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特許7371882電子回路装置および電子回路装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】電子回路装置および電子回路装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20231024BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H01L23/12 501P
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
H05K3/46 N
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019076624
(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公開番号】P2020174164
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】517319525
【氏名又は名称】株式会社ライジングテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】明島 周三
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-233678(JP,A)
【文献】特開2019-033245(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049899(WO,A1)
【文献】特開2013-236105(JP,A)
【文献】特開2013-030593(JP,A)
【文献】特開2011-187800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層を有するベース基板と、
前記ベース基板に底面が接着層を介して固着され、前記底面と対向する上面に接続部を有する少なくとも1つの第1の電子回路素子と、
前記第1の電子回路素子の素子厚よりも薄く、前記ベース基板に前記第1の電子回路素子に併設する位置に底面が接着層を介して固定され、前記底面と対向する上面に接続部を有する少なくとも1つの第2の電子回路素子と、
前記第1の電子回路素子および前記第2の電子回路素子を前記ベース基板の上に包有すると共に、前記第1の電子回路素子の接続部に電気的に接続する第1の配線フォトビアと、前記第1の電子回路素子または前記第2の電子回路素子の外周に設けられ前記配線層の接続部に接続される第2の配線フォトビアと、前記第2の電子回路素子の接続部に電気的に接続する第3の配線フォトビアと、前記第1の配線フォトビア、前記第2の配線フォトビアおよび前記第3の配線フォトビアに直交するように形成されると共に前記第1の配線フォトビアと前記第2の配線フォトビアと前記第3の配線フォトビアを電気的に接続する第1層の配線と、前記第1層の配線に積層される第2層の配線と、前記第1層の配線および前記第2層の配線を電気的に接続する層間配線フォトビアと、を埋設する絶縁性の感光性樹脂層からなる再配線層と、
少なくとも前記第1の配線フォトビア、前記第3の配線フォトビアおよび前記第1層の配線を介して前記第1の電子回路素子および前記第2の電子回路素子と電気的に接続する前記再配線層上に配置された外部接続端子とを備え、
前記第1の配線フォトビア第2の配線フォトビアおよび前記第3の配線フォトビアの内側には前記感光性樹脂層が充填されると共に、前記第1の配線フォトビアと前記第3の配線フォトビアのアスペクト比は前記第2の配線フォトビアのアスペクト比よりも小さくかつ1.5以下であり、
前記第3の配線フォトビアの長さは前記第1の配線フォトビアの長さよりも大きいことを特徴とする電子回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子回路装置において、前記第1の配線フォトビアの数は前記第2の配線フォトビアの数より多いことを特徴とする電子回路装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子回路装置において、前記第1の電子回路素子に接続する前記第1の配線フォトビアの数と前記第2の電子回路素子に接続される前記第3の配線フォトビアの数の夫々は、前記第2の配線フォトビアの数よりも多いこと特徴とする電子回路装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電子回路装置において、前記感光性樹脂層は、前記第1の電子回路素子および前記第2の電子回路素子夫々の前記面と重畳する領域の膜厚が5μm以上50μm以下であることを特徴とする電子回路装置。
【請求項5】
配線層を有するベース基板に第1の電子回路素子と前記第1の電子回路素子と素子厚の異なる少なくとも1つの第2の電子回路素子の各々の底面を固定し(第1ステップ)、
前記第1の電子回路素子と第2の電子回路素子の夫々の素子厚よりも厚いフィルム状の感光性樹脂を用いて前記第1の電子回路素子および前記第2の電子回路素子を覆うと共に上面を平坦化して第1の感光性樹脂層を形成し(第2ステップ)、
前記第1の感光性樹脂層を仮硬化後、前記第1の電子回路素子と第2の電子回路素子の外周端に重畳する領域以外の前記第1の感光性樹脂層に選択的に光を照射することによって、前記第1の電子回路素子および前記第2の電子回路素子の夫々の前記底面に対向する夫々の上面に設けられた接続部を露出させると共にアスペクト比が1.5以下である複数の第1のビアホールと、前記第1の電子回路素子または前記第2の電子回路素子の周辺に設けられた前記配線層の接続部を露出させると共に前記第1のビアホールのアスペクト比よりも大きなアスペクト比を有する複数の第2のビアホールとを同時に形成した後、前記第1の感光性樹脂層を本硬化し(第3ステップ)、
前記第1の感光性樹脂層の表面に配線パターンを形成すると共に、前記配線パターン、前記第1のビアホールおよび前記第2のビアホールの内面を電気的に接続する金属膜を形成し(第4ステップ)、
前記第1の感光性樹脂層の上に、前記第1の感光性樹脂層よりも薄いフィルム状の感光性樹脂を重ねて前記第1のビアホールおよび前記第2のビアホールの内部空間を充填すると共に上面を平坦化して第2の感光性樹脂層を形成し(第5ステップ)、
前記第2の感光性樹脂層を仮硬化後、前記第2の感光性樹脂層に選択的に光を照射することによって、前記第1の感光性樹脂層に形成された配線パターンの一部を露出させる層間ビアホールを形成した後、前記第2の感光性樹脂層を本硬化し、前記第1の感光性樹脂層および前記第2の感光性樹脂層を接着させ、前記層間ビアホールと前記第2の感光性樹脂層の表面に形成された配線パターンとを電気的に接続する金属膜を形成し(第6ステップ)、
前記第2の感光性樹脂層の表面に形成された配線パターンに選択的に電気的に接続される層間ビアホールを有する少なくとも1層の配線層を積層形成し、最上層の表面に外部接続端子を形成し(第7ステップ)、
電子回路素子をパッケージ化することを特徴とする電子回路装置の製造方法。
【請求項6】
ベース基板と、
前記ベース基板に夫々の底面が固定され、前記夫々の底面と対向する上面に接続部を有する素子厚が異なる複数の電子回路素子を前記ベース基板の上に一体的に包有すると共に、前記複数の電子回路素子の接続部に電気的に接続する複数の配線フォトビアおよび前記複数の配線フォトビアに直交するように形成されると共に電気的に接続する配線を埋設する絶縁性の感光性樹脂層からなる再配線層と、
前記複数の配線フォトビアと前記配線を介して前記複数の電子回路素子と電気的に接続する前記再配線層上に配置された外部接続端子とを備え、
前記複数の配線フォトビアは、
アスペクト比が1.5以下で、内側には前記感光性樹脂層が充填され、
素子厚が小さい前記電子回路素子の前記接続部に接続される前記配線フォトビアの長さが、素子厚が大きい前記電子回路素子の前記接続部に接続される前記配線フォトビアの長さよりも大きく、
前記外部接続端子は、前記複数の電子回路素子の外周端に重畳しない位置に配置されていることを特徴とする電子回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路装置および電子回路装置の製造方法に関する。特に、システムインテグレーション化に適したファンアウト・ウェハ・レベル・パッケージ(FOWLP)を低コストで実現できることで3次元化実装が容易となる電子回路装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高度化する集積回路が構成された集積回路素子(半導体チップという。)をその表面積と同等の表面積のまま低背化としたウェハ・レベル・パッケージ(WLP)や、半導体チップの表面積よりも大型化することで多数の外部接続端子を備えたFOWLPが実用化されてきた。典型的なFace-Down型のFOWLPでは、接着層を介したウエハサイズ(またはパネルサイズ)の支持材の上に、個片化した多数の半導体チップの集積回路形成面(つまり接続端子の形成面)を支持材に向けて間隔をあけて整列して仮止めする(チップファーストと呼ばれるプロセス)。その後、マウントされた複数の半導体チップを絶縁性の液状材料で封止(加熱・圧縮成形にて半導体チップ裏面を覆うように平板状に硬化)し、テープを剥し、露出した集積回路形成面(接続端子形成面)に再配線加工を施して再配置配線構造(再配線層)を積層した後、埋設した半導体チップよりも大きな表面積を有するパッケージにダイシングソーを用いて個片化してパッケージ化している。露出した各半導体チップの接続端子から配線を引き出す再配線層構造は、半導体工程(半導体チップの製造工程)の特定の配線工程を用いて、細密な配線ピッチ(数μm~数十μm程度)で形成する。なお、この再配線層の裏面には多数の外部接続端子が個片化されるパッケージ単位で設けられ、各外部接続端子にはそれぞれ半田ボールが配されている。これにより半導体チップの接続面の上に再配線層が積層され、再配線層の外表面に外部接続端子が設けられる。
【0003】
従来のWLPにおいて、外部接続端子の数は、半導体チップの表面積に依存するため、適用できる半導体チップが限定される。一方、FOWLPでは、大型化することで、多ビットのパラレルデータを高速で出入力するマイクロ・プロセッサ・ユニット(MPU)やグラフィック・プロセッサ・ユニット(GPU)を含む論理(Logic)LSI(この論理LSIは、特定用途向け集積回路(ASIC)によって構成され、携帯通信端末等において各種アプリケーションを動作させるアプリケーション・プロセッサや送受信にかかわる信号のデジタル信号処理を行うベースバンド・プロセッサ等である。)等に適用可能である。
【0004】
FOWLPにおいては、上述Face-Down型の他に、Face-Up型と呼ばれるものもある。このFace-Up型は、精度を要求される複雑な製造工程が必要となる。まず、各半導体ウェファーの集積回路形成面の接続端子にCuピラーを垂直に形成した後、半導体チップにダイシングソーで切り出し、各半導体チップの裏面(集積回路形成面の対抗面)をベース基板(ウエハ形状またはパネル形状)に間隔をあけて接着剤で固着する。その後に半導体チップを覆うように液状樹脂を用いて全体をモールドする。次に、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)を施して、半導体チップの上に設けた複数のCuピラーの先端部が露出するように表面処理を施す。この露出面の上に再配線加工を施して再配置配線構造(再配線層)を積層した後、再配線層の外表面に外部接続端子が設けられ、埋設した半導体チップよりも大きな表面積を有するパッケージに個片化してパッケージ化している。
【0005】
図25に一般的な個片化されたFace-Down型のFOWLP101の断面図を示す。モールド樹脂103にモールドされた半導体チップ102の集積回路形成面(接続端子の形成面)の上に再配線層104が積層されている(図25では下方)。つまり、半導体チップ102の集積回路の接続端子の形成面と、この形成面と面一となるモールド樹脂103の一面との上に、再配線層104が形成されている。
【0006】
再配線層104は多層の金属再配線105から構成されている。異なる層に位置する金属再配線105間、および、金属再配線105と半導体チップ102の接続端子とは配線フォトビア106によって電気的に接続されている。
【0007】
再配線層104の半導体チップ102と反対側の面には、選択的に絶縁層107が形成されており、絶縁層107が形成されていない領域で金属再配線105の一部が露出している。この露出部分が接続端子(接続パッド)となり、半田ボール108が形成されている。半田ボール108の径は通常200μm~350μm程度である。
【0008】
以上のように構成したFOWLP101は、半導体チップ102の面積よりも広い面積に外部接続端子を配置できるファンアウト構造なので、外部接続端子を多数要するアプリケーション・プロセッサやベースバンド・プロセッサなどに好適である。そして、小型のプリント基板であるパッケージ基板を必要としないため、薄く、配線長も短くなることから、インダクタンスや浮遊容量も小さくなり、信号の伝送速度の高速化も実現できる。パッケージ基板を用いないために製造コストも低くなることが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第8643164号公報
【文献】米国特許出願公開第2017/0025380号明細書
【文献】国際公開第2010/101163号
【非特許文献】
【0010】
【文献】Chien-Fu Tseng, Chung-Shi Liu, Chi-Hsi Wu, and Douglas Yu, "InFO (Wafer Level Integrated Fan-Out) Technology", 2016 IEEE 66th Electronic Components and Technology Conference, USA, Electronic Components and Technology Conference, 2016, DOI 10.1109/ECTC.2016.65
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来のFace-Down型のFOWLP101においては、回路形成面(接続端子面)が下になるように複数の半導体チップを接着層を介した支持体に間隔をあけ整列配置してこれら半導体チップの裏面を覆うように樹脂モールドした後に、支持体を精度良く剥離処理を施して、再配線層を積層形成するという複雑な製造工程が必要になる。
【0012】
また、Face-up型のFOWLPにおいては、各半導体チップの接続端子の上にあらかじめメッキ工法を用いてCuピラーを高精度に垂直に形成し、回路形成面(接続端子面)が上になるように複数の半導体チップの裏面をベース基板に間隔を置いて接着固定し、半導体チップの回路形成面を覆うような樹脂モールド後にこの樹脂モールドの表面をCMP加工などで磨いて単一面を出すこと(平坦化処理)でCuピラーの先端を露出させ、その上に再配線層を形成するという複雑かつ高価な製造工程も近年実現化されている。さらに、配線層を設けたベース基板にベース基板内配線層の接続端子の上に半導体チップ厚よりも長いCuピラーを設け、そのベース基板の長いピラーの間に、あらかじめ半導体チップの接続端子上にCuピラーを設けた半導体チップを固着し、共にモールドしCMP加工処理を施して、半導体チップ上CUピラーおよびベース基板内配線層から延びるCuピラーで再配線層と電気的に接続する製造工程も実証されているが、位置合わせ精度等が更に要求され、複雑かつ高価な3次元FOWLPとなる。
【0013】
また、べース基板配線層からの長いCuピラーの形成は本数が増えれば増えるほど接続位置の精度を維持するのが容易ではなく、FOWLPの製造上の歩留まりの低下を招き更なる高コスト化が課題となる。また、各Cuピラーと再配線層における金属配線層との接触抵抗も高速化を阻害する。
【0014】
更に、特に異種の半導体チップのチップ厚が異なるような場合には、薄い半導体チップの接続端子の上に長さの違うCuピラーを形成して厚い半導体チップの接続端子との高低差を吸収して、樹脂モールドすることで、異種の半導体チップの並置化も検討されているが、上述の三次元化と同様の課題が解決できていない。
【0015】
一方、FOWLP構造を用いた、安価な半導体チップのシステムインテグレーション化が望まれ、例えば、2つの半導体チップを積層させる三次元化や異種の2つの半導体チップを並置させることが安価に実現できることが望まれている。三次元化によって、厚みは数百μm程度の半導体パッケージ厚相当の増加はあるものの、実装面積を減らすことができるからである。とりわけ、アプリケーション・プロセッサは、それ単体で動作するのではなく、大容量ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)やフラッシュ・メモリ(Flashメモリ)を外付けして動作する。そして、アプリケーション・プロセッサは積層されたDRAMやFlashメモリの特殊でない標準パッケージと広いデータバス幅で大量のデータ通信をさせることが望ましい。また、異種の半導体チップの並置化の実現によって、自由度のある複数チップの搭載が容易にFOWLP構造で可能になるので、顧客や市場要求に容易に対応できる単一モジュールとしての適用範囲が拡大することができると期待されている。
【0016】
そこで、本発明は、半導体チップのシステムインテグレーション化に適した安価なFOWLP構造および製造方法を提供することで、チップの積層による三次元化やチップの並置化においても、高コストや高速化の阻害という課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一実施形態に係る電子回路装置は、ベース基板と、ベース基板に第1面が固定され、第1面と対向する第2面に接続部を有する少なくとも1つの第1の電子回路素子と、第1の電子回路素子をベース基板の上に包有すると共に、第1の電子回路素子の接続部に電気的に接続する第1の配線フォトビアおよび第1の配線フォトビアと電気的に接続する第2面に配置された配線を埋設する絶縁性の感光性樹脂層からなる再配線層と、第1の配線フォトビアと配線を介して第1の電子回路素子と電気的に接続する再配線層上に配置された外部接続端子とを備え、第1の配線フォトビアの内側には感光性樹脂層が充填され、外部接続端子および第1の配線フォトビアは、第1の電子回路素子の外周端に重畳しない位置に配置されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の一実施形態に係る電子回路装置は、配線層を有するベース基板と、ベース基板に第1面が固定され、第1面と対向する第2面に接続部を有する少なくとも1つの第1の電子回路素子と、第1の電子回路素子をベース基板の上に包有すると共に、第1の電子回路素子の接続部に電気的に接続する第1の配線フォトビアと、第1の電子回路素子の外周に設けられ配線層の接続部に接続される第2の配線フォトビアと、第1の配線フォトビアおよび第2の配線フォトビアに電気的に接続する第2面に配置された配線とを埋設する絶縁性の感光性樹脂層からなる再配線層と、第1の配線フォトビアと配線を介して第1の電子回路素子と電気的に接続する再配線層上に配置された外部接続端子とを備え、第1の配線フォトビアおよび第2の配線フォトビアの内側には感光性樹脂層が充填され、外部接続端子および第1の配線フォトビアは、第1の電子回路素子の外周端に重畳しない位置に配置されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の一実施形態に係る電子回路装置の製造方法は、ベース基板に少なくとも1つの電子回路素子の第1面を固定し(第1ステップ)、電子回路素子の厚みよりも厚いフィルム状の感光性樹脂を用いて電子回路素子を覆うと共に上面を平坦化して第1の感光性樹脂層を形成し(第2ステップ)、第1の感光性樹脂層を仮硬化後、電子回路素子の外周端に重畳する領域以外の第1の感光性樹脂層に選択的に光を照射することによって、電子回路素子の第1面に対向する第2面に設けられた接続部を露出させるビアホールを形成した後、第1の感光性樹脂層を本硬化し(第3ステップ)、第1の感光性樹脂層の表面に配線パターンを形成すると共に、配線パターン、ビアホール内面を電気的に接続する金属膜を形成し(第4ステップ)、第1の感光性樹脂層の上に、第1の感光性樹脂層よりも薄いフィルム状の感光性樹脂を重ねてビアホールの内部空間を充填すると共に上面を平坦化して第2の感光性樹脂層を形成し(第5ステップ)、第2の感光性樹脂層を仮硬化後、電子回路素子の外周端に重畳する領域以外の第2の感光性樹脂層に選択的に光を照射することによって、配線パターンの一部を露出させるビアホールを形成した後、第2の感光性樹脂層を本硬化し、第1の感光性樹脂層および第2の感光性樹脂層を接着させ(第6ステップ)、電子回路素子をパッケージ化することを特徴とする。
【0020】
本発明の一実施形態に係る電子回路装置の製造方法は、配線層を有するベース基板に少なくとも1つの電子回路素子の第1面を固定し(第1ステップ)、電子回路素子の厚みよりも厚いフィルム状の感光性樹脂を用いて電子回路素子を覆うと共に上面を平坦化して第1の感光性樹脂層を形成し(第2ステップ)、第1の感光性樹脂層を仮硬化後、電子回路素子の外周端に重畳する領域以外の第1の感光性樹脂層に選択的に光を照射することによって、電子回路素子の第1面に対向する第2面に設けられた接続部を露出させる第1のビアホールと電子回路素子の周辺に設けられたベース基板内配線層の接続部を露出させる複数の第2のビアホールとを同時に形成した後、第1の感光性樹脂層を本硬化し(第3ステップ)、第1の感光性樹脂層の表面に配線パターンを形成すると共に、配線パターン、第1のビアホールおよび第2のビアホール内面を電気的に接続する金属膜を形成し(第4ステップ)、第1の感光性樹脂層の上に、第1の感光性樹脂層よりも薄いフィルム状の感光性樹脂を重ねて第1のビアホールおよび第2のビアホールの内部空間を充填すると共に上面を平坦化して第2の感光性樹脂層を形成し(第5ステップ)、第2の感光性樹脂層を仮硬化後、電子回路素子の外周端に重畳する領域以外の第2の感光性樹脂層に選択的に光を照射することによって、配線パターンの一部を露出させるビアホールを形成した後、第2の感光性樹脂層を本硬化し、第1の感光性樹脂層および第2の感光性樹脂層を接着させ(第6ステップ)、電子回路素子をパッケージ化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、半導体チップのシステムインテグレーション化に適したFOWLP構造を、高速化の阻害も解決し、設計の容易性を担保しつつ、安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品1)の断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品2)の断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品2)の信頼性を示した図である。
図4】本発明の一実施形態に係る半導体装置(実装後)の断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る半導体装置(実装後)の断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る半導体装置(実装後)の断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品1)の製造方法を示した断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品1)の製造方法を示した断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品1)の製造方法を示した断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品2)の製造方法を示した断面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品2)の製造方法を示した断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品2)の製造方法を示した断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品2)の製造方法を示した断面図である。
図14】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品2)の製造方法を示した断面図である。
図15】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品2)の製造方法を示した断面図である。
図16】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品2)の製造方法を示した断面図である。
図17】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品2)の製造方法を示した断面図である。
図18】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品3)の断面図である。
図19】本発明の一実施形態に係る半導体装置(半製品4)の断面図である。
図20】本発明の一実施形態に係る半導体装置(実装後)の断面図である。
図21】本発明の変形例に係る半導体装置(半製品5)の断面図である。
図22】本発明の変形例に係る半導体装置(半製品6)の断面図である。
図23】本発明の変形例に係る半導体装置(半製品7)の断面図である。
図24】本発明の変形例に係る半導体装置(半製品8)の断面図である。
図25】FOWLPの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明に係る電子回路装置、電子情報端末および電子回路装置の製造方法の一実施形態を説明する。ここでは、電子回路素子としてアプリケーション・プロセッサ・チップ等の半導体集積回路素子を用いた半導体装置の例を示す。電子回路装置、電子回路装置の支持部材および電子回路装置の製造方法は、多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
〈半製品1〉
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置10の断面図である。この半導体装置10は仮ウェハや仮パネルでの半製品であり、図中の左右端は同様の構成の半導体装置10とつながっており、後の工程にて個片化されるべきものである。
【0025】
半導体装置10は、ベース基板と、ベース基板内の配線層13の上にFACE-UPに搭載されたアプリケーション・プロセッサ・チップ(半導体素子、第1の電子回路素子)33とこのアプリケーションプロセッサーを包有するフィルム状の感光性樹脂21からなる。図には示さなかったが、半導体装置10が流通する場合、素子保護と遮光のために感光性樹脂層21の表面を覆う保護シート(被膜)が取りつけられる場合もある。このアプリケーション・プロセッサ・チップ33の厚さは約70μm程度で、感光性樹脂層21は約100μm程度の厚さである。
【0026】
図1に示すように、本実施形態においてベース基板は、基板11と、基板11上に形成される離形層12と、離形層12上に形成される配線層13と、を含む。この配線層13は、厚さが約30μm~50μmで予め多層の配線構造が形成さている(図では3層を示しているが、層数はこれに限らない)。
【0027】
基板11は透光性と剛性を持ったガラスやプラスチック等の基板やシリコン、金属、透明でないプラスチックの基板もある。基板11は平面視で0.5インチから12インチの円形または長方形形状である。半導体ウェハサイズによる製造工程においては、典型的には12インチの円形である。アプリケーション・プロセッサ・チップ33は数mm~数cm角の長方形形状であるため、一つの基板11を用いることによって数十~数千のアプリケーション・プロセッサ・チップ33が同時にパッケージされる。尚、同時に更に多数のパッケージ(個片)化を行うためには、12インチ以上の長辺を有する長方形形状の液晶基板サイズによる製造工程も可能である。
【0028】
この基板11上には離形層12が形成されている。離形層12の材料は接着層と純剥離層とからなる。接着層は10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレート層からなる。純剥離層は1μm以下、典型的には0.3μm程度の厚さのヒドロキシル基と吸光基とからなる高分子化合物層で構成されることが望ましい。合計厚さは数μm~数十μmであり、典型的には約10μmである。純剥離層がヒドロキシル基と吸光基とからなる高分子化合物層で構成される理由は、後に、レーザー光を照射して剥離をするためである。接着層が形成される理由はレーザー光の照射よりアプリケーション・プロセッサ・チップ33を保護する目的も保有する。なお、レーザー光の照射での剥離以外に、機械的に剥離することもできるが、この場合には剥離層には吸収基は不要となる。
【0029】
配線層13は、複数層の銅配線層15、17、19と、複数層の銅配線層15、17、19を覆う絶縁膜14とを含む。銅配線層19はビア18を介して銅配線層17と接続している。離形層12上に、離形層12に接して、ソルダー・レジストまたは他の絶縁膜から構成される絶縁層16が形成されている。絶縁層16が存在しない部分は銅配線層15であり接続パッドとして機能している(以降、接続パッド15とも言う)。銅配線層15および絶縁層16上に、パターニングされた銅配線層17が形成される。銅配線層17はビア18’を介して銅配線層15と接続される。絶縁層16が存在しない部分が接続パッド15になり、ここにはニッケル層やゴールド層が形成されてもよい。銅配線層17は絶縁膜14で覆われている。絶縁膜14は半導体装置の層間絶縁膜に用いられる絶縁材料(例えば、ポリイミド、エポキシ)で構成される。銅配線層17の上層にはパターニングされた銅配線層19が形成され、銅配線層15と17はビア18’を介して接続され、銅配線層17と19とはビア18で接続される。ビア18およびビア18’は、紫外線を選択的に照射することによって開口した貫通孔に金属層を形成するフォトビアやレーザーを選択的に照射することによって開口した貫通孔に金属層を形成するレーザービアのいずれでもよい。ビア18は銅配線層19と一体に銅配線で形成される。ビア18’は銅配線層17と一体に銅配線で形成される。銅配線層19は銅配線層17と同様に絶縁膜14にて覆われている。絶縁膜14と銅配線層19とはその上面が面一である。
【0030】
本実施形態においてベース基板は、基板11と離形層12と配線層13とを含む構成を示した。しかしながらこれに限定されず、ベース基板は、基板11だけで構成されてもよく、充分な硬度を有する配線層13だけで構成されてもよい。
【0031】
ベース基板の配線層13上には、接着層34を介してアプリケーション・プロセッサ・チップ33が固着されている。アプリケーション・プロセッサ・チップ33は、接続部を有する回路形成面がベース基板とは反対側に向くようFace-up搭載される。本実施形態においてアプリケーション・プロセッサ・チップ33は1つ配置した。しかしながらこれに限定されず、アプリケーション・プロセッサ・チップ33は2つ以上配置されてもよい。
【0032】
アプリケーション・プロセッサ・チップ33の上には、絶縁性の感光性樹脂層21が形成されている。感光性樹脂層21は、アプリケーション・プロセッサ・チップ33をベース基板の上に完全に包有する。アプリケーション・プロセッサ・チップ33は、感光性樹脂層21の内部に埋め込まれ、感光性樹脂層21によって上面全体が平坦化されている。ここでアプリケーション・プロセッサ・チップ33の複数の接続パッドの形成面は図中上面に相当する。感光性樹脂層21のベース基板上の厚さと、感光性樹脂層21のアプリケーション・プロセッサ・チップ33上の厚さは異なる。感光性樹脂層21の厚み(ベース基板上の厚さ)は、フォトビアの形成が可能な厚みが最大値となるが、リソグラフィ工程との関係で決まる。シリコーン系の感光性樹脂(常温でのヤング率が1GPA以下、120℃では0.1GPA以下、露光量800mJ/cm2以上2600mJ/cm2以下で感光するような樹脂)では、厚さが180μm~200μm程度までは品質上の問題なくフォトビアが形成できることは実証されている。また、感光性樹脂層21は、アプリケーション・プロセッサ・チップ33を確実に包有するとともに厚みを抑制するために、その接続パッドを有するチップ面と重畳する領域の厚みは5μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0033】
以上のように構成される半導体装置10はベース基板に集積されたかたちで、半製品の状態で保管され、場合によっては流通するであろう。図には示さなかったが、半導体装置10が流通する場合、素子保護と遮光のために感光性樹脂層21の表面を覆う保護シート(被膜)が取りつけられる場合もある。このような半導体装置10は、後述する再配線層42とアプリケーション・プロセッサ・チップ33や再配線層42と既存のベース基板内配線層13とを接続するためにメッキなどで埋め込みピラーを形成することなく、ビアホール41、ビアホール43をフォトビアで低コストかつ容易に形成することができ、半製品である半導体装置40を製造する部材の一部となる。そして、後述するように仮ウェハや仮パネルでの半製品である半導体装置40は三次元のFOWLP60AおよびBを製造する部材の一部となる。
【0034】
なお、後述するように、製造方法によっては、上面が面一の絶縁膜14と銅配線層19における面一上にパターニングされた図示しないソルダー・レジスト層が形成されてもよい。
【0035】
〈半製品2〉
図2は、本発明の実施形態に係る半導体装置40の断面図である。この半導体装置40は半導体装置10と同様仮ウェハまたは仮パネルでの半製品であり、図中の左右端は同様の構成の半導体装置40とつながっており、後の工程にて個片化されるべきものである。
【0036】
半導体装置40は、配線層13を持つベース基板と、ベース基板上に固定されたアプリケーション・プロセッサ・チップ33と、再配線層42と、を備える。半導体装置40は、半導体装置10をベースにして、感光性樹脂層21から成る再配線層42が形成されている。
【0037】
再配線層42は、感光性樹脂層21と、銅配線層44とを含む。感光性樹脂層21は、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の一部である接続部(接続パッド)を露出するビアホール43と、ベース基板内配線層13の銅配線層19の接続部を露出するビアホール41とを含む。銅配線層44は、ビアホール43の内側面および底面上に配置された配線フォトビア44a(第1の配線フォトビア)と、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の接続パッドが設けられたチップ面と略平行に配置された配線44bと、ビアホール41の内側面および底面上に配置された配線フォトビア44c(第2の配線フォトビア)と、を含む。この配線フォトビア44aおよび44cの一部は電源またはグランドラインであり、また電源ラインまたはグランドを構成する配線フォトビア44aおよび44cは万一の断線損傷に対処できるよう多重化されている。配線44bは、感光性樹脂層21のベース基板側の面(下面)とベース基板とは反対側の面(上面)との間に略平行に配置される。本実施形態において、ビアホール43の内側面および底面上に配置された配線フォトビア44aと、配線44bと、ビアホール41の内側面および底面上に配置された配線フォトビア44cとは一体である。しかしながらこれに限定されず、配線フォトビア44aと、配線44bと、配線フォトビア44cとは電気的に接続していればよい。このような構成を有することで、銅配線層44を介して、アプリケーション・プロセッサ・チップ33と、配線層13と、アプリケーション・プロセッサ・チップ33上に形成された再配線層42とは3次元的に接続される。
【0038】
ビアホール41および43に配置された配線フォトビア44aおよび44cの内側面には、感光性樹脂層21を構成する絶縁性のある感光性樹脂が配置される。すなわち、配線フォトビア44aおよび44cの内側には、感光性樹脂層21が充填されている。配線フォトビア44aおよび44cの内側に感光性樹脂を充填することによって、配線フォトビア44aおよび44c全体を金属メッキで埋めるような高価で複雑な製造工程を必要とせず、配線44b、配線フォトビア44aおよび44cが一体化した銅配線層を形成できる。よって、特別な製造工程追加による製造コストの増加を抑制することができる。このようにして、銅配線層44は感光性樹脂層21に包埋されている。
【0039】
再配線層42は、3層の銅配線層44、46、48(金属配線層)であるが、更に多層構造にしてもよいし、単層、2層でもよい。銅配線層44と深さの異なる配線フォトビア44aと44cとは電解メッキ処理により銅で一体に形成され、さらに感光性樹脂で覆われている。銅配線層44の上層にはパターニングされた銅配線層46が形成され、さらに感光性樹脂で覆われている。銅配線層46は配線フォトビア45を介して銅配線層44と接続されている。銅配線層46の上層にはパターニングされた銅配線層48が形成されている。銅配線層48は配線フォトビア47を介して銅配線層46と接続されている。銅配線層46と配線フォトビア45、銅配線層48と配線フォトビア47はそれぞれ電解メッキ処理により銅で一体に形成される。銅配線層46および48の上層は、それぞれ薄いフィルム状の感光性樹脂をラミネート、加熱処理等を行って配線フォトビア45および47の内側を感光性樹脂で充填するとともに表面全体を平坦化している。ところで、深さの異なる配線フォトビア44aと44cは、上層の単なる多層化配線のための配線フォトビアよりも深さがある。銅配線層44の上層にも、薄いフィルム状の感光性樹脂をラミネート、加熱処理等を行って配線フォトビア44aおよび44cの内側を感光性樹脂で充填するとともに表面全体を平坦化している。製造過程、製品の稼働時の温度環境によって、温度の上下変動の影響で数十μmのビア径を有する配線フォトビア44a、44cの銅膜に損傷が生じることが懸念される。温度の上下変動による配線フォトビア44aと44cに働く熱応力の集中点はビア底の端とビアの上部端とであるが、本実施例で用いる感光性樹脂(シリコーン系やビスマレイド系の樹脂)は、他の絶縁樹脂(ポリイミドやエポキシ樹脂等)より熱膨張率CTEが高いがヤング率が小さい(柔らかい)ので、配線フォトビア44a、44cの銅膜に働く拘束力は小さく、銅膜を損傷する程のせん断力は生じない。ビア長が深いほどビア底の端にかかる熱応力は高くなるが180μm~200μm程度までは損傷が生じないことは実証できている。例えば、ポリイミドやエポキシ樹脂であると、熱膨張が低くヤング率が高い(硬い)場合は、配線フォトビアの銅膜に働く拘束力は高くなり、銅膜を損傷する可能性が高くなるので、実用上の検証が必要であろう。また、感光性樹脂よりも銅配線自体による熱応力の方が高いことも確認されており、この熱応力の影響はビアの上端部が特に大きいが、半導体パッケージ分野における銅配線では180μm~200μm程度のビア長でビアの上端部に損傷が生じることはない。
【0040】
さらに、感光性樹脂層21のベース基板とは反対側の面(上面)にはソルダー・レジスト又は他の絶縁膜から構成される絶縁層54が形成されている。絶縁層54が存在しない部分は、再配線層42が露出する。絶縁層54から露出する再配線層42の銅配線層48は、外部接続端子49として機能する。複数の外部接続端子49には複数の半田ボール51は配置されている。つまり、再配線層42は外部接続端子49と接続された複数の半田ボール51を介して外部基板などと接続されてもよい。
【0041】
配線フォトビア44aおよび44cは、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の外周端Aに重畳しない位置にある。配線フォトビア45および47もアプリケーション・プロセッサ・チップ33の外周端Aに重畳しない位置にある。さらに、外部接続端子49は、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の外周端Aに重畳しない位置にあることが好ましい。また、半田ボール51も、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の外周端Aに重畳しない位置にあることが好ましい。つまり、アプリケーション・プロセッサ・チップ33を包有している感光性樹脂は、シリコーン系やビスマレイド系の樹脂や柔らかい高分子材料を露光、現像加工、その後に加熱処理して完全に硬化させているが、一般的な再配線材料であるポリイミド樹脂に比べ硬度は低く、かつ外周端Aに位置する部分での微小な段差が生じ易いためからである。また、外部接続端子49、半田ボール51、配線フォトビア45および47を、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の外周端Aに重畳しないように配置することで、半導体装置40の信頼性をさらに向上することができる。
【0042】
感光性樹脂層21に形成された複数のビアホール41およびビアホール43は、感光性樹脂に選択的に光を照射し現像工程を経ることによって樹脂を溶解除去して形成するフォトビアである。銅配線層44,46,48をつなぐ配線フォトビア45、47のビアホールもフォトビアであるアプリケーション・プロセッサ・チップ33の接続パッドの形成面とベース基板内配線層13の銅配線層19とは、感光性樹脂層21の上面からの高さが異なることから、ビアホール43およびビアホール41の開口の深さは異なっている。そしてビアホール43およびビアホール41のアスペクト比も異なっている。ビアホール43のアスペクト比は、ビアホール41のアスペクト比よりも小さい。さらに、ビアホール43のアスペクト比は1.5以下である。図3に示すように、ビアホールのアスペクト比が小さいほど、ビアホールに形成される配線フォトビアの不良率は抑制される。このため、ビアホール43のアスペクト比が1.5以下であることで、ビアホール43に配置される配線フォトビア44aの接続信頼性が向上する。ここで、ビアホール43およびビアホール41のアスペクト比とは、開口の高さを底部開口端の最大径で除した値と定義する。配線フォトビア44aまたは配線フォトビア44cはビアホール43またはビアホール41に極薄い銅膜(約2μm~10μm程度)が内接しているので、この銅膜の厚さが配線フォトビア44aまたは配線フォトビア44cのアスペクト比に影響を与えることはない。
【0043】
FOWLPに搭載される半導体チップの有する接続パッドの数は、ベース基板内配線層13と再配線層42とを接続する3次元配線フォトビアの数よりも圧倒的に多い。つまり、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の接続パッドの形成面上に配置されるビアホール43の数は、ベース基板内配線層13上に配置されるビアホール41の数よりも多い。例えば、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の接続パッド形成面上に配置されるビアホール43の数は、200個~10000個程度である。一方、ベース基板内配線層13上に配置されるビアホール41はベース基板内配線層13および再配線層42からなる配線の一部をなすもので、その数は20個~200個程度である。このため、数の多いビアホール43のアスペクト比を1.5以下にすることで、各配線フォトビア44aの接続信頼性を向上することができ、全体的な接続信頼性の向上を図ることができる。一方、数の少ないビアホール41のアスペクト比も1.5以下が望ましいが、多重の配線パスを配するようにすれば全体的な接続信頼性は維持できるので、アスペクト比が多少大きくなっても対応できる。このような構成を有することで、半導体装置40の信頼性の向上と配線の高密度化を図ることができる。なお、後述するように、ビアホール43およびビアホール41は、同一の工程にて形成する。
【0044】
以上のような構成により、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の一部の接続パッドは再配線層42を介して半田ボール51に電気的に接続されるとともに、他の一部の接続パッドはビアホール41を通る銅配線層44を介してベース基板内配線層13中の各銅配線層に電気的に3次元接続される。
【0045】
以上のように構成される半導体装置40も基板11に集積されたかたちで、半製品の状態で保管され、場合によっては流通するであろう。そして、このような半導体装置40は、三次元のFOWLP60Aおよび60Bを製造する部材の一部となる。
【0046】
〈本発明の一実施形態に係る半導体装置の実装〉
図4は本発明の一実施形態に係る半導体装置をプリント基板53に実装した状態(半導体装置50)の断面図である。この段階は半導体装置40の基板11を剥離層ごとレーザー照射や機械的分離により剥離されている。なお、この剥離は、個片化する前のウエハ形状のままで処理しても良いし、個片化した後に処理してもよい。また、この段階ではまだ半導体チップの三次元実装がなされていない。この段階までの実装方法を次に述べる。
【0047】
図2に示した半製品2をダイシングソーなどを用いて個片化する。なお、本発明の一実施形態に係る半導体装置は、個片化された状態で保管され流通するであろう。プリント基板53への実装は、まず、個片化された半導体装置40を上下反転させて、プリント基板53に搭載する。半田ボール51がプリント基板53の接続ターミナル上に着地するように搭載する。続いて、熱風を吹きかけ(リフロー工程)、半田ボール51を融解させ、プリント基板53の接続ターミナルと電気的に接続する。
【0048】
〈本発明の一実施形態に係る半導体装置の三次元実装〉
図5は本発明の一実施形態に係る三次元半導体装置(実装後)の状態(三次元半導体装置60A)の断面図である。この段階までの実装方法を次に述べる。
【0049】
図5に示した状態で、図示しないアンダーフィルで半田ボール51を覆う。アンダーフィルは流動性の高いエポキシ樹脂であり、個片化された半導体装置の近傍にエポキシ樹脂を滴下すると、毛細管現象により、プリント基板53と再配線層42との間にエポキシ樹脂が流れ込む。このようにして半田ボール51はアンダーフィルで覆われる。
【0050】
続いて、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の外部メモリとなるDRAMまたはフラッシュ・メモリ等のメモリ62を準備する。これらメモリ62はボール・グリッド・アレイ(BGA)型のパッケージであり、外部接続用の多数の半田ボール61が存在する。この半田ボール61を半導体装置50の(すでに基板が剥離されて配線層13が露出された)配線部の接続パッド15に着地するようにメモリ62を搭載する。続いて、熱風を吹きかけ(リフロー工程)、半田ボール61を融解させ、接続パッド15と電気的に接続する。上述したアンダーフィルによって、リフロー工程において半田ボール51にダメージが与えられるのを防ぐことができる。
【0051】
〈本発明の一実施形態に係る半導体装置の第二の三次元実装〉
図5において、プリント基板53に実装する前に、メモリ62を接続パッド15に実装し、3次元製品を作った後、3次元FOWLPとしてプリント基板53に実装を行うことも可能である。メモリ62は、半田ボール61を介して接続パッド15と電気的に接続する。メモリ62と配線層13との間は、図示しないアンダーフィルで半田ボール61を覆ってもよい。プリント基板53への実装前の半導体装置60Aはテストされ、3次元FOWLP製品として流通するであろう。
【0052】
この結果、三次元実装されたアプリケーション・プロセッサ・チップ33とメモリ62とが電気的に接続され、システムインテグレーションされてプリント基板に接続される。
【0053】
以上のとおり本発明の一実施形態に係る半導体装置は、FOWLP構造においてシステムインテグレーション化に適した三次元実装を可能にするとともに、高速化の阻害なく、低コストでかつ設計の容易性が可能となる。
【0054】
〈本発明の一実施形態に係る半導体装置の第三の三次元実装〉
本発明の一実施形態においては三次元実装の例として二層に半導体素子を積層する構成を図5で示したが、これに限るものではなく、例えば図6に示すように、図2で示した半導体装置を三層以上に積層してもよい。これにより、一段と高密度に実装をすることが可能になる。また、図2で示した半導体装置においては、アプリケーション・プロセッサ・チップ33は1つ配置した。しかしながらこれに限定されず、色々なシステムインテグレーション化が可能である。後述するようにアプリケーション・プロセッサ・チップ33は2つ以上配置されてもよく、それぞれのアプリケーション・プロセッサ・チップ33は高さが同じであっても異なってもよい。また、複数のアプリケーション・プロセッサ・チップ33は重ねて配置されてもよい。また、アプリケーション・プロセッサ・チップ33に限定されることはなく、メモリチップ、データストレージ用やグラフィック処理用のコントローラチップ、アナログ、RFチップまたは電子部品等の組み合わせによるシステムインテグレーションでもよい。
【0055】
〈半製品1の製造方法〉
仮ウェハや仮パネルでの半製品である半導体装置10の製造工程を図7および図8に示す。
【0056】
図7および図8は、本発明の一実施形態に係る半導体装置(仮ウェハや仮パネルでの半製品1)の製造方法を示した断面図である。図7に示すとおり、初めに剛性を持つ基板11が準備される。半導体装置の基板11は、後の工程でレーザー照射等により剥離する場合にはガラスやプラスチック等の透光性のある基板11を用いる。レーザー照射を持ちる必要のないものは透明のガラスやプラスチック以外にシリコンや、セラミックス、金属、透明でないプラスチックの場合もある。基板11上には離形層12が形成される。離形層12の材料は接着層と純剥離層とからなる。接着層は10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレート層からなる。純剥離層は1μm以下、典型的には0.3μm程度の厚さのヒドロキシル基と吸光基とからなる高分子化合物層で構成されることが望ましいこと、合計厚さは数μm~数十μmであり、典型的には約10μmである。なお、機械的剥離の場合には、剥離層に吸光基は不要である。
【0057】
離形層12上に、離形層12に接して配線層13を形成する。配線層は銅配線であり、主にエッチングまたは銅メッキ方法で形成される。絶縁層16のパターンは銅配線層15と相補的なパターンである。すなわち、絶縁層16が存在しない部分は銅配線層15であり接続パッド15として機能している。接続パッド15と絶縁層16上に、パターニングされた銅配線層17を形成する。銅配線層17はビア18’を介して銅配線層15と接続される。ビア18’は銅配線層17と一体に銅配線で形成する。続いて、銅配線層17を絶縁膜14で覆う。絶縁膜14には開口が形成される。一般的にはフォトリソグラフィー法かレーザー照射によって開口が形成される。前者によって形成された開口に金属層が形成されたものをフォトビアとよび、後者によって形成された開口に金属層が形成されたものをレーザービアとよぶ。絶縁膜14に用いる材料は、フォトビアを形成する場合は感光性の絶縁材料で、レーザービアを形成する場合には非感光性の絶縁材料である。
【0058】
銅配線層15、17、および19はエッチングまたは銅メッキ方法によって形成する。銅メッキ方法による銅配線層15、17、および19の形成方法は以下のとおりである。まず銅メッキのシードとなるチタン(Ti)/銅(Cu)積層薄膜をスパッタリングにより全面に形成する。その上に、感光性レジストを塗布して配線領域を露出するようにパターニングする。続いて、感光性レジストによって露出されたチタン(Ti)/銅(Cu)積層薄膜をシードにして銅(Cu)メッキを施す。その後感光性レジストを剥離し銅配線パターン以外のシード層をエッチング除去することによって銅配線層15、17、および19を形成する。エッチングによる配線は、ここでは省略する。なお、配線層13が製造工程において支障をきたさない上十分な硬さを有する場合には、基板11や離形層12は必要としなくともよい。
【0059】
配線層13上には、アプリケーション・プロセッサ・チップ33が間隔を置いて固着される。(図7)。アプリケーション・プロセッサ・チップ33の厚さは通常100μm以下であり、一般的には70μm程度のものが多い。アプリケーション・プロセッサ・チップ33の集積回路形成面(接続パッドの形成面)は図中上面に相当する。
【0060】
アプリケーション・プロセッサ・チップ33上には感光性樹脂からなる感光性樹脂層21が形成される。感光性樹脂層21の厚さは200μm以下であり、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の厚さよりも10μm~50μm厚い。アプリケーション・プロセッサ・チップ33の厚さを70μmとすると感光性樹脂層21は100μm程度である。感光性樹脂の材料は特に限定しないが、ドライフィルムを真空ラミネート加工することによって形成する。まず、フィルム状の感光性樹脂をアプリケーション・プロセッサ・チップ33上にラミネート(100℃でフィルム状の感光性樹脂をアプリケーション・プロセッサ・チップ33上に仮接着した後に真空引きする)し、アプリケーション・プロセッサ・チップ33上に盛り上がった部分を簡易プレスで平坦化(60℃で5分程度かけて平坦化する)し、仮キュア(100℃で5分程度)する。絶縁性の感光性樹脂は、シリコーン系やビスマレイド系の樹脂や柔らかい高分子材料から構成される。感光性樹脂は、アプリケーション・プロセッサ・チップ33を覆うように包埋するため、弾性係数(Young’s Modulus)は常温で1GPA以下、125℃で0.1GPA以下であることが望ましい。感光性樹脂層21がシリコーン系樹脂である場合、架橋密度や分子鎖の長さを適宜調整することで、弾性係数を上記範囲内に設定することができる。一般的なエポキシ封止剤は常温で数十GPAなので、相当程度弾性係数が低い材料を用いることになる。感光性樹脂層21としては、上記条件を満たすかぎり、公知の感光性樹脂材料を用いることもできる。弾性係数が常温で1GPA以上または125℃で0.1GPA以上になると、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の埋め込みが困難になりボイドやデラミネーション、埋め込み時のチップダメージなどの障害が起きやすい。
【0061】
感光性樹脂層21は、ドライフィルムを用いて真空ラミネート加工によって形成することで、上面(基板11とは反対側の面)を略平坦に形成することができる。しかしながら、感光性樹脂層21の上面(基板11とは反対側の面)は、アプリケーション・プロセッサ・チップ33が配置される位置が若干盛り上がることもあり、感光性樹脂層21の上面は、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の外周端(図8矢印A)に沿って微小の段差が生じることがある。平坦化工程において、この微小の段差は生じても数ミクロン以下(配線幅以下)になるように制御される。
【0062】
図9は、この微小な段差が生じた感光性樹脂層21を示した拡大断面図(図8の点線領域)である。図9に示すように、感光性樹脂層21は、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の外周端Aに重畳する領域に微小の段差を生じている。この段差を跨ぐように上方に形成される再配線は、この段差の高さh1の影響を受け、配線幅を細くすると断線の可能性が高くなる。断線の可能性を抑制するために、信頼性上は配線幅は広い方がよく段差h1は低く制御された方が良い。
【0063】
〈半製品2の製造方法〉
仮ウェハや仮パネルでの半製品である半導体装置40の製造工程を図10から図17に示す。
【0064】
図10から図17は、本発明の一実施形態に係る半導体装置(仮ウェハや仮パネルでの半製品2)の製造方法を示した断面図である。まず、平坦化された感光性樹脂層21は完全に硬化しない(仮硬化)程度に仮加熱され、その後、図10に示すように、ベース基板内の配線層13の上に固定された半導体装置10の感光性樹脂層21側から、感光性樹脂層21に向けて紫外線52を選択的に照射し露光する、さらに熱加工を施こす。現像処理により選択照射された感光性樹脂を溶解除去(現像)する。その後、加熱処理により本硬化をすることによって感光性樹脂層21のビアホール41および43を形成する。なお、完全に硬化した感光性樹脂層21は半導体チップのエポキシ樹脂材などのモールド樹脂に比べ硬度を示すヤング率は一桁程低いが、衝撃を与えない限り、形成したビアホール41および43の形状が変わることはない。このとき、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の接続パッド上にビアホール43、配線層13の接続部上にビアホール41の開口をほぼ同時に形成する。紫外線52はメタルハライドランプや高圧水銀灯により発生させ、可動ミラーを介して、感光性樹脂層21表面を選択的に走査(Scanning)して照射することが望ましい。もし基板11が大型であり、走査による選択照射に時間がかかりすぎる場合は、ステンシルマスクを用いて選択的に紫外線を照射してもよい。
【0065】
感光性樹脂は露光量800mJ/cm2以上2600mJ/cm2以下で感光することが望ましい。別言すると、上記範囲内の露光量によってビアホール41およびビアホール43を形成することができるように、感光性樹脂の光架橋材料などが適宜選択される。また、感光性樹脂は500nmの光透過率が99.7%、450nmの光透過率が99.1%、400nmの光透過率が97.6%、350nmの光透過率が86.4%、300nmの光透過率が0%であることが望ましい。感光性樹脂は350nm以上の波長の光透過率が85%以上であることがより望ましい。ここで感光性樹脂の光透過率とは、ガラス基板上に15μm厚の樹脂を成膜・硬化し、各波長における光の吸収・透過から透過率を算出した。感光性樹脂がシリコーン系樹脂である場合、架橋密度や分子鎖の長さなどを適宜調整することで、光透過率を上記範囲内に設定することができる。感光性樹脂層21の感光性樹脂の露光量および光透過率を上記範囲内に設定することで、ビアホール41およびビアホール43を形成することができる。
【0066】
ベース基板内配線層13およびアプリケーション・プロセッサ・チップ33の接続パッドの形成面は、感光性樹脂層21の上面からの高さが異なる。このため、ビアホール43およびビアホール41のアスペクト比も異なる。ビアホール43のアスペクト比は、ビアホール41のアスペクト比よりも小さい。さらに、アスペクト比は1.5以下であることが好ましい。アプリケーション・プロセッサ・チップ33が約70μmの厚さ、感光性樹脂層21が約100μmの厚さで、ビアホール43の径が30μm、ビアホール41の径が70μmの場合では、ビアホール43のアスペクト比は1.0、ビアホール41のアスペクト比は1.42である。
【0067】
図11に示すように、銅配線層44の銅メッキ方法によって形成し、その製造工程は以下のとおりである。まず、銅メッキのシードとなるチタン(Ti)/銅(Cu)積層薄膜をスパッタリングにより全面に形成する。その面の上に感光性レジストを塗布して配線領域を露出するようにパターニングする。続いて、感光性レジストによって露出されたチタン(Ti)/銅(Cu)積層薄膜の部分をシードにして銅(Cu)メッキを施した後、感光性レジストを剥離し銅配線パターン以外のシード層をエッチング除去することによって銅配線層44が形成される。この工程により、ビアホール41および43の内側面も銅メッキされ、配線フォトビア44cおよび44aが形成される。つまり、感光性樹脂層21の上面に配置される配線44bと配線フォトビア44cおよび44aは一体形成される。
【0068】
感光性樹脂層21の上面は、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の外周端(図11矢印A)に沿って段差が生じる場合がある。このため、感光性樹脂層21の上面に形成される配線44bもアプリケーション・プロセッサ・チップ33の外周端(図11矢印A)を跨ぐ際に段差が生じる場合がある。図12および図13は、感光性樹脂層21の上面および配線44bであってアプリケーション・プロセッサ・チップ33の外周端Aに重畳する領域(図11の点線領域)の拡大断面図および拡大上面図である。図12に示すように、配線44bは、アプリケーション・プロセッサ・チップ33の外周端Aに重畳する領域に段差を有するが、配線44bの段差の高さh2は、銅配線のパターニングにより感光性樹脂層21の段差の高さh1より多少小さくなる。
【0069】
図13に示すように、感光性樹脂層21上面に微小の段差を有する場合、感光性樹脂層21上面に形成される配線44bを形成するときに、段差による光の反射によってポジ型の感光性レジストが余分に露光されてしまい、この段差の境界付近における配線44bの幅が多少狭くなることがある。本実施形態においては、感光性樹脂層21上面の段差を配線幅設計値以下に平坦化しているので、この配線幅の狭まりが生じても、配線44bが断線するようなことが生じないように抑制している。
【0070】
一方で、感光性樹脂層21上面の微小な段差は、柔らかい感光性樹脂層21に対して平坦化処理が行われるので、急峻な段差ではなくなだらかな傾斜となる。この傾斜は配線44bへの応力を緩衝している。
【0071】
図14に示すように、銅配線層44の上には感光性樹脂からなる感光性樹脂層21が形成される。具体的には、15μm程度の膜厚のフィルム状の感光性樹脂材(ドライフィルム)を用いて真空ラミネートにより形成される。これにより配線フォトビア44aおよび44cの内側には感光性樹脂が充填され、露出している上面も平坦になる。この銅配線層44の上に配置する感光性樹脂はアプリケーション・プロセッサ・チップ33を包埋する感光性樹脂と同じ材料系を用いる。なお、5μm程度の膜厚であるため液体状の感光性樹脂材をスピンコートやスリットコートすることも可能である。
【0072】
図15に示すように、仮硬化、露光、現像、本硬化の処理を経て、銅配線層44の上の感光性樹脂層21には、配線フォトビア45のためのビアホールが形成される。その後の銅メタライズ処理により配線フォトビア45は形成される。図16に示すように、銅配線層46も銅配線層44と同一の工程を繰り返すことによって形成される。
【0073】
図17に示すように、銅配線層46の上には感光性樹脂からなる感光性樹脂層21がさらに形成される。具体的には、5μmから10μm程度の膜厚のフィルム状の感光性樹脂材(ドライフィルム)を用いて真空ラミネートにより形成される。これにより配線フォトビア45の内側には感光性樹脂が充填され、露出している上面も平坦になる。この銅配線層46の上に配置する感光性樹脂もアプリケーション・プロセッサ・チップ33を包埋する感光性樹脂と同じ材料系を用いることが好ましい。なお、5μmから10μm程度の膜厚であるため液体状の感光性樹脂材をスピンコートやスリットコートすることも可能である。再配線層42の配線フォトビア47および銅配線層48も同一の工程を繰り返すことによって形成される。同一の感光性樹脂を用いることで各層は境界層がない結合により多層化がなされ、感光性樹脂層21は一体化される。なお、異種の液状の感光性樹脂系であっても各層は薄いため、結合は多少弱まるが、所定の品質を確保できる層間結合は可能である。
【0074】
このようにして、高さの異なるアプリケーション・プロセッサ・チップ33とベース基板内配線層13とを、貫通ピラー、貫通電極やレーザービア等のような複雑な技術を利用することなく、配線フォトビアを用いて低コストで再配線層42に接続することが可能になる。
【0075】
〈半製品3〉
図18は、本発明の実施形態に係る半導体装置10Aの断面図である。この半導体装置10Aは仮ウェハや仮パネルでの半製品であり、図中の左右端は同様の構成の半導体装置10Aとつながっており、後の工程にて個片化されるべきものである。本実施形態に係る半導体装置10Aは、ベース基板内配線層13を含まず、複数のアプリケーション・プロセッサ・チップ33を含むことが、半製品1に係る半導体装置10と相違する。なお、以下の実施形態で参照する図面において、半製品1と同一部分または同様な機能を有する部分には同一の数字または同一の数字の後にアルファベットを追加した符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0076】
半導体装置10Aは、ベース基板と、ベース基板上に形成された感光性樹脂層21と、この感光性樹脂層21中に配置されたアプリケーション・プロセッサ・チップ33a(半導体素子、第1の電子回路素子)と、アプリケーション・プロセッサ・チップ33b(半導体素子、第2の電子回路素子)とを有する。図には示さなかったが、半導体装置10が流通する場合、素子保護と遮光のために感光性樹脂層21の表面を覆う保護シート(被膜)が取りつけられる場合もある。
【0077】
ベース基板上には、接着材34aまたは接着材34bを介して異なるチップ厚のアプリケーション・プロセッサ・チップ33aとアプリケーション・プロセッサ・チップ33bとが固定されている。アプリケーション・プロセッサ・チップ33aとアプリケーション・プロセッサ・チップ33bとは、接続部の形成面がベース基板とは反対側に向くようFace-upで間隔をあけて搭載される。本実施形態においてアプリケーション・プロセッサ・チップ33は2つ並置した。しかしながらこれに限定されず、アプリケーション・プロセッサ・チップ33は1つ配置されてもよく、3つ以上並置されてもよい。アプリケーション・プロセッサ・チップ33aの厚さは、アプリケーション・プロセッサ・チップ33bの厚さより厚い。アプリケーション・プロセッサ・チップ33aとアプリケーション・プロセッサ・チップ33bとは、感光性樹脂層21の内部に埋め込まれ、感光性樹脂層21の簡易プレスによってベース基板に対して平坦化されている。ここでアプリケーション・プロセッサ・チップ33aとアプリケーション・プロセッサ・チップ33bとの接続パッドの形成面は図中上面に相当する。このため、アプリケーション・プロセッサ・チップ33aとアプリケーション・プロセッサ・チップ33bとの接続パッドの形成面は、感光性樹脂層21に包埋され、感光性樹脂層21の上面からの距離が異なっている。感光性樹脂層21の厚みは、フォトビアの形成が可能な厚みが最大値となるが、リソグラフィ工程との関係で決まる。シリコーン系の感光性樹脂では180μm~200μm程度までは品質上の問題なくフォトビアが形成できることは実証されている。感光性樹脂層21は、最も厚みがあるアプリケーション・プロセッサ・チップ33aを確実に包有するとともに厚さを抑制するために、その接続パッドの形成面と重畳する領域の膜厚が5μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0078】
このような半導体装置10Aは、後述する再配線層42と複数のアプリケーション・プロセッサ・チップ33とを接続するためのビアホール43に、メッキなどで長い埋め込みピラーを形成することなく、フォトビアで低コストかつ容易に形成することができ、半製品である半導体装置40Aを製造する部材の一部となる。
【0079】
〈半製品4〉
図19は、本発明の実施形態に係る半導体装置40Aの断面図である。この半導体装置40Aは半導体装置10Aと同様仮ウエハまたは仮パネルでの半製品であり、図中の左右端は同様の構成の半導体装置40Aとつながっており、後の工程にて個片化されるべきものである。
【0080】
半導体装置40Aは、ベース基板と、ベース基板上に固定されたアプリケーション・プロセッサ・チップ33aおよびアプリケーション・プロセッサ・チップ33bと、再配線層42と、を備える。半導体装置40Aは、半導体装置10Aをベースにして、感光性樹脂層21に再配線層42が形成されている。
【0081】
再配線層42は、感光性樹脂層21と、銅配線層44とを含む。感光性樹脂層21は、アプリケーション・プロセッサ・チップ33aおよび33bの一部である接続部(接続パッド)を露出する複数のビアホール43aおよび43bを含む。銅配線層44は、ビアホール43aおよび43bの内側面および底面上に配置された配線フォトビア44aa(第1の配線フォトビア)および配線フォトビア44ab(第3の配線フォトビア)と、アプリケーション・プロセッサ・チップ33aおよびアプリケーション・プロセッサ・チップ33bの接続パッドの形成面と略平行に配置された配線44bと、を含む。配線44bは、感光性樹脂層21のベース基板側の面(下面)とベース基板とは反対側の面(上面)との間に略平行に配置される。本実施形態において、ビアホール43aおよび43bの内側面および底面上に配置された配線フォトビア44aaおよび44abと、配線44bとは一体的に形成され、図示はしていないが奥行方向で電気的に接続している。このような構成を有することで、再配線層42内の銅配線層44を介して、アプリケーション・プロセッサ・チップ33aおよび33bとは電気的に接続される。
【0082】
銅配線層44を形成した後、絶縁性の薄いフィルム状の感光性樹脂(ドライフィルム)を真空ラミネートすることにより、ビアホール43aおよび43bに配置された配線フォトビア44aaおよび44abの内側面には、深さやが異なるホールではあるが感光性樹脂が同一工程により容易に充填される。すなわち、配線フォトビア44aaおよび44abの内側には、感光性樹脂層21が配置される。このように、銅配線層44は感光性樹脂層21に完全に包埋され、その表面全体はほぼ平坦化されている。なお、銅配線層44を形成した後、その表面に絶縁性の液状の感光性樹脂をスピンコートやスリットコートすることも可能である。
【0083】
再配線層42は、複数層の銅配線層44、46、48(金属配線層)から構成され、銅配線層44,46,48は配線フォトビア45、47によって電気的に接続されてもよい。感光性樹脂層21は、一層目は厚く二層目以降は薄いフィルム状の感光性樹脂を積み重ねて各層を形成する。各層の製造工程毎に加熱、加圧の処理が施されることで、境界面のない結合がなされ一体化した樹脂層となる。なお、二層目以降の薄い層については、液状の同種の樹脂材料系の感光性樹脂をスピンコートやスリットコートにて、加熱、加圧の処理を施して積層することも可能である。このように積層形成された感光性樹脂層21は、断面解析にても境界面が確認できないほど層間結合が強い。層間結合が多少弱くはなるが、フィルム状と液状の感光性樹脂を異種の材料系とすることも、所定の品質を確保できれば可能である。
【0084】
基板11と対向する面(図中上面)には外部接続端子49が配置される。外部接続端子49は、アプリケーション・プロセッサ・チップ33aおよび33bの外周端Aに重畳しない位置に配される。再配線層42は外部接続端子49と接続された複数の半田ボール51を介して外部基板などと接続されてもよい。半田ボール51も、アプリケーション・プロセッサ・チップ33aおよび33bの外周端Aに重畳しない。一般的に配線フォトビア44aaおよび44abは、アプリケーション・プロセッサ・チップ33aおよび33bの外周端Aに重畳しない。外部接続端子49、半田ボール51、配線フォトビア45、46、47をアプリケーション・プロセッサ・チップ33aおよび33bの外周端Aに重畳しないように配置することで、外周端Aの上方に生ずる可能性がある微小の段差の影響を抑制でき、半導体装置40の信頼性を向上することができる。
【0085】
アプリケーション・プロセッサ・チップ33aおよび33bの接続部(接続パッド)を露出するビアホール43aおよび43bは、感光性樹脂に選択的に光を照射し現像工程を経ることによって樹脂を溶解除去して形成する。アプリケーション・プロセッサ・チップ33aと33bとの接続部の形成面は、感光性樹脂層21の上面からの高さが異なることから、ビアホール43aおよび43bの深さは異なっている。そしてビアホール43aおよび43bのアスペクト比も異なっている。しかしながら43aおよび43bのアスペクト比も1.5以下がのぞましい。ビアホール43aビアホール43bのアスペクト比が1.5以下であることで、ビアホール43aに配置される配線フォトビア44aa、ビアホール43bに配置される配線フォトビア44abの接続信頼性が向上する。配線フォトビア44aaまたは44abはビアホール43aまたは43bに内接することから、配線フォトビア44aaまたは44abのアスペクト比は、ビアホール43aまたは43bのアスペクト比と略同一である。なお、後述するように、ビアホール43aおよび43bは、同一の工程にて形成することができる。アプリケーション・プロセッサ・チップ33aの厚さが70μm、アプリケーション・プロセッサ・チップ33bの厚さが50μm、感光性樹脂層21の厚さが100μm、アプリケーション・プロセッサ・チップ33aの接続パッドの形成面と重畳する領域の膜厚は30μm、アプリケーション・プロセッサ・チップ33bの接続パッドの形成面と重畳する領域の膜厚は50μmとすると、ビアホール43aの径が30μm、ビアホール43bの径が40μmの場合では、ビアホール43aのアスペクト比は1.0、ビアホール43bのアスペクト比は1.25である。
【0086】
以上のように構成される半導体装置40Aも基板11に集積されたかたちで、半製品の状態で保管され、場合によっては流通するであろう。
【0087】
〈本発明の一実施形態に係る半導体装置の実装〉
図20は本発明の一実施形態に係る半導体装置をプリント基板53に実装した状態(半導体装置50A)の断面図である。この段階までの実装方法を次に述べる。
【0088】
図19に示した半製品2をダイシングソーなどを用いて個片化する。個片化前に電気的特性等の試験工程を経てもよい。個片化された状態でも、基板11は付着したままである。本発明の一実施形態に係る半導体装置は、個片化された状態で保管され流通するであろう。
【0089】
プリント基板53への実装は以下の工程を経て行う。まず、個片化された半導体装置40Aを上下反転させて、プリント基板53に搭載する。半田ボール51がプリント基板53の電極ランド上に着地するように搭載する。続いて、熱風を吹きかけ(リフロー工程)、半田ボール51を融解させ、プリント基板53の電極ランドと電気的に接続する。
【0090】
〈本発明の実施形態の各変形例〉
図19において、ベース基板は基板11を含む構成を示した。しかしながらこれに限定されず、図21に示すように、半導体装置40A’は、ベース基板として基板11と離形層12と配線層13とを含んでもよい。また図には示さなかったが、配線層13だけで構成されてもよい。このとき銅配線層44は、ベース基板内配線層13と接続する配線フォトビア44cを含んでもよい。このような構成を有することで、銅配線層44を介して、アプリケーション・プロセッサ・チップ33aおよび33bと、配線層13と、再配線層42とは3次元的に接続される。そして、このような半導体装置40A’は、三次元のFOWLP60を製造する部材の一部となる。
【0091】
また、図18で示した半導体装置10Aにおいては、アプリケーション・プロセッサ・チップ33aと33bとが、それぞれ基板11上に横並びに配置される構成を示した。しかしながらこれに限定されず、図22に示すように、半導体装置10Bは、NAND型フラッシュメモリやDRAM等のメモリチップ33x、33yとストレージコントローラ・チップ33zを、ベース基板上に階段状に積層配置してもよい。またシステムインテグレーションの要求によっては、メモリチップを更に多段に積層してもよい。階段状に積層するのは、チップサイズがほぼ同程度の場合に単純に積層すると接続パッドが露出しないので、各チップの接続パッドを露出させるためからである。なお、サイズの小さいチップを上段に積層する場合には接続パッドが露出すれば、あえて階段状に積層しなくてもよい。また、接続パッドの数が多い半導体チップ(図22ではストレージコントローラ・チップ33z)は浅い配線フォトビアでの接続が高速伝送化や断線リスクの低減化に優位であるので、最上層へ配置する。
【0092】
図23に、半導体装置10Bをベースにして、感光性樹脂層21に再配線層42が形成されている半導体装置40Bを示す。メモリチップ33x、33yとストレージコントローラ・チップ33zのそれぞれの接続部(接続パッド)が重畳しないように階段状に積層される。フィルム状の感光性樹脂(ドライフィルム)を真空ラミネート加工によって全てのメモリチップ33x、33yとストレージコントローラ・チップ33zを包有するように樹脂で包有させ、プレス処理にて上面を平坦化する。真空ラミネート加工にて、接続パッドの設けられていない階段状の部分に気泡を形成することなく、密封は可能である。当然ながら、メモリチップ33x、33yの接続部は露出される位置に配されるように設けられている。
【0093】
感光性樹脂層21の厚さは200μm以下であり、メモリチップ33x、33yとストレージコントローラ・チップ33zのトータルの厚さよりも10μm~50μm厚い。感光性樹脂層21は、メモリチップ33x、33yとストレージコントローラ・チップ33zを確実に包有するとともに厚みを抑制するために、最上層のチップ(この場合、ストレージコントローラ・チップ33z)の接続パッドを有するチップ面と重畳する領域の厚みは5μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0094】
感光性樹脂層21は、メモリチップ33x、33yとストレージコントローラ・チップ33zのそれぞれの接続部(接続パッド)を露出するビアホール43aとビアホール43bとビアホール43cとを含む。ビアホール43a、43b、43cには、配線フォトビア44aa、44ab、44acが配置される。配線フォトビア44aa、44ab、44acの内側には、感光性樹脂層21が配置されている。これは、前述の実施形態同様、次段の配線層を形成する工程で感光性樹脂を真空ラミネート加工(あるいはスピンコート、スリットコート加工も可能)することで配線フォトビア44aa、44ab、44acの内側に確実に感光性樹脂が充填されることによる。
【0095】
配線フォトビア44aaのアスペクト比は配線フォトビア44abのアスペクト比より大きく、配線フォトビア44abのアスペクト比は配線フォトビア44acのアスペクト比より大きい。配線フォトビア44aaと配線フォトビア44abと配線フォトビア44acとは、配線44bとは電気的に接続している。このような構成を有することで、銅配線層44を介して、メモリチップ33x、33yとストレージコントローラ・チップ33zと再配線層42とは電気的に接続される。
【0096】
配線フォトビア44aa、44ab、44acは、メモリチップ33x、33yとストレージコントローラ・チップ33zの外周端Aに重畳しない位置にある。再配線層42の配線フォトビア45および47もメモリチップ33x、33yとストレージコントローラ・チップ33zの外周端Aに重畳しない位置にある。さらに、外部接続端子49は、メモリチップ33x、33yとストレージコントローラ・チップ33zの外周端Aに重畳しない位置にあることが好ましい。また、半田ボール51も、メモリチップ33x、33yとストレージコントローラ・チップ33zの外周端Aに重畳しない位置にあることが好ましい。ここで、メモリチップ33x、33yとストレージコントローラ・チップ33zの外周端Aとは、上面視したときに確認できる多段に配置されるすべての外周端Aを示す。このため、例えば、上段のメモリチップ33yとストレージコントローラ・チップ33zに覆われるメモリチップ33xの一部の外周端(図23のメモリチップ33x左端)上には、配線フォトビア45および47も外部接続端子49も配置することができる。
【0097】
図23において、ベース基板は基板11を含む構成を示した。しかしながらこれに限定されず、図24に示すように、半導体装置40B’は、ベース基板として基板11と離形層12と配線層13とを含んでもよい。また図には示さなかったが、配線層13だけで構成されてもよい。このとき銅配線層44は、配線層13と接続する配線フォトビア44cを含んでもよい。このような構成を有することで、銅配線層44を介して、メモリチップ33x、33yとストレージコントローラ・チップ33zと、配線層13と、再配線層42とは3次元的に接続される。
【0098】
なお本発明は上記の実施形態および変形例に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、各実施形態および変形例は適宜組み合わせることが可能である。
【0099】
〈本発明の一実施形態に係る電子情報端末〉
本発明の一実施形態に係る電子情報端末(携帯電話、スマートフォン端末、タブレット端末等を含みこれに限られない。)は、端末の主プリント基板に搭載された三次元の半導体装置60A、60B、40A、40A’、40B、40B’、のいずれか少なくとも一つを含む。チップ間の伝送距離が短く、インピーダンスを抑え、良好な大量のデータ通信が可能である。本発明の一実施形態においては、各半導体チップを積層実装することができ、実装面積を減らすことができるので、小型化の電子情報端末が実現できる。
【0100】
本発明の一実施形態においては、アプリケーション・プロセッサ・チップとDRAMやフラッシュ・メモリを三次元実装する例を示したが、電子回路素子はこれに限定されるものではなく、アプリケーション・プロセッサ・チップに代えて他の論理LSIやメモリ素子であってもかまわないし、DRAMやフラッシュ・メモリに代えて他のメモリ素子や論理LSI、ディスクリート、アナログ、RF素子であってもかまわない。これら電子回路素子は、半導体装置に限る必要はなく、受動素子、センサ素子、磁気デバイス、アンテナ等の電子回路の各種構成要素となりうる素子であってもよい。
【符号の説明】
【0101】
10 半導体装置(半製品1)
11 基板
13 配線層
42 再配線層
17、19、44、46、48 銅配線層
18、41、43、45、47 ビア
21 感光性樹脂層
33 半導体素子(アプリケーション・プロセッサ・チップ)
40 半導体装置(半製品2)
16、107 ソルダー・レジストまたは絶縁層
51、61 半田ボール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25