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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】加熱部材の清浄方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
H01L21/304 643Z
H01L21/304 651B
H01L21/304 651M
H01L21/304 651L
H01L21/304 643A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019151245
(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公開番号】P2021034475
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 博史
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 学
(72)【発明者】
【氏名】石津 岳明
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/140955(WO,A1)
【文献】特開2004-259734(JP,A)
【文献】特開平10-199852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置の加熱部材の清浄方法であって、
前記加熱部材の上面にリンス液を供給する工程と、
前記加熱部材の前記上面において前記リンス液と混ざるように、前記加熱部材の前記上面の外周部に薬液を選択的に供給する工程と、
前記加熱部材の前記上面から前記薬液を排出する工程と
を包含する、加熱部材の清浄方法。
【請求項2】
前記リンス液を供給した後、前記薬液を選択的に供給する前に、前記加熱部材の前記上面にガスを供給する工程をさらに包含する、請求項1に記載の加熱部材の清浄方法。
【請求項3】
前記ガスを供給する工程において、前記加熱部材の前記上面の中央に前記ガスを供給する、請求項2に記載の加熱部材の清浄方法。
【請求項4】
前記ガスを供給する工程は、前記加熱部材の前記上面の前記外周部において前記リンス液をリング状に形成する工程を含む、請求項2または3に記載の加熱部材の清浄方法。
【請求項5】
前記薬液を選択的に供給する工程は、前記加熱部材の前記上面の外周部において前記薬液をリング状に形成する工程を含む、請求項1から4のいずれかに記載の加熱部材の清浄方法。
【請求項6】
前記薬液を排出する工程は、前記薬液を前記加熱部材の前記上面の端部に移動させて前記加熱部材の前記上面の端部から前記薬液を排出する工程を含む、請求項1から5のいずれかに記載の加熱部材の清浄方法。
【請求項7】
前記薬液を排出する工程は、前記加熱部材の前記上面の中央にガスを供給する工程を含む、請求項1から6のいずれかに記載の加熱部材の清浄方法。
【請求項8】
前記薬液を排出する工程は、前記加熱部材を回転する工程を含む、請求項1から6のいずれかに記載の加熱部材の清浄方法。
【請求項9】
基板を保持するための基板保持部と、
前記基板保持部に保持された前記基板の裏面に対向する加熱部材と、
リンス液供給部と、
薬液供給部と、
前記加熱部材、前記薬液供給部および前記リンス液供給部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記加熱部材の上面にリンス液を供給した後、前記加熱部材の前記上面の外周部に薬液を選択的に供給して前記加熱部材の前記上面において前記薬液が前記リンス液と混ざるように前記リンス液供給部および前記薬液供給部を制御する、基板処理装置。
【請求項10】
ガス供給部をさらに備え、
前記制御部は、前記加熱部材の前記上面の前記外周部に前記薬液を選択的に供給する前であって、前記加熱部材の前記上面に前記リンス液を供給した後に、前記加熱部材の前記上面にガスを供給するように前記ガス供給部を制御する、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記加熱部材の前記上面に前記ガスを供給することによって前記リンス液をリング状に形成するように前記ガス供給部を制御する、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記加熱部材の前記上面の前記外周部に前記薬液を選択的に供給した後に、前記加熱部材の中央に前記ガスを供給するように前記ガス供給部を制御する、請求項10または11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記加熱部材は、回転可能に構成されており、
前記制御部は、前記加熱部材の前記上面の前記外周部に前記薬液を選択的に供給した後に、前記加熱部材を回転するように前記加熱部材を制御する、請求項9から12のいずれかに記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱部材の清浄方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を処理する基板処理装置が知られている。例えば、基板処理装置は半導体基板またはガラス基板の製造に用いられる。近年、半導体の高集積化および微細化が進められているが、その際に、基板に形成されたパターンが倒壊することが問題となっている。
【0003】
そのため、基板内のパターンの倒壊を抑止するために、基板の処理に用いた純水をイソプロピルアルコール(IPA)に置換して乾燥させることが検討されている。IPAの乾燥時には、加熱部材を用いて基板からIPAを乾燥させる(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の基板処理装置では、基板の近傍にランプを備えた照射部を配置することで基板からIPAの乾燥を促進している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-29041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、基板の近傍に照射部を配置する場合、基板を処理した処理液が照射部に付着することがある。照射部に付着した付着物は、基板周囲の雰囲気を悪化させるとともに、付着物が基板に再付着して基板の特性を低下させるおそれがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板処理装置の加熱部材を効率的に清浄可能な加熱部材の清浄方法および基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、基板処理装置の加熱部材の清浄方法は、前記加熱部材の上面にリンス液を供給する工程と、前記加熱部材の前記上面において前記リンス液と混ざるように、前記加熱部材の前記上面の外周部に薬液を選択的に供給する工程と、前記加熱部材の前記上面から前記薬液を排出する工程とを包含する。
【0008】
ある実施形態において、前記加熱部材の清浄方法は、前記リンス液を供給した後、前記薬液を選択的に供給する前に、前記加熱部材の前記上面にガスを供給する工程をさらに包含する。
【0009】
ある実施形態では、前記ガスを供給する工程において、前記加熱部材の前記上面の中央に前記ガスを供給する。
【0010】
ある実施形態において、前記ガスを供給する工程は、前記加熱部材の前記上面の前記外周部において前記リンス液をリング状に形成する工程を含む、請求項2または3に記載の加熱部材の清浄方法。
【0011】
ある実施形態において、前記薬液を選択的に供給する工程は、前記加熱部材の前記上面の外周部において前記薬液をリング状に形成する工程を含む。
【0012】
ある実施形態において、前記薬液を排出する工程は、前記薬液を前記加熱部材の前記上面の端部に移動させて前記加熱部材の前記上面の端部から前記薬液を排出する工程を含む。
【0013】
ある実施形態において、前記薬液を排出する工程は、前記加熱部材の前記上面の中央にガスを供給する工程を含む。
【0014】
ある実施形態において、前記薬液を排出する工程は、前記加熱部材を回転する工程を含む。
【0015】
本発明の別の局面によれば、基板処理装置は、基板保持部と、加熱部材と、リンス液供給部と、薬液供給部と、制御部とを備える。前記基板保持部は、基板を保持するために用いられる。前記加熱部材は、前記基板保持部に保持された前記基板の裏面に対向する。前記制御部は、前記加熱部材、前記薬液供給部および前記リンス液供給部を制御する。前記制御部は、前記加熱部材の上面にリンス液を供給した後、前記加熱部材の前記上面の外周部に薬液を選択的に供給して前記加熱部材の前記上面において前記薬液が前記リンス液と混ざるように前記リンス液供給部および前記薬液供給部を制御する。
【0016】
ある実施形態において、前記基板処理装置は、ガス供給部をさらに備え、前記制御部は、前記加熱部材の前記上面の前記外周部に前記薬液を選択的に供給する前であって、前記加熱部材の前記上面に前記リンス液を供給した後に、前記加熱部材の前記上面にガスを供給するように前記ガス供給部を制御する。
【0017】
ある実施形態において、前記制御部は、前記加熱部材の前記上面に前記ガスを供給することによって前記リンス液をリング状に形成するように前記ガス供給部を制御する。
【0018】
ある実施形態において、前記制御部は、前記加熱部材の前記上面の前記外周部に前記薬液を選択的に供給した後に、前記加熱部材の中央に前記ガスを供給するように前記ガス供給部を制御する。
【0019】
ある実施形態において、前記加熱部材は、回転可能に構成されており、前記制御部は、前記加熱部材の前記上面の前記外周部に前記薬液を選択的に供給した後に、前記加熱部材を回転するように前記加熱部材を制御する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、基板処理装置の加熱部材を効率的に清浄にできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図2】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図3】本実施形態の基板処理装置のブロック図である。
図4】(a)~(f)は、本実施形態の加熱部材の清浄方法を説明するための模式図である。
図5】(a)~(e)は、本実施形態の加熱部材の清浄方法を説明するための模式図である。
図6】本実施形態の基板処理装置による基板処理方法を説明するためのフロー図である。
図7】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図8】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図9】本実施形態の加熱部材の清浄方法を説明するためのフロー図である。
図10】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図11】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図12】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図13】本実施形態の基板処理装置による基板処理方法を説明するためのフローチャートである。
図14】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図15】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明による基板処理装置および加熱部材の清浄方法の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。典型的には、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0023】
まず、図1を参照して、本発明による基板処理装置100の実施形態を説明する。図1は、本実施形態の基板処理装置100の模式的な平面図である。
【0024】
基板処理装置100は、基板Wを処理する。基板処理装置100は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0025】
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板を含む。例えば、基板Wは略円板状である。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを一枚ずつ処理する。
【0026】
図1に示すように、基板処理装置100は、複数のチャンバー110と、流体キャビネット100Aと、流体ボックス100Bと、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIRおよびセンターロボットCRを制御する。制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。
【0027】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRとチャンバー110との間で基板Wを搬送する。チャンバー110の各々は、基板Wに処理液を吐出して、基板Wを処理する。処理液は、薬液、リンス液および/または有機溶剤を含む。流体キャビネット100Aは、処理液およびガスを収容する。
【0028】
具体的には、複数のチャンバー110は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(図1では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数のチャンバー110(図1では3つのチャンバー110)を含む。流体ボックス100Bは、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。流体キャビネット100A内の処理液は、いずれかの流体ボックス100Bを介して、流体ボックス100Bに対応するタワーTWに含まれる全てのチャンバー110に供給される。また、流体キャビネット100A内のガスは、いずれかの流体ボックス100Bを介して、流体ボックス100Bに対応するタワーTWに含まれる全てのチャンバー110に供給される。
【0029】
基板処理装置100は、制御装置101をさらに備える。制御装置101は、基板処理装置100の各種動作を制御する。
【0030】
制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、プロセッサーを有する。制御部102は、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、制御部102は、汎用演算機を有してもよい。
【0031】
記憶部104は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容および処理手順を規定する。
【0032】
記憶部104は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリーである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリーおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部104はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部104の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
【0033】
次に、図2を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図2は、基板処理装置100の模式図である。
【0034】
基板処理装置100は、チャンバー110と、基板保持部120と、薬液供給部132と、リンス液供給部134と、有機溶剤供給部136と、ガス供給部140と、加熱部材150とを備える。チャンバー110は、基板Wを収容する。基板保持部120は、基板Wを保持する。リンス液供給部134は、基板Wにリンス液を供給する。有機溶剤供給部136は、基板Wに有機溶剤を供給する。なお、本明細書において、薬液供給部132、リンス液供給部134および有機溶剤供給部136を総称して処理液供給部130と記載することがある。ガス供給部140は、基板Wにガスを供給する。加熱部材150は、基板Wを加熱する。
【0035】
チャンバー110は、内部空間を有する略箱形状である。チャンバー110は、基板Wを収容する。ここでは、基板処理装置100は基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型であり、チャンバー110には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー110内に収容され、チャンバー110内で処理される。チャンバー110には、基板保持部120、薬液供給部132、リンス液供給部134、有機溶剤供給部136および加熱部材150のそれぞれの少なくとも一部が収容される。
【0036】
基板保持部120は、基板Wを保持する。基板保持部120は、基板Wの上面(表面)Waを上方に向け、基板Wの裏面(下面)Wbを鉛直下方に向くように基板Wを水平に保持する。また、基板保持部120は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。
【0037】
例えば、基板保持部120は、基板Wの端部を挟持する挟持式であってもよい。あるいは、基板保持部120は、基板Wを裏面Wbから保持する任意の機構を有してもよい。例えば、基板保持部120は、バキューム式であってもよい。この場合、基板保持部120は、非デバイス形成面である基板Wの裏面Wbの中央部を上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持する。あるいは、基板保持部120は、複数のチャックピンを基板Wの周端面に接触させる挟持式とバキューム式とを組み合わせてもよい。
【0038】
例えば、基板保持部120は、スピンベース121と、チャック部材122と、シャフト123と、電動モーター124と、ハウジング125とを含む。チャック部材122は、スピンベース121に設けられる。チャック部材122は、基板Wをチャックする。典型的には、スピンベース121には、複数のチャック部材122が設けられる。
【0039】
シャフト123は、中空軸である。シャフト123は、回転軸Axに沿って鉛直方向に延びている。シャフト123の上端には、スピンベース121が結合されている。基板Wは、スピンベース121の上方に載置される。
【0040】
スピンベース121は、円板状であり、基板Wを水平に支持する。シャフト123は、スピンベース121の中央部から下方に延びる。電動モーター124は、シャフト123に回転力を与える。電動モーター124は、シャフト123を回転方向に回転させることにより、回転軸Axを中心に基板Wおよびスピンベース121を回転させる。ハウジング125は、シャフト123および電動モーター124を取り囲んでいる。
【0041】
薬液供給部132は、基板Wの上面Waに薬液を供給する。薬液を用いた薬液処理により、基板Wの上面Waを処理できる。薬液処理により、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成および膜の少なくとも一部の除去のいずれかを行うことが可能である。典型的には、薬液は、基板Wのエッチング処理に用いられるエッチング液である。
【0042】
薬液は、フッ酸を含む。例えば、フッ酸は、40℃以上70℃以下に加熱されてもよく、50℃以上60℃以下に加熱されてもよい。ただし、フッ酸は、加熱されなくてもよい。なお、薬液は、過酸化水素水をさらに含んでもよい。また、薬液は、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)または王水(濃塩酸と濃硝酸との混合物)を含んでもよい。
【0043】
薬液供給部132は、配管132aと、バルブ132bと、ノズル132nとを含む。ノズル132nは基板Wの上面Waに薬液を吐出する。ノズル132nは、配管132aに接続される。配管132aには、供給源から薬液が供給される。バルブ132bは、配管132a内の流路を開閉する。ノズル132nは、基板Wに対して移動可能に構成されていることが好ましい。
【0044】
リンス液供給部134は、基板Wの上面Waにリンス液を供給する。リンス液を用いたリンス処理により、基板Wの上面Waに付着した薬液および不純物等を洗い流すことができる。リンス液供給部134から供給されるリンス液は、脱イオン水(Deionized Water:DIW)、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、アンモニア水、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水、または、還元水(水素水)のいずれかを含んでもよい。
【0045】
リンス液供給部134は、配管134aと、バルブ134bと、ノズル134nとを含む。ノズル134nは、基板Wの上面Waにリンス液を吐出する。ノズル134nは、配管134aに接続される。配管134aには、供給源からリンス液が供給される。バルブ134bは、配管134a内の流路を開閉する。
【0046】
有機溶剤供給部136は、基板Wの上面Waに有機溶剤を供給する。有機溶剤を用いた有機溶剤処理により、基板Wの上面Waのリンス液を有機溶剤に置換できる。典型的には、有機溶剤の揮発性は、リンス液の揮発性よりも高い。
【0047】
有機溶剤供給部136から供給される有機溶剤は、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol:IPA)を含んでもよい。あるいは、有機溶剤は、メタノール、エタノール、アセトン、ハイドロフルオロエーテル(hydrofluoro ether:HFE)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(propylene glycol ethyl ether:PGEE)、または、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propyleneglycol monomethyl ether acetate:PGMEA)を含んでもよい。
【0048】
有機溶剤供給部136は、配管136aと、バルブ136bと、ノズル136nとを含む。ノズル136nは基板Wの上面Waに有機溶剤を吐出する。ノズル136nは、配管136aに接続される。配管136aには、供給源から有機溶剤が供給される。バルブ136bは、配管136a内の流路を開閉する。
【0049】
ガス供給部140は、基板Wにガスを供給する。例えば、ガス供給部140は、基板Wの上面Waにガスを供給する。ガス供給部140から供給されるガスは、例えば不活性ガスである。一例では、ガスは、窒素ガスを含む。
【0050】
ガス供給部140は、配管140aと、バルブ140bと、ノズル140nとを含む。バルブ140bは、配管140aに配置される。配管140aは、ガスをチャンバー110内に導く。バルブ140bは、配管140a内の流路を開閉する。
【0051】
加熱部材150は、基板保持部120に保持された基板Wを加熱する。加熱部材150は、薄板の円板形状を有している。加熱部材150は、ホットプレートとも呼ばれる。加熱部材150は、基板Wと基板保持部120との間に配置される。詳細には、加熱部材150は、スピンベース121の上方に配置される。
【0052】
加熱部材150は、基板Wと接触してもよく、基板Wと接触しなくてもよい。また、加熱部材150は、基板保持部120に保持された基板Wに対して移動可能であってもよい。加熱部材150が移動可能である場合、基板Wと加熱部材150との間の距離が短くなるように移動した状態で加熱部材150が基板Wの加熱を開始することが好ましい。
【0053】
加熱部材150は、上面150aと、裏面150bと、側面150cとを有する。側面150cは、上面150aと裏面150bとを連絡する。加熱部材150の上面150aは、基板Wの裏面Wbと対向する。また、加熱部材150の裏面150bは、スピンベース121と対向する。さらに、加熱部材150の側面150cは、チャック部材122と対向する。なお、ここでは、加熱部材150は、回転しないが、加熱部材150は、回転するように構成されてもよい。
【0054】
加熱部材150は、本体部152と、ヒーター154と、支持部155と、通電ユニット156とを含む。例えば、本体部152は、セラミックまたは炭化ケイ素(SiC)を用いて形成される。本体部152の表面は、疎水化されていてもよい。ヒーター154は、本体部152に内蔵されている。ヒーター154は、抵抗体であってもよい。
【0055】
本体部152は、水平方向に延びた円板形状を有する。本体部152は、鉛直方向に延びた支持部155に取り付けられる。支持部155は、本体部152を支持する。支持部155は、シャフト123の内孔に配置される。
【0056】
通電ユニット156は、給電線154Lを介してヒーター154と電気的に接続する。給電線154Lは、シャフト123の内孔を介してヒーター154と通電ユニット156とを連絡する。支持部155は、中空筒形状であってもよく、給電線154Lは、支持部155の内孔を通過してもよい。または、支持部155は、柱形状であってもよく、給電線154Lは、支持部155に埋没されていてもよい。
【0057】
通電ユニット156は、ヒーター154に電流を供給する。ヒーター154が抵抗体である場合、ヒーター154は、熱抵抗によって加熱する。通電ユニット156がヒーター154に通電することによって、加熱部材150の上面150aの温度が室温よりも上昇する。例えば、加熱部材150の上面150aの温度は、上面150aは面内で均一である。このようにして、加熱部材150は、基板Wを加熱する。
【0058】
基板処理装置100は、カップ180および昇降ユニット182をさらに備える。カップ180は、基板Wから飛散した液体を回収する。昇降ユニット182は、カップ180を昇降する。昇降ユニット182により、カップ180は、基板Wの側方にまで鉛直上方に上昇する。この場合、カップ180は、基板Wの回転によって基板Wから飛散する処理液を回収する。また、昇降ユニット182により、カップ180は、基板Wの側方から鉛直下方に下降する。
【0059】
上述したように、制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、基板保持部120、薬液供給部132、リンス液供給部134、有機溶剤供給部136、加熱部材150および/またはカップ180を制御する。一例では、制御部102は、電動モーター124、バルブ132b、134b、136b、140b、通電ユニット156および/または昇降ユニット182を制御する。
【0060】
本実施形態の基板処理装置100は、半導体の設けられた半導体基板の処理に好適に用いられる。典型的には、半導体基板には、基材の上に導電層および絶縁層が積層されている。基板処理装置100は、半導体基板の製造時に、導電層および/または絶縁層の洗浄および/または加工(例えば、エッチング、特性変化等)に好適に用いられる。
【0061】
本実施形態の基板処理装置100は、基板Wをウエットエッチング処理する際に好適に用いられる。基板Wをウエットエッチング処理すると、基板Wの材料が部分的に溶解するため、溶解した成分が基板処理装置100内に付着することがある。この場合、付着物が基板Wに付着すると、基板Wの特性が低下してしまう。しかしながら、本実施形態によれば、基板処理装置100の加熱部材150を好適に清浄にでき、基板処理装置100によって処理される基板Wに悪影響が生じることを抑制できる。
【0062】
次に、図1から図3を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図3は、基板処理装置100のブロック図である。
【0063】
図3に示すように、制御装置101は、基板処理装置100の各種動作を制御する。制御装置101は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部120と、処理液供給部130、ガス供給部140と、通電ユニット156と、昇降ユニット182とを制御する。具体的には、制御装置101は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部120と、処理液供給部130、ガス供給部140、通電ユニット156、昇降ユニット182とに制御信号を送信することによって、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部120と、処理液供給部130、ガス供給部140と、昇降ユニット182とを制御する。
【0064】
具体的には、制御部102は、インデクサーロボットIRを制御して、インデクサーロボットIRによって基板Wを受け渡しする。
【0065】
制御部102は、センターロボットCRを制御して、センターロボットCRによって基板Wを受け渡しする。例えば、センターロボットCRは、未処理の基板Wを受け取って、複数のチャンバー110のうちのいずれかに基板Wを搬入する。また、センターロボットCRは、処理された基板Wをチャンバー110から受け取って、基板Wを搬出する。
【0066】
制御部102は、処理液供給部130のバルブ132b、134b、136bをそれぞれ別個に制御して、バルブ132b、134b、136bの状態を開状態と閉状態とに切り替えることができる。具体的には、制御部102は、処理液供給部130のバルブ132b、134b、136bを制御して、バルブ132b、134b、136bを開状態にすることによって、ノズル132n、134n、136nに向かって配管132a、134a、136a内を流れる薬液、リンス液および有機溶剤を通過させることができる。また、制御部102は、処理液供給部130のバルブ132b、134b、136bを制御して、バルブ132b、134b、136bを閉状態にすることによって、ノズル132n、134n、136nに向かって配管132a、134a、136a内を流れる薬液、リンス液および有機溶剤の供給をそれぞれ停止させることができる。
【0067】
制御部102は、ガス供給部140のバルブ140bを制御して、バルブ140bの状態を開状態と閉状態とに切り替えることができる。具体的には、制御部102は、ガス供給部140のバルブ140bを制御して、バルブ140bを開状態にすることによって、ノズル140nに向かって配管140a内を流れるガスを通過させることができる。また、制御部102は、ガス供給部140のバルブ140bを制御して、バルブ140bを閉状態にすることによって、ノズル140nに向かって配管140a内を流れるガスの供給を停止させることができる。
【0068】
制御部102は、通電ユニット156を制御して、加熱部材150の加熱を制御できる。具体的には、制御部102は、通電ユニット156を制御して、加熱部材150のヒーター154に電流を供給することによって、加熱部材150の加熱を開始できる。一方、制御部102は、通電ユニット156を制御して、加熱部材150のヒーター154に電流の供給を停止することによって、加熱部材150の加熱を停止できる。
【0069】
制御部102は、昇降ユニット182を制御して、カップ180を移動できる。具体的には、制御部102は、昇降ユニット182を制御して、カップ180を鉛直方向に上昇させることによって、カップ180の位置を基板保持部120の側方に移動できる。一方、制御部102は、昇降ユニット182を制御して、カップ180を鉛直方向に下降させることによって、カップ180の位置を退避位置に移動することができる。
【0070】
次に、図1図4を参照して、本実施形態による加熱部材150の清浄処理を説明する。図4(a)~図4(f)は、加熱部材150の清浄処理を説明するための模式図である。なお、加熱部材150の清浄処理は、基板Wを処理する前に行われてもよい。あるいは、加熱部材150の清浄処理は、基板Wを処理した後に行われてもよい。
【0071】
図4(a)に示すように、加熱部材150の上方には、基板Wは配置されない。加熱部材150は、基板Wを処理する際に基板Wを加熱するために用いられる。このため、加熱部材150の上方には、基板Wを設置可能であるが、ここでは、基板Wは、加熱部材150の上方に配置されない。
【0072】
図4(b)に示すように、リンス液供給部134は、加熱部材150の上面150aにリンス液Rを供給する。例えば、リンス液供給部134は、加熱部材150の上面150aのうちの中心150d近傍にリンス液Rを供給する。一例では、リンス液供給部134のノズル134nは、リンス液Rを吐出しながら、加熱部材150に対して、加熱部材150の上面150aのうちの中心150dをまたぐように移動する。あるいは、リンス液供給部134は、加熱部材150の上面150aの外周部にリンス液Rを供給する。なお、リンス液供給部134は、基板Wの処理に用いるためのものであるが、ここでは、加熱部材150を清浄にするために用いられる。
【0073】
図4(c)に示すように、薬液供給部132は、加熱部材150の上面150aの外周部に薬液Csを選択的に供給する。例えば、薬液供給部132は、加熱部材150の上面150aのうちの中心150dと端部との間の中間位置よりも外側の位置に薬液Csを選択的に供給する。これにより、加熱部材150の上面150aにおいて、薬液Csはリンス液Rと混ざりあってリンス液R内を拡散する。なお、薬液供給部132は、基板Wの処理に用いるためのものであるが、ここでは、加熱部材150を清浄にするために用いられる。なお、薬液Csは、薬液供給部132のノズル132nから加熱部材150の上面150aの中心から離れた位置に向けて吐出される。
【0074】
なお、薬液Csが供給される前に、リンス液Rは、加熱部材150の上面150aのうちの中心150dと端部との間の中間位置よりも外側に位置する。例えば、リンス液Rは、加熱部材150の上面150aの外周部に位置する。リンス液Rは、ガス供給部140のガスが供給されることによって加熱部材150の上面150aを移動して加熱部材150の上面150aの外周部に位置してもよい。あるいは、リンス液供給部134のノズル134nは、加熱部材150の上面150aの外周部にリンス液Rを吐出するように移動してもよい。
【0075】
加熱部材150の上面150aの外周部において、リンス液Rは、リング状に形成される。なお、図4(c)では、薬液Csの供給前に、リンス液Rは、加熱部材150の上面150aの中心150dを覆わないが、リンス液Rは、加熱部材150の上面150aの中心150dを覆ってもよい。
【0076】
図4(d)に示すように、加熱部材150の上面150aの外周部において、薬液Csは、リング状に形成される。薬液Csは、加熱部材150の上面150aの中心150dを覆うことなく、加熱部材150の中心150dと上面150aの端部との間の領域においてリング状に配置される。
【0077】
図4(e)に示すように、加熱部材150の上面150aにおいて、薬液Csを、上面150aの端部に向かって移動させる。この場合、薬液Csは、加熱部材150の上面150aにおいて、薬液Csのリングが広がるように移動する。薬液Csの移動に伴い、加熱部材150の上面150aは清浄にされる。例えば、薬液Csは、ガスによって移動してもよい。あるいは、薬液Csは、加熱部材150の回転による遠心力に伴って移動してもよい。
【0078】
その後、図4(f)に示すように、薬液Csは、加熱部材150の上面150aから外部に排出される。以上のようにして、薬液Csにより、加熱部材150の上面150aを清浄にできる。
【0079】
例えば、基板Wを処理する際に、基板Wの処理に用いた薬液、リンス液および有機溶剤のいずれかが基板Wから垂れて加熱部材に付着することがある。これらの処理液が加熱部材に付着すると、加熱部材の上面の外周部に不純物が付着する。特に、薬液として基板Wをエッチングするエッチング液を用いる場合、エッチング処理によって基板Wから除去された成分が加熱部材の上面の外周部に付着して、加熱部材の上面の外周部に付着物が形成されやすい。さらに、加熱部材は、温度変化を伴うため、付着物が固化することもある。その後、基板Wの処理中に、加熱部材の付着物の成分が加熱部材から基板Wに付着すると、基板Wの特性が変化してしまう。例えば、付着物は、金属を含むことがある。一例として、金属は、チタン(Ti)、コバルト(Co)、タングステン(W)およびガリウム(Ga)のいずれかを含む。
【0080】
本実施形態の基板処理装置100によれば、加熱部材150の上面150aの外周部に選択的に供給された薬液により、加熱部材150の上面150aの外周部を効率的に清浄にできる。このため、加熱部材150の付着物の成分が基板Wに付着して基板Wの特性が低下することを抑制できる。
【0081】
なお、付着物に含有される金属の種類に応じて、異なる薬液を用いることが好ましい。付着物がチタン(Ti)を含む場合、典型的には、付着物は、酸化チタンおよび/または窒化チタンを含む。この場合、薬液としてフッ酸を用いることが好ましい。あるいは、薬液として、フッ酸および過酸化水素水を用いることが好ましい。特に、薬液として、フッ酸および過酸化水素水を交互に用いることが好ましい。過酸化水素水により、付着物の金属を酸化させることができる。また、フッ酸により、酸化物を除去できる。
【0082】
付着物がコバルト(Co)を含む場合、薬液としてSC2(塩酸過酸化水素水混合液)を用いることが好ましい。また、付着物がタングステン(W)を含む場合、薬液としてSC1(アンモニア過酸化水素水混合液)を用いることが好ましい。あるいは、付着物がタングステン(W)を含む場合でも、薬液としてSC2を用いてもよい。また、付着物がガリウム(Ga)を含む場合、薬液として王水(濃塩酸と濃硝酸との混合物)を用いてもよい。
【0083】
なお、付着物は、金属を含有しなくてもよい。例えば、付着物は、エッチングの残渣であってもよい。または、付着物は、シリコンの残渣であってもよい。あるいは、付着物は、ドライエッチング後のポリマーの残渣であってもよい。
【0084】
薬液供給部132は、一方向にのみ移動可能であってもよい。例えば、薬液供給部132のノズル132nは、X方向に沿って移動可能であり、薬液供給部132は、基板Wの中心150dを通る直線上に移動可能であってもよい。また、薬液は、リンス液およびガスによって、加熱部材150の上面150aにおいてリング状に形成されてもよい。
【0085】
次に、図1図5を参照して、本実施形態による加熱部材150の清浄処理を説明する。図5(a)~図5(e)は、加熱部材150の清浄処理を説明するための模式図である。
【0086】
図5(a)に示すように、加熱部材150にリンス液Rを供給する。詳細には、リンス液供給部134は、加熱部材150の上面150aの中央にリンス液Rを供給する。リンス液Rは、加熱部材150の上面150aの中心150dを覆う。なお、リンス液供給部134は、基板Wの処理に用いるためのものであるが、ここでは、加熱部材150を清浄にするために用いられる。
【0087】
図5(b)に示すように、ガス供給部140は、加熱部材150の上面150aの中央付近にガスGを供給する。ガス供給部140からのガスGにより、リンス液Rは、加熱部材150の上面150aの中央から周囲に広がる。ここでは、リンス液Rは、加熱部材150の上面150aの中心150dを覆うことなく、リング状に形成される。
【0088】
図5(c)に示すように、薬液Csが、加熱部材150の上面150aの外周部に選択的に供給される。詳細には、薬液供給部132は、加熱部材150の上面150aのうちのリンス液Rに向けて薬液Csを供給する。ここでは、薬液供給部132は、加熱部材150の上面150aの第1位置に薬液Csを吐出する。薬液Csは、リンス液Rと混ざりあってリンス液Rとともにリング状に沿って広がるように移動する。なお、加熱部材150の上面150aには先にリンス液Rが吐出されているため、薬液Csは、加熱部材150の上面150aにおいてリンス液Rに拡散して混合液となる一方で、薬液Csは、加熱部材150の上面150aのうちのリンス液Rのない領域にはほとんど拡散しない。
【0089】
図5(d)に示すように、薬液Csは、加熱部材150の上面150aの外周部に選択的に供給される。詳細には、薬液供給部132は、加熱部材150の上面150aのリンス液Rのある位置に向けて薬液Csを供給する。ここでは、薬液供給部132のノズル132nは、X方向に沿って、第1位置から第2位置に移動した後で、薬液Csを吐出する。薬液Csは、リング状のリンス液Rと薬液Csとの混合液に沿って広がるように移動する。
【0090】
図5(e)に示すように、ガス供給部140は、加熱部材150の上面150aにガスGを供給する。ガス供給部140は、加熱部材150の上面150aの中央付近にガスGを供給する。ガス供給部140から供給されたガスGにより、リンス液Rおよび薬液Csの混合液は、加熱部材150の上面150aの端部に移動して加熱部材150の上面150aの端部から外部に排出される。以上のようにして、薬液Csにより、加熱部材150の上面150aを清浄できる。
【0091】
なお、上述した説明では、図5(b)において、ガスGを供給して、リンス液Rをリング状に形成したが、本実施形態はこれに限定されない。図5(b)では、リンス液Rは、リング状に形成されなくてもよい。また、上述した説明では、図5(c)において、薬液Csを吐出することにより、リンス液Rおよび薬液Csの混合液は、リング状に形成されたが、本実施形態はこれに限定されない。図5(c)では、リンス液Rおよび薬液Csの混合液は、リング状に形成されなくてもよい。ただし、図5(d)に示すように、排出のためのガスGを供給する前には、リンス液Rと薬液Csとの混合液は、リング状に形成されることが好ましい。これにより、薬液Csが加熱部材150の上面150aの外周部を効率的に清浄にできる。
【0092】
なお、図5を参照した上述の説明では、薬液供給部132は、X方向に沿って基板Wに対して移動したが、薬液供給部132は、X方向およびY方向に沿って基板Wに対して移動可能であってもよい。この場合、薬液供給部132は、リング状のリンス液Rに沿うように薬液を供給してもよい。
【0093】
また、図5を参照した上述の説明では、薬液供給部132は、加熱部材150の上面150aの2つの位置に薬液Csを供給したが、本実施形態はこれに限定されない。薬液供給部132は、加熱部材150の上面150aに対して1つの位置に薬液Csを供給してもよい。あるいは、薬液供給部132は、リンス液Rに対して3つ以上の位置に薬液Csを供給してもよい。
【0094】
上述したように、基板Wを処理する際に、加熱部材150に付着物が付着することがある。このため、加熱部材150は、基板Wの処理後に清浄にしてもよい。
【0095】
次に、図1図6を参照して本実施形態の基板処理装置による基板処理方法を説明する。図6は、本実施形態の基板処理装置による基板処理方法を説明するためのフロー図である。
【0096】
ステップSa1に示すように、チャンバー110に基板Wを搬入する。例えば、センターロボットCRがチャンバー110内に未処理の基板Wを搬入する。基板保持部120は、搬入された基板Wを保持する。典型的には、基板Wには、シリコンウエハの表面に微細パターンが形成されている。次に、処理は、ステップSa2に進む。
【0097】
ステップSa2に示すように、基板Wを薬液で処理する。薬液供給部132は、基板Wに薬液を供給する。薬液供給部132は、バルブ132bを開いて、ノズル132nから薬液を吐出する。このとき、基板保持部120は、基板Wを回転する。基板Wの上面Waの中心部付近に供給された薬液は、基板Wの回転による遠心力を受けて、基板Wの上面Wa上を基板Wの周縁部に向けて流れる。これにより、基板Wの上面Waの全域に薬液が行きわたり、基板Wの上面Waが薬液で処理される。
【0098】
この場合、カップ180は、基板Wの側方に位置するまで上昇しており、基板Wから飛び散る薬液を回収する。その後、薬液供給部132は、薬液の供給を停止する。次に、処理は、ステップSa3に進む。
【0099】
ステップSa3に示すように、基板Wをリンス液でリンスする。リンス液供給部134は、基板Wにリンス液を供給する。リンス液供給部134は、バルブ134bを開いて、ノズル134nからリンス液を吐出する。このとき、基板保持部120は、基板Wを保持して回転する。基板Wの上面Waの中心部付近に供給されたリンス液は、基板Wの回転による遠心力を受けて、基板Wの上面Wa上を基板Wの周縁部に向けて流れる。これにより、基板Wの上面Waの全域にリンス液が行きわたり、基板Wの上面Waがリンス液でリンスされる。その後、リンス液供給部134は、リンス液の供給を停止する。次に、処理は、ステップSa4に進む。
【0100】
ステップSa4に示すように、基板Wを有機溶剤で処理する。有機溶剤供給部136は、基板Wに有機溶剤を供給する。有機溶剤供給部136は、バルブ136bを開いて、ノズル136nから有機溶剤を吐出する。このとき、基板保持部120は、基板Wを保持して回転する。基板Wの上面Waの中心部付近に供給された有機溶剤は、基板Wの回転による遠心力を受けて、基板Wの上面Wa上を基板Wの周縁部に向けて流れる。これにより、基板Wの上面Waの全域に有機溶剤が行きわたり、基板Wの上面Waのリンス液が有機溶剤に置換される。その後、有機溶剤供給部136は、有機溶剤の供給を停止する。次に、処理は、ステップSa5に進む。
【0101】
ステップSa5に示すように、加熱部材150は、基板Wを加熱する。基板Wの裏面Wbは、加熱部材150からの熱輻射または基板Wの裏面Wbと加熱部材150の上面150aとの間の空間内流体熱伝導により加熱される。加熱部材150は、加熱部材150の上面150aと基板Wの裏面Wbとが平行になるように配置される。このため、加熱部材150から基板Wに与えられる単位面積当たりの熱量は、基板Wの全域においてほぼ均一となる。このとき、基板Wの回転を停止するか、基板Wは低速で回転する。
【0102】
加熱部材150が基板Wの裏面Wbを加熱することにより、基板Wの上面Waの全面の温度が、予め定める加熱時上面温度まで上昇する。加熱時の上面温度は、有機溶剤の沸点よりも10~50℃高い範囲の所定の温度である。基板Wの上面Waの全面がこの加熱時上面温度まで上昇するように、加熱部材150の単位面積当たりの熱量および、基板Wの裏面Wbと加熱部材150の上面150aとの間隔が所定の大きさに設定されている。
【0103】
ステップSa6に示すように、有機溶剤を除去する。まず、基板Wの上面Waの温度が加熱時上面温度に到達して所定時間が経過すると、基板Wの上面Waの有機溶剤の一部が蒸発して気化しに基板Wの上面Waの上方空間に蒸気膜が形成される。これにより、基板Wの上面Waから有機溶剤が浮上する。
【0104】
その後、基板Wを低速で回転するとともに、基板Wの上面Waにガスを供給する。例えば、基板保持部120は、基板Wを回転速度10rpm~500rpmで回転するともにガス供給部140のバルブ140bが開く。これにより、基板Wの上面Waの中心の有機溶剤が外側に押し出されて部分的に除去されて小径円形状の乾燥領域が形成される。
【0105】
有機溶剤は、蒸気膜を介して、基板Wの上面Waから分離されており、基板Wの上面Waに沿って移動し易い状態にある。このため、基板Wの回転およびガスの供給に伴って乾燥領域は基板Wの上面Waの中心から外側に向かって拡大する。乾燥領域が基板Wの上面Waの全域に広がることにより、基板Wの上面Waから有機溶剤をその液塊状態を維持したままで除去できる。次に、処理は、ステップSa7に進む。
【0106】
ステップSa7に示すように、基板Wを乾燥する。例えば、基板保持部120は、基板Wを高速に回転する。例えば、基板Wの回転速度は、2500rpmまで増加する。これにより、基板Wの上面Waから有機溶剤が振り切られて基板Wを乾燥できる。次に、処理は、ステップSa8に進む。
【0107】
ステップSa8に示すように、チャンバー110から基板Wを搬出する。例えば、センターロボットCRがチャンバー110内の処理された基板Wを搬出する。以上のように、ステップSa1~Sa8によって基板Wを処理できる。図6において、基板処理工程Saは、ステップSa1~Sa8を含む。ここでは、基板処理工程Saの後に、処理は、ステップS12に進む。
【0108】
ステップS12に示すように、加熱部材150にリンス液を供給する。例えば、リンス液供給部134は、加熱部材150の上面150aにリンス液を供給する。典型的には、リンス液供給部134は、加熱部材150の上面150aの中央にリンス液を供給する。次に、処理は、ステップS14に進む。
【0109】
ステップS14に示すように、ガス供給部140は、加熱部材150にガスを供給する。例えば、ガス供給部140は、加熱部材150の上面150aの中央にガスを供給する。ガスは、例えば不活性ガスである。一例では、ガスは、窒素ガスを含む。ガスの供給により、リンス液は、加熱部材150の上面150aにおいてリング状に広がる。このとき、カップ180は、加熱部材150の側方を覆う位置に配置されていることが好ましい。次に、処理は、ステップS16に進む。
【0110】
ステップS16に示すように、加熱部材150に薬液を供給する。例えば、薬液供給部132は、加熱部材150の上面150aのリンス液に向けて薬液を供給する。これにより、薬液は、加熱部材150の上面150aのリンス液と混合して、リング状のリンス液内を拡散する。次に、処理は、ステップS18に進む。
【0111】
ステップS18に示すように、ガス供給部140は、加熱部材150にガスを供給する。例えば、ガス供給部140は、加熱部材150の上面150aの中央にガスを供給する。これにより、加熱部材150の上面150aのリンス液および薬液は排出される。カップ180は、加熱部材150の側方を覆う位置に配置されていることが好ましい。
【0112】
ステップS12~S18によって加熱部材150を清浄処理する。図6において、清浄工程Spは、ステップS12~ステップS18を含む。以上により、基板Wを処理するとともに加熱部材150を清浄にできる。本実施形態によれば、基板処理工程Saにおいて加熱部材150に付着物が付着しても、清浄工程Spにおいて加熱部材150を速やかに清浄にできる。
【0113】
なお、図6を参照した上述の説明では、1枚の基板Wを処理した後で、加熱部材150の上面150aの清浄処理を行ったが、本実施形態はこれに限定されない。所定枚数の基板Wの処理が完了した後に、加熱部材150の清浄処理を行ってもよい。例えば、加熱部材150の清浄処理は、基板Wが10枚処理された毎に行われてもよい。あるいは、加熱部材150の清浄処理は、基板Wの処理を開始してから所定時間経過後に処理した基板Wを排出した後、行われてもよい。例えば、基板Wの処理を開始してから5時間経過後に処理した基板Wを排出した後、加熱部材150の清浄処理を開始してもよい。
【0114】
あるいは、基板処理装置100の駆動を停止した停止期間が所定時間経過した場合、次に、基板処理装置100の駆動を開始する際に、加熱部材150の清浄処理を行ってもよい。あるいは、基板処理装置100の駆動を停止する直前に、基板Wを搬出した後に加熱部材150の清浄処理を行ってもよい。
【0115】
なお、図6を参照した上述の説明では、加熱部材150は、基板Wを処理した後に加熱部材150の清浄処理を行ったが、本実施形態はこれに限定されない。加熱部材150は、基板Wを処理する前に清浄処理されてもよい。特に、基板処理装置100が所定期間駆動しなかった場合、加熱部材150は、基板Wを処理する前に清浄処理されることが好ましい。
【0116】
また、図1図6を参照した上述の説明では、ノズル132n、134n、136nおよび140nはそれぞれ別個に設けられたが、本実施形態はこれに限定されない。ノズル132n、134n、136nおよび140nの少なくとも一部は、一体化されてもよい。また、図1図6を参照した上述の説明では、基板Wの上面Waにのみ液体およびガスが供給されたが、本実施形態はこれに限定されない。基板Wの裏面Wbに、液体およびガスの少なくとも一方が供給されてもよい。
【0117】
次に、図7を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図7は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。図7に示した基板処理装置100は、ノズル132nおよびノズル134nが一体に移動可能である点、ノズル136nおよびノズル140nが一体化されている点、加熱部材150が基板Wに対して昇降可能である点、および、基板Wの裏面Wbにガスが供給される点を除いて、図1を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0118】
本実施形態の基板処理装置100は、薬液供給部132のノズル132nおよびリンス液供給部134のノズル134nが取り付けられたアーム部材A1をさらに備える。アーム部材A1には、移動ユニットTaが取り付けられる。移動ユニットTaは、アーム部材A1を移動させる。
【0119】
移動ユニットTaは、吐出位置と退避位置との間でアーム部材A1を移動する。アーム部材A1が吐出位置にある場合、アーム部材A1は、基板Wの上方に位置する。アーム部材A1が吐出位置にある場合、アーム部材A1は、基板Wの上面Waに向けて薬液およびリンス液を吐出する。アーム部材A1が退避位置にある場合、アーム部材A1は、基板Wよりも基板Wの径方向外側に位置する。
【0120】
基板処理装置100は、また、有機溶剤供給部136のノズル136nおよびガス供給部140のノズル140nが一体化したノズルN1をさらに備える。ノズルN1には、移動ユニットTnが取り付けられる。移動ユニットTnは、ノズルN1を移動させる。
【0121】
移動ユニットTnは、吐出位置と退避位置との間でノズルN1を移動する。ノズルN1が吐出位置にある場合、ノズルN1は、基板Wの上方に位置する。ノズルN1が吐出位置にある場合、ノズルN1は、基板Wの上面Waに向けて有機溶剤およびガスを吐出する。ノズルN1が退避位置にある場合、ノズルN1は、基板Wよりも基板Wの径方向外側に位置する。
【0122】
また、図7に示した基板処理装置100は、ガス供給部140Aをさらに備える。ガス供給部140Aは、基板Wにガスを供給する。例えば、ガス供給部140Aは、基板Wの裏面Wbにガスを供給する。ガス供給部140Aから供給されるガスは、例えば不活性ガスである。一例では、ガスは、窒素ガスを含む。
【0123】
ガス供給部140Aは、配管140cと、バルブ140dと、ノズル140mとを含む。バルブ140dは、配管140cに配置される。配管140cは、ガスをチャンバー110内に導く。バルブ140dは、配管140cを開閉する。
【0124】
配管140cは、シャフト123の内孔および加熱部材150を貫通する。例えば、配管140cは、支持部155の内孔を貫通してもよい。典型的には、配管140cは、加熱部材150の上面150aの中心を貫通する。このため、ノズル140mは、加熱部材150の上面150aの中心に位置する。加熱部材150の上面150aの中心から、基板Wの裏面Wbに向けてガスが供給される。
【0125】
また、基板処理装置100は、加熱部材150を昇降する昇降ユニット158をさらに備える。昇降ユニット158は、加熱部材150を基板保持部120に対して上下に相対移動させる。加熱部材150が基板Wを加熱する場合、昇降ユニット158は加熱部材150が基板Wに近づくように加熱部材150を上昇させる。
【0126】
例えば、昇降ユニット158は、加熱部材150が基板Wに近接する位置(近接位置)まで加熱部材150を上昇できる。また、昇降ユニット158は、加熱部材150が上昇位置に対して基板Wから離れた位置(離間位置)まで加熱部材150を下降できる。
【0127】
加熱部材150が近接位置まで上昇すると、加熱部材150の上面150aは基板Wの裏面Wbから特定の間隔(典型的には0.5~3mm)まで近接する。加熱部材150が近接位置に到達することにより、基板Wの裏面Wbは、加熱部材150からの熱輻射または基板Wの裏面Wbと加熱部材150の上面150aとの間の空間内流体熱伝導により加熱される。加熱部材150は、近接位置で、加熱部材150の上面150aと基板Wの裏面Wbとが平行になるように配置されることが好ましい。
【0128】
なお、ここでは、加熱部材150が基板Wに近接する位置まで加熱部材150を上昇したが、加熱部材150は、基板Wに接触する位置まで加熱部材150を上昇してもよい。
【0129】
本実施形態の基板処理装置100では、ノズル132nとノズル134nとがアーム部材A1に取り付けられている。薬液およびリンス液は連続して使用することが多いため、ノズルの移動に要する時間を短縮できる。また、基板処理装置100では、ノズル136nとノズル140nとが一体化されたノズルN1が設けられている。有機溶剤およびガスは連続して使用することが多いため、ノズルの移動に要する時間を短縮できる。
【0130】
本実施形態の基板処理装置100では、ガス供給部140Aにより、基板Wの裏面Wbにガスを供給できる。このため、基板Wの裏面Wbおよび/または加熱部材150に付着物が付着することを抑制できる。
【0131】
また、本実施形態の基板処理装置100では、昇降ユニット158は、加熱部材150と基板Wとの距離を短くできる。このため、加熱部材150は、より少ない電力で基板Wを効率的に加熱できる。
【0132】
なお、図1図7を参照した上述の説明では、薬液供給部132は、一種類の薬液を供給したが、本実施形態はこれに限定されない。薬液供給部132は、複数の薬液を別個に供給してもよい。
【0133】
次に、図8を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図8は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。図8に示した基板処理装置100は、薬液供給部132が第1薬液供給部132Aおよび第2薬液供給部132Bを含む点を除いて、図1を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0134】
本実施形態の基板処理装置100において、薬液供給部132は、第1薬液供給部132Aおよび第2薬液供給部132Bを含む。第1薬液供給部132Aは、第1薬液を供給する。第2薬液供給部132Bは、第1薬液とは異なる第2薬液を供給する。
【0135】
第1薬液供給部132Aは、配管132cと、バルブ132dと、ノズル132pとを含む。ノズル132pは、基板Wの上面Waに薬液を吐出する。ノズル132pは、配管132cに接続される。配管132cには、供給源から第1薬液が供給される。バルブ132dは、配管132c内の流路を開閉する。
【0136】
第2薬液供給部132Bは、配管132eと、バルブ132fと、ノズル132qとを含む。ノズル132qは、基板Wの上面Waに薬液を吐出する。ノズル132qは、配管132eに接続される。配管132eには、供給源から第2薬液が供給される。バルブ132fは、配管132e内の流路を開閉する。
【0137】
ここでは、ノズル132pおよびノズル132qは、ノズル134nとともにアーム部材A1に取り付けられている。アーム部材A1は、移動ユニットTaによって移動可能である。
【0138】
第1薬液供給部132Aおよび第2薬液供給部132Bは、加熱部材150の清浄処理に好適に用いられる。例えば、第1薬液および第2薬液の一方は、付着物の組成を変化させる液であり、第1薬液および第2薬液の他方は、組成の変化した付着物を剥離するための液である。例えば、付着物がチタン(Ti)を含む場合、第1薬液として過酸化水素水を用いて、第2薬液としてフッ酸を用いてもよい。この場合、第1薬液および第2薬液は、同時に吐出されず、異なるタイミングで吐出してもよい。
【0139】
ただし、第1薬液および第2薬液は、同時に吐出されてもよい。例えば、付着物がコバルト(Co)を含む場合、第1薬液として過酸化水素水を用いて、第2薬液として塩酸を用いてもよい。また、付着物がタングステン(W)を含む場合も、第1薬液として過酸化水素水を用いて、第2薬液として塩酸を用いてもよい。あるいは、付着物がタングステン(W)を含む場合、第1薬液として過酸化水素水を用いて、第2薬液としてアンモニア水を用いてもよい。さらには、付着物がガリウム(Ga)を含む場合、第1薬液として濃塩酸を用いて、第2薬液として濃硝酸を用いてもよい。
【0140】
なお、第1薬液および第2薬液のそれぞれが単独で付着物に対して異なる影響を及ぼす場合、第1薬液および第2薬液は、異なるタイミングで供給されることが好ましい。
【0141】
次に、図8および図9を参照して本実施形態の加熱部材150の清浄方法を説明する。図9は、加熱部材150の清浄方法を説明するためのフロー図である。
【0142】
ステップS42に示すように、加熱部材150にリンス液を供給する。例えば、リンス液供給部134は、加熱部材150の上面150aにリンス液を供給する。典型的には、リンス液供給部134は、加熱部材150の上面150aの中央にリンス液を供給する。次に、処理は、ステップS44に進む。
【0143】
ステップS44に示すように、ガス供給部140は、加熱部材150にガスを供給する。例えば、ガス供給部140は、加熱部材150の上面150aの中央にガスを供給する。ガスの供給により、リンス液は、加熱部材150の上面150aにおいてリング状に広がる。このとき、カップ180は、加熱部材150の側方を覆う位置に配置されていることが好ましい。次に、処理は、ステップS46に進む。
【0144】
ステップS46に示すように、加熱部材150の第1位置に第1薬液を供給する。第1薬液は、過酸化水素水を含む。例えば、第1薬液供給部132Aは、加熱部材150の上面150aのリンス液に向けて第1薬液を供給する。これにより、第1薬液は、加熱部材150の上面150aのリンス液と混合して、リング状のリンス液内を拡散する。次に、処理は、ステップS48に進む。
【0145】
ステップS48に示すように、加熱部材150の第2位置に第1薬液を供給する。例えば、第1薬液供給部132Aは、加熱部材150の上面150aのリンス液に向けて第1薬液を供給する。これにより、第1薬液は、加熱部材150の上面150aのリンス液と混合して、リング状のリンス液内を拡散する。次に、処理は、ステップS50に進む。
【0146】
ステップS50に示すように、ガス供給部140は、加熱部材150にガスを供給する。例えば、ガス供給部140は、加熱部材150の上面150aの中央にガスを供給する。これにより、加熱部材150の上面150aのリンス液および第1薬液は排出される。次に、処理は、ステップS52に進む。
【0147】
ステップS52に示すように、加熱部材150にリンス液を供給する。例えば、リンス液供給部134は、加熱部材150の上面150aにリンス液を供給する。典型的には、リンス液供給部134は、加熱部材150の上面150aの中央にリンス液を供給する。次に、処理は、ステップS54に進む。
【0148】
ステップS54に示すように、ガス供給部140は、加熱部材150にガスを供給する。例えば、ガス供給部140は、加熱部材150の上面150aの中央にガスを供給する。ガスの供給により、リンス液は、加熱部材150の上面150aにおいてリング状に広がる。このとき、カップ180は、加熱部材150の側方を覆う位置に配置されていることが好ましい。次に、処理は、ステップS56に進む。
【0149】
ステップS56に示すように、加熱部材150の第1位置に第2薬液を供給する。第2薬液は、フッ酸を含む。例えば、第2薬液供給部132Bは、加熱部材150の上面150aのリンス液に向けて第2薬液を供給する。これにより、第2薬液は、加熱部材150の上面150aのリンス液と混合して、リング状のリンス液内を拡散する。次に、処理は、ステップS58に進む。
【0150】
ステップS58に示すように、加熱部材150の第2位置に第2薬液を供給する。例えば、第2薬液供給部132Bは、加熱部材150の上面150aのリンス液に向けて第2薬液を供給する。これにより、第2薬液は、加熱部材150の上面150aのリンス液と混合して、リング状のリンス液内を拡散する。次に、処理は、ステップS60に進む。
【0151】
ステップS60に示すように、ガス供給部140は、加熱部材150にガスを供給する。例えば、ガス供給部140は、加熱部材150の上面150aの中央にガスを供給する。これにより、加熱部材150の上面150aのリンス液および第2薬液は排出される。以上により、加熱部材150の上面を清浄にできる。
【0152】
なお、図9を参照した説明では、過酸化水素水を含む第1薬液を用いた後で、フッ酸を含む第2薬液を用いたが、本実施形態はこれに限定されない。先にフッ酸を含む第2薬液を用いた後で、過酸化水素水を含む第1薬液を用いてもよい。例えば、不純物の表面において金属が露出している場合、過酸化水素水を含む第1薬液を用いた後で、フッ酸を含む第2薬液を用いることが好ましい。一方、不純物の表面において金属酸化物が露出している場合、フッ酸を含む第2薬液を用いた後で、過酸化水素水を含む第1薬液を用いることが好ましい。
【0153】
次に、図10を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図10は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。図10に示した基板処理装置100は、支持部およびリフトピンを備えるとともにチャック部材122の一部が回動可能である点を除いて、図1を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0154】
本実施形態の基板処理装置100において、基板保持部120は、支持軸126と、支持軸126に連結されたリフトピン127とをさらに備える。支持軸126は、鉛直方向に延びた円筒形状であり、支持軸126は、シャフト123の内孔に配置される。支持軸126の内孔には、支持部155が配置される。支持軸126から、少なくとも3本のリフトピン127が伸びている。リフトピン127は、支持軸126の上方において径方向外側に延び、その先端において鉛直上方に延びている。
【0155】
加熱部材150には、少なくとも3か所の貫通孔150hが設けられている。貫通孔150hは、加熱部材150の上面150aと裏面150bとを連絡する。貫通孔150hの位置、大きさおよび数は、リフトピン127の位置、大きさおよび数に対応し手設けられており、貫通孔150hは、リフトピン127を通過可能なように構成される。
【0156】
本実施形態の基板処理装置100は、支持軸126を昇降可能な昇降ユニット158Aをさらに備える。昇降ユニット158Aが支持軸126を移動させることにより、リフトピン127は、加熱部材150を貫通する。昇降ユニット158Aが支持軸126を下降する場合、リフトピン127が加熱部材150の上面150aから突出しない。一方、昇降ユニット158Aが支持軸126を上昇する場合、リフトピン127が加熱部材150の上面150aから突出する。この場合、リフトピン127の上端は、チャック部材122の上端よりも鉛直上方に位置する。
【0157】
リフトピン127の上端は、チャック部材122の上端よりも鉛直上方に位置できる。このため、センターロボットCRが基板Wをチャンバー110に対して搬入および/または搬出する場合、センターロボットCRは、基板Wをリフトピン127に支持されるように渡すことができる。
【0158】
チャック部材122は、本体部122aと、複数の回動部122bとを有する。本体部122aは、スピンベース121に対して鉛直上方に延びている。回動部122bは、本体部122aの鉛直上方の先端に設けられる。回動部122bは、本体部122aに対して基板Wの円周方向に回動可能である。このため、複数の回動部122bが、内側を向いた場合、基板Wは、回動部122bによって支持される。また、複数の回動部122bが外側を向いた場合、基板Wは、回動部122bによって支持されない。したがって、複数の回動部122bが外側を向いた状態で、昇降ユニット158Aが基板Wを保持するリフトピン127を下降すると、基板Wを加熱部材150の上面150aに載置できる。これにより、加熱部材150の熱を基板Wに充分に伝達できる。
【0159】
なお、図3図10を参照した上述の説明では、加熱部材150のヒーター154は、抵抗体であったが、本実施形態はこれに限定されない。加熱部材150は、加熱時に光を照射してもよい。
【0160】
次に、図11を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図12は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。図11に示した基板処理装置100は、加熱部材150が加熱時に光を照射する点を除いて、図1を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0161】
図11に示すように、加熱部材150は、基板保持部120に保持された基板Wの下方に配置される。加熱部材150は、複数のランプ150Lを有しており、基板保持部120の上方に設けられる。各ランプ150Lが点灯することにより、基板保持部120によって保持される基板Wの裏面Wbは、ランプ150Lからの光によって照射される。
【0162】
ここで、加熱部材150は、例えば、直管タイプのランプ150Lを複数本並列に設けたものであってもよい。あるいは、加熱部材150は、電球タイプのランプ150Lを複数個アレイ状に設けたものであってもよい。また、ランプ150Lとしては、例えば、ハロゲンランプまたはキセノンフラッシュランプを用いることが可能である。
【0163】
加熱部材150としては、基板保持部120上の基板Wに対して電磁波を照射する各種の照射部材を用いることが可能である。例えば、光を照射するランプ150L以外にも、例えば、基板保持部120上の基板Wに対して、遠赤外線を照射する遠赤ヒーターまたはマイクロ波を照射するマイクロ波ヒーターを用いてもよい。
【0164】
なお、基板処理装置100は、加熱部材150の上面150aにおける付着物に応じて加熱部材150の清浄処理を開始してもよい。例えば、基板処理装置100は、加熱部材150の上面150aを撮像して加熱部材150の上面150aの清浄処理を開始してもよい。
【0165】
次に、図12を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図12は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。図12に示した基板処理装置100は、撮像部190をさらに備える点を除いて、図1を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0166】
撮像部190は、チャンバー110内に配置される。撮像部190は、加熱部材150の上面150aを撮像して画像データを生成する。制御装置101は、撮像部190の撮像結果に応じて加熱部材150の清浄処理を開始する。例えば、制御装置101は、撮像部190によって生成された画像データから、加熱部材150の上面150aに付着物が付着しているか否か判定し、加熱部材150の上面150aに付着物が付着している場合、加熱部材150の清浄処理を開始する。
【0167】
次に、図12および図13を参照して本実施形態の基板処理装置による基板処理方法を説明する。図13は、本実施形態の基板処理装置による基板処理方法を説明するためのフローチャートである。
【0168】
ステップSb1において、撮像部190は、加熱部材150の上面150aを撮像する。その後、処理は、ステップSb2に進む。
【0169】
ステップSb2において、制御部102は、撮像部190の撮像結果に基づいて加熱部材150を清浄にするか否かを判定する。例えば、制御部102は、撮像部190によって生成された画像データを解析して、加熱部材150に付着物が付着しているか否か判定する。画像データに示された加熱部材150の上面150aの色が、当初の加熱部材150の色と異なる色である場合、制御部102は、加熱部材150に付着物が付着していると判定する。あるいは、画像データに示された加熱部材150の形状が、当初の加熱部材150の形状と異なる場合、制御部102は、加熱部材150に付着物が付着していると判定する。
【0170】
加熱部材150を清浄にすると判定される場合(ステップSb2においてYes)、処理はステップSp1に進む。加熱部材150を清浄にしないと判定される場合(ステップSb2においてNo)、処理は基板処理工程Saに進む。
【0171】
ステップSp1において、加熱部材150を清浄にする。例えば、制御部102は、図6のステップS12~S18を実行して加熱部材150を清浄にする。その後、処理は、基板処理工程Saに進む。
【0172】
基板処理工程Saにおいて、基板Wを処理する。制御部102は、図6のステップSa1~Sa8を実行して基板Wを処理する。その後、処理は、ステップSb3に進む。
【0173】
ステップSb3において、撮像部190は、加熱部材150の上面150aを撮像する。その後、処理は、ステップSb4に進む。
【0174】
ステップSb4において、制御部102は、撮像部190の撮像結果に基づいて加熱部材150を清浄にするか否かを判定する。例えば、制御部102は、撮像部190によって生成された画像データを解析して、加熱部材150に付着物が付着しているか否か判定する。加熱部材150を清浄にすると判定される場合(ステップSb4においてYes)、処理はステップSp2に進む。加熱部材150を清浄にしないと判定される場合(ステップSb4においてNo)、処理はステップSb5に進む。
【0175】
ステップSp2において、加熱部材150を清浄にする。例えば、制御部102は、図6のステップS12~S18を実行して加熱部材150を清浄にする。その後、処理は、ステップSb5に進む。
【0176】
ステップSb5において、制御部102は、処理すべき他の基板Wがあるかを判定する。例えば、処理すべき基板Wがあると判定される場合(ステップSb5においてYes)、処理は基板処理工程Saに戻る。処理すべき基板Wがないと判定される場合(ステップSb5においてNo)、処理は終了する。以上のようにして、基板処理および加熱部材150の清浄処理を実行できる。本実施形態によれば、撮像部190によって撮像した結果に基づいて加熱部材150の清浄処理を行うか否かを判定するため、必要性に応じて加熱部材150を清浄にできる。
【0177】
なお、図1図13を参照した上述の説明では、基板Wは回転する一方で、加熱部材150は、回転しなかったが、本実施形態はこれに限定されない。加熱部材150は回転してもよい。
【0178】
次に、図14を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図14は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。図14に示した基板処理装置100は、加熱部材150が回転する点を除いて、図1を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0179】
基板処理装置100は、加熱部材150を回転させるための電動モーター159をさらに備える。電動モーター159は、支持部155に連結されている。電動モーター159により、加熱部材150は回転される。制御部102は、電動モーター159を制御することにより、加熱部材150を回転する。
【0180】
本実施形態の基板処理装置100では、電動モーター159によって加熱部材150が回転可能であるため、加熱部材150の清浄工程において、加熱部材150の上面150aにガスを供給しなくてもよい。詳細には、加熱部材150の上面150aの外周部に薬液を供給した後、加熱部材150が回転することにより、加熱部材150の上面150aにガスを供給しなくても、加熱部材150の上面150aから薬液を排出できる。
【0181】
なお、図1図14を参照した上述の説明では、加熱部材150は、薬液によって清浄にしたが、本実施形態は、これに限定されない。加熱部材150は、薬液に加えて摩耗によって清浄にされてもよい。加熱部材150を摩耗する場合、加熱部材150は、回転した状態で摩耗されることが好ましい。
【0182】
次に、図15を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図15に示した基板処理装置100は、スクラブ部材192をさらに備える点を除いて、図16を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0183】
基板処理装置100は、スクラブ部材192をさらに備える。スクラブ部材192は、清浄工程において薬液を用いて加熱部材150の上面150aをスクラブする。スクラブ部材192のヘッドは、スポンジ、不織布、発泡ポリウレタンなどの軟質材料または研磨テープから構成される。スクラブ部材192が加熱部材150の上面150aと接触することにより、スクラブ部材192は、薬液を用いて加熱部材150の上面150aの付着物を除去できる。
【0184】
スクラブ部材192は、加熱部材150に対して相対的に移動することが好ましい。例えば、スクラブ部材192は、X方向および/またはY方向に沿って加熱部材150の上面150aに対して移動してもよい。あるいは、スクラブ部材192は加熱部材150の上面150aに接触した状態で維持される一方で、加熱部材150が回転してもよい。また、スクラブ部材192は、加熱部材150の清浄工程に用いられるだけでなく、基板Wの処理工程に用いられてもよい。
【0185】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本発明は、基板を加熱するための加熱部材を清浄にするために好適に用いられる。
【符号の説明】
【0187】
100 基板処理装置
110 チャンバー
120 基板保持部
132 薬液供給部
134 リンス液供給部
136 有機溶剤供給部
140 ガス供給部
W 基板
図1
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