている。ボアホール5の内部に満たされている地下水Wの自然水位は、一般的に、地表面から10m以内の深さとなる。このようなボアホール5には、第1循環管6と、揚水装置8を構成する揚水管81と、が挿入されている。
【0027】
第1循環管6は、地下室B2に設置されている地中熱源ヒートポンプ2からボアホール5の中に引き込まれて下方に向けて通されると共に、ボアホール5における下方で上方に折り返してからボアホール5の外に引き出されて地中熱源ヒートポンプ2に戻る。この第1循環管6は、冷媒又は熱媒体となる水等の液体を循環させる管路であり、第1循環管6の中の液体は、第1循環ポンプ7の動力によって流れる。
【0028】
これにより、ボアホール5の中の地下水Wと、第1循環管6を流れる液体と、の間で熱の移動が可能になる。すなわち、ボアホール5の中の地下水Wが第1循環管6を流れる液体よりも低温の場合、第1循環管6を流れる液体は、冷却される。一方、ボアホール5の中の地下水Wが第1循環管6を流れる液体よりも高温の場合、第1循環管6を流れる液体は、加熱される。
【0029】
第1循環ポンプ7は、第1循環管6の途中に設けられている。この第1循環ポンプ7は、第1循環管6の中の液体に動力を付与することで、第1循環管6の中の液体を循環させる。
【0030】
揚水装置8は、ボアホール5から地下水Wをくみ上げる。具体的に、揚水装置8は、揚水管81と、揚水ポンプ82と、を備えている。
【0031】
揚水管81は、その一端がボアホール5の中に引き込まれており、反対側の他端がボアホール5の外に位置する。この揚水管81は、地下水Wの管路であり、地下水Wは、揚水ポンプ82の動力によって、ボアホール5から揚水管81を介して排出される。
【0032】
揚水ポンプ82は、揚水管81の途中に設けられている。この揚水ポンプ82は、揚水管81の中の地下水Wに動力を付与することで、揚水管81の中の地下水Wに流れを生じさせる。
【0033】
第2循環管9は、地中熱源ヒートポンプ2及びエアハンドリングユニット3の間を往復するように配置されている。この第2循環管9は、冷媒又は熱媒体となる水等の液体を循環させる管路であり、第2循環管9の中の液体は、第2循環ポンプ10の動力によって流れる。
【0034】
第2循環ポンプ10は、第2循環管9の途中に設けられている。この第2循環ポンプ10は、第2循環管9の中の液体に動力を付与することで、第2循環管9の中の液体を循環させる。
【0035】
空気導入ダクト11aは、基端側が地下室B2のエアハンドリングユニット3に接続されていると共に、先端側が1階の部屋F1に配置されている。この空気導入ダクト11aは、エアハンドリングユニット3で温度が調節された空気を1階の部屋F1に導く。
【0036】
空気導入ダクト11bは、基端側が地下室B2のエアハンドリングユニット3に接続されていると共に、先端側が2階の部屋F2に配置されている。この空気導入ダクト11bは、エアハンドリングユニット3で温度が調節された空気を2階の部屋F2に導く。
【0037】
空気排出ダクト12aは、吹抜け13と共に、1階の部屋F1から地下室B1を介して地下室B2につながる流路を構成する。また、空気排出ダクト12aは、先端が吹抜け13に達するように1階の床下に設けられ、適宜通気孔が形成されている。この空気排出ダクト12aは、1階の部屋F1の床に形成された通気口(図示省略)を介して取り込まれた部屋F1の空気を吹抜け13に導く。
【0038】
空気排出ダクト12bは、吹抜け13と共に、2階の部屋F2から地下室B1を介して地下室B2につながる流路を構成する。また、空気排出ダクト12bは、先端が吹抜け13に達するように2階の床下に設けられ、適宜通気孔が形成されている。この空気排出ダクト12bは、2階の部屋F2の床に形成された通気口(図示省略)を介して取り込まれた部屋F2の空気を吹抜け13に導く。
【0039】
吹抜け13は、空気排出ダクト12a、12bと共に、部屋F1,F2から地下室B1を介して地下室B2につながる流路である。
【0040】
フィルター14は、地下室B1と地下室B2との壁を貫通する通気口(符号省略)に設けられ、部屋F1,F2から地下室B2に回収される空気に含まれる塵埃を除去する。
【0041】
図2に示すように、制御盤20は、データロガー21と、CPU(Central Processing Unit)22と、を有する。
【0042】
データロガー21は、例えばRAM(Random Access Memory)などの記録媒体によって構成されている。このデータロガー21には、CPU22が各種処理を実行するための処理プログラムと各種処理を実行する際に用いられる各種データ(判定部24が判定に用いるデータを含む)及び各種フラグが記憶されている。
【0043】
CPU22は、データロガー21に記憶された処理プログラムを実行することによって、通信部23、判定部24、及び制御部25として機能する。
【0044】
通信部23は、地中熱空調システム1(
図1参照)の各部との間で信号を送受信する。具体的に、通信部23は、各所に配置された温度計や流量計等から出力された信号を判定部24に転送する。そして、通信部23は、制御部25が出力する制御信号を、地中熱空調システム1(
図1参照)の各部に転送する。
【0045】
判定部24は、各所に配置された温度計や流量計等から出力された信号に基づいて各種判定を行うことで、地中熱空調システム1(
図1参照)の各部のそれぞれの運転状況を決定する。そして、判定部24は、判定結果を信号にして制御部25に出力する。
【0046】
制御部25は、地中熱空調システム1(
図1参照)の各部のそれぞれに対して、通信部23を介して、判定部24から出力された信号に基づく制御信号を出力し、それぞれの運転状況を制御する。
【0047】
次に、
図1を用いて、冷房運転時における地中熱空調システム1の熱の流れを説明する。
【0048】
まず、ボアホール5において、地下水Wの冷熱が第1循環管6を流れる液体に移動する。次に、地中熱源ヒートポンプ2において、第1循環管6を流れる液体から冷熱をかき集め、かき集めた冷熱を、第2循環管9を流れる液体に移動させる。次に、エアハンドリングユニット3において、第2循環管9を流れる液体が有する冷熱を、地下室B2の中から吸い込んだ空気に移動させる。エアハンドリングユニット3で冷却された空気は、空気導入ダクト11a、11bを介して部屋F1,F2に送り出される。これにより、部屋F1,F2の中が冷やされる。部屋F1,F2の中を冷やした後の空気は、空気排出ダクト12a,12b、吹抜け13、地下室B1、フィルター14を介して地下室B2の中に回収される。地下室B2においては、換気・熱交換ユニット4によって、第1種換気方式で換気が行われる。この時、換気・熱交換ユニット4は、建物BUの外に排出される空気、及び地下室B2の中に導入される空気の間で熱交換を行う。
【0049】
次に、
図1を用いて、暖房運転時における地中熱空調システム1の熱の流れを説明する。
【0050】
まず、ボアホール5において、地下水Wの温熱が第1循環管6を流れる液体に移動する。次に、地中熱源ヒートポンプ2において、第1循環管6を流れる液体から温熱をかき集め、かき集めた温熱を、第2循環管9を流れる液体に移動させる。次に、エアハンドリングユニット3において、第2循環管9を流れる液体が有する温熱を、地下室B2の中から吸い込んだ空気に移動させる。エアハンドリングユニット3で加熱された空気は、空気導入ダクト11a、11bを介して部屋F1,F2に送り出される。これにより、部屋F1,F2の中が暖められる。部屋F1,F2の中を暖めた後の空気は、空気排出ダクト12a,12b、吹抜け13、地下室B1、フィルター14を介して地下室B2の中に回収される。地下室B2においては、換気・熱交換ユニット4によって、第1種換気方式で換気が行われる。この時、換気・熱交換ユニット4は、建物BUの外に排出される空気、及び地下室B2の中に導入される空気の間で熱交換を行う。
【0051】
次に、
図1を用いて、送風時における地中熱空調システム1の空気の流れを説明する。
【0052】
まず、地下室B2の中からエアハンドリングユニット3に吸い込まれた空気は、空気導入ダクト11a,11bを介して部屋F1,F2に送り出される。部屋F1,F2の中の空気は、空気排出ダクト12a,12b、吹抜け13、地下室B1、フィルター14を介して地下室B2の中に回収される。地下室B2においては、換気・熱交換ユニット4によって、第1種換気方式で換気が行われる。この時、換気・熱交換ユニット4は、建物BUの外に排出される空気、及び地下室B2の中に導入される空気の間で熱交換を行う。
【0053】
このように、地中熱空調システム1によれば、地上の部屋F1,F2と比較して閉鎖され且つ遮熱された空間である地下室B2で温度を調節した空気を、建物BU全体に循環させるので、冷暖房効率を高めることができる。
【0054】
また、地中熱空調システム1によれば、建物BUの外に排出される空気、及び地下室B2の中に導入される空気の間で熱交換を行うので、冷暖房効率を高めることができる。
【0055】
また、地中熱空調システム1によれば、各階別々に空気を送り出して、各階の状況に応じた空調を行うので、冷暖房効率を高めることができる。
【0056】
また、地中熱空調システム1によれば、地下室B2に回収される空気に含まれる塵埃を除去するフィルター14を備えているので、建物BU全体の空気の清浄を行うことができる。
【0057】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。すなわち、各構成の位置・大きさ・長さ・数量・形状・材質などは適宜変更できる。
【0058】
例えば、上記実施形態では、建物BUが二階建てである場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、建物BUは、地下室B1を有していれば、三階建て以上の多層階建物であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 地中熱空調システム
2 地中熱源ヒートポンプ
3 エアハンドリングユニット
4 換気・熱交換ユニット
41 空気排出装置
42 空気導入装置
43 熱交換器
5 ボアホール
6 第1循環管
7 第1循環ポンプ
8 揚水装置
81 揚水管
82 揚水ポンプ
9 第2循環管
10 第2循環ポンプ
11a,11b 空気導入ダクト
12a,12b 空気排出ダクト(流路)
13 吹抜け(流路)
14 フィルター
20 制御盤
21 データロガー
22 CPU
23 通信部
24 判定部
25 制御部
BU 建物
B1 地下室
B2 地下室(空調室)
F1,F2 部屋
W 地下水
【要約】
【課題】冷暖房効率を高めた地中熱空調システムを提供する。
【解決手段】地中熱空調システム1は、空調室となる地下室B2を有している建物BUに採用される。この地中熱空調システム1は、地中熱を取り出す地中熱源ヒートポンプ2と、地下室B2に設置され、地下室B2の中の空気を吸い込み、地中熱源ヒートポンプ2で取り出された冷熱又は温熱を利用して、吸い込んだ空気の温度を調節してから、温度を調節した空気を、空気導入ダクト11a,11bを介して地上の部屋F1,F2に送り出すエアハンドリングユニット3と、部屋F1,F2から地下室B1につながる空気排出ダクト12a,12b及び吹抜け13と、を備えている。
【選択図】
図1