(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】照明装置制御システム、及び、照明装置制御方法
(51)【国際特許分類】
H05B 47/195 20200101AFI20231024BHJP
H05B 47/18 20200101ALI20231024BHJP
【FI】
H05B47/195
H05B47/18
(21)【出願番号】P 2023531098
(86)(22)【出願日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 JP2023014915
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】517285932
【氏名又は名称】株式会社ベステート
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】田原 悟郎
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-158009(JP,A)
【文献】特開2013-77118(JP,A)
【文献】特開2022-46208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントにおける複数の観客がそれぞれ携帯する照明装置を制御する照明装置制御システムであって、
サーバと、
前記観客が携帯しており前記サーバ及び前記照明装置とそれぞれ通信可能な移動通信端末と、
前記照明装置の発光指示を無線信号により送信する発光指示装置と、
を備えた
照明装置制御システムにおいて、
前記サーバは、
前記観客の座席の位置ごとに、前記照明装置の発光の態様を規定する演出情報を予め格納しており、前記移動通信端末からの要求に応じて前記座席の位置に紐づく前記演出情報を送信可能に構成され、
前記移動通信端末は、
前記座席の位置が入力されることで、前記サーバへの前記演出情報の要求として、前記入力された座席の位置を前記サーバに送信する座席位置送信部と、
前記要求に応じて前記サーバから送信された前記演出情報を受信した場合、前記受信した前記演出情報を前記照明装置に送信する演出情報送信部と、
を備え、
前記照明装置は、
前記移動通信端末からの前記演出情報を近距離無線通信により受信する演出情報受信部と、
前記近距離無線通信にて前記移動通信端末から送信された前記演出情報を受信した場合、前記受信した前記演出情報にて規定された発光の態様に従うよう、前記発光指示装置からの前記発光指示を受信し、前記発光指示に応じて前記照明装置の発光を制御する発光制御部と、
を備えた
照明装置制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置制御システムにおいて、
前記移動通信端末は、
前記座席の位置に対応する情報が光学的に読み取られることで、前記座席の位置を入力する座席位置入力部
を備えた
照明装置制御システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の照明装置制御システムにおいて、
前記発光指示装置は、
前記無線信号として赤外線を送信可能に構成された
照明装置制御システム。
【請求項4】
イベントにおける複数の観客がそれぞれ携帯する照明装置を制御する照明装置制御方法であって、
サーバに、前記観客の座席の位置ごとに、前記照明装置の発光の態様を規定する演出情報を予め格納する第1ステップと、
前記観客が携帯しており前記サーバ及び前記照明装置とそれぞれ通信可能な移動通信端末に、前記座席の位置を入力し、前記サーバへの前記演出情報の要求として、前記入力された座席の位置を前記移動通信端末から前記サーバに送信する第2ステップと、
前記移動通信端末からの要求に応じて、前記座席の位置に紐づく前記演出情報を前記サーバから前記移動通信端末に送信する第3ステップと、
前記要求に応じて前記サーバから送信された前記演出情報を受信し、前記受信した前記演出情報を前記移動通信端末から前記照明装置に送信する第4ステップと、
前記照明装置にて、前記移動通信端末からの前記演出情報を近距離無線通信により受信する第5ステップと、
前記受信した前記演出情報にて規定された発光の態様に従うよう、前記照明装置の発光指示を無線信号により送信する発光指示装置からの前記発光指示を受信し、前記発光指示に応じて前記照明装置の発光を制御する第6ステップと、
を備えた
照明装置制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベントにおける複数の観客がそれぞれ携帯する照明装置を制御するためのシステム、及び、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、演出用の照明を制御する照明システムが知られている。特許文献1には、照明装置と、無線通信を利用して照明装置の発光を制御する制御装置と、を備えた照明システムが開示されている。当該制御装置は、通信帯域が空いている時間帯に、演出パターンのデータを照明装置に配信する。配信データは、照明装置にて記憶される。また、当該制御装置は、データ配信後にデータ量が小さい演出指示情報を送信し、照明装置に、演出パターンのデータを読み出させて再生させる。これにより、通信帯域が圧迫されることを、抑制できるようになっている。
【0003】
また、特許文献2には、遊技場の各遊技機に配置されたNFC(Near Field Communication)シールと、ユーザ端末と、情報管理サーバと、情報提供サーバと、を備えた情報処理システムが開示されている。ユーザ端末は、NFCシールから識別情報と連絡先URLを読み取り、情報管理サーバに送信する。情報管理サーバは、識別情報に紐づいた各遊技機に対応する複数情報のURL群を取得し、当該URL群を埋め込んだアイコンを生成し、当該識別情報を読み取ったユーザ端末にアイコン画面を送信する。ユーザ端末では、表示したアイコン画面から選択したアイコンに対応する情報が、URLを用いて、情報提供サーバからユーザに提供される。なお、提供される情報は、画像、動画等である。これにより、ユーザ端末により読み取られる情報に紐づいた複数の異なる情報を、ユーザに効率的に提供することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2023-7645号公報
【文献】特開2023-26282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシステムでは、照明装置の発光制御が可能であるものの、複数の観客が携帯する照明装置にて演出を実行する制御は想定されていない。この種の照明装置が用いられる場合には、座席の位置に対応して発光の態様を制御するための演出情報を、照明装置に格納しておくことが好ましい。特許文献2のシステムでは、近距離無線通信を用いて、ユーザ端末へ効率的に情報提供することが可能であるものの、照明装置への情報の格納は想定されていない。
【0006】
複数の観客が携帯する照明装置に、演出情報をそれぞれ格納する場合には、例えば、イベント会場における入口にて、照明装置に演出情報を逐一格納させる手段が考えられる。しかしながら、この手段では、時間を要し手間がかかるといった問題があった。このような事情に鑑み、本発明の課題は、イベントにおける複数の観客がそれぞれ携帯する照明装置を制御するシステム及び方法であって、迅速かつ手間なく照明装置に演出情報を格納できるシステム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明装置制御システムは、イベントにおける複数の観客がそれぞれ携帯する照明装置を制御するシステムであって、サーバと、前記観客が携帯しており前記サーバ及び前記照明装置とそれぞれ通信可能な移動通信端末と、前記照明装置の発光指示を無線信号により送信する発光指示装置と、を備えるシステムである。前記サーバは、前記観客の座席の位置ごとに、前記照明装置の発光の態様を規定する演出情報を予め格納しており、前記移動通信端末からの要求に応じて前記座席の位置に紐づく前記演出情報を送信可能に構成される。前記移動通信端末は、前記座席の位置が入力されることで、前記サーバへの前記演出情報の要求として、前記入力された座席の位置を前記サーバに送信する座席位置送信部と、前記要求に応じて前記サーバから送信された前記演出情報を受信した場合、前記受信した前記演出情報を前記照明装置に送信する演出情報送信部と、を備える。前記照明装置は、前記移動通信端末からの前記演出情報を近距離無線通信により受信する演出情報受信部と、前記近距離無線通信にて前記移動通信端末から送信された前記演出情報を受信した場合、前記受信した前記演出情報にて規定された発光の態様に従うよう、前記発光指示装置からの前記発光指示を受信し、前記発光指示に応じて前記照明装置の発光を制御する発光制御部と、を備える。
【0008】
本発明の照明装置制御システムにおいて、前記移動通信端末は、前記座席の位置に対応する情報が光学的に読み取られることで、前記座席の位置を入力する座席位置入力部を備える。
【0009】
本発明の照明装置制御システムにおいて、前記発光指示装置は、前記無線信号として赤外線を送信可能に構成される。
【0010】
本発明の照明装置制御方法は、イベントにおける複数の観客がそれぞれ携帯する照明装置を制御する方法であって、サーバに、前記観客の座席の位置ごとに、前記照明装置の発光の態様を規定する演出情報を予め格納する第1ステップと、前記観客が携帯しており前記サーバ及び前記照明装置とそれぞれ通信可能な移動通信端末に、前記座席の位置を入力し、前記サーバへの前記演出情報の要求として、前記入力された座席の位置を前記移動通信端末から前記サーバに送信する第2ステップと、前記移動通信端末からの要求に応じて、前記座席の位置に紐づく前記演出情報を前記サーバから前記移動通信端末に送信する第3ステップと、前記要求に応じて前記サーバから送信された前記演出情報を受信し、前記受信した前記演出情報を前記移動通信端末から前記照明装置に送信する第4ステップと、前記照明装置にて、前記移動通信端末からの前記演出情報を近距離無線通信により受信する第5ステップと、前記受信した前記演出情報にて規定された発光の態様に従うよう、前記照明装置の発光指示を無線信号により送信する発光指示装置からの前記発光指示を受信し、前記発光指示に応じて前記照明装置の発光を制御する第6ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、迅速かつ手間なく照明装置に演出情報を格納できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る照明装置制御システムの全体概略図である。
【
図2】
図1に示すサーバ、移動通信端末、及び、照明装置の機能ブロック図である。
【
図3】
図1に示す移動通信端末にて座席の位置情報を入力する際に、移動通信端末のモニタに表示される画面の一例を表す図である。
【
図4】
図1に示す移動通信端末にて座席の位置情報を入力する際に、移動通信端末のモニタに表示される画面の他の例を表す図である。
【
図5】
図1に示す照明装置制御システムの作動の一例を表すフローチャートである。
【
図6】
図1に示す移動通信端末にて座席の位置情報を入力する際に、移動通信端末のモニタに表示される画面の他の例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る照明装置制御システム100は、イベントにおける複数の観客Aがそれぞれ携帯する照明装置30を制御するシステムである。イベントにおいて、各観客Aは、それぞれ座席Sが割り当てられているものとする。照明装置制御システム100は、サーバ10と、移動通信端末20と、照明装置30と、発光指示装置40と、を備えている。
【0014】
移動通信端末20は、照明装置30とともに観客に携帯されているものであり、サーバ10及び照明装置30と、それぞれ通信可能となっている。移動通信端末20は、例えば、カメラ付きスマートフォン等であり、情報通信ネットワークNを介して、サーバ10と接続されている。照明装置30は、例えば、観客により把持可能なペンライト等であり、近距離無線通信にて、移動通信20と接続可能になっている。
【0015】
本実施形態では、イベントにおいて、複数の座席Sにそれぞれ位置している複数の観客Aにより、複数の照明装置30がそれぞれ把持される。照明装置30においては、演出情報にて規定した発光の態様に従うよう、発光指示装置40の発光指示に応じて、発光が制御されるようになっている。
【0016】
発光指示装置40は、システム主装置Mを介して、DMX制御装置Dと接続されている。DMX制御装置Dは、例えば、DMX512等の通信規格にて、照明装置30の調光・調色を制御する信号をシステム主装置Mに送出する。DMX制御装置Dにおいては、例えば、1チャネルあたり256段階の制御が可能となっており、1ケーブルあたり512チャネルの信号送出が可能となっている。システム主装置Mは、DMX制御装置Dから送出される制御信号を対応する赤外線信号に変換し、当該赤外線信号を発光指示装置40に送出する。
【0017】
発光指示装置40は、システム主装置Mから送出される赤外線信号に応じて、赤外線を送信する。発光指示装置40は、照明装置30から離間した位置に、複数台(例えば、30~40台)設置されてもよく、座席Sに位置する複数の観客Aがそれぞれ把持する各照明装置30に向けて、様々な方位から赤外線が送信されるように構成されてもよい。このように、発光指示装置40は、照明装置30の発光指示を無線信号により送信し、無線信号として赤外線を送信可能に構成されている。
【0018】
図2に示すように、サーバ10は、通信装置11、及び、記憶装置12を備えている。通信装置11は、電気回路、CPU等から構成されており、例えば、IEEE802シリーズに規定される通信規格等にて情報通信可能となっている。通信装置11は、情報通信ネットワークNを介して移動通信端末20からの情報を受信し、記憶装置12に格納されている演出情報を抽出して情報通信ネットワークNへ送信する。
【0019】
記憶装置12は、電気回路、メモリ等から構成されており、例えば、インターフェースを介して入力される情報を格納可能となっている。記憶装置12は、観客の座席の位置ごとに、照明装置30の発光の態様を規定する演出情報を予め格納しておくことが可能となっている。サーバ10では、座席の位置に紐づく演出情報が入力されると、記憶装置12にて、上述のように演出情報が格納される。
【0020】
通信装置11では、移動通信端末20の座席の位置情報が受信されると、移動通信端末20からの要求があったとして、以下のように情報通信が実行される。通信装置11は、移動通信端末20からの要求に応じて、記憶装置12にて格納されている演出情報のうち、受信した座席の位置に紐づく演出情報を抽出し、当該抽出された演出情報を移動通信端末20に送信する。
【0021】
移動通信端末20は、第1通信装置21、第2通信装置22、座席位置入力部23、座席位置送信部24、及び、演出情報送信部25を備えている。これらは、電気回路、CPU等から構成されている。第1通信装置21は、例えば、IEEE802シリーズに規定される通信規格等にて情報通信可能となっている。第1通信装置21は、座席の位置が入力されると、当該入力された座席の位置情報を情報通信ネットワークNへ送信し、情報通信ネットワークNからの演出情報を受信する。
【0022】
第2通信装置22は、例えば、NFC(Near Field Communication)、RFID(Radio Frequency Identification)等の通信規格にて情報通信可能となっている。第2通信装置22は、照明装置30の演出情報受信部32に近づけられたときに、第1通信装置21にて受信した演出情報を照明装置30に送信する。
【0023】
座席位置入力部23は、座席の位置に対応する情報が光学的に読み取られることで、座席の位置を入力する。情報の読み取りは、例えば、移動通信端末20のカメラ等にて撮像することで、達成されてもよい。座席の位置に対応する情報としては、例えば、イベントのチケットに印刷された識別コード(QRコード(登録商標)、バーコード等)、座席の位置に割り当てられた数列・文字列等があげられる。識別コードが用いられる場合、識別コードに座席の位置に対応する情報が、予め格納される。数列・文字列等が読み取られる場合、OCR(Optical Character Recognition)処理が、実行されるようにしてもよい。
【0024】
図3に示すように、例えば、移動通信端末20において、アプリケーションプログラムを起動させることで、移動通信端末20のモニタにカメラ入力画面20aを表示させて、観客による操作にて、座席の位置を読み取るようにしてもよい。カメラ入力画面20aには、例えば、撮像表示部20b、及び、読取ボタン20cが、設けられていてもよい。この場合、上述した識別コードや数列・文字列等に対し、移動通信端末20のカメラをかざして、識別コードや数列・文字列等を撮像表示部20bに表示させる。この状態において、読取ボタン20cを操作することで、座席の位置を読み取るようにしてもよい。
【0025】
なお、本実施形態では、座席の位置に対応する情報が光学的に読み取られることで、座席の位置が入力されるようになっている。これに代えて、
図4に示すように、例えば、移動通信端末20において、アプリケーションプログラムを起動させることで、移動通信端末20のモニタに座席入力画面20dを表示させて、観客による操作にて、座席の位置を入力するようにしてもよい。座席入力画面20dには、例えば、複数の座席候補表示部20e、及び、登録ボタン20fが、設けられていてもよい。この場合、複数の座席候補表示部20eを表示させるため、予め、座席入力画面20dにて、座席の位置を絞り込むための操作が、適宜実行されると好適である。座席候補表示部20eには、異なる座席の位置(例えば、通路・列・番号等)が、候補として表示されるとともに、右端にチェックボックス20e1が表示される。複数の候補のうち、該当する座席の位置に対応するチェックボックス20e1にチェックを入力する。この状態において、登録ボタン20fを操作することで、座席の位置を入力するようにしてもよい。また、上述のように、観客による操作にて座席位置を入力する場合、
図4に示す座席入力画面20dの表示に代えて、例えば、
図6に示す他の態様の座席入力画面20gが表示されてもよい。座席入力画面20gには、例えば、座席番号入力部20h、及び、書込ボタン20iが、設けられていてもよい。この場合、観客による操作にて、座席番号入力部20hに、座席の位置に対応する文字列及び数列(例えば、通路・列・番号等)を直接入力する。入力した後、書込ボタン20iを操作することで、座席の位置を入力するようにしてもよい。
【0026】
図2に示すように、座席位置送信部24は、座席位置入力部23にて座席の位置が入力されることで、サーバ10への演出情報の要求として、入力された座席の位置を第1通信装置21からサーバ10に送信する。
【0027】
演出情報送信部25は、要求に応じてサーバ10から送信された演出情報を第1通信装置21にて受信した場合、受信した演出情報を、第2通信装置22から照明装置30の演出情報受信部32に送信する。演出情報送信部25にて演出情報を送信する場合、第1通信装置21にて受信した演出情報を、移動通信端末20の記憶装置に一旦格納しておき、当該記憶装置から抽出して送信するようにしてもよい。
【0028】
照明装置30は、LED(Light Emitting Diode)31を備えており、LED31にて可視光が発生可能となっている。LED31においては、調光・調色が可能となっている。また、照明装置30は、演出情報受信部32、演出情報記憶部33、発光指示受信部34、及び、発光制御部35を備えている。演出情報受信部32、発光指示受信部34、及び、発光制御部35は、電気回路、CPU等から構成されている。
【0029】
演出情報受信部32は、移動通信端末20からの演出情報を、近距離無線通信により受信する。演出情報受信部32は、例えば、NFCタグ、RFIDタグ等を備えており、移動通信端末20の第2通信装置22に近づけられたときに、NFCタグ、RFIDタグ等を介して、移動通信端末20から演出情報を非接触で受信するようになっていてもよい。非接触の近距離無線通信における方式は、例えば、静電結合方式、電磁結合方式、電磁誘導方式、電波方式、光通信方式等であってもよい。
【0030】
演出情報記憶装置33は、電気回路、メモリ等から構成されており、例えば、NFCタグ、RFIDタグ等を介して受信される演出情報を格納可能となっている。照明装置30では、演出情報が受信されると、演出情報記憶装置33にて、上述のように演出情報が格納される。
【0031】
発光指示受信部34は、発光指示装置40からの発光指示を、赤外線無線通信により受信する。発光指示受信部34は、例えば、赤外線受信モジュールを備えており、発光指示装置40から100m程度離間した場合であっても、赤外線受信モジュールを介して、発光指示装置40からの発光指示を受信するようになっていてもよい。
【0032】
発光制御部35は、近距離無線通信にて移動通信端末20から送信された演出情報を受信した場合、受信した演出情報にて規定された発光の態様に従うよう、発光指示受信部34にて発光指示装置40からの発光指示を受信し、発光指示に応じて照明装置30の発光を制御する。より具体的には、発光制御部35は、上述のように演出情報記憶装置33に演出情報が格納されたと判定すると、発光指示受信部34での発光指示の受信を許容する。この状態において、発光制御部35は、発光指示装置40からの発光指示を受信したと判定すると、当該発光指示に応じて、演出情報記憶装置33から格納された演出情報を読み出す。そして、発光制御部35は、当該演出情報にて規定された発光の態様に従うよう、LED31の発光を制御する。
【0033】
図5は、照明装置制御システム100の実際の作動の一例を示すフローチャートである。照明装置30の制御を実行する場合、ステップ50から開始し、サーバ10にて、座席の位置に紐づく演出情報を入力して、記憶装置12に座席位置ごとの演出情報を予め格納する。ステップ50の処理は、運営者等によりイベント開始前に実行されるものとする。
【0034】
次に、ステップ51に進み、移動通信端末20にて、座席位置入力部23により座席の位置を入力する(
図3、
図4を参照)。ステップ51の処理の実行前には、複数の観客が、移動通信端末20、及び、照明装置30をそれぞれ携帯しているものとする。また、複数の観客が、イベント会場の座席、入口等、何れの場所に位置していてもよい。ステップ51の処理は、複数の観客により、それぞれ異なるタイミング、異なる位置で実行されてもよい。
【0035】
次に、ステップ52に進み、移動通信端末20からサーバ10へ、第1通信装置21及び座席位置送信部24により、情報通信ネットワークNを介して座席の位置情報を送信する。送信される座席の位置情報は、ステップ51にて入力されたものである。ステップ52の処理は、サーバ10への演出情報の要求としても機能する。
【0036】
次に、ステップ53に進み、サーバ10にて、通信装置11により、座席の位置情報を受信する。受信される座席の位置情報は、ステップ52にて送信されたものである。座席の位置情報の受信により、移動通信端末20から演出情報の要求があったものとして判定される。
【0037】
次に、ステップ54に進み、サーバ10にて、通信装置11により、移動通信端末20からの要求に応じて、記憶装置12にて格納されている演出情報のうち、受信した座席の位置に紐づく演出情報を抽出し、当該抽出された演出情報を移動通信端末20に送信する。当該演出情報は、情報通信ネットワークNを介して送信される。
【0038】
次に、ステップ55に進み、移動通信端末20にて、第1通信装置21により演出情報を受信する。受信される演出情報は、ステップ54にて送信されたものである。
【0039】
次に、ステップ56に進み、移動通信端末20から照明装置30へ、第2通信装置22及び演出情報送信部25により、近距離無線通信にて演出情報を送信する。送信される演出情報は、ステップ55にて受信されたものである。
【0040】
次に、ステップ57に進み、照明装置30にて、演出情報受信部32により、近距離無線通信にて演出情報を受信する。受信される演出情報は、ステップ56にて送信されたものである。当該演出情報は、受信されると演出情報記憶部33に直ちに格納される。演出情報記憶装置33に演出情報が格納されたと判定され、発光指示受信部34での発光指示の受信が、許容される。
【0041】
次に、ステップ58に進み、発光指示装置40から照明装置30へ、赤外線無線通信にて発光指示を送信する。当該発光指示は、発光指示受信部34により受信される。
【0042】
次に、ステップ59に進み、照明装置30にて、発光制御部35により、ステップ58の発光指示に応じて、演出情報記憶装置33から格納された演出情報を読み出し、当該演出情報にて規定された発光の態様に従うよう、LED31の発光を制御する。
【0043】
ステップ50~59の処理は、本発明に係る照明装置制御方法にも相当する。照明装置制御方法は、イベントにおける複数の観客がそれぞれ携帯する照明装置30を制御する方法であって、第1~第6ステップを備えている。
【0044】
第1ステップは、サーバ10に、観客の座席の位置ごとに、照明装置30の発光の態様を規定する演出情報を予め格納する。第2ステップは、観客が携帯しておりサーバ10及び照明装置30とそれぞれ通信可能な移動通信端末20に、座席の位置を入力し、サーバ10への演出情報の要求として、入力された座席の位置を移動通信端末20からサーバ10に送信する。第3ステップは、移動通信端末20からの要求に応じて、座席の位置に紐づく演出情報をサーバ10から移動通信端末20に送信する。第4ステップは、要求に応じてサーバ10から送信された演出情報を受信し、受信した演出情報を移動通信端末20から照明装置30に送信する。第5ステップは、照明装置30にて、移動通信端末20からの演出情報を近距離無線通信により受信する。第6ステップは、受信した演出情報にて規定された発光の態様に従うよう、照明装置30の発光指示を無線信号により送信する発光指示装置40からの発光指示を受信し、発光指示に応じて照明装置30の発光を制御する。
【0045】
従って、ステップ50は、照明装置制御方法の第1ステップに対応している。ステップ51,52は、照明装置制御方法の第2ステップに対応している。ステップ54は、照明装置制御方法の第3ステップに対応している。ステップ55,56は、照明装置制御方法の第4ステップに対応している。ステップ57は、照明装置制御方法の第5ステップに対応している。ステップ59は、照明装置制御方法の第6ステップに対応している。
【0046】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る照明装置制御システム100は、イベントにおける複数の観客がそれぞれ携帯する照明装置30を制御するシステムであって、サーバ10と、観客が携帯しておりサーバ10及び照明装置30とそれぞれ通信可能な移動通信端末20と、照明装置30の発光指示を無線信号により送信する発光指示装置40と、を備える。
【0047】
サーバ10は、観客の座席の位置ごとに、照明装置30の発光の態様を規定する演出情報を予め格納しており、移動通信端末20からの要求に応じて座席の位置に紐づく演出情報を送信可能に構成される。移動通信端末20は、座席の位置が入力されることで、サーバ10への演出情報の要求として、入力された座席の位置をサーバ10に送信する座席位置送信部24と、要求に応じてサーバ10から送信された演出情報を受信した場合、受信した演出情報を照明装置30に送信する演出情報送信部25と、を備える。照明装置30は、移動通信端末20からの演出情報を近距離無線通信により受信する演出情報受信部32と、近距離無線通信にて移動通信端末20から送信された演出情報を受信した場合、受信した演出情報にて規定された発光の態様に従うよう、発光指示装置40からの発光指示を受信し、発光指示に応じて照明装置30の発光を制御する発光制御部35と、
を備える。
【0048】
上記構成によれば、移動通信端末20からサーバ10に対し、座席の位置情報を送信することで、移動通信端末20にて、座席の位置に対応する演出情報をサーバ10から容易に取得できる。移動通信端末20にて取得した演出情報を、近距離無線通信を利用して照明装置30に送信し、照明装置30に容易に格納できる。複数の観客は、移動通信端末20及び照明装置30を携帯しておくことで、場所や時間を問わず、個別に上記のプロセスを実行できる。このため、例えば、イベント会場における入口にて、照明装置に演出情報を逐一格納させていた場合に比べ、迅速かつ手間なく照明装置30に演出情報を格納できる。
【0049】
上記実施形態では特に、移動通信端末20は、座席の位置に対応する情報が光学的に読み取られることで、座席の位置を入力する座席位置入力部23を備える。これによれば、座席の位置情報の入力ミスを抑制でき、座席の位置情報を正確かつ容易に送信できる。
【0050】
上記実施形態では特に、発光指示装置40は、無線信号として赤外線を送信可能に構成される。これによれば、比較的安価な赤外線無線通信のデバイス(発光指示装置40の送信モジュール、及び、照明装置30の受信モジュール)を用いることができ、システム全体としてコストを抑制できる。また、赤外線の利用により、他波長の電波等への干渉を抑制でき、電波法の規制にとらわれずシステムを構築できる。また、赤外線の利用により、通信時のラグも抑制できる。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の実施形態に係る照明装置制御システム100(照明装置制御方法)は、イベントにおける照明装置の演出に利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10…サーバ、11…通信装置、12…記憶装置、20…移動通信端末、21…第1通信装置、22…第2通信装置、23…座席位置入力部、24…座席位置送信部、25…演出情報送信部、30…照明装置、31…LED、32…演出情報受信部、33…演出情報記憶部、34…発光指示受信部、35…発光制御部、40…発光指示装置、100…照明装置制御システム
【要約】
照明装置制御システム(100)は、サーバ(10)と、移動通信端末(20)と、照明装置(30)の発光指示を無線信号により送信する発光指示装置(40)と、を備える。サーバ(10)は、観客の座席の位置ごとに発光の態様を規定する演出情報を予め格納しており、移動通信端末(20)からの要求に応じて座席の位置に紐づく演出情報を送信可能に構成される。移動通信端末(20)は、座席の位置をサーバ(10)に送信する座席位置送信部(24)と、サーバ(10)からの演出情報を照明装置(30)に送信する演出情報送信部(25)と、を備える。照明装置(30)は、移動通信端末(20)からの演出情報を近距離無線通信により受信する演出情報受信部(32)と、演出情報に従うよう発光指示装置(40)からの発光指示を受信し、発光指示に応じて照明装置(30)の発光を制御する発光制御部(35)と、を備える。