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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】建築物の免震構造及び免震アンカー
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20231024BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20231024BHJP
   E02D 27/00 20060101ALI20231024BHJP
   E02D 27/34 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
E04H9/02 331Z
F16F15/08 E
E02D27/00 Z
E02D27/34 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019211213
(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公開番号】P2021080796
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】519407323
【氏名又は名称】株式会社創研
(73)【特許権者】
【識別番号】519418178
【氏名又は名称】ユニオンゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(72)【発明者】
【氏名】古田 智基
(72)【発明者】
【氏名】中尾 方人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 晃宏
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-084129(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0092459(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/02
F16F 15/08
E02D 27/00
E02D 27/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の土台に貫通孔が設けられ、前記貫通孔を通じてアンカーボルトが嵌挿されて、前記土台が基礎に取り付けられている建築物の免震構造であって、
前記土台の上側に設けられ第1上側ワッシャと第1下側ワッシャとが第1減衰材を挟んで接合されてなる構造で前記アンカーボルトが前記第1上側ワッシャ、前記第1下側ワッシャ及び前記第1減衰材の中心孔を貫通している上側免震部と、
前記土台と前記基礎との間に設けられ第2上側ワッシャと第2下側ワッシャとが第2減衰材を挟んで接合されてなる構造で前記アンカーボルトが前記第2上側ワッシャ、前記第2下側ワッシャ及び前記第2減衰材の中心孔を貫通している下側免震部とを備え、
前記第1下側ワッシャ及び前記第1減衰材の中心孔の内径はほぼ等しく、前記第1上側ワッシャの中心孔よりも大径であり、
前記土台の貫通孔の内径は、前記第1下側ワッシャ及び前記第1減衰材の中心孔の内径とほぼ等しいものであり、
前記第2上側ワッシャ、前記第2減衰材の中心孔の内径はほぼ等しく、前記第2下側ワッシャの内径より大径である、ことを特徴とする建築物の免震構造。
【請求項2】
前記土台の貫通孔は、前記上側免震部の外径より大きい内径の上側孔部分と、前記第1下側ワッシャ及び前記第1減衰材の中心孔の内径とほぼ等しい内径の下側孔部分とを有し、前記上側孔部分に前記上側免震部が収納されている、
請求項1に記載の建築物の免震構造。
【請求項3】
前記上側孔部分の内径は、前記第1上側ワッシャが前記第1減衰材のゴム厚さの4倍以下の長さを半径方向に変位可能な大きさとされている、
請求項2に記載の建築物の免震構造。
【請求項4】
前記下側孔部分の内径は、前記アンカーボルトが前記第1減衰材のゴム厚さの4倍以下の長さを半径方向に変位可能な大きさとされている、
請求項2又は3に記載の建築物の免震構造。
【請求項5】
前記第1減衰材及び第2減衰材は、ゴム厚さが2~20mm程度である、
請求項3又は4に記載の建築物の免震構造。
【請求項6】
前記第1下側ワッシャの内径及び外径は、前記第1減衰材の内径及び外径にほぼ等しい、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の建築物の免震構造。
【請求項7】
前記第2上側ワッシャ及び第2減衰材の中心孔の内径は、前記土台の貫通孔の内径と同等もしくはそれ以上である、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の建築物の免震構造。
【請求項8】
前記下側免震部の第2上側ワッシャの中心孔の孔径は、前記上側免震部の第1上側及び下側ワッシャの外径と等しい、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の建築物の免震構造。
【請求項9】
貫通孔が設けられた土台と、前記土台の下方に配された基礎とを有する建築物に用いる免震アンカーであり、
前記土台の貫通孔を通じて嵌挿されるアンカーボルトと、
前記土台の上側に設けられ第1上側ワッシャと第1下側ワッシャとが第1減衰材を挟んで接合されてなる構造で前記アンカーボルトが前記第1上側ワッシャ、前記第1下側ワッ
シャ及び前記第1減衰材の中心孔を貫通している上側免震部と、
前記土台と前記基礎との間に設けられ第2上側ワッシャと第2下側ワッシャとが第2減衰材を挟んで接合されてなる構造で前記アンカーボルトが前記第2上側ワッシャ、前記第2下側ワッシャ及び前記第2減衰材の中心孔を貫通している下側免震部とを備え、
前記第1下側ワッシャ及び前記第1減衰材の中心孔の内径はほぼ等しく、前記第1上側ワッシャの中心孔よりも大径であり、
前記土台の貫通孔の内径は、前記第1下側ワッシャ及び前記第1減衰材の中心孔の内径とほぼ等しいものであり、
前記第2上側ワッシャ、前記第2減衰材の中心孔の内径はほぼ等しく、前記第2下側ワッシャの内径より大径である、ことを特徴とする免震アンカー。
【請求項10】
前記土台の貫通孔が、前記上側免震部の外径より大きい内径の上側孔部分と、前記第1下側ワッシャ及び前記第1減衰材の中心孔の内径とほぼ等しい内径の下側孔部分とを有し、
前記上側免震部が前記上側孔部分に収納されている、
請求項9に記載の建築物の免震アンカー。
【請求項11】
前記第1上側ワッシャの外径は、前記上側孔部分の内径において、前記第1減衰材のゴム厚さの4倍以下の長さを半径方向に変位可能な大きさとされている、
請求項10に記載の免震アンカー。
【請求項12】
前記下側孔部分の内径は、前記アンカーボルトが前記第1減衰材のゴム厚さの4倍以下の長さを半径方向に変位可能な大きさとされている、
請求項10又は11に記載の建築物の免震構造。
【請求項13】
前記第1減衰材及び第2減衰材は、ゴム厚さが2~20mm程度である、
請求項11又は12に記載の免震アンカー。
【請求項14】
前記第1下側ワッシャの内径及び外径は、前記第1減衰材の内径及び外径にほぼ等しい、
請求項9乃至請求項13のいずれか1項に記載の免震アンカー。
【請求項15】
前記第2上側ワッシャ、及び第2減衰材の中心孔の内径は、前記土台の貫通孔の内径と同等もしくはそれ以上である、
請求項10乃至請求項14のいずれか1項に記載の免震アンカー。
【請求項16】
前記下側免震部の第2上側ワッシャの中心孔の孔径は、前記上側免震部の第1上側及び下側ワッシャの外径と等しい、
請求項10乃至請求項15のいずれか1項に記載の免震アンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の損傷を減少させる建築物の免震構造に関する。
【背景技術】
【0002】
地震時に建築物の損傷を減少させるために、アンカーボルトに硬質ゴムを設けた防振アンカーが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-31014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1記載の技術では、アンカーボルトを曲げる(曲げやすくする)構造となっているので、アンカーボルトの抵抗が大きく、十分な免震効果を得ることができない。つまり、1棟あたり百数十本のアンカーボルト(アンカー筋)が入るため、地震時のアンカーボルトの曲げ抵抗が大きく、土台が動かず、十分に免震効果を発揮できない。
【0005】
本発明は、土台の貫通孔でアンカーボルトの曲げ抵抗に対応することで、十分な免震効果を得ることができ、非常に安価で施工(設置)が容易である建築物の免震構造及び免震アンカーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一の態様の建築物の免震構造は、建築物の土台に貫通孔が設けられ、前記貫通孔を通じてアンカーボルトが嵌挿されて、前記土台が基礎に取り付けられている建築物の免震構造であって、前記土台の上側に設けられ第1上側ワッシャと第1下側ワッシャとが第1減衰材を挟んで接合されてなる構造で前記アンカーボルトが前記第1上側ワッシャ、前記第1下側ワッシャ及び前記第1減衰材の中心孔を貫通している上側免震部と、前記土台と前記基礎との間に設けられ第2上側ワッシャと第2下側ワッシャとが第2減衰材を挟んで接合されてなる構造で前記アンカーボルトが前記第2上側ワッシャ、前記第2下側ワッシャ及び前記第2減衰材の中心孔を貫通している下側免震部とを備え、前記第1下側ワッシャ及び前記第1減衰材の中心孔の内径はほぼ等しく、前記第1上側ワッシャの中心孔よりも大径であり、前記土台の貫通孔の内径は、前記第1下側ワッシャ及び前記第1減衰材の中心孔の内径とほぼ等しいものであり、前記第2上側ワッシャ、前記第2下側ワッシャ及び第2減衰材の中心孔の内径は、前記土台の貫通孔の内径よりも大きいことを特徴とする。
【0007】
ここで、減衰材としては,弾性体や粘弾性体が用いられ、高減衰ゴムが含まれる。このようにすれば、第1下側ワッシャ及び第1減衰材の中心孔の内径はほぼ等しく、第1上側ワッシャの中心孔の内径よりも大径であり、土台の貫通孔の内径は、第1下側ワッシャ及び第1減衰材の中心孔の内径とほぼ等しいものであり、アンカーボルトが第1上側ワッシャ、第1下側ワッシャ及び第1減衰材の中心孔を貫通しているので、土台の貫通孔で、アンカーボルトが曲がらないように、アンカーボルトに曲げ抵抗が生じないように対応することができ、第1及び第2減衰材による2カ所での変形によって高い免震効果を得ることができる。
【0008】
この場合、前記土台の貫通孔は、前記上側免震部の外径より大きい内径の上側孔部分と、前記第1下側ワッシャ及び前記第1減衰材の中心孔の内径とほぼ等しい内径の下側孔部分とを有し、前記上側孔部分に前記上側免震部が収納されていることが望ましい。
【0009】
また、前記上側孔部分の内径は、前記第1上側ワッシャが前記第1減衰材のゴム厚さの4倍以下の長さを半径方向に変位可能な大きさとされていることが望ましい。
【0010】
そして、前記下側孔部分の内径は、前記アンカーボルトが前記第1減衰材のゴム厚さの4倍以下の長さを半径方向に変位可能な大きさとされていることが望ましい。
【0011】
また、前記第1減衰材及び第2減衰材は、ゴム厚さが2~20mm程度であることが望ましい。
【0012】
また、前記第1下側ワッシャの内径及び外径は、前記第1減衰材の内径及び外径にほぼ等しい、ことが望ましい。
【0013】
前記第2上側ワッシャ及び第2減衰材の中心孔の内径は、前記土台の貫通孔の内径と同等もしくはそれ以上である、ことが望ましい。
さらに、前記下側免震部の第2上側ワッシャの中心孔の孔径は、前記上側免震部の第1上側及び下側ワッシャの外径と等しい、ことが望ましい。
【0014】
本発明に係る一の態様の免震アンカーは、貫通孔が設けられた土台と、前記土台の下方に配された基礎とを有する建築物に用いる免震アンカーであり、前記土台の貫通孔を通じて嵌挿されるアンカーボルトと、前記土台の上側に設けられ第1上側ワッシャと第1下側ワッシャとが第1減衰材を挟んで接合されてなる構造で前記アンカーボルトが前記第1上側ワッシャ、前記第1下側ワッシャ及び前記第1減衰材の中心孔を貫通している上側免震部と、前記土台と基礎との間に設けられ第2上側ワッシャと第2下側ワッシャとが第2減衰材を挟んで接合されてなる構造で前記アンカーボルトが前記第2上側ワッシャ、前記第2下側ワッシャ及び前記第2減衰材の中心孔を貫通している下側免震部とを備え、前記第1下側ワッシャ及び前記第1減衰材の中心孔の内径はほぼ等しく、前記第1上側ワッシャの中心孔よりも大径であり、前記土台の貫通孔の内径は、前記第1下側ワッシャ及び前記第1減衰材の中心孔の内径とほぼ等しいものであり、前記第2上側ワッシャ、前記第2減衰材の中心孔の内径はほぼ等しく、前記第2下側ワッシャの内径より大径であることを特徴とする。
【0015】
この場合、前記土台の貫通孔が、前記上側免震部の外径より大きい内径の上側孔部分と、前記第1下側ワッシャ及び前記第1減衰材の中心孔の内径とほぼ等しい内径の下側孔部分とを有し、前記上側免震部が前記上側孔部分に収納されていることが望ましい。
【0016】
また、前記第1上側ワッシャの外径は、前記上側孔部分の内径において、前記第1減衰材のゴム厚さの4倍以下の長さを半径方向に変位可能な大きさとされていることが望ましい。
【0017】
そして、前記下側孔部分の内径は、前記アンカーボルトが前記第1減衰材のゴム厚さの4倍以下の長さを半径方向に変位可能な大きさとされていることが望ましい。
【0018】
また、前記第1減衰材は、ゴム厚さが2~20mm程度であることが望ましい。
【0019】
また、前記第1下側ワッシャの内径及び外径は、前記第1減衰材の内径及び外径にほぼ等しいことが望ましい。
【0020】
また、前記第2上側ワッシャ及び第2減衰材の中心孔の内径は、前記土台の貫通孔の内径と同等もしくはそれ以上である、ことが望ましい。
さらに、前記下側免震部の第2上側ワッシャの中心孔の孔径は、前記上側免震部の第1上側及び下側ワッシャの外径と等しい、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、第1下側ワッシャ及び第1減衰材の中心孔の内径はほぼ等しく、第1上側ワッシャの中心孔の内径よりも大径であり、土台の貫通孔の内径は、第1下側ワッシャ及び第1減衰材の中心孔の内径とほぼ等しいものであり、アンカーボルトが第1上側ワッシャ、第1下側ワッシャ及び第1減衰材の中心孔を貫通しているので、土台の貫通孔で、アンカーボルトが曲がらないように、アンカーボルトに曲げ抵抗が生じないように対応することができ、第1及び第2減衰材による2カ所での変形によって高い免震効果を得ることができる。また、非常に安価で施工(設置)が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る建築物の免震構造の一実施形態を示す説明図である。
図2】前記免震構造における上側免震部近傍の説明図である。
図3】第1上側ワッシャの平面図である。
図4】第1下側ワッシャの平面図である。
図5】第2上側ワッシャの平面図である。
図6】第2下側ワッシャの平面図である。
図7】作用の説明図である。
図8】作用の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0024】
図1は本発明に係る建築物の免震構造の一実施形態を示す説明図、図2は前記免震構造における上側免震部近傍の説明図、図3は第1上側ワッシャの平面図、図4は第1下側ワッシャの平面図、図5は第2上側ワッシャの平面図、図6は第2下側ワッシャの平面図である。
【0025】
図1に示すように、建築物の土台1に鉛直方向に貫通する貫通孔1aが設けられ、その貫通孔1aを通じてアンカーボルト2が嵌挿(遊嵌)されて、基礎3に取り付けられている。そして、土台1の上側には上側免震部11が、土台1と基礎3との間に下側免震部21がそれぞれ配置されて、建築物の免震構造が構成されている。なお、4は取付けのためのナットである。
【0026】
上側免震部11は、図2図4に示すように、第1上側ワッシャ12と、第1下側ワッシャ13と、それらの間に挟まれてそれらに接合されてなる環状の第1減衰材14とを備える。つまり、第1上側ワッシャ12と第1下側ワッシャ13とが第1減衰材14を挟んで接合されて、上側免震部11となっている。そして、アンカーボルト2が、第1上側ワッシャ12、第1下側ワッシャ13及び第1減衰材14の中心孔12a,13a,14aを貫通している。
【0027】
下側免震部21は、第2上側ワッシャ22(図5参照)と、第2下側ワッシャ23(図6参照)と、それらの間に挟まれてそれらに接合されてなる円柱状の第2減衰材24とを備える。つまり、第2上側ワッシャ22と第2下側ワッシャ23とが第2減衰材24を挟んで接合されて、下側免震部21となっている。そして、アンカーボルト2が、第2上側ワッシャ22、第2下側ワッシャ23及び第2減衰材24の中心孔22a,23a,24aを貫通している。
【0028】
第1下側ワッシャ13及び第1減衰材14の中心孔13a,14aの内径はほぼ等しく、第1上側ワッシャ12の中心孔12aの内径よりも大径である。第1下側ワッシャ12の外径は、第1減衰材14の外径にほぼ等しい。なお、第1上側ワッシャ12の中心孔12aの内径は、アンカーボルト2に対応する大きさである。
【0029】
また、土台1の貫通孔1aの内径は、第1下側ワッシャ13及び第1減衰材14の中心孔13a,14aの内径とほぼ等しくなっている。
【0030】
そして、第2上側ワッシャ22及び第2減衰材24の中心孔23a,24aの内径も、土台1の貫通孔1aの内径にほぼ等しくなっている。
【0031】
土台1の貫通孔1aは、上側免震部11(第1上側ワッシャ12、第1下側ワッシャ13及び第1減衰材14)の外径より大きい内径の上側孔部分1aa(ざぐり孔)と、それより内径が小さい下側孔部分1abを有する。上側孔部分1aaの内部に上側免震部11全体が収納されている。下側孔部分1abの内径は、前記ボルトが前記第1減衰材のゴム厚さの4倍以下の長さを半径方向に変位可能な大きさである。これは、アンカーボルト2のネジ径の2.8~3.0倍程度の大きさである。
【0032】
上側孔部分1aaの内径は、第1上側ワッシャ12が半径方向に第1減衰材14のゴム厚さの4倍以下の長さを変位可能な大きさとされている。第1減衰材14は、ゴム厚さが2~20mm(好ましくは、2~6mm)程度である。
【0033】
第2上側ワッシャ22、及び第2減衰材24の中心孔22a,24aの内径はほぼ等しく、第2下側ワッシャ23の中心孔23aの内径よりも大径である。なお、第2下側ワッシャ23の中心孔23aの内径は、この実施の形態では、アンカーボルト2に対応する大きさである。第1上側ワッシャ12の中心孔12aの内径とともに、第2下側ワッシャ23の中心孔23aの内径もアンカーボルト2に対応する大きさとしているので、土台1が動いた際のずれを防止することができる。
【0034】
続いて、作用について説明する。
【0035】
図7に示すように、図7矢印方向の揺れがあると、基礎3に対し土台1が図7矢印方向に変位しようとするので、土台1の変位に伴う第1下側ワッシャ13及び第2上側ワッシャ22の変位に従って第1及び第2減衰材14,24が変形して、前記揺れを吸収する。
【0036】
このとき、第1上側ワッシャ12及び第2下側ワッシャ23の中心孔12a,23aの内径はアンカーボルト2に対応する大きさであるので、変位しない第1上側ワッシャ12及び第2下側ワッシャ23と一緒にアンカーボルト2は残ることになるが、アンカーボルト2が貫通する中心孔13a,14a及び下側孔部分1abの内径がアンカーボルト2のネジ径よりも大きいので、土台1の変位によりアンカーボルト2は曲がることなく、中心孔13a,14a及び下側孔部分1ab内で、その直線状態のまま相対変位する。
【0037】
それから、図7に示すように、前記揺れの反動で、土台1が図7矢印方向に揺れると、土台1の変位に伴う第1下側ワッシャ13及び第2上側ワッシャ22の変位に従って減衰材14,24が変形して、前記揺れの反動を吸収する。このときも、アンカーボルト2は曲がることなく、直線状態を維持する。
【0038】
このように、土台1の変位に伴う第1下側ワッシャ13及び第2上側ワッシャ22の変位に従って、アンカーボルト2が曲がることなく、減衰材14,24の弾性変形が繰り返され、土台1(建築物)の揺れが効率的に減衰される。
【0039】
アンカーボルト2が曲がることはないので、土台1と基礎3との関係は、最終的には初期状態(図1参照)に戻ることになる。
【0040】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【0041】
例えば、下側免震部21の第2上側ワッシャ22の中心孔22aの孔径を、上側免震部11の第1上側及び下側ワッシャ12,13の外径と等しくすることができる。このようにすれば、中心孔22aを打ち抜いた部分の2枚を利用して、第1上側及び下側ワッシャ12,13を形成することができ、コストダウンが図れる。
【符号の説明】
【0042】
1 土台
1a 貫通孔
1aa 上側孔部分
1ab 下側孔部分
2 アンカーボルト
3 基礎
4 ナット
11 上側免震部
12 第1上側ワッシャ
12a 中心孔
13 第1下側ワッシャ
13a 中心孔
14 第1減衰材
14a 中心孔
21 下側免震部
22 第2上側ワッシャ
22a 中心孔
23 第2下側ワッシャ
23a 中心孔
24 第2減衰材
24a 中心孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8