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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ドライブディスクの製造装置
(51)【国際特許分類】
   B21J 13/02 20060101AFI20231024BHJP
   F16H 13/08 20060101ALI20231024BHJP
   B21K 1/32 20060101ALI20231024BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20231024BHJP
   B60B 19/00 20060101ALN20231024BHJP
   B21J 5/02 20060101ALN20231024BHJP
   B22D 17/00 20060101ALN20231024BHJP
   B22D 25/02 20060101ALN20231024BHJP
【FI】
B21J13/02 C
F16H13/08 Z
B21K1/32 Z
B29C45/26
B60B19/00 H
B21J5/02 A
B22D17/00 B
B22D25/02 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020131433
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2022028187
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 律也
(72)【発明者】
【氏名】矢田 渉
(72)【発明者】
【氏名】五味 洋
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-63214(JP,A)
【文献】特開2007-245521(JP,A)
【文献】特開2017-131898(JP,A)
【文献】特開2016-43811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21J 13/02
F16H 13/08
B21K 1/32
B29C 45/26
B60B 19/00
B21J 5/02
B22D 17/00
B22D 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側から突出する支持軸を備えた複数のドライブローラと、
所定の中心軸線について周方向に配列され、前記ドライブローラをそれぞれ受容する複数のスロットを備えたディスク本体とを有し、
前記スロットは、前記ドライブローラの前記支持軸の径方向外側部分において、互いに対向し、且つ、前記支持軸に垂直な一対の対向面によって画定される部分を含み、
前記対向面が前記中心軸線に対して傾斜するように構成されたドライブディスクの製造装置であって、
前記ディスク本体の全体を形成する上型及び下型と、
前記上型及び前記下型を前記中心軸線に沿う型抜き方向に駆動する型駆動装置とを有し、
前記上型及び前記下型はそれぞれ、基部、及び、前記基部より前記型抜き方向に沿って互いに突出する突条を備え、
前記突条のそれぞれが、前記対向面に対して傾斜し、互いに平行であり、且つ、相反する方向を向く第1の側面と、前記対向面に対して平行であり、且つ、相反する方向を向く第2の側面とを含む複数の面によって画定され、
前記上型の前記突条と前記下型の前記突条とが、互いに前記第1の側面において当接することによって、前記スロットを形成するドライブディスクの製造装置。
【請求項2】
前記上型の前記第1の側面及び前記第2の側面がなす角と、前記下型の前記第1の側面及び前記第2の側面がなす角とが、それぞれ鋭角である請求項1に記載のドライブディスクの製造装置。
【請求項3】
前記第1の側面が前記型抜き方向に平行である請求項1又は請求項2に記載のドライブディスクの製造装置。
【請求項4】
前記上型には、前記突条の延在方向中央を前記突条の延在方向に直交する方向に通過し、前記支持軸に整合する形状を備えた突端面を有するU字突条が設けられている請求項1~請求項3のいずれか1つの項に記載のドライブディスクの製造装置。
【請求項5】
前記下型の前記突条には、中央部から延在方向に直交する方向に延び、前記U字突条に整合する形状をなすU字凹部が設けられている請求項4に記載のドライブディスクの製造装置。
【請求項6】
前記上型の前記突条の突端と、前記下型の前記突条の突端とにはそれぞれ、横断面視で互いに噛合う段部が形成されている請求項4又は請求項5に記載のドライブディスクの製造装置。
【請求項7】
前記上型の前記突条及び前記下型の前記突条のいずれか一方の突端面にはその延在方向に直交する方向に見て、前記型抜き方向に突出する位置決め凸部が設けられ、前記上型の前記突条及び前記下型の前記突条の他方の前記段部には、その延在方向に直交する方向に見て、前記型抜き方向に凹み、前記位置決め凸部を受容する位置決め凹部が設けられている請求項6に記載のドライブディスクの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦式駆動装置において使用されるドライブディスクの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
倒立振子型車両の駆動装置として使用される摩擦式駆動装置が公知である(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の摩擦式駆動装置は、フレームと、フレームに回転可能に支持された一対のドライブディスクと、一対のドライブディスクの間に配置された環状の主輪と、ドライブディスクのそれぞれを独立して駆動する一対のアクチュエータとを有する。ドライブディスクは、その回転軸線を中心とする円盤状をなし、フレームに回転可能に支持されたベースと、ベースの外周部に回転可能に支持された複数のドライブローラとを有する。
【0003】
ベースは、中心軸を中心として回転対称に配置された複数のスロットと、各スロットを画定する側壁部に形成された軸受孔と、軸受孔に軸線方向から挿入され、ドライブローラを回転可能に支持するローラ軸とを有する。各ドライブローラは対応するスロットに収容され、ベースに軸受孔に回転可能に支持されて、主輪に当接している。
【0004】
軸受孔はそれぞれ、ドライブローラの回転軸がベースの中心軸に対してねじれの位置となるように形成されている。特許文献2に記載されているように、このような配置によって、各ドライブローラの外周面と主輪の外表面との間に作用する摩擦力が、主輪に対して、主軸に沿う方向と、主軸周りの方向とに作用する。よって、摩擦式駆動装置は、各ドライブディスクの回転方向及び回転量を制御し、主輪の主軸に沿う方向の回転と、主軸周りの回転とを制御することによって、車両を前後左右に移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-63214号公報
【文献】国際公開第2008/132779号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係るドライブディスクでは、ドライブローラの回転軸をベースの中心軸に対して傾斜させるため、各スロットが側面視でベースの回転軸に対して傾斜するようにベースを貫通している。そのため、このようなスロットはそれぞれ切削加工をする必要があり、ドライブディスクの生産性を向上させることが難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、以上の背景を鑑み、ドライブディスクの製造が容易なドライブディスクの製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、両側から突出する支持軸(41)を備えた複数のドライブローラ(21)と、所定の中心軸線(X1)について周方向に配列され、前記ドライブローラをそれぞれ受容する複数のスロット(46)を備えたディスク本体(20)とを有し、前記スロットは、前記ドライブローラの前記支持軸の径方向外側部分において、互いに対向し、且つ、前記支持軸に垂直な一対の対向面(53S、57S)によって画定される部分を含み、前記対向面が前記中心軸線に対して傾斜するように構成されたドライブディスクの製造装置であって、前記ディスク本体の全体を形成する上型(70)及び下型(71)と、前記上型及び前記下型を前記中心軸線に沿う型抜き方向に駆動する型駆動装置(60)とを有し、前記上型及び前記下型はそれぞれ、基部(72、75)、及び、前記基部より前記型抜き方向に沿って互いに突出する突条(73、76)を備え、前記突条のそれぞれが、前記対向面に対して傾斜し、互いに平行であり、且つ、相反する方向を向く第1の側面(73A、76B)と、前記対向面に対して平行であり、且つ、相反する方向を向く第2の側面(73B、76A)とを含む複数の面によって画定され、前記上型の前記突条と前記下型の前記突条とが、互いに前記第1の側面において当接することによって、前記スロットを形成する。
【0009】
この態様によれば、上型及び下型によって型抜きすることによって、スロットを形成することができるため、ドライブディスクの製造が容易になる。
【0010】
上記態様において、前記上型の前記第1の側面及び前記第2の側面がなす角と、前記下型の前記第1の側面及び前記第2の側面がなす角とが、それぞれ鋭角であるとよい。
【0011】
この態様によれば、上型及び下型を成型後に容易に引き抜くことができる。
【0012】
上記態様において、前記第1の側面が前記型抜き方向に平行であるとよい。
【0013】
この態様によれば、上型と下型とを位置決めし易くなる。
【0014】
前記上型には、前記突条の延在方向中央を前記突条の延在方向に直交する方向に通過し、前記支持軸に整合する形状を備えた突端面(74A)を有するU字突条(74)が設けられているとよい。
【0015】
この態様によれば、U字突条によって、支持軸を支持するための軸受部分を形成することができる。また、上型に突条とU字突条とが設けられているため、スロットと軸受部分とをそれぞれ加工する場合に比べて、スロットに対する軸受部分の位置精度を高めることができる。
【0016】
上記態様において、前記下型の前記突条には、中央部から延在方向に直交する方向に延び、前記U字突条に整合する形状をなすU字凹部が設けられているとよい。
【0017】
この態様によれば、U字凹部とU字突条とを組み合わせることで、上型と下型との位置決めを行うことができるため、ドライブディスクの加工精度をより高めることができる。
【0018】
上記態様において、前記上型の前記突条の突端と、前記下型の前記突条の突端とにはそれぞれ、横断面視で互いに噛合う段部(79、81)が形成されているとよい。
【0019】
この態様によれば、上型と下型とをより精度よく位置決めすることができる。
【0020】
上記態様において、前記上型の前記突条及び前記下型の前記突条のいずれか一方の突端面にはその延在方向に直交する方向に見て、前記型抜き方向に突出する位置決め凸部(86)が設けられ、前記上型の前記突条及び前記下型の前記突条の他方の前記段部には、その延在方向に直交する方向に見て、前記型抜き方向に凹み、前記位置決め凸部を受容する位置決め凹部(88)が設けられているとよい。
【0021】
この態様によれば、上型と下型とをより精度よく位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上の構成によれば、ドライブディスクの製造が容易なドライブディスクの製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係るドライブディスクを備えた倒立振子型車両の斜視図
図2】摩擦式駆動装置の側面図
図3図2のIII-III断面図
図4】ドライブディスクの斜視図
図5】(A)図3のVの拡大図、及び、(B)ベースの(A)に対応する部分の拡大図
図6】(A)図4のVIA-VIA断面図、及び、(B)図5(A)のB-B断面図
図7】ベースを作成するための(A)上型及び(B)下型の斜視図
図8】上型及び下型が組み合わされたときの状態を説明するための説明図
図9図5のIX-IX断面図
図10】変形例に係る上型及び下型が組み合わされた状態を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明に係るドライブディスクの実施形態について説明する。ドライブディスクは摩擦式駆動装置に使用される。摩擦式駆動装置は、例えば倒立振子型車両に使用される。
【0025】
図1図3に示すように、倒立振子型車両1は、摩擦式駆動装置2を有する。摩擦式駆動装置2は、フレーム3と、フレーム3に回転可能に支持された一対のドライブディスク4と、左右のドライブディスク4の間に配置された環状の主輪5と、一対のドライブディスク4をそれぞれ独立して回転させる一対のアクチュエータ6とを有する。
【0026】
図1に示すように、フレーム3は、略直方体の上部フレーム11と、上部フレーム11の左右の下端からそれぞれ下方に延びた左右の下部フレーム12と、下部フレーム12のそれぞれに結合された左右の下部プレート13と、左右の下部フレーム12間に掛け渡されたフレーム軸14(図2、及び図3参照)とを有する。上部フレーム11の上部には乗員の臀部を支持するサドル16が取り付けられる。下部プレート13の下端には、乗員の足裏を支持する左右のフットレスト17が取り付けられている。
【0027】
図2及び図3に示すように、フレーム軸14は、左右に延び、左右の下部フレーム12に結合している。フレーム軸14の左端は左側の下部フレーム12を通過し、フレーム軸14の右端は右側の下部フレーム12を通過している。フレーム軸14は基端にボルト頭部14Aを有し、ボルト頭部14Aにおいて下部フレーム12に当接する。フレーム軸14の先端にはナット18が装着されることによって、フレーム軸14は下部フレーム12に固定される。
【0028】
ドライブディスク4は、環状の主輪5の両側にそれぞれ配置され、主輪5に摩擦力を与えて主輪5を中心軸線回り及び環状の軸線回りに回転させる。ドライブディスク4は、フレーム3に回転可能に支持される円盤状のベース20(ディスク本体)と、ベース20の互いに対抗する面(以下、内面)に回転可能に支持された複数のドライブローラ21(ローラ)とを有する。
【0029】
本実施形態では、左右のドライブディスク4は、フレーム軸14に回転可能に支持され、左右の下部フレーム12の間に配置されている。左右のドライブディスク4は、円盤状に形成され、中心部に貫通孔である軸受孔23を有する。フレーム軸14は、左右のドライブディスク4の軸受孔23のそれぞれを通過している。左右のドライブディスク4は、軸線X1を中心として回転可能にフレーム軸14に支持されている。各軸受孔23にはボールベアリング等の軸受24が装着され、軸受24を介してフレーム軸14に左右のドライブディスク4が所定の軸線X2を中心として回転可能に支持されている。
【0030】
左右のドライブディスク4の互いに相反する面にはドリブンプーリ31がそれぞれ設けられている。ドリブンプーリ31はドライブディスク4と同軸に設けられている。上部フレーム11には、右側のドライブディスク4を駆動させるための右側のアクチュエータ6と、左側のドライブディスク4を駆動させるための左側のアクチュエータ6とが設けられている。アクチュエータ6は、例えば電動モータである。各アクチュエータ6の出力軸にはドライブプーリ32が設けられている。左右において対応するドライブプーリ32とドリブンプーリ31とはベルト33によって連結されている。左右のアクチュエータ6は互いに独立して回転可能であり、左右のドライブディスク4を独立して回転させる。
【0031】
図1図3に示すように、主輪5は、環状をなし、一対のドライブディスク4の間にドライブディスク4と同軸をなすように配置され、中心軸線回りに回転可能となっている。本実施形態では、主輪5は、円環状の芯体35と、芯体35に回転可能に支持された複数のドリブンローラ36とを有する。複数のドリブンローラ36は、芯体35の円周方向に等間隔で配列されている。各ドリブンローラ36は環状の芯体35の軸線X3(環状の軸線)を中心として回転可能に芯体35に支持され、これにより、主輪5はその環状の軸線回りに回転可能となっている。詳細には、各ドリブンローラ36は、芯体35に対するそれぞれの位置において、芯体35の接線を中心として回転することができる。各ドリブンローラ36は、外力を受けて芯体35に対して回転する。
【0032】
主輪5は、左右のドライブディスク4の外周部に沿って配置され、左右のドライブディスク4に設けられた複数のドライブローラ21と接触している。左右のドライブディスク4のドライブローラ21は、主輪5の内周部に当接し、左右両側から主輪5を挟持する。左右のドライブディスク4のドライブローラ21は、主輪5の内周部に当接することによって、ドライブディスク4の軸線X1を中心とした径方向への変位を規制する。これにより、主輪5は左右のドライブディスク4に支持され、主輪5(芯体35)の中心軸線は左右のドライブディスク4の軸線X1と同軸に配置される。主輪5は、複数のドリブンローラ36において、左右のドライブディスク4の複数のドライブローラ21に接触する。
【0033】
ベース20は軸線X1を中心軸とする円盤状をなしている。ベース20の内面(主輪5側の面)には、ドライブローラ21を回転可能に支持する複数の支持部37が設けられている。左右のドライブローラ21はそれぞれ支持部37によって、その回転軸線X2が、ベース20の中心軸線(すなわち、軸線X1)に対して直交する仮想垂直面に対して三次元的に傾斜するように、ベース20に支持されている。ドライブローラ21の軸線X2はベース20の中心軸線X1に対して捩れの位置にあり、ドリブンローラ36の周方向に対して傾斜している。これにより、ドライブローラ21の外周面と主輪5の外表面との間において作用する摩擦力は、主輪5の接線方向と、主輪5の中心軸線の周方向(すなわち、ドリブンローラ36を芯体35に対して回転させる方向)とに作用する。
【0034】
図1に示すように、左右の下部プレート13には尾輪アーム38の左右の前端が左右に延びる軸線を中心として回動可能に支持されている。尾輪アーム38の回転軸線は、ドライブディスク4の軸線X1と一致していてもよい。尾輪アーム38は、前端から後方に向けて延び、前端が二股に分岐している。尾輪アーム38の後端には、尾輪39が設けられている。尾輪39は、例えばオムニホイールであり、前後に延びる軸線を中心として回転可能に尾輪アーム38の後端に支持されている。尾輪39は尾輪アーム38の後端に設けられた電動モータである尾輪モータ40によって回転される。
【0035】
左右のドライブディスク4が同一方向に同一の回転速度で回転する場合には、ドライブローラ21からドリブンローラ36に円周(接線)方向の力のみが作用する。これにより、主輪5は左右のドライブディスク4と共に回転する。すなわち、主輪5は軸線X1と一致する自身の回転軸線を中心として回転し、倒立振子型車両1は前進あるいは後進する。このとき、ドライブディスク4のドライブローラ21及び主輪5のドリブンローラ36は芯体35に対して回転しない。
【0036】
左右のドライブディスク4が回転速度差を以て回転する場合には、ドライブローラ21の軸線がドリブンローラ36の周方向に対して傾斜しているため、ドライブローラ21からドリブンローラ36に円周方向の力に加えて、その力に直交する向きの力が作用する。この直交する向きの力によって、主輪5が自身の回転軸線を中心として回転すると共に、ドリブンローラ36が芯体35に対して回転する。このドリブンローラ36の芯体35に対する回転によって、倒立振子型車両1には前後方向に加えて左右方向にも駆動力が加わり、倒立振子型車両1は斜め前進あるいは斜め後進する。
【0037】
以下、図4図6を参照してドライブディスク4の内面側の構造について詳細に説明する。
【0038】
図4に示すように、ベース20の内面外周部には、径方向外方に向けて互いに相反する側に傾斜した傾斜部20Aが設けられている。傾斜部20Aにより、ドライブディスク4は径方向外方に向けて厚みが薄くなっている。傾斜部20Aにより、ドライブディスク4は円錐台に形成されている。
【0039】
支持部37はベース20の内面外周部、すなわち傾斜部20Aに、ベース20の中心軸線X1を中心として回転対称をなすように配置されている。
【0040】
図5(A)に示すように、ドライブローラ21は、円柱状のローラ軸41(支持軸)と、ローラ軸41の長手方向における中間部に同軸に設けられた円筒状のローラ本体42とを有する。ローラ軸41はローラ本体42を貫通し、ローラ軸41の両端はローラ本体42から突出している。ローラ軸41の両端にはそれぞれ樹脂製のブッシュ48が設けられている。ブッシュ48は、ローラ軸41の外周面を構成する円筒部48Aと、円筒部48Aのローラ本体42側の端部において径外方に延びる円板状の鍔部48Bとを有する。
【0041】
図5(B)に示すように、各支持部37は、各ドライブローラ21のローラ軸41の両端をそれぞれ受容する一対の軸受溝45(軸受部)と、一対の軸受溝45の間に形成され、ローラ本体42の一部を受容するスロット46とを有する。一対の軸受溝45は傾斜部20Aの表面(すなわち、ベース20の内面)に凹設された凹部であり、スロット46は傾斜部20Aを貫通する孔である。スロット46は、一対の軸受溝45とそれぞれ連続している。支持部37は、傾斜部20Aに円状かつ等間隔に配置されている。
【0042】
一対の軸受溝45は、傾斜部20Aの表面側からローラ軸41の端部を嵌め込むことができる大きさに形成されている。また、軸受溝45は、ローラ軸41ががた付きなく嵌合する大きさに形成されていることが好ましい。軸受溝45の底部はブッシュ48の円筒部48Aを受容可能であり、ブッシュ48の外周面に対応する半円筒面に形成されている。
【0043】
図4に示すように、スロット46はそれぞれベース20をその中心を通過する軸線X1に対して斜めに傾斜して貫通し、ベース20の軸線を中心として周方向に並ぶように配置されている。ドライブローラ21はそれぞれローラ軸41がそれぞれ軸受溝45に受容され、ローラ本体42がスロット46に受容された状態で、ベース20にローラ軸41の軸線を中心として回転可能に支持されている。このとき、ローラ軸41の回転軸(軸線X2の方向)は、ベース20の回転軸(軸線X1の方向)に対してねじれの位置となっている。
【0044】
図6(A)及び(B)に示すように、スロット46の内部には内面側に位置する内側空間50と外面側に位置する外側空間51とが形成されている。本実施形態では、一対の軸受溝45のうち、内周面からみて反時計回りに位置する軸受溝45Bは、隣接するスロット46の内部を接続している。
【0045】
内側空間50は、ベース20の中心軸線X1の概ね周方向に対向する第1内壁52及び第2内壁53と、ベース20の中心軸線X1の概ね径方向に対向する第3内壁54及び第4内壁(図示せず)とによって画定されている。第1内壁52はベース20の中心軸線X1に対して略平行をなす内側平行面52Sを有する。第2内壁53はベース20の中心軸線X1に対して傾斜し、ローラ軸41の軸線X2に対して略垂直な内側対向面53Sを有している。一方の軸受溝45Aは内側対向面53Sに形成され、第2内壁53は一方のローラ軸41の軸受壁として機能する。内側対向面53Sは内周側から外周側に向かって内側平行面52Sに近づく方向に傾斜している。ドライブローラ21がベース20に支持されているときには、内側対向面53Sはローラ本体42のローラ軸41の周囲の部分(より詳細には、ローラ軸41の径方向外側部分)に近接し、ドライブローラ21のローラ本体42に対向している。内側平行面52Sは内周側から見て、内側対向面53Sの反時計回りの側に位置している。第3内壁54及び第4内壁はベース20の軸線に対して略平行をなし、ローラ軸41の軸線を介して対峙する面を画定している。
【0046】
外側空間51は、ベース20の軸線X1の概ね周方向に対向する第1外壁57及び第2外壁58と、ベース20の軸線X1の概ね径方向に対向する第3外壁59及び第4外壁(図示せず)とによって画定されている。第1外壁57はベース20の軸線X1に対して傾斜し、ローラ軸41の軸線X2に対して略垂直をなす外側対向面57Sを有している。他方の軸受溝45Bは外側対向面57Sに形成され、第1外壁57は他方のローラ軸41の軸受壁として機能する。第2外壁58はベース20の軸線X1に対して略平行をなす外側平行面58Sを有する。外側対向面57Sは内周面側から外周面側に向かって外側平行面58Sから離れる方向に傾斜している。ドライブローラ21がベース20に支持されているときには、外側対向面57Sはローラ本体42のローラ軸41の周囲の部分(より詳細には、ローラ軸41の径方向外側部分)に近接し、ドライブローラ21のローラ本体42に対向している。外側対向面57Sは内周側から見て、外側平行面58Sに対して反時計回りの側に位置している。第3外壁59及び第4外壁はそれぞれ、ローラ軸41の軸線X2に対して直交し、且つ、ベース20の軸線に対して略平行をなす面を画定している。
【0047】
これらによって、スロット46は、第1内壁52と、軸受溝45A及び内側対向面53Sを有する第2内壁53と、第3内壁54と、第4内壁と、軸受溝45B及び外側対向面57Sを有する第1外壁57と、第2外壁58と、第3外壁59と、第4外壁とによって画定されている。内側対向面53S及び外側対向面57Sは軸線X2に沿って設けられ、互いに対向し、スロット46は内側対向面53S及び外側対向面57Sによって画定される部分を含む。
【0048】
次に、ドライブディスク4、特に、ベース20の製造を行うための製造装置について、図7(A)及び(B)を参照して説明する。製造装置はベース20の全体を形成する一対の型部材と、型部材のそれぞれを所定の型抜き方向に駆動する型駆動装置60とを備えている。型部材はそれぞれ一つの軸線を中心とする回転対称をなしている。型部材はそれぞれ一つの中心軸線を中心とするように配置されている。型部材の少なくとも一方がその中心軸線に沿って移動されて、両者が組み合わされることによって、母材となる金属円盤が型抜きされて、ベース20が製造される。このときの型部材の移動方向、すなわち、中心軸線に沿う方向が、型抜き方向に対応する。本実施形態では、製造装置は、母材となる金属円盤(図示せず)を圧縮して成型する、いわゆる鍛造によって、ベース20を製造する。但し、この態様には限定されず、製造装置は、金属を溶かし、一対の型部材の間に材料を流し込む、いわゆる鋳造によってベース20を製造するものであってもよく、また、一対の型部材の間に材料を射出することによって成型する、いわゆる射出成型によってベース20を製造するものであってもよい。以下では、一対の型部材のうち、ベース20の内面側を構成するものを上型70と記載し、外面側を構成するものを下型71と記載する。また、型抜き方向は上下方向(鉛直方向)に設定され、上型70は下型71の上方に配置されている。
【0049】
以下では、上型70、及び下型71のそれぞれ、支持部37を構成する部分について着目して説明を行う。また、支持部37は周方向に並ぶように複数設けられているため、その1つを構成するための構造について説明する。また、図7(A)には上型70の支持部37を構成する部分のうちの4つが拡大して示され、図7(B)には対応する下型71の部分が拡大して示されている。
【0050】
図7(A)に示すように、上型70は、円板状の上型本体72(基部)と、上型本体72の下面において型抜き方向(下方)より突出して筋状に延在する上型突条部73と、上型突条部73の延在方向に直交する方向に延び、上型突条部73の中央部を通過するU字突条部74とを備えている。図8に示すように、上型突条部73の横断面は略三角形状をなしている。上型突条部73は、延在方向に延びる上型第1壁面73A及び上型第2壁面73Bと、延在方向に略垂直な2つの面73Cによって画定されている。上型第2壁面73Bは上型第1壁面73Aに対して傾斜し、上型第1壁面73Aに交差する面を形成している(図7(A)の二点鎖線参照)。本実施形態では、上型第1壁面73Aは、型抜き方向に平行な(すなわち、上型本体72の下面に対して垂直)をなしている。図8に示すように、上型第1壁面73Aと上型第2壁面73Bとがなす角は鋭角をなす。但し、ここでいう2つの面がなす角とは、それぞれの面の法線ベクトルのなす角度を意味し、その角度が45度未満であるときに、2つの面がなす角が鋭角であると記載する。図7(A)に示すように、U字突条部74もまた、上型本体72の下面において突出し、筋状に延在している。U字突条部74は横断面視でU字状をなし、その突端面74Aは横断面視で半円状をなし、ローラ軸41に整合する形状を有している。上型突条部73とU字突条部74とは下面において直交し、U字突条部74は上型突条部73の略中央を通過している。
【0051】
図7(B)に示すように、下型71は、下面において水平な円板状の下型本体75(基部)と、下型本体75の一つの面であって上面において型抜き方向(下方)より突出して筋状に延在する下型突条部76を備えている。図8に示すように、下型突条部76の横断面は略三角形状をなしている。下型突条部76は、延在方向に延びる下型第1壁面76A及び下型第2壁面76Bと、延在方向に略垂直な2つの面76Cによって画定されている。下型第1壁面76Aは、下型第2壁面76Bに対して傾斜し、下型第2壁面76Bに交差する面を形成している(図7(B)の二点鎖線参照)。本実施形態では、下型第2壁面76Bは型抜き方向に平行(すなわち、下型本体75の上面に対して垂直)をなしている。下型第1壁面76Aと下型第2壁面76Bとがなす角は鋭角をなす。
【0052】
図7(B)に示すように、下型突条部76の突端には下側基体側に凹むU字凹部77が設けられている。U字凹部77は下型突条部76の延在方向中央において延在方向に直交する方向に延びている。U字凹部77は横断面視でU字状をなし、その底面は横断面視で半円状をなしている。U字凹部77はU字突条部74と整合する形状をなし、U字突条部74はU字凹部77に嵌合する。
【0053】
ドライブディスク4のベース20の製造を行うときには、作業者はまず、金属円盤を略水平をなすように配置し、その上側に上型70を、下側に下型71をそれぞれ配置する。このとき、上型70の下面が下方を向き、下型71の上面が上方を向くように配置され、上型70の下面と下型71の上面が互いに対向する位置となっている。また、上型70の上面と下型71の下面とはそれぞれ水平をなすように配置される。その後、作業者は、上型70及び下型71を金属円盤の中心軸線(紙面上下方向)に沿って移動させ、上型第1壁面73Aの突端部分と下型第2壁面76Bの突端部分とが互いに接触し、且つ、U字突条部74がU字凹部77に嵌合するまで、上型70及び下型71をそれぞれ円盤に押し付ける。これにより、上型突条部73と下型突条部76による型抜成型が行われて、円盤にはスロット46が形成される。換言すれば、上型突条部73と下型突条部76とが、互いに、上型第1壁面73A及び下型第2壁面76Bにおいて当接することによって、スロット46を形成する。このとき、上型第1壁面73A(第1の側面)は第1内壁52の内側平行面52Sを、上型第2壁面73B(第2の側面)は第2内壁53の内側対向面53Sをそれぞれ形成し、下型第1壁面76A(第2の側面)は第1外壁57の外側対向面57Sを、下型第2壁面76B(第1の側面)は第2外壁58の外側平行面58Sをそれぞれ形成する。図8に示すように、上型第1壁面73A(第1の側面)と下型第2壁面76B(第1の側面)とは互いに相反する方向を向いている。図6及び図8によって理解されるように、上型第1壁面73Aと下型第2壁面76Bとは互いに平行をなしている。上型第1壁面73Aは内側平行面52Sを形成し、下型第2壁面76Bは外側平行面58Sを形成する。また、図8に示すように、上型第2壁面73B(第2の側面)と下型第1壁面76A(第2の側面)とは互いに相反する方向を向いている。図6及び図8によって理解されるように、上型第2壁面73Bは内側対向面53Sを形成し、下型第1壁面76Aは外側対向面57Sを形成する。また、U字突条部74は、第2内壁53の内側対向面53S及び第1外壁57の外側対向面57Sにそれぞれ下方に凹む軸受溝45の底部を形成する。
【0054】
内側対向面53Sは上型第2壁面73Bに沿って、上型第2壁面73Bに対して平行をなすように形成され、上型第1壁面73Aに対して傾斜している。外側対向面57Sは下型第1壁面76Aに沿って、下型第1壁面76Aに平行をなすように形成され、下型第2壁面76Bに対して傾斜している。また、このとき、内側対向面53S及び外側対向面57Sは互いに平行をなしている。内側平行面52Sは上型第1壁面73Aに沿って、上型第1壁面73Aに平行をなすように形成される。外側平行面58Sは下型第2壁面76Bに沿って、下型第2壁面76Bに平行をなすように形成される。内側平行面52S及び外側平行面58Sは互いに平行をなしている。本実施形態では、内側平行面52S及び外側平行面58Sは鉛直方向に平行をなしている。
【0055】
本実施形態では、図7(A)、(B)、及び図8に示すように、上型第1壁面73Aには、突出方向、すなわち下方を向く面(以下、上型突当面78)を有する上型段部79が形成されている。下型第2壁面76Bにもまた、突出方向に向く面(以下、下型突当面80)を有する下型段部81が形成されている。U字突条部74がU字凹部77に嵌合するときには、上型突条部73の突端面73Cが下型突当面80に当接し、下型突条部76の突端面76Cが上型突当面78に当接し、上型段部79と下型段部81とが横断面視で互いに噛合い、上型70と下型71とがより精度よく位置決めされる。
【0056】
図7(A)及び(B)に示すように、上型突条部73の突端には、型抜き方向に沿って突出する位置決め凸部86が設けられている。位置決め凸部86は、上型突条部73の延在方向に直交する方向に見て、下方に突出する略方形な板状をなしている。下型段部81の下型突当面80には、位置決め凸部86に整合する位置において、下方(すなわち、型抜き方向)に凹み、位置決め凸部86を受容する位置決め凹部88が設けられている。位置決め凹部88は位置決め凸部86に整合する略方形をなしている。成型が行われるときには、位置決め凸部86と位置決め凹部88とが噛合い、上型70と下型71とがより精度よく位置決めされる。
【0057】
更に、本実施形態では、下型突条部76の突端にもまた、型抜き方向に沿って突出する補助位置決め凸部89が設けられている。補助位置決め凸部89はU字凹部77の近傍において、上方に突出している。上型段部79の上型突当面78には、補助位置決め凸部89に整合する位置において、上方(すなわち、型抜き方向)に凹み、補助位置決め凸部89を受容する位置決め凹部88が設けられている。これにより、成型が行われるときには、補助位置決め凸部89と補助位置決め凹部90とが噛合い、上型70と下型71とがより精度よく位置決めされる。
【0058】
次にこのように構成したドライブディスク4の製造方法の効果について説明する。ローラ本体42はその軸線X2がベース20の軸線X1に対して斜めに傾斜するように配置されている。そのため、ローラ本体42を受容する孔はベース20の軸線X1に対して斜めに傾斜するようにベース20を貫通する必要がある(例えば、図6の二点鎖線を参照)。ドライブローラ21のがたつきを防止するため、スロット46のドライブローラ21のローラ軸41の周囲の部分が、ローラ軸41に直交し、且つ、互いに対向する一対の対向面によって画定されている。しかしながら、このようなベース20の軸線に対して斜めに傾斜する凹部や貫通孔、対向面を形成するためには、ベース20の姿勢を変えながら、一つずつ切削加工する必要がある。
【0059】
一方、本発明では、上型突条部73は対向面の一方を形成する上型第2壁面73Bと、型抜き方向に平行な上型第1壁面73Aとを有している。また、上型第1壁面73Aと上型第2壁面73Bとがなす角度が鋭角であり、上型70は成型後に上方向へ引き抜くことが容易である。下型突条部76は、対向面の一方を形成する下型第1壁面76Aと、型抜き方向に平行な下型第2壁面76Bとを有している。下型第1壁面76Aと下型第2壁面76Bとがなす角度が鋭角であり、下型71は成型後に下方向へ引き抜くことが容易である。よって、上型70及び下型71をそれぞれ成型後、型抜き方向に引き抜くことによって、回転軸線に対して傾斜するスロット46を形成することができる。これにより、ベース20を金型成型することができ、スロット46を一つずつ切削加工する必要がない。よって、ベース20の製造が容易になり、加工時間や製造コストを抑えることができる。
【0060】
上記実施形態において、上型第1壁面73Aと下型第2壁面76Bとはそれぞれ型抜き方向に平行をなしている。上型第1壁面73Aと下型第2壁面76Bとを上下に揃う位置に配置することによって上型70と下型71とを位置決めすることができるため、その位置決めが容易である。
【0061】
U字凹部77とU字突条部74とを組み合わせることで、上型70及び下型71を位置決めすることができる。更に、U字突条部74によって軸受溝45を形成することができる。軸受溝45はローラ軸41を受ける部分であり、その位置によってドライブローラ21の位置が定められる。よって、スロット46に対する軸受溝45の位置精度はより高いことが好ましい。本実施形態では、スロット46を形成した後に、軸受溝45を別途加工することを要せず、上型70によってスロット46と軸受溝45の位置が定まるため、軸受溝45の位置精度を高めることができる。
【0062】
U字突条部74と上型突条部73の上型第2壁面73Bとの接続部分(以下、第1当面形成部91。図8参照)は、一方のローラ軸41に設けられたブッシュ48の円筒部48Aと鍔部48Bとの接続部分が当接する軸受溝45とスロット46との接続部分(以下、第1当面部92)を形成する。U字突条部74と下型突条部76の下型第1壁面76Aとの接触部分(以下、第2当面形成部93)もまた、他方のローラ軸41に設けられたブッシュ48の円筒部48Aと鍔部48Bとの接続部分が当接する軸受溝45とスロット46との接続部分(以下、第2当面部94)を形成する。第1当面部92は、U字突条部74と同レベルの精度でブッシュ48をベース20に固定できるのに対して、第2当面部94は第2当面形成部93で成型されるため、上型70と下型71との合わせ精度によって加工精度が決まる。よって、第2当面部94の加工精度は第1当面部92に比べて低い。
【0063】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。上記実施形態では、ベース20が鍛造によって製造される場合について記載したが、この態様には限定されない。例えば、ベース20は上記の上型70及び下型71を用いて鋳造されてもよく、また、射出成型されてもよい。上記実施形態では、ベース20は金属によって形成されていたが、この態様には限定されず、樹脂等によって形成されていてもよい。
【0064】
上記実施形態では、上型70に位置決め凸部86及び補助位置決め凹部90が設けられ、下型71に位置決め凹部88及び補助位置決め凸部89が設けられていたが、この態様には限定されない。上型70に位置決め凸部86(又は、補助位置決め凹部90)が設けられ、下型71には対応する位置決め凹部88(又は、対応する補助位置決め凸部89)が設けられていてもよい。
【0065】
上記実施形態では、ドライブローラ21のローラ軸41とローラ本体42とは別部材によって構成されていたが、この態様には限定されない。ローラ軸41とローラ本体42とは同一の部材によって構成されていてもよい。
【0066】
上記実施形態では、上型第1壁面73Aと下型第2壁面76Bとはそれぞれ型抜き方向に平行をなすように構成されていたが、この態様には限定されない。例えば、図10(A)に示すように、上型第1壁面73Aと下型第2壁面76Bとはそれぞれ型抜き方向に平行をなしていなくてもよい。より具体的には、上型第1壁面73Aと下型第2壁面76Bとは成型完了時に、それぞれ内側平行面52S及び外側平行面58Sに平行であって相反する方向を向き、且つ、内側対向面53S又は外側対向面57Sに対して傾斜し、上型第2壁面73B及び下型第1壁面76Aが内側対向面53S又は外側対向面57Sに対して平行であり、且つ相反する方向を向く態様であればよい。
【0067】
上記実施形態、及び、図10(A)では、上型第1壁面73A及び上型第2壁面73Bと(下型第1壁面76A及び下型第2壁面76B)が延在方向に見て鋭角をなしている場合が示されているが、この態様には限定されない。図10(B)に示すように、上型第1壁面73A及び上型第2壁面73B(下型第1壁面76A及び下型第2壁面76B)が延在方向に見て鈍角をなしていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
4 :ドライブディスク
21 :ドライブローラ
41 :ローラ軸(支持軸)
46 :スロット
60 :型駆動装置
70 :上型
71 :下型
72 :上型本体(基部)
73 :上型突条部(突条)
73A :上型第1壁面(第1の側面)
73B :上型第2壁面(第2の側面)
73C :突端面
74 :U字突条部(U字凸部)
74A :突端面
75 :下型本体(基部)
76 :下型突条部(突条)
76A :下型第1壁面(第2の側面)
76B :下型第2壁面(第1の側面)
76C :突端面
77 :U字凹部
79 :上側段部
81 :下型段部
86 :位置決め凸部
88 :位置決め凹部
X1 :中心軸線
X2 :軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10