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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】発泡粒子の製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/60 20060101AFI20231024BHJP
   C08J 9/18 20060101ALI20231024BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20231024BHJP
   G05D 23/00 20060101ALI20231024BHJP
   G05D 23/01 20060101ALI20231024BHJP
   G05D 7/06 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
B29C44/60
C08J9/18
B29C44/00 Z
G05D23/00 D
G05D23/01 A
G05D7/06 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019158794
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021037635
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】戎井 昌英
(72)【発明者】
【氏名】福田 経宣
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-188448(JP,A)
【文献】特開平05-009330(JP,A)
【文献】特開2003-268151(JP,A)
【文献】特開2005-187778(JP,A)
【文献】特開2014-098693(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0229096(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105579827(CN,A)
【文献】特開平09-079512(JP,A)
【文献】カナダ国特許出願公開第02602524(CA,A1)
【文献】特開2001-201273(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104431218(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102968141(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00 - 9/42
B29C 44/00 - 44/60
B29C 67/20
B29B 7/00 - 11/14
B29B 13/00 - 15/06
B29C 31/00 - 31/10
B29C 37/00 - 37/04
B29C 71/00 - 71/02
G05D 23/00 - 23/32
G05D 7/00 - 7/06
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡槽と、
前記発泡槽の外周部に設けられたジャケット部と、
前記ジャケット部へ蒸気を供給する供給管を有し、前記発泡槽内の温度を調節する温調制御部と、を備え、
前記温調制御部は、
上流側の蒸気供給源から送られる高圧蒸気の圧力を最適圧力に減圧する弁であって、前記ジャケット部へ供給される蒸気の圧力を一定に保つ第1の減圧弁と、
前記第1の減圧弁の下流側から分岐し、蒸気供給量が互いに異なる複数の分岐管と、
前記複数の分岐管の開閉切替を制御するための切替制御部と、
前記複数の分岐管の少なくとも1つに設けられ、当該分岐管での蒸気量を調節する第1の制御弁と、を備え
前記複数の分岐管は、口径が異なる第1~第3の分岐管から構成され、これら分岐管の口径は、第1の分岐管>第2の分岐管>第3の分岐管であり、
前記第1の制御弁は、前記第1の分岐管に設けられておらず、
前記切替制御部は、
(1)前記第1の分岐管のみを開放して前記発泡槽の昇温をスタートし、
(2)前記発泡槽内の温度が第1の設定温度に到達した後、前記第2の分岐管のみを開放し、
(3)前記発泡槽内の温度が第1の設定温度から第2の設定温度に到達した後、第3の分岐管のみを開放し、前記発泡槽内の温度を目標の第3の設定温度に到達させる、発泡粒子の製造装置。
【請求項2】
発泡槽と、
前記発泡槽の外周部に設けられたジャケット部と、
前記ジャケット部へ蒸気を供給する供給管を有し、前記発泡槽内の温度を調節する温調制御部と、を備え、
前記温調制御部は、
前記供給管に設けられ、上流側の蒸気供給源から送られる蒸気の圧力を減圧して、下流側へ送る第2の減圧弁と、
前記供給管における前記第2の減圧弁の下流側に設けられ、前記ジャケット部への蒸気流量を調節する第2の制御弁と、
前記第2の減圧弁を制御し、前記供給管を流れる蒸気の圧力を上昇または降下させることにより、ジャケット部への蒸気の供給速度を変化させる減圧弁圧力制御部と、を備えた、発泡粒子の製造装置。
【請求項3】
発泡槽と、
前記発泡槽の外周部に設けられたジャケット部と、
前記ジャケット部へ蒸気を供給する供給管を有し、前記発泡槽内の温度を調節する温調制御部と、を備え、
前記温調制御部は、
上流側の蒸気供給源から送られる高圧蒸気の圧力を最適圧力に減圧する弁であって、前記ジャケット部へ供給される蒸気の圧力を一定に保つ第1の減圧弁と、
前記第1の減圧弁の下流側から分岐し、蒸気供給量が互いに異なる複数の分岐管と、
前記複数の分岐管の少なくとも1つに設けられた第1の制御弁と、を備えた製造装置を用いた発泡粒子の製造方法において、
前記複数の分岐管の開閉切替を制御するとともに、当該分岐管での蒸気量を前記第1の制御弁により調節し、
前記複数の分岐管は、口径が異なる第1~第3の分岐管から構成され、これら分岐管の口径は、第1の分岐管>第2の分岐管>第3の分岐管であり、
前記第1の制御弁は、前記第1の分岐管に設けられておらず、
前記開閉切替の制御において、
(1)前記第1の分岐管のみを開放して前記発泡槽の昇温をスタートし、
(2)前記発泡槽内の温度が第1の設定温度に到達した後、前記第2の分岐管のみを開放し、
(3)前記発泡槽内の温度が第1の設定温度から第2の設定温度に到達した後、第3の分岐管のみを開放し、前記発泡槽内の温度を目標の第3の設定温度に到達させる、発泡粒子の製造方法。
【請求項4】
発泡槽と、
前記発泡槽の外周部に設けられたジャケット部と、
前記ジャケット部へ蒸気を供給する供給管を有し、前記発泡槽内の温度を調節する温調制御部と、を備え、
前記温調制御部は、
前記供給管に設けられ、上流側の蒸気供給源から送られる蒸気の圧力を減圧して、下流側へ送る第2の減圧弁と、
前記供給管における前記第2の減圧弁の下流側に設けられた第2の制御弁と、を備えた製造装置を用いた発泡粒子の製造方法において、
前記第2の減圧弁を制御し、前記供給管を流れる蒸気の圧力を上昇または降下させることにより、ジャケット部への蒸気の供給速度を変化させるとともに、前記ジャケット部への蒸気流量を前記第2の制御弁により調節する、発泡粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡粒子の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂からなる発泡粒子は、発泡槽内で分散剤を含む水中に熱可塑性樹脂粒子を分散させ、ついで揮発性発泡剤を添加し、高温高圧下に保って揮発性発泡剤を含浸させたのち、低圧雰囲気下に放出する方法(以下、除圧発泡法)により製造されることは知られている。
【0003】
このような発泡粒子の製造方法である除圧発泡法では、各生産バッチでの発泡粒子の発泡倍率のバラツキを小さくするために、生産バッチ間での発泡槽内温バラツキを小さくすること、およびバッチ内での発泡槽の温度制御の精度が高いこと(±0.1℃レベル)が必要である。このため、発泡槽内の温度は、昇温から発泡終了までの間で精密に調節されている。図5は、発泡槽1内の温度を調節する従来の温調制御部の概略構成を模式的に示した図である。
【0004】
図5に示されるように、従来の発泡粒子の製造装置は、発泡槽1と温調制御部100と、を備えている。発泡槽1には、その外周部を取り囲むように、ジャケット部2が設けられている。従来の温調制御部100は、ジャケット部2に対して蒸気を供給する蒸気供給管路111を備えている。そして、蒸気供給管路111には、蒸気供給源から蒸気が供給される上流側から下流側(ジャケット部2側)へ向けて、減圧弁112、開閉弁113、および制御弁114がこの順に設けられている。減圧弁112は、蒸気供給源から流れる高圧の蒸気を減圧して、ジャケット部2へ供給する蒸気圧を一定に保つ。また、制御弁114は、上流側から流れる蒸気を所定の流量に調節し下流側へ送る。制御弁114は、温度指示調節器(TIC)に接続されている。当該温度指示調節器は、発泡槽1内の温度の信号を受け、当該信号に基づいてPID制御などのプロセス制御方式を用いて制御弁114の弁開度を調節する。これによって、蒸気供給管路111を流れる蒸気の流量が調節される。このように、従来の構成では、発泡槽1の昇温から発泡終了までの間、一定口径(呼び径)の蒸気供給管路111を用いて、ジャケット部2へ一定圧力の蒸気を供給するようになっている。そして、この一定圧力の蒸気の供給量を制御弁114により調節することによって、発泡槽1内の温度が調節される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
各生産バッチで発泡倍率バラツキが小さい発泡粒子を製造する上で、発泡槽内の温度を精密に制御することは重要である。発泡槽1の内部は最大160℃へ加熱する必要があるため、ジャケット部2へ蒸気を供給して加熱する。そのため、(a)加熱のみ(冷却しない)の温度制御となること、(b)発泡槽1の熱容量が大きいことから、温調制御部100による発泡槽1の内温測定値の応答遅れ時間が長く、精度良く内温を制御することは難しい。図5に示された従来の装置では、発泡槽1内の温度を精密に制御する点において、改善の余地がある。
【0006】
本発明の一態様は、発泡槽内の温度を精密に制御することが可能な発泡粒子の製造装置および製造方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る発泡粒子の製造装置は、発泡槽と、前記発泡槽の外周部に設けられたジャケット部と、前記ジャケット部へ蒸気を供給する供給管を有し、前記発泡槽内の温度を調節する温調制御部と、を備え、前記温調制御部は、前記ジャケット部へ供給される蒸気の圧力を一定に保つ第1の減圧弁と、前記第1の減圧弁の下流側から分岐し、蒸気供給量が互いに異なる複数の分岐管と、前記複数の分岐管の開閉切替を制御するための切替制御部と、前記複数の分岐管の少なくとも1つに設けられ、当該分岐管での蒸気量を調節する第1の制御弁と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る発泡粒子の製造装置は、発泡槽と、前記発泡槽の外周部に設けられたジャケット部と、前記ジャケット部へ蒸気を供給する供給管を有し、前記発泡槽内の温度を調節する温調制御部と、を備え、前記温調制御部は、前記供給管に設けられ、上流側の蒸気供給源から送られる蒸気の圧力を減圧して、下流側へ送る第2の減圧弁と、前記供給管における前記第2の減圧弁の下流側に設けられ、前記ジャケット部への蒸気流量を調節する第2の制御弁と、前記第2の減圧弁を制御し、前記供給管を流れる蒸気の圧力を上昇または降下させる減圧弁圧力制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る発泡粒子の製造方法は、発泡槽と、前記発泡槽の周囲に設けられたジャケット部と、前記ジャケット部へ蒸気を供給する供給管を有し、前記発泡槽内の温度を調節する温調制御部と、を備え、前記温調制御部は、前記ジャケット部へ供給される蒸気の圧力を一定に保つ第1の減圧弁と、前記第1の減圧弁の下流側から分岐し、蒸気供給量が互いに異なる複数の分岐管と、前記複数の分岐管の少なくとも1つに設けられた第1の制御弁と、を備えた製造装置を用いた発泡粒子の製造方法において、前記複数の分岐管の開閉切替を制御するとともに、当該分岐管での蒸気量を前記第1の制御弁により調節することを特徴としている。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る発泡粒子の製造方法は、発泡槽と、前記発泡槽の周囲に設けられたジャケット部と、前記ジャケット部へ蒸気を供給する供給管を有し、前記発泡槽内の温度を調節する温調制御部と、を備え、前記温調制御部は、前記供給管に設けられ、上流側の蒸気供給源から送られる蒸気の圧力を減圧して、下流側へ送る第2の減圧弁と、前記供給管における前記第2の減圧弁の下流側に設けられた第2の制御弁と、を備えた製造装置を用いた発泡粒子の製造方法において、前記第2の減圧弁を制御し、前記供給管を流れる蒸気の圧力を上昇または降下させるとともに、前記ジャケット部への蒸気流量を前記第2の制御弁により調節することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、発泡槽内の温度を精密に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1に係る発泡粒子の製造装置の概略構成を模式的に示した図である。
図2】発泡工程中の発泡槽の内温設定の一例、および当該内温設定に対応した実施形態1に係る製造装置における複数の分岐管の切替制御を示すグラフである。
図3】本発明の実施形態2に係る発泡粒子の製造装置の概略構成を模式的に示した図である。
図4】発泡工程中の発泡槽の内温設定の一例、および当該内温設定に対応した実施形態2に係る製造装置における複数の分岐管の切替制御を示すグラフである。
図5】従来の発泡粒子の製造装置の概略構成を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る発泡粒子の製造装置の概略構成を模式的に示した図である。
【0014】
図1に示されるように、本実施形態に係る発泡粒子の製造装置は、発泡槽1と、ジャケット部2と、温調制御部10と、を備えている。発泡槽1は、発泡粒子の製造に使用される従来公知のものであれば、特に限定されない。ジャケット部2は、発泡槽1と離間するように、発泡槽1の外周部を覆うように設けられている。
【0015】
温調制御部10は、ジャケット部2に蒸気を供給する供給管11を有している。供給管11から供給される蒸気は、発泡槽1とジャケット部2との間の空間に満たされる。そして、この蒸気によって、発泡槽1の内部は加熱される。温調制御部10は、ジャケット部2へ供給される蒸気量を調節することによって、発泡槽1内の温度を調節する。なお、本実施形態では、供給管11を流れる加熱媒体として蒸気を用いている。しかし、供給管11を流れる加熱媒体は、これに限定されるものではなく、発泡槽1に投入される熱可塑性樹脂の種類に応じて他の加熱媒体、例えば、オイル、加熱空気、蒸気と加熱空気との混合媒体などを用いることができる。
【0016】
温調制御部10は、供給管11と、減圧弁12(第1の減圧弁)と、開閉弁13a~13cと、制御弁14bおよび14c(第1の制御弁)と、を備えている。減圧弁12は、上流側の蒸気供給源から送られる高圧蒸気の圧力を最適圧力に減圧する弁であり、ジャケット部2へ供給される蒸気の圧力を一定に保つ。
【0017】
分岐管11a~11cは、供給管11における減圧弁12の下流側から分岐している。分岐管11a~11cはそれぞれ、蒸気供給量が異なるように構成されている。分岐管11a~11cは、この順で蒸気供給量が大きくなるように構成されている。図1に示される構成において、例えば、発泡槽1の容量2~4mに対して、分岐管11aは、呼び径50A(外径:60.5mm)であり、分岐管11bは、呼び径25A(外径:34.0mm)であり、分岐管11cは、呼び径15A(外径:21.7mm)である。
【0018】
開閉弁13a~13cはそれぞれ、分岐管11a~11cの開閉を切替える弁である。本実施形態に係る製造装置では、供給管11における減圧弁12の下流側で、蒸気供給量が異なる3つの分岐管に分岐されている。そして、開閉弁13a~13cにより、分岐管11a~11cそれぞれの開閉が切り替えられるようになっている。
【0019】
本実施形態に係る製造装置では、分岐管11a~11cそれぞれにおいて、蒸気供給量が調節されるようになっている。制御弁14bおよび14cはそれぞれ、分岐管11bおよび11cの呼び径に対応した接続径を有し、分岐管11bおよび11cに接続されている。制御弁14bは、分岐管11bでの蒸気量を調節する弁であり、制御弁14cは、分岐管11cでの蒸気量を調節する弁である。制御弁14bおよび14cには、発泡槽1またはジャケット部2内の温度の測定値等がフィードバック制御される。制御弁14bおよび14cはそれぞれ、フィードバックされた前記測定値等に基づいて、分岐管11bおよび11cを流れる蒸気量を調節する。具体的には、制御弁14bおよび14cはそれぞれ、温度指示調節器(TIC)に接続されている。当該温度指示調節器は、発泡槽1内の設定温度のデータが与えられ、発泡槽1内の温度データを測定し、設定温度データおよび測定温度データの両信号からPID制御等のプロセス制御方式によって、発泡槽1内の温度が前記設定温度になるように、制御弁14bおよび/または14cの弁開度を制御する。これによって、分岐管11bおよび/または11cを流れる蒸気の流量が調節される。また、蒸気供給量が最も大きい分岐管11aには、制御弁が設けられていない。
【0020】
本実施形態に係る製造装置は、開閉弁切替制御部21(切替制御部)を備えている。開閉弁切替制御部21は、開閉弁13a~13cの開閉切替を制御するためのものである。開閉弁切替制御部21は、発泡工程中の発泡槽1内の温度に応じて、開閉弁13a~13cの開閉切替を制御する。開閉弁切替制御部21によって分岐管11a~11cの開閉が切り替えられるので、この切り替えに応じて、ジャケット部2へ供給される蒸気量は変化する。
【0021】
(開閉弁切替制御部21による蒸気供給量の制御)
本実施形態に係る製造装置では、ジャケット部2への蒸気供給量の範囲は、開閉弁切替制御部21によって制御されている。また、本実施形態に係る発泡粒子の製造方法は、図1に示した製造装置を用いた方法であり、複数の分岐管11a~11cの開閉切替を制御するとともに、分岐管11bおよび11cでの蒸気量を制御弁14bおよび14cにより調節する。そして、このような制御方式により、発泡工程中の発泡槽1内の昇温から発泡終了までの発泡槽1内の温度が精密に制御され得る。
【0022】
開閉弁切替制御部21による蒸気供給量の制御について、図2を参照して説明する。図2は、発泡工程中の発泡槽1の内温設定の一例、および当該内温設定に対応した分岐管11a~11cの切替制御を示すグラフである。なお、図2においては、分岐管11aの口径をD1とし、分岐管11bの口径をD2とし、分岐管11cの口径をD3としている。そして、口径D1~D3の大きさは、D1>D2>D3となっている。
【0023】
まず、開閉弁切替制御部21は、開閉弁13aのみを開放して発泡槽1の昇温をスタートさせる。これにより、分岐管11aのみを通過して蒸気がジャケット部2へ流れる。このとき、分岐管11aの口径D1は、分岐管11a~11cの口径の中で最も大きい口径である。それゆえ、ジャケット部2への蒸気供給量が最も大きくなる。このため、ジャケット部2には分岐管11aを介して最大量の蒸気が供給され続ける。これにより、発泡槽1内の温度を速く上昇させることができる(発泡槽1の内温上昇速度:傾きS1)。
【0024】
次いで、発泡槽1内の温度が所定の設定温度T1に到達した後、所定のタイミングで、開閉弁切替制御部21は、開閉弁13aを閉じ開閉弁13bのみを開放するように制御する。このとき、分岐管11bのみを通過した蒸気がジャケット部2へ流れる。温度指示調節器(TIC)は、発泡槽1内の温度が設定温度T1から設定温度T2へ到達するように、制御弁14bの弁開度を調節する。この制御弁14bの調節により、ジャケット部2への蒸気供給量が調節される。分岐管11bの口径D2が分岐管11aの口径D1よりも小さいので、ジャケット部2への蒸気供給速度は減少する。このような蒸気供給速度が減少した状態で、発泡槽1内の温度を設定温度T2へオーバーシュートせずに到達させるために、温度指示調節器(TIC)には、内温上昇速度が異なる2本の折れ線(発泡槽1の内温上昇速度:傾きS2、S2’、傾きの大きさ:S2>S2’)として発泡槽1内の温度の設定値が与えられる。また、温度指示調節器(TIC)は、発泡槽1内の温度測定値に基づいて、発泡槽1内の温度が前記折れ線の設定値に沿うように、制御弁14bの開弁度を調節し、これによりジャケット部2への蒸気供給量が調節される。このような蒸気供給量の調節により、発泡槽1内の温度を設定温度T1からゆるやかに上昇させて、目標の設定温度T2に到達させることができる。
【0025】
さらに、発泡槽1内の温度が設定温度T2に到達した後、所定のタイミングで、開閉弁切替制御部21は、開閉弁13bを閉じ開閉弁13cのみを開放するように制御する。このとき、分岐管11cのみを通過して蒸気がジャケット部2へ流れる。温度指示調節器(TIC)は、発泡槽1内の温度が設定温度T2から設定温度T3へ到達するように、制御弁14cの弁開度を調節する。この制御弁14cの調節により、ジャケット部2への蒸気供給量が調節される。分岐管11cの口径D3は、分岐管11bの口径D2よりも小さので、ジャケット部2への蒸気供給速度はさらに減少する。このような蒸気供給速度が減少した状態で、発泡槽1内の温度を目標の設定温度T3へオーバーシュートせずに到達させるために、温度指示調節器(TIC)には、設定温度T2から設定温度T3へ向かう直線として発泡槽1内の温度の設定値が与えられる。また、温度指示調節器(TIC)は、発泡槽1内の温度測定値に基づいて、発泡槽1内の温度が設定温度T2から目標の設定温度T3への設定値の直線に沿うように、制御弁14cの弁開度を調節し、これにより、ジャケット部2への蒸気供給量が調節される。このような蒸気供給量の調節により、発泡槽1内の温度を目標の設定温度T3に到達させることができる(発泡槽1の内温上昇速度:傾きS3)。
【0026】
このように開閉弁切替制御部21は、蒸気供給量が最も大きい分岐管11aから蒸気供給量が最も小さい分岐管11cへ順に、開閉を切替えるように構成されている。これにより、発泡槽1内の温度は、設定温度T1から設定温度T3へと、精密にかつ再現性を高めて調節できる。本実施形態に係る製造装置によれば、発泡槽1内の温度を最大160℃で±0.1℃以内に精密に制御することができる。
【0027】
このように、本実施形態に係る製造装置では、開閉弁切替制御部21による開閉弁13a~13cの切替制御により、発泡槽1内の温度を、設定温度T1、T2およびT3に3段階で制御することができる。それゆえ、本実施形態に係る製造装置によれば、従来の製造装置と比較して、精密にかつ再現性を高めて発泡槽1内の温度を制御することができる。
【0028】
図1に示される構成では、供給管11は3つの分岐管11a~11cを有していた。しかし、本実施形態に係る製造装置において、分岐管の数は、複数であればよく、発泡槽1の寸法(容量)または発泡工程中の発泡槽1内の温度制御の方法や精度に応じて適宜設定可能である。また、分岐管11a~11cの蒸気供給量を規定する呼び径も、図1に示される構成に限定されず、発泡槽1の寸法または発泡工程中の発泡槽1内の温度制御の精度に応じて適宜設定可能である。
【0029】
本実施形態における制御弁は、分岐管11a~11cの少なくとも1つに設けられていればよい。例えば、発泡槽1内の昇温初期に使用される分岐管11aには、制御弁が設けられていてもよいし、図1に示すように制御弁が設けられていなくてもよい。制御弁の設置の有無は、分岐管の構成または発泡槽1内の温度制御動作に応じて適宜設定することができる。また、制御弁14bおよび14cは、従来公知の制御弁であればよい。制御弁14bおよび14cは、発泡槽1内の温度測定値のデータをフィードバックする構成に限定されない。
【0030】
また、開閉弁切替制御部21は、開閉弁13a~13cの開閉切替を制御するためのものである。開閉弁切替制御部21の切り替え動作は、分岐管11aから分岐管11cへ順に、開閉を切替える動作に限定されない。例えば、開閉弁切替制御部21は、開閉弁13a~13cのうち、2つの開閉弁を開くと共に、残りの開閉弁を閉じるように制御してもよい。この場合、開閉弁切替制御部21は、前記2つの開閉弁について開放度合いを変えて制御してもよい。例えば、一方の開閉弁が100%開放する一方、他方の開閉弁は25%開放するように、開閉弁切替制御部21は、前記2つの開閉弁を制御してもよい。
【0031】
また、開閉弁切替制御部21は、開閉弁13a~13cの開閉切替を制御することができる要素または部材で構成されていればよい。例えば、開閉弁切替制御部21は、発泡槽1内の温度を測定する測定機能と、測定温度が所定温度(例えば設定温度T1、T2またはT3)を超える、あるいは下回ったときに発泡槽1内の温度を前記所定温度に制御する制御機能と、発泡槽1内の温度が前記所定温度に到達したことを使用者に通知する通知機能と、を備えた構成であってもよい。
【0032】
また、開閉弁切替制御部21は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。このような開閉弁切替制御部21を備えたことによって、開閉弁13a~13cの開閉切替制御の自動化を実現することができる。
【0033】
この場合、本実施形態に係る製造装置は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本開示の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0034】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。図3は、本実施形態に係る発泡粒子の製造装置の概略構成を模式的に示した図である。
【0035】
図3に示されるように、本実施形態に係る製造装置は、ジャケット部2へ蒸気を供給する供給管が分岐されていない点が前記実施形態1と異なる。当該製造装置では、温調制御部10Aは、ただ1つの供給管11dを備えている。供給管11dの呼び径は、80A(外径:89.1mm)である。
【0036】
温調制御部10Aは、減圧弁15(第2の減圧弁)と、開閉弁13dと、制御弁14d(第2の制御弁)と、を備えている。供給管11dには、蒸気供給源がある上流側から下流側(ジャケット部2側)へ向かって、減圧弁15、開閉弁13d、および制御弁14dがこの順に設けられている。減圧弁15は、上流側の蒸気供給源から送られる蒸気の圧力を減圧して、下流側へ送る弁である。また、開閉弁13dは、供給管11dを開閉するための弁である。
【0037】
また、制御弁14dは、供給管11dにおける減圧弁15の下流側に設けられ、ジャケット部2への蒸気流量を調節するための弁である。制御弁14dによって、発泡槽1またはジャケット部2内の温度の測定値等がフィードバック制御される。制御弁14dは、フィードバックされた前記測定値等に基づいて、供給管11dを流れる蒸気量を調節する。具体的には、制御弁14dは、温度指示調節器(TIC)に接続されている。当該温度指示調節器は、発泡槽1内の設定温度のデータが与えられ、発泡槽1内の温度データを測定し、設定温度データおよび測定温度データの両信号からPID制御等のプロセス制御方式によって、発泡槽1内の温度が前記設定温度になるように、制御弁14dの弁開度を制御する。これによって、供給管11dを流れる蒸気の流量が調節される。
【0038】
本実施形態に係る製造装置は、減圧弁圧力制御部22を備えている。減圧弁圧力制御部22は、減圧弁15を制御し、供給管11dを流れる蒸気の圧力を上昇または降下させる。この減圧弁圧力制御部22によって、ジャケット部2への蒸気の供給速度が変化する。そして、この変化に応じて、ジャケット部2へ供給される蒸気量は変化する。
【0039】
(減圧弁圧力制御部22による蒸気供給量の制御)
本実施形態に係る製造装置では、ジャケット部2への蒸気供給圧力は、減圧弁圧力制御部22によって制御されている。また、本実施形態に係る発泡粒子の製造方法は、図3に示した製造装置を用いた方法であり、減圧弁15にて圧力設定し、供給管11dを流れる蒸気の圧力を上昇または降下させるとともに、ジャケット部2への蒸気流量を制御弁14dにより調節する。そして、このような制御により、発泡工程中の発泡槽1内の温度制御が精密に制御され得る。
【0040】
減圧弁圧力制御部22による蒸気供給量の制御について、図4を参照して説明する。図4は、発泡工程中の発泡槽1内の内温の時間的変化の一例、および当該時間的変化に対応した減圧弁15の設定圧力切替制御を示す図である。なお、図4においては、減圧弁圧力制御部22は、減圧弁15の設定圧力をP1、P2、P3の3つの圧力に設定する。そして、設定圧力P1~P3の大きさは、P1>P2>P3となっている。
【0041】
まず、減圧弁圧力制御部22は、供給管11dを流れる蒸気の圧力が設定圧力P1となるように減圧弁15を制御する。これにより、設定圧力P1の蒸気が供給管11dを通過してジャケット部2へ流れる。このとき、ジャケット部2には設定圧力P1の蒸気が供され続け、発泡槽1内の温度は設定温度T1へ昇温される(発泡槽1の内温上昇速度:傾きS1)。
【0042】
次いで、発泡槽1内の温度が所定の設定温度T1に到達した後、所定のタイミングで、減圧弁圧力制御部22は、供給管11dを流れる蒸気の圧力が設定圧力P1よりも低い設定圧力P2になるように、減圧弁15を制御する。温度指示調節器(TIC)は、発泡槽1内の温度が設定温度T1から設定温度T2へ到達するように、制御弁14dの弁開度を調節する。この制御弁14dの調節により、ジャケット部2への蒸気供給量が調節される。このとき、ジャケット部2へ供給される蒸気の圧力は、設定圧力P1よりも低い設定圧力P2となるので、ジャケット部2への蒸気供給速度は減少する。このような蒸気供給速度が減少した状態で、発泡槽1内の温度を設定温度T2へオーバーシュートせずに到達させるために、温度指示調節器(TIC)には、内温上昇速度が異なる2本の折れ線(発泡槽1の内温上昇速度:傾きS2、S2’、傾きの大きさ:S2>S2’)として発泡槽1内の温度の設定値が与えられる。また、温度指示調節器(TIC)は、発泡槽1内の温度測定値に基づいて、発泡槽1内の温度が前記折れ線の設定値に沿うように、制御弁14dの開弁度を調節し、これによりジャケット部2への蒸気供給量が調節される。このような蒸気供給量の調節により、発泡槽1内の温度を設定温度T1からゆるやかに上昇させて、目標の設定温度T2に到達させることができる。
【0043】
さらに、発泡槽1内の温度が設定温度T2に到達した後、所定のタイミングで、減圧弁圧力制御部22は、供給管11dを流れる蒸気の圧力が設定圧力P2よりも低い設定圧力P3になるように、減圧弁15を制御する。温度指示調節器(TIC)は、発泡槽1内の温度が設定温度T2から設定温度T3へ到達するように、制御弁14dの弁開度を調節する。この制御弁14dの調節により、ジャケット部2への蒸気供給量が調節される。このとき、ジャケット部2へ供給される蒸気の圧力は、設定圧力P2よりも低い設定圧力P3となるので、ジャケット部2への蒸気供給速度はさらに減少する。このような蒸気供給速度が減少した状態で、発泡槽1内の温度を設定温度T3へオーバーシュートせずに到達させるために、温度指示調節器(TIC)には、設定温度T2から設定温度T3へ向かう直線として発泡槽1内の温度の設定値が与えられる。また、温度指示調節器(TIC)は、発泡槽1内の温度測定値に基づいて、発泡槽1内の温度が設定温度T2から目標の設定温度T3への設定値の直線に沿うように、制御弁14cの弁開度を調節し、これにより、ジャケット部2への蒸気供給量が調節される。このような蒸気供給量の調節により、発泡槽1内の温度を目標の設定温度T3に到達させることができる(発泡槽1の内温上昇速度:傾きS3)。
【0044】
このように減圧弁圧力制御部22は、設定圧力P1からP3へ順に、段階的に蒸気圧が減少するように構成されている。これにより、発泡槽1内の設定温度の傾きをS1、S2、S2’、およびS3を与え、発泡槽1内の温度をT1、T2およびT3に3段階で昇温させることができる。それゆえ、本実施形態に係る製造装置によれば、従来の製造装置と比較して、精密にかつ再現性を高めて発泡槽1内の温度を制御することができる。
【0045】
また、制御弁14dは、従来公知の制御弁であればよい。制御弁14bおよび14cは、発泡槽1内の温度測定値のデータをフィードバックする構成に限定されない。また、減圧弁圧力制御の変更段数は限定されないし、連続的に変更しても良い。発泡槽1内の設定温度およびその傾きも限定されない。
【0046】
また、減圧弁圧力制御部22は、減圧弁15を制御するためのものである。それゆえ、減圧弁圧力制御部22は、減圧弁15を制御することができる要素または部材で構成されていればよい。例えば、減圧弁圧力制御部22は、供給管11dの圧力を測定する測定機能と、測定圧力が所定圧力(例えば設定圧力P1、P2またはP3)を超える、あるいは下回ったときに供給管11dの圧力を前記所定圧力に制御する制御機能と、供給管11dの圧力が前記所定圧力に到達したことを使用者に通知する通知機能と、を備えた構成であってもよい。
【0047】
また、減圧弁圧力制御部22は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。このような減圧弁圧力制御部22を備えたことによって、減圧弁15の自動制御を実現することができる。
【0048】
この場合、本実施形態に係る製造装置は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本開示の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0049】
供給管11dの蒸気供給量を規定する呼び径は、図3に示される構成に限定されず、発泡槽1の寸法または発泡工程中の発泡槽1内の温度制御に応じて適宜設定可能である。
【0050】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0051】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る発泡粒子の製造装置は、発泡槽1と、前記発泡槽1の外周部に設けられたジャケット部2と、前記ジャケット部2へ蒸気を供給する供給管11を有し、前記発泡槽1内の温度を調節する温調制御部10と、を備え、前記温調制御部10は、前記ジャケット部2へ供給される蒸気の圧力を一定に保つ第1の減圧弁(減圧弁12)と、前記第1の減圧弁の下流側から分岐し、蒸気供給量が互いに異なる複数の分岐管11a~11cと、前記複数の分岐管11a~11cの開閉切替を制御するための切替制御部(開閉弁切替制御部21)と、前記複数の分岐管11a~11cの少なくとも1つに設けられ、当該分岐管での蒸気量を調節する第1の制御弁(制御弁14bおよび14c)と、を備えた構成である。
【0052】
また、本発明の態様2に係る発泡粒子の製造装置は、態様1において、蒸気供給量が最も大きい分岐管11aには、前記第1の制御弁が設けられていない構成である。
【0053】
また、本発明の態様3に係る発泡粒子の製造装置は、態様1または2において、前記切替制御部(開閉弁切替制御部21)は、蒸気供給量が最も大きい分岐管11aから蒸気供給量が最も小さい分岐管11cへ順に、開閉を切替えるように構成されている構成である。
【0054】
本発明の態様4に係る発泡粒子の製造装置は、発泡槽1と、前記発泡槽1の外周部に設けられたジャケット部2と、前記ジャケット部2へ蒸気を供給する供給管11dを有し、前記発泡槽内の温度を調節する温調制御部10Aと、を備え、前記温調制御部10Aは、前記供給管11dに設けられ、上流側の蒸気供給源から送られる蒸気の圧力を減圧して、下流側へ送る第2の減圧弁(減圧弁15)と、前記供給管11dにおける前記第2の減圧弁の下流側に設けられ、前記ジャケット部2への蒸気流量を調節する第2の制御弁(制御弁14d)と、前記第2の減圧弁を制御し、前記供給管を流れる蒸気の圧力を上昇または降下させる減圧弁圧力制御部22と、を備えた構成である。
【0055】
本発明の態様5に係る発泡粒子の製造方法は、発泡槽1と、前記発泡槽1の外周部に設けられたジャケット部2と、前記ジャケット部2へ蒸気を供給する供給管11を有し、前記発泡槽1内の温度を調節する温調制御部10と、を備え、前記温調制御部10は、前記ジャケット部2へ供給される蒸気の圧力を一定に保つ第1の減圧弁(減圧弁12)と、前記第1の減圧弁の下流側から分岐し、蒸気供給量が互いに異なる複数の分岐管11a~11cと、前記複数の分岐管11a~11cの少なくとも1つに設けられた第1の制御弁(制御弁14bおよび14c)と、を備えた製造装置を用いた発泡粒子の製造方法において、前記複数の分岐管11a~11cの開閉切替を制御するとともに、当該分岐管11bおよび11cでの蒸気量を前記第1の制御弁により調節する。
【0056】
本発明の態様6に係る発泡粒子の製造方法は、発泡槽1と、前記発泡槽1の外周部に設けられたジャケット部2と、前記ジャケット部2へ蒸気を供給する供給管11dを有し、前記発泡槽1内の温度を調節する温調制御部10Aと、を備え、前記温調制御部10Aは、前記供給管11dに設けられ、上流側の蒸気供給源から送られる蒸気の圧力を減圧して、下流側へ送る第2の減圧弁(減圧弁15)と、前記供給管11dにおける前記第2の減圧弁の下流側に設けられた第2の制御弁と、を備えた製造装置を用いた発泡粒子の製造方法において、前記第2の減圧弁を制御し、前記供給管11dを流れる蒸気の圧力を上昇または降下させるとともに、前記ジャケット部2への蒸気流量を前記第2の制御弁により調節する。
【符号の説明】
【0057】
1 発泡槽
2 ジャケット部
10、10A 温調制御部
11、11d 供給管
11a、11b、11c 分岐管
12 減圧弁(第1の減圧弁)
15 減圧弁(第2の減圧弁)
13a、13b、13c、13d 開閉弁
14b、14c 制御弁(第1の制御弁)
14d 制御弁(第2の制御弁)
21 開閉弁切替制御部(切替制御部)
22 減圧弁圧力制御部
図1
図2
図3
図4
図5