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特許7372187画像検査装置、印刷装置、および撮像画像の保存処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】画像検査装置、印刷装置、および撮像画像の保存処理方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20231024BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231024BHJP
   G01N 21/892 20060101ALI20231024BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20231024BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J2/01 207
B41J2/01 451
G01N21/892 A
G06N20/00
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020051303
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021146695
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121348
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 健児
(74)【代理人】
【氏名又は名称】奥田 邦廣
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智洋
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-151494(JP,A)
【文献】特開2019-084743(JP,A)
【文献】特開2018-136248(JP,A)
【文献】特開2015-141093(JP,A)
【文献】特開2016-182758(JP,A)
【文献】特開2018-054560(JP,A)
【文献】特開2017-193075(JP,A)
【文献】特開2018-051846(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0149247(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
B41J 2/01 - 2/215
G01N 21/892
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と
を備え、
前記保存処理部は、前記検査部による検査の結果に応じて、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を決定し、
前記検査部では、テスト画像についての撮像画像の検査が所定の間隔で行われ、
前記保存処理部は、前記検査部による或るタイミングでの検査の結果に応じて、前記検査部による次の検査の結果が得られるまでの各撮像画像の記録解像度を決定することを特徴とする、画像検査装置。
【請求項2】
前記検査部によって行われる検査は、ノズル欠けの有無を判定する検査であって、
前記検査部による或るタイミングでの検査の結果、ノズル欠けが有る旨の判定が行われた場合、前記保存処理部は、前記検査部による次の検査の結果が得られるまでの各撮像画像の記録解像度を、比較的高い解像度である第1解像度に決定し、
前記検査部による或るタイミングでの検査の結果、ノズル欠けが無い旨の判定が行われた場合、前記保存処理部は、前記検査部による次の検査の結果が得られるまでの各撮像画像の記録解像度を、比較的低い解像度である第2解像度に決定することを特徴とする、請求項に記載の画像検査装置。
【請求項3】
印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と
を備え、
前記検査部では、全てのシートについての撮像画像の検査が行われ、
前記保存処理部は、前記検査部による検査の結果に応じて、シート毎に、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を決定することを特徴とする、画像検査装置。
【請求項4】
前記検査部によって行われる検査は、欠点を検出する検査であって、
前記保存処理部は、前記検査部による検査によって検出された欠点の数に基づいて、撮像画像の記録解像度を決定することを特徴とする、請求項に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記保存処理部は、前記検査部による検査によって検出された欠点の数が所定数よりも少ないシートについての撮像画像の記録解像度を比較的高い解像度である第1解像度に決定し、前記検査部による検査によって検出された欠点の数が前記所定数よりも多いシートについての撮像画像の記録解像度を比較的低い解像度である第2解像度に決定することを特徴とする、請求項に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記保存処理部は、前記検査部による検査によって検出された欠点の数が所定数よりも少ないシートについての撮像画像の記録解像度を比較的低い解像度である第2解像度に決定し、前記検査部による検査によって検出された欠点の数が前記所定数よりも多いシートについての撮像画像の記録解像度を比較的高い解像度である第1解像度に決定することを特徴とする、請求項に記載の画像検査装置。
【請求項7】
前記検査部によって行われる検査は、欠点を検出する検査であって、
前記保存処理部は、前記検査部による検査によって検出された欠点のサイズに基づいて、欠点が検出されたシートについての撮像画像の記録解像度を決定することを特徴とする、請求項に記載の画像検査装置。
【請求項8】
前記保存処理部は、前記検査部による検査によって所定サイズよりも小さいサイズの欠点が検出されたシートについての撮像画像の記録解像度を比較的高い解像度である第1解像度に決定し、前記検査部による検査によって前記所定サイズよりも大きいサイズの欠点のみが検出されたシートについての撮像画像の記録解像度を比較的低い解像度である第2解像度に決定することを特徴とする、請求項に記載の画像検査装置。
【請求項9】
印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と
を備え、
前記保存処理部は、前記検査部による検査の結果に応じて、シートを複数に分割したエリア毎に前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を決定することを特徴とする、画像検査装置。
【請求項10】
印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と
を備え、
前記保存処理部は、
前記検査部による検査の結果に応じて、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を比較的高い解像度である第1解像度または比較的低い解像度である第2解像度のいずれかに決定し、
前記記録解像度を前記第1解像度にする旨の決定がなされた撮像画像の数が所定の閾値よりも大きい場合、前記記録解像度を前記第1解像度にする旨の決定がなされた撮像画像のうちの一部のみを前記第1解像度で前記画像記憶部に記録することを特徴とする、画像検査装置。
【請求項11】
印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度の決定に関わる条件をユーザーの選択操作に応じて切り替える条件切り替え部
を備え、
前記保存処理部は、前記検査部による検査の結果に応じて、前記記録解像度を決定することを特徴とする、画像検査装置。
【請求項12】
適用可能な前記記録解像度として、比較的高い解像度である第1解像度と比較的低い解像度である第2解像度とが用意され、
前記記録解像度を前記第1解像度に決定する条件として、複数の条件が予め用意され、
前記条件切り替え部は、前記複数の条件の中から前記記録解像度を決定する際に実際に適用する条件を選択することを特徴とする、請求項11に記載の画像検査装置。
【請求項13】
印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と、
前記画像記憶部に保持されている撮像画像の閲覧履歴を保持するための閲覧履歴記憶部と
を備え、
前記保存処理部は、前記閲覧履歴記憶部に保持されている閲覧履歴に基づいて、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を決定することを特徴とする、画像検査装置。
【請求項14】
前記検査部によって行われる検査は、欠点を検出する検査であって、
前記検査部による検査によって所定のエリアに欠点が検出された場合、前記保存処理部は、当該所定のエリアに欠点が検出された過去の撮像画像の閲覧履歴に基づいて、前記記録解像度を決定することを特徴とする、請求項13に記載の画像検査装置。
【請求項15】
前記保存処理部は、
前記画像記憶部に保持されている過去の撮像画像を入力データとし当該過去の撮像画像に対応する閲覧履歴であって前記閲覧履歴記憶部に保持されている閲覧履歴に基づいて決定される値を正確データとして機械学習が行われた学習モデルを含み、
前記学習モデルに入力データとして前記撮像画像を与えることによって得られる出力データに基づいて前記記録解像度を決定することを特徴とする、請求項13に記載の画像検査装置。
【請求項16】
前記保存処理部は、
前記画像記憶部に保持されている過去の撮像画像に対応する印刷データを入力データとし当該過去の撮像画像に対応する閲覧履歴であって前記閲覧履歴記憶部に保持されている閲覧履歴に基づいて決定される値を正確データとして機械学習が行われた学習モデルを含み、
前記学習モデルに入力データとして前記撮像画像に対応する印刷データを与えることによって得られる出力データに基づいて前記記録解像度を決定することを特徴とする、請求項13に記載の画像検査装置。
【請求項17】
前記学習モデルは、
過去の撮像画像の閲覧の有無を示すデータを正解データとして機械学習が行われており、
前記撮像画像の閲覧可能性が高いか否かを示すデータを前記出力データとして出力することを特徴とする、請求項15または16に記載の画像検査装置。
【請求項18】
記録媒体に対して印刷を行う印刷部と、
前記印刷部による印刷によって得られた印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と
を備え、
前記保存処理部は、前記検査部による検査の結果に応じて、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を決定し、
前記検査部では、テスト画像についての撮像画像の検査が所定の間隔で行われ、
前記保存処理部は、前記検査部による或るタイミングでの検査の結果に応じて、前記検査部による次の検査の結果が得られるまでの各撮像画像の記録解像度を決定することを特徴とする、印刷装置。
【請求項19】
記録媒体に対して印刷を行う印刷部と、
前記印刷部による印刷によって得られた印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と
を備え、
前記検査部では、全てのシートについての撮像画像の検査が行われ、
前記保存処理部は、前記検査部による検査の結果に応じて、シート毎に、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を決定することを特徴とする、印刷装置。
【請求項20】
記録媒体に対して印刷を行う印刷部と、
前記印刷部による印刷によって得られた印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と
前記画像記憶部に保持されている撮像画像の閲覧履歴を保持するための閲覧履歴記憶部と
を備え、
前記保存処理部は、前記閲覧履歴記憶部に保持されている閲覧履歴に基づいて、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を決定することを特徴とする、印刷装置。
【請求項21】
印刷画像を撮像することによって得られた撮像画像の保存処理方法であって、
前記撮像画像の検査を行う検査ステップと、
前記撮像画像を予め用意された画像記憶部に記録する保存処理ステップと
を含み、
前記保存処理ステップでは、前記検査ステップでの検査の結果に応じて、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度が決定され
前記検査ステップでは、テスト画像についての撮像画像の検査が所定の間隔で行われ、
前記保存処理ステップでは、前記検査ステップによる或るタイミングでの検査の結果に応じて、前記検査ステップによる次の検査の結果が得られるまでの各撮像画像の記録解像度が決定されることを特徴とする、保存処理方法。
【請求項22】
印刷画像を撮像することによって得られた撮像画像の保存処理方法であって、
前記撮像画像の検査を行う検査ステップと、
前記撮像画像を予め用意された画像記憶部に記録する保存処理ステップと
を含み、
前記検査ステップでは、全てのシートについての撮像画像の検査が行われ、
前記保存処理ステップでは、前記検査ステップでの検査の結果に応じて、シート毎に、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度が決定されることを特徴とする、保存処理方法。
【請求項23】
印刷画像を撮像することによって得られた撮像画像の保存処理方法であって、
前記撮像画像を予め用意された画像記憶部に記録する保存処理ステップと
前記画像記憶部に保持されている撮像画像の閲覧履歴を予め用意された閲覧履歴記憶部に記録する閲覧履歴保存ステップと
を含み、
前記保存処理ステップでは、前記閲覧履歴記憶部に保持されている過去の撮像画像についての閲覧履歴に基づいて、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度が決定されることを特徴とする、保存処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物(印刷画像)の検査を行う画像検査装置に関し、より詳しくは、検査用の撮像画像を記憶部に保存する保存処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、請求書やダイレクトメールの印刷のようにページ毎に異なる内容の印刷を行うバリアブル印刷が盛んに行われている。また、印刷物の品質向上が強く求められている。これらのことから、印刷物の検査の重要性が高まっている。そこで、印刷状態を検査する画像検査装置を備えた印刷装置(例えば、インクジェット印刷装置)の普及が進んでいる。画像検査装置による検査は、例えば、印刷済みの記録媒体(印刷用紙など)をカメラ等で撮像することによって得られる撮像画像データと印刷元のデータであるRIP処理後の印刷データとを比較照合することによって行われる。このような検査により、欠点(例えば、ノズル欠け)、インク汚れ、文字のかすれ、異物の混入などを検出することができる。
【0003】
ところで、印刷物に触れることなく目視による検査を行いたいという要求、顧客(印刷の発注者)との契約に従い印刷内容(印刷直後の印刷画像)を証拠として提出できるようにしておきたいという要求、印刷物の発送後に顧客から問合せがあった際に印刷内容を再確認できるようにしておきたいという要求など、印刷装置のユーザーには印刷物の検査用の撮像画像に関する様々な要求がある。そこで、ユーザーは、例えば画像検査装置に設けられている記憶部(典型的にはハードディスク)に撮像画像を保存している。すなわち、ユーザーは、印刷内容を任意のタイミングで確認することができるよう、画像検査装置による印刷物の撮像によって得られた撮像画像を記憶部に保存している。
【0004】
なお、本発明に関連して、以下の先行技術文献が知られている。特開2016-182758号公報には、画像検査装置を備えた従来のインクジェット印刷装置の構成が開示されている。特開2017-193075号公報には、インク吐出不良の有無を検出するためのテストチャートの撮像によって得られた撮像データを記憶部に記録することが記載されている。特開2009-172966号公報には、印刷後の記録媒体を撮像する際の読取解像度の切り替えを可能にしたインクジェット画像記録装置の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-182758号公報
【文献】特開2017-193075号公報
【文献】特開2009-172966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、画像検査装置による印刷物の撮像によって得られた撮像画像が記憶部に保存される際の記録解像度は、一定の解像度であった。換言すれば、ユーザーは、撮像画像を保存する際、記録解像度を指定することや記録解像度を適宜に変更することができなかった。すなわち、従来の画像検査装置では、記録解像度は内部的に設定されている。これに関し、記録解像度を低い解像度に設定すると、細かい欠点(例えば、インクジェットヘッドの1つのノズルについてのノズル欠け。すなわち、インク吐出不良による白筋の発生等。)の情報が欠落するため、目視では欠点の確認を充分に行うことができなくなる。一方、記録解像度を高い解像度に設定する場合には、保存の際に解像度変換などの処理の負荷が大きくなることから高性能のコンピュータが必要となるので、高コストとなる。また、記録解像度を高い解像度に設定する場合には、データサイズが大きくなることから大容量の記憶部(ハードディスクなど)が必要となるので、高コストとなる。以上のように、記録解像度の高低に関し、得られる情報量の多さとコスト面の有利さとはトレードオフの関係にある。
【0007】
ところで、撮像画像がノズルの状態を検査するためのテスト画像であるか否かによって記録解像度を切り替えるようにした画像検査装置は提案されている。連続紙への印刷が行われる場合を例に挙げて、図20を参照しつつ、これについて説明する。図20には連続紙に印刷された印刷画像を模式的に示しており、1つの矩形部分が1シート分の印刷画像に相当する。また、図20においてiを整数として「シート(i)」と記している部分は、通常画像(本来の印刷対象の画像)を表している。なお、これらについては、図5図8、および図10についても同様である。
【0008】
図20に示す例では、最初にテスト画像の印刷結果(撮像画像)に基づいてノズルの状態が検査された後、100シート分の通常画像の印刷が行われる毎に、テスト画像の印刷結果(撮像画像)に基づいてノズルの状態が検査される。ここで、テスト画像の撮像画像については、ノズル欠けの有無に関わらず、記録解像度“200dpi”で保存される。通常画像の撮像画像については、シート毎に記録解像度“75dpi”で保存される。以上のように、テスト画像の撮像画像については高解像度で記憶部に保存され、通常画像の撮像画像については低解像度で記憶部に保存されている。なお、本明細書では、2つの解像度に着目したときの高い方の解像度を「高解像度」,低い方の解像度を「低解像度」という。
【0009】
上述したように、図20に示す例では、テスト画像の撮像画像についての記録解像度は高解像度であり、通常画像の撮像画像についての記録解像度は低解像度である。ところが、実際に高解像度での保存が望まれる画像は、ユーザーの保存目的に依存する。例えば、目視での確認対象とされる欠点や1シート中の欠点の出現状況などによって、高解像度での保存が望まれる画像は変化する。連続紙への印刷が行われる場合には、高解像度での保存が望まれる撮像画像と低解像度での保存が望まれる撮像画像とが混在するが、記録解像度の動的な変更は実現されていない。すなわち、従来の画像検査装置では、ユーザーの要求を満たしつつ検査用の撮像画像を効率的に保存するということはなされていない。
【0010】
そこで、本発明は、検査用の撮像画像が効率的に保存されるよう記録解像度を動的に変化させることのできる画像検査装置(印刷装置用の検査装置)を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明は、画像検査装置であって、
印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と
を備え、
前記保存処理部は、前記検査部による検査の結果に応じて、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を決定し、
前記検査部では、テスト画像についての撮像画像の検査が所定の間隔で行われ、
前記保存処理部は、前記検査部による或るタイミングでの検査の結果に応じて、前記検査部による次の検査の結果が得られるまでの各撮像画像の記録解像度を決定することを特徴とする。
【0013】
の発明は、第の発明において、
前記検査部によって行われる検査は、ノズル欠けの有無を判定する検査であって、
前記検査部による或るタイミングでの検査の結果、ノズル欠けが有る旨の判定が行われた場合、前記保存処理部は、前記検査部による次の検査の結果が得られるまでの各撮像画像の記録解像度を、比較的高い解像度である第1解像度に決定し、
前記検査部による或るタイミングでの検査の結果、ノズル欠けが無い旨の判定が行われた場合、前記保存処理部は、前記検査部による次の検査の結果が得られるまでの各撮像画像の記録解像度を、比較的低い解像度である第2解像度に決定することを特徴とする。
【0014】
の発明は、画像検査装置であって、
印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と
を備え、
前記検査部では、全てのシートについての撮像画像の検査が行われ、
前記保存処理部は、前記検査部による検査の結果に応じて、シート毎に、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を決定することを特徴とする。
【0015】
の発明は、第の発明において、
前記検査部によって行われる検査は、欠点を検出する検査であって、
前記保存処理部は、前記検査部による検査によって検出された欠点の数に基づいて、撮像画像の記録解像度を決定することを特徴とする。
【0016】
の発明は、第の発明において、
前記保存処理部は、前記検査部による検査によって検出された欠点の数が所定数よりも少ないシートについての撮像画像の記録解像度を比較的高い解像度である第1解像度に決定し、前記検査部による検査によって検出された欠点の数が前記所定数よりも多いシートについての撮像画像の記録解像度を比較的低い解像度である第2解像度に決定することを特徴とする。
【0017】
の発明は、第の発明において、
前記保存処理部は、前記検査部による検査によって検出された欠点の数が所定数よりも少ないシートについての撮像画像の記録解像度を比較的低い解像度である第2解像度に決定し、前記検査部による検査によって検出された欠点の数が前記所定数よりも多いシートについての撮像画像の記録解像度を比較的高い解像度である第1解像度に決定することを特徴とする。
【0018】
の発明は、第の発明において、
前記検査部によって行われる検査は、欠点を検出する検査であって、
前記保存処理部は、前記検査部による検査によって検出された欠点のサイズに基づいて、欠点が検出されたシートについての撮像画像の記録解像度を決定することを特徴とする。
【0019】
の発明は、第の発明において、
前記保存処理部は、前記検査部による検査によって所定サイズよりも小さいサイズの欠点が検出されたシートについての撮像画像の記録解像度を比較的高い解像度である第1解像度に決定し、前記検査部による検査によって前記所定サイズよりも大きいサイズの欠点のみが検出されたシートについての撮像画像の記録解像度を比較的低い解像度である第2解像度に決定することを特徴とする。
【0021】
の発明は、画像検査装置であって、
印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と
を備え、
前記保存処理部は、前記検査部による検査の結果に応じて、シートを複数に分割したエリア毎に前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を決定することを特徴とする。
【0022】
10の発明は、画像検査装置であって、
印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と
を備え、
前記保存処理部は、
前記検査部による検査の結果に応じて、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を比較的高い解像度である第1解像度または比較的低い解像度である第2解像度のいずれかに決定し、
前記記録解像度を前記第1解像度にする旨の決定がなされた撮像画像の数が所定の閾値よりも大きい場合、前記記録解像度を前記第1解像度にする旨の決定がなされた撮像画像のうちの一部のみを前記第1解像度で前記画像記憶部に記録することを特徴とする。
【0023】
11の発明は、画像検査装置であって、
印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度の決定に関わる条件をユーザーの選択操作に応じて切り替える条件切り替え部
を備え、
前記保存処理部は、前記検査部による検査の結果に応じて、前記記録解像度を決定することを特徴とする。
【0024】
12の発明は、第11の発明において、
適用可能な前記記録解像度として、比較的高い解像度である第1解像度と比較的低い解像度である第2解像度とが用意され、
前記記録解像度を前記第1解像度に決定する条件として、複数の条件が予め用意され、
前記条件切り替え部は、前記複数の条件の中から前記記録解像度を決定する際に実際に適用する条件を選択することを特徴とする。
【0025】
13の発明は、画像検査装置であって、
印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と、
前記画像記憶部に保持されている撮像画像の閲覧履歴を保持するための閲覧履歴記憶部と
を備え、
前記保存処理部は、前記閲覧履歴記憶部に保持されている閲覧履歴に基づいて、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を決定することを特徴とする。
【0026】
14の発明は、第13の発明において、
前記検査部によって行われる検査は、欠点を検出する検査であって、
前記検査部による検査によって所定のエリアに欠点が検出された場合、前記保存処理部は、当該所定のエリアに欠点が検出された過去の撮像画像の閲覧履歴に基づいて、前記記録解像度を決定することを特徴とする。
【0027】
15の発明は、第13の発明において、
前記保存処理部は、
前記画像記憶部に保持されている過去の撮像画像を入力データとし当該過去の撮像画像に対応する閲覧履歴であって前記閲覧履歴記憶部に保持されている閲覧履歴に基づいて決定される値を正確データとして機械学習が行われた学習モデルを含み、
前記学習モデルに入力データとして前記撮像画像を与えることによって得られる出力データに基づいて前記記録解像度を決定することを特徴とする。
【0028】
16の発明は、第13の発明において、
前記保存処理部は、
前記画像記憶部に保持されている過去の撮像画像に対応する印刷データを入力データとし当該過去の撮像画像に対応する閲覧履歴であって前記閲覧履歴記憶部に保持されている閲覧履歴に基づいて決定される値を正確データとして機械学習が行われた学習モデルを含み、
前記学習モデルに入力データとして前記撮像画像に対応する印刷データを与えることによって得られる出力データに基づいて前記記録解像度を決定することを特徴とする。
【0029】
第17の発明は、第15または第16の発明において、
前記学習モデルは、
過去の撮像画像の閲覧の有無を示すデータを正解データとして機械学習が行われており、
前記撮像画像の閲覧可能性が高いか否かを示すデータを前記出力データとして出力することを特徴とする。
【0030】
18の発明は、印刷装置であって、
記録媒体に対して印刷を行う印刷部と、
前記印刷部による印刷によって得られた印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と
を備え、
前記保存処理部は、前記検査部による検査の結果に応じて、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を決定し、
前記検査部では、テスト画像についての撮像画像の検査が所定の間隔で行われ、
前記保存処理部は、前記検査部による或るタイミングでの検査の結果に応じて、前記検査部による次の検査の結果が得られるまでの各撮像画像の記録解像度を決定することを特徴とする。
第19の発明は、印刷装置であって、
記録媒体に対して印刷を行う印刷部と、
前記印刷部による印刷によって得られた印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と
を備え、
前記検査部では、全てのシートについての撮像画像の検査が行われ、
前記保存処理部は、前記検査部による検査の結果に応じて、シート毎に、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を決定することを特徴とする。
【0031】
20の発明は、印刷装置であって、
記録媒体に対して印刷を行う印刷部と、
前記印刷部による印刷によって得られた印刷画像の撮像を行う撮像部と、
前記撮像部による前記印刷画像の撮像によって得られた撮像画像の検査を行う検査部と、
前記撮像画像を保持するための画像記憶部と、
前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する保存処理部と
前記画像記憶部に保持されている撮像画像の閲覧履歴を保持するための閲覧履歴記憶部と
を備え、
前記保存処理部は、前記閲覧履歴記憶部に保持されている閲覧履歴に基づいて、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度を決定することを特徴とする。
【0032】
21の発明は、印刷画像を撮像することによって得られた撮像画像の保存処理方法であって、
前記撮像画像の検査を行う検査ステップと、
前記撮像画像を予め用意された画像記憶部に記録する保存処理ステップと
を含み、
前記保存処理ステップでは、前記検査ステップでの検査の結果に応じて、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度が決定され
前記検査ステップでは、テスト画像についての撮像画像の検査が所定の間隔で行われ、
前記保存処理ステップでは、前記検査ステップによる或るタイミングでの検査の結果に応じて、前記検査ステップによる次の検査の結果が得られるまでの各撮像画像の記録解像度が決定されることを特徴とする。
第22の発明は、印刷画像を撮像することによって得られた撮像画像の保存処理方法であって、
前記撮像画像の検査を行う検査ステップと、
前記撮像画像を予め用意された画像記憶部に記録する保存処理ステップと
を含み、
前記検査ステップでは、全てのシートについての撮像画像の検査が行われ、
前記保存処理ステップでは、前記検査ステップでの検査の結果に応じて、シート毎に、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度が決定されることを特徴とする。
【0033】
第23の発明は、印刷画像を撮像することによって得られた撮像画像の保存処理方法であって、
前記撮像画像を予め用意された画像記憶部に記録する保存処理ステップと
前記画像記憶部に保持されている撮像画像の閲覧履歴を予め用意された閲覧履歴記憶部に記録する閲覧履歴保存ステップと
を含み、
前記保存処理ステップでは、前記閲覧履歴記憶部に保持されている過去の撮像画像についての閲覧履歴に基づいて、前記撮像画像を前記画像記憶部に記録する際の記録解像度が決定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
上記第1の発明によれば、検査用の撮像画像を画像記憶部に記録する際の記録解像度が、検査部による検査の結果に応じて決定される。このため、必要性の高い撮像画像のみを比較的高い解像度で保存することが可能となる。これにより、撮像画像の保存が効率的に行われ、撮像画像の保存に必要とされる画像記憶部の容量が削減される。以上のように、検査用の撮像画像が効率的に保存されるよう記録解像度を動的に変化させることのできる画像検査装置が実現される。
また、各撮像画像の記録解像度は、所定の間隔で行われる検査の結果に応じて決定される。すなわち、各撮像画像の記録解像度を決定する処理は、所定の間隔で行われる。このため、画像検査装置に多大な負荷を掛けることなく、各撮像画像の記録解像度を動的に変化させることが可能となる。
【0036】
上記第の発明によれば、上記第の発明と同様の効果が得られる。
【0037】
上記第の発明によれば、検査用の撮像画像を画像記憶部に記録する際の記録解像度が、検査部による検査の結果に応じて決定される。このため、必要性の高い撮像画像のみを比較的高い解像度で保存することが可能となる。これにより、撮像画像の保存が効率的に行われ、撮像画像の保存に必要とされる画像記憶部の容量が削減される。以上のように、検査用の撮像画像が効率的に保存されるよう記録解像度を動的に変化させることのできる画像検査装置が実現される。
また、検査用の撮像画像を画像記憶部に記録する際の記録解像度はシート毎に決定される。このため、ユーザーの要求に応じて、シート毎に適宜の解像度で画像記憶部への撮像画像の保存を行うことが可能となる。
【0038】
上記第の発明によれば、上記第の発明と同様の効果が得られる。
【0039】
上記第の発明によれば、上記第の発明と同様の効果が得られる。
【0040】
上記第の発明によれば、上記第の発明と同様の効果が得られる。
【0041】
上記第の発明によれば、上記第の発明と同様の効果が得られる。
【0042】
上記第の発明によれば、上記第の発明と同様の効果が得られる。
【0044】
上記第の発明によれば、画像記憶部への検査用の撮像画像の保存をより効率的に行うことが可能となる。
【0045】
上記第10の発明によれば、多数の撮像画像が高い解像度で保存されることに起因する画像記憶部の容量不足の発生が抑制される。
【0046】
上記第11の発明によれば、ユーザーは記録解像度の決定に関わる条件を必要に応じて切り替えることができる。このため、撮像画像の保存に関して、より柔軟にユーザーの要求に適応することが可能となる。
【0047】
上記第12の発明によれば、上記第11の発明と同様の効果が得られる。
【0048】
上記第13の発明によれば、検査用の撮像画像を画像記憶部に記録する際の記録解像度が、閲覧履歴記憶部に保持されている閲覧履歴(すなわち、過去の撮像画像の閲覧履歴)に基づいて決定される。このため、後で閲覧される可能性の高い撮像画像のみを比較的高い解像度で保存することが可能となる。これにより、撮像画像の保存が効率的に行われ、撮像画像の保存に必要とされる画像記憶部の容量が削減される。以上のように、検査用の撮像画像が効率的に保存されるよう記録解像度を動的に変化させることのできる画像検査装置が実現される。
【0049】
上記第14の発明によれば、記録解像度はエリア毎に過去の撮像画像の閲覧履歴に基づいて決定されるので、より効率的に画像記憶部への検査用の撮像画像の保存が行われる。
【0050】
上記第15の発明によれば、後で閲覧される可能性の高い撮像画像のみが比較的高い解像度で保存されるよう、撮像画像の特徴を考慮して記録解像度を決定することが可能となる。
【0051】
上記第16の発明によれば、上記第15の発明と同様の効果が得られる。
【0052】
上記第17の発明によれば、上記第15の発明と同様の効果が得られる。
【0053】
上記第18の発明によれば、検査機能付きの印刷装置において、上記第1の発明と同様にして、検査用の撮像画像が効率的に保存されるよう記録解像度を動的に変化させることが可能となる。また、印刷装置に多大な負荷を掛けることなく、各撮像画像の記録解像度を動的に変化させることが可能となる。
上記第19発明によれば、検査機能付きの印刷装置において、上記第3の発明と同様にして、検査用の撮像画像が効率的に保存されるよう記録解像度を動的に変化させることが可能となる。また、ユーザーの要求に応じて、シート毎に適宜の解像度で画像記憶部への撮像画像の保存を行うことが可能となる。
【0054】
上記第20の発明によれば、検査機能付きの印刷装置において、上記第13の発明と同様にして、検査用の撮像画像が効率的に保存されるよう記録解像度を動的に変化させることが可能となる。
【0055】
上記第21の発明によれば、上記第1の発明と同様にして、撮像画像の保存が効率的に行われ、撮像画像の保存に必要とされる画像記憶部の容量が削減される。また、多大な負荷を掛けることなく、各撮像画像の記録解像度を動的に変化させることが可能となる。
上記第22の発明によれば、上記第3の発明と同様にして、撮像画像の保存が効率的に行われ、撮像画像の保存に必要とされる画像記憶部の容量が削減される。また、ユーザーの要求に応じて、シート毎に適宜の解像度で画像記憶部への撮像画像の保存を行うことが可能となる。
【0056】
上記第23の発明によれば、上記第15の発明と同様にして、撮像画像の保存が効率的に行われ、撮像画像の保存に必要とされる画像記憶部の容量が削減される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本発明の全ての実施形態における印刷システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】本発明の全ての実施形態におけるインクジェット印刷装置の一構成例を示す模式図である。
図3】本発明の全ての実施形態における印刷部の一構成例を示す平面図である。
図4】本発明の第1の実施形態における画像検査装置の機能構成を示すブロック図である。
図5】上記第1の実施形態において、記録解像度の切り替えについて説明するための図である。
図6】上記第1の実施形態において、撮像画像の保存に関連する一連の処理の手順を示すフローチャートである。
図7】上記第1の実施形態の第1の変形例において、記録解像度をヘッドエリア毎に決定することについて説明するための図である。
図8】本発明の第2の実施形態において、記録解像度の切り替えについて説明するための図である。
図9】上記第2の実施形態において、撮像画像の保存に関連する一連の処理の手順を示すフローチャートである。
図10】本発明の第3の実施形態において、記録解像度の切り替えについて説明するための図である。
図11】本発明の第4の実施形態における画像検査装置の機能構成を示すブロック図である。
図12】上記第4の実施形態において、条件設定画面の一例を示す図である。
図13】上記第4の実施形態の変形例において、条件設定画面の一例を示す図である。
図14】本発明の第5の実施形態における画像検査装置の機能構成を示すブロック図である。
図15】上記第5の実施形態において、インクジェットヘッド毎の閲覧率の例を示す図である。
図16】本発明の第6の実施形態において、閲覧可能性判別モデルの概略構成を示すブロック図である。
図17】上記第6の実施形態において、学習時の処理について説明するための図である。
図18】上記第6の実施形態において、閲覧可能性判別モデル内のニューラルネットワーク部の詳細な構成の一例を示す図である。
図19】上記第6の実施形態において、撮像画像の保存に関連する一連の処理の手順を示すフローチャートである。
図20】従来例に関し、テスト画像であるか否かによって記録解像度を切り替えるようにした画像検査装置について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0059】
<0.全ての実施形態に共通する事項>
各実施形態について詳しく説明する前に、全ての実施形態に共通する事項について説明する。
【0060】
<0.1 印刷システムの全体構成>
図1は、全ての実施形態における印刷システムの全体構成図である。この印刷システムは、インクジェット印刷装置100と印刷データ生成装置200とによって構成されている。インクジェット印刷装置100と印刷データ生成装置200とは通信回線300によって互いに接続されている。印刷データ生成装置200は、PDFファイルなどの入稿データに対してRIP処理等を施して印刷データを生成する。印刷データ生成装置200で生成された印刷データは、通信回線300を介してインクジェット印刷装置100に送信される。インクジェット印刷装置100は、印刷版を用いることなく、印刷データ生成装置200から送信された印刷データに基づいて、記録媒体としての印刷用紙に印刷画像を出力する。インクジェット印刷装置100は、印刷機本体12と、印刷機本体12の動作を制御する印刷制御装置11と、印刷状態を検査する画像検査装置13とによって構成されている。すなわち、このインクジェット印刷装置100は、検査機能付きの印刷装置である。画像検査装置13の一部の構成要素は、印刷機本体12に内蔵されている。
【0061】
なお、図1に示す構成では画像検査装置13はインクジェット印刷装置100の一構成要素である(すなわち、画像検査装置13はインクジェット印刷装置100に含まれている)が、これには限定されない。画像検査装置13がインクジェット印刷装置100とは独立した1つの装置であっても良い。
【0062】
また、以下の各実施形態では連続紙に印刷が行われる例を挙げて説明するが、これには限定されない。連続紙以外の記録媒体に印刷が行われる場合にも、検査用の撮像画像の保存が行われるのであれば、本発明を適用することができる。
【0063】
<0.2 インクジェット印刷装置の構成>
図2は、インクジェット印刷装置100の一構成例を示す模式図である。上述したように、このインクジェット印刷装置100は、印刷制御装置11と印刷機本体12と画像検査装置13とによって構成されている。
【0064】
印刷機本体12は、記録媒体である印刷用紙(例えばロール紙)PAを供給する用紙送出部41と、印刷用紙PAの表面への印刷を行う第1の印刷機構40aと、第1の印刷機構40aから出力された印刷用紙PAの表面と裏面とを反転させる反転ユニット47と、印刷用紙PAの裏面への印刷を行う第2の印刷機構40bと、印刷後の印刷用紙PAを巻き取る用紙巻取部48とを備えている。第1の印刷機構40aは、印刷用紙PAを内部へと搬送するための第1の駆動ローラ42aと、第1の印刷機構40aの内部で印刷用紙PAを搬送するための複数個の支持ローラ43aと、印刷用紙PAにインクを吐出して印刷を行う印刷部44aと、印刷後の印刷用紙PAを乾燥させる乾燥部45aと、印刷画像(印刷後の印刷用紙PA)を撮像する撮像部131aと、印刷用紙PAを第1の印刷機構40aの内部から出力するための第2の駆動ローラ46aとを備えている。撮像部131aは、画像検査装置13の構成要素であって、CCDまたはCMOS等のイメージセンサを用いて構成されている。第2の印刷機構40bの構成は、第1の印刷機構40aの構成と同様である。なお、第1の印刷機構40aの構成要素については符号の末尾に“a”を付し、第2の印刷機構40bの構成要素については符号の末尾に“b”を付している。
【0065】
印刷制御装置11は、以上のような構成の印刷機本体12の動作を制御する。印刷制御装置11に印刷出力の指示コマンドが与えられると、印刷制御装置11は、印刷用紙PAが用紙送出部41から用紙巻取部48へと搬送されるよう、印刷機本体12の動作を制御する。そして、第1の印刷機構40aおよび第2の印刷機構40bのそれぞれにおいて、まず印刷部44a,44bによる印刷用紙PAへの印刷が行われ、次に乾燥部45a,45bによって印刷用紙PAの乾燥が行われ、最後に撮像部131a,131bによる印刷画像の撮像が行われる。
【0066】
画像検査装置13は、撮像部131a,131bと画像検査コンピュータ139とによって構成されている。撮像部131a,131bによる印刷画像の撮像によって得られた撮像画像データは、画像検査コンピュータ139に送られる。画像検査コンピュータ139では、例えば、撮像画像データと印刷データ生成装置200から送信された印刷データとを比較照合することによって欠点を検出する検査などが行われる。なお、印刷データがCMYK形式のデータであるのに対し、撮像画像データは一般にRGB形式のデータである。従って、比較照合に先立って、印刷データをCYMK形式からRGB形式に変換する処理(色空間変換処理)が行われる。
【0067】
図3は、印刷部44(44aおよび44b)の一構成例を示す平面図である。図3に示すように、印刷部44は、印刷用紙PAの搬送方向に列置されたC色(シアン色)、M色(マゼンタ色)、Y色(黄色)、およびK色(黒色)のインクジェットヘッド列440C、440M、440Y、および440Kから構成されている。各インクジェットヘッド列は、千鳥状に配置された複数個のインクジェットヘッド441により構成されている。各インクジェットヘッド441には、インクを吐出する多数のノズルが含まれている。C色のインクジェットヘッド列440Cに含まれるインクジェットヘッド441の各ノズルはC色のインクを吐出し、M色のインクジェットヘッド列440Mに含まれるインクジェットヘッド441の各ノズルはM色のインクを吐出し、Y色のインクジェットヘッド列440Yに含まれるインクジェットヘッド441の各ノズルはY色のインクを吐出し、K色のインクジェットヘッド列440Kに含まれるインクジェットヘッド441の各ノズルはK色のインクを吐出する。
【0068】
なお、ここではカラー印刷を行うインクジェット印刷装置100の構成を例示したが、モノクロ印刷を行うインクジェット印刷装置が採用されている場合にも本発明を適用することができる。また、ここでは水性インクを用いるインクジェット印刷装置100の構成を例示したが、例えばラベル印刷向けインクジェット印刷装置のようにUVインク(紫外線硬化インク)を用いるインクジェット印刷装置が採用されている場合にも本発明を適用することができる。以上のように、印刷装置の種類については特に限定されない。
【0069】
<0.3 特徴>
次に、全ての実施形態に共通する特徴について説明する。全ての実施形態において、撮像画像(撮像部131a,131bによる印刷画像の撮像によって得られた画像)を保存する際に適用可能な記録解像度として、複数の解像度が用意されている。具体的には、適用可能な記録解像度として、2つの解像度(高解像度および低解像度)が用意されている。なお、高解像度の例として“200dpi”を挙げ、低解像度の例として“75dpi”を挙げている。すなわち、“200dpi”が比較的高い解像度である第1解像度に相当し、“75dpi”が比較的低い解像度である第2解像度に相当する。撮像画像の保存の際に実際に適用される記録解像度は、ユーザーの操作によることなく動的に切り替えられる。以下、第1~第6の実施形態(変形例を含む)について詳しく説明する。
【0070】
<1.第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態においては、テスト画像についての撮像画像の検査でのノズル欠けの検出の有無に基づいて記録解像度が決定される。
【0071】
<1.1 検査装置の構成>
図4は、本実施形態における画像検査装置13の機能構成を示すブロック図である。画像検査装置13は、機能的には、撮像部131と一時記憶部132と検査部133と保存処理部134と画像記憶部135とを有している。なお、一時記憶部132と検査部133と保存処理部134と画像記憶部135とは、図2に示した画像検査コンピュータ139の内部に設けられる構成要素である。撮像部131は、印刷画像(印刷後の印刷用紙PA)の撮像を行う。撮像部131による印刷画像の撮像によって得られた撮像画像は、まず、一時記憶部132に記録される。検査部133は、一時記憶部132に記録された撮像画像の検査を行う。保存処理部134は、一時記憶部132に記録されている撮像画像を画像記憶部135に記録する。その際、保存処理部134は、検査部133による検査の結果に応じて、記録解像度を決定する。画像記憶部135は、保存処理部134によって記録された撮像画像を保持する。
【0072】
<1.2 検査部で行われる検査>
本実施形態においては、検査部133では、所定の間隔で印刷用紙PAに印刷されるテスト画像についての撮像画像の検査が行われる。テスト画像は、それによってノズル欠けを検出することができるようなパターンの画像である。すなわち、検査部133では、連続紙に対して印刷が行われている期間を通じて、一定の間隔で、ノズル欠けの有無を判定する検査が行われる。
【0073】
<1.3 保存処理>
次に、保存処理部134による撮像画像を画像記憶部135に保存(記録)する処理の詳細について説明する。図5は、本実施形態における記録解像度の切り替えについて説明するための図である。図5から把握されるように、本実施形態においては、最初にテスト画像の印刷結果(撮像画像)に基づいてノズルの状態が検査された後、100シート分の通常画像の印刷が行われる毎に、テスト画像の印刷結果(撮像画像)に基づいてノズルの状態が検査される。テスト画像の撮像画像については、ノズル欠けの有無に関わらず、記録解像度“200dpi”で保存される。通常画像の撮像画像については、直近の検査の結果に応じて、記録解像度“200dpi”または記録解像度“75dpi”のいずれかで保存される。より詳しくは、直近の検査によってノズル欠けが検出されている場合には、通常画像の撮像画像は記録解像度“200dpi”で保存され、直近の検査によってノズル欠けが検出されていない場合には、通常画像の撮像画像は記録解像度“75dpi”で保存される。このように、直近の検査によってノズル欠けが検出されている場合には、画像記憶部135への通常画像の撮像画像の記録は高解像度で行われ、直近の検査によってノズル欠けが検出されていない場合には、画像記憶部135への通常画像の撮像画像の記録は低解像度で行われる。
【0074】
以上のように、本実施形態においては、保存処理部134は、検査部133による或るタイミングでの検査の結果に応じて、検査部133による次の検査の結果が得られるまでの各撮像画像(通常画像についての撮像画像)の記録解像度を決定する。また、検査部133による或るタイミングでの検査の結果、ノズル欠けが有る旨の判定が行われた場合には、保存処理部134は、検査部133による次の検査の結果が得られるまでの各撮像画像(通常画像についての撮像画像)の記録解像度を高解像度(ここでは、200dpi)に決定する。一方、検査部133による或るタイミングでの検査の結果、ノズル欠けが無い旨の判定が行われた場合には、保存処理部134は、検査部133による次の検査の結果が得られるまでの各撮像画像(通常画像についての撮像画像)の記録解像度を低解像度(ここでは、75dpi)に決定する。
【0075】
図6は、撮像画像の保存に関連する一連の処理の手順を示すフローチャートである。まず、1シート分の撮像画像が取得される(ステップS100)。次に、ステップS100で取得された撮像画像がテスト画像であるか否かの判定が行われる(ステップS110)。ステップS110での判定の結果、撮像画像がテスト画像であれば処理はステップS120に進み、撮像画像がテスト画像でなければ(すなわち、撮像画像が通常画像であれば)処理はステップS150に進む。
【0076】
ステップS120では、ノズル欠けの有無を判定する検査が行われる。そして、テスト画像についての撮像画像が高解像度で画像記憶部135に保存される(ステップS130)。その後、ステップS120の検査でノズル欠けが検出されたか否かの判定が行われる(ステップS140)。ステップS140での判定の結果、ノズル欠けが検出されていれば処理はステップS142に進み、ノズル欠けが検出されていなければ処理はステップS144に進む。ステップS142では、撮像画像を画像記憶部135に保存する際の記録解像度が高解像度に設定される。ステップS144では、撮像画像を画像記憶部135に保存する際の記録解像度が低解像度に設定される。ステップS142またはステップS144の終了後、処理はステップS160に進む。
【0077】
ステップS150では、設定されている記録解像度で、撮像画像が画像記憶部135に保存される。なお、このステップS150で画像記憶部135に保存される撮像画像は、通常画像についての撮像画像である。ステップS150の終了後、処理はステップS160に進む。
【0078】
ステップS160では、全てのシートについての撮像画像が画像記憶部135に保存されたか否かの判定が行われる。ステップS160での判定の結果、全てのシートについての撮像画像が保存されていれば一連の保存処理は終了し、保存されていない撮像画像があれば処理はステップS100に戻る。
【0079】
以上より、例えば図5のテスト画像(1)についての撮像画像の処理の際には、ステップS140においてノズル欠けが有る旨の判定が行われるので、記録解像度が高解像度に設定される(ステップS142)。これにより、図5のシート(1)~シート(100)についての撮像画像は、ステップS150において高解像度(ここでは、200dpi)で画像記憶部135に保存される。また、例えば図5のテスト画像(2)についての撮像画像の処理の際には、ステップS140においてノズル欠けが無い旨の判定が行われるので、記録解像度が低解像度に設定される(ステップS144)。これにより、図5のシート(101)~シート(200)についての撮像画像は、ステップS150において低解像度(ここでは、75dpi)で画像記憶部135に保存される。
【0080】
なお、本実施形態においては、ステップS120によって検査ステップが実現され、ステップS140,S142,S144,およびS150によって保存処理ステップが実現される。
【0081】
<1.4 効果>
本実施形態によれば、通常画像の撮像画像を画像記憶部135に保存する際の記録解像度が、ノズル欠けの有無を判定する検査の結果に応じて決定される。そして、直近の検査によってノズル欠けが検出されている場合には、通常画像の撮像画像は高解像度で画像記憶部135に保存され、直近の検査によってノズル欠けが検出されていない場合には、通常画像の撮像画像は低解像度で画像記憶部135に保存される。このように、ユーザーの要求を満たしつつ検査用の撮像画像を効率的に保存することが可能となる。以上のように、本実施形態によれば、検査用の撮像画像が効率的に保存されるよう記録解像度を動的に変化させることのできる画像検査装置(インクジェット印刷装置100用の検査装置)13が実現される。
【0082】
<1.5 変形例>
以下、上記第1の実施形態の変形例について説明する。
【0083】
<1.5.1 第1の変形例>
上記第1の実施形態においては、各撮像画像に関し、1シート分の全体が同じ記録解像度で画像記憶部135に保存されていた。しかしながら、これには限定されず、1シート内の場所によって異なる解像度で撮像画像の保存が行われても良い。すなわち、シートを複数に分割したエリア毎に記録解像度を決定するようにしても良い。例えば、各インクジェットヘッド441によって印刷が行われるヘッドエリア毎に記録解像度を決定するようにしても良い(図7参照)。
【0084】
このようにエリア毎に記録解像度を決定することにより、画像記憶部135への検査用の撮像画像の保存をより効率的に行うことが可能となる。
【0085】
<1.5.2 第2の変形例>
上記第1の実施形態によれば、多数のシートについての撮像画像の保存が高解像度で行われるケースも生じ得る。そこで、予め閾値を設定しておき、図6に示したフローで高解像度で保存されることになったシート(撮像画像)の数が閾値よりも大きくなった場合に、それらのうちの一部のみを高解像度で画像記憶部135に保存する(例えば、10シート当たり1シートだけを高解像度で画像記憶部135に保存する)ようにしても良い。
【0086】
本変形例によれば、多数の撮像画像が高解像度で保存されることに起因する画像記部135の容量不足の発生が抑制される。
【0087】
<2.第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、シート毎に、検査によって検出された欠点の数に基づいて記録解像度が決定される。
【0088】
画像検査装置13の機能構成については、上記第1の実施形態と同様である(図4参照)。但し、検査部133で行われる検査の内容および保存処理部134の動作が上記第1の実施形態とは異なる。本実施形態においては、検査部133では、全てのシートについての撮像画像の検査が行われる。検査部133で行われる検査は、欠点を検出する検査である。保存処理部134の動作については後述する。
【0089】
<2.1 保存処理>
保存処理部134による撮像画像を画像記憶部135に保存(記録)する処理の詳細について説明する。図8は、本実施形態における記録解像度の切り替えについて説明するための図である。図8から把握されるように、本実施形態においては、各シートの撮像画像に関し、欠点が少なければ記録解像度“200dpi”で保存され、欠点が多ければ記録解像度“75dpi”で保存される。詳しくは、予め閾値が設定され、検査によって検出された欠点の数が閾値よりも少ないシートについての撮像画像は記録解像度“200dpi”で保存され、検査によって検出された欠点の数が閾値よりも多いシートについての撮像画像は記録解像度“75dpi”で保存される。このように、欠点が全く検出されなかった撮像画像および比較的少数の欠点が検出された撮像画像については画像記憶部135への記録は高解像度で行われ、比較的多数の欠点が検出された撮像画像については画像記憶部135への記録は低解像度で行われる。なお、記録解像度の切り替えをこのように行う理由は、本実施形態においては「欠点が少ないシートについては目視による確認を行い、欠点が多いシートについては目視による確認を行うことなく再印刷を実行する」という運用を想定しているからである。
【0090】
以上のように、本実施形態においては、保存処理部134は、検査部133による検査によって検出された欠点の数が所定数よりも少ないシートについての撮像画像の記録解像度を高解像度(ここでは、200dpi)に決定し、検査部133による検査によって検出された欠点の数が所定数よりも多いシートについての撮像画像の記録解像度を低解像度(ここでは、75dpi)に決定する。
【0091】
図9は、撮像画像の保存に関連する一連の処理の手順を示すフローチャートである。まず、1シート分の撮像画像が取得される(ステップS200)。次に、検査部133によって、欠点を検出する検査が行われる(ステップS210)。その後、ステップS210の検査で検出された欠点の数が所定数(閾値)未満であるか否かの判定が行われる(ステップS220)。ステップS220での判定の結果、検出された欠点の数が所定数未満であれば処理はステップS222に進み、検出された欠点の数が所定数以上であれば処理はステップS224に進む。
【0092】
ステップS222では、該当のシートについての撮像画像が高解像度で画像記憶部135に保存される。ステップS224では、該当のシートについての撮像画像が低解像度で画像記憶部135に保存される。ステップS222またはステップS224の終了後、処理はステップS230に進む。
【0093】
ステップS230では、全てのシートについての撮像画像が画像記憶部135に保存されたか否かの判定が行われる。ステップS230での判定の結果、全てのシートについての撮像画像が保存されていれば一連の保存処理は終了し、保存されていない撮像画像があれば処理はステップS200に戻る。
【0094】
以上より、例えば図8のシート(3)~シート(m-1)についての撮像画像の処理の際には、ステップS220において、検出された欠点の数が所定数未満である旨の判定が行われる。これにより、図8のシート(3)~シート(m-1)についての撮像画像は、高解像度(ここでは、200dpi)で画像記憶部135に保存される(ステップS222)。また、例えば図8のシート(m)~シート(n-1)についての撮像画像の処理の際には、ステップS220において、検出された欠点の数が所定数以上である旨の判定が行われる。これにより、図8のシートシート(m)~シート(n-1)についての撮像画像は、低解像度(ここでは、75dpi)で画像記憶部135に保存される(ステップS224)。
【0095】
なお、本実施形態においては、ステップS210によって検査ステップが実現され、ステップS220,S222,およびS224によって保存処理ステップが実現される。
【0096】
<2.2 効果>
本実施形態によれば、各シートの撮像画像を画像記憶部135に保存する際の記録解像度が、シート毎に行われる欠点検出検査の結果に応じて決定される。そして、検査によって検出された欠点の数が所定数よりも少ないシートについての撮像画像は高解像度で画像記憶部135に保存され、検査によって検出された欠点の数が所定数以上のシートについての撮像画像は低解像度で画像記憶部135に保存される。このように、ユーザーの要求を満たしつつ検査用の撮像画像を効率的に保存することが可能となる。以上のように、上記第1の実施形態と同様、本実施形態においても、検査用の撮像画像が効率的に保存されるよう記録解像度を動的に変化させることのできる画像検査装置(インクジェット印刷装置100用の検査装置)13が実現される。
【0097】
<2.3 変形例>
上記第2の実施形態においては、欠点の数が閾値よりも少ないシートについての撮像画像は高解像度で保存され、欠点の数が閾値よりも多いシートについての撮像画像は低解像度で保存されていた。しかしながら、これとは逆に、欠点の数が閾値よりも少ないシートについての撮像画像を低解像度で保存し、欠点の数が閾値よりも多いシートについての撮像画像を低解像度で保存するようにしても良い。
【0098】
これに関し、例えば「欠点が少ないシートについては目視による確認を簡単に行い、欠点が多いシートについては細かな部分まで目視による確認を充分に行う」という運用を採用する場合には、本変形例の手法で記録解像度の切り替えを行えば良い。第2の実施形態および本変形例に示すように、検査によって検出された欠点の数に基づいて撮像画像を保存する際の解像度を決定すれば良い。
【0099】
<3.第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態においては、シート毎に、検査によって検出された欠点のサイズに基づいて記録解像度が決定される。
【0100】
画像検査装置13の機能構成については、上記第1の実施形態と同様である(図4参照)。但し、検査部133で行われる検査の内容および保存処理部134の動作が上記第1の実施形態とは異なる。本実施形態においては、検査部133では、全てのシートについての撮像画像の検査が行われる。検査部133で行われる検査は、欠点を検出する検査である。保存処理部134の動作については後述する。
【0101】
<3.1 保存処理>
保存処理部134による撮像画像を画像記憶部135に保存(記録)する処理の詳細について説明する。図10は、本実施形態における記録解像度の切り替えについて説明するための図である。図10から把握されるように、本実施形態においては、各シートの撮像画像に関し、欠点が小さければ記録解像度“200dpi”で保存され、欠点が大きければ記録解像度“75dpi”で保存される。詳しくは、予め閾値が設定され、検査によって閾値よりも小さいサイズの欠点が検出されたシートについての撮像画像は記録解像度“200dpi”で保存され、検査によって閾値よりも大きいサイズの欠点のみが検出されたシートについての撮像画像は記録解像度“75dpi”で保存される。このように、小さいサイズの欠点が検出された撮像画像については画像記憶部135への記録は高解像度で行われ、大きいサイズの欠点のみが検出された撮像画像については画像記憶部135への記録は低解像度で行われる。なお、欠点が全く検出されなかった撮像画像については、画像記憶部135への記録は高解像度で行われる。
【0102】
以上のように、本実施形態においては、保存処理部134は、検査部133による検査によって所定サイズよりも小さいサイズの欠点が検出されたシートについての撮像画像の記録解像度を高解像度(ここでは、200dpi)に決定し、検査部133による検査によって所定サイズよりも大きいサイズの欠点のみが検出されたシートについての撮像画像の記録解像度を低解像度(ここでは、75dpi)に決定する。
【0103】
撮像画像の保存に関連する一連の処理の手順については、上記第2の実施形態とほぼ同様である(図9参照)。但し、図9のステップS220では、閾値よりも小さいサイズの欠点が検出されたか否かの判定が行われる。そして、ステップS220での判定の結果、閾値よりも小さいサイズの欠点が検出されていれば処理はステップS222に進み、閾値よりも大きいサイズの欠点のみが検出されていれば処理はステップS224に進む。なお、ステップS220での判定の結果、欠点が全く検出されていない場合には、処理はステップS222に進む。
【0104】
<3.2 効果>
本実施形態によれば、各シートの撮像画像を画像記憶部135に保存する際の記録解像度が、シート毎に行われる欠点検出検査の結果に応じて決定される。そして、検査によって閾値よりも小さいサイズの欠点が検出されたシートについての撮像画像は高解像度で画像記憶部135に保存され、検査によって閾値よりも大きいサイズの欠点のみが検出されたシートについての撮像画像は低解像度で画像記憶部135に保存される。このように、ユーザーの要求を満たしつつ検査用の撮像画像を効率的に保存することが可能となる。以上のように、上記第1の実施形態と同様、本実施形態においても、検査用の撮像画像が効率的に保存されるよう記録解像度を動的に変化させることのできる画像検査装置(インクジェット印刷装置100用の検査装置)13が実現される。
【0105】
<3.3 変形例>
上記第3の実施形態においては、検査によって検出された欠点のサイズに基づいて記録解像度が決定されていた。しかしながら、これに代えて、検査によって検出された欠点の種類に基づいて記録解像度を決定するようにしても良い。
【0106】
<4.第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態においては、撮像画像の記録解像度を高解像度とする条件をユーザーが複数の条件の中から選択することが可能となっている。
【0107】
<4.1 検査装置の構成>
図11は、本実施形態における画像検査装置13の機能構成を示すブロック図である。画像検査装置13は、機能的には、撮像部131と一時記憶部132と検査部133と保存処理部134と画像記憶部135と条件切り替え部136とを有している。なお、一時記憶部132と検査部133と保存処理部134と画像記憶部135と条件切り替え部136とは、図2に示した画像検査コンピュータ139の内部に設けられる構成要素である。撮像部131は、印刷画像(印刷後の印刷用紙PA)の撮像を行う。撮像部131による印刷画像の撮像によって得られた撮像画像は、まず、一時記憶部132に記録される。検査部133は、一時記憶部132に記録された撮像画像の検査を行う。本実施形態においては、検査部133で行われる検査は、欠点を検出する検査である。
【0108】
条件切り替え部136は、記録解像度の決定に関わる条件(具体的には、撮像画像の記録解像度を高解像度とする条件)をユーザーの選択操作に応じて切り替える。これに関し、上記第2の実施形態においては、記録解像度を高解像度にするか低解像度にするかは、欠点の数に応じて決定されていた。詳しくは、各シートに関し、検査によって検出された欠点の数が閾値よりも少ないということが、撮像画像の記録解像度を高解像度とする条件とされていた。また、上記第3の実施形態においては、記録解像度を高解像度にするか低解像度にするかは、欠点のサイズに応じて決定されていた。詳しくは、各シートに関し、検査によって閾値よりも小さいサイズの欠点が検出されたということが、撮像画像の記録解像度を高解像度とする条件とされていた。本実施形態においては、上記第2の実施形態と同様の条件と上記第3の実施形態と同様の条件とが用意されていて、条件切り替え部136は、それら2つの条件の中から記録解像度を決定する際に実際に適用する条件を選択する。
【0109】
保存処理部134は、一時記憶部132に記録されている撮像画像を画像記憶部135に記録する。その際、保存処理部134は、条件切り替え部136によって選択された条件に従って、記録解像度を決定する。画像記憶部135は、保存処理部134によって記録された撮像画像を保持する。
【0110】
なお、ここでは撮像画像の記録解像度を高解像度とする条件として2つの条件が用意されているケースを例示しているが、これには限定されず、撮像画像の記録解像度を高解像度とする条件として3つ以上の条件が用意されていても良い。
【0111】
<4.2 条件の切り替えおよび保存処理>
本実施形態においては、条件切り替え部136は、例えば図12に示すような条件設定画面610を画像検査コンピュータ139の表示部に表示する。この条件設定画面610には、撮像画像の記録解像度を高解像度とする条件をユーザーが選択するための条件選択欄612と、条件選択欄612での入力内容(選択内容)を確定するOKボタン614と、条件選択欄612での入力内容(選択内容)を取り消すキャンセルボタン616とが設けられている。条件選択欄612には、上述した2つの条件にそれぞれ対応する2つのチェックボックスが設けられている。
【0112】
ユーザーによって条件選択欄612の上方のチェックボックスが選択されると、各シートに関し、検査によって検出された欠点の数が閾値よりも少ないということが、撮像画像を高解像度で保存する条件とされる。この場合、検査によって検出された欠点の数が閾値よりも少ないシートについての撮像画像は記録解像度“200dpi”で保存され、検査によって検出された欠点の数が閾値よりも多いシートについての撮像画像は記録解像度“75dpi”で保存される。このように、上記第2の実施形態と同様、欠点が全く検出されなかった撮像画像および比較的少数の欠点が検出された撮像画像については画像記憶部135への記録は高解像度で行われ、比較的多数の欠点が検出された撮像画像については画像記憶部135への記録は低解像度で行われる。
【0113】
一方、ユーザーによって条件選択欄612の下方のチェックボックスが選択されると、各シートに関し、検査によって閾値よりも小さいサイズの欠点が検出されたということが、撮像画像を高解像度で保存する条件とされる。この場合、検査によって閾値よりも小さいサイズの欠点が検出されたシートについての撮像画像は記録解像度“200dpi”で保存され、検査によって閾値よりも大きいサイズの欠点のみが検出されたシートについての撮像画像は記録解像度“75dpi”で保存される。このように、上記第3の実施形態と同様、小さいサイズの欠点が検出された撮像画像については画像記憶部135への記録は高解像度で行われ、大きいサイズの欠点のみが検出された撮像画像については画像記憶部135への記録は低解像度で行われる。なお、欠点が全く検出されなかった撮像画像については、画像記憶部135への記録は高解像度で行われる。
【0114】
<4.3 効果>
本実施形態によれば、ユーザーは、撮像画像の記録解像度を高解像度とする条件を2つの条件の中から選択することができる。このため、撮像画像の保存に関して、より柔軟にユーザーの要求に適応することが可能となる。以上より、本実施形態においても、検査用の撮像画像が効率的に保存されるよう記録解像度を動的に変化させることのできる画像検査装置(インクジェット印刷装置100用の検査装置)13が実現される。
【0115】
<4.4 変形例>
上記第4の実施形態においては、ユーザーは、欠点の数に応じて記録解像度を切り替えるのか欠点のサイズに応じて記録解像度を切り替えるのかを選択することが可能であった。しかしながら、このような手法には限定されず、記録解像度を決定する際に用いる閾値を複数個用意しておき、記録解像度を決定する際に実際に適用する閾値をユーザーが選択できるようにしても良い。以下、記録解像度を決定する際に欠点の数と閾値との比較が行われるケースを例に挙げて説明する。
【0116】
本変形例においては、各シートに関し、検査によって検出された欠点の数が閾値よりも少ないということが、撮像画像を高解像度で保存する条件とされる。ここで、ユーザーは、予め用意された3つの値の中から記録解像度を決定する際に実際に閾値として適用する値を選択することができる。
【0117】
本変形例においては、条件切り替え部136は、例えば図13に示すような条件設定画面620を画像検査コンピュータ139の表示部に表示する。この条件設定画面620には、3つの値の中から実際に閾値として適用する値をユーザーが選択するための条件選択欄622と、条件選択欄622での入力内容(選択内容)を確定するOKボタン624と、条件選択欄622での入力内容(選択内容)を取り消すキャンセルボタン626とが設けられている。条件選択欄622には、3つの値(ここでは、“1”,“3”,および“5”)にそれぞれ対応する3つのチェックボックスが設けられている。そして、ユーザーによって選択された値に基づき、検査によって検出された欠点の数が閾値よりも少ないシートについての撮像画像は記録解像度“200dpi”で保存され、検査によって検出された欠点の数が閾値よりも多いシートについての撮像画像は記録解像度“75dpi”で保存される。
【0118】
<5.第5の実施形態>
本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態においては、検査によって所定のエリアに欠点が検出されると当該所定のエリアに欠点が検出された過去の撮像画像の閲覧履歴に基づいて記録解像度が決定される。
【0119】
<5.1 検査装置の構成>
図14は、本実施形態における画像検査装置13の機能構成を示すブロック図である。画像検査装置13は、機能的には、撮像部131と一時記憶部132と検査部133と保存処理部134と画像記憶部135と画像閲覧部137と閲覧履歴記憶部138とを有している。なお、一時記憶部132と検査部133と保存処理部134と画像記憶部135と画像閲覧部137と閲覧履歴記憶部138とは、図2に示した画像検査コンピュータ139の内部に設けられる構成要素である。撮像部131は、印刷画像(印刷後の印刷用紙PA)の撮像を行う。撮像部131による印刷画像の撮像によって得られた撮像画像は、まず、一時記憶部132に記録される。検査部133は、一時記憶部132に記録された撮像画像の検査を行う。本実施形態においては、検査部133で行われる検査は、欠点を検出する検査である。
【0120】
画像閲覧部137は、画像記憶部135に保持されている撮像画像をユーザーに閲覧させる機能(いわゆる「ビューワー」と呼ばれる機能)を有している。画像閲覧部137による撮像画像の閲覧が行われると、当該撮像画像に関する閲覧履歴が閲覧履歴記憶部138に記録される。閲覧履歴記憶部138は、過去の撮像画像に関する閲覧履歴を保持する。保存処理部134は、一時記憶部132に記録されている撮像画像を画像記憶部135に記録する。その際、保存処理部134は、閲覧履歴記憶部138に保持されている閲覧履歴に基づいて、記録解像度を決定する。画像記憶部135は、保存処理部134によって記録された撮像画像を保持する。
【0121】
<5.2 保存処理>
次に、保存処理部134による撮像画像を画像記憶部135に保存(記録)する処理の詳細について説明する。本実施形態においては、例えば或るインクジェットヘッド441によって印刷が行われたエリア(ヘッドエリア)に欠点が存在する過去の撮像画像についての閲覧頻度が高い場合に、当該ヘッドエリアに欠点が検出された新たな撮像画像についての画像記憶部135への記録が高解像度で行われる。これを実現するために、随時、インクジェットヘッド441毎に、対象のヘッドエリアに欠点が検出された過去の撮像画像のうちの所定期間中に画像閲覧部137による閲覧が行われた撮像画像の割合(以下、「閲覧率」という。)が求められる。インクジェットヘッド441毎の閲覧率の情報は、例えば図15に示すようなテーブル形式で保持されている。
【0122】
ここで、「閲覧率が0.5以上のヘッドエリアに欠点が検出された撮像画像については画像記憶部135への記録を高解像度で行う」旨の設定が行われたと仮定する。また、インクジェットヘッド441毎の閲覧率は図15に示したとおりであると仮定する。この場合、例えば、インクジェットヘッド(2)のヘッドエリアに欠点が検出された撮像画像は高解像度で画像記憶部135に保存される。また、例えば、インクジェットヘッド(2)のヘッドエリアには欠点が検出されずインクジェットヘッド(4)のヘッドエリアに欠点が検出された撮像画像は低解像度で画像記憶部135に保存される。
【0123】
以上のように、本実施形態においては、検査部133による検査によって所定のエリアに欠点が検出された場合、保存処理部134は、当該所定のエリアに欠点が検出された過去の撮像画像の閲覧履歴に基づいて、記録解像度を決定する。
【0124】
<5.3 効果>
本実施形態によれば、撮像画像を画像記憶部135に保存する際の記録解像度が、過去の撮像画像の閲覧履歴に基づいて決定される。例えば、或る撮像画像(以下、「着目撮像画像」という。)に関して或るヘッドエリアに欠点が検出された場合、当該ヘッドエリアに欠点が検出された過去の撮像画像の閲覧率が高ければ、着目撮像画像は高解像度で画像記憶部135に保存される。このように、後で閲覧される可能性の高い撮像画像のみが高解像度で保存されるので、撮像画像の効率的な保存が可能となる。以上のように、本実施形態においても、検査用の撮像画像が効率的に保存されるよう記録解像度を動的に変化させることのできる画像検査装置(インクジェット印刷装置100用の検査装置)13が実現される。
【0125】
<6.第6の実施形態>
本発明の第6の実施形態について説明する。本実施形態においては、過去の撮像画像と当該過去の撮像画像についての閲覧履歴とを用いて機械学習が行われている学習モデルによって記録解像度が決定される。
【0126】
画像検査装置13の機能構成については、上記第5の実施形態と同様である(図14参照)。但し、本実施形態における保存処理部134には、撮像画像の閲覧可能性を判定するための学習モデルとしての閲覧可能性判別モデル1341(図16参照)が含まれている。この閲覧可能性判別モデル1341は、画像記憶部135に保持されている過去の撮像画像を入力データとし当該過去の撮像画像に対応する閲覧履歴であって閲覧履歴記憶部138に保持されている閲覧履歴に基づいて決定される値を正確データとして予め機械学習が行われている。
【0127】
<6.1 閲覧可能性判別モデル>
図16図18を参照しつつ、閲覧可能性判別モデル1341について説明する。但し、ここで説明する閲覧可能性判別モデル1341の構成は一例であって、これには限定されない。図16は、閲覧可能性判別モデル1341の概略構成図である。図16に示すように、閲覧可能性判別モデル1341は、機械学習を行うニューラルネットワーク部700と、撮像画像の閲覧可能性が高いか否かの判別結果82を出力する結果出力部710とからなる。本実施形態においては、ニューラルネットワーク部700は畳み込みニューラルネットワークによって実現される。
【0128】
ニューラルネットワーク部700には、学習時には過去の撮像画像が入力データとして与えられ、判定時には保存対象の撮像画像が入力データとして与えられる。入力データはRGB形式のデータである。従って、詳細には、図16に示すように、ニューラルネットワーク部700には、入力データとして、R色画像8R、G色画像8G、およびB色画像8Bが与えられる。
【0129】
以上のように、3色(原色)分のデータがニューラルネットワーク部700に入力される。各色のデータは、n個(nは複数)の画素値データで構成されている。例えば、R色画像8Rは、図16に示すようにn個の画素値データ8R(1)~8R(n)で構成されている。以上より、ニューラルネットワーク部700には、(3×n)個の画素値データが入力される。
【0130】
ニューラルネットワーク部700からは、撮像画像の閲覧可能性を判別するための判別データ81が出力される。判別データ81は、0以上1以下の数値データである。学習時には、判別データ81の値と正解データ89の値(例えば、閲覧されたことのある撮像画像に対応する正解データの値を1とし、閲覧されたことのない撮像画像に対応する正解データの値を0とする)との差(典型的には、2乗誤差)(図17参照)に基づく誤差逆伝播法の処理によって、ニューラルネットワーク部700(畳み込みニューラルネットワーク)で用いられているパラメータの値が更新される。判別時には、例えば、判別データ81の値が0.5以上であれば撮像画像の閲覧可能性が高い旨の判別結果82が結果出力部710から出力され、判別データ81の値が0.5未満であれば撮像画像の閲覧可能性が低い旨の判別結果82が結果出力部710から出力される。
【0131】
図18は、閲覧可能性判別モデル1341内のニューラルネットワーク部700の詳細な構成の一例を示す図である。このニューラルネットワーク部700に上述した3色分のデータ(R色画像8R、G色画像8G、およびB色画像8B)が入力されると、入力データに対して1組または複数組の畳み込みフィルタ71に基づく畳み込み演算が施される。なお、1組の畳み込みフィルタ71には3個のフィルタが含まれており、1組の畳み込みフィルタ71に基づく畳み込み演算によって1枚の特徴マップ72が得られる。例えば、4組の畳み込みフィルタ71が使用される場合、畳み込み演算によって4枚の特徴マップ72が得られる。そして、各特徴マップ72に対してプーリング演算が施されることによって、次元が削減されたプーリングデータ73が得られる。このようにして得られたプーリングデータ73が全結合層74に与えられ、当該全結合層74から上述した判別データ81が出力される。この判別データ81の値に基づいて、上述したように、学習時にはパラメータの更新が行われ、判別時には撮像画像の閲覧可能性が高いか否かの判別結果82が出力される。
【0132】
<6.2 保存処理>
次に、保存処理部134による撮像画像を画像記憶部135に保存(記録)する処理の詳細について説明する。本実施形態においては、保存対象の撮像画像を上述の閲覧可能性判別モデル1341に入力データとして与えることによって得られる出力データ(判別結果82)に基づいて記録解像度が決定される。ここで、閲覧可能性判別モデル1341については、予め機械学習が行われることによって、撮像画像を入力データとして与えると当該撮像画像の閲覧可能性が高いか否かを示す判別結果82を出力するように構成されている。従って、閲覧可能性判別モデル1341に撮像画像を与えることによって、当該撮像画像の閲覧可能性に基づいて記録解像度を決定することができる。具体的には、保存処理部134は、閲覧可能性が高いと判定された撮像画像の記録解像度を高解像度に決定し、閲覧可能性が低いと判定された撮像画像の記録解像度を低解像度に決定する。
【0133】
以上のように、本実施形態においては、保存処理部134は、閲覧可能性判別モデル1341に入力データとして撮像画像を与えることによって得られる出力データ(判別結果82)に基づいて記録解像度を決定する。
【0134】
図19は、撮像画像の保存に関連する一連の処理の手順を示すフローチャートである。これに関し、各シートの処理(ステップS310~S350の処理)が行われる前に、画像記憶部135に保持されている過去の撮像画像が閲覧される都度、閲覧履歴を閲覧履歴記憶部138に記録する必要がある。図19では、撮像画像が閲覧される毎に閲覧履歴記憶部138に閲覧履歴が記録される処理をまとめてステップS300として表している。さらに、閲覧履歴記憶部138に保持されている閲覧履歴を用いて、閲覧可能性判別モデル1341の学習(機械学習)が行われている必要がある(ステップS305)。撮像画像の閲覧履歴が閲覧履歴記憶部138に蓄積され、かつ、閲覧可能性判別モデル1341の学習が行われていることを前提として、各シートの処理が以下のように行われる。
【0135】
まず、1シート分の撮像画像が取得される(ステップS310)。次に、検査部133によって、例えば欠点を検出する検査が行われる(ステップS320)。なお、本実施形態においては、撮像画像の記録解像度は、このステップS320での検査の結果には依存しない。
【0136】
次に、ステップS310で取得された撮像画像が閲覧可能性判別モデル1341に入力データとして与えられる(ステップS330)。これにより、閲覧可能性判別モデル1341からは、閲覧可能性を示す出力データ(判別結果82)が出力される。その後、出力データに基づき、撮像画像の閲覧可能性が高いか否かの判定が行われる(ステップS340)。その結果、閲覧可能性が高い旨の判定が行われると処理はステップS342に進み、閲覧可能性が低い旨の判定が行われると処理はステップS344に進む。
【0137】
ステップS342では、該当のシートについての撮像画像が高解像度で画像記憶部135に保存される。ステップS344では、該当のシートについての撮像画像が低解像度で画像記憶部135に保存される。ステップS342またはステップS344の終了後、処理はステップS350に進む。
【0138】
ステップS350では、全てのシートについての撮像画像が画像記憶部135に保存されたか否かの判定が行われる。ステップS350での判定の結果、全てのシートについての撮像画像が保存されていれば一連の保存処理は終了し、保存されていない撮像画像があれば処理はステップS310に戻る。
【0139】
以上より、例えば、或る特徴を有する過去の撮像画像が画像閲覧部137によって過去に閲覧されている場合、それと同様の特徴を有する撮像画像は高解像度で画像記憶部135に保存される。また、別の或る特徴を有する過去の撮像画像が画像閲覧部137によって過去に閲覧されていない場合、それと同様の特徴を有する撮像画像は低解像度で画像記憶部135に保存される。
【0140】
なお、本実施形態においては、ステップS300によって閲覧履歴保存ステップが実現され、ステップS330,S340,S342,およびS344によって保存処理ステップが実現される。
【0141】
<6.3 効果>
本実施形態によれば、撮像画像を画像記憶部135に保存する際の記録解像度が、過去の撮像画像の閲覧履歴に基づき機械学習済みの閲覧可能性判別モデル1341を用いて決定される。これにより、例えば、或る特徴を有する過去の撮像画像が過去に閲覧されている場合、それと同様の特徴を有する撮像画像は高解像度で画像記憶部135に保存される。このように、上記第5の実施形態と同様、後で閲覧される可能性の高い撮像画像のみが高解像度で保存されるので、撮像画像の効率的な保存が可能となる。以上のように、本実施形態においても、検査用の撮像画像が効率的に保存されるよう記録解像度を動的に変化させることのできる画像検査装置(インクジェット印刷装置100用の検査装置)13が実現される。
【0142】
<6.4 変形例>
上記第6の実施形態においては、閲覧可能性判別モデル1341には入力データとして撮像画像が与えられていた。しかしながら、これには限定されず、撮像画像に対応する印刷データ(印刷データ生成装置200からインクジェット印刷装置100に送信された印刷データ)を入力データとして閲覧可能性判別モデル1341に与えるようにしても良い。この場合、CMYK形式の印刷データを閲覧可能性判別モデル1341に与えても良いし、CMYK形式からRGB形式に変換した後の印刷データを閲覧可能性判別モデル1341に与えても良い。
【0143】
本変形例においては、閲覧可能性判別モデル1341の学習時には、過去の撮像画像のそれぞれに対応する印刷データが入力データとして閲覧可能性判別モデル1341に与えられる。また、判別時には、保存対象の撮像画像に対応する印刷データが入力データとして閲覧可能性判別モデル1341に与えられる。
【0144】
以上のように、本変形例においては、閲覧可能性判別モデル1341は、画像記憶部135に保持されている過去の撮像画像に対応する印刷データを入力データとし当該過去の撮像画像に対応する閲覧履歴であって閲覧履歴記憶部138に保持されている閲覧履歴に基づいて決定される値を正確データとして予め機械学習が行われている。また、保存処理部134は、閲覧可能性判別モデル1341に入力データとして撮像画像に対応する印刷データを与えることによって得られる出力データ(判別結果82)に基づいて記録解像度を決定する。
【0145】
<7.その他>
本発明は、上記各実施形態(変形例を含む)に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記各実施形態では高解像度と低解像度との間で記録解像度の切り替えが行われるが、3段階以上の解像度の間で記録解像度の切り替えが行われるようにすることもできる。また、上記各実施形態や上記各変形例を矛盾が生じることのないよう適宜に組み合わせて実施することもできる。例えば、上記第1の実施形態の第1の変形例の手法を上記第2の実施形態に適用することもできる。
【符号の説明】
【0146】
11…印刷制御装置
12…印刷機本体
13…画像検査装置
100…インクジェット印刷装置
131…撮像部
132…一時記憶部
133…検査部
134…保存処理部
135…画像記憶部
136…条件切り替え部
137…画像閲覧部
138…閲覧履歴記憶部
139…画像検査コンピュータ
200…印刷データ生成装置
441…インクジェットヘッド
610,620…条件設定画面
700…ニューラルネットワーク部
710…結果出力部
1341…閲覧可能性判別モデル
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