(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】播種装置
(51)【国際特許分類】
A01C 7/12 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
A01C7/12 B
(21)【出願番号】P 2019191934
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2019165862
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000132219
【氏名又は名称】株式会社スズテック
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】藤田 一志
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-064216(JP,U)
【文献】特開2018-117533(JP,A)
【文献】特開2007-111021(JP,A)
【文献】実開昭59-070409(JP,U)
【文献】米国特許第09661805(US,B1)
【文献】特開平09-056213(JP,A)
【文献】特開2007-124962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 7/00 - 9/08
A01G 9/00 - 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗容器Aを始端側から終端側に向けて水平状態で、かつ、先行育苗容器Aの後壁79に後行育苗容器Aの
前壁79が隙間なく当接した状態で移送する移送手段2を有する移送台1の上方位置には、少なくとも、育苗容器A内に上方から種子を供給する種子供給装置7を設け、該種子供給装置7の横軸繰出ロール25は、移送手段2とは別の駆動モーター81により回転駆動させる構成とし、駆動モーター81は、種子供給装置7より所定間隔育苗容器Aの移送方向上手側の移送台1に設けた育苗容器検出手段80の、育苗容器Aの前壁79または後壁79の位置検出停止信号により、直ちに
一時的に回転停止可能な構成とし、前記育苗容器検出手段80は、前記種子供給装置7の移送方向上手側の使用する育苗容器Aの一つの長さ分の間隔をおいて設け、育苗容器検出手段80は、移送台1に対して前後スライド可能に構成した播種装置。
【請求項2】
請求項1において、駆動モーター81は、育苗容器検出手段80の、育苗容器Aの前壁79または後壁79の位置検出停止信号により、直ちに回転停止
し、かつ、前壁79または後壁79の通過を検出した位置検出信号により、直ちに回転再開可能に構成した播種装置。
【請求項3】
請求項1において、育苗容器検出手段80と種子供給装置7とは、移送台1に対して相対的に互いに前後スライド可能に構成した播種装置。
【請求項4】
請求項1において、育苗容器検出手段80は、移送台1に設けた支持部材82に、リンクアーム85により上下する検知突起部89を設けて構成した播種装置。
【請求項5】
請求項1または請求項3において
、検知突起部89は、リンクアーム85により上下する上下動体87に設け、検知突起部89の上方に、停止スイッチ93の感知体94を臨ませた播種装置。
【請求項6】
請求項5において、停止スイッチ93は移送台1に対して高さ調節自在に構成した播種装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6
の何れかにおいて、種子供給装置7は、播種作業に使用する育苗容器Aの長さに対応させて、育苗容器検出手段80が育苗容器Aの後壁79の検出位置で当該育苗容器Aの前壁79が横軸繰出ロール25の種子繰出位置の下方に位置するように、移送台1に対して前後スライドさせて前後位置調節可能に構成した播種装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、播種装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、育苗容器を始端側から終端側に向けて水平状態で移送する移送手段を有する移送台の上方位置には、育苗容器内に上方から種子を供給する種子供給装置を設け、この種子供給装置には育苗容器の検出部を設け、検出部により育苗容器の前後壁を検出すると、種子の供給を停止させる構成は、公知である(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例には、育苗容器を検出する手段として二つの構成が開示されており、その一つは、回動検出アームの基部を回動自在に種子供給装置に取付け、回動検出アームの基部にリミットスイッチを設け、回動検出アームの先端が育苗容器の前壁に当接する機械的手段を用いて育苗容器を検出し、種子供給を停止させる構成である。
そのため、待機高さの回動検出アームの上動をリミットスイッチが感知すると、種子供給は停止するが、回動検出アームを育苗容器の後壁が通過しても、待機高さに戻らないと、種子供給は再開されず、検出精度が低いという課題がある。
また、回動検出アームは後下がりに傾斜して設置されており、育苗容器の壁が当接したとき、育苗容器の移送を停止させてしまうという課題がある。
また、公知例の育苗容器を検出する二つ目の手段は、距離センサにより育苗容器内の床土表面の距離と育苗容器の壁高さの差を検出して、これにより、育苗容器の壁の有無を検出する構成のため、検出器が高価であること、検出器の設定が容易でないという課題がある。
また、回動検出アームと距離センサは何れも種子供給装置内に設けているので、取付けが容易でなく、かつ、調整・設定等が面倒であり、その分検出精度が低下する別の課題もある。
さらに、公知例では、回動検出アームと距離センサは何れも種子供給装置内に設けているので、回動検出アームおよび距離センサと種子供給装置との前後位置関係を問わず、育苗容器の前後壁の位置(長さ)を正確に把握する着想はなく、この点でも、育苗容器の前後壁の位置の検出精度が低く、前後壁上に無用に播種されたり、種子供給の再開が遅れるという課題がある。
本願は、育苗容器の前後壁の有無を検出する育苗容器検出手段の構成を工夫し、前記課題を解決したものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、育苗容器Aを始端側から終端側に向けて水平状態で、かつ、先行育苗容器Aの後壁79に後行育苗容器Aの前壁79が隙間なく当接した状態で移送する移送手段2を有する移送台1の上方位置には、少なくとも、育苗容器A内に上方から種子を供給する種子供給装置7を設け、該種子供給装置7の横軸繰出ロール25は、移送手段2とは別の駆動モーター81により回転駆動させる構成とし、駆動モーター81は、種子供給装置7より所定間隔育苗容器Aの移送方向上手側の移送台1に設けた育苗容器検出手段80の、育苗容器Aの前壁79または後壁79の位置検出停止信号により、直ちに一時的に回転停止可能な構成とし、前記育苗容器検出手段80は、前記種子供給装置7の移送方向上手側の使用する育苗容器Aの一つの長さ分の間隔をおいて設け、育苗容器検出手段80は、移送台1に対して前後スライド可能に構成した播種装置としたものである。
請求項2は、駆動モーター81は、育苗容器検出手段80の、育苗容器Aの前壁79または後壁79の位置検出停止信号により、直ちに回転停止し、かつ、前壁79または後79の通過を検出した位置検出信号により、直ちに回転再開可能に構成した播種装置としたものである。
請求項3の発明は、育苗容器検出手段80と種子供給装置7とは、移送台1に対して相対的に互いに前後スライド可能に構成した播種装置としたものである。
請求項4の発明は、育苗容器検出手段80は、移送台1に設けた支持部材82に、リンクアーム85により上下する検知突起部89を設けて構成した播種装置としたものである。
請求項5の発明は、前記検知突起部89は、リンクアーム85により上下する上下動体87に設け、検知突起部89の上方に、停止スイッチ93の感知体94を臨ませた播種装置としたものである。
請求項6の発明は、停止スイッチ93は移送台1に対して高さ調節自在に構成した播種装置としたものである。
請求項7の発明は、種子供給装置7は、播種作業に使用する育苗容器Aの長さに対応させて、育苗容器検出手段80が育苗容器Aの後壁79の検出位置で当該育苗容器Aの前壁79が横軸繰出ロール25の種子繰出位置の下方に位置するように、移送台1に対して前後スライドさせて前後位置調節可能に構成した播種装置としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、種子供給装置7の横軸繰出ロール25を駆動させる駆動モーター81は育苗容器検出手段80の停止信号により直ちに一時的に回転停止するので、
連続して移送されてくる育苗容器Aの前後壁79上に種子が落ちるのを防止でき、育苗容器Aの播種斑を高い精度で防止でき、これにより、無駄な種子供給を回避でき、省エネな播種作業とすることができ、しかも、育苗容器検出手段80は、前記種子供給装置7の移送方向上手側の使用する育苗容器Aの一つの長さ分の間隔をおいて設けているので、育苗容器検出手段80の取付および調節等が容易であり、そのため、育苗容器Aの検出精度を向上させることができる。
育苗容器検出手段80を、移送台1に対して前後スライド可能に構成しているので、調節範囲を大きく(広く)でき、汎用性を向上させることができる。
請求項2の発明では、駆動モーター81は、育苗容器検出手段80の、育苗容器Aの前壁79または後壁79の位置検出停止信号により、直ちに回転停止し、かつ、前壁79または後79の通過を検出した位置検出信号により、直ちに回転再開可能に構成としているので、連続して移送されてくる育苗容器Aの前後壁79上に種子が落ちるのを防止できる。
請求項3の発明では、種子供給装置7と育苗容器検出手段80とを、移送台1に対して相対的に互いに前後スライド可能に構成しているので、調節範囲を大きく(広く)でき、汎用性を向上させることができる。
請求項4の発明では、育苗容器検出手段80は、検知突起部89がリンクアーム85により略垂直上下するので、種子供給の停止および再開の制御精度を向上させることができ、また、検知突起部89は円滑に上下するので、検知突起部89の存在が育苗容器Aの搬送の障害になるのを防止する。
請求項5の発明では、検知突起部89の上方に、停止スイッチ93の感知体94を臨ませているので、検知突起部89の上下により種子供給の停止および再開させることができる。
請求項6の発明では、停止スイッチ93は移送台1に対して高さ調節自在に構成しているので、育苗容器Aの検出精度を向上させることができる。
請求項7の発明では、種子供給装置7を、播種作業に使用する育苗容器Aの長さに対応させて、育苗容器検出手段80が育苗容器Aの後壁79の検出位置で当該育苗容器Aの前壁79が横軸繰出ロール25の種子繰出位置の下方に位置するように、移送台1に対して前後スライドさせて前後位置調節可能にしているので、一層、育苗容器検出手段80と横軸繰出ロール25の種子繰出位置との位置精度を向上させることができ、播種斑回避精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(A)基本播種形態の播種装置の全体側面図。 (B)条播状態の播種装置の全体側面図。
【
図7】
図5の横軸繰出ロールによる播種状態の一例を示す説明図。
【
図10】他の実施形態の横軸繰出ロールによる播種状態の一例を示す説明図。
【
図12】(A)条播状態の種子供給装置の縦断側面図。 (B)撒播状態の種子供給装置の縦断側面図。
【
図13】上下高さ切替調節機構およびスライド機構の側面図。
【
図19】(A)従来の播種装置の模式図。 (B)本発明の播種装置の模式図。
【
図22】(A)育苗容器検出手段が育苗容器を検出した状態の側面図。 (B)育苗容器検出手段を育苗容器が通過した状態の側面図。 (C)育苗容器検出手段の平面図。
【
図26】育苗容器検出手段の他の実施形態の側面図。
【
図30】検知突起部が育苗容器の前後壁上に載る前の側面図および平面図と、検知突起部が育苗容器の前後壁上に載った状態の側面図および平面図と、検知突起部が育苗容器の前後壁上から降りた状態の側面図および平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面により説明すると、1は播種装置Hの移送台であり、育苗容器Aを移送する移送手段2を有し、支脚3により床上に載置されるように構成する。
移送台1の上方位置には、始端側から床土供給装置4、床土均平ブラシ5、灌水装置6、種子供給装置7、覆土供給装置8等を設け、これらの供給装置により供給する土・種子・水等を移送手段2により育苗容器Aを移送しながら上方より供給する(
図1)。
なお、理解を容易にするため、前方に向かって移送台1により移送される育苗容器Aの移送方向を基準に、前後・左右・上下等の方向を示して以下説明するが、これによって、本発明の構成が限定されることはない。
【0009】
床土供給装置4の構成は任意であり、床土供給フレーム10の上部に床土供給ホッパー11を設け、床土供給ホッパー11の下方に育苗容器Aの移送方向と平行方向に回転する無端状の床土供給ベルト12を設けて構成する(
図2)。
灌水装置6の構成は任意であり、灌水フレーム15の上部に左右方向の灌水パイプ16を設け、灌水パイプ16に給水ホース(図示省略)を接続し、灌水パイプ16の灌水孔から下方を通過する育苗容器A内の床土に灌水する(
図3)。
なお、灌水装置6は、後述するように、移送台1に対して着脱自在に取付け、種子供給装置7に対する設置位置を変更可能に構成している。
種子供給装置7の構成は任意であり、播種フレーム20の前側上部に種子供給ホッパー21を設け、種子供給ホッパー21の種子供給口22の下方に流穀板23を設け、流穀板23の先端を種子を繰出す左右方向の横軸繰出ロール25の外周面に近接させる(
図4)。
【0010】
横軸繰出ロール25の構成も任意であり、
図5、6の横軸繰出ロール25は母線方向に平行な横条溝形状の繰出凹部26を所望の間隔をおいて全周に形成したものであり、繰出凹部26は種子Gが横向き1列に嵌合する幅に形成される。横軸繰出ロール25の外周面には左右方向に一粒の種子Gの横向きの幅より短かい間隔をおいてスリット27を全周に設ける。スリット27の深さは繰出凹部26と同じか若干深く形成し、各スリット27には掻出用ナイフ28を嵌合させる(
図4)。
図5、6の横軸繰出ロール25は
図7のように種子Gが横一条状態で撒播される。
図8、9の横軸繰出ロール25は、横軸繰出ロール25の母線方向に所定長さ有する繰出凹部26および繰出凹部26と同じ長さ(面積)のロール外面部30を、横軸繰出ロール25の母線方向に交互に設け、かつ、横軸繰出ロール25の回転方向にも繰出凹部26とロール外面部30とを交互に配置し、全体的には、繰出凹部26を千鳥状に配置構成している。
【0011】
すなわち、横軸繰出ロール25による播種は、繰出凹部26に所定量の種子を嵌合させ、この繰出凹部26に嵌合した所定量の種子群Gと、この種子群Gと略同じ大きさの空間部Kとが育苗容器Aの幅方向および移送方向に交互に千鳥状に位置するように播種する(
図8)。
そのため、横軸繰出ロール25の回転数を移送台1による育苗容器Aの移送速度に対して早くすると、種子Gの供給量(播種量)が多くなって厚播きとなり、横軸繰出ロール25の回転数を移送台1による育苗容器Aの移送速度に対して遅くすると、種子Gの供給量(播種量)が少なくなって薄播きになる。
具体的には、一枚の育苗容器Aに1合(180cc)程度の種子を播種する所謂薄播きと同じ一枚の育苗容器Aに4合(720cc)程度播種する所謂厚播きとに対応させられ、薄播きでは健康な成苗を得ることができ、厚播きでは多量の苗を得ることにより育苗コストを低減させることができる。
【0012】
さらに、
図5、6の横軸繰出ロール25と、
図8、9の横軸繰出ロール25の何れにあっても、横軸繰出ロール25の下方に後述する条播ガイド31を取付けると、育苗容器Aの移送方向と平行な条状に種子Gを播く条播が可能となる(
図11)。
したがって、外周面形状の相違する横軸繰出ロール25を選択することにより、撒播と条播に対応でき、しかも、高精度に播種斑のない薄播きから厚播きまで対応する汎用性の高い播種装置Hを提供できる。
前記横軸繰出ロール25の上方位置(正確には横軸繰出ロール25の真上よりもやや回転下降側)には回転均平ブラシ33を設ける(
図4)。回転均平ブラシ33は、前記繰出凹部26に嵌合しないで横軸繰出ロール25と共回りする過剰種子を、横軸繰出ロール25の回転方向上手側に掃き戻すものである。
35は横軸繰出ロール25の側面に設けた種子誘導体であり、回転均平ブラシ33の下方を通過した繰出凹部26に嵌合した種子を上方位置から下方位置まで誘導する。
36は種子誘導体35の内側に設けた弾性体である。
【0013】
前記条播ガイド31は、種子誘導体35の下端下方に設ける。条播ガイド31の構成は任意であるが、左右方向に複数の分割落下口38を有するガイド体39をリンクアーム40により播種フレーム20に上下動自在に取付ける(
図4)。
条播ガイド31は育苗容器Aの上面より下方位置に待機し、育苗容器Aが移送されて、育苗容器Aの前面がガイド体39の下面に当接すると上動し、下方を通過移送される育苗容器Aに分割落下口38の数分の条数で条播する。
なお、条播ガイド31は種子供給装置7の播種フレーム20に着脱自在に取付け、撒播のときは取り外しておく。
種子供給装置7は、移送台1に対して、上下高さ切替調節機構42により垂直に上下動し、かつ、高さ位置を調節自在に取付ける。
【0014】
すなわち、前記条播ガイド31を着脱することにより、種子供給装置7の高さを切り替えて種々の播種方法に対応させ、また、上下高さ(厚さ)の相違する育苗容器Aに合わせて種子供給装置7の高さ位置を調節し、これにより、種子の落下高さを育苗容器Aに接近させて播種精度を向上させている。
上下高さ切替調節機構42は、
図13のように、移送台1側に取付ける前後方向に長い左右一対の支持フレーム43を設け、支持フレーム43には左右一対の前側回動アーム44および左右一対の後側回動アーム45の基部を軸46により夫々回動自在に取付ける。
前側回動アーム44と後側回動アーム45とは対称形状に形成され、前後側回動アーム前側回動アーム44と後側回動アーム45の基部は円弧形状に形成し、基部の外周面にギヤ47を夫々形成し、前側回動アーム44のギヤ47と後側回動アーム45のギヤ47とを互いに噛み合わせ、この状態で、前側回動アーム44と後側回動アーム45は支持フレーム43に軸46により回動自在に取付ける。
【0015】
また、左右の前側回動アーム44および後側回動アーム45は連結杆48により連結する。前側回動アーム44のギヤ47と後側回動アーム45の何れか一方の回動端には、操作レバー49の基部をそれぞれ固定する。
本実施形態では、前側回動アーム44に操作レバー49を設けている。
50は左右の操作レバー49を連結するレバー連結杆である。
そのため、操作レバー49を上下させると、操作レバー49が軸46中心に上下回動し、この操作レバー49の上下回動により操作レバー49を設けた前側回動アーム44が上下回動し、前側回動アーム44の回動がギヤ47を介して後側回動アーム45に伝動されて後側回動アーム45を上下回動させ、その結果、種子供給装置7を上下させる。
操作レバー49を設けていない後側回動アーム45の先端には、アーム51の一端を軸着し、アーム51の他端に左右方向の係合軸52を固定する。係合軸52は支持フレーム43の後部に形成した撒播用係合溝群53又は条播用係合溝群54の何れかに選択的に係合させる。
【0016】
即ち、撒播用に使用するとき、係合軸52を撒播用係合溝群53の何れかに係合させて種子供給装置7全体を下方に位置させ、条播用に使用する場合は、係合軸52を条播用係合溝群54の何れかに係合させて種子供給装置7全体を上方に位置させるとともに、種々の高さの育苗容器Aでも使用できるように、係合軸52の係合高さを変更することにより種子供給装置7の高さの微調節を可能に構成している。
なお、
図1Bのように、条播するときには、種子供給装置7の後側(始端側)の移送台1に条付ロールBを取付け、種子供給装置7の前側の移送台1には条溝を形成した山を崩す鎮圧ロールCを取付け、かつ、必ず、灌水装置6を種子供給装置7の移送方向下手側に設けて所謂後灌水とし、撒播用に使用するときは、条付ロールB及び鎮圧ロールCを上動させ、条播用に使用するときは、横軸繰出ロール25の下方に条播ガイド31を取付け、条付ロールB及び鎮圧ロールCを育苗容器A内の床土の上面に接触する高さに位置させる。
【0017】
しかして、本発明の種子供給装置7は、移送台1の左右一対の移送フレーム60に対してスライド機構61により前後にスライド自在に取付ける(
図13)。
そのため、種子供給装置7を前後スライドさせることにより、移送台1上に後述する施肥装置(施薬装置)63等を設置するスペースを確保できて、移送台1を各種の播種装置Hに共用して使用でき、播種装置Hの汎用化にも貢献する。
なお、施肥装置63は肥料部材あるいは薬剤のどちらも供給可能であるが、理解を容易にするため、「施肥装置」として説明し、同様に、灌水装置6も通常の「水」の他に薬液散布も可能であるが、「灌水」として説明するが、これによって、本発明の構成は限定されない。
【0018】
播種装置Hは、本来、移送台1の長さを短くする程、運搬・格納等の際に有利であるが、
図19Aの模式図のように、例えば、仮に、床土供給装置4と覆土供給装置8の間に、一つの灌水装置6と二つの施肥装置63を設けるとして、種子供給装置7の位置固定にしておくと、灌水装置6は種子供給装置7に対して、種子供給装置7による種子供給前の前灌水と種子供給装置7による種子供給後の後灌水する播種形態が存在し、同様に、施肥装置63は種子供給装置7に対して、種子供給装置7による種子供給前の前施肥と種子供給装置7による種子供給後の後施肥の播種形態が存在するので、床土供給装置4と種子供給装置7の間に前側灌水装置6と前側施肥装置63を設置するスペースが必要になり、種子供給装置7と覆土供給装置8の間に後側施肥装置63と後側灌水装置6を設置するスペースが必要になる。
【0019】
この場合、施肥装置63は種子供給装置7の前後で施肥することもあるが、灌水装置6による灌水は、通常、種子供給装置7の種子供給前の前灌水か種子供給後の後灌水の何れかとするのが一般的であるので、種子供給装置7の前後に灌水装置6を設置するスペースを確保しておくことは、移送台1の長さが長くなる原因となる。
本発明は、種子供給装置7を前後スライド可能構成とすることにより、予め、後付けの灌水装置6および施肥装置63の設置を可能とする設置スペースを確保しつつ、移送台1の長さを短くしたものである。
すなわち、
図19Bの模式図のように、一つの灌水装置6の前後長さに対応させて種子供給装置7をスライドさせることにより、一つの灌水装置6と二つの施肥装置63の設置可能としつつ、
図19Aの模式図に比し、大凡一つの灌水装置6の前後長さ分移送台1の長さを短くすることができる。
【0020】
スライド機構61の構成は任意であるが、一例を示すと、移送台1上に水平横板状であって前後方向に長い長孔64を設けた支持板65を固定状態に取付け、支持板65の長孔64には種子供給装置7の播種フレーム20側に設けた下方に突出するガイドピン66または種子供給装置7の上下高さ切替調節機構42の支持フレーム43に設けた下方に突出するガイドピン66を係合させ、種子供給装置7を前後所定位置に位置させた状態で、種子供給装置7の播種フレーム20または上下高さ切替調節機構42の支持フレーム43を支持板65の前後中央部に設けた取付孔67に固定ボルト68の固定軸69により固定する構成とする。
すなわち、種子供給装置7に上下高さ切替調節機構42を設けた場合には支持フレーム43に下方に突出するようにガイドピン66を設け(
図17)、ガイドピン66を支持板65の長孔64に係合させる。
【0021】
また、種子供給装置7に上下高さ切替調節機構42を設けていない場合には、種子供給装置7の播種フレーム20側にガイドピン66を設け、ガイドピン66を支持板65の長孔64に係合させる。
そして、支持板65と上下高さ切替調節機構42の支持フレーム43または播種フレーム20とは固定ボルト68の固定軸69により前後移動不能に固定する。
70は固定ボルト68の固定軸69の取付孔である(
図18)。
前記したように、床土供給装置4と覆土供給装置8の間に、一つの灌水装置6と二つの施肥装置63を設けるとして、灌水装置6と種子供給装置7と施肥装置63の配置例は多岐に亘るが、種子供給装置7の前後スライドさせる事例の理解を容易にするため、代表例を
図20に示すと、
図20のNO1では、床土供給装置4と灌水装置6と種子供給装置7と覆土供給装置8を移送台1上に搭載した基本播種装置Hとなり、種子供給装置7は前後中間の基準位置に位置しており、
図20のNO2では、灌水装置6と種子供給装置7との間に後側施肥装置63を設置する空間(余裕)が無いことを示している。
【0022】
図20のNO3では、種子供給装置7を基本位置から前側にスライドさせて、灌水装置6と種子供給装置7の間に後側施肥装置63を設置した状態を示している。
図20のNO4では、NO3の状態で種子供給装置7と覆土供給装置8の間に前側施肥装置63を追加した状態を示している。
図20のNO5では、NO3の状態から種子供給装置7と覆土供給装置8の間に前側灌水装置6を移設した状態を示し、所謂前施肥・後灌水の播種形態となる。
図20のNO6では、NO5の状態では種子供給装置7と覆土供給装置8の間に前側灌水装置6に加えて前側施肥装置63を設置するスペースがないので、種子供給装置7を基本位置に後側スライドさせて、前側灌水装置6と前側施肥装置63を設置した状態を示し、所謂後施肥・後灌水の播種形態となる。
【0023】
図20のNO7では、NO6の状態でNO1の後側灌水装置6を設置していたスペースに後側施肥装置63を設置した状態を示し、所謂前施肥・後施肥・後灌水の播種形態となる。
具体的には、移送台1の上方位置には、少なくとも、始端側から育苗容器A内に上方から床土を供給する床土供給装置4と、育苗容器A内に上方から灌水する灌水装置6と、育苗容器A内に上方から種子を供給する種子供給装置7と、育苗容器A内に上方から覆土を供給する覆土供給装置8とを設け、前記灌水装置6は移送台1に対して着脱自在に取付けると共に、種子供給装置7を移送台1に対して移送方向に前後スライド自在に設ける。
【0024】
肥料部材あるいは薬剤を移送中の育苗容器Aに供給する施肥装置63を別途用意し、床土供給装置4と前方移動後の種子供給装置7との間の移送台1の長さを、予め一つの灌水装置6と施肥装置63を設置しうる設置スペースと設定し、覆土供給装置8と後方移動後の覆土供給装置8との間の移送台1の長さを、予め一つの灌水装置6と施肥装置63を設置しうる設置スペースと設定する。
前記種子供給装置7は、少なくとも、一つの灌水装置6または施肥装置63の前後長さと略同じ長さ前後スライド可能に構成すると、好適である。
【0025】
施肥装置63の構成は任意であるが、本実施形態では、
図21のように、施肥フレーム73の上部に供給ホッパー74を設け、施肥供給ホッパー74の下方に施肥繰出ロール75を設け、施肥繰出ロール75の外周面には粒状肥料部材あるいは粒状薬剤が嵌合する繰出凹部76を設け、施肥繰出ロール75の上方には繰出凹部76に嵌合していない粒状肥料部材あるいは粒状薬剤を掃き戻す回転ブラシ77を設け、施肥繰出ロール75の回転下降側には回転ブラシ77の下方を通過した繰出凹部76に嵌合している粒状肥料部材あるいは粒状薬剤を下方まで誘導させる誘導体78を設ける。
なお、施肥装置63は、前記したように、移送台1に対して着脱自在に取付け、種子供給装置7に対する設置位置を変更可能に構成している。
【0026】
79は着脱具であり、施肥装置63を工具無しでワンタッチ操作により移送台1に対して着脱可能としている。
しかして、種子供給装置7の後側には、移送台1により隙間無く連続して移送されてくる育苗容器Aの前後壁79の位置を検知する育苗容器検出手段80を設ける(
図22)。育苗容器検出手段80は横軸繰出ロール25の下方に育苗容器Aの前後壁79が位置することを検出して種子供給装置7の横軸繰出ロール25の駆動モーター81を停止させ、前後壁79上に種子が載るのを防止する。
従来は、種子供給装置7による種子供給後に前後壁79上に載った種子は回転ブラシで育苗容器A内に掃き戻していたが、掃き戻された種子の部分の育苗容器Aの播種密度が濃くなるという播種斑の原因となっていた。
【0027】
本発明では、育苗容器検出手段80により育苗容器Aの前後壁79が横軸繰出ロール25の下方に至ったことを検出して種子供給装置7の横軸繰出ロール25の駆動モーター81を停止させる。
すなわち、種子供給装置7の横軸繰出ロール25は、移送台1の移送手段2とは独立した駆動モーター81により回転駆動させる構成とし、この駆動モーター81を停止させる。
育苗容器検出手段80は移送台1の移送フレーム60に支持部材82の取付板部83を取付け、取付板部83の後部に起立する後板84に上下一対のリンクアーム(平行リンク)85の基部を軸86により回動自在に取付け、リンクアーム85の先端に上下動体87を軸88により上下動自在に取付ける。
すなわち、リンクアーム85の基部は上下に並設した軸86により取付ける。
【0028】
上下動体87には下方に突出する検知突起部89を設け、検知突起部89の前側に育苗容器Aの側板の上面を摺接移動する摺接体90を設ける。
検知突起部89の後側には後上がりに傾斜する案内面91を設け、育苗容器Aの後壁79に当たると、上下動体87を上動案内させる。
検知突起部89の前側には前上がりに傾斜する退避面91Aを設け、検知突起部89が育苗容器Aの前壁79を通過すると、直ちに下降して駆動モーター81の駆動を開始する。
すなわち、検知突起部89は側面視下向き三角状に形成し、下側頂点が検知突起部89となって、育苗容器Aの前後壁79の上面に点接触し、そのため、育苗容器Aの前壁79の前面から後壁79の後面までのストロークを検出可能となって、検出精度を向上させている。
【0029】
また、検知突起部89の後側の案内面91と前側の退避面91Aが、検知突起部89の上下を案内し、かつ、リンクアーム(平行リンク)85により検知突起部89が平行上下動するので、検知突起部89の上下動が育苗容器Aの搬送抵抗となることがなく、播種トラブルの発生も未然に防止する。
摺接体90は育苗容器Aの側板の上面を摺接移動することにより、検知突起部89の案内面91を所定高さに待機させるが、摺接体90を軸90Aにより上下動体87に回動自在に取り付けることにより、摺接体90の摺接高さを変更可能に構成し、これにより、検知突起部89の案内面91を待機高さの調節が可能になる。
【0030】
そのため、高さの相違する育苗容器Aにも即座に対応でき、仮に、高さの相違する育苗容器Aが混在していても、検知突起部89は追随して上下する。
検知突起部89の上方前側部分の上下動体87の上縁部分は当接部92を形成し、当接部92の上方には停止スイッチ93の感知体94を設け、上下動体87の上動により移送中の育苗容器Aの前壁79(作業開始時は先頭の育苗容器Aの前壁79が当たるが、連続移送中は育苗容器Aの後壁79が当接する)を検知すると、感知体94に上下動体87の当接部92が当接し、これにより、育苗容器検出手段80は育苗容器Aの前後壁79を検出して、横軸繰出ロール25の駆動モーター81を停止させる。
【0031】
この場合、育苗容器検出手段80は種子供給装置7の横軸繰出ロール25が種子を落下させる位置から1個の育苗容器Aの後壁79に上下動体87が当接する位置に設置する。
そのため、実際には、育苗容器検出手段80は移送中の育苗容器Aの前壁79が横軸繰出ロール25の種子落下位置に至ることを、この育苗容器Aの後壁79の位置を検出することにより、検知することになる。
ただし、播種装置Hの製造組立段階では、予め、大凡の1個の育苗容器Aの長さを想定して、育苗容器検出手段80を移送台1に取付け、設定した育苗容器Aの外形寸法(前後長さ)と相違する育苗容器Aを使用するときは、使用する育苗容器Aの外形寸法に合わせて種子供給装置7をスライド機構61により前後にスライドさせ、
あるいは、種子供給装置7に対して育苗容器検出手段80を前後スライドさせる構成とする。
【0032】
すなわち、種子供給装置7と育苗容器検出手段80とは、移送台1に対して相対的に互いに前後スライド可能に構成する。
このように、播種装置Hに育苗容器Aの前後壁79を検知する育苗容器検出手段80を設け、さらに、育苗容器検出手段80に対する種子供給装置7の位置を育苗容器Aの長さに合わせて前後スライド可能にするスライド機構61を設けたことと相俟って精度の高い種子供給装置7の横軸繰出ロール25の回転停止制御を実行することができる。
なお、通常は、育苗容器検出手段80に対する種子供給装置7の位置を育苗容器Aの長さに合わせて前後スライドさせればよいが、特殊な場合では育苗容器検出手段80を前後位置調節可能にする。
【0033】
すなわち、育苗容器Aの前壁79と後壁79との厚みは合わせて略10ミリメートルほどであるので、育苗容器Aの外形寸法の相違による調節長さは30ミリメートル位を想定して、種子供給装置7に対する育苗容器検出手段80の前後スライド可能に設定し、さらに、灌水装置6と二つの施肥装置63の設置スペースや、あるいは、移送台1の移送フレーム60の継ぎ目等の諸事情により、育苗容器検出手段80と種子供給装置7とは100~250ミリメートル程相対的に前後スライド可能に構成している。
【0034】
換言すると、
図1Aでは、育苗容器検出手段80の後側(手前側)には回転ブラシ6が有り、育苗容器検出手段80の前側には前灌水装置6が設置され、しかも、育苗容器検出手段80と前灌水装置6との間に移送台1の移送フレーム60の継ぎ目が存在して支脚3の取付部があるので、育苗容器検出手段80の前後スライド量の制約を受けるが、種子供給装置7の前後スライド量にて育苗容器検出手段80との間の距離を確保しつつ前灌水装置6と前施肥装置63(
図20NO3)の設置スペースを確保している。
83Aは支持部材82の取付板部83に設けた育苗容器検出手段80の前後位置調節用の長孔、83Bは支持部材82の取付板部83に設けた育苗容器検出手段80の固定用の取付孔であり、図示は省略するが、固定用のボルトを挿入して移送台1の移送フレーム60に固定する。
【0035】
図26~
図30は、育苗容器検出手段80の他の実施形態を示し、上下動体87(検知突起部89)を上下させる一対のリンクアーム85の基部を、前後に並設した軸86により支持部材82に取付ける。
各リンクアーム85の先端は上下動体87に前後に並設させた軸88により前後方向に回動自在に取付ける。この上下動体87に対して停止スイッチ93を上下位置調節自在の構成とする。
そのため、上下動体87(検知突起部89)の上下動を円滑にし、かつ、停止スイッチ93の高さ位置を育苗容器Aの高さに合わせることができ、育苗容器検出手段80の検出精度を向上させられる。
【0036】
すなわち、停止スイッチ93の高さ位置を育苗容器Aの高さに合わせないと、例えば、停止スイッチ93の設定高さより低い育苗容器Aが移送されると、高さの低い育苗容器Aが育苗容器検出手段80(検知突起部89)を上動させても、上下動体87の当接部92は停止スイッチ93に接触せず、停止スイッチ93は育苗容器Aを検出できないことになって、育苗容器Aの前後壁79上に種子を落下させてしまうが、本発明では停止スイッチ93の高さ位置を育苗容器Aの高さに合わせることにより、育苗容器検出手段80の検出精度を向上させられる。
【0037】
また、第一実施形態のリンクアーム85では、上下に並設した軸86により上下動体87(検知突起部89)を上下させるため、育苗容器Aの前壁79または後壁79が検知突起部89の案内面91に当接したとき、案内面91の上方移動距離に対して前方移動距離が少なく、上下動体87の上下動が育苗容器Aの前進移動の抵抗となるおそれがあるが、第二実施形態のリンクアーム85は、前後に並設した軸86により上下動体87(検知突起部89)を上下させるため、第一実施形態のリンクアーム85に比し案内面91の上方移動距離に対する前方移動距離を充分確保することができ、上下動体87の上下動が育苗容器Aの前進移動の抵抗となるおそれを低下させ、上下動体87の上下動を円滑にさせられる。
【0038】
具体的には、支持部材82は、取付板部83に側板82Aを立ち上げ、側板82Aの上部に天板82Bを連設し、天板82Bの内側に内側側板82Cを連設し、内側側板82Cに前後一対のリンクアーム85の基部を前後に所定間隔おいて並設した軸86により前後方向に回動自在に取付ける。
リンクアーム85の先端には上下動体87を軸88により取付ける。
上下動体87は自重で常時リンクアーム85を垂直状態にして待機しており、リンクアーム85を所定待機位置に保持するストッパーを不要にしている。
上下動体87には下方に突出する検知突起部89を設け、検知突起部89の後側に育苗容器Aの側板の上面を摺接移動する摺接体90を設ける。
【0039】
したがって、待機位置の上下動体87は、摺接体90の後部の円弧状の案内部90Bに先ず育苗容器Aの前壁79が当接し、これにより、上下動体87は上動開始しながら前進する。
検知突起部89の後側には後上がりに傾斜する案内面91を設け、案内面91に育苗容器Aの前壁79または後壁79が当たると、上下動体87を上動案内させる。
検知突起部89の前側には前上がりに傾斜する退避面91Aを設け、検知突起部89が育苗容器Aの前壁79または後壁79の上面を通過すると、直ちに下降して種子供給装置7の駆動モーター81の駆動させて横軸繰出ロール25を回転させて、播種を開始する。
【0040】
検知突起部89の上方部分の上下動体87の上縁部分は当接部92を形成し、当接部92の上方には停止スイッチ93の感知体94を設ける。
停止スイッチ93は、支持部材82の側板82Aに上下動自在に取付け、育苗容器Aの高さに合わせて停止スイッチ93の高さを上下調節する。
すなわち、検知突起部89の下端を育苗容器Aの前後壁79の上面に載せた状態で、停止スイッチ93の感知体94が停止スイッチ93をオン(オフ)にするように高さ調節する。
そのため、検知突起部89の下端が前後壁79の上面より僅かにでも下降すると、オフ(オン)になって種子供給装置7の横軸繰出ロール25の回転を再開させる。
【0041】
なお、実際の停止スイッチ93の感知体94と、上下動体87の当接部92と、停止スイッチ93のオンとオフのタイミングは、相対的に任意に設定すればよい。
すなわち、停止スイッチ93は、停止スイッチ93本体と感知体94との位置関係おいて、停止スイッチ93のオンとオフのタイミングが異なることがあるが、停止スイッチ93の高さを変更することにより、停止スイッチ93の製品バラツキによる誤差を吸収できる。
停止スイッチ93はスイッチ取付板93Aに取付け、スイッチ取付板93Aの突出板93Bに高さ調節ダイヤル93Cの螺子軸を螺合させる。
【0042】
したがって、高さ調節ダイヤル93Cを回転させると、スイッチ取付板93Aごと停止スイッチ93を上下させ、停止スイッチ93の高さ調節が行える。
93Eは固定螺子、93Fは高さ調節用の長孔である。
停止スイッチ93は左右方向にも位置調節自在に取り付けている。
また、播種装置Hにより播種された育苗容器Aは移送手段2により移送台1の終端まで移送され、手作業または取出装置(図示省略)により移送台1から取り出すが、手作業または取出装置に不具合があったときに播種装置H全体を停止させる全停止スイッチ95を設ける。
【0043】
この場合、全停止スイッチ95の作動で播種装置Hを全停止させると、移送手段2の移送停止と種子供給装置7の横軸繰出ロール25の回転停止との間にタイムラグが生じ、その分、育苗容器Aに播種斑が生じることになる。
すなわち、停止スイッチ93による停止信号と同様のタイミングで種子供給装置7の横軸繰出ロール25の回転を瞬時に停止させると、種子供給装置7の下方を移動中の育苗容器Aは移送手段2の駆動停止状態となっても、慣性で前進移動してしまうので、慣性で前進移動距離の分育苗容器Aには播種されていない部分(無播種部分)が生じることになる。
【0044】
そこで、本発明では、横軸繰出ロール25の駆動モーター81の停止制御は、全停止スイッチ95の停止信号の場合、予め移送手段2の駆動停止後の慣性移動時間分遅らせて、横軸繰出ロール25の駆動モーター81の停止させる所謂ディレイ制御を実行する。
【0045】
換言すると、床土供給装置4と覆土供給装置8は移送手段2の駆動源を利用して駆動させているが、種子供給装置7の横軸繰出ロール25は、移送台1の移送手段2とは独立した駆動モーター81により回転駆動させているため、全停止スイッチ95の停止信号により播種装置を全停止させると、床土供給装置4の床土供給と、灌水装置6の灌水と、種子供給装置7の種子供給と、覆土供給装置8の覆土供給の全てが停止し、その後、全停止スイッチ95の停止信号を解除すると、播種装置は播種作業を再開するが、種子供給装置7の横軸繰出ロール25の駆動モーター81のみが瞬時に停止可能(瞬時起動開始可能)な構成なため、前記のようなデレィ制御を実行するが、その他の供給装置では移送手段2の駆動源を利用して駆動させているため、供給停止と移送停止との間に殆どタイムラグが生じないので、播種装置は停止状態から問題なく播種作業を再開させられる。
【0046】
駆動モーター81の制御手段は任意であり、本実施形態では駆動モーター81のコントローラー81Aにより、駆動モーター81の回転の無段階の変速を制御すると共に、全停止スイッチ95の停止信号による駆動モーター81の停止を制御しているが、播種装置Hの操作部(図示省略)に組み込んでもよい。
【0047】
(実施形態の作用)
本発明は上記の構成であり、種子供給装置7を移送台1に対して移送方向にスライド自在に設けたことを要旨としており、種子供給装置7をスライドさせることにより、灌水装置6の設置位置の変更や、施肥装置63等の後付けが可能となって、汎用性の高い播種装置Hとすることができる。
【0048】
すなわち、本来、移送台1の長さは短い程、運搬・格納等の際に有利であるが、
図19Aの模式図のように、例えば、仮に、床土供給装置4と覆土供給装置8の間に、一つの灌水装置6と二つの施肥装置63を設けるとして、種子供給装置7の位置固定にしておくと、灌水装置6は種子供給装置7に対して、種子供給装置7による種子供給前の前灌水と種子供給装置7による種子供給後の後灌水する播種形態が存在し、同様に、施肥装置63は種子供給装置7に対して、種子供給装置7による種子供給前の前施肥と種子供給装置7による種子供給後の後施肥の播種形態が存在するので、床土供給装置4と種子供給装置7の間に前側灌水装置6と前側施肥装置63を設置するスペースが必要になり、種子供給装置7と覆土供給装置8の間に後側施肥装置63と後側灌水装置6を設置するスペースが必要になる。
【0049】
本発明では、
図19Bの模式図のように、一つの灌水装置6の前後長さに対応させて種子供給装置7をスライドさせることにより、一つの灌水装置6と二つの施肥装置63の設置可能としつつ、
図19Aの模式図に比し、大凡一つの灌水装置6の前後長さ分移送台1の長さを短くすることができる。
前記したように、例えば、床土供給装置4と覆土供給装置8の間に、一つの灌水装置6と二つの施肥装置63を設けるとして、灌水装置6と種子供給装置7と施肥装置63の配置例は多岐に亘るが、種子供給装置7の前後スライドさせる事例の理解を容易にするため、代表例を
図20に示すと、
図20のNO2では、灌水装置6と種子供給装置7との間に後側施肥装置63を設置する空間(余裕)が無いことを示している。
【0050】
図20のNO3では、種子供給装置7を基本位置から前側にスライドさせて、灌水装置6と種子供給装置7の間に後側施肥装置63を設置した状態を示している。
図20のNO4では、NO3の状態で種子供給装置7と覆土供給装置8の間に前側施肥装置63を追加した状態を示している。
図20のNO5では、NO3の状態から種子供給装置7と覆土供給装置8の間に前側灌水装置6を移設した状態を示し、所謂前施肥・後灌水の播種形態となる。
図20のNO6では、NO5の状態では種子供給装置7と覆土供給装置8の間に前側灌水装置6に加えて前側施肥装置63を設置するスペースがないので、種子供給装置7を基本位置に後側スライドさせて、前側灌水装置6と前側施肥装置63を設置した状態を示し、所謂後施肥・後灌水の播種形態となる。
【0051】
図20のNO7では、NO6の状態でNO1の後側灌水装置6を設置していたスペースに後側施肥装置63を設置した状態を示し、所謂前施肥・後施肥・後灌水の播種形態となる。
スライド機構61の構成は任意であるが、移送台1の移送フレーム60に支持板65の前後中央部を軸固定ボルト68の固定軸69により固定する。支持板65には前後方向の長孔64を固定ボルト68の固定軸69を挟んで前後一対設ける。長孔64には種子供給装置7側に設けたガイドピン66を係合させる。ガイドピン66は、種子供給装置7に上下高さ切替調節機構42を設けた場合には支持フレーム43に下方に突出するようにガイドピン66を設け、ガイドピン66を支持板65の長孔64に係合させる。
【0052】
また、種子供給装置7に上下高さ切替調節機構42を設けていない場合には、種子供給装置7の播種フレーム20側にガイドピン66を設け、ガイドピン66を支持板65の長孔64に係合させる。
そして、支持板65と上下高さ切替調節機構42の支持フレーム43または播種フレーム20とは固定ボルト取付孔67により前後移動不能に固定する。
前後壁79は取付孔67の取付孔である。
【0053】
<通常播種形態>
図20のNO1で示したように、通常播種形態の播種装置Hでは、移送台1上に始端側から床土供給装置4、床土均平ブラシ5、灌水装置6、種子供給装置7、覆土供給装置8の順に設けられ、移送手段2により移送された育苗容器Aは床土供給装置4の下方にて床土の供給を受け、次に、灌水装置6にて育苗容器A内の床土に灌水し、灌水された育苗容器A内の床土上に種子供給装置7にて種子の供給を受け、次に、覆土供給装置8にて覆土の供給を受ける。
この場合、種子供給装置7は前後スライド範囲の前後中間の基準位置に設置しており、
図20のNO2に示すように、灌水装置6と種子供給装置7の間に施肥装置63を設置できない間隔としている。
そのため、灌水装置6から覆土供給装置8の間の間隔を一層短くさせられる。
【0054】
<前灌水・前施肥播種形態>
図20のNO3で示したように、種子供給装置7を前側にスライドさせ、後側灌水装置6と種子供給装置7の間に後側施肥装置63を設置する。
そのため、床土供給を受けた育苗容器Aは、後側灌水装置6で種子供給前に灌水され(これを当業者は前灌水と称している)、後側施肥装置63で施肥され、次に、種子供給装置7にて種子の供給を受け、次に、覆土供給装置8で覆土の供給を受けて、播種が完了する。
【0055】
<前灌水・前施肥・後施肥・播種形態>
図20のNO4で示したように、種子供給装置7を前側にスライドさせた状態で、後側灌水装置6と種子供給装置7の間に後側施肥装置63を設置すると共に、種子供給装置7と覆土供給装置8の間に前側灌水装置6を設置する。
そのため、後側灌水装置6にて前灌水され、後側施肥装置63による前施肥と種子供給装置7による種子供給後に、前側施肥装置63にて後施肥され、その後、覆土供給装置8で覆土の供給を受けて、播種が完了する。
【0056】
<前施肥・後灌水播種形態>
図20のNO5で示したように、種子供給装置7を基準位置よりも前側にスライドさせた状態で、種子供給装置7の後側に後側施肥装置63を設置すると共に、種子供給装置7と覆土供給装置8の間に前側灌水装置6を設置する。
そのため、床土供給を受けた育苗容器Aは、後側施肥装置63により前施肥を受け、次に、種子供給装置7による種子供給後に、前側灌水装置6により灌水され(これを当業者は後灌水と称している)、覆土供給装置8で覆土の供給を受けて、播種が完了する。
【0057】
<後施肥・後灌水・播種形態>
図20のNO6で示したように、種子供給装置7を後側にスライドさせた状態で、種子供給装置7と覆土供給装置8の間に前側施肥装置63と前側灌水装置6を設置する。
そのため、床土供給を受けた育苗容器Aは、種子供給装置7による種子供給後に、前側施肥装置63により後施肥を受け、前側灌水装置6により後灌水され、覆土供給装置8で覆土の供給を受けて、播種が完了する。
【0058】
<前施肥・後施肥・後灌水・播種形態>
図20のNO7で示したように、種子供給装置7を後側にスライドさせた状態で、元の後側灌水装置6の設置スペースに後側施肥装置63を設置すると共に、種子供給装置7と覆土供給装置8の間に前側施肥装置63と前側灌水装置6を設置する。
そのため、床土供給を受けた育苗容器Aは、後側施肥装置63による前施肥と種子供給装置7による種子供給後に、前側施肥装置63により後施肥を受け、前側灌水装置6により後灌水され、覆土供給装置8で覆土の供給を受けて、播種が完了する。
【0059】
なお、以上の他に、図示は省略するが、通常種子供給装置7の種子供給の前後において、二回の灌水は行わないが、
図20のNO3の種子供給装置7と覆土供給装置8の間に前側灌水装置6を設けてもよく、移送台1上の設置スペースに独自の供給装置を設けて、多岐の播種形態とすることも可能である。
スライド機構61は、移送台1の移送フレーム60に支持板65の前後中央部を軸固定ボルト68の固定軸69により固定し、支持板65には前後方向の長孔64を固定ボルト68の固定軸69を挟んで前後一対設け、長孔64には種子供給装置7側に設けたガイドピン66を係合させ、支持板65と上下高さ切替調節機構42の支持フレーム43または播種フレーム20とは固定ボルト取付孔67により前後移動不能に固定しているので、取付孔67のダイヤルを回して外すと、種子供給装置7全体は移送台1に対して前後移動可能状態となり、所定位置に前後させ、取付孔67により固定する。
【0060】
しかして、種子供給装置7の後側(始端側)には、移送台1により隙間無く連続して移送されてくる育苗容器Aの前後壁79の位置を検知する育苗容器検出手段80を設けているので、育苗容器検出手段80は横軸繰出ロール25の下方に育苗容器Aの前後壁79が位置することを検出して種子供給装置7の横軸繰出ロール25の駆動モーター81を停止させ、前後壁79上に種子が載るのを防止する。
そのため、従来は、種子供給装置7による種子供給後に前後壁79上に載った種子は回転ブラシで育苗容器A内に掃き戻していたが、掃き戻された種子の分だけ育苗容器Aの播種密度が濃くなるという播種斑の原因となっていたが、本発明では、育苗容器検出手段80により育苗容器Aの前後壁79が横軸繰出ロール25の下方に至ったことを検出して種子供給装置7の横軸繰出ロール25の駆動モーター81を停止させるので、播種斑を防止し、かつ、種子を無駄に供給するのを防止する。
【0061】
育苗容器検出手段80は移送台1の移送フレーム60に支持部材82の取付板部83を取付け、取付板部83の後部に起立する後板84に上下一対のリンクアーム(平行リンク)85の基部を軸86により回動自在に取付け、リンクアーム85の先端に上下動体87を軸88により上下動自在に取付け、上下動体87には下方に突出する検知突起部89を設け、検知突起部89の前側に育苗容器Aの側板の上面を摺接移動する摺接体90を設け、検知突起部89の後側には後上がりに傾斜する案内面91を設けているので、育苗容器Aの後壁79に検知突起部89の案内面91が当たると、上下動体87を上動させ、上下動体87の上動により停止スイッチ93の感知体94に接触し、停止スイッチ93をオンにし、横軸繰出ロール25の駆動モーター81を停止させる。
【0062】
次に、育苗容器Aの後壁79が上下動体87の検知突起部89の下方を通過すると、上下動体87は停止スイッチ93の感知体94から離脱し、直ちに停止スイッチ93をオフにして、横軸繰出ロール25の駆動モーター81を駆動し、種子供給を再開する。
この場合、検知突起部89の前側には前上がりに傾斜する退避面91Aを設けているので、検知突起部89が育苗容器Aの前壁79を通過すると、直ちに下降して駆動モーター81の駆動を開始する。
すなわち、検知突起部89は側面視下向き三角状に形成し、下方頂点が検知突起部89となって、育苗容器Aの前後壁79の上面に点接触し、そのため、育苗容器Aの前壁79の前面から後壁79の後面までのストロークを検出可能となって、検出精度を向上させている。
【0063】
また、検知突起部89の後側の案内面91と前側の退避面91Aが、検知突起部89の上下を案内し、かつ、リンクアーム(平行リンク)85により検知突起部89平行上下動するので、検知突起部89の上下動が育苗容器Aの搬送抵抗となることがなく、播種トラブルの発生も未然に防止する。
摺接体90は育苗容器Aの側板の上面を摺接移動することにより、検知突起部89の案内面91を所定高さに待機させるが、摺接体90を軸90Aにより上下動体87に回動自在に取り付けることにより、摺接体90の摺接高さを変更可能に構成しているので、検知突起部89の案内面91を待機高さの調節が可能になる。
そのため、高さの相違する育苗容器Aにも即座に対応でき、仮に、高さの相違する育苗容器Aが混在していても、検知突起部89は追随して上下する。
【0064】
したがって、この点でも、育苗容器Aの移送が詰まることはなく、播種トラブルの発生を防止する。
育苗容器検出手段80は移送台1の移送フレーム60に支持部材82の取付板部83を取付け、取付板部83の後部に起立する後板後板84に上下一対のリンクアーム85の基部を軸軸86により回動自在に取付け、リンクアーム85の先端に上下動体上下動体87を軸軸88により上下動自在に取付け、上下動体87には下方に突出する検知突起部89を設け、育苗容器検出手段80は種子供給装置7の横軸繰出ロール25が種子を落下させる位置から1個の育苗容器Aの後壁79に上下動体87が当接する位置に設置させているので、種子供給装置7の前後長さが相違する播種装置Hでも、育苗容器Aの前後壁79上への種子落下を防止する。
【0065】
また、播種装置Hの製造組立段階では、予め、大凡の1個の育苗容器Aの長さを想定して、育苗容器検出手段80を移送台1に取付け、設定した育苗容器Aの外形寸法(前後長さ)と相違する育苗容器Aを使用するときは、使用する育苗容器Aの外形寸法に合わせて種子供給装置7をスライド機構61により前後にスライドさせるので、播種装置Hに育苗容器Aの前後壁79を検知する育苗容器検出手段80を設け、さらに、育苗容器検出手段80に対する種子供給装置7の位置を育苗容器Aの長さに合わせて前後スライド可能にするスライド機構61を設けたことと相俟って精度の高い種子供給装置7の横軸繰出ロール25の回転停止制御を実行することができる。
【0066】
すなわち、種子供給装置7を前後スライド自在に設けているので、移送台1の移送手段2を停止させた状態で、育苗容器Aの後側の後壁79を育苗容器検出手段80の検知突起部89に合わせ、この状態で育苗容器Aの前壁79に合わせて、種子供給装置7を前後させられ、位置合わせを容易にする。
【0067】
換言すると、育苗容器Aの後壁79の前面に育苗容器検出手段80の検知突起部89を合わせた状態で、育苗容器Aの1個分の長さの先に位置する前後79を横軸繰出ロール25の下方に位置しているか否かを視認するのを、一人作業では斜め後方から見ることになって、位置合わせが容易でなく、その分、停止制御の制御精度が低下するが、本発明では、育苗容器Aの後壁79を育苗容器検出手段80の検知突起部89に合わせた状態で、種子供給装置7の真横で横軸繰出ロール25の位置と育苗容器Aの前後79とを、種子供給装置7を前後させて、位置合わせできるので、一人作業でも位置合わせ頗る容易に、かつ、正確にできる。
【0068】
図26~
図30の育苗容器検出手段80の他の実施形態では、上下動体87(検知突起部89)を上下させる一対のリンクアーム85の基部を、前後に並設した軸86により取付け、同様に、リンクアーム85の先端に上下動体87を取付ける軸88を前後に並設させ、リンクアーム85の下端を前後方向に回動させて、上下動体87を上下動自在に取付ける構成とし、かつ、停止スイッチ93を上下位置調節自在の構成としているので、上下動体87(検知突起部89)の上下動を円滑にし、かつ、停止スイッチ93の高さ位置を育苗容器Aの高さに合わせることができ、育苗容器検出手段80の検出精度を向上させられる。
【0069】
すなわち、リンクアーム85を、前後に並設した軸86により上下動体87(検知突起部89)を上下させるため、検知突起部89(上下動体87)の上方移動距離に対する前方移動距離を充分確保することができ、検知突起部89の上下動が育苗容器Aの前進移動の抵抗となるおそれを低下させ、検知突起部89の上下動を円滑にさせられる。
【0070】
支持部材82は、取付板部83に側板82Aを立ち上げ、側板82Aの上部に天板天板82Bを連設し、天板82Bの内側に内側側板82Cを連設し、内側側板82Cに前後一対のリンクアーム85の基部を前後に所定間隔おいて並設した軸86により前後方向に回動自在に取付け、リンクアーム85の先端には上下動体87を軸88により取付けているので、支持部材82のリンクアーム85の支持剛性を向上させられる。
【0071】
上下動体87は自重で常時リンクアーム85を垂直状態にして待機しており、リンクアーム85を所定待機位置に保持するストッパーを不要にしているので、上下動体87の上下動を確実にして、育苗容器検出手段80の検出精度を向上させられる。
上下動体87には下方に突出する検知突起部89を設け、検知突起部89の案内面91の後側に育苗容器Aの側板の上面を摺接移動する摺接体90を設けているので、待機位置の上下動体87は、先ず、摺接体90の後部の円弧状の案内部90Bに育苗容器Aの前壁79が当接して押すことにより上動し、次に、検知突起部89の案内面91が育苗容器Aの前壁79または後壁79に当たると、上下動体87を上動させる。
【0072】
したがって、検知突起部89の上下動を円滑・確実に行える。
検知突起部89の前側には前上がりに傾斜する退避面91Aを設け、検知突起部89が育苗容器Aの前壁79を通過すると、直ちに下降して駆動モーター81の駆動を開始するので、種子供給装置7の横軸繰出ロール25の回転の再開を迅速に行って、無播種状態を回避できて、播種斑発生を防止する。
【0073】
上下動体87の上縁部分の当接部92の上方に停止スイッチ93の感知体94を設け、停止スイッチ93は支持部材82の側板82Aに上下動自在に取付け、育苗容器Aの高さに合わせて停止スイッチ93の高さを上下調節可能に構成しているので、検知突起部89の下端は、育苗容器Aの前後壁79に対して確実に上下して育苗容器検出手段80の育苗容器Aの前後壁79の検出精度を向上させられる。
【0074】
この場合、検知突起部89の下端を育苗容器Aの前後壁79の上面に載せた状態で、停止スイッチ93の感知体94が上下動体87の当接部92の上面に当接するように、停止スイッチ93を上下させて高さ調節すればよく、停止スイッチ93の高さ調節を容易にする。
したがって、この点でも、検知突起部89の下端は、育苗容器Aの前後壁79に対して確実に上下して育苗容器検出手段80の育苗容器Aの前後壁79の検出精度を向上させられる。
【0075】
また、停止スイッチ93は、停止スイッチ93本体と感知体94との位置関係おいて、停止スイッチ93のオンとオフのタイミングが異なることがあるが、停止スイッチ93の高さを変更することにより、停止スイッチ93の製品バラツキによる誤差を吸収できる。
【0076】
停止スイッチ93はスイッチ取付板停止スイッチ93Aに取付け、停止スイッチ93Aの突出板停止スイッチ93Bに高さ調節ダイヤル高さ調節ダイヤル93Cの螺子軸を螺合させるので、高さ調節ダイヤル93Cを回転させると、スイッチ取付板停止スイッチ93Aごと停止スイッチ93を上下させ、停止スイッチ93の高さ調節を行うことができ、停止スイッチ93の感知体94と上下動体87の当接部92との高さ調節を正確に行うことができる。
【0077】
なお、
図25に図示されている停止スイッチ93および感知体94も、支持部材82の高さ調節用の長孔93Fにより上下動体87の当接部92に対して高さ調節を行うことができる。
【0078】
また、播種装置Hにより播種された育苗容器Aは移送手段2により移送台1の終端まで移送され、手作業または取出装置(図示省略)により移送台1から取り出すが、手作業または取出装置に不具合があったときに播種装置H全体を全停止スイッチ95を設け、全停止スイッチ95の作動で播種装置Hを全停止させると、移送手段2の移送停止と種子供給装置7の横軸繰出ロール25の回転停止との間にタイムラグが生じ、その分、育苗容器Aに播種斑が生じることになるが、本発明では、横軸繰出ロール25の駆動モーター81の停止制御は、全停止スイッチ95の停止信号の場合、予め移送手段2の駆動停止後の慣性前進移動時間分遅らせて、横軸繰出ロール25の駆動モーター81の停止させる所謂ディレイ制御を実行するので、播種斑発生を防止する。
【符号の説明】
【0079】
1…移送台、2…移送手段、3…支脚、4…床土供給装置、5…床土均平ブラシ、6…灌水装置、7…種子供給装置、8…覆土供給装置、10…床土供給フレーム、11…床土供給ホッパー、12…床土供給ベルト、15…灌水フレーム、16…灌水パイプ、20…播種フレーム、21…種子供給ホッパー、22…種子供給口、23…流穀板、25…横軸繰出ロール、26…繰出凹部、27…スリット、28…掻出用ナイフ、30…ロール外面部、31…条播ガイド、33…回転均平ブラシ、35…種子誘導体、36…弾性体、38…分割落下口、39…ガイド体、40…リンクアーム、42…上下高さ切替調節機構、43…支持フレーム、44…前側回動アーム、45…後側回動アーム、46…軸、47…ギヤ、48…連結杆、49…操作レバー、50…レバー連結杆、51…アーム、52…係合軸、53…撒播用係合溝群、54…条播用係合溝群、60…移送フレーム、61…スライド機構、63…施肥装置、64…長孔、65…支持板、66…ガイドピン、67…取付孔、68…固定ボルト、69…固定軸、73…施肥フレーム、74…施肥供給ホッパー、75…施肥繰出ロール、76…繰出凹部、77…回転ブラシ、78…着脱具、79…前後壁、80…育苗容器検出手段、81…駆動モーター、81A…コントローラー(制御部)、82…支持部材、82A…側板、82B…天板、82C…内側側板、83…取付板部、84…後板、85…リンクアーム、86…軸、87…上下動体、88…軸、89…検知突起部、90…摺接体、90A…軸、91…案内面、91A…退避面、92…当接部、93…停止スイッチ、93A…スイッチ取付板、93B…突出板、93C…高さ調節ダイヤル、93E…固定螺子、93F…長孔、94…感知体、95…全停止スイッチ、A…育苗容器、G…種子、K…空間部。