(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】点検対象画像送信システム、点検対象画像送信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/66 20230101AFI20231024BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20231024BHJP
H04N 23/69 20230101ALI20231024BHJP
H04N 23/65 20230101ALI20231024BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
H04N23/66
H04N23/60 300
H04N23/69
H04N23/60 500
H04N23/65
H04N7/18 C
H04N7/18 B
H04N7/18 D
(21)【出願番号】P 2023525277
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 JP2021021192
(87)【国際公開番号】W WO2022254653
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-05-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517305148
【氏名又は名称】LiLz株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】大西 敬吾
(72)【発明者】
【氏名】大塚 誠
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ コロジェッツク
(72)【発明者】
【氏名】西銘 大喜
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-144094(JP,A)
【文献】特開2007-179555(JP,A)
【文献】特開2016-208455(JP,A)
【文献】特開2014-175863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/661
H04N 23/60
H04N 23/69
H04N 23/65
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラで撮影した点検対象の画像を送信する点検対象画像送信システムであって、
前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させる撮影用スケジュールを設定するスケジュール設定部と、
前記カメラが撮影した前記点検対象の画像をトリミングする領域を設定するトリミング設定部と、
設定した前記撮影用スケジュールに基づいて、前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させる撮影部と、
設定した前記領域に基づいて、前記カメラに撮影させた前記点検対象の画像をトリミングさせるトリミング部と、
前記カメラに、待機用通信方式から送信用通信方式に切り替えさせてから、トリミングした前記点検対象の画像を送信させる送信部と、
前記送信が終わった後、前記カメラに、前記送信用通信方式から前記待機用通信方式に切り替えさせて待機させる待機部と、
前記カメラを待機させる時の待機用通信方式と、トリミングした前記点検対象の画像を送信させる送信用通信方式と、の組み合わせを、ユーザからの入力に基づいて選択する選択部と、
を備える点検対象画像送信システム。
【請求項2】
前記スケジュール設定部は、前記カメラに、前記点検対象の周辺の音を録音させる録音用スケジュールを設定し、
前記撮影部は、設定した前記録音用スケジュールに基づいて、前記カメラに前記点検対象の周辺の音を録音させ、
前記送信部は、録音させた前記点検対象の周辺の音を送信させる、
請求項1に記載の点検対象画像送信システム。
【請求項3】
前記スケジュール設定部は、設定した前記録音用スケジュールを変更する、
請求項2に記載の点検対象画像送信システム。
【請求項4】
前記スケジュール設定部は、設定した前記撮影用スケジュールを変更し、
前記トリミング設定部は、設定した前記領域を変更し、
前記撮影部は、変更した前記撮影用スケジュールに基づいて、前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させ、
前記トリミング部は、変更した前記領域に基づいて、前記カメラに撮影させた前記点検対象の画像をトリミングさせる、
請求項1に記載の点検対象画像送信システム。
【請求項5】
前記トリミング設定部は、前記点検対象の画像の解像度を設定し、
前記トリミング部は、前記点検対象の画像を、設定した前記解像度でトリミングさせる、
請求項1に記載の点検対象画像送信システム。
【請求項6】
任意のタイミングで、前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させる指示を受け付ける受付部と、
を更に備え、
前記撮影部は、前記指示を受け付けたタイミングで、前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させる、
請求項1に記載の点検対象画像送信システム。
【請求項7】
前記送信部は、前記カメラに、待機用通信方式から送信用通信方式に切り替えさせてから、トリミングした前記点検対象の画像、当該カメラの設定情報および状態情報を送信し、
前記待機部は、トリミングした前記点検対象の画像、前記カメラの設定情報および状態情報の送信が終わった後、当該カメラに、前記送信用通信方式から前記待機用通信方式に切り替えさせて待機させる、
請求項1に記載の点検対象画像送信システム。
【請求項8】
カメラで撮影した点検対象の画像を送信するコンピュータが実行する点検対象画像送信方法であって、
前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させる撮影用スケジュールを設定するステップと、
前記カメラが撮影した前記点検対象の画像をトリミングする領域を設定するステップと、
設定した前記撮影用スケジュールに基づいて、前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させるステップと、
設定した前記領域に基づいて、前記カメラに撮影させた前記点検対象の画像をトリミングさせるステップと、
前記カメラに、待機用通信方式から送信用通信方式に切り替えさせてから、トリミングした前記点検対象の画像を送信させるステップと、
前記送信が終わった後、前記カメラに、前記送信用通信方式から前記待機用通信方式に切り替えさせて待機させるステップと、
前記カメラを待機させる時の待機用通信方式と、トリミングした前記点検対象の画像を送信させる送信用通信方式と、の組み合わせを、ユーザからの入力に基づいて選択するステップと、
を備える点検対象画像送信方法。
【請求項9】
カメラで撮影した点検対象の画像を送信するコンピュータに、
前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させる撮影用スケジュールを設定するステップ、
前記カメラが撮影した前記点検対象の画像をトリミングする領域を設定するステップ、
設定した前記撮影用スケジュールに基づいて、前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させるステップ、
設定した前記領域に基づいて、前記カメラに撮影させた前記点検対象の画像をトリミングさせるステップ、
前記カメラに、待機用通信方式から送信用通信方式に切り替えさせてから、トリミングした前記点検対象の画像を送信させるステップ、
前記送信が終わった後、前記カメラに、前記送信用通信方式から前記待機用通信方式に切り替えさせて待機させるステップ、
前記カメラを待機させる時の待機用通信方式と、トリミングした前記点検対象の画像を送信させる送信用通信方式と、の組み合わせを、ユーザからの入力に基づいて選択するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点検対象の点検効率を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、点検現場の点検効率を向上させる技術が提供されている。
例えば、特許文献1では、設備点検管理の利便性をより向上させるために、設備点検を行う各施設の施設名を、設備点検を行う日に対応するカレンダーの日付欄に配置して、カメラ機能付携帯端末からの画像を受信して、カレンダー上に表示した各施設名についての設備点検画像を受信したか否かを判断して、受信したと判断された施設名のモニタ上での表示色を変更する技術が提供されている。
【0003】
また、他には、特許文献2では、建屋内における構造物の建設工事や点検に際し、建屋内における構造物を立体的にイメージすることや壁面内の埋設物の位置確認をすること等を容易に行うことが可能な技術が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-63378号公報
【文献】特開2007-228315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
点検現場では、計器がいくつを指しているか、コンテナが満タンになったかどうか、街灯が切れているかどうか、動物を捕獲する罠に動物がかかっているか、河川の水位がどの程度になったか等の点検対象の状況を把握するために、点検作業員が点検現場に移動し、目視点検を行っている。そのため、点検効率が悪いことが問題となっており、カメラ等を用いた遠隔点検の需要が高まっている。しかし、点検現場まで行かずに遠隔点検をする場合、このような点検現場では、電源が無い所が多いため、カメラ等が省電力であることが重要となる。
【0006】
そこで、点検対象を撮影するカメラに、予め設定したスケジュールで画像を撮影させ、予め設定した領域で画像をトリミングし、トリミング後の画像を送信させることにより、省電力で遠隔点検することを可能にし、点検効率を向上させる技術が求められている。
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された技術では、点検対象を撮影するカメラに、予め設定したスケジュールで画像を撮影させ、予め設定した領域で画像をトリミングし、トリミング後の画像を送信させることにより、省電力で遠隔点検することができないため、点検効率を向上させることが出来なかった。
【0008】
そこで、本発明は、点検対象を撮影するカメラに、予め設定したスケジュールで画像を撮影させ、予め設定した領域で画像をトリミングし、トリミング後の画像を送信させることにより、省電力で遠隔点検を行い、点検効率を向上させることが可能な点検対象画像送信システム、点検対象画像送信方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、カメラで撮影した点検対象の画像を送信する点検対象画像送信システムであって、
前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させる撮影用スケジュールを設定するスケジュール設定部と、
前記カメラが撮影した前記点検対象の画像をトリミングする領域を設定するトリミング設定部と、
設定した前記撮影用スケジュールに基づいて、前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させる撮影部と、
設定した前記領域に基づいて、前記カメラに撮影させた前記点検対象の画像をトリミングさせるトリミング部と、
前記カメラに、待機用通信方式から送信用通信方式に切り替えさせてから、トリミングした前記点検対象の画像を送信させる送信部と、
前記送信が終わった後、前記カメラに、前記送信用通信方式から前記待機用通信方式に切り替えさせて待機させる待機部と、
前記カメラを待機させる時の待機用通信方式と、トリミングした前記点検対象の画像を送信させる送信用通信方式と、の組み合わせを、ユーザからの入力に基づいて選択する選択部と、
を備える点検対象画像送信システムを提供する。
【0010】
本発明によれば、カメラで撮影した点検対象の画像を送信する点検対象画像送信システムは、前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させる撮影用スケジュールを設定し、前記カメラが撮影した前記点検対象の画像をトリミングする領域を設定し、設定した前記撮影用スケジュールに基づいて、前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させ、設定した前記領域に基づいて、前記カメラに撮影させた前記点検対象の画像をトリミングさせ、前記カメラに、待機用通信方式から送信用通信方式に切り替えさせてから、トリミングした前記点検対象の画像を送信させ、前記送信が終わった後、前記カメラに、前記送信用通信方式から前記待機用通信方式に切り替えさせて待機させ、前記カメラを待機させる時の待機用通信方式と、トリミングした前記点検対象の画像を送信させる送信用通信方式と、の組み合わせを、ユーザからの入力に基づいて選択する。
【0011】
本発明は、システムのカテゴリであるが、方法及びプログラムであっても同様の作用、効果を奏する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、点検効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】点検対象画像送信システム1の概要を説明する図である。
【
図2】点検対象画像送信システム1の機能構成を示す図である。
【
図3】点検対象画像送信システム1が実行するカメラ設定処理である。
【
図4】点検用端末10が設定する設定内容の一例を模式的に示した図である。
【
図5】点検対象3の画像の一例を模式的に示した図である。
【
図6】点検対象画像送信システム1が実行する点検用データ送信のフローチャートを示す図である。
【
図7】カメラ20が撮影した画像40をトリミングする一例を模式的に示した図である。
【
図8】カメラ20が点検用端末10に送信するトリミング後の画像42の一例を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【0015】
[基本概念/基本構成]
図1は、点検対象画像送信システム1の概要を説明するための図である。点検対象画像送信システム1は、点検作業を行う点検作業員が所持する点検用端末10、点検対象3の画像の撮影や点検対象3の周辺の音声の録音を行い、撮影した画像や録音した音声を点検用端末10に送信するカメラ20を含むシステムである。点検用端末10と、カメラ20とは、データ通信可能に接続される。カメラ20は、可視光カメラ、X線カメラ、磁気共鳴カメラ、など画像を撮影できる装置である。画像は、静止画や動画である。
【0016】
本実施形態では、前提として、点検対象3が計器のメータ(例えば、円型、矩形型、ナナセグ型、カウンタ型、棒型、ランプ型)であり、カメラ20は、この計器の画像を撮影可能な位置に設置されたものである。また、点検用端末10が実行する各処理は、所定のアプリケーションにより実行されるものである。
【0017】
点検対象画像送信システム1が、カメラ20で撮影した点検対象3の画像を送信する場合についての処理ステップについて、
図1に基づいて説明する。
初めに、点検用端末10は、カメラ20に、点検対象3の画像を撮影させる撮影用スケジュールを設定する(ステップS1)。
点検用端末10は、カメラ20に、点検対象3を撮影させる時刻や回数等の入力を受け付ける。点検用端末10は、一日一回、所定の時間での撮影、一日複数回、複数の所定の時間での撮影、毎時間撮影等の入力を、選択方式又は直接入力方式により受け付ける。点検用端末10は、受け付けた入力内容を、撮影用スケジュールとして設定する。
【0018】
点検用端末10は、カメラ20が撮影した点検対象3の画像をトリミングする領域を設定する(ステップS2)。
本発明のトリミングとは、指定した領域のみを切り出し、それ以外の領域を不要な領域として削除し、指定した領域のみの画像を生成することを意味する。
点検用端末10は、カメラ20を設置した際に、テスト用に撮影した点検対象3の画像を取得する。点検用端末10は、取得したテスト用の点検対象3の画像に対して、トリミングする領域を入力する。点検用端末10は、このトリミングする領域の入力をタップ操作等により受け付ける。点検用端末10は、受け付けた領域を、トリミングする領域として設定する。
【0019】
点検用端末10は、設定した撮影用スケジュール及びトリミングする領域を、カメラ20に送信し、カメラ20は、これらを受信し、自身に記憶する。点検用端末10は、これらの設定に基づいて、カメラ20に、画像の撮影及び撮影した画像のトリミングを行わせることになる。
【0020】
カメラ20は、設定された撮影用スケジュールに基づいて、点検対象3の画像を撮影する(ステップS3)。
カメラ20は、点検用端末10により設定された撮影用スケジュールの時間に、点検対象3の画像を撮影する。
【0021】
カメラ20は、設定されたトリミングする領域に基づいて、撮影した点検対象3の画像をトリミングする(ステップS4)。
カメラ20は、点検用端末10により設定されたトリミングする領域に基づいて、撮影した点検対象3の画像の該当する領域を、この画像からトリミングし、設定されたトリミングする領域以外を不要な領域として、削除する。すなわち、カメラ20は、このトリミングする領域のみの画像を生成する。
【0022】
カメラ20は、待機用通信方式から送信用通信方式に切り替えてから、トリミングした点検対象3の画像を送信する(ステップS5)。
カメラ20は、待機中(画像の送信を行っていない状態)の通信方式である待機用通信方式から、送信用(画像の送信を行う状態)の通信方式である送信用通信方式に切り替え、トリミングした点検対象3の画像を、点検用端末10に送信する。そして、画像の送信が終わると送信用通信方式から待機用通信方式に切り替えてから待機する(ステップS6)。この通信方式は、待機用通信方式が、例えば、1時間当たりの平均消費電流が、1mA以下であり、送信用通信方式が、1時間当たりの平均消費電流が、1mAよりも大きいものである。
【0023】
点検用端末10は、カメラ20が送信したトリミングした点検対象3の画像を受信する。点検作業員は、この画像を閲覧することにより、点検対象3の遠隔点検を行う。
【0024】
なお、上述した点検対象画像送信システム1は、点検用端末10と、カメラ20とによりシステムが構成されているが、点検用端末10と、コンピュータ(例えば、サーバ機能を有するコンピュータ又はクラウドコンピュータ)と、カメラ20とによりシステムが構成されていても良い。この場合、上述した点検用端末10が実行する撮影用スケジュール設定処理(ステップS1)、トリミング設定処理(ステップS2)及び画像の受信処理を、コンピュータを介して行う。具体的には、コンピュータは、点検用端末10から各種設定の入力を受け付け、受け付けた設定に必要な処理をコンピュータが実行するとともに、カメラ20から画像を受信し、点検用端末10にこの画像を表示させる。
【0025】
このような点検対象画像送信システム1によれば、点検効率を向上させることが可能となる。
【0026】
[機能構成]
図2に基づいて、点検対象画像送信システム1の機能構成について説明する。
点検対象画像送信システム1は、点検用端末10と、点検対象3周辺の所定の位置に設置されたカメラ20とからなり、公衆回線網等のネットワーク9を介して、データ通信可能に接続されるシステムである。
点検対象画像送信システム1は、その他の端末や装置類等が含まれていても良い。この場合、点検対象画像送信システム1は、後述する処理を、点検用端末10、カメラ20、その他の端末や装置類等の何れか又は複数の組み合わせにより実行する。
以下の説明において、点検対象3は、上述した通り、計器のメータである。
【0027】
なお、点検対象画像送信システム1は、点検用端末10と、カメラ20とに加えて、サーバ機能を有するパーソナルコンピュータやコンピュータ、複数のコンピュータからなるクラウドコンピュータを有するシステムであっても良い。本明細書におけるクラウドコンピュータとは、ある特定の機能を果たす際に、任意のコンピュータをスケーラブルに用いるものや、あるシステムを実現するために複数の機能モジュールを含み、その機能を自由に組み合わせて用いるものの何れであってもよい。
この場合、点検対象画像送信システム1は、後述する点検用端末10が実行する各処理を、このコンピュータが実行し、処理の結果を、点検用端末10やカメラ20に出力するものとなる。
【0028】
点検用端末10は、点検作業員が所持するスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末や、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ、スマートグラス等のHMD(Head Mounted Display)等である。
点検用端末10は、制御部として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス等を備える。
また、点検用端末10は、処理部として、各種処理を実行する各種デバイス、カメラ20に点検対象3の画像を撮影させる撮影用スケジュールを設定するスケジュール設定部11、カメラ20が撮影した点検対象3の画像をトリミングする領域を設定するトリミング設定部12等を備える。
【0029】
点検用端末10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部と協働して、テスト用画像取得モジュール、カメラ設定内容送信モジュール、点検用データ受信モジュールを実現する。
また点検用端末10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、処理部と協働して、撮影用スケジュール設定モジュール、録音用スケジュール設定モジュール、解像度設定モジュール、カメラ設定モジュール、通信方式設定モジュール、トリミング設定モジュール、点検用データ表示モジュールを実現する。
【0030】
カメラ20は、点検対象3周辺の所定の位置に設置され、画像の撮影や音声の録音や画像の送信等を行う装置である。
カメラ20は、点検用端末10と同様に、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス、撮影した画像を点検用端末10に送信する送信部21等を備える。
また、カメラ20は、記憶部として、ハードディスクや半導体メモリ、記憶媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。
また、カメラ20は、処理部として、各種処理を実行するデバイス、点検対象3の画像を撮影する撮影部22、撮影した画像をトリミングするトリミング部23、画像の送信が終わった後、カメラ20に送信用通信方式から待機用通信方式に切り替えてから待機する待機部24等を備える。
【0031】
カメラ20において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部と協働して、カメラ設定内容受信モジュール、撮影指示受付モジュール、点検用データ送信モジュールを実現する。
また、カメラ20において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、記憶部と協働して、カメラ設定内容記憶モジュールを実現する。
また、カメラ20において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、処理部と協働して、録音モジュール、撮影モジュール、解像度変更モジュール、トリミングモジュール、通信方式切替モジュールを実現する。
【0032】
[点検用端末10が実行するカメラ設定処理]
図3に基づいて、点検用端末10が実行するカメラ設定処理について説明する。
図3は、点検用端末10が実行するカメラ設定処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。本カメラ設定処理は、上述した撮影用スケジュール設定処理(ステップS1)、トリミング設定処理(ステップS2)の詳細である。本カメラ設定処理は、所定のアプリケーションが、各モジュールに処理を実行させることにより、実現される処理である。
【0033】
撮影用スケジュール設定モジュールは、点検対象3の画像を撮影させる撮影用スケジュールを設定する(ステップS10)。撮影用スケジュールは、カメラ20が点検対象3の画像を撮影するタイミングを意味する。撮影用スケジュールは、一日に撮影する回数及び時間である。撮影用スケジュールは、上述した通り、一日一回・所定の時間、一日複数回・複数の所定の時間、毎時間等である。
撮影用スケジュール設定モジュールは、回数及び時間の入力を受け付ける。入力の受付方法としては、複数の撮影用スケジュールの中から、点検作業員が所望するものを選択する、点検作業員が所望する回数及び時間を直接入力する等が挙げられる。
撮影用スケジュール設定モジュールは、受け付けた回数及び時間に基づいて、撮影用スケジュールを設定する。
【0034】
録音用スケジュール設定モジュールは、点検対象3の周辺の音声を録音させる録音用スケジュールを設定する(ステップS11)。録音用スケジュールは、カメラ20が、点検対象3の周辺(カメラ20の周辺)の音声を録音するタイミングを意味する。録音用スケジュールは、撮影用スケジュールのタイミング、すなわち、カメラ20が画像を撮影する前後の所定の時間間隔である。カメラ20が画像を撮影する指定時間前から、撮影後の指定時間後までの時間間隔である。録音用スケジュールは、撮影の前後1秒、前後5秒、前後10秒等である。例えば、撮影の前後1秒の場合、カメラ20が画像を撮影する1秒前から、画像を撮影後の1秒後までの時間間隔である。例えば、撮影前20秒から撮影前5秒など、撮影前だけの時間間隔でも良いし、その逆に、撮影後だけの時間間隔でもよい。つまり、撮影前後、撮影前、または撮影後の時間間隔の録音用スケジュールを設定してもよい。
録音用スケジュール設定モジュールは、時間の入力を受け付ける。入力の受付方法としては、複数の録音用スケジュールの中から、点検作業員が所望するものを選択する、点検作業員が所望する時間を直接入力する等が挙げられる。
録音用スケジュール設定モジュールは、受け付けた時間に基づいて、録音用スケジュールを設定する。
点検対象3の周辺の音声を併せて録音させることにより、点検作業員が画像だけで判断できない場合であっても、判断することが容易となる。
【0035】
解像度設定モジュールは、点検対象3の画像の解像度を設定する(ステップS12)。解像度は、例えば、低画質、高画質、標準画質等の画質を指定するものである。
解像度設定モジュールは、解像度の入力を受け付ける。入力の受付方法としては、複数の解像度の中から、点検作業員が所望する解像度を選択する、点検作業員が所望する解像度を直接入力する等が挙げられる。
解像度設定モジュールは、受け付けた解像度に基づいて、解像度を設定する。
【0036】
カメラ設定モジュールは、点検対象3の画像を撮影するカメラ20の設定を設定する(ステップS13)。カメラ20の設定とは、例えば、フラッシュの有無、フラッシュの強度、自動発光の有無、通常のEV(Exposure Value)値、照度が暗い時のEV値、シャッタースピードである。
カメラ設定モジュールは、カメラ20の設定の入力を受け付ける。入力の受付方法としては、予め設定された初期値をそのまま用いる、ある設定における複数のもの中から、点検作業員が所望するものを選択する、点検作業員が所望する設定を直接入力する等が挙げられる。
カメラ設定モジュールは、受け付けたカメラ20の設定に基づいて、カメラ20の設定を設定する。
【0037】
通信方式設定モジュールは、待機用通信方式及び送信用通信方式を設定する(ステップS14)。待機用通信方式とは、画像を送信していない状態の通信方式を意味する。送信用通信方式とは、画像を送信する状態の通信方式を意味する。待機用通信方式は、送信用通信方式よりも、消費電流が少ない通信方式であり、1時間当たりの平均消費電流が1mA以下の通信方式である。送信用通信方式は、1時間当たりの平均消費電流が1mAよりも大きく、カメラ20がトリミングした後の画像を送信するのに必要な消費電流を少なくとも有する通信方式である。
通信方式設定モジュールは、待機用通信方式及び送信用通信方式の入力を其々受け付ける。入力の受付方法としては、予め設定された初期値の消費電流を用いる、予め設定された消費電流の待機用通信方式及び送信用通信方式の組み合わせの中から、点検作業員が所望するものを選択する、複数の消費電流の中から、点検作業員が所望するものを選択する、点検作業員が所望する消費電流を直接入力する等が挙げられる。選択した組み合わせは変更できる。
通信方式設定モジュールは、受け付けた待機用通信方式及び送信用通信方式に基づいて、待機用通信方式及び送信用通信方式を設定する。
普段の待機用通信方式の消費電流を1mA以下にすることにより、省電力の効果がより高くなる。
【0038】
なお、点検対象画像送信システム1は、上述したステップS11-14の処理を、必ずしも全て行う必要はなく、少なくとも撮影用スケジュールの設定処理(ステップS10)を行う構成であれば良い。
【0039】
[設定画面]
図4に基づいて、上述したステップS10-14の処理により設定される設定内容について説明する。同図は、点検用端末10が設定する設定内容の一例を模式的に示した図である。同図では、画質、フラッシュの有無、フラッシュの自動発光の有無、フラッシュの強度、撮影用スケジュール、録音用スケジュールの設定内容を示す。他に設定された設定内容についての記載は省略する。
同図において、点検用端末10は、上述したステップS10-S14の処理の結果、画質が高画質、フラッシュが有り、フラッシュの自動発光が有り、フラッシュの強度が標準であり、撮影用スケジュールが一日に24回(1時間毎)撮影、録音用スケジュールが撮影時の±5秒を設定している。
【0040】
図3に戻り、カメラ設定処理の続きを説明する。
トリミング設定モジュールは、点検対象3の画像をトリミングする領域を設定する(ステップS15)。本発明のトリミングとは、指定した領域のみを切り出し、それ以外の領域を不要な領域として削除し、指定した領域のみの画像を生成することを意味する。
テスト用画像取得モジュールは、予めカメラ20が撮影した点検対象3の画像を取得する。このときテスト用画像取得モジュールが取得する画像は、カメラ20を設置する際に撮影したものや、他のタイミング等において、カメラ20が撮影したものである。
トリミング設定モジュールは、取得した
図5に示す点検対象3の画像30に対して、トリミングする領域31を設定する。トリミング設定モジュールは、自身の表示部等に表示したこの画像30に対するタップ操作等の入力を受け付ける。トリミング設定モジュールは、点検作業員が所望する点検対象3の箇所を矩形や円形等で囲う、点検対象3の箇所を指定する等の入力を受け付けることにより、このトリミングする領域31の入力を受け付ける。トリミング設定モジュールは、この入力を受け付けたトリミングする領域31を、画像30をトリミングする領域31として設定する。ここで設定するトリミングする領域31は、画像30における座標や画像30における位置として設定されるものである。後述する点検用データ送信処理においてカメラ20が撮影する画像40(後述する
図7参照)と、今回トリミングする領域31を設定した画像30とは、カメラ20の位置が固定されている場合、其々の画像30,40内の点検対象3の位置は固定されていると考えられ、其々の画像30,40で点検対象3が同一の場所に撮影されるためである。
なお、本実施形態では、一つのトリミングする領域31のみを設定しているが、複数のトリミングする領域を設定しても良い。複数のトリミングする領域を設定する場合、設定した各トリミングする領域を切り出し、指定した各領域の画像を其々生成することになる。
【0041】
カメラ設定内容送信モジュールは、カメラ設定内容をカメラ20に送信する(ステップS16)。
カメラ設定内容送信モジュールは、上述したステップS10-15の処理により設定された撮影用スケジュール、録音用スケジュール、解像度、カメラ20の設定、待機用通信方式、送信用通信方式及びトリミングする領域を、カメラ設定内容として、カメラ20に送信する。カメラ設定内容受信モジュールは、このカメラ設定内容を受信する。カメラ設定内容記憶モジュールは、このカメラ設定内容を記憶する。カメラ20は、このカメラ設定内容を記憶することにより、自身の設定が行われることになる。
カメラ20は、記憶したカメラ設定内容に従って、後述する点検用データ送信を実行する。
そして、送信が終わった後は、送信用通信方式から待機用通信方式に切り替えてから待機する。待機用通信方式の方が、送信用通信方式よりも消費電流が低下するため、送信用通信方式のまま待機するよりも省電力となる。
【0042】
以上が、カメラ設定処理である。
【0043】
[カメラ20が実行する点検用データ送信]
図6に基づいて、カメラ20が実行する点検用データ送信について説明する。
図6は、カメラ20が実行する点検用データ送信のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。本点検用データ送信は、上述した点検対象3の撮影処理(ステップS3)、画像のトリミング処理(ステップS4)、画像の送信処理(ステップS5)の詳細である。
【0044】
録音モジュールは、録音用スケジュールに基づいて、点検対象3の周辺における音声の録音を開始する(ステップS20)。
例えば、設定された録音用スケジュールが、撮影前の時間間隔であれば撮影前の点検対象3の周辺における音声の録音を行い、撮影前後の時間間隔であれば撮影前後の点検対象3の周辺における音声の録音を行い、撮影後の時間間隔であれば撮影後の点検対象3の周辺における音声の録音を行うように、録音を開始する。
例えば、点検対象3の周辺における音声を録音するために、録音に指向性を持たせても良い。
録音モジュールが録音を行う構成は、一般的な録音機能を有する装置が、音声を録音する構成であれば良い。
【0045】
解像度変更モジュールは、設定された解像度に基づいて、撮影する画像の解像度を変更する(ステップS21)。
解像度変更モジュールは、カメラ設定内容により設定された解像度に基づいて、画像を撮影する際の解像度(画質)を変更する。
ここで、カメラ20は、自身が解像度の変更ができない場合、本ステップS21の処理を省略し、後述する画像の撮影処理(ステップS22)を実行する。
なお、解像度変更モジュールは、撮影した画像の解像度を変更する構成であっても良い。この場合、解像度変更モジュールは、画像の拡大・縮小、dpi(dots per inch)の変更、画像の圧縮等を行い、解像度を変更する。
【0046】
撮影モジュールは、撮影用スケジュール又は撮影指示に基づいて、点検対象3の画像を撮影する(ステップS22)。
撮影モジュールは、設定された撮影用スケジュールの時間と、現在時間とが、同一時間である場合、又は、撮影指示受付モジュールが、点検用端末10が送信する撮影指示を受け付けた場合、設定されたカメラ設定内容に基づいて、点検対象3の画像を撮影する。
撮影モジュールは、上述したカメラ20の設定の設定処理(ステップS13)の処理により設定された設定に基づいて、点検対象3の画像を撮影する。
撮影用スケジュールに限らず、撮影指示を受け付けることにより点検対象3の画像を撮影することにより、点検作業員は、予定外の事件が起きて、今すぐ点検対象3の状態を把握したい場合であっても、すぐに点検対象3の画像を閲覧することができるため、迅速に点検対象3の状態を把握することが可能となる。
【0047】
録音モジュールは、録音用スケジュールに基づいて、点検対象3の周辺における音声の録音を終了する(ステップS23)。
例えば、設定された録音用スケジュールが、撮影前の時間間隔であれば撮影前の点検対象3の周辺における音声の録音を行い、撮影前後の時間間隔であれば撮影前後の点検対象3の周辺における音声の録音を行い、撮影後の時間間隔であれば撮影後の点検対象3の周辺における音声の録音を行うように、録音を終了する。
例えば、点検対象3の周辺における音声を録音するために、録音に指向性を持たせても良い。
録音モジュールが録音を行う構成は、一般的な録音機能を有する装置が、音声を録音する構成であれば良い。
【0048】
なお、撮影モジュールが、撮影指示により点検対象3の画像の撮影を行う場合、録音モジュールは、撮影指示を取得した時点から、音声の録音を開始し、録音用スケジュールに設定された、撮影後の所定時間後に、この音声の録音を終了してもよい。すなわち、録音モジュールは、撮影指示を取得した時点から、録音用スケジュールに設定された撮影前後の所定時間までの間における点検対象3の周辺の音声を録音してもよい。
【0049】
トリミングモジュールは、設定されたトリミングする領域31に基づいて、撮影した画像をトリミングする(ステップS24)。
トリミングモジュールは、カメラ設定内容により設定されたトリミングする領域31に基づいて、
図7に示す、撮影した画像40におけるトリミングする領域41を決定する。トリミングモジュールは、設定されたトリミングする領域31と同じ場所を、撮影した画像40におけるトリミングする領域41に決定する。トリミングモジュールは、決定したトリミングする領域41をトリミングする。トリミングモジュールは、この画像40のトリミングする領域41以外を不要な領域として、削除する。トリミングモジュールは、この画像40をトリミングすることにより、トリミングする領域41のみのトリミング後の画像42(
図8参照)を生成する。
なお、トリミングモジュールは、トリミングする領域が複数設定されている場合、其々のトリミング領域をトリミングする。トリミングモジュールは、トリミングする各領域以外を画像の不要な領域として、削除する。トリミングモジュールは、トリミングした各領域の画像を其々生成する。すなわち、トリミングモジュールは、トリミングする領域が複数設定されている場合、設定されているトリミングする領域の数に応じた画像を生成する。
【0050】
通信方式切替モジュールは、待機用通信方式から送信用通信方式に切り替える(ステップS25)。
通信方式切替モジュールは、カメラ設定内容により設定された通信方式に基づいて、通信方式を、待機用通信方式から送信用通信方式に切り替える。カメラ20は、通信方式が切り替わることにより、消費電流が上昇するため、トリミング後の画像42を点検用端末10に送信することが可能となる。
そして、送信が終わった後は、送信用通信方式から待機用通信方式に切り替えてから待機する。待機用通信方式の方が、送信用通信方式よりも消費電流が低下するため、送信用通信方式のまま待機するよりも省電力となる。
【0051】
点検用データ送信モジュールは、トリミング後の画像42、録音した音声、設定情報及び状態情報を点検用データとして点検用端末10に送信する(ステップS26)。設定情報は、トリミングする領域、ファームウェアバージョン、露出調整値、フラッシュ強度、解像度等のカメラの設定に関する情報である。また、状態情報は、電池残量、電波強度、エラーログ等のカメラ20自身の状態に関する情報である。
点検用データ送信モジュールは、トリミング後の画像42、録音した音声、設定情報及び状態情報を関連付けた点検用データを、点検用端末10に送信する。
点検用データ受信モジュールは、この点検用データを受信する。点検用データ表示モジュールは、この点検用データを表示する。点検作業員は、この点検用データを閲覧することにより、遠隔点検を行うことが可能となる。
【0052】
通信方式切替モジュールは、送信用通信方式から待機用通信方式に切り替える(ステップS27)。
通信方式切替モジュールは、カメラ設定内容により設定された通信法式に基づいて、通信方式を、送信用通信方式から待機用通信方式に切り替える。カメラ20は、通信方式が切り替わることにより、消費電流が低下するため、省電力化が可能となる。
そして、送信が終わった後は、送信用通信方式から待機用通信方式に切り替えてから待機する。待機用通信方式の方が、送信用通信方式よりも消費電流が低下するため、送信用通信方式のまま待機するよりも省電力となる。
【0053】
以上が、点検用データ送信処理である。
【0054】
点検対象画像送信システム1は、上述した点検用データ送信処理の結果に基づいて、上述したカメラ設定処理により設定されたカメラ設定内容を変更することも可能である。点検用端末10は、上述したカメラ設定処理を再度実行することにより、前回設定したカメラ設定内容を変更する。点検用端末10は、点検作業員から、設定の変更の入力を受け付けることにより、カメラ設定内容を変更する。
なお、上述した点検用データ送信処理の結果に関わらず、設定されたカメラ設定内容を変更することも可能である。
【0055】
例えば、点検用端末10は、設定した撮影用スケジュールを変更する場合、上述した撮影用スケジュールの設定処理(ステップS10)を再度実行する事により、撮影用スケジュールを変更する。省電力を強める場合、撮影用スケジュールのスケジュール間隔を広げるように変更したり、点検対象3の状態把握の頻度を上げる場合、撮影用スケジュールのスケジュール間隔を狭めるように変更したりする。また点検対象3の状態把握の頻度を下げる場合、撮影用スケジュールのスケジュール間隔を広めるように変更する。
また、点検用端末10は、設定した録音用スケジュールを変更する場合、上述した録音用スケジュールの設定処理(ステップS11)を再度実行する事により、録音用スケジュールを変更する。省電力を強める場合は、録音用スケジュールのスケジュール間隔を狭めるように変更する。
また、点検用端末10は、設定した解像度を変更する場合、上述した画像の解像度の設定処理(ステップS12)を再度実行することにより、解像度を変更する。画質を向上させる必要がある場合、解像度が高くなるように変更したり、画質を低下させても問題ない場合や省電力を強める場合、解像度が低くなるように変更したりする。
また、点検用端末10は、設定したカメラ20の設定を変更する場合、上述したカメラ20の設定の設定処理(ステップS13)を再度実行することにより、設定を変更する。送信された画像の状態に応じて、フラッシュの有無、フラッシュ強度、フラッシュの自動発光のオンオフ、通常のEV値、照度が暗い時のEV値、シャッタースピード等を変更する。
また、点検用端末10は、設定した通信方式を変更する場合、上述した待機用通信方式及び送信用通信方式の設定処理(ステップS14)を再度実行することにより、通信方式を変更する。このとき、待機用通信方式と、送信用通信方式との其々を変更しても良いし、これらの組み合わせを変更しても良い。省電力を強める場合、各通信方式の電流が、最も少ない組み合わせに変更したり、送信する画像をより鮮明にする場合、送信用通信方式の電流を大きくするように変更したりする。
また、点検用端末10は、設定したトリミングする領域を変更する場合、上述したトリミングする領域の設定処理(ステップS15)を再度実行することにより、設定を変更する。省電力を強める場合、トリミングする領域を小さくして、画像容量を小さくするように変更したり、点検対象3の周辺の状況まで把握したい場合、トリミングする領域を大きくするように変更したりする。
【0056】
上述した実施形態において、点検対象3を計器のメータとして説明しているが、本発明は、点検対象3が、コンテナ、街灯、河川、動物の捕獲用の罠等であっても適用可能である。
点検対象画像送信システム1は、上述したカメラ設定処理及び点検用データ送信処理を実行し、点検対象3の画像を送信することにより、この画像に基づいて、点検作業員が、点検対象3の状態を把握する。点検対象3がコンテナである場合、点検作業員が、コンテナが満タンであるかどうかを把握する。点検対象3が街灯である場合、点検作業員が、街灯が切れているかどうかを把握する。点検対象3が河川である場合、点検作業員が、河川の水位がどの程度になっているかを把握する。点検対象3が罠である場合、点検作業員が、罠に動物が捕獲されているかどうかを把握する。点検対象3がその他の場合も同様に、点検作業員が、点検対象3に異常が有るかどうかを把握する。
【0057】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態やクラウドサービスで提供されてよい。また、プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供されてよい。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
例えば、スケジュール設定部11、撮影用スケジュール設定モジュール、録音用スケジュール設定モジュール、トリミング設定部12、トリミング設定モジュールは、点検用端末10ではなく、カメラ20が備えていてもよい。
【0059】
(1)カメラ(例えば、カメラ20)で撮影した点検対象(例えば、計器のメータ、コンテナ、街灯、河川、動物の捕獲用の罠)の画像を送信する点検対象画像送信システムであって、
前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させる撮影用スケジュールを設定するスケジュール設定部(例えば、スケジュール設定部11、撮影用スケジュール設定モジュール、録音用スケジュール設定モジュール)と、
前記カメラが撮影した前記点検対象の画像をトリミングする領域を設定するトリミング設定部(例えば、トリミング設定部12、トリミング設定モジュール)と、
設定した前記撮影用スケジュールに基づいて、前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させる撮影部(例えば、撮影部22、撮影モジュール)と、
設定した前記領域に基づいて、前記カメラに撮影させた前記点検対象の画像をトリミングさせるトリミング部(例えば、トリミング部22、トリミングモジュール)と、
前記カメラに、待機用通信方式から送信用通信方式に切り替えさせてから、トリミングした前記点検対象の画像を送信させる送信部(例えば、送信部21、点検用データ送信モジュール)と、
前記送信が終わった後、前記カメラに、前記送信用通信方式から前記待機用通信方式に切り替えさせて待機させる待機部(例えば、待機部24、通信方式切替モジュール)と、
を備える点検対象画像送信システム。
【0060】
(1)の発明によれば、点検効率を向上させることが可能となる。
【0061】
(2)前記スケジュール設定部は、前記カメラに、前記点検対象の周辺の音を録音させる録音用スケジュールを設定し、
前記撮影部は、設定した前記録音用スケジュールに基づいて、前記カメラに前記点検対象の周辺の音を録音させ、
前記送信部は、録音させた前記点検対象の周辺の音を送信させる、
(1)に記載の点検対象画像送信システム。
【0062】
(2)の発明によれば、点検時、画像だけでなく周辺の音による点検が可能となる。点検作業員や管理者は、画像だけで点検対象の状態が判断できない場合であっても、周辺の音声により、点検対象の状態を判断しやすくなる。
【0063】
(3)前記スケジュール設定部は、設定した前記録音用スケジュールを変更する、
(2)に記載の点検対象画像送信システム。
【0064】
(3)の発明によれば、録音用スケジュールを変更することで、点検効率を向上させることが可能となる。
【0065】
(4)前記スケジュール設定部は、設定した前記撮影用スケジュールを変更し、
前記トリミング設定部は、設定した前記領域を変更し、
前記撮影部は、変更した前記撮影用スケジュールに基づいて、前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させ、
前記トリミング部は、変更した前記領域に基づいて、前記カメラに撮影させた前記点検対象の画像をトリミングさせる、
(1)に記載の点検対象画像送信システム。
【0066】
(4)の発明によれば、撮影用スケジュールとトリミングする領域と変更することで、点検効率を向上させることが可能となる。
【0067】
(5)前記トリミング設定部は、前記点検対象の画像の解像度を設定し、
前記トリミング部は、前記点検対象の画像を、設定した前記解像度でトリミングさせる、
(1)に記載の点検対象画像送信システム。
【0068】
(5)の発明によれば、必要な解像度に設定することにより、送信時の消費電力を低下させることが可能となる。
【0069】
(6)任意のタイミングで、前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させる指示を受け付ける受付部(例えば、撮影指示受付モジュール)と、
を更に備え、
前記撮影部は、前記指示を受け付けたタイミングで、前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させる、
(1)に記載の点検対象画像送信システム。
【0070】
(6)の発明によれば、予定外の事件が発生した場合であっても、すぐに点検対象の状態を把握することが可能となる。
【0071】
(7)前記カメラを待機させる時の待機用通信方式と、トリミングした前記点検対象の画像を送信させる送信用通信方式と、の組み合わせを選択する選択手段と、
を更に備える(1)に記載の点検対象画像送信システム。
【0072】
(7)の発明によれば、待機用通信方式と送信用通信方式との組み合わせを選択することで、点検効率を向上させることが可能となる。
【0073】
(8)前記送信部は、前記カメラに、待機用通信方式から送信用通信方式に切り替えさせてから、トリミングした前記点検対象の画像、当該カメラの設定情報および状態情報を送信し、
前記待機部は、トリミングした前記点検対象の画像、前記カメラの設定情報および状態情報の送信が終わった後、当該カメラに、前記送信用通信方式から前記待機用通信方式に切り替えさせて待機させる、
(1)に記載の点検対象画像送信システム。
【0074】
(8)の発明によれば、カメラの設定情報および状態情報を送信することで、点検効率を向上させることが可能となる。
【0075】
(9)カメラで撮影した点検対象の画像を送信するコンピュータが実行する点検対象画像送信方法であって、
前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させる撮影用スケジュールを設定するステップ(例えば、ステップS10)と、
前記カメラが撮影した前記点検対象の画像をトリミングする領域を設定するステップ(例えば、ステップS15)と、
設定した前記撮影用スケジュールに基づいて、前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させるステップ(例えば、ステップS22)と、
設定した前記領域に基づいて、前記カメラに撮影させた前記点検対象の画像をトリミングさせるステップ(例えば、ステップS24)と、
前記カメラに、待機用通信方式から送信用通信方式に切り替えさせてから、トリミングした前記点検対象の画像を送信させるステップ(例えば、ステップS25,S26)と、
前記送信が終わった後、前記カメラに、前記送信用通信方式から前記待機用通信方式に切り替えさせて待機させるステップ(例えば、ステップS27)と、
を備える点検対象画像送信方法。
【0076】
(10)カメラで撮影した点検対象の画像を送信するコンピュータに、
前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させる撮影用スケジュールを設定するステップ(例えば、ステップS10)、
前記カメラが撮影した前記点検対象の画像をトリミングする領域を設定するステップ(例えば、ステップS15)、
設定した前記撮影用スケジュールに基づいて、前記カメラに前記点検対象の画像を撮影させるステップ(例えば、ステップS22)、
設定した前記領域に基づいて、前記カメラに撮影させた前記点検対象の画像をトリミングさせるステップ(例えば、ステップS24)、
前記カメラに、待機用通信方式から送信用通信方式に切り替えさせてから、トリミングした前記点検対象の画像を送信させるステップ(例えば、ステップS25,S26)、
前記送信が終わった後、前記カメラに、前記送信用通信方式から前記待機用通信方式に切り替えさせて待機させるステップ(例えば、ステップS27)、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【符号の説明】
【0077】
1 点検対象画像送信システム
3 点検対象
9 ネットワーク
10 点検用端末
11 スケジュール設定部
12 トリミング設定部
20 カメラ
21 送信部
22 撮影部
23 トリミング部
24 待機部
30,40 点検対象の画像
31,41 トリミングする領域
42 トリミング後の画像