(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】試料調製又は試料解析の少なくとも一方を行うため回転バルブを備えるシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
G01N35/08 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020170821
(22)【出願日】2020-10-08
(62)【分割の表示】P 2016569728の分割
【原出願日】2015-06-03
【審査請求日】2020-10-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-12
(32)【優先日】2014-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514202402
【氏名又は名称】イラミーナ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン ボーム
(72)【発明者】
【氏名】アレックス アラバニス
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー シャオ
(72)【発明者】
【氏名】べナム ジャヴァンマルディ
(72)【発明者】
【氏名】タルン クラナ
(72)【発明者】
【氏名】ハイ クアン トラン
(72)【発明者】
【氏名】マジド アグババザデー
(72)【発明者】
【氏名】シェーン ボウエン エム
(72)【発明者】
【氏名】ボヤン ボヤノフ
(72)【発明者】
【氏名】デール ベールマン
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】松本 隆彦
【審判官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/151622(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/008381(WO,A2)
【文献】国際公開第2013/116285(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0220775(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00-37/00
G01N1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバ、
複数の試料リザーバ及び
試薬リザーバを有する流体ネットワークであって
、前記反応チャンバは、少なくとも1つの光学的に透明な面、及び前記少なくとも1つの光学的に透明な面から離間するとともに複数の反応部位を有する検出器表面を有する、該流体ネットワークと、
前記流体ネットワークに流体連通するポンプアセンブリと、
前記反応チャンバ内の前記複数の反応部位の少なくとも1つにおける反応により生成される光信号を検出するように構成される少なくとも1つの光センサと、
第1フローチャンネル(842)及びブリッジチャンネルを有し、また複数のバルブ位置の間で回転可能な第1回転バルブ(806)であって、前記ブリッジチャンネルは、前記第1回転バルブ(806)のバルブ位置に対応する試料リザーバを、前記第1フローチャンネル(842)に接続される第1通口に流体的に接続する、第1回転バルブ(806)と、
第2フローチャンネル(870)及び前記反応チャンバに流体的に接続されるフィード通口を有し、また第1バルブ位置及び第2バルブ位置の間で回転可能な第2回転バルブ(808)であって、前記第2フローチャンネル(870)は、前記第2回転バルブ(808)が前記第1バルブ位置にあるとき前記第2回転バルブ(808)のフィード通口を前記第1フローチャンネル(842)に流体的に接続し、また前記第2回転バルブ(808)が前記第2バルブ位置にあるとき前記第2フローチャンネル(870)が前記フィード通口を前記試薬リザーバに流体的に接続し、前記ポンプアセンブリは、前記第2回転バルブ(808)が前記第1バルブ位置にあるとき生物試料を前記反応チャンバに向かわせるフローを誘導するように構成され、また前記第2回転バルブ(808)が前記第2バルブ位置にあるとき前記ポンプアセンブリは反応成分を前記試薬リザーバから前記反応チャンバに向かわせるフローを誘導し、また前記第2回転バルブ(808)が前記第1バルブ位置にあるとき前記ポンプアセンブリは前記バルブ位置に対応する前記試料リザーバから前記第1通口に向かう前記生物試料のフローを前記フィード通口及び前記第1フローチャンネル(842)を介して誘導するように更に構成される、第2回転バルブ(808)と、
を備える、システムであり
、
前記
第2回転バルブ
(808)は軸線の周りを回転し、
前記フィード通口は、前記軸線に位置合わせされ、前記
第2フローチャンネル
(870)及び前記反応チャンバを流体的に接続する、システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、前記ポンプアセンブリは、前記反応チャンバに流体連通しかつ前記反応チャンバに対して下流側に位置する単一のポンプを備える、システム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムにおいて、前記
第1回転バルブは、前記
第1回転バルブが
前記試料リザーバに対応するバルブ位置から
前記試料リザーバに対応するバルブ位置とは異なるバルブ位置に回転するにつれて、前記
第1フローチャンネル内に前記生物試料を保持し、前記ポンプアセンブリは、前記
第1回転バルブが
前記試料リザーバに対応するバルブ位置とは異なる該バルブ位置にあるとき、前記生物試料を
前記第1回転バルブに流体連通する緩
衝リザーバ内に流入させるフローを誘導する、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの光センサが、前記反応チャンバの前記検出器表面に隣接して位置付けられ、前記反応チャンバの前記反応からの光信号を検出するように構成される撮像検出器を備える、システム。
【請求項5】
請求項1記載のシステムにおいて、さらに、前記回転バルブ及び前記ポンプアセンブリを自動的に制御して、シークエンシング・バイ・シンセシス(SBS)プロトコールの反復サイクルを行うシステムコントローラを備える、システム。
【請求項6】
請求項1記載のシステムにおいて、前記反応は、会合性結合事象、解離性結合事象、関心対象検体からの蛍光標識生体分子の放出、化学変換、化学変化、化学的相互作用、蛍光発光、発光、生物発光、化学発光、生物反応、核酸複製、核酸増幅、核酸雑種形成、核酸連結反応、リン酸化反応、酵素触媒反応、受容体結合、リガンド結合、イオン濃度の変化、化学結合相互作用又は
プロトンの付加若しくは脱離の1つである、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して生化学的解析用の試料(サンプル)を生成する及び/又は
生化学的反応を起こさせるシステム並びに方法に関し、またより具体的には、回転バルブ
を利用するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な生化学プロトコールは、支持表面上又は指定反応チャンバ内で多数の制御反応を
行わせることが関与する。これら制御反応は、生物試料を解析するため、又はその後の解
析用に生物試料を調製するために起こさせる。解析により、反応に関与する化学物質の特
性を同定又は究明することができる。例えば、配列(アレイ)ベースのサイクリック・シ
ークエンシング分析(例えば、シークエンシング・バイ・シンセシス(SBS))において、
DNA特徴(例えば、鋳型核酸)の濃密配列を酵素的操作の反復サイクルによりシークエ
ンシング(塩基配列結合順序決定)する。各サイクル後に画像を取得し、また他の画像に
より順次に解析して、DNA特徴のシークエンス(塩基配列結合順序)を決定する。他の
生化学分析において、識別可能ラベル(例えば、蛍光ラベル)を有する未確認検体をアレ
イ内の所定アドレスを有する既知のプローブのアレイに曝露させることができる。プロー
ブと未確認検体との間に生ずる化学反応を観測することは、その検体の特性を同定又は究
明するのに役立ち得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したような分析を自動的に行う、すなわち、ユーザーの仕事量が少ない又はユーザ
ーが少ししか関与しないシステムに対する一般的需要がこれまであった。現時点では、多
くのプラットフォームは、ユーザーが個別に生物試料を調製してから、その生物試料を解
析用のシステム内に装填することを必要とする。ユーザーにとっては、1つ又は複数の生
物試料をシステム内に装填し、システムが実行する分析を選択し、また例えば、1日又は
1日未満のような所定期間内で解析結果を得るのが望ましい。現行で使用される幾つかの
システムは、十分な品質レベルを有しかつ僅かなコスト範囲内でデータを供給する全ゲノ
ムシークエンシングのような信頼できるプロトコールを実行することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態によれば、試料チャンネル、反応チャンバ、及びリザーバを有する流
体ネットワークを備えるシステムを提供する。前記試料チャンネルは、生物試料を受け入
れるよう構成した試料通口に流体連通するものとする。システムは、さらに、前記流体ネ
ットワークに流体連通するよう構成したポンプアセンブリを備える。システムは、さらに
、フローチャンネルを有し、また第1バルブ位置と第2バルブ位置との間で回転するよう
構成した回転バルブを備える。前記フローチャンネルは、前記回転バルブが前記第1バル
ブ位置にあるとき前記反応チャンバ及び前記試料チャンネルを流体的に接続し、また前記
回転バルブが前記第2バルブ位置にあるとき前記リザーバ及び前記反応チャンバを流体的
に接続する。前記ポンプアセンブリは、前記回転バルブを前記第1バルブ位置にあるとき
前記生物試料が前記反応チャンバに向かわせるフローを誘導し、また前記回転バルブが前
記第2バルブ位置にあるとき反応成分を前記リザーバから前記反応チャンバに向かわせる
フローを誘導する。
【0005】
本発明の実施形態において、本発明方法は、フローチャンネルを有する回転バルブを第
1バルブ位置に回転するステップを有する。前記フローチャンネルは、回転バルブが前記
第1バルブ位置にあるとき反応チャンバに流体連通する。本発明方法は、さらに、前記第
1バルブ位置にあるとき、生物試料を試料チャンネル又は第1リザーバから前記フローチ
ャンネルを経由して前記反応チャンバ内に流入させるステップを有する。本発明方法は、
さらに、前記回転バルブを第2バルブ位置に回転するステップを有する。前記フローチャ
ンネルは、前記第2バルブ位置にあるとき前記第2リザーバ及び前記反応チャンバに流体
連通させる。本発明方法は、さらに、前記第2リザーバからの反応成分を前記反応チャン
バ内に流入させるステップを有する。前記反応成分は前記反応チャンバ内で生物試料と相
互反応する。
【0006】
本発明の実施形態において、流体ネットワーク及び前記流体ネットワークに流体連通す
るポンプアセンブリを有するフロー制御システムを備えるシステムを提供する。前記流体
ネットワークは、生物試料を受け入れるよう構成した試料チャンネル、複数個のリザーバ
、及び反応チャンバを含むものとする。本発明システムは、さらに、フローチャンネルを
有する回転バルブを備える。前記回転バルブは、異なるバルブ位置に回転するよう構成し
て、前記反応チャンバを前記試料チャンネルに、または前記リザーバのうち1つに流体的
に接続できるようにする。本発明システムは、さらに、分析プロトコール中に前記反応チ
ャンバから光信号を検出するよう構成した検出デバイスを備える。本発明システムは、さ
らに、前記回転バルブ及び前記ポンプアセンブリを制御し、前記生物試料を前記試料チャ
ンネルから前記反応チャンバに流入させるよう構成したシステムコントローラを備える。
前記システムコントローラは、さらに、複数のプロトコールサイクル中に前記回転バルブ
、前記ポンプアセンブリ及び前記検出デバイスを制御するよう構成し、前記プロトコール
サイクルの各サイクルは、(a) 前記回転バルブを第1リザーバ-バルブ位置に回転して、
前記反応チャンバを前記複数のリザーバのうち第1リザーバに流体連通させるステップと
、(b) 前記ポンプアセンブリを制御して、流体を前記第1リザーバから前記反応チャンバ
内に流入させるフローを誘導するステップと、(c) 前記回転バルブを第2リザーバ-バル
ブ位置に回転して、前記反応チャンバを前記複数のリザーバのうち第2リザーバに流体連
通させるステップと、(d) 前記ポンプアセンブリを制御して、流体を前記第2リザーバか
ら前記反応チャンバ内に流入させるフローを誘導するステップと、及び(e) 前記第2リザ
ーバからの流体を前記反応チャンバに流入させる間に、又は前記第2リザーバからの流体
を前記反応チャンバに通過させた後に前記反応チャンバから光信号を検出するステップと
を含むものとする。
【0007】
本発明の実施形態において、本発明方法は、マイクロ流体制御構体及び回転バルブを準
備する準備ステップを有する。前記マイクロ流体制御構体は構体側面及び流体ネットワー
クを有し、前記流体ネットワークはサプライ通口及びフィード通口を含む。前記サプライ
通口は前記構体側面に開口する。前記回転バルブは前記構体側面に対して回転可能に取り
付ける。前記回転バルブは、第1チャンネル通口、第2チャンネル通口、及び前記第1チ
ャンネル通口と前記第2チャネル通口との間に延在するフローチャンネルを有するものと
する。本発明方法は、さらに、前記回転バルブを、前記第1チャンネル通口が前記マイク
ロ流体制御構体の前記サプライ通口に流体連通する第1バルブ位置に回転するステップを
有する。本発明方法は、さらに、前記回転バルブが前記第1バルブ位置にあるとき、生物
試料を前記第1チャンネル通口経由で前記フローチャンネルに流入させるステップを有す
る。本発明方法は、さらに、前記生物試料が前記フローチャンネル内に存在する状態で前
記回転バルブを第2バルブ位置に回転して、前記第1チャンネル通口を前記構体側面によ
って封止するステップを有する。本発明方法は、さらに、熱サイクリング操作を行って、
前記フローチャンネル内における生物試料の温度を選択温度に変化させるステップを有す
る。
【0008】
本発明の実施形態によれば、構体側面及び流体ネットワークを有するマイクロ流体制御
構体であって、前記流体ネットワークはサプライ通口及びフィード通口を有する、該マイ
クロ流体制御構体を備えるシステムを提供する。前記サプライ通口は前記構体側面に開口
するものとする。本発明システムは、前記構体側面に対して回転可能に取り付けた回転バ
ルブを備える。前記回転バルブは、第1チャンネル通口、第2チャンネル通口、及び前記
第1チャンネル通口と前記第2チャネル通口との間に延在するフローチャンネルを有する
。前記回転バルブは、第1バルブ位置と第2バルブ位置との間で回転するよう構成する。
前記第1チャンネル通口は、前記回転バルブが前記第1バルブ位置にあるとき前記マイク
ロ流体制御構体の前記サプライ通口に流体連通する。前記第1チャンネル通口は、前記回
転バルブが前記第2バルブ位置にあるとき前記マイクロ流体制御構体によって封止される
ものとする。本発明システムは、さらに、前記回転バルブが前記第1バルブ位置にあると
き、流体を前記サプライ通口経由で前記フローチャンネル内に流入させるフローを誘導す
る構成としたポンプアセンブリを備える。本発明システムは、さらに、前記回転バルブに
対して位置決めされる熱サイクラーであって、前記回転バルブが前記第2バルブ位置にあ
るとき、前記フローチャンネル内の流体が受ける温度を制御するよう構成した、該熱サイ
クラーを備える。
【0009】
本発明の実施形態において、流入通口、流出通口、及び試料リザーバを含む流体ネット
ワークを有するマイクロ流体制御構体を備えるシステムを提供する。本発明システムは、
さらに、前記マイクロ流体制御構体に回転可能に連結した回転バルブを備える。回転バル
ブは、第1チャンネルセグメント及び第2チャンネルセグメントを有する。前記第1チャ
ンネルセグメントは、前記回転バルブが第1バルブ位置にあるとき前記流入通口及び試料
リザーバを流体的に接続する。前記第2チャンネルセグメントは、前記回転バルブが第1
バルブ位置にあるとき前記流出通口及び試料リザーバを流体的に接続する。本発明システ
ムは、さらに、前記回転バルブが第1バルブ位置にあるとき、前記流入通口及び第1チャ
ンネルセグメント経由で前記試料リザーバ内に流体を流入させる構成としたポンプアセン
ブリを備える。前記回転バルブは、第2バルブ位置に移動する場合に、前記試料リザーバ
が前記回転バルブによって封止されるよう構成する。本発明システムは、さらに、前記回
転バルブが前記第2バルブ位置にあるとき、熱エネルギーを前記試料リザーバに供給する
よう前記マイクロ流体制御構体に対して位置決めした熱サイクラーを備える。
【0010】
本発明の実施形態において、試料リザーバ及び別個の分析チャンネルを含む流体ネット
ワークを有するマイクロ流体制御構体を備えるシステムを提供する。前記分析チャンネル
は第1通口と第2通口との間に延在する。前記流体ネットワークは、さらにフィード通口
を有する。本発明システムは、さらに、前記マイクロ流体制御構体の熱制御領域に隣接し
て位置決めされる熱サイクラーを備える。前記分析チャンネルは前記熱制御領域に貫通す
る。前記熱サイクラーは、熱エネルギーを前記熱制御領域に供給するよう構成する。本発
明システムは、さらに、前記マイクロ流体制御構体に回転可能に連結し、また第1バルブ
位置と第2バルブ位置との間で移動するよう構成した回転バルブを備える。前記回転バル
ブは、ブリッジチャンネル及び別個のフローチャンネルを有する。前記回転バルブが第1
バルブ位置にあるとき、前記ブリッジチャンネルは前記試料リザーバ及び前記分析チャン
ネルの第1通口を流体的に接続し、また前記フローチャンネルは前記分析チャンネルの第
2通口及び前記フィード通口を流体的に接続する。前記回転バルブは、前記回転バルブが
第2バルブ位置に移動して前記分析チャンネルの前記第1通口及び第2通口を封止する構
成とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明実施形態により形成したシステムであって、生化学的解析又は試料調 製の少なくとも一方を行う構成としたシステムの概略図である。
【
図2】本発明実施形態により形成したシステムであって、
図1のシステムに使用し 得るフロー制御システムの平面図である。
【
図3】
図2のフロー制御システムに使用し得るバルブ調節機構の第1位置又は第1 状態における断面図である。
【
図4】
図3に示すバルブ調節機構の第2位置又は第2状態における断面図である。
【
図5】
図2のフロー制御システムに使用し得る別のバルブ調節機構の第1位置又は 第1状態における断面図である。
【
図6】
図5に示すバルブ調節機構の第2位置又は第2状態における断面図である。
【
図7】
図2のフロー制御システムに使用し得るさらに別のバルブ調節機構の第1位 置又は第1状態における断面図である。
【
図8】
図7に示すバルブ調節機構の第2位置又は第2状態における断面図である。
【
図9】本発明の実施形態によるマイクロ流体制御構体に取り付けた回転バルブの断 面図である。
【
図10】
図9に示すマイクロ流体制御構体の平面図である。
【
図11】指定反応を反応チャンバから検出するのに使用し得る検出アセンブリの断 面図である。
【
図12】本発明の実施形態による方法のフローチャートである。
【
図13】本発明の実施形態によるマイクロ流体制御構体に回転可能に取り付けた回 転バルブの平面図である。
【
図14】
図13に示すマイクロ流体制御構体に回転可能に取り付けた回転バルブの 断面図である。
【
図15】
図15Aは、分析プロトコールの異なる段階中における回転バルブの異なる回転位置を示す。
図15Bは、分析プロトコールの異なる段階中における回転バルブの異なる回転位置を示す。
図15Cは、分析プロトコールの異なる段階中における回転バルブの異なる回転位置を示す。
図15Dは、分析プロトコールの異なる段階中における回転バルブの異なる回転位置を示す。
図15Eは、分析プロトコールの異なる段階中における回転バルブの異なる回転位置を示す。
図15Fは、分析プロトコールの異なる段階中における回転バルブの異なる回転位置を示す。
図15Gは、分析プロトコールの異なる段階中における回転バルブの異なる回転位置を示す。
図15Hは、分析プロトコールの異なる段階中における回転バルブの異なる回転位置を示す。
図15Iは、分析プロトコールの異なる段階中における回転バルブの異なる回転位置を示す。
図15Jは、分析プロトコールの異なる段階中における回転バルブの異なる回転位置を示す。
図15Kは、分析プロトコールの異なる段階中における回転バルブの異なる回転位置を示す。
図15Lは、分析プロトコールの異なる段階中における回転バルブの異なる回転位置を示す。
【
図16】本発明の実施形態により形成した回転バルブの平面図である。
【
図17】
図16に示す回転バルブの増幅プロトコール中における平面図である。
【
図18】本発明の実施形態により形成した別の回転バルブの平面図である。
【
図19】本発明の実施形態による方法のフローチャートである。
【
図20】回転バルブ及びマイクロ流体制御構体を備える本発明実施形態により形成 したフロー制御システムの斜視図である。
【
図21】増幅プロトコールのため回転バルブが増幅プロトコールの指定位置にある ときの
図20に示すフロー制御システムの斜視図である。
【
図22】
図20に示すフロー制御システムの一部切除した断面図である。
【
図23】本発明実施形態により形成したシステムであって、生化学的解析又は試料 調製の少なくとも一方を行う構成としたシステムの概略図である。
【
図24】本発明実施形態により形成し、ブリッジチャンネルを利用するフロー制御 システムの平面図である。
【
図25】
図4に示すフロー制御システムの部分的に分解した分解斜視図である。
【
図26】本発明実施形態による回転バルブの底面から見た斜視図である。
【
図27】
図26に示す回転バルブの側方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載する実施形態は、試料(サンプル)調製及び/又は生化学的解析のため
の指定反応を遂行するのに使用することができる。本明細書で使用する用語「生化学的解
析」は、生物学的解析又は化学的解析のうち少なくとも一方を含み得る。
図1は、生化学
的解析及び/又は試料調製を行うよう構成したシステム100の概略図である。システム
100は、ベース機器102と、及びこのベース機器102に離脱可能に係合するよう構
成した係脱可能カートリッジ104とを備える。ベース機器102及び係脱可能カートリ
ッジ104は、生物試料を含む指定反応を行わせるため互いに相互作用して、生物試料を
システム100内の異なる場所に輸送し、その後の解析用に生物試料を調整する、また随
意的に、生物試料による1つ又は複数の事象を検出できるよう構成することができる。事
象は生物試料による指定反応の指標となり得る。係脱可能カートリッジ104は、201
4年5月27日出願の米国仮出願第62/003,264号(参照により全体が本明細書
に組み入れられるものとする)に示されまた記載されたような統合化マイクロ流体カート
リッジに類似のものとすることができる。しかし、本明細書に記載の実施形態は統合化デ
バイスに限定されるものではなく、より大型のシステムにも使用することができる。
【0013】
以下は
図1に示すベース機器102及び係脱可能カートリッジ104に言及するが、ベ
ース機器102及び係脱可能カートリッジ104は、システム100における単に1つの
例示的な実施形態を示すに過ぎず、それ以外の実施形態もあると理解されたい。例えば、
ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104は、共同して生物試料を調製する及び
/又は生物試料を解析する多数の操作を実行する種々のコンポーネント及び形体を有する
。図示の実施形態において、ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104のそれぞ
れは、特定の機能を行うことができる。しかし、ベース機器102及び係脱可能カートリ
ッジ104は異なる機能を実施する及び/又はこのような機能を共有することができると
理解されたい。例えば、図示の実施形態において、係脱可能カートリッジ104は、検出
アセンブリ(例えば、撮像デバイス)の使用により指定反応を検出するよう構成する。代
替的実施形態において、ベース機器102は、検出アセンブリを含むことができる。他の
実施例として、図示の実施形態において、ベース機器102は、係脱可能カートリッジ1
04に対して液体を供給、受容又は交換しない「乾式」機器とする。代替的実施形態にお
いて、ベース機器102は、例えば、試薬又は他の液体を係脱可能カートリッジ104に
供給し、次いで、この係脱可能カートリッジ104が試薬又は他の液体を消費する(例え
ば、指定反応に使用する)ことができる。
【0014】
本明細書で使用するように、生物試料としては、1種類又は複数種類の生物学的又は化
学的な物質、例えば、ヌクレオシド、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、タ
ンパク質、酵素、ポリペプチド、抗体、抗原、リガンド、受容体、多糖類、炭水化物、ポ
リリン酸塩、ナノ細孔、オーガネル(細胞小器官)、脂質層、細胞、組織、有機体、上述し
た種の類似物又は模倣物のような生物学的活性化合物が有り得る。幾つかの場合、生物試
料としては、全血、リンパ液、血清、血漿、汗、涙、唾液、痰、脳脊髄液、羊水、精液、
膣排出物、漿液、滑液、心膜液、腹水、胸膜液、浸出液、滲出液、嚢胞液、胆汁、尿、胃
液、腸液、糞試料、単一又は複数の細胞を含む液体、オーガネルを含む液体、流動化組織
、流動化有機体、多細胞生物を含む液体、生物学的スワブ、及び生物学的洗浄液があり得
る。
【0015】
幾つかの実施形態において、生物試料は、添加材料、例えば、水、脱イオン水、生理食
塩水溶液、酸性溶液、塩基性溶液、清浄液及び/又はpH緩衝液を含有することができる
。添加材料としては、さらに、指定反応分析プロトコール中に使用して生化学的反応を行
わせる試薬もあり得る。例えば、添加液体は、生物試料で複数のポリメラーゼ連鎖反応(
PCR)サイクルを行わせる材料を含有することができる。
【0016】
しかし、解析される生物試料は、システム100に装填される生物試料とは異なる形式
又は状態の場合もあり得ると理解されたい。例えば、システム100に装填される生物試
料は全血又は唾液とし、次にこれを処理して(例えば、分離又は増幅手順により)調製し
た核酸を生ずることができる。調製した核酸は、この後システム100によって解析する
(例えば、PCRによって定量化する又はSBSによってシークエンシングする)。した
がって、最初の操作、例えばPCRを記述する間に用語「生物試料」を使用し、それに続
いて第2操作、例えばシークエンシングを記述する間に再び使用するとき、第2操作にお
ける生物試料は第1操作前又は第1操作中の生物試料とは変更されている場合があり得る
。例えば、シークエンシングステップ(例えば、SBS)は、先行増幅ステップ(例えば
、PCR)で増幅された鋳型核酸から産生した単位複製配列核酸で実施することができる
。この場合、単位複製配列は鋳型の複製であり、また単位複製配列は鋳型の量よりも多い
量で存在する。
【0017】
幾つかの実施形態において、システム100は、ユーザーが供出した物質(例えば、全
血又は唾液)に基づく生化学的解析用の試料を自動的に調製することができる。しかし、
他の実施形態において、システム100は、ユーザーが解析用に部分的に又は予め調製し
た生物試料を解析することができる。例えば、ユーザーは、全血から既に単離及び/又は
増幅した核酸を含む溶液を供出することができる。
【0018】
本明細書で使用する「指定反応」は、関心対象検体の化学的、電気的、物理的、光学的
な特性(又は特質)のうち少なくとも1つにおける変化を含む。特別な実施形態において
、指定反応は、会合性結合事象(例えば、関心対象検体に蛍光ラベル付けした生体分子の
組み込み)とする。指定反応は、解離性結合事象(例えば、関心対象検体から蛍光ラベル
付けした生体分子の釈放)であり得る。指定反応は、化学変換、化学変化、化学的相互作
用とすることができる。さらに、指定反応は、電気的特性の変化とすることができる。例
えば、指定反応は、溶液内のイオン濃度変化とすることができる。例示的な反応としては
、以下のものに限定しないが、還元、酸化、付加、脱離、転位、エステル化、アミド化、
エーテル化、環化、又は置換のような化学反応、第1化学物質が第1化学物質に結合する
結合相互作用、2つ以上の化学物質が互いに分離する解離反応、蛍光発光、発光、生物発
光、化学発光、及び生物反応、例えば核酸複製、核酸増幅、核酸雑種形成、核酸連結反応
、リン酸化反応、素触媒反応、受容体結合、又はリガンド結合がある。指定反応は、例え
ば、周囲溶液又は周囲環境におけるpHなどとして検出可能な陽子の付加又は脱離であり
得る。付加的指定反応は、薄膜(例えば、天然又は合成の)二層膜を透過するイオンの流
れを検出でき、例えば、イオンが薄膜を透過するとき電流が中断し、この中断を検出する
ことができる。従来既知の温度感知及び他の解析感知技術として荷電タグの電界センシン
グを用いることもできる。
【0019】
特別な実施形態において、指定反応としては、検体に対する蛍光ラベル付け分子の取り
込みがある。検体はオリゴヌクレオチドとし、蛍光ラベル付け分子はヌクレオチドとする
ことができる。指定反応は、ラベル付けヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドに向け
て励起光を照射し、また蛍光色素分子が検出可能な蛍光信号を発生するとき検出すること
ができる。代替的実施形態において、検出した蛍光は化学発光又は生物発光の結果である
。指定反応は、さらに、例えば、受容体蛍光色素分子にドナー蛍光色素分子を近づけるこ
とによって蛍光(又はフェルスター)共鳴エネルギー転移(FRET)を増加することが
でき、ドナー蛍光色素分子及び受容体蛍光色素分子を引き離すことによってFRETを減
少し、消光剤を蛍光色素分子から引き離すことにより蛍光を増加し、又は消光剤及び蛍光
色素分子を再配置することによって蛍光を減少することができる。
【0020】
本明細書に使用する「反応成分(reaction component)」は、指定反応を得るのに使用
できる任意の材料を含む。例えば、反応成分としては、試薬、酵素のような触媒、反応の
ための反応剤、試料、反応生成物、他の生体分子、塩、金属共同因子、キレート剤、及び
緩衝溶液(水素化緩衝液)がある。反応成分は、個別溶液として又は1つ以上の混合物と
して、流体ネットワークの種々の場所に送給することができる。例えば、反応成分は、生
物試料が固定化される反応チャンバに送給することができる。反応成分は、生物試料と直
接的又は間接的に相互作用することができる。幾つかの実施形態において、係脱可能カー
トリッジ104に対して、指定分析プロトコールを実施するのに必要な1種類以上の反応
成分を予め装填する。予装填は、カートリッジ104をユーザーが係合する(例えば、ユ
ーザー施設で)のに先立って、1つの場所(例えば、製造施設)で行うことができる。
【0021】
幾つかの実施形態において、ベース機器102は、セッション毎に1個の係脱可能カー
トリッジ104と相互作用するよう構成することができる。セッション後に係脱可能カー
トリッジ104は他の係脱可能カートリッジ104と交換することができる。他の実施形
態において、ベース機器102は、セッション毎に1つより多い係脱可能カートリッジ1
04と相互作用するよう構成する。本明細書に使用する用語「セッション」は、試料調製
及び/又は生物試料解析プロトコールのうち少なくとも1つを実施することを含む。試料
調製としては、生物試料における1種類以上の成分を分離、単離、変更及び/又は増幅し
て、調製した生物試料が解析に適合できるようにすることが挙げられる。幾つかの実施形
態において、セッションとしては、多数の制御下での反応を行う連続的行為があり、この
連続行為は、(a) 指定回数の反応が行われるまで、(b) 指定回数の事象が行われるまで、
(c) システムの指定期間が経過するまで、(d) 信号対ノイズ比が指定閾値まで低下するま
で、(e) 標的成分が同定されるまで、(f) システム障害若しくはシステム異常が検出され
るまで、及び/又は(g) 反応を行わせる1つ以上の反応源が枯渇するまで継続する。代案
として、セッションとしては、或る期間(例えば、数分、数時間、数日、数週間)にわた
りシステム行為を停止させ、またその後(a)~(g)のうち少なくとも1つが生ずるまでセッ
ションを完遂する。
【0022】
分析プロトコールは、指定反応を行わせる、指定反応を検出する、及び/又は指定反応
を解析するという一連の操作シーケンスを含むことができる。総合的に、係脱可能カート
リッジ104及びベース機器102は、異なる操作を実行するのに必要なコンポーネント
を有する。分析プロトコールの操作としては、流体操作、熱制御操作、検出操作、及び/
又は機械的操作があり得る。流体操作としては、システム100に流れる流体(例えば、
液体又はガス)のフローを制御することがあり、この制御は、ベース機器102及び/又
は係脱可能カートリッジ104によって作動させる。例えば、流体操作としては、生物試
料又は反応成分を反応チャンバ内に流入させるフローを誘導するポンプを制御することが
あり得る。熱制御操作としては、システム100における指定部分の温度を制御すること
があり得る。例えば、熱制御操作としては、生物試料を含む液体を保存するポリメラーゼ
連鎖反応(PCR)ゾーンの温度を上昇又は低下させることがあり得る。検出操作として
は、生物試料の所定特性、品質若しくは特徴を検出する検出器の作動を制御する、又はそ
の活動をモニタリングすることがあり得る。一つの実施例において、検出操作としては、
生物試料を含む指定領域の画像を撮像し、指定領域からの蛍光発光を検出することがあり
得る。検出操作としては、生物試料に照射する光源を制御する、又は生物試料を観測する
検出器を制御することがあり得る。機械的操作としては、係脱可能カートリッジ104に
おける可動バルブに作用的に係合する、ベース機器102のバルブ制御コンポーネントを
移動させるモータを制御することがあり得る。幾つかの事例において、異なる操作の組合
せを同時に行うことができる。例えば、ポンプが反応チャンバに流れる流体フローを制御
するとき、検出器が反応チャンバの画像を撮像する。幾つかの事例において、異なる生物
試料に対する異なる操作を同時に行うことができる。例えば、第1生物試料に増殖(例え
ば、PCR)を行わせるとともに、第2生物試料に検出を受けさせることができる。
【0023】
同様又は同一の流体素子(例えば、チャンネル、通口、リザーバ等)に異なる名前付け
をし、流体素子の見分けが容易にできるようにする。例えば、通口は、リザーバ通口、サ
プライ通口、ネットワーク通口、フィード通口等と称することができる。異なる名前付け
をした2つ以上の流体素子(例えば、リザーバチャンネル、試料チャンネル、フローチャ
ンネル、ブリッジチャンネル)は、流体素子が構造上異なるものである必要はない。さら
に、特許請求の範囲は、請求項において、このような流体素子の区別が容易につくようこ
のような名前を追加して補正することができる。
【0024】
本明細書に使用する用語「液体」は、比較的圧縮不能である物質であり、またこの物質
を保持する容器又はチャンネルの形状に追従及び適合する能力を有する物質である。液体
は、水をベースとし、また液体を互いに保持する表面張力を示す極性分子を含むものとす
ることができる。さらに、液体は、オイルをベースとする又は水性ではない物質で見られ
るような、無極性分子を含むものとすることができる。本明細書における液体への言及は
、2種類以上の液体の組合せから形成される液体も含むと理解されたい。例えば、個別の
試薬溶液は、指定反応を行わせるため後に組み合わせることができる。
【0025】
係脱可能カートリッジ104は、ベース機器102に離脱可能に係合する、又は係脱可
能に結合するよう構成する。本明細書に使用する用語「離脱可能に係合(した)」又は「
係脱可能に結合(した)」(等々)は、係脱可能カートリッジとベース機器との間の関係
性を記述するのに使用するとき、この用語の意図は、係脱可能カートリッジとベース機器
との間の連結(接続)がベース機器を破壊することなく容易に切り離すことを意味するも
のである。したがって、係脱可能カートリッジは、ベース機器に対して電気的に離脱可能
に係合し、ベース機器の電気的接点が破壊されることのないようにすることができる。係
脱可能カートリッジは、ベース機器に対して機械的に離脱可能に係合し、係脱可能カート
リッジを保持するベース機器の形体を破壊することのないようにすることができる。係脱
可能カートリッジは、ベース機器に対して流体的に離脱可能に係合し、ベース機器の通口
がされることのないようにすることができる。ベース機器は、例えば、コンポーネントに
対する簡単な調整(例えば、再整列化)又は簡単な交換(例えば、ノズル交換)を必要と
する場合、「破壊した」と見なされない。コンポーネント(例えば、係脱可能カートリッ
ジ104及びベース機器102)は、互いに離脱させるとき、コンポーネントが不当な労
力なしに又はコンポーネントを分離するのに費やされる長い時間がかかることなく、容易
に離脱可能とすることができる。幾つかの実施形態において、係脱可能カートリッジ10
4及びベース機器102は、係脱可能カートリッジ104又はベース機器102のいずれ
かを破壊することなく、容易に離脱させることができる。
【0026】
幾つかの実施形態において、係脱可能カートリッジ104はベース機器102とのセッ
ション中に永久的な変更を受ける又は部分的に損傷し得る。例えば、液体を保留する容器
は、液体をシステム100に流入させることができるよう穿刺するフォイルカバーを有す
る。このような実施形態において、フォイルカバーは損傷し、これにより損傷した容器を
他の容器に交換する必要がある。特定の実施形態において、係脱可能カートリッジ104
は交換し、また随意的に1回使用後に廃棄できるよう、使い捨て可能カートリッジとする
。
【0027】
他の実施形態において、係脱可能カートリッジ104は、ベース機器102に係合した
まま1回よりも多いセッションに使用する、及び/又はベース機器102から取り外し、
試薬を再充填し、またベース機器102に再係合させて、追加の指定反応を行わせるよう
にすることができる。したがって、係脱可能カートリッジ104は、幾つかの場合におい
て、同一係脱可能カートリッジ104を異なる消耗品(例えば、反応成分及び生物試料)
を使用できるよう改造することができる。改造は、カートリッジを顧客施設に配置したベ
ース機器から取り外した後に、製造施設で行うことができる。
【0028】
図1に示すように、係脱可能カートリッジ104は、流体(例えば、液体又はガス)を
保持及び導く流体ネットワーク106を有する。流体ネットワーク106は、流体を保存
できる及び/又は流体を流すことができるよう相互連結した複数個の流体素子を有する。
流体素子の非限定的な例としては、チャンネル、チャンネルの通口、キャビティ、保存モ
ジュール、保存モジュールのリザーバ、反応チャンバ、廃棄リザーバ、検出チャンバ、反
応及び検出用の多目的チャンバ、等々がある。流体素子は指定の仕方で互いに流体的に接
続し、システム100が試料を調製する及び/又は解析できるようにする。
【0029】
本明細書で使用する用語「流体的に接続した」(又は類似用語)は、2つの空間的領域
を互いに接続して、液体又はガスが2つの空間的領域間で導かれるようにすることに言及
する。いくつかの場合では、流体接続は、流体を2つの空間的領域間で行き来するよう導
くのを可能にする。他の場合では、流体接続は一方向のものとし、2つの空間的領域間の
フローが一方向のみとする。例えば、分析リザーバをチャンネルに流体的に接続し、液体
が分析リザーバからチャンネル内に移送できるようにする。しかし、幾つかの実施形態に
おいて、チャンネル内の流体を分析リザーバに逆流できないようにする。特定実施形態に
おいて、流体ネットワーク106は、生物試料を受容し、また生物試料を試料調製及び/
又は試料解析に導くよう構成する。流体ネットワーク106は、生物試料及び他の反応成
分を廃棄リザーバに導くことができる。
【0030】
1つ又は複数の実施形態は、生物試料(例えば、鋳型核酸)を解析する指定場所で保持
する。本明細書で使用する用語「保持した」は、生物試料について使用するとき、生物試
料を表面に実質的に付着させる、又は生物試料を指定空間内に閉じ込めることを含む。本
明細書で使用する用語「固定化」は、生物試料について使用するとき、実質的に生物試料
を固形支持体内又は固形支持体上の表面に付着させることを含む。固定化は、分子レベル
の生物試料を表面に付着することを含み得る。例えば、生物試料は、非共有相互作用(例
えば、静電力、ファン・デル・ワールス力、及び疎水性界面の脱水)を含めた吸着技術、
並びに官能基又はリンカーが生物試料を表面に付着させるのを促進する共有結合技術を用
いて、基板表面に対して固定化することができる。生物試料の基板表面に対する固定化は
、基板表面の特性、生物試料を担持する液体状の媒体、及び生物試料自体の特性に基づく
。幾つかの場合において、基板表面は、生物試料の基板表面に対する固定化を促進するよ
う機能化する(例えば、化学的又は物理的に変更する)ことができる。基板表面は、先ず
表面に結合する官能基を有するよう変更することができる。次に、この官能基が生物試料
に結合し、官能基における生物試料を固定化する。幾つかの場合において、生物試料は、
米国特許出願公開第2011/0059865号及び同第2014/0079923号(
これら各特許文献は、参照によって本明細書に組み入れられるものとする)に記載のよう
なゲルにより表面に対して固定化することができる。
【0031】
幾つかの実施形態において、核酸を表面に対して固定化し、またブリッジ増幅を用いて
増幅することができる。有用なブリッジ増幅方法は、例えば、米国特許第5,641,6
58号、国際公開第07/010251号、米国特許第6,090,592号、米国特許
出願公開第2002/0055100号、米国特許第7,115,400号、米国特許出
願公開第2004/0096853号、同第2004/0002090号、同第2007
/0128624号、同第2008/0009420号に記載されており、これら各特許
文献は、参照によって本明細書に組み入れられるものとする。表面上における核酸を増幅
する他の有用な方法は、例えば、以下に詳細に説明する方法を用いる、ローリング・サー
クル増幅(RCA:rolling circle amplification)である。幾つかの実施形態において
、核酸は、表面に付着させ、また1つ以上のプライマー対を用いて増幅することができる
。例えば、一方のプライマーを溶液内に存在させ、また他方のプライマーを表面上で固定
化することができる(例えば、5’-付着)。例えば、核酸分子は、表面上における一方の
プライマーに対する雑種を生じ、これに続いて固定化したプライマーの延伸を生じ、核酸
の第1複製を産生する。この後、溶液内のプライマーは核酸の第1複製に対する雑種を生
じ、核酸の第1複製を鋳型として使用して延伸することができる。随意的に、核酸の第1
複製を産生した後、原核酸分子を表面上に固定化した第2プライマーに対して雑種を生じ
、溶液におけるプライマーが延伸するのと同時又は後に、延伸することができる。いかな
る実施形態においても、固定化したプライマー及び溶液内プライマーを用いる延伸(増幅
)の反復ラウンドにより、核酸の複数の複製を生ずる。幾つかの実施形態において、生物
試料は、生物試料の増幅(例えば、PCR)中に使用するよう構成された所定空間内に反
応成分とともに閉じ込めることができる。
【0032】
本明細書に記載する1つ又は複数の実施形態は、増幅プロトコールである、又は増幅プ
ロトコールを含む分析プロトコールを実行するよう構成することができる。増幅プロトコ
ール中、リザーバ又はチャンネル内の生物試料の温度を変化させて、生物試料(例えば、
生物試料のDNA)を増幅できるようにする。例えば、生物試料は、(1) 約75秒間にわ
たる約95℃の予加熱段階、(2) 約15秒間にわたる約95℃の変性段階、(3) 約45秒
間にわたる約59℃のアニーリング延伸段階、(4) 約60秒間にわたる約72℃の温度保
持段階を受けさせる。実施形態は複数回の増幅サイクルを実行することができる。上述の
サイクルは1つの特定実施形態についてのみ記載したものであり、また代替的実施形態は
増幅プロトコールに対する変更もあり得ることに留意されたい。
【0033】
本明細書に記載の方法及びシステムは、特徴を有する配列を様々な密度のうち任意の密
度にして使用することができ、これら密度としては、例えば、少なくとも約10特徴/c
m2、100特徴/cm2、500特徴/cm2、1,000特徴/cm2、5,000
特徴/cm2、10,000特徴/cm2、50,000特徴/cm2、100,000
特徴/cm2、1,000,000特徴/cm2、5,000,000特徴/cm2、又
はそれ以上がある。本明細書に記載の方法及びシステムは、これら例示的密度のうち1つ
又は複数での個別特徴を少なくとも十分に解像する解像度を有する検出コンポーネント又
はデバイスを設けることができる。
【0034】
図示の実施形態において、係脱可能カートリッジ104は、複数個のハウジング側面1
11~114があるカートリッジハウジング110を有する。ハウジング側面111~1
14には、非合体側面111~113及び合体側面114がある。合体側面114はベー
ス機器102に係合するよう構成する。図示の実施形態において、カートリッジハウジン
グ110はほぼ単一構造体を形成する。代替的実施形態において、カートリッジハウジン
グ110は、システム100のユーザーが組み付ける1つ又は複数のサブコンポーネント
によって構成することができる。サブコンポーネントは、係脱可能カートリッジ104を
離脱可能にベース機器102に係合させる前に、又は1つのサブコンポーネントを離脱可
能にベース機器102に係合させた後に組み付けることができる。例えば、保存モジュー
ル150を第1サブハウジング(図示せず)によって保持し、また係脱可能カートリッジ
104の残りの部分(例えば、流体ネットワーク及び撮像デバイス)を第2サブハウジン
グ(図示せず)に設けることができる。第1及び第2のサブハウジングを組み合わせてカ
ートリッジハウジング110を形成することができる。
【0035】
流体ネットワーク106は、カートリッジハウジング110によって保持し、また非合
体側面112に開口する複数個の試料通口(ポート)116を有する。代替的実施形態に
おいて、試料通口116は、非合体側面111若しくは113に沿って配置する、又は合
体側面114に沿って配置することができる。各試料通口116は、生物試料を受容する
よう構成する。単なる例として、生物試料は全血又は唾液とすることができる。幾つかの
実施形態において、生物試料は、核酸及びPCRを行うための他の材料(例えば、試薬、
緩衝液等)とすることができる。3個の試料通口116を
図1に示したが、実施形態によ
っては、1個のみの試料通口、2個の試料通口、又は3個より多い個数の試料通口を設け
ることができる。
【0036】
流体ネットワーク106は、さらに、合体側面114に開口し、またカートリッジハウ
ジング110の外部に露出する流体接続通口118を有する。流体接続通口118は、ベ
ース機器102のシステムポンプ119に流体的に接続するよう構成する。流体接続通口
118は、流体ネットワーク106の一部であるポンプチャンネル133と流体連通する
。システム100の動作中、システムポンプ119は、流体をポンプチャンネル133及
び流体ネットワーク106の残りの部分を経由させるフローを誘導する負圧を生ずるよう
構成する。例えば、システムポンプ119は、生物試料を試料通口116から試料調製領
域132に流入させるフローを誘導し、この試料調製領域132において、生物試料をそ
の後の解析のために調製することができる。システムポンプ119は、生物試料を試料調
製領域132から反応チャンバ126に流入させるフローを誘導し、この反応チャンバ1
26において検出操作を行って、生物試料のデータ(例えば、撮像データ)を取得する。
システムポンプ119は、さらに、流体を保存モジュール150のリザーバ151,15
2から反応チャンバ126に流入させるフローを誘導することができる。検出操作を行っ
た後、システムポンプ119は、流体を廃棄リザーバ128に流入させるフローを誘導す
る。
【0037】
流体ネットワーク106の他に、係脱可能カートリッジ104は、ベース機器102が
制御し得る1つ以上の機械的インタフェース117を有することができる。例えば、係脱
可能カートリッジ104は、流体ネットワーク106に作用的に接続される複数個のフロ
ー制御バルブ121~123を設けたバルブアセンブリ120を有する。各フロー制御バ
ルブ121~123は、ベース機器102が制御し得る機械的インタフェース117を代
表することができる。例えば、フロー制御バルブ121~123は、システムポンプ11
9の選択的な作動と関連してベース機器102によって選択的の動作又は制御し、流体ネ
ットワーク106内の流体のフローを制御することができる。
【0038】
例えば、図示の実施形態において、流体ネットワーク106は、試料通口116の直ぐ
下流に流体連通する試料チャンネル131を有する。
図1には単に1個の試料チャンネル
131を示したが、代替的実施形態においては複数の試料チャンネルを設けることができ
る。試料チャンネル131は、試料調製領域132を有することができる。バルブアセン
ブリ120は、1対のチャンネルバルブ121,122を有し、これらチャンネルバルブ
121,122は、フロー制御バルブと称することもできる。チャンネルバルブ121,
122は、ベース機器102によって選択的に作動し、流体の試料チャンネル131を経
由するフローを阻止又はブロックできるようにする。特定実施形態において、チャンネル
バルブ121,122は、試料チャンネル131の試料調製領域132内の液体用指定容
積を保持するシールを形成するよう作動する。試料調製領域132内の指定容積に生物試
料を含むことができる。
【0039】
バルブアセンブリ120は、さらに可動バルブ123を有することができる。可動バル
ブ123は、対応する通口間に延在する少なくとも1個のフローチャンネル140を設け
ることができる弁本体138を有する。弁本体138は、通口を流体ネットワーク106
の対応する通口に整列させる異なる位置間で移動することができる。例えば、可動バルブ
123の位置は、反応チャンバ126内に流入する流体タイプを決定することができる。
第1位置において、可動バルブ123は、試料チャンネル131の対応する通口に整列し
て、生物試料を反応チャンバ126に供給することができる。第2位置において、可動バ
ルブ123は、保存モジュール150のリザーバ151,152にそれぞれ流体連通する
1個又は複数個の対応するリザーバチャンネル161,162に整列する。各リザーバ1
51,152は、指定反応を行うのに使用される反応成分を保存するよう構成する。リザ
ーバチャンネル161,162は、それぞれリザーバ151,152の下流で流体連通す
るよう配置する。幾つかの実施形態において、可動バルブ123は、異なる位置に個別に
移動して、リザーバチャンネルの対応する通行と整列することができる。
【0040】
図示の実施形態において、可動バルブ123は、軸線142の周りに回転するよう構成
した回転バルブ(又は回転可能バルブ)とする。可動バルブ123は回転バルブ216(
図2に示す)に類似のものとすることができる。しかし、代替的実施形態は異なる位置に
回転しない可動バルブを有することができる。このような実施形態において、可動バルブ
は対応する通口に整列するよう1つ又は複数の直線方向に摺動し得るものとする。本明細
書に記載の回転バルブ及び直線移動バルブは、2013年3月15日出願の国際出願第P
CT/US2013/032309号に記載の装置に類似するものとすることができる。
【0041】
幾つかの実施形態において、生物試料をベース機器102の光源158によって照射す
る。代案として、光源158は係脱可能カートリッジ104に組み込むことができる。例
えば、生物試料は、適合する波長を有する光によって励起するとき発光する1種類又は複
数の蛍光色素分子を含むことができる。図示の実施形態において、係脱可能カートリッジ
104は光路154を有する。この光路154は、ベース機器102の光源158からの
照射光156が反応チャンバ126内の生物試料に入射できるよう構成する。したがって
、反応チャンバは1個又は複数個の透明側面又は窓を有することができる。光路154は
1個又は複数個の光学的素子、例えばレンズ、リフレクタ、光ファイバライン等を有する
ことができ、照射光156を反応チャンバに能動的に指向させる。例示的実施形態におい
て、光源158は発光ダイオード(LED)とすることができる。しかし、代替的実施形
態において、光源158は別タイプの発光デバイス、例えば、レーザー又はランプとする
ことができる。
【0042】
幾つかの実施形態において、検出アセンブリ108は、撮像検出器109及び反応チャ
ンバ126を含む。撮像検出器109は、反応チャンバ126内の指定反応を検出するよ
う構成する。幾つかの実施形態において、この撮像検出器109は、反応チャンバ126
からの光信号(例えば、吸光度、反射/屈折、又は発光度)を検出するよう反応チャンバ
126に対して相対位置決めする。撮像検出器109は、電荷結合素子(CCD)カメラ
又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像装置のような撮像デバイスを1個又は複数
個有することができる。幾つかの実施形態において、撮像検出器109は、化学発光から
発生した光信号を検出することができる。さらに他の実施形態において、検出アセンブリ
108は撮像用途に限定しないものとすることができる。例えば、検出アセンブリ108
は、液体の電気的特性を検出する1個又は複数個の電極とすることができる。
【0043】
上述したように、ベース機器102は、係脱可能カートリッジ104に作用的に係合し
、また係脱可能カートリッジ104内の種々の動作を制御して、生物試料の指定反応を行
わせる及び/又は生物試料のデータを取得できるよう構成する。この目的のため、合体側
面114は、ベース機器102が係脱可能カートリッジ104の1つ又は複数のコンポー
ネントにおける動作の制御を可能にするよう構成する。例えば、合体側面114には、バ
ルブ121~123をベース機器102が制御できるようにする複数個のアクセス開口1
71~173を設けることができる。合体側面114には、さらに、ベース機器102の
熱サイクラー(例えば、熱ブロック又は熱伝達ブロック)を収容するよう構成したアクセ
ス開口174を設けることができる。図示の実施形態において、熱サイクラー186は熱
ブロックとする。アクセス開口174は試料チャンネル131に沿って延在する。図示の
ように、アクセス開口171~174は合体側面114に開口する。
【0044】
幾つかの実施形態において、流体ネットワーク106及びバルブアセンブリ123はフ
ロー制御システム164を構成することができる。このフロー制御システム164は、シ
ステム100、より具体的には、係脱可能カートリッジ104における1つ又は複数の流
体のフローを制御し、1つ又は複数の指定動作を実行できるようにするコンポーネントを
含むことができる。このフロー制御システム164は、他の実施形態において、システム
ポンプ119のような追加コンポーネントを含むことができる。フロー制御システム16
4は、フロー制御システム200(
図2に示す)と類似又は同一のものとすることができ
る。
【0045】
ベース機器102は、係脱可能カートリッジ104の合体側面114に離脱可能に係合
するよう構成した制御側面198を有する。係脱可能カートリッジ104の合体側面11
4及びベース機器102の制御側面198は、集合的にシステムインタフェース195を
画定する。システムインタフェース195は、係脱可能カートリッジ104とベース機器
102との間の共通境界面を代表し、この共通境界面を通じてベース機器102及び係脱
可能カートリッジ104が動作可能に係合する。より具体的には、ベース機器102及び
係脱可能カートリッジ104は、システムインタフェース195に沿って動作可能に係合
して、ベース機器102が係脱可能カートリッジ104の種々の特徴形体を合体側面11
4経由で制御することができる。例えば、ベース機器102は、係脱可能カートリッジ1
04の対応するコンポーネントを制御する1個又は複数個の制御可能コンポーネントを有
することができる。
【0046】
幾つかの実施形態において、ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104は動作
可能に係合し、システムインタフェース195で確立される、電気的接続部、熱的接続部
、光学的接続部、バルブ連結部、又は流体接続部のうち少なくとも1つにより、システム
インタフェース195において、ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104が互
いに固定される。図示の実施形態において、ベース機器102及び係脱可能カートリッジ
104は、電気的接続部、熱的接続部、バルブ連結部、及び光学的接続部を有する構成と
する。より具体的には、ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104は、データ及
び/又は電力を電気的接続部経由で送受することができる。ベース機器102及び係脱可
能カートリッジ104は、熱的接続部経由で熱エネルギーを相互に送受することができ、
またベース機器102及び係脱可能カートリッジ104は、光学的接続部経由で光信号(
例えば、照射光)を送受することができる。
【0047】
図示の実施形態において、システムインタフェース195は、片面インタフェース19
5とする。例えば、制御側面198及びハウジング側面114はほぼ平面状にし、互いに
逆向きにして対面させる。システムインタフェース195は、係脱可能カートリッジ10
4及びベース機器102は合体側面114及び制御側面198経由のみで互いに動作可能
に接続するよう片面インタフェースとする。代替的実施形態において、システムインタフ
ェースは複数側面インタフェースとすることができる。例えば、係脱可能カートリッジの
少なくとも2,3、4、又は5つの側面はベース機器と連結するよう構成した合体側面と
することができる。これら複数側面は、平面状とし、また互いに直交する又は互いに対向
する(例えば、直方体容積のすべて又は一部を包囲する)よう配列されるものとすること
ができる。
【0048】
係脱可能カートリッジ104の動作を制御するため、ベース機器102は、フロー制御
バルブ121~123に動作可能に係合するよう構成したバルブアクチュエータ181~
183と、試料調製領域132に対して熱エネルギーを供給及び/又は除去するよう構成
した熱サイクラー186と、及び電気接点の接点アレイ188とを有することができる。
ベース機器102は、さらに、制御側面198に沿って位置決めした光源158を有する
ことができる。ベース機器102は、さらに、制御側面198に沿って位置決めした制御
通口199を有するシステムポンプ119を有することができる。
【0049】
システム100は、さらに、ロック機構176を有することができる。図示の実施形態
において、ロック機構176は、係脱可能カートリッジ104のラッチ係合素子178に
係合するよう構成した回転可能なラッチ177を有する。代案として、係脱可能カートリ
ッジ104が回転可能なラッチ177を有し、またベース機器102がラッチ係合素子1
78を有することができる。係脱可能カートリッジ104をベース機器102に取り付け
るとき、ラッチ177は回転し、またラッチ係合素子178に係合することができる。ロ
ック機構176が生ずるカム作用が係脱可能カートリッジ104をベース機器102に向
けて押圧又は駆動して係脱可能カートリッジ104をベース機器102に固定することが
できる。
【0050】
ベース機器102は、指定分析プロトコールを行うためのユーザー入力を受け取るよう
構成した及び/又は分析に関してユーザーに情報を通信するよう構成したユーザー・イン
タフェース125を有することができる。ユーザー・インタフェース125は、ベース機
器102に組み込むことができる。例えば、ユーザー・インタフェース125は、ベース
機器102のハウジングに取り付けたタッチパネルであって、またユーザーからのタッチ
及びタッチパネルに表示される情報に対するタッチ場所を識別するよう構成した、該タッ
チパネルを有することができる。代案として、ユーザー・インタフェース125は、ベー
ス機器102に対して離れた位置に配置することができる。
【0051】
ベース機器102は、さらに、バルブアクチュエータ181~183、熱サイクラー1
86、接点アレイ188、光源158、又はシステムポンプ119のうち少なくとも1つ
の動作を制御するよう構成したシステムコントローラを有することができる。システムコ
ントローラ180は回路モジュールの集合体として概念的に示すが、専用ハードウェア回
路板、DSP、プロセッサ等の任意な組合せを利用して実装することができる。代案とし
て、システムコントローラ180は、単一プロセッサ又はプロセッサ間に分散させた機能
操作の多重プロセッサを有する市販PCを利用して実装することができる。他の選択肢と
して、以下に記載の回路モジュールをハイブリッド構成の利用により実装することができ
、このハイブリッド構成の場合、若干のモジュール機能は専用ハードウェアを利用して実
施するとともに、残りのモジュール機能は市販PC等を利用して実施することができる。
【0052】
システムコントローラ180は、ベース機器102及び/又は係脱可能カートリッジ1
04の特定コンポーネントの動作を制御するよう構成された複数個の回路モジュール19
0~193を有することができる。例えば、回路モジュール190は、流体ネットワーク
106における流体のフローを制御するよう構成したフロー制御モジュール190とする
ことができる。このフロー制御モジュール190は、バルブアクチュエータ181~18
3及びシステムポンプ119に動作可能に接続することができる。フロー制御モジュール
190は、バルブアクチュエータ181~183及びシステムポンプ119を選択的に作
動させ、1つ又は複数の経路における流体のフローを誘導し、及び/又は1つ又は複数の
経路における流体のフローを阻止することができる。
【0053】
単に例として、バルブアクチュエータ183は可動バルブ123に回転可能に係合する
ことができる。バルブアクチュエータ183は、バルブアクチュエータ183を駆動(例
えば、回転)するよう構成した回転モータ189を有することができる。フロー制御モジ
ュール190はバルブアクチュエータ183を作動させて、可動バルブ123を第1回転
位置に移動することができる。可動バルブ123が第1回転位置にある状態で、フロー制
御モジュール190はシステムポンプ119を作動させ、これにより生物試料を試料調製
領域132から反応チャンバ126に引き込むことができる。次に、フロー制御モジュー
ル190はバルブアクチュエータ183を作動させて、可動バルブ123を第2回転位置
に移動する。可動バルブ123が第2回転位置にある状態で、フロー制御モジュール19
0はシステムポンプ119を作動させ、これにより1種類又は複数種類の反応成分を対応
するリザーバから反応チャンバ126に引き込むことができる。幾つかの実施形態におい
て、システムポンプ119は正圧を供給するよう構成し、これにより流体を逆方向に能動
的にポンプ送給できるようにする。このような動作を使用して、複数種類の液体を共通リ
ザーバに追加流入させ、リザーバ内でこれら流体を混合できるようにする。したがって、
流体接続通口118は、流体(例えば、ガス)をカートリッジハウジング110から排出
させたり、又は流体をカートリッジハウジング110内に受容したりすることができる。
【0054】
システムコントローラ180は、さらに、熱制御モジュール191を有することができ
る。熱制御モジュール191は熱サイクラー186を制御して、試料調製領域132に対
して熱エネルギーを供給及び/又は除去できるようにする。1つの特別な実施例において
、熱サイクラー186は、試料チャンネル131内の生物試料がPCRプロトコールにし
たがって受ける温度を上昇及び/又は低下することができる。図示しないが、システム1
00は、試料調製領域132に隣接する位置に追加の熱デバイスを設けることができる。
【0055】
システムコントローラ180は、さらに、生物試料に関するデータを取得する検出アセ
ンブリ108を制御するよう構成した検出モジュール192を有することができる。検出
モジュール192は、接点アレイ188により検出アセンブリ108の動作を制御するこ
とができる。例えば、検出アセンブリ108は、合体側面114に沿う電気接点196の
接点アレイ194に通信可能に係合することができる。幾つかの実施形態において、電気
接点196は可撓接点(例えば、ポゴ接点又は接点ビーム)とし、合体側面114に対し
て出入りする再位置決めができるようにする。電気接点196は、カートリッジハウジン
グの外部に露出し、また検出アセンブリ108に電気的に接続する。電気接点196は、
入/出力(I/O)接点と称することができる。ベース機器102及び係脱可能カートリ
ッジ104が動作可能に係合するとき、検出モジュール192は検出アセンブリ108を
制御して、所定時点で又は所定期間にわたりデータを取得できるようにする。例えば、検
出モジュール192は検出アセンブリ108を制御して、生物試料がそれに付着する蛍光
色素分子を有するとき、反応チャンバ126の画像を撮像できるようにする。多数の画像
を取得することができる。
【0056】
随意的に、システムコントローラ180は、少なくとも部分的結果をシステム100の
ユーザーに提供するデータを解析するよう構成した解析モジュール193を有する。例え
ば、解析モジュール193は、撮像検出器109によって得られた画像データを解析する
ことができる。解析は、生物試料の核酸シークエンスを同定することができる。
【0057】
システムコントローラ180及び/又は回路モジュール190~193は、1個又は複
数個のマイクロコントローラ、プロセッサ、縮小命令セット・コンピューター(RISC
)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ
(FPGA)、論理回路、本明細書に記載した機能を実行できる任意な他の回路を含む、
1つ又は複数の論理ベースのデバイスを設けることができる。例示的実施形態において、
システムコントローラ180及び/又は回路モジュール190~193は内部に記憶した
命令セットを実行して、1つ又は複数の分析プロトコールを実施する。記憶素子は、ベー
ス機器102及び/又は係脱可能カートリッジ104内の情報源又は物理的メモリ素子の
形態とすることができる。分析システム100が実施するプロトコールは、例えば、DN
A若しくはRNAの定量解析、タンパク質解析、DNAシークエンシング(例えば、シー
クエンシング・バイ・シンセシス(SBS))、試料調製、及び/又はシークエンシングの断
片ライブラリ準備を実行することができる。
【0058】
命令セットは、システム100に命令する様々なコマンドを含み、本明細書に記載の種
々の実施形態の方法及びプロセスのような特別な操作を実施することができる。命令セッ
トはソフトウェアプログラムの形態とすることができる。本明細書で使用する用語「ソフ
トウェア」及び「ファームウェア」は、互換的に使用され、またコンピュータが実行する
ためのメモリ、例えば、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROM
メモリ、及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリに記憶させた任意のコンピュータプロ
グラムがある。上述のメモリタイプは、単に例示的なものであり、コンピュータプログラ
ムの記憶用に使用可能なメモリタイプに限定されない。
【0059】
ソフトウェアは、システム・ソフトウェア又はアプリケーション・ソフトウェアのよう
な様々な形態とすることができる。さらに、ソフトウェアは、大規模プログラムにおける
個別プログラム若しくはプログラムモジュールの集合体としての形態、又はプログラムモ
ジュールの一部としての形態があり得る。さらに、ソフトウェアは、オブジェクト指向プ
ログラミングの形態でプログラミングするモジュールを含むことができる。検出データを
取得した後、検出データは、システム100が自動的に処理する、ユーザー入力に応答し
て処理する、又は他の処理装置が発するリクエスト(例えば、通信リンク経由の遠隔リク
エスト)に応答して処理することができる。
【0060】
システムコントローラ180は、通信リンク経由でシステム100の他のコンポーネン
ト又はサブシステムに接続することができ、この通信リンクは、有線又は無線とすること
ができる。システムコントローラ180は、さらに、オフサイトシステム又はサーバーに
通信可能に接続することができる。システムコントローラ180は、ユーザー・インタフ
ェース(図示せず)からユーザー入力又はコマンドを受け取ることができる。ユーザー・
インタフェースとしては、キーボード、マウス、タッチ画面パネル、及び/又は音声認識
システム等があり得る。
【0061】
システムコントローラ180は、ソフトウェア命令の記憶、解釈及び/又は実行、並び
にシステム100の全体動作の制御のような処理能力を提供するのに供することができる
。システムコントローラ180は、種々のコンポーネントのデータ及び/又は電力状況を
制御するよう構成する、及びプログラムすることができる。システムコントローラ180
は
図1に単一構造体として示すが、システムコントローラ180は、システム100にわ
たり異なる場所に分散する複数の個別コンポーネント(例えば、プロセッサ)を有するこ
とができる。幾つかの実施形態において、1個又は複数個のコンポーネントをベース機器
に内蔵することができ、また1個又は複数個のコンポーネントをベース機器に対して遠隔
位置に配置することができる。
【0062】
図2は、本発明の実施形態により形成したフロー制御システム200の平面図である。
このフロー制御システム200は、システム100(
図1に示す)のような、試料調製及
び/又は試料解析を行うシステム(図示せず)の一部とすることができる。幾つかの実施
形態において、フロー制御システム200は、係脱可能カートリッジ104(
図1参照)
のような統合装置内に全体的に位置する。しかし、他の実施形態において、フロー制御シ
ステム200は標準システム(例えば、デスクトップシステム)の一部とすることができ
る。
図2において、フロー制御システム200のコンポーネントは、局所的エリア内に配
置する。他の実施形態において、フロー制御システム200のコンポーネントは互いに離
間させ、また異なるエリアに分散させることができる。
【0063】
図示の実施形態において、フロー制御システム200は、内部に流れる1種類又は複数
種類の流体(ガス又は液体)を有するよう構成した流体ネットワーク202を含む。流体
ネットワーク202は、相互接続した流体素子の構成体を有する。流体素子は、流体ネッ
トワーク202内の指定領域に流体を導くよう構成することができ、この指定領域におい
て、例えば、流体は所定条件に晒される及び/又は指定反応を受けることができる。流体
素子は、1個又は複数個のバルブによって選択的に相互接続され、これにより1個又は複
数個の流体素子を、動作中に1個又は複数個の他の流体素子に対して接続分離できるよう
にする。
【0064】
図示の実施形態において、流体ネットワーク202は、試料通口204A~204Dと
、及び試料通口204A~204Dとそれぞれ流体連通する試料チャンネル206A~2
06Dとを有する。試料チャンネル206A~206Dは、対応の試料通口204A~2
04Dから共通の合流部又は交接部209に延在する。流体ネットワーク202は、さら
に、合流部209からサプライ通口210(
図9に示す)まで延在する統合した試料チャ
ンネル208を有する。回転バルブ216をサプライ通口210上に配置する。
【0065】
流体ネットワーク202は、さらに、フィード通口226(
図9に示す)と、及びこの
フィード通口226から延在するフィードチャネル224とを有する。フィードチャネル
224は、フィード通口226と流体ネットワーク202におけるフローセル320との
間に延在する。フローセル320は、流入通口322、流出通口324、及びこれら通口
322,324間に延在する反応チャンバ326を有する。動作中、流体は、フィードチ
ャネル224から流入通口322を経由して流れ、また流出通口324経由で反応チャン
バ326から流出することができる。反応チャンバ326から流出した後、流体は、流体
ネットワーク202の廃棄リザーバ330に流れることができる。廃棄リザーバ330は
図2で小さいボックスで代表して示すが、廃棄リザーバ330の容積は、例えば、リザー
バ240~244よりも大きいものにすることができると理解されたい。
【0066】
流体は反応チャンバ326を流れるとともに、流体は反応チャンバ326内の既存の物
質(例えば、検体)と反応し合うことができる。指定反応は反応チャンバ326内で検出
することができる。例えば、検出アセンブリ(図示せず)は反応チャンバ326に隣接し
て位置決めし、また反応チャンバ326から光信号を検出することができる。
【0067】
図示の実施形態において、試料通口204A~204Dは、マイクロ流体制御構体21
2の外部に露出するよう、マイクロ流体制御構体212の構体側面又は表面214に開口
する。試料チャンネル206A~206D及び統合した試料チャンネル208はマイクロ
流体制御構体212に貫通する(例えば、マイクロ流体制御構体内部に存在する)。サプ
ライ通口210は、構体側面214に開口する。代案として、サプライ通口210は、マ
イクロ流体制御構体212の下側面(図示せず)又は側方側面に開口することができる。
したがって、試料チャンネル206A~206Dは、サプライ通口210のような単一通
口に流体連通する。代替的実施形態において、試料チャンネル206A~206Dは、構
体側面214に開口する個別のサプライ通口に流体連通することができる。このような代
替的実施形態において、各試料チャンネルは、対応の試料通口と対応のサプライ通口との
間に延在することができる。
【0068】
図示の実施形態において、流体ネットワーク202は、さらに、複数個のリザーバチャ
ンネル220を有する。各リザーバチャンネル220は、リザーバ通口222(
図10に
示す)とリザーバ240との間に流体的に介在させる。リザーバ通口222は構体側面2
14に開口する。サプライ通口210と同様に、リザーバ通口222は、回転バルブ21
6によってカバーすることができる。随意的に、流体ネットワーク202は、共通試料チ
ャンネル208とリザーバ230との間に流体的に介在させたリザーバチャンネル228
を有することができる。
【0069】
図示の実施形態において、フロー制御システム200はマイクロ流体制御構体212を
有する。マイクロ流体制御構体212は、流体ネットワーク202の流体素子を画定する
物理的構体とすることができる。例えば、マイクロ流体制御構体212は積層したPCB
層を有し、これらのPCB層において、1つ又は複数の層は、流体ネットワーク202の
1つ又は複数のチャンネル(例えば、試料チャンネル206A~206D、共通試料チャ
ンネル208、リザーバチャンネル220,228及びフィードチャネル224)、並び
に1個又は複数個の通口(例えば、試料通口204A~204D、リザーバ通口222、
サプライ通口210及びフィード通口226)をエッチング又は整形する。フローセル3
20は、マイクロ流体制御構体212に固定することができる。このようなマイクロ流体
制御構体は、米国仮出願第62/003,264号及び同第61/951,462号に図
示及び記載されている。これら各米国仮出願は、参照により全体が本明細書に組み入れら
れるものとする。PCB層に代えて又は付加して、他の材料、例えば、ガラス又はプラス
チックを使用することができる。代替的実施形態において、マイクロ流体制御構体212
は、集合的に複数の構体コンポーネントから形成することができる。幾つかの場合におい
て、流体ネットワーク202は少なくとも部分的に管材によって形成することができる。
【0070】
回転バルブ216は、軸線299周りに異なるバルブ位置に回転して、流体ネットワー
ク202の異なるチャンネルを流体的に接続するよう構成する。回転バルブ216は、構
体側面214に摺動可能に連結することができ、また構体側面214に開口する多数の通
口、例えば、リザーバ通口222、サプライ通口210、及びフィード通口226をカバ
ーするよう位置決めすることができる。回転バルブ216は、離散した個別チャンネルを
流体的に接続するよう構成した少なくとも1個のフローチャンネル218(
図9に示す)
を有する。例えば、回転バルブ216が第1バルブ位置にあるとき、フローチャンネル2
18は試料チャンネル208をフィードチャネル224に流体的に接続することができる
。回転バルブ216が第2回転位置にあるとき、フローチャンネル218は1個のチャン
ネル又はリザーバチャンネル220をフィードチャネル224の流体的に接続することが
できる。
【0071】
試料通口204A~204Dそれぞれは、対応の生物試料を受容するよう構成する。例
えば、例えば、検査技師又は研究所職員のようなフロー制御システム200のユーザーは
、生物試料を1個又は複数個の試料通口204A~204D内に装填する(ピペット注入
)することができる。生物試料は、同一個体(例えば、人間)のものとする、又は集団か
らの多数の異なる個体からのものとすることができる。生物試料は、当然のことながら、
動物、植物、細菌、又は真菌のような他の種からのものとすることができる。図示の実施
形態において、試料通口204A~204Dは、フロー制御システム200の外側からア
クセスできるよう構成する。代替的実施形態において、試料通口204A~204Dは、
より大規模な流体ネットワークの一部とすることができ、これにより生物試料を大規模流
体ネットワーク経由で試料通口204A~204D内に送給する。
【0072】
図2に示すように、試料チャンネル206A~206Dのそれぞれは、試料調製領域2
32を有することができる。図示の実施形態において、試料チャンネル206A~206
Dは、対応の試料調製領域232に沿って対応の波状又は蛇行経路を有する。波状又は蛇
行経路は、より多くの量の生物試料が温度制御エリア234内に存在できるようにする。
代替的実施形態において、試料調製領域232は対応の試料チャンネルの他の部分とは異
なる寸法を有することができる。例えば、試料調製領域232は、広いチャンバ又は増大
した深さを有するウェルを形成することができる。
【0073】
試料調製領域232において、生物試料は、その後の反応及び/又は解析のために試料
調製の処理を受けることができる。例えば、生物試料は、圧力及び/又は温度の変化を受
けることができる。代替的又は付加的に、生物試料は、試料調製領域232内で1種類又
は複数種類の反応成分と混合することができる。幾つかの実施形態において、フロー制御
システム200は、試料チャンネル206A~206Dの試料調製領域232に隣接する
温度制御エリア234に沿って延在する温度制御ストリップ又はバンド236(破線で示
す)を有することができる。幾つかの実施形態において、温度制御ストリップ236は、
米国仮出願第61/951,462号(参照によって全体が本明細書に組み入れられる)
に記載の可撓性PCBヒータのような、可撓性PCBヒータとすることができる。可撓性
PCBヒータは、温度制御エリア234に沿って延在させ、また電流を通電するとき発熱
する導電性配線を有することができる。
【0074】
熱制御ストリップ236は、熱制御エリア234に沿う対応の試料チャンネル206A
~206D内の生物試料の温度を制御するよう構成する。温度は、増幅プロトコール中に
制御され、生物試料が所定スケジュールに従って温度上昇/低下を受けて生物試料を増幅
できるようにする。このような実施形態において、生物試料を試薬の増幅(例えば、PC
R)ミックスとともに試料通口204A~204Dに装填することができる。代案として
、この増幅ミックスは、別個に流体ネットワーク202経由で試料調製領域232に送給
することができる。例えば、試料調製領域232は、増幅ミックスを送給できる他のチャ
ンネル(図示せず)に流体連通することができる。
【0075】
幾つかの実施形態において、フロー制御システム200は、保存アセンブリ又はモジュ
ール238を有する。図示のように、保存アセンブリ238は、複数個のリザーバ240
~244を有する。各リザーバ240~244は、所定分析プロトコール(例えば、SB
Sプロトコール)中に使用し得る反応成分を保有するよう構成する。各リザーバ240~
244はリザーバチャンネル220のうち1つに対応する通口に流体連通することができ
る。本明細書に記載のように、回転バルブ216は、所定スケジュールに従って異なるバ
ルブ位置に回転するよう構成し、フィードチャネル224を流体ネットワーク202の別
チャンネルに流体的に接続する。
【0076】
幾つかの実施形態において、フロー制御システム200は、さらに、チャンネルバルブ
246,248を有することができる。図示のように、試料チャンネル206A~206
Dそれぞれは、1対のチャンネルバルブ246,248に接続する。各試料チャンネル2
06A~206Dの対応する試料調製領域232は、対応する対におけるチャンネルバル
ブ246,248間に延在する。チャンネルバルブ246,248の各対は、生物試料が
異なる条件に晒されるとき試料調製領域232内の対応する生物試料を封止するよう構成
する。例えば、チャンネルバルブ246,248は、生物試料がPCRプロトコールの熱
サイクリングに晒されるとき、対応の生物試料をチャンネルバルブ246,248間に封
止することができる。
【0077】
流体ネットワーク202全体にわたりフローを誘導するため、フロー制御システム20
0はポンプアセンブリ332を有する。図示の実施形態において、フロー制御システム2
00は、反応チャンバ326の下流に配置し、流体ネットワーク202に流体を吸引する
単一ポンプのみを有する。代替的実施形態において、1個又は複数個のポンプを使用して
、流体ネットワーク202に流体を圧送することができる。例えば、1個又は複数個のポ
ンプをリザーバ240~243及び/又はリザーバ244に対する上流に流体的に配置す
ることができる。試料通口204A~204Dは、さらに、生物試料の試料チャンネル2
08に向かうフローを誘導する上流ポンプに流体的に接続することができる。
【0078】
図3~8は、フロー制御システム200(
図2参照)が流体ネットワーク(
図2参照)
におけるフローを制御(例えば、調節)できる異なるバルブ調節機構を示す。より具体的
には、
図3及び4は、チャンネルバルブ246を有するバルブ調節機構250の断面を示
す。以下はチャンネルバルブ246についての説明であるが、チャンネルバルブ248(
図2参照)及び他のバルブも同様又は同一の特徴を有することができる。図示のように、
マイクロ流体制御構体212は互いに並置積層させた複数個の層252~254を有する
。層252~254はプリント回路板(PCB)層とすることができる。1つ又は複数の
層252~254はエッチングし、このエッチングは、層252~254を互いに並置積
層させるとき、マイクロ流体制御構体212が試料チャンネル206を形成するように行
う。試料チャンネル206はバルブ又は内部キャビティ256を有する。
【0079】
チャンネルバルブ246は、試料チャンネル206における流体のフローを調節するよ
う構成する。例えば、チャンネルバルブ246は、流体が阻害されることなしに流動でき
る最大クリアランスを可能にする。チャンネルバルブ246は通過する流体のフローを阻
害することもできる。本明細書に使用する用語「阻害する」は、流体フローを緩慢にする
こと又は流体フローを完全に遮断することを含む。図示のように、試料チャンネル206
は、バルブキャビティ256に流体連通する第1通口258及び第2通口260を有する
。試料チャンネルは、流体を第1通口258経由でバルブキャビティ256内に流入させ
、また第2通口260経由でバルブキャビティ256から流出させるよう構成する。図示
の実施形態において、チャンネルバルブ246は、第1状態と第2状態との間で撓むこと
ができる可撓性薄膜を構成する。可撓性薄膜は、
図3で第1状態にあり、また
図4で第2
状態にある。特別な実施形態において、可撓性薄膜は可撓層とする。可撓層は、バルブキ
ャビティ256内に押し込んで第1通口258をカバーして、第1通口における流体のフ
ローをブロックするよう構成する。代替的実施形態において、チャンネルバルブ246は
、異なる状態又は位置間で移動して流体のフローを調節できる他の物理的素子とすること
ができる。
【0080】
フロー制御システム200(
図2参照)は、さらに、チャンネルバルブ246を作動さ
せる構成としたバルブアクチュエータ262を有することができる。例えば、バルブアク
チュエータ262は可撓性薄膜を第1状態と第2状態との間で撓ませることができる。バ
ルブアクチュエータ262は、アクセス孔又は開口266に貫通する支柱又はロッドのよ
うな細長本体264をする。アクセス孔266は、バルブアクチュエータ262が、図示
の実施形態では可撓性薄膜であるチャンネルバルブ246に直接係合できるようにする。
図6において、バルブアクチュエータ262は第2状態又は第2位置にある。この第2位
置において、バルブアクチュエータ262はチャンネルバルブ246に係合し、第1通口
258に向かって或る距離移動している。バルブアクチュエータ262はチャンネルバル
ブ246を変形し、これによりチャンネルバルブ246は第1通口258をカバーする。
このようにして、第1通口258経由の流体フローはチャンネルバルブ246によってブ
ロックされる。
【0081】
図5及び6は、チャンネルバルブ272を有するバルブ調節機構270の断面を示す。
幾つかの実施形態において、チャンネルバルブ246(
図2参照)をチャンネルバルブ2
72に置き換えることができる。バルブ調節機構270はバルブ調節機構250と同様の
ものとすることができる。例えば、バルブ調節機構はチャンネルバルブ272及びバルブ
アクチュエータ274を有する。バルブアクチュエータ274はノズルのような細長本体
276を有し、この細長本体276をアクセス孔又は開口278内に突入させる。アクセ
ス孔278は閉鎖又は封止したチャンバを構成することができる。例示的実施形態におい
て、可撓性薄膜とすることができるチャンネルバルブ272をバルブアクチュエータ27
4によって空気圧的に作動する。より具体的には、バルブアクチュエータ274は、流体
(例えば、空気)を供給して閉鎖チャンバ内の圧力を増加し、これによりチャンネルバル
ブ272を変形させる。チャンネルバルブ272が変形したとき、チャンネルバルブは試
料チャンネル279の通口277をカバーし、これにより試料チャンネル279における
フローをブロックすることができる。
【0082】
図7及び8は、チャンネルバルブ282を有するバルブ調節機構280を示す。バルブ
調節機構280は、バルブ調節機構250(
図3参照)及びバルブ調節機構270(
図5
参照)と同様の特徴を有することができる。チャンネルバルブ282はバルブアクチュエ
ータ284に回転可能に係合する。チャンネルバルブ282は、第1回転位置(
図7に示
す)にあるとき試料チャンネル286におけるフローを可能にし、また第2回転位置(図
8に示す)にあるとき試料チャンネル286におけるフローをブロックできる形状の平面
状本体とする。より具体的には、チャンネルバルブ282は第2回転位置にあるとき通口
288をカバーすることができる。
【0083】
図9は、バルブアクチュエータ290に動作可能に係合する回転バルブ216の断面を
示す。回転バルブ216は、マイクロ流体制御構体212の構体側面214に摺動可能に
係合する。バルブアクチュエータ290は、回転バルブ216を軸線99周りに指定バル
ブ位置(又は回転位置)に回転して、流体ネットワーク202(
図1参照)の異なるチャ
ンネルを流体的に接続するよう構成する。回転バルブ216は、流体制御側面294及び
操作側面296を有する弁本体292を有する。操作側面296は、バルブアクチュエー
タ290に係合するよう構成した機械的インタフェース(接合部分)298を有すること
ができる。図示の実施形態において、機械的インタフェース298は、軸線299に一致
する平面状本体又はフィンを有する。バルブアクチュエータ290は機械的インタフェー
ス298を収容する構成とした溝孔300を有し、これによりバルブアクチュエータ29
0は回転バルブ216に動作可能に係合する。より具体的には、バルブアクチュエータ2
90が回転バルブ216に係合し、バルブアクチュエータ290が回転バルブ216を軸
線299周りに回転させることができる。
【0084】
構体側面214は、サプライ通口210及びフィード通口226を有する。構体側面2
14は、さらに、リザーバ通口222A~222E(
図10に示す)を有する。フローチ
ャンネル218は、第1チャンネル通口306と第2チャンネル通口308との間に延在
する。第1及び第2のチャンネル通口306,308は弁本体292の流体制御側面29
4に開口する。例示的実施形態において、回転バルブ216は、2個のみのチャンネル通
口306,308と、1個のみのフローチャンネル218を有する。しかし、他の実施形
態において、回転バルブ216は2個より多いチャンネル通口及び/又は1個より多いフ
ローチャンネルを有することができる。このような実施形態によれば、回転バルブ216
の単一回転位置で2個より多いチャンネルを流体的に接続することができる。
【0085】
図9に示すように、フィード通口226はチャンネル通口308に整列して流体的に接
続され、またサプライ通口210はチャンネル通口306に整列して流体的に接続される
。回転バルブ216の回転位置に基づいて、チャンネル通口306は、さらに、リザーバ
通口222A~222Eのうち1つに流体的に接続することができる。上述したように、
回転バルブ216は軸線299周りに回転するよう構成する。幾つかの実施形態において
、フィード通口226及びチャンネル通口308は軸線299に整列するよう位置決めす
る。より具体的には、軸線299は、フィード通口226及びチャンネル通口308のそ
れぞれを貫通する。
【0086】
バルブアクチュエータ290が回転バルブ216に動作可能に係合するときには、バル
ブアクチュエータ290が構体側面214に向かう方向にアクチュエータ力310を加え
ることができる。このような実施形態において、アクチュエータ力310は、チャンネル
通口306,308間のフローチャンネル218を封止し、またリザーバ通口222及び
/又はサプライ通口210を封止するのに十分なものとなり得る。
【0087】
したがって、回転バルブ216は、第1回転位置において、フィード通口226及びサ
プライ通口210を流体的に接続し、また第2回転位置において、フィード通口226及
び対応のリザーバ通口222を流体的に接続する。回転バルブ216が異なる回転位置間
で回転するとき、回転バルブ216は、流体ネットワークの流路を効果的に変化する。
【0088】
流体はフローチャンネル218をいずれかの方向に流動することができる。例えば、シ
ステムポンプ119(
図1参照)のようなシステムポンプ(図示せず)はフィード通口2
26に流体連通することができる。システムポンプは吸引力を発生し、流体をサプライ通
口210経由でフローチャンネル218内に引き込み、またフィード通口226を通過さ
せる。代案として、システムポンプは流体をフローチャンネル218内に変位させる正圧
を供給することができ、これにより、流体をフィード通口226経由でフローチャンネル
218内に流入させ、またサプライ通口210(又は対応のリザーバ通口222)を通過
させることができる。
【0089】
図10は、構体側面214を上から見下ろした図であり、サプライ通口210、フィー
ド通口226、及びリザーバ通口222A~222Eを示す。
図10において、フローチ
ャンネル218は、2つの回転位置を代表して示すが、フローチャンネル218は他の回
転位置をとることができることを理解されたい。フローチャンネル218の回転位置は、
回転バルブ216(
図2参照)のバルブ位置に相関する。リザーバ通口222A~222
Eは、対応のリザーバチャンネルにより対応のリザーバに流体的に接続される。例えば、
リザーバ通口222Aはリザーバ243に流体的に接続され、リザーバ通口222Aはリ
ザーバ243に流体的に接続され、リザーバ通口222Bはリザーバ242に流体的に接
続され、リザーバ通口222Cはリザーバ241に流体的に接続され、リザーバ通口22
2Dはリザーバ240に流体的に接続され、またリザーバ通口222Eはリザーバ244
に流体的に接続される。上述したように、回転バルブ216(
図2参照)の回転位置に基
づいて、フローチャンネル218は、フィード通口226をサプライ通口210に、又は
対応のリザーバ通口222A~222Eのうち1つに流体的に接続することができる。
【0090】
表1は、シークエンシング・バイ・シンセシス(SBS)プロトコールの種々の段階を
示す。例示的実施形態において、リザーバ244は水素化緩衝液を含み、リザーバ243
はヌクレオチド溶液を含み、リザーバ242は洗浄溶液を含み、またリザーバ241は開
裂溶液を含む。表1はSBSプロトコールのスケジュールを提示するが、所望分析プロト
コールに基づいて様々なスケジュールを設けることができることを理解されたい。以下の
実施例において、生物試料はPCRプロトコールに従って対応の試料調製領域232(図
2参照)内で増幅されている。
【0091】
段階1において、フローチャンネル218は、サプライ通口210及びフィード通口2
26を流体的に接続するバルブ位置を有する。段階1において、試料チャンネル206A
に接続したチャンネルバルブ246,248(
図2参照)を不作動状態(例えば、第1状
態)にし、第1生物試料が試料チャンネル206A及び試料チャンネル208に流れるこ
とを可能にする。しかし、試料チャンネル206B~206Dに接続したチャンネルバル
ブ246,248は作動状態にして、第2、第3、及び第4の生物試料を対応する試料調
製領域232内に封止する。したがって、段階1において、ポンプアセンブリ332(図
2参照)は、第1生物試料のフローをフローチャンネル218に誘導することができる。
段階2において、第1生物試料をフローチャンネル218内に保存したまま、回転バルブ
216を第2バルブ位置に回転し、これによりフローチャンネル218はリザーバ通口2
22E及びフィード通口226を流体的に接続する。この第2バルブ位置において、ポン
プアセンブリ332は、フローチャンネル218内の流体のフローを誘導し、第1生物試
料をリザーバ通口222E経由で水素化緩衝液内に流入させる。
【0092】
段階3において回転バルブ216を回転して第1バルブ位置に戻し、またチャンネルバ
ルブ246,248を選択的に作動して、第3及び第4の生物試料を試料調製領域232
内に封止したまま第2生物試料をフローチャンネル218内に流入できるようにする。第
4段階で、第2生物試料をフローチャンネル218内に保存したまま回転バルブ216を
回転して第2バルブ位置に戻し、第2生物試料を、第1生物試料を含む水素化緩衝液に添
加する。段階5~8中に第3及び第4の生物試料を対応の試料調製領域から取り出して、
水素化緩衝液に添加する。したがって、第4生物試料は、水素化緩衝液を有する単一リザ
ーバ内に保存することができる。リザーバ244内に存在する間に、生物試料及び水素化
緩衝液で、SBSシークエンシング用に生物試料を調整する反応を生ずる。
【0093】
段階9において、ポンプアセンブリ332は、統合した生物試料/水素化緩衝液を、リ
ザーバ通口222E、フローチャンネル218、フィード通口226を経由して反応チャ
ンバ326(
図2参照)内に引き込む。生物試料は、反応チャンバを画定する表面に固定
化することができる。例えば、生物試料を含むクラスターを形成することができる。段階
10~13は、シークエンシング・サイクルを表す。段階10において、回転バルブ21
6を第3バルブ位置にし、ヌクレオチド溶液をフローチャンネル218経由で反応チャン
バ内に引き込むことができる。この時点で、ヌクレオチドが対応の生物試料(例えば、鋳
型核酸にアニーリングされたプライマー)に組み込まれる。段階11において回転バルブ
216を第4バルブ位置にし、洗浄溶液を反応チャンバに通過させ、ヌクレオチド溶液を
伴って反応チャンバから流出させることができる。段階11において、反応チャンバを撮
像検出器、例えば検出デバイス404(
図11参照)によって画像化する。クラスターか
ら発せられた光の色を使用して、クラスターが組み込んだ塩基を同定することができる。
段階12において、回転バルブ216を第4バルブ位置にし、開裂溶液を反応チャンバに
流し、また蛍光色素分子(及び、もし存在するならば、可逆的ターミネーター部分)をク
ラスターから除去することができる。段階13において、回転バルブ216を再び第3バ
ルブ位置にし、洗浄溶液を反応チャンバに流して、開裂溶液を除去することができる。段
階10~13は、シークエンシングが完了するまで、及び/又は試薬が枯渇するまで繰り
返すことができる。
【0094】
【0095】
図11は、検出アセンブリ400の一部の断面を示す。図示の実施形態において、検出
アセンブリ400は、フローセル320に一体的に形成する。より具体的には、検出アセ
ンブリは、フローセル320及び反応チャンバ326に隣接して位置決めした検出デバイ
ス404を有する。フローセル320は検出デバイス404に取り付けることができる。
図示の実施形態において、フローセル320は1つ又は複数の固定メカニズム(例えば、
接着剤、ボンド、固定具等々)により検出デバイス404に直接付着する。幾つかの実施
形態において、フローセル320は、検出デバイス404に取外し可能に連結することが
できる。特定実施形態において、検出デバイス404は、反応チャンバ326からの光信
号を検出するよう構成する。したがって、検出デバイス404は、幾つかの実施形態にお
いて、撮像検出器を称することができる。
【0096】
図示の実施形態において、検出デバイス404はデバイス基部425を有する。特定実
施形態において、デバイス基部425は、複数の積層レイヤ(例えば、シリコン層、誘電
体層、金属-誘電体層等)を有する。デバイス基部425は、光センサ440のセンサア
レイ424、光ガイド462のガイドアレイ426、及び対応する反応部位414を有す
る反応窪み408の反応アレイ428を有することができる。若干の実施形態において、
コンポーネントは、各光センサ440が単一の光ガイド462及び単一の反応部位414
に整列するよう配列する。しかし、他の実施形態において、単一の光センサ440が、1
個より多い光ガイド462からの、及び/又は1つより多い反応部位414からの光子を
受け取ることができる。本明細書で使用する単一光センサは、1個のピクセル又は1個よ
り多いピクセルを有することができる。検出デバイス404は、相補型金属酸化膜半導体
(CMOS)技術を用いて製造することができる。特定実施形態において、検出デバイス
404は、CMOS撮像検出器とする。
【0097】
用語「アレイ」又は「サブアレイ」は、必ずしも検出デバイスを有する所定タイプの各
アイテム及びすべてのアイテムを含まなくてもよい。例えば、センサアレイ424は、検
出デバイス404に各光センサ及びすべての光センサを含まないものとすることができる
。その代わり、検出デバイス404は、他の光センサ(例えば、光センサの別アレイ)を
含むことができる。他の実施例として、ガイドアレイ426は、検出デバイスの各光ガイ
ド及びすべての光ガイドを含まないものとすることができる。その代わり、光ガイド46
2とは異なる構成の他の光ガイド、又は検出デバイス404の他の素子と異なる関係性を
有する他の光ガイドとすることができる。このようにして、他に明示しない限り、用語「
アレイ」は、このような検出デバイスのアイテムをすべて含む又は含まないものとするこ
とができる。
【0098】
図示の実施形態において、フローセル320は、側壁406と、並びに側壁406及び
他の側壁(図示せず)によって支持されるフローカバー410とを有する。側壁は、検出
器表面412に連結し、またフローカバー410と検出器表面412との間に延在する。
幾つかの実施形態において、側壁は、フローカバー410を検出デバイス404に結合す
る硬化可能接着剤層から形成する。
【0099】
フローセル320は、反応チャンバ326がフローカバー410と検出デバイス404
との間に存在するサイズ及び形状にする。図示のように、反応チャンバ326は高さH
1
を有することができる。単に例として、高さH
1は、約50~400μm(ミクロン)の
間、とくに約80~200μm(ミクロン)の間とすることができる。図示の実施形態に
おいて、高さH
1は約100μmとする。フローカバー410は、検出アセンブリ400
の外部から反応チャンバ326内に伝播する励起光を透過する材料を含むことができる。
図7に示すように、励起光401は直角でない角度でフローカバー410に入射する。し
かし、これは単に説明目的のためだけのものであり、励起光は異なる角度でフローカバー
410に入射することができる。反応チャンバ326は、検出器表面412に沿って流体
を導くことができるサイズ及び形状にする。反応チャンバ326の高さH
1及び他の寸法
は、検出器表面412に沿う流体のほぼ均一なフローを維持するよう構成することができ
る。反応チャンバ326の寸法は、さらに、バブル形成を抑制するよう構成する。
【0100】
側壁406及びフローカバー410は、互いに連結する個別コンポーネントとすること
ができる。他の実施形態において、側壁406及びフローカバー410は、材料の連続ピ
ースから形成されるよう一体形成することができる。例えば、フローカバー410(又は
フローセル320)は、ガラス又はプラスチックのような透明材料を有することができる
。フローカバー410は、反応チャンバ326を画定する平面状外面及び平面状内面を有
する、ほぼ直方体ブロックを構成することができる。このブロックを側壁406に取り付
けることができる。代案として、フローセル320をエッチングして、フローカバー41
0及び側壁406を画定する。例えば、窪みを透明材料にエッチングすることができる。
エッチングした材料を検出デバイス404に取り付けるとき、窪みは反応チャンバ326
となり得る。
【0101】
検出デバイス404は、官能化する(例えば、指定反応を行うため適正な方法で化学的
又は物理的に修飾する)ことができる検出器表面412を有する。例えば、検出器表面4
12は、官能化し、また固定化した1種類又は複数種類の生体分子を有する複数の反応部
位414を有することができる。検出器表面412は、反応窪み又は片面開放反応窪み4
08のアレイを有する。各反応窪み408は、1つ又は複数の反応部位414を有する。
反応窪み408は、例えば、検出器表面412に沿う凹み又は深さ変化によって画定する
ことができる。他の実施形態において、検出器表面412はほぼ平面状にすることができ
る。
【0102】
図11に示すように反応部位414は、検出器表面412に沿ってパターン化して分布
させることができる。例えば、反応部位414は、マイクロアレイに類似するように検出
器表面412に沿う行列として配置することができる。しかし、反応部位の様々なパター
ンを使用できると理解されたい。反応部位は、光信号を発生する生物学的物質又は化学物
質を含むことができる。例えば、反応部位における生物学的物質又は化学物質は、励起光
401に応答して発光することができる。特別な実施形態において、反応部位414は、
検出器表面412に固定化した生体分子(例えば、核酸)のクラスター又はコロニーを有
する。
【0103】
図12は方法470のフローチャートである。この方法は、生物試料を調製するステッ
プ及び/又は解析用に生物試料の指定反応を検出するステップを有することができる。方
法470は、例えば、本明細書に記載の実施形態(例えば、システム及び/又は方法)の
構造又は態様を採用することができる。様々な実施形態において、若干のステップを同時
に実施する、若干のステップを一斉に実施する、若干のステップを複数ステップに分割す
る、若干のステップを異なる順序で実施する、又は若干のステップ若しくは一連のステッ
プを反復して再実施することができる。
【0104】
方法470は、フロー制御システム200(
図2参照)と類似又は同一のフロー制御シ
ステムを用いて実施又は実行することができる。方法470は、回転バルブを第1バルブ
位置に回転するステップを有する。回転バルブは少なくとも1個のフローチャンネルを有
する。第1バルブ位置において、このフローチャンネルは、試料チャンネル(又はフロー
制御システムの他のリザーバ)に、また反応チャンバに流体連通し、フローチャンネルは
、試料チャンネル及び反応チャンバを流体的に接続することができる。例えば、回転バル
ブは第1チャンネル通口及び第2チャンネル通口を有することができる。第1チャンネル
通口は、通口(例えば、サプライ通口又はリザーバ通口)に整列し、また第2チャンネル
通口はフィード通口に整列することができる。回転バルブが第1バルブ位置にあるとき、
他の通口は回転バルブによって封止され、流体は他の通口に流れるのをブロックすること
ができる。
【0105】
方法470は、さらに、回転バルブが第1バルブ位置にあるとき生物試料を試料チャン
ネル(又は第1リザーバ)からフローチャンネルに流入させるステップ(474)を有す
る。例えば、生物試料はサプライ通口経由で回転バルブのフローチャンネルに流入するこ
とができる。他の実施例として、生物試料は、リザーバ、例えば水素化緩衝液を収容する
リザーバ内に配置することができる。生物試料(水素化緩衝液とともに)リザーバ通口経
由でフローチャンネルに流入することができる。
【0106】
随意的に、生物試料を反応チャンバ内に流入させ続けることができる(ステップ476
)。代案として、方法470は、生物試料がフローチャンネル内に配置された状態のまま
回転バルブを第2バルブ位置に回転するステップ(478)を有する。第2バルブ位置に
おいて、フローチャンネルは、他のリザーバ、例えば水素化緩衝液を収容するリザーバに
流体的に接続することができる。ステップ480において、フローチャンネル内の生物試
料がリザーバ内に流入するフローを誘導することができる(例えば、ポンプアセンブリに
よって)。方法470は、所望生物試料のそれぞれが共通リザーバ内に配置されるまで、
ステップ472,474,478、及び480を繰り返す。ステップ482において、水
素化緩衝液を伴う生物試料を同時にフローチャンネル経由で反応チャンバ内に進入させる
ことができる。
【0107】
したがって、1つ又は複数の生物試料が反応チャンバ内に回転バルブを利用して反応チ
ャンバに導くことができる。代替的実施形態において、生物試料(又は複数の生物試料)
は反応チャンバへの直接チャネルを有し、回転バルブを流れることがないものとすること
ができる。随意的に、方法470は、指定反応を行わせるため、表1につき説明した操作
のような指定操作の繰り返しを開始することができる。例えば、回転バルブは他のバルブ
位置に回転し(ステップ484)、反応チャンバを指定リザーバに流体的に接続すること
ができる。ステップ486において、反応成分は反応チャンバに流入し、生物試料と相互
作用することができる。随意的に、ステップ488において、方法470は、反応チャン
バ内における指定反応を検出する。方法470は、次にステップ484に復帰する。
【0108】
図13は、マイクロ流体制御構体504の構体側面502に回転可能に取り付ける、本
発明の実施形態による回転バルブ500の平面図である。この回転バルブ500は、回転
バルブ216(
図2参照)と類似する特徴を有することができる。マイクロ流体制御構体
504は、反応成分及び/又は生物試料を保持するよう構成した複数個のリザーバ506
~510を有する。より具体的には、リザーバ506~509は、それぞれ第1、第2、
第3、及び第4の生物試料(又は試料液体)を保持する。リザーバ510は水素化緩衝液
を有する。リザーバ506~510のそれぞれは、
図13に直線で示す対応するリザーバ
チャンネル516~520により対応する通口に流体的に接続する。図示のように、これ
ら通口は、構体側面502に開口し、またリザーバ506~510に流体連通するサプラ
イ通口526~530を含む。マイクロ流体制御構体504は、さらに、構体側面502
に開口するフィード通口524(
図13に示す)を有する。
【0109】
回転バルブ500は、構体側面502に係合する流体制御側面513及び反対側の操作
側面514を有する弁本体512を備える。この弁本体512は、第1、第2、第3、及
び第4のフローチャンネル536~539を有する。各フローチャンネル536~539
は、増幅又はPCRプロトコール中に生物試料を保持するよう構成する。各フローチャン
ネル536~539は、中心に位置する共通チャンネル通口(又は流出通口)544を有
する。他の実施形態において、フローチャンネル536~539は同一のチャンネル通口
を共有しないものとする。共通チャンネル通口544は、軸線542を有し、この軸線5
42の周りに回転バルブ500が回転する。フローチャンネル536~539は、第1チ
ャンネル通口(又は流入通口)546~549を有する。したがって、各フローチャンネ
ル536~539は、対応する第1チャンネル通口546~549から共通チャンネル通
口544まで延在する。回転バルブ216(
図2参照)と同様に、回転バルブ500は、
異なるバルブ位置に回転してリザーバ及びチャンネルを流体的に接続するよう構成する。
しかし、回転バルブ500とは異なり、回転バルブ500は増幅プロトコール中に使用す
る。より具体的には、弁本体512は、生物試料をフローチャンネル536~539内に
保持したまま、熱サイクラー570(
図14参照)に係合することができる。
【0110】
幾つかの実施形態において、フローチャンネル536~539は、非拡散セグメント5
45を有することができる。この非拡散セグメント545は、フローチャンネル536~
539内の生物試料がPCRプロトコールを受けるときに生ずる拡散の可能性を減少する
よう構成する。例えば、
図13に示すフローチャンネル536~539は、非線形経路を
有し、また経路に沿って変化する寸法を有する。より具体的には、フローチャンネル53
6~539は、フローチャンネルが対応の第1チャンネル通口から共通チャンネル通口5
44に向かって延在するにつれて、行ったり来たりの巻回をする蛇行経路又は波状経路を
有する。第1チャンネル通口546~549は、半径方向外方の場所をとる。フローチャ
ンネル536~539の形状の他に、フローチャンネル536~539は、フローチャン
ネルが対応の第1チャンネル通口から共通チャンネル通口544に向かって延在するにつ
れて減少する寸法を有する。他の実施形態において、非拡散セグメント545は蛇行経路
を持たないようにすることができる。非拡散セグメント545を含まないフローチャンネ
ル536~539のセグメントは、試料調製領域543と称することができ、この試料調
製領域543は、対応のフローチャンネルにおける生物試料が温度変化のような異なる条
件に晒される部分を表すものである。しかし、少なくとも幾つかの実施形態において、生
物試料は非拡散セグメント545内にも存在し得ることを理解されたい。
【0111】
図14は、熱サイクラー570を操作側面514に取り付けるときの回転バルブ500
の垂直断面図を示す。幾つかの実施形態において、熱サイクラー570は、弁本体512
をマイクロ流体制御構体505の構体側面502に押し付ける取付け力572を付与する
ことができる。
図14には示さないが、弁本体512は、熱サイクラー570が係合する
1個又は複数個の機械的インタフェース(例えば、フィンのような非平面状形体)を有す
ることができる。この熱サイクラー570は、フローチャンネル536~539の温度を
制御するよう構成する。特定の実施形態において、熱サイクラー570は、各フローチャ
ンネル536~539の温度を同時に制御する。他の実施形態において、熱サイクラー5
70は、一度にすべてのフローチャンネルではなく、フローチャンネルに選択的に係合す
ることができる。
【0112】
図14に示すように、共通チャンネル通口544はフィード通口524に流体的に接続
する。軸線542は共通チャンネル通口544及びフィード通口524に貫通する。フロ
ーチャンネル537の第1チャンネル通口547は、リザーバ通口527に流体的に接続
する。しかし、フローチャンネル539の第1チャンネル通口549は構体側面502に
よって封止される。したがって、
図14に示すバルブ位置において、流体(例えば、生物
試料を含む流体)は、リザーバ507(
図13参照)からフローチャンネル537内に流
入する。
【0113】
図15A~15Lは、回転バルブ500の平面図であり、また異なる操作を生ずる異な
るバルブ位置を示す。増幅プロトコール用に調製するため、システムコントローラ180
(
図1参照)のようなシステムコントローラは、ポンプアセンブリ(図示せず)及び回転
バルブ500を選択的に制御するよう構成する。ポンプアセンブリは、ポンプアセンブリ
332に類似のものとし、また1つ又は複数のフローポンプを有することができる。幾つ
かの実施形態において、単一ポンプを回転バルブ500の下流に設け、また流体を共通チ
ャンネル通口544(
図15A参照)に引き込むよう構成することができる。
【0114】
随意的に、フローチャンネル536~539(
図15A参照)は、生物試料を収容する
前に、流体をプライム注入することができる。例えば、
図15A~15Dは、対応するフ
ローチャンネルの第1チャンネル通口が、リザーバ510に流体連通するリザーバ通口5
30に流体的に接続される状態を示す。したがって、各フローチャンネルの第1チャンネ
ル通口は、個別にリザーバ510に接続することができる。フローチャンネルがリザーバ
510に流体連通するとき、システムコントローラは、ポンプアセンブリを選択的に作動
させて、リザーバ510内の反応成分のフローを誘導し、反応成分を対応のフローチャン
ネルに流入させる。
【0115】
従って
図15Dの状態後、各フローチャンネル536~539は、反応成分をプライム
注入する。反応成分はリザーバ510に関連するが、他の反応成分を使用してフローチャ
ンネル536~539にプライム注入することができる。例えば、フローチャンネル53
6~539は、例えば、水又は緩衝溶液を収容する別個のリザーバ(図示せず)に流体的
に接続することができる。図示の実施形態において、各フローチャンネル536~539
は、個別にリザーバ510に接続する。代替的実施形態において、フローチャンネル53
6~539のうち1つ又は複数を、リザーバ510又は別個のリザーバに同時に接続する
ことができる。
【0116】
フローチャンネル536~539がプライム注入された後、リザーバ506~509(
図15E参照)からの生物試料をフローチャンネル536~539内に装填することがで
きる(
図15E参照)。例えば、
図15Eに示すように、フローチャンネル538を、リ
ザーバ508に流体連通するリザーバ通口528に流体的に接続する。このとき、フロー
チャンネル536,537及び539は構体側面502によってカバーされる。ポンプア
センブリはリザーバ508内の生物試料のフローを誘導し、これにより生物試料はフロー
チャンネル538内に流入する。フローの量は、リザーバ508内の流体の量に基づくも
のとすることができる。生物試料がフローチャンネル538内に装填された後、回転バル
ブ500を選択的に回転し、またポンプアセンブリを同様に選択的に作動させ、リザーバ
506,507、及び509における生物試料を、それぞれ
図15F~15Hに示すよう
に、フローチャンネル536,537、及び539内に導入させることができる。
【0117】
生物試料を各フローチャンネル536~539内に装填した状態で、回転バルブ500
を選択的に回転し、各第1チャンネル通口546~549をマイクロ流体制御構体504
の構体側面502によってカバー(又は封止)する。第1チャンネル通口546~549
が封止されるバルブ位置を
図15Iに示す。次に、熱サイクラー570(
図14参照)を
制御し、指定増幅プロトコールに従って温度変化のサイクルを開始することができる。フ
ローチャンネル536~539は、一方の端部のみを封止するが、ポンプアセンブリ及び
非拡散セグメント545は、生物試料(例えば、PCRプラグ)のフィード通口524(
図14参照)への移動及び/又は拡散に抵抗を与えることができる。
【0118】
増幅プロトコール後、生物試料を共通リザーバ内に装填することができる。例えば、図
15J~15Lに示すように、フローチャンネル536~538内の生物試料をリザーバ
510に流体的に接続することができる。ポンプアセンブリを選択的に操作して、生物試
料のリザーバ510内へのフローを誘導することができる。図示しないが、フローチャン
ネル536も流体的にリザーバ510に接続し、これによりフローチャンネル536内の
生物試料をリザーバ510内に装填することができる。したがって、リザーバ506~5
09からの各生物試料を、増幅プロトコール後に共通リザーバ510内に装填することが
できる。次に、ポンプアセンブリを選択的に作動させ、混合した生物試料のフィード通口
へのフローを誘導することができる。生物試料は、反応チャンバ、例えば、反応チャンバ
326(
図2参照)に流体的に送給することができる。この後、生物試料は、上述したよ
うに指定反応を行うことができる。特別な実施形態において、生物試料はSBSプロトコ
ール中に使用することができる。
【0119】
図16は、本発明の実施形態により形成し、マイクロ流体制御構体618の構体側面6
16に取り付ける回転バルブ600の平面図である。回転バルブ600は回転バルブ21
6(
図2参照)及び回転バルブ500(
図13参照)に類似の特徴を有することができる
。回転バルブ600は、フローチャンネル604~606を有する弁本体602を備える
。各フローチャンネル604~606は、第1チャンネル通口(又は流入通口)608と
第2チャンネル通口(又は流出通口610との間に延在する。回転バルブ500とは異な
り、フローチャンネル604~606は、共通チャンネル通口に流体連通しない。
【0120】
図示の実施形態において、各フローチャンネル604~606は、上流チャンネル61
2及び下流チャンネル614に流体連通する。
図16において、回転バルブ600は、各
フローチャンネル604~606が対応の上流チャンネル612から生物試料を受容する
バルブ位置にある。例えば、フローチャンネル604~606は、対応する生物試料を同
時に受容することができる。生物試料のフローチャンネル604~606へのフローは、
共通ポンプによって誘導することができる。例えば、下流チャンネル614は互いに合流
させ、また単一ポンプに流体的に接続することができる。代案として、個別ポンプをフロ
ーチャンネル604~606に流体的に接続することができる。
【0121】
図17は、フローチャンネル604~606それぞれの第1及び第2のチャンネル通口
608,610がマイクロ流体制御構体618の構体側面616によって封止されるバル
ブ位置に回転バルブを回転した後の回転バルブ600の平面図である。
図17に示すバル
ブ位置において、熱サイクラー(図示せず)を弁本体602に係合して、フローチャンネ
ル604~606内で受ける温度を制御する。このようにして、生物試料は上述のような
増幅プロトコールを受けることができる。
図13~15に示す実施形態とは異なり、フロ
ーチャンネル604~606は、PCRプラグが拡散及び移動する可能性を減少するため
両側の端部を封止する。
【0122】
図18は、本発明の実施形態により形成した回転バルブ620の平面図である。回転バ
ルブ620は、回転バルブ600(
図16参照)に類似又は同一のものとすることができ
、また複数個のフローチャンネル624~626を有することができる。図示のように、
回転バルブ600は、3つの温度制御エリア又はゾーン634~636に分割する。温度
制御エリア634~636は、破線で示すパイ状エリアで表す。各温度制御エリア634
~636は、1個又は複数個の熱サイクラー(図示せず)によって制御する異なる温度レ
ンジを表す。より具体的には、生物試料をフローチャンネル624~626内に装填した
後、回転バルブ620を選択的に異なる位置に回転することができる。温度制御エリア6
34内のフローチャンネルは、核酸を変性する指定温度に曝すことができる。温度制御エ
リア635内のフローチャンネルは、アニーリング延伸段階用の指定温度に曝し、また温
度制御エリア636内のフローチャンネルは、予加熱及び/又は温度保持段階用の指定温
度に曝すことができる。システムコントローラは、回転バルブ620を3つの異なるバル
ブ位置に選択的に回転して、生物試料に多重PCR増幅段階のサイクル動作をさせること
ができる。したがって、回転バルブ600フローチャンネルとは異なり、フローチャンネ
ル624~626は異なる温度に曝される。
【0123】
図19は方法650を示すフローチャートである。幾つかの実施形態において、方法6
50は、生物試料を調製するステップと、及び随意的に、解析用に生物試料の指定反応を
検出するステップとを有することができる。方法650は、例えば、上述したような種々
の実施形態(例えば、システム及び/又は方法)、例えば、
図13~18につき説明した
実施形態の構造又は態様を採用することができる。様々な実施形態において、若干のステ
ップを省略又は付加する、若干のステップを組み合わせる、若干のステップを同時に実施
する、若干のステップを一斉に実施する、若干のステップを複数ステップに分割する、若
干のステップを異なる順序で実施する、又は若干のステップ又は一連のステップを反復し
て再実施することができる。
【0124】
方法650は、マイクロ流体制御構体及び回転バルブを準備するステップ(652)を
有する。マイクロ流体制御構体は、構体側面と、リザーバ通口526~529のようなサ
プライ通口、及びフィード通口を含む流体ネットワークとを有することができる。サプラ
イ通口は構体側面に開口することができる。回転バルブは、構体側面に回転可能に取り付
けることができ、また第1チャンネル通口、第2チャンネル通口、及び第1チャンネル通
口と第2チャンネル通口との間に延在するフローチャンネルを有することができる。幾つ
かの実施形態において、多重のフローチャンネルを使用することができ、これらフローチ
ャンネルは、
図16~18の実施形態におけるように個別の第2チャンネル通口を有する
、又は
図13~15の実施形態におけるように第2チャンネル通口を共有することができ
る。第2チャンネル通口を共有する実施形態においては、第2チャンネル通口を共通チャ
ンネル通口と称することができる。
【0125】
方法650は、第1チャンネル通口がマイクロ流体制御構体のサプライ通口に流体連通
する第1バルブ位置に回転バルブを回転するステップ(654)を有する。方法650は
、さらに、回転バルブが第1バルブ位置にあるとき、生物試料を第1チャンネル通口経由
でフローチャンネル内に流入させるステップ(656)を有する。生物試料は、第1チャ
ンネル通口から第2チャンネル通口に向かう方向に流動することができる。流入ステップ
(656)は、流動の流量及び/又は持続時間を選択的に制御するステップを有し、この
制御は、生物試料が第2チャンネル通口又はフィード通口をほぼ通り過ぎることがないよ
うに行う。回転バルブ500のような複数のフローチャンネルを有する実施形態に対して
は、ステップ654及び656は、各フローチャンネルが内部に対応の生物試料を有する
ようになるまで繰り返す。しかし、各フローチャンネルの回転ステップ(654)は同一
バルブ位置においてではない。より具体的には、生物試料を対応するフローチャンネル内
に流入させるとき、他のフローチャンネルは一方又は双方の端部を封止することができる
。
【0126】
方法650は、さらに、フローチャンネル内の生物試料を伴って回転バルブを第2バル
ブ位置に回転し、第1チャンネル通口を構体側面によって封止するステップ(658)と
、フローチャンネル内における生物試料の温度を選択温度に変化させる熱サイクリング操
作を実施するステップ(660)とを有する。この実施ステップ(660)は、所定スケ
ジュールに従うものとすることができる。例えば、このスケジュールは、PCR操作を実
行してその後の解析用に生物試料を増幅できるものとする。
【0127】
随意的に、この実施ステップ(660)後に、生物試料又は複数の生物試料をリザーバ
内に装填する(ステップ662)。例えば、リザーバは、その後の解析用に生物試料を調
製する水素化緩衝溶液を有することができる。ステップ664において、生物試料(又は
組み合せた生物試料)を、その後の解析用に反応チャンバに送給する(ステップ666)
。
【0128】
図20は、マイクロ流体制御構体702及び回転バルブ704を備える、本発明の実施
形態により形成したフロー制御システム700の斜視図である。回転バルブ500(
図1
3参照)、600(
図16参照)、及び620(
図18参照)とは異なり、増幅は回転バ
ルブ704内のみでは生じない。その代わり、増幅はマイクロ流体制御構体702内で少
なくとも部分的に生ずる。より具体的には、マイクロ流体制御構体702は、第1構体側
面706(
図22に示す)及び、これとは反対方向に対面する第2構体側面708(
図2
2に示す)を有する。マイクロ流体制御構体702は流体ネットワーク705を備え、こ
の流体ネットワーク705は、複数個の試料リザーバ711~714、対応の流入通口7
31~734を有する複数個のサプライチャンネル721~724、及び共通の流出通口
736を含む。流入通口731~734及び流出通口736は、第1構体側面706に開
口する(
図22参照)。
【0129】
回転バルブ704は、第1構体側面706に沿ってマイクロ流体制御構体702に回転
可能に取り付ける。図示の実施形態において、回転バルブ704は、第1チャンネルセグ
メント726及び第2チャンネルセグメント728を有する。これら第1及び第2のチャ
ンネルセグメント726,728は、回転バルブ704の流体制御側面709に開口する
ことができる。代案として、第1及び第2のチャンネルセグメント726,728は、流
体制御側面709に開口する対応するチャンネル通口間に延在することができる。第1及
び第2のチャンネルセグメント726,728は、互いに離間し、また流体制御側面70
9の一部分に沿ってのみ延在する。例示的実施形態において、第2チャンネルセグメント
728は回転バルブ704のいずれの回転位置においても流出通口736に流体連通する
。
【0130】
図20は、試料リザーバ711がポンプアセンブリに流体連通する指定位置にある回転
バルブ704を示す。より具体的には、第1チャネルセグメント726は、流入通口73
1と試料リザーバ711との間に流体的に介在する。第2チャンネルセグメント726は
、試料リザーバ711と流出通口736との間に介在する。このようにして、サプライチ
ャンネル721は、第1チャンネルセグメント726、試料リザーバ711、及び第2チ
ャンネルセグメント728経由でフィードチャンネル756に流体連通する。
【0131】
図示しないが、フロー制御システム700は、流入通口731及び第1チャンネルセグ
メント726経由で試料リザーバ711内に流入する流体のフローを誘導するよう構成し
たポンプアセンブリを備えることができる。流体は、例えば、サプライチャンネル721
に流体連通する遠隔のリザーバ(図示せず)内に位置する生物試料を含むことができる。
流体の流動及び試料リザーバの寸法は、生物試料が第2チャンネルセグメント728を経
て試料リザーバ711からほぼ流出しないよう構成することができる。生物試料を試料リ
ザーバ711内に装填した後、回転バルブ704を選択的に回転し、第1チャンネルセグ
メント726及び第2チャンネルセグメント728が試料リザーバ712に流体的に接続
するようにする。試料リザーバ712には、サプライチャンネル722から流れる生物試
料を装填することができる。同様にして、試料リザーバ713及び714に対応する生物
試料を装填することができる。
【0132】
図21は、試料リザーバ711~714に対応する生物試料を装填した後のフロー制御
システム700の斜視図である。幾つかの実施形態において、回転バルブ704は、
図2
0に示すガスリザーバ741~744を有する。増幅プロトコール中、ガスリザーバ74
1~744は、試料リザーバ711~714に整列するよう構成する。例えば、
図22に
示すように、試料リザーバ711及びガスリザーバ741が組み合わさって試料調製チャ
ンバ751を形成うる。ガスリザーバ741内のガスは、試料調製チャンバ751内でガ
スバラストとして機能することができる。熱サイクリング後、生物試料は、出口通口73
6に流体連通するフィードチャンネル756(
図20参照)に流れる。本明細書に記載し
たように、生物試料は、反応チャンバ326(
図2参照)のような反応チャンバに導くこ
とができる。
【0133】
図23は、本発明の実施形態によって形成したシステム800の概略図である。システ
ム800は、システム100(
図1参照)に類似の特徴を有することができる。例えば、
システム800は、流体ネットワーク804を有するフロー制御システム802を備える
。流体ネットワーク804は、多数の相互接続したチャンネル、通口、リザーバ、流体フ
ローを保持又は流すよう構成した他の空間的領域を有する。例えば、流体ネットワーク8
04は、回転バルブ806,808を有する。回転バルブ806は試料調製段階中に使用
するよう構成し、回転バルブ808は試料解析段階中に使用するよう構成する。回転バル
ブ806,808は、流体ネットワーク804の中間チャンネル810によって流体的に
接続する。流体ネットワーク804は、さらに、フィードチャンネル812、反応チャン
バ814、及び廃棄リザーバ816を有する。フロー制御システム802は、流体ネット
ワーク804に流体連通するポンプアセンブリ818を有する。図示の実施形態において
、ポンプアセンブリ818は単一ポンプを有するが、他の実施形態において複数のポンプ
を有することができる。システム800は、構体側面819を有するマイクロ流体制御構
体(図示せず)を備えることができる。回転バルブ806,808は構体側面819に回
転可能に取り付ける。マイクロ流体制御構体は、さらに、中間チャンネル810及びフィ
ードチャンネル812を有する又は画定することができる。
【0134】
流体ネットワーク804は、さらに、複数個の分析チャンネル821~824及び複数
個の試料リザーバ831~834を有する。各分析チャンネル821~824は、対応す
る第1通口826と第2通口828との間に延在し、また対応する試料リザーバを中間チ
ャンネル810に流体的に接続する。図示のように、分析チャンネル821~824は熱
制御エリア825を貫通する。図示の実施形態において、分析チャンネル821~824
は熱制御エリア825を通る波状経路を有する。分析チャンネル821~824の熱制御
エリア825を貫通する部分は、試料調製領域827を構成することができる。非線形経
路に代わって又は付加的に、分析チャンネル821~824は、対応する生物試料の指定
量を保持する異なる寸法にすることができる。
【0135】
回転バルブ806は、複数のバルブ位置間で移動するよう構成する。回転バルブ806
は、ブリッジチャンネル840と、及びフローチャンネル842とを有する。ブリッジチ
ャンネル840及びフローチャンネル842は、試料リザーバ831~834のうち1つ
を中間チャンネル810に流体的に接続するよう構成する。例えば、
図23に示すように
、ブリッジチャンネル840は、試料リザーバ833のリザーバ通口(又はサプライ通口
)853を分析チャンネル823の第1通口826に流体的に接続する。同時に、フロー
チャンネル842が第2通口828を中間通口856に流体的に接続する。中間通口85
6は、構体側面819に沿って開口し、また中間チャンネル810に流体連通する。
【0136】
したがって、システムコントローラ(図示せず)は回転バルブ806を選択的に回転し
、試料リザーバ831~834をそれぞれ対応の分析チャンネル821~824に流体的
に接続する。システムコントローラは、ポンプアセンブリ818を制御して、試料リザー
バ内における生物試料のフローを誘導し、生物試料を分析チャンネル821~824の試
料調製領域827内に配置する。
【0137】
生物試料(又は複数の試料)を対応する分析チャンネル内に配置するとき、回転バルブ
806をシステムコントローラによって他のバルブ位置に回転し、分析チャンネル821
~824それぞれの第1及び第2の通口826,828を構体側面819によってカバー
又は封止する。分析チャンネルが封止された状態で、生物試料は増幅プロトコールを受け
ることができる。例えば、熱サイクラー(図示せず)を熱制御エリア825に隣接配置し
、増幅プロトコールに従って熱エネルギーを加えることができる。特別な実施形態におい
て、各生物試料を同時に熱制御エリア825内に配置することができる。代替的実施形態
において、生物試料は個別の時点で熱制御エリア825内に配置することができる。
【0138】
生物試料を増幅した後、回転バルブ806を対応のバルブ位置に戻し、対応の生物試料
をフローチャンネル842内に装填することができる。生物試料をフローチャンネル84
2内に配置した状態で、回転バルブを他の位置に回転し、フローチャンネル842をリザ
ーバ835に流体連通させる。リザーバ835は、例えば、水素化緩衝溶液を収容するこ
とができる。生物試料をこのリザーバ835に装填することができる。随意的に、回転バ
ルブ806及びポンプアセンブリ818を同様にして動作させ、生物試料を他の分析チャ
ンネルからリザーバ835内に装填する。生物試料はこの後、他の段階に向かわせること
ができる。例えば、生物試料は、フローチャンネル842、中間通口856経由で中間チ
ャンネル810に流入することができる。代替的実施形態において、生物試料は、最初に
リザーバ835内に装填されることなく、回転バルブ808に向かわせることができる。
【0139】
図23に示すように、回転バルブ808は、フローチャンネル870と、及び複数個の
試薬リザーバ871~878とを有する。回転バルブ806を用いて、生物試料が調製さ
れた後に、生物試料を反応チャンバ814に移送することができる。随意的に、生物試料
を反応チャンバ814に送給する前に、回転バルブ808を回転して試薬リザーバ871
~878のうち1つ又は複数を反応チャンバ814に流体的に接続することができる。よ
り具体的には、フローチャンネル870を指定位置に回転して、試薬リザーバ871~8
78のうち1つを反応チャンバ814に流体的に接続する。このように、回転バルブ80
8を使用して、生物試料を収容する反応チャンバ814を準備することができる。例えば
、試薬リザーバ871~878は、クラスター化試薬、酵素、及び/又はキャプチャプロ
ーブを含むことができる。
【0140】
生物試料を反応チャンバ814に送給した後、回転バルブ808を異なるバルブ位置に
選択的に回転することができる。例えば、回転バルブ808は、所定サイクルに従って、
SBSプロトコールを行うための反応成分を反復して送給することができる。サイクルは
、上述の表1に示すサイクルと同様のものとすることができる。したがって、回転バルブ
808を利用して、生物試料を収容する反応チャンバを準備する、及び/又は分析プロト
コールを行うことができる。
【0141】
図24及び25は、ブリッジチャンネルを有する回転バルブを利用する他の実施形態を
示す。
図24はフロー制御システム900の平面図であり、また
図25はフロー制御シス
テム900の部分的な分解斜視図である。図示のように、フロー制御システム900は、
互いに反対向きの第1構体側面904及び第2構体側面906(
図25参照)を有するマ
イクロ流体制御構体902を備える。マイクロ流体制御構体902は、複数個のフローチ
ャンネル908と、及び複数個の試料リザーバ910とを備える。各フローチャンネル9
08は対応の試料リザーバ910に流体的に接続するよう構成する。フローチャンネル9
08は、フローチャンネル536~539(
図13参照)と同様の形状及びサイズとする
ことができる。
【0142】
フロー制御システム900は、さらに、回転バルブ912を備える。回転バルブ912
は、対応するフローチャンネル908及び試料リザーバ910を流体的に接続するよう構
成した、複数個のブリッジチャンネル913~916を有する。特別な実施形態において
、各ブリッジチャンネル913~916は、回転バルブ912の外部に沿って側面が開放
した溝とする。代替的実施形態において、ブリッジチャンネル913~916は側面が開
放しないチャンネルとし、またその代わりに外部に開口する第1通口と第2通口との間に
延在するチャンネルとする。例えば、
図24に示すブリッジチャンネル916は、回転バ
ルブ912の回転位置に基づいて、対応する試料リザーバ910を対応するフローチャン
ネル908に流体的に接続する。生物試料がブリッジチャンネル913に流れるとき、他
のブリッジチャンネル914~916は、対応する試料リザーバ910には流体的に接続
されない。より具体的には、他のブリッジチャンネル914~916は回転バルブ912
によって封止される。
【0143】
他の実施形態で説明したのと同様にして、熱サイクラー(図示せず)はフローチャンネ
ル908内の生物試料が晒される温度を変化させることができる。例えば、構体側面90
4,906のうち一方又は双方に熱サイクラーを係合させることができる。増幅プロトコ
ール後に、生物試料は、付加的修飾/調製、及び/又は解析のための他の空間的領域に送
給することができる。
【0144】
種々の実施形態につき上述したように、回転バルブ及びマイクロ流体制御構体は、互い
に連携して1つ又は複数の流体フローを指定様態で制御する異なる流体素子を有すること
ができる。上述の実施形態は単に例示的なものであり、限定的ではないと理解されたい。
例えば、上述の実施形態(及び/又はその態様)は互いに組み合せて使用することができ
る。さらに、多くの変更を行って、発明の範囲から逸脱することなく種々の実施形態の教
示するものに特別な状況又は材料を適用することができる。
【0145】
図26~29は、本発明の実施形態により形成した回転バルブ950の様々な図である
。回転バルブ950は、回転バルブ216(
図2参照)のような、種々の実施形態におけ
る回転バルブとして使用することができる。
図26及び27のそれぞれは、回転バルブ9
50を底部側から見た斜視図及び側方から見た斜視図である。この回転バルブ950は、
流体制御側面952及び操作側面954を有する。操作側面954は、バルブアクチュエ
ータ(図示せず)に係合するよう構成した機械的インタフェース956を有する。
【0146】
図28は回転バルブ950の断面図を示す。図示のように、回転バルブ950は、ハウ
ジングカバー960と、互いに固着状態に固定する側面カバー964とを有する。ハウジ
ングカバー960はバルブキャビティ962を画定し、また側面カバー964は流体制御
側面952に沿ってバルブキャビティ962の一方の端部を閉鎖する。回転バルブ950
は、さらに、バルブキャビティ962内にそれぞれ配置した機械的インタフェース956
、バルブばね968、マニホルド本体970、及び圧縮可能薄膜972を含むロータシャ
フト966を有する。このロータシャフト966は、マニホルド本体970及び圧縮可能
薄膜972を側面カバー964に沿って軸線978周りに回転するよう構成する。
【0147】
マニホルド本体970は、一方の側面をロータシャフト966に固定し、反対側の側面
を圧縮可能薄膜972に固定する。圧縮ばね968は、マニホルド本体970及び圧縮可
能薄膜972を側面カバー964の内側表面に対して偏倚又は押圧することができる。特
別な実施形態において、圧縮可能薄膜972は、ポリプロピレン又は他の類似材料とする
ことができる。
図26に戻って説明すると、側面カバー964は、中心フロー通口980
、ドレイン通口、及び外側フロー通口982を有する。この側面カバー964は、
図26
において部分的に透明化して、中心フロー通口980、ドレイン通口、及び外側フロー通
口982を示す。合計9個の外側フロー通口982を示すが、他の実施形態では異なる個
数の通口を有することができる。
【0148】
図29は、回転バルブ950の拡大断面図であり、マニホルド本体970、圧縮可能薄
膜972、及び側面カバー964間における相互作用を示す。図示のように、側面カバー
964及び圧縮可能薄膜972は、両者間に潤滑リザーバ990を画定することができる
。潤滑リザーバ990は軸線978周りに延在することができる。幾つかの実施形態にお
いて、外側潤滑リザーバ991を設けることもできる。潤滑リザーバ990は
図26にも
示す。ドレイン通口981は潤滑リザーバ990に流体連通し、潤滑剤をリザーバ990
に装填できるようにする。図示のように、マニホルド本体970及び圧縮可能薄膜972
は、両者間にフローチャンネル984を画定する。ロータシャフト966がマニホルド本
体970を圧縮可能薄膜972とともに回転するとき、フローチャンネル984がともに
回転する。回転に抗する摩擦力は、圧縮可能薄膜972及び潤滑リザーバ980に起因し
て減少する。したがって、回転バルブ950の耐用寿命は、既知のバルブよりも長くする
ことができる。
【0149】
本発明の実施形態によれば、試料チャンネル、反応チャンバ及びリザーバを有する流体
ネットワークを備えるシステムを提供する。試料チャンネルは、生物試料を受容するよう
構成した試料通口に流体連通する。システムは、さらに、流体ネットワークに流体連通す
るよう構成したポンプアセンブリを備える。システムは、さらに、フローチャンネルを有
し、また第1バルブ位置と第2バルブ位置との間で回転するよう構成した、回転バルブを
備える。フローチャンネルは、回転バルブが第1バルブ位置にあるとき、反応チャンバ及
び試料チャンネルを流体的に接続し、また回転バルブが第2バルブ位置にあるとき、リザ
ーバ及び試料チャンネルを流体的に接続する。ポンプアセンブリは、回転バルブが第1バ
ルブ位置にあるとき生物試料を反応チャンバに向かわせるフローを誘導し、また回転バル
ブが第2バルブ位置にあるとき反応成分をリザーバから反応チャンバに向かわせるフロー
を誘導する。
【0150】
一態様において、ポンプアセンブリは、前記反応チャンバに流体連通しかつ前記反応チ
ャンバに対して下流側に位置するシステムポンプを有することができる。
【0151】
他の実施形態において、前記回転バルブは、前記回転バルブが前記第1バルブ位置から
前記第2バルブ位置に回転するにつれて、前記フローチャンネル内に前記生物試料を保持
する構成とすることができる。前記ポンプアセンブリは、前記回転バルブが前記第2バル
ブ位置にあるとき、前記生物試料を前記リザーバ内に流入させるフローを誘導するよう構
成することができる。
【0152】
随意的に、前記試料チャンネルは第1試料チャンネルとし、また前記生物試料は第1生
物試料とすることができる。前記流体ネットワークは第2生物試料を有する第2試料チャ
ンネルを含むことができる。前記回転バルブは、前記フローチャンネルが前記第2試料チ
ャンネルに流体連通する第3バルブ位置に回転するよう構成することができる。前記ポン
プアセンブリは、前記第2試料チャンネル内の第2生物試料を前記フローチャンネル内に
流入させるフローを誘導する構成とし、この場合、前記回転バルブが前記第3バルブ位置
から前記第2バルブ位置に回転するにつれて、前記フローチャンネル内に前記第2生物試
料を保持するよう構成することができる。前記ポンプアセンブリは、前記回転バルブが前
記第2バルブ位置にあるとき、前記フローチャンネルにおける前記第2生物試料を前記リ
ザーバに流入させるフローを誘導する構成とすることができる。幾つかの実施形態におい
て、前記ポンプアセンブリは、前記第1生物試料及び前記第2生物試料を前記リザーバか
ら前記反応チャンバに向かわせるフローを誘導する構成とすることができる。
【0153】
他の態様において、前記リザーバは第1リザーバとすることができる。前記流体ネット
ワークは第2リザーバを有するものとすることができ、この場合、前記回転バルブは、前
記フローチャンネルが前記第2リザーバ及び前記反応チャンバを流体的に接続する第3バ
ルブ位置に移動する構成とする。
【0154】
他の態様において、前記試料チャンネルは第1試料チャンネルとし、また前記流体ネッ
トワークは第2試料チャンネルを含むものとすることができる。随意的に、前記第1試料
チャンネル及び第2試料チャンネルのそれぞれは、共通サプライ通口を介して前記回転バ
ルブに流体連通することができる。随意的に、システムは、さらに、前記試料チャンネル
に接続するチャネルバルブを備えることができる。前記チャネルバルブは、第1位置と第
2位置との間で移動し、前記第1位置及び第2位置ではそれぞれ、前記試料チャンネルを
通過するフローを阻止及び許可するよう構成する。
【0155】
他の態様において、前記回転バルブは軸線周りに回転することができる。前記流体ネッ
トワークは、前記軸線に整列しかつ前記フローチャンネル及び前記反応チャンバを流体的
に接続するフィード通口を有することができる。
【0156】
他の態様において、前記流体ネットワークは、さらに、試薬チャネルを有することがで
きる。前記試料チャンネル及び前記試薬チャンネルは、前記フローチャンネルに対して上
流側に配置した共通のサプライ通口に流体連通することができる。前記サプライ通口は、
前記試料チャンネル及び前記試薬チャンネルを前記フローチャンネルに流体的に接続する
ことができる。
【0157】
他の態様において、システムは、前記反応チャンバ内の指定反応を検出するよう構成し
た検出アセンブリを備えることができる。随意的に、前記検出アセンブリは、前記反応チ
ャンバからの光信号を検出するよう位置決めできる撮像検出器を含む。随意的に、前記撮
像検出器は、前記流体ネットワークに対する定位置をとることができる。
【0158】
他の態様において、システムは、前記回転バルブ及び前記ポンプアセンブリを自動的に
制御して、シークエンシング・バイ・シンセシス(SBS)プロトコールの反復サイクル
を行うよう構成したシステムコントローラを備える。
【0159】
実施形態において、フローチャンネルを有する回転バルブを第1バルブ位置に回転する
ステップを有する方法を提供する。前記フローチャンネルは、前記第1バルブ位置にある
とき反応チャンバに流体連通する。本発明方法は、さらに、回転バルブが前記第1バルブ
位置にあるとき、生物試料を試料チャンネル又は第1リザーバから前記フローチャンネル
を経由して前記反応チャンバ内に流入させるステップを有することができる。本発明方法
は、さらに、前記回転バルブを第2バルブ位置に回転するステップを有することができる
。前記フローチャンネルは、前記第2バルブ位置にあるとき第2リザーバ及び前記反応チ
ャンバを流体的に接続することができる。本発明方法は、さらに、前記第2リザーバから
の反応成分を前記反応チャンバ内に流入させるステップを有する。前記反応成分は前記反
応チャンバ内の生物試料と相互反応する。
有する。
【0160】
一態様において、本発明方法は、前記反応チャンバ内における前記反応成分と前記生物
試料との間の指定反応を検出するステップを有する。随意的に、前記指定反応を検出する
ステップは、前記反応チャンバからの光信号を検出するステップを含むことができる。前
記光信号は前記指定反応の指標となり得る。
【0161】
他の態様において、本発明方法は、さらに、複数の前記生物試料を個別に前記リザーバ
内に流入させて前記生物試料をリザーバ内で組み合わせるステップを有する。前記生物試
料は、前記回転バルブが前記第1バルブ位置にあるとき、同時に前記フローチャンネル経
由で前記反応チャンバ内に流入することができる。
【0162】
他の態様において、本発明方法は、さらに、前記回転バルブを第3バルブ位置に回転し
、また第3リザーバからの洗浄溶液を前記反応チャンバ内に流入させるステップを有する
。本発明方法は、さらに、前記回転バルブを前記第2バルブ位置に回転し、また前記第2
リザーバからの前記反応成分を前記反応チャンバ内に導入させるステップを有することが
できる。随意的に、本発明方法は、シークエンシング・バイ・シンセシス(SBS)プロトコ
ールの反復サイクルを実行するステップを有する。
【0163】
他の態様において、本発明方法は、さらに、前記生物試料を前記フローチャンネル経由
で前記反応チャンバ内に流入させる前に、前記試料チャンネル又は前記リザーバ内の前記
生物試料を増幅させるステップを有する。
【0164】
実施形態において、流体ネットワーク及び前記流体ネットワークに流体連通するポンプ
アセンブリを有するフロー制御システムを備えるシステムを提供する。前記流体ネットワ
ークは、生物試料を受け入れるよう構成した試料チャンネル、複数個のリザーバ、及び反
応チャンバを含むものとする。システムは、さらに、フローチャンネルを有する回転バル
ブを備える。回転バルブは、異なるバルブ位置に回転し、前記反応チャンバを前記試料チ
ャンネルに、または前記リザーバのうち1つに流体的に接続するよう構成する。本発明シ
ステムは、さらに、分析プロトコール中に前記反応チャンバから光信号を検出するよう構
成した検出デバイスを備える。本発明システムは、さらに、前記回転バルブ及び前記ポン
プアセンブリを制御し、前記生物試料を前記試料チャンネルから前記反応チャンバに流入
させるよう構成したシステムコントローラを備える。システムコントローラは、さらに、
複数のプロトコールサイクル中に前記回転バルブ、前記ポンプアセンブリ及び前記検出デ
バイスを制御するよう構成し、前記プロトコールサイクルの各サイクルは、(a) 前記回転
バルブを第1リザーバ-バルブ位置に回転して、前記反応チャンバを前記複数のリザーバ
のうち第1リザーバに流体連通させるステップと、(b) 前記ポンプアセンブリを制御して
、流体を前記第1リザーバから前記反応チャンバ内に流入させるフローを誘導するステッ
プと、(c) 前記回転バルブを第2リザーバ-バルブ位置に回転して、前記反応チャンバを
前記複数のリザーバのうち第2リザーバに流体連通させるステップと、(d) 前記ポンプア
センブリを制御して、流体を前記第2リザーバから前記反応チャンバ内に流入させるフロ
ーを誘導するステップと、及び(e) 前記第2リザーバからの流体を前記反応チャンバに流
入させる間に、又は前記第2リザーバからの流体を前記反応チャンバに通過させた後に前
記反応チャンバから光信号を検出するステップとを含むものとする。
【0165】
一態様において、前記試料チャンネルは試料調製領域を含むものとすることができる。
本発明システムは、さらに、前記試料調製領域内における生物試料の温度を制御するよう
構成した熱サイクラーを備えることができる。前記システムコントローラは、前記熱サイ
クラーを制御して、前記生物試料を前記試料チャンネルから前記反応チャンバ内に流入さ
せる前に、前記試料調製領域内の前記生物試料を増幅させることができる。
【0166】
随意的に、前記プロトコールサイクルの各サイクルは、さらに、前記回転バルブを第3
リザーバ-バルブ位置に回転して、前記反応チャンバを前記複数個のリザーバのうち第3
リザーバに連通させるステップと、及び前記ポンプアセンブリを制御して、流体を前記第
3リザーバから前記反応チャンバ内に流入させるフローを誘導するステップとを有する。
【0167】
他の態様において、前記検出デバイスはCMOS撮像検出器を有する。他の態様におい
て、フローセルを前記検出デバイスに接続する。前記フローセルは前記反応チャンバを画
定することができる。随意的に、前記フローセルは前記検出デバイスに対して定位置に固
定する。
【0168】
他の態様において、前記フロー制御システムは、構体側面を有するマイクロ流体制御構
体を含む。前記構体側面は、その構体側面に開口する複数個の通口を有し、前記フローチ
ャンネルが前記複数個の通口のうち少なくとも1個に流体的に接続するとき他の前記複数
個の通口を封止するよう構成する。特定実施形態において、本発明システムは、シークエ
ンシング・バイ・シンセシス(SBS)プロトコールを実行するよう構成する。
【0169】
実施形態によれば、マイクロ流体制御構体及び回転バルブを準備する準備ステップを有
する方法を提供する。前記マイクロ流体制御構体は構体側面及び流体ネットワークを有し
、前記流体ネットワークはサプライ通口及びフィード通口を含む。前記サプライ通口は前
記構体側面に開口する。前記回転バルブは前記構体側面に対して回転可能に取り付ける。
前記回転バルブは、第1チャンネル通口、第2チャンネル通口、及び前記第1チャンネル
通口と前記第2チャネル通口との間に延在するフローチャンネルを有する。本発明方法は
、さらに、前記回転バルブを、前記第1チャンネル通口が前記マイクロ流体制御構体の前
記サプライ通口に流体連通する第1バルブ位置に回転するステップを有する。本発明方法
は、さらに、前記回転バルブが前記第1バルブ位置にあるとき、生物試料を前記第1チャ
ンネル通口経由で前記フローチャンネルに流入させるステップを有する。本発明方法は、
さらに、前記生物試料が前記フローチャンネル内に存在する状態で前記回転バルブを第2
バルブ位置に回転して、前記第1チャンネル通口を前記構体側面によって封止するステッ
プを有する。本発明方法は、さらに、熱サイクリング操作を行って、前記フローチャンネ
ル内における生物試料の温度を選択温度に変化させるステップを有する。
【0170】
一態様において、前記マイクロ流体制御構体は、前記構体側面に開口してリザーバに流
体連通するリザーバ通口を有することができる。本発明方法は、さらに、前記回転バルブ
を前記第1チャンネル通口及び前記リザーバ通口を整列させるよう回転して、前記フロー
チャンネル内の前記生物試料を前記第1チャンネル通口経由で前記リザーバ内に流入させ
るフローを誘導するステップを有する。随意的に、本発明方法は、さらに、前記リザーバ
から前記フローチャンネル及び前記マイクロ流体制御構体の前記フィード通口を経由する
前記生物試料のフローを誘導するステップを有する。
【0171】
他の態様において、前記回転バルブが第2バルブ位置にあるとき、前記第2チャンネル
通口は前記フィード通口に整列することができる。
【0172】
他の態様において、前記回転バルブが第2バルブ位置にあるとき、前記第2チャンネル
通口は前記構体側面によって封止することができる。
【0173】
他の態様において、前記第1チャンネル通口は第1流入通口とし、前記フローチャンネ
ルは第1フローチャンネルとする。前記回転バルブは第2流入通口及び第2フローチャン
ネルを有することができる。前記第2フローチャンネルは前記第2流入通口と前記第2チ
ャンネル通口との間に延在することができる。
【0174】
他の態様において、前記第1チャンネル通口は第1流入通口とし、前記第2チャンネル
通口は第1流出通口とする。前記回転バルブは第2流入通口及び第2流出通口を有し、フ
ローチャンネルが前記第2流入通口と前記第2流出通口との間に延在することができる。
【0175】
他の態様において、前記回転バルブは互いに逆向きに対面する流体制御側面及び操作側
面を有する。前記熱サイクラーは、前記操作側面に係合して前記生物試料の温度を制御す
ることができる。
【0176】
他の態様において、本発明方法は、前記リザーバからの前記生物試料が前記フローチャ
ンネル及び前記マイクロ流体制御構体の前記フィード通口を経由して反応チャンバ内に流
入するフローを誘導するステップを有することができる。本発明方法は、さらに、前記反
応チャンバからの光信号を検出するステップを有する。随意的に、前記反応チャンバは前
記回転バルブに対して離れた位置をとるものとする。
【0177】
他の態様において、フローセルが前記反応チャンバを含むものとする。前記反応チャン
バからの光信号を検出するステップは、前記フローセルに接続した撮像検出器を用いて、
前記光信号を検出するステップを含むことができる。随意的に、前記撮像検出器及び前記
フローセルは互いに固定する。
【0178】
本発明の実施形態において、構体側面及び流体ネットワークを有しするマイクロ流体制
御構体であって、前記流体ネットワークはサプライ通口及びフィード通口を有する、該マ
イクロ流体制御構体を備えるシステムを提供する。前記サプライ通口は前記構体側面に開
口するものとする。本発明システムは、さらに、前記構体側面に対して回転可能に取り付
ける回転バルブを備える。前記回転バルブは、第1チャンネル通口、第2チャンネル通口
、及び前記第1チャンネル通口と前記第2チャネル通口との間に延在するフローチャンネ
ルを有する。前記回転バルブは、第1バルブ位置と第2バルブ位置との間で回転するよう
構成する。前記第1チャンネル通口は、前記回転バルブが前記第1バルブ位置にあるとき
前記マイクロ流体制御構体の前記サプライ通口に流体連通する。前記第1チャンネル通口
は、前記回転バルブが前記第2バルブ位置にあるとき前記マイクロ流体制御構体によって
封止されるものとする。本発明システムは、さらに、前記回転バルブが前記第1バルブ位
置にあるとき、流体を前記サプライ通口経由で前記フローチャンネル内に流入させるフロ
ーを誘導する構成としたポンプアセンブリを備える。本発明システムは、さらに、前記回
転バルブに対して位置決めされる熱サイクラーであって、前記回転バルブが前記第2バル
ブ位置にあるとき、前記フローチャンネル内の流体が受ける温度を制御するよう構成した
、該熱サイクラーを備える。
【0179】
一態様において、前記マイクロ流体制御構体は、前記構体側面に開口してリザーバに流
体連通するリザーバ通口を有することができる。前記回転バルブは、前記第1チャンネル
通口及び前記リザーバ通口が整列する第3バルブ位置に回転することができる。前記ポン
プアセンブリは、前記フローチャンネル内の前記流体を前記第リザーバ通口経由で前記リ
ザーバ内に流入させるフローを誘導するよう構成することができる。随意的に、前記ポン
プアセンブリは、前記リザーバからの前記流体が前記フローチャンネル及び前記マイクロ
流体制御構体の前記フィード通口を経由するフローを誘導するよう構成する。
【0180】
他の態様において、前記回転バルブは軸線の周りに回転するよう構成する。前記第2チ
ャンネル通口及び前記フィード通口は前記軸線に整列することができる。
【0181】
他の態様において、前記フローチャンネルは第1フローチャンネルとすることができる
。前記回転バルブは、対応するチャンネル通口間に延在する第2フローチャンネルを有す
ることができる。
【0182】
他の態様において、本発明システムは、前記フィード通口に流体連通する反応チャンバ
と、及び前記反応チャンバ内の指定反応を検出するよう位置決めした検出デバイスとを備
える。随意的に、前記反応チャンバは前記回転バルブに対して離れた位置をとる。随意的
に、本発明システムは、前記反応チャンバを有するフローセルを備える。前記検出デバイ
スは、前記フローセルに隣接して位置決めした撮像検出器とすることができる。幾つかの
実施形態において、前記撮像検出器及び前記フローセルは互いに固定することができる。
【0183】
本発明の実施形態において、流入通口、流出通口、及び試料リザーバを含む流体ネット
ワークを有するマイクロ流体制御構体を備えるシステムを提供する。本発明システムは、
さらに、前記マイクロ流体制御構体に回転可能に連結した回転バルブを備える。前記回転
バルブは、第1チャンネルセグメント及び第2チャンネルセグメントを有する。前記第1
チャンネルセグメントは、前記回転バルブが第1バルブ位置にあるとき前記流入通口及び
試料リザーバを流体的に接続する。前記第2チャンネルセグメントは、前記回転バルブが
第1バルブ位置にあるとき前記流出通口及び試料リザーバを流体的に接続する。本発明シ
ステムは、さらに、前記回転バルブが第1バルブ位置にあるとき、前記流入通口及び第1
チャンネルセグメント経由で前記試料リザーバ内に流体を流入させる構成としたポンプア
センブリを備える。前記回転バルブは、前記試料リザーバが前記回転バルブによって封止
される第2バルブ位置に移動するよう構成する。本発明システムは、さらに、前記回転バ
ルブが前記第2バルブ位置にあるとき、熱エネルギーを前記試料リザーバに供給するよう
前記マイクロ流体制御構体に対して位置決めした熱サイクラーを備える。
【0184】
一態様において、前記回転バルブは被包化したガスリザーバを有することができる。前
記被包化したガスリザーバは、前記回転バルブが第2バルブ位置にあるとき、前記試料リ
ザーバと整列することができる。前記被包化したガスリザーバ及び前記試料リザーバは反
応チャンバを形成するよう組み合わせることができる。
【0185】
他の態様において、本発明システムは、さらに、前記流出通口に流体連通するフィード
チャンネルを備える。前記フィードチャンネルは前記流出通口を反応チャンバに流体的に
接続することができる。本発明システムは、前記反応チャンバと、及び前記反応チャンバ
内の指定反応を検出するよう位置決めした検出デバイスとを備える。
【0186】
他の態様において、前記反応チャンバは前記回転バルブに対して離れた位置をとること
ができる。随意的に、本発明システムは、前記反応チャンバを有するフローセルを備える
。前記検出デバイスは、前記フローセルに隣接して位置決めした撮像検出器とすることが
できる。
【0187】
本発明の実施形態において、試料リザーバ及び別個の分析チャンネルを含む流体ネット
ワークを有するマイクロ流体制御構体を備えるシステムを提供する。前記分析チャンネル
は第1通口と第2通口との間に延在する。前記流体ネットワークは、さらにフィード通口
を有する。本発明システムは、さらに、前記マイクロ流体制御構体の熱制御エリアに隣接
して位置決めされる熱サイクラーを備える。前記分析チャンネルは前記熱制御エリアに貫
通する。前記熱サイクラーは、熱エネルギーを前記熱制御エリアに供給するよう構成する
。本発明システムは、さらに、前記マイクロ流体制御構体に回転可能に連結し、また第1
バルブ位置と第2バルブ位置との間で移動するよう構成した回転バルブを備える。前記回
転バルブは、ブリッジチャンネル及び別個のフローチャンネルを有する。前記回転バルブ
が第1バルブ位置にあるとき、前記ブリッジチャンネルは、前記ブリッジチャンネルは前
記試料リザーバ及び前記分析チャンネルの第1通口を流体的に接続し、また前記フローチ
ャンネルは前記分析チャンネルの第2通口及び前記フィード通口を流体的に接続する。前
記回転バルブは、前記分析チャンネルの前記第1通口及び第2通口を封止する第2バルブ
位置に移動するよう構成する。
【0188】
一態様において、前記フローチャンネルは前記分析チャンネルから生物試料を受け取る
よう構成することができる。前記回転バルブは、前記フローチャンネルがリザーバに流体
的に接続される第3バルブ位置に回転するよう構成することができる。前記生物試料は前
記フローチャンネルを経由して前記リザーバ内に流入することができる。
【0189】
他の態様において、本発明システムは、さらに、前記フィード通口に流体連通する反応
チャンバと、前記反応チャンバ内での指定反応を検出するよう位置決めした検出デバイス
とを備える。随意的に、前記反応チャンバは前記回転バルブに対して離れた位置をとるこ
とができる。随意的に、本発明システムは、さらに、前記反応チャンバを有するフローセ
ルを備える。前記検出デバイスは、前記フローセルに隣接して位置決めした撮像検出器と
することができる。
【0190】
本明細書に使用するように、単数形で表現され、単語「a」「an」が前置される要素又
はステップは、明示しない限り、複数素子又は複数ステップを排除しないと理解されたい
。さらに、「一実施形態」への言及は、記載される特徴を組み込んだ他の実施形態の存在
を排除することを意図しない。他に明示しない限り、特定特性を有する1つの要素又は複
数要素を「備える(comprising)」又は「有する(having)」実施形態は、その特性を有
する又は有していない他の要素を含むことができる。
【0191】
当然のことながら、図示した実施形態のコンポーネントの特別な構成(例えば、個数、
タイプ、配置等)は、種々の代替的実施形態においては変更することができる。種々の実
施形態において、所与のモジュール若しくはユニットの異なる個数を採用することができ
、所与のモジュール若しくはユニットの異なるタイプを採用することができ、所与のモジ
ュール若しくはユニットを追加することができ、又は所与のモジュール若しくはユニット
を省略することができる。
【0192】
上述の記載は説明を意図するもので、限定的なものではないことを理解されたい。例え
ば、上述の実施形態(及び/又は態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。
さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の実施形態が教示するところに特別な
状況又は材料を適用するための多くの変更を加えることができる。種々のコンポーネント
の寸法、材料タイプ、向き、並びに本明細書に記載の種々のコンポーネントの個数及び位
置は、若干の実施形態のパラメータを規定することを意図し、何ら限定的なものではなく
、単なる例示的実施形態に過ぎない。本明細書を閲覧する際に、特許請求の精神及び範囲
内における多くの他の実施形態及び変更例は、当業者には明らかであろう。したがって、
特許可能な範囲は、添付の特許請求の範囲の請求項を参照し、並びにこのような請求項に
記載の均等物の全範囲とともに決定されるべきものである。
【0193】
本明細書で使用するように、「例示的実施形態(exemplary embodiment)」等の語句は
、記載された実施形態は単なる1つの実施例であることを意味する。この語句は、をその
実施形態に限定することを意図しない。新規性要旨の他の実施形態は、記載の特徴又は構
造を含まないことがあり得る。添付の特許請求の範囲において、用語「含む(including
)」「において(in which)」は、対応する用語「備える(comprising)」「における(
wherein)」という平明英語の均等物として使用する。さらに、以下の特許請求の範囲に
おいて、用語「第1(first)」、「第2(second)」、及び「第3(third)」等は、単
なる名前付けとして使用するもので、対象物に対する数値要件を課することを意図しない
。さらに、以下の特許請求の範囲の限定は、このような特許請求の範囲の限定が、他の構
造がない機能表現が後続する語句「ための手段(means for)」を明確に使用しない限り
、また使用するまでは、「means-plus-function」フォーマットで記述されず、米国特許
法112条(f)に基づいて解釈することを意図しない。