(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】認証システム、認証装置、認証方法及び認証プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20231024BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20231024BHJP
【FI】
G06F21/32
G06T7/00 510A
(21)【出願番号】P 2019207188
(22)【出願日】2019-11-15
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 知之
(72)【発明者】
【氏名】國分 亜優美
(72)【発明者】
【氏名】要 雄喜
(72)【発明者】
【氏名】安田 賢二郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良輔
【審査官】上島 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-215894(JP,A)
【文献】特開2000-123178(JP,A)
【文献】国際公開第2020/136763(WO,A1)
【文献】特開2005-215963(JP,A)
【文献】特開2003-141542(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0365479(US,A1)
【文献】特開2008-009753(JP,A)
【文献】特開2007-219731(JP,A)
【文献】特開2011-253326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/32
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の登録者の識別情報、該登録者に係る認証情報及びグループを一意に特定する該登録者のグループ情報を対応づけて登録しておき、被認証者に係る認証情報を含む認証要求を受け付けた場合に、前記被認証者に係る認証情報と前記複数の登録者に係る登録認証情報とを照合して該被認証者の認証処理を行う認証システムであって、
各登録者に係る登録認証情報及びグループ情報を該登録者の識別情報に対応付けて記憶する記憶手段と、
新たに登録を行う登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた認証情報と、前記記憶手段に記憶され、かつ、前記グループ情報が対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出する照合スコア算出手段と、
前記照合スコア算出手段により算出された複数の照合スコアのうちの所定数が第1の閾値を超えないことを条件として、前記登録対象者に係る新たな識別情報を発行し、新たに発行した識別情報に対応付けて前記登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を前記記憶手段に記憶して、該登録対象者を登録する登録処理手段と
を備え
、
前記受付手段は、被認証者に係る認証情報及びグループ情報を受け付け、
前記照合スコア算出手段は、前記受付手段により受け付けた被認証者に係る認証情報と、前記記憶手段に記憶された全てのグループに対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出し、
前記照合スコア算出手段により算出された複数の照合スコアのうち第2の閾値を超える照合スコアに基づいて、前記被認証者の認証処理を行う認証処理手段をさらに備える
認証システム。
【請求項2】
前記登録処理手段は、
前記照合スコア算出手段により算出された複数の照合スコアが所定の閾値を超えず、かつ、前記グループ情報が対応づけられた登録者及び前記登録対象者を含む人数が第2の閾値を超えないことを条件として、前記登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を前記記憶手段に記憶する請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記認証処理手段は、
前記照合スコア算出手段により算出された複数の照合スコアのうち前記第2の閾値を超える照合スコアが複数存在する場合に、被認証者は、該第2の閾値を超える照合スコアの登録者のうち前記被認証者のグループ情報と同じグループ情報が対応づけられた登録者との照合スコアのうち最も照合スコアが高くなる登録者であると特定する請求項
1に記載の認証システム。
【請求項4】
前記認証情報は、各登録者、前記登録対象者又は前記被認証者となる人物を一意に特定する生体情報である請求項1乃至
3のいずれか一つに記載の認証システム。
【請求項5】
複数の登録者の識別情報、該登録者に係る認証情報及びグループを一意に特定する該登録者のグループ情報を対応づけて登録しておき、被認証者に係る認証情報を含む認証要求を受け付けた場合に、前記被認証者に係る認証情報と前記複数の登録者に係る登録認証情報とを照合して該被認証者の認証処理を行う認証装置であって、
各登録者に係る登録認証情報及びグループ情報を該登録者の識別情報に対応付けて記憶する記憶手段と、
新たに登録を行う登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた認証情報と、前記記憶手段に記憶され、かつ、前記グループ情報が対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出する照合スコア算出手段と、
前記照合スコア算出手段により算出された複数の照合スコアのうちの所定数が第1の閾値を超えないことを条件として、前記登録対象者に係る新たな識別情報を発行し、新たに発行した識別情報に対応付けて前記登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を前記記憶手段に記憶して、該登録対象者を登録する登録処理手段と
を備え
、
前記受付手段は、被認証者に係る認証情報及びグループ情報を受け付け、
前記照合スコア算出手段は、前記受付手段により受け付けた被認証者に係る認証情報と、前記記憶手段に記憶された全てのグループに対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出し、
前記照合スコア算出手段により算出された複数の照合スコアのうち第2の閾値を超える照合スコアに基づいて、前記被認証者の認証処理を行う認証処理手段をさらに備える
認証装置。
【請求項6】
複数の登録者の識別情報、該登録者に係る認証情報及びグループを一意に特定する該登録者のグループ情報を対応づけて登録しておき、被認証者に係る認証情報を含む認証要求を受け付けた場合に、前記被認証者に係る認証情報と前記複数の登録者に係る登録認証情報とを照合して該被認証者の認証処理を行う認証装置を含む認証システムにおける認証方法であって、
前記認証装置が、各登録者に係る登録認証情報及びグループ情報を該登録者の識別情報に対応付けて記憶部に記憶する記憶工程と、
前記認証装置が、新たに登録を行う登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を受け付ける受付工程と、
前記認証装置が、前記受付工程により受け付けた認証情報と、前記記憶部に記憶され、かつ、前記グループ情報が対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出する照合スコア算出工程と、
前記認証装置が、前記照合スコア算出工程により算出された複数の照合スコアのうちの所定数が第1の閾値を超えないことを条件として、前記登録対象者に係る新たな識別情報を発行し、新たに発行した識別情報に対応付けて前記登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を前記記憶部に記憶して、該登録対象者を登録する登録処理工程と
を含
み、
前記受付工程は、被認証者に係る認証情報及びグループ情報を受け付け、
前記照合スコア算出工程は、前記受付工程により受け付けた被認証者に係る認証情報と、前記記憶部に記憶された全てのグループに対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出し、
前記照合スコア算出工程により算出された複数の照合スコアのうち第2の閾値を超える照合スコアに基づいて、前記被認証者の認証処理を行う認証処理工程をさらに含む
認証方法。
【請求項7】
複数の登録者の識別情報、該登録者に係る認証情報及びグループを一意に特定する該登録者のグループ情報を対応づけて登録しておき、被認証者に係る認証情報を含む認証要求を受け付けた場合に、前記被認証者に係る認証情報と前記複数の登録者に係る登録認証情報とを照合して該被認証者の認証処理を行う認証装置において実行される認証プログラムであって、
各登録者に係る登録認証情報及びグループ情報を該登録者の識別情報に対応付けて記憶部に記憶する記憶手順と、
新たに登録を行う登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を受け付ける受付手順と、
前記受付手順により受け付けた認証情報と、前記記憶部に記憶され、かつ、前記グループ情報が対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出する照合スコア算出手順と、
前記照合スコア算出手順により算出された複数の照合スコアのうちの所定数が第1の閾値を超えないことを条件として、前記登録対象者に係る新たな識別情報を発行し、新たに発行した識別情報に対応付けて前記登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を前記記憶部に記憶して、該登録対象者を登録する登録処理手順と
をコンピュータに実行させる
とともに、
前記受付手順は、被認証者に係る認証情報及びグループ情報を受け付け、
前記照合スコア算出手順は、前記受付手順により受け付けた被認証者に係る認証情報と、前記記憶部に記憶された全てのグループに対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出し、
前記照合スコア算出手順により算出された複数の照合スコアのうち第2の閾値を超える照合スコアに基づいて、前記被認証者の認証処理を行う認証処理手順
をコンピュータに実行させる認証プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔、指紋、掌紋、網膜、虹彩、音声等の人間の身体的特徴、又は、筆跡、歩行、まばたき等の行動的特徴に係る生体情報(以下、単に「生体情報」と言う)を用いた認証処理の効率性を高めることができる認証システム、認証装置、認証方法及び認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被認証者の生体情報を、あらかじめ登録されたN人の登録者の登録生体情報と照合し、該被認証者が登録者であるか否か、該被認証者が登録者のいずれであるかを認証する1対N認証と呼ばれる認証技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
かかる生体情報を用いて1対N認証を行う場合に、生体情報を用いる特性上、その認証精度は100%ではない。例えば、被認証者を10万人の登録者と照合する場合の他人受入率(他人を本人として受け入れてしまう確率)が0.1%であるならば、確率的に毎回100人(=10万人×0.1÷100)の他人を本人であると認識する結果となる。このため、被認証者に係る複数の生体情報を併用し、認証精度を高める技術が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-185046号公報
【文献】特開2007-334707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2を用いたとしても、動的に変化し得る生体情報を利用する限り、他人受入率を低減することは難しい。このため、かかる生体情報を用いて認証処理を行う場合に、いかにして効率性及び精度を高めるかが重要な課題となっている。
【0006】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであって、生体情報を用いて認証処理を行う場合の効率性を高めることができる認証システム、認証装置、認証方法及び認証プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、複数の登録者の識別情報、該登録者に係る認証情報及びグループを一意に特定する該登録者のグループ情報を対応づけて登録しておき、被認証者に係る認証情報を含む認証要求を受け付けた場合に、前記被認証者に係る認証情報と前記複数の登録者に係る登録認証情報とを照合して該被認証者の認証処理を行う認証システムであって、各登録者に係る登録認証情報及びグループ情報を該登録者の識別情報に対応付けて記憶する記憶手段と、新たに登録を行う登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けた認証情報と、前記記憶手段に記憶され、かつ、前記グループ情報が対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出する照合スコア算出手段と、前記照合スコア算出手段により算出された複数の照合スコアのうちの所定数が第1の閾値を超えないことを条件として、前記登録対象者に係る新たな識別情報を発行し、新たに発行した識別情報に対応付けて前記登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を前記記憶手段に記憶して、該登録対象者を登録する登録処理手段とを備え、前記受付手段は、被認証者に係る認証情報及びグループ情報を受け付け、前記照合スコア算出手段は、前記受付手段により受け付けた被認証者に係る認証情報と、前記記憶手段に記憶された全てのグループに対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出し、前記照合スコア算出手段により算出された複数の照合スコアのうち第2の閾値を超える照合スコアに基づいて、前記被認証者の認証処理を行う認証処理手段をさらに備える。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記登録処理手段は、前記照合スコア算出手段により算出された複数の照合スコアが所定の閾値を超えず、かつ、前記グループ情報が対応づけられた登録者及び前記登録対象者を含む人数が第2の閾値を超えないことを条件として、前記登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を前記記憶手段に記憶する。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記認証処理手段は、前記照合スコア算出手段により算出された複数の照合スコアのうち前記第2の閾値を超える照合スコアが複数存在する場合に、被認証者は、該第2の閾値を超える照合スコアの登録者のうち前記被認証者のグループ情報と同じグループ情報が対応づけられた登録者との照合スコアのうち最も照合スコアが高くなる登録者であると特定する。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記認証情報は、各登録者、前記登録対象者又は前記被認証者となる人物を一意に特定する生体情報である。
【0015】
また、本発明は、複数の登録者の識別情報、該登録者に係る認証情報及びグループを一意に特定する該登録者のグループ情報を対応づけて登録しておき、被認証者に係る認証情報を含む認証要求を受け付けた場合に、前記被認証者に係る認証情報と前記複数の登録者に係る登録認証情報とを照合して該被認証者の認証処理を行う認証装置であって、各登録者に係る登録認証情報及びグループ情報を該登録者の識別情報に対応付けて記憶する記憶手段と、新たに登録を行う登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けた認証情報と、前記記憶手段に記憶され、かつ、前記グループ情報が対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出する照合スコア算出手段と、前記照合スコア算出手段により算出された複数の照合スコアのうちの所定数が第1の閾値を超えないことを条件として、前記登録対象者に係る新たな識別情報を発行し、新たに発行した識別情報に対応付けて前記登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を前記記憶手段に記憶して、該登録対象者を登録する登録処理手段とを備え、前記受付手段は、被認証者に係る認証情報及びグループ情報を受け付け、前記照合スコア算出手段は、前記受付手段により受け付けた被認証者に係る認証情報と、前記記憶手段に記憶された全てのグループに対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出し、前記照合スコア算出手段により算出された複数の照合スコアのうち第2の閾値を超える照合スコアに基づいて、前記被認証者の認証処理を行う認証処理手段をさらに備える。
【0017】
また、本発明は、複数の登録者の識別情報、該登録者に係る認証情報及びグループを一意に特定する該登録者のグループ情報を対応づけて登録しておき、被認証者に係る認証情報を含む認証要求を受け付けた場合に、前記被認証者に係る認証情報と前記複数の登録者に係る登録認証情報とを照合して該被認証者の認証処理を行う認証装置を含む認証システムにおける認証方法であって、前記認証装置が、各登録者に係る登録認証情報及びグループ情報を該登録者の識別情報に対応付けて記憶部に記憶する記憶工程と、前記認証装置が、新たに登録を行う登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を受け付ける受付工程と、前記認証装置が、前記受付工程により受け付けた認証情報と、前記記憶部に記憶され、かつ、前記グループ情報が対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出する照合スコア算出工程と、前記認証装置が、前記照合スコア算出工程により算出された複数の照合スコアのうちの所定数が第1の閾値を超えないことを条件として、前記登録対象者に係る新たな識別情報を発行し、新たに発行した識別情報に対応付けて前記登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を前記記憶部に記憶して、該登録対象者を登録する登録処理工程とを含み、前記受付工程は、被認証者に係る認証情報及びグループ情報を受け付け、前記照合スコア算出工程は、前記受付工程により受け付けた被認証者に係る認証情報と、前記記憶部に記憶された全てのグループに対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出し、前記照合スコア算出工程により算出された複数の照合スコアのうち第2の閾値を超える照合スコアに基づいて、前記被認証者の認証処理を行う認証処理工程をさらに含む。
【0019】
また、本発明は、複数の登録者の識別情報、該登録者に係る認証情報及びグループを一意に特定する該登録者のグループ情報を対応づけて登録しておき、被認証者に係る認証情報を含む認証要求を受け付けた場合に、前記被認証者に係る認証情報と前記複数の登録者に係る登録認証情報とを照合して該被認証者の認証処理を行う認証装置において実行される認証プログラムであって、各登録者に係る登録認証情報及びグループ情報を該登録者の識別情報に対応付けて記憶部に記憶する記憶手順と、新たに登録を行う登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を受け付ける受付手順と、前記受付手順により受け付けた認証情報と、前記記憶部に記憶され、かつ、前記グループ情報が対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出する照合スコア算出手順と、前記照合スコア算出手順により算出された複数の照合スコアのうちの所定数が第1の閾値を超えないことを条件として、前記登録対象者に係る新たな識別情報を発行し、新たに発行した識別情報に対応付けて前記登録対象者に係る認証情報及びグループ情報を前記記憶部に記憶して、該登録対象者を登録する登録処理手順とをコンピュータに実行させるとともに、前記受付手順は、被認証者に係る認証情報及びグループ情報を受け付け、前記照合スコア算出手順は、前記受付手順により受け付けた被認証者に係る認証情報と、前記記憶部に記憶された全てのグループに対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出し、前記照合スコア算出手順により算出された複数の照合スコアのうち第2の閾値を超える照合スコアに基づいて、前記被認証者の認証処理を行う認証処理手順をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、生体情報を用いて認証処理を行う場合の効率性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施例1に係る決済システムにおける認証処理の概要を説明するための説明図である。
【
図2】
図2は、本実施例1に係る決済システムの利用態様の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施例1に係る決済システムのシステム構成を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3に示した決済サーバの構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、
図4に示した顧客情報DBの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、
図4に示した決済サーバにおける登録対象者の登録手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図4に示した決済サーバにおける被認証者の認証手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施例2に係る決済システムにおける認証処理の概要を説明するための説明図である。
【
図9】
図9は、本実施例2に係る登録対象者の登録手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本実施例2に係る被認証者の認証手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、変形例に係る認証システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本願に係る認証システム、認証装置、認証方法及び認証プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、本願に係る認証システムを決済システムに適用した場合について説明する。また、以下では人間の身体的特徴を表す生体情報として「顔情報」を用いる場合について説明するが、顔以外の生体情報等を用いる場合に適用することもできる。
【実施例1】
【0024】
<実施例1に係る決済システムの概要>
まず、本実施例1に係る決済システムにおける認証処理の概要について説明する。
図1は、実施例1に係る決済システムにおける認証処理の概要を説明するための説明図である。ここでは、チェーン展開を行うレストランのある店舗において、顧客が飲食サービスの提供を受け、その料金を決済要求金額としてクレジットカードで決済する場合について説明する。
【0025】
このレストランの店舗には、それぞれPIN(Personal Identification Number)コードが割り当てられており、顧客が決済システムに登録する場合には、該顧客が主として赴く店舗のPINコードを登録する。
図1の例では、決済サーバ20の顧客情報データベース(以下、「顧客情報DB」と言う)24aに、3名の登録者の顧客情報が記憶されている状況を示している。
【0026】
ここで、本実施例における「登録者」とは、顧客情報DB24aにすでに登録済みの顧客を指す。一方、後述する「登録対象者」とは、新規に顧客情報DB24aに登録を希望する顧客を指し、登録者とは異なる。
【0027】
ID「001」の登録者のPINコードは「0001」であり、ID「002」の登録者のPINコードは「0002」であり、ID「003」の登録者のPINコードは「0002」である。なお、ここでは説明の便宜上図示省略したが、この顧客情報DB24aには、登録者のIDごとに、該登録者の氏名及び住所などの個人情報、該登録者の顔画像が登録されている。
【0028】
[新規登録]
この状況において、新たに決済システムへの登録を希望する登録対象者Aが登録を行う場合には、登録対象者Aが所持するスマートフォン等の携帯端末を用いる。この携帯端末には、決済システムを利用するためのアプリケーション(以下、「決済アプリ」と言う)がインストールされているものとする。なお、本実施例1では、携帯端末を用いる場合について説明するが、店舗に設けられたタブレット端末などの携帯端末を利用することもできる。
【0029】
具体的には、登録対象者Aは、決済アプリのガイダンスに従って自らの携帯端末の撮像部(カメラ)により顔画像A1を撮像するとともに、PINコードを選択する。ここでは、PINコードA2「0001」が選択された状況を示している。その後、登録対象者Aが携帯端末上で所定の操作を行ったならば、この登録対象者Aの顔画像A1及びPINコードA2が決済サーバ20に送信され、該決済サーバ20が登録対象者Aの顔画像A1及びPINコードA2を受け付ける(S1)。
【0030】
その後、決済サーバ20は、登録対象者Aの顔画像A1と、顧客情報DB24aに記憶された3名の登録者(ID001、ID002、ID003)の顔画像とを照合して、照合スコアを算出する(S2)。この照合スコアとしては、例えば2つの画像間の相互相関係数を用いることができる。この相互相関係数を0~1に正規化した値に100を掛けることにより、0~100のいずれかの値の照合スコアを求めることができる。また、多層ニューラルネットワークに学習用画像を入力してディープラーニングの教師有り学習を行い、この学習済モデルに顔画像A1と登録者の顔画像を入力し、該学習済モデルから出力される正規化された0~1の確率に対して100を掛け、0~100の照合スコアを求めることができる。その他、既存の各種顔画像技術を用いて照合スコアを求めることもできる。ここでは、ID001の登録者との照合スコアが「40」であり、ID002の登録者との照合スコアが「41」であり、ID003の登録者との照合スコアが「45」である状況を示している。
【0031】
このようにして、登録対象者Aと各登録者との照合スコアを算出したならば、各照合スコアを第1閾値と比較し、第1閾値以下であるか否かを判定する。ここでは、この第1閾値を「65」とした場合を示している。
図1では、全ての登録者との照合スコアが第1閾値以下であるため、登録対象者Aの顧客情報を登録することができる。
【0032】
また、たとえPINコードが異なる登録者(例えば、図中のID002)との照合スコアが第1閾値を超えた場合であっても、登録対象者AとPINコードが同じ登録者(例えば、図中のID001、ID003)との照合スコアが第1閾値以下であるならば、登録対象者Aの顧客情報を登録することができる(S3)。
【0033】
これに対して、登録対象者AとPINコードが同じ登録者(例えば、図中のID001、ID003)との照合スコアのいずれかが第1閾値を超えるならば、登録対象者Aの顧客情報を登録しない。
【0034】
このように、本実施例1に係る決済システムでは、登録対象者Aが決済システムへの登録を希望する場合に、登録対象者Aと照合スコアが高くなる登録者すなわち登録対象者Aと顔が似ている登録者が同一のPINコードが対応づけられている場合には、顧客情報DB24aへの登録対象者Aの登録を棄却して、認証精度の低下を防ぐようにしている。なお、かかる場合は、顔照合ではなく指紋等の他の生体情報を用いて登録するよう決済システムが登録対象者Aに推奨するよう構成することもできる。
【0035】
[認証処理]
次に、決済システムにより認証を行う顧客(以下、「被認証者」と言う)Bの認証処理を行う場合について説明する。被認証者Bは、自ら所持する携帯端末のアプリのガイダンスに従って、自らの携帯端末の撮像部により顔画像B1を撮像する。その後、被認証者Bが携帯端末上で所定の操作を行ったならば、この被認証者Bの顔画像B1が決済サーバ20に送信され、該決済サーバ20が被認証者Bの顔画像B1を受け付ける(S4)。
【0036】
その後、決済サーバ20は、被認証者Bの顔画像B1と、顧客情報DB24aに記憶された3名の登録者(ID001、ID002、ID003)の顔画像とを照合して、照合スコアを算出する(S5)。ここでは、ID001の登録者との照合スコアが「40」であり、ID002の登録者との照合スコアが「71」であり、ID003の登録者との照合スコアが「45」であり、ID004の登録者との照合スコアが「75」である状況を示している。
【0037】
このようにして、被認証者Bと各登録者との照合スコアを算出したならば、各照合スコアを第2閾値と比較し、第2閾値以下であるか否かを判定する。ここでは、この第2閾値を「70」とした場合を示している。
図1では、ID002及びID004の登録者との照合スコアが第2閾値を超える状況を示している。
【0038】
ここで、被認証者Bと各登録者との照合スコアが全て第2閾値以下であるならば(第2閾値を超える登録者が存在しないならば)、被認証者Bが未登録であると判定する。また、被認証者Bとの照合スコアが第2閾値を超える登録者が一人であるならば、被認証者Bが該当する登録者であると判定する。
【0039】
これに対して、照合スコアが第2閾値を超える登録者が複数存在する場合には、被認証者Bの携帯端末を介して被認証者BのPINコードの入力を受け付ける(S6)。そして、同じPINコードの登録者との照合スコアに基づいて認証を行う(S7)。
図1の例では、ID002の登録者とID004の登録者の認証スコアが第2閾値を超えているが、被認証者BのPINコードと同じPINコードが対応づけられた登録者はID004のみであるため、被認証者BはID004の登録者であると判定される。なお、被認証者BのPINコードと同じPINコードが対応づけられた登録者が複数存在する場合には、認証スコアが最大となる登録者であると判定する。
【0040】
このように、本実施例1では、被認証者Bとの認証スコアが第1閾値を超える登録者が複数存在する場合に、被認証者BからPINコードを受け付け、同じPINコードが対応づけられた登録者のうちの最大の認証スコアを持つ登録者であると判定するよう構成している。
【0041】
<決済システムの利用態様の一例>
次に、本実施例1に係る決済システムの利用態様の一例について説明する。
図2は、本実施例1に係る決済システムの利用態様の一例を示す図である。ここでは、チェーン展開を行うフランチャイズ店のレストランにおける決済時に、本実施例1に係る決済システムを利用する場合を示している。ここでは、本実施例1に係る決済システムと連携する決済アプリ及び該決済アプリに連携する店舗アプリが顧客の携帯端末にインストールされているものとする。
【0042】
図2(a)に示すように、顧客は、レストランのある店舗に入店してテーブルに着席したならば、同図(b)に示すように、該顧客が携帯端末の店舗アプリを起動して、この店舗アプリがガイダンスに従って商品のメニューを選択する。その後、同図(c)に示すように、携帯端末の決済アプリを用いて決済処理を選択する。
【0043】
同図(d)に示すように、この決済処理を行う場合には、決済アプリのガイダンスに従って顔認証による本人確認を行う。具体的には、携帯端末の撮像部(カメラ)により顧客の顔画像を撮像させるとともに、PINコードの入力を促し、顔画像及びPINコードを決済サーバ20に送信する。決済サーバ20は、この顔画像及びPINコードを受け付けたならば、
図1にて説明した認証処理を行い、本人確認を行う。
【0044】
そして、顧客が本人であると確認されたならば、同図(e)に示すように、クレジットカード等を用いた決済処理を行う。具体的には、決済サーバ20は、後述する決済代行業者サーバ30に対して決済代行要求を行い、この決済代行要求を受け付けた決済代行業者サーバ30がカード会社サーバ40に決済依頼を行うことになる。
【0045】
このようにして、顧客が店舗から提供される商品(飲食物)の決済が完了したならば、同図(f)に示すように、顧客の携帯端末の表示部に決済完了表示を行う。この決裁完了を受け付けたならば、同図(g)に示すように、顧客の携帯端末の店舗アプリが店内システムと連携し、同図(h)に示すように顧客に対して商品を提供する。
【0046】
なお、本利用態様の一例では、商品の決済完了後に商品を提供する場合を示したが、同図(b)において顧客が携帯端末で商品のメニューを選択した時点で、店内システムと連携するよう構成して、商品を素早く顧客に提供することもできる。
【0047】
また、本利用態様の一例では、顧客の携帯端末を用いる場合を示したが、店舗に設けられたタブレット等のオーダー端末を用いる場合に適用することもできる。この場合には、オーダー端末に決済アプリと連携する店舗アプリをインストールしておき、このオーダー端末におけるメニュー選択後に決済サーバに顔画像及びPINコードを送信して、該顧客の本人認証を行うとともに決済処理を実行することになる。
【0048】
<システム構成>
次に、本実施例1に係る決済システムのシステム構成について説明する。
図3は、本実施例1に係る決済システムのシステム構成を示す図である。同図に示すように、この決済システムは、携帯端末10、決済サーバ20、決済代行業者サーバ30及びカード会社サーバ40を有する。なお、ここではクレジットカードを用いた決済処理を行う場合について説明するが、デビットカード等の他の決済処理を用いた場合に適用することもできる。デビットカードを用いる場合には、カード会社サーバ40ではなく銀行サーバが設けられることになる。
【0049】
携帯端末10は、顧客が所持するスマートフォン等であり、顔画像を撮像するための撮像部を内蔵する。また、この携帯端末10は、所定のウエブサイトからダウンロードされた決済アプリがインストールされている。この決済アプリは、決済サーバ20に対して決済要求金額の決済依頼を行うアプリケーションである。なお、ここでは顧客が所持する携帯端末を用いる場合について説明するが、この携帯端末10は、店舗に設けられたタブレット等のオーダー端末であってもよい。
【0050】
決済サーバ20は、携帯端末10からの決済要求を受け付けた場合に、顧客の生体情報である顔画像を用いた本人認証を行い、顧客が正当な本人であると判定されたことを条件として、決済代行業者サーバ30に決済代行要求を行うサーバ装置であり、顔画像及びPINコードを用いた本人認証を行う認証処理部25aと、決済要求金額の決済に係る処理を行う決済制御部25bと、顧客情報を記憶する顧客情報DB24aとを有する。なお、認証処理部25a、決済制御部25b及び顧客情報DB24aについての詳細な説明については後述する。
【0051】
ここで、本実施例1では、決済サーバ20の認証処理部25aに主たる特徴があるため、各請求項に係る認証システムは、かかる決済サーバ20における認証処理の機能を示していることになる。
【0052】
決済代行業者サーバ30は、各カード会社の決済代行を行う決済代行業者のサーバ装置である。一口にクレジットカードと言っても、現実には様々なクレジット会社が存在しているため、この決済代行業者が存在しなければ、決済サーバ20は各種カード会社サーバを選択して決済要求に係る処理をしなければならない。また、クレジットカード決済だけではなく、デビットカード決済などの他の決済方式もあり、決済に係る決済サーバ20の負担が大きくなる。この種の決済を一括して代行するために、決済代行業者サーバ30が設けられている。このため、決済サーバ20は決済代行業者サーバ30に対して、必要な情報(決済種別、決済要求金額等)を含む決済代行要求を行えば良く、決済サーバ20の負荷を軽減することができる。
【0053】
カード会社サーバ40は、あるクレジットカードの決済処理を行うカード運営会社のサーバ装置であり、決済代行業者サーバ30からの決済依頼に応答して決済処理を行う。なお、ここでは説明の便宜上、一つのカード会社サーバ40のみを図示したが、実際には各種のカード会社サーバ40、金融機関サーバ等が存在する。
【0054】
そして、携帯端末10において決済要求金額が特定されたならば、携帯端末10の決済アプリが、決済サーバ20に対して決済要求金額、顔画像及びPINコードを含む決済要求を行う(S11)。この決済要求を受け付けた決済サーバ20の認証処理部25aは、顧客情報DB24aに登録した登録者のデータと、顧客の顔画像及びPINコードとを用いて顧客の本人認証を行う(S12)。その概要についてはすでに
図1において説明したため、ここではその説明を省略する。
【0055】
そして、決済制御部25bは、顧客の本人確認ができたことを条件として、決済代行業者サーバ30に対して決済要求金額の決済代行依頼を行う(S13)。この決済代行依頼を受け付けた決済代行業者サーバ30は、該当するカード運営会社のカード会社サーバ40に対して決済依頼を行う(S14)。
【0056】
<決済サーバ20の構成>
次に、
図3に示した決済サーバ20の構成について説明する。
図4は、
図3に示した決済サーバ20の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この決済サーバ20は、入力部21と、表示部22と、通信I/F部23と、記憶部24と、制御部25とを有する。
【0057】
入力部21は、キーボード及びマウス等の入力デバイスであり、表示部22は、液晶パネル、有機EL(エレクトロルミネッセンス)、ディスプレイ装置等の表示デバイスである。通信I/F部23は、ネットワークNを介して携帯端末10及び決済代行業者サーバ30と通信するための通信インターフェース部である。
【0058】
記憶部24は、ハードディスク装置又は不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスであり、顧客情報DB24aを記憶する。なお、この顧客情報DB24aを管理するデータベース管理部が設けられるが、この点は既存技術であり本実施例1の特徴部分でもないため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0059】
顧客情報DB24aは、決済システムに登録された登録者の個人情報、顔情報、PINコードなどを有するデータベースである。
図5は、
図4に示した顧客情報DB24aの一例を示す図である。ここでは、登録者を一意に識別する識別情報(以下、「ID」と言う)ごとに、登録者の氏名及び住所等の個人情報、登録者の顔画像、登録者により選択されたPINコード等が登録された状況を示している。図中には、ID「001」の登録者は、氏名「山田○男」であり、住所は「東京都…」であり、顔画像のファイルへの臨機宇情報が「001.jpg」であり、PINコードが「0001」であるケースを例示している。
【0060】
なお、新たな顧客が本決済システムへの新規登録を希望する場合には、
図1において説明した顔画像及びPINコードを用いた判定処理を行った後に顧客情報DB24aに登録されることになる。
【0061】
制御部25は、決済サーバ20の全体制御を行う制御部であり、認証処理部25aと、決済制御部25bとを有する。実際には、認証処理部25a及び決済制御部25bに対応するプログラムを記憶部24などに記憶しておき、これらのプログラムをメモリにロードして、CPUで実行することで、対応するプロセスを実行させることになる。
【0062】
認証処理部25aは、決済制御部25bによる決済処理に先立って、被認証者である顧客の本人認証を行う処理部である。具体的には、認証処理部25aは、新規に決済システムへの登録を希望する登録対象者の顧客情報DB24aへの登録処理と、被認証者である顧客の本人認証処理とを行う。
【0063】
登録対象者を顧客情報DB24aに登録する場合には、登録対象者の顔画像及びPINコードを受け付け、登録対象者の顔画像と、顧客情報DB24aに記憶された各登録者の顔画像とを照合して、照合スコアを算出する。この照合スコアとしては、すでに説明したように、(1)2つの画像間の相互相関係数、(2)学習済モデルに登録対象者の顔画像と登録者の顔画像を入力し、該学習済モデルから出力される照合スコア等を用いることができる。そして、登録対象者と各登録者との照合スコアを算出したならば、PINコードが同じ各登録者との照合スコアを第1閾値と比較し、全ての照合スコアが第1閾値以下であるならば、登録対象者の顧客情報を顧客情報DB24aに登録する。かかる一連の処理を行うことにより、登録対象者と照合スコアが高くなる登録者すなわち登録対象者と顔が似ている登録者が同一のPINコードが対応づけられている場合には、顧客情報DB24aへの登録対象者の登録を棄却して、認証精度の低下を防ぐことができる。
【0064】
また、被認証者の本人認証を行う場合には、被認証者の顔画像を受け付け、被認証者の顔画像と、顧客情報DB24aに記憶された各登録者の顔画像とを照合して、照合スコアを算出する。その後、各照合スコアを第2閾値と比較し、第2閾値以下であるか否かを判定し、被認証者と各登録者との照合スコアが全て第2閾値以下であるならば(第2閾値を超える登録者が存在しないならば)、被認証者が未登録であると判定する。また、被認証者との照合スコアが第2閾値を超える登録者が一人であるならば、被認証者Bが該当する登録者であると判定する。さらに、照合スコアが第2閾値を超える登録者が複数存在する場合には、被認証者の携帯端末を介して被認証者のPINコードの入力を受け付け、同じPINコードの登録者との照合スコアに基づいて認証を行う。なお、被認証者のPINコードと同じPINコードが対応づけられた登録者が複数存在する場合には、認証スコアが最大となる登録者であると判定する。かかる一連の処理を行うことにより、被認証者との認証スコアが第1閾値を超える登録者が複数存在する場合に、被認証者からPINコードを受け付け、同じPINコードが対応づけられた登録者のうちの最大の認証スコアを持つ登録者であると判定することができる。
【0065】
決済制御部25bは、決済依頼を行う顧客が本人であると認証されたことを条件として、決済要求金額の決済処理を行う処理部である。具体的には、決済要求金額、決済に必要な情報(カード種別、カード番号、暗証番号等)等を含む決済代行要求を決済代行業者サーバ30に対して送信する。そして、決済代行業者サーバ30から「決済完了」の情報を受け付けたならば、決済要求元の携帯端末10に対してその旨を通知する。
【0066】
<登録対象者の登録手順>
次に、
図4に示した決済サーバ20における登録対象者の登録手順について説明する。
図6は、
図4に示した決済サーバ20における登録対象者の登録手順を示すフローチャートである。
【0067】
同図に示すように、決済サーバ20は、登録対象者の顔画像及びPINコードを携帯端末10から受け付けたならば(ステップS101)、登録対象者の顔画像と顧客情報DB24aに記憶された各登録者の顔画像とを照合して照合スコアを算出する(ステップS102)。そして、照合スコアを算出していない未処理の登録者が存在する場合には(ステップS103;Yes)、ステップS102の処理を繰り返し、全ての登録者との照合スコアを算出したならば(ステップS103;No)、PINコードが同じ各登録者との照合スコアを第1閾値と比較し、全ての照合スコアが第1閾値以下であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0068】
そして、全ての照合スコアが第1閾値以下であるならば(ステップS105;Yes)、登録対象者の顧客情報を顧客情報DB24aに登録する(ステップS106)。これに対して、照合スコアのいずれかが第1閾値を超える場合には(ステップS105;No)、エラー処理を行って、登録対象者の顧客情報を顧客情報DB24aに登録しない(ステップS107)。
【0069】
上記一連の処理を行うことにより、登録対象者と照合スコアが高くなる登録者すなわち登録対象者と顔が似ている登録者が同一のPINコードが対応づけられている場合には、顧客情報DB24aへの登録対象者の登録を棄却して、認証精度の低下を防ぐことができる。
【0070】
<被認証者の認証手順>
次に、
図4に示した決済サーバ20における被認証者の認証手順について説明する。
図7は、
図4に示した決済サーバ20における被認証者の認証手順を示すフローチャートである。同図に示すように、決済サーバ20は、被認証者の顔画像を受け付けたならば(ステップS201)、被認証者の顔画像と、顧客情報DB24aに記憶された各登録者の顔画像とを照合して、照合スコアを算出する(ステップS202)。そして、照合スコアを算出していない未処理の登録者が存在する場合には(ステップS203;Yes)、ステップS202の処理を繰り返し、全ての登録者との照合スコアを算出したならば(ステップS203;No)、照合スコアが第2閾値を超える登録者数を計数する(ステップS204)。
【0071】
そして、照合スコアが第2閾値を超える登録者数が0人であるか否かを判定し(ステップS205)、0人であるならば(ステップS205;Yes)、被認証者が未登録であると判定する(ステップS206)。
【0072】
これに対して、照合スコアが第2閾値を超える登録者数が0人ではない場合には(ステップS205;No)、1人であるか否かを判定し(ステップS207)、1人であるならば(ステップS207;Yes)、被認証者が該当する登録者であると判定する(ステップS208)。
【0073】
一方、照合スコアが第2閾値を超える登録者数が1人ではなく複数人存在する場合には(ステップS207;No)、被認証者のPINコードを新たに受け付け(ステップS209)、同じPINコードの登録者のうち照合スコアが最大となる登録者であると判定する(ステップS210)。
【0074】
かかる一連の処理を行うことにより、被認証者との認証スコアが第2閾値を超える登録者が複数存在する場合に、被認証者からPINコードを受け付け、同じPINコードが対応づけられた登録者のうちの最大の認証スコアを持つ登録者であると判定することができる。
【0075】
上述してきたように、本実施例1では、各登録者の顔画像及び一種のグループ情報としてのPINコードを該登録者のIDに対応付けて顧客情報DB24aに登録しておき、新たに登録を行う登録対象者の顔画像及びPINコードを受け付けたならば、登録対象者の顔情報と、顧客情報DB24aに登録され、かつ、同じPINコードが対応づけられた複数の登録認証情報との照合スコアをそれぞれ算出し、算出された各照合スコアが第1閾値を超えないことを条件として、登録対象者の顧客情報のIDを発行し、このIDに対応付けて登録対象者の個人情報、顔画像及びPINコードを顧客情報DB24aに登録するよう構成したので、顔画像を用いて認証処理を行う場合の効率性を高めることができる。
【0076】
なお、上記実施例1では、各照合スコアが全て第1閾値を超えないことを条件としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、各照合スコアのうちの所定数が第1閾値を超えないことを条件とすることもできる。また、第1閾値又は第2閾値を可変にすることもできる。
【実施例2】
【0077】
ところで、上記実施例1では、顧客情報DB24aに登録者の顔画像とPINコードを登録する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、登録者の顔を正面から撮像した顔画像(正面)と、登録者が選択した左横顔又は右横顔の顔画像を用いて認証することもできる。このため、本実施例2では、かかる2つの顔画像を用いて認証を行う場合について説明する。なお、システム構成等は実施例1と同様となるため、ここではその説明を省略する。
【0078】
<実施例2に係る決済システムの概要>
まず、本実施例2に係る決済システムにおける認証処理の概要について説明する。
図8は、実施例2に係る認証システムにおける認証処理の概要を説明するための説明図である。
図8に示すように、新たに決済システムへの登録を希望する登録対象者Cが登録を行う場合には、登録対象者Cが所持するスマートフォン等の携帯端末を用いる。この携帯端末には決済アプリがインストールされているものとする。
【0079】
[新規登録]
登録対象者Cは、決済アプリのガイダンスに従って自らの携帯端末の撮像部(カメラ)により顔画像C1(正面)を撮像し(S21)、その後左横顔又は右横顔のいずれを撮像するかを選択し(S22)、横顔の顔画像C2を撮像する(S23)。ここでは左横顔を選択した状況を示している。そして、顧客情報DB24aに個人情報とともに顔画像C1(正面)及び顔画像(左横顔)を決済サーバ20に送信して、顧客情報DB24aに登録する(S24)。
【0080】
[認証処理]
被認証者Dの認証処理を行う場合には、被認証者Bは、自ら所持する携帯端末のアプリのガイダンスに従って、自らの携帯端末の撮像部により顔画像D1(正面)を撮像し、被認証者Dの顔画像D1(正面)を決済サーバ20に送信して、該決済サーバ20が被認証者Dの顔画像D1(正面)を受け付ける(S25)。
【0081】
その後、決済サーバ20は、被認証者Dの顔画像D1(正面)と、顧客情報DB24aに登録された3名の登録者(ID001、ID002、ID003)の顔画像(正面)とを照合して、第1照合スコアを算出する(S26)。ここでは、ID001の登録者との第1照合スコアが「85」であり、ID002の登録者との第1照合スコアが「82」であり、ID003の登録者との第1照合スコアが「84」である状況を示している。
【0082】
このようにして、被認証者Dと各登録者との第1照合スコアを算出したならば、各第1照合スコアを第3閾値と比較し、第3閾値を超えるものが存在するか否かを判定する。ここでは、この第3閾値を「80」とした場合を示している。
図8では、ID001、ID002及びID003の登録者との第1照合スコアが第3閾値を超える状況を示している。
【0083】
ここで、被認証者Dと各登録者との第1照合スコアが第3閾値を超えるならば(第3閾値を超える登録者が存在するならば)、被認証者Dによる追加条件の選択を受け付ける(S27)。ここでは、「左横顔」が追加条件として選択された状況を示している。その後、被認証者Dの左横顔の顔画像を受け付け、この顔画像(顔画像)と登録者の顔画像(左横顔)との第2照合スコアを算出する(S28)。なお、左横顔が登録されていない登録者については、第2照合スコアを算出しない。これにより、対象外となる登録者を除外することができる。
【0084】
その後、第2照合スコアに基づいて認証を行う。ここでは、ID003の登録者の顔画像(左横顔)との第2照合スコアが「75」であり、第4閾値「70」を超えるため、被認証者DはID003の登録者であると判定する。なお、第2照合スコアが第4閾値を超える登録者が複数存在する場合には、被認証者Dは、第2照合スコアが最大となる登録者であると判定する。
【0085】
このように、本実施例2では、被認証者Dとの第1認証スコアが第3閾値を超える登録者が存在する場合に、追加条件として左横顔又は右横顔の選択及び顔画像を受け付け、この顔画像と登録者の顔画像(追加条件を満たさない登録者は除外する)との第2照合スコアを算出し、この第2照合スコアに基づいて認証を行うよう構成している。
【0086】
なお、ここでは説明の便宜上、追加条件として「左横顔」又は「右横顔」を選択させることとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、「斜め左横顔」、「斜め右横顔」等を追加条件に含めることもできる。追加条件を増やすほど、第2照合スコアを算出する登録者を減らし、認証処理の高速化及び認証精度の向上を図ることができる。
【0087】
<登録対象者の登録手順>
次に、本実施例2に係る登録対象者の登録手順について説明する。
図9は、本実施例2に係る登録対象者の登録手順を示すフローチャートである。
【0088】
同図に示すように、決済サーバ20は、登録対象者の顔画像(正面)を受け付ける(ステップS301)。その後、携帯端末10において、追加条件として左横顔又は右横顔の選択を受け付けるとともに(ステップS302)、追加条件に合致する顔画像(左横顔又は右横顔)を撮像し、かかる追加条件及び顔画像を携帯端末10から受け付ける(ステップS303)。その後、登録対象者の個人情報とともに、顔画像(正面)、顔画像(左横顔又は右横顔)を顧客情報DB24aに登録する(ステップS304)。
【0089】
<被認証者の認証手順>
次に、本実施例2に係る被認証者の認証手順について説明する。
図10は、本実施例2に係る被認証者の認証手順を示すフローチャートである。同図に示すように、決済サーバ20は、被認証者の認証処理を行う場合には、被認証者の顔画像(正面)を受け付ける(ステップS401)。
【0090】
その後、決済サーバ20は、被認証者の顔画像(正面)と、顧客情報DB24aに登録された各登録者の顔画像(正面)とを照合して、第1照合スコアを算出する(ステップS302)。そして、第1照合スコアを算出していない未処理の登録者が存在する場合には(ステップS403;Yes)、ステップS402の処理を繰り返し、全ての登録者との第1照合スコアを算出したならば(ステップS403;No)、第1照合スコアが第3閾値を超える登録者数を計数する(ステップS404)。
【0091】
そして、第1照合スコアが第3閾値を超える登録者数が0人であるか否かを判定し(ステップS405)、0人であるならば(ステップS405;Yes)、被認証者が未登録であると判定する(ステップS406)。
【0092】
これに対して、第1照合スコアが第3閾値を超える登録者数が0人ではない場合には(ステップS405;No)、1人であるか否かを判定し(ステップS407)、1人であるならば(ステップS407;Yes)、被認証者が該当する登録者であると判定する(ステップS408)。
【0093】
一方、第1照合スコアが第3閾値を超える登録者数が1人ではなく複数人存在する場合には(ステップS407;No)、被認証者の左横顔又は右横顔の選択条件を受け付けるとともに(ステップS409)、被認証者の左横顔又は右横顔の顔画像を受け付ける(ステップS410)。
【0094】
その後、被認証者の顔画像(例えば左横顔)と、各登録者の顔画像(例えば左横顔)を照合して第2照合スコアをそれぞれ算出し(ステップS411)、第2照合スコアが第4閾値を超えるならば、被認証者が最大の第2照合スコアとなる登録者であると判定する(ステップS412)。
【0095】
上述してきたように、本実施例2では、登録者の顔画像(正面)と、追加条件(左横顔又は右横顔)及び追加条件に該当する顔画像(左横顔又は右横顔)とをそれぞれ登録者のIDに対応づけて顧客情報DB24aに登録しておき、被認証者の顔画像(正面)を受け付けたならば、顧客情報DB24aに登録された各顧客の顔画像(正面)との第1照合スコアをそれぞれ算出し、各第1照合スコアのうち第3閾値を超える第1照合スコアが存在する場合には、被認証者の追加条件及び追加条件に該当する顔画像(左横顔又は右横顔)を受け付け、受け付けた被認証者の顔画像(左横顔又は右横顔)と、各登録者の顔画像(左横顔又は右横顔)との第2照合スコアをそれぞれ算出し、各第2照合スコアのうち第4閾値を超える第2照合スコアに基づいて被認証者の認証処理を行うよう構成したので、顔画像を用いて認証処理を行う場合の効率性を高めることができる。
【0096】
また、上記実施例1及び2では、顔画像を用いる場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、指紋、掌紋、網膜、虹彩、音声等の人間の身体的特徴、又は、筆跡、歩行、まばたき等の行動的特徴に係る生体情報を用いる場合に適用することもできる。また、人物が所持する所持媒体の媒体情報又は人物が記憶する記憶情報(顧客が選択する記号又は文字列等)を用いる場合に適用することもできる。
【0097】
また、上記実施例1及び2では、決済サーバ20において決済処理及び認証処理の両者を行う場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、認証処理を行う認証サーバを決済サーバ20とは別に設けることもできる。また、上記実施例1では、決済サーバ20において一連の処理を行う場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、クラウド上で一連の処理を行うこともできる。
【0098】
<変形例1>
ところで、上記実施例1及び2では、1つの顧客情報DB24aを用いて認証処理を行う場合を示したが、サービス毎に別個の生体情報データベース(以下、「生体情報DB」と言う)を設け、これらの生体情報DBを用いて認証を行うこともできる。
【0099】
図11は、変形例に係る認証システムの構成を示す図である。ここでは、サービス毎に生体情報DBが設けられており、認証を行う場合には、該当する生体情報DBに登録された登録者の生体情報との間で照合スコアを算出する。
【0100】
図11においては、サービスSに対応して生体情報DBXが設けられており、このサービスSでは免許証の顔画像と生体情報DBXに登録された登録者の顔画像を照合して照合スコアを算出している(S31)。
【0101】
これに対して、サービスTに新たに登録を希望する登録対象者の情報は、顧客情報DBZに登録される(S32)。また、サービスTに対応して生体情報DBYが設けられており、顧客情報DBZから生体情報DBYに登録者に関する生体情報が通知される。そして、このサービスTでは、被認証者Fの顔画像と生体情報DBYに登録された登録者の顔画像を照合して照合スコアを算出する(S33)。なお、サービスTに対応する生体情報DBY上に該当する顧客情報が登録されていない場合には、全体の顧客情報を管理する顧客情報DBZに登録した顧客情報を用いて照合スコアが算出される。
【0102】
かかる一連の処理を行うことにより、サービス毎に少ない人数を対象として照合スコアを算出することができるため、多要素認証を行わなくても精度良く認証を行うことが可能となる。
【0103】
なお、顧客情報DBZは更新されないが、サービス毎の生体情報DBは照合に用いられた被認証者の生体情報を用いて更新することもできる。顔認証の場合には、撮影条件統一されるため、認証精度を高めることが可能となる。
【0104】
また、ここではサービス種別ごとに生体情報DBを設ける場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、提供法人、店舗又は場所ごとに生体情報DBを設けるよう構成することもできる。また、顧客情報登録時に顧客情報DBに登録された生体情報は、自動的に生体情報DBに登録することもできる。
【0105】
<変形例2>
生体情報は、個人を認証することが基本となるが、特定のグループに属するか否かを生体情報により判定することもできる。具体的には、登録時には、1つの決済手段に対して複数人の生体情報(例えば、親の生体情報と子の生体情報)を登録しておき、利用時には、子の生体情報を用いて認証を行い、決済する場合には親の指定した支払手段で決済するよう構成することができる。また、親の承認を得て決済を行うよう構成することもできる
【0106】
また、上記の実施例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上のように、本願の認証システム、認証装置、認証方法及び認証プログラムは、生体情報を用いて認証を行う場合の効率性を高める場合に適している。
【符号の説明】
【0108】
A,C 登録対象者
A1 登録対象者の顔画像
A2 登録対象者のPINコード
B,D 被認証者
B1 被認証者の顔画像
B2 被認証者のPINコード
C1 登録対象者の顔画像(正面)
C2 登録対象者の顔画像(左横顔)
D1 被認証者の顔画像(正面)
D2 被認証者の顔画像(左横顔)
N ネットワーク
S,T サービス
X,Y 生体情報DB
Z 顧客情報DB
10 携帯端末
20 決済サーバ
21 入力部
22 表示部
23 通信I/F部
24 記憶部
24a 顧客情報DB
25 制御部
25a 認証処理部
25b 決済制御部
30 決済代行業者サーバ
40 カード会社サーバ