(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】車載処理装置、及び車載処理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20231024BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20231024BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20231024BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20231024BHJP
G01C 21/26 20060101ALN20231024BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G09B29/00 A
G09B29/10 A
G08G1/13
G01C21/26 P
(21)【出願番号】P 2019235571
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 祐樹
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-026067(JP,A)
【文献】特開2016-099953(JP,A)
【文献】特開2015-105833(JP,A)
【文献】特表2018-503204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/14
G09B 29/00
G09B 29/10
G08G 1/13
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が車両から降車した降車位置から駐車スペースへ車両を自動走行させ当該駐車スペースに当該車両を自動入庫する制御を実行する車載処理装置であって、
前記車両が備えるセンサに基づいて前記乗員が前記車両から降車したことを検知した場合、降車したことを検知した位置を前記降車位置として記憶する降車位置記憶部と、
前記自動入庫
を開始する自動入庫指示を受信して、前記駐車スペースの位置を設定し、前記降車位置から前記駐車スペースまでの走行経路を設定する走行経路設定部と、
前記走行経路設定部が設定した前記走行経路に基づいて、前記自動走行、及び前記自動入庫のための制御情報を生成し、生成した前記制御情報に基づいて前記降車位置から前記駐車スペースに向けて前記車両の自動走行を開始させる自動運転制御部と、
前記自動運転制御部による前記自動走行の動作状況を表示する動作状況表示画面を、ユーザが携帯する携帯型電子機器に表示させる通知制御部を備え、
前記通知制御部は、前記動作状況表示画面に、前記駐車スペースの位置と、前記降車位置と、を地図又は航空写真に重ねた駐車位置通知表示を表示させる、
ことを特徴とする車載処理装置。
【請求項2】
前記通知制御部は、
前記
降車位置と前記駐車スペース
との間の
前記自動走行による前記車両の走行経路を、前記
地図又は前記航空写真に重ねた前記駐車位置通知表示を前記携帯型電子機器に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車載処理装置。
【請求項3】
車載処理装置は、情報共有制御部を備え、
前記動作状況表示画面には、共有ボタンが表示され、
前記共有ボタンは、前記自動入庫によって前記車両が入庫した前記駐車スペースの位置を共有先ユーザと、前記ユーザと、で共有する場合に前記ユーザによって操作され、
前記情報共有制御部は、前記共有ボタンが操作された場合、前記共有先ユーザの電子メールのアカウント、又は、SNSアプリのアカウントを、前記携帯型電子機器への前記ユーザの入力、又は、前記携帯型電子機器に記憶されているアドレス帳から取得し、
前記電子メール、又は、前記SNSアプリにおける前記共有先ユーザのアカウントに前記動作状況表示画面を送信する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車載処理装置。
【請求項4】
ユーザが携帯する携帯型電子機器と通信する通信ユニットと、
乗員が車両から降車した降車位置から駐車スペースへ車両を自動走行させ当該駐車スペースに当該車両を自動入庫する制御を実行する車載処理装置と、
を備えた車載処理システムであって、
前記車載処理装置は、
前記車両が備えるセンサに基づいて前記乗員が前記車両から降車したことを検知した場合、降車したことを検知した位置を前記降車位置として記憶する降車位置記憶部と、
前記自動入庫
を開始する自動入庫指示を受信して、前記駐車スペースの位置を設定し、前記降車位置から前記駐車スペースまでの走行経路を設定する走行経路設定部と、
前記走行経路設定部が設定した前記走行経路に基づいて、前記自動走行、及び前記自動入庫のための制御情報を生成し、生成した前記制御情報に基づいて前記降車位置から前記駐車スペースに向けて前記車両の自動走行を開始させる自動運転制御部と、
前記自動運転制御部による前記自動走行の動作状況を表示する動作状況表示画面を、ユーザが携帯する携帯型電子機器に表示させる通知制御部を備え、
前記通知制御部は、前記動作状況表示画面に、前記駐車スペースの位置と、前記降車位置と、を地図又は航空写真に重ねた駐車位置通知表示を表示させる、
ことを特徴とする車載処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載処理装置、及び車載処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の自動駐車に関する技術として特許文献1がある。特許文献1には、「自動駐車システムは、自動運転機能を有する車両の自動駐車を制御する自動駐車制御装置(10)と、自動駐車制御装置(10)との通信が可能な携帯端末(20)と、を備える。自動駐車制御装置(10)は、空き駐車区画を探索してその探索結果を携帯端末(20)へ送信する。携帯端末(20)は、自動駐車制御装置(10)から空き駐車区画の探索結果を受信すると、ユーザの操作に基づいて、駐車区画の選択に関する指示を自動駐車制御装置(10)へ送信する。自動駐車制御装置(10)は、携帯端末(20)から受信した指示に基づいて、検出された空き駐車区画のうちから目標駐車区画を選択し、目標駐車区画へ車両を自動駐車させる。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、車両が駐車した駐車区画の位置をユーザが把握し難いという問題がある。
本発明は、車両が駐車した位置をユーザが容易に把握できる車載処理装置、及び車載処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、乗員が車両から降車した降車位置から駐車スペースへ車両を自動走行させ当該駐車スペースに当該車両を自動入庫する制御を実行する車載処理装置であって、前記車両が備えるセンサに基づいて前記乗員が前記車両から降車したことを検知した場合、降車したことを検知した位置を前記降車位置として記憶する降車位置記憶部と、前記自動入庫を開始する自動入庫指示を受信して、前記駐車スペースの位置を設定し、前記降車位置から前記駐車スペースまでの走行経路を設定する走行経路設定部と、前記走行経路設定部が設定した前記走行経路に基づいて、前記自動走行、及び前記自動入庫のための制御情報を生成し、生成した前記制御情報に基づいて前記降車位置から前記駐車スペースに向けて前記車両の自動走行を開始させる自動運転制御部と、前記自動運転制御部による前記自動走行の動作状況を表示する動作状況表示画面を、ユーザが携帯する携帯型電子機器に表示させる通知制御部を備え、前記通知制御部は、前記動作状況表示画面に、前記駐車スペースの位置と、前記降車位置と、を地図又は航空写真に重ねた駐車位置通知表示を表示させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両が駐車した位置をユーザが容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る自動駐車処理装置を含む自動駐車システムを示す図である。
【
図2】動作状況表示画面の例を模式的に示す図である。
【
図3】自動バレーパーキング処理のフローチャートである。
【
図4】動作状況
表示画面における駐車位置通知表示の表示例を示す図である。
【
図5】動作状況
表示画面における駐車位置通知表示の他の表示例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る自動駐車処理装置10を含む自動駐車システム1を示す図である。
自動駐車システム1は、乗員が車両2から降車した後に、当該車両2が降車位置(所定位置)から駐車スペースへ自動走行し、当該駐車スペースに自動入庫するシステムである。また、自動駐車システム1は、乗員の呼び出しに応じて車両2が駐車スペースから自動出庫し、先程の乗車位置へ自動走行するシステムである。かかるシステムは、いわゆる自動バレーパーキング(Valet Parking)システムとも称され、ショッピングモールや遊園地、空港といった施設の駐車場や駐車スペース等で用いることができる。なお、自動走行、自動入庫、及び自動出庫はそれぞれ、乗員の運転操作を行わずに車両2を走行させ、駐車スペースに入庫させ、及び駐車スペースから出庫させることを言う。本実施例では施設の駐車場における例を説明するが、路側に設けられた駐車スペース等に本発明を適用することも可能である。
【0009】
かかる自動駐車システム1は、車両2に搭載される自動駐車処理装置10と、乗員(ユーザ)に携帯されるスマートフォン22と、自動駐車処理装置10と通信するセンターサーバ5及び地図配信サーバ6と、を備える。
【0010】
スマートフォン22は、車両2の外から自動駐車処理装置10と無線通信する無線通信回路を備える。スマートフォン22はユーザの操作を自動駐車処理装置10に入力可能な携帯型電子機器の一例である。スマートフォン22は、ユーザ(例えば、車両2の乗員)の操作を受け付ける操作子としてのタッチパネル22Aと、各種情報を表示する表示部としてのディスプレイ22Bと、を備える。なお、スマートフォン22は、ユーザの操作を受け付ける操作子としてジェスチャーを検出するジェスチャー検出部等を備えてもよい。
【0011】
センターサーバ5、及び地図配信サーバ6はいずれも、電気通信回線を通じて自動駐車処理装置10と通信するコンピュータである。
センターサーバ5は、車両2の駐車スペースへの入庫状況を管理する。例えば、駐車場における車両2の駐車スペースへの入庫状況を管理する。
地図配信サーバ6は、駐車スペースを少なくとも含む地
図70(
図4)、及び、当該駐車スペースを少なくとも含む航空写真72(
図5)のデータを記憶する。地図配信サーバ6は、車両2の自動駐車処理装置10からの要求に応じて、地
図70、及び、航空写真72のデータを自動駐車処理装置10へ送信する。
【0012】
自動駐車処理装置10は、自動バレーパーキング制御を実行する車載装置である。自動バレーパーキング制御には、自動入庫制御と、自動出庫制御と、が含まれる。自動入庫制御は、乗員の降車位置から駐車スペースまで車両2を自動走行させ、当該駐車スペースへの自動入庫を完了する制御である。自動出庫制御は、駐車スペースから車両2を自動出庫させ、先程の降車位置まで車両2を自動走行させる制御である。自動出庫制御において、自動走行による車両2の目的地点(所定位置)は、ユーザが指示した位置でもよく、スマートフォン22の位置情報に基づく位置でもよい。
通信ユニット21と、周辺検出用センサ24と、車両側センサ25と、カメラ26と、位置検出ユニット27と、車両制御ユニット29と、が車載ネットワーク(例えばCANなど)を介して、又は直接的に、自動駐車処理装置10に接続される。
【0013】
通信ユニット21は、スマートフォン22、センターサーバ5、及び地図配信サーバ6の各々と、自動駐車処理装置10との間の通信を中継する無線通信回路を備える。例えばTCU(Telematics Control Unit)が通信ユニット21として用いられる。
周辺検出用センサ24は、車両2の周辺に存在する障害物の位置を検出する1又は複数のセンサである。かかるセンサは、音波、電波、電磁波又は光等を利用して障害物との間の距離を測定可能なソナー、レーダー、ライダー(Lidar)、及び、視差を利用して障害物との間の距離を測定可能なステレオカメラ等である。
【0014】
車両側センサ25は、車両2が予め備えるセンサを総称したものである。自動駐車システム1に関わるセンサは、車両2の車速を検出する車速センサ25Aと、車両2の操舵角を検出する舵角センサ25Bとである。
カメラ26は、車両2の周囲を撮影する撮影部として機能し、本実施形態では、車両2を中心に全周囲(360度)を撮影する。かかるカメラ26は、例えば、車両2の前方、左側方、右側方、及び後方をそれぞれ撮影する4台のカメラデバイスを備える。カメラ26は全方位を1台のカメラで撮影するカメラデバイスであってもよい。カメラ26の台数は車両2の周囲をセンシングするために必要な台数であればよい。
【0015】
位置検出ユニット27は、車両2の現在位置を検出する位置検出部として機能するユニットである。本実施形態の位置検出ユニット27は、GNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信するGNSS受信器と、当該GNSS信号に基づいて現在位置を演算するプロセッサと、を備える。
【0016】
車両制御ユニット29は、車両2に設けられた操舵装置30、駆動装置31、及び制動制御装置32を制御するユニットである。車両制御ユニット29は、かかる制御を実行するコンピュータ(例えばECU(Electronic Conrtol Unit))を備える。当該コンピュータが車載ネットワーク(例えばCANなど)を介して、又は直接的に、操舵装置30、駆動装置31、及び制動制御装置32に接続される。
操舵装置30は、車両2の操舵輪を操舵させるアクチュエータを含む装置である。
駆動装置31は、車両2の駆動輪の駆動力を調整するアクチュエータを含む装置である。かかるアクチュエータには、車両2の動力源がエンジンである場合はスロットルアクチュエータが該当し、動力源がモータである場合には当該モータが該当する。
制動制御装置32は、自動駐車処理装置10からの情報に基づいて、車両2に設けられたブレーキシステムを制御し、車両2の車輪へ付与する制動力を制御するアクチュエータを備える。
【0017】
自動駐車処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Microprocessor Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリデバイス(主記憶装置とも呼ばれる)と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などのストレージ装置(補助記憶装置とも呼ばれる)と、センサ類や周辺機器などを接続するためのインターフェース回路と、車載ネットワークを介して他の車載装置と通信する車載ネットワーク通信回路と、を備えたコンピュータ(本実施形態ではECU)を有する。自動駐車処理装置10では、プロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することで各種の機能的構成が実現される。
【0018】
かかる機能的構成として、自動駐車処理装置10は、駐車スペース設定部40と、自動バレーパーキング制御部42と、通知制御部44と、情報共有制御部46と、を備える。
【0019】
駐車スペース設定部40は、車両2を駐車させる駐車スペースの位置を設定する。駐車スペースの位置を設定する手法は任意である。例えば入庫可能な(すなわち、空いている)駐車スペースがセンターサーバ5によって管理されている場合、駐車スペース設定部40は、当該センターサーバ5に入庫可能な駐車スペースの位置を問い合せ、問合せ結果に基づいて駐車スペースの位置を設定してもよい。また例えば、駐車スペース設定部40は、周辺検出用センサ24による検出結果、及びカメラ26による撮影像に基づいて、入庫可能な駐車スペースの位置を検出することで、駐車スペースの位置を設定してもよい。また例えば、駐車スペース設定部40は、スマートフォン22の操作によってユーザが指示した駐車スペースの位置を設定してもよい。
【0020】
自動バレーパーキング制御部42は、スマートフォン22へのユーザ操作に応じて、上述した自動バレーパーキング制御を実行するものであり、位置推定部50と、マップ生成部51と、走行経路設定部52と、降車位置記憶部53と、自動運転制御部54と、を備える。
【0021】
位置推定部50は、車両側センサ25、及び位置検出ユニット27の検出結果に基づき、公知、又は周知のデッドレコニングの手法を用いて、車両2の現在位置(自己位置)を推定する。デッドレコニングでは、車両2の位置、及び姿勢角(ヨーイング角)に基づいて設定された二次元のローカル座標系を用いて自己位置が表される。位置推定部50は、少なくとも駐車場への入場前のタイミングでローカル座標系を生成し、自己位置推定時には当該ローカル座標系における車両2の位置を推定する。なお、当該ローカル座標系の座標は公知、又は周知の手法を用いて位置推定部50によって、経度、及び緯度などを用いた絶対座標系へ適宜に変換される。
【0022】
マップ生成部51は、走行経路上の障害物をローカル座標系に記録したマップデータを生成する。障害物は、車両2の走行を阻害、或いは規制する適宜の物体である。障害物の例として、例えば柱や壁などの建造物、車両走行領域と駐車スペースとを区画するポールや地面の区画線などの標示体、他車両などが挙げられる。マップ生成部51は、駐車場への車両2の入場後、位置推定部50によって推定された自己位置に基づいて車両2が走行した軌跡をローカル座標系に逐次に記録する。これに加え、マップ生成部51は、周辺検出用センサ24による検出結果、及びカメラ26による撮影像に基づいて車両2の周囲の障害物を検出し、当該障害物の外形を構成する点群の位置をローカル座標系に記録する。これにより、駐車スペースから降車位置までの間において車両2が走行した軌跡、及び障害物の点群をローカル座標系の座標によって表したマップデータが生成される。
【0023】
走行経路設定部52は、マップ生成部51によって生成されたマップデータと、駐車スペース設定部40によって設定された駐車スペースの位置と、位置推定部50によって推定された現在位置と、に基づいて、乗員の降車位置と駐車スペースの間の走行経路を設定する。
降車位置記憶部53は、乗員が降車したときの車両2の現在位置を降車位置として記憶する。乗員の降車は公知、または周知の適宜の技術で検出可能である。例えば、車両2のドアの開閉を検知するドア開閉センサ、又は、座席の座面圧力を検知する座面圧力センサを車両側センサ25が備える場合を仮定する。この場合、自動バレーパーキング制御部42は、ドア開閉検知センサの検出信号に基づいて、車両2のドアが開けられたことを検知することで、乗員が降車したことを検知できる。また、自動バレーパーキング制御部42は、座面圧力センサの検出信号に基づいて、座席の座面への圧力印加が無くなったことを検知することで、乗員が降車したことを検知できる。自動バレーパーキング制御部42は、乗員の降車を検知すると、車両2の現在位置に基づいて降車位置を降車位置記憶部53に記憶する。
【0024】
自動運転制御部54は、走行経路設定部52によって設定された走行経路に基づいて、自動走行、自動入庫、及び自動出庫のための制御情報を生成し、当該制御情報を車両制御ユニット29へ出力する。具体的には、車両2を自動で駐車スペースに入庫させる自動入庫制御の際、自動運転制御部54は、降車位置から駐車スペースまでの自動走行、当該駐車スペースへの自動入庫に係る制御情報を生成する。また、車両2を駐車スペースから出庫させる自動出庫制御の際、自動運転制御部54は、当該駐車スペースからの自動出庫、及び、駐車スペースから乗車位置までの自動走行に係る制御情報を生成する。
かかる制御情報にしたがって車両制御ユニット29が制御を実行することで、車両2が自動で運転操作され、当該車両が自動走行、自動入庫、及び自動出庫する。
【0025】
通知制御部44は、ユーザ通知動作を制御する。かかるユーザ通知の1つとして、車両2の自動バレーパーキング動作に係る情報の通知が少なくとも含まれる。車両2の自動バレーパーキングの動作状況を表示する動作状況表示画面Dをスマートフォン22がディスプレイ22Bに表示することで、自動バレーパーキングの動作に係る情報をユーザへ通知する。
【0026】
図2は、動作状況表示画面Dの例を模式的に示す図である。
同図に示すように、動作状況表示画面Dには、駐車位置通知表示D1と、自動走行情報表示D2と、切替ボタンD3と、共有ボタンD4と、が設けられている。
駐車位置通知表示D1は、自動入庫によって車両2が入庫した駐車スペースと、降車位置とを、地
図70、及び航空写真72のいずれか一方を用いてユーザに通知するための表示である。駐車位置通知表示D1の具体例については後述する。
自動走行情報表示D2は、自動走行に係る情報をユーザに通知するための表示であり、当該自動走行によって車両2が走行した走行距離、及び走行時間を表示する。
切替ボタンD3、及び共有ボタンD4は、ユーザがタッチパネル22Aを用いて操作可能な操作ボタンである。
切替ボタンD3は、駐車位置通知表示D1で用いられる地
図70、及び航空写真72をユーザが切り替える場合に操作される。当該切替ボタンD3が操作された場合、スマートフォン22は、地
図70、及び航空写真72の切替を指示する切替指示を自動駐車処理装置10に送信する。
共有ボタンD4は、自動入庫によって車両2が入庫した駐車スペースの位置を他のユーザ(例えば家族や友人、知人など)とユーザが共有する場合に操作される。当該共有ボタンD4が操作された場合、スマートフォン22は、駐車スペースの位置の共有を指示する共有指示を自動駐車処理装置10に送信する。
【0027】
図1において、通知制御部44は、かかる動作状況表示画面Dをスマートフォン22が表示するための表示データを生成する表示データ生成部56を備える。表示データ生成部56は、車両2が自動走行、自動入庫、及び自動出庫している間、動作状況表示画面Dの表示データを逐次に生成する。表示データ生成部56は、当該表示データをスマートフォン22に送信し、当該スマートフォン22に動作状況表示画面Dを表示させる。
【0028】
共有指示がスマートフォン22から通信ユニット21によって受信された場合、情報共有制御部46は、車両2が入庫した駐車スペースの位置を、ユーザが他のユーザと共有可能にする制御を実行する。
本実施形態では、他のユーザが携帯する携帯型電子機器が駐車スペースの位置を、電子メールや適宜のSNS(Social Networking Service)アプリで受信可能にすることで駐車スペース位置情報の共有が行われる。すなわち、情報共有制御部46は、電子メール、又はSNSアプリにおける共有先のユーザのアカウントに駐車スペースの位置を送信することで、共有先のユーザが駐車スペースの位置を共有可能にする。情報共有制御部46は、共有先のユーザのアカウントを、スマートフォン22へのユーザ入力によって取得してもよいし、スマートフォン22に記憶されているアドレス帳から取得してもよい。
【0029】
図3は、自動バレーパーキング処理のフローチャートである。なお、同図は、駐車場において乗員が車両2を駐車スペースに自動入庫させる場合の処理を示している。
車両2が運転手の運転操作によって駐車場に入場すると、自動駐車処理装置10において、自動バレーパーキング制御部42のマップ生成部51がマップデータを逐次に生成する(ステップSa1)。なお、自動バレーパーキング制御部42は、車両2が備えるナビゲーション装置(図示せず)から得られる情報や、ユーザ(乗員)の操作によって駐車場への車両2の入場を検出してもよい。
【0030】
次いで、乗員が駐車場内で車両2から降車し、車両2の自動入庫を指示する操作をスマートフォン22に対して行うと、自動入庫指示がスマートフォン22から自動駐車処理装置10に送信される。駐車スペース設定部40は、自動入庫指示を受信すると(ステップSa2)、駐車スペースの位置を設定し(ステップSa3)、走行経路設定部52が降車位置(車両2の現在位置)から駐車スペースまでの走行経路を設定する(ステップSa4)。また通知制御部44は、地
図70、及び航空写真72のデータを地図配信サーバ6から取得する(ステップSa5)。
【0031】
そして、自動運転制御部54が走行経路に基づいて、自動走行、及び自動入庫のための制御情報を生成し、車両制御ユニット29に出力することで、車両2が駐車スペースに向けて自動走行を開始する(ステップSa6)。車両2の自動走行が開始されると、通知制御部44は、動作状況表示画面Dの表示データを生成し、当該表示データをスマートフォン22に送信することで、スマートフォン22に動作状況表示画面Dを表示させる(ステップSa7)。通知制御部44は、駐車スペースへの車両2の入庫が完了するまでの間(ステップSa8:No)、かかる表示データの生成、及び送信を繰り返す。これにより、スマートフォン22では、動作状況表示画面Dが逐次に更新表示される。
【0032】
その後、駐車スペースへの車両2の自動入庫が完了した場合(ステップSa8:Yes)、情報共有制御部46は、共有指示をスマートフォン22から受信したか否かを判断する(ステップSa9)。共有指示を受信した場合(ステップSa9:Yes)、情報共有制御部46は、電子メール、又はSNSアプリにおける共有先のユーザのアカウントに、駐車スペースの位置を送信する(ステップSa10)。これにより、共有先のユーザは、自動入庫により車両2が入庫した駐車スペースの位置を電子メール、又はSNSアプリを通じて取得し、当該駐車スペースの位置を把握できるようになる。
【0033】
図4は、動作状況表示画面Dにおける駐車位置通知表示D1の表示例を模式的に示す図である。なお、同図には、車両2の自動入庫状況をユーザに地
図70を用いて通知する場合を示している。
駐車位置通知表示D1では、車両2が入場した施設F1(図示例では「○○ショッピングモール」)の駐車スペースを含む地
図70に、降車位置F3と、駐車スペース設定部40によって設定された駐車スペースの位置F4と、自動走行による走行経路F5と、車両2の現在位置を示す車両アイコンF6と、が重ねて表示される。車両アイコンF6に車両の向き(姿勢角)や進行方向に関する情報が付与されてもよい。
【0034】
本実施形態では、自動駐車処理装置10において、通知制御部44の表示データ生成部56が、地
図70に、降車位置F3、駐車スペースの位置F4等を重ね合わせた画像を生成し、当該画像を含む表示データをスマートフォン22に送信する。そしてスマートフォン22は、当該画像を、動作状況表示画面Dの駐車位置通知表示D1の領域に表示する。
【0035】
ここで、駐車位置通知表示D1の表示時のスマートフォン22の位置が、降車位置F3に代えて、又は、当該降車位置F3と併せて、駐車位置通知表示D1に表示されてもよい。
具体的には、スマートフォン22は、例えば、GPS信号を受信するGPS受信器によって自身の位置を検知し、当該スマートフォン22の位置を自動駐車処理装置10に送信する。
自動駐車処理装置10において、表示データ生成部56は、地
図70に、降車位置F3又は/及びスマートフォン22の位置と、駐車スペースの位置F4と、を重ね合わせた画像を生成し、当該画像を含む表示データをスマートフォン22に送信する。
【0036】
なお、表示データ生成部56に代わって、スマートフォン22が地
図70に、降車位置F3、駐車スペースの位置F4等を重ね合わせた画像を生成してもよい。
この場合、表示データ生成部56は、地
図70のデータと、降車位置F3の情報と、駐車スペースの位置F4の情報と、走行経路F5の情報と、車両2の現在位置の情報との各々を含むデータを、通信ユニット21を通じてスマートフォン22に送信する。スマートフォン22は、当該データに含まれる情報に基づいて、地
図70に、降車位置F3、駐車スペースの位置F4等を重ね合わせた画像を生成する。
また駐車位置通知表示D1がスマートフォン22の位置を含む場合、スマートフォン22は、当該データと、自身が検知した位置情報に基づいて、当該スマートフォン22の位置を地
図70に重ねた画像を生成してもよい。これにより、自動駐車処理装置10は、スマートフォン22から当該スマートフォン22の位置情報を、駐車位置通知表示D1のために取得する必要がない。
【0037】
図4に示すように、駐車位置通知表示D1では、車両2の自動走行に伴って車両アイコンF6が移動し、車両2が走行経路F5のどこを走行しているか(自動走行状況)が表示される。そして、駐車スペースへの自動入庫が完了したとき、駐車位置通知表示D1では、駐車スペース位置F4に車両アイコンF6が重なり、その駐車スペース位置F4に車両2が入庫した状況が表示される。
【0038】
動作状況表示画面Dにおいて、ユーザによって切替ボタンD3(
図2)が操作され、当該操作による切替指示を通知制御部44が受信すると、駐車位置通知表示D1における地
図70を、航空写真72に切り替えた表示データがスマートフォン22に表示される。
【0039】
図5は、動作状況表示画面Dにおける駐車位置通知表示D1の表示例を模式的に示す図である。同図では、車両2の自動入庫状況をユーザに航空写真72を用いて通知する場合を示す。
航空写真72には、例えば駐車場F2の中の駐車区間線80や、出入口のゲート82、駐車場F2に隣接した各種の建物84といった、通常の地図には表示されない各種の物体が映し出される。
そして、かかる航空写真72に、降車位置F3と、駐車スペースの位置F4と、走行経路F5と、車両アイコンF6と、が重ねて表示されるため、当該駐車場F2に居るユーザは、周囲の景色と航空写真72とを照らし合わせることで、降車位置F3、駐車スペース位置F4、及び走行経路F5の位置を、より正確に把握できるようになる。
【0040】
また、上述の通り、降車位置F3に代えて、又は、降車位置F3と併せて、スマートフォン22の位置が駐車位置通知表示D1に表示されることで、ユーザは車両2の駐車スペース位置と自身が所持するスマートフォン22との相対的な位置関係を容易に把握できる。
【0041】
なお、情報共有制御部46が、電子メール、又はSNSアプリにおける共有先のユーザのアカウントに、駐車スペースの位置を送信する場合、駐車スペースの位置情報(経度、緯度情報)に代えて、上記駐車位置通知表示D1の画像データを送信してもよい。
【0042】
また、自動駐車処理装置10は、駐車スペースから車両2を自動出庫させ、降車位置まで自動走行させる場合においても、通知制御部44の表示データ生成部56が、動作状況表示画面Dの表示データを生成し、当該表示データをスマートフォン22に送信することで、自動入庫時と同様な動作状況表示画面Dをスマートフォン22に表示させる。
【0043】
上述した実施形態によれば、次の効果を奏する。
【0044】
本実施形態の自動駐車処理装置10は、自動入庫によって車両2が入庫した駐車スペースの位置と、降車位置F
3、又は/及び、スマートフォン22の位置とを、当該駐車スペースを含む地
図70に重ねて、ユーザが携帯するスマートフォン22のディスプレイ22Bに表示させる。
また、本実施形態の自動駐車処理装置10は、自動入庫によって車両2が入庫した駐車スペースの位置と、降車位置F
3、又は/及び、スマートフォン22の位置とを、当該駐車スペースを写した航空写真72に重ねた駐車位置通知表示D1を、ユーザが携帯するスマートフォン22のディスプレイ22Bに表示させる。
したがって、駐車場が広くて当該駐車スペースを把握し難い場合や、非常に多くの車両が駐車場に駐車しており自身の車両2を見つけ難い場合などでも、ユーザは、駐車位置通知表示D1を見ることで、当該駐車スペースと降車位置F
3との相対的な位置関係を容易に把握できる。これにより、ユーザは、車両2が入庫している駐車スペースの実際の位置を容易に見つけ出すことができる。
また、降車位置F
3に代えて、又は、降車位置F
3とともにスマートフォン22の位置が駐車位置通知表示D1に表示されることで、ユーザは、ショッピングモール等の建物内にいて車両を直接見ることが難しい場合でも、駐車位置通知表示D1を見ることで当該駐車スペースと自身が所持するスマートフォン22との相対的な位置関係を容易に把握できる。
したがって、ユーザが施設で購入した荷物を車内に置いて、再度、施設で買い物等を行うような場面において、当該ユーザは、わざわざ車両2を自動出庫させずとも、当該車両2にユーザ自らが赴き、スムーズに辿り着くことができる。
また、航空写真72が用いられることで、駐車場F2に居るユーザは、周囲の景色と航空写真72とを照らし合わせて、降車位置F3、駐車スペース位置F4、及び走行経路F5の位置を、より正確に把握できる。
【0045】
本実施形態の自動駐車処理装置10は、自動走行による車両2の走行経路F5を、地
図70、又は、航空写真72に重ねて表示させるため、車両2が入庫している駐車スペースの実際の位置をより把握し易い。
【0046】
本実施形態の自動駐車処理装置10は、自動走行による車両2の走行距離と走行時間とを駐車位置通知表示D1とともにスマートフォン22に表示させるため、これら走行距離、及び走行時間により、ユーザは降車位置から駐車スペースの位置までの走行経路F5の距離感を把握できる。
【0047】
本実施形態の自動駐車処理装置10は、自動入庫により車両2が入庫した駐車スペースの位置の情報を他のユーザに送信して共有可能にする。
これにより、ユーザは、車両2に同乗していた他のユーザは勿論のこと、同乗していなかった者にも駐車スペースの位置を知らせることができ、当該他のユーザを車両2にスムーズに辿り着かせることができる。したがって、ユーザは、入庫(駐車)している車両2で他のユーザと待ち合わせたり、入庫している車両2を他のユーザに、当該他のユーザに同伴することなく貸したりできる。
【0048】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0049】
上述した実施形態において、自動駐車処理装置10ではなくスマートフォン22が、駐車位置通知表示D1の地
図70、又は、航空写真72を、地図配信サーバ6から取得して表示してもよい。
【0050】
上述した実施形態において、動作状況表示画面Dの自動走行情報表示D2には、自動走行による車両2の走行距離と走行時間とのいずれか一方のみを表示してもよい。
【0051】
上述した実施形態において、動作状況表示画面Dの駐車位置通知表示D1に、走行経路F5の経路長、及び方位を表記してもよい。
【0052】
地
図70、又は、航空写真72は、駐車スペースと降車位置、又は、駐車スペースとスマートフォン22の位置が少なくとも含まれていればよく、駐車スペース周辺の周囲がどこまで含まれているかは任意である。
また、駐車位置通知表示D1には、駐車スペースの周辺を拡大して示す地図、及び航空写真を適宜に表示してもよい。
【0053】
図1に示すブロックは、本願発明を理解容易にするために、構成要素を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、構成要素は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0054】
図1において、自動駐車処理装置10が、通信ユニット21や、周辺検出用センサ24、カメラ26、位置検出ユニット2
7及び車両制御ユニット29等を一体に備えてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 自動駐車システム(車載処理システム)
2 車両
6 地図配信サーバ
10 自動駐車処理装置(車載処理装置)
21 通信ユニット
22 スマートフォン(携帯型電子機器)
40 駐車スペース設定部
42 自動バレーパーキング制御部
44 通知制御部
46 情報共有制御部
70 地図
72 航空写真
D 動作状況表示画面
D1 駐車位置通知表示
D2 自動走行情報表示
D3 切替ボタン
D4 共有ボタン
F2 駐車場
F3 降車位置
F4 駐車スペースの位置
F5 走行経路
F6 車両アイコン