(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】基板の偏芯低減方法およびティーチング装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/68 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
H01L21/68 F
(21)【出願番号】P 2019149708
(22)【出願日】2019-08-19
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】猶原 英司
(72)【発明者】
【氏名】増井 達哉
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-148414(JP,A)
【文献】特開2015-211205(JP,A)
【文献】特開2015-119066(JP,A)
【文献】特開2016-063028(JP,A)
【文献】国際公開第2014/069291(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0174763(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁にノッチを有する基板を水平に保持し、鉛直方向に沿う回転軸のまわりで前記基板を回転させる第1工程と、
前記基板の前記周縁と鉛直方向において対向するカメラが前記基板の回転中に前記基板の前記周縁を順次に撮像して、互いに直交する第1軸および第2軸を含む2次元の複数の画像を取得する第2工程と、
前記複数の画像の各々において前記基板の前記ノッチを検出するノッチ検出処理を行う第3工程と、
前記複数の画像内において前記第1軸に沿って延在する測定領域の前記第2軸における位置を、前記測定領域が前記複数の画像のいずれにおいても前記ノッチを含まずに前記基板の前記周縁を含むように設定する第4工程と、
前記複数の画像の各々を取得したときの前記基板の各回転位置と、前記複数の画像の各々の前記測定領域における前記基板の前記周縁の前記第1軸における位置とを含むプロット点に対して、曲線補間処理を行って正弦波形を求める第5工程と、
前記ノッチの位置を基準とした前記基板の偏芯を、前記第5工程によって求められた前記正弦波形に基づいて求める第6工程と、
前記第6工程によって求められた前記基板の偏芯を低減するように、前記ノッチの前記位置を基準として前記基板を移動させる第7工程と、
を備える、基板の偏芯低減方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板の偏芯低減方法であって、
前記第2工程において、前記カメラは第1回転角度ごとに前記基板の前記周縁を撮像し、
前記第4工程において、前記複数の画像
の一つに含まれる前記ノッチから第2回転角度ずれた領域を含む位置に前記測定領域を設定し、
前記第2回転角度は前記第1回転角度よりも小さい、基板の偏芯低減方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基板の偏芯低減方法であって、
前記測定領域の前記第2軸における画素数は2以上であり、
前記測定領域において前記第1軸に沿って並ぶ複数の画素を画素行と呼ぶと、
前記第3工程において、前記測定領域内の複数の画素行における前記基板の前記周縁の位置を平均して、前記測定領域内の前記基板の前記周縁の位置を求める、基板の偏芯低減方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の基板の偏芯低減方法であって、
前記曲線補間処理はスプライン補間を含む、基板の偏芯低減方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の基板の偏芯低減方法であって、
前記第1工程よりも前に実行され、前記カメラを、前記基板の前記周縁を撮像する位置に設定する工程と、
前記第2工程の後に実行され、前記カメラを取り外す工程と
をさらに備える、基板の偏芯低減方法。
【請求項6】
周縁にノッチを有する基板を水平に保持し、鉛直方向に沿う回転軸のまわりで前記基板を回転させる基板保持部を含む基板処理装置において、前記基板の偏芯を低減するティーチング装置であって、
前記基板の前記周縁と鉛直方向において対向し、前記基板の回転中に前記基板の前記周縁を順次に撮像して、互いに直交する第1軸および第2軸を含む2次元の複数の画像を取得するカメラと、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記カメラから入力された前記複数の画像の各々において前記基板の前記ノッチを検出するノッチ検出処理を行う第1工程と、
前記複数の画像内において前記第1軸に沿って延在する測定領域の前記第2軸における位置を、前記測定領域が前記複数の画像のいずれにおいても前記ノッチを含まずに前記基板の前記周縁を含むように設定する第2工程と、
前記複数の画像の各々を取得したときの前記基板の各回転位置と、前記複数の画像の各々の前記測定領域における前記基板の前記周縁の前記第1軸における位置とを含むプロット点に対して、曲線補間処理を行って正弦波形を求める第3工程と、
前記ノッチの位置を基準とした前記基板の偏芯を、前記第3工程によって求められた前記正弦波形に基づいて求める第4工程と、
前記第4工程によって求められた前記基板の偏芯を低減するように、前記ノッチの前記位置を基準として前記基板の位置を算出する第5工程と、
を実行する、ティーチング装置。
【請求項7】
請求項6に記載のティーチング装置であって、
前記カメラは前記基板処理装置に対して着脱可能である、ティーチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、基板の偏芯低減方法およびティーチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、円板状の基板を水平姿勢で保持しつつ、当該基板を水平面内で回転させる基板保持機構において、基板の偏芯を測定する技術が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1では、平面視において、基板の周縁と交差するようにラインセンサを設けている。ラインセンサは、その延在方向における基板の周縁の位置を、基板の回転中において所定の回転角度ごとに測定し、その測定値を制御部に出力する。ラインセンサは例えば基板の1度の回転ごとに基板の周縁の位置を測定する。
【0003】
基板の1回転中にラインセンサによって測定された測定値群(測定波形)は、基板の偏芯に応じた正弦波形状を有する。ただし、特許文献1では、基板の周縁にノッチが形成されているので、測定波形は、ノッチに対応する位置において正弦波形状からずれる。制御部は、測定波形のうちノッチに応じた測定値以外の測定値を用いて、基板の偏芯量(オフセット量)を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ラインセンサは1度ごとに基板の周縁を測定しているので、その測定波形には、ノッチに応じた凹部が含まれる。この凹部は基板の偏芯量の算出には用いられないので、このような測定は不要である。
【0006】
また、基板に対するラインセンサの設置位置は経時変化等により変動し得る。よって、ラインセンサの位置を基準として基板の偏芯量を低減しようとすると、高い精度で基板の偏芯量を低減することができない。
【0007】
そこで、本願は、ノッチを避けて基板の周縁の位置を測定でき、高い精度で基板の偏芯量を低減できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
基板の偏芯低減方法の第1の態様は、周縁にノッチを有する基板を水平に保持し、鉛直方向に沿う回転軸のまわりで前記基板を回転させる第1工程と、前記基板の前記周縁と鉛直方向において対向するカメラが前記基板の回転中に前記基板の前記周縁を順次に撮像して、互いに直交する第1軸および第2軸を含む2次元の複数の画像を取得する第2工程と、前記複数の画像の各々において前記基板の前記ノッチを検出するノッチ検出処理を行う第3工程と、前記複数の画像内において前記第1軸に沿って延在する測定領域の前記第2軸における位置を、前記測定領域が前記複数の画像のいずれにおいても前記ノッチを含まずに前記基板の前記周縁を含むように設定する第4工程と、前記複数の画像の各々を取得したときの前記基板の各回転位置と、前記複数の画像の各々の前記測定領域における前記基板の前記周縁の前記第1軸における位置とを含むプロット点に対して、曲線補間処理を行って正弦波形を求める第5工程と、前記ノッチの位置を基準とした前記基板の偏芯を、前記第5工程によって求められた前記正弦波形に基づいて求める第6工程と、前記第6工程によって求められた前記基板の偏芯を低減するように、前記ノッチの前記位置を基準として前記基板を移動させる第7工程と、を備える。
【0009】
基板の偏芯低減方法の第2の態様は、第1の態様にかかる基板の偏芯低減方法であって、前記第2工程において、前記カメラは第1回転角度ごとに前記基板の前記周縁を撮像し、前記第4工程において、前記複数の画像の一つに含まれる前記ノッチから第2回転角度ずれた領域を含む位置に前記測定領域を設定し、前記第2回転角度は前記第1回転角度よりも小さい。
【0010】
基板の偏芯低減方法の第3の態様は、第1または第2の態様にかかる基板の偏芯低減方法であって、前記測定領域の前記第2軸における画素数は2以上であり、前記測定領域において前記第1軸に沿って並ぶ複数の画素を画素行と呼ぶと、前記第3工程において、前記測定領域内の複数の画素行における前記基板の前記周縁の位置を平均して、前記測定領域内の前記基板の前記周縁の位置を求める。
【0011】
基板の偏芯低減方法の第4の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様にかかる基板の偏芯低減方法であって、前記曲線補間処理はスプライン補間を含む。
【0012】
基板の偏芯低減方法の第5の態様は、第1から第4のいずれか一つの態様にかかる基板の偏芯低減方法であって、前記第1工程よりも前に実行され、前記カメラを、前記基板の前記周縁を撮像する位置に設定する工程と、前記第2工程の後に実行され、前記カメラを取り外す工程とをさらに備える。
【0013】
ティーチング装置の第1の態様は、周縁にノッチを有する基板を水平に保持し、鉛直方向に沿う回転軸のまわりで前記基板を回転させる基板保持部を含む基板処理装置において、前記基板の偏芯を低減するティーチング装置であって、前記基板の前記周縁と鉛直方向において対向し、前記基板の回転中に前記基板の前記周縁を順次に撮像して、互いに直交する第1軸および第2軸を含む2次元の複数の画像を取得するカメラと、制御部とを備え、前記制御部は、前記カメラから入力された前記複数の画像の各々において前記基板の前記ノッチを検出するノッチ検出処理を行う第1工程と、前記複数の画像内において前記第1軸に沿って延在する測定領域の前記第2軸における位置を、前記測定領域が前記複数の画像のいずれにおいても前記ノッチを含まずに前記基板の前記周縁を含むように設定する第2工程と、前記複数の画像の各々を取得したときの前記基板の各回転位置と、前記複数の画像の各々の前記測定領域における前記基板の前記周縁の前記第1軸における位置とを含むプロット点に対して、曲線補間処理を行って正弦波形を求める第3工程と、前記ノッチの位置を基準とした前記基板の偏芯を、前記第3工程によって求められた前記正弦波形に基づいて求める第4工程と、前記第4工程によって求められた前記基板の偏芯を低減するように、前記ノッチの前記位置を基準として前記基板の位置を算出する第5工程と、を実行する。
【0014】
ティーチング装置の第2の態様は、第1の態様にかかるティーチング装置であって、前記カメラは前記基板処理装置に対して着脱可能である。
【発明の効果】
【0015】
基板の偏芯低減方法の第1の態様およびティーチング装置の第1の態様によれば、複数の画像のいずれにおいてもノッチを含まないように測定領域を設定している。よって、偏芯の算出に寄与しないノッチの基板の周縁の位置測定を回避できる。言い換えれば、複数の画像の全てを偏芯量の算出に寄与させることができる。
【0016】
しかも、ノッチの位置を基準として偏芯を求めているので、カメラの設置位置の変動に影響されずに、偏芯を低減できる。
【0017】
基板の偏芯低減方法の第2の態様によれば、定領域を簡易に設定できる。
【0018】
基板の偏芯低減方法の第3の態様によれば、周縁の位置を高い精度で求めることができる。
【0019】
基板の偏芯低減方法の第4の態様によれば、正弦波形をより高い精度で算出できる。
【0020】
基板の偏芯低減方法の第5の態様およびティーチング装置の第2の態様によれば、カメラを他の基板処理装置に設置できる。よって、当該他の基板処理装置における基板の偏芯を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】基板処理システムの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図3】基板処理装置の構成の一例を概略的に示す図である。
【
図4】基板処理システムの電気的な構成の一例を示す図である。
【
図5】基板Wの偏芯低減方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6】偏芯算出処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】測定領域内の基板の周縁の位置と回転位置との関係の一例を示すグラフである。
【
図11】基板搬送装置のハンドの上の基板の構成の一例を概略的に示す図である。
【
図12】比較例にかかる測定領域内の基板の周縁の位置を回転位置との関係の一例を示すグラフである。
【
図14】基板の偏芯低減方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化がなされるものである。また、図面に示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。
【0023】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0024】
<基板処理システムの概要>
図1は、基板処理システム100の構成の一例を概略的に示す図である。この基板処理システム100は、インデクサ部110と、処理ブロック120と、基板処理システム100を制御する制御部9とを含んでいる。
【0025】
インデクサ部110には、基板収容器111が載置されている。
図1の例では、複数の基板収容器111が一列に載置されている。各基板収容器111には、複数の基板Wが収納される。基板Wは例えば半導体基板である。基板Wが半導体基板である場合、基板Wは略円板状の形状を有している。基板収容器111としては、例えば、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(front opening unified pod)またはSMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッド、あるいは、収納した状態で基板Wを外気に曝すOC(open cassette)を採用することができる。各基板収容器111には、例えば、複数の基板Wが鉛直方向に並んで収納される。
【0026】
図2は、基板Wの構成の一例を概略的に示す図である。
図2に例示するように、基板Wの周縁には、ノッチNT1が形成されている。ノッチNT1は、基板Wの周縁に形成された凹部であり、平面視において基板Wの中心Q1側に凹んでいる。ノッチNT1は平面視において略V字状に形成される。このような基板Wは基板収容器111内において、そのノッチNT1の周方向の位置が互いに等しくなるように揃えられている。
【0027】
図1を参照して、インデクサ部110には、基板搬送装置112が設けられている。基板搬送装置112は例えば基板搬送ロボットであり、インデクサロボットと呼ばれ得る。基板搬送装置112は複数の基板収容器111の各々と基板Wの受け渡しを行う。
図1の例では、基板搬送装置112は、複数の基板収容器111が載置された領域に隣り合って設けられている。インデクサ部110には、基板搬送装置112を移動させる移動機構(不図示)が設けられる。この移動機構は、基板搬送装置112を基板収容器111の配列方向に沿って移動させ、複数の基板収容器111の各々と向かい合う位置で停止させる。基板搬送装置112は、基板収容器111の一つと向かい合う位置で停止した状態で、その一つの基板収容器111と基板Wの受け渡しを行うことができる。
【0028】
図1の例では、基板搬送装置112はハンドHを有しており、そのハンドHを基板収容器111内の未処理の基板Wの直下に移動させ、ハンドHを上昇させることで基板Wを持ち上げる。これにより、基板搬送装置112は基板収容器111から未処理の基板Wを取り出すことができる。
【0029】
基板搬送装置112は、例えば平面視において自転することにより、ハンドHの向きを変えることができる。基板搬送装置112は基板載置部PASSと向かい合う位置において、ハンドHを基板載置部PASS側に向けることができる。基板搬送装置112はハンドHを基板載置部PASSに移動させた上で下降させることにより、未処理の基板Wを基板載置部PASSに載置することができる。
【0030】
基板搬送装置112は基板WをハンドHに対して回転させない。つまり、基板搬送装置112はハンドHに対する基板WのノッチNT1の周方向の位置を維持しつつ基板Wを搬送する。よって、基板載置部PASSにおける基板WのノッチNT1の周方向の位置は予め決められた位置となる。なお、基板載置部PASSには、基板WのノッチNT1の周方向の位置を調整する調整機構が設けられもよい。当該調整機構は基板Wを水平面内で回転させる回転機構(例えばモータ)を含む。これにより、基板WのノッチNT1の位置決めを高い精度で行うことができる。よって、基板収容器111内における基板WのノッチNT1の周方向の位置がばらついている場合であっても、基板載置部PASSにおけるノッチNT1の周方向の位置を、高い精度で、予め決められた位置に調整できる。また、基板載置部PASSの調整機構は基板Wの平面視の位置を調整してもよい。
【0031】
基板載置部PASSはインデクサ部110と処理ブロック120との間に設けられている。基板載置部PASSは基板Wを載置することができ、インデクサ部110と処理ブロック120との間で基板Wを中継する。
【0032】
基板Wは処理ブロック120において種々の処理を施され、再び基板載置部PASSに載置される。基板搬送装置112は、基板載置部PASSに載置された処理済みの基板Wを、ハンドHで取り出し、その基板Wを基板収容器111に収納することができる。
【0033】
処理ブロック120は、インデクサ部110から基板載置部PASSを介して渡された基板Wに対して種々の処理を行う。
図1の例では、処理ブロック120は、基板搬送装置121と、複数の基板処理装置122とを含んでいる。基板搬送装置121は例えば基板搬送ロボットであり、センターロボットと呼ばれ得る。基板搬送装置121は基板載置部PASSおよび複数の基板処理装置122の各々と基板Wの受け渡しを行うことができる。
図1の例では、複数の基板処理装置122は基板搬送装置121を取り囲むように配置されている。
【0034】
基板搬送装置121は、例えば基板搬送装置112と同様にハンドHを含んでいる。基板搬送装置121はハンドHを基板載置部PASSに移動させた上でハンドHを昇降させることにより、基板載置部PASSと基板Wの受け渡しを行うことができる。
【0035】
また、基板搬送装置121は、例えば平面視において自転することにより、ハンドHの向きを変えることができる。基板搬送装置121はハンドHを基板処理装置122と対向させ、ハンドHを基板処理装置122に移動させる。基板搬送装置121はこの状態でハンドHを昇降させることにより、基板処理装置122と基板Wの受け渡しを行うことができる。
【0036】
基板搬送装置121は基板WをハンドHに対して回転させない。つまり、基板搬送装置121はハンドHに対する基板WのノッチNT1の周方向の位置を維持しつつ基板Wを搬送する。よって、搬入時における基板処理装置122内の基板WのノッチNT1の周方向の位置も予め決められた位置となる。
【0037】
基板処理装置122の各々は、基板搬送装置121から受け取った基板Wに対して処理を行う。この処理は特に限定される必要はないものの、例えば洗浄処理、成膜処理、熱処理、露光処理およびエッチング処理などの処理が挙げられる。基板搬送装置121は、基板処理装置122から受け取った処理済みの基板Wを他の基板処理装置122または基板載置部PASSに渡す。
【0038】
制御部9は、例えば、基板処理システム100に含まれた各部の動作を制御することができる。
図3は、基板処理システム100の電気的な構成の一例を概略的に示す図である。制御部9は電子回路であって、例えばデータ処理装置91および記憶媒体92を有していてもよい。
図3の例では、データ処理装置91と記憶媒体92とはバス93を介して相互に接続されている。データ処理装置91は例えばCPU(Central Processor Unit)などの演算処理装置であってもよい。記憶媒体92は非一時的な記憶媒体(例えばROM(Read Only Memory)またはハードディスク)921および一時的な記憶媒体(例えばRAM(Random Access Memory))922を有していてもよい。非一時的な記憶媒体921には、例えば制御部9が実行する処理を規定するプログラムが記憶されていてもよい。データ処理装置91がこのプログラムを実行することにより、制御部9が、プログラムに規定された処理を実行することができる。もちろん、制御部9が実行する処理の一部または全部がハードウェアによって実行されてもよい。
【0039】
制御部9の記憶媒体92には、基板搬送装置112用のティーチングデータ、および、基板搬送装置121用のティーチングデータが記憶されている。これらのティーチングデータは、それぞれ、基板搬送装置112および基板搬送装置121による基板Wの搬送経路を示している。制御部9は、記憶媒体92に記憶されたティーチングデータに基づいて基板搬送装置112および基板搬送装置121を制御する。
図3では、基板搬送装置112および基板搬送装置121がバス93に接続された態様が一例として概略的に示されている。なお、記憶媒体92とは別の記憶媒体が設けられる場合に、ティーチングデータは当該別の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0040】
<基板処理装置>
図4は、基板処理装置1の構成の一例を概略的に示す図である。基板処理装置1は上述の基板処理装置122の一つに相当する。基板処理装置1は基板Wに対して一枚ずつ処理を行う枚葉式の処理装置である。
【0041】
基板処理装置1は、基板Wを略水平姿勢で保持して基板Wを水平面内で回転させつつ、基板Wに対して種々の処理を行う。例えば基板処理装置1は回転中の基板Wの主面に対して処理液を供給する。基板Wの主面に着液した処理液は遠心力を受けて基板Wの主面から外側に飛散する。処理液が基板Wの主面に作用することにより、処理液に応じた処理を基板Wに対して行うことができる。処理液としては、例えば、エッチング液等の種々の薬液、もしくは、純水等のリンス液を採用することができる。
【0042】
ここでは、基板処理装置1は基板Wの主面の周縁部のみに対して処理液を供給して、基板Wの周縁部に対して処理を行う。例えば、基板Wの上面にレジストが形成されている場合には、そのレジストが基板Wの周縁部において盛り上がっている場合がある(いわゆるエッジビード)。処理液として当該レジストを除去可能な薬液を採用すれば、基板処理装置1は基板Wの周縁部に対して処理液を供給することにより、このエッジビードを除去することができる。また、基板Wの周縁部に金属などの不純物が付着する場合もある。このような場合、当該処理液として不純物を除去可能な薬液を採用することで、基板処理装置1は基板Wの周縁部の不純物を除去することができる。
【0043】
図4に例示するように、基板処理装置1は、チャンバー10内に、主たる要素として、基板保持部20と、処理液供給部30とを含んでいる。基板保持部20は基板Wを保持しつつ基板Wを回転させる。処理液供給部30は、基板保持部20に保持された基板Wの上面に処理液を供給する。また
図4の例では、チャンバー10内には、処理カップ40および仕切板15が設けられている。処理カップ40は基板保持部20の周囲を取り囲む。仕切板15は、チャンバー10内における処理カップ40の周囲において、チャンバー10の内側空間を上下に仕切る。
【0044】
チャンバー10は、鉛直方向に沿う側壁11、側壁11によって囲まれた空間の上方を閉塞する天井壁12および下方を閉塞する床壁13を含む。側壁11、天井壁12および床壁13によって囲まれた空間が基板Wの処理空間となる。また、チャンバー10の側壁11の一部には、チャンバー10に対して基板搬送装置121が基板Wを搬出入するための搬出入口およびその搬出入口を開閉するシャッターが設けられている(いずれも図示省略)。
【0045】
図4の例では、チャンバー10の天井壁12には、基板処理装置1が設置されているクリーンルーム内の空気をさらに清浄化してチャンバー10内の処理空間に供給するためのファンフィルタユニット(FFU)14が取り付けられている。ファンフィルタユニット14は、クリーンルーム内の空気を取り込んでチャンバー10内に送り出すためのファンおよびフィルタ(例えばHEPAフィルタ)を含んでおり、チャンバー10内の処理空間に清浄空気のダウンフローを形成する。ファンフィルタユニット14から供給された清浄空気を均一に分散するために、多数の吹出し孔を穿設したパンチングプレートを天井壁12の直下に設けても良い。
【0046】
基板保持部20は、保持した基板Wを回転軸Q2のまわりで回転させる。回転軸Q2は鉛直方向に略平行であり、基板Wの中央部を通る軸である。理想的には、基板Wの中心Q1は平面視において回転軸Q2と一致する。しかしながら、実際には基板Wの中心Q1は平面視において、回転軸Q2からずれ得る(いわゆる偏芯)。
【0047】
図1の例では、基板保持部20は、スピンチャック21と、回転機構22とを含んでいる。スピンチャック21は基板Wを略水平姿勢で保持する。ここでいう水平姿勢とは、基板Wの厚み方向が鉛直方向に沿う状態をいう。スピンチャック21は複数のチャックピンにより基板Wの周縁を保持してもよい。チャックピンの駆動は制御部9によって制御される。あるいは、スピンチャック21は例えば吸引チャックまたは静電チャック等により、基板Wの下面を吸着して基板Wを保持してもよい。スピンチャック21の吸引機構(不図示)または静電機構(不図示)は制御部9によって制御される。
【0048】
基板保持部20は、基板搬送装置121と基板Wの受け渡しを行うための3以上の昇降ピン(不図示)を含んでいてもよい。3以上の昇降ピンは回転軸Q2についての周方向において略等間隔に設けられる。この昇降ピンの昇降機構(不図示)も制御部9によって制御される。
【0049】
ここで、基板搬送装置121が基板Wを基板処理装置1に搬入する動作の一例について説明する。基板搬送装置121は、基板Wを保持したハンドHをチャンバー10内に移動させて、基板保持部20よりも鉛直上方の受渡位置で停止させる。この受渡位置は、制御部9の記憶媒体92に記憶された、基板搬送装置121用のティーチングデータによって規定される。
【0050】
また、基板処理装置1は昇降ピンを上昇させる。基板搬送装置121はこの状態でハンドHを受渡位置から下降させて、基板Wを昇降ピンの先端に載せる。これにより、基板搬送装置121から昇降ピンに基板Wが受け渡される。次に、基板搬送装置121はハンドHをチャンバー10の内部から外部へと移動させる。次に、昇降ピンが下降して、基板Wをスピンチャック21に渡す。スピンチャック21は基板Wを保持する。これにより、基板Wが基板処理装置1に搬入される。
【0051】
このとき、上記受渡位置が平面視において所定位置からずれていると、基板Wの中心Q1が回転軸Q2からずれることになる。なお、スピンチャック21がチャックピンにより基板Wの周縁を保持する場合には、チャック時において基板Wの偏芯を低減できるものの、上記受渡位置のずれが大きい場合には、スピンチャック21において偏芯を低減しきれずに偏芯が残り得る。また、スピンチャック21が吸引チャックまたは静電チャックにより基板Wの下面を吸着する場合には、上記受渡位置のずれがそのままスピンチャック21における基板Wの偏芯となる。
【0052】
次に、基板搬送装置121が基板Wを基板処理装置1から搬出する場合の動作の一例について説明する。スピンチャック21における基板Wの保持が解除された状態で昇降ピンが上昇することにより、昇降ピンはスピンチャック21に保持された基板Wを持ち上げることができる。この状態で、基板搬送装置121がハンドHを基板Wの直下に移動させ、ハンドHを上昇させて昇降ピンから基板Wを持ち上げる。次に、基板搬送装置121はハンドHをチャンバー10の外部へと移動させる。これにより、基板Wが基板処理装置1から搬出される。
【0053】
回転機構22はスピンチャック21を回転軸Q2のまわりで回転させる。これにより、スピンチャック21に保持された基板Wも回転軸Q2のまわりで回転する。
図4の例では、回転機構22は、モータ221と、シャフト222とを含んでいる。シャフト222は回転軸Q2に沿って延在し、その一端がスピンチャック21の下面に連結される。モータ221がシャフト222を回転軸Q2のまわりで回転させることにより、スピンチャック21および基板Wを回転軸Q2のまわりで回転させることができる。モータ221は制御部9によって制御される。
【0054】
処理液供給部30は、基板保持部20によって保持された基板Wの主面へと処理液を供給する。処理液としては、種々の薬液またはリンス液を採用することができる。処理液供給部30は基板Wの回転中に、例えば、基板Wの主面の周縁部のみに処理液を供給する。具体的には、処理液供給部30は基板Wの周縁部上の所定の着液位置に向かって処理液を供給する。基板Wは回転軸Q2のまわりで回転するので、当該着液位置は相対的に基板Wの周縁部を周回し、結果として、処理液が基板Wの周縁部の全周に供給される。処理液は基板Wの中央部には流れないので、基板処理装置1は基板Wの周縁部のみに対して処理を行うことができる。
【0055】
図4に例示するように、処理液供給部30は、ノズル31と、供給管32と、供給バルブ33と、処理液供給源34とを含んでいる。
図4の例では、ノズル31はノズル移動機構35に連結されている。ノズル移動機構35は例えばモータを含んでおり、ノズル31を処理位置と待機位置との間で移動させる。処理位置は、例えば、基板保持部20によって保持された基板Wよりも上方の位置であり、基板Wに対して処理液を吐出するときの位置である。ここでは、処理位置は、基板保持部20によって保持された基板Wの周縁部と鉛直方向において対向する位置である。待機位置は、処理位置に比べて、基板保持部20によって保持された基板Wから離れた位置であり、例えば基板保持部20によって保持された基板Wの直上空間を避けた位置である。ノズル移動機構35は制御部9によって制御される。
【0056】
ノズル31は供給管32を介して処理液供給源34に接続されている。供給バルブ33は供給管32の途中に設けられており、供給管32の内部の流路の開閉を切り替える。供給バルブ33は制御部9によって制御される。供給バルブ33が供給管32の流路を開くことにより、処理液供給源34からの処理液が供給管32を介してノズル31へ供給され、ノズル31の吐出口から基板Wに吐出される。供給バルブ33は、供給管32を流れる処理液の流量を調整可能なバルブであってもよい。
【0057】
処理液供給部30は複数種の処理液を供給可能であってもよい。例えば処理液供給部30は基板Wの周縁部に薬液を供給した後に、当該周縁部に第1リンス液を供給して薬液を洗い流してもよい。さらに、処理液供給部30は第1リンス液よりも揮発性の高い第2リンス液を基板Wの周縁部に供給し、第1リンス液を洗い流してもよい。これにより、基板Wの周縁部の上には第2リンス液が残留する。この第2リンス液の揮発性は高いので、速やかに基板Wを乾燥させることができる。
【0058】
図4の例では、基板処理装置1には処理カップ40が設けられている。処理カップ40は、チャンバー10内において基板保持部20を取り囲むように設けられる。処理カップ40は内カップ41、中カップ42および外カップ43を含んでいる。内カップ41、中カップ42および外カップ43は昇降機構44によって互いに独立に昇降可能に設けられている。昇降機構44は例えばボールねじ機構またはエアシリンダを含む。内カップ41、中カップ42および外カップ43が上昇した状態では、基板Wの周縁から飛散した処理液は内カップ41の内周面に当って落下する。落下した処理液は適宜に第1回収機構によって回収される。内カップ41が下降し、中カップ42および外カップ43が上昇した状態では、基板Wの周縁から飛散した処理液は中カップ42の内周面に当って落下する。落下した処理液は適宜に第2回収機構によって回収される。内カップ41および中カップ42が下降し、外カップ43が上昇した状態では、基板Wの周縁から飛散した処理液は外カップ43の内周面に当って落下する。落下した処理液は適宜に第3回収機構によって回収される。これによれば、異なる処理液をそれぞれ適切に回収することができる。
【0059】
仕切板15は、処理カップ40の周囲においてチャンバー10の内側空間を上下に仕切るように設けられている。仕切板15は、処理カップ40を取り囲む1枚の板状部材であっても良いし、複数の板状部材をつなぎ合わせたものであっても良い。
【0060】
仕切板15の外周端はチャンバー10の側壁11に連結されている。また、仕切板15の処理カップ40を取り囲む端縁部は外カップ43の外径よりも大きな径の円形形状となるように形成されている。よって、仕切板15が外カップ43の昇降の障害となることはない。
【0061】
また
図4の例では、チャンバー10の側壁11のうち床壁13の近傍には排気ダクト18が設けられている。排気ダクト18は図示省略の排気機構に接続されている。ファンフィルタユニット14から供給されてチャンバー10内を流下した清浄空気のうち、処理カップ40と仕切板15と間を通過した空気は排気ダクト18から装置外に排出される。
【0062】
制御部9は、基板処理装置1を統括的に制御することができる。例えば制御部9は基板保持部20、処理液供給部30、昇降機構44を制御することができる。
図3の例では、これらの各部がバス93に接続された態様が一例として概略的に示されている。制御部9は、より具体的には、例えば、スピンチャック21のチャック機構、回転機構22、供給バルブ33、ノズル移動機構35および昇降機構44を制御する。
【0063】
<基板処理装置1の動作の概要>
まず、チャンバー10のシャッターが開き、基板搬送装置121が当該シャッターを介して未処理の基板Wを基板保持部20に搬入する。次にシャッターが閉じ、ノズル移動機構35がノズル31を処理位置に移動させる。次に、回転機構22がスピンチャック21を回転軸Q2のまわりで回転させる。これにより、基板Wが回転軸Q2のまわりで回転する。次に、処理液供給部30は処理液を基板Wの主面に供給する。これにより、基板Wの主面に対して処理が行われる。処理液供給部30は例えば基板Wの周縁部のみに薬液を供給した後で、第1リンス液を当該周縁部に供給して、基板Wの周縁部上の薬液を洗い流す。次に、処理液供給部30は揮発性の高い第2リンス液を基板Wの周縁部に供給して第1リンス液を洗い流す。次に、回転機構22は基板Wの回転速度を増加させて、基板Wを乾燥させる(いわゆるスピン乾燥)。次に、シャッターを開き、基板搬送装置121が処理済みの基板Wを基板保持部20から搬出する。
【0064】
以上の動作により、基板処理装置1は基板Wに対する処理を行うことができる。
【0065】
<偏芯>
基板Wに対する上記処理において、基板Wの中心Q1が回転軸Q2と一致していれば、処理液の基板Wに対する径方向の着液位置は、基板Wの回転位置によらず一定となる。この場合には、基板Wの周縁部に対して等幅で処理液を供給することができる。しかしながら、基板Wの中心Q1が回転軸Q2からずれると、その着液位置は基板Wの回転位置に応じて径方向に変動する。
図2の例では、基板Wに対する処理液の着液位置LP1が模式的に示されている。また、
図2の例では、回転軸Q2のまわりに基板Wを半回転させたときの基板Wを二点鎖線で示している。基板Wの中心Q1の回転軸Q2からのずれ量(偏芯量)が大きくなると、基板Wの回転に伴う着液位置LP1の変動幅も大きくなり、基板Wの周縁部よりも内側に処理液がはみ出るおそれがある。基板Wの周縁部よりも内側の領域には、デバイスが形成され得るので、処理液が内側にはみ出すことは望ましくない。
【0066】
そこで、本実施の形態では、基板Wの偏芯を求め、当該偏芯に基づいて基板搬送装置121のティーチングデータ、より具体的には、基板搬送装置121が基板処理装置1に基板Wを受け渡す際の受渡位置を補正する。
【0067】
<ティーチング装置>
ここでは、ティーチング装置50が設けられる。作業員は、例えば基板処理装置1の据え付け時、または、基板処理装置1の据え付け後に定期的に、ティーチング装置50を用いて基板Wの偏芯量をチェックする。
【0068】
ティーチング装置50はカメラ51を含んでいる。カメラ51は基板処理装置1内(具体的には、チャンバー10内)に着脱可能に設置される。例えば固定部材52を介してカメラ51が基板処理装置1内に設置される。固定部材52は、着脱可能に基板処理装置1のチャンバー10内に固定される。着脱構造としては、例えばねじ、係止構造等の任意の着脱構造を採用することができる。チャンバー10の床壁13が軟磁性体で形成されている場合には、磁石を利用した着脱構造を採用してもよい。
【0069】
カメラ51は、基板保持部20によって保持された基板Wの周縁を撮像できる位置に設置される。具体的には、カメラ51は、基板保持部20によって保持された基板Wの周縁と鉛直方向において対向する位置に設置される。
図4の例では、カメラ51は、基板保持部20によって保持された基板Wよりも鉛直上方に位置している。このカメラ51の位置は処理カップ40よりも鉛直上方にある。
【0070】
カメラ51は制御部9と着脱可能に電気的に接続される。例えばカメラ51には配線が接続され、当該配線には、制御部9と接続可能なコネクタが設けられる。作業員は、カメラ51を基板処理装置1内に設置する際に、当該コネクタを制御部9に接続する。これにより、カメラ51が制御部9と電気的に接続する。なお、カメラ51は無線で制御部9と通信してもよい。
図3では、カメラ51がバス93に接続された態様が一例として概略的に示されている。
【0071】
カメラ51は例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサなどのイメージセンサを含む。当該イメージセンサに含まれる複数の受光素子は2次元的に配列されており、より具体的な一例としてマトリクス状に配列されている。よって、カメラ51は2次元の画像を取得する。
【0072】
カメラ51は、基板保持部20によって保持された基板Wの周縁を撮像して2次元の画像を取得する。カメラ51はこの画像を制御部9に出力する。
図2には、カメラ51の撮像領域IR1の一例が破線で示されている。この撮像領域IR1には、基板Wの周縁の一部が含まれており、基板Wの全体は含まれていない。
図2から理解できるように、基板Wの中心Q1が回転軸Q2からずれているときには、基板Wの回転に応じて、基板Wの周縁の位置が変動する。
【0073】
カメラ51の位置は設置時に変動するので、基板保持部20に対するカメラ51の位置も変動し得る。よって、基板Wに対する撮像領域IR1の位置も変動し得る。
【0074】
制御部9は、カメラ51から入力された複数の画像に基づいて、基板Wの偏芯(偏芯ベクトル)を求める。基板Wの偏芯は基板Wの偏芯量d1および偏芯角度θ1によって表現される(
図2も参照)。偏芯量d1は基板Wの中心Q1と回転軸Q2との間のずれ量(距離)である。偏芯角度θ1は、平面視において基板Wの中心Q1が回転軸Q2からどの方向にずれているのかを示す指標である。ここでは、偏芯角度θ1として、回転軸Q2とノッチNT1とを結ぶ仮想的な直線と、回転軸Q2と基板Wの中心Q1とを結ぶ仮想的な直線とがなす角度(0度≦θ1≦180度)を採用する。基板Wの偏芯の求め方については後に詳述する。
【0075】
制御部9は、求めた基板Wの偏芯に基づいて偏芯量d1を低減するように、基板搬送装置121用のティーチングデータ(より具体的には、上記受渡位置)を補正する。これにより、以後、基板搬送装置121はより適切な位置で基板Wを基板保持部20に渡すことができる。よって、基板Wの偏芯を低減することができる。
【0076】
なお、制御部9の偏芯算出機能およびティーチング補正機能はティーチング装置50に属している、ともいえる。当該偏芯算出機能およびティーチング補正機能は制御部9とは別体の制御部に実装されていてもよい。この場合、ティーチング装置50は、カメラ51および当該制御部によって構成され、当該制御部が制御部9と着脱可能に電気的に接続される。以下では、偏芯算出機能およびティーチング補正機能は制御部9に実装されているものとして説明する。
【0077】
<基板の偏芯低減方法>
図5は、基板Wの偏芯低減方法の一例を示すフローチャートである。まず、基板Wが基板処理装置1内に搬入される(ステップS1)。具体的には、基板搬送装置112が基板収容器111内の基板Wを取り出し、基板Wを基板載置部PASSに載置する。次に、基板搬送装置121が基板載置部PASSから基板Wを取り出し、基板Wを基板処理装置1に搬入する。このとき、受渡位置が所定位置からずれていると、結果として、基板保持部20は、基板Wの中心Q1が回転軸Q2からずれた状態で、基板Wを保持する。
【0078】
次に、作業員はティーチング装置50(カメラ51)を基板処理装置1のチャンバー10内に設置する(ステップS2)。具体的には、作業員は、基板Wよりも鉛直上方において基板Wの周縁と対向する位置にカメラ51を設置する。
【0079】
次に、偏芯算出処理が実行される(ステップS3)。偏芯算出処理とは、基板Wの偏芯を測定する処理である。この偏芯算出処理については後に詳述する。
【0080】
次に、制御部9は、ステップS3で求めた基板Wの偏芯量を低減するように、基板搬送装置121用のティーチングデータ(より具体的には、受渡位置)を補正し、当該ティーチングデータを更新して記憶媒体92に記憶する(ステップS4)。
【0081】
次に、作業員はティーチング装置50(カメラ51)を基板処理装置1のチャンバー10から取り外す(ステップS5)。
【0082】
<偏芯算出処理>
図6は、偏芯算出処理の具体的な一例を示すフローチャートである。まず基板保持部20が基板Wを回転軸Q2のまわりで回転させ始める(ステップS31)。
【0083】
次に、カメラ51が撮像領域IR1を撮像して画像IM1を取得する(ステップS32)。カメラ51はこの画像IM1を制御部9に出力する。カメラ51は例えば基板Wが所定の回転角度Δφ1だけ回転するたびに撮像を行う。ここでは、カメラ51が基板Wの定速回転中に所定の撮像周期で撮像を行うことによって、所定の回転角度Δφ1ごとの画像IM1を取得する。なお、基板Wを所定の回転角度Δφ1だけ回転させて静止させてからカメラ51が撮像を行うことによって、所定の回転角度Δφ1ごとの画像IM1を取得してもよい。
【0084】
次に、制御部9は、カメラ51が指定枚数の画像IM1を取得したか否かを判断する(ステップS33)。取得枚数が指定枚数未満であれば、カメラ51は再び撮像領域IR1を撮像して画像IM1を取得する(ステップS32)。この指定枚数は、基板Wの1回転中に取得される画像IM1の枚数以上に設定される。
【0085】
図7から
図9は、カメラ51によって取得された画像IM1の一例を模式的に示す図である。画像IM1は矩形形状を有している。以下では、画像IM1の横方向および縦方向をそれぞれX軸方向およびY軸方向と呼ぶ。X軸方向およびY軸方向は互いに直交する。また以下では、
図7から
図9に例示する画像IM1を互いに区別する場合に、
図7から
図9の画像IM1をそれぞれ画像IM11、画像IM12および画像IM13と呼ぶ。画像IM11、画像IM12および画像IM13は、カメラ51によってこの順で連続して取得される。なお、
図8には、画像IM13における基板Wの周縁が二点鎖線で仮想的に示されている。
【0086】
画像IM1には、基板Wの周縁の一部が含まれている。
図7から
図9の例では、基板Wの周縁は画像IM1の上辺から湾曲しつつ下側に延在しており、画像IM1の下辺に到達している。
図7の例では、画像IM1にはノッチNT1が含まれておらず、
図8および
図9の例では、画像IM1にはノッチNT1の全体が含まれている。言い換えれば、カメラ51の撮像領域IR1のサイズは、その撮像領域IR1にノッチNT1の全体を含めることが可能なサイズに設定され、また、カメラ51の撮像周期(具体的には、回転角度Δφ1)は、ノッチNT1の全体が少なくとも一つの画像IM1に含まれるように設定される。例えば指定枚数の画像IM1により、基板Wの周縁部の全周を撮像することができるように、回転角度Δφ1が設定される。これにより、少なくとも一つの画像IM1にノッチNT1を含めることができる。
【0087】
ここでは、カメラ51は平面視において基板Wの右側の周縁を撮像しており(
図2参照)、基板Wは時計回りに回転する。よって、画像IM13におけるノッチNT1は、画像IM12におけるノッチNT1よりも下側に位置している。また、ここでは、基板Wの中心Q1は回転軸Q2からずれているので、各画像IM1における基板Wの周縁の位置はX軸方向に変動する。
【0088】
ステップS33にて取得枚数が指定枚数以上であるときには、基板保持部20は基板Wの回転を終了する(ステップS34)。次に、制御部9は、カメラ51から入力された複数の画像IM1の各々に対してエッジ抽出処理を行う(ステップS35)。エッジ抽出処理としては、例えばキャニー法を採用することができる。制御部9はエッジ抽出処理により、各画像IM1において基板Wの周縁(エッジ)を抽出する。具体的には、制御部9は各画像IM1において、基板Wの周縁を示す画素(以下、周縁画素と呼ぶ)P1を特定し、その周縁画素P1の位置情報(座標情報)を抽出する。
図7および
図8の例では、いくつかの周縁画素P1を模式的に示している。
【0089】
次に、制御部9は複数の画像IM1の各々に対してノッチ検出処理を行う(ステップS36)。ノッチ検出処理とは、ノッチNT1を含む画像IM1を特定する処理である。制御部9はこのノッチ検出処理において、各画像IM1にノッチNT1が含まれているか否かを、基板Wの周縁の形状に基づいて判断する。例えば、制御部9は、各画像IM1において、隣り合う周縁画素P1の差異を示すベクトル(以下、形状ベクトルと呼ぶ)V1を順次に求める。ここでは、より上側の周縁画素P1を形状ベクトルV1の始点とする。
【0090】
図7に例示するように、画像IM11にノッチNT1が含まれていない場合、その画像IM11において複数の形状ベクトルV1の方向は所定範囲内に収まる。当該所定範囲は予め設定される。一方で、
図8に例示するように、画像IM12にノッチNT1が含まれている場合、そのノッチNT1において形状ベクトルV1の方向が所定範囲から外れる。例えばノッチNT1の所定位置において形状ベクトルV1がX軸方向にほぼ沿っており、ノッチNT1以外では、X軸方向に沿う形状ベクトルV1は存在しない。
【0091】
そこで、制御部9は、画像IM1において全ての形状ベクトルV1の方向が所定範囲内に収まっているときには、その画像IM1にはノッチNT1が含まれていないと判断してもよい。その一方で、制御部9は、画像IM1において少なくとも一つの形状ベクトルV1の方向が所定範囲外となっているときに、その画像IM1にはノッチNT1が含まれていると判断してもよい。
【0092】
次に、制御部9は、ノッチNT1を含む一つの画像IM1(例えば画像IM12)を用いて、測定領域MR1を設定する(ステップS37)。この測定領域MR1の位置およびサイズは複数の画像IM1において共通である。ここでは、測定領域MR1はY軸方向よりもX軸方向に長い長尺状の矩形形状を有している。測定領域MR1のY軸方向の画素数は例えば1つに設定される。測定領域MR1のX軸方向の画素数およびX軸方向の位置は、測定領域MR1内に基板Wの周縁の一部が含まれるように設定される。
【0093】
制御部9は、ステップS37において、測定領域MR1が複数の画像IM1のいずれにおいてもノッチNT1を含まず基板Wの周縁の一部を含むように、測定領域MR1のY軸方向における位置を設定する。例えば、制御部9は画像IM12において、ノッチNT1から回転角度α1ずれた領域を含む位置に測定領域MR1を設定する。より具体的には、制御部9は、例えば、ノッチNT1の周方向の中心位置を回転方向に所定の回転角度α1だけ回転させて得られる、基板Wの周縁上の画素を含む領域を、測定領域MR1に設定する。カメラ51が基板Wの回転角度Δφ1の回転ごとに画像IM1を取得する場合、所定の回転角度α1は、例えば回転角度Δφ1よりも小さい値に設定される。なお、回転角度Δφ1はノッチNT1の周方向の幅よりも広く設定され、例えば2倍以上に設定され得る。
【0094】
より具体的な一例として、回転角度Δφ1が15度である場合、回転角度α1として15度よりも小さい値、例えば7.5度を採用する。これにより、画像IM13を含む他の画像IM1においても、測定領域MR1にはノッチNT1が含まれず基板Wの周縁が含まれる。
【0095】
以上のようにして、測定領域MR1を簡易に設定することができる。なお、より簡単には、制御部9は画像IM12においてノッチNT1(例えばノッチNT1の下側の端部)よりも所定画素数PN1だけ下側の画素を含む領域を、測定領域MR1に設定してもよい。
【0096】
次に、制御部9は複数の画像IM1において測定領域MR1内における基板Wの周縁の位置(以下、測定位置と呼ぶ)PM1を求める。測定位置PM1は測定領域MR1内における基板Wの周縁のX軸方向の位置である。
【0097】
図10は、測定位置PM1と基板Wの回転位置φ1との関係の一例を示すグラフである。
図10の例では、横軸に回転位置φ1が示されている。回転位置φ1は、画像IM1を取得したときの基板Wの回転位置を示している。回転位置φ1が零度であるときの測定位置PM1は、画像IM12における測定位置PM1を示す。画像IM12における測定位置PM1と、画像IM12におけるノッチNT1との間の回転角度α1は予め設定されているので、
図10の回転位置φ1は、画像IM12のノッチNT1の周方向の位置を基準とした位置であるともいえる。
【0098】
ところで、周縁にノッチNT1が形成されていない略円板状の基板が偏芯を伴って回転した場合、その測定位置は正弦波状に変動する。ここでは、測定領域MR1は全ての画像IM1においてノッチNT1を含まないように設定されるので、複数の測定位置PM1のいずれもが略正弦波状の仮想線上に位置する。
【0099】
次に、制御部9は複数のプロット点(回転位置φ1および測定位置PM1を含む点)に対して曲線補間処理を行って、正弦波形VL1を算出する(ステップS38)。曲線補間処理としては、例えばスプライン補間処理を採用する。この正弦波形VL1の振幅A1は偏芯量d1に対応する。また、正弦波形VL1が最大値をとるときの回転位置φ1(以下、回転位置φ1aと呼ぶ)が偏芯角度θ1に対応する。そこで、制御部9はこの正弦波形VL1の振幅A1と、正弦波形VL1が最大値をとるときの回転位置φ1aとを求め、これらに基づいて、偏芯量d1および偏芯角度θ1を求める(ステップS39)。正弦波形VL1の振幅A1と偏芯量d1との関係は幾何学的に求めることができる。偏芯角度θ1は(φ1a-α1)で表される。
【0100】
再び
図5を参照して、ステップS4にて、制御部9は、ステップS3で求めた、ノッチNT1の周方向の位置を基準とした偏芯(偏芯量d1および偏芯角度θ1)に基づいて、基板搬送装置121のティーチングデータ(具体的には受渡位置)を補正する。
【0101】
図11は、基板搬送装置121のハンドHに保持された基板Wを示す図である。
図11では、補正前の受渡位置における基板Wが示されている。ハンドHの上の基板Wの中心Q1の位置は予め決められており、ハンドHの上のノッチNT1の周方向の位置も既述の通り、予め決められている。例えば基板載置部PASSの調整機構が基板Wの位置および基板WのノッチNT1の周方向の位置を調整する場合には、ハンドHの上の基板Wの中心Q1およびノッチNT1は高い精度で位置決めされる。
【0102】
制御部9は偏芯角度θ1に基づいて、基板Wの受渡位置の移動方向(
図12のブロック矢印)を求め、また偏芯量d1に基づいて、基板Wの受渡位置の移動量を求める。移動方向は偏芯角度θ1と180度の和で示される方向であり、移動量は偏芯量d1と等しい。制御部9は当該移動方向に沿って当該移動量だけ補正前の受渡位置を移動させた位置を、新たな受渡位置として算出する。
【0103】
以後、制御部9が補正後のティーチングデータに基づいて基板搬送装置121を制御することにより、基板搬送装置121はより適切な受渡位置で基板Wを基板保持部20に渡すことができる。これにより、基板保持部20によって保持された基板Wの偏芯量d1を低減することができる。
【0104】
また上述の例では、制御部9は、測定領域MR1が複数の画像IM1のいずれにおいてもノッチNT1を含まず基板Wの周縁を含むように、測定領域MR1のY軸方向における位置を設定する(ステップS37)。よって、複数の画像IM1における測定位置PM1のいずれもが、ノッチNT1以外の基板Wの周縁の位置を示す。
【0105】
比較のために、ある一つの画像IM1において、測定領域MR1内にノッチNT1を含む場合について考慮する。
図12は、一つの画像IM1の測定領域MR1内にノッチNT1が含まれたときの、測定位置PM1と回転位置φ1との関係の一例を示すグラフである。
図12に例示するように、ノッチNT1に対応する測定位置PM1は正弦波形からずれた位置にプロットされる。よって、その測定位置PM1を用いて得られる正弦波形の算出精度は大きく劣化し、これに応じて偏芯の算出精度も大きく劣化する。そこで、ノッチNT1に対応する測定位置PM1を除き、ノッチNT1に対応していない測定位置PM1のみを用いて偏芯を算出することも考えられる。しかしながら、この場合であっても、曲線補間処理に利用できるプロット点の個数が少なくなるため、正弦波形の算出精度は低減し得る。ひいては、偏芯の算出精度の低減を招き得る。また、カメラ51は偏芯の算出に寄与しない画像IM1を取得することになり、不要な画像IM1を取得することになる。
【0106】
これに対して、制御部9は複数の画像IM1の全てにおいてノッチNT1を含まないように、測定領域MR1のY軸方向の位置を設定する。よって、制御部9は、全ての画像IM1における測定位置PM1を用いて曲線補間処理を行う。つまり、制御部9はより多くのプロット点を用いて曲線補間処理を行うことができる。したがって、制御部9はより高い算出精度で偏芯を求めることができる。また、全ての画像IM1を偏芯の算出に寄与させることができるので、不要な画像IM1の取得を回避できる。
【0107】
また、制御部9は偏芯角度θ1として、ノッチNT1の周方向の位置を基準とした偏芯角度を求めている。したがって、カメラ51の設置位置が変動しても、そのカメラ51の設置位置の変動は偏芯角度θ1の算出に影響しない。したがって、高い精度で基板Wの偏芯量d1を低減することができる。
【0108】
また、上述の例では、制御部9は曲線補間処理としてスプライン補間処理を採用している(ステップS38)。これによれば、制御部9は高い精度で正弦波形VL1を求めることができる。よって、制御部9は高い精度で偏芯を求めることができる。
【0109】
また、ティーチング装置50は基板処理装置1に対して着脱可能であるので、作業員は複数の基板処理装置1のそれぞれにティーチング装置50を順次に取り付けることができる。よって、作業員は基板処理装置1の基板Wの偏芯を順次に測定することができ、また、各基板処理装置1内における基板Wの受渡位置を順次に補正することができる。したがって、以後の各基板処理装置1における基板Wの偏芯を低減できる。
【0110】
<測定領域>
上述の例では、測定領域MR1のY軸方向における画素数として1を採用したものの、2以上であってもよい。
図13は、画像IM1の一例を概略的に示す図である。
図13の例では、測定領域MR1のY軸方向における画素数は3である。よって、測定領域MR1には、複数の画素がX軸方向に沿って並んで構成された画素行がY軸方向に3つ設けられる。
図13の例では、各画素行における基板Wの周縁の位置として、測定位置PM11~PM13が示されている。制御部9は測定領域MR1の各画素行における測定位置PM11~PM13の平均値を、当該測定領域MR1における測定位置PM1として算出してもよい。
【0111】
これによれば、画素数の少ないカメラ51を用いても、より高い精度で測定領域MR1における測定位置を求めることができる。
【0112】
<補正要否の判断>
上述の例では、制御部9は基板Wの偏芯を求めたときに、その偏芯量d1を低減するように、基板搬送装置121用のティーチングデータ(受渡位置)を補正した。しかるに、偏芯量d1が小さい場合には、制御部9は必ずしも当該ティーチングデータを補正する必要はない。
【0113】
図14は、基板Wの偏芯低減方法の一例を示すフローチャートである。この動作では、
図6のフローチャートに比して、ステップS3とステップS4との間でステップS6がさらに実行される。ステップS6では、制御部9はステップS3で求めた偏芯量d1が基準値dref以上であるか否かを判断する。偏芯量d1が基準値dref以上であるときには、制御部9はステップS4にてティーチングデータを補正する。つまり、偏芯量d1が大きいときには、ティーチングデータを補正して、次回以降の基板Wの偏芯量d1を低減する。次にステップS5にて、作業員はティーチング装置50(カメラ51)を基板処理装置1から取り外す。
【0114】
一方で、偏芯量d1が基準値dref未満であるときには、制御部9はステップS4を実行しない。つまり、偏芯量d1が小さいときには、制御部9はティーチングデータを補正しない。次にステップS5にて、作業員はティーチング装置50(カメラ51)を基板処理装置1から取り外す。
【0115】
この動作によれば、不必要なティーチングデータの補正を回避することができる。
【0116】
以上のように、基板の偏芯を低減する方法(基板の偏芯を測定する測定方法およびティーチング補正方法)は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての態様において例示であって限定的ではない。したがって、本実施の形態の開示の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。また上述の実施の形態は適宜に組み合わせることが可能である。
【0117】
例えば上述の説明では、作業員がティーチング装置50(カメラ51)を基板処理装置1に設置し(ステップS2)、ティーチングデータの補正後に、作業員がティーチング装置50(カメラ51)を基板処理装置1から取り外した(ステップS5)。しかしながら、必ずしもこれに限らない。ティーチング装置50(カメラ51)は基板処理装置1内に常設されていてもよい。この場合、制御部9は基板Wの搬入ごとに基板Wの偏芯を求め、当該偏芯を低減するように基板搬送装置121用のティーチングデータを補正してもよい。
【0118】
また、上述の例では、制御部9は基板搬送装置121用のティーチングデータを補正しているものの、必ずしもこれに限らない。基板処理装置1が位置調整機構を含んでいる場合がある。位置調整機構は、基板Wを基板保持部20(具体的には回転機構22)に対して水平方向に移動させることができる機構である。この位置調整機構は例えばボールねじ機構などを有している。この場合、基板処理装置1の位置調整機構が基板Wの位置を調整することで、基板Wの偏芯量d1を低減させてもよい。
【符号の説明】
【0119】
9 制御部
20 基板保持部
50 ティーチング装置
51 カメラ
IM1,IM11~IM13 画像
IR1 撮像領域
MR1 測定領域
NT1 ノッチ
Q2 回転軸
W 基板
α1 第2回転角度(回転角度)
Δφ1 第1回転角度(回転角度)