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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】複数の災害時用簡易ベッドの空調装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 15/32 20060101AFI20231024BHJP
   A47C 21/04 20060101ALI20231024BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20231024BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20231024BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
E04H15/32 Z
A47C21/04 C
F24F7/06 B
F24F13/02 D
E04H1/12 302B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020028125
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021131000
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】奥村 洋治
(72)【発明者】
【氏名】平野 勝識
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 廣海
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-065383(JP,A)
【文献】登録実用新案第3027194(JP,U)
【文献】特開2002-147829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
A47C 21/04
E04H 15/00 - 15/16
F24F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面の上方に設けられ利用者が横たわる横たわり用シートと、前記横たわり用シートの周囲および上方を覆う目隠し用シートとを有する複数の災害時用簡易ベッドの空調装置であって、
電力により駆動される送風機と、
前記送風機の吹き出し口と前記複数の災害時用簡易ベッドそれぞれの前記目隠し用シートの内部とを接続し、前記送風機により送り出された空気を前記複数の災害時用簡易ベッドそれぞれの前記目隠し用シートの内部に送り込む送風管と、
を備え
前記送風管は、前記吹き出し口に着脱可能に取り付けられる主風管と、前記主風管から複数に分岐し空気を排出する排気口が設けられた複数の分配風管とから構成され、
前記複数の分配風管は、前記複数の災害時用簡易ベッドそれぞれの前記横たわり用シートの下方に差し込まれ、
前記排気口は、空気を上方に向けて排出するように前記複数の分配風管の上面に開閉可能に設けられ、空気を前記横たわり用シートの下面に向けて排出する、
ことを特徴とする複数の災害時用簡易ベッドの空調装置。
【請求項2】
前記主風管は、開口部を有し前記複数の分配風管を着脱可能に取り付ける複数の取り付け部が設けられ、
前記複数の取り付け部は、前記分配風管が取り付けられていない場合は前記開口部が閉じられている、
ことを特徴とする請求項に記載の複数の災害時用簡易ベッドの空調装置。
【請求項3】
前記送風機に電力を供給する一次電池または二次電池からなる電池部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の複数の災害時用簡易ベッドの空調装置。
【請求項4】
前記送風機に電力を供給する一次電池または二次電池からなる電池部と、
商用電源を用いた商用電源部と、
前記電池部と前記商用電源部とを切り換えて前記送風機に接続する電源切り換え部とを備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の複数の災害時用簡易ベッドの空調装置。
【請求項5】
電力を発生させ前記送風機に供給する発電機をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の複数の災害時用簡易ベッドの空調装置。
【請求項6】
前記送風管は、折り畳み可能な素材で作製されている、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の複数の災害時用簡易ベッドの空調装置。
【請求項7】
冷気を送り出す冷房装置と、
前記冷房装置の冷気の吹き出し口と前記送風機の空気の吸い込み口とに着脱可能に取り付けられ、前記冷房装置により送り出された冷気を前記送風機に送り込む配管と、をさらに備え、
前記送風機は、前記吸い込み口から吸い込んだ冷気を送り出し、
前記送風管は、前記送風機により送り出された冷気を前記複数の災害時用簡易ベッドそれぞれの前記目隠し用シートの内部に送り込む、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の複数の災害時用簡易ベッドの空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の災害時用簡易ベッドの空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、津波、地震、火山の噴火、大雨による土砂崩れなどの災害時、余儀なく自宅から離れなければならない場合、多くの人は体育館や学校などの避難所に避難する。
避難所では、単一の空間に多くの人が収容され、飲料水や食べ物が支給されると共に、就寝用のための毛布などが支給される。
このようなことから避難所では、プライバシーを保護する空間を確保できるように目隠し用シートを備える災害時用簡易ベッドが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-160030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、体育館や学校などの避難所は、上述したように多くの人が収容されるため、室温が上昇して不快に感じることがある。特に気温の高い夏場などでは、著しく室温が上昇してしまい不快感がさらに増してしまう。このような環境下において従来の災害時用簡易ベッドを使用すると、目隠し用シートが空気の流れを遮断するため災害時用簡易ベッドの内部の温度はさらに上昇してしまう。
このため、避難所と外部とを容易に往来できない病人や負傷者は、常に災害時用簡易ベッドの内部に横たわることになるため、体調が悪化してしまうことが考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、災害時に避難所の複数の災害時用簡易ベッドにそれぞれ横たわっている病人などのプライバシーを保護するとともに、快適性を向上させて病人などを保護する複数の災害時用簡易ベッドの空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するため本発明は、床面の上方に設けられ利用者が横たわる横たわり用シートと、前記横たわり用シートの周囲および上方を覆う目隠し用シートとを有する複数の災害時用簡易ベッドの空調装置であって、電力により駆動される送風機と、前記送風機の吹き出し口と前記複数の災害時用簡易ベッドそれぞれの前記目隠し用シートの内部とを接続し、前記送風機により送り出された空気を前記複数の災害時用簡易ベッドそれぞれの前記目隠し用シートの内部に送り込む送風管とを備える。
【発明の効果】
【0006】
送風機により送り出された空気を送風管により複数の災害時用簡易ベッドそれぞれの目隠しシートの内部に送り込むことで、災害時に避難所に設置された災害時用簡易ベッドで横たわっている複数の病人などのプライバシーを保護するとともに、快適性を向上させて複数の病人などを保護する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態にかかる複数の災害時用簡易ベッドの空調装置の全体構成を示す模式図である。
図2】災害時用簡易ベッドの斜視図である。
図3】送風機の機能ブロック図である。
図4】送風管の斜視図である。
図5】主風管の端部を示す図である。
図6】分配風管を示す図である。
図7】第1の実施の形態に示す災害時用簡易ベッドの空調装置による空気の流れを示す図である。
図8】第2の実施の形態にかかる複数の災害時用簡易ベッドの空調装置の全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下に添付図面を参照して、第1の実施の形態にかかる複数の災害時用簡易ベッドの空調装置1について説明する。
図1に示すように、本実施の形態の複数の災害時用簡易ベッドの空調装置1は、送風機20と、送風管30とを備え、避難所などに設置された複数の災害時用簡易ベッド10に用いられる。
本実施の形態の複数の災害時用簡易ベッドの空調装置1は、送風機20により送り出された空気を送風管30により10台の災害時用簡易ベッド10の内部に送り込むものであるが、災害時用簡易ベッド10の台数は任意である。
なお、図1では、複数の災害時用簡易ベッドの空調装置1を模式的に表しているため、各構成の大きさは現実の比率と異なっている。
【0009】
図2に示すように、災害時用簡易ベッド10は、パイプ材で形成されたフレーム12と、フレーム12で支持され床から上方に離れた箇所に設けられた利用者が横たわるための横たわり用シート16と、横たわり用シート16の周囲および上方を覆う目隠し用シート18とを備えている。
本実施の形態では、目隠し用シート18は4つの側面と、それら側面の上縁に接続された上面とを備え、4つの側面の一つに出入り口が設けられている。
なお、災害時用簡易ベッド10には、横たわり用シート16と目隠し用シート18とを備える従来公知の様々な災害時用簡易ベッドが適用可能である。
本実施の形態では、複数の災害時用簡易ベッド10が所定の位置に並べられて設置されている。
【0010】
送風機20は、電力により駆動することで羽根車を回転させ、吸い込み口22から吸い込んだ空気を吹き出し口24から送り出すものであって、本実施の形態では、吹き出し口24に送風管30が取り付けられている。
送風機20は、空気を送り出すものであれば形状は問わず公知の他の送風機を用いてもよい。
また、送風機20は、CPU、制御プログラム等を格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成されており、CPUが制御プログラムを実行することにより、図3に示すように、入力受付部70A、電力制御部70B、風量調節部70C、タイマ部70D、表示制御部70Eとして機能する。
【0011】
また、送風機20の内部には、電源として、送風機20の羽根車を回転させるために供給される電力を蓄える電池部が備えられており、本実施の形態では一次電池や二次電池からなる電池部が保持されている。
なお、電源は、送風機20に電力を供給できれば公知の電源を用いてもよく、内部に保持された電池部でなくとも、例えば、電力を発生させて供給する発電機や、USB接続のモバイルバッテリ、AC電源からUSB変換した電源、ソーラー電源を用いてもよい。
また、例えば、電源として、一次電池または二次電池からなる電池部と、商用電源を用いた商用電源部と、それら電池部と商用電源部とを切り換えて送風機に接続する電源切り換え部とを備えた構成とし、災害などにより商用電源が使用できなくなった場合に商用電源部から電池部に切り換えるようにしてもよい。これにより、災害時に停電になった場合でもより長く送風機20を使用することができる。
【0012】
入力受付部20Aは、利用者により送風機20の外部に設けられた不図示の各種入力ボタン(電源ボタン、風量設定ボタン、タイマ設定ボタン等)が操作されることで各種入力ボタンに対応する指示を受け付ける。
具体的には、入力受付部20Aは、電源ボタンが操作されることにより、電池部から送風機20へ電力を供給する電力供給開始指示、電池部から送風機20への電力の供給を停止する電力供給停止指示を受け付ける。
また、入力受付部20Aは、風量設定ボタンが操作されることにより、例えば、送風機20の風量を弱めにする弱風指示、風量を強めにする強風指示を受け付ける。
また、入力受付部20Aは、タイマ設定ボタンが操作されることにより、送風機20を停止させるまでの停止設定時間を受け付ける。
【0013】
電力制御部20Bは、電池部から送風機46への電力供給の有無、電力量を制御する。
すなわち、電力制御部20Bは、入力受付部20Aにより電源供給開始指示を受け付けた場合、電池部から送風機20への電力供給を開始する。
また、電力制御部20Bは、入力受付部20Aにより電源供給停止指示を受け付けた場合、電池部からの送風機20への電力供給を停止する。
【0014】
風量調節部20Cは、設定された風量に対応する量の電力を、電力制御部20Bを介して送風機20に供給する。
すなわち、入力受付部20Aにより弱風指示を受け付けた場合、弱めの風量を送り出すための電力量を電力制御部20Bを介して送風機20に供給する。
入力受付部20Aにより強風指示を受け付けた場合、強めの風量を送り出すための電力量を電力制御部20Bを介して送風機20に供給する。
【0015】
タイマ部20Dは、入力受付部20Aにより停止設定時間を受け付けた場合、設定された時間が経過した際に電力制御部20Bを介して送風機20への電力の供給を停止させる。
【0016】
表示制御部20Eは、送風機20の駆動状況や電源の有無を、送風機20の外部側の面に設けられた表示画面(不図示)に表示するものである。
例えば、表示制御部20Eは、入力受付部20Aが電源供給開始指示を受け付けた場合はその旨(例えば「運転中」「電源ON」など)を表示し、設定された風量(例えば「弱風」「強風」など)を表示する。
また、表示制御部20Eは、例えば、入力受付部20Aが電源供給停止指示を受け付けた場合は、表示画面の表示をしないことで駆動していない旨を示す。
なお、表示制御部20Eは、表示画面に文字等を表示するだけでなく、ランプ(表示部)を点灯させる色などにより、送風機20の駆動状況や電源の有無などを表示する構成としてもよい。
【0017】
図1に戻り、送風管30は、例えば、ナイロンやポリエステルなどの折り畳み可能な素材で作製された管(ダクト)であって、送風機20の吹き出し口24と複数の災害時用簡易ベッド10それぞれの目隠し用シート18の内部とを接続し、送風機20により送り出された空気を複数の災害時用簡易ベッド10それぞれの目隠し用シート18の内部に送り込むものである。
送風管30は、図4、5、6に示すように、送風機20の吹き出し口24に着脱可能に取り付けられる主風管32と、主風管32から複数に分岐し空気を排出する排気口34Aが設けられた複数の分配風管34とから構成されている。
送風管30は、上述したように折り畳み可能であるため、持ち運びや設置がしやすく利便性を向上させる上で有利となる。
【0018】
主風管32は、図4、5に示すように、所定の長さを有する管であって、その両脇の外周面に複数の分配風管34を着脱可能に取り付けるための複数の取り付け部3206が設けられている。
主風管32は、一方の端部3202が送風機20の吹き出し口に着脱可能に取り付けられ、他方の端部3204は空気が排出されないように閉じられている。
主風管32と送風機20の取り付け方法は、例えば、主風管32の一方の端部3202が送風機20の吹き出し口24を覆うように被せられ、その端部3202の外周に沿って設けられた紐3204が引っ張られることで端部3202がつぼめられて吹き出し口24に取り付けられる。また、紐3204が緩められることで端部3202が広げられ、送風機20の吹き出し口24から抜いて取り外すことができる。
【0019】
また、主風管32と送風機20の取り付け方法は、上記に限定されず、着脱可能であれば公知の様々な取り付け方法を用いることができる。
すなわち、他にも例えば、面ファスナーにより主風管32と送風機20を着脱可能に取り付けてもよい。具体的には、送風機20の吹き出し口24側の外周面に面ファスナーのオス(フック側)を取り付け、主風管32の一方の端部3202の内周面に面ファスナーのメス(ループ側)を取り付け、面ファスナーのオスとメスの着脱により、主風管32と送風機20を着脱可能に取り付けてもよい。
【0020】
このような主風管32は、一方の端部3202に接続された送風機20から内部に空気が封入されていくと断面が円形状になるように膨らみながら空気を通過させ、外周面に取り付けられた分配風管34に空気を送り込んでいく。主風管32と分配風管34との取り付け方法については後述する。
【0021】
複数の分配風管34は、図6に示すように、横たわり用シート16より小さい長方形形状に形成され、空気が封入されると管状に膨らむ外周部3402が設けられ、外周部3402の短辺側の一方には主風管32に取り付けるための取り付け部3406が設けられ、外周部3402の長辺側には排気口34Aが設けられている。
本実施の形態の排気口34Aは、空気を上方に向けて排出するように分配風管34の外周部4302の上面に設けられており、ファスナー3404により開閉可能となっている。したがって、ファスナー3404が開いている場合に空気を排出させ、ファスナー3404が閉じられている場合は空気が排出されないようになっている。
本実施の形態では、排気口34Aは、分配風管34の外周部3402の対角線上近傍に2つ設けられているが、空気を上方に向けて排出するように外周部3402の上面に設けられていれば、個数や設置場所は任意である。
また、分配風管34は、使用時には複数の災害時用簡易ベッド10の横たわり用シート16の下方にそれぞれ差し込まれ、排気口34Aから排出された空気を横たわり用シート16の下面に向けて排出する。
【0022】
主風管32と分配風管34との取り付け方法について説明する。
主風管32の複数の取り付け部3206は、図4、5に示すように、管の両脇の外周面に複数設けられ、空気を排出できるように開口部3206Aを有している。
また、分配風管34の取り付け部3406は、図4、6に示すように、外周部3402の短辺側に設けられ、空気を取り込めるように開口部3406Aを有している。
主風管32と分配風管34は、これら取り付け部3206と取り付け部3406とにより取り付けられており、その方法は、例えば、面ファスナーにより着脱可能に取り付けられている。
具体的には、主風管32の取り付け部3206の上側に位置する端部の裏面に面ファスナーのオスを取り付け、取り付け部3206の下側に位置する端部の裏面に面ファスナーのメスを取り付ける。一方、分配風管34の取り付け部3406の上側に位置する端部の表面に面ファスナーのメスを取り付け、取り付け部3406の下側に位置する端部の表面に面ファスナーのオスを取り付ける。
すなわち、取り付け部3206と取り付け部3406とは上下反対に面ファスナーのオスとメスが取り付けられており、上側と下側の面ファスナーのオスとメスをそれぞれ着脱することにより、主風管32と分配風管34とが着脱可能に取り付けられている。
また、主風管32の取り付け部3206が面ファスナーのオス、下側が面ファスナーのメスとなっているため、分配風管34が取り付けられていない場合は、主風管32の取り付け部3206の上側と下側を合わせることで開口部3206Aを閉じることができる。したがって、避難所に設置されている災害時用簡易ベッド10が取り付け部3206の数より少ない場合は、災害時用簡易ベッド10の個数に合わせて分配風管34を取り付けて空調装置1を使用することができる。
なお、主風管32と分配風管34の取り付け方法は、着脱可能であれば公知の様々な取り付け方法を用いることができる。
【0023】
このような送風管30は、主風管32の一方の端部3202が送風機20の吹き出し口24に取り付けられ、主風管32に取り付けられた分配風管34が横たわり用シート16の下方に差し込まれて床面上に載置されている。
このため、図7の矢印で示すように、複数の災害時用簡易ベッドの空調装置1は、送風機20により送り出された空気を、送風管30によって横たわり用シート16の下方で目隠し用シート18の側面により囲まれた空間に送り込む。
【0024】
以上のように構成された複数の災害時用簡易ベッドの空調装置1を使用する場合について説明する。
送風機20および折り畳まれた状態の送風管30を所望の位置まで運び、送風管30の主風管32を設置し、必要な個数の分配風管34を取り付ける。
そして、分配風管34を複数の災害時用簡易ベッド10それぞれの横たわり用シート16の下方に差し込んで載置する。
次に、送風管30の主風管32の一方の端部3202を送風機20の吹き出し口24に取り付ける。
そして、利用者の操作により送風機20の電源が投入され所望の風量が設定されると、送風機20から送り出された空気が送風管30の内部を通過して、災害時用簡易ベッド10の横たわり用シート16の下方に送り込まれ、排気口34Aから横たわり用シート16の下面に向けて空気が排出される。
【0025】
本実施の形態の複数の災害時用管にベッドの空調装置1によれば、床面の上方に設けられ利用者が横たわる横たわり用シート16と、横たわり用シート16の周囲および上方を覆う目隠し用シート18とを有する複数の災害時用簡易ベッド10が避難所に設置されている場合に、送風機20により送り出された空気を送風管30により災害時用簡易ベッド10それぞれの目隠しシート18の内部に送り込むことで、災害時に避難所に設置された災害時用簡易ベッドで横たわっている複数の病人などのプライバシーを保護するとともに、快適性を向上させて複数の病人などを保護する上で有利となる。
また、送風管30の複数の分配風管34は、複数の災害時用簡易ベッド10それぞれの横たわり用シート16の下方に差し込まれ、分配風管34の上面に設けられた排気口34Aから空気を横たわり用シート16の下面に向けて排出する。このため、横たわり用シート16の下面に空気を当てながら、目隠し用シート18の内部に空気を送り込むことができ、病人などに直接空気を当てることを回避するとともに、横たわり用シート16の下方に籠っている熱気を排出して換気し、快適性を向上させる。
また、送風管30は、折り畳み可能な素材で形成されているため、持ち運びが容易で所望の位置に設置しやすく利便性を向上させる上で有利となる。
また、送風管30は、主風管32の取り付け部3206と分配風管34の取り付け部3406とによって主風管32に複数の分配風管34それぞれが取り付けられ、分配風管34が取り付けられない場合は主風管32の取り付け部3206の開口部3206Aを空気が排出されてないように閉じておくことができる。このため、本実施の形態の複数の災害時用管にベッドの空調装置1は、避難所に設置された災害時用簡易ベッド10の台数(災害時用簡易ベッド10を利用する人数)に応じて分配風管34を取り付けて使用することができるため、利便性を向上させる上でさらに有利となる。
【0026】
また、送風機20の電源として電池を用いているため、停電時が長期に続く場合であっても、快適性を向上させる上で有利となる。すなわち、例えば、気温の高い夏場の避難所では多くの人が収容されるため著しく室温が上昇し、目隠し用シート18により空気の流れが遮断されている災害時用簡易ベッド10の内部はさらに温度が上昇してしまい、体温よりかなり高い40度以上になってしまうことも考えられる。このような環境下で、災害時用簡易ベッド10に避難所と外部とを容易に往来できない病人などが横たわっていると、内部が高温になることで病状がさらに悪化してしまうことが想定される。本実施の形態では電源として電池を用いているため、停電になっても電池により空調装置1を駆動させ、災害時用簡易ベッド10の内部に送風機20から送り出された空気を送り込むとともに内部を換気することができる。したがって、災害時用簡易ベッドに横たわっている病人などの快適性を向上させ、病状の悪化を抑制して病人などを保護する上で有利となる。
【0027】
なお、第1の実施の形態の送風機20は、避難所内の床面に設置されているが、災害時用簡易ベッド10から避難所の外までを繋ぐことが可能な長い送風管30を取り付けることで、送風機20を避難所などの建物の外部に設置してもよい。これにより、災害時用簡易ベッド10の内部に建物の外気を取り入れることができるため、避難所などの建物の内部に籠っている臭気を排出して建物の外気により換気することができ、快適性をさらに向上させることができる。
【0028】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、送風機により送り出した空気を災害時用簡易ベッドの目隠し用シートの内部に送り込んでいたのに対して、第2の実施の形態の複数の災害時用簡易ベッドの空調装置2では、冷房装置から送り出された冷気を送風機により送り出して災害時用簡易ベッドの目隠し用シートの内部に送り込む点が異なっている。
なお、以下の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同様な個所、部材に同一の符号を付してその説明を省略し、第1の実施の形態と異なった個所について重点的に説明する。
【0029】
図8に示すように、本実施の形態の複数の災害時用簡易ベッドの空調装置2は、送風機20と、送風管30と、冷房装置50と、配管60とを備え、避難所などに設置された複数の災害時用簡易ベッド10に用いられる。
なお、図8では、図1と同様に、複数の災害時用簡易ベッドの空調装置2を模式的に表しているため、各構成の大きさは現実の比率と異なっている。
【0030】
冷房装置50は、電力により駆動することで空気を冷却し吹き出し口52から冷却した空気(冷気)を送り出すものである。
本実施の形態の冷房装置50は、電源として例えば商用電源を用いた構成となっているが、電源は冷房装置50に電力を供給できればよく、冷房装置50が駆動するに足る電力を蓄えた一次電池や二次電池、電力を発生させる発電機などを用いてもよい。
また、送風機20と同様に、例えば、電源として、一次電池または二次電池からなる電池部と、商用電源を用いた商用電源部と、それら電池部と商用電源部とを切り換えて送風機に接続する電源切り換え部とを備えた構成とし、災害などにより商用電源が使用できなくなった場合に商用電源部から電池部に切り換えるようにしてもよい。これにより、災害時に停電になった場合でもより長く冷房装置50を使用することができる。
【0031】
配管60は、例えばプラスチック製の段ボールで作製された管(ダクト)であって、冷房装置50の冷気の吹き出し口52と送風機20の空気の吸い込み口22に着脱可能に取り付けられ、冷房装置50により送り出された冷気を内部に通過させて送風機20に送り込むものである。
配管60は、断面が矩形形状に形成された第1の配管6002および第2の配管6004と、断面が送風機20の吸い込み口22の形状に合わせて円形形状に形成された第3の配管6006とから構成されている。
第1の配管6002は、冷房装置50と第2の配管6004とを接続する管であって、冷房装置50から送り出される冷気を取り込む開口部が形成され、吹き出し口52とその開口部とが合わせて取り付けられている。
第2の配管6004は、第1の配管6002と第3の配管6004とを接続する管であって、冷気を床面まで運ぶように鉛直方向に設けられている。
第3の配管6006は、第2の配管6004と送風機20の吸い込み口22とを接続する管である。
【0032】
配管60と冷房装置50の取り付けは、例えば、面ファスナーにより取り付ける。具体的には、冷房装置50の吹き出し口52の周囲に面ファスナーのオス(フック側)を取り付け、送風管60の第1の配管6002の開口部の周囲に面ファスナーのメス(ループ側)を取り付け、面ファスナーのオスとメスの着脱により、配管60を冷房装置50に着脱可能に取り付ける。
また、同様に、配管60と送風機20の取り付けも、例えば、面ファスナーにより取り付ける。具体的には、送風機20の吸い込み口22の周囲に面ファスナーのオス(フック側)を取り付け、送風管60の第3の配管6002の端部の外周面から吐出する環板状の突出部の端部側に面ファスナーのメス(ループ側)を取り付け、面ファスナーのオスとメスの着脱により、配管60を送風機20に着脱可能に取り付ける。
なお、配管60と冷房装置50の取り付け方法、および配管60と送風機20の取り付け方法は、着脱可能であれば公知の様々な取り付け方法を用いることができる。また、災害は緊急時であるため、配管60の取り付けや各配管の取り付けは、粘着テープ等により接続してもよい。
【0033】
このように、本実施の形態では、冷房装置50から送り出された冷気を配管60により送風機20の吸い込み口22に送ることで、送風機20は、吸い込み口22から吸い込んだ冷気を送風管30に向けて送り出す。
そして、送風管30は、第1の実施の形態と同様に、主風管32の一方の端部3202が送風機20の吹き出し口24に取り付けられ、主風管32に取り付けられた分配風管34が横たわり用シート16の下方に差し込まれて床面上に載置されている。
このため、複数の災害時用簡易ベッドの空調装置2は、冷房装置50から配管60により送風機20に送り出され、送風機20により送り出された冷気を、送風管30によって横たわり用シート16の下方で目隠し用シート18の側面により囲まれた空間に送り込む(第1の実施の形態の図7参照)。
【0034】
以上のように構成された複数の災害時用簡易ベッドの空調装置2を使用する場合、送風機20および折り畳まれた状態の送風管30を冷房装置50の近傍の所望の位置まで運び、配管60を取り付け冷房装置50と送風機20とを接続する。
その後は、第1の実施の形態と同様に、送風管30の主風管32を設置し、必要な個数の分配風管34を取り付け、分配風管34を複数の災害時用簡易ベッド10それぞれの横たわり用シート16の下方に差し込んで載置し、送風管30の主風管32を送風機20の吹き出し口24に取り付け、送風機20の電源を投入する。
【0035】
本実施の形態の複数の災害時用簡易ベッドの空調装置2によれば、第1の実施の形態の効果と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態の複数の災害時用簡易ベッドの空調装置2では、配管60により冷房装置50と送風機20とが接続されているため、冷房装置50から送り出された冷気を送風機20が吸い込み、送風管30を介してそれぞれの災害時用簡易ベッド10に送り込む。したがって、冷気を送り込まれた災害時用簡易ベッド10の内部の温度を、空気を送り込んだ場合より早く低下させることができ、災害時用簡易ベッドに横たわっている病人などの快適性を迅速に向上させ、病状の悪化を抑制して病人などを保護する上で有利となる。
また、冷房装置50から送り出された冷気を災害時用簡易ベッド10の内部を取り入れることができるため、空気を清浄化する冷房装置50であれば、避難所などの建物の内部に籠っている臭気を排出して清浄化された冷気により換気することができ、快適性をさらに向上させることができる。
【0036】
上述した第1、2の実施の形態の災害時用簡易ベッドの空調装置は、主風管32の両側に対称的に分配風管34が取り付けられる構成となっていたが、互い違いに取り付けられるよう取り付け部3206を設けて非対称的に取り付ける構成としてもよい。また、主風管32の片側のみに分配風管34を取り付けられるよう取り付け部3206を設けて構成してもよい。これにより、災害時用簡易ベッド10を利用する病人等のプライバシー保護を図る上で有利となる。
【0037】
また、第1、2の複数の災害時用簡易ベッドの空調装置は、避難所などの災害時用簡易ベッドに用いた例を示したが、避難所の災害時用簡易ベッドに限定されず、自宅などに置かれている複数の災害時用簡易ベッドに用いてもよい。
また、空調装置の用途は、災害時用簡易ベッドに限定されず、災害時の種々の状況に応じて使用可能である。したがって、例えば、避難所内に設置した簡易テント等の内部に空気または冷気を送り込み、簡易テント内で横たわっている病人などの快適性を向上させ、病状の悪化を抑制して病人などを保護することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1、2 空調装置
10 災害時用簡易ベッド
12 フレーム
16 横たわり用シート
18 目隠し用シート
20 送風機
20A 入力受付部
20B 電力制御部
20C 風量調節部
20D タイマ部
20E 表示制御部
22 吸い込み口
24 吹き出し口
30 送風管
32 主風管
3202、3204 端部
3204 紐
3206 取り付け部
3206A 開口部
34 分配風管
34A 排気口
3402 外周部
3404 ファスナー
3406 取り付け部
3406 開口部
50 冷房装置
60 配管
6002 第1の配管
6004 第2の配管
6006 第3の配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8