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特許7372109揚げ野菜食品の製造方法及び揚げ野菜食品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】揚げ野菜食品の製造方法及び揚げ野菜食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20231024BHJP
   A23B 7/005 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A23L19/00 A
A23B7/005
A23L19/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019193621
(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公開番号】P2021065165
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000106531
【氏名又は名称】サンヨー食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】永山 嘉昭
(72)【発明者】
【氏名】小野澤 透
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-032442(JP,A)
【文献】特開2014-140333(JP,A)
【文献】特開平04-299956(JP,A)
【文献】特開昭57-022652(JP,A)
【文献】特表2002-521013(JP,A)
【文献】特表昭57-502102(JP,A)
【文献】国際公開第19/044915(WO,A1)
【文献】[号外]大きなかき揚げのコツ!!!,林廣美の今週のお惣菜 [online],2014年02月13日,pp.1-5,<URL:www.shoninsha.co.jp/modules/hayasi_blog6/?p=522>,検索日:2023年7月14日
【文献】日清食品 どん兵 衛 天ぷらそばミ ニ [西] 46g×12 個,Amazon.co.jp [online],2010年10月22日,pp.1-5,<URL: https://amzn.asia/d/1m6nW7g>,[検索日:2023年7月14日]
【文献】乾燥天ぷらとは,INTERNET ARCHIVE Wayback Machine [online],2016年05月09日,pp.1-5,<URL:https://web.archive.org/web/20160509222818/http://www.sakuramiso.co.jp/tenpuraseihin/about.html>,[検索日:2023年7月14日]
【文献】業務スーパーの5枚『甘エビかき揚げ』はうどん・そば・丼に便利な香ばしおかず,mitok(ミトク)[online],2019年07月02日,pp.1-6,<URL:https://mitok.info/?p=153639>,[検索日:2023年7月14日]
【文献】100均グッズでお店のような丸くて厚いかき揚げを家で作る けっこうイケる,空と花の色 [online],2017年02月13日,pp.1-4,<URL:https://soratohana.com/kakiagering20170213/>,[検索日:2023年7月14日]
【文献】La moda de los espaguetis de calabacin sigue en auge,FOOD [online],2017年12月27日,pp.1-2,<URL:https://www.foodretail.es/food/espaguetis-calabacin-mercadona-vegetarianos_0_1176782314.html>,検索日:2020年11月6日
【文献】野菜を麺状にカットした”ベジヌードル”を使った新感覚サラダ,電子レンジで作る「ベジパスタ」2種新発売~2016年9月1日(木)から関東エリア限定販売~,News Release, Salad Club News [online],No. 18-1,2016年08月29日,pp.1-3,<URL:https://www.saladclub.jp/company/press/pdf/release_20160829.pdf>, [検索日:2020年11月6日]
【文献】麺状にカットした野菜で主食の半分置き換えを提案,「ベジタブル麺」3種 新発売 ~10月31日(水)から販売開始~,News Release, Salad Club News,No.19,2018年10月19日,pp.1-3,<URL:https://www.saladclub.jp/company/press/pdf/release_20181019-2.pdf>,[検索日:2020年11月6日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 19/00
A23B 7/005
cookPad
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜を麺状に切り出して麺状野菜を形成すること、
リテーナを備えた油揚容器を提供すること、
前記麺状野菜を前記油揚容器の前記リテーナに収容して前記麺状野菜の塊を形成すること、及び
前記リテーナに収容した前記麺状野菜の塊を油揚げすること、
を含む麺状揚げ野菜食品の製造方法であって、前記麺状野菜の塊の油揚げの途中又は油揚げ完了直後に前記麺状野菜の塊を圧縮することをさらに含み、
油揚げ前の前記麺状野菜の長さが80mm~500mm、幅が1.0mm~15mm、厚さが0.8mm~5mmである、麺状揚げ野菜食品の製造方法。
【請求項2】
前記麺状野菜の塊を油揚げする前に、前記麺状野菜を糖類及び食塩を含む浸漬処理液に浸漬することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記油揚容器が押圧手段をさらに備え、前記押圧手段によって前記麺状野菜の塊を圧縮することを含む、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記麺状野菜の塊を油揚げした後、前記麺状野菜の塊の圧縮状態を維持して前記麺状野菜の塊を冷却することをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記野菜が根菜類である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記麺状野菜の塊を油揚げした後、前記麺状野菜の塊をカップ容器に収容することをさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記麺状野菜の塊を油揚げした後、前記麺状野菜の塊をカップ容器に収容する前に、前記麺状野菜の塊を個別包装することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記麺状野菜を前記油揚容器の前記リテーナに収容した後であって前記麺状野菜の塊を油揚げする前に、前記麺状野菜の塊の厚み方向に貫通する空洞を前記麺状野菜の塊に1つ以上設けることをさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記麺状揚げ野菜食品は、湯を注加することで喫食に適した状態に調理される食品である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、揚げ野菜食品の製造方法及び揚げ野菜食品に関する。
【背景技術】
【0002】
麺状の食品として即席カップ麺が知られている。また、はるさめ等の麺類が入れられた即席カップスープも知られている。
【0003】
一方、野菜を麺状にカットし、油で揚げた揚げ野菜食品が知られている。例えば、特許文献1(特開2016-032442号公報)には、麺状の揚げ野菜が中華麺の麺塊のような形状になるよう、揚げ型にいれて揚げたものである、縦1~3mm、横1~3mm、長さ30~300mmのサイズにカットした野菜類を油で揚げた麺状の揚げ野菜が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-032442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の麺状の揚げ野菜は、中華揚げ麺のような外観、食感の麺塊として提供され、そのまま喫食してクリスピーな食感を楽しむものである。
【0006】
このような麺状の揚げ野菜は、その形状が細長くかつ柔軟性を欠くため、脆く割れやすい。そのため、即席カップ麺又は即席カップスープのようなカップ入り麺食品と同じように、揚げ野菜をカップに収容され、湯戻しにより喫食される食品として製品化した場合、製造時の包装工程又は製品の輸送中に揚げ野菜の欠け又は割れが多く発生する。割れて短くなってしまった揚げ野菜は、湯戻しした際に麺のように喫食することはもはやできず、その商品価値は著しく低下する。
【0007】
揚げ野菜の欠け又は割れを防ぐ方法として、野菜を麺状に切り出す際に厚く切り出すことが挙げられる。しかし、切り出された野菜の厚さが増すと油揚げに時間が掛かり、焦げてしまう場合もあり、湯戻りが悪くなる傾向がある。
【0008】
本開示は、麺状に揚げられた野菜の製造時の包装工程又は輸送中の欠け、割れなどの欠陥の発生を効果的に抑制することができ、湯戻ししたときに、野菜本来の食感を有しており麺類のように喫食することのできる、麺状揚げ野菜食品の製造方法、及びそのような麺状揚げ野菜食品を提供する。なお、本開示において「欠け」及び「割れ」とは、麺のような形状を有する比較的細長い食品が破損し、もはやその細長い形状を維持できないような欠損が食品に生じることをいい、比較的小さい食品片を押し固めた塊から、該食品片が剥がれ落ちる、いわゆる「型崩れ」とは異なる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の実施形態[1]~[14]を包含する。
[1]
野菜を麺状に切り出して麺状野菜を形成すること、
リテーナを備えた油揚容器を提供すること、
前記麺状野菜を前記油揚容器の前記リテーナに収容して前記麺状野菜の塊を形成すること、及び
前記リテーナに収容した前記麺状野菜の塊を油揚げすること、
を含む麺状揚げ野菜食品の製造方法であって、前記麺状野菜の塊の油揚げの途中又は油揚げ完了直後に前記麺状野菜の塊を圧縮することをさらに含む、麺状揚げ野菜食品の製造方法。
[2]
前記麺状野菜の塊を油揚げする前に、前記麺状野菜を糖類及び食塩を含む浸漬処理液に浸漬することをさらに含む、[1]に記載の方法。
[3]
前記油揚容器が押圧手段をさらに備え、前記押圧手段によって前記麺状野菜の塊を圧縮することを含む、[1]又は[2]のいずれかに記載の方法。
[4]
前記麺状野菜の塊を油揚げした後、前記麺状野菜の塊の圧縮状態を維持して前記麺状野菜の塊を冷却することをさらに含む、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]
油揚げ前の前記麺状野菜の長さが80mm~500mm、幅が1.0mm~15mm、厚さが0.8mm~5mmである、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]
前記野菜が根菜類である、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7]
前記麺状野菜の塊を油揚げした後、前記麺状野菜の塊をカップ容器に収容することをさらに含む、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]
前記麺状野菜の塊を油揚げした後、前記麺状野菜の塊をカップ容器に収容する前に、前記麺状野菜の塊を個別包装することをさらに含む、[7]に記載の方法。
[9]
前記麺状野菜を前記油揚容器の前記リテーナに収容した後であって前記麺状野菜の塊を油揚げする前に、前記麺状野菜の塊の厚み方向に貫通する空洞を前記麺状野菜の塊に1つ以上設けることをさらに含む、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10]
前記麺状揚げ野菜食品は、湯を注加することで喫食に適した状態に調理される食品である、[1]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11]
油揚げされた麺状野菜の塊を含む麺状揚げ野菜食品であって、前記麺状野菜の長さが80mm~500mm、幅が1.0mm~15mm、厚さが0.8mm~5mmであり、前記麺状野菜の塊の密度が0.25g/cm~1.0g/cmである、麺状揚げ野菜食品。
[12]
前記麺状野菜の塊が、略扁平直方体又は略円盤の形状を有し、前記扁平直方体の対角長さ又は前記円盤の直径が3cm~10cmであり、前記扁平直方体又は前記円盤の厚さが0.3cm~3cmである、[11]に記載の麺状揚げ野菜食品。
[13]
湯を注加することで喫食に適した状態に調理される食品である、[11]又は[12]のいずれかに記載の麺状揚げ野菜食品。
[14]
野菜を薄片状に切り出して薄片状野菜を形成すること、
リテーナを備えた油揚容器を提供すること、
前記薄片状野菜を前記油揚容器の前記リテーナに収容して前記薄片状野菜の塊を形成すること、及び
前記リテーナに収容した前記薄片状野菜の塊を油揚げすること、
を含む薄片状揚げ野菜食品の製造方法であって、前記薄片状野菜の塊の油揚げの途中又は油揚げ完了直後に前記薄片状野菜の塊を圧縮することをさらに含む、薄片状揚げ野菜食品の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、麺状に揚げられた野菜の輸送中の欠け、割れなどの欠陥の発生を効果的に抑制することができ、湯戻ししたときに、野菜本来の食感を有しており麺類のように喫食することのできる、麺状揚げ野菜食品の製造方法、及びそのような麺状揚げ野菜食品を提供することができる。
【0011】
本開示の方法の対象は麺状野菜に限られない。例えば、本開示の方法を薄片状野菜に対して適用することで、薄片状揚げ野菜食品を製造することができる。
【0012】
上述の記載は、本発明の全ての実施形態及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態の麺状揚げ野菜食品の製造方法の説明図である。
図2】第2の実施形態の麺状揚げ野菜食品の製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の代表的な実施形態を例示する目的で、図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。図面の参照番号について、異なる図面において類似する番号が付された要素は、類似又は対応する要素であることを示す。
【0015】
一実施形態の麺状揚げ野菜食品の製造方法は、野菜を麺状に切り出して麺状野菜を形成すること、リテーナを備えた油揚容器を提供すること、麺状野菜を油揚容器のリテーナに収容して麺状野菜の塊を形成すること、及びリテーナに収容した麺状野菜の塊を油揚げすることを含む。麺状野菜の塊は、麺状野菜の塊の油揚げの途中又は油揚げ完了直後に圧縮される。
【0016】
野菜は、食用に適した植物であって、麺状に切り出すことができ、油で揚げて調理することができるものであれば特に制限されない。本開示において、野菜とは、葉、根、茎、地下茎、及び果実を指す。野菜としては、繊維質が多く麺の形状に加工しやすいことから、根菜類、イモ類、及び茎菜類が好ましく、根菜類がより好ましい。根菜類として、例えば、ゴボウ、ニンジン、ダイコン、カブ、及びレンコンが挙げられる。イモ類として、例えば、ジャガイモ、サツマイモ、ナガイモ、及びサトイモが挙げられる。茎菜類として、例えば、アスパラガス、ウド、及びフキが挙げられる。
【0017】
野菜は、皮を有した状態で麺状に切り出してもよく、皮を除去した後麺状に切り出してもよい。野菜の切り出しには、カッター、ナイフ、ピーラーなどを用いることができる。麺状に切り出された野菜の寸法は、麺状揚げ野菜食品及びその包装の形態、要求される食感、調理方法などによって適宜決定することができる。
【0018】
一実施形態では、油揚げ前の麺状野菜について、その長さは80mm~500mm、100mm~300mm、又は120mm~250mmであり、その幅は1.0mm~15mm、1.5mm~12mm、又は2.0mm~10mmであり、その厚さは0.8mm~5mm、1.0mm~4mm、又は1.5mm~3mmである。油揚げ前の麺状野菜の長さ、幅及び厚さを上記範囲とすることにより、湯戻ししたときに麺の食感を有する麺状揚げ野菜食品を提供することができる。
【0019】
切り出された麺状野菜の断面形状は様々であってよく、例えば、円形、楕円形、矩形、三角形、その他の多角形などが挙げられる。麺状野菜の断面形状が円形の場合、幅及び厚さは直径であり、楕円形の場合、幅は楕円の長軸、厚さは楕円の短軸であり、矩形の場合、幅は長辺、厚さは短辺であり、三角形の場合、幅は底辺、厚さは高さである。その他の断面形状の場合、幅はFeret定方向接線径であり、厚さは幅に直交する方向の最大長さである。
【0020】
野菜の種類に応じて、切り出された麺状野菜に前処理を行ってもよい。前処理として、例えば、あく抜き、ブランチング、変色防止処理、クエン酸処理、及びカルシウム処理が挙げられる。切り出された麺状野菜に、食塩、胡椒、醤油、砂糖、唐辛子、肉エキス、うま味調味料、オニオンパウダー、食用油脂などの調味料などで下味をつけてもよい。
【0021】
麺状野菜の塊を油揚げする前に、麺状野菜を浸漬処理液に浸漬してもよい。浸漬処理液は、例えば、ソルビトール、ブドウ糖、トレハロース、乳糖などの糖類;食塩、胡椒、醤油、砂糖、唐辛子、肉エキス、うま味調味料、オニオンパウダー、食用油脂などの調味料;グアーガム、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム、プルラン、アラビアガムなどの増粘多糖類;小麦粉、澱粉等の穀物類;液卵、粉末卵、乳蛋白等の蛋白原料;又はこれらの組み合わせを含んでもよい。糖類は、麺状野菜の細胞組織に浸透して麺状野菜の割れを効果的に抑制又は防止することができる。調味料は、麺状野菜に下味を付けることができる。増粘多糖類、穀物類、蛋白原料等は、麺状野菜同士の結着材として機能することができ、最終製品の形状保持に効果的に使用することができる。
【0022】
一実施形態では、糖類の使用量は、油揚げ前の麺状野菜100質量部に対して、1質量部~30質量部であり、1.5質量部~20質量部であることが好ましく、2質量部~15質量部であることがより好ましい。
【0023】
調味料の種類及び使用量は、野菜の種類、及び要求される下味に合わせて適宜決定することができる。
【0024】
一実施形態では、増粘多糖類、穀物類及び蛋白原料の合計使用量は、油揚げ前の麺状野菜100質量部に対して、0.01質量部~2質量部であり、0.015質量部~1質量部であることが好ましく、0.02質量部~0.5質量部であることがより好ましい。
【0025】
一実施形態では、浸漬処理液は糖類及び食塩を含む。この実施形態において、糖類はソルビトールであることが好ましい。
【0026】
麺状野菜の油揚げ工程に使用する油揚容器は、麺状野菜を収容するリテーナを備えている。リテーナの形状は、円形の底面を有する円筒状、矩形の底面を有する角筒状など様々であってよい。リテーナの底面の形状によって、麺状揚げ野菜食品の平面視形状が画定される。リテーナの側壁又は底面は、揚げ油が通過するための多数の小孔又はワイヤメッシュを有していてもよい。リテーナの底面の直径又は対角の長さは、例えば、3cm~10cm、4cm~8cm、又は5cm~7cmとすることができる。リテーナの高さ(深さ)は、例えば、3cm~30cm、4cm~25cm、又は5cm~20cmとすることができる。
【0027】
麺状野菜を油揚容器のリテーナに収容することにより麺状野菜の塊が形成される。麺状野菜は、揚げ油が麺状野菜の塊の隙間を流通して、麺状野菜の塊の内部まで均一に麺状野菜が油揚げされるような量でリテーナに収容されることが好ましい。例えば、リテーナの内部体積100cmあたり、油揚げ前の状態の麺状野菜の量を10g~30g、又は12g~28gとすることができる。
【0028】
麺状野菜を油揚容器のリテーナに収容した後、麺状野菜の塊を油揚げする前に、麺状野菜の塊の厚み方向に貫通する空洞を麺状野菜の塊に1つ以上設けてもよい。例えば、リテーナの底面若しくは押圧手段の押圧面、又はそれら両方から鉛直方向に伸びる1つ又は複数の突起を設けておくことにより、麺状野菜をリテーナに収容するときに麺状野菜の塊に貫通空洞を形成することができる。麺状野菜の塊に貫通空洞を設けることにより、貫通空洞を通して揚げ油を流通させることができ、麺状野菜の塊を内部までより均一に油揚げすることができる。
【0029】
リテーナに収容した麺状野菜の塊は、食用油を揚げ油として用いて油揚げする。食用油としては、例えば、菜種油、パーム油、綿実油、胡麻油、及び精製加工油脂が挙げられ、パーム油が好ましい。揚げ油の温度は、麺状野菜の形状、特に幅及び厚さによって適宜決定することができる。揚げ油の温度は、例えば、130℃~200℃とすることができ、130℃~180℃、又は150℃~160℃であることが好ましい。油揚げの時間は、麺状野菜の形状、特に幅及び厚さ、及び揚げ油の温度によって適宜決定することがで
きる。油揚げの時間は、例えば、10秒~10分とすることができ、30秒~8分であることが好ましく、1分~5分であることがより好ましい。油揚げは常圧で行ってもよく、
減圧下で行ってもよい。
【0030】
麺状野菜を油揚げするときに、打ち粉を使用してもよく、使用しなくてもよい。一実施形態では、麺状野菜を油揚げするときに打ち粉を使用しない。打ち粉は、一般に、油揚げされる食品同士の付着を防止する目的で、唐揚げなどの揚げ物の調理に使用される粉である。打ち粉として、例えば、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、及びこれらの化工澱粉などの澱粉;並びに薄力粉、中力粉、及び強力粉などの小麦粉が挙げられ、これらは粉末状態で麺状野菜の表面に付着される。
【0031】
麺状野菜の塊を油揚げする際に、麺状野菜の塊がリテーナ内で上方に移動してリテーナから溢れる、あるいは麺状野菜の一部が揚げ油の油面から上に出ることを防止するように上から抑えてもよい。麺状野菜の塊は、落し蓋などで抑えてもよく、後述する押圧手段を蓋の代わりに利用して抑えてもよい。これにより、油揚げ中の麺状野菜の不要な膨らみ又は過度の変形を防ぐことができる。麺状野菜の塊を抑える場合、揚げ油が麺状野菜の塊の隙間を流通して、麺状野菜の塊の内部まで均一に麺状野菜が油揚げされるように、麺状野菜の塊を圧縮せずに、リテーナの内部空間に拘束される程度に抑えることが望ましい。
【0032】
第1の実施形態では、麺状野菜の塊の油揚げの途中に麺状野菜の塊を圧縮する。圧縮とは、麺状野菜の細長い連続した形状を実質的に維持しつつ、麺状野菜の間の隙間を低減して高密度化することをいう。麺状野菜の塊を圧縮することにより、油揚げされた麺状野菜の塊の強度を高めて、輸送時の割れの発生を抑制することができる。
【0033】
圧縮は、油揚容器に設けた押圧手段を用いて行うことができる。押圧手段は、リテーナに収容された麺状野菜の塊を圧縮可能な形状を有するものであれば制限されない。押圧手段の形状は、リテーナの内部断面形状に適合した平板又は筒状物、例えば、円形の底面を有する円筒状のリテーナであれば、円盤状又は円筒状とすることができ、矩形の底面を有する角筒状のリテーナであれば、矩形板状又は角筒状とすることができる。押圧手段は、円盤状又は矩形板状の押圧面と、該押圧面の鉛直方向に沿って延びる、該押圧面に接続された棒状部材とから構成してもよい。押圧手段は、円筒又は角筒と、円筒又は角筒の円形面又は矩形面の鉛直方向に沿って延びる、該円形面又は矩形面に接続された棒状部材とから構成してもよい。押圧手段は、深さ方向に対して厚みを有する円筒状又は角筒状であることが好ましい。円筒状又は角筒状の押圧手段は、押圧面をリテーナの底面に対して平行に保ちながらリテーナの側壁に沿わせて平行移動させることができるため、麺状野菜の塊を均一の厚さに圧縮することができる。押圧手段は、リテーナと同様に多数の小孔又はワイヤメッシュを有していてもよい。押圧手段は、麺状野菜の塊を油揚げする際に麺状野菜の塊をリテーナの内部空間に拘束するための抑え手段(蓋)としても利用することができる。
【0034】
図1は第1の実施形態の麺状揚げ野菜食品の製造方法の説明図である。麺状野菜の塊1は、リテーナ3及び押圧手段4を備えた油揚容器2のリテーナ3に収容され(一番左)、揚げ油6を入れた油浴5の中で、抑え位置Aにおいて押圧手段4によりリテーナ3の内部空間に拘束された状態で油揚げされる(左から2番目)。油揚げの途中で所定時間経過した後、押圧手段4を圧縮位置Bまで移動させることで、麺状野菜の塊1は圧縮される(右から2番目)。その後、リテーナ3を油浴5から引き上げることで油揚げは完了し(一番右)、油揚げされ圧縮された麺状野菜の塊1は包装等の次工程に移される。
【0035】
一実施形態では、揚げられた麺状野菜の塊の密度が0.25g/cm~1.0g/cm、0.27g/cm~0.95g/cm、又は0.3g/cm~0.9g/cmとなるように圧縮が行われる。
【0036】
一実施形態では、押圧手段の位置について、図1に示すように、リテーナ底面から抑え位置Aまでの高さHに対する、リテーナ底面から圧縮位置Bまでの高さHの比(H/H)は、麺状揚げ野菜食品の目標とする製品厚さ、及びリテーナ底面の面積に応じて適宜決定され、例えば3%~20%、5%~15%、又は7%~13%とすることができる。
【0037】
油揚容器は、押圧手段を上下させて位置決めすることができる調節機構を備えていてもよい。一実施形態では、調節機構は、押圧手段を、抑え位置A及び圧縮位置B、並びに麺状野菜を出し入れするための開放位置の間で押圧手段を移動させ、これらの位置で押圧手段を固定することができる。
【0038】
圧縮を開始するタイミングは、圧縮を揚げ油中で行う場合は特に限定されない。但し、圧縮を油揚げ開始直後に行っても麺状野菜の塊を圧縮することはできるが、揚げ油が麺状野菜の塊の隙間を流通することが妨げられて油揚げ時間が長くなる傾向があり、油揚げが麺状野菜の塊全体で不均一となる可能性も高くなる。そのため、圧縮は、油揚げ終了の2分前、又は1分前に開始することが好ましく、油揚げ完了直前、例えば10秒前、5秒前、又は1秒前に揚げ油中で行ってもよい。
【0039】
圧縮は、圧縮開始後、油揚げが終わるまで継続してもよく、断続的に、例えば数回にわたって繰り返し行ってもよい。油揚げ完了時点で圧縮が行われていることが望ましい。これにより、油揚げされた麺状野菜の塊の圧縮形状を室温において確実に維持することができる。
【0040】
麺状野菜の塊を油揚げした後、麺状野菜の塊の圧縮状態を維持して麺状野菜の塊を冷却することが好ましい。これにより、油揚げされた麺状野菜の塊の圧縮形状を室温においてより確実に維持することができる。圧縮状態は、麺状野菜の塊が80℃以下、好ましくは60℃以下に冷却されるまで維持することが好ましい。
【0041】
第2の実施形態では、麺状野菜の塊の油揚げ完了直後に麺状野菜の塊を圧縮する。麺状野菜の塊を圧縮することにより、油揚げされた麺状野菜の塊の強度を高めて、輸送時の割れの発生を抑制することができる。本開示において「油揚げ完了」とは、リテーナが揚げ油から完全に引き上げられた時点と定義される。
【0042】
図2は第2の実施形態の麺状揚げ野菜食品の製造方法の説明図である。麺状野菜の塊1は、リテーナ3及び押圧手段4を備えた油揚容器2のリテーナ3に収容され(一番左)、揚げ油6を入れた油浴5の中で、抑え位置Aにおいて押圧手段4によりリテーナ3の内部空間に拘束された状態で油揚げされる(左から2番目)。油揚げが完了したらリテーナ3を油浴5から引き上げて、その直後に押圧手段4を圧縮位置Bまで移動させることで、麺状野菜の塊1は圧縮される(右から2番目)。所定時間経過後、圧縮状態を解除して(一番右)、油揚げされ圧縮された麺状野菜の塊1は包装等の次工程に移される。
【0043】
圧縮は、第1の実施形態で説明した押圧手段を用いて行うことができる。第1の実施形態と同様に、押圧手段は、麺状野菜の塊を油揚げする際に麺状野菜の塊をリテーナの内部空間に拘束するための抑え手段としても利用することができる。油揚容器は、第1の実施形態で説明した調節機構を備えていてもよい。
【0044】
一実施形態では、揚げられた麺状野菜の塊の密度が0.25g/cm~1.0g/cm、0.27g/cm~0.95g/cm、又は0.3g/cm~0.9g/cmとなるように圧縮が行われる。
【0045】
一実施形態では、押圧手段の位置について、図2に示すように、リテーナ底面から抑え位置Aまでの高さHに対する、リテーナ底面から圧縮位置Bまでの高さHの比(H/H)は、麺状揚げ野菜食品の目標とする製品厚さ、及びリテーナ底面の面積に応じて適宜決定され、例えば3%~20%、5%~15%、又は7%~13%とすることができる。
【0046】
圧縮は、油揚げ完了後、240秒以内に開始することができ、180秒以内に開始することが好ましく、120秒以内に開始することがより好ましい。これにより、麺状野菜は高温時の可撓性を維持しながら圧縮されるため、麺状野菜の破損を抑制することができる。
【0047】
圧縮は、油揚げ完了後、麺状野菜の温度が、105℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上である状態で開始することが好ましい。これにより、麺状野菜は高温時の可撓性を維持しながら圧縮されるため、麺状野菜の破損を抑制することができる。
【0048】
圧縮は、5分間、1分間、30秒間又は5秒間継続することができる。これにより、油揚げされた麺状野菜の塊の圧縮形状を室温において確実に維持することができる。
【0049】
圧縮状態は、麺状野菜の塊が80℃以下、好ましくは60℃以下に冷却されるまで維持することが好ましい。これにより、油揚げされた麺状野菜の塊の圧縮形状を室温においてより確実に維持することができる。
【0050】
麺状野菜の塊を油揚げした後、例えば、麺状野菜の塊の油分が40質量%以下、35質量%以下、又は30質量%以下となるまで、遠心分離などの手段を用いて余計な油を除去(脱油)してもよい。脱油は、麺状野菜の塊を放冷した後に行うことが好ましい。放冷後に脱油を行うことで、例えば脱油時の遠心分離操作による麺状野菜の塊の変形又は崩れを抑制することができる。放冷は、例えば麺状野菜の塊の温度が80℃以下、好ましくは60℃以下となるまで行うことができる。
【0051】
麺状野菜の塊を油揚げした後、麺状野菜の塊をカップ容器に収容してもよい。これにより、カップ容器に収容された麺状揚げ野菜食品を製造することができる。カップ容器に収容された麺状揚げ野菜食品は、湯を注加して調理することでカップに入った状態でそのまま喫食することができる。麺状野菜の塊をカップ容器に収容する際に、粉末スープ、液体スープ、調味油などの調味剤、又は肉類、魚介類、野菜類などのかやくを一緒に収容してもよい。調味剤又はかやくは包装されていてもよい。
【0052】
麺状野菜の塊を油揚げした後、麺状野菜の塊をカップ容器に収容する前に、麺状野菜の塊を個別包装してもよい。個別包装又は包装の内部に閉じ込められた空気が緩衝材として機能して、油揚げされた麺状野菜の割れをさらに防止することができる。
【0053】
一実施形態では、油揚げされた麺状野菜について、その長さは80mm~500mm、100mm~300mm、又は120mm~250mmであり、その幅は1.0mm~15mm、1.5mm~12mm、又は2.0mm~10mmであり、その厚さは0.8mm~5mm、1.0mm~4mm、又は1.5mm~3mmである。油揚げされた麺状野菜の長さ、幅及び厚さを上記範囲とすることにより、湯戻ししたときに麺の食感を有する麺状揚げ野菜食品を提供することができる。
【0054】
一実施形態では、油揚げされた麺状野菜の塊の密度は0.25g/cm以上、0.27g/cm以上、又は0.3g/cm以上、1.0g/cm以下、0.95g/cm以下、又は0.9g/cm以下である。
【0055】
油揚げされた麺状野菜の塊は、リテーナの底面形状と同様の平面視形状を有しており、例えば略扁平直方体又は略円盤の形状を有する。一実施形態では、扁平直方体の対角長さ又は円盤の直径は3cm~10cm、4cm~8cm、又は5cm~7cmである。一実施形態では、扁平直方体又は円盤の厚さは0.3cm~3cm、又は0.4cm~2cmである。
【0056】
油揚げされた麺状野菜の水分量は、乾燥重量法で測定したときに、1質量%~10質量%とすることができ、1.5質量%~8質量%であることが好ましく、2質量%~5質量%であることがより好ましい。具体的には、油揚げされた麺状野菜の水分量は、麺状野菜2gを電気乾燥機で105℃、2時間乾燥させたときの乾燥前後の麺状野菜の質量から、以下の式を用いて決定される。
水分量(質量%)=(乾燥前の麺状野菜の質量-乾燥後の麺状野菜の質量)/乾燥前の麺状野菜の質量×100
【0057】
一実施形態では、油揚げされた麺状野菜には、打ち粉の揚げられたものが付着していない。
【0058】
麺状揚げ野菜食品は、油揚げされた麺状野菜の塊を含む。一実施形態では、麺状揚げ野菜食品は、湯を注加することで喫食に適した状態に調理される。この調理を湯戻しともいう。湯の温度は、例えば70℃以上、又は80℃以上である。麺状揚げ野菜食品を湯戻しすることにより、野菜本来の食感を有する麺類として喫食することができる。
【0059】
本開示の方法の対象は麺状野菜に限られない。例えば、本開示の方法を薄片状野菜に対して適用することで、薄片状揚げ野菜食品を製造することができる。例えば、一実施形態の薄片状揚げ野菜食品の製造方法は、野菜を薄片状に切り出して薄片状野菜を形成すること、リテーナを備えた油揚容器を提供すること、前記薄片状野菜を前記油揚容器の前記リテーナに収容して前記薄片状野菜の塊を形成すること、及び前記リテーナに収容した前記薄片状野菜の塊を油揚げすること、を含み、前記薄片状野菜の塊の油揚げの途中又は油揚げ完了直後に前記薄片状野菜の塊を圧縮することをさらに含む。薄片状野菜として、ごぼうなどの上述の野菜をささがきしたもの、チップ状にスライスしたものなどが挙げられる。
【実施例
【0060】
以下の実施例において、本開示の具体的な実施形態を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。
【0061】
油揚容器
以下のリテーナ及び押圧手段を有する油揚容器を使用した。リテーナは、底面が縦47mm、横47mmの正方形であり、高さが100mmであり、底面に3mm×5mmピッチで配置された複数の穴を有する、上面が開放された角筒であった。押圧手段は、縦46mm、横46mmの正方形平板と、その正方形平板の中心に取り付けられた棒とから構成され、正方形平板は3mm×5mmピッチで配置された複数の穴を有していた。
【0062】
麺状野菜の温度
株式会社チノー製防水形ハンディ放射温度計IR-TEを用いて非接触法で麺状野菜の表面温度を測定した。また、確認のために株式会社佐藤計量製作所製防水型食品用デジタル温度計SK-250WP-II-Kを用いて接触法で麺状野菜の表面温度も測定した。
【0063】
圧縮後製品厚さ
放冷後に麺状揚げ野菜製品の厚さを測定した。
【0064】
質量
圧縮後製品厚さ測定及び脱油後の麺状揚げ野菜食品の質量を測定した。
【0065】
密度
麺状揚げ野菜食品の質量/(縦47mm×横47mm×圧縮後製品厚さ)にて算出した。単位はg/cmとした。
【0066】
落下試験
得られた麺状揚げ野菜食品をカップ容器(紙/PE、直径103mm×高さ102mm)に入れ、プラスチック製の押さえ蓋を被せた。カップ12個を収容可能な段ボール箱に、評価サンプルとしてカップ入り麺状揚げ野菜食品を入れ、評価サンプル以外にダミーのカップをさらに梱包することにより、段ボール箱を12個のカップで充填した。カップ容器の底面を下向きにして、段ボール箱を2mの高さから2回落下させて、麺状揚げ野菜食品の状態を確認した。麺状揚げ野菜食品に割れ及び欠けが全く無いものを良好、割れ又は欠けが有ったものを不良とした。
【0067】
(1)実験1(油揚げ中の圧縮)(例1~2)
ごぼうを幅8mm、厚さ2mm、長さ120mmにカット(スライス)し、6分間茹でた後、脱水し、浸漬処理液(脱水後の麺状野菜の質量に対して、塩:1質量%、ソルビトール70%液:10質量%)に浸漬して、麺状野菜を準備した。
【0068】
麺状野菜40gを油揚容器のリテーナに収容し、160℃に加熱したパーム油(油面の高さ80mm)を用いて3分間油揚げした後、表1の製品高さとなるように押圧手段の位置を調整して麺状野菜の塊を圧縮した状態で、表1の時間更に油揚げし、その後放冷し、家庭用手回し式野菜水切りを用いて約500rpmで1分間遠心脱油して、麺状揚げ野菜製品を得た。圧縮後の油揚げ時間は、押圧手段の位置が低くなる、すなわち押圧手段をリテーナ底面に近づけて深く押し込むほど、麺状野菜の塊の中心まで油揚げするのに時間が掛かる(逆にいえば、押圧手段の位置が高くなるほど焦げやすくなる)ので、同じ揚げ具合となるように油揚げ時間を調整して、油揚げ後の最終水分が2%前後になるようにした。油揚げ中は加温をせず、油揚げ完了後のパーム油の温度は145℃であった。結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
表1より、油揚げ中に麺状野菜の塊を圧縮することで、圧縮後製品厚さを薄くして密度の高い麺状揚げ野菜食品を得ることができ、麺状揚げ野菜食品の割れを防止できることが分かる。
【0071】
(2)実験2(油揚げ後の圧縮)(例3~4、比較例1)
例1と同様の手順で麺状野菜を準備した。麺状野菜40gを油揚容器のリテーナに収容し、160℃に加熱したパーム油(油面の高さ80mm)を用いて4分間油揚げした。油揚げ中は加温をせず、油揚げ完了後のパーム油の温度は145℃であった。
【0072】
油揚げ完了後、麺状野菜を油浴から取り出し、直後(放冷時間0)又は表2の時間放冷後、リテーナごと秤の上に乗せて、ゼロ点合わせをし、秤が3kgを示す荷重にて1分間、押圧手段で麺状野菜の塊を圧縮し、その後放冷し、家庭用手回し式野菜水切りを用いて約500rpmで1分間遠心脱油して、麺状揚げ野菜食品を得た。結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
表2より、油揚げ完了直後に麺状野菜の塊を圧縮することで、圧縮後製品厚さを薄くして密度の高い麺状揚げ野菜食品を得ることができ、麺状揚げ野菜食品の割れを防止できることが分かる。特に、麺状野菜の温度が120℃以上であれば、圧縮後製品厚さを十分に薄く、密度を高くすることができる。
【0075】
(3)実施例3(油揚げ中の圧縮)(例5~6)
例1で浸漬処理液に浸漬する工程を行わない以外は、例1と同様の手順で試験を行い、油揚げ中の圧縮を比較した。結果を表3に示す。
【0076】
【表3】
【0077】
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施形態及び実施例が様々に変更可能であることは当業者に明らかである。また、本発明の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることも当業者には明らかである。
【符号の説明】
【0078】
1 麺状野菜の塊
2 油揚容器
3 リテーナ
4 押圧手段
5 油浴
6 揚げ油
A 抑え位置
B 圧縮位置
抑え位置高さ
圧縮位置高さ
図1
図2