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特許7371904ステムアクチュエータおよびステムアクチュエータを備えたエアゾール式製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ステムアクチュエータおよびステムアクチュエータを備えたエアゾール式製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/20 20060101AFI20231024BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
B65D83/20 100
B05B9/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019218225
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021088374
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000144463
【氏名又は名称】株式会社三谷バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100097593
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 治幸
(72)【発明者】
【氏名】川島 直人
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02218471(GB,A)
【文献】特開2007-217056(JP,A)
【文献】実開昭62-099361(JP,U)
【文献】特開2006-036335(JP,A)
【文献】特開2019-167125(JP,A)
【文献】特開昭50-004613(JP,A)
【文献】特表2002-513366(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0006858(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00-83/76
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウンティングカップにその側方から装着される固定装着基部、ならびにこれと一体に形成されて内容物放出作動用の容器本体側のステムを駆動する放出操作部、および筒状で外部空間域への放出通路部となるステム連結部を備えたステムアクチュエータにおいて、
前記固定装着基部は、
周回部分の周方向の一部が欠落して少なくとも一組の端部を備えた形状を有し、前記端部の側が、自基部の前記マウンティングカップへの装着開始のときそれとの当接作用により外方に弾性変位し、装着後は内方に弾性復帰することにより前記マウンティングカップへ保持されるものであり、
前記ステム連結部は、
前記固定装着基部が前記側方から装着されるとき、前記ステムが相対的に通過して自らの内側空間域に収容されるための切欠き部分を備えている、
ことを特徴とするステムアクチュエータ。
【請求項2】
前記固定装着基部は、
前記一組の端部を備えたC形状で形成された、
ことを特徴とする請求項記載のステムアクチュエータ。
【請求項3】
前記放出操作部は平面視において、
前記固定装着基部の前記一組の端部の間に収まる態様で形成された、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のステムアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載のステムアクチュエータを備え、かつ、前記容器本体に噴射用ガスおよび内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器のマウンティングカップに対して側方より装着可能で、ステムの上端に連結され内容物放出用の操作部を有するステムアクチュエータに関する。
【0002】
特にステムアクチュエータの固定装着基部の側方に開放部が形成され、マウンティングカップがその開放部より挿入されて装着されるステムアクチュエータに関する。
【0003】
本明細書では、ステムアクチュエータにおいてマウンティングカップ挿入開放部がある側を「後」、それとは反対側を「前」と記す。例えば図4図6の左側が「前」で右側が「後」となる。
【背景技術】
【0004】
従来、エアゾール容器のマウンティングカップの外周部をU字状(半長円状)の切り欠きに嵌合させて取付けるステムアクチュエータが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
このなかで、保持部材[7]に形成された半長円状の切り欠き[15,16]の内周の凹溝[15a,16a]にエアゾール缶[2,3]のマウンティングカップ[2b,3b]の縁部が弾力的に嵌合されている。なお以下を含め[2,3]等のカッコでくくった符号は特許文献1における符号である。
【0006】
このようにエアゾール容器のマウンティングカップにステムアクチュエータを側方より装着することで、上方より嵌合装着する場合より、エアゾール容器とステムアクチュエータの着脱が容易で、噴射操作によるステムへの押圧力によってステムアクチュエータからエアゾール容器が簡単に脱落することもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実開昭62-099361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、半長円状の切り欠き[15,16]の内周の凹溝[15a,16a]にマウンティングカップ[2b,3b]の縁部が弾力的に嵌合しているだけなので、エアゾール缶[2,3]に切り欠き方向の力が加わると容易にずれて、嵌合位置の安定性が乏しかった。
【0009】
また、特許文献1の図5で示されるように噴射操作時にはレバー[8]とレバー[9]は略並行な状態でステム[2a,3a]が嵌合状態となるが、特許文献1の図3で示されるレバー[8]とレバー[9]が略並行な状態からエアゾール缶[2,3]を取り付けるために保持部[7]を嵌着部[12]に垂直に嵌着しようすると、ステム[2a,3a]がレバー[9]の上端にぶつかり嵌合孔[20,21]に入ることができない。
【0010】
そのため、エアゾール缶[2,3]を取り付けた保持部[7]を嵌着部[12]に垂直に嵌着する場合には、同時にレバー[8]とレバー[9]の間を強制的に開いてステム[2a,3a]がレバー[9]の上端にぶつからにようにしておくことが必要であった。
【0011】
そこで本発明では、マウンティングカップに対して側方より装着可能なステムアクチュエータにおいて、
(11)マウンティングカップに側方より装着する固定装着基部を周回部分の周方向の一部が欠落して少なくとも一組の端部を備えた形状として、端部の間に設定される開口部から装着したマウンティングカップの嵌合位置の安定化を図り、
(12)マウンティングカップに固定装着基部を装着するときにステムが相対的に通過して自らの内側空間域に収容されるための切欠き部分をステム連結部に設けたり、また、マウンティングカップに固定装着基部を装着するときにステム連結部の下端部分をステムの上端部分で阻害されない高さ関係にして、これら装着の容易化を図る、
ことを目的とする。
【0012】
さらには、固定装着基部に端部の間に設定される開口部があることを前提として、
(13)操作部と固定装着基部との上下方向の重複をなくしてスライド金型を不要とし、成形の容易化を図る、
ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)マウンティングカップ(例えば後述のマウンティングカップ2)にその側方から装着される固定装着基部(例えば後述の嵌合部4a,6a,7a,連結部7c)、ならびにこれと一体に形成されて内容物放出作動用の容器本体側のステム(例えば後述のステム3)を駆動する放出操作部(例えば後述の操作部4d,6d,7d)、および筒状で外部空間域への放出通路部となるステム連結部(例えば後述のステム連結部4f,6f,7f)を備えたステムアクチュエータ(例えば後述のステムアクチュエータ4,6,7)において、
前記固定装着基部は、
周回部分の周方向の一部が欠落して少なくとも一組の端部(例えば後述の端部4m,6j,7j)を備えた形状を有し、前記端部の側が、自基部の前記マウンティングカップへの装着開始のときそれとの当接作用により外方に弾性変位し、装着後は内方に弾性復帰することにより前記マウンティングカップへ保持されるものであり、
前記ステム連結部は、
前記固定装着基部が前記側方から装着されるとき、前記ステムが相対的に通過して自らの内側空間域に収容されるための切欠き部分(例えば後述の切欠き部4g)を備えている、
構成態様のものを用いる。
(2)上記(1)において、
前記固定装着基部は、
前記一組の端部を備えたC形状で形成された、
構成態様のものを用いる。
)上記(1),(2)において、
前記放出操作部は平面視において、
前記固定装着基部の前記一組の端部の間(例えば後述の開口部4n,6k,7j)に収まる態様で形成された、
構成態様のものを用いる。
【0014】
このような構成からなるステムアクチュエータおよびこのステムアクチュエータを備えたエアゾール式製品を本発明の対象としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上の構成をとることにより、
(21)マウンティングカップに側方より装着する固定装着基部を周回部分の周方向の一部が欠落して少なくとも一組の端部を備えた形状として端部の間に設定される開口部から装着したマウンティングカップの嵌合位置の安定化を図る、
(22)マウンティングカップに固定装着基部を装着するときにステムが相対的に通過して自らの内側空間域に収容されるための切欠き部分をステム連結部に設けたり、また、マウンティングカップに固定装着基部を装着するときにステム連結部の下端部分をステムの上端部分で阻害されない高さ関係にして、これら着脱の容易化を図る、
(23)操作部と固定装着基部の上下方向の重複をなくして成形の容易化を図る、
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】粗結合タイプのステムアクチュエータを上方からみたときの斜視図である。
図2図1のステムアクチュエータを下方からみたときの斜視図である。
図3図1のステムアクチュエータの平面図である。
図4図1のステムアクチュエータをエアゾール容器のマウンティングカップに装着させる初期状態を示す説明図である。
図5図1のステムアクチュエータをエアゾール容器のマウンティングカップに装着した状態を示す説明図である。
図6】密結合タイプのステムアクチュエータをエアゾール容器のマウンティングカップに装着させる初期状態を示す説明図である。
図7】ステムアクチュエータのバリエーションを示す説明図であり、(a)は、二つに分割された嵌合部を有するステムアクチュエータを示し、図7の(b)は、二つの開口部を有するステムアクチュエータを示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1乃至図7を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
【0018】
なお、以下のアルファベット付き数字符号の構成要素(例えば嵌合部4a)は原則として符号の数字部分の構成要素(例えばステムアクチュエータ4)の一部である、ことを示している。
【0019】
ここで、図1図6において、
1は内容物および噴射用ガスを収容したエアゾール式製品の容器本体,
2は容器本体1に取り付けられたマウンティングカップ,
2aはマウンティングカップ2の容器本体1との連結部分外周下側に形成される環凹状部,
3は上端側部分がマウンティングカップ2の中央開口部から上方に設定されて、内容物放出操作により周知のバルブ作用を呈するステム,
4はマウンティングカップ2の環凹状部2aに取付けて使用される粗結合タイプのステムアクチュエータ,
4aはマウンティングカップ2に外嵌合する弾性変形可能なC形状の嵌合部,
4bは嵌合部4aの内周面に設けられ、環凹状部2aに係合して嵌合部5aがマウンティングカップ2から上方に脱落するのを阻止する凸状部,
4cは嵌合部4aの中間部分から前方に突出する態様で設けられ、マウンティングカップ2との着脱のときの操作対象となる摘み部,
4dは嵌合部4aの中間部分上面から連続する態様で上下方向の回動可能に形成された内容物放出用の操作部,
4eは操作部4dの上面端部に設けられた内容物放出操作の対象となる操作面,
4fは操作部4dの下面中央に設けられた鞘状のステム連結部,
4gはステム連結部4fの後方に設けられ、マウンティングカップ2への着脱時にステム3を通過させる切欠き部,
4hは切欠き部4gの上側面,
4jは前方に開口する態様で操作部4dの上面に設けられ、ステム連結部4fの内部上端と連通する内容物放出用の噴射口,
4kは操作部4dの嵌合部4aの側に設けられた薄肉部であって操作面4eを押圧したときに操作部4dの回動中心となるヒンジ部,
4mは嵌合部4aの一組の端部,
4nは一組の端部4mの間に設定され、装着の際にマウンティングカップ2が通過する開口部,
をそれぞれ示している。
【0020】
また、
5は容器本体1に取付けて使用される密結合タイプのステムアクチュエータ,
5aはマウンティングカップ2に外嵌合する弾性変形可能なC形状の嵌合部,
5bは嵌合部5aの内周面に設けられ、環凹状部2aに係合して嵌合部5aがマウンティングカップ2から上方に脱落するのを阻止する凸状部,
5cは嵌合部5aの中間部分から前方に突出する態様で設けられ、マウンティングカップ2との着脱のときの操作対象となる摘み部,
5dは嵌合部5aの中間部分上面から連続する態様で上下方向の回動可能に形成された内容物放出用の操作部,
5eは操作部5dの上面端部に設けられた内容物放出操作の対象となる操作面,
5fは操作部5dの下面中央に設けられた鞘状のステム連結部,
5gはステム連結部5fの下端面,
5hは前方に開口する態様で操作部5dの上面に設けられ、ステム連結部5fの内部上端と連通する内容物放出用の噴射口,
5jは操作部5dの嵌合部5aの側に設けられた薄肉部であって操作面5eを押圧したときに操作部5dの回動中心となるヒンジ部,
5kは嵌合部5aの一組の端部,
5mは一組の端部5kの間に設定され、装着の際にマウンティングカップ2が通過する開口部,
をそれぞれ示している。
【0021】
ここで、容器本体1およびステム3は例えば金属製,プラスチック製のものである。マウンティングカップ2は例えば金属性のものである。
【0022】
また、ステムアクチュエータ4,5は例えばポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0023】
図1図5は、ステム3に対しステム連結部4fが粗結合するステムアクチュエータ4を示している。
【0024】
図1は、ステムアクチュエータ4を上方からみたときの斜視図であり、図2はステムアクチュエータ4を下方からみたときの斜視図である。
【0025】
図3はステムアクチュエータ4を上方からみた平面図である。
このように、マウンテンカップ3の外径より長い操作部4dであっても、嵌合部4aのC形状両端の間である開口部4nに収めることで操作部4dと嵌合部4aとの間の重なりによるアンダーカット部の発生を回避し、ステムアクチュエータ4の全体をスライド金型を使用せずに成形することができる。また、これにより大きなテコ作用を有する操作部4dを可能とし操作力を低減している。
【0026】
図4は、ステム3に対しステム連結部4fが粗結合するステムアクチュエータ4を容器本体1のマウンティングカップ2に側方より嵌合させる初期状態を示している。
【0027】
装着は、まず開口部4nを設定する端部4mがマウンティングカップ2との当接作用により外方に弾性変位し、それにより広がった開口部4nをマウンティングカップ2が通過し、その後、端部4mが内方に弾性復帰することで、嵌合部4aがマウンティングカップ2に保持される。
【0028】
このとき、ステム3がステム連結部4fに当接しても、切欠き部4gの上側面4hがステム3の上端外周の曲面に倣い操作部4dが上方に回動することで、ステム3と切欠き部4gの上側面4hとの多少のオーバーラップは解決される。
【0029】
図5は、ステムアクチュエータ4が容器本体1のマウンティングカップ2に装着された状態を示している。ステム3とステム連結部4fとはきつく嵌合せず接触した状態になっている。
【0030】
嵌合部4aがC形状となっているので、この内側の設定した嵌合位置にマウンティングカップ2は安定的に配置され、ステム3とステム連結部4fとが水平方向にずれることはない。
【0031】
また、嵌合部4aの凸状部4bがマウンティングカップ2の環凹状部2aに係合しているので、嵌合部4aがマウンティングカップ2から上方に外れることはない。そして、嵌合部4aは容器本体1の肩部の上に当接している。
【0032】
この状態から利用者によって操作面4eが下方に押圧されると、ステム連結部4fがステム3に押し付けられ、その後ステム3が付勢力に抗して下方に移動し容器本体1に設けられた周知の弁作用部が開状態となって、容器本体1に収容された内容物がステム3およびステム連結部4fの内部通路を介して噴射口4jより放出される。
【0033】
ステム連結部4fは、操作面4eとヒンジ部4kとのほぼ中間に位置するので、テコの作用で楽に押し下げることができる。
【0034】
また、上述のようにテコ作用を可能とする長い操作部4dは、上方より参照したときにC形状両端の間である開口部4nに収まるように形成されているので、操作部4dと嵌合部との間に上下方向の重なりがなく、ステムアクチュエータ4を形成するときに上下に分割する単純な金型で形成することができる。
【0035】
放出操作を解除すると、ステム3の付勢力によってステム連結部4fがステム3に押し付けられたまま、ステム3がその付勢力によって上方に復帰し、容器本体1に設けられた周知の弁作用部が閉状態となって、内容物の放出が停止する。
【0036】
このように容器本体1より内容物が放出されているときにはステム3の付勢力によってステム連結部4fがステム3に押し付けられているので、放出操作やその解除のときに、これらの隙間から内容物が漏れ出すことはない。
【0037】
ステムアクチュエータ4を容器本体1より分離するには、摘み部4cを掴んでステムアクチュエータ4を側方に引き抜けば、装着時の逆の過程を経て分離される。
【0038】
図6は、ステム3に対しステム連結部5fが密結合するステムアクチュエータ5をエアゾール容器1のマウンティングカップ2に装着させる初期状態を示している。
【0039】
図6のステムアクチュエータ5は、図1図5のステムアクチュエータ4の切欠き部4gを設ける代わりに、マウンティングカップ2に装着している途中のステム連結部5fの下端部5gがステム3より上方となるような位置に設定したものである。
【0040】
そのため、ステムアクチュエータ5をマウンティングカップ2に装着するときに、予め操作部5dを上方に持ち上げて、ステム連結部5fの下端部5gとステム3とが接触しないようにする必要がない。
【0041】
ステムアクチュエータ5をマウンティングカップ2に装着した後は、操作部5dを下方に押圧してステム連結部5fをステム3に嵌合させるが、嵌合しておかなくても、最初の放出操作のときに自ずと嵌合する。
【0042】
嵌合したあと、さらに利用者によって操作面5eが押圧されると、ステム連結部5fと密結合したステム3が付勢力に抗して下方に移動し容器本体1に設けられた周知の弁作用部が開状態となって、容器本体1に収容された内容物がステム3およびステム連結部5fの内部通路を介して噴射口5hより放出される。
【0043】
放出操作などでステム3にステム連結部5fが嵌合したあとに、ステムアクチュエータ5を容器本体1より分離するには、まず操作部5dを上方に引き上げてステム連結部5fとステム3の嵌合を解除してから行う必要がある。
【0044】
そして、ステム連結部5fとステム3の嵌合を解除したあとは、摘み部5cを掴んでステムアクチュエータ5を側方に引き抜けることでマウンティングカップ2より分離される。
【0045】
図7は、ステムアクチュエータのバリエーションを示す説明図であり、(a)は、二つに分割された嵌合部を有するステムアクチュエータ6を示し、図7の(b)は、二つの開口部を有するステムアクチュエータ7を示している。
【0046】
ここで、図7において、
6は二つに分割された嵌合部を有しその他はステムアクチュエータ4,5と同様のステムアクチュエータ,
6aはマウンティングカップ2に外嵌合する弾性変形可能な全体が略C形状の嵌合部,
6bは嵌合部6aの内周面に設けられ、環凹状部2aに係合して嵌合部5aがマウンティングカップ2から上方に脱落するのを阻止する凸状部,
6cは嵌合部6aの中間部分から前方に突出する態様で設けられ、マウンティングカップ2との着脱のときの操作対象となる摘み部,
6dは嵌合部6aの中間部分上面から連続する態様で上下方向の回動可能に形成された内容物放出用の操作部,
6eは操作部6dの上面端部に設けられた内容物放出操作の対象となる操作面,
6fは操作部6dの下面中央に設けられた鞘状のステム連結部,
6gは前方に開口する態様で操作部6dの上面に設けられ、ステム連結部6fの内部上端と連通する内容物放出用の噴射口,
6hは操作部6dの嵌合部6aの側に設けられた薄肉部であって操作面6eを押圧したときに操作部6dの回動中心となるヒンジ部,
6jは嵌合部6aの一組の端部,
6kは一組の端部6jの間に設定され、装着の際にマウンティングカップ2が通過する開口部,
6mは嵌合部6aの中間部分に設けられた分割部,
をそれぞれ示している。
【0047】
また、
7は二つの開口部を有するステムアクチュエータ,
7aはマウンティングカップ2に外嵌合する弾性変形可能で円弧形状の一組の嵌合部,
7bは嵌合部7aの内周面に設けられ、環凹状部2aに係合して嵌合部5aがマウンティングカップ2から上方に脱落するのを阻止する凸状部,
7cは一組の嵌合部7aそれぞれの中間部同士を連結し、嵌合部7aをマウンティングカップ2に外嵌合させる弾性変形可能な連結部,
7dは連結部7cの中間部分から連続する態様で上下方向の回動可能に形成された内容物放出用の操作部,
7eは操作部7dの上面端部に設けられた内容物放出操作の対象となる操作面,
7fは操作部7dの下面中央に設けられた鞘状のステム連結部,
7gは前方に開口する態様で操作部7dの上面に設けられ、ステム連結部7fの内部上端と連通する内容物放出用の噴射口,
7hは操作部7dの連結部7cの側に設けられた薄肉部であって操作面7eを押圧したときに操作部7dの回動中心となるヒンジ部,
7jは嵌合部7aの一組の端部,
7kは一組の端部7jの間に設定され、装着の際にマウンティングカップ2が通過する開口部,
をそれぞれ示している。
【0048】
ステムアクチュエータ6,7の材質や構成などは、ステムアクチュエータ4,5と同様である。
【0049】
本発明のステムアクチュエータが図示の実施形態に限定されるものでないことは勿論であり、例えば、
(61)操作部4d,5d,6d,7dの操作面4e,5e,6e,7e部分を縦方向に回動可能にして、縦に起こすと回動中心に対し反対側に設けた固定片がマウンティングカップ2に当接して操作部4d,5d,6d,7dの回動を阻止するロック機構を設ける、
(62)噴射口4j,5h,6g,7gを上方に開口するようにして上方噴射仕様とする、
(63)開口部4n,5m,6k,7jが開かないように端部4m,5k,6j,7j連結してステムアクチュエータ4,5,6,7が容器本体1より脱落することを防止するロック部材を設ける、
(64)前記ロック部材を開口部4n,5m,6k,7jを設定する端部4m,5k,6j,7jのいずれか一方または両方と一体に形成する、
(65)噴射口4j,5h,6d,7dを別体のノズルチップとしてステムアクチュエータ4,5,6,7に取付けるかたちにする、
(65)嵌合部7aや開口部7jを3箇所以上設ける、
ようにしてもよい。
【0050】
本発明が適用されるエアゾール式製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0051】
容器本体に収容される内容物としては、液状,クリーム状,ゲル状など種々の形態のものを用いる。内容物に配合される成分は例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などである。
【0052】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0053】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0054】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,1,3-ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0055】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0056】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,ヒドロキシエチルセルロース,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0057】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ピレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、パラフェノールスルホン酸亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,過酸化水素水などの酸化剤、リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0058】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0059】
エアゾール式製品における内容物噴射用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【符号の説明】
【0060】
1:容器本体
2:マウンティングカップ
2a:環凹状部
3:ステム
4:ステムアクチュエータ(粗結合タイプ)
4a:嵌合部
4b:凸状部
4c:摘み部
4d:操作部
4e:操作面
4f:ステム連結部
4g:切欠き部
4h:上側面
4j:噴射口
4k:ヒンジ部
4m:一組の端部
4n:開口部
【0061】
5:ステムアクチュエータ(密結合タイプ)
5a:嵌合部
5b:凸状部
5c:摘み部
5d:操作部
5e:操作面
5f:ステム連結部
5g:下端面
5h:噴射口
5j:ヒンジ部
5k:一組の端部
5m:開口部
【0062】
6:ステムアクチュエータ
6a:嵌合部
6b:凸状部
6c:摘み部
6d:操作部
6e:操作面
6f:ステム連結部
6g:噴射口
6h:ヒンジ部
6j:一組の端部
6k:開口部
6m:分割部
【0063】
7:ステムアクチュエータ
7a:嵌合部
7b:凸状部
7c:連結部
7d:操作部
7e:操作面
7f:ステム連結部
7g:噴射口
7h:ヒンジ部
7j:一組の端部
7k:開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7