(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】積層板ガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20231024BHJP
B32B 17/10 20060101ALI20231024BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
C03C27/12 N
B32B17/10
B60J1/00 J
(21)【出願番号】P 2019533478
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2017083755
(87)【国際公開番号】W WO2018115090
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-11-05
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-06
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】サルトナエ, ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】オッチオノレリ, ジョヴァンニ
(72)【発明者】
【氏名】ルグラン, ドゥニ
(72)【発明者】
【氏名】ラトナー, マレク
(72)【発明者】
【氏名】コリニョン, マクシム
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】増山 淳子
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/97044(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/170771(WO,A1)
【文献】国際公開第03/59837(WO,A1)
【文献】特開2006-327381(JP,A)
【文献】特開2008-1535(JP,A)
【文献】特表2008-526677(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/243796(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C27/12
B60J1/00
B32B17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-少なくとも1つの熱可塑性中間層(20)を用いて積層された第1のガラスシート(11)及び第2のガラスシート(12)と、
-積層板ガラスの内部面に配置された光学センサー(51)と、
を含む積層板ガラスであって、
前記積層板ガラスは、自動車のためのフロントガラスであること、前記光学センサーは、カメラ、赤外線カメラ、又はライダーであること、前記光学センサーは、フロントガラスの面4に配置されていること、前記少なくとも1つの熱可塑性中間層(20)は、可視領
域の波長に対して不透明である
不透明領域
(21)を含むこと、及び前記光学センサーに接続された要素を隠すため、かつ前記光学センサーによって捕捉した画像の光学歪みを低減させるために、少なくとも前記光学センサーの周辺の領域に前記不透明領域
(21)が延在するが、
前記光学センサーの周辺の領域にエナメルストリップが存在しないことを特徴とする、積層板ガラス。
【請求項2】
前記不透明領域(21)はまた、前記第1のガラスシート(11)及び前記第2のガラスシート(12)の少なくとも1つの周囲にわたって延在することを特徴とする、請求項1に記載の積層板ガラス(10)。
【請求項3】
前記不透明領域(21)はまた、前記第1のガラスシート(11)の内部面2の周囲にわたって延在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の積層板ガラス(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの熱可塑性中間層(20)
には、不透明領域(21)
が形成され、その光透過率が入射光の5%未満であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層板ガラス(10)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの熱可塑性中間層(20)
には、不透明領域(21)
が形成され、その光透過率が前記入射光の0%であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層板ガラス(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの熱可塑性中間層(20)は、前記板ガラスの表面に実質的に位置付けられることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層板ガラス(10)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの熱可塑性中間層(20)
には、非不透明領域(22)の周りに位置付けられた不透明フレーム(21)
が形成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層板ガラス(10)。
【請求項8】
前記不透明領域(21)は、前記積層板ガラス(10)の下側及び上側の端部にわたって延在することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層板ガラス(10)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの熱可塑性中間層(20)は、ポリビニルブチラール又はエチレン/ビニルアセテートの1枚のシートであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層板ガラス(10)。
【請求項10】
第1のガラスシート(11)及び第2のガラスシート(12)を含み、面4に光学センサーが配置されている自動車のためのフロントガラスにおける、前記光学センサーに接続された要素を隠すための、かつ前記光学センサーによって捕捉した画像の光学歪みを低減させるための、可視領
域の波長に対して不透明である
不透明領域
(21)を含む少なくとも1つの熱可塑性中間層(20)の使用であって、前記光学センサーは、カメラ、赤外線カメラ、又はライダーであること、前記少なくとも1つの熱可塑性中間層(20)は、第1のガラスシート(11)と第2のガラスシート(12)の間に配置されること、及び少なくとも前記光学センサー(51)の周辺の、前記光学センサーに接続された要素の存在する領域に前記不透明領域
(21)が延在するが、
前記光学センサーの周辺の領域にエナメルストリップが存在しないことを特徴とする、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過を制限するパターンを含む板ガラスに関する。より具体的には、本発明は、光透過を制限するパターンと、例えば、カメラ、赤外線カメラ、ライダー(Lidar)、レーザーポインター等などの光学センサーとを含む板ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
大部分の自動車板ガラスは、外観の悪い要素、特に接着剤シール、電気的接続部、及び特に板ガラスに配置された考えられるカメラに接続されたもの等を隠すことを意図したエナメル加工されたパターンを含む。従来、これらのパターンは、ガラスフリットと、顔料と、ガラスフリット及び顔料が懸濁される媒介物とを含む組成物の塗布によって得られる。これらのエナメル組成物の塗布の後に、ガラスフリットを溶融させ、エナメルを支持体に取り付ける高温焼成が続く。
【0003】
大部分の自動車板ガラスは、このタイプのパターンを含む一方、また、建築用板ガラス又は工業用の板ガラスは、光透過率を非常に大きく制限するこうしたパターンを示す場合がある。この理由のため、本発明が自動車板ガラスへの適用を初めに意図した場合でさえも、また、本発明は、特に、これらの組成又はこれらの使用において、特に熱処理又は画像の捕捉に関して、これらの板ガラスが制約を示す場合、その他のタイプの板ガラス、一般的には、ガラスシートへのパターンの全ての適用に関する。
【0004】
簡略化のために、記載の継続は、本質的に自動車板ガラスを意味し、これは本発明の主題を限定するものではないことが理解される。
【0005】
最も一般的には、ガラスへのエナメル加工されたパターンの適用は、スクリーン印刷技術によって実行される。塗布される組成物は、媒介物の大部分を取り除くために乾燥され、構成成分をガラスシートに付着させることを意図した焼成を受ける。エナメル組成物の焼成は、シートを形成する処理の際に実行され得る。形成が行われる温度条件は、焼戻し又は曲げであろうとフリットの融点を大幅に上回るものである。
【0006】
1つの課題は、この操作中、溶融組成物がシートと接触している物体に付着することを防止することである。特に、積層板ガラスを構成することを意図された2つの同一のシートを含む組立体の曲げにおいて、エナメル組成物が1つのシートから別のシートへ移送されないために予防措置を講じる必要がある。
【0007】
更に、ガラスシートにおけるエナメル組成物の存在は、シートの熱的挙動を局部的に変更することによって、これらの曲げ/焼戻し操作の実施に様々な難しさをもたらす。これは、エナメルの存在が、熱放射の吸収における実質的な差によって反映され、形成速度における差に局部的に結びつくためである。これらの差は、処理条件で考慮されない場合、形成における不規則性に結びつく。
【0008】
前述のタイプの課題はよく知られている。また、知られている解決策は、シートに課せられた形態がより複雑でないほど、これらの課題をより好都合に克服することを可能にする。非常に複雑な形態の場合、一般的には、必ずエナメル加工された部分との接触をもたらす部分的なプレスによってシートを形成する必要がある。
【0009】
簡易にするために、記載の続きにおけるガラスシートの番号付けは、板ガラスに従来使用されている番号付け命名法を指す。従って、自動車の外部環境と接触するラミネートの面は、面1として知られており、内部媒体と接触する表面、即ち自動車の客室は面4と呼ばれる。
【0010】
いかなる疑いをも避けるために、「外部」及び「内部」という用語は、自動車における板ガラスとして設置中のガラスの向きを指す。
【0011】
更に、例えば、室内のバックミラーに近接して従来配置されている、カメラ、赤外線カメラ、ライダー又はレーザーポインターなどの光学センサーの使用中に、光学センサー、特にカメラによって捕捉された画像の歪みは、「カメラ領域」という名称で一般に知られている領域の周囲にエナメルが存在することによってもたらされる。光学センサーは、バックミラーに近接する領域とは別の領域に配置され得ることが理解される。これは、光学センサーが、例えばガラスの周囲の領域、又はこのようなセンサーを受容することができる任意の他の領域に配置され得るためである。
【発明の概要】
【0012】
これらの難しさを回避し、隠すことの要件を満たすために、本発明は、板ガラス、特に、可視領域の波長の放射に対して不透明である領域を含む熱可塑性中間層を含む積層板ガラスを提供する。特に、本発明は、板ガラスの端部を隠すために少なくとも面2又は面4において通常用いられるスクリーン印刷を、可視領域の波長の放射及び紫外線(UV)放射に対して不透明である領域を含む熱可塑性中間層フィルムで置き換えることにある。可視領域の波長の放射及び紫外線(UV)放射に対して不透明である領域を含みこうしてフリットを欠くこの熱可塑性中間層の使用は、エナメル組成物で達するものなどの比較的高い温度での「焼成」を必要としない。
【0013】
より具体的には、本発明は、積層板ガラス、特に可視領域の波長の放射及び紫外線(UV)放射に対して不透明である領域を含む熱可塑性中間層を含む積層板ガラス、及び光学センサー、特に積層板ガラスの内部面に取り付けられたカメラを提供する。
【0014】
従来、自動車用の積層板ガラスは、掩蔽(occultation)ストリップを形成するために、一方では、UV放射から、バスバー、コネクター、加熱アレイ、ブラケット等などの更なるの要素の板ガラスへの接着を保証することを可能にし、一方、これらの要素を隠し、更にカメラ、雨検出器等などの他の光学的検出器を隠すことを可能にする接着システムを保護するために、板ガラスの端部の全周にわたって、且つ面2及び/又は面4のセンサーの組み込み領域に印刷される。
【0015】
このように、ストリップの目的は、2つある:一方では、これらの要素が外側から見えず審美的であり、他方では、太陽光放射に曝されることによる接着剤への損傷を防止する。
【0016】
一般的には、使用される印刷は、エナメルスクリーン印刷である。これは、エナメルが前述のものなどの要素の必要な光学的性質及び十分な隠匿をもたらすことを可能にするからである。
【0017】
しかしながら、ガラスシートにおけるスクリーン印刷に不利な点がないわけではない。積層体では、エナメルは、面2として知られる、外部位置を意図された、即ち大気と接触しているガラスシートの内部面、及び/又は特に車両の乗客室の内部環境と接触している、面4として知られる、内部位置を意図されたガラスシートの外部面にスクリーン印刷される。
【0018】
更に、従来技術の解決策は、面2を意図するこのエナメルの予備焼成のためのプラントの準備を必要とする。このため、こうしたプラントは、設備の資本費用、維持費、エネルギー消費、保守等に関連する費用を意味する。
【0019】
更に、面2及び4におけるエナメルストリップの存在は、曲げの際、ガラスの挙動に影響を及ぼさないわけではない。この理由は、これらのストリップは、ガラスに赤外線(IR)放射を局部的に板ガラスの周囲にわたって吸収させ、一方でガラスの内部表面はそれをわずかに吸収するのみであるからであり、これはガラスシートが一般的に透明なガラスであるフロントガラスによく当てはまり、これは反射層が使用される場合に更によく当てはまる。この実装形態では、非常に吸収する領域は、非常に反射する領域と接触する。
【0020】
これは、これらの2つの現象に関連した局部的な変形であり、ブラックのエナメルストリップに平行である「燃焼線」として知られているガラス欠陥をもたらし、ブラックのストリップがより広くなるにつれてより強くなる。これは、これらの燃焼線がフロントガラスの上部及び下部のストリップ、即ちフロントガラスの下側の領域及び上側の領域として本質的に可視であるからである。一般的には、横のブラックのストリップは視野を最大にするために薄い。
【0021】
現代の自動車に今日一般的に使用されているカメラが、フロントガラスの面4に配置されている場合、この「発熱ライン」はいっそう面倒になる。これは、隠蔽要素としてエナメルを含む従来のフロントガラスの面4に配置されたカメラによって捕捉された画像が、受け取った画像の分析中に損傷を与え得る歪みを示すためである。これは、「知的車両」として知られる自動車においてもっと重要であり、この場合に、1つ以上のカメラによって捕捉された画像が、自動車が障害物又は差し迫った危険に反応することを可能にする。
【0022】
最低限のこれらの光学的欠陥を減少させるために、曲げ装置に、可能な限り、黒色ストリップの存在により局部的に過熱されたガラスの領域によって捕捉された熱を吸収する熱物体を加えることが知られている。
【0023】
また、これらの熱物体は、曲げられる製品の複雑さに応じて、炉の消費エネルギーバランス、更にサイクル時間に影響を及ぼす。
【0024】
従って、エナメルストリップの存在は、プロセスだけでなく、おそらく製品の光学的品質及び積層板ガラスの面4に配置されたカメラによって捕捉される画像にも影響を与える。
【0025】
従って、本発明は、光学センサー、特に積層板ガラスの面4に配置されたカメラによって捕捉された画像の光学歪みを大幅に低減すること、実際には除去することさえ可能にする解決策を提供する。
【0026】
本発明によれば、可視領域の波長の放射に対して不透明である領域を含む熱可塑性中間層は、加圧下でオーブンを通過することを含む組立操作(積層とも知られる)の際に積層板ガラスの面2と面3の間に有利に配置される。
【0027】
本発明の特定の実施によれば、可視領域の波長の放射に対して不透明である領域を含む熱可塑性中間層は、少なくとも「カメラ領域」、即ち、カメラ、ライダー等などの光学センサーの周辺の領域と呼ばれる領域において、積層板ガラスの面2に有利に適用される。光学センサー、より具体的には1つ以上のカメラのセンサーが配置されている同じ領域は、エナメルが熱可塑性中間層に置き換わる従来のフロントガラスの場合のように、加圧下でオーブンを通過することを含む組立操作(積層としても知られる)の際に可視領域の波長の放射に対して不透明である領域を含む熱可塑性中間層を含まないことが理解される。
【0028】
可視領域の波長の放射に対して不透明である領域は、その光透過率が入射光の5%未満、好ましくは0%に等しい領域を意味すると理解される。エナメルとは反対に、この不透明領域は、エナメルによって行われるように、接続部(バスバー等)、接着剤等などの要素を隠すことを可能にするが、特に、客室の外側からも内側からも隠されなければならない要素を含む積層板ガラスの形成プロセスを簡易化もする。
【0029】
簡易にするために、これ以降の記載では、「不透明領域」という用語は、可視領域の波長の放射に対して不透明である領域を指す。
【0030】
不透明領域の外観は、その目的が第1に審美的であるコーティングである場合、厳密に均質である必要がある。同じ理由から、不透明領域は、支持体の性質に起因する課題にもかかわらず、非常に正確な輪郭を有する必要がある。
【0031】
前述の記載から明らかなように、不透明領域を含む熱可塑性中間層の使用は、通常使用されるエナメルと区別される本発明の特徴を構成する。
【0032】
下部の要素を隠すために板ガラスにおいて使用される不透明領域について、必要とされる不透明度は、光透過率が5%未満、好ましくは3%未満、より好ましくは更に0%に等しいものである。
【0033】
従って、本発明の目的は、「カメラ領域」における光学的歪みが著しく減少し、実際には排除さえされることから、見苦しい要素を隠し、光学センサー、特に積層板ガラスの面4に配置されたカメラによって捕捉された画像の品質を改善することを可能にする可視領域の波長の放射に対して不透明である領域を含む熱可塑性中間層を含む積層板ガラスを利用可能にすることである。
【0034】
この目的は、本発明によって達成され、その主題は、少なくとも1つの熱可塑性中間層によって組み立てられた(積層された)第1のガラスシートと第2のガラスシートとを含む積層板ガラスである。
【0035】
本発明によれば、積層板ガラスは、可視領域の波長に対して不透明である領域を含む少なくとも1つの熱可塑性中間層を含む。
【0036】
本発明の好ましい実施形態によれば、従来の板ガラスにおけるエナメル層にまさについては、前記不透明領域は、それが適用されるガラスシートの全周にわたって、更に「カメラ領域」又は良好な光学的品質が必要とされる任意の領域に延在する。従って、この不透明領域は、従来から使用されているエナメルの代替となる。
【0037】
本発明の特定の実施形態によれば、不透明領域は、積層板ガラスの広い部分にわたって延在することができる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記不透明領域は、外部ガラスシートの内部面の周囲の全体にわたって、即ち面2に延在する。
【0039】
従って、本発明によれば、外観の悪い要素を隠すためのプロセスは単純化され、積層板ガラスを組み立てる(積層する)プロセスの際に実行され得る。
【0040】
本発明の好ましい実施形態によれば、不透明領域を含む熱可塑性中間層は、非不透明領域の周りに位置付けられた不透明フレームから形成される。
【0041】
本発明の特定の実施形態によれば、全体として不透明であり且つガラスシートをともに積層することを可能にするサイズの熱可塑性中間層は、フレームを形成するために、その中央部分を空にすることができる。次いで、中央部分は、非不透明又は透明な熱可塑性中間層で置き換えられる。これらの2つの部分は、積層プロセス中に単一の部分を形成するように溶解することになる。有利には、フレームは、例えば、並列で、全体にわたってブラックに着色されたPVB又はEVAなどの不透明中間層の並置されたストリップから形成され、ストリップは、熱可塑性中間層の中央部分の周りに位置付けられ、これらの部分は、熱可塑性中間層を形成するようにともに溶解することになり、ガラスシートの全表面にわたって延在することになる。
【0042】
少なくとも1つの熱可塑性中間層は、積層体を形成することが可能な当技術分野において公知の任意の材料であり得る。これは、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、又はエチレンとメタクリル酸のコポリマーであり得る。本発明の好ましい実施形態によれば、可視領域の波長の放射に対して不透明である領域を含む熱可塑性中間層は、ポリビニルブチラール(PVB)又はエチレン/酢酸ビニル(EVA)のシートである。
【0043】
これは、一般的には、0.38~1.1mmの間の厚さ、最も多くは0.76mmの厚さで入手可能である。
【0044】
本発明の好ましい実施形態によれば、不透明領域を含む熱可塑性中間層は、中間層の周囲のバルク着色によって得られる。
【0045】
本発明の好ましい実施形態によれば、不透明領域を含む熱可塑性中間層は、不透明の着色された熱可塑性中間層フレームと透明または不透明でない中間層から形成された中央部分との並置によって得られ、不透明フレーム及び熱可塑性中間層の中央部分は、同一又は異なる熱可塑性材料であることが可能であり、一方は着色され、他方は着色されていない。
【0046】
本発明の特定の実施形態によれば、不透明領域の寸法は、エナメル層に通常使用される寸法と同様である。これらは、エナメル層のものよりも大きい又は小さいことができ、バスバー、接続部等などのガラスに接着された要素を隠すために不透明領域が十分に広いことが目的であることが理解される。
【0047】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明による可視領域の波長の放射に対して不透明である領域を含む熱可塑性中間層は、実質的に板ガラスの表面に配置される。
【0048】
本発明の特定の有利な実施形態によれば、可視領域の波長の放射に対して不透明である領域を含む熱可塑性中間層は、カメラ領域の周辺に配置され、従ってこの領域における光学歪みを低減する。
【0049】
有利には、積層板ガラスは、第2の熱可塑性中間層を更に含む。好ましくは、第2の熱可塑性中間層は、ポリビニルブチラール(PVB)のシートである。
【0050】
本発明の有利な実施形態によれば、更なる熱可塑性中間層は、不透明領域を含む熱可塑性中間層と第2のガラスシートとの間に位置付けられ得る。本発明のこの特定の実施形態では、熱可塑性中間層は、ポリビニルブチラール、又はエチレン/ビニルアセテート、又はポリウレタン、又はポリカーボネートのコポリマーから選択される。
【0051】
本発明の特定の実施形態によれば、積層板ガラスの下側及び上側の周囲領域のみまたはカメラ領域のみが熱可塑性中間層の不透明領域で覆われ、一方、積層板ガラスの横の(右-左)領域がエナメル層を備える。
【0052】
更に、中間層の選択は、UV放射への板ガラスの過度の暴露を最小にする必要性によって決定され得る。中間層の選択は、この曝露をかなり制限することを可能にする。これは、特に、PVB中間層の使用の場合であり、これは本質的にUV放射を遮蔽し、後者のごくわずかな比率のみを通過させる。0.38mmの厚さを有するPVBフィルムの場合、UV放射の95%超が排除される。この比率は99%を超える場合がある。エチレン/ビニルアセテート(EVA)に基づくポリマーも提案されており、これは、UV放射の非常に低い透過をフィルムにもたらす成分を含む。
【0053】
有利には、本発明による少なくとも1つの熱可塑性中間層は、「UVカット」としても知られるUV放射を遮蔽する熱可塑性中間層から形成される非不透明領域を含む。
【0054】
特定の光透過率の値を実現するために、積層板ガラスにおいて使用されるガラスシートの少なくとも1つは着色され得る。また、積層板ガラスは、所望の光学条件の確立に寄与する着色された中間層を含むことができる。
【0055】
このように、着色された熱可塑性中間層は、特定の色及び/又は特定の光学条件を得るように重ね合わされ得る。
【0056】
本発明の特定の実施形態によれば、不透明領域を含む中間層の非不透明部分は、例えば、色の陰影又は特定のパターンなどを得るために、着色された熱可塑性中間層の部片の並置によって形成される。
【0057】
更に、本発明の主題は、前述の積層板ガラスを製造するプロセスである。
【0058】
このプロセスの利点は、デバイスのものと同一であり、詳細により完全に記載されていない。
【0059】
また、本発明は、2つのガラスシートの間に含まれる見苦しい要素を隠すための、可視領域の波長の放射に対して不透明である領域を含む少なくとも1つの熱可塑性中間層の使用に関する。
【0060】
よりよく理解するために、ここで本発明は、以下の図面を参照して、非限定的な例として、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】
図1は、面2及び4にエナメル層を含む従来技術の公知の板ガラス10の概略平面図を示す。
【
図2】
図2は、可視領域の波長の放射に対して不透明である領域を含む熱可塑性中間層を含む本発明による板ガラス10の概略平面図を示す。
【
図3】
図3は、可視領域の波長の放射に対して不透明である領域を含む熱可塑性中間層の概略平面図を示し、前記不透明領域は不透明でない領域を囲む。
【
図4】
図4は、面4に配置されるドットを含むエナメル層を含む本発明による板ガラス10の概略平面図を示す。
【
図5】
図5は、「カメラ領域」に延在する可視領域の波長の放射に対して不透明である領域を含む熱可塑性中間層を含む本発明による板ガラス10の概略平面図を示す。
【
図6】
図6は、従来の板ガラスと比較して、カメラによって捕捉された画像の光学歪みにおける熱可塑性中間層の可視領域の波長の放射に対して不透明である領域の好ましい効果を示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1は、自動車のためのフロントガラス10の形態における従来技術の公知の積層板ガラスを示す。自動車のためのフロントガラス10の周囲の周りに、面2及び4において咬合ストリップ101及び102、より詳しくはエナメル層が位置付けられ、これらの役割は、一方では、車両(図示せず)で窓を取り付けるために使用される締め付け材料(図示せず)を隠し保護することであり、他方では、必要に応じて板ガラスに電気エネルギーを供給する電気的接続部(バスバー等)を隠すことである。車両に対する外部環境と接触している積層体の面は面1として知られ、内部媒体、即ち車両の乗客室と接触している表面は面4として知られる。従って、ガラスシートの面は、図において1~4で番号付けされている。実際には、フロントガラスは、その設計において選択された取り付けにおける本体と接合する箇所での端部で通常はより強調される曲率を示し、空気力学は、隣接する要素間の良好な表面連続性に対応する。
【0063】
面2及び4におけるエナメルストリップの存在は、曲げの際にガラスの挙動に影響を及ぼさないわけではない。この理由は、これらのストリップは、ガラスに赤外線(IR)放射を局部的に板ガラスの周囲にわたって吸収させ、一方でガラスの内部表面はそれをわずかに吸収するのみであるからであり、これはガラスシートが一般的に透明なガラスであるフロントガラスによく当てはまり、これは反射層が使用される場合に更によく当てはまる。この実装形態では、非常に吸収する領域は、非常に反射する領域と接触する。
【0064】
これは、これらの2つの現象に関連した局部的な変形であり、ブラックのエナメルストリップに平行である「燃焼線」として知られているガラスの欠陥をもたらし、ブラックのストリップがより広くなるにつれてより強くなる。これは、これらの「燃焼線」がフロントガラスの上部及び下部のストリップとして本質的に可視であるからである。横のブラックのストリップは常に薄い(最大にされる視野)。
【0065】
本発明によれば、
図5に示すように、熱可塑性中間層20の不透明領域21は、少なくとも「カメラ領域」51(又は光学センサーの組み込みの代替形態では52)に延在して、この領域における光学歪みを減少させることによって、積層板ガラスの前に配置された1つ以上のカメラによって捕捉された画像の品質を改善する。カメラ、又は一般に光学センサー(図示せず)は、スタック53に配置される。
【0066】
図1~6に示されるガラスシート11及び12は、ソーダ石灰シリカタイプのガラスである。1つ又は両方のガラスシートは、以下の組成(重量):SiO
2 68~75%、0~5%のAl
2O
3、Na
2O 10~18%、0~5%のK
2O、MgO 0~10%、CaO 5~15%、SO
3 0~2%を有するソーダ石灰シリカタイプの透明ガラスのシートであり得る。また、ガラスは、例えば、2%までの範囲の量で精製補助剤などの他の添加剤を含むことができる。
【0067】
本発明の特定の実施形態によれば、積層板ガラスの内部ガラスシートは、全体に着色されたガラスからなることができ、その組成は、以下の着色剤:酸化鉄、酸化コバルト、セレン、酸化クロム、酸化チタン、酸化マンガン、酸化銅、酸化バナジウム、又は酸化ニッケルの1つ以上を含むことができる。2つのガラスシートは、透明ガラスから作製され得ることが理解される。1つ又は複数のガラスシートは、強化ガラスから作製され得る。ガラスシートは、平ら又は湾曲していることができる。それぞれのガラスシートは、0.5~25mm、好ましくは1~5mmの厚さを有することができる。従って、自動車板ガラスの全厚さは、1.5~100mm、好ましくは2~50mm、より好ましくは2.5~20mmであり得る。好ましくは、2つのガラスシート及び熱可塑性中間層の層が実質的に透明である場合、板ガラスは、70%超、より好ましくは75%超の可視光の透過率(CIE光源Aで測定)を有する。板ガラス全体が色を示す場合(板ガラスの内部ガラスシートが全体にわたって着色されているか、又は1重以上の中間層材料が着色されているため)、40%未満、より好ましくは30%未満、好ましくは25%未満の可視光透過率(CIE光源Aによって測定)、及び30%未満、より好ましくは25%未満、好ましく20%未満の全エネルギー透過率(Parry Moon、Air Mass 1.5)を好ましくは有する。
【0068】
ガラスシートは、積層板ガラス、特に自動車用積層板ガラスに使用することができる任意の組成を有することができることが理解される。
【0069】
図2は、ガラスシート11の面2に、可視領域の放射に対して不透明である領域21を含む熱可塑性中間層20が設けられている、本発明による積層板ガラス、より具体的にはフロントガラスを示し、前記不透明である領域は、熱可塑性中間層20の不透明でない領域22の全周にわたって延在する。このような熱可塑性中間層は
図3に表される。
図1とは対照的に、外側ガラスシート11の面2はエナメル層を欠いている。
【0070】
この特定の実施形態によれば、不透明領域は、全体にわたって染色されたブラックのPVBから形成され、0%の光透過率を示す。この場合、非不透明領域22は、透明なPVB、好ましくはUV放射を防止するPVBによって示される。こうしたPVBは、「UVカットPVB」としても知られている。また、
図2には、バスバー24及び接続部25から形成された電流を伝導する回路23が示されており、これは、面3における積層板ガラスの周囲に位置付けられる。この伝導回路は当業者に周知であり、その位置はこのタイプの板ガラスにおいて従来のものである。しかしながら、積層板ガラスの別の部分に位置付けられ得る。積層板ガラスの上側及び下側の周囲領域に設けられた不透明領域21(フロントガラスとしての自動車における板ガラスの上部/下部整列による方向)は、特に自動車に取り付けられる場合、積層板ガラスを受けるように意図された上側の気密シールの上側リップの接着と、また板ガラスの下側の周囲に位置付けられたガターシールの接着とを隠すのに十分な寸法を有する必要がある。
【0071】
本発明のこの特定の実施形態によれば、不透明領域21を含む熱可塑性中間層20は、積層板ガラスの全表面にわたって延在し、その一部における前記不透明層は、熱可塑性中間層20の全周囲にわたっておよびカメラ領域に延在する。従って、熱可塑性中間層を積層板ガラスの端部まで延在させる結果として、これは、過剰なPVBの削除の際、面2におけるスクリーン印刷のはがれ/除去の危険性を防止することを可能にする。
【0072】
同様に、熱可塑性中間層は積層板ガラスの全表面にわたって延在することから、(可視領域の波長の放射に対して不透明である領域を介して)同じ熱可塑性中間層が、隠される領域を不透明にするために、且つ、2つのガラスシートの積層を可能にするために使用されることから、本発明のため、グリッターラインは除去される。
【0073】
本発明の特定の実施形態によれば、積層板ガラスの下側の周囲領域及び上側の周囲領域のみが中間層の不透明領域を備え、視野を最大にするために、横の領域は薄いスクリーン印刷されたエナメルのストリップを備える。
【0074】
更に、
図2に示されるように、車両の内側から見て、エナメル層102は、バスバー及びコネクター、或いはこれらの要素を接着することを可能にする接着剤等などの接続部を隠すために板ガラスの面4に存在することができる。
【0075】
図3は、本発明の特定の実施形態による少なくとも第1の熱可塑性中間層20を示す。不透明領域21は、熱可塑性中間層20の周囲で見られる。熱可塑性中間層20は、ガラスシート11及び16よりわずかに大きく、その結果、ガラスシートの全表面にわたって延在する。この特定の実施形態による不透明領域21は、着色された熱可塑性中間層から作製されたフレームの形態をとり、その光透過率は0%である。特に、フレームは、UV放射を遮蔽する透明なPVBから形成される非不透明領域22を取り囲むブラックのPVBから作製され、後者のごくわずかな比率のみを通過させる。0.38mmの厚さを有するPVB中間層の場合、UV放射の95%超が削除される。この比率は99%を超える場合がある。エチレン/ビニルアセテート(EVA)に基づくポリマーも提案されており、これは、UV放射の非常に低い透過をフィルムにもたらす成分を含む。これらの特性、即ち、5%未満、好ましくは0%に等しい透過率を示す任意の熱可塑性中間層を使用して、この不透明領域を形成し得ることが理解される。一般的には、不透明領域の寸法は、咬合ストリップに通常使用される寸法と均等である。これらの寸法は、特に隠される領域に依存することになる。従って、
図2によって表される少なくとも第1の熱可塑性中間層は、本発明による熱可塑性中間層を形成するために、透明なPVBの周辺/周囲に位置付けられた全体にわたって着色されたPVBのフレームから形成される。このフレームは、前記フレームを形成するように位置付けられた異なるストリップによって形成され得、これらのストリップは、単一片を形成するように焼き入れ中に溶融することが理解される。しかしながら、これは、任意の他の公知の手段を用いて作製及び適用され得る。その後、中間層は、少なくとも外部ガラスシートの面2(P2)に設けられる。また、当然ながら、これは面4(P4)に設けられ得る。例として、
図4に示される本発明の特定の実施形態によれば、連続したエナメル層102は、開口部のネットワークを示す、好ましくはドットとして一般に知られる小さいサイズの開口部の密な均一分布を示すエナメルストリップで置き換えることができる。
【0076】
本発明のこの特定の実施形態では、これらのドットを示すエナメルストリップの幅は4~30mmである。ドットを示すこのエナメルストリップ102は、ドットと可視領域21の波長に対して不透明である領域との間の重なりを示すことが好ましく、その光透過率は、好ましくは熱可塑性中間層20の入射光の5%未満、より好ましくは0%である。好ましくは、ドットを示すエナメルストリップは、可視領域21の波長に対して不透明である領域に重ねられ、その光透過率は、0~10mmの距離にわたって、好ましくは熱可塑性中間層20の入射光の5%未満、より好ましくは0%である。面4のドット(一般にP4として知られる)は、熱可塑性中間層の不透明領域、特に黒色PVBからなる不透明領域と同じ色を有さないことから、自動車内からみて、この重なりは、特に横方向のストリップにとって重要である。重ね合わせの距離は、客室からの視界の距離に従って各モデルに合わせて調整されることが理解される。
【0077】
面4(P4)に完全なエナメルストリップの代わりにドットを示し、その周囲に可視領域21の波長に対して不透明である領域を示す熱可塑性中間層と組み合わされる、エナメルストリップの存在は、その光透過率は、好ましくは入射光の5%未満、より好ましくは0%であるが、P4でより小さい黒色ストリップ幅を使用することを可能にする。従って、発熱ラインの存在(フロントガラスの底部における白線の変形)は大幅に減少する。これは、この改良により、面4(P4)にエナメルの細いストリップがなくても、400mdpt(ミリディオプター(millidiopter))から100mdpt未満に値を減らすことができるためである。更に、これを実施することにより、面4(P4)の周囲に周辺バーを加えることが可能であり(これは灰色であることが好ましい)、これは接着トラックとして作用することになる。
【0078】
最終的に、本発明によれば、車両に取り付けるために、接着剤の板ガラスへの接着性を改善することを意図したプライマーの使用を省くこと、又は接着剤を本発明による板ガラスに塗布する際に接着剤を保護することが可能である。これは、本発明に関連して、その周囲に0%の光透過率を有する領域を含む熱可塑性中間層によって面2及び3間で保護される場合、面1における要素を隠す且つ/又は保護することなく、プライマーのない接着剤を使用し得るからである。特に、この周囲部分がブラックのPVBから形成される場合、これはよく当てはまる。
【0079】
図6は、本発明による中間層の使用に関して、特に熱可塑性中間層の使用に関して、良好な効果の一つを示し、その可視領域の波長の放射に対して不透明である領域は、従来の板ガラスと比較して、カメラによって捕捉された画像の光学的歪みにおいて、カメラ領域に延在する。組み込まれたカメラによって検出された画像の品質に関する本発明の利点を示す目的で、試料の2つのバッチを作製し分析した。第1のバッチは、面4にエナメルの層を有するカメラ領域の周囲及び周辺で覆われた2つの曲がったガラスシートから形成された従来のフロントガラスのバッチである。これらのフロントガラスは、板ガラスの高い中央領域にカメラを組み込むために従来から使用されているものなどのエナメルパターンを示す。第2のバッチは、エナメルが透明領域と不透明領域からなる熱可塑性中間層で置き換えられたフロントガラスから形成され、上記のエナメルのパターンを再現し、これにカメラ領域を含む。その後、このカメラ領域を通して検出された光学的変形を定量化する目的で、試料を分析した。特に、板ガラスは、ISRA Labscan装置を使用して測定され、そのフィルターは、以下のように調整された:フィルター1/2/0-マスキング30/4/4/4。分析は、水平に対して28.5°の設置角度において、試験されたバッチ当たり少なくとも3つの板ガラスについて行われた。ミリディオプターで測定された平均歪み値は、
図6の表に示され、これは、従来使用される板ガラスと比較して(カメラ領域のエナメル)、本発明による板ガラスで得られた画像の歪みが低い(値が低いほど歪みが弱い)ことを示している。
【0080】
本発明による積層板ガラスは、車両の任意の窓に取り付けられ得る。
【0081】
これは、特に且つ好ましくは自動車フロントガラスとして使用され得る。
【0082】
更に、本発明による積層板ガラスは、面1又は面4における親水性又は疎水性のコーティングなどの適切な要素を含むことにより、更なる機能を備えることができる。例えば、自動車のフロントガラス又はリアウィンドウとして使用される場合、積層板ガラスは、内装のリアビューミラーサポート、電流を伝送することを可能にするバスバー、場合により劣化した着色を有する太陽放射を遮断する上側ストリップ、雨検出器等などの多数の機能を含む。
【0083】
フロントガラスなどの複雑な形態の板ガラスに対して不透明領域21を含む熱可塑性中間層20を適用することは、接着又は任意の他の外観の悪い要素の配置を隠す不透明なストリップに必ずしも限定されない。後者が不透明又は非不透明であろうと、任意の装飾又は識別要素を取り付けるために同一の技術を使用することができる。
【0084】
不透明領域を含む熱可塑性中間層は、摩耗又は化学的攻撃の危険性から保護する集合体に特に組み込まれる。これは、特に積層板ガラスの場合である。後者の場合、後者がPVBタイプの中間層を用いて組み立てられた2つのガラスシートを含むか否かに関わらず、或いは板ガラスがポリウレタンタイプの有機シートと組み合わされたガラスシートからなる2層タイプであるか否かに関わらず、不透明領域を含む熱可塑性中間層は、板ガラスを構成するシート間に有利に位置付けられる。また、不透明領域を含む熱可塑性中間層は、複数の板ガラスの「内部」面に適用され得る。最終的に、1つのみのガラスシートを使用する場合、機械的又は化学的劣化の危険性に曝されるだろう熱可塑性中間層の不透明領域は、板ガラスの全体にわたって均一に又は不透明領域にわたって局部的に適用された保護コーティングによって保護され得る。