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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】シャープペンシル
(51)【国際特許分類】
   B43K 21/00 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
B43K21/00 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019228354
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021094796
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】増井 あづみ
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-111040(JP,A)
【文献】実開平03-023492(JP,U)
【文献】特許第5146863(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記芯を案内する案内路を形成するユニット部品、
を備え、
前記ユニット部品において、
前記案内路の少なくとも一部分が、隙間を設けつつ配置された、互いに別体である複数の部品の前記隙間によって形成され、
前記隙間が前記筆記芯の直径よりも小さい状態と、前記隙間が前記筆記芯の直径よりも大きい状態とで切り替え可能であり、
前記複数の部品のうちの一つである第1部品が筒状の部品であり、
前記複数の部品のうちの別の一つである第2部品が前記第1部品の筒内部に配置され、
前記第1部品の内壁面の一部分と前記第2部品の一部分とによって、前記隙間が形成さ
れ、
前記第2部品が、
前記第1部品の内壁面との間に前記隙間を設けつつ配置された弾性片、
を備え、
前記弾性片が弾性変形することによって前記隙間の大きさが変化する、
ことを特徴とする、シャープペンシル。
【請求項2】
請求項1に記載のシャープペンシルであって、
前記複数の部品が、2個の部品である、
ことを特徴とする、シャープペンシル。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシャープペンシルであって、
前記ユニット部品が、筆記芯を収容するための芯タンクの後端に取り付けられており、
前記隙間を通過した筆記芯が前記芯タンクに充填されるように構成されている、
ことを特徴とする、シャープペンシル。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のシャープペンシルであって
前記第2部品が前記第1部品の軸方向に相対移動されることによって、前記弾性片が弾性変形するように構成されている、
ことを特徴とする、シャープペンシル。
【請求項5】
請求項に記載のシャープペンシルであって、
前記第2部品が、筒状の部品であり、その端部に軸方向に延在するスリットが周方向に複数本配列されることによって、該端部に複数の延出片が形成されており、
前記第2部品が前記第1部品の軸方向に相対移動されることによって、前記複数の延出片の先端が互いに離間する方向に弾性変形するようになっており、
前記複数の延出片のうちの少なくとも一つが、前記弾性片を形成する、
ことを特徴とする、シャープペンシル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャープペンシルに関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、シャープペンシルは、黒鉛などから形成される細い筆記芯を繰り出して用いる筆記具である。一般的なノック式のシャープペンシルは、筒状部材である軸の中に、複数本の筆記芯を収容可能な芯タンクが配置されており、芯タンクの一端側(前端側)に、筆記芯を送り出すための送り出し機構が設けられ、他端側(後端側)に、送り出し機構を動作させるためのノック部材が設けられた構成となっている。
【0003】
このような構成を備える一般的なシャープペンシルにおいては、ノック部材が、芯タンクの後端の開口を塞ぐためのキャップとしての役割を兼ねていることが多く、シャープペンシルに筆記芯を充填する際には、使用者がノック部材を芯タンクから取り外して、その後端の開口から筆記芯を差し入れるようになっている。
【0004】
ところが芯タンクから取り外されたノック部材は紛失されやすく、これを子供が誤飲するリスクもある。そこで、特許文献1では、芯タンクから筆記芯が出て行かないように塞ぎつつ、芯タンクから取り外さずに筆記芯を芯タンクに充填できるようなノック部材が提案されている。
【0005】
特許文献1に記載のノック部材は、筒状の部材であって、その筒内部に案内部材と呼ばれる部材がさらに設けられる。この案内部材は、内部に筆記芯を通過させるための筆記芯通路が形成された部材であって、前方に延出する複数の弾性片部分を有している。使用者が外力を付加していない状態においては、この複数の弾性片部分が筆記芯通路の前端の開口を塞いで、ここを筆記芯が通過できない状態となり、これにより、芯タンク内の筆記芯が出て行かないようになっている。そして、使用者が、案内部材を前方に押動させるような外力を付加すると、案内部材がノック部材に対して前方に移動し、これに伴い複数の弾性片部分が外方に開く(拡開する)ように弾性変形する。つまり、弾性片部分の弾性変形により筆記芯通路の前端の開口面積が大きくなる。これによって、筆記芯が筆記芯通路を通過できるようになる。したがって、使用者は、ノック部材をわざわざ取り外さなくとも、筆記芯通路の後端の開口からから筆記芯を差し込んだ状態で案内部材を前方に押動するだけで、筆記芯を芯タンクに充填することができる。
【0006】
このような構成によると、キャップとしてのノック部材を芯タンクから取り外す必要がないので、手間をかけずに素早く筆記芯を充填することができ、充填された筆記芯が芯タンクから出て行くことも防止できる。また、取り外されたノック部材が紛失されることもない。このような構成は、キャップレスのスピードイン機構などとも呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許5146863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の通り、特許文献1に記載のシャープペンシルは、案内部材が備える複数の弾性片部分が弾性変形することによって、筆記芯を通過させる状態と通過させない状態とが切り換えられるものであるが、後者の状態において筆記芯を確実に通過させないようにするためには、外力が付加されない状態において、弾性片部分同士の離間距離から規定される筆記芯通路の開口面積が、筆記芯よりも小さくなっている必要がある。つまり、複数の弾性片部分が筆記芯の直径よりも小さな隙間を設けつつ近接配置されているような案内部品を成形しなければならない。
【0009】
このような案内部品を、例えば金型を用いた樹脂成形で製造する場合、複数の弾性片部分の隙間に相当する部分をピン部材などで成形することになる。ところが、0.3mmや0.5mmといった細径の筆記芯に対応できるような案内部材を得るためには、このような細径の筆記芯よりもさらに小径のピンを準備なければならない。実際は、寸法公差を加味する必要もあり、このような小径のピンやこれと対応した高い寸法精度の金型を作成することは、現実問題として非常に難しい。
【0010】
このような事情があるため、実際は、特許文献1のような構成では、比較的径が太い筆記芯に対応するシャープペンシルしか得ることができなかった。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、細径の筆記芯であってもこれを通過させない状態を形成できるようなシャープペンシルの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0013】
すなわち、本発明は、シャープペンシルであって、
筆記芯を案内する案内路を形成するユニット部品、
を備え、
前記ユニット部品において、
前記案内路の少なくとも一部分が、隙間を設けつつ配置された、互いに別体である複数の部品の前記隙間によって形成され、
前記隙間が前記筆記芯の直径よりも小さい状態と、前記隙間が前記筆記芯の直径よりも大きい状態とで切り替え可能であり、
前記複数の部品のうちの一つである第1部品が筒状の部品であり、
前記複数の部品のうちの別の一つである第2部品が前記第1部品の筒内部に配置され、
前記第1部品の内壁面の一部分と前記第2部品の一部分とによって、前記隙間が形成さ
れ、
前記第2部品が、
前記第1部品の内壁面との間に前記隙間を設けつつ配置された弾性片、
を備え、
前記弾性片が弾性変形することによって前記隙間の大きさが変化する、
ことを特徴とする。
【0014】
この構成によると、案内路の少なくとも一部分が、互いに別体である複数の部品の間に
設けられた隙間によって形成されるので、細径の筆記芯の直径よりも小さな隙間を難なく
形成することができる。したがって、細径の筆記芯であってもこれを通過させない状態を
形成することができる。
また、筒状の第1 部品とその筒内部に配置された第2 部品とによって隙間が形成されるので、構成を簡易なものとすることができる。
また、弾性片を弾性変形させるような簡易な操作によって、隙間の大きさを変化させることができる。すなわち、筆記芯が通過できる状態と通過できない状態とを簡易な操作で切り替えることができる。
【0015】
好ましくは、前記シャープペンシルにおいて、
前記複数の部品が、2個の部品である、
ことを特徴とする。
【0016】
この構成によると、部品点数を抑えることができる。
【0017】
好ましくは、前記シャープペンシルにおいて、
前記ユニット部品が、筆記芯を収容するための芯タンクの後端に取り付けられており、前記隙間を通過した筆記芯が前記芯タンクに充填されるように構成されている、
ことを特徴とする。
【0018】
この構成によると、隙間を筆記芯の直径よりも大きい状態とすることで、案内路を介して筆記芯を芯タンクに充填することができ、隙間を前記筆記芯の直径よりも小さい状態とすることで、芯タンクに充填された筆記芯が出て行かないように塞ぐことができる。したがって、筆記芯の充填にあたって、芯タンクのキャップとして機能する部材(すなわち、従来の一般的なシャープペンシルにおけるノック部材)の取り外しが不要となり、手間が省かれる。
【0023】
好ましくは、前記シャープペンシルにおいて、
前記第2部品が前記第1部品の軸方向に相対移動されることによって、前記弾性片が弾性変形するように構成されている、
ことを特徴とする。
【0024】
この構成によると、第2部品を第1部品の軸方向に相対移動させるという簡易な操作によって、隙間の大きさを変化させることができる。
【0025】
好ましくは、前記シャープペンシルにおいて、
前記第2部品が、筒状の部品であり、その端部に軸方向に延在するスリットが周方向に複数本配列されることによって、該端部に複数の延出片が形成されており、
前記第2部品が前記第1部品の軸方向に相対移動されることによって、前記複数の延出片の先端が互いに離間する方向に弾性変形するようになっており、
前記複数の延出片のうちの少なくとも一つが、前記弾性片を形成する、
ことを特徴とする。
【0026】
この構成によると、第2部品がバランスよく弾性変形し、これに伴い弾性片が弾性変形することになるので、隙間の大きさを安定して切り替えることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、細径の筆記芯であってもこれを通過させない状態を形成できるようなシャープペンシルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係るシャープペンシルの全体構成を示す側面図。
図2図1に示されるシャープペンシルの側断面図。
図3図2に示されるシャープペンシルの前端部分を拡大して示す図。
図4】案内部品の側面図および側断面図。
図5】案内部品の先端部分を拡大して示す側面図および横断面図。
図6】ノック部品の側面図および側断面図。
図7】ノック部品の先端部分を拡大して示す側面図および横断面図。
図8】ノック部品1内に案内部品2などが収容された状態を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0030】
<1.構成>
実施形態に係るシャープペンシルの構成について、図1図3を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係るシャープペンシルPの全体構成を示す側面図である。図2は、図1に示されるシャープペンシルPを、軸方向を含む平面で切断した側断面図である。図3は、図2におけるシャープペンシルPの前端部分を拡大して示す図である。
【0031】
なお、以下の説明においては、シャープペンシルPの軸方向に対し、筆記芯Dが送り出される側を「前端」とよび、その反対側を「後端」とよぶ。また、シャープペンシルPの軸方向と直交する面において軸線を中心とした円の径方向を「径方向」とよび、シャープペンシルPの軸方向と直交する面において軸線を中心とした円の周方向を「周方向」とよぶ。もっとも、これらの方向は、説明の便宜のためのものであり、シャープペンシルPの使用時の方向などを限定するものではない。
【0032】
シャープペンシルPは、外筒10と、外筒10の内部に収容される芯タンク20と、芯タンク20の前方に設けられる送出機構30と、芯タンク20の後方に設けられるユニット部品40と、を備える。
【0033】
(外筒10)
外筒10は、シャープペンシルPの外装をなす部材であり、軸部101と、先具102と、スライダー103と、を備える。
【0034】
軸部101は、長尺な筒状部材であり、その軸方向と直交する断面が、円形(多角形、楕円形、などであってもよい)とされている。また、軸部101の外周には、グリップなどが設けられてもよい。
【0035】
先具102は、前端に行くにつれて縮径した略円錐状の部分と、略管状の部分とが前後に連なった部材であり、その内部には軸方向に延在する貫通路R102が形成されている。先具102は、管状の部分が軸部101の前端に圧入あるいは螺合されることで、軸部101と接続される。そして、軸部101の先端に接続されたときに、該管状の部分の後端が、後述するスリーブ304の二重壁の間に差し込まれた状態となる。
【0036】
スライダー103は、筆記芯Dが折れないように保護するための筒状部材であり、前後のスライド移動を許容されつつ、先具102に形成される貫通路R102の前端部分に配置される。
【0037】
(芯タンク20)
芯タンク20は、充填された1本以上の筆記芯Dを収容するための部材であり、本体部201と、連結部202と、を備える。
【0038】
本体部201は、軸部101の内部に配置される長尺な筒状部材であり、その内部空間は、複数本の筆記芯Dを収容するための収容空間を構成する。本体部201の内壁の一部分には、周方向に延在する環状の突起2011が形成されており、ここに収容されている筆記芯Dが静電気によって本体部201の内壁に付着することを防止している。もっとも、突起2011は必須の要素ではなくこれが省略されてもよい。
【0039】
連結部202は、本体部201の前端を塞ぐように設けられた部分であり、その内部に、軸方向に延在する案内路(第1案内路)R202が形成される。第1案内路R202は、後端において本体部201の内部空間と連通している。第1案内路R202の内直径は、筆記芯Dの直径よりも僅かに大きなものとされており、一度に1本の筆記芯Dだけが第1案内路R202を通過することができるようになっている。連結部202は、前方に突き出た延出部2022を備えており、これが後述するチャック301の後端部に連結される。
【0040】
(送出機構30)
送出機構30は、チャック301と、チャックリング302と、チャックスプリング303と、スリーブ304と、を備える。
【0041】
チャック301は、長尺な筒状部材である本体部3011を備える。本体部3011の内部には軸方向に延在する案内路(第2案内路)R301が形成されている。本体部3011は、その後端において、芯タンク20の連結部202と連結されており、第2案内路R301は、第1案内路R202と連通している。第2案内路R301の直径は、第1案内路R202の直径と略同一とされる。本体部3011の前方には、これと連なって複数の挟持片3012が設けられている。複数の挟持片3012は、その先端部分に後述するチャックリング302が嵌められることで、径方向内方に窄められている。チャック301がチャックリング302に対して前方に相対移動されると、複数の挟持片3012は、チャックリング302から開放されて、径方向外方に拡開する。
【0042】
チャックリング302は、環状の部材であり、チャック301の複数の挟持片3012の先端部の外側に嵌め合わされて、複数の挟持片3012の先端部分を、径方向内方へ窄めている。チャックリング302の直径は、これが外側から嵌められた状態において、各挟持片3012の先端部分の離間距離が筆記芯Dの直径よりも僅かに小さなものとなるように、規定されている。したがって、チャックリング302が各挟持片3012の先端部分に嵌められた状態において、筆記芯Dが第2案内路R301を通過できない状態となる。すなわち、第2案内路R301に筆記芯Dが存在しない場合は、新たな筆記芯Dが第2案内路R301の前方の開口端で止められた状態となり、第2案内路R301に筆記芯Dが存在している場合は、該筆記芯Dが各挟持片3012に挟持されて前後に移動できないように止められた状態となる。
【0043】
チャックスプリング303は、コイルスプリングなどから形成される部材であり、チャックリング302の後方に配置されて、芯タンク20およびこれと連結されているチャック301を、後方へ付勢する。
【0044】
スリーブ304は、周壁が二重構造となっている筒状部材であり、内側の周壁の中に、チャック301の本体部3011が、前後のスライド移動を許容されつつ、配置される。また、スリーブ304における二重壁の間に、先具102の後端が差し込まれる。もっとも、スリーブ304は、本体部3011を内部に配置させつつ、先具102を保持するものであればよく、必ずしも二重構造でなくともよい。
【0045】
(ユニット部品40)
ユニット部品40は、芯タンク20に充填するべき筆記芯Dを案内する案内路R40を形成するものであり、芯タンク20の後端に取り付けられる。ユニット部品40は、芯タンク20の本体部201に充填されている筆記芯Dが出て行かないように塞ぐ役割を担うとともに、送出機構30を動作させる役割も担っている。
【0046】
ユニット部品40は、筒状の部品である第1部品(以下「ノック部品」ともよぶ)1と、その筒内部に収容される第2部品(以下「案内部品」ともよぶ)2とを備える。ノック部品1は、案内部品2の外側に配置される外側部材としての役割を担う。ノック部品1と案内部品2は、互いに別体に構成された部品であり、組み合わされることでユニット部品40を構成している。
【0047】
(案内部品2)
案内部品2について、図4図5を参照しながら説明する。図4図5は、いずれも、案内部品2を示す図である。具体的には、図4(a)は案内部品2の側面図であり、図4(b)はその側断面図である。図4(c)は、図4(a)を軸線の回りに90度回転させた図であり、図4(d)はその側断面図である。図4(e)は、図4(a)を軸線の回りに180度回転させた図であり、図4(f)はその側断面図である。図5には、図4(d)の前端部分を拡大して示す図と、これを矢印A方向から見た横断面図とが示されている。
【0048】
案内部品2は、相対的に大きい外径を有する大径部21と、その前方に延出して設けられる相対的に小さい外径を有する小径部22と、を備える略円筒状の部品である。
【0049】
案内部品2の内壁は、充填するべき筆記芯Dを案内するための案内路R40の周壁の一部を構成するものであり、その直径は、筆記芯Dの直径よりも僅かに大きなものとされている。ただし、案内部品2の内壁は、その後方の開口端の近傍において、後方に向かうにつれて径方向外方に段階的に拡開した拡開面23とされている。これにより、案内部品2の後面に形成される案内路R40の後方の開口端(すなわち、案内路R40の導入部)の直径が、筆記芯Dの直径よりも大きなものとなり、ここから筆記芯Dを入れやすいようになっている。
【0050】
小径部22には、その前端から前後中央よりも後の位置に亘って軸方向に沿って延在するスリット24が、2本形成される。2本のスリット24,24は、軸線を挟んで対向する位置に形成されている。これによって、小径部22の前側部分が、軸線回りの周方向について略2等分割され、これによって、該前側部分に、前方に延出する2個の延出片25,26が形成される。以下において、スリット24によって分割されることにより形成された各延出片25,26を「弾性片25,26」とよぶ。
【0051】
各弾性片25,26の外周面には、径方向外方へ突出した係止突起27が設けられている。この係止突起27が、後述するノック部品1の貫通窓13に収容されることによって、案内部品2がノック部品1から抜け落ちないように係止される。
【0052】
2個の弾性片25,26は、軸方向の長さが互いに異なるものとされている。以下において、2個の弾性片25,26を区別する場合は、相対的に長い方の弾性片25を「第1弾性片25」とよび、相対的に短い方の弾性片26を「第2弾性片26」とよぶ。
【0053】
第1弾性片25の内周面は、案内路R40の周壁の一部を構成するものであり、軸線と直交する断面が略円弧状となっている。第1弾性片25の内周面であって、第2弾性片26よりも前方に突出した部分には、径方向内方に突出する突起部251と、その前方に連なる摺動面252と、が設けられている。
【0054】
突起部251の突出側の頂面251aは、軸方向に延在する平坦な面であり、軸方向から見て弦方向に延在して、案内路R40の中心軸の近傍まで張り出している。頂面251aの後方には、これと連なって、後方に向かうにつれて径方向外方に傾斜した傾斜面251bが形成されている。また、頂面251aの前方には、これと連なって、軸線と直交する壁面251cが形成されている。
【0055】
摺動面252は、第1弾性片25の内周面の先端部分が、略円錐状に切り取られることによって形成される、前方に向かうにつれて径方向外方に拡開した面である。
【0056】
第2弾性片26の内周面は、第1弾性片25の内周面と同様、案内路R40の周壁の一部を構成するものであり、軸線と直交する断面が略円弧状となっている。第2弾性片26の内周面の先端部分には、段差部261と、その前方に連なる摺動面262と、が設けられている。
【0057】
段差部261は、軸線と直交する壁面261aと、その前方に連なる縦壁面261bと、から構成される。縦壁面261bは、軸方向に延在する平坦な面であり、軸方向から見て弦方向に延在する。
【0058】
摺動面262は、第2弾性片26の内周面の先端部分が、斜めに切り取られることによって形成される、前方に向かうにつれて径方向外方に傾斜した平坦な面である。
【0059】
(ノック部品1)
ノック部品1について、図6図8を参照しながら説明する。図6図7は、いずれも、ノック部品1を示す図である。具体的には、図6(a)はノック部品1の側面図であり、図6(b)はその側断面図である。図6(c)は、図6(a)を軸線の回りに90度回転させた図であり、図6(d)はその側断面図である。図7には、図6(d)の前後中央付近の部分を拡大して示す図と、これを矢印A方向から見た横断面図とが示されている。図8は、ノック部品1内に案内部品2などが収容された状態を示す側断面図である。図8(a)は、案内部品2に外力が付加されず、案内部品2が後方位置に配置されている状態(以下「自然状態」ともよぶ。)を示している。一方、図8(b)は、案内部品2を前方に押し動かす外力が付加されて、案内部品2が前方位置に配置されている状態(以下「押動状態」ともよぶ。)を示している。
【0060】
ノック部品1は、相対的に大きい外径を有する大径部11と、その前方に延出して設けられる相対的に小さい外径を有する小径部12と、を備える略円筒状の部品である。
【0061】
小径部12の内部空間における前側の部分は、芯タンク20を収容するための空間である。この部分は、相対的に小さい内径を有する小径内壁部121と、その前方に連なって設けられる相対的に大きい内径を有する大径内壁部122とから構成され、小径内壁部121に囲まれる空間に、芯タンク20の本体部201の後端部分が嵌め入れられることで、ノック部品1が本体部201の後端に取り付けられる(図8)。小径内壁部121の後端面は、案内路R40の前方の開口端(すなわち、案内路R40の導出部)と連通しており、ここを通過した筆記芯Dが本体部201に充填されるようになっている。
【0062】
一方、大径部11の内部空間および小径部12の内部空間における後側の部分は、案内部品2を収容するための空間を形成するとともに、案内路R40の周壁の一部を形成する。
【0063】
小径部12の後端付近には、軸方向に延在する一対の貫通窓13,13が、軸線を挟んで対向する位置に形成されている。また、小径部12の内壁には、軸方向に延在する一対の凸条部14,14が、軸線を挟んで対向する位置に形成されている。各凸条部14の後端部分は、前方に向かうにつれてなだらかな曲線を描きつつ径方向内方に突出する形状となっている。一対の貫通窓13,13と一対の凸条部14,14とは、互いに90度をなす平面上に各々配置される。
【0064】
ノック部品1の内部に案内部品2が収容された状態において、案内部品2の係止突起27が貫通窓13に収容されるとともに、スリット24内に凸条部14が収容される(図8)。案内部品2の係止突起27が貫通窓13に収容されることにより、案内部品2がノック部品1から抜け落ちないように係止される。ただし、貫通窓13の前後の長さは、係止突起27に対して十分に長いものとされており、これによって、案内部品2がノック部品1の内部において前後にスライド移動することが許容される。また、スリット24内に凸条部14が収容されることにより、案内路R40の後方の開口端から差し入れられた筆記芯Dが、スリット24に入り込んで横にそれて引っ掛かる、といった事態が回避される。つまり、凸条部14は、筆記芯Dがスリット24に入り込んで引っ掛かることを阻止するための壁としての役割を担う。
【0065】
小径部12の内部空間における後側の部分は、一対の凸条部14,14によって、周方向について略2等分に区画されており、その一方の空間(第1収容空間)R12aに第1弾性片25が収容され、他方の空間(第2収容空間)R12bに第2弾性片26が収容される。また、第1収容空間R12aおよび第2収容空間R12bの前方には、これと連なる略円柱状の空間(連通空間)R12cが形成されている。連通空間R12cの内直径は、筆記芯Dの直径よりも大きなものとされている。
【0066】
第1収容空間R12aの周壁の前縁と、連通空間R12cの周壁の後縁との間に形成された面(第1収容空間R12aの前端面)H1には、後方に突出する案内突起部(第1案内突起部)15が設けられている。
【0067】
第1案内突起部15の突出側の頂面15aは、軸線と直交する平坦な面であり、軸方向から見て弧状に延在する。頂面15aの径方向内方側の端縁は、軸線と平行に延在する第1壁面15bと連なり、これが連通空間R12cの周壁に連続的に連なっている。また、頂面15aの径方向外方側の端縁は、前方に向かうにつれて径方向外方に拡開する、円錐の側面状の傾斜面15cと連なっている。傾斜面15cの径方向外方側の端縁は、軸線と平行に延在する第2壁面15dと連なっている。
【0068】
第1案内突起部15の傾斜面15cは、第1弾性片25の摺動面252に当接して、これを案内する案内面としての役割を担う。また、第1案内突起部15の頂面15aは、第1弾性片25の突起部251の壁面251cに当接して、これを係止する係止面としての役割を担う。すなわち、案内部品2を前方に押し動かす外力が付加されることにより、自然状態にある案内部品2(図8(a))が、ノック部品1に対して前方に相対移動すると、第1弾性片25が第1収容空間R12a内を前方に移動する。このとき、摺動面252が傾斜面15cに案内されることで、第1弾性片25の先端が径方向外方に弾性変形する。そして、あるところまで移動が進むと、壁面251cが頂面15aに当接し、第1弾性片25がそれ以上前方に移動できないように係止される(図8(b))。
【0069】
一方、第2収容空間R12bの周壁の前縁と、連通空間R12cの周壁の後縁との間に形成された面(第2収容空間R12bの前端面)H2には、後方に突出する案内突起部(第2案内突起部)16が設けられている。
【0070】
第2案内突起部16は、軸方向に延在する平坦な面であり、軸方向から見て弦方向に延在する第1壁面16aを備える。第1壁面16aの後端は、後方に向かうにつれて径方向外方に傾斜する傾斜面16bと連なる。傾斜面16bの径方向内方側の端縁は、軸方向から見て弦方向に延在しており、これが軸線と直交する平坦な頂面16cに連なっている。この頂面16cは、後述する対向突起部17の突出側の頂面17aと連なっている。
【0071】
第2案内突起部16の傾斜面16bは、第2弾性片26の摺動面262に当接して、これを案内する案内面としての役割を担う。また、第2案内突起部16の頂面16cは、第2弾性片26の段差部261の壁面261aに当接して、これを係止する係止面としての役割を担う。すなわち、案内部品2を前方に押し動かす外力が付加されることにより、自然状態にある案内部品2(図8(a))が、ノック部品1に対して前方に相対移動すると、第2弾性片26が第2収容空間R12b内を前方に移動する。このとき、摺動面262が傾斜面16bに案内されることで、第2弾性片26の先端が径方向外方に弾性変形する。そして、あるところまで移動が進むと、壁面261aが頂面16cに当接し、第2弾性片26がそれ以上前方に移動できないように係止される(図8(b))。
【0072】
小径部12の内壁には、自然状態にある第1弾性片25の突起部251と、軸線を挟んで対向するような位置に、径方向内方に突出する対向突起部17が形成されている。
【0073】
対向突起部17の突出側の頂面17aは、軸方向に延在する平坦な面であり、軸方向から見て弦方向に延在して、案内路R40の中心軸の近傍まで張り出している。この頂面17aの後端部分には、ここが略円錐状に切り欠かれることによって形成される、後方に向かうにつれて径方向外方に拡開した切欠き面171aが形成されている。また、頂面17aの前方には、これと連なって、軸線と直交する壁面17bが形成されている。
【0074】
対向突起部17は、第1収容空間R12aに第1弾性片25が収容された状態において、その突起部251に対向する。対向突起部17の突出側の頂面17aと、突起部251の突出側の頂面251aは、いずれも、軸方向に延在する平坦な面であり、軸方向から見て弦方向に延在して、案内路R40の中心軸の近傍まで張り出している。つまり、これらの両面17a,251aは互いに平行な面であり、間に隙間Gを設けつつ対向配置される。この隙間Gが、案内路R40の前方の開口端(すなわち、案内路R40の導出部)あるいはその近傍の部分を形成する。つまり、このシャープペンシルPでは、案内路R40の導出部(あるいはその近傍の部分)が、別体であるノック部品1と案内部品2の間に設けられた隙間Gによって、形成される。
【0075】
この隙間Gの大きさ(すなわち、対向突起部17の頂面17aと、突起部251の頂面251aとの離間距離)は、案内部品2がノック部品1に対して前後に相対移動されることで、変化する。つまり、案内部品2がノック部品1に対して前後に相対移動されることで、案内路R40の導出部(あるいはその近傍の部分)の開口面積が変化する。
【0076】
すなわち、案内部品2が自然状態にあるとき(図8(a))、隙間Gの大きさは、筆記芯Dの直径よりも小さなものとなっている。したがって、この状態において、筆記芯Dが案内路R40を通過できない状態となる。すなわち、案内路R40に筆記芯Dが存在しない場合は、新たな筆記芯Dがここを通過できずに隙間Gの後方で止められた状態となり、案内路R40に筆記芯Dが存在している場合は、該筆記芯Dが該隙間Gにおいてノック部品1と案内部品2に挟持されて前後に移動できないように止められた状態となる。
【0077】
ここから、案内部品2を前方に押し動かす外力が付加されることにより、自然状態にある案内部品2が、ノック部品1に対して前方に相対移動すると、各弾性片25,26は、先端を径方向外方に弾性変形させつつ(すなわち、先端を互いに離間させる方向に弾性変形させつつ)、各収容空間R12a,R12b内を前方に移動する。これにより、突起部251の突出側の頂面251aが、対向突起部17の突出側の頂面17aから離れる方向に移動され、隙間Gが大きくなる。そして、各弾性片25,26がそれ以上前方に移動できないように係止されたときに(図8(b))、隙間Gの大きさは、筆記芯Dの直径よりも大きなものとなる。したがって、この状態において、筆記芯Dが案内路R40を通過できる状態となる。
【0078】
<2.シャープペンシルPの使用の態様>
シャープペンシルPにおいて、筆記芯Dを充填する場合、使用者は、まずシャープペンシルPを前方が下に向くような起立姿勢として、案内部品2の後面にある案内路R40の開口端から、筆記芯Dを差し入れる。すると、この筆記芯Dは、案内路R40内を落ちてくる。このとき、案内部品2が自然状態にあると(図8(a))、ノック部品1と案内部品2の間に設けられている隙間Gの大きさが筆記芯Dの直径よりも小さなものとなっているので、筆記芯Dはここを通過することができず、ここで止められる。使用者が、筆記芯Dの上端を下方に押すと、筆記芯Dは、突起部251の傾斜面251bと対向突起部17の切欠き面171aの傾斜に導かれることにより、隙間Gに入り込んでここで保持される。
【0079】
この状態から、使用者が案内部品2を前方に押すと、案内部品2がノック部品1に対して前方に相対移動される。すると、隙間Gの大きさが変化して、これが筆記芯Dの直径よりも大きなものとなる。これにより、隙間Gによる保持が解除され、筆記芯Dがここを通過できるようになる。案内路R40を通過した筆記芯Dは、芯タンク20の本体部201内に導かれて、ここに充填される。
【0080】
その後、使用者が案内部品2に対する外力の付加を解除すると、案内部品2が弾性復帰することにより、ノック部品1に対して後方に相対移動する。すると、再び隙間Gの大きさが変化して、これが筆記芯Dの直径よりも小さなものとなり、筆記芯Dが案内路R40を通過できない状態となる。これにより、芯タンク20に充填された筆記芯Dが案内路R40を介して出て行かないように止められる。
【0081】
また、芯タンク20に充填された新たな筆記芯Dを使って筆記を行う場合、使用者は、まずシャープペンシルPを上記と同じ起立姿勢とする。こうすると、芯タンク20の本体部201に充填されている1以上の筆記芯Dのうちの1本だけが、第1案内路R201を通過して第2案内路R301の前方の開口端までやってくる。このとき、ユニット部品40が押圧されるまでは、筆記芯Dが第2案内路R301の前方の開口端を通過できずに止められた状態にある。
【0082】
使用者が、ユニット部品40を押圧して前方に移動させると、これと接続されている芯タンク20が前方に移動し、芯タンク20と接続されているチャック301が、チャックスプリング303を圧縮させつつ前方に移動する。すると、複数の挟持片3012がチャックリング302から開放されて、径方向外方に拡開する。これにより、筆記芯Dが第2案内路R301の前方の開口端を通過できる状態となり、筆記芯Dは第2案内路R301内を前方に移動する。
【0083】
その後、使用者がユニット部品40の押圧を解除すると、チャックスプリング303に付勢されて、芯タンク20およびこれと接続されているチャック301が再び元の後方位置に移動する。すると、複数の挟持片3012がチャックリング302に嵌め合わされた状態となり、径方向内方に窄められる。これにより、筆記芯Dが第2案内路R301の前方の開口端を通過できない状態となり、筆記芯Dは前後に動けない状態となる。このようにして、ユニット部品40の押圧とその解除が繰り返されることで、筆記芯Dがスライダー103に送り出されてゆき、筆記芯Dはスライダー103を前方へスライド移動させてこれを先具102の開口先端より突出させつつ、スライダー103の先端から突出するようになる。この状態で、使用者は筆記を行うことができる。
【0084】
<3.効果>
上記の実施形態に係るシャープペンシルPは、筆記芯Dを案内する案内路R40を形成するユニット部品40を備える。そして、このユニット部品40において、案内路R40の少なくとも一部分(上記の実施形態では、案内路R40の導出部、あるいはその近傍の部分)が、隙間Gを設けつつ配置された、互いに別体である複数の部品(ノック部品1および案内部品2)の該隙間Gによって形成され、該隙間Gが筆記芯Dの直径よりも小さい状態と、該隙間Gが筆記芯Dの直径よりも大きい状態とで切り替え可能である。
【0085】
この構成によると、案内路R40の少なくとも一部分が、互いに別体である複数の部品1,2の間に設けられた隙間Gによって形成されるので、例えば0.3mmや0.5mmといった細径の筆記芯Dの直径よりも小さな隙間Gを難なく形成することができる。したがって、細径の筆記芯Dであってもこれを通過させない状態を形成することができる。すなわち、いわゆる太芯だけでなく、いわゆる細芯にも対応できるキャップレスのスピードイン機構を実現することができる。
【0086】
また、上記の実施形態に係るシャープペンシルPにおいては、上記の複数の部品が2個の部品(ノック部品1および案内部品2)である。
【0087】
この構成によると、部品点数を抑えることができる。
【0088】
また、上記の実施形態に係るシャープペンシルPにおいては、ユニット部品40が、筆記芯Dを収容するための芯タンク20の後端に取り付けられており、隙間Gを通過した筆記芯Dが芯タンク20に充填されるように構成されている。
【0089】
この構成によると、隙間Gを筆記芯Dの直径よりも大きい状態とすることで、案内路R40を介して筆記芯Dを芯タンク20に充填することができ、隙間Gを筆記芯Dの直径よりも小さい状態とすることで、芯タンク20に充填された筆記芯Dが出て行かないように塞ぐことができる。したがって、筆記芯Dの充填にあたって、芯タンク20のキャップとして機能する部材(すなわち、従来の一般的なシャープペンシルにおけるノック部材)の取り外しが不要となり、手間が省かれる。
【0090】
また、上記の実施形態に係るシャープペンシルPにおいては、上記の複数の部品1,2のうちの一つであるノック部品(第1部品)1が筒状の部品であり、該複数の部品1,2のうちの別の一つである案内部品(第2部品)2がノック部品1の筒内部に配置される。そして、ノック部品1の内壁面の一部分(具体的には、対向突起部17の頂面17a)と案内部品2の一部分(具体的には、第1弾性片25の突起部251の頂面251a)とによって、隙間Gが形成される。
【0091】
この構成によると、筒状のノック部品1とその筒内部に配置された案内部品2とによって隙間Gが形成されるので、構成を簡易なものとすることができる。
【0092】
また、上記の実施形態に係るシャープペンシルPにおいては、案内部品2が、ノック部品1の内壁面との間に隙間Gを設けつつ配置された弾性片25を備え、この弾性片25が弾性変形することによって隙間Gの大きさが変化する。
【0093】
この構成によると、弾性片25を弾性変形させるような簡易な操作によって、隙間Gの大きさを変化させることができる。すなわち、筆記芯Dが通過できる状態と通過できない状態とを簡易な操作で切り替えることができる。
【0094】
また、上記の実施形態に係るシャープペンシルPにおいては、案内部品2がノック部品1の軸方向に相対移動されることによって、弾性片25が弾性変形するように構成されている。
【0095】
この構成によると、案内部品2をノック部品1軸方向に相対移動させるという簡易な操作によって、隙間Gの大きさを変化させることができる。
【0096】
また、上記の実施形態に係るシャープペンシルPにおいては、案内部品2が、筒状の部品であり、その端部に軸方向に延在するスリット24が周方向に複数本配列されることによって、該端部に複数の延出片(弾性片)25,26が形成されており、案内部品2がノック部品1の軸方向に相対移動されることによって、該複数の延出片25,26の先端が互いに離間する方向に弾性変形するようになっている。そして、該複数の延出片25,26のうちの少なくとも一つが、弾性片25を形成する。
【0097】
この構成によると、案内部品2がバランスよく弾性変形し、これに伴い弾性片25が弾性変形することになるので、隙間Gの大きさを安定して切り替えることができる。
【0098】
<4.変形例>
上記の実施形態において、案内部品2の小径部22の前端部分には、2個のスリット24,24が互いに対向する位置に形成されており、これによって該部分に2個の延出片(弾性片)25,26が形成されるものとしたが、小径部22の前端部分には、3個以上のスリットが周方向に複数本配列されることによって、該部分に3個以上の延出片(弾性片)が形成されるものとしてもよい。この場合、該3個以上の弾性片のうちの少なくとも1個と、ノック部品1の内壁との間に形成される隙間が、案内路R40の少なくとも一部分(例えば、案内路R40の導出部、あるいはその近傍の部分)を形成するようにすることができる。そして、案内部品2がノック部品1の軸方向に相対移動されたときに、該複数の延出片の先端が互いに離間する方向に弾性変形するようにすることで、該隙間の大きさを変化させることができる。
【0099】
逆に、案内部品2は、1個の弾性片だけを備えるものであってもよい。すなわち、上記の実施形態において、第2弾性片26は省略されてもよい。
【0100】
上記の実施形態においては、案内部品2がノック部品1に対して前方に相対移動された際に、2個の弾性片25,26の両方が、先端が互いに離間する方向に弾性変形するものとしたが、第2弾性片26は必ずしもこのような弾性変形をせずともよく、第1弾性片25の先端だけが径方向外方に弾性変形するものとしてもよい。
【0101】
上記の実施形態においては、案内部品2をノック部品1に対して前後に相対移動させるという操作に応じて、隙間Gの大きさが変化されるものとしたが、隙間Gの大きさを変化させる操作の態様はこれに限られるものではなく、例えばレバーやボタンの操作に応じて、隙間Gの大きさが変化されるものとしてもよい。
【0102】
上記の実施形態において、ユニット部品40が互いに別体である3個以上の部品を備えるものとし、該3個以上の部品が隙間を設けつつ配置されて、該隙間により案内路R40の少なくとも一部分が形成されてもよい。
【0103】
上記の実施形態においては、ユニット部品40は、芯タンク20に充填される筆記芯Dを案内する案内路R40を形成するものであったが、これと同様のユニット部品で、送出機構30の第2案内路R301を形成してもよい。
【0104】
上記の実施形態においては、案内路R40の導出部(あるいはその近傍の部分)が、ノック部品1と案内部品2の間に設けられた隙間Gによって形成されるものとしたが、案内路R40の途中部分が、ノック部品1と案内部品2の間に設けられた隙間Gによって形成されてもよい。
【0105】
また、各部の具体的な形状、仕様、その他の詳細な構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、実施形態および各変形例に係る構成を適宜に組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0106】
P シャープペンシル
10 外筒
20 芯タンク
30 送出機構
40 ユニット部品
1 ノック部品
13 貫通窓
14 凸条部
15 第1案内突起部
15a 頂面
15c 傾斜面
16 第2案内突起部
16b 傾斜面
16c 頂面
17 対向突起部
17a 頂面
17b 壁面
2 案内部品
24 スリット
25 第1弾性片(延出片)
251 突起部
251a 突起部の頂面
251b 突起部の傾斜面
251c 突起部の壁面
252 摺動面
26 第2弾性片(延出片)
261 段差部
261a 壁面
261b 縦壁面
262 摺動面
27 係止突起
R40 案内路
G 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8