(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】吊下装置
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20231024BHJP
D06F 57/12 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A47G29/00 L
D06F57/12 B
(21)【出願番号】P 2019182847
(22)【出願日】2019-10-03
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 健太
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-092659(JP,A)
【文献】実公昭49-016505(JP,Y1)
【文献】実開昭47-024340(JP,U)
【文献】実公昭45-008804(JP,Y1)
【文献】特開2012-000398(JP,A)
【文献】特開2009-039241(JP,A)
【文献】実開昭48-046940(JP,U)
【文献】特開平08-000896(JP,A)
【文献】実開昭63-132694(JP,U)
【文献】特開2011-026773(JP,A)
【文献】実開昭50-036731(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G29/00
A47G25/00-25/92
D06F57/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を吊り下げ可能な1以上の第1フックを有する基部と、
方形平板状をなすとともに、前記基部を覆うことが可能な覆い部材と、
前記基部と前記覆い部材との間に設けられ、前記覆い部材が前記基部を覆った第1位置と、前記覆い部材が退避して前記基部を露出させた第2位置と、の間で前記覆い部材を回動可能に前記基部と前記覆い部材とを連結する連結部と、
を備え、
前記覆い部材は、前記第1位置にあるときに、前記基部の厚み方向に沿う直線上の遠位点から見たときに、前記基部と重なる形状を有し、
前記覆い部材は、物品を吊り下げ可能な1以上の第2フックを有し、
前記1以上の第2フックのそれぞれと前記連結部との間の距離は、前記1以上の第1フックのそれぞれと前記連結部との間の距離とは異なり、
前記1以上の第2フックは、前記覆い部材が前記第1位置にあるときに、前記基部と当接可能な第2当接面を有する吊下装置。
【請求項2】
前記1以上の第1フックは、前記第1位置にある前記覆い部材と当接可能な第1当接面を有する請求項1に記載の吊下装置。
【請求項3】
前記基部は、平板状の基部本体と、前記基部本体に設けられる前記1以上の第1フックと、を有し、
前記1以上の第1フックは、前記基部本体の高さ方向に関して前記基部本体の高さと同じ高さを有する請求項1に記載の吊下装置。
【請求項4】
前記覆い部材は、平板状の覆い部材本体と、前記覆い部材本体に設けられる前記1以上の第2フックと、を有し、
前記1以上の第2フックは、前記覆い部材本体の高さ方向に関して前記覆い部材本体の高さと同じ高さを有する請求項1に記載の吊下装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の態様で対象物を吊り下げることが可能な吊下装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種物品を掛けることが可能な掛け装置が開示されている。掛け装置は、上下方向にスライド移動可能な物掛け用パネルと、物掛け用パネルに設置された物掛け用ブラケットと、を有する。
【0003】
ユーザは、物掛け用ブラケットに対してコンピュータ用のモニターのような物品を固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した掛け装置は、物掛け用ブラケットが常に露出されることになるために、生活感が喚起され、その結果、掛け装置の質感が著しく低下してしまう問題がある。一方、物掛け用ブラケットを目隠し用の他の部材で覆ったりすると、物掛け用ブラケットに対して物品が掛けづらくなる問題がある。
【0006】
本発明の目的とするところは、装置の質感を損なうことなく、物品の吊り下げ利便性を良好に維持することが可能な吊下装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の吊下装置は、物品を吊り下げ可能な1以上の第1フックを有する基部と、
前記基部を覆うことが可能な覆い部材と、
前記基部と前記覆い部材との間に設けられ、前記覆い部材が前記基部を覆った第1位置と、前記覆い部材が退避して前記基部を露出させた第2位置と、の間で前記覆い部材を回動可能に前記基部と前記覆い部材とを連結する連結部と、
を備える。
【0008】
また、本発明(2)の吊下装置は、(1)に記載の吊下装置であって、前記覆い部材は、前記基部の厚み方向に沿う直線上の遠位点から見たときに、前記基部と重なる形状を有する。
【0009】
また、本発明(3)の吊下装置は、(1)又は(2)に記載の吊下装置であって、前記1以上の第1フックは、前記第1位置にある前記覆い部材と当接可能な第1当接面を有する。
【0010】
また、本発明(4)の吊下装置は、(1)~(3)のいずれか1項に記載の吊下装置であって、前記基部は、平板状の基部本体と、前記基部本体に設けられる前記1以上の第1フックと、を有し、
前記1以上の第1フックは、前記基部本体の高さ方向に関して前記基部本体の高さと略同じ高さを有する。
【0011】
また、本発明(5)の吊下装置は、(1)~(4)のいずれか1項に記載の吊下装置であって、前記覆い部材は、物品を吊り下げ可能な1以上の第2フックを有し、
前記1以上の第2フックのそれぞれと前記連結部との間の距離は、前記1以上の第1フックのそれぞれと前記連結部との間の距離とは異なる。
【0012】
また、本発明(6)の吊下装置は、(5)に記載の吊下装置であって、前記1以上の第2フックは、前記覆い部材が前記第1位置にあるときに、前記基部と当接可能な第2当接面を有する。
【0013】
また、本発明(7)の吊下装置は、(5)又は(6)に記載の吊下装置であって、前記覆い部材は、平板状の覆い部材本体と、前記覆い部材本体に設けられる前記1以上の第2フックと、を有し、
前記1以上の第2フックは、前記覆い部材本体の高さ方向に関して前記覆い部材本体の高さと略同じ高さを有する。
【0014】
また、本発明(8)の吊下装置は、(5)~(7)のいずれか1項に記載の吊下装置であって、前記連結部は、
前記基部の高さ方向に沿って延びる第1軸であって、前記高さ方向回りに前記覆い部材を回動可能に支持する第1軸と、
前記覆い部材の厚み方向に沿って延びる第2軸であって、前記厚み方向回りに前記覆い部材を回動可能に支持する第2軸と、
を有する。
【0015】
また、本発明(9)の吊下装置は、(8)に記載の吊下装置であって、吊下装置は、前記第2位置に含まれる所定の位置にある前記覆い部材に当接可能な回動阻止部であって、前記所定の位置にある前記覆い部材が、前記所定の位置を超えて前記第1軸回りに回動することを阻止する回動阻止部を備える。
【0016】
また、本発明(10)の吊下装置は、(8)に記載の吊下装置であって、前記所定の位置は、前記基部と前記覆い部材とが略平行で、前記1以上の第1フックと前記1以上の第2フックとが横並びに並んだ位置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、装置の質感を損なうことなく、物品の吊り下げ利便性を良好に維持することが可能な吊下装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態の吊下装置を前方から示す正面図であって、基部の厚み方向に沿う直線上の遠位点から見た正面図である。
【
図2】
図1に示す吊下装置であって、覆い部材が第1位置にある状態の吊下装置を前方から示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す吊下装置において、覆い部材が第2位置(中間状態)にある状態を示す斜視図である。
【
図4】
図2に示す吊下装置において、覆い部材が第2位置(全開状態)にある状態を示す斜視図である。
【
図5】
図3、
図4に示す吊下装置において、第2位置にある覆い部材を第1位置に戻した状態を示す斜視図である。
【
図6】
図3に示す吊下装置において、第2位置(中間状態)にある覆い部材が退避位置に回動した状態を示す斜視図である。
【
図7】
図3に示す吊下装置において、台座内の空洞部に設置された回動片および覆い部材本体の動作を説明した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下
図1~
図7を参照して、本発明の吊下装置の実施形態について説明する。本実施形態の吊下装置は、住居やホテルなどの室(リビング、ダイニング、キッチン、洗面室、トイレ、玄関、廊下、階段等)の縦壁や据付型の家具等に設置され、種々の物品を吊り下げて保持することが可能なものである。また、本実施形態の吊下装置は、コンパクトに折り畳むことが可能なだけでなく、使用時および未使用時に室内の雰囲気を損なうことがないように工夫が施されたものである。
【0020】
図1、
図2に示すように、吊下装置11は、方形厚板状の基部12と、基部12を覆うように設けられる方形薄板状の覆い部材13と、基部12と覆い部材13とを連結する連結部14と、連結部14に隣接して設けられた回動阻止部15と、を備える。
【0021】
覆い部材13は、
図2に示す基部12の厚み方向T1に沿う直線上の遠位点A、すなわち、基部12および覆い部材13を正面から見たときに、
図1に示すように、基部12と重なるか、或いは、基部12と略重なる形状を有する。覆い部材13は、連結部14の作用によって、
図2に示すように基部12を覆った第1位置P1と、
図3、
図4、
図6に示すように基部12を露出させた第2位置P2と、の間で回動できる。第2位置P2には、
図3に示す中間状態P2Aと、
図4に示す全開状態P2Bと、が含まれる。
【0022】
図2、
図3に示すように、基部12は、高さ方向Hに短く、横方向L1に細長い方形(長方形)に形成されている。基部12は、厚み方向T1において、比較的に厚手に形成されている。
【0023】
基部12は、方形の平板状(方形の厚板状)の基部本体21と、基部本体21上に互いに間隔を空けて設けられた1以上の第1フック22と、基部本体21を室の縦壁や据付型の家具等に固定するための複数の固定部23と、を有する。本実施形態において、第1フック22は、2個設けられているが、第1フック22の数はこれに限定されるものではない。第1フック22の数は、1個でも良いし、3個以上であってあってもよい。基部本体21および第1フック22は、例えば、金属材料によって形成される。
【0024】
第1フック22の一方は、基部本体21の連結部14に隣接する端部とは反対側の端部付近に配置される。第1フック22の他方は、基部12の長手方向(横方向L1)における中間部付近に配置される。1以上の第1フック22のそれぞれは、基部12の高さ方向Hに細長く延びるように形成されている。第1フック22は、基部本体21の高さ方向Hに関して、基部本体21の高さと略同じ高さを有する。
【0025】
第1フック22は、覆い部材13と対向する位置に第1当接面22Aを有していてもよい。第1当接面22Aは、平坦に構成されている。第1当接面22Aには、円盤状でゴム製のパッド29が設けられていてもよい。ゴム製のパッド29を設置した場合には、第1フック22は、第1当接面22A(ゴム製のパッド29)を介して第1位置P1にある覆い部材13の覆い部材本体25と当接可能である。第1フック22に対して、1以上の物品24を吊り下げることができる。なお、本実施形態では、第1フック22においてパッド29が省略されており、後述する第2フック26にのみパッド29が設置されている。
【0026】
複数の固定部23のそれぞれは、図示しないボルトと、ボルトの頭部を目隠しする目隠し蓋23Aと、を有する。ボルトは、基部本体21を貫通するように設けられた貫通孔(図示省略)を貫通し、室の縦壁や据付型の家具等に固定される。複数の固定部23は、連結部14の近傍に配置されている。このため、第1フック22と全開状態P2Bにある覆い部材13の第2フック26との両方に物品24を吊り下げた場合に、中間位置付近に位置する複数の固定部23によってバランスをとることができ、複数の固定部23に大きな負荷(力のモーメント)がかかることが防止される。なお、固定部12は、連結部14の近傍以外の位置、例えば、2つの第1フック22の間やそれ以外の箇所に複数配置されていてもよい。
【0027】
図2、
図3に示すように、覆い部材13は、高さ方向Hに短く、横方向L2に細長く延びた方形(長方形)に形成されている。覆い部材13は、厚み方向T2に関して、基部12に比して薄く形成されている。
【0028】
覆い部材13は、方形の平板状(方形の薄板状)の覆い部材本体25と、覆い部材本体25上に設けられた1以上の第2フック26と、を有する。本実施形態において、第2フック26は、1個設けられている。第2フック26の数はこれに限定されるものではない。第2フック26の数は、2個以上であってもよい。覆い部材本体25および第2フック26は、例えば、金属材料によって形成される。
【0029】
第2フック26は、覆い部材本体25の連結部14に隣接する端部とは反対側の端部付近に配置される。
図3に示すように、第2フック26と連結部14(第1軸27)との間の距離D2は、第1フック22の一方と連結部14(第1軸27)との間の距離D1Aとは異なり、第1フック22の他方と連結部14(第1軸27)との間の距離D1Bとも異なる。
【0030】
第2フック26は、覆い部材13の高さ方向Tに細長く延びるように形成されている。第2フック26は、覆い部材本体25の高さ方向Hに関して、覆い部材本体25の高さと略同じ高さを有する。
【0031】
第2フック26は、覆い部材13と対向する位置に第2当接面26Aを有していてもよい。第2当接面26Aは、平坦に構成される。第2当接面26Aには、円盤状でゴム製のパッド29が設けられることが好ましい。覆い部材13が第1位置P1にあるときに、第2フック26は、第2当接面26A(ゴム製のパッド29)を介して基部本体21と当接することができる。第2フック26に対して、1以上の物品24を吊り下げることができる。なお、第1当接面22Aにゴム製のパッド29を設けた場合には、第2当接面26Aのパッド29を省略することができる。
【0032】
図3から
図6に示すように、連結部14は、基部12と覆い部材13との間に設けられている。連結部14は、基部12の高さ方向Hに沿って延びる第1軸27と、第1軸27とは独立に設けられ覆い部材13の厚み方向T2に沿って延びる第2軸28(
図6参照)と、第1軸27を両持ちで回転可能に支持する一対の腕部材31と、第1軸27と一体的に設けられるとともに第2軸28が貫通される台座32と、台座32に設けられ第2軸28を通すための貫通孔33(
図6参照)と、台座32の内部に設けられる空洞部35と、第2軸28と一体に設けられ空洞部35内で回動する回動片36と、を有する。第1軸27、第2軸28、一対の腕部材31、台座32、および回動片36は、例えば、金属材料によって形成される。連結部14の第1軸27および第2軸28によって、第2位置P2の中間状態P2Aにある覆い部材13を退避させるための安全機構が実現されている。
【0033】
台座32は、断面台形をなした台形部32Aと、台形部32Aから基部12に向けて横方向L2に張り出した張出部32Bと、を有する。
図6、
図7に示すように、台座32の台形部32Aの内部には、貫通孔33と、空洞部35と、が設けられる。貫通孔33は、空洞部35と連通している。台形部32Aは、第2軸28を介して、覆い部材13と連結される。
【0034】
図3から
図6に示すように、第1軸27は、円柱形をなしている。第1軸27は、台座32の張出部32Bを上下方向に貫通するように設置される。張出部32Bは、第1軸27を通すための円形の貫通孔を有する。第1軸27は、この貫通孔に対して差し込まれて張出部32Bに対して固定される。このとき、第1軸27の上端は、上側に位置する腕部材31に設けられた孔部31Aに差し込まれ、孔部31Aによって回転可能に支持される。第1軸27の下端は、下側に位置する腕部材31に設けられた孔部31Aに差し込まれ、孔部31Aによって回転可能に支持される。このため、第1軸27は、高さ方向H回りに覆い部材13を回動可能に支持することができる。第1軸27は、それと平行な方向に締結された図示しないねじによって台座32に対する位置が固定される。
【0035】
図6に示すように、第2軸28は、円筒形に形成され、覆い部材13の覆い部材本体25と一体的に設けられている。第2軸28は、ねじ34と、ねじ34と第2軸28との間に介在される円筒形の図示しないシャフト部材(ワッシャ)と、を介して台座32の台形部32Aに対して回転可能に取り付けられる。このため、第2軸28は、厚み方向T2回りに覆い部材13を回動可能に支持することができる。
【0036】
図7に示すように、回動片36は、第2軸28および覆い部材本体25と一体に設けられている。回動片36は、第1辺36Aと、第1辺36Aと対向する第2辺36Bと、を有する。第2軸28を中心に、覆い部材13(覆い部材本体25)を回転させる際には、空洞部35内において覆い部材13とともに回動片36が回動する。覆い部材13(覆い部材本体25)が横方向に延びるように配置している場合には、第1辺36Aが空洞部35の内面に当接している。覆い部材13(覆い部材本体25)が縦方向に延びるように配置している場合には、第1辺36Bが空洞部35の内面に当接している。したがって、第2軸28回りの覆い部材13の回転角度は、回動片36および空洞部35の内面によって規定される。第2軸28回りの覆い部材13の回転角度は、例えば、約90°である。なお、覆い部材13の回転角度および回転方向は一例であり、他の回転角度および回転方向(例えば、水平方向から下方向に向かう回転方向)であってもよい。
【0037】
一対の腕部材31は、基部本体21の一方の端部と一体的に形成されている。一対の腕部材31は、基部本体21の一方の端部から横方向L1に突出するように設けられる。
【0038】
回動阻止部15は、第2位置P2且つ全開状態P2Bにある覆い部材13の全開状態P2Bを超えた角度に回動することを阻止できる。この全開状態P2Bでは、基部12と覆い部材13とが略平行であり、1以上の第1フック22と1以上の第2フック26とが横並びに並んだ位置となっている。したがって、回動阻止部15は、基部12を基準とする覆い部材13の旋回角を180°以下に規制することができる。なお、本発明にいう所定の位置は、覆い部材13が第2位置P2且つ全開状態P2Bにある位置をいうが、所定の位置は、これに限られるものではない。覆い部材13の所定の位置は、第2位置P2且つ中間状態P2Aであってもよい。
【0039】
図3、
図4に示すように、回動阻止部15は、一対の突当部15Aで構成され、一対の突当部15Aは、一対の腕部材31の背部に段状に窪むように設けられる。一対の突当部15Aには、ゴム製の緩衝材が設けられていてもよい。覆い部材13が第2位置P2にあり、且つ、基部12と覆い部材13とが略平行で、1以上の第1フック22と1以上の第2フック26とが横並びに並んだ位置、すなわち
図4に示す位置(全開状態P2B)に覆い部材13があるときに、一対の突当部15A(緩衝材)に覆い部材本体25が突き当てられる。その際、覆い部材本体25の第2フック26が設けられる面が、一対の突当部15A(緩衝材)に突き当てられる。回動阻止部15は、これによって覆い部材13の全開状態P2Bを超えた角度への回動を阻止できる。
【0040】
なお、回動阻止部15の構成はこれに限られるものではない。回動阻止部15を基板本体21の端面に設けられた突当部で構成されてもよい。この場合には、この突当部にゴム製の緩衝材が設けられていてもよい。この構造を採用する場合には、覆い部材13が第2位置P2にあり、且つ、基部12と覆い部材13とが略平行で、1以上の第1フック22と1以上の第2フック26とが横並びに並んだ位置、すなわち
図4に示す位置(全開状態P2B)に覆い部材13があるときに、突当部(緩衝材)に覆い部材本体25の端面が突き当てられる。このように構成された回動阻止部15によっても、覆い部材13の全開状態P2Bを超えた角度への回動を阻止できる。
【0041】
続いて、
図1~
図7を参照して、本実施形態の吊下装置11の作用について説明する。吊下装置11は、室の縦壁や据付型の家具等に取り付けられて使用される。
図1、
図2に示すように、未使用状態にある吊下装置11は、覆い部材13によって基部12が覆われているため、第1フック22および第2フック26が隠された状態となっている。このため、未使用状態において第1フック22および第2フック26によって生活感が喚起されることがない。
【0042】
ユーザは、覆い部材13を第1位置P1から第2位置P2に移動させることで、吊下装置11を使用可能な状態にすることができる。このとき、ユーザは、
図3に示す中間状態P2Aと、
図4に示す全開状態P2Bと、のいずれかの使用態様を選択できる。
【0043】
図3に示す中間状態P2Aでの使用態様では、基部12の1以上の第1フック22のそれぞれに物品24を吊り下げることができるだけでなく、覆い部材13の1以上の第2フック26にもそれぞれ物品24を吊り下げることができる。なお、中間状態P2Aでは、覆い部材13が室の縦壁や据付型の家具から大きく突出した状態となるために、付近を通る人の通行の妨げとなったり、付近で作業をする人の作業の妨げとなったりする可能性がある。このため、中間状態P2Aは、比較的に軽量な物品24を短時間だけ吊り下げるといった一時的な使用を想定しており、恒久的かつ長期間の使用を想定したものではない。
【0044】
また、中間状態P2Aでの使用態様では、付近の人が覆い部材13にぶつかる可能性があるが、その際には第1軸27および第2軸28で構成された安全機構が作動する。もし、
図3の位置にある覆い部材13に対して、付近の人が厚み方向T2に沿ってぶつかった場合には、覆い部材13は、第1軸27の作用によって基部12の高さ方向H回りに回動する。これによって、覆い部材13は、
図4又
図5に示す状態に退避することができる。これによって、覆い部材13にぶつかってしまった付近の人を傷つけてしまうことが極力防止される。
【0045】
同様に、
図3の位置にある覆い部材13に対して、付近の人が高さ方向Hに沿ってぶつかった場合には、覆い部材13は、第2軸28の作用によって厚み方向T2回りに回動する。これによって、覆い部材13は、例えば
図6に示す状態等に退避することができる。なお、
図6では、
図3に示す状態から、覆い部材13が第2軸28を中心に上方に回動した場合を示しているが、覆い部材13が回動する方向は、上方に限られない。覆い部材13は、
図6に示す方向とは逆側、すなわち第2軸28を中心に下方に回動して退避させる構造を採用することもできる。
【0046】
図4に示す全開状態P2Bでの使用態様では、一対の腕部材31の背部に設けられた回動阻止部15によって、第1軸27回りで、全開状態P2Bを超えた角度への覆い部材13の回動が阻止されている。また、全開状態P2Bでの使用では、覆い部材13が基部12と略平行に配置されるために、上記中間状態P2Aのように覆い部材13が室内に突出することがなく、付近の人の邪魔になることがない。このため、そのような意味でも吊下装置11の恒久的な使用態様として優れている。
【0047】
また、回動阻止部15の突当部15Aは、覆い部材13のそれ以上の回動を規制する。このため、ユーザは、覆い部材13に手を掛けて、
図2に示す第1位置P1から
図4に示す全開状態P2Bにする際に、覆い部材13の回動角度を迷う必要がなく、覆い部材13が回動阻止部15に突き当たる位置まで覆い部材を回動させれば足りる。従って、ユーザにとって使い勝手が良い。
【0048】
また必要に応じて、
図3に示す中間状態P2Aや
図4に示す全開状態P2Bから、
図5に示す第1位置P1に覆い部材13を回動させることもできる。この場合には、第1フック22および第2フック26には、物品24を吊り下げたままの状態でもよい。このように、閉状態の第1位置P1においても物品24を吊り下げ保持できるために、本実施形態の吊下装置11は、利便性が高い。また、第1位置P1では、第1フック22および第2フック26が外部から見えないために、生活感が喚起されてしまうことがない。
【0049】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。吊下装置11は、物品24を吊り下げ可能な1以上の第1フック22を有する基部12と、基部12を覆うことが可能な覆い部材13と、基部12と覆い部材13との間に設けられ、覆い部材13が基部12を覆った第1位置P1と、覆い部材13が退避して基部12を露出させた第2位置P2と、の間で覆い部材13を回動可能に基部12と覆い部材13とを連結する連結部14と、を備える。
【0050】
この構成によれば、第1位置P1において、第1フック22を覆い部材13によって隠すことができる。このため、露出された第1フック22によって生活感が喚起されることがなく、吊下装置11の質感を向上することができる。また、吊下装置11の第1フック22によって室内の雰囲気を損なってしまうことを防止できる。
【0051】
この場合、覆い部材13は、基部12の厚み方向T1に沿う直線上の遠位点Aから見たときに、基部12と重なる形状を有する。
【0052】
この構成によれば、当該遠位点Aから見たときに、覆い部材13の形状を基部12の形状と略同じにすることができる。このため、第1フック22が周囲の人から視認されない必要最小限の大きさを覆い部材13に持たせることができる。これによって、覆い部材13が大きすぎることがなく、覆い部材13によって室内の雰囲気を損なってしまうことを防止できる。
【0053】
この場合、1以上の第1フック22は、第1位置P1にある覆い部材13と当接可能な第1当接面22Aを有する。
【0054】
この構成によれば、第1位置P1にある覆い部材13と基部12との間のスペーサとして第1フック22を利用することができ、別途にスペーサを設ける場合に比して、部品点数を削減できる。また、覆い部材13が第2位置P2にあるときに、スペーサが露出することがなく、スペーサによって吊下装置11の質感が低下することを防止できるとともに、スペーサによって室内の雰囲気を損なってしまうことも防止できる。
【0055】
この場合、基部12は、平板状の基部本体21と、基部本体21に設けられる1以上の第1フック22と、を有し、1以上の第1フック22は、基部本体21の高さ方向Hに関して基部本体21の高さと略同じ高さを有する。
【0056】
この構成によれば、第1フック22の外観を基部本体21の外観に溶け込ませることができる。これによって、覆い部材13が第2位置P2にあり第1フック22が露出される場合であっても、第1フック22を目立たなくできる。これによって、第1フック22によって生活感が喚起されることが極力防止され、吊下装置11の質感を向上できる。また、第1フック22によって室内の雰囲気を損なってしまうことも防止できる。
【0057】
この場合、覆い部材13は、物品24を吊り下げ可能な1以上の第2フック26を有し、1以上の第2フック26のそれぞれと連結部14との間の距離は、1以上の第1フック22のそれぞれと連結部14との間の距離とは異なる。
【0058】
この構成によれば、覆い部材13を第1位置P1に配置した場合に、第1フック22と第2フック26とが互いに位置ずれすることとなり、第1フック22と第2フック26とが干渉しない。このため、覆い部材13を第1位置P1にしたときに、吊下装置11の厚さ寸法を低減するようにコンパクトに折り畳むことができる。これによって、吊下装置11の質感を向上できるとともに、吊下装置11によって室内の雰囲気を損なってしまうことを防止できる。
【0059】
この場合、1以上の第2フック26は、覆い部材13が第1位置P1にあるときに、基部12と当接可能な第2当接面26Aを有する。
【0060】
この構成によれば、第2フック26を基部12と第1位置P1にある覆い部材13との間のスペーサとして利用することができ、別途にスペーサを設ける場合に比して、部品点数を削減できる。また、覆い部材13が第2位置P2にあるときに、スペーサが露出することがなく、スペーサによって吊下装置11の質感が低下することを防止できる。同様に、スペーサによって室内の雰囲気を損なってしまうことも防止できる。
【0061】
この場合、覆い部材13は、平板状の覆い部材本体25と、覆い部材本体25に設けられる1以上の第2フック26と、を有し、1以上の第2フック26は、覆い部材本体25の高さ方向Hに関して覆い部材本体25の高さと略同じ高さを有する。
【0062】
この構成によれば、第2フック26の外観を覆い部材本体25の外観に溶け込ませることができる。これによって、覆い部材13が第2位置P2にあり第2フック26が露出される場合でも、第2フック26を目立たなくすることができる。これによって、第2フック26によって生活感が喚起されることが極力防止され、吊下装置11の質感を向上できる。また、第2フック26によって室内の雰囲気を損なってしまうことも防止できる。
【0063】
この場合、連結部14は、基部12の高さ方向Hに沿って延びる第1軸27であって、高さ方向H回りに覆い部材13を回動可能に支持する第1軸27と、覆い部材13の厚み方向T2に沿って延びる第2軸28であって、厚み方向T2回りに覆い部材13を回動可能に支持する第2軸28と、を有する。
【0064】
この構成によれば、第1軸27および第2軸28を介した多関節構造によって、覆い部材13を比較的に高い自由度で回動させることができる。このため、覆い部材13が第2位置P2にあるときに、周囲の人が覆い部材13に意図せず衝突してしまった場合でも、覆い部材13を第1軸27回りもしくは第2軸28回りに回動させて退避させることができる。これによって、第2位置P2にある覆い部材13によって周囲の人を傷つけてしまう恐れがない。
【0065】
この場合、吊下装置11は、第2位置P2に含まれる所定の位置にある覆い部材13に当接可能な回動阻止部15であって、前記所定の位置を超えて第1軸27回りに回動することを阻止する回動阻止部15を備える。
【0066】
この構成によれば、ユーザが回転角度を意識することなく、覆い部材13を全開位置まで移動させることで、覆い部材13を第2位置P2に含まれる所定の位置にすることができる。これによって、ユーザの利便性をさらに向上できる。
【0067】
この場合、前記所定の位置は、基部12と覆い部材13とが略平行で、1以上の第1フック22と1以上の第2フック26とが横並びに並んだ位置である。
【0068】
この構成によれば、基部12と覆い部材13とが略平行で、第2フック26を第1フック22と横並びに配置した位置で、回動阻止部15によって覆い部材13の第1軸27回りの回転を規制することができる。これによって、ユーザの利便性をさらに向上できる。
【0069】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。
【符号の説明】
【0070】
11 吊下装置
12 基部
13 覆い部材
14 連結部
15 回動阻止部
15A 突当部
A 遠位点
P1 第1位置
P2 第2位置
P2A 中間状態
P2B 全開状態
21 基部本体
22 第1フック
22A 第1当接面
23 固定部
23A 目隠し蓋
24 物品
25 覆い部材本体
25A 端面
26 第2フック
26A 第2当接面
27 第1軸
27A 第1部分
27B 第2部分
28 第2軸
31 腕部材
32 台座
32A 台形部
32B 張出部
33 貫通孔
34 ねじ