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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】排気系部品
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20231024BHJP
【FI】
F01N13/08 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020010184
(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公開番号】P2021116733
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】須藤 雅行
(72)【発明者】
【氏名】近藤 聖司
(72)【発明者】
【氏名】平松 悠輔
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-068518(JP,U)
【文献】国際公開第2017/126508(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用内燃機関の排気系の少なくとも一部を構成する排気系部品であって、
前記排気系の排気流路を形成する排気管であって、側面に孔が形成された排気管と、
前記排気管との間に隙間を有した状態で前記孔を覆い、前記孔を介して前記排気管の内側と大気とを連通させる連通路を前記排気管との間に形成するための部材である被覆部材と、
を備え、
前記連通路の大気側の端部が車両の下側を向くように前記車両に搭載される排気系部品。
【請求項2】
請求項1に記載の排気系部品であって、
前記排気系部品が前記車両に搭載された状態において、前記孔が、前記排気管における排ガスの流れ方向に垂直な断面において前記排気管の中心よりも上側に位置する、排気系部品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気系部品であって、
前記排気管は、前記車両を側方から見たときに前記車両の下方に屈曲する下方屈曲部を有し、
前記孔は、前記下方屈曲部よりも排ガスの流れ方向の上流に設けられる、排気系部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用内燃機関の排気系の少なくとも一部を構成する排気系部品に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用内燃機関の排気系において、触媒反応で生成され排気管内に溜まった水が凍結する等により排気流路が閉塞した場合、内燃機関が始動しないことがある。そのため、排気管の側面に排気管の内側と大気とを連通する連通路を形成し、排ガスを連通路から排出し、内燃機関が始動するようにすることが考えられる。
【0003】
特許文献1には、排気管の側面に排気管の内側と大気とを連通する連通路を有する構成が開示されている。具体的には、特許文献1の排気管は、排気流路の一部を形成する第1の流路部材と、第1の流路部材と直列に接続され、排気流路の一部を形成する第2の流路部材と、を備える。そして、第1の流路部材と第2の流路部材との接続部において、排気管の内側と外側とを連通する連通路が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014/141778号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両の床下において排気管の周辺には、電池、燃料タンク、ブレーキホース等の様々な部品(以下、周辺部品)が配置される。特許文献1に記載の排気管では、高温の排ガスが連通路を介して外部に排出され、排気管の上方や側方に位置する周辺部品に当たる可能性がある。そして、周辺部品が排ガスの熱で損傷するおそれがある。
【0006】
本開示の一局面は、排気管から排出された排ガスが周辺部品に当たり、排ガスの熱で周辺部品が損傷することを抑制することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、車両用内燃機関の排気系の少なくとも一部を構成する排気系部品であって、排気管と被覆部材とを備える。排気管は、前記排気系の排気流路を形成する。排気管の側面には孔が形成される。被覆部材は、排気管との間に隙間を有した状態で前記孔を覆い、前記孔を介して排気管の内側と大気とを連通させる連通路を排気管との間に形成するための部材である。排気系部品は、連通路の大気側の端部が車両の下側を向くように車両に搭載される。
【0008】
このような構成によれば、内燃機関から排出された排ガスを車両の下側に誘導できる。このため、排気系部品の上方又は側方に位置する周辺部品を避けて排ガスを排出できる。したがって、排気管の孔から排出された排ガスが周辺部品に当たり、排ガスの熱によって周辺部品が損傷することを抑制することができる。
【0009】
本開示の一態様では、排気系部品が車両に搭載された状態において、孔が、排気管における排ガスの流れ方向に垂直な断面において排気管の中心よりも上側に位置してもよい。
このような構成によれば、孔が前記断面において排気管の中心よりも下側に位置する場合と比較して、排気管内に発生した水が孔から漏れ出にくくすることができる。
【0010】
本開示の一態様では、排気管は、車両を側方から見たときに車両の下方に屈曲する下方屈曲部を有していてもよい。そして、孔は、下方屈曲部よりも排ガスの流れ方向の上流に設けられていてもよい。なお、本明細書における「屈曲」とは、弓なりに曲がる「湾曲」も包含する概念である。
【0011】
このような構成によれば、凝縮水の凍結等により下方屈曲部が閉塞した場合でも、排ガスが孔及び連通路を通じて排出されるため、内燃機関を始動させやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は実施形態に係る排気系部品を車両の側方から見た図である。
図2図2図1又は図3のII-II断面図である。
図3図3図1における破線L1で囲まれた部分の拡大図である。
図4図4は他の実施形態に係る排気系部品(1)を示す図である。
図5図5は他の実施形態に係る排気系部品(2)を示す図である。
図6図6は他の実施形態に係る排気系部品(3)を示す図である。
図7図7は他の実施形態に係る排気系部品(4)を示す図である。
図8図8は他の実施形態に係る排気系部品(5)を示す図である。
図9図9は他の実施形態に係る排気系部品(6)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.構成]
図1に示す排気系部品1は、車両の床下に配置され、車両用内燃機関の排気系の少なくとも一部を構成する部品である。図1は、排気系部品1が車両に搭載された状態において、排気系部品1を車両側方から見た図である。図1において、紙面上方向は車両上方向に対応し、紙面下方向は車両下方向に対応する。また、図1において、紙面左方向は車両前方に対応し、紙面右方向は車両後方に対応する。なお、各図面では、車両上方向は「UP」で示され、車両下方向は「DW」方向で示される。また、車両前方は「FR」で示され、車両後方は「RR」方向で示される。
【0014】
ここで、車両上方向及び車両下方向は、それぞれ、排気系部品1が搭載された車両を基準とする上方向及び下方向であり、一般的には、車両の接地面に垂直な方向に沿う上方向及び下方向である。車両が水平な地面上に位置している場合は、車両上方向及び車両下方向は、それぞれ、鉛直上方向及び鉛直下方向に一致する。一方、車両が坂道などの水平でない地面上に位置している場合は、車両上方向及び車両下方向は、それぞれ、一般的には鉛直上方向及び鉛直下方向と相違する。なお、図1に示す例では、車両が水平な地面上に位置しており、車両上方向及び車両下方向は、それぞれ、鉛直上方向及び鉛直下方向に一致する。
【0015】
排気系部品1は、排気管2と被覆部材3とを備える。
<排気管>
排気管2は、内部を排ガスが通過する管状の部材である。排気管2は、内燃機関から排出された排ガスの流路となる排気流路を形成する。排気管2は、車両の前後方向(図1においては紙面左右方向)に延在するように車両に設けられる。図1には、排気管2の一部であるS字状部21が示されている。
【0016】
S字状部21は、S字状に延在する部位であり、上方屈曲部211と下方屈曲部212とを有する。上方屈曲部211は、車両上方向に屈曲した部位である。下方屈曲部212は、車両下方向に屈曲した部位である。下方屈曲部212は、排ガスの流れ方向D1において上方屈曲部211の下流に位置する。以下では、排ガスの流れ方向D1の上流及び下流を単に上流及び下流という。なお、上方屈曲部211と下方屈曲部212とが連続して形成されている場合、上方屈曲部211の中心軸の線と下方屈曲部212の中心軸の線との変曲点を通る排気流路の断面が上方屈曲部211と下方屈曲部212との境目となる。また、上方屈曲部211に対し上流側又は下流側に直線状の排気流路が設けられる場合、上方屈曲部211と直線状の排気流路とで形成される屈曲部分が上方屈曲部211と直線状の排気流路との境目となる。一方、下方屈曲部212に対し上流側又は下流側に直線状の排気流路が設けられる場合、下方屈曲部212と直線状の排気流路とで形成される屈曲部分が下方屈曲部211と直線状の排気流路との境目となる。
【0017】
S字状部21の上流には、図示省略する内燃機関と触媒コンバータとが設置される。S字状部21の下流に位置する、排気管2の端部は、大気に開放されている。
なお、図1に示す状況では、下方屈曲部212に凝縮水Wが溜まり、凝縮水Wが凍結する等により排気管2が閉塞されている。この凝縮水Wは、例えば排ガスが触媒コンバータで浄化される際に生成される。
【0018】
また、排気管2の車両上方向側及び車両の側方側には、図1及び図2に示すように、周辺部品4A~4Cが配置されている。図2図1のII-II断面図であり、図2の紙面左右側は車両の側方側に対応する。周辺部品4A~4Cは、排気管2の周辺に位置する部品であり、例えば、電池、燃料タンク、ブレーキホース等である。周辺部品4A~4Cは図面において模式的に示されている。なお、図1においては周辺部品4B,4Cを省略している。一方、排気管2の車両下方向側には周辺部品は存在しない。
【0019】
図2に示すように、排気管2の側面(換言すれば、排気管2の中心軸周りの面)には1つの小孔である孔22が形成されている。孔22は、排気管2の内側と外側とを連通する。排気管2内の排ガスは孔22を通じて排気管2の外部に排出される。なお、孔22の形状は特に限定されず、例えば、円形状、矩形状等であってもよい。
【0020】
本実施形態では、孔22は、図1に示すように、排気管2における凝縮水Wが溜まり閉塞し得る箇所よりも上流に位置する。
すなわち、図1に示す状況では、下方屈曲部212に凝縮水Wが溜まり、排気管2が凝縮水Wで閉塞されている。本実施形態では、排気管2における凝縮水Wが溜まり閉塞し得る箇所は、下方屈曲部212、具体的には、下方屈曲部212における最下部及びその近傍である。孔22は、下方屈曲部212の上流側の境目よりも上流に位置し、より好ましくは上方屈曲部211に位置している。
【0021】
孔22は、排気管2においてできるだけ車両上方向側に位置することが望ましい。本実施形態では、孔22は、上方屈曲部211における最上部に位置している。上方屈曲部211における最上部は、換言すれば、排気管2の屈曲方向が車両上方向側から車両下方向側に切り替わる箇所であり、車両が水平な地面上に位置している状態において排ガスの流れ方向D1が水平になる箇所である。
【0022】
また、本実施形態では、孔22は、排気系部品1が車両に搭載された状態において、排気管2における排ガスの流れ方向D1に垂直な断面(図2に示す断面)において排気管2の中心Cよりも上側に位置している。ここでいう上側とは、車両上方向側である。具体的には、孔22は、前記断面における最上部、換言すれば、排気管2の前記断面の断面形状である円周の頂上に位置している。
<被覆部材>
被覆部材3は、孔22を覆う板状部材である。具体的には、被覆部材3は、概略長方形状の板状部材を排気管2の軸周りに屈曲させた形状を有する。被覆部材3は、図3に示すように、窪み部31とフランジ部32とを有する。
【0023】
窪み部31は、被覆部材3の延在方向D2に沿った窪み状の部位である。窪み部31における延在方向D2に垂直な断面の断面形状は、略U字状である。フランジ部32は、窪み部31の両縁部に沿って外側に延びる部位である。
【0024】
被覆部材3は、図2に示すように、排気管2と同心円状になるように屈曲している。被覆部材3は、側面視の形状(図2に示す形状)が半円弧状であり、排気管2を排気管2の軸方向周りに半分だけ覆う。また、被覆部材3における延在方向D2(図2の排気管2の周方向)の両端部には開口33a,33bが形成され、被覆部材3の延在方向D2の両端部は大気に開放されている。
【0025】
被覆部材3は、排気管2との間に隙間を有した状態で排気管2の孔22を覆う。具体的には、被覆部材3は、窪み部31で孔22を覆うように配置され、その状態で被覆部材3のフランジ部32が溶接によって排気管2の側面に接合される。
【0026】
被覆部材3は、排気管2との間に連通路34を形成する。連通路34は、孔22を介して排気管2の内側と大気とを連通させる。
連通路34は、排気管2の内側に開放された端部(以下、排気管側端部)34aと、大気に開放された端部(以下、大気側端部)34b,34cと、を有する。排気管側端部34aは、孔22である。大気側端部34b,34cは、それぞれ、被覆部材3の延在方向D2の両端部の開口33a,33bである。本実施形態では、連通路34の大気側端部34b,34c(すなわち、排ガスの排出口)が車両の下側(すなわち、車両下方向側)を向くように、排気系部品1が車両に搭載される。
【0027】
ここで、「大気側端部34b,34cが車両の下側を向く」とは、車両横方向よりも大気側端部34b,34cが車両下方向側を向くことを意味する。ここでいう車両横方向は、車両を基準とする横方向であり、車両が水平な地面上に位置している状態では水平方向に一致する。すなわち、「大気側端部34b,34cが車両の下側を向く」とは、大気側端部34b,34cが、厳密に車両下方向(図1又は図3の下方向)を向く場合のみならず、車両横方向よりも車両下方向側であれば、車両下方向から車両の前後及び/又は左右方向側にずれた方向を大気側端部34b,34cが向く場合も包含する概念である。本実施形態では、大気側端部34b,34cは車両下方向を向いている。
【0028】
本実施形態では、連通路34によって、排気管2内の排ガスが車両下側に誘導される。具体的には、排気管2から車両上方向に排出された排ガスが、被覆部材3に当たり、図2の矢印D3で示すように被覆部材3の延在方向D2の両方向に分岐し、2つの大気側端部34b,34cを通して車両下方に向けて排出される。
【0029】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態では、排気系部品1は、連通路34の大気側端部34b,34cが車両の下側を向くように車両に搭載される。
【0030】
したがって、内燃機関から排出された排ガスを車両の下側に誘導できる。このため、排気系部品1の上方又は側方に位置する周辺部品4A~4Cを避けて排ガスを排出できる。したがって、排気管2の孔22から排出された排ガスが周辺部品4A~4Cに当たり、排ガスの熱によって周辺部品4A~4Cが損傷することを抑制することができる。
【0031】
(2)また仮に、特許文献1のように2つの流路部材を直列に接続し、2つの流路部材の接合部において排気管の下側からのみ排ガスが排出されるように連通路を形成することが考えられる。しかしながら、このような構成では、排気管の主幹路に接合部を形成する必要があり、主幹路に接合部を形成しない場合と比較して、排気管の強度が低下する。この点、本実施形態によれば、排気管の主幹路に接合部を形成しなくても排ガスを車両の下側に誘導できるため、上記構成と比べて排気管2の強度を高くすることができる。
【0032】
(3)本実施形態では、排気系部品1が車両に搭載された状態において、孔22が、排気管2における排ガスの流れ方向D1に垂直な断面において排気管2の中心Cよりも上側に位置する。
【0033】
したがって、孔22が前記断面において排気管2の中心Cよりも下側に位置する場合と比較して、排気管2内に発生した水が孔22から漏れ出にくくすることができる。
特に、排気管2内には煤混じりの黒ずんだ水が溜まる。本実施形態の構成によれば、孔22から黒ずんだ水が垂れ流れることを抑制することができる。
【0034】
(4)本実施形態では、孔22は、排気管2における凝縮水Wが溜まり閉塞し得る箇所である下方屈曲部212よりも上流に設けられる。
したがって、下方屈曲部212に溜まった凝縮水Wが凍結する等により排気管2が閉塞した場合でも、排ガスが孔22と連通路34とを通じて大気に排出される。したがって、内燃機関を始動させやすくできる。
(5)本実施形態では、孔22を被覆部材3で覆う構成であるため、例えば周辺部品4A~4Cに遮熱板を設ける構成に比べて、小型で、安価で、前述した効果を得ることができる。
【0035】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0036】
(1)上記実施形態では、孔22は、排気管2における排ガスの流れ方向D1に垂直な断面(図2に示す断面)において最上部に形成されるが、孔が形成される位置はこれに限られない。
【0037】
例えば、図4に示すように、排気管5において、孔51が、前記断面における最上部以外の位置(すなわち、最上部からずれた位置)に形成されていてもよい。この場合において、前記断面において、排気管の上方又は側方に位置する周辺部品から遠ざかる側に、孔51をずらして形成してもよい。
【0038】
すなわち、被覆部材3における孔51近傍の部分(例えば図4における破線L2で囲まれた部分)は、排気管5から孔51を通じて排出される排ガスが当たり、排ガスの熱で熱くなりやすい。すると、被覆部材3における孔51近傍の部分の近くに位置する周辺部品が、熱くなった被覆部材3の熱で損傷する場合がある。この点、孔51を、排気管5における車両上下方向に平行な中心線Mに対し、周辺部品から遠ざける側(図4では左側)にずらして形成することが考えられる。これにより、被覆部材3における孔51近傍の部分、すなわち、排ガスの熱で熱くなりやすい部分を周辺部品から遠ざけ、熱くなった被覆部材3の熱で周辺部品が損傷することを抑制できる。
【0039】
(2)上記実施形態では、排気管2の側面に形成される孔の数は1つであるが、孔の数はこれに限られない。例えば、図5に示すように、排気管の側面に複数の孔61,62が形成されていてもよい。図5に示す例では2つの孔61,62が形成されているが、3つ以上の孔が形成されていてもよい。
【0040】
このように複数の孔を形成することで、排ガスの排出量が比較的大きい内燃機関であっても、内燃機関から排出された排ガスを複数の孔を通じて効率良く大気に排出できる。
(3)上記実施形態では、連通路34の2つの大気側端部34b,34cは共に車両下方向を向いているが、大気側端部の向きはこれに限られない。
【0041】
例えば、図6に示すように、連通路71の大気側端部71a,71bが、車両下方向(図6の下方向)からずれた方向を向いていてもよい。具体的には、排気管2における排ガスの流れ方向D1に垂直な断面において、大気側端部71a,71bが斜め下方向を向いていてもよい。この場合も、連通路71の大気側端部71a,71bは車両の下側を向いている。
【0042】
このような構成によれば、連通路の大気側端部の向きを変えることで、連通路の大気側端部から排出された排ガスが周辺部品に当たらないようにできる。したがって、周辺部品が排ガスの熱で損傷することを抑制できる。
【0043】
(4)上記実施形態では、連通路34の2つの大気側端部34b,34cは共に大気に開放されているが、例えば図7に示すように、連通路の2つの大気側端部のうちいずれか一方が閉じられていてもよい。
【0044】
このような構成によれば、周辺部品側に位置する大気側端部(図7に示す例においては左側の大気側端部)を閉じることで、周辺部品に排ガスが当たり、排ガスの熱で周辺部材が損傷することを抑制することができる。
【0045】
(5)上記実施形態では、被覆部材3の延在方向D2の両端部に形成された開口33a,33bが連通路34の大気側端部34b,34cを形成する。しかし、連通路の大気側端部はこれに限られない。
【0046】
例えば、図8に示すように、被覆部材8の延在方向D2の両端部を閉じ、被覆部材8における前記両端部以外の箇所、具体的には被覆部材8における窪み部81の壁部に1又は複数の孔を形成する。そして、当該孔を連通路82の大気側端部としてもよい。
【0047】
これにより、図8の矢印D3で示されるように、連通路82の大気側端部から排出される排ガスの排出方向が変更される。したがって、周辺部材に排ガスが当たり、排ガスの熱で周辺部材が損傷することを抑制することができる。
【0048】
なお、被覆部材の延在方向D2の両端部のうち周辺部材に近い側の端部が閉じられていてもよい。また、前記両端部のうちいずれか一方のみが閉じられていてもよい。
(6)前述した図4等では、被覆部材3は排気管5における車両上下方向に平行な中心線Mに対して線対称となるように配置されているが、排気管5に対する被覆部材3の相対位置はこれに限られない。例えば、前述した図8に示すように、被覆部材8が、排気管5における車両上下方向に平行な中心線Mに対し、車両の右方向及び左方向のいずれか一方側にずれて配置されていてもよい。
【0049】
(7)連通路の形成の仕方は上記実施形態のものに限られない。例えば、図9に示すように、被覆部材9を管状に形成し、排気管2と被覆部材9とで部分的に二重管構造を実現する。ここでいう部分的とは、排ガスの流れ方向D1(図9の紙面に垂直な方向)に沿って排気管2の一部のみを被覆部材9で覆うことを意味する。そして、被覆部材9における車両下方側に位置する部分に孔92を形成する。このようにして、被覆部材9と排気管2との間の隙間に、孔92を大気側端部とする連通路93を形成してもよい。
【0050】
(8)上記実施形態では、被覆部材3は、排気管2を排気管2の軸周りに半分程度覆うが、被覆部材3の排気管2の軸周りの長さはこれに限られない。例えば、被覆部材は、半円弧よりも長い弧状であってもよく、半円弧よりも短い弧状であってもよい。いずれの場合も、被覆部材が排気管2の孔22を覆う程度に延在していればよい。
【0051】
(9)上記実施形態において、排気管の側面に形成される孔は、所定方向に延在した長孔であってもよい。この場合において例えば、長孔は、排気管の軸周りに延在していてもよく、排ガスの流れ方向D1(図2の紙面に垂直な方向)に延在していてもよい。
【0052】
なお、長孔が排気管の軸周りに延在している場合において、長孔の全体が排気管2の中心Cよりも上側に位置するように長孔が形成されていてもよい。このような構成によれば、排気管2内に発生した水が長孔から漏れ出にくくすることができる。
【0053】
(10)上記実施形態では、孔22は排気管2の上方屈曲部211に形成されているが、孔の位置はこれに限られない。例えば孔は、排気管2における上方屈曲部211以外の箇所に形成されていてもよい。
【0054】
(11)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…排気系部品、2,5,6…排気管、3,8,9…被覆部材、4A~4C…周辺部品、
22,51,61,62…孔、34,71,82,93…連通路、
34b,34c,71a,71b…大気側端部、212…下方屈曲部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9