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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】棚上開口の開閉扉を支持する支柱体
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20231024BHJP
   A47B 96/14 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A47F5/00 Z
A47B96/14 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022127702
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2018144934の分割
【原出願日】2018-08-01
(65)【公開番号】P2022161963
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真野 浩太
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-167868(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
A47B 63/00、96/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を陳列する多段陳列棚の棚上の空間の前方開口を開閉するボード状の扉を支持するものであって、
設置部に固定される、両側面には互いに対称形状の一対の係止溝又は係止貫通孔が形成され、上端には上方に延びる突起を有する固定側支柱部と、
後方上部には該係止溝又は係止貫通孔に遊嵌する互いに向かい合う一対の係止突起を有し、前部にはボード状の扉を係止する係止部を有する、該固定側支柱部に係止し可動する可動支持部と、
を有する左右一対の支柱体であり、
該可動支持部は、前方開口を閉じる垂れ下がり状態から前方開口を開ける略水平状態まで、往復移動自在であることを特徴とする支柱体。
【請求項2】
該可動支持部は、上部左右側板を有し、該係止突起は、該上部左右側板の内側面に付設されることを特徴とする請求項1記載の支柱体。
【請求項3】
該可動支持部は、該上部左右側板と連続する左右側板と、前側板を有する裏面が開口の中尺の角状ケースであることを特徴とする請求項2に記載の支柱体。
【請求項4】
該係止溝又は係止貫通孔は、後方に向けてやや下り傾斜の短横部を有し、該可動支持部の略水平状態において、該係止突起が、該短横部の後端に係止し、且つ該前側板の裏面と該突起が当接していることを特徴とする請求項3に記載の支柱体。
【請求項5】
該短横部は、下り傾斜と連続する水平部を前方に有し、該可動支持部の垂れ下がり状態において、該係止突起が、該水平部に係止することを特徴とする請求項4記載の支柱体。
【請求項6】
該ボード状の扉は、商品情報が表示されたものであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の支柱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を陳列する多段陳列棚の棚上の前面開口を開閉する開閉扉(ボード)を安定に支持し、且つ円滑に開閉できる支柱体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
量販店、薬や日常雑貨の専門店などにおいては、商品の陳列は、主に壁面の前に設置された多段陳列棚が使用されている。多段陳列棚は、一般的には、4本の支柱と、上下多段に設置された棚板とで構成され、多量の商品が陳列できる。このような多段陳列棚は、最上の棚板(天板)と天井間には、空間ができるため、その空間は、補充商品のストック場所となっている。このため、多段陳列棚の棚上の前面開口を開閉するボードを設置し、通常販売時には、ストック品を目隠しする。
【0003】
特開2000-140490公報には、360度回転するストッパー付滑車(2)の付いた長方形の基盤(1)の上部に、低い布団掛け部(3)と高い布団掛け部(4)を段違いに平行に設け、低い布団掛け部と高い布団掛け部とを継ぎ部(5)で繋ぎ、前記布団掛け部に布団を掛ける布団掛け収納具において、上部に上開き扉付き棚(7)を設け、前面以外を側周板(8)で囲い、前面部にカーテン(9)を設けた布団掛け収納具が開示されている。なお、特開2000-140490公報には、上開き扉付き棚(7)の詳細な構造は開示されていないものの、当該公報の図1によれば、扉の前方の摘みを手前に引くことで、扉を上開きすることができる。
【0004】
一方、図21のような棚上開口開閉扉を支持する一対の支柱体100が知られている。支柱体100は、多段棚板装置の天板101の上方で且つ前端に付設されるものであり、天板係止部104と、前方の起立部105と、起立部105の上端から屈曲して後方に延びる水平部106と、水平部106の後端から屈曲して下方に延びる後方鉛直部107とからなり、起立部105、水平部106及び後方鉛直部107は線材である。支柱体100に係止する開閉扉であるボード102は、その裏面で且つ上部には、支柱体100と係止するボード係止部108が付設されている。ボード係止部108には、支柱体100を挿通自在に嵌合する係止孔が形成されている。図21は、開閉扉102の開状態を示し、天板101上のストック商品を取り出すことができる。一方、棚上開口を閉じる場合、ボード102を手前に引き出し、ボード102を起立させ、ボードの下端103を天板係止部104に係止させる。これにより、棚上(天板上)のストック商品が隠れると共に、ボード面に表示された商品情報が顧客から見える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-140490公報(請求項2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2000-140490公報の上開き扉付き棚は、扉を開き後、固定する方法の開示がない。仮に、開いた扉を固定できないとなると、収納物の取り出しに不便である。また、扉は両側板と天板で形成された枠体に付設されたものであり、構造体が大がかりでコストアップとなる。
【0007】
一方、図21の支柱体100は、簡易な構造でコスト安となる点で有利なものの、ボード102を開閉する際、左右一対の支柱が横方向にブレやすく、ボード係止部108の係
止孔と線材である支柱との摩擦抵抗が大となり、扉の開閉の操作安定性が悪く、作業者の負担となっていた。
【0008】
従って、本発明の目的は、扉であるボードの開閉に伴う操作が安定して行える棚上開口の開閉扉を支持する左右一対の支柱体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は上記従来の課題を解決するものであって、棚上の空間の前方開口を開閉するボード状の扉を支持するものであって、下端が設置部に固定される、両側面には互いに対称形状の一対の係止溝又は係止貫通孔が形成された固定側支柱部と、後方上部には該係止溝又は係止貫通孔に遊嵌する互いに向かい合う一対の係止突起を有し、前部にはボード状の扉を係止する係止部を有する、該固定側支柱部に係止し可動する可動支持部を有する左右一対の支柱体であり、該固定側支柱部の係止溝又は係止貫通孔は、上下方向に延びる長縦部と、該長縦部の上端と連続し後方に少し延びる繋ぎ部と、該繋ぎ部の後方端と連続し上下方向に延びる短縦部を有する異形溝又は異形孔であって、該係止突起は、該長縦部の下端から該繋ぎ部を経由して該短縦部の下端まで、往復移動自在であることを特徴とする支柱体を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、該短縦部の下端と連続し後方に延びる短横部を更に有し、該係止突起は、該長縦部の下端から該繋ぎ部を経由して該短横部の後端まで、往復移動自在であることを特徴とする前記支柱体を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、該可動支持部は、上部左右側板を有し、該係止突起は、該上部左右側板の内側面に付設されることを特徴とする前記支柱体を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、該可動支持部は、該上部左右側板と連続する左右側板と、前側板を有する裏面が開口の中尺の角状ケースであることを特徴とする前記支柱体を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、該固定側支柱部の上端には、上方に延びる小突起を有することを特徴とする前記支柱体を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、該短横部は、後方に向けてやや下り傾斜の係止溝又は係止貫通孔であることを特徴とする前記支柱体を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、該繋ぎ部は、上方に突のアール状であることを特徴とする前記支柱体を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、該係止突起が、該短縦部の下端に係止することで、該可動支持部は、該固定側支柱部の前方に位置し、略鉛直に支持され、ボード状の扉が棚上の空間の前方開口を閉じることを特徴とする前記支柱体を提供するものである。
【0017】
また、本発明は、該係止突起が、該長縦部の下端に係止することで、該可動支持部は、下方の棚側に垂れ下がり、ボード状の扉が棚上の空間の前方開口を開くことを特徴とする前記支柱体を提供するものである。
【0018】
また、本発明は、該係止突起が、該短横部の後端に係止し、該可動支持部の前側板の裏面と該小突起が当接することで、該可動支持部は、略水平姿勢となり、ボード状の扉が棚上の空間の前方開口を開くことを特徴とする前記支柱体を提供するものである。
【0019】
また、本発明は、該ボード状の扉は、商品情報が表示されたものであることを特徴とする前記支柱体を提供するものである
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、扉側の可動支持部の対峙する方向に延びる一対の突起が、固定側である固定側支柱部の両面に形成された一対の係止溝又は係止貫通孔を挟むように遊嵌し、係止するため、扉であるボードを開閉する際、操作が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態における支柱体が設置された多段陳列棚の斜視図である。
図2図1の支柱体の斜視図である。
図3図2の支柱体の側面図である。
図4図1の一対の支柱体の分解図である。
図5】(A)は図2の支柱体を構成する固定側支柱部の左側面図、(B)はその固定側支柱部の右側面図、(C)は(B)のX-X線で切断した端面図である。
図6図2の支柱体を構成する可動支持部の裏側から見た斜視図である。
図7図6の可動支持部の背面図である。
図8】棚上開口を閉じた状態における図1の支柱体の側面図である。
図9図8の支柱体における固定側支柱部と可動支持部の係止状態を示す一部の簡略図である。
図10】棚上開口を開いた状態における図1の支柱体の側面図である。
図11図10の支柱体における固定側支柱部と可動支持部の係止状態を示す一部の簡略図である。
図12】棚上開口を開いた状態における図1の支柱体の全体図である。
図13】棚上開口を開いた他の状態における図1の支柱体の側面図である。
図14】(A)は図12の支柱体における固定側支柱部と可動支持部の係止状態を示す一部の簡略図であり、(B)は(A)のY-Y線に沿って見た断面図である。
図15】本発明の第2の実施の形態における支柱体の斜視図である。
図16図15の支柱体の分解斜視図である。
図17図15の支柱体の一部を拡大した断面図である。
図18図15の支柱体の高さ調整方法を説明する図である。
図19】本発明の第3の実施の形態における支柱体の一部の側面図である。
図20図19の支柱体における可動支持部の固定方法を説明する図である。
図21】従来の開閉扉を支持する支柱体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書において、「左右」、「上下」及び「前後」は、支柱体の設置状態で且つボード(扉)が閉じた状態における方向を言う。本発明において、棚上とは、商品を陳列する棚の上であればよく、通常は、多段陳列棚の最上棚(天板)の上を言う。この場合、棚上の空間とは、最上棚(天板)と天井間の空間を言う。量販店、薬や日常雑貨の専門店などで使用される多段陳列棚の上は、通常、補充用の商品がストックされている。本発明の支柱体は、この棚上の前方部に設置され、ボード状の扉を支持するものであり、扉を閉めることで、このストック商品を目隠しすると共に、ストック商品を取り出す際、扉を開けると共に、扉の開状態を保持するものである。なお、ボード状の扉の表面には、通常、商品情報が表示されている。
【0023】
次に、本発明の第1の実施の形態における支柱体を図1図13を参照して説明する。支柱体10は、7段の商品陳列棚20の最上の棚22fの前方部に設置され、棚上の空間40の前方開口を開閉するものである。なお、図1では、ボード状の扉9は透明で描かれ
ているが、通常は、不透明のものが使用される。また、図1に不図示の天井は、支柱体10の直上に近接している。
【0024】
支柱体10は、下端が最上棚22fの前方端(設置部)に固定される固定側支柱部2と、固定側支柱部2に係止し可動する可動支持部3を有する樹脂製の左右一対ものである。左右一対の支柱体10は、それぞれ同一形状、同一機能を有するため、一方の支柱体10について説明する。
【0025】
固定側支柱部2は、中尺状の部材の両側面に互いに対称形状の一対の係止溝23Aが形成されたものである。固定側支柱部2の高さは、ボード状の扉9を支持する可動支持部3が嵌るため、扉9の高さと略同じである。固定側支柱部2の下部には、設置部に固定される下方係止部22が形成されている。下方係止部22は、最上棚22fの前方形状にバネ付勢により嵌る係止形状となっている。これにより、最上棚22fの前方端に嵌め込みで固定できる。また、係止溝23Aが形成される本体部の上部は、係止溝23Aの形状に対応したアール形状となっている。
【0026】
係止溝23Aは、厚みWの角材の側面を切り欠き状に形成されたものであり、中心の区画壁231により、深さw1の溝が対称で形成されている。係止溝23Aは、上下方向に
延びる長縦溝部(長縦部)23と、長縦溝部23の上端と連続し後方に少し延びる繋ぎ溝部(繋ぎ部)25と、繋ぎ溝部25の後方端と連続し上下方向に延びる短縦溝部(短縦部)26と、短縦溝部26の下端と連続し後方に延びる短横溝部(短横部)24とからなる異形連続溝である。長縦溝部23は、固定側支柱部2の高さの大部分を占める前方部に形成される直線状溝である。長縦溝部23の下端は、係止溝23Aの一方のエンドである。長縦溝部23の溝深さは、片方の溝において、係止突起35が遊嵌して、移動中に脱落しない深さであり、5mm~10mm程度である。
【0027】
繋ぎ溝部25は、長縦溝部23と短縦溝部26を接続する溝であり、本例では上方に突のアール形状である。このアールは、係止突起35が短縦溝部26の下端の底壁部241に位置する際、その係止突起35の軸心を中心とした円の一部であることが好ましい。また、繋ぎ溝部25の短縦溝部26との接続部は、長縦溝部23との接続部より上方に位置している。繋ぎ溝部25のこのような形状により、可動支持部3の係止突起35が、長縦溝部23から繋ぎ溝部25を経由して短縦溝部26へ、あるいは短縦溝部26から繋ぎ溝部25を経由して長縦溝部23へと移動する際、円滑となる。
【0028】
短縦溝部26は、長縦溝部23の後方で、且つ長縦溝部23より上方に形成される高さが小の縦溝である。すなわち、短縦溝部26の前方の上部は、繋ぎ溝部25と連続し、短縦溝部26の後方の下部は、短横溝部24と連続する。このため、短縦溝部26は、後方上部壁部251と、前方下部壁部252と、底壁部241を有する。可動支持部3の係止突起35が、長縦溝部23から繋ぎ溝部25を経由して短縦溝部26に嵌る際、短縦溝部26の後方上部壁部251と前方下部壁部252にガイドされ、底壁部241に到達することになる。これにより、可動支持部3に係止されたボード状の扉9が開口を閉じた状態に保持することができる。
【0029】
短横溝部24は、短縦溝部26の後方の下部と連続するものであり、後方にやや下り傾斜状に延びるものである。また、短横溝部24の後端は、係止溝23Aの他方のエンドである。短横溝部24を後方にやや下り傾斜とすることで、固定側支柱部2の上端から上方に延びる小突起27に可動支持部3の前側板31の裏面が当たり、固定側支柱部2を水平姿勢とすることができる。これにより、棚上の開口を開状態に保持することができる。このように、係止溝23Aは、両側壁と区画壁の3つの壁で形成され、長縦溝部23の下端である終端から短横溝部24の後方端である終端までの連続溝となっている。なお、固定
側支柱部2の長縦溝部23の後方側に位置する溝211は、係止溝23Aではない、リブ構造21を構成する凹部である。これにより、強度を保持しつつ、重量を抑えることができる。
【0030】
可動支持部3は、左右側板33a、33bと、前側板31、天板36及び底板37を有する裏面が開口の中尺の角状ケースである。また、左右側板33a、33bと連続する上部の左右側板34a、34bは、奥行き寸法が大のものである。これにより、係止突起35の設置が可能となる。可動支持部3における係止突起35の形成位置は、係止突起35が短縦溝部26に係止した状態において、可動支持部3が略起立状態になると共に、固定側支柱部2の一部である前方部を覆うような位置であり、また、係止突起35が短横溝部24の終端に係止した状態において、可動支持部3が略水平状態になるような位置である。すなわち、係止突起35と可動支持部3の前側板31の裏面間は、固定側支柱部2の短縦溝部26の底壁部241から小突起27の上端までの高さと略同じの寸法を有する。これにより、ボード9付き可動支持部3は、棚上の開口を閉じた状態から、可動支持部3が、棚上の開口を開けた状態である横に寝た姿勢を取ることができる。
【0031】
係止突起35は可動支持部3の上部の左右側板34a、34bの裏面に、互いに向かい合う丸棒軸であり、軸径は、係止溝23Aの溝幅よりやや小であり、軸長さは、係止溝23Aの溝深さw1よりやや小である。係止突起35は、固定側支柱部2の両側面に形成さ
れた左右対称形状の係止溝23Aを両側から挟むように係止する。すなわち、係止突起35は、長縦溝部23の下端から繋ぎ溝部25を経由して短横溝24の後端まで、往復移動自在である。また、可動支持部3の前側板31の上端には上方係止片32aが、下端には下方係止片32bがそれぞれ形成されている。上方係止片32a及び下方係止片32bには、ボード9が設置される。すなわち、可動支持部3の係止突起35が短縦溝部26の下端に係止し下方に鉛直状に垂れると、ボード9が棚上の開口を閉じ、可動支持部3の係止突起35が長縦溝部23の下端に係止し下方の陳列棚側に鉛直状に垂れると、ボード9が棚上の開口を開け、可動支持部3の係止突起35が短横溝部の24の後方端に係止し横に寝ると、ボード9は棚上の開口を開けることとなる。
【0032】
次に、支柱体10の使用方法について説明する。図8に示す通り、棚上の開口は、通常、ボード9により閉じられている。この場合、一対の支柱体10の可動支持部3には、扉であるボード9が差し渡しで設置されている。すなわち、ボード9の上部左右端が上方係止片32aに係止し、下部左右端が下方係止片32bに係止している。これにより、可動支持部3とボード9は一体となっている。固定側支柱部2は、多段陳列棚の天板22fの前方端に取り付けられている。すなわち、固定側支柱部2の下方係止部22が天板22fの前方縁に係止により固定されている。これにより、固定側支柱部2は、天板22fに起立状に固定される。また、図9に示すように、この状態において、可動支持部3の係止突起35は、短縦溝部26の下端である底壁部241に係止しており、可動支持部3は、この係止突起35を中心に垂れ下り、且つ固定側支柱部2に当たることで、固定側支柱部2の一部である前方部を覆い隠している。この状態において、棚上に置かれたストック用の補充商品は、ボード9で隠されて見えない。
【0033】
次に、棚上に置かれたストック用の補充商品を取り出すか補充する。この際、ボード9又は可動支持部3の下端を持ち、上方に回動させて、棚上の開口を開ける。可動支持部3は、係止突起35を中心にして円滑に回転する。次に、可動支持部3が、略水平姿勢となった際、奥側に押すことで、係止突起35は、短横溝部24の後方の終端に係止する。この際、可動支持部3の前側板31の裏面が、固定側支柱体2の小突起27の上端に当たり、可動支持部3を支持するため、可動支持部3は前に倒れることなく、略水平姿勢を維持することができる。この状態において、作業者の両手は、空いており、棚上に置かれたストック用の補充商品を棚上の開口から取り出したり、補充したりすることができる。なお
、短横溝部24が、後方にやや下り傾斜になっていることで、可動支持部3を少し前方に引き出し、係止突起35を短横溝部24の終端より前方に位置させれば、小突起27の上端と可動支持部3の前側板31の裏面との距離が大きくなり、可動支持部3と小突起27が直接、当たることなく、可動支持部3を円滑に回動させることができる。
【0034】
棚上の開口を開ける方法としては、図10図12の棚上の開口を開ける方法以外に、図13及び図14のような方法を採ることができる。すなわち、図13及び図14において、ボード9を支持する可動支持部3の係止突起35が、固定側支柱部2の長縦溝部23の下端(終端)に係止して、可動支持部3は、下方の陳列棚側に垂れ下がり、棚上の空間の前方開口を開けることになる。これにより、棚上は、左右一対の固定側支柱部2、2を除いて、天井までの空間が開いた状態となり、ストック商品の取り出し、補充作業が一層、行い易くなる。また、ボード9を回転させることなく、上下操作のみで行えるため、脚立上で安全に操作ができる。また、この上下操作は、手の届く高さが低くてよいため、脚立の低い位置での操作ができ、安全である。
【0035】
図14(B)に示すように、可動支持部3の一対の係止突起35は、一対の係止溝23Aに対して両側から挟むように、遊嵌している。このため、図8図14における可動支持部3の動きは、ボード9又は可動支持部3を手で操作することで、容易に行うことができる。例えば、図13及び図14における係止突起35が長縦溝部23の下端(係止溝23Aの一方の終端)に係止している状態から、図10図12における係止突起35が短横溝部24の後方端(係止溝23Aの他方の終端)に係止している状態に移動させるには、ボード9又は可動支持部3を上方に持ち上げつつ移動させる。係止突起35は、係止溝23Aに形状に沿って、成り行きで動く、このため、係止突起35は、繋ぎ溝部25から短縦溝部26に入る。次いで、ボード9又は可動支持部3を少し落とすことで、係止突起35は、短縦溝部26の底壁部241に至る。次いで、ボード9又は可動支持部3を上方に回動させつつ、後方の押し込むことで、係止突起35は、短横溝部24の後方端(終端)に至る。また、図10図12における係止突起35が短横溝部24の後方端(係止溝23Aの他方の終端)に係止している状態から、図13及び図14における係止突起35が長縦溝部23の下端(係止溝23Aの一方の終端)に係止している状態に移動させるには、上記操作方法の逆手順の操作を行えばよい。
【0036】
次に、本発明の第2の実施の形態における支柱体を図15図18を参照して説明する。図15図18の支柱体において、図1図14の支柱体と同一構成要素には同一符号を付してその説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、図15図18の支柱体10aにおいて、図1図14の支柱体10と異なる点は、可動支持部である。すなわち、図15図18の可動支持部3aは、高さの異なるボードに対応する高さ調整機能を有したものである。すなわち、可動支持部3Aは、支持本体部3aと支持本体部3aに差し込み自在、上下方向に所定寸法で移動自在の高さ調整部材8を有する。
【0037】
支持本体部3aには、前側板31の上部が切り欠かれた、左右側板364、364、底板365及び下側板366で囲まれた浅底の凹状部31aを有する。左右側板364の前方端には、上下方向に適宜のピッチで、内側に延びる6個の小突起361が形成され、小突起361の奥側のガイドレール362を形成している。なお、符号363は金型成型のための抜き孔である。また、底板365の左右方向の中央には、上下方向に適宜のピッチで、多数(本例では10個)の係止孔367が形成されている。
【0038】
高さ調整部材8は、本例では、凹状部31aの高さ寸法より短いものであり、支持本体部3aの凹状部31aに上下方向にスライド自在に嵌るものである。高さ調整部材8は、短尺の板状体の後方両端縁に、長さ方向に延びる、支持本体部3aのガイドレール362に係止する鍔部83a、83aを有し、上端にはボード9を支持する上方係止片32aが
形成され、下部には、薄肉の可撓性係止片82が形成されている。可撓性係止片82の裏面には、支持本体部3aの凹状部31aに形成された係止孔367に係止する、小突起821が形成されている。高さ調整部材8は、支持本体部3aの凹状部31aにスライド自在に嵌り、且つ小突起821と係止孔367との係止により固定される。また、高さ調整部材8を例えば、L2引き上げることで、ボード9の高さ(上下方向長さ)が大のものに
対応でき、高さ調整部材8を例えば、L1引き下げることで、ボード9の高さが小のもの
に対応できる(図17参照)。
【0039】
次に、本発明の第3の実施の形態における支柱体を図19及び図20を参照して説明する。図19及び図20の支柱体において、図1図14の支柱体と同一構成要素には同一符号を付してその説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、図19及び図20の支柱体10bにおいて、図1図14の支柱体10と異なる点は、固定側支柱部の係止溝の形状及び可動支持部3が上方で水平状態となる可動支持部3の保持機構である。すなわち、図19及び図20の支柱体10bの係止溝23Bにおいて、図1図14の係止溝23Aと異なる点は、係止溝23Aの短横溝部24が省略されていることである。すなわち、固定側支柱部2の係止溝23Bは、上下方向に延びる長縦溝部23と、長縦溝部23の上端と連続し後方に少し延びる繋ぎ溝部25と、繋ぎ溝部25の後方端と連続し上下方向に延びる短縦溝部26からなる異形溝であって、係止突起35は、長縦溝部23の下端から該繋ぎ溝部25を経由して短縦溝部26の下端壁241まで、往復移動自在である。
【0040】
また、支柱体10bにおいて、可動支持部3の開口状態(水平状態)を保持する保持機構としては、可動支持部3の上部の左右側板34a、34bの内側面(裏面)に内側方法に突出する保持用突起39を付設した点である。すなわち、保持用突起39の形成位置は、係止突起35の後方であって、可動支持部3が開口状態(水平状態)の際、短縦溝部26の底壁241の下方に位置し、固定側支柱部2のリブ構造の凹状溝241を形成する後方壁212の内側面と当接するような位置である。保持用突起39の高さは、図20の水平状態を保持する高さがあればよい。すなわち、可動支持部3を図19の状態から図20の水平状態に至る際、保持用突起39は、固定側支柱部2の後方壁212に当たるものの、上部の左右側板34a、34bが両側に撓むことで、乗り越えて固定側支柱部2の後方壁212の内側面に係止する。このように、支柱体10bにおいても、支柱体10と同様の作用効果を奏する。
【0041】
本発明の支柱体は、上記実施の形態例に限定されず、種々の変形を採ることができる。係止溝23A、23Bは、溝構造ではなく、左右に貫通された係止孔であってもよい。また、係止溝23A、23Bは、溝底の一部が貫通した溝と貫通孔が混在したものであってもよい。このような係止孔又は部分貫通孔を有する係止溝においても、係止溝23A、23Bと同様の作用効果を奏する。また、例えば、繋ぎ溝部25は図5のアール形状に限定されず、種々の曲率を有するアールであってもよく、また、アール以外の不定形溝であってもよい。また、短横溝部24は、後方下り傾斜に限定されず、傾斜のない横溝であってもよい。また、固定側支柱部2の上端の小突起27はなくともよい。また、固定側支柱部2の下方係止部22は、ねじ止めなどの固定補助具を使用する固定方法であってもよい。固定側支柱部2の長縦溝部223の後方に位置するリブ構造21はなくてもよく、ここが平坦面であってもよい。可動支柱部3の左右側板33a、33bは省略できる。また、上部左右側板34a、34bは、係止突起35が付設できるものであればよく、図6のような大きな側板形状に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、ボード側である可動支持部の一対の突起が、固定側である固定側支柱部の両面に形成された一対の係止溝又は係止孔を挟むように遊嵌し、係止するため、ボー
ドを開閉する際、操作が安定し、作業が楽に行える。
【符号の説明】
【0043】
2 固定側支柱部
3 可動支持部
9 扉であるボード
10、10a、10b 支柱体
22f 最上棚
23 長縦溝部
23A 係止溝
24 短横溝部
25 繋ぎ溝部
26 短縦溝部
34a、34b 上部左右側板
35 係止突起
39 保持用突起
図1
図2
図3
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図5
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