(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】基板エッジ検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20231024BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
G01N21/956 A
(21)【出願番号】P 2020027358
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩之
【審査官】谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-083125(JP,A)
【文献】特開2014-029336(JP,A)
【文献】特開2007-205864(JP,A)
【文献】特開2009-025003(JP,A)
【文献】特開2008-298696(JP,A)
【文献】特開2010-181317(JP,A)
【文献】特開2002-148019(JP,A)
【文献】特開2009-058530(JP,A)
【文献】特開平11-281337(JP,A)
【文献】国際公開第2008/143228(WO,A1)
【文献】特開2017-040510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角度が段階的にあるいは連続的に変化している基板のエッジを検査する基板エッジ検査装置であって、
前記基板のエッジに設定された被検査領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部の光軸に対して所定の傾斜角度で、前記被検査領域に向けて暗視野照明光を照射する暗視野照明部と、
前記撮像部で撮像した画像を処理する画像処理部と、
前記画像処理部で処理した画像に基づいて、前記基板のエッジにある異物やキズ、汚れ等を検査する検査部とを備え、
前記撮像部に向けて前記被検査領域より遠方側から補助照明光を照射する補助照明部と、
前記撮像部で撮像された前記画像における、前記基板の表面側の境界の位置および裏面側の境界の位置を特定する、表裏面境界位置特定部を備え
、
前記撮像部は、前記基板の厚み方向と直交する方向から前記被検査領域を撮像し、
前記補助照明部は、
前記基板の上面側を通過させた第1補助照明光を前記撮像部に向けて出射させる第1補助照明部と、
前記基板を下面側から保持する基板保持部の側面に設置した反射面で反射させた第2補助照明光を前記撮像部に向けて照射させる第2補助照明部とを備えた
ことを特徴とする、基板エッジ検査装置。
【請求項2】
前記反射面が、粗面である
ことを特徴とする、請求項1に記載の基板エッジ検査装置。
【請求項3】
前記基板および前記基板保持部が略円形状であり、
前記基板保持部の側面が全周に亘って、前記反射面であり、
前記基板を回転ないし角度変更させて当該基板のエッジを検査する
ことを特徴とする、請求項2に記載の基板エッジ検査装置。
【請求項4】
前記撮像部が、テレセントリック光学系の結像レンズを備えた
ことを特徴とする、請求項1~
3のいずれかに記載の基板エッジ検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角度が段階的にあるいは連続的に変化している基板のエッジを検査する基板エッジ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハやFPD用ガラス基板等は、搬送中にエッジに割れや欠けが生じることを防ぐために、ラウンド加工やテーパ加工と呼ばれる研磨処理(いわゆる、面取りや端面加工)が施されている。この端面加工された面は、ベベル面とも呼ばれる。
【0003】
そして、この様に端面加工された基板のエッジに異物やキズ、汚れ、欠陥等(以下、異物等と呼ぶ)があると、製造行程内の歩留に大きく影響することが認識されており、種々の検査が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
一方、半導体ウェハの表面に付着した異物を検出するために、暗視野照明用の検査光を投射して散乱光の投影像を撮像する技術が提案されている(例えば、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-138830号公報
【文献】特開2000-171227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
暗視野照明光を用いて基板のエッジにある異物等を検査しようとすると、異物等から散乱した光が撮像部で撮像される。一方、暗視野照明光は、基板のエッジで正反射した光は撮像部に届かない。そのため、撮像部で撮像された画像からは、基板のエッジにある異物等の有無や大きさ等を把握することはできるが、基板のエッジの境界(上面側および/または下面側)の正確な位置が把握できないため、当該異物等の基板の厚み方向の位置を正確に特定することができない。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、
異物等の基板の厚み方向の位置を正確に特定することができる、基板エッジ検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、本発明に係る一態様は、
角度が段階的にあるいは連続的に変化している基板のエッジを検査する基板エッジ検査装置であって、
基板のエッジに設定された被検査領域を撮像する撮像部と、
撮像部の光軸に対して所定の傾斜角度で、被検査領域に向けて暗視野照明光を照射する暗視野照明部と、
撮像部で撮像した画像を処理する画像処理部と、
画像処理部で処理した画像に基づいて、基板のエッジにある異物やキズ、汚れ等を検査する検査部とを備え、
撮像部に向けて被検査領域より遠方側から補助照明光を照射する補助照明部と、
撮像部で撮像された画像における、基板の表面側の境界の位置および裏面側の境界の位置を特定する、表裏面境界位置特定部を備え、
撮像部は、基板の厚み方向と直交する方向から被検査領域を撮像し、
補助照明部は、
基板の上面側を通過させた第1補助照明光を撮像部に向けて出射させる第1補助照明部と、
基板を下面側から保持する基板保持部の側面に設置した反射面で反射させた第2補助照明光を撮像部に向けて照射させる第2補助照明部とを備えている。
【0009】
上記発明によれば、背景をグレーにするなどして、基板のエッジの境界(上面側および/または下面側)の正確な位置を把握することができる。
【発明の効果】
【0010】
基板エッジ検査において、異物等の基板の厚み方向の位置を正確に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明を具現化する形態の一例の全体構成を示す概略図である。
【
図2】本発明を具現化する形態における暗視野照明光、散乱光と観察光の一例を示す平面図である。
【
図3】本発明を具現化する形態の一例の要部を示す概略図および画像図である。
【
図4】本発明を具現化する形態の別の一例の全体構成を示す概略図である。
【
図5】本発明を具現化する形態のさらに別の一例の全体構成を示す概略図である。
【
図6】本発明を具現化する別の形態の一例の全体構成を示す概略図である。
【
図7】本発明を具現化する別の形態の一例で撮像した画像図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について、図を用いながら説明する。
【0013】
なお、以下の説明では、直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、水平方向をX方向、Y方向と表現し、XY平面に垂直な方向(つまり、重力方向)をZ方向と表現する。また、Z方向は、重力に逆らう方向を上、重力がはたらく方向を下と表現する。また、Z方向を中心軸として回転する方向(Z軸周りの方向とも言う)をθ方向とする。
【0014】
図1は、本発明を具現化する形態の一例の全体構成を示す概略図である。
図1には、本発明に係る基板エッジ検査装置1の概略図が示されている。
【0015】
基板エッジ検査装置1は、角度が段階的にあるいは連続的に変化している基板WのエッジWeを検査するものである。具体的には、基板エッジ検査装置1は、基板WのエッジWeにある異物やキズ、汚れ、欠陥等(つまり、異物等)Pを検査するものである。より具体的には、基板エッジ検査装置1は、撮像部2、暗視野照明部3、補助照明部4、画像処理部5、検査部6、表裏面境界位置特定部7、基板保持部H、相対移動部M、コンピュータ部CN等を備えている。
【0016】
ここでは、基板Wとして、半導体用シリコンウェハを例示する。当該ウェハは、円柱状のインゴットを薄くスライスしたもので、外周エッジの一部にオリエンテーションフラットやノッチと呼ばれる方向検出用の平坦部や凹み部が設けられた、略円形状をしている。なお、基板Wは、パターン加工等される面(図では上面)を表面側、その反対側を(つまり、下方から支えられる面)を裏面側、外周端を端面側と呼ぶ。
【0017】
撮像部2は、基板WのエッジWeの被検査領域Rを、一方向もしくは複数の方向からで撮像するものである。なお、被検査領域Rは、基板WのエッジWeの端面形状に沿って、基板Wの表面Ws側、端面We側および裏面Wb側に亘って略U字状に設定されている。
具体的には、撮像部2は、基板WのエッジWeの外側から中心側に向かって、被検査領域Rを含む画像を撮像し、当該画像を外部機器(本例では)に出力するものである。
より具体的には、撮像部2は、1台もしくは複数台の撮像カメラ21を備えている。
なお
図1では、基板WのエッジWeの被検査領域Rを、1台の撮像カメラ21で基板Wの厚み方向(Z方向)と直交する方向(X方向)から撮像している様子が図示されている。
【0018】
撮像カメラ21は、レンズ22と、撮像素子(いわゆる、イメージセンサ)23を備えている。レンズ22は、観察光L(詳細は後述する)を通過させ、被検査領域Rの像を撮像素子23に結像させるものである。撮像素子23は、受光した光を電気信号に変換して出力するものであり、多数の受光素子が縦横二次元配列されたCCDやCMOS等で構成されている。
【0019】
そして、撮像カメラ21は、撮像素子23で受光した画像を、映像信号や画像データとしてコンピュータCNへ出力する構成をしている。
【0020】
暗視野照明部3は、撮像部2の光軸2Lに対して所定の傾斜角度θxyで、被検査領域Rに向けて暗視野照明光Lmを照射するものである。
具体的には、暗視野照明部3は、ランプ照明と光ファイバが束ねられたライトガイドとレンズ等を組み合わせたものや、LED照明、レーザダイオード等が例示でき、撮像カメラ21の撮像素子23の波長感度特性に基づいて、照射する光の強度や波長等を決定する。
【0021】
図2は、本発明を具現化する形態における暗視野照明光Lm、散乱光Lsと観察光Lの一例を示す平面図である。
図2には、基板WのエッジWeの被検査領域Rに向けて照明部3から照射された暗視野照明光Lmの照射方向と、当該暗視野照射光Lmが基板WのエッジWeの異物等で散乱した光Lsと、撮像部2で撮像される光(つまり、観察光)Lや撮像部2の位置関係が示されている。
【0022】
補助照明部4は、撮像部2に向けて被検査領域Rより遠方側から補助照明光を照射するものである。具体的には、補助照明部4は、第1補助照明部41と第2補助照明部42を備えており、撮像カメラ21の撮像素子23の波長感度特性に基づいて、照射する光の強度や波長等を決定する。
【0023】
第1補助照明部41は、基板Wの上面Ws側を通過させた第1補助照明光Laを撮像部2に向けて出射させるものである。具体的には、第1補助照明部41は、基板Wよりも左方(つまり、被検査領域Rより遠方側)から第1補助照明光Laを撮像部2に向けて照射するものである。より具体的には、第1補助照明部41は、撮像部2と向かい合うように発光部が配置されたLED照明を備えており、当該発光部が撮像カメラ21の視野に映り込むように配置されている。
【0024】
第2補助照明部42は、被検査領域Rよりも遠方側から第2補助照明光Lbを撮像部2に向けて(図では、左側から右側へ)照射するものである。具体的には、第2補助照明部42は、基板WのエッジWeよりも左方(つまり、被検査領域Rより遠方側)から第2補助照明光Lbを撮像部2に向けて照射するものである。より具体的には、第2補助照明部42は、基板Wの裏面Wbを基板保持部Hで支えていないところ(いわゆる、オーバーハング部)の下方に、撮像部2と向かい合うように発光部が配置されたLED照明を備えており、当該発光部が撮像カメラ21の視野に映り込むように配置されている。
【0025】
なお、補助照明光La,Lbは、暗視野照明光Lmと同じの波長成分でも良いが、異なる波長成分でも良い。例えば、補助照明光La,Lbと暗視野照明光Lmの双方が白色光であれば、撮像した画像Gにおいて基板Wが無い部分(背景)はグレーで撮像される。一方、補助照明光La,Lbが、暗視野照明光Lmと異なる波長成分(例えば、一方が白色で、他方が赤色、緑色、青色など)であれば、撮像した画像Gにおいて基板Wが無い部分(背景)は異なる色合いで撮像される。
【0026】
画像処理部5は、撮像部2で撮像した画像Gを処理するものである。具体的には、画像処理部5は、画像Gに対して、各画素の輝度値の量子化や大小(つまり、明暗)比較処理、フィルタリング処理、ラベリング処理等を行う。
より具体的には、画像処理部5は、詳細を後述するコンピュータ部CNの一部で構成されている。
【0027】
検査部6は、画像処理部5で処理した画像に基づいて、基板WのエッジWeにある異物やキズ、汚れ、欠陥等(つまり、異物等)Pを検査するものである。具体的には、検査部6は、画像中に輝度が低い部位(暗部)があれば異物等として検出したり、検出した異物等の大きさや形状により種類を分類等したりするものである。より具体的には、検査部6は、詳細を後述するコンピュータ部CNの一部で構成されている。
【0028】
表裏面境界位置特定部7は、撮像部2で撮像された画像Gにおける、基板Wの表面Ws側の境界Esの位置および裏面Wb側の境界Ebの位置を特定するものである。
具体的には、表裏面境界位置特定部7は、基板Wの厚み方向(Z方向)に輝度や色合い等の異なる境界Es,Ebを画像G内から検出し、当該境界Es,Ebに近似直線や近似曲線等をフィッティングさせる。そして、当該直線や曲線等の座標等に基づいて、これら境界Es,Ebの位置を特定するものである。
より具体的には、表裏面境界位置特定部7は、画像処理部5の一部で構成されている。
【0029】
図3は、本発明を具現化する形態の一例の要部を示す概略図および画像図である。
図3(a)には、
図3(b)には、基板WのエッジWeに設定された被検査領域Rを撮像部2で撮像した画像Gが示されている。
【0030】
画像Gには、基板WのエッジWeが黒く撮像されている。これは、基板WのエッジWeに異物等が無ければ暗視野照明光Lmが正反射してしまい、撮像部2には光が届かない(又は、僅かである)ため、輝度レベルが低く、画像Gでは黒く見える。
【0031】
また、画像Gには、異物等Pが白い輝点として撮像されている。これは、暗視野照明光Lmが異物等Pで散乱し、散乱した光の一部が撮像部2に届くからである。
【0032】
一方、基板Wの表面Ws側を通過した第1補助照明光Laと、基板Wの裏面Wb側を通過した第2補助照明光Lbは、グレーで(基板WのエッジWeより輝度レベルが高い状態)撮像されている。なお、第1補助照明光Laと第2補助照明光Lbの光の強度は、画像Gにおいて境界部でハレーションを起こさない程度に設定することが好ましい。これは、基板Wの表面位置や裏面位置の検出精度を維持しつつ、境界部付近に付着している異物等Pの検出やサイズ測定等に影響を与えないためである。
【0033】
基板保持部Hは、基板Wを所定の姿勢で保持するものである。具体的には、基板保持部Hは、基板載置台H1、吸引機構等(不図示)を備えている。
【0034】
基板載置台H1は、基板Wの下面と接しつつ、当該下面に摩擦力や吸引力等をはたらかせることで、基板Wを所定の姿勢で保持するものである。具体的には、基板載置台H1は、基板Wの外径よりも小さな略円形状で、所定の厚みを有する形状をしており、上面が水平となるように配置された板状部材の上面に吸引用の溝や孔が設けられて、切換バルブ等を介して吸引機構に接続されている構成(いわゆる負圧吸着プレート)や静電吸着プレートなどが例示できる。
より具体的には、基板載置台H1は、基板WのエッジWeより内側に設定された領域を保持し、側面が上述の反射面43である(
図1,2参照)。
【0035】
相対移動部Mは、撮像部2と基板保持部Hとを相対移動させ、撮像部2で撮像する基板Wの場所を変更するものである。具体的には、相対移動部Mは、上述の位置関係にある暗視野照明部3、補助照明部4並びに撮像部2に対して、基板Wを保持した基板載置台H1を相対移動させる構成をしている。より具体的には、相対移動部Mは、X軸ステージM1,Y軸ステージM2,θ軸ステージM3を備えている。
【0036】
X軸ステージM1は、基板載置台H1をX方向に移動させたり、所定位置で静止させたりするものであり、装置フレーム(不図示)の上に取り付けられている。
【0037】
Y軸ステージM2は、基板載置台H1をY方向に移動させたり、所定位置で静止させたりするものであり、X軸ステージM1に取り付けられている。
【0038】
θ軸ステージM3は、基板載置台H1を回転させたり、所定角度で静止させたりするものであり、Y軸ステージM2に取り付けられている。
【0039】
そして、X軸ステージM1,Y軸ステージM2,θ軸ステージM3は、制御部(不図示)と接続されており、制御部から出力される制御信号に基づいて、所定の速度で移動・回転したり、所定の位置・角度で静止したりする。
【0040】
コンピュータ部CNは、下記の機能を担うものである。
・撮像部2の撮像カメラ21に対する撮像トリガ出力
・暗視野照明部3から照射する暗視野照明光Lmの強度調節、点灯/消灯の制御
・補助照明部4から照射する補助照明光La,Lbの強度調節、点灯/消灯の制御
・基板保持部Hの制御(基板Wの保持/解除の制御)
・相対移動部Mの制御(基板Wの回転や角度の制御、移動や位置の制御等)
・画像取得や画像処理、検査基準との比較処理(つまり、検査処理)、検査結果の表示や出力等
【0041】
具体的には、コンピュータ部CNは、接続された外部機器から信号やデータが入力されると、予め登録されたプログラムに従って処理を行い、処理結果を外部機器へ出力するものである。より具体的には、コンピュータ部CNは、入出力装置、記憶装置、画像処理装置、演算処理装置などのハードウェアと、実行プログラム等(ソフトウェア)を備えている。
【0042】
そして、コンピュータ部CNは、撮像部2の撮像カメラ21から出力された画像に対応した映像信号(アナログ信号)や画像データ(デジタル信号)が入力されると、当該画像に対して所定の画像処理等を行い、比較処理等を行うことで所定の検査を行うようにプログラミングされている。
【0043】
この様な構成をしているため、本発明に係る基板エッジ検査装置1は、撮像した画像Gにおいて基板Wが無い部分(背景)をグレーや異なる色合いにして、基板Wの表面Wsや裏面Wbの境界Es,Ebの正確な位置を把握することができる。そのため、基板エッジ検査において、異物等Pの基板Wの厚み方向の位置を正確に特定することができる。
【0044】
さらに、この様な構成であれば、略円形状の基板Wをθ方向に回転させながら(または、所定角度変更させながら)、エッジWeの検査を行うことができるだけでなく、略矩形状の基板Wの検査(Y方向に平行移動しながら1辺を検査し、θ軸を90度回転させて、検査する辺を変更して他の3辺も同様に検査する)にも、本発明を適用することができる。つまり、基板保持部Hの側面形状に依らず、基板の外形が混在しても、基板Wの表面Wsや裏面Wbの境界Es,Ebの正確な位置を把握することができる。
【0045】
[撮像部2について]
本発明を具現化する上で、撮像部2の撮像カメラ21に備えられたレンズ22は、種々の方式(CCTVレンズ、マクロレンズ、非テレセンレンズ等)を選択し得るが、特に両側テレセントリック又は物体側テレセントリック光学系の結像レンズであることが好ましい。これらテレセントリック光学系の結像レンズであれば、ワーキングディスタンスが変化しても被検査領域Rの撮像サイズが変化しないため、撮像した画像Gから異物等Pのサイズを正確に測定することができるからである。
【0046】
<変形例1>
なお、撮像部2のレンズ22として、これらテレセントリック光学系の結像レンズを用いる場合、受光角の設定によっては、第2補助照明部42の発光部を基板Wの裏面Wbに極めて近づけないと、裏面Wbの境界Ebを明るくすることができず、境界Ebの正確な位置を把握することができない場合がある。しかし、発光部を裏面Wbに極めて近づけるのは、以下の観点から現実的には難しい。
・照明の発光部には、筐体の厚みに起因する非発光の枠部がある。
・照明が基板Wに接触することで、基板Wに傷を付けてしまう。
【0047】
そこで、撮像部2のレンズ22として、これらテレセントリック光学系の結像レンズを用い、受光角が狭い場合、以下の様な構成とすることが好ましい。
【0048】
図4は、本発明を具現化する形態の別の一例の全体構成を示す概略図である。
図4には、本発明に係る基板エッジ検査装置1Bの概略図が示されている。基板エッジ検査装置1Bは上述の基板エッジ検査装置1の補助照明部4に代えて、補助照明部4Bを備えている。なお、撮像部2、画像処理部5、検査部6、表裏面位置特定部7等は、概ね上述と同様の構成をしているため、詳細な説明は省く。
【0049】
補助照明部4Bは、撮像部2に向けて被検査領域Rより遠方側から補助照明光La,Lbを照射するものである。具体的には、補助照明部4Bは、第1補助照明部41と第2補助照明部42Bを備えている。なお、第1補助照明部41は、上述と同様の構成をしているため、詳細な説明は省く。
【0050】
第2補助照明部42Bは、基板Wを下面側Wbから保持する基板保持部Hの側面に設置した反射面43で反射させた第2補助照明光Lbを撮像部2に向けて照射させるものである。具体的には、第2補助照明部42Bは、被検査領域Rより遠方側(図では、基板WのエッジWeよりも左方)に配置された反射面43から第2補助照明光Lbを撮像部2に向けて照射するものである。より具体的には、第2補助照明部42Bは、反射面43と、当該反射面43に向けて発光部が配置されたLED照明を備えている。
【0051】
反射面43は、撮像カメラ21の視野に映り込むように配置されており、基板載置台H1の外周側面を粗面にして構成されている。そのため、反射面43に向けてLED照明から光を照射することで、反射面43で散乱した光が第2補助照明光Lbとして撮像部2に向けて照射される。
【0052】
なお、第2補助照明部42BのLED照明から反射面43に向けて照射される光は、基板WのエッジWeに対して外側(図では、基板WのエッジWeよりも右側)ないし下方から届かないように、照射範囲や照射角度を設定しておくか、遮蔽板を配置しておくことが好ましい。そうすることで、基板WのエッジWeで正反射した光によるハレーションが、撮像部2で撮像する画像P内に含まれることを防ぐことができる。
【0053】
[基板Wの形状について]
なお上述の基板エッジ検査装置1Bは、略円形状をした基板Wの検査に好適な構成である。この場合、基板保持部Hの側面(つまり、撮像部2と対向かい合う面)を全周に亘って粗面の反射面43で構成し、基板Wを回転ないし角度変更させて当該基板Wのエッジを検査する構成とする。
【0054】
この様な構成であれば、反射面43が曲面で構成されていても、反射面43が粗面なので当該反射面43に向けて照射した光が散乱し、当該散乱した光の一部が第2補助照明光Lbとして、撮像部2で撮像される。そして、基板Wの裏面Wb側の境界Ebがハレーションを起こさない程度に、適度な光量のバックライトとすることができるので、好ましい。また、撮像した画像G内での第2補助照明光Lbの輝度差(明るさの偏り)を減らすこともできる。特に、撮像部2がテレセントリック光学系の結像レンズを備えた構成の場合、受光角が狭く設定されていても、基板Wの裏面Wbの直近から第2補助照明光Lbを照射させることができるので、基板Wの裏面位置の検出精度を向上させることが出来るため、好ましい。
【0055】
<変形例2>
略矩形状の基板WのエッジWeを検査する構成として、下述の様にしても良い。
【0056】
図5は、本発明を具現化する形態のさらに別の一例の全体構成を示す概略図である。
図5には、本発明に係る基板エッジ検査装置1Cの概略図が示されている。基板エッジ検査装置1Cは上述の基板エッジ検査装置1の補助照明部4,基板保持部Hに代えて、補助照明部4C,基板保持部H’を備えている。なお、撮像部2、画像処理部5、検査部6、表裏面位置特定部7等は、概ね上述と同様の構成をしているため、詳細な説明は省く。
【0057】
基板保持部H’は、基板載置台H1Cを備えている。
【0058】
基板載置台H1Cは、基板Wの下面と接しつつ、当該下面に摩擦力や吸引力等をはたらかせることで、基板Wを所定の姿勢で保持するものである。具体的には、基板載置台H1Cは、略矩形状の基板Wの外径よりも小さな略四角錐台形状)で、所定の厚みを有する形状をしており、上面に基板Wを吸着保持等する手段が設けられている。
より具体的には、基板載置台H1Cは、基板WのエッジWeより内側に設定された領域を保持し、基板W側(上面側)より下面側が窄んだ形状をしており、側面が斜め下方に傾斜した反射面43Cで構成されている。
【0059】
補助照明部4Cは、撮像部2に向けて被検査領域Rより遠方側から補助照明光La,Lbを照射するものである。具体的には、補助照明部4Cは、第1補助照明部41Cと第2補助照明部42Cを備えている。
【0060】
第1補助照明部41Cは、基板Wの上面Ws側を通過させた第1補助照明光Laを撮像部2に向けて出射させると共に、基板Wのオーバーハング部(基板載置台H1Cで支えられていないところ)の下面Wb側を通過させた第2補助照明光Lb’を撮像部2に向けて出射させるものである。
具体的には、第1補助照明部41は、基板Wよりも左方(つまり、被検査領域Rより遠方側)から第1補助照明光Laと第2補助照明光Lb’を撮像部2に向けて照射するものである。より具体的には、第1補助照明部41は、撮像部2と向かい合うように発光部が配置されたLED照明を備えており、当該発光部が撮像カメラ21の視野に映り込むように配置されている。
【0061】
第2補助照明部42Cは、基板Wを下面側Wbから保持する基板保持部Hの側面に設置した反射面43Cで反射させた第2補助照明光Lbを撮像部2に向けて照射させるものである。具体的には、第2補助照明部42Cは、被検査領域Rより遠方側(図では、基板WのエッジWeよりも左方)に配置された反射面43Cから第2補助照明光Lbを撮像部2に向けて照射するものである。より具体的には、第2補助照明部42Cは、反射面43Cと、当該反射面43Cに向けて発光部が配置されたLED照明を備えている。
【0062】
反射面43Cは、上述の発光部から照射された光を反射させて、第2補助照明光Lbとして撮像部2に照射するものである。当該発光部は、撮像カメラ21の視野に映り込むように配置されており、反射面43Cは、基板載置台H1の外周側面に取り付けられたミラーまたは当該側面を鏡面状態にしたもので構成されている。
【0063】
なお、第2補助照明部42CのLED照明から反射面43Cに向けて照射される光は、基板WのエッジWeに対して外側(図では、基板WのエッジWeよりも右側)ないし下方から届かないように、照射範囲や照射角度を設定しておくか、遮蔽板を配置しておくことが好ましい。そうすれば、基板WのエッジWeからの反射光(異物等Pの検出に影響を与える可能性がある)が、画像Gに含まれてしまうのを防ぐことができる。
【0064】
この場合、反射面43Cに向けて斜め下方に配置したLED照明から光を照射し、反射面43Cからの反射光を、第2補助照明光Lbとして撮像部2で撮像する。そして、基板Wが略矩形状の場合、撮像部2の光軸2Lと直交する方向(図では、Y方向)に基板保持部H’を移動させることで、エッジWsの検査を行うことができる。このとき、反射面43もY方向に移動するため、反射面43が撮像部2の視野から外れるところ(つまり、オーバーハング部)では、第1補助照明部41から照射された第2補助照明光Lb’を用いる様な配置にしておく。そうすることで、基板Wが略矩形状であっても、本発明を適用することができる。
【0065】
基板エッジ検査装置1Cは、この様な構成をしているため、基板Wの表面Wsや裏面Wbの境界Es,Ebの正確な位置を把握することができる。
【0066】
[別の形態について]
なお上述では、基板エッジ検査装置1~1Cを例示し、撮像部2にて基板Wの厚み方向と直交する方向(図では、X方向)から被検査領域Rを撮像する形態を示した。この場合の直交方向は、完全な直角方向のみならず、直角方向を含む方向(交差する方向とも言い、図ではXY方向)であれば良い。
【0067】
また、撮像部2は、1台の撮像カメラで一方向から撮像する構成に限らず、複数台のカメラを用いて複数方向から撮像する構成であっても良い。具体的には、基板WのエッジWsの延長線上(つまり、同一XY平面内)に複数台の撮像カメラを設置する構成や、基板Wの厚み方向に設置位置をずらして複数台の撮像カメラを設置して斜め上方や斜め下方から被検査領域Rを撮像する構成等が例示できる。
【0068】
図6は、本発明を具現化する別の形態の一例の全体構成を示す概略図である。
図6には、本発明に係る基板エッジ検査装置1Dの概略図が示されている。基板エッジ検査装置1Dは上述の基板エッジ検査装置1の撮像部2と補助照明部4に代えて、撮像部2Dと補助照明部4Dを備えている。なお、画像処理部5、検査部6、表裏面位置特定部7等は、概ね上述と同様の構成をしているため、詳細な説明は省く。
【0069】
撮像部2Dは、基板WのエッジWeの被検査領域Rを、2台の撮像カメラ21,26で撮像するものである。
撮像カメラ21は、基板Wの下面Wb側から被検査領域R(つまり、裏面側の画像)を撮像するものである。
撮像カメラ26は、基板Wの上面Ws側から被検査領域R(つまり、表面側の画像)を撮像するものである。
【0070】
補助照明部4Dは、撮像部2Cに向けて被検査領域Rより遠方側から補助照明光La,Lbを照射するものである。
具体的には、補助照明部4Dは、第1補助照明部41Cと第2補助照明部42Dを備えている。
【0071】
第1補助照明部41Dは、基板Wの上面Ws側から斜め下方に向けて、第1補助照明光Laを撮像部2の撮像カメラ21に向けて出射させるものである。
具体的には、第1補助照明部41は、基板Wよりも左方(つまり、被検査領域Rより遠方側)から斜め下方に、第1補助照明光Laを撮像カメラ21に向けて照射するものである。
【0072】
第2補助照明部42Dは、基板Wの下面Wb側から斜め上方に向けて、第2補助照明光Lbを撮像部2の撮像カメラ26に向けて出射させるものである。
具体的には、第2補助照明部42は、基板Wよりも左方(つまり、被検査領域Rより遠方側)から斜め上方に、第2補助照明光Lbを撮像カメラ26に向けて照射するものである。
【0073】
図7は、本発明を具現化する別の形態の一例で撮像した画像図である。
図7(a)には、撮像部2Dの撮像カメラ21で基板WのエッジWeを斜め下方から見上げて撮像した、裏面側の画像Gbが示されている。
図7(b)には、撮像部2Dの撮像カメラ26で基板WのエッジWeを斜め上方から見下ろして撮像した、表面側の画像Gsが示されている。
【0074】
なお、撮像カメラ21で裏面側の画像Gbを撮像するときは、第1補助照明光Laを出射しつつ第2補助照明光Lbは出射しない。一方、撮像カメラ26で表面側の画像Gsを撮像するときは、第2補助照明光Lbを出射しつつ第1補助照明光Laは出射しない。そして、裏面側の画像と表面側の画像を切り替えて撮像を行うこととする。
【0075】
さらに、裏面側の画像Gbと表面側の画像Gsで重複して撮像される領域は、予め把握しておき、フィルタリング等により異物等Pがダブルカウントされないようにしておく。
【0076】
これら画像Gb,Gsにおいて、基板WのエッジWeがあるところは黒く撮像され、異物等Pがあれば白い輝点として撮像され、基板Wが無いところはグレーで撮像される。
【0077】
この様な構成をしているため、本発明に係る基板エッジ検査装置1Dは、撮像部2Dで撮像された裏面側の画像Gbと表面側の画像Gsにおいて、基板Wの表面Ws側の境界位置Esおよび裏面Wb側の境界位置Ebを特定することができる。
【0078】
[他の変形例]
[補助照明部4について]
なお上述では、補助照明部4を構成する第1補助照明部41や第2補助照明部42として、LED照明を備えた構成を例示した。しかし、補助照明部4を構成する照明手段は、LED照明に限らず、ランプ照明や光ファイバで導光された照明、レーザダイオード等を備えた構成であっても良い。また、第1補助照明部41は、撮像部2と向かい合うように発光部が配置された構成を例示したが、反射板や拡散板等を経由して光を照射する構成であっても良い。
【0079】
[撮像部2について]
なお上述では、撮像カメラとして、多数の受光素子が縦横二次元配列されたCCDやCMOS等の撮像素子(いわゆる、エリアセンサ)を備えた構成を例示した。しかし、撮像カメラの撮像素子は、二次元配列のエリアセンサに限らず、厚み方向に所定の長さを有する一次元配列のラインセンサで構成されていても良い。
【0080】
[検査用照明について]
なお上述では、本発明に係る基板エッジ検査装置として、暗視野照明光Lmを用いて異物等を検査する構成を例示した。しかし、本発明を具現化する上で、暗視野照明光Lmを用いた検査モードのみならず、明視野照明光を照射する手段等と明視野照明光を用いた検査モード等をさらに備え、これら検査モードを切り替えて検査する構成であっても良い。或いは、基板Wの表面にパターニングされた回路等を検査するモードを備え、検査モードを切り替えて検査する構成であっても良い。
【符号の説明】
【0081】
1 基板エッジ検査装置
2 撮像部
3 暗視野照明部
4 補助照明部
5 画像処理部
6 検査部
7 表裏面境界位置特定部
21 撮像カメラ
22 レンズ
23 撮像素子
41 第1補助照明部
42 第2補助照明部
43 反射面(粗面)
H 基板保持部
H1 基板載置台
M 相対移動部
CN コンピュータ
W 基板
We エッジ(端面)
Ws 基板の表面(上面)
Wb 基板の裏面(下面)
R 被検査領域
Es 表面側の境界
Eb 裏面側の境界
Lm 暗視野照明光
Ls 散乱光
La 第1補助照明光
Lb 第2補助照明光
L 観察光(撮像部で撮像される光)
P 異物等