(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】コミュニケーション装置
(51)【国際特許分類】
H04N 7/15 20060101AFI20231024BHJP
H04M 3/56 20060101ALI20231024BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
H04N7/15
H04M3/56
H04M11/00 302
(21)【出願番号】P 2020161353
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】田島 優輝
【審査官】醍醐 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-213634(JP,A)
【文献】石原 大資,Tele-cLINK:触覚フィードバックを持った遠隔乾杯システム,インタラクション2016論文集 [online],一般社団法人情報処理学会,2017年07月04日,PP.943-946,<URL:http://www.interaction-ipsj.org/proceedings/2016/data/pdf/3C44.pdf>
【文献】Ta-Wen, Kuan ほか3名,A HAPPINESS Cups System for Holding-Cup Motion Recognition and Warming-Care Delivery,2016 International Conference on Orange Technologies,IEEE,2018年02月05日,PP.13-16
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04N 7/14-7/173
H04M 3/56
H04M 11/00
G06F 13/00
H04L 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコミュニケーション端末から動き信号を取得し、各コミュニケーション端末を動き信号に基づいて駆動するコミュニケーション装置において、
コミュニケーション端末ごとに、取得した動き信号に基づいてコミュニケーション動作を推定する手段と、
前記コミュニケーション動作の推定結果に応じた駆動信号を選択する手段と、
各コミュニケーション端末へ前記選択した駆動信号を送信する手段とを具備したことを特徴とするコミュニケーション装置。
【請求項2】
コミュニケーション端末ごとに、取得した動き信号に基づいてコミュニケーション相手を推定する手段を具備し、
前記駆動信号を選択する手段は、各コミュニケーション端末のコミュニケーション動作およびそのコミュニケーション相手のコミュニケーション動作の各推定結果に基づいて駆動信号を選択することを特徴とする請求項
1に記載のコミュニケーション装置。
【請求項3】
前記コミュニケーション装置が飲料容器であり、
前記コミュニケーション動作を推定する手段は、乾杯の動作が行われたか否かを推定することを特徴とする請求項
1または
2に記載のコミュニケーション装置。
【請求項4】
前記コミュニケーション装置が飲料容器であり、
前記コミュニケーション動作を推定する手段は、お酌する動作が行われたか否かを推定することを特徴とする請求項
1ないし
3のいずれかに記載のコミュニケーション装置。
【請求項5】
前記コミュニケーション端末が飲料容器であり、
前記コミュニケーション動作を推定する手段は、お酌される動作が行われたか否かを推定することを特徴とする請求項
1ないし
4のいずれかに記載のコミュニケーション装置。
【請求項6】
前記駆動信号が、コミュニケーション端末を振動させる駆動信号およびコミュニケーション端末が備える発光体を発光させる駆動信号のうち少なくとも振動させる駆動信号であることを特徴とする請求項
1ないし
5のいずれかに記載のコミュニケーション装置。
【請求項7】
各コミュニケーション端末から取得した動き信号に基づいて当該各コミュニケーション端末の使用者が参加しているビデオ会議に対する制御動作を推定する手段と、
前記制御動作の推定結果に基づいて前記ビデオ会議を制御する手段とを具備したことを特徴とする請求項
1ないし
6のいずれかに記載のコミュニケーション装置。
【請求項8】
前記制御動作を推定する手段は、前記ビデオ会議の音量を調整する制御動作を推定し、
前記制御する手段は、前記推定結果に応答してビデオ会議の音量を調整することを特徴とする請求項
7に記載のコミュニケーション装置。
【請求項9】
前記制御動作を推定する手段は、前記ビデオ会議からの退室または参加を要求する制御動作を推定し、
前記制御する手段は、前記推定結果に応答してビデオ会議の映像および音声をミュートまたはミュート解除することを特徴とする請求項
7または
8に記載のコミュニケーション装置。
【請求項10】
前記各コミュニケーション端末が電子決済サービスのアカウント情報と紐付けられ、
前記コミュニケーション動作を推定する手段は、コミュニケーション相手に報酬を与える動作が行われたか否かを推定し、
前記報酬を与える動作が推定されるとコミュニケーション相手に対して電子決済サービスを用いて報酬を伝送することを特徴とする請求項
1ないし
9のいずれかに記載のコミュニケーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔地のユーザ間でのオンラインによるコミュニケーションを支援するコミュニケーション装置に係り、特に、遠隔でありながら対面でのコミュニケーションに似た臨場感のある環境を提供できるコミュニケーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、遠隔に所在する複数のパーティー参加者が、光透過部を有する飲料カップの外側に自身のスマートフォンを、そのディスプレイが前記透過部を介して外部に露出するように装着し、スマートフォンの通信機能や映像再生機能を利用してパーティーを演出するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、主に視聴覚の観点からパーティーの高揚感を各参加者が共有できるようになる。また、親しい友人同士でのオンライン飲み会にビデオ会議システムを導入すれば、各参加者は自身のコンピュータやスマートフォンをコミュニケーション媒体として、視聴覚の観点から対面での飲み会を模した臨場感を得ることができる。
【0005】
しかしながら、このような視聴覚のみを模すコミュニケーションツールでは、対面での飲み会であれば通常に行われる乾杯やお酌といった各参加者の協調動作や接触感覚を伴うコミュニケーションを模擬することができなかった。
【0006】
さらに、多人数が参加する飲み会では一部の参加者によりグループやペアが形成され、乾杯やお酌といったコミュニケーション動作はグループ内やペア間で行われることが多い。しかしながら、特許文献1や既存のビデオ会議システムではコミュニケーション相手を特定することが難しかった。
【0007】
本発明の目的は、上記の技術課題を解決し、遠隔でありながら対面でのコミュニケーションを特に触感、体感の面から模擬できるコミュニケーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の目的を達成するために、複数のコミュニケーション端末から動き信号を取得し、各コミュニケーション端末を動き信号に基づいて駆動するコミュニケーション装置において、以下の構成を具備した点に特徴がある。
【0012】
(3) コミュニケーション端末から取得した動き信号に基づいてコミュニケーション動作を推定する手段と、コミュニケーション動作の推定結果に応じた駆動信号(コミュニケーション端末を振動させる駆動信号またはコミュニケーション端末が備える発光体を発光させる駆動信号)を選択する手段と、各コミュニケーション端末へ選択した駆動信号を送信する手段とを具備した。
【0013】
(4) コミュニケーション端末ごとに、取得した動き信号に基づいてコミュニケーション相手を推定し、各コミュニケーション端末のコミュニケーション動作およびそのコミュニケーション相手のコミュニケーション動作の各推定結果に基づいて駆動信号を選択するようにした。
【0014】
(5) 各コミュニケーション端末から取得した動き信号に基づいて当該各コミュニケーション端末の使用者が参加しているビデオ会議に対する制御動作を推定し、制御動作の推定結果に基づいてビデオ会議を制御するようにした。
【0015】
(6) 各コミュニケーション端末が電子決済サービスと連携し、コミュニケーション相手に報酬を与える動作が行われると、コミュニケーション相手に対して電子決済サービス経由で報酬を付与できるようにした。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
【0019】
(3) 本発明のコミュニケーション装置は、コミュニケーション端末から取得した動き信号に基づいてコミュニケーション動作を推定し、コミュニケーション動作の推定結果に応じた駆動信号を各コミュニケーション端末へ送信するので、各コミュニケーション端末のユーザに対してコミュニケーション動作に応じた臨場感を体感させることができるようになる。
【0020】
(4) 本発明のコミュニケーション装置は、各コミュニケーション端末から取得した動き信号に基づいてコミュニケーション相手を推定し、各コミュニケーション端末のコミュニケーション動作およびそのコミュニケーション相手のコミュニケーション動作の各推定結果に基づいて駆動信号を選択するので、各コミュニケーション端末のユーザに対して対面でのコミュニケーションにより近い臨場感を体感させることができるようになる。
【0021】
(5) 本発明のコミュニケーション装置は、各コミュニケーション端末から取得した動き信号に基づいてビデオ会議に対する制御動作を推定し、制御動作の推定結果に基づいてビデオ会議を制御するので、視聴覚に依存する臨場感を自由に調整できるようになる。
【0022】
(6) 本発明のコミュニケーション装置は、コミュニケーション相手に報酬を与えるコミュニケーション動作を検知すると、各コミュニケーション端末が連携する電子決済サービスを用いて一方のコミュニケーション端末が相手のコミュニケーション端末へ報酬を付与できる。したがって、コミュニケーションに係る映像をストリーミング配信するプレーヤは、その視聴ユーザからコミュニケーション動作により報酬を簡単に得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るコミュニケーションシステムの主要部の構成を示した図である。
【
図2】視聴ベース支援部の機能を説明するための図である。
【
図3】体感ベース支援部の機能を説明するための図である。
【
図4】本発明を適用した飲料カップ端末の側面図及び断面図である。
【
図5】本発明を適用した飲料ボトル端末の側面図及び断面図である。
【
図6】体感ベース支援部の主要部の構成を示した機能ブロック図である。
【
図8】各参加者の位置を特定して表示する例を示した図である。
【
図9】コミュニケーション相手を特定したコミュニケーション動作の例を示した図である。
【
図10】飲料容器端末を衝突させた乾杯のコミュニケーション動作時に観測される振動波形の例を示した図である。
【
図11】飲料ボトル端末を用いたお酌(する)のコミュニケーション動作時に観測される振動波形の例を示した図である。
【
図12】飲料容器端末の動作を示したフローチャートである。
【
図13】コミュニケーションサーバの動作を示したフローチャートである。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る体感ベース支援部の主要部の構成を示した機能ブロック図である。
【
図15】本発明の第3実施形態に係る汎用コミュニケーション端末と飲料カップへの装着例とを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係るコミュニケーションシステムの主要部の構成を示した図であり、複数のコミュニケーション端末1をネットワークNW経由でコミュニケーション装置2と接続して構成される。
【0025】
本実施形態では、コミュニケーション端末1として飲料カップ端末1a、飲料ジョッキ端末1bあるいは飲料ボトル端末1cなどの飲料容器端末1xを想定し、複数の参加者Uがネットワークを介して行う「オンライン飲み会」において、各自の飲料容器端末1xを介して対面での飲み会に近い臨場感のあるコミュニケーションを実現する。
【0026】
前記コミュニケーション装置2は、オンライン飲み会の参加者同士のコミュニケーションを、
図2に示すように視聴端末3による映像および音声に基づいて支援する視聴ベース支援部2Aと、
図3に示すように飲料容器端末1xを介した体感(触感)に基づいて支援する体感ベース支援部2Bとを含む。
【0027】
このようなコミュニケーション装置2は、汎用のコンピュータやサーバに各機能を実現するアプリケーション(プログラム)を実装することで構成できる。あるいはアプリケーションの一部をハードウェア化またはソフトウェア化した専用機や単能機としても構成できる。
【0028】
前記視聴ベース支援部2Aは、LINE(登録商標)やSkype(登録商標)といった周知のビデオ会議システムで代替できる。体感ベース支援部2Bは、乾杯やお酌といった対面でのコミュニケーション動作時に生じる体感を飲料容器端末1xの振動で模擬して各参加者に伝達する。
【0029】
なお、本実施形態では一つのコミュニケーション装置2に視聴ベース支援部2Aおよび体感ベース支援部2Bが実装されているが、
図2,3に示すように各支援部2A,2Bを独立したサーバで構成してもよい。また、視聴ベース支援部2Aはコミュニケーション装置2が備えるWebアプリケーションによりWebベースで構築しても良い。
【0030】
図4は、本発明を適用した飲料カップ端末1aの一実施形態の構成を示した側面図[同図(a)]および断面図[同図(b)]であり、
図5は、本発明を適用した飲料ボトル端末1bの一実施形態の構成を示した側面図[同図(a)]および断面図[同図(b)]である。
【0031】
飲料カップ端末1aおよび飲料ボトル端末1bはいずれも、飲料物を蓄える凹状の容器部11に加えて、モーションセンサ12、振動アクチュエータ13、アクチュエータドライバ14、フルカラーLED15、通信機能付きシングルボードコンピュータ16、バッテリ17およびタッチセンサ18を実装して構成される。
【0032】
前記モーションセンサ12はジャイロ機能および加速度センサ機能を備え、飲料カップ端末1aの動き及び姿勢変化を検知する。振動アクチュエータ13はアクチュエータドライバ14により駆動されて飲料カップ端末1bに振動を生じさせる。シングルボードコンピュータ16の通信機能はモーションセンサ12の出力信号をコミュニケーション装置2へ送信し、コミュニケーション装置2からアクチュエータドライバ14やフルカラーLED15の駆動信号を受信する。シングルボードコンピュータ16は通信機能、アクチュエータドライバ14およびフルカラーLED15を制御する。
【0033】
図6は、前記コミュニケーション装置2が実装する体感ベース支援部2Bの主要部の構成を示した機能ブロック図であり、ここでは本発明の説明に不要な構成は図示が省略されている。
【0034】
動き信号取得部201は、各飲料容器端末1xからモーションセンサ12の出力信号をネットワーク経由で取得する。動き分析部202は、前記モーションセンサ12が出力する動き信号に基づいて各飲料容器端末1xの姿勢を推定し、更には
図7に示すように、各飲料容器端末1xの移動速度および移動方向を表す速度ベクトルを計算する。
【0035】
コミュニケーション動作推定部203は、飲料容器端末1xの姿勢および速度ベクトルに基づいて、当該飲料容器端末1xを用いて行われたコミュニケーション動作を推定する。本実施形態では、コミュニケーション動作として「乾杯」、「お酌(する)」、「お酌(される)」などを想定し、各コミュニケーション動作を様々な状況で行った際の飲料容器端末1xの姿勢および速度ベクトルとコミュニケーション動作との関係を機械学習することで予測モデルを構築する。
【0036】
そして、前記動き信号取得部201が各飲料容器端末1xから取得したモーションセンサ信号を分析して得られた姿勢および速度ベクトルを前記予測モデルに適用することで、各参加者が自身の飲料容器端末1xを用いて行ったコミュニケーション動作を推定する。
【0037】
コミュニケーション相手推定部204は、オンライン飲み会の各参加者の仮想空間における位置とコミュニケーション動作の方向とに基づいてコミュニケーション相手を推定する。コミュニケーション動作の方向は、前記動き分析部202で計算した速度ベクトルに基づいて判断される。
【0038】
また、本実施形態では参加者ごとに他の参加者との仮想空間における相対的な位置関係が定義されている。当該位置関係は視聴ベース支援部2Aとの間で共有されており、
図8に一例を示したように、各参加者の視聴端末3に表示されるか各参加者のサムネイル画像の位置として反映されている。なお、各参加者は他の参加者のサムネイル画像をタッチして移動させることで相対位置を変更することができ、参加者の一人が行った変更操作は他の参加者の表示にリアルタイムで反映される。
【0039】
前記コミュニケーション相手推定部204は、
図9に示したように、参加者U1が参加者U2に向けて飲料容器端末1xを突き出す乾杯のコミュニケーション動作が前記速度ベクトルに基づいて推定されていると、そのコミュニケーション相手を参加者U2と推定できる。
【0040】
振動パターン決定部205は振動パターン記憶部205aを含む。振動パターン記憶部205aには、飲料容器端末1xの種別(カップ、ジョッキまたはボトル)、コミュニケーション動作、速度ベクトルまたはこれらの組み合わせごとに、コミュニケーション動作時の飲料容器端末1xの挙動を振動アクチュエータ13に振動を生じさせて模擬するための振動波形のパターンが多数格納されている。
【0041】
図10は、飲料容器端末1xを実際に衝突させた乾杯のコミュニケーション動作時に観測される振動波形の例を包絡線で表現した図である。
発明者の実験によれば、乾杯時の衝撃をインパクト波と呼ばれる矩形波で模擬し、その後の残響振動をリバーブ波と呼ばれる固有周波数ωの減衰波で模擬し、更には飲料容器端末1xの用途、形状、大きさ等に基づいてインパクト波およびリバーブ波を適宜に組み合わせることで、様々な乾杯シーンを模擬できることがわかった。
【0042】
図11は、飲料容器端末1xとして飲料ボトル端末1cを用いてお酌(する)のコミュニケーション動作時に観測される振動波形の例を表現しており、お酌時の飲料ボトル端末1cの傾き角度に応じて振動パターン(減衰率、間隔、volume、連続性)を制御することによりお酌時の触感振動を模擬的に提示できることがわかった。
【0043】
前記振動パターン決定部205は、飲料容器端末1xごとに、その種別、コミュニケーション動作および速度ベクトル等に基づいて、コミュニケーション動作を体感できる振動波形のパターンを決定する。
【0044】
発光パターン決定部206は発光パターン記憶部206aを含む。発光パターン記憶部206aには、飲料容器端末1xの種別、コミュニケーション動作、速度ベクトルおよびコミュニケーション相手またはこれらの組み合わせごとに、各飲料容器端末1xが備えるフルカラーLED15を発光させるタイミング、発光色あるいは発光周期等の発光パターンが格納されている。
【0045】
前記発光パターン決定部206は、飲料容器端末1xごとに、その種別、コミュニケーション動作、速度ベクトおよびコミュニケーション相手の推定結果等に基づいてフルカラーLED15の発光パターンを決定する。
【0046】
駆動信号送信部207は、前記決定した振動波形パターンおよびLEDの発光パターンを対応する飲料容器端末1xへネットワーク経由で送信する。
【0047】
次いで、フローチャートを参照して本発明の一実施形態の動作を説明する。
図12は、本発明を適用した各飲料容器端末1xの動作を示したフローチャート、
図13は、本発明を適用したコミュニケーション装置2の動作を示したフローチャートであり、特に体感ベース支援部2Bの動作を示している。
【0048】
初めに
図12を参照し、飲料容器端末1xでは、ステップS1においてモーションセンサ12が当該飲料容器端末1xの姿勢変化および動きを検知してセンサ信号を出力する。ステップS2では、前記モーションセンサ12の出力信号が通信機能付きシングルボードコンピュータ16の通信機能によりネットワーク経由でコミュニケーション装置2へ送信される。
【0049】
図13を参照し、コミュニケーション装置2の体感ベース支援部2Bは、ステップS31において前記動き信号取得部201が各飲料容器端末1xからモーションセンサの出力信号を取得する。ステップS32では、前記動き分析部202が前記取得したモーションセンサ12の出力信号に基づいて各飲料容器端末1xの動きを分析し、その姿勢および動きベクトルを計算する。
【0050】
ステップS33では、前記コミュニケーション動作推定部203が前記分析結果に基づいて飲料容器端末1xの動きを推定し、ステップ34において、推定された動きが予め定義されている「乾杯」や「お酌」といったコミュニケーション動作に該当するか否かが判定される。コミュニケーション動作であればステップS35へ進み、前記コミュニケーション相手推定部204が飲料容器端末1xの速度ベクトルに基づいてコミュニケーション相手を推定する。
【0051】
例えば、ある飲料容器端末1xに関するコミュニケーション動作の推定結果が「乾杯」であれば、同様にコミュニケーション動作の推定結果が「乾杯」であって、速度ベクトルが相互に対向関係にある他の飲料容器端末1xが相互にコミュニケーション相手と推定される。
【0052】
同様に、コミュニケーション動作の推定結果が「お酌(される)」であれば、コミュニケーション動作の推定結果が「お酌(する)」であって、速度ベクトルが対向関係にある飲料容器端末1xが判別されて相互にコミュニケーション相手と推定される。
【0053】
なお、コミュニケーション動作の識別結果が「乾杯」であればコミュニケーション相手は一人に限定されないので、コミュニケーション動作の推定結果が「乾杯」である全ての飲料カップをコミュニケーション相手と推定してもよい。
【0054】
以上のようにして、コミュニケーション動作及びコミュニケーション相手が推定されるとステップS36へ進む。ステップS36では、前記振動パターン決定部205が前記コミュニケーション動作の推定結果、姿勢および速度ベクトル等またはそれらの組み合わせに基づいて、当該コミュニケーション動作を体感的に模擬できる振動アクチュエータ13の駆動パターンを選択する。
【0055】
ステップS37では、前記発光パターン決定部206により、コミュニケーション動作やコミュニケーション相手に固有の発光色が選択される。本実施形態では、コミュニケーション動作に固有の発光色および発光タイミング、速度ベクトルに基づく移動速度に基づいて発光パターンが選択される。
【0056】
ステップS38では、前記駆動信号送信部207が、前記選択された振動波形パターンで振動アクチュエータ13を振動させ、前記発光パターンでLEDを発光させるための駆動信号を飲料容器端末1xへ送信する。
【0057】
図12へ戻り、各飲料容器端末1xはステップS3においてコミュニケーション装置2から駆動信号および発光信号を受信すると、ステップS4では駆動信号に基づいて振動アクチュエータ13を駆動して飲料容器端末1xを振動させる。ステップS5では、前記駆動信号をLEDに供給して当該LED15を発光させる。
【0058】
本実施形態によれば、遠隔地の飲食メンバーが自身の飲料カップや飲料容器を介して他のメンバーに対して行ったコミュニケーション動作が分析され、コミュニケーション動作が対面で現実に行われていれば飲料カップや飲料容器に生じるであろう動きを模擬するので、遠隔でありながら対面での飲食を触感的に模擬できるようになる。
【0059】
また、本実施形態によればコミュニケーション動作の向きに基づいて判断されたコミュニケーション相手同士の飲料カップや飲料容器を他のコミュニケーション相手同士とは異なる色でLEDを発光させることができるので、特定のコミュニケーション相手との親密な感情を表現できるようになる。
【0060】
なお、上記の実施形態ではLEDが飲料容器端末1xの内部の一箇所に設けられるものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、容器の外装部に設けたり、複数個を設けたりしてもよい。複数個のLEDを設ければ、例えば模擬的に「お酌」されている最中に飲料が注がれて飲料容器内が満ちていく様子をLEDの発光パターンによって表現できるので、多感覚的に「お酌されている感」を提示できるようになる。
【0061】
図14は、本発明の第2実施形態に係るコミュニケーション装置2が実装する体感ベース支援部2Bの主要部の構成を示した機能ブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表しているので、その説明は省略する。
【0062】
本実施形態は、飲料容器端末1xの姿勢および動きベクトルに基づいて視聴ベース支援部2A(ビデオ会議システム)の映像や音声を調整するビデオ会議制御動作を推定するビデオ会議制御動作推定部208およびビデオ会議制御動作の推定結果に基づいてビデオ会議システムの映像や音声を制御するビデオ会議制御部209を具備した点に特徴がある。
【0063】
本実施形態では、飲料容器端末1xの起立姿勢での右回転および左回転と各参加者が参加するビデオ会議システムの音量調整とを予め対応付けておき、前記ビデオ会議制御動作推定部208により飲料容器端末1xが右回転されたことが検知されると、前記ビデオ会議制御部209がビデオ会議の音量を上げる制御を実施し、左回転されたことが推定されると音量を下げる制御を実施する。
【0064】
また、飲料容器端末1xの起立姿勢および横臥姿勢(横倒し)をビデオ会議への参加/退出の要求と予め対応付けておき、参加者が所用で一時的に退出する際に飲料容器端末1xを横倒しすると、これがビデオ会議制御動作推定部208により退出要求と推定され、ビデオ会議制御部209によりビデオ信号や音声信号がミュート状態とされる。その後、飲料容器端末1xが起立姿勢に戻されると、これがビデオ会議制御動作推定部208により参加要求と推定されて前記ミュートが解除される。
【0065】
なお、ビデオ会議の制御動作やビデオ会議の制御内容は上記に限定されるものではなく、想定しうる飲料容器端末1xを用いたビデオ会議制御動作ごとに様々なビデオ会議制御を割り当てることができる。
【0066】
図15は、本発明の第3実施形態に係る汎用コミュニケーション端末100と、その飲料カップ6への装着例を示した斜視図である。
【0067】
上記の実施形態では、各参加者が用いるコミュニケーション端末がモーションセンサや通信機能を実装した専用の飲料容器端末1xであるものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、汎用のカップ、ジョッキあるいはボトルに装着して飲料容器端末化できる汎用コミュニケーション端末100であってもよい。
【0068】
前記汎用コミュニケーション端末100は、
図2,3を参照して説明した飲料カップ端末1aや飲料ボトル端末1cに実装された装備の全部または主要部を内蔵し、更に飲料容器に係合させるための係合部101を備える。汎用コミュニケーション端末100は前記係合部101を用いて飲料カップ6に装着されることで、アクチュエータ13により生じた振動を飲料カップ6に伝達することができる。
【0069】
本実施形態によれば、各参加者が日常的に使用するお気に入りのカップ、ジョッキあるいはボトル等を簡単に飲料容器端末化できるようになる。
【0070】
なお、上記の各実施形態では知人同士での遠隔コミュニケーションを例にして説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、例えば飲食場面の映像をストリーミング配信するプレーヤと当該ストリーミング映像を視聴するユーザとの間で、プレーヤによる乾杯等のコミュニケーション動作に合わせてユーザが乾杯等のコミュニケーション動作を返す場面にも同様に適用できる。
【0071】
さらに、このようなストリーミング映像への適用では、飲料容器端末1xおよび/またはコミュニケーション装置2に各ユーザの電子決済サービスのアカウント情報を登録しておくことで電子決済サービスに連携させ、所定のコミュニケーション動作を電子決済機能による投げ銭の動作と推定し、参加者の電子マネーがプレーヤへ各電子決済サービスを介して転送されるようにしても良い。
【符号の説明】
【0072】
1…コミュニケーション端末,2…コミュニケーション装置,1a…飲料カップ端末,1b…飲料ジョッキ端末,1c…飲料ボトル端末,3…視聴端末,11…容器部,12…モーションセンサ,13…振動アクチュエータ,14…アクチュエータドライバ,15…フルカラーLED,16…通信機能付きシングルボードコンピュータ,17…バッテリ,18…タッチセンサ,100…汎用コミュニケーション端末,201…動き信号取得部,202…動き分析部,203…コミュニケーション動作推定部,204…コミュニケーション相手推定部,205…振動パターン決定部,206…発光パターン決定部,207…駆動信号送信部,208…ビデオ会議制御動作推定部,209…ビデオ会議制御部