(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】消火器用圧力計および目盛板
(51)【国際特許分類】
A62C 13/76 20060101AFI20231024BHJP
G01L 7/04 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A62C13/76 Z
G01L7/04
(21)【出願番号】P 2020041807
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000150707
【氏名又は名称】長野計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲靖
(72)【発明者】
【氏名】西村 雅史
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-033340(JP,A)
【文献】特開2012-026872(JP,A)
【文献】実開平03-057622(JP,U)
【文献】特開2003-106917(JP,A)
【文献】特許第3426167(JP,B2)
【文献】米国特許第04279161(US,A)
【文献】登録実用新案第3211528(JP,U)
【文献】特開2000-305495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
G01L 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計測部に連結され、金属製で板状に形成されるケース本体と、
前記ケース本体に取り付けられ、前記ケース本体とともに収納空間を形成する樹脂製の透明カバー部と、
前記収納空間に収納され、前記被計測部からの圧力が導入されるブルドン管と、
前記ブルドン管の外周部に設けられる指針部と、
前記被計測部の圧力を示す記号が表示され、前記ケース本体に取り付けられる目盛板とを備え、
前記目盛板は、基層と、第1色に着色された第1着色層と、透明な透明層と、前記第1色とは異なる第2色に着色された第2着色層と順に積層されて構成され、
前記目盛板のゼロ点を示す位置には、前記第2着色層および前記透明層にわたって凹部が形成される
ことを特徴とする消火器用圧力計。
【請求項2】
請求項1に記載の消火器用圧力計において、
前記第1着色層は、前記基層に印刷することで形成される
ことを特徴とする消火器用圧力計。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の消火器用圧力計において、
前記第2着色層は、前記透明層に印刷することで形成される
ことを特徴とする消火器用圧力計。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の消火器用圧力計において、
前記第1色と前記第2色とは、反対色の関係にある
ことを特徴とする消火器用圧力計。
【請求項5】
消火器用圧力計に用いられる目盛板であって、
基層と、第1色に着色された第1着色層と、透明な透明層と、前記第1色とは異なる第2色に着色された第2着色層と順に積層されて構成され、
ゼロ点を示す位置には、前記第2着色層および前記透明層にわたって凹部が形成される
ことを特徴とする目盛板。
【請求項6】
被計測部に連結され、金属製で板状に形成されるケース本体と、
前記ケース本体に取り付けられ、前記ケース本体とともに収納空間を形成する樹脂製の透明カバー部と、
前記収納空間に収納され、前記被計測部からの圧力が導入されるブルドン管と、
前記ブルドン管の外周部に設けられる指針部と、
前記被計測部の圧力を示す記号が表示され、前記ケース本体に取り付けられる目盛板とを備え、
前記目盛板には、ゼロ点を示す位置に、レーザー照射によって形成されたゼロ位置印が表示されている
ことを特徴とする消火器用圧力計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火器用圧力計および目盛板に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄圧方式の消火器に取り付けられる圧力計が知られている(例えば、特許文献1等)。
特許文献1の圧力計では、ケース本体に透明カバーが取り付けられ、当該ケース本体と透明カバーとの間に形成された収納空間に、ブルドン管や指針部等が収納されて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の圧力計では、目盛板部に、消火器の圧力を示す数字や、ゼロ点を示す記号等が表示されている。ここで、特許文献1のような消火器用の圧力計では、消火器の圧力を示す数字が正確に表示されることが求められる。そのため、通常、ブルドン管に規定の圧力、例えば、0.70MPaの圧力を導入させ、この状態で指針部が指示する位置に消火器の圧力を示す記号が位置するように、目盛板の位置を調整する。この場合、ブルドン管に導入された圧力を解放させた際に、指針部が指示する位置にゼロ点を示す記号が位置しないことがある。そうすると、このような圧力計は不良品として取り扱われることになるので、圧力計の歩留まりが悪くなってしまうといった問題がある。
【0005】
本発明の目的は、歩留まりを向上できる消火器用圧力計および目盛板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の消火器用圧力計は、被計測部に連結され、金属製で板状に形成されるケース本体と、前記ケース本体に取り付けられ、前記ケース本体とともに収納空間を形成する樹脂製の透明カバー部と、前記収納空間に収納され、前記被計測部からの圧力が導入されるブルドン管と、前記ブルドン管の外周部に設けられる指針部と、前記被計測部の圧力を示す記号が表示され、前記ケース本体に取り付けられる目盛板とを備え、前記目盛板は、基層と、第1色に着色された第1着色層と、透明な透明層と、前記第1色とは異なる第2色に着色された第2着色層と順に積層されて構成され、前記目盛板のゼロ点を示す位置には、前記第2着色層および前記透明層にわたって凹部が形成されることを特徴とする。
【0007】
本発明では、目盛板が、基層と、第1色に着色された第1着色層と、透明な透明層と、第2色に着色された第2着色層と順に積層されて構成される。そして、目盛板のゼロ点を示す位置には、第2着色層および透明層にわたって凹部が形成されている。
これにより、ケース本体、ブルドン管、指針部、および、目盛板を組み立てた状態で、かつ、ブルドン管内の圧力が解放された状態で、指針部が指示する位置に、例えば、レーザー照射装置等を用いて、第2着色層および透明層にわたって凹部を設けることができる。そのため、目盛板に、凹部により構成されるゼロ点を示す記号を正確に表示させることができるので、消火器用圧力計の歩留まりを向上させることができる。
【0008】
本発明の消火器用圧力計において、前記第1着色層は、前記基層に印刷することで形成されることが好ましい。
この構成では、第1着色層は、基層に印刷することで形成されるので、容易に形成することができる。そのため、消火器用圧力計の製作を容易にすることができる。
【0009】
本発明の消火器用圧力計において、前記第2着色層は、前記透明層に印刷することで形成されることが好ましい。
この構成では、第2着色層は、透明層に印刷することで形成されるので、容易に形成することができる。そのため、消火器用圧力計の製作を容易にすることができる。
【0010】
本発明の消火器用圧力計において、第1色と第2色とは、反対色の関係にあることが好ましい。
ここで、反対色とは、色相環で正反対の色の隣近辺の色を意味し、例えば、赤と緑との関係を反対色と称する。また、本明細書では、白と黒との関係等、明度や彩度が互いに反対側に位置する場合も、反対色として説明する。
この構成では、第1色と第2色とは、反対色の関係にある。そして、ゼロ点を示す位置には、第2着色層および透明層にわたって凹部が形成されているので、第1色が視認できることになり、それ以外の箇所は第2色が視認できることになる。そのため、ゼロ点を示す位置を視認しやすくすることができる。
【0011】
本発明の目盛板は、消火器用圧力計に用いられる目盛板であって、基層と、第1色に着色された第1着色層と、透明な透明層と、前記第1色とは異なる第2色に着色された第2着色層と順に積層されて構成され、ゼロ点を示す位置には、前記第2着色層および前記透明層にわたって凹部が形成されることを特徴とする。
この構成では、上述したのと同様の効果を奏することができる。
【0012】
本発明の消火器用圧力計は、被計測部に連結され、金属製で板状に形成されるケース本体と、前記ケース本体に取り付けられ、前記ケース本体とともに収納空間を形成する樹脂製の透明カバー部と、前記収納空間に収納され、前記被計測部からの圧力が導入されるブルドン管と、前記ブルドン管の外周部に設けられる指針部と、前記被計測部の圧力を示す記号が表示され、前記ケース本体に取り付けられる目盛板とを備え、前記目盛板には、ゼロ点を示す位置に、レーザー照射によって形成されたゼロ位置印が表示されていることを特徴とする。
この構成では、目盛板には、ゼロ点を示す位置に、レーザー照射によって形成されたゼロ位置印が表示されている。これにより、ケース本体、ブルドン管、指針部、および、目盛板を組み立てた状態で、かつ、ブルドン管内の圧力が解放された状態で、指針部が指示する位置にレーザー照射によってゼロ位置印を形成できる。そのため、目盛板にゼロ点を示すゼロ位置印を正確に表示させることができるので、消火器用の圧力計の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る消火器の概略を示す正面図。
【
図4】前記実施形態の目盛板の概略を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の消火器100の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の消火器100は、消火剤を収納する耐圧容器110と、耐圧容器110内の圧力を表示する圧力計1と、耐圧容器110内の消火剤を噴出させるためのレバー120と、消火剤を火元に導出させるためのホース130と、を備える蓄圧式の消火器である。
【0015】
耐圧容器110は、アルミニウム合金等により形成されており、内面側に腐食防止層等が形成されている。そして、耐圧容器110の内部に、粉末状や液体状の消火剤が封入されている。さらに、耐圧容器110の内部には、消火剤とともに、内圧が規定の圧力範囲となるように窒素ガス等が封入されている。そして、本実施形態の消火器100は、耐圧容器110の内圧が規定の圧力範囲であるかを、圧力計1にて確認できるように構成されている。
なお、圧力計1は、本発明の消火器用圧力計の一例である。
【0016】
[圧力計1]
図2は、圧力計1の概略を示す断面図であり、
図3は、圧力計1の概略を示す正面図である。
図2、
図3に示すように、圧力計1は、ケース本体2と、継手3と、透明カバー部4と、封止部材5と、ブルドン管6と、指針部7と、目盛板8と、を備える。
【0017】
[ケース本体2]
ケース本体2は、金属製であり、継手3によって耐圧容器110に連結される。なお、耐圧容器110は、本発明の被計測部の一例である。
また、ケース本体2は板状に形成されており、本体部21と、縁部22とを有し、全体凹形状に形成されている。
本体部21は、中央部に孔部21Aが形成されている。縁部22は、本体部21の周囲全周から立ち上げられている。
【0018】
[継手3]
継手3は、ケース本体2と耐圧容器110とを連結させる金属製の部材であり、継手本体31と、パイプ32とを有する。
継手本体31は、一端側に多角形状のネジ頭部31Aが形成されている。また、継手本体31の他端側には、耐圧容器110と連結されるための雄ネジ部31Bと、溝部31Cとが形成されている。さらに、継手本体31の中心には、軸方向に沿って貫通孔31Dが形成されている。
パイプ32は、継手本体31の貫通孔31Dに挿入されている。そして、パイプ32は、一端側において、継手本体31の溝部31Cの端面に、全周にわたって溶接されている。また、パイプ32は、他端側において、ケース本体2の本体部21の孔部21Aの周囲に、全周にわたって溶接されている。これにより、パイプ32は、継手本体31およびケース本体2に固定されている。
【0019】
[透明カバー部4]
透明カバー部4は、透明樹脂製であり、ケース本体2の正面側に取り付けられ、ケース本体2とともに収納空間Sを形成する部材である。本実施形態では、透明カバー部4は、平板状部41と、側壁部42と、底面部43とを有する。
平板状部41は、透明とされ指針部7や目盛板8等が外側から視認可能とされている。本実施形態では、平板状部41は、円板状に形成されている。
側壁部42は、平板状部41の外周部からケース本体2に向かって立ち上げられて形成されている。本実施形態では、側壁部42は、平板状部41と一体に円筒状に形成されている。
底面部43は、側壁部42の端部から外周側に延設されている。そして、ケース本体2の縁部22と底面部43との間には、Oリング等によって構成される封止部材5が配置されている。本実施形態では、ケース本体2の縁部22がかしめられることにより、縁部22と底面部43とが封止部材5を介して連結されている。これにより、ケース本体2と透明カバー部4との間が封止されている。
【0020】
[ブルドン管6]
ブルドン管6は、金属製で収納空間Sに収納され、内部に導入された圧力に応じて先端部が変位するように構成されている。ブルドン管6は、ブルドン管接続部61と、ブルドン管本体部62とを有する。
ブルドン管接続部61は、円筒状に形成されており、継手3のパイプ32に挿通されている。これにより、ブルドン管接続部61は、耐圧容器110の内部と、ブルドン管本体部62とを連通している。
ブルドン管本体部62は、渦巻き状に形成されている。本実施形態では、ブルドン管本体部62は、ブルドン管接続部61と一体に形成されており、基端側にてブルドン管接続部61と連通している。また、ブルドン管本体部62は、前述したように、先端部が変位可能とされている。そして、ブルドン管本体部62には、先端側の外周部に指針部7が取り付けられている。これにより、ブルドン管本体部62の内部に導入された圧力による変位量を、指針部7により指示可能とされている。
【0021】
[目盛板8]
目盛板8は、中央部に孔部が設けられた円板状に形成されており、ケース本体2の本体部21と、透明カバー部4の底面部43とに挟持されて、収納空間Sに配置されている。
本実施形態では、目盛板8には、耐圧容器110の圧力を示す記号や、材質、製造年月日を示す記号等が表示されている。具体的には、目盛板8には、耐圧容器110の適正な圧力範囲を示す記号P1や、ゼロ点を示す記号P2等が表示されている。本実施形態では、適正な圧力範囲としての0.70MPa~0.98MPaの圧力を示す記号として、記号P1が目盛板8に表示されている。なお、記号P1は、上記構成に限られるものではなく、例えば、適正な圧力範囲としての0.50MPa~0.98MPaの圧力を示す記号として表示されていてもよい。また、記号P2は、本発明のゼロ位置印の一例である。
【0022】
図4は、目盛板8の概略を示す拡大断面図である。なお、
図4では、分かりやすくするために、基層81A、第1着色層81B、透明層81C、および、第2着色層81Dの厚さを誇張して記している。
図4に示すように、目盛板本体部81を有する。
【0023】
目盛板本体部81は、接着剤等によりケース本体2の本体部21に取り付けられている。目盛板本体部81は、順に積層される、基層81A、第1着色層81B、透明層81C、および、第2着色層81Dを有している。
【0024】
基層81Aは、ポリエチレンテレフタレートから形成されている。すなわち、基層81Aは、透明な樹脂層として構成されている。なお、基層81Aは、上記構成に限られるものではなく、例えば、アルミニウム合金等の金属により形成されていてもよい。
第1着色層81Bは、基層81Aに積層される層である。本実施形態では、第1着色層81Bは、基層81Aに黒色の印刷を施すことで形成されている。すなわち、第1着色層81Bは、黒色印刷層として構成されている。なお、第1着色層81Bの黒色は、本発明の第1色の一例である。
【0025】
透明層81Cは、第1着色層81Bに積層される層である。本実施形態では、透明層81Cはポリエチレンテレフタレートにより形成されている。すなわち、透明層81Cは、透明な樹脂層として構成されている。
第2着色層81Dは、透明層81Cに積層される層である。本実施形態では、第2着色層81Dは、透明層81Cに白色の印刷を施すことで形成されている。すなわち、第2着色層81Dは、白色印刷層として構成されている。
そして、本実施形態では、第2着色層81Dには、適正な圧力範囲を示す記号P1や、材質、製造年月日を示す記号などが印刷されている。記号P1は、黒色や緑色の印刷により表示されており、材質や製造年月日は黒色の印刷により表示されている。なお、第2着色層81Dの白色は、本発明の第2色の一例である。このように、本実施形態では、第1着色層81Bと第2着色層81Dとは、反対色の関係にある色から構成されている。
【0026】
ここで、目盛板8の目盛板本体部81のゼロ点を示す記号P2に対応する位置に、第2着色層81Dおよび透明層81Cにわたって凹部82が形成されている。
本実施形態では、凹部82は、レーザー照射によって形成されている。凹部82を形成する具体的な手順として、先ず、ケース本体2、継手3、ブルドン管6、指針部7、および、目盛板8を組み立てる。そして、継手3を介して、ブルドン管6に規定の圧力である0.70MPaの圧力を導入する。そして、この状態で、指針部7が指示する位置に、記号P1の左側端部が位置するように、目盛板8の位置を調整する。すなわち、指針部7が指示する位置に、記号P1の0.70MPaの圧力を意味する箇所が位置するように、目盛板8の位置を調整する。その後、圧力を解放する。そうすると、圧力の変動に応じて、指針部7が指示する位置が移動する。この圧力が解放された状態で指針部7が指示する位置にレーザー光線を照射する。これにより、ゼロ点を示す記号P2を構成する凹部82が形成される。
【0027】
このように、本実施形態では上記手順により記号P2を形成することにより、目盛板8にゼロ点を示す記号P2を正確に表示させることができる。
この際、凹部82は第2着色層81Dおよび透明層81Cにわたって形成されるので、目盛板8を表面側から見た場合、凹部82に対応する位置には第1着色層81Bが見えることになる。そのため、記号P2は黒色に表示される。すなわち、記号P2は、目盛板8の表面側に配置された白色の第2着色層81Dとは反対色の黒色にて構成される。そのため、記号P2を見やすくすることができる。
【0028】
以上のような本実施形態では、次の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、目盛板8が、基層81Aと、黒色に着色された第1着色層81Bと、透明な透明層81Cと、白色に着色された第2着色層81Dと順に積層されて構成される。そして、目盛板8のゼロ点を示す位置には、第2着色層81Dおよび透明層81Cにわたって凹部82が形成されている。
これにより、ケース本体2、継手3、ブルドン管6、指針部7、および、目盛板8を組み立てた状態で、かつ、ブルドン管6内の圧力が解放された状態で、指針部7が指示する位置に、レーザー照射装置を用いて、第2着色層81Dおよび透明層81Cにわたって凹部82を設けることができる。そのため、凹部82により構成されるゼロ点を示す記号P2を、目盛板8に正確に表示させることができるので、消火器用の圧力計1の歩留まりを向上させることができる。
【0029】
(2)本実施形態では、第1着色層81Bは、基層81Aに印刷することで形成されるので、容易に形成することができる。そのため、消火器用の圧力計1の製作を容易にすることができる。
【0030】
(3)本実施形態では、第2着色層81Dは、透明層81Cに印刷することで形成されるので、容易に形成することができる。そのため、消火器用の圧力計1の製作を容易にすることができる。
【0031】
(4)本実施形態では、第1着色層81Bと第2着色層81Dとは、反対色の関係にある黒色と白色とで構成される。そして、ゼロ点を示す位置には、第2着色層81Dおよび透明層81Cにわたって凹部82が形成されているので、黒色が視認できることになり、それ以外の箇所は白色が視認できることになる。そのため、ゼロ点を示す位置を視認しやすくすることができる。
【0032】
(5)本実施形態では、目盛板8には、ゼロ点を示す位置に、レーザー照射によって形成されたゼロ位置印である記号P2が表示されている。これにより、ケース本体2、継手3、ブルドン管6、指針部7、および、目盛板8を組み立てた状態で、かつ、ブルドン管6内の圧力が解放された状態で、指針部7が指示する位置にレーザー照射によって記号P2を形成できる。そのため、目盛板8にゼロ点を示す記号P2を正確に表示させることができるので、消火器用の圧力計1の歩留まりを向上させることができる。
【0033】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、継手本体31の貫通孔31Dにパイプ32が挿入され、当該パイプ32にブルドン管接続部61が挿通されていたが、これに限定されない。例えば、継手本体の貫通孔に、ブルドン管接続部が直接挿通されていてもよい。このように構成することで、継手本体に挿入されるパイプを不要にできるので、部品点数を少なくすることができる。
【0034】
前記実施形態では、透明カバー部4の平板状部41は円板状とされ、側壁部42は円筒状とされていたが、これに限定されない。例えば、透明カバー部の平板状部は四角形状とされ、側壁部は四角筒状とされていてもよい。
【0035】
前記実施形態では、ブルドン管本体部62は渦巻き状に形成されていたが、これに限定されない。例えば、ブルドン管本体部は、円弧状に形成されていてもよい。
【0036】
前記実施形態では、ブルドン管本体部62の先端部に指針部7が取り付けられていたが、これに限定されない。例えば、指針部は、ブルドン管本体部の先端の変位量を伝達する伝達機構を介して、ブルドン管本体部と連結されていてもよい。
【0037】
前記実施形態では、圧力計1は、被接続部に接続するための継手3を備えて構成されていたが、これに限定されない。例えば、圧力計は、ケース本体が被接続部に直接接続可能に構成されていてもよい。このように構成することで、継手を不要にできるので、圧力計の部品点数を少なくすることができる。
【0038】
前記実施形態では、ケース本体2の縁部22と底面部43との間に封止部材5が配置されていたが、これに限定されるものではなく、縁部と底面部との間に封止部材が配置されない場合も本発明に含まれる。
【0039】
前記実施形態では、第1着色層81Bが黒色印刷層とされ、第2着色層81Dが白色印刷層とされていたが、これに限定されない。例えば、第1着色層と第2着色層とは、赤色印刷層と緑色印刷層とされていてもよい。また、第1着色層と第2着色層とは、反対色の関係であることに限られず、異なる色で構成されていればよい。
さらに、第1着色層81Bおよび第2着色層81Dは、印刷により形成されることに限られるものではなく、着色されたシートにより構成されていてもよい。
【0040】
前記実施形態では、基層81Aは、透明な樹脂層として構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、有色の樹脂層として構成されていてもよい。
また、前記実施形態では、透明層81Cはポリエチレンテレフタレートにより形成されていたが、これに限定されるものではなく、透明な樹脂層として構成されていればよい。
【0041】
前記実施形態では、ゼロ点を示す位置に、凹部82により構成される記号P2が表示されていたが、これに限定されない。例えば、ゼロ点を示す位置に加えて、規定の圧力の2倍の圧力を示す位置、すなわち、1.96MPaを示す位置に、凹部により構成される記号が表示されていてもよい。
さらに、前記実施形態では、材質や製造年月日を示す記号は印刷により構成されていたが、これに限定されない。例えば、材質や製造年月日を示す記号は、ゼロ点を示す記号と同様に、レーザー照射などにより形成される凹部により構成されていてもよい。
【0042】
前記実施形態では、目盛板8は、第1着色層81Bと第2着色層81Dとを備えて構成されていたが、これに限定されない。例えば、目盛板は、上記の第1着色層および第2着色層に加えて、第1色および第2色とは異なる第3色に着色された第3着色層を備えて構成されていてもよい。さらに、目盛板は、それぞれ異なる色に着色された複数の着色層を備えて構成されていてもよい。
【0043】
前記実施形態では、目盛板8は、目盛板本体部81を備えて構成されていたが、これに限定されない。例えば、目盛板は、目盛板本体部と、目盛板本体部を支持する支持板部とを備えて構成されていてもよく、基層、第1着色層、透明層、および、第2着色層がこの順に形成されて構成されていればよい。
【0044】
前記実施形態では、凹部82は、レーザー照射により形成されていた、つまり、レーザービームを目盛板本体部81に照射することにより形成されていたが、これに限定されない。例えば、凹部82は、電子ビームを目盛板本体部81に照射することにより形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…圧力計(消火器用圧力計)、2…ケース本体、3…継手、4…透明カバー部、5…封止部材、6…ブルドン管、7…指針部、8…目盛板、21…本体部、21A…孔部、22…縁部、31…継手本体、31A…ネジ頭部、31B…雄ネジ部、31C…溝部、31D…貫通孔、32…パイプ、41…平板状部、42…側壁部、43…底面部、61…ブルドン管接続部、62…ブルドン管本体部、81…目盛板本体部、81A…基層、81B…第1着色層、81C…透明層、81D…第2着色層、82…凹部、100…消火器、110…耐圧容器(被計測部)、120…レバー、130…ホース、S…収納空間、P1…記号、P2…記号(ゼロ位置印)。