(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】実装関連装置及び実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20231024BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/02 Z
(21)【出願番号】P 2019131065
(22)【出願日】2019-07-16
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 健二
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/051498(WO,A1)
【文献】特開2019-006238(JP,A)
【文献】特開2023-028403(JP,A)
【文献】国際公開第2019/159319(WO,A1)
【文献】特開2019-089461(JP,A)
【文献】特開2017-087524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を実装対象物に実装する処理に関連する実装関連処理を実行する処理部と、
前記実装関連処理に用いる部材を運搬する飛行体が離着陸する離着陸部と、
前記部材を用いて前記処理部に前記実装関連処理を実行させる制御部と、
(1)~(2)のいずれか1以上を更に備え
た実装関連装置であって、
前記離着陸部は、前記実装関連装置の筐体の上面に設けられている、実装関連装置。
(1)前記離着陸部に配設され前記飛行体への電力を供給する給電部。
(2)前記離着陸部に配設され該離着陸部の位置を発信する位置発信部。
【請求項2】
部品を実装対象物に実装する処理に関連する実装関連処理を実行する処理部と、
前記実装関連処理に用いる部材を運搬する飛行体が離着陸する離着陸部と、
前記部材を用いて前記処理部に前記実装関連処理を実行させる制御部と、
前記離着陸部に配設され該離着陸部の位置を発信する位置発信部と、を備え、
前記位置発信部は、ビーコンである、実装関連装置。
【請求項3】
前記給電部は、非接触式の送電部であるか、又は前記飛行体に設けられた接続部に接続される接触式の送電部である、請求項1に記載の実装関連装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の実装関連装置であって、
前記実装関連装置の筐体の上面に設けられ前記飛行体が運搬した部材を配置する配置部、を備えた実装関連装置。
【請求項5】
部品を実装対象物に実装する処理に関連する実装関連処理を実行する処理部と、
前記実装関連処理に用いる部材を運搬する飛行体が離着陸する離着陸部と、
前記部材を用いて前記処理部に前記実装関連処理を実行させる制御部と、
前記離着陸部に配設され該離着陸部の位置を発信する位置発信部と、を備えた実装関連装置と、
前記実装関連処理に用いる部材を運搬し前記離着陸部に離着陸する飛行体と、
前記位置発信部からの信号を受信し前記離着陸部の位置を特定して管理する管理装置と、を備えた実装システム。
【請求項6】
請求項5に記載の実装システムであって、
前記飛行体が運搬した部材を該部材の使用位置へ移動する移動型作業装置、
を備えた実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、実装関連装置及び実装システムを開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、実装システムとしては、部品が格納されている部品格納部と基板作業装置の必要物品情報に基づいて搬送物品を保持した状態で部品格納部から所定の基板作業装置に対応する所定の位置に飛行することにより搬送物品を乾燥する部品搬送飛行体を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この実装装置では、作業者の作業負担を低減すると共に、部品を搬送する時間をより短縮することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された実装システムでは、飛行体の飛行継続に伴う動力の確保については考慮されていなかった。また、実装装置の位置が変更された場合などにおいて、飛行体の離着陸の位置の変更についても考慮されていなかった。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、実装関連処理に用いる部材をより効率よく運搬することができる実装関連装置及び実装システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する実装関連装置及び実装システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の実装関連装置は、
部品を実装対象物に実装する処理に関連する実装関連処理を実行する処理部と、
前記実装関連処理に用いる部材を運搬する飛行体が離着陸する離着陸部と、
前記部材を用いて前記処理部に前記実装関連処理を実行させる制御部と、
(1)~(2)のいずれか1以上を更に備えている。
(1)前記離着陸部に配設され前記飛行体への電力を供給する給電部。
(2)前記離着陸部に配設され該離着陸部の位置を発信する位置発信部。
【0008】
この実装関連装置では、離着陸部に配設され飛行体への電力を供給する給電部か、離着陸部に配設されこの離着陸部の位置を発信する位置発信部かのいずれかを備えている。給電部があれば、離着陸部へ着陸中に飛行体へ電力を供給することができるため、飛行体の飛行をより長時間継続することができる。また、位置発信部があれば、実装関連装置の組み替え移動が行われた場合でも、何処に対象の離着陸部が配置されているかを把握することができる。したがって、この実装関連装置では、実装関連処理に用いる部材をより効率よく運搬することができる。
【0009】
本開示の実装関連装置において、前記離着陸部は、前記実装関連装置の筐体の上面に設けられているものとしてもよい。この実装関連装置では、飛行体がより容易に離着陸することができる。
【0010】
本開示の実装関連装置は、前記実装関連装置の筐体の上面に設けられ前記飛行体が運搬した部材を配置する配置部、を備えたものとしてもよい。この実装関連装置では、離着陸部に飛行体が着陸し、配置部に部材を配置することができる。
【0011】
本開示の実装関連装置において、前記給電部は、非接触式の送電部であるか、又は前記飛行体に設けられた接続部に接続される接触式の送電部であるものとしてもよい。この実装関連装置では、非接触式又は接触式により飛行体へ電力を供給することができる。
【0012】
本開示の実装関連装置において、前記位置発信部は、ビーコンであるものとしてもよい。この実装関連装置では、ビーコンを用いた簡潔なシステムにより、離着陸部の位置を把握することができる。
【0013】
本開示の実装システムは、上述したいずれかに記載の実装関連装置と、前記実装関連処理に用いる部材を運搬し前記離着陸部に離着陸する飛行体と、を備えたものである。この実装システムでは、上述した実装関連装置と同様に、実装関連処理に用いる部材をより効率よく運搬することができる。
【0014】
本開示の実装システムは、前記位置発信部からの信号を受信し前記離着陸部の位置を特定して管理する管理装置を備えたものとしてもよい。この実装システムでは、管理装置により離着陸部の位置を管理することができ、飛行体を目的の離着陸部へ移動させることができる。
【0015】
本開示の実装システムは、前記飛行体が運搬した部材を該部材の使用位置へ移動する移動型作業装置を備えたものとしてもよい。この実装システムでは、移動型作業装置によって部材を処理部で利用することができる。なお、部材の使用位置としては、実装関連処理を実行する処理部や処理部の近傍などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】工場1に設置された実装システム10の構成の概略の一例を表す説明図。
【
図2】実装装置15の構成の概略の一例を表す説明図。
【
図3】記憶部19aに記憶された位置関係情報19bの説明図。
【
図4】位置更新処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。
図1は、本開示である工場1に設置された実装システム10の構成の概略の一例を表す説明図である。
図2は、実装装置15の構成の概略の一例を表す説明図であり、
図2Aが実装装置15の説明図、
図2Bが飛行体40の着陸時の説明図である。
図3は、ホストPC19の記憶部19aに記憶された位置関係情報19bの説明図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図1、2に示した通りとする。
【0018】
実装システム10は、例えば、実装対象物としての基板Sに部品を実装処理する実装装置15が基板Sの搬送方向に配列された生産ラインとして構成されている。ここでは、実装対象物を基板Sとして説明するが、実装処理に関連する実装関連処理に用いられるものであれば特に限定されず、3次元形状の基材としてもよい。
図1に示すように、工場1には、複数の生産ラインとしての実装システム10が配列されている。この実装システム10は、
図1に示すように、印刷装置11と、印刷検査装置12と、搬送装置13と、実装装置15と、ローダ18と、ホストPC19と、飛行体40とを含んで構成されている。印刷装置11は、基板Sにはんだペーストなどを印刷する装置である。印刷検査装置12は、印刷されたはんだの状態を検査する装置である。搬送装置13は、装置間で基板Sを搬送する装置である。ここで、部品を実装対象物に実装する実装処理に関連する実装関連処理には、はんだや接着剤などの粘性流体を印刷する印刷処理や、部品を実装する実装処理、実装対象物を検査する検査処理、実装済みの実装対象物をリフローするリフロー処理、実装対象物を所定のレーンで搬送させる搬送処理などが含まれる。また、実装関連装置には、例えば、印刷装置11、印刷検査装置12、搬送装置13、実装装置15、図示しない実装検査装置やリフロー装置などが含まれる。ここでは、具体例として、飛行体40が実装装置15にフィーダ17を運搬し、ローダ18がフィーダ17を実装装置15の装置外と装置内とで移動することを主として説明する。
【0019】
実装装置15は、部品を採取して基板Sへ実装させる装置である。実装装置15は、実装制御部20と、基板処理部24と、部品供給部25と、実装部26と、操作パネル27とを備える。また、実装装置15は、実装関連処理に用いられる部材を運搬する飛行体40に関する構成を備えている。実装装置15の筐体の上面30には、離着陸部31と、配置部35とを備えている。実装制御部20は、基板Sや部品などの部材を用いて処理部としての実装部26に実装関連処理を実行させるユニットである。この実装制御部20は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、記憶部を有し、装置全体の制御を司る。この実装制御部20は、基板処理部24や部品供給部25、実装部26、操作パネル27へ制御信号を出力する一方、基板処理部24や部品供給部25、実装部26、操作パネル27からの信号を入力する。記憶部には、実装条件情報などが記憶されている。実装条件情報は、部品を採取するフィーダ17の装着位置、部品の採取順、部品を基板Sへ実装する配置順、配置位置などの情報を含む。
【0020】
基板処理部24は、基板Sの搬入、搬送、実装位置での固定、搬出を行うユニットである。基板処理部24は、
図3の前後に間隔を開けて設けられ左右方向に架け渡された1対のコンベアベルトを有している。基板Sはこのコンベアベルトにより搬送される。部品供給部25は、実装部26へ部品を供給するユニットである。この部品供給部25は、部品を保持した保持部材としてのテープを巻き付けたリールを含むフィーダ17を1以上の装着部に装着している。実装部26は、実装関連処理を実行する処理部として構成され、部品を部品供給部25から採取し、基板処理部24に固定された基板Sへ配置するユニットである。実装部26は、実装ヘッドと、実装ヘッドをXY方向に移動する移動部と、実装ヘッドに装着された採取部材としてのノズルと、を備えている。なお、部品を採取する採取部材は、ノズルのほか部品を機械的に保持するメカニカルチャックなどとしてもよい。操作パネル27は、画面を表示する表示部と、作業者が操作し各種指令を入力する操作部とを備える。
【0021】
離着陸部31は、実装関連処理に用いる部材を運搬する飛行体40が離着陸する場所である。この離着陸部31は、実装装置15の筐体の上面30に設けられている。この離着陸部31には、給電部32や位置発信部34が配設されている。給電部32は、離着陸部31に配設され飛行体40への電力を供給するものである。給電部32は、飛行体40が備える蓄電池を充電するものであり、飛行体40に設けられた接続部に接続される接触式の送電部として構成されている。この給電部32は、複数の端子33を有している。給電部32は、この端子33が飛行体40の接続部としての脚部41に接触して飛行体40の蓄電池を充電する。飛行体40は、4本の脚部41を有しており、給電部32は、これに合わせて4つの端子33を備える。位置発信部34は、離着陸部31に配設され、この離着陸部31の位置を発信する装置である。位置発信部34は、位置信号を発信するビーコンとして構成されている。
【0022】
配置部35は、実装装置15などの実装関連装置の筐体の上面に設けられ飛行体40が運搬した部材を配置する場所として構成されている。
図1,2では省略したが、配置部35は、部品供給部25に備えられている装着部を配設し、フィーダ17が運搬、装着されるものとしてもよい(
図1,2参照)。なお、配置部35には、フィーダ17以外の部材、例えば、ノズルを配列したノズルステーションや、実装ヘッドなどが載置されるものとしてもよい。配置部35には、位置発信部36が配設されている。位置発信部36は、配置部35に配設され、この配置部35の位置を発信する装置である。位置発信部36は、位置発信部34と同様に、位置信号を発信するビーコンとして構成されている。位置発信部34や位置発信部36には、それぞれに固有の識別情報(ID)が付与されており、それぞれを識別可能になっている。
【0023】
ローダ18は、移動型作業装置であり、実装システム10の正面の移動領域内(
図1の点線参照)で移動し、実装装置15のフィーダ17を自動で回収及び補給する装置である。このローダ18は、飛行体40が配置部35へ運搬した部材を実装部26へ移動する作業や、実装部26の部材を配置部35へ移動する作業を実行する。このローダ18は、移動制御部と、収容部と、交換部と、移動部と、通信部とを備えている。移動制御部は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、装置全体の制御を司る。この移動制御部50は、フィーダ17を部品供給部25から回収し又はフィーダ17を部品供給部25へ補給するよう、フィーダ17を移動させる。収容部は、フィーダ17を収容する収容空間を有する。交換部は、フィーダ17を出し入れすると共に上下段に移動させる機構である(
図2参照)。交換部は、フィーダ17をクランプするクランプ部と、クランプ部をY軸方向(前後方向)に移動させるY軸スライダと、クランプ部をZ軸方向(上下方向)に移動させるZ軸スライダとを有している。移動部は、実装装置15の正面に配設されたX軸レールに沿ってローダ18をX軸方向(左右方向)へ移動させる機構である。実装システム10では、ローダ18によってフィーダ17の自動交換を実現している。
【0024】
ホストPC19は、実装システム10の各装置の情報を作成し管理する管理装置として構成されている。ホストPC19は、位置発信部34,36からの信号に基づいて離着陸部31や配置部35の現在位置を特定して管理する。ホストPC19は、装置全体の制御を司る管理制御部と、各種情報を記憶する記憶部19aと、実装装置15、飛行体40、ローダ18などの外部装置と双方向通信を行う通信部と、画面を表示する表示部と、各種指令を入力する入力装置とを備えている。ホストPC19は、
図3に示すように、各実装装置15の離着陸部31や配置部35の位置を含む位置関係情報19bをデータベースとして記憶部19aに記憶、管理している。位置関係情報19bには、各位置発信部34,36のIDと、各位置発信部34,36の装置名(装置ID)と、現在の位置とを対応付けて記憶している。実装システム10では、
図1の工場1の柱2にビーコンからの電波を受信する受信器が設置されており、ビーコンから受信器に信号を送りその信号強度判別を元に各々の装置位置を特定する。ホストPC19は、柱2に設置された受信器から各ビーコンの位置情報を受信し、各装置の位置を特定し、位置関係情報19bで管理する。そして、ホストPC19は、位置関係情報19bに含まれる位置情報に基づいて、飛行体40の出発位置、到着位置を指定する。
【0025】
飛行体40は、フィーダ17や、実装システム10で用いられる部材などを図示しない倉庫と各装置との間で自動運搬するものである。この飛行体40は、ドローンとして構成されているものとしてもよい。飛行体40は、各装置の配置部35に部材を載置したのち、離着陸部31に離着陸する。また、飛行体40は、離着陸部31から離陸したのち、配置部35に載置された使用後の部材を受け取り、倉庫へ移動する。この飛行体40は、脚部41と、支持部42と、プロペラ43と、本体と、蓄電池とを備えている。脚部41は、着陸時に本体を支える部材である。この脚部41には、先端に充電用の端子を備えており、給電部32の端子33と接触して蓄電池が充電される。支持部42は、運搬対象の部材を支持するアームとして構成されており、図示しない駆動部により駆動され、部材を支持する支持位置と部材を離す支持開放位置との間で移動する。プロペラ43は、蓄電池から電力が供給された、図示しないモータにより回転駆動される。飛行体40は、プロペラ43の回転により飛行する。飛行体40は、実装装置15の離着陸部31や、図示しない倉庫に配設された離着陸部に待機する。これらの離着陸部には、給電部が設けられており、常時、蓄電池を充電可能となっている。
【0026】
次に、こうして構成された本実施形態の実装システム10の動作、特に、ホストPC19が実行する、各装置の位置更新処理について説明する。実装システム10では、生産する基板Sに応じて、印刷装置11、実装装置15などの数やレイアウトを変更する。このため、ホストPC19は、定期的に位置関係情報19bを更新する処理を行う。
図4は、位置更新処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、記憶部19aに記憶され、所定のタイミング、例えば、始業時や、生産開始前などに実行される。このルーチンを開始すると、ホストPC19のCPUは、まず、位置更新対象の位置発信部を設定する(S100)。この設定は、位置発信部IDの順としてもよい。次に、CPUは、柱2に設置された受信機からの情報に基づいて、この位置発信部の現在位置を取得する(S110)。続いて、CPUは、位置変更があったか否かを、位置関係情報19bの内容と比べることにより判定し(S120)、位置変更があったときには、変更後の位置を位置関係情報19bに記憶する(S130)。S130のあと、または、S120で位置変更がないときには、CPUは、全ての位置発信部の位置検索を完了したか否かを判定し(S140)、全ての位置検索を完了していないときには、S100以降の処理を繰り返し実行する。一方、S140で全ての位置検索を完了したときには、そのままこのルーチンを終了する。このように、実装システム10では、各実装装置15の離着陸部31や配置部35の位置が自動で特定可能になるのである。
【0027】
次に、こうして構成された本実施形態の実装システム10の動作、特に、ホストPC19が実行する各装置の位置更新処理について説明する。実装システム10では、生産する基板Sに応じて、印刷装置11、実装装置15などの数やレイアウトを変更する。このため、ホストPC19は、定期的に位置関係情報19bを更新する処理を行う。
図4は、位置更新処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、記憶部19aに記憶され、所定のタイミング、例えば、始業時や、生産開始前などに実行される。このルーチンを開始すると、ホストPC19のCPUは、まず、位置更新対象の位置発信部を設定する(S100)。この設定は、位置発信部IDの順としてもよい。次に、CPUは、柱2に設置された受信機からの情報に基づいて、この位置発信部の現在位置を取得する(S110)。続いて、CPUは、位置変更があったか否かを、位置関係情報19bの内容と比べることにより判定し(S120)、位置変更があったときには、変更後の位置を位置関係情報19bに記憶する(S130)。S130のあと、または、S120で位置変更がないときには、CPUは、全ての位置発信部の位置検索を完了したか否かを判定し(S140)、全ての位置検索を完了していないときには、S100以降の処理を繰り返し実行する。一方、S140で全ての位置検索を完了したときには、そのままこのルーチンを終了する。このように、実装システム10では、各実装装置15の離着陸部31や配置部35の位置が自動で特定可能になるのである。
【0028】
次に、こうして構成された本実施形態の実装システム10の動作、例えば、飛行体40がフィーダ17を運搬する処理について説明する。実装システム10が生産を開始したのち、ホストPC19は、各装置での部品の消費を管理し、部品切れが生じるフィーダ17のリストを作成する。ホストPC19は、そのリストに基づいて、飛行体40の移動経路を作成する。そして、ホストPC19は、その移動経路の情報を飛行体40へ送信する。飛行体40は、移動経路の情報に基づいて、プロペラ43を回転駆動し、フィーダ17を倉庫から実装装置15の配置部35へ移動させる。飛行体40は、フィーダ17を配置部35へ載置させると、その近傍の離着陸部31へ着陸し、待機すると共に、給電部32からの電力供給によって蓄電池の充電を行う。このように、実装システム10では、飛行体40により部材を運搬するため、フロアを走行して部材を運搬するのに比して、運搬装置や作業者などの干渉や接触などをより抑制することができる。
【0029】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の印刷装置11、印刷検査装置12、搬送装置13、実装装置15が本開示の実装関連装置に相当し、実装部26が処理部に相当し、離着陸部31が離着陸部に相当し、給電部32が給電部に相当し、位置発信部34が位置発信部に相当し、実装制御部20が制御部に相当し、飛行体40が飛行体に相当する。
【0030】
以上説明した本実施形態の実装関連装置としての実装装置15は、離着陸部31に配設され飛行体40への電力を供給する給電部32や、離着陸部31に配設されこの離着陸部31の位置を発信する位置発信部34を備えている。給電部32があれば、離着陸部31へ着陸中に飛行体40へ電力を供給することができるため、飛行体40の飛行をより長時間継続することができる。また、位置発信部34があれば、実装システム10の装置組み替え移動が行われた場合でも、何処に対象の離着陸部31が配置されているかを把握することができる。したがって、この実装装置15では、実装関連処理に用いる部材をより効率よく運搬することができる。
【0031】
また、離着陸部31は、実装装置15の筐体の上面30に設けられている。この実装装置15では、飛行体40がより容易に離着陸することができる。更に、実装装置15は、飛行体40が運搬した部材を配置する配置部35を筐体の上面30に設けている。この実装装置15では、離着陸部31に飛行体40が着陸し、配置部35に部材を配置することができる。更にまた、給電部32は、飛行体40に設けられた接続部としての脚部41に接続される接触式の送電部である。この実装装置15では、接触式の給電部により飛行体40へ電力を供給することができる。そして、位置発信部34は、ビーコンであるため、ビーコンを用いた簡潔なシステムにより、離着陸部31の位置を把握することができる。そしてまた、配置部35は、位置発信部36が配設されているため、何処に対象の配置部35が配置されているかを把握することができる。
【0032】
また、実装システム10は、上述した実装関連装置である実装装置15と、実装関連処理に用いる部材を運搬し離着陸部31に離着陸する飛行体40と、を備えている。この実装システム10では、上述した実装装置15と同様に、実装関連処理に用いる部材をより効率よく運搬することができる。更に、実装システム10は、位置発信部34からの信号を受信し離着陸部31の位置を特定して管理する管理装置としてのホストPC19を備える。この実装システム10では、ホストPC19により離着陸部31の位置を管理することができ、飛行体40を目的の離着陸部31へ移動させることができる。更にまた、実装システム10は、飛行体40が運搬した部材を処理部としての実装部26へ移動する移動型作業装置としてのローダ18を備える。この実装システム10では、ローダ18によって部材を実装部26で利用することができる。
【0033】
なお、本開示の実装関連装置は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、実装装置15は、給電部32及び位置発信部34を備えるものとしたが、給電部32及び位置発信部34の一方を省略してもよい。給電部32があれば、飛行体40の蓄電池を充電することができ、位置発信部34があれば、実装装置15を移動してもその位置を把握することができる。
【0035】
上述した実施形態では、配置部35に運搬した部材を配置するものとしたが、特にこれに限定されず、離着陸部31に部材を配置してもよい。この実装装置15によっても、給電部32によって飛行体40へ電力を供給することができるし、位置発信部34によって何処に対象の離着陸部31が配置されているかを把握することができる。
【0036】
上述した実施形態では、給電部32は、接触式の送電部としたが、特にこれに限定されず、給電部は、非接触式の送電部としてもよい。この実装装置15によっても、給電部32によって飛行体40へ電力を供給することができるし、位置発信部34によって何処に対象の離着陸部31が配置されているかを把握することができる。
【0037】
上述した実施形態では、位置発信部34、36はビーコンであるものとしたが、離着陸部31や配置部35の位置を特定できるものであれば、特にこれに限定されない。例えば、位置発信部34は、GPSを用いた装置としてもよい。なお、室内で且つ比較的狭い領域での位置特定には、ビーコンが好ましい。
【0038】
上述した実施形態では、ホストPC19が位置関係情報19bを管理するものとしたが、特にこれに限定されず、ホストPC19以外の装置で位置関係情報19bを管理してもよいし、この位置関係情報19bの管理やホストPC19を省略してもよい。この実装装置15によっても、給電部32があれば飛行体40へ電力を供給することができる。
【0039】
上述した実施形態では、移動型作業装置としてのローダ18を備え、配置部35上にあるフィーダ17をローダ18が部品供給部25へ移動するものとしたが、特にこれに限定されず、ローダ18を省略して作業者がフィーダ17を移動するものとしてもよい。この実装装置15においても、フィーダ17が実装装置15まで自動運搬されるので、作業者の作業負担をより低減することができる。
【0040】
上述した実施形態では、飛行体40が運搬する部材をフィーダ17として説明したが特にこれに限定されない。また、実装関連装置として実装装置15を主として説明したが、特にこれに限定されない。実装関連装置としては、印刷装置11、印刷検査装置12、搬送装置13、実装検査装置、リフロー装置などが挙げられ、飛行体40は、これらの装置が利用する部材を運搬するものとすればよい。例えば、印刷装置11では、はんだペーストカートリッジや、マスク、マスクの清掃部材、基板支持用のバックアップピンなどが挙げられる。実装装置15では、部品を採取する採取部材や、採取部材を収容するステーション、実装ヘッド、基板支持用のバックアップピンなどが挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本開示の実装関連装置は、部品を実装対象物に配置する実装処理に関する装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 工場、2 柱、10 実装システム、11 印刷装置、12 印刷検査装置、13 搬送装置、15 実装装置、17 フィーダ、18 ローダ、19 ホストPC、19a 記憶部、19b 位置関係情報、20 実装制御部、24 基板処理部、25 部品供給部、26 実装部、27 操作パネル、30 上面、31 離着陸部、32 給電部、33 端子、34 位置発信部、35 配置部、36 位置発信部、40 飛行体、41 脚部、42 支持部、43 プロペラ、S 基板。