(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】MRI画像データにおける複雑なネットワークを検出するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20231024BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20231024BHJP
【FI】
A61B5/055 380
A61B5/055 ZDM
A61B5/055 390
G06T7/00 612
(21)【出願番号】P 2019555568
(86)(22)【出願日】2018-04-13
(86)【国際出願番号】 US2018027606
(87)【国際公開番号】W WO2018191685
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-04-12
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ, リーアン マリー
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0231552(US,A1)
【文献】特開2017-012480(JP,A)
【文献】実開平06-058913(JP,U)
【文献】特表2015-534856(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0018664(US,A1)
【文献】特開2015-062817(JP,A)
【文献】岩渕俊樹,「fMRIによる脳機能計測:基礎と展望」,埼玉放射線,2016年07月20日,Vol.64, No.3,pp.235-243
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオタイプを決定するための方法であって、
磁気共鳴映像システムを使用して少なくとも患者の脳を説明する画像データを取得することと、
前記患者の脳の時系列のひと続きの画像データを生成することと、
脳領域を識別するために前記時系列のひと続きの画像データを前処理することと、
少なくとも1つの神経学的モデルを生成することであって、前記少なくとも1つの神経学的モデルは、
前記時系列のひと続きの画像データ内の少なくとも1つの神経回路を説明するデータ構造と、
前記時系列のひと続きの画像データ内で観察可能な神経学的活動を規定するメトリックと
を備える、ことと、
前記神経学的モデルに基づいて、前記患者に少なくとも1つのバイオタイプを割り当てることであって、前記少なくとも1つのバイオタイプは、前記患者の神経回路の配列のタイプを分類
し、前記少なくとも1つのバイオタイプは、前記脳領域間の接続性および反応性にさらに基づいている、ことと、
それらの少なくとも1つのバイオタイプを説明する各患者のためのプロファイルを生成することと、
ディスプレイを使用して、前記割り当てられたバイオタイプを含むグラフィカルユーザインターフェースを提供することと
を含む、バイオタイプを決定するための方法。
【請求項2】
前記時系列のひと続きの画像データを前処理することは、
前記時系列のひと続きの画像データを再調整することと、
前記時系列のひと続きの画像データをワーピング解除することと、
前記時系列のひと続きの画像データをスパイク解除することと、
前記時系列のひと続きの画像データ内で観察可能な脳構造と脳地図とを位置合わせすることと
をさらに含み、
前記脳地図は、メモリ内に記憶されたデータ構造を備え、基準の脳内の物理的領域を説明する、請求項1に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項3】
前記時系列のひと続きの画像データをスパイク解除することは、
前記時系列のひと続きの画像データ内の画像間の変位を測定することと、
画像間の前記変位がフレーム変位閾値より大きい前記時系列のひと続きの画像データにおける期間を識別することと
を含む、請求項2に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの神経学的モデルのうちの少なくとも1つは、第1のレベルの反応性モデルであり、前記神経学的活動を規定する前記メトリックは、脳領域にわたるニューロン活性化の強度を規定する、請求項3に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項5】
第1のレベルの反応性モデルを生成することをさらに含み、
前記第1のレベルの反応性モデルを生成することは、
前記時系列のひと続きの画像データにおける非脳構造を説明する画像データから、脳構造を説明する画像データを抽出することと、
白色雑音マスクを使用して、前記画像データからグローバル信号を除去することと、
ブラーカーネルを使用して、前記画像データを空間的に平滑化することと、
前記空間的に平滑化された画像データから前記患者の脳内のニューロン活性化の程度を決定することと
を含む、請求項4に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの神経学的モデルのうちの少なくとも1つは、精神生理学的相互作用モデルであり、前記神経学的活動を規定する前記メトリックは、脳領域間の接続性の程度を規定する、請求項1に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項7】
前記前処理された時系列のひと続きの画像データから精神生理学的相互作用モデルを生成することをさらに含み、
前記精神生理学的相互作用モデルを生成することは、
降順インターリーブ取得シーケンスを使用して、前記前処理された時系列のひと続きの画像データに関するスライス時間補正を実施することと、
前記前処理された時系列のひと続きの画像データを座標系に正規化することと、
ブラーカーネルを使用して、前記前処理された時系列のひと続きの画像データを空間的に平滑化することと、
マスクを使用して、前記前処理された時系列のひと続きの画像データにおいて少なくとも1つの着目ボリュームを画定することと、
前記少なくとも1つの着目ボリュームから、固有変量を抽出することと、
着目ボリュームのデータ構造を生成することと
を含み、
前記着目ボリュームのデータ構造は、
前記精神生理学的相互作用モデルの生理学的構成要素を含む畳み込み解除されたタイムコースと、
生理学的変数と心理学的変数との間の相互作用を説明するデータと
を含む、請求項6に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの神経学的モデルは、安静状態モデルを含む、請求項1に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項9】
前記安静状態モデルを生成することは、
組織タイプによって、前記画像データを分けることと、
少なくとも1つのリグレッサ行列を生成することと、
前記分けられた前処理された画像データから、残留画像を生成することと、
前記残留画像を帯域通過フィルタリングすることと
を含む、請求項8に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの安静状態モデルは、着目領域の安静状態モデルである、請求項9に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの安静状態モデルは、ボクセル毎の安静状態モデルである、請求項9に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項12】
前記ボクセル毎の安静状態モデルを生成することは、
時系列のひと続きの画像データを抽出することと、
ボクセル毎の全体的安静状態を示す全ボクセルに対する前記分けられた時系列のひと続きの画像データに対して、前記抽出された時系列のひと続きの画像データに対して回帰を適用することと
をさらに含む、請求項11に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項13】
バイオタイプを割り当てることは、
特定のバイオタイプに関連付けられた反応性および接続性メトリックで注釈を付けられた画像データを含むバイオタイプ分類のデータベースを取得することと、
前記安静状態モデルからのメトリックを最良に適合するバイオタイプ分類および前記生成されたプロファイルに合致させることと
を含む、請求項8に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項14】
バイオタイプを割り当てることは、前記バイオタイプが前記患者に合致する程度を説明する適合のインジケータを生成することを含む、請求項1に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項15】
前記割り当てられたバイオタイプは、少なくとも1つの治療に関連付けられ、前記方法は、前記少なくとも1つの治療をユーザに推奨することをさらに含む、請求項1に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項16】
前記割り当てられたバイオタイプに基づいて少なくとも1つの有効性メトリックを生成することをさらに含み、前記少なくとも1つの有効性メトリックは、前記少なくとも1つの治療を使用する前記患者の治療の成功の可能性を示す、請求項15に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項17】
刺激デバイスを使用して、磁気共鳴映像機械内の前記患者に少なくとも1つの刺激を提供することをさらに含み、前記画像データは、時間を伴ってタイプスタンプを付けられ、前記少なくとも1つの刺激は、同期回路を使用して提供される、請求項1に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの刺激は、試験バッテリである、請求項17に記載のバイオタイプを決定するための方法。
【請求項19】
バイオタイプを決定するための方法であって、
磁気共鳴映像機械を使用して少なくとも患者の脳を説明する画像データを取得することと、
刺激デバイスを使用して患者に刺激を提供することと、
前記患者の脳の時系列のひと続きの画像データを生成することであって、前記時系列のひと続きの画像データは、同期回路を使用して前記刺激デバイスによって提供される刺激の時間を伴ってタイムスタンプを付けられている、ことと、
脳領域を識別するために前記時系列のひと続きの画像データを前処理することと、
少なくとも1つの神経学的モデルを生成することであって、前記少なくとも1つの神経学的モデルは、
前記時系列のひと続きの画像データ内の少なくとも1つのネットワークを説明するデータ構造と、
前記時系列のひと続きの画像データ内で観察可能な神経学的活動を規定するメトリックと
を備える、ことと、
前記神経学的モデルに基づいて、前記患者にバイオタイプを割り当てることであって、前記割り当てられたバイオタイプは、前記患者の神経回路の配列のタイプを分類
し、前記少なくとも1つのバイオタイプは、前記脳領域間の接続性および反応性にさらに基づいている、ことと、
ディスプレイを使用して、前記割り当てられたバイオタイプを含むグラフィカルユーザインターフェースを提供することと
を含む、バイオタイプを決定するための方法。
【請求項20】
磁気共鳴映像画像処理システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信するディスプレイと、
磁気共鳴映像機械と、
前記少なくとも1つのプロセッサに接続され、画像処理アプリケーションを含むメモリと
を備え、
前記画像処理アプリケーションは、
前記磁気共鳴映像機械から画像データを取得することと、
患者の脳の時系列のひと続きの画像データを生成することと、
脳領域を識別するために前記時系列のひと続きの画像データを前処理することと、
少なくとも1つの神経学的モデルを生成することであって、前記少なくとも1つの神経学的モデルは、
前記時系列のひと続きの画像データ内の少なくとも1つのネットワークを説明するデータ構造と、
前記時系列のひと続きの画像データ内で観察可能な神経学的活動を規定するメトリックと
を備える、ことと、
前記神経学的モデルに基づいて、前記患者にバイオタイプを割り当てることであって、前記割り当てられたバイオタイプは、前記患者の神経回路の配列のタイプを分類
し、前記少なくとも1つのバイオタイプは、前記脳領域間の接続性および反応性にさらに基づいている、ことと、
前記ディスプレイを使用して、前記割り当てられたバイオタイプを含むグラフィカルユーザインターフェースを提供することと
を行うように前記プロセッサに指示する、磁気共鳴映像画像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、自動化された画像処理を含む画像処理に関し、より具体的には、画像内の物体および/または信号の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
物体検出は、コンピュータが画像またはひと続きの画像内の物体を位置特定および分類することを可能にする多くの画像処理およびコンピュータ視覚システムの重要なコンポーネントである。物体検出の伝統的な例は、顔認識および物体追跡を含む。自動化された画像追跡のためのプロセスは、画像の人間視認者に即座に明白でないこともある物体またはパターンを検出するためにも有用であることができる。コンピュータが視覚データを知覚し、理解するための能力は、それらの環境と相互作用し、それらの環境に関するフィードバックを提供するためのコンピュータシステムの能力を向上させるために重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の実施形態による磁気共鳴映像(MRI)画像データ内の複雑なネットワークを検出するためのシステムおよび方法が、例証される。一実施形態は、画像処理システムを含み、画像処理システムは、プロセッサと、プロセッサに接続された表示デバイスと、プロセッサに接続された画像捕捉デバイスと、プロセッサに接続されたメモリとを備え、メモリは、画像処理アプリケーションを含み、画像処理アプリケーションは、画像捕捉デバイスから時系列のひと続きの画像データを取得し、時系列のひと続きの画像データにおける複雑なネットワークを識別し、表示デバイスを使用して識別された複雑なネットワークを提供するようにプロセッサに指示する。
【0004】
別の実施形態では、時系列のひと続きの画像データは、経時的に特定の視点から捕らえられた画像の組を説明するデータを含む。
【0005】
さらなる実施形態では、画像の組における画像は、3次元画像である。
【0006】
さらに別の実施形態では、時系列のひと続きの画像データにおける複雑なネットワークを識別することは、時系列のひと続きの画像データを前処理することと、時系列のひと続きの画像データ内の構造を検出することと、時系列のひと続きの画像データ内の構造間の接続性を測定することとを含む。
【0007】
なおもさらなる実施形態では、時系列のひと続きの画像データを前処理することは、時系列のひと続きの画像データを固定された向きに再調整することと、時系列のひと続きの画像データをワーピング解除することと、時系列のひと続きの画像データをスパイク解除することとを含む。
【0008】
さらに別の実施形態では、磁気共鳴映像画像処理システムは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに接続され、画像処理アプリケーションを含むメモリと、少なくとも1つのプロセッサと通信するディスプレイと、同期回路と、同期回路および少なくとも1つのプロセッサと通信する磁気共鳴映像機械であって、磁気共鳴映像機械は、少なくとも患者の脳を説明する画像データを取得するように指示される、磁気共鳴映像機械と、同期回路に接続された刺激デバイスであって、刺激デバイスは、患者に刺激を提供するように構成されている、刺激デバイスとを含み、画像処理アプリケーションは、ネットワークを介して、磁気共鳴映像機械から画像データを取得することと、患者の脳の時系列のひと続きの画像データを生成することであって、画像データは、同期回路を使用して刺激デバイスによって提供される刺激の時間を伴うタイムスタンプを付けられている、ことと、時系列のひと続きの画像データを前処理し、脳領域を識別することと、少なくとも1つの神経学的モデルを生成することであって、神経学的モデルは、時系列のひと続きの画像データ内の少なくとも1つのネットワークを説明するデータ構造と、時系列のひと続きの画像データ内で観察可能な神経学的活動を規定するメトリックとを含む、ことと、神経学的モデルに基づいて、患者にバイオタイプを割り当てることと、ディスプレイを使用して、割り当てられたバイオタイプを含むグラフィカルユーザインターフェースを提供することとを行うようにプロセッサに指示する。
【0009】
なおさらなる実施形態では、時系列のひと続きの画像データを前処理することは、時系列のひと続きの画像データを再調整することと、時系列のひと続きの画像データをワーピング解除することと、時系列のひと続きの画像データをスパイク解除することと、時系列のひと続きの画像データ内で観察可能な脳構造と脳地図とを位置合わせすることであって、脳地図は、メモリ内に記憶されたデータ構造を備え、基準の脳内の物理的領域を説明する、こととをさらに含む。
【0010】
別の追加の実施形態では、時系列のひと続きの画像データをスパイク解除することは、時系列のひと続きの画像データ内の画像間の変位を測定することと、画像間の変位がフレーム変位閾値より大きい時系列のひと続きの画像データにおける期間を識別することとを含む。
【0011】
さらに追加の実施形態では、地図は、自動解剖学的標識地図である。
【0012】
再び、別の実施形態では、少なくとも1つの神経学的モデルのうちの少なくとも1つは、第1のレベルの反応性モデルであり、神経学的活動を規定するメトリックは、脳領域にわたるニューロン活性化の強度を規定する。
【0013】
再び、さらなる実施形態では、画像処理アプリケーションは、第1のレベルの反応性モデルを生成するようにプロセッサにさらに指示し、第1のレベルの反応性モデルを生成することは、時系列のひと続きの画像データにおける非脳構造を説明する画像データから、脳構造を説明する画像データを抽出することと、白色雑音マスクを使用して、画像データからグローバル信号を除去することと、ブラーカーネルを使用して、画像データを空間的に平滑化することと、時系列のひと続きの画像データ内のタイムスタンプに対応する送達される刺激に応答するニューロン活性化の程度を決定することとを含む。
【0014】
なおもさらに別の実施形態では、ブラーカーネルは、8ミリメートルブラーカーネルである。
【0015】
なおもさらにさらなる実施形態では、少なくとも1つの神経学的モデルのうちの少なくとも1つは、精神生理学的相互作用モデルであり、神経学的活動を規定するメトリックは、脳領域間の接続性の程度を規定する。
【0016】
さらに別の追加の実施形態では、画像処理アプリケーションは、前処理された時系列のひと続きの画像データから精神生理学的相互作用モデルを生成するようにプロセッサにさらに指示し、精神生理学的相互作用モデルを生成することは、降順インターリーブ取得シーケンスを使用して、前処理された時系列のひと続きの画像データに関するスライス時間補正を実施することと、前処理された時系列のひと続きの画像データを座標系に正規化することと、ブラーカーネルを使用して、前処理された時系列のひと続きの画像データを空間的に平滑化することと、マスクを使用して、前処理された時系列のひと続きの画像データにおいて少なくとも1つの着目ボリュームを画定することと、少なくとも1つの着目ボリュームから、固有変量を抽出することと、精神生理学的相互作用モデルの生理学的構成要素を含む畳み込み解除されたタイムコースと、着目コントラストからのタスク開始のパラメータコントラストを説明する心理学的変数と、生理学的変数と心理学的変数との間の相互作用を説明するデータとを含む着目ボリュームのデータ構造を生成することとを含む。
【0017】
なおもさらなる追加の実施形態では、少なくとも1つの神経学的モデルは、安静状態モデルを含む。
【0018】
再び、さらに別の実施形態では、安静状態モデルを生成することは、刺激にわたって前処理された画像データを連結することと、組織タイプによって、連結された画像データを分けることと、少なくとも1つのリグレッサ行列を生成することと、分けられた前処理された画像データから、残留画像を生成することと、残留画像を帯域通過フィルタリングすることとを含む。
【0019】
再び、なおもさらなる実施形態では、組織タイプは、少なくとも白質、灰白質、および脳脊髄液である。
【0020】
さらに別の追加の実施形態では、少なくとも1つの安静状態モデルは、着目領域の安静状態モデルである。
【0021】
さらにさらなる追加の実施形態では、少なくとも1つの安静状態モデルは、ボクセル毎の安静状態モデルである。
【0022】
再び、さらに別の実施形態では、ボクセル毎の安静状態モデルを生成することは、分けられた時系列のひと続きの画像データから、刺激の特定の組に対応する時系列のひと続きの画像データを抽出することと、ボクセル毎の全体的安静状態を示す全ボクセルに対する分けられた時系列のひと続きの画像データに対して、刺激の特定の組に対する抽出された時系列のひと続きの画像データに対して回帰を適用することとをさらに含む。
【0023】
再び、さらにさらなる実施形態では、バイオタイプを割り当てることは、特定のバイオタイプに関連付けられた反応性および接続性メトリックで注釈を付けられた画像データ性を含むバイオタイプ分類のデータベースを取得することと、安静状態モデルからのメトリックを最良に適合するバイオタイプ分類に合致させることとを含む。
【0024】
再び、別の追加の実施形態では、バイオタイプ分類のデータベースは、訓練データセットに基づく機械学習を使用して生成される。
【0025】
再び、さらに追加の実施形態では、バイオタイプを割り当てることは、バイオタイプが患者に合致する程度を説明する適合のインジケータを生成することを含む。
【0026】
なおもさらに別の追加の実施形態では、割り当てられたバイオタイプは、少なくとも1つの治療に関連付けられ、画像処理アプリケーションは、少なくとも1つの治療をユーザに推奨するようにプロセッサにさらに指示する。
【0027】
別の実施形態では、少なくとも1つの治療は、少なくとも1つの薬物であり、医療従事者は、患者に少なくとも1つの薬物を処方することによって、患者を治療する。
【0028】
さらなる実施形態では、画像処理アプリケーションは、割り当てられたバイオタイプに基づいて少なくとも1つの有効性メトリックを生成するようにプロセッサにさらに指示し、少なくとも1つの有効性メトリックは、少なくとも1つの薬物を使用した患者の治療の成功の可能性を示す。
【0029】
さらに別の実施形態では、磁気共鳴映像機械は、ネットワークを経由してデータを伝送することが可能である第1の通信ポートに接続され、プロセッサは、ネットワークを経由してデータを受信することが可能である第2の通信ポートに接続され、磁気共鳴映像機械とプロセッサとは、第1の通信ポートおよび第2の通信ポートを使用して、ネットワークを介して接続される。
【0030】
なおもさらなる実施形態では、刺激デバイスは、ゴー/ノーゴー試験バッテリおよび感情調整試験バッテリを患者に提供する。
【0031】
さらに別の実施形態では、刺激デバイスは、視覚表示デバイスである。
【0032】
さらにさらなる実施形態では、時系列のひと続きの画像データにおける複雑なネットワークを識別する方法は、画像捕捉デバイスから時系列のひと続きの画像データを取得することと、画像処理サーバシステムを使用して、時系列のひと続きの画像データを固定された向きに再調整することと、画像処理サーバシステムを使用して、時系列のひと続きの画像データをワーピング解除することと、画像処理サーバシステムを使用して、時系列のひと続きの画像データをスパイク解除することと、画像処理サーバシステムを使用して、時系列のひと続きの画像データ内の物体を検出することと、画像処理サーバシステムを使用して、時系列のひと続きの画像データ内の検出された物体間の接続性を測定することと、プロセッサを使用して、検出された物体間の測定された接続性を複雑なネットワークのデータベース内に記憶された少なくとも1つの複雑なネットワークに合致させることと、表示デバイスを使用して、少なくとも1つの合致した複雑なネットワークを表示することとを含む。
【0033】
追加の実施形態および特徴が、部分的に、後に続く説明内に記載され、明細書の考察の結果、当業者に明白となるであろう、または本発明の実践によって習得され得る。本発明の性質および利点のさらなる理解が、本開示の一部を形成する明細書および図面の残りの部分を参照することによって実現され得る。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
画像処理システムであって、前記画像処理システムは、
プロセッサと、
前記プロセッサに接続された表示デバイスと、
前記プロセッサに接続された画像捕捉デバイスと、
前記プロセッサに接続されたメモリでと
を備え、
前記メモリは、画像処理アプリケーションを含み、
前記画像処理アプリケーションは、
前記画像捕捉デバイスから、時系列のひと続きの画像データを取得することと、
前記時系列のひと続きの画像データにおける複雑なネットワークを識別することと、
前記表示デバイスを使用して、前記識別された複雑なネットワークを提供することと
を行うように前記プロセッサに指示する、画像処理システム。
(項目2)
前記時系列のひと続きの画像データは、経時的に特定の視点から捕らえられた画像の組を説明するデータを含む、項目1に記載の画像処理システム。
(項目3)
前記画像の組における画像は、3次元画像である、項目1に記載の画像処理システム。
(項目4)
前記時系列のひと続きの画像データにおける複雑なネットワークを識別することは、
前記時系列のひと続きの画像データを前処理することと、
前記時系列のひと続きの画像データ内の構造を検出することと、
前記時系列のひと続きの画像データ内の構造間の接続性を測定することと
を含む、項目1に記載の画像処理システム。
(項目5)
前記時系列のひと続きの画像データを前処理することは、
前記時系列のひと続きの画像データを固定された向きに再調整することと、
前記時系列のひと続きの画像データをワーピング解除することと、
前記時系列のひと続きの画像データをスパイク解除することと
を含む、項目5に記載の画像処理システム。
(項目6)
磁気共鳴映像画像処理システムであって、前記磁気共鳴映像画像処理システムは、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに接続され、画像処理アプリケーションを含むメモリと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信するディスプレイと、
同期回路と、
前記同期回路および前記少なくとも1つのプロセッサと通信する磁気共鳴映像機械であって、前記磁気共鳴映像機械は、少なくとも患者の脳を説明する画像データを取得するように指示される、磁気共鳴映像機械と、
前記同期回路に接続された刺激デバイスと
を備え、
前記刺激デバイスは、患者に刺激を提供するように構成され、
前記画像処理アプリケーションは、
ネットワークを介して、前記磁気共鳴映像機械から前記画像データを取得することと、
前記患者の脳の時系列のひと続きの画像データを生成することであって、前記時系列のひと続きの画像データは、前記同期回路を使用して前記刺激デバイスによって提供される刺激の時間を伴うタイムスタンプを付けられている、ことと、
前記時系列のひと続きの画像データを前処理し、脳領域を識別することと、
少なくとも1つの神経学的モデルを生成することであって、前記少なくとも1つの神経学的モデルは、
前記時系列のひと続きの画像データ内の少なくとも1つのネットワークを説明するデータ構造と、
前記時系列のひと続きの画像データ内で観察可能な神経学的活動を規定するメトリックと
を備えている、ことと、
前記神経学的モデルに基づいて、前記患者にバイオタイプを割り当てることと、
前記ディスプレイを使用して、前記割り当てられたバイオタイプを含むグラフィカルユーザインターフェースを提供することと
を行うように前記プロセッサに指示する、磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目7)
前記時系列のひと続きの画像データを前処理することは、
前記時系列のひと続きの画像データを再調整することと、
前記時系列のひと続きの画像データをワーピング解除することと、
前記時系列のひと続きの画像データをスパイク解除することと、
前記時系列のひと続きの画像データ内で観察可能な脳構造と脳地図とを位置合わせすることと
をさらに含み、
前記脳地図は、前記メモリ内に記憶されたデータ構造を備え、基準の脳内の物理的領域を説明する、項目6に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目8)
前記時系列のひと続きの画像データをスパイク解除することは、前記時系列のひと続きの画像データ内の画像間の変位を測定することと、画像間の前記変位がフレーム変位閾値より大きい前記時系列のひと続きの画像データにおける期間を識別することとを含む、項目7に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目9)
前記地図は、自動解剖学的標識地図である、項目7に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目10)
前記少なくとも1つの神経学的モデルのうちの少なくとも1つは、第1のレベルの反応性モデルであり、前記神経学的活動を規定する前記メトリックは、脳領域にわたるニューロン活性化の強度を規定する、項目6に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目11)
前記画像処理アプリケーションは、第1のレベルの反応性モデルを生成するように前記プロセッサにさらに指示し、前記第1のレベルの反応性モデルを生成することは、
前記時系列のひと続きの画像データにおける非脳構造を説明する画像データから、脳構造を説明する画像データを抽出することと、
白色雑音マスクを使用して、前記画像データからグローバル信号を除去することと、
ブラーカーネルを使用して、前記画像データを空間的に平滑化することと、
前記時系列のひと続きの画像データ内の前記タイムスタンプに対応する送達される刺激に応答するニューロン活性化の程度を決定することと
を含む、項目10に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目12)
前記ブラーカーネルは、8ミリメートルブラーカーネルである、項目11に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目13)
前記少なくとも1つの神経学的モデルのうちの前記少なくとも1つは、精神生理学的相互作用モデルであり、前記神経学的活動を規定する前記メトリックは、脳領域間の接続性の程度を規定する、項目6に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目14)
前記画像処理アプリケーションは、前記前処理された時系列のひと続きの画像データから精神生理学的相互作用モデルを生成するように前記プロセッサにさらに指示し、前記精神生理学的相互作用モデルを生成することは、
降順インターリーブ取得シーケンスを使用して、前記前処理された時系列のひと続きの画像データに関するスライス時間補正を実施することと、
前記前処理された時系列のひと続きの画像データを座標系に正規化することと、
ブラーカーネルを使用して、前記前処理された時系列のひと続きの画像データを空間的に平滑化することと、
マスクを使用して、前記前処理された時系列のひと続きの画像データにおいて少なくとも1つの着目ボリュームを画定することと、
前記少なくとも1つの着目ボリュームから、固有変量を抽出することと、
着目ボリュームのデータ構造を生成することと
を含み、
前記着目ボリュームのデータ構造は、
前記精神生理学的相互作用モデルの生理学的構成要素を含む畳み込み解除されたタイムコースと、
着目コントラストからのタスク開始のパラメータコントラストを説明する心理学的変数と、
生理学的変数と心理学的変数との間の相互作用を説明するデータと
を含む、項目13に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目15)
前記少なくとも1つの神経学的モデルは、安静状態モデルを含む、項目6に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目16)
前記安静状態モデルを生成することは、
刺激にわたって前処理された画像データを連結することと、
組織タイプによって、前記連結された画像データを分けることと、
少なくとも1つのリグレッサ行列を生成することと、
前記分けられた前処理された画像データから、残留画像を生成することと、
前記残留画像を帯域通過フィルタリングすることと
を含む、項目15に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目17)
前記組織タイプは、少なくとも白質、灰白質、および脳脊髄液である、項目16に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目18)
前記少なくとも1つの安静状態モデルは、着目領域の安静状態モデルである、項目16に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目19)
前記少なくとも1つの安静状態モデルは、ボクセル毎の安静状態モデルである、項目16に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目20)
前記ボクセル毎の安静状態モデルを生成することは、
前記分けられた時系列のひと続きの画像データから、刺激の特定の組に対応する時系列のひと続きの画像データを抽出することと、
ボクセル毎の全体的安静状態を示す全ボクセルに対する前記分けられた時系列のひと続きの画像データに対して、刺激の特定の組に対する前記抽出された時系列のひと続きの画像データに対して回帰を適用することと
をさらに含む、項目19に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目21)
バイオタイプを割り当てることは、
特定のバイオタイプに関連付けられた反応性および接続性メトリックで注釈を付けられた画像データ性を含むバイオタイプ分類のデータベースを取得することと、
前記安静状態モデルからのメトリックを最良に適合するバイオタイプ分類に合致させることと
を含む、項目20に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目22)
バイオタイプ分類の前記データベースは、訓練データセットに基づく機械学習を使用して生成される、項目21に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目23)
バイオタイプを割り当てることは、前記バイオタイプが前記患者に合致する程度を説明する適合のインジケータを生成することを含む、項目6に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目24)
前記割り当てられたバイオタイプは、少なくとも1つの治療に関連付けられ、前記画像処理アプリケーションは、前記少なくとも1つの治療をユーザに推奨するように前記プロセッサにさらに指示する、項目6に記載の磁気共鳴映像システム。
(項目25)
前記少なくとも1つの治療は、少なくとも1つの薬物であり、医療従事者は、前記患者に前記少なくとも1つの薬物を処方することによって、前記患者を治療する、項目24に記載の磁気共鳴映像システム。
(項目26)
前記画像処理アプリケーションは、前記割り当てられたバイオタイプに基づいて少なくとも1つの有効性メトリックを生成するように前記プロセッサにさらに指示し、前記少なくとも1つの有効性メトリックは、前記少なくとも1つの薬物を使用した前記患者の治療の成功の可能性を示す、項目25に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目27)
前記磁気共鳴映像機械は、ネットワークを経由してデータを伝送することが可能である第1の通信ポートに接続され、前記プロセッサは、前記ネットワークを経由してデータを受信することが可能である第2の通信ポートに接続され、前記磁気共鳴映像機械と前記プロセッサとは、前記第1の通信ポートおよび前記第2の通信ポートを使用して、前記ネットワークを介して接続されている、項目6に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目28)
前記刺激デバイスは、ゴー/ノーゴー試験バッテリおよび感情調整試験バッテリを前記患者に提供する、項目6に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目29)
前記刺激デバイスは、視覚表示デバイスである、項目6に記載の磁気共鳴映像画像処理システム。
(項目30)
時系列のひと続きの画像データにおける複雑なネットワークを識別する方法であって、前記方法は、
画像捕捉デバイスから時系列のひと続きの画像データを取得することと、
画像処理サーバシステムを使用して、前記時系列のひと続きの画像データを固定された向きに再調整することと、
前記画像処理サーバシステムを使用して、前記時系列のひと続きの画像データをワーピング解除することと、
前記画像処理サーバシステムを使用して、前記時系列のひと続きの画像データをスパイク解除することと、
前記画像処理サーバシステムを使用して、前記時系列のひと続きの画像データ内の物体を検出することと、
前記画像処理サーバシステムを使用して、前記時系列のひと続きの画像データ内の検出された物体間の接続性を測定することと、
前記プロセッサを使用して、検出された物体間の前記測定された接続性を複雑なネットワークのデータベース内に記憶された少なくとも1つの複雑なネットワークに合致させることと、
表示デバイスを使用して、前記少なくとも1つの合致した複雑なネットワークを表示することと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本発明のある実施形態による画像処理システムの接続されるコンポーネントを図示するシステム図である。
【0035】
【
図2】
図2は、本発明のある実施形態に従って画像内の物体を検出および分類する方法を図示するフローチャートである。
【0036】
【
図3】
図3は、本発明のある実施形態に従って試験バッテリを実施する方法を図示するフローチャートである。
【0037】
【
図4】
図4は、本発明のある実施形態に従って刺激を提供する方法を図示するフローチャートである。
【0038】
【
図5】
図5は、本発明のある実施形態に従って画像データを前処理する方法を図示するフローチャートである。
【0039】
【
図6】
図6は、本発明のある実施形態に従って反応性モデルを生成する方法の高レベル概要を図示するフローチャートである。
【0040】
【
図7】
図7は、本発明のある実施形態に従って接続性モデルを生成する方法の高レベル概要を図示するフローチャートである。
【0041】
【
図8】
図8は、本発明のある実施形態に従って接続性分析のためのデータを前処理する方法を図示するフローチャートである。
【0042】
【
図9】
図9は、本発明のある実施形態に従ってPPIモデルを生成する方法を図示するフローチャートである。
【0043】
【
図10】
図10は、本発明のある実施形態に従って安静状態をモデル化する方法を図示するフローチャートである。
【0044】
【
図11】
図11は、本発明のある実施形態によるいくつかの神経回路経路を図示するグラフィックである。
【0045】
【
図12】
図12は、本発明のある実施形態によるいくつかのバイオタイプ神経回路経路を概念的に図示する。
【0046】
【
図13】
図13は、本発明のある実施形態による種々のバイオタイプの略図である。
【0047】
【
図14】
図14は、本発明のある実施形態による調査の等級付けの実施例である。
【0048】
【
図15A】
図15A、15B、および15Cは、本発明のある実施形態による例示的査定スコア報告書である。
【
図15B】
図15A、15B、および15Cは、本発明のある実施形態による例示的査定スコア報告書である。
【
図15C】
図15A、15B、および15Cは、本発明のある実施形態による例示的査定スコア報告書である。
【0049】
【
図16】
図16は、本発明のある実施形態による種々の神経回路経路の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
ここで、図面に目を向けると、(限定ではないが)画像データ内の神経回路経路等の複雑なネットワークを検出するためのシステムおよび方法が、議論される。さらに、ピクセルデータの3次元(3D)行列内での複雑なネットワーク検出のための方法が、開示される。画像内の物体検出は、マシンビジョンの重要な側面であり、それは、コンピュータが画像データを構文解析し、理解することを可能にする。時系列のひと続きの画像(ビデオ)において、ビデオにわたる物体検出が、活動を追跡するために使用され、複雑なネットワークの検出を可能にすることができる。さらに、他のコンポーネントが観察される画像における変化をトリガし得るより大きいシステムでは、システムアクティビティを一連の画像内で観察された応答に合致させるために、時間同期回路が、使用されることができる。
【0051】
向上された物体検出能力は、限定ではないが、画像内の物体および画像自体の標識を付けることおよび分類の自動化を含む多数の用途を有する。物体を分類するための能力は、コンピュータが追加の処理を実施し、追加のデータを抽出し、および/または、他の処理動作において画像情報を利用することを可能にする。ある場合、物体検出は、警報、報告、および/または他の人間が解釈可能な信号を生産し、ユーザに自動的に通知するように、画像処理システムをトリガすることができる。
【0052】
下で説明されるネットワーク検出方法は、従来とは異なる画像捕捉システムとともに使用されることができ、それは、コンピュータシステムが新しく、従来とは異なる方法でデータを処理することを可能にするためにさらに使用されることができる。多数の実施形態では、物体の分類を生成するために、物体検出および分類が、使用される。物体の分類は、次いで、将来の画像の迅速な分析のために、使用されることができる。いくつかの実施形態では、分類を生成するために、機械学習技術が、適用されることができる。
【0053】
当業者は、複雑なネットワーク検出を実施する方法およびシステムの具体的な実装が下で説明されるが、本発明の精神による多数の実施形態が存在することを理解するであろう。具体的な議論が、MRI画像データ内の複雑なネットワーク検出を実施することを対象とするであろうが、下で説明されるシステムおよび方法が、画像データおよび/または用途の種々のタイプにおける複雑なネットワークを検出するために使用されることができる。
【0054】
(画像処理システム)
画像処理システムは、画像データを取得し、画像データを処理し、処理されたデータを表示するために使用されることができる。多数の実施形態では、画像処理システムは、複数のコンピューティングシステムで構成される。種々の実施形態では、画像処理システムは、単一のコンピューティングシステム上に実装される。画像処理システムは、多種多様な画像データを処理することができるが、しかしながら、ある具体的な実施形態が、MRI画像データを処理するために利用されることができる。
【0055】
ここで、
図1に目を向けると、本発明のある実施形態による画像処理システムのシステム図が、図示される。画像処理システム100は、少なくとも1つの画像捕捉デバイス110を有する。画像捕捉デバイス110は、ネットワーク140を介して、画像処理サーバシステム120および画像処理インターフェースデバイス130に接続される。多くの実施形態では、画像捕捉デバイスは、MRI撮像デバイスである。しかしながら、画像捕捉デバイスは、所与の用途の要件に対して、適宜、画像を捕捉することが可能である任意のデバイスであることができる。
【0056】
画像捕捉デバイスは、端末、表示デバイス、および他のインターフェースデバイスを含む種々の周辺デバイスを含むことができる。画像処理サーバシステムは、所与の用途の要件に対して、適宜、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータシステム、または任意の他のコンピューティングデバイス上に実装されることができる。画像処理インターフェースデバイスは、所与の用途の要件に対して、適宜、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、モニタ、および/または任意の他のデバイスであることができる。
【0057】
画像処理サーバシステムは、プロセッサ、メモリ、および/または下で説明される方法に従って画像データを処理するようにコンピュータを構成する機械読み取り可能な命令を含む画像処理アプリケーションを含む少なくとも1つの記憶システムを含むことができる。いくつかの実施形態では、画像処理インターフェースデバイスおよび画像処理サーバシステムは、同一のプラットフォーム上にある。ネットワークは、所与の用途の要件に対して、適宜、限定ではないが、インターネット、ローカルエリアネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、ソフトウェアによって定義されたネットワーク、および/またはネットワークの任意の他のタイプもしくはネットワークのタイプの組み合わせであることができる。
【0058】
上で説明されるデバイスは、通信ポートを介しで、ネットワークを介して通信することができる。多くの実施形態では、データが、ネットワークを介して、1つ以上のデバイス間で転送される。種々の実施形態では、1つ以上のデバイス間のデータ転送が、所与の用途の要件に対して、適宜、フラッシュドライブ、コンパクトディスク、もしくは任意の他の物理的記憶媒体等の物理的媒体転送装置を使用して達成される。
【0059】
画像が画像捕捉デバイスによって取得されると、分析のために、捕捉された画像を説明する画像データが、ネットワークを介して画像処理サーバシステムに送信されることができる。いくつかの実施形態では、画像データは、画像処理インターフェースデバイスにも送信される。多数の実施形態では、画像処理サーバシステムは、受信された画像データを処理し、画像処理インターフェースデバイスに結果を出力する。種々の実施形態では、ある処理が、画像処理インターフェースデバイスによって行われる。
【0060】
本システムの処理されたデータおよび/または任意の他の出力が、ユーザインターフェースデバイスによってユーザに提供されることができる。多くの実施形態では、ユーザインターフェースデバイスは、ユーザがデータにアクセスすることを可能にするグラフィカルユーザインターフェースを提供する。多くの実施形態では、ユーザインターフェースデバイスは、ネットワークに接続される。
【0061】
多くの実施形態では、ネットワーク上のデバイスのうちの1つ以上のものが、同期回路を組み込むか、またはそれへのアクセスを有する。同期回路は、画像捕捉を提供される刺激と同期させるために使用されることができる。多数の実施形態では、画像処理インターフェースデバイスは、刺激デバイスを使用して、刺激を提供するように構成される。種々の実施形態では、刺激デバイスは、画像処理サーバシステムおよび/または画像捕捉デバイスによって制御される。刺激デバイスは、所与の用途の要件に対して、適宜、限定ではないが、モニタ、仮想現実ヘッドセット、プロジェクタ、および/または任意の他の視覚表示デバイス等の視覚表示デバイスであることができる。刺激デバイスは、スピーカ等のオーディオ表示デバイスであることができる。刺激デバイスは、所与の用途の要件に対して、適宜、視覚刺激、音声刺激、触覚刺激、および/または任意の他の刺激を提供することができる。
【0062】
具体的なネットワーク構成が、上で説明されているが、当業者は、任意の構成またはデバイスが、特定の用途の要件に対して、適宜、使用され得ることを理解することができる。画像処理システムを使用する画像処理のための方法が、下で説明される。
【0063】
(画像処理システムを使用した、MRI画像データにおける複雑なネットワーク検出の実施)
患者の頭部のMRI走査は、非侵襲性の様式で、患者の脳の高品質な画像データをもたらす。MRI走査技法の多くの異なるタイプが存在するが、MRI走査の2つのカテゴリは、機能MRI(fMRI)および構造MRI(sMRI)である。sMRI走査は、概して、構造的な解剖学的構造を定義する、患者の脳の3D画像データを取得する。多くの実施形態では、sMRI走査は、限定ではないが、拡散テンソル撮像または任意の他の特殊な走査技法等の異なる撮像技法を含むことができる。fMRI走査は、患者の脳内のニューロン活性化を説明する時系列のひと続きの画像データをもたらすMRI走査のあるタイプである。多くの実施形態では、ニューロン活性化パターンは、患者の脳の異なる領域間の接続性の程度を示すことができる。多くの実施形態では、MRIデータは、アーチファクトを除去するために前処理される。種々の実施形態では、ニューロン活性化パターンは、患者の脳内の特定の刺激に対する反応性の程度を示すことができる。画像処理システムは、接続性および反応性に関するデータを抽出するためにfMRIデータを処理するために使用されることができる。接続性および/または反応性データに基づいて、1つ以上のバイオタイプが、患者に割り当てられることができる。バイオタイプは、患者が患う少なくとも1つの負の症状を治療することにおいてより効果的であり得る1つ以上の薬物および/または療法に関連付けられることができる。多くの実施形態では、バイオタイプを特定の接続性および/または反応性に関連付けるために、機械学習が、利用されることができる。種々の実施形態では、バイオタイプを特定の接続性および/または反応性に関連付けるために、サポートベクタマシンが、使用される。特定の接続性および/または反応性をバイオタイプに関連付けるためのシステムおよび方法が、下で説明される。
【0064】
ここで、
図2に目を向けると、本発明のある実施形態に従って複雑なネットワーク検出を実施するためのプロセスが、示される。プロセス200は、fMRI走査データを取得すること(210)と、画像データを前処理すること(220)とを含む。反応性メトリックが、生成され(230)、接続性マップが、生成され(240)、観察された接続性が、観察される神経回路経路へのバイオタイプの割り当て(250)を可能にする複雑なネットワーク分類の基礎を形成する。いくつかの実施形態では、割り当てられたバイオタイプに基づいて、療法が、推奨される(260)ことができる。多くの実施形態では、プロセス200は、画像処理サーバシステムによって実施される。しかしながら、いくつかの実施形態では、プロセス200の一部または全てが、画像捕捉デバイスおよび/または画像処理インターフェースデバイスによって実施されることができる。画像データを取得する方法が、下で説明される。
【0065】
神経回路経路等の複雑なネットワークを識別および/または分類するための種々のプロセスが、
図2を参照して上で説明されるが、種々のプロセスの任意のものが、本発明の多数の実施形態に従って、特定の用途の要件に対して、適宜、画像データを使用して、複雑なネットワークを識別および分類するために利用されることができる。本発明のある実施形態に従って複雑なネットワークを識別および分類するために利用され得るいくつかのプロセスが、下で議論される。
【0066】
(画像データの取得)
画像データは、MRI走査データを出力するMRI機械等の特殊な画像捕捉デバイスを使用して取得されることができる。多くの実施形態では、患者が、MRI機械の内側に設置される。刺激が、刺激デバイスを介して患者に提供されることができ、彼らの心理物理的応答が、少なくともMRI機械を使用して記録されることができる。これらの応答は、fMRI技法を使用して、経時的に記録され、時系列データを生成することができる。多くの実施形態では、安静状態のfMRIが、生成される。いくつかの実施形態では、安静状態の神経回路活性化のより正確なモデルを提供するために、タスクの実施中に捉えられたMRIデータが、タスクが、実施されていない期間中に取得されるMRIデータをフィルタリングするために利用されることができる。
【0067】
ここで、
図3に目を向けると、本発明のある実施形態に従って画像データを取得する方法が、図示される。プロセス300は、患者の脳のsMRI走査を取得すること(310)を含む。プロセス300は、少なくとも1つの刺激デバイスをfMRIデバイスと同期させること(320)と、患者の脳のfMRI走査を実施し(330)ながら、患者に刺激を提供すること(340)とも含む。多数の実施形態では、sMRI走査は、MRI機械によって捕捉される画像データである。種々の実施形態では、同一のMRI機械が、sMRI走査およびfMRI走査を実施するために使用される。MRI機械は、MRIの走査コンポーネントからデータを収集および記憶する接続されたコンピューティングデバイスを含む補助コンポーネントを有することができる。多くの実施形態では、fMRI走査を実施することは、患者の脳内の神経活動を描写する画像データの時系列を生成する。時系列のひと続きの画像データは、脳の3D構造を一緒に示す画像の組の組であることができる。いくつかの実施形態では、各画像は、脳の一部を表す3D画像である。画像のサブ部分は、ボクセルと呼ばれる。多くの実施形態では、単一の時系列のひと続きの画像データセットが、fMRIセッションの過程中に生成される。しかしながら、多数の実施形態では、画像データのいくつかの時系列が、取得される。種々の実施形態では、画像データの時系列の少なくとも1つの組が、刺激バッテリ(タスク)毎に取得される。
【0068】
刺激が、走査中に患者に印加され、脳内のニューロン活性化に及ぼす刺激の効果を測定することができる。多くの実施形態では、刺激は、患者に表示される画像である。刺激を時系列における画像と同期させることは、応答をそれをもたらした刺激に関連付ける。MRIスキャナとの刺激デバイスの同期化は、同期回路を使用して達成されることができる。多数の実施形態では、同期化は、連続的な時系列画像データを連続的な時系列刺激レジームに関連付けるように設計されるソフトウェアアプリケーションによって媒介される。このように、MRI機械によって出力される画像データは、特定の刺激に対して処理されることができる。種々の実施形態では、タイムスタンプを付けられた時系列データが、生成され、タイムスタンプは、MRI機械によって、捕捉された画像データ内に存在するタイムスタンプと同期させられる。多数の実施形態では、刺激と結果として生じる画像データのタイムスタンプとの間の遅延は、約100ミリ秒である。遅延を補正するために、刺激画像が、+/-200ミリ秒だけジッタされることができる。しかしながら、所与の用途の要件に対して、適宜、任意のジッタ量が、適用されることができる。すなわち、画像内で検出される刺激の効果が、応答をもたらした特定の刺激と互いに関係付けられることができる。
【0069】
限定ではないが、神経回路経路等の複雑なネットワークの検出において利用され得る種々の刺激および測定技法が、
図3を参照して上で説明されるが、種々の刺激および測定技法の任意のものが、本発明の多くの実施形態に従って、所与の用途の要件に対して、適宜、利用されることができる。加えて、本発明の種々の実施形態に従ってMRI機械を利用するシステムおよび方法が、上で説明されるが、類似のシステムおよび方法が、所与の用途の要件に対して、適宜、限定ではないが、コンピュータ断層撮影スキャナ、陽電子放出断層撮影スキャナ、または任意の他の脳撮像デバイス等の他の画像捕捉デバイスから取得される画像データに適用されることができる。刺激の方法およびタイプが、下で説明される。
【0070】
(fMRI刺激)
心理物理的応答は、提供される刺激に依存する。特定の刺激および患者の応答が、診断および治療データを生成するために使用されることができる。多くの実施形態では、診断および治療データは、患者のバイオタイプおよび/または患者の特定のバイオタイプに適合される適切な治療を説明する。多くの実施形態では、特定の応答を特定の刺激に関係付けることが、データを生成するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、特定のひと続きの刺激が、同一の患者のための試験にわたって一貫するように保たれる。種々の実施形態では、特定のひと続きの刺激が、多くの患者にわたって一貫するように保たれる。ひと続きの刺激は、アーチファクトの可能性を低減させるような方法で選定されることができる。
【0071】
ここで、
図4に目を向けると、本発明のある実施形態に従って患者に刺激を提供する方法が、図示される。方法400は、ゴー/ノーゴー試験バッテリを実施すること(410)と、感情調整試験バッテリを実施すること(420)とを含む。多くの実施形態では、運動試験バッテリは、少なくとも1つの顔試験バッテリを含む。顔試験バッテリは、所与の用途の要件に対して、適宜、限定ではないが、意識的顔試験バッテリ、非意識的顔試験バッテリ、または任意の他の感情調整タスクを含むことができる。方法400は、安静状態分析を実施すること(430)をさらに含む。
【0072】
多くの実施形態では、ゴー/ノーゴー試験バッテリは、患者に刺激として一連の表現を提供することを伴い、いくつかの表現は、「ゴー」状態を示し、いくつかの表現は、「ノーゴー」状態を示す。例えば、ゴー状態は、限定ではないが、「押す」等の単語、および/または限定ではないが、緑色等の色インジケータであることができる。ノーゴー状態は、ある単語、および/または、限定ではないが、赤色等の色インジケータであることができる。多くの実施形態では、表現は、所定の間隔で表示される。いくつかの実施形態では、インジケータが、750ミリ秒の刺激間隔を伴って、500ミリ秒にわたって表示される。しかしながら、任意の表示および/または刺激間隔持続時間が、所与の用途の要件に従って使用されることができる。
【0073】
顔試験バッテリは、感情状態を表す顔の表現を提供することを含むことができる。表現は、特定の順序、疑似無作為の順序、または無作為の順序で設けられることができる。意識的な顔試験バッテリは、限定ではないが、750ミリ秒の刺激間遅延を伴う500ミリ秒の表示時間等の患者による意識的な認識を可能にする間隔で、表現を表示することができる。非意識的な顔試験バッテリは、逆行マスキングを伴う意識的な顔試験バッテリに類似する方法で設計されることができる。感情状態表現が、10ミリ秒にわたって表示され、神経(非感情状態)表現が、490ミリ秒にわたって続くことができる。しかしながら、任意の時間間隔も、所与の用途の要件に対して、適宜、使用されることができる。例えば、感情状態表現の非意識的な認識を可能にする間隔の任意の組が、使用されることができる。
【0074】
安静状態走査は、患者が覚醒状態のままでいる間、患者に黒色画面および/または任意の他の中性の非タスク刺激を提示し、fMRI走査を実施することによって、取得されることができる。いくつかの試験が、
図4に関して上で説明されているが、当業者は、任意の数のタスクおよび試験が、種々の用途の要件に従って使用され得ることを認識するであろう。
【0075】
当業者は、試験が任意の順序で実施され得ること、および特定の順序付けが要求されないことを認識するであろう。さらに、全ての試験が、実施される必要があるわけではない。いくつかの実施形態では、安静状態分析のみが、利用される。取得された画像データを前処理する方法が、下で説明される。
【0076】
(画像データの前処理)
画像データを前処理することは、後続の分析および処理ステップのために、アーチファクを除去し、画像データを調製するために、画像処理システムによって実施されることができる。多数の実施形態では、前処理することは、画像データを公知の基準画像に合わせるために使用されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、MRI画像データが、前処理され、前処理された時系列における脳構造および/または領域が画像処理システムによって識別され得る時系列のひと続きの画像データをもたらすことができる。種々の実施形態では、脳画像の訓練データセットを使用して、脳構造および/または領域を識別するために、機械学習システムが、利用される。種々の実施形態では、画像処理システムは、構造を識別するために、基準地図を使用する。
【0077】
ここで、
図5に目を向けると、画像データを前処理する方法が、図示される。プロセス500は、画像データを再調整およびワーピング解除すること(510)を含む。画像データは、所与の用途の要件に対して、適宜、移動に対してスパイク解除され(520)、分散および/または雑音アーチファクトの任意の源に対してスパイク解除される(530)ことができる。多くの実施形態では、分散に対するスパイクは、限定ではないが、非常に低い活動の期間が後に続く、非常に高い活動の期間等の極端な応答の結果である。さらに、プロセス500は、画像データ内の識別された構造に線形共位置合わせを適用すること(540)を含む。画像データを再調整およびワーピング解除することは、画像のfMRI走査時系列から移動アーチファクトを除去するために使用されることができる。本発明のいくつかの実施形態に従って使用され得る画像データを再調整およびワーピング解除する方法は、The Wellcome Trust Centre for Neuroimaging of University College London(London, England)によるThe Statistical Parametric Mapping (SPM) library内に見出されることができる。SPMバージョン8(SPM8)のマニュアルが、http://www.fil.ion.ucl.ac.uk/spm/doc/spm8_manual.pdf.に見出されることができるが、しかしながら、SPM12等のSPMの他のバージョンを含む他のプロセスも、所与の用途の要件に対して、適宜、使用されることができる。
【0078】
fMRI画像データは、移動および分散に対してスパイク解除されることができる。多くの実施形態では、スパイクが生じたときをマッピングするために、繰り返し時間(TR)が、使用されることができる。種々の実施形態では、スパイクを検出するために、フレーム変位(FD)閾値が、確立され、使用される。いくつかの実施形態では、0.3mmのFD閾値が、使用される。しかしながら、種々のFD閾値の任意のものが、本発明の所与の実施形態の種々の用途に従って使用されることができる。多数の実施形態では、デフォルトの分散カットオフおよびスパイクリグレッサが、生成される。分散カットオフおよび/またはスパイクリグレッサは、後の回帰ステップを実施するときに利用されることができる。多くの実施形態では、カットオフは、回帰モデルのための品質データを確実にするために使用される。
【0079】
さらに、品質制御(QC)画像およびメトリックが、生成されることができる。例えば、時系列にわたるスケーリングされたおよびスケーリングされていない平均分散画像が、生成されることができる。いくつかの実施形態では、時系列にわたる最大分散画像が、生成されることができる。種々の実施形態では、時間信号対雑音比が、時系列にわたって測定されることができる。特定のQC画像およびメトリックが上で説明されるが、任意の数の異なるQCメトリックも、所与の用途に従って使用され得る。
【0080】
FMRIBの線形画像位置合わせツール(FLIRT)を含むThe Oxford Centre for Functional MRI of The Brain of The University of Oxford (FMRIB)(Oxford, England)のFSLソフトウェアライブラリを使用して、線形の共位置合わせが、実施されることができる。FLIRTおよび本明細書において議論される種々の他のプログラムを含むFSLソフトウェアパッケージに関するオンラインマニュアルが、(https://fsl.fmrib.ox.ac.uk/fsl/fslwiki/)で見出されることができる。画像データを前処理するための特定の方法が、上で説明されるが、所与の用途の要件に従って、画像データを前処理するための任意の数のことが、組み込まれ得る。前処理されたデータは、限定ではないが、反応性モデルおよび接続性モデルを生成することを含む種々の方法において使用されることができる。反応性モデルを生成する方法が、下で議論される。
【0081】
(反応性モデルの生成)
反応性モデルが、前処理された画像データから生成されることができる。反応性モデルは、刺激に応答して活性および/または反応性になる脳の領域および/または構造を示す。多数の実施形態では、反応性処理が、脳内の領域毎に実施される。反応性処理は、第1のレベルの反応性モデルを生成することを伴うことができる。第1のレベルの反応性モデルは、脳内の特定の着目領域(ROI)の反応性を説明するデータを含むことができる。ROIは、個々の構造および/または構造の群であることができる。多くの実施形態では、反応性モデルは、脳の種々の領域内の活動の程度を説明する。いくつかの実施形態では、ある領域内の活動の程度は、活動低下、典型的、または活動亢進として分類されることができる。特定の領域の活動は、効果的な治療を決定するために利用されることができる。治療は、特定の脳領域の活動に影響を及ぼすことができる。種々の実施形態では、分析のために前処理された画像データを調製するために、追加の処理ステップが、利用される。
【0082】
ここで、
図6に目を向けると、本発明のある実施形態に従って反応性モデルを生成する方法が、図示される。プロセス600は、前処理された画像データを取得すること(610)を含む。脳データが、抽出され(620)、グローバル信号(global signals)が、白質マスクを使用して、回帰させられる(620)ことができる。画像データが、空間的に平滑化される(630)ことができ、第1のレベルの反応性モデルが、生成される(640)ことができる。
【0083】
多くの実施形態では、前処理された画像データが、画像処理サーバシステムのメモリから取得される。しかしながら、前処理された画像データは、所与の用途の要件に対して、適宜、限定ではないが、フラッシュドライブ、ランダムアクセスメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、SDカード、または任意の他の記憶媒体等の種々の記憶システムから取得されることができる。脳データが、前処理された画像データから抽出され、それによって、非脳組織が、画像から除去されることができる。種々の実施形態では、脳抽出を実施するために、FSLソフトウェアパッケージの脳抽出ツール(BET)が、使用されることができる。しかしながら、限定ではないが、縁検出、グレースケールマッチング、勾配マッチング、角検出、隆起検出、ハフ変換、構造テンソル、特徴説明アルゴリズム、および/または任意の他の特徴検出アルゴリズムを含む種々の構造検出方法の任意のものが、所与の用途の要件に対して、適宜、画像から非脳物質を抽出するために使用されることができる。
【0084】
グローバル信号が、白色雑音マスクを使用して、回帰を介して除去されることができる。種々の実施形態では、白色雑音マスクは、処理されている画像データの固有の空間にワーピングされる。画像データは、時系列における各画像にわたってブラーカーネル(blurring kernel)を適用することによって平滑化されることができる。種々の実施形態では、8ミリメートルのブラーカーネルが、利用される。しかしながら、所与の用途の要件に対して、適宜、任意の数の異なるカーネルサイズが、使用されることができる。種々の実施形態では、ニューサンスリグレッサ(nuisance regressor)が、追加のスパイクを除去するために適用される。第1のレベルの反応性モデルが、画像データから生成されることができる。多くの実施形態では、第1のレベルの反応性モデルは、特定の刺激に応答する低活性化、典型的活性化、および過剰活性化等の活性化の種々の程度を含むニューロン活性化を説明する。
【0085】
反応性モデルを生成する特定の方法が上で図示されるが、当業者は、所与の用途の要件に対して、適宜、列挙されるプロセスが、異なる順序で実施され得ること、またはいくつかのプロセスが、追加もしくは省略され得ることを理解するであろう。反応性モデルを生成することに加えて、前処理されたデータも、接続性モデルを生成するために使用されることができる。接続性モデルを生成する方法が、下で説明される。
【0086】
(接続性モデルの生成)
接続性モデルは、脳の種々の領域間の接続を説明することができる。ある場合、領域間のニューロン接続は、未発達、典型的発達、または発達過剰である。種々の実施形態では、接続性モデルおよび反応性モデルは、複雑なネットワークを説明する。しかしながら、複雑なネットワークは、所与の用途の要件に従って、反応性モデルのみまたは接続性モデルのみからの情報を含むことができる。いくつかの実施形態では、接続性モデルが、前処理された画像データから生成される。多くの実施形態では、前処理された画像データは、追加の接続性を前処理することを経験させられ、捕捉されたMRIデータからの正確な接続性モデルの作成を可能にすることができる。種々の接続性モデルおよびメトリックが、患者の脳の異なる領域および/または構造からの信号が伝達される方法を説明することができる。
【0087】
多くの実施形態では、種々の脳構造および/または領域間の接続の編成が、種々の精神活性化学薬品に対する反応性を示すために使用されることができる。接続性モデルおよびメトリックは、心理物理的相互作用(PPI)モデルと、ROI安静状態モデルと、ボクセル毎の安静状態モデルとを含むことができる。PPIモデルは、ROIと他の脳領域との間の接続性を説明し、それによって、活動がROIの心理的状況および生理学的状態に依存する脳領域を示すことができる。安静状態モデルは、特定のROIまたはボクセルもしくはボクセルの組によって画定される領域の安静状態を推定するために使用される。接続性分析を実施する方法が、下で説明される。
【0088】
ここで、
図7に目を向けると、本発明のある実施形態に従って接続性分析を実施する方法が、図示される。プロセス700は、前処理された画像データを取得することを含む。前処理された画像データは、反応性モデルに関して上で説明されるような類似する様式で取得されることができる。プロセス700は、PPIモデルを生成すること(720)と、安静状態モデル化のために第2の処理を実施すること(730)とをさらに含む。ROI安静状態モデルが、生成される(740)ことができ、ボクセル毎の安静状態モデルが、生成される(750)ことができる。追加の接続性を前処理することを実施する方法が、下で説明される。
【0089】
(接続性の前処理)
前処理された画像データは、追加の接続性を前処理するステップを経験させられ、時系列データの正確な測定を可能にすることができる。接続性を前処理することは、脳の領域を定義するために、画像データを座標系にマッピングすることを含むことができる。ここで、
図8に目を向けると、本発明のある実施形態に従って、接続性の前処理を実施するためのプロセスが、下で説明される。
【0090】
プロセス800は、前処理された画像データを取得すること(810)を含む。スライス時間補正が、実施される(820)ことができ、画像データが、座標系に正規化される(830)ことができる。画像データは、さらに平滑化される(830)ことができる。
【0091】
多くの実施形態では、スライス時間補正が、所与の数のスライスを使用して、2.5秒の繰り返し時間(TR)および降順インターリーブ取得シーケンスを用いて達成されることができる。いくつかの実施形態では、スライスの所与の数は、40であるが、しかしながら、所与の用途の要件に従って、任意の数のスライスが、使用され得る。スライス時間補正は、走査反復中の非同時スライス記録によってもたらされる誤差を補正することに役立つことができる。さらに、画像データが座標系に正規化されると、種々の座標系も、使用されることができる。多くの実施形態では、モントリオール神経研究所(MNI)座標系が、使用される。しかしながら、限定ではないが、タライハッハ座標系を含む多数の他の座標系も、使用され得る。加えて、関連性分析に対して上で説明される方法と同様に、空間平滑化も、実施されることができる。種々の実施形態では、接続性の前処理が生じると、接続性モデルが、生成されることができる。さらに、第1のレベルの一般線形モデル(GLM)が、初期化されることができる。PPIモデルを生成する方法が、下で説明される。
【0092】
(PPIモデルの生成)
PPIモデルは、所与の時間における脳内のどのニューロン活性化が所与の刺激に依存するかを決定するために使用されることができる。PPI分析は、個々の人の脳の機能性に関する洞察を与える。多くの実施形態では、FSLソフトウェアパッケージのFEATプログラムは、PPIモデルを生成するために使用されることができる。しかしながら、所与の用途の要件に対して、適宜、任意の数のプログラムおよび/またはパッケージが、PPIモデルを生成するために使用されることができる。
【0093】
ここで、
図9に目を向けると、本発明のある実施形態に従ってPPIモデルを生成するためのプロセスが、図示される。プロセス9は、前処理された接続性画像データを取得すること(910)を含む。時系列の固有変量が、着目ボリューム(VOI)から抽出され(920)、VOIデータ構造が、生成される(930)。
【0094】
多くの実施形態では、VOIは、マスクによって画定される。種々の実施形態では、VOIは、解剖学的に導出されるマスクによって画定される。解剖学的に導出されるマスクは、脳の特定の領域をマスキングする球体であることができる。しかしながら、所与の用途の要件に対して、適宜、複雑な3次元構造を含む任意の形状のマスクが、使用されることができる。多数の実施形態では、VOIを画定するために使用されるマスクが、ROI内にはない領域をマスキングする。VOIからの時系列の固有変量は、SPM8ライブラリを使用して抽出されることができる。いくつかの実施形態では、固有変量を抽出することは、特定のタスクを取得することをさらに含む。種々の実施形態では、固有変量を抽出することは、具体的なマスクを取得することを含む。多くの実施形態では、固有変量を抽出することは、第1のレベルのGLMからコントラスト数を取得することを含む。VOIデータ構造を生成することは、PPIの生理学的構成要素のみを含む畳み込み解除されたタイムコースと、着目コントラストからのタスク開始のパラメータコントラストを説明する心理学的変数と、生理学的変数と心理学的変数との間の相互作用とを含むことができる。このデータ構造は、PPIモデルとして機能することができる。多数の実施形態では、第1のレベルのGLMからのニューサンスリグレッサが、使用される。PPIデータ構造を生成する特定の方法が、上で説明されているが、所与の用途の要件に対して、適宜、任意の数の追加の変形例が、使用されることができる。安静状態モデルを生成するために、接続性の前処理された画像データが、さら利用されることができる。安静状態モデルを生成する方法が、下で説明される。
【0095】
(安静モデルの生成)
脳のデフォルトの安静状態を決定するために、安静状態モデルが、使用されることができる。デフォルトの安静状態は、当該個人のための脳の特定の領域のための反応性の通常レベルに関する洞察を与えることができる。異なる領域間の低活性化、典型的活性化、過剰活性化が、脳関連障害および潜在的な治療方法の両方に関する貴重な洞察を与えることができる。
【0096】
多くの実施形態では、安静状態モデルは、タスクを実施するように命令されておらず、いかなる刺激も提供されていない患者にfMRI走査を実施することによって取得される。種々の実施形態では、安静状態モデルは、試験バッテリ中に取得されるfMRIデータを使用して生成されることができる。患者の安静状態のモデルを生成するために使用され得る試験バッテリfMRIデータを使用して、残留画像が、生成されることができる。種々のタスク中に取得される画像データは、タスクは実施されていないが、タスク関連である間隔中に観察される神経活性化を分離することに役立つことにおいて有用であることができる。このように、安静状態中に活性化された神経回路経路は、撮像中、患者を真の安静状態に維持する難題から生じるアーチファクトである活性化からより良好に分離されることができる。そのようなアーチファクトの除去は、典型的には、より有益な神経回路経路分類をもたらすが、神経回路経路分類は、アーチファクト除去を用いず、または最小限のアーチファクト除去を用いたプロセスを使用して実施されることができる。
【0097】
ここで、
図10に目を向けると、本発明のある実施形態に従って安静状態モデルを生成するためのプロセスが、図示される。プロセス1000は、接続性の前処理された画像データを取得すること(1010)と、タスクにわたって前処理された画像データを連結すること(1020)とを含む。セグメント化が、実施され(1030)、タスクおよびニューサンスリグレッサ行列が、生成される(1040)。リグレッサ行列を使用して、残留画像が、生成され(1050)、残留画像が、フィルタリングされる(1060)。ボクセル毎の安静状態モデルが、生成され(1070)、ROI安静状態モデルが、生成される(1080)。
【0098】
多くの実施形態では、時系列データが、患者に提供される各タスクのために生成される。時系列データは、連結され、単一の時系列画像のひと続きを形成することができる。多くの実施形態では、連続する時系列を選定された第1の時系列に付加することによって、連結が、実施される。構造の画像を白質確率マップ、灰白質確率マップ、および脳脊髄液(CSF)確率マップに分けるために、セグメント化が、時系列に実施されることができる。多くの実施形態では、FSLライブラリからのFASTプログラムを使用して、セグメント化が、実施される。セグメント化を最適化するために、白質マスクおよびCSFマスクが、マスクが正しい白質組織を捕捉していることを確実にするために、いくつかの反復にわたって縁から内向きに浸食されることができる。種々の実施形態では、浸食は、SPMライブラリを使用して実施されることができる。多くの実施形態では、3回の反復が適用されるが、しかしながら、所与の用途の要件に従って、任意の数の反復が、適用されることができる。分けられた時系列のひと続きの画像データは、モントリオール神経科学研究所によって定義された座標空間(MNI空間)にワーピングされることができ、追加のマスキングが、セグメント化を微調整するために適用されることができる。例えば、浸食の結果として白質セグメントから追加の灰白質を除去するために、マスクが、使用されることができる。多くの実施形態では、マスクは、モントリオール神経科学研究所によって提供されるAAL単一被験者地図からの地図である。セグメント化が実施されると、各セグメントのための平均時系列が、記憶および/または提供されることができる。
【0099】
分けられた時系列との使用のために、リグレッサ行列が、生成されることができる。多くの実施形態では、リグレッサ行列は、以下のうちのいくつかまたは全てを含む:全体的なタスク効果を示すための定数を含むタスクリグレッサ情報;スパイクリグレッサ情報;再調整パラメータ、それらの時間導関数、およびそれらの2乗;および、全タスクにわたる白質およびCSF時系列。生成されたリグレッサ行列を使用して、特定のタスク、移動、および白質/CSF雑音に関連付けられる分散を移動させるために回帰を起動することによって、残留画像が、生成されることができる。残留画像は、次いで、帯域通過フィルタリングによってフィルタリングされることができる。多くの実施形態では、0.009Hzの高周波数カットオフおよび0.08Hzの低周波数カットオフが、使用される。しかしながら、所与の用途の要件に対して、適宜、異なるカットオフが、使用されることができる。
【0100】
フィルタリングされた画像を使用して、安静状態モデルが、生成されることができる。特定のタスクのための時系列を抽出し、脳内のボクセル全てからの時系列に対して回帰させることによって、ボクセル毎の安静状態モデルが、生成されることができる。フィッシャー検定、Z変換、および/または脳地図にわたる時系列が、生成され、各ボクセルのための全体的な安静状態を示すことができる。http://rfmri.org/dpabiに見出され得るR-fMRIネットワークによるDPABIツールボックスを使用することによって、ROI安静状態モデルが、生成されることができる。上で記載されるように、ボクセルのタスク関連活性化に関する情報を使用して安静状態モデルを開発するための能力は、撮像中に患者を真の安静状態に維持する難題から生じるアーチファクトの除去を補助することができる。しかしながら、多くの実施形態では、安静状態モデルは、患者が刺激を受け取っていない間に取得されるデータのみを使用して構築される。
【0101】
バイオタイプ分類に対応する神経回路経路を識別するために、安静状態モデルが、使用されることができる。多くの実施形態では、観察されるデータにおける特定の複雑性の存在を分類するために、反応性および接続性の特定のパターンが、使用されることができる。MRIデータに関連して、特定の複雑なネットワーク分類は、バイオタイプ分類を称されることができ、所与の反応性の不均衡を治療するための投薬情報が、画像処理システムを使用して発行されることができる。バイオタイプ分類の例が、下で議論される。
【0102】
(バイオタイプ分類)
バイオタイプと称され得る複雑なネットワークの存在を自動的に識別および/または分類するために、本発明の種々の実施形態による画像処理システムによって明らかにされる神経回路経路回路が、使用されることができる。多数の実施形態では、観察される安静状態の神経経路回路に基づいてバイオタイプ分類を自動的に識別および/または実施するために、機械学習が、使用される。いくつかの実施形態では、バイオタイプ分類を自動的に実施するために、サポートベクタマシンが、使用される。いくつかの実施形態では、バイオタイプ分類を実施するために、畳み込みニューラルネットワークが、使用される。データベースが、観察される神経活性化および接続性に基づいて特定のバイオタイプを識別および分類するために、機械学習システムを訓練するために使用されることができる。多くの実施形態では、データベースは、複雑なネットワーク分類で注釈を付けられたMRI画像データで作製され、および/または、所与の用途の要件に対して、適宜、訓練データの任意の他のタイプが、使用されることができる。データベース内のデータは、所与の用途の要件に対して、適宜、限定ではないが、規格化される刺激順序、規格化される刺激時間、規格化される画像処理、および/または任意の他の規格化技法を含む規格化されるデータ収集プロシージャを使用して収集されることができる。
【0103】
脳の領域間の接続性および反応性を分析することによって、バイオタイプ分類が、割り当てられることができる。多くの実施形態では、バイオタイプ分類を割り当てるために、安静状態モデルが、使用される。安静状態モデルは、脳の領域間の接続の強度を表す数の組を含むことができる。脳の領域は、種々の神経回路に関連付けられることができる。多数の実施形態では、約50個の領域が、分析のために選択されるが、しかしながら、所与の用途の要件に従って、より大きいまたはより小さい数の領域が、使用されることができる。選択された領域に対する接続の平均強度が、基準測定値と比較される。接続の平均強度に基づいて、神経回路が正常または異常に挙動しているかどうかに関する決定が、行われることができる。種々の実施形態では、閾値を使用して、異常が、決定される。閾値は、所与の用途の要件に対して、適宜、特定の強度、標準からの標準偏差の所定の数、および/または任意の他の基準であることができる。
【0104】
少なくとも1つのバイオタイプを割り当てるために、正常および/または異常回路が、使用されることができる。多くの実施形態では、異常回路を使用してバイオタイプ分類を割り当てることが、ヒューリスティックを使用して実施される。いくつかの実施形態では、等級付けシステムが、使用される。種々の実施形態では、機械学習アルゴリズムが、使用される。機械学習アルゴリズムは、バイオタイプを割り当てる方法を決定すると、特定の領域の重要性を重み付けする方法を習得することができる。いくつかの実施形態では、プロファイルアプローチが、利用される。プロファイルアプローチは、患者の観察される神経回路経路を既知の神経回路経路プロファイルのデータベースに合致させることを含むことができる。患者が、1つ以上のバイオタイプに割り当てられ得る。多くの実施形態では、患者の神経回路経路は、バイオタイプ分類の融合物として適切に分類されることができる。いくつかの実施形態では、画像処理システムは、患者の安静状態の神経回路経路が最も厳密に合致するバイオタイプ分類を提供する。バイオタイプ分類の提供は、患者が所与のバイオタイプに合致する厳密さを示す適合のインジケータを含むことができる。適合のインジケータは、所与の用途の要件に従って、割合、統計推計値、または任意の他のインジケータであることができる。
【0105】
異なる生理学的および/または心理学的機能の組を実施する脳に関わる脳内の種々の領域間の接続は、神経回路経路として定義されることができる。神経回路経路は、分類および/または脳地図の中にマッピングされ、記憶されることができる。ここで、
図11に目を向けると、本発明のある実施形態による例示的神経回路経路の組が、図示される。特定の領域における反応性および/または接続性の逸脱は、神経回路経路の正常機能を阻害し得る。低い、典型的、ならびに過剰な活動および/または接続性状態は、精神障害として表現され得る特定の神経学的問題に関係付けられ得る。ここで、
図12に目を向けると、本発明のある実施形態による接続性と反応性との間の相互作用を図示するチャートが、図示される。デフォルトモード、サリエンス、否定的感情、肯定的感情、注意、および認知制御に関する神経回路を示す、脳画像が、図示され、同様に、例示的条件(熟慮、不安回避、否定的偏向、恐怖調整不全、快楽消失、文脈不感、不注意、ならびに認知制御不全)およびそれらのそれぞれの異常接続性ならびに反応性も、図示される。特定の神経回路経路が、
図12に図示されるが、多数の神経回路経路が、複雑なネットワークとして脳内に存在し、所与の用途の要件に従って、識別および/または割り当てられることができる。
【0106】
画像処理システムは、患者の脳を表す、画像データを生成し、反応性および接続性モエルを使用して類似する出力を生産することができる。患者バイオタイプが、
図13に図示されるようなレーダプロットとしてさらに表示されることができる。多くの実施形態では、神経組織内の種々の接続および反応を表す点数が、生成されることができる。種々の実施形態では、特定の症状をもたらす種々の回路を表す点数が、生成されることができる。多数の実施形態では、点数、取得済み画像、処理済み画像、バイオタイプ分類、および/または画像処理システムによって収集もしくは生成されるデータの任意の他のタイプ等のデータが、ユーザに提供されることができる。種々の実施形態では、データは、ユーザインターフェースデバイスを介して提供される。しかしながら、所与の用途に従ってデータをユーザに提供するために、任意の数のデバイスおよび方法が、使用されることができる。ここで、
図14、15A、15B、および15Cに目を向けると、本発明のある実施形態による採点シートが、図示される。いくつかの実施形態では、点数は、特定のバイオタイプの説明を伴うことができる。多くの実施形態では、点数報告およびバイオタイプ割り当てが、接続性ならびに反応性データに基づいて、画像検出システムによって自動的に実施される。多数の実施形態では、安静状態fMRIのみが、バイオタイプを割り当てるために必要とされる。割り当てられたバイオタイプに基づいて、異常な神経回路によってもたらされる機能不全を調整するために、具体的な薬物および/または薬物クラスが、推奨されることができる。薬物を割り当てるための方法が、下で説明される。
【0107】
(バイオタイプに基づく薬物の割り当て)
多くの実施形態では、画像処理システムによって識別されるような脳内の特定の複雑なネットワーク(すなわち、バイオタイプ分類)が、患者を治療するための薬物を割り当てるために使用されることができる。異なる薬物および薬物クラスが、脳内の異なる化学的問題に影響を及ぼす。異常回路およびそれが異常に挙動している方法を識別することによって、特定の薬物療法および精神的健康の療法技法が、特定の挙動性質に関わる可能性が高い、特定の神経回路経路を標的とするために推奨されることができる。ここで、
図16に目を向けると、本発明のある実施形態に従って特定の神経回路に影響を及ぼす特定の療法の例が、図示される。多くの実施形態では、画像処理システムは、特定の精神活性薬剤の機能を説明する薬物データベースと統合されることができる。識別された異常回路を治療するために、画像処理システムは、それらの生理学的効果に基づいて、薬物を割り当てることができる。いくつかの実施形態では、バイオタイプおよび/または複数のバイオタイプの融合物に関する特定の療法の効果を改良するために、機械学習が、利用される。いくつかの実施形態では、療法は、所与の用途の要件に対して、適宜、限定ではないが、脳地図、分類、薬物データベース、または任意の他のデータ構造等のデータベース内に記憶されることができる。多くの実施形態では、データベース内に記憶される療法は、少なくとも1つのバイオタイプおよび/または神経回路に関連付けられる。
【0108】
多数の実施形態では、医師が、画像処理システムによって提案される方法を使用して、患者を治療する。種々の実施形態では、患者が、MRI機械を使用して走査される。結果として生じる走査データは、画像処理システムによって使用され、バイオタイプを割り当てることができる。バイオタイプは、患者に投与され得る1つ以上の治療および/または薬物療法に関連付けられることができる。多数の実施形態では、バイオタイプおよび/または点数が、特定の患者に関する特定の薬物および/または薬物のクラスの有効性を説明する有効性メトリックを生成するために使用されることができる。有効性メトリックは、特定の治療に関する患者のための治療転帰を予測するために使用されることができる。多数の実施形態では、有効性メトリックは、最も高い成功の可能性を伴う特定の治療を推奨するために使用される。
【0109】
本発明は、ある具体的側面において説明されているが、多くの追加の修正および変形例が、当業者に明白となるであろう。特に、上で説明される種々のプロセスのうちのいずれかが、特定の用途の要件により適切である様式で、類似する結果を達成するために、代替の順序で実施されることができる。したがって、本発明が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、具体的に説明されるものとは別様に実践され得ることを理解されたい。したがって、本発明の実施形態は、全ての点で、例証的であり、制限するものではないものと見なされるべきである。