(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】電力変換装置及び試験システム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20231024BHJP
【FI】
H02M7/48 M
(21)【出願番号】P 2021022609
(22)【出願日】2021-02-16
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】野村 純一
(72)【発明者】
【氏名】松岡 祐司
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-143761(JP,A)
【文献】特開2015-220785(JP,A)
【文献】特開2011-193615(JP,A)
【文献】特開2003-111432(JP,A)
【文献】特開2008-043189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチング素子を有し、前記複数のスイッチング素子のスイッチングにより、交流電力から直流電力への変換及び直流電力から交流電力への変換の少なくとも一方を行う変換器と、
前記変換器を駆動する駆動回路と、
前記変換器の前記複数のスイッチング素子のうちのいずれかのスイッチング素子と接続され、前記スイッチング素子の電圧を基に、前記スイッチング素子がオン状態及びオフ状態のどちらの状態にあるかを検出する検出回路と、
前記変換器の直流側に接続され、前記変換器の直流電力を基に、前記駆動回路及び前記検出回路の電源を生成し、生成した電源を前記駆動回路及び前記検出回路に供給することにより、前記駆動回路及び前記検出回路を動作させる給電回路と、
試験用電源の接続部と着脱可能に接続され、前記試験用電源の接続部と接続された状態において、前記試験用電源から供給される直流電力を前記給電回路に入力するとともに、前記変換器の直流側を短絡させる被接続部と、
を備えた電力変換装置。
【請求項2】
前記被接続部が前記試験用電源の接続部と接続された状態において、前記変換器の直流側を短絡させつつ、前記試験用電源の短絡を抑制する整流素子をさらに備えた請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記整流素子は、前記変換器の直流の高電位側の端子と前記給電回路の高電位側の入力端子との間に設けられ、前記変換器から前記給電回路に向かう方向に電流の流れを整流し、
前記試験用電源は、前記接続部を有するとともに、前記変換器の直流電力に相当する直流電力を出力する電源本体をさらに有し、
前記試験用電源の接続部は、
前記電源本体の正極端子と接続された第1端子と、
前記電源本体の負極端子と接続された第2端子と、
前記第2端子と接続された第3端子と、
を有し、
前記被接続部は、
前記整流素子と前記給電回路との間に接続された第1端子と、
前記給電回路の低電位側の入力端子と接続された第2端子と、
前記変換器の直流の高電位側の前記端子と前記整流素子との間に接続された第3端子と、
を有し、
前記被接続部は、前記試験用電源の前記接続部と機械的に着脱可能に接続され、前記接続部と機械的に接続された状態において、前記被接続部の前記第1端子、前記第2端子、前記第3端子のそれぞれを前記接続部の第1端子、前記第2端子、前記第3端子のそれぞれと電気的に接続することにより、前記試験用電源から供給される直流電力を前記給電回路に入力するとともに、前記変換器の直流側を短絡させ、かつ前記試験用電源の短絡を前記整流素子で抑制する請求項2記載の電力変換装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の電力変換装置と、
前記駆動回路の動作確認の際に、前記電力変換装置と接続され、前記変換器の直流電力に相当する電力を前記給電回路に供給する試験用電源と、
を備えた試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力変換装置及びその試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
交流電力から直流電力への変換及び直流電力から交流電力への変換の少なくとも一方を行う変換器と、変換器を駆動するための駆動回路と、駆動回路に電源を供給する給電回路と、を備えた電力変換装置が知られている。
【0003】
変換器は、複数のスイッチング素子を有し、複数のスイッチング素子のスイッチングにより、電力の変換を行う。駆動回路は、複数のスイッチング素子のスイッチングを駆動する。給電回路は、変換器の直流電力を基に、駆動回路用の電源を生成し、生成した電源を駆動回路に供給することにより、駆動回路を動作させる。
【0004】
こうした電力変換装置において、変換器の直流電力がない状態で、駆動回路の動作を確認する場合がある。例えば、駆動回路を初めて動作させる場合、あるいは駆動回路の修理や点検の場合などに、上記のように、変換器に直流電力がない状態で、駆動回路の動作の確認が行われる。なお、変換器に直流電力がない状態とは、より詳しくは、外部から変換器への直流電力の供給がない状態、又は変換器から直流電力が出力されていない状態である。
【0005】
このように、変換器に直流電力がない状態で、駆動回路の動作を確認する場合には、給電回路に試験用電源を接続し、変換器の直流電力に相当する電力を試験用電源から給電回路に供給することにより、駆動回路の動作の確認が行われる。
【0006】
また、上記のような電力変換装置において、検出回路を設ける場合がある。検出回路は、変換器のスイッチング素子の主端子間の電圧を検出する。スイッチング素子がオフ状態である場合には、スイッチング素子の主端子間に所定の電圧が生じる。一方、スイッチング素子がオン状態である場合には、スイッチング素子の主端子間の電圧が実質的にゼロになる。従って、検出回路を設けることにより、スイッチング素子が実際にオン状態となっているかオフ状態となっているかを検出することができる。
【0007】
しかしながら、検出回路を設けると、変換器に直流電力がない状態で、駆動回路の動作を確認する際に、検出回路がスイッチング素子の主端子間に印加する電圧により、変換器の直流側を充電してしまう可能性がある。
【0008】
このため、検出回路を設けた場合には、変換器に直流電力がない状態で、駆動回路の動作を確認する際に、変換器の直流側を予め短絡させておくことが行われている。これにより、検出回路による変換器の直流側の充電を抑制し、駆動回路の動作確認をより安全に行うことができる。
【0009】
変換器の直流側の短絡は、変換器の直流側に専用の配線を接続することによって行われている。しかしながら、このように短絡専用の配線を接続する構成では、試験を行う際に、配線を付け忘れてしまったり、試験終了後に変換器を実際に動作させる際に、配線を外し忘れてしまったりする可能性が生じる。配線を付け忘れてしまうと、前述のように、変換器の直流側を充電してしまう可能性が生じる。そして、配線を外し忘れてしまうと、直流側を短絡させた状態で変換器を動作させてしまい、機器の故障などの要因となってしまうことが懸念される。
【0010】
このため、電力変換装置では、検出回路を設けた場合においても、変換器の直流側を短絡させる配線の付け忘れや外し忘れを抑制し、より簡単かつ安全に、変換器に直流電力がない状態での、駆動回路の動作の確認を行えるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の実施形態は、より簡単かつ安全に、変換器に直流電力がない状態での、駆動回路の動作の確認を行うことができる電力変換装置及び試験システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施形態によれば、複数のスイッチング素子を有し、前記複数のスイッチング素子のスイッチングにより、交流電力から直流電力への変換及び直流電力から交流電力への変換の少なくとも一方を行う変換器と、前記変換器を駆動する駆動回路と、前記変換器の前記複数のスイッチング素子のうちのいずれかのスイッチング素子と接続され、前記スイッチング素子の電圧を基に、前記スイッチング素子がオン状態及びオフ状態のどちらの状態にあるかを検出する検出回路と、前記変換器の直流側に接続され、前記変換器の直流電力を基に、前記駆動回路及び前記検出回路の電源を生成し、生成した電源を前記駆動回路及び前記検出回路に供給することにより、前記駆動回路及び前記検出回路を動作させる給電回路と、試験用電源の接続部と着脱可能に接続され、前記試験用電源の接続部と接続された状態において、前記試験用電源から供給される直流電力を前記給電回路に入力するとともに、前記変換器の直流側を短絡させる被接続部と、を備えた電力変換装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
より簡単かつ安全に、変換器に直流電力がない状態での、駆動回路の動作の確認を行うことができる電力変換装置及び試験システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る電力変換装置及びその試験システムを模式的に表すブロック図である。
【0016】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0017】
図1は、実施形態に係る電力変換装置及びその試験システムを模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、試験システム2は、試験用電源4と、電力変換装置10と、を備える。電力変換装置10は、変換器12と、駆動回路14と、給電回路16と、検出回路18、20と、を備える。
【0018】
変換器12は、交流電力から直流電力への変換及び直流電力から交流電力への変換の少なくとも一方を行う。変換器12は、複数のスイッチング素子31、32を有し、複数のスイッチング素子31、32のスイッチングにより、電力の変換を行う。
【0019】
この例において、変換器12は、直列に接続された2つのスイッチング素子31、32と、スイッチング素子31、32の直列接続体に対して並列に接続された直流コンデンサ33と、を有する。
【0020】
スイッチング素子31は、一対の主端子31a、31bと、制御端子31cと、を有する。同様に、スイッチング素子32は、一対の主端子32a、32bと、制御端子32cと、を有する。スイッチング素子31の主端子31bは、スイッチング素子32の主端子32aと接続されている。直流コンデンサ33は、高電位側の端子33aと、低電位側の端子33bと、を有する。直流コンデンサ33の高電位側の端子33aは、スイッチング素子31の主端子31aと接続されている。直流コンデンサ33の低電位側の端子33bは、スイッチング素子32の主端子32bと接続されている。
【0021】
スイッチング素子31、32のそれぞれのオン状態及びオフ状態は、制御端子31c、32cに印加する電圧によって切り替えられる。スイッチング素子31、32には、例えば、GTO(Gate Turn Off thyristor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体スイッチング素子(自己消弧素子)が用いられる。制御端子31c、32cは、例えば、ゲート端子である。
【0022】
変換器12は、いわゆるチョッパ回路である。但し、変換器12は、これに限ることなく、例えば、フルブリッジ接続された4つ又は6つのスイッチング素子を有する変換器でもよい。換言すれば、変換器12は、単相インバータ回路や三相インバータ回路などでもよい。変換器12の構成は、複数のスイッチング素子を有し、複数のスイッチング素子のスイッチングによって、交流電力から直流電力への変換及び直流電力から交流電力への変換の少なくとも一方を行うことが可能な任意の構成でよい。
【0023】
また、電力変換装置10は、交流電力から直流電力への変換及び直流電力から交流電力への変換を単独で行うものでもよいし、例えば、MMC(modular multilevel converter)などの多段構成の電力変換装置に用いられる単位変換器でもよい。換言すれば、電力変換装置10は、直列に接続された複数の変換器12を備える構成でもよい。この場合、駆動回路14、給電回路16、及び検出回路18、20は、複数の変換器12のそれぞれに対応して複数設けられる。
【0024】
駆動回路14は、変換器12を駆動する。より詳しくは、駆動回路14は、変換器12の複数のスイッチング素子31、32のスイッチングを駆動する。駆動回路14は、スイッチング素子31、32の制御端子31c、32cと接続されている。駆動回路14は、制御端子31c、32cに印加する電圧により、スイッチング素子31、32のスイッチングを駆動する。駆動回路14は、例えば、図示を省略した制御装置と接続され、制御装置から入力される制御信号に基づいて変換器12を駆動することにより、変換器12に電力の変換を行わせる。
【0025】
給電回路16は、駆動回路14に電源を供給する。給電回路16は、変換器12の直流電力を基に、駆動回路14用の電源を生成し、生成した電源を駆動回路14に供給することにより、駆動回路14を動作させる。給電回路16は、換言すれば、直流コンデンサ33の両端に接続され、直流コンデンサ33に蓄積された直流電力を基に、駆動回路14に電源を供給する。給電回路16は、高電位側の入力端子16aと、低電位側の入力端子16bと、を有する。高電位側の入力端子16aは、直流コンデンサ33の高電位側の端子33aと接続される。低電位側の入力端子16bは、直流コンデンサ33の低電位側の端子33bと接続される。
【0026】
給電回路16は、変換器12の直流電力を基に、駆動回路14に電源を供給するとともに、検出回路18、20にも電源を供給する。このように、給電回路16は、変換器12の直流電力を基に、駆動回路14及び検出回路18、20の電源を生成し、生成した電源を駆動回路14及び検出回路18、20に供給することにより、駆動回路14及び検出回路18、20を動作させる。なお、検出回路18、20に供給する電源は、駆動回路14に供給する電源と同じでもよいし、異なってもよい。
【0027】
検出回路18は、変換器12のスイッチング素子31の一対の主端子31a、31b間の電圧を検出する。検出回路18は、例えば、比較器40と、整流素子42と、を有する。
【0028】
比較器40の非反転入力端子には、検出電圧Vdetが入力されている。また、比較器40の非反転入力端子は、整流素子42を介してスイッチング素子31の主端子31aと接続されている。整流素子42は、比較器40の非反転入力端子からスイッチング素子31の主端子31aに向かう方向に電流の流れを整流する。これにより、整流素子42は、変換器12側の電流が比較器40の非反転入力端子に流れ込むことを抑制する。
【0029】
比較器40の非反転入力端子には、基準電圧Vrefが入力されている。基準電圧Vrefの基準電位は、スイッチング素子31の主端子31bの電位と同電位に設定される。
【0030】
検出電圧Vdetは、基準電圧Vrefよりも高い電圧に設定される。これにより、スイッチング素子31がオフ状態である場合には、比較器40の非反転入力端子に検出電圧Vdetが入力され、比較器40の非反転入力端子の電圧(検出電圧Vdet)が、比較器40の反転入力端子の電圧(基準電圧Vref)よりも高くなり、比較器40の出力端子の電圧が高くなる。換言すれば、スイッチング素子31がオフ状態である場合には、比較器40の出力端子の出力がHiになる。
【0031】
一方、スイッチング素子31がオン状態である場合には、比較器40の非反転入力端子の電位が、スイッチング素子31の主端子31bの電位と同電位になる。従って、スイッチング素子31がオン状態である場合には、比較器40の非反転入力端子の電圧が、比較器40の反転入力端子の電圧(基準電圧Vref)よりも低くなり、比較器40の出力端子の電圧が低くなる。換言すれば、スイッチング素子31がオン状態である場合には、比較器40の出力端子の出力がLoになる。これにより、検出回路18によって、スイッチング素子31がオン状態であるかオフ状態であるかを検出することができる。
【0032】
検出回路20は、変換器12のスイッチング素子32の一対の主端子32a、32b間の電圧を検出する。検出回路20は、例えば、比較器44と、整流素子46と、を有する。検出回路20の構成は、検出回路18の構成と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。これにより、検出回路20によって、スイッチング素子32がオン状態であるかオフ状態であるかを検出することができる。
【0033】
比較器40、44の出力は、駆動回路14に入力される。これにより、スイッチング素子31、32が実際にオン状態であるかオフ状態であるかを駆動回路14で把握することができる。
【0034】
なお、比較器40、44の出力は、駆動回路14に限ることなく、例えば、外部の制御装置などに直接的に入力してもよい。また、この例では、複数のスイッチング素子31、32のそれぞれに対応した複数の検出回路18、20を設けている。検出回路は、必ずしも複数のスイッチング素子のそれぞれに設けなくてもよい。例えば、スイッチング素子31、32の一方のみのオン状態及びオフ状態を検出するようにしてもよい。検出回路18、20の構成は、上記に限ることなく、変換器12の複数のスイッチング素子のうちのいずれかのスイッチング素子と接続され、接続されたスイッチング素子の電圧を基に、スイッチング素子がオン状態及びオフ状態のどちらの状態にあるかを検出することができる任意の構成でよい。
【0035】
試験システム2は、例えば、駆動回路14を初めて動作させる場合、あるいは駆動回路14の修理や点検の場合などに、変換器12に直流電力がない状態で、駆動回路14の動作を確認するために用いられる。
【0036】
試験用電源4は、上記の駆動回路14の動作確認の際に、電力変換装置10と接続される。試験用電源4は、電力変換装置10と接続された状態において、変換器12の直流側と並列となるように、給電回路16と接続される。試験用電源4は、変換器12の直流電力に相当する電力を給電回路16に供給する。
【0037】
これにより、変換器12に直流電力がない状態においても、試験用電源4から給電回路16に供給される電力により、駆動回路14の動作確認を行うことができる。駆動回路14の動作の確認では、例えば、駆動回路14とスイッチング素子31、32との接続を解除し、スイッチング素子31、32が実際に駆動されないようにした状態で、駆動回路14を動作させ、駆動回路14から適切な信号が出力されているか否かを確認することにより、駆動回路14の動作が確認される。
【0038】
試験用電源4は、変換器12の直流電力に相当する直流電力を出力する電源本体5と、電力変換装置10に接続するための接続部6と、を有する。試験用電源4は、接続部6を介して電力変換装置10に着脱可能に接続される。
【0039】
電源本体5は、正極端子5aと、負極端子5bと、を有する。接続部6は、第1端子6a、第2端子6b、第3端子6cの3つの端子を有する。第1端子6aは、電源本体5の正極端子5aと接続されている。第2端子6bは、電源本体5の負極端子5bと接続されている。第3端子6cは、第2端子6bと接続されている。換言すれば、第3端子6cは、電源本体5の負極端子5bと接続されている。
【0040】
電力変換装置10は、整流素子22と、被接続部24と、をさらに備える。整流素子22は、変換器12の直流側と給電回路16との間に設けられ、変換器12の直流側から給電回路16に向かう方向に電流の流れを整流する。整流素子22は、例えば、変換器12の直流の高電位側の端子と給電回路16の高電位側の入力端子16aとの間に設けられる。整流素子22は、例えば、直流コンデンサ33の高電位側の端子33aと給電回路16の高電位側の入力端子16aとの間に設けられる。変換器12の直流側は、例えば、変換器12に直流電力を供給したり、変換器12で変換された直流電力を外部に出力したりするための直流主回路と接続される可能性がある。この場合、変換器12の直流の高電位側の端子とは、例えば、変換器12と直流主回路との接続点の高電位側の端子である。
【0041】
被接続部24は、試験用電源4の接続部6との接続に用いられる。被接続部24は、試験用電源4の接続部6と着脱可能に接続される。接続部6は、例えば、コネクタのプラグ及びソケットの一方である。被接続部24は、例えば、コネクタのプラグ及びソケットの他方である。
【0042】
被接続部24は、第1端子24a、第2端子24b、第3端子24cの3つの端子を有する。第1端子24aは、整流素子22と給電回路16との間に接続される。換言すれば、第1端子24aは、整流素子22よりも給電回路16側の経路上において給電回路16の高電位側の入力端子16aと接続される。第2端子24bは、給電回路16の低電位側の入力端子16bと接続される。第3端子24cは、変換器12の直流側と整流素子22との間に接続される。換言すれば、第3端子24cは、整流素子22よりも変換器12側の経路上において直流コンデンサ33の高電位側の端子33aと接続される。
【0043】
被接続部24は、試験用電源4の接続部6と機械的に着脱可能に接続されるとともに、接続部6と機械的に接続された状態において、第1端子24a、第2端子24b、第3端子24cのそれぞれを接続部6の第1端子6a、第2端子6b、第3端子6cのそれぞれと電気的に接続する。被接続部24の第1端子24aは、接続部6の第1端子6aと電気的に接続される。被接続部24の第2端子24bは、接続部6の第2端子6bと電気的に接続される。被接続部24の第3端子24cは、接続部6の第3端子6cと電気的に接続される。
【0044】
これにより、給電回路16の高電位側の入力端子16aが、被接続部24の第1端子24a及び接続部6の第1端子6aを介して試験用電源4の電源本体5の正極端子5aと電気的に接続されるとともに、給電回路16の低電位側の入力端子16bが、被接続部24の第2端子24b及び接続部6の第2端子6bを介して試験用電源4の電源本体5の負極端子5bと電気的に接続される。
【0045】
これにより、電源本体5から供給される直流電力が、接続部6及び被接続部24を介して給電回路16に供給される。従って、変換器12に直流電力がない状態においても、試験用電源4から給電回路16に供給される電力により、駆動回路14の動作確認を行うことが可能となる。
【0046】
また、この際、上記のように、第1端子24aは、整流素子22よりも給電回路16側の経路上において給電回路16の高電位側の入力端子16aと接続されている。これにより、試験用電源4から供給された電力によって変換器12の直流側が充電されてしまうことが、整流素子22によって抑制される。
【0047】
また、検出回路18、20が設けられている場合には、試験用電源4から給電回路16に電力を供給し、給電回路16から検出回路18、20に電源を供給した際に、検出電圧Vdetによって変換器12の直流側を充電してしまう可能性がある。
【0048】
この際、本実施形態に係る試験システム2及び電力変換装置10では、接続部6の第3端子6cが、電源本体5の負極端子5bと接続され、被接続部24の第3端子24cが、整流素子22よりも変換器12側の経路上において直流コンデンサ33の高電位側の端子33aと接続されている。これにより、接続部6の第3端子6c及び被接続部24の第3端子24cを介して、変換器12の直流側を短絡させることができる。例えば、接続部6の第3端子6c及び被接続部24の第3端子24cを介して、直流コンデンサ33の高電位側の端子33aと低電位側の端子33bとを短絡させることができる。このように、被接続部24は、試験用電源4の接続部6と着脱可能に接続され、試験用電源4の接続部6と接続された状態において、試験用電源4から供給される直流電力を給電回路16に入力するとともに、変換器12の直流側を短絡させる。
【0049】
さらに、被接続部24の第3端子24cが、整流素子22よりも変換器12側の経路上において直流コンデンサ33の高電位側の端子33aと接続されていることにより、電源本体5の出力が短絡してしまうことを整流素子22によって抑制することができる。換言すれば、電源本体5の正極端子5aと負極端子5bとの短絡が、整流素子22によって抑制される。整流素子22は、被接続部24が試験用電源4の接続部6と接続された状態において、変換器12の直流側を短絡させつつ、試験用電源4の短絡を抑制する。従って、試験用電源4から給電回路16に適切に電力を供給しつつ、変換器12の直流側を適切に短絡させ、変換器12の直流側の充電を抑制することができる。
【0050】
このように、本実施形態に係る試験システム2及び電力変換装置10では、試験用電源4の接続部6を電力変換装置10の被接続部24に接続するだけで、試験システム2を構成することができる。試験システム2及び電力変換装置10では、接続部6を被接続部24に接続するだけで、試験用電源4から給電回路16に適切に電力を供給することができるとともに、変換器12の直流側を適切に短絡させ、変換器12の直流側の充電を抑制することができる。
【0051】
従って、本実施形態に係る試験システム2及び電力変換装置10では、検出回路18、20を設けた場合においても、変換器12の直流側を短絡させる配線の付け忘れを抑制し、変換器12の直流側に専用の配線を接続する場合などと比べて、変換器12に直流電力がない状態での駆動回路14の動作の確認を、より安全に行うことができる。
【0052】
そして、本実施形態に係る試験システム2及び電力変換装置10では、駆動回路14の動作の確認が終了した後、接続部6と被接続部24との接続を解除するだけで、電力変換装置10から試験用電源4を取り外すことができるとともに、変換器12の直流側の短絡を解除することができる。従って、変換器12の直流側に専用の配線を接続する場合などのように、配線を外し忘れてしまうことを抑制することもできる。
【0053】
このように、本実施形態に係る試験システム2及び電力変換装置10では、検出回路18、20を設けた場合においても、変換器12の直流側を短絡させる配線の付け忘れや外し忘れを抑制し、より簡単かつ安全に、変換器12に直流電力がない状態での、駆動回路14の動作の確認を行うことができる。
【0054】
また、例えば、電源本体5と給電回路16との接続と、変換器12の直流側の短絡と、をそれぞれ別のコネクタで行うことも考えられる。この場合、電源本体5と給電回路16との接続用に2つ、変換器12の直流側の短絡用に2つの、合計4つの端子が必要となる。
【0055】
これに対し、本実施形態に係る試験システム2及び電力変換装置10では、低電位側を接続する被接続部24の第2端子24b及び接続部6の第2端子6bを、電源本体5と給電回路16との接続及び変換器12の直流側の短絡に共通に用いている。これにより、接続部6及び被接続部24の端子の数を3つに減らすことができる。これにより、4つの端子が必要となる場合と比べて、接続部6及び被接続部24の構成を簡単にすることができるとともに、接続部6及び被接続部24の小型化を図ることができる。試験システム2及び電力変換装置10の構成をより簡単にすることができる。
【0056】
なお、被接続部24の構成は、上記に限ることなく、試験用電源4の接続部6と着脱可能に接続され、試験用電源4の接続部6と接続された状態において、試験用電源4から供給される直流電力を給電回路16に入力するとともに、変換器12の直流側を短絡させることが可能な任意の構成でよい。
【0057】
また、整流素子22の構成は、上記に限ることなく、被接続部24が試験用電源4の接続部6と接続された状態において、変換器12の直流側を短絡させつつ、試験用電源4の短絡を抑制することが可能な任意の構成でよい。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
2…試験システム、 4…試験用電源、 5…電源本体、 6…接続部、 10…電力変換装置、 12…変換器、 14…駆動回路、 16…給電回路、 18、20…検出回路、 22…整流素子、 24…被接続部、 31、32…スイッチング素子、 33…直流コンデンサ、 40、44…比較器、 42、46…整流素子