(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】プローブおよび電気的接続装置
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20231024BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20231024BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20231024BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G01R1/067 C
G01R1/073 E
G01R31/26 J
H01L21/66 B
(21)【出願番号】P 2020068041
(22)【出願日】2020-04-06
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】成田 寿男
(72)【発明者】
【氏名】原子 翔
(72)【発明者】
【氏名】葛西 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎二
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-142257(JP,A)
【文献】特開昭53-97468(JP,A)
【文献】登録実用新案第3027159(JP,U)
【文献】国際公開第2018/181273(WO,A1)
【文献】特開2011-252766(JP,A)
【文献】特開2005-61876(JP,A)
【文献】実開昭63-165574(JP,U)
【文献】米国特許第04701702(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/067
G01R 1/073
G01R 31/26
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸方向に沿って伸縮する引きバネを有する管形状のバレルと、
基端部が前記バレルの内部に位置し、前記バレルの一方の開口端から先端部が露出するプランジャーと
を備え、
前記引きバネの一方の端部が、前記プランジャーの基端部に固定され、
前記引きバネの他方の端部が、前記プランジャーの基端部よりも先端部に近い位置で前記バレルに固定された
ことを特徴とするプローブ。
【請求項2】
前記引きバネが、前記バレルの側面を貫通する螺旋状の切り込みを形成した領域であることを特徴とする請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記引きバネを前記バレルの内部に配置したことを特徴とする請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記引きバネがコイル型引きバネであり、前記プランジャーが前記バレルの内部で前記引きバネの内側を通過することを特徴とする請求項3に記載のプローブ。
【請求項5】
前記バレルの他方の開口端から先端部が露出し、基端部が前記バレルの内部に位置する、中心軸方向に沿った長さが固定の固定プランジャーを更に備え、
前記プランジャーと前記固定プランジャーが、前記バレルの内部で電気的に接続することを特徴とする請求項3又は4に記載のプローブ。
【請求項6】
少なくともいずれかが請求項1又は2に記載のプローブである第1プローブおよび第2プローブと、
第1主面から前記第1主面に対向する第2主面まで貫通する貫通孔を有するプローブヘッドであって、前記第1主面に先端部を露出して前記第1プローブが前記貫通孔に挿入され、前記第2主面に先端部を露出して前記第2プローブが前記貫通孔に挿入されたプローブヘッドと
を備え、
前記プランジャーの先端部が露出する前記バレルの開口端が、前記プローブヘッドの前記貫通孔の開口部で固定され、
前記第1プローブと前記第2プローブが前記プローブヘッドの内部で電気的に接続する
ことを特徴とする電気的接続装置。
【請求項7】
前記プローブヘッドの前記貫通孔の壁面を導電膜が被覆し、前記導電膜を介して前記第1プローブと前記第2プローブが電気的に接続することを特徴とする請求項6に記載の電気的接続装置。
【請求項8】
前記プローブヘッドの前記貫通孔の内部に配置した導電性を有する接続部材を更に備え、
前記引きバネが伸長した状態において、前記接続部材を介して前記第1プローブの基端部と前記第2プローブの基端部が電気的に接続することを特徴とする請求項6に記載の電気的接続装置。
【請求項9】
前記接続部材が、前記貫通孔の内壁に沿って自在に移動可能な球状体であることを特徴とする請求項8に記載の電気的接続装置。
【請求項10】
前記接続部材が板バネであることを特徴とする請求項8に記載の電気的接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の電気的特性の測定に使用するプローブおよび電気的接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路などの被検査体の電気的特性をウェハから分離しない状態で測定するために、被検査体に接触するプローブを有する電気的接続装置を用いる。プローブを用いる測定では、被検査体とプローブの電気的な接続を確保する。例えば、中心軸方向に伸縮する押しバネを有するプローブを使用し、プローブを被検査体に押し付けるようにオーバードライブをかける(特許文献1参照。)。
【0003】
プローブは、被検査体の検査用パッドの位置に対応して配置する。したがって、半導体集積回路の微細化が進んで検査用パッドの配置間隔が狭くなると、プローブの配置間隔も狭くなる。検査用パッドの狭ピッチ化に伴い、プローブの細径化が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
押しバネを有するプローブが細径化すると、横方向の剛性が不足して収縮時に押しバネが蛇行する。このため、摺動時にプローブが周囲と擦れて、プローブが摩耗したり削れたりする。その結果、プローブの摺動不足やプローブの破損などが発生する。
【0006】
本発明は、摺動時のプローブの周囲との擦れを低減するプローブおよび電気的接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、中心軸方向に沿って伸縮する引きバネを有する管形状のバレルと、基端部がバレルの内部に位置し、バレルの一方の開口端から先端部が露出するプランジャーとを備えるプローブが提供される。引きバネの一方の端部がプランジャーの基端部に固定され、引きバネの他方の端部がプランジャーの基端部よりも先端部に近い位置でバレルに固定される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、摺動時のプローブの周囲との擦れを低減するプローブおよび電気的接続装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る電気的接続装置の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る電気的接続装置のプローブが被検査体と接触した状態を示す模式図である。
【
図3】比較例のプローブの構成を示す模式図である。
【
図4】比較例のプローブのバネ部が圧縮された状態を示す模式図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る電気的接続装置の構成を示す模式図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る電気的接続装置のプローブが被検査体と接触した状態を示す模式図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る電気的接続装置の他の構成を示す模式図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る電気的接続装置の構成を示す模式図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る電気的接続装置のプローブが被検査体と接触した状態を示す模式図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係るプローブの構成を示す模式図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係るプローブが被検査体と接触した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の厚みの比率などは現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。
【0011】
(第1の実施形態)
図1に、本発明の第1の実施形態に係るプローブを第1プローブ101および第2プローブ102として使用する電気的接続装置1を示す。以下において、第1の実施形態に係るプローブを「プローブ10」と称する。電気的接続装置1は、被検査体2の測定に使用する。
【0012】
プローブ10は、
図1に示すように、管形状のバレル11と、基端部がバレル11の内部に位置し、バレル11の一方の開口端から先端部が露出するプランジャー13を備える。バレル11は、バレル11の中心軸方向に沿って伸縮する引きバネ12を有する。引きバネ12の一方の端部は、プランジャー13の基端部に固定されている。また、引きバネ12の他方の端部は、プランジャー13の基端部よりも先端部に近い位置でバレル11に固定されている。
図1では、引きバネ12をプランジャー13に固定した位置を固定点P1で示し、引きバネ12をバレル11に固定した位置を固定点P2で示している(以下において同様。)。
【0013】
図1に示すプローブ10の引きバネ12は、バレル11の側面を貫通する螺旋状の切り込みを形成した領域である。この切り込みを形成した領域がバネ部となって、プローブ10は中心軸方向に伸縮自在である。
図1に示したプローブ10において、固定点P2は、バレル11の切り込みを形成し始める位置である。そして、バレル11の切り込みのない領域に設定した固定点P1で、プランジャー13の基端部とバレル11が接合する。例えば、スポット溶接、かしめ、接着材などにより、プランジャー13の基端部とバレル11が接合する。
【0014】
電気的接続装置1は、
図1に示すように、第1プローブ101および第2プローブ102を保持するプローブヘッド20と、プローブヘッド20が配置された配線基板30を備える。
【0015】
プローブヘッド20は、第1主面21から第1主面21に対向する第2主面22まで貫通する貫通孔を有する。第1プローブ101は、第1主面21に先端部を露出してプローブヘッド20の貫通孔に挿入される。第2プローブ102は、第2主面22に先端部を露出してプローブヘッド20の貫通孔に挿入される。
【0016】
プランジャー13の先端部が露出するバレル11の開口端は、プローブヘッド20の貫通孔の開口部で固定されている。なお、プランジャー13の先端部が露出するバレル11の開口端は、プローブヘッド20から露出した部分で、プローブヘッド20の貫通孔の開口部の内径よりも外径が太い鍔部を有する。この鍔部がプローブヘッド20の貫通孔の開口部に引っ掛かることにより、バレル11がプローブヘッド20の貫通孔に押し込まれることを防止する。
【0017】
第1プローブ101のプローブヘッド20から露出する先端部は、被検査体2に向いている。第2プローブ102のプローブヘッド20から露出する先端部は、配線基板30に配置したランド31と接続する。ランド31は金属材などの導電性材料からなり、テスタなどの検査装置(図示略)とランド31は電気的に接続する。電気的接続装置1を介して、検査装置と被検査体2との間で電気信号が伝搬する。
【0018】
電気的接続装置1は垂直動作式プローブカードであり、被検査体2の測定時に第1プローブ101の先端部が被検査体2の検査用パッド(図示せず)と接触する。
図1は、第1プローブ101が被検査体2に接触していない状態を示している。
【0019】
被検査体2の測定においては、プローブヘッド20が被検査体2に対して相対的に移動し、
図2に示すように、第1プローブ101の先端部が被検査体2に接触する。このとき、第2プローブ102の先端部はランド31に当接しており、第1プローブ101のプランジャー13および第2プローブ102のプランジャー13は中心軸方向に移動する。このため、第1プローブ101の引きバネ12および第2プローブ102の引きバネ12が伸長する。これにより引きバネ12が受ける引張荷重により、所定の押圧で第1プローブ101が被検査体2に押し付けられる。
【0020】
被検査体2の測定が終了して第1プローブ101と被検査体2が離れると、第1プローブ101の引きバネ12および第2プローブ102の引きバネ12が収縮する。このように、第1プローブ101や第2プローブ102は、被検査体2の測定時に、プローブヘッド20の貫通孔の内部で摺動する。
【0021】
上記では、説明をわかりやすくするために、プローブヘッド20が保持する第1プローブ101と第2プローブ102がそれぞれ1本である場合を示した。被検査体2の検査用パッドの個数に対応して、プローブヘッド20は、第1プローブ101と第2プローブ102のペアを複数保持する。
【0022】
以上に説明したプローブ10の動作と比較して、
図3に示すバネ部が押しバネ120である比較例のプローブ(以下、「比較プローブ100」という。)の動作について検討する。比較プローブ100は、バレル110の側面を貫通する螺旋状の切り込みを形成した領域がバネ部である。被検査体と接触する第1プランジャー131の先端部がバレル110の一方の開口端から露出し、第1プランジャー131の基端部をバレル110の内部に配置する。第1プランジャー131は、バレル110の開口端に近接する接合点P10でバレル110と接合する。バレル110の他方の開口端から第2プランジャー132の先端部が露出し、第2プランジャー132の基端部をバレル110の内部に配置する。第2プランジャー132は、バレル110の開口端に近接する接合点P20でバレル110に接合する。図示を省略するが、第2プランジャー132の先端部は、例えば配線基板30のランド31に接続する。
【0023】
被検査体の測定時に、被検査体に当接することによって第1プランジャー131が受ける押力Fにより、比較プローブ100の押しバネ120が圧縮する。このとき、比較プローブ100の径が細い場合に、比較プローブ100の剛性が不足して、
図4に示すように押しバネ120が蛇行する。その結果、比較プローブ100の伸縮時に、比較プローブ100とプローブヘッド20が擦れる。
【0024】
比較プローブ100とプローブヘッド20が擦れると、被検査体の測定を繰り返すことにより、比較プローブ100とプローブヘッド20との接触部分で比較プローブ100が徐々に削られる。このため、例えば、比較プローブ100の側面がささくれてプローブヘッド20に引っ掛かるなどして、比較プローブ100とプローブヘッド20の間に摩擦力が生じる。その結果、比較プローブ100の伸縮が阻害されて比較プローブ100の摺動不足が生じたり、比較プローブ100が破損したりする。
【0025】
これに対し、バネ部が引きバネ12であるプローブ10では、被検査体2の測定時に、バネ部が圧縮するのではなく伸長する。このため、プローブ10が細径化しても、測定時にバネ部が蛇行しない。したがって、バネ部の伸縮時にプローブ10とプローブヘッド20が擦れない。このように、プローブ10によれば、プローブ10の摺動不足やプローブ10の破損が低減する。
【0026】
なお、ランド31と被検査体2を電気的に接続するプローブ10に、導電性の材料を使用する。例えば、バレル11にニッケル(Ni)材などを使用し、プランジャー13にAgPdCu材などを使用する。また、プローブヘッド20に非導電性の材料を使用する。例えば、セラミック材などをプローブヘッド20に使用する。
【0027】
第1プローブ101と第2プローブ102は、プローブヘッド20の内部で電気的に接続する。例えば
図1に示すプローブヘッド20では、貫通孔の壁面を導電膜14が被覆している。バレル11の側面が導電膜14と接触して、導電膜14を介して第1プローブ101と第2プローブ102が電気的に接続する。導電膜14は、例えば、膜厚が2μm程度の銅(Cu)膜、膜厚が1μm程度のNi膜、および金(Au)膜を積層した積層構造である。導電膜14の膜厚は、一般的なホールメッキ厚である数μm程度である。
【0028】
以上に説明したように、第1の実施形態に係るプローブ10では、伸長した引きバネ12の受ける引張荷重により、プローブ10の先端部が所定の押圧で被検査体2に接触する。そして、バネ部に引きバネ12を使用するプローブ10は、プローブ10がプローブヘッド20の貫通孔の内部で摺動する際のバネ部の蛇行を低減する。このため、プローブ10によれば、プローブ10とプローブヘッド20が擦れることを防止する。したがって、プローブ10は、プローブ10の破損や測定時のプローブ10の摺動不足を低減する。
【0029】
また、バネ部を押しバネにした場合には、密着高さよりもバネ部は圧縮しない。このため、バネ部が密着高さよりも長い状態でプローブが被検査体2に接触するように、プローブの長さに制約がある。一方、バネ部に引きバネ12を使用した場合にはそのような制約はなく、設計自由度が高い。
【0030】
<第1変形例>
図1では、プローブヘッド20の貫通孔の壁面に被覆した導電膜14によって第1プローブ101と第2プローブ102が電気的に接続する例を示した。
図1に示した方法以外にも、第1プローブ101と第2プローブ102を電気的に接続するために種々の方法を採用可能である。
【0031】
例えば、プローブヘッド20の貫通孔の内部に導電性を有する接続部材を配置してもよい。接続部材は、プローブ10の引きバネ12が伸長した状態において第1プローブ101の基端部と第2プローブ102の基端部により接続部材を挟むように配置する。これにより、接続部材を介して第1プローブ101と第2プローブ102が電気的に接続する。
【0032】
図5に、第1プローブ101と第2プローブ102を電気的に接続する接続部材が金属球15である例を示す。金属球15は、貫通孔の内壁に沿って自在に移動可能な球状体である。被検査体2に当接することによってプランジャー13が受ける押力Fにより引きバネ12が伸長すると、
図6に示すように、第1プローブ101の基端部と第2プローブ102の基端部の間に金属球15が挟まる。これにより、第1プローブ101と第2プローブ102が電気的に接続する。
【0033】
なお、接続部材の形状は球形状に限らない。例えば、金属球15の代わりに、導電性を有する柱状の接続部材を使用してもよい。或いは、接続部材として、
図7に示すように導電性を有する板バネ16をプローブヘッド20の内部に配置してよい。また、メッシュ状に加工するなどして弾力性を持たせた金属材を接続部材に使用してもよい。
【0034】
<第2変形例>
図1に示した電気的接続装置1では、第1プローブ101と第2プローブ102のいずれもが引きバネ12を有するプローブ10である。しかし、第1プローブ101と第2プローブ102のいずれか一方をプローブ10にして、他方を中心軸方向に沿った長さが固定のプローブ(以下において「固定長プローブ」という。)にしてもよい。バネ部のない固定長プローブを第1プローブ101と第2プローブ102の一方に使用しても、他方のプローブ10の引きバネ12が伸長することにより、第1プローブ101が所定の押圧で被検査体に接触する。
【0035】
図8に、第1プローブ101にプローブ10を使用し、第2プローブ102に固定長プローブ10Bを使用した電気的接続装置1の例を示す。
図8に示した電気的接続装置1を使用して被検査体2を測定している状態を、
図9に示す。
図9に示すように、被検査体2に当接することによって第1プローブ101のプランジャー13が受ける押力により、第1プローブ101の引きバネ12が伸長し、第1プローブ101と第2プローブ102は金属球15を介して電気的に接続する。
【0036】
第1プローブ101の引きバネ12が伸長することにより、第1プローブ101が所定の押圧で被検査体2に接触する。このとき、第1プローブ101のバネ部が引きバネ12であるため、バネ部は蛇行せず、第1プローブ101がプローブヘッド20と擦れることを防止できる。
【0037】
第1プローブ101と第2プローブ102の一方を製造の容易な固定長プローブにすることにより、電気的接続装置1のコストを低減できる。なお、第2プローブ102がプローブ10であり、第1プローブ101が固定長プローブであってもよい。また、第1プローブ101と第2プローブ102の電気的な接続には、金属球15以外の接続部材を使用してもよいし、
図1に示すように導電膜14を用いてもよい。
【0038】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るプローブ10aは、
図10に示すように、引きバネ12をバレル11の内部に配置したポゴピン型である。プローブ10aでは、引きバネ12の一方の端部は、固定点P1において、バレル11の内部に配置したプランジャー13の基端部に固定される。引きバネ12の他方の端部は、プランジャー13の基端部よりも先端部に近い固定点P2でバレル11に固定される。
【0039】
また、プローブ10aは、バレル11の他方の開口端から先端部が露出する固定プランジャー40を更に備える。固定プランジャー40は、バネ部を有さず、中心軸方向に沿った長さが固定である。固定プランジャー40は、接合点P40でバレル11と接合する。プランジャー13と固定プランジャー40は、バレル11の内部で電気的に接続する。例えば、導電性を有するバレル11を介してプランジャー13と固定プランジャー40が電気的に接続する。固定プランジャー40の先端部は、配線基板30のランド31に接続する。
【0040】
プローブ10aの引きバネ12はコイル型引きバネである。プランジャー13は、バレル11の内部で引きバネ12の内側を通過している。
【0041】
図11に示すように、被検査体に先端部が当接することによってプランジャー13が受ける押力Fにより、プランジャー13がバレル11の内部に押し込まれる。このとき、引きバネ12が伸長し、所定の押圧でプランジャー13の先端部が被検査体と接触する。
【0042】
引きバネ12が伸縮するプローブ10aは、プランジャー13がバレル11の内部で摺動する際に、引きバネ12が蛇行してバレル11の内壁と擦れることを防止する。このため、プローブ10aの破損や摺動不足を低減できる。他は、第1の実施形態と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。
【0043】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0044】
例えば、第1の実施形態では、第1プローブ101と第2プローブ102のいずれもバネ部が引きバネ12である例を説明したが、第1プローブ101のバネ部を引きバネ12にし、第2プローブ102のバネ部を押しバネにしてもよい。被検査体2の測定においては、ランド31に接触する第2プローブ102の基端部の位置が固定されるため、第2プローブ102のバネ部の伸縮する長さは短い。このため、第2プローブ102のバネ部に押しバネを使用しても、バネ部の蛇行が少なく、第2プローブ102とプローブヘッド20の擦れは少ない。
【0045】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。
【符号の説明】
【0046】
1…電気的接続装置
2…被検査体
10…プローブ
11…バレル
12…引きバネ
13…プランジャー
14…導電膜
15…金属球
16…板バネ
20…プローブヘッド
30…配線基板
40…固定プランジャー
100…比較プローブ
101…第1プローブ
102…第2プローブ