(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示制御システムおよび表示制御方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20231024BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
E02F9/26 B
G09G5/00 510C
G09G5/00 550C
G09G5/00 530H
(21)【出願番号】P 2018125425
(22)【出願日】2018-06-29
【審査請求日】2021-05-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高濱 和久
(72)【発明者】
【氏名】松村 幸紀
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-160741(JP,A)
【文献】米国特許第05996702(US,A)
【文献】特開2013-113044(JP,A)
【文献】特開2018-035645(JP,A)
【文献】国際公開第2018/043299(WO,A1)
【文献】岩滝宗一郎 他,ブルドーザの位置姿勢変化および周囲危険領域を提示可能な任意視点映像提示,第23回ロボティクスシンポジア 講演予稿集,2018年03月13日,pp.273-275
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00-9/28
JSTPlus(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃先を有するバケットが、
ローディングショベルの後方から前方へ動作することで掘削面を掘削する前記
ローディングショベルの操作のために用いられる画像を表示させる表示制御装置であって、
前記バケットの姿勢を表すバケット姿勢情報を取得する姿勢取得部と、
前記掘削面を有する施工対象の三次元形状を示す地形情報を取得する地形取得部と、
前記バケット姿勢情報および前記地形情報に基づいて、前記バケットの刃先を前記施工対象の前記掘削面より手前側の地表面に投影した地表投影図形を含む投影画像を生成する投影画像生成部と、
前記投影画像を表示するための表示信号を出力する表示制御部と
を備える表示制御装置。
【請求項2】
前記地表投影図形は、前記刃先を鉛直下向きへ向けて投影した図形である
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記投影画像生成部は、前記バケット姿勢情報および前記地形情報に基づいて、前記地表投影図形と、前記刃先を前記施工対象の掘削面に投影した前方投影図形を含む前記投影画像を生成する
請求項1または請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記前方投影図形は、前記刃先を前記施工対象に水平前方へ向けて投影した図形である
請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記前方投影図形は、前記刃先を前記施工対象の掘削面に投影した線を延長した線である
請求項3または請求項4に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記前方投影図形は、前記刃先を前記施工対象の掘削面に投影した線を当該線の延在方向に延長した線である
請求項5に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記地表投影図形は、前記刃先を地表面に投影した線を延長した線である
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記地表投影図形は、前記刃先を地表面に投影した線を前記
ローディングショベルの旋回方向に延長した線である
請求項7に記載の表示制御装置。
【請求項9】
ローディングショベルと、表示制御装置とを備える表示制御システムであって、
前記
ローディングショベルは、
刃先を有し、前記
ローディングショベルの後方から前方へ動作することで掘削面を掘削するバケットと、
前記掘削面を有する施工対象の地形情報を検出する地形検出装置と、
前記バケットの姿勢を表すバケット姿勢情報を検出する姿勢検出装置と
を備え、
前記表示制御装置は、
前記バケット姿勢情報および前記地形情報に基づいて、前記バケットの刃先を前記施工対象の前記掘削面より手前側の地表面に投影した地表投影図形を含む投影画像を生成する投影画像生成部と、
前記投影画像を表示するための表示信号を出力する表示制御部と
を備える表示制御システム。
【請求項10】
刃先を有するバケットが、
ローディングショベルの後方から前方へ動作することで掘削面を掘削する前記
ローディングショベルの操作のために用いられる画像を表示させる表示制御方法であって、
前記バケットの姿勢を表すバケット姿勢情報を取得するステップと、
前記掘削面を有する施工対象の三次元形状を示す地形情報を取得するステップと、
前記バケット姿勢情報および前記地形情報に基づいて、前記バケットの刃先を前記施工対象の前記掘削面より手前側の地表面に投影した地表投影図形を含む投影画像を生成するステップと、
前記投影画像を表示するステップと
を備える表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置、表示制御システムおよび表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バックホウを遠隔操作する際に、オペレータにバケットと施工対象の位置関係を把握させるために、バックホウに設けられた撮像装置が撮像した画像に、バケットの刃先を地表面に投影した刃先位置画像を重ねる技術が開示されている。また特許文献1には、ローディングショベルを遠隔操作する際に、オペレータにバケットと施工対象の位置関係を把握させるために、撮像装置が撮像した画像に、バケットの刃先を水平方向に投影した刃先位置画像を重ねる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ローディングショベルやホイールローダなど、バケットの刃先が作業機械の前方を向く場合、刃先位置画像は、施工対象の掘削面に写る。しかしながら、この場合、オペレータは、バケットの奥行感覚を認識することが困難であり、バケットが掘削面に刺さっているか否かを判断することが困難であった。
本発明の目的は、上述した課題を解決する表示制御装置、表示制御システムおよび表示制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、表示制御装置は、刃先を有するバケットが、作業機械の後方から前方へ動作することで掘削面を掘削する前記作業機械の操作のために用いられる画像を表示させる表示制御装置であって、前記バケットの姿勢を表すバケット姿勢情報を取得する姿勢取得部と、前記掘削面を有する施工対象の三次元形状を示す地形情報を取得する地形取得部と、前記バケット姿勢情報および前記地形情報に基づいて、前記バケットの刃先を前記施工対象の前記掘削面より手前側の地表面に投影した地表投影図形を含む投影画像を生成する投影画像生成部と、前記投影画像を表示するための表示信号を出力する表示制御部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、表示制御システムは、刃先が前方を向くバケットを備える作業機械の操作のために、バケットの奥行感覚を認識させるための投影画像を表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る遠隔操作システムの構成を示す概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係る作業機械の外観図である。
【
図3】第1の実施形態に係る作業機械における撮像装置および深度検出装置の設置位置を示す上面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る遠隔運転室の制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
【
図5】仮想空間における三次元マップとレンダリングカメラの関係の例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係る表示画像の例を示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係る遠隔運転室の制御装置による表示制御処理を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態に係る作業機械の外観図である。
【
図9】第2の実施形態に係る遠隔運転室の制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
【
図10】第2の実施形態に係る遠隔運転室の制御装置による表示制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈第1の実施形態〉
《作業システム》
図1は、第1の実施形態に係る遠隔操作システムの構成を示す概略図である。
作業システム1は、作業機械100と、遠隔運転室500とを備える。作業機械100は、作業現場(例えば、鉱山、採石場)で稼働する。遠隔運転室500は、作業現場から離れた地点(例えば、市街、作業現場内)に設けられる。つまり、オペレータは、作業機械100を視認できない距離から、当該作業機械100を遠隔操作する。
【0009】
作業機械100は、遠隔運転室500から送信される操作信号に基づいて遠隔操作される。作業機械100と遠隔運転室500とは、アクセスポイント350を介した通信により接続される。遠隔運転室500において受け付けたオペレータの操作を示す操作信号は、アクセスポイント350を介して作業機械100に送信される。作業機械100は、遠隔運転室500から受信した操作信号に基づいて動作する。つまり、作業システム1は、作業機械100と遠隔運転室500とから構成される遠隔運転システムを備える。アクセスポイント350は、遠隔運転システムの通信に用いられる。また、作業機械100は、施工対象の画像を撮像し、当該画像は遠隔運転室500において表示される。つまり、作業システム1は、表示制御システムの一例である。
【0010】
《作業機械》
図2は、第1の実施形態に係る作業機械の外観図である。
第1の実施形態に係る作業機械100は、ローディングショベル(フェイスショベル)である。なお、他の実施形態に係る作業機械100は、ホイールローダやブルドーザなどの、刃先が前方を向くバケットを有する他の作業機械であってもよい。
作業機械100は、走行体110と、走行体110に支持される旋回体120と、油圧により作動し旋回体120に支持される作業機130とを備える。旋回体120は旋回中心O(
図5を参照)を中心として旋回自在に支持される。作業機130は、旋回体120の前部に設けられる。
【0011】
作業機130は、ブーム131と、アーム132と、バケット133とを備える。作業機130は、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、およびバケットシリンダ136が伸縮することにより駆動する。ブーム131、アーム132、およびバケット133には、それぞれブーム角度センサ137、アーム角度センサ138、およびバケット角度センサ139が装着されている。
【0012】
ブーム131の基端部は、旋回体120にピンを介して取り付けられる。
アーム132は、ブーム131とバケット133とを連結する。アーム132の基端部は、ブーム131の先端部にピンを介して取り付けられる。
バケット133は、土砂などを掘削するための刃と掘削した土砂を収容するための容器とを備える。バケット133の基端部は、アーム132の先端部にピンを介して取り付けられる。
【0013】
ブームシリンダ134は、ブーム131を作動させるための油圧シリンダである。ブームシリンダ134の基端部は、旋回体120に取り付けられる。ブームシリンダ134の先端部は、ブーム131に取り付けられる。
アームシリンダ135は、アーム132を駆動するための油圧シリンダである。アームシリンダ135の基端部は、ブーム131に取り付けられる。アームシリンダ135の先端部は、アーム132に取り付けられる。
バケットシリンダ136は、バケット133を駆動するための油圧シリンダである。バケットシリンダ136の基端部は、ブーム131に取り付けられる。バケットシリンダ136の先端部は、バケット133に取り付けられる。
【0014】
ブーム角度センサ137は、ブーム131に取り付けられ、ブーム131の傾斜角を検出する。
アーム角度センサ138は、アーム132に取り付けられ、アーム132の傾斜角を検出する。
バケット角度センサ139は、バケット133に取り付けられ、バケット133の傾斜角を検出する。
第1の実施形態に係るブーム角度センサ137、アーム角度センサ138、およびバケット角度センサ139は、地平面に対する傾斜角を検出する。なお、他の実施形態に係る角度センサはこれに限られず、他の基準面に対する傾斜角を検出してもよい。例えば、他の実施形態においては、角度センサは、ブーム131、アーム132およびバケット133の基端部に設けられたポテンショメータによって相対回転角を検出してもよいし、ブームシリンダ134、アームシリンダ135およびバケットシリンダ136のシリンダ長さを計測し、シリンダ長さを角度に変換することで傾斜角を検出するものであってもよい。
【0015】
図3は、第1の実施形態に係る作業機械における撮像装置および深度検出装置の設置位置を示す上面図である。
旋回体120には、運転室121が備えられる。運転室121には、撮像装置122が設けられる。撮像装置122は、運転室121内の前部かつ上部に設置される。撮像装置122は、運転室121前部のフロントガラスを通して、運転室121の前方を撮像する。ここで、「前方」とは、旋回体120において作業機130が装着された方向をいい、「後方」は「前方」の逆方向をいう。「側方」とは、前後方向に対して交差する方向(左右方向)をいう。撮像装置122の例としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサ、およびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを用いた撮像装置が挙げられる。なお、他の実施形態においては、撮像装置122は、必ずしも運転室121内に設けられなくてもよく、撮像装置122は、
図3に示すように、少なくとも施工対象と作業機130とを撮像可能な位置に設けられていればよい。つまり、撮像装置122の撮像範囲R1には、少なくとも作業機130の一部が含まれる。
【0016】
作業機械100は、撮像装置122、位置方位演算器123、傾斜計測器124、油圧装置125、深度検出装置126、制御装置127を備える。
【0017】
位置方位演算器123は、旋回体120の位置および旋回体120が向く方位を演算する。位置方位演算器123は、GNSSを構成する人工衛星から測位信号を受信する2つの受信器を備える。2つの受信器は、それぞれ旋回体120の異なる位置に設置される。位置方位演算器123は、受信器が受信した測位信号に基づいて、現場座標系における旋回体120の代表点(ショベル座標系の原点)の位置を検出する。
位置方位演算器123は、2つの受信器が受信した各測位信号を用いて、一方の受信器の設置位置に対する他方の受信器の設置位置の関係として、旋回体120の向く方位を演算する。
なお、他の実施形態においては、位置方位演算器123は、ロータリーエンコーダやIMUの計測値に基づいて旋回体120が向く方位を検出してもよい。
【0018】
傾斜計測器124は、旋回体120の加速度および角速度を計測し、計測結果に基づいて旋回体120の姿勢(例えば、ロール角、ピッチ角、ヨー角)を検出する。傾斜計測器124は、例えば旋回体120の下面に設置される。傾斜計測器124は、例えば、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を用いることができる。
【0019】
油圧装置125は、作動油タンク、油圧ポンプ、および流量制御弁を備える。油圧ポンプは、図示しないエンジンの動力で駆動し、流量制御弁を介してブームシリンダ134、アームシリンダ135、およびバケットシリンダ136に作動油を供給する。流量制御弁はロッド状のスプールを有し、スプールの位置によってブームシリンダ134、アームシリンダ135、およびバケットシリンダ136に供給する作動油の流量を調整する。スプールは、制御装置127から受信する制御指令に基づいて駆動される。つまり、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、およびバケットシリンダ136に供給される作動油の量は、制御装置127によって制御される。
【0020】
深度検出装置126は、検出範囲R2における深度を検出する。深度検出装置126は、旋回体120の両側面に設けられ、旋回体120の幅方向に伸びる軸を中心とする検出範囲R2において、施工対象を含む周囲の物体の深度を検出する。深度とは、深度検出装置126から対象までの距離である。これにより、作業機械100が作業機130によって土砂を掘削しているときに、深度検出装置126は、作業機械100の側方に停車する土砂の積込対象の運搬車両(図示せず)の深度を検出することができる。また、作業機械100が土砂を運搬車両に積み込んでいるときに、深度検出装置126は、施工対象の深度を検出することができる。
図3に示すように、深度検出装置126は、その検出範囲R2に作業機130が干渉しない位置に設けられる。深度検出装置126の例としては、例えば、LiDAR装置、レーダ装置、ステレオカメラなどが挙げられる。
【0021】
制御装置127は、撮像装置122が撮像した画像、旋回体120の旋回速度、位置、方位および傾斜角、ブーム131、アーム132およびバケット133の傾斜角、走行体110の走行速度、ならびに深度検出装置126が検出した深度情報を、遠隔運転室500に送信する。バケット133の刃先の位置および向きは、旋回体120の旋回速度、位置、方位および傾斜角、ブーム131、アーム132およびバケット133の傾斜角を用いて計算することができる。以下、バケット133の刃先の位置および向きをバケット133の姿勢を表すバケット姿勢情報ともいう。また、バケット133の刃先の位置および向きの算出に用いられる旋回体120の旋回速度、位置、方位および傾斜角、ブーム131、アーム132およびバケット133の傾斜角等の情報も、バケット姿勢情報の一例である。つまり、位置方位演算器123、傾斜計測器124、ブーム角度センサ137、アーム角度センサ138、およびバケット角度センサ139は、姿勢検出装置の一例である。また、以下、旋回体120の位置、方位および傾斜角を、旋回体120の姿勢を表す旋回体姿勢情報ともいう。
制御装置127は、遠隔運転室500から操作信号を受信する。制御装置127は、受信した操作信号に基づいて、作業機130、旋回体120、または走行体110を駆動させる。
【0022】
《遠隔運転室》
遠隔運転室500は、運転席510、表示装置520、操作装置530、制御装置540を備える。
表示装置520は、運転席510の前方に配置される。表示装置520は、オペレータが運転席510に座ったときにオペレータの眼前に位置する。表示装置520は、並べられた複数のディスプレイによって構成されてもよいし、
図1に示すように、1つの大きなディスプレイによって構成されてもよい。また、表示装置520は、プロジェクタ等によって曲面や球面に画像を投影するものであってもよい。
【0023】
操作装置530は、遠隔運転システム用の操作装置である。操作装置530は、オペレータの操作に応じて、ブームシリンダ134の操作信号、アームシリンダ135の操作信号、バケットシリンダ136の操作信号、旋回体120の左右への旋回操作信号、走行体110の前後進のための走行操作信号を生成し制御装置540に出力する。操作装置530は、例えばレバー、ノブスイッチおよびペダル(図示略)により構成される。
操作装置530は、運転席510の近傍に配置される。操作装置530は、オペレータが運転席510に座ったときにオペレータの操作可能な範囲内に位置する。
【0024】
制御装置540は、作業機械100から受信した情報に基づいて表示画像を生成し、表示画像を表示装置520に表示させる。また制御装置540は、操作装置530の操作を表す操作信号を作業機械100に送信する。制御装置540は、表示制御装置の一例である。
【0025】
図4は、第1の実施形態に係る遠隔運転室の制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
制御装置540は、プロセッサ5100、メインメモリ5200、ストレージ5300、インタフェース5400を備えるコンピュータである。ストレージ5300は、プログラムを記憶する。プロセッサ5100は、プログラムをストレージ5300から読み出してメインメモリ5200に展開し、プログラムに従った処理を実行する。制御装置540は、インタフェース5400を介してネットワークに接続される。
【0026】
ストレージ5300の例としては、HDD、SSD、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ5300は、制御装置540の共通通信線に直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース5400を介して制御装置540に接続される外部メディアであってもよい。ストレージ5300は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0027】
プログラムの実行により、プロセッサ5100は、メインメモリ5200に、マップ記憶部5201の記憶領域を確保する。
マップ記憶部5201は、施工対象の三次元形状を示す三次元マップを記憶する。三次元マップにおいて、施工対象の座標は、現場座標系で表される。三次元マップは、地形情報の一例である。
【0028】
プロセッサ5100は、プログラムの実行により、検出情報取得部5101、座標変換部5102、マップ生成部5103、作業機姿勢特定部5104、撮像範囲特定部5105、刃先位置図形生成部5106、深度画像生成部5107、占有領域特定部5108、表示画像生成部5109、表示制御部5110、操作信号入力部5111、操作信号出力部5112を備える。
【0029】
検出情報取得部5101は、制御装置127から、撮像装置122が撮像した画像、旋回体120の旋回速度、位置、方位および傾斜角、ブーム131、アーム132およびバケット133の傾斜角、走行体110の走行速度、ならびに深度検出装置126が検出した深度情報を受信する。
【0030】
座標変換部5102は、旋回体120の位置、方位および傾斜角に基づいて、深度情報の座標系を現場座標系に変換する。深度情報の座標系を表す深度座標系は、深度検出装置126の位置を原点とする相対座標系である。現場座標系に変換された深度情報は、深度検出装置126の検出範囲R2における施工対象の三次元形状を表す。
【0031】
マップ生成部5103は、マップ記憶部5201が記憶する三次元マップのうち、深度検出装置126の検出範囲R2に相当する部分を座標変換部5102によって現場座標系に変換された深度情報が示す三次元形状に更新する。つまり、マップ生成部5103は、異なるタイミングに得られた深度情報と旋回体姿勢情報の組み合わせに基づいて、作業機械100の周囲の形状を表す三次元マップを生成する。三次元マップは、地形情報の一例であり、マップ生成部5103は、地形取得部の一例である。異なるタイミングは、例えば、所定旋回角度ごとのタイミングもしくは旋回動作中の所定周期ごとのタイミング、またはこれに旋回動作前もしくは旋回動作後のタイミングを加えたタイミングであってよい。
【0032】
作業機姿勢特定部5104は、ブーム131、アーム132およびバケット133の傾斜角に基づいて、車体座標系における作業機130の姿勢を特定する。車体座標系は、旋回体120の位置を原点とする相対座標系である。具体的には、作業機姿勢特定部5104は、ブーム131の傾斜角と既知のブーム131の長さ(基端部のピンから先端部のピンまでの距離)とに基づいて、ブーム131の先端の座標および絶対角度を求める。ここで、絶対角度とは、旋回体120を基準としたブーム131、アーム132およびバケット133の角度をいう。絶対角度は、ブーム角度センサ137、アーム角度センサ138、およびバケット角度センサ139が検出した傾斜角に傾斜計測器124が検出したピッチ角をそれぞれ加算することにより求められる。同様に、作業機姿勢特定部5104は、アーム132の先端の座標および絶対角度、ならびにバケット133の先端(刃先)の座標および絶対角度を求める。つまり、作業機姿勢特定部5104は、バケット姿勢情報を取得する姿勢取得部の一例である。作業機姿勢特定部5104は、旋回体120の位置、方位および傾斜角に基づいて、作業機130の姿勢の座標系を現場座標系に変換する。
なお、他の実施形態において、作業機姿勢特定部5104は、シリンダ長さと既知の寸法とに基づいて、旋回体120に対するブーム131の相対角度、ブーム131に対するアーム132の相対角度、およびアーム132に対するバケット133の相対角度を算出して作業機130の姿勢を特定してもよい。
【0033】
撮像範囲特定部5105は、旋回体120の位置、方位および傾斜角に基づいて、撮像装置122の撮像範囲R1を特定する。具体的には、撮像範囲特定部5105は、旋回体120の位置、方位および傾斜角に基づいて、撮像装置122の位置と、撮像装置122の光軸の向きとを特定する。撮像範囲特定部5105は、特定した位置および光軸の向きと、既知の撮像装置122の画角とに基づいて、撮像装置122の撮像範囲R1を特定することができる。
図5は、仮想空間における三次元マップとレンダリングカメラの関係の例を示す図である。
撮像範囲特定部5105は、特定した撮像範囲に基づいて、三次元形状をレンダリングするためのレンダリングカメラCのパラメータを決定する。レンダリングカメラCは、現場座標系で表される仮想空間に配置された三次元形状から二次元画像を描画するための視点を示す仮想的なカメラである。
【0034】
刃先位置図形生成部5106は、マップ記憶部5201が記憶する三次元マップMと、作業機姿勢特定部5104が特定したバケット133の刃先の座標に基づいて、刃先を地表面に投影した座標を表す図形である刃先位置図形Fを生成する。第1の実施形態に係る刃先位置図形Fは、三次元マップMに刃先を鉛直下向きに投影した下方投影線F1、下方投影線F1を旋回体120の旋回方向に、地表面に沿って延長した下方延長線F2、刃先と下方投影線F1とを結ぶ下方補助線F3、三次元マップMに刃先を作業機前方に投影した前方投影線F4、前方投影線F4をその延在方向に、地表面に沿って延長した前方延長線F5、および刃先と前方投影線F4とを結ぶ前方補助線F6を含む。前方投影線F4は、下方投影線F1が伸びる方向に直交する方向へ伸びることが好ましい。
下方投影線F1および下方延長線F2は、バケット133の刃先を施工対象の地表面に投影した点を表す地表投影図形の一例である。前方投影線F4および前方延長線F5は、バケット133の刃先を施工対象の掘削面に投影した点を表す前方投影図形の一例である。なお、他の実施形態に係る地表投影図形および前方投影図形は、例えば刃先の中心点を投影した点であってもよい。つまり、地表投影図形および前方投影図形は、必ずしも線でなくてもよい。
刃先位置図形生成部5106は、撮像範囲特定部5105が決定したレンダリングカメラCのパラメータに基づいて、刃先位置図形Fをレンダリングすることで、刃先位置画像を得る。刃先位置画像は、投影画像の一例であり、刃先位置図形生成部5106は、投影画像生成部の一例である。
【0035】
深度画像生成部5107は、マップ記憶部5201が記憶する三次元マップMと、撮像範囲特定部5105が決定したレンダリングカメラCのパラメータとに基づいて、撮像範囲R1における深度を表す深度画像を生成する。具体的には、深度画像生成部5107は、格子テクスチャTを三次元マップM上に鉛直上方から平面投影する。深度画像生成部5107は、レンダリングカメラCのパラメータに基づいて、格子テクスチャTが投影された三次元マップMをレンダリングすることで、深度画像を得る。
【0036】
占有領域特定部5108は、作業機姿勢特定部5104が特定した作業機130の姿勢に基づいて、撮像画像において作業機130に占有される領域(占有領域)を特定する。例えば、占有領域特定部5108は、作業機姿勢特定部5104が特定したブーム131、アーム132およびバケット133の先端の座標および絶対角度に基づいて、仮想空間に既知のブーム131、アーム132およびバケット133の三次元形状を配置する。占有領域特定部5108は、レンダリングカメラCのパラメータに基づいて、ブーム131、アーム132およびバケット133の三次元形状をレンダリングすることで作業機画像を得る。占有領域特定部5108は、得られた作業機画像のうち、ブーム131、アーム132およびバケット133が写る領域を占有領域と特定する。
【0037】
図6は、第1の実施形態に係る表示画像の例を示す図である。
表示画像生成部5109は、受信した撮像画像と深度画像と刃先位置画像とを合成することで、表示装置520に表示するための表示画像を生成する。具体的には、表示画像生成部5109は、以下の手順で表示画像を生成する。表示画像生成部5109は、刃先位置画像および深度画像のうち占有領域に係る部分を削除する。表示画像生成部5109は、検出情報取得部5101が受信した撮像画像に、占有領域に係る部分を削除した刃先位置画像および深度画像を合成することで、表示画像を生成する。
図6に示すように、表示画像には、作業機130および施工対象と、格子テクスチャTおよび刃先位置図形Fとが写っている。
刃先位置画像および深度画像のうち占有領域に係る部分が削除されることにより、表示画面において作業機130に対応する部分には格子テクスチャTおよび刃先位置図形Fが表示されない。これにより、表示装置520は、作業者にとって見やすい画面を表示することができる。
【0038】
表示制御部5110は、表示画像を表示するための表示信号を表示装置520に出力する。
【0039】
操作信号入力部5111は、操作装置530から操作信号の入力を受け付ける。操作信号には、走行体110の走行操作信号、旋回体120の旋回操作信号、ブーム131の上下操作信号、アーム132の押し引き操作信号、バケット133の回動操作信号が含まれる。
操作信号出力部5112は、操作信号入力部5111に入力された操作信号を作業機械100に出力する。
【0040】
《表示制御方法》
図7は、第1の実施形態に係る遠隔運転室の制御装置による表示制御処理を示すフローチャートである。
遠隔運転室500による作業機械100の遠隔運転を開始すると、制御装置540は、一定時間ごとに、
図7に示す表示制御処理を実行する。
検出情報取得部5101は、作業機械100の制御装置127から、撮像装置122が撮像した画像、旋回体120の位置、方位および傾斜角、ブーム131、アーム132およびバケット133の傾斜角、走行体110の走行速度、ならびに深度検出装置126が検出した深度情報を受信する(ステップS1)。次に、座標変換部5102は、受信した旋回体120の位置、方位および傾斜角に基づいて、深度検出装置126の現場座標系における位置、光軸が向く方位、および光軸の傾斜角を特定する(ステップS2)。深度検出装置126は、旋回体120の規定の箇所に固定されているため、座標変換部5102は所定のオフセットおよび回転の計算により、旋回体120の姿勢に基づいて深度検出装置126の姿勢を特定することができる。座標変換部5102は、深度検出装置126の現場座標系における位置、光軸が向く方位、および光軸の傾斜角に基づいて、受信した深度情報の座標系を現場座標系に変換する(ステップS3)。
【0041】
マップ生成部5103は、ステップS2で特定された深度検出装置126の現場座標系における位置、光軸が向く方位、および光軸の傾斜角に基づいて、マップ記憶部5201が記憶する三次元マップのうち、検出範囲R2に相当する部分を特定する(ステップS4)。すなわち、マップ生成部5103は、マップ記憶部5201が記憶する三次元マップにおいて、深度検出装置126の位置から光軸を中心とする既知の画角内の範囲を、検出範囲R2と特定する。マップ生成部5103は、特定した範囲の三次元マップの値を、現場座標系に変換された深度情報が示す値に更新する(ステップS5)。
【0042】
作業機姿勢特定部5104は、ブーム131、アーム132およびバケット133の傾斜角、ならびに旋回体120の位置、方位および傾斜角に基づいて、現場座標系における作業機130の姿勢を特定する(ステップS6)。撮像範囲特定部5105は、旋回体姿勢情報に基づいて、撮像装置122の撮像範囲R1を特定する(ステップS7)。撮像範囲特定部5105は、撮像範囲R1に基づいて、仮想空間におけるレンダリングカメラCのパラメータを決定する(ステップS8)。
【0043】
刃先位置図形生成部5106は、マップ記憶部5201が記憶する三次元マップMと、作業機姿勢特定部5104が特定したバケット133の刃先の座標に基づいて、刃先位置図形Fを生成する(ステップS9)。刃先位置図形生成部5106は、ステップS8で決定したレンダリングカメラCのパラメータに基づいて刃先位置図形Fをレンダリングし、刃先位置画像を生成する(ステップS10)。
【0044】
深度画像生成部5107は、格子テクスチャTを三次元マップM上に鉛直上方から平面投影する(ステップS11)。深度画像生成部5107は、ステップS8で決定したレンダリングカメラCのパラメータに基づいて、格子テクスチャTが投影された三次元マップMをレンダリングすることで、深度画像を生成する(ステップS12)。
【0045】
占有領域特定部5108は、作業機姿勢特定部5104が特定したブーム131、アーム132およびバケット133の先端の座標および絶対角度に基づいて、仮想空間に既知のブーム131、アーム132およびバケット133の三次元形状を配置する(ステップS13)。占有領域特定部5108は、ステップS8で決定されたレンダリングカメラCのパラメータに基づいて、ブーム131、アーム132およびバケット133の三次元形状をレンダリングすることで、画像において作業機130が写る占有領域を特定する(ステップS14)。なお、他の実施形態に係る作業機械100は、旋回角度によって走行体110の一部が画像に写ることがある。この場合、占有領域特定部5108は、仮想空間にさらに既知の走行体110の三次元形状を配置し、画像において走行体110および作業機130が写る占有領域を特定してもよい。また、他の実施形態に係る作業機械100は、旋回体120の一部(ピラーや通路の手すりなど)が画像に写ることがある。撮像装置122が旋回体120に固定されるため、画像に写る旋回体120の位置は、作業機械100の姿勢によって変化しない。この場合、占有領域特定部5108は、画像において旋回体120の一部が写る既知の占有領域をさらに特定してもよい。
【0046】
表示画像生成部5109は、ステップS10で生成した刃先位置画像およびステップS12で生成した深度画像のうち、ステップS14で特定した占有領域に係る部分を削除する(ステップS15)。次に、表示画像生成部5109は、検出情報取得部5101が受信した撮像画像に、占有領域に係る部分を削除した刃先位置画像および深度画像を合成することで、表示画像を生成する(ステップS16)。そして、表示制御部5110は、表示画像を表示するための表示信号を表示装置520に出力する(ステップS17)。
これにより、表示装置520には、
図6に示すような表示画像が表示される。
【0047】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態によれば、制御装置540は、バケット姿勢情報と地形情報である三次元マップMとに基づいて、バケット133の刃先を施工対象の地表面に投影した点を表す下方投影線F1を含む刃先位置画像を生成する。これにより、表示装置520には、掘削面より手前側の地表面に下方投影線F1が表示されるため、下方投影線F1と掘削面との距離を目視することで、バケット133と掘削面との距離を認識することができる。
つまり、第1の実施形態によれば、オペレータは、バケット133の刃先が前方を向く作業機械100において、バケット133の奥行感覚を容易に認識することができる。
【0048】
また、第1の実施形態によれば、制御装置540は、下方投影線F1に加え、前方投影線F4を含む刃先位置画像を生成する。下方投影線F1と前方投影線F4との距離は、バケット133が掘削面に近づくほど短くなる。特に、バケット133の刃先が掘削面に接するとき、下方投影線F1と前方投影線F4とが重なる。これにより、オペレータは、下方投影線F1と前方投影線F4との距離を視認することで、バケット133と掘削面との距離を認識することができる。
また、第1の実施形態に係る前方投影線F4は、バケット133の刃先を施工対象に水平前方へ向けて投影した図形である。つまり、前方投影線F4は、バケット133の高さを維持して前進した場合に刃先が掘削面に当たる位置を表す。これにより、オペレータは、バケット133と掘削面との位置関係を明確に認識することができる。
【0049】
また、第1の実施形態によれば、制御装置540は、バケット133の刃先を施工対象の地表面に投影した線を延長した線である下方延長線F2を含む刃先位置画像を生成する。下方投影線F1がバケット133に隠れてしまう場合にも、オペレータは、下方延長線F2を視認することで、バケット133と掘削面との距離を認識することができる。下方延長線F2は、刃先を施工対象の掘削面に投影した線を旋回体120の旋回方向に延長した線である。これにより、オペレータは、旋回体120を旋回させた場合の地表面との刃先との位置関係を認識することができる。
【0050】
また、第1の実施形態によれば、制御装置540は、バケット133の刃先を施工対象の掘削面に投影した線を延長した線である前方延長線F5を含む刃先位置画像を生成する。前方投影線F4がバケット133に隠れてしまう場合にも、前方延長線F5を視認することで、オペレータは、バケット133と掘削面との距離を認識することができる。前方延長線F5は、刃先を施工対象の掘削面に投影した線を当該線の延在方向に延長した線である。これにより、オペレータは、旋回体120を旋回させた場合の掘削面との刃先との位置関係を認識することができる。
【0051】
〈第2の実施形態〉
第1の実施形態に係る作業システム1は、異なるタイミングに得られた複数の深度情報に基づいて生成された三次元マップMに基づいて刃先位置画像を生成する。これに対し、第2の実施形態に係る作業システム1は、深度情報の瞬時データに基づいて刃先位置画像を生成する。
【0052】
《作業機械》
図8は、第2の実施形態に係る作業機械の外観図である。
第2の実施形態に係る作業機械100の深度検出装置126は、運転室121内に、撮像装置122と並んで設けられる。そのため、深度検出装置126の検出範囲R2は、撮像装置122の撮像範囲R1と略同一となる。
【0053】
《遠隔運転室の制御装置》
図9は、第2の実施形態に係る遠隔運転室の制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
第2の実施形態に係る遠隔運転室500の制御装置540は、第1の実施形態のマップ生成部5103および占有領域特定部5108を備えず、占有領域補完部5113を備える。占有領域補完部5113は、深度情報のうち占有領域に係る部分を除去し、占有領域の周辺の情報に基づいて、占有領域に係る部分を補完する。例えば、占有領域補完部5113は深度情報のうち、占有領域を除去した深度情報に係る点群に基づいて、除去された領域にポリゴンを貼ることで、深度情報の占有領域に係る部分を補完することができる。
【0054】
《表示制御方法》
図10は、第2の実施形態に係る遠隔運転室の制御装置による表示制御処理を示すフローチャートである。
遠隔運転室500による作業機械100の遠隔運転を開始すると、制御装置540は、一定時間ごとに、
図10に示す表示制御処理を実行する。
検出情報取得部5101は、作業機械100の制御装置127から、撮像装置122が撮像した画像、旋回体120の位置、方位および傾斜角、ブーム131、アーム132およびバケット133の傾斜角、走行体110の走行速度、ならびに深度検出装置126が検出した深度情報を受信する(ステップS51)。次に、座標変換部5102は、受信した旋回体120の位置、方位および傾斜角に基づいて、深度検出装置126の現場座標系における位置、光軸が向く方位、および光軸の傾斜角を特定する(ステップS52)。座標変換部5102は、深度検出装置126の現場座標系における位置、光軸が向く方位、および光軸の傾斜角に基づいて、受信した深度情報の座標系を現場座標系に変換する(ステップS53)。
【0055】
作業機姿勢特定部5104は、ブーム131、アーム132およびバケット133の傾斜角、ならびに旋回体120の位置、方位および傾斜角に基づいて、現場座標系における作業機130の姿勢を特定する(ステップS54)。撮像範囲特定部5105は、旋回体姿勢情報に基づいて、撮像装置122の撮像範囲R1を特定する(ステップS55)。撮像範囲特定部5105は、撮像範囲R1に基づいて、仮想空間におけるレンダリングカメラCのパラメータを決定する(ステップS56)。
【0056】
占有領域補完部5113は、作業機姿勢特定部5104が特定したブーム131、アーム132およびバケット133の先端の座標および絶対角度に基づいて、仮想空間に座標変換後の深度情報が示す施工対象の形状と、既知のブーム131、アーム132およびバケット133の三次元形状を配置する(ステップS57)。占有領域補完部5113は、ステップS56で決定されたレンダリングカメラCを中心とするレイトレーシングにより、施工対象の形状のうち、作業機130の影となる占有領域を特定する。占有領域補完部5113は、深度情報から占有領域に係る部分を除去する(ステップS58)。占有領域補完部5113は、占有領域に係る部分を除去した深度情報のうち占有領域に係る部分を補完する(ステップS59)。
【0057】
次に、刃先位置図形生成部5106は、占有領域に係る部分を補完した深度情報と、作業機姿勢特定部5104が特定したバケット133の刃先の座標に基づいて、刃先位置図形Fを生成する(ステップS60)。刃先位置図形生成部5106は、ステップS56で決定したレンダリングカメラCのパラメータに基づいて刃先位置図形Fをレンダリングし、刃先位置画像を生成する(ステップS61)。
【0058】
深度画像生成部5107は、格子テクスチャTを深度情報が表す施工対象の形状に鉛直上方から平面投影する(ステップS62)。深度画像生成部5107は、ステップS56で決定したレンダリングカメラCのパラメータに基づいて、格子テクスチャTが投影された施工対象の形状をレンダリングすることで、深度画像を生成する(ステップS63)。
【0059】
次に、表示画像生成部5109は、検出情報取得部5101が受信した撮像画像に、占有領域に係る部分を削除した刃先位置画像および深度画像を合成することで、表示画像を生成する(ステップS64)。そして、表示制御部5110は、表示画像を表示するための表示信号を表示装置520に出力する(ステップS65)。
【0060】
《作用・効果》
このように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、制御装置540は、バケット姿勢情報と、地形情報である深度情報とに基づいて、バケット133の刃先を施工対象の地表面に投影した点を表す下方投影線F1を含む刃先位置画像を生成する。これにより、表示装置520には、掘削面より手前側の地表面に下方投影線F1が表示されるため、下方投影線F1と掘削面との距離を目視することで、バケット133と掘削面との距離を認識することができる。
【0061】
また、第2の実施形態によれば、制御装置540は、深度情報のうち作業機130の影となる占有領域を補完し、これに基づいて刃先位置画像を生成する。これにより、深度情報の一部が作業機130の影となる場合にも、適切に刃先位置画像を生成することができる。なお、他の実施形態においては、深度検出装置126を作業機130の側面より外側に設け、刃先を施工対象に投影した線の一部が深度検出装置126の検出範囲R2に含まれるようにすることで、制御装置540が占有領域の補完処理を行わないようにしてもよい。
【0062】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
【0063】
上述の実施形態に係る表示情報は、撮像画像と深度画像とを重ね合わせたものであるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る表示情報は、撮像画像に代えて三次元マップMまたは深度情報、および作業機械100のモデルから生成されたコンピュータグラフィックスを含むものであってもよい。
【0064】
上述の実施形態に係る制御装置540は、刃先位置画像と深度画像とを別個に生成するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置540は、格子テクスチャTが投影された三次元マップMまたは深度情報と刃先位置図形Fとを一緒にレンダリングすることで、格子テクスチャTと刃先位置図形Fとが写る深度画像を生成してもよい。
また、他の実施形態に係る制御装置540は、撮像画像に刃先位置画像と深度画像とを重ね合わせるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置540は、撮像画像に刃先位置画像および深度画像の一方だけを重ね合わせてもよい。なお、刃先位置画像は、三次元マップMに基づいて生成された深度を表す画像であるため、深度画像の一例でもある。
【0065】
他の実施形態に係る刃先位置図形Fは、必ずしも下方投影線F1、下方延長線F2、下方補助線F3、前方投影線F4、前方延長線F5、および前方補助線F6のすべてを含むものでなくてもよい。また、他の実施形態に係る刃先位置図形Fは、他の図形であってもよい。例えば、刃先位置図形Fは、バケット133の形状を投影したバケット影図形、バケット133の刃先の中心点を投影した刃先中心プロットなどの他の図形であってよい。
なお、バケット133の形状を地表面に投影したバケット影図形、およびバケット133の刃先の中心点を地表面に投影した刃先中心プロットは、いずれも地表投影図形の一例である。また、バケット133の形状を掘削面に投影したバケット影図形、およびバケット133の刃先の中心点を掘削面に投影した刃先中心プロットは、いずれも前方投影図形の一例である。
【0066】
上述の実施形態に係る制御装置540は、刃先位置画像および深度画像から占有領域に係る部分を除去して撮像画像に重ね合わせるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置540は、刃先位置画像および深度画像から占有領域に係る部分を除去することなく撮像画像に重ね合わせて表示画像を生成してもよい。この場合、撮像画像のうち作業機130が写る部分にも、当該作業機130に隠れた刃先位置図形Fおよび深度を表す格子テクスチャTが描画されることとなる。これにより、オペレータは、作業機130に隠れた部分についても遠近感を持つことができる。
【0067】
上述の実施形態において制御装置540による深度画像の計算に用いられる深度情報および三次元マップMは、制御装置540の操作対象となる作業機械100に搭載された深度検出装置126によって検出されたものであるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置540は、他の作業機械100に搭載された深度検出装置126、またはドローンなどの他の装置に搭載された深度検出装置126によって検出された深度情報を用いて深度画像を計算してよい。この場合、制御装置540は、他の作業機械100に搭載された深度検出装置126、またはドローンなどの他の装置に搭載された深度検出装置126によって検出された深度情報を用いて三次元マップMを生成してもよい。
【0068】
上述の実施形態においては、制御装置540が表示制御装置として機能するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る作業システム1では、制御装置127が表示制御装置として機能してもよい。すなわち、他の実施形態に係る作業システム1は、制御装置127が深度画像を生成し、当該深度画像を遠隔運転室500の表示装置520に表示させるものであってもよい。また、他の実施形態においては、表示制御装置が作業機械100および遠隔運転室500と別個に設けられていてもよい。また、他の実施形態においては、表示制御装置のいくつかの機能部が遠隔運転室500に設けられ、残りの機能部が作業機械100に設けられていてもよい。この場合、作業機械100と遠隔運転室500の組み合わせによって表示制御装置が実現される。
【符号の説明】
【0069】
1…作業システム 100…作業機械 110…走行体 120…旋回体 121…運転室 122…撮像装置 123…位置方位演算器 124…傾斜計測器 125…油圧装置 126…深度検出装置 127…制御装置 130…作業機 131…ブーム 132…アーム 133…バケット 134…ブームシリンダ 135…アームシリンダ 136…バケットシリンダ 137…ブーム角度センサ 138…アーム角度センサ 139…バケット角度センサ 350…アクセスポイント 500…遠隔運転室 510…運転席 520…表示装置 530…操作装置 540…制御装置 5100…プロセッサ 5200…メインメモリ 5300…ストレージ 5400…インタフェース 5101…検出情報取得部 5102…座標変換部 5103…マップ生成部 5104…作業機姿勢特定部 5105…撮像範囲特定部 5106…刃先位置図形生成部 5107…深度画像生成部 5108…占有領域特定部 5109…表示画像生成部 5110…表示制御部 5111…操作信号入力部 5112…操作信号出力部 5113…占有領域補完部 5201…マップ記憶部 R1…撮像範囲 R2…検出範囲 C…レンダリングカメラ M…三次元マップ F…刃先位置図形 F1…下方投影線 F2…下方延長線 F3…下方補助線 F4…前方投影線 F5…前方延長線 F6…前方補助線 T…格子テクスチャT