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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 19/00 20060101AFI20231024BHJP
   C08G 81/02 20060101ALI20231024BHJP
   C08L 65/00 20060101ALI20231024BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20231024BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
C08L19/00
C08G81/02
C08L65/00
C08L9/00
B60C1/00 B
B60C1/00 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020559310
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 JP2019048682
(87)【国際公開番号】W WO2020122174
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2018233687
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)革新的研究開発推進プログラム(ImPACT) 「超薄膜化・強靭化「しなやかなタフポリマーの実現」」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄田 靖宏
(72)【発明者】
【氏名】大塚 英幸
(72)【発明者】
【氏名】青木 大輔
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-231272(JP,A)
【文献】特開2004-256745(JP,A)
【文献】特開2008-050571(JP,A)
【文献】特表2019-518130(JP,A)
【文献】特開昭57-080412(JP,A)
【文献】特表2014-506277(JP,A)
【文献】Ohishi,T. et al.,Metathesis-driven scrambling reactions between polybutadiene or naturally occurring polyisoprene and,Polymer,2015年,vol. 78,pp.145-153
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/16
C08G 81/02
B60C 1/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分がジエン系ゴムを含み、前記ジエン系ゴムがウレタン骨格とジエン骨格を一分子内に有する重合体(A)を含み、
前記重合体(A)中の前記ウレタン骨格の構造が下記の式1で表され、
式1中のAは、下記の式4~7の何れかであることを特徴とする、ゴム組成物。
【化1】

(式1中、nは、1~250を表す。)
【化2】

(式4中、Pは、Aに隣接する窒素原子に単結合で結合する結合点であり、Dは、水素原子、又は炭素数1~20の炭化水素基であり、複数あるDは同一でも異なっていてもよい。)
【化3】

(式5中、Pは、Aに隣接する窒素原子に単結合で結合する結合点であり、Eは、水素原子、又は炭素数1~20の炭化水素基であり、複数あるEは同一でも異なっていてもよい。)
【化4】

(式6中、Pは、Aに隣接する窒素原子に単結合で結合する結合点である。)
【化5】

(式7中、nは1~32である。Pは、Aに隣接する窒素原子に単結合で結合する結合点であり、Fは、水素原子、又は炭素数1~20の炭化水素基であり、複数あるFは同一でも異なっていてもよい。)
【請求項2】
前記ゴム成分中、前記重合体(A)を2~100質量%含有する、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記重合体(A)中の前記ウレタン骨格と前記ジエン骨格とのモル比(ウレタン骨格/ジエン骨格)が0.5/99.5~50/50である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記重合体(A)中の前記ジエン骨格が共役ジエンを含む、請求項1~のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記重合体(A)中の前記ジエン骨格の構造が下記の式2で表される、請求項に記載のゴム組成物。
【化6】


(式2中、mは、1~27000を表す。)
【請求項6】
前記重合体(A)の構造が下記の式3で表される、請求項1~のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【化7】


(式3中、Aは、下記の式4~7の何れかであり、xは1~13500を表し、yは1~250を表し、zは1~250を表す。)
【化8】

(式4中、Pは、Aに隣接する窒素原子に単結合で結合する結合点であり、Dは、水素原子、又は炭素数1~20の炭化水素基であり、複数あるDは同一でも異なっていてもよい。)
【化9】

(式5中、Pは、Aに隣接する窒素原子に単結合で結合する結合点であり、Eは、水素原子、又は炭素数1~20の炭化水素基であり、複数あるEは同一でも異なっていてもよい。)
【化10】

(式6中、Pは、Aに隣接する窒素原子に単結合で結合する結合点である。)
【化11】

(式7中、nは1~32である。Pは、Aに隣接する窒素原子に単結合で結合する結合点であり、Fは、水素原子、又は炭素数1~20の炭化水素基であり、複数あるFは同一でも異なっていてもよい。)
【請求項7】
前記重合体(A)中の前記ウレタン骨格の間の存在する非ウレタン骨格の数平均分子量Mnが2400~1350000であり、重量平均分子量Mwが2400~2300000であり、分子量分布MWDが1~2.4である、請求項1~のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項8】
前記ジエン系ゴムが、ポリブタジエンゴムを含む、請求項1~のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐破壊特性、特に、耐亀裂成長性に優れたゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タイヤとして必要な諸物性値を向上させるため、ゴム成分の改善を図る技術が検討されている。例えば、特許文献1には、ジエン系ゴムの末端を変性させることにより、得られるゴム組成物の耐熱性、破壊強度及び損失正接(tanδ)等を高度にバランスさせる技術が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術をタイヤに適用した場合、低ロス性の点で優れた効果が得られるものの、タイヤの耐亀裂成長性の点について、さらなる改善が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-191100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術をタイヤに適用した場合、低ロス性の点で優れた効果が得られるものの、タイヤの耐亀裂成長性の点について、さらなる改善が望まれていた。
本発明の目的は、耐破壊特性、特に、耐亀裂成長性に優れたゴム組成物及びそれを用いたタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討した結果、非共有結合の一種である水素結合に着目し、ジエン系のゴム材料に導入することで高靭化を具現化すべく、Grubbsの第2世代触媒を活用した高分子反応により、ポリブタジエン骨格にポリウレタンを導入し、配合薬品を混合したゴム組成物中においても高靭性を発現することを知見し、新規水素結合導入ジエン系ポリマー、即ち、ウレタン骨格とジエン骨格を一分子内に有する重合体をゴム組成物に配合することにより、上記の課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[10]に関する。
【0006】
[1] ゴム成分がジエン系ゴムを含み、前記ジエン系ゴムがウレタン骨格とジエン骨格を一分子内に有する重合体(A)を含むことを特徴とする、ゴム組成物。
【0007】
[2]前記ゴム成分中、前記重合体(A)を2~100質量%含有する、上記[1]に記載のゴム組成物。
[3] 前記重合体(A)中の前記ウレタン骨格と前記ジエン骨格とのモル比(ウレタン骨格/ジエン骨格)が(0.5/99.5)~(50/50)である、上記[1]又は[2]に記載のゴム組成物。
[4] 前記重合体(A)中の前記ウレタン骨格の構造が下記の式1で表される、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0008】
【化1】


(式1中、Aは、炭素及び水素以外の元素を有していても良い炭化水素基を表し、nは、1~250を表す。)
【0009】
[5] 前記重合体(A)中の前記ジエン骨格が共役ジエンを含む、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
[6] 前記重合体(A)中の前記ジエン骨格の構造が下記の式2で表される、上記[5]に記載のゴム組成物。
【0010】
【化2】


(式2中、mは、1~27000を表す。)
ここで、mは、45~25000が好ましい。
【0011】
[7] 前記重合体(A)の構造が下記の式3で表される、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0012】
【化3】


(式3中、Aは、炭素及び水素以外の元素を有していても良い炭化水素基を表し、xは1~13500を表し、yは1~250を表し、zは1~250を表す。)
ここで、xは1~10000であることが好ましく、1~5000であることがより好ましく、1~4500であることが更に好ましく、1~4000であることが更により好ましく、1~600が特に好ましい。yは1~200であることが好ましく、1~150であることがより好ましく、1~140であることが更に好ましく、1~100であることが特に好ましい。zは10~250であることが好ましく、50~250であることが更に好ましく、100~250であることが特に好ましい。
【0013】
[8] 前記重合体(A)中の前記ウレタン骨格の間の存在する非ウレタン骨格の数平均分子量Mnが2400~1350000であり、重量平均分子量Mwが2400~2300000であり、分子量分布MWDが1.0~2.4である、上記[1]~[7]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0014】
[9] 前記ジエン系ゴムが、ポリブタジエンゴムを含む、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0015】
[10] 上記[1]~[9]のいずれか1つに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、耐破壊特性、特に、耐亀裂成長性に優れたゴム組成物及びそれを用いたタイヤを提供することを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、ゴム成分がジエン系ゴムを含み、前記ジエン系ゴムがウレタン骨格とジエン骨格を一分子内に有する重合体(A)を含むことを特徴とする。
本発明は、ポリウレタンの有する水素結合をジエン系エラストマーに分子レベルで融合することにより、ゴム組成物の耐亀裂成長性を向上させるものであり、水素結合は、C-S、S-S結合と比較して弱いため、歪をかけると破断し、エネルギー散逸を生じる。低燃費性能に寄与する低歪では破断せず、高歪で破断するように分子設計することで、ロス-耐亀裂成長性バランスならびに耐破壊特性を大幅に向上することが可能となる。
本発明のゴム組成物において、前記ゴム成分中、前記重合体(A)を2~100質量%含有することがウレタン骨格による耐亀裂成長のバランス及び耐破壊特性の向上の観点から好ましく、5~100質量%含有することがより好ましく、10~100質量%含有することが更に好ましく、10~30質量%含有することが特に好ましい。
【0018】
[重合体(A)]
本発明に係る重合体(A)はウレタン骨格とジエン骨格を一分子内に有するものであり、前記ウレタン骨格と前記ジエン骨格とのモル比(ウレタン骨格/ジエン骨格)が(0.5/99.5)~(50/50)であることが、ウレタン骨格による耐亀裂成長のバランス及び耐破壊特性の向上と相溶性悪化による低燃費性能のバランスの観点から好ましく、(0.5/99.5)~(40/60)であることがより好ましく、(1/99)~(30/70)であることが更に好ましく、(2/98)~(20/80)であることが特に好ましい。
【0019】
(重合体(A)中のウレタン骨格)
前記重合体(A)中の前記ウレタン骨格の構造は、下記の式1で表されることが好ましい。
【0020】
【化4】


上記の式1中、Aは、炭素及び水素以外の元素を有していても良い炭化水素基を表し、nは、1~250を表す。
重合体(A)中のウレタン骨格形成に用いられるジイソシアネートとして、例えば、メチレンジフェニル4,4’-ジイソシアネート、トランス-1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、ポリプロピレングリコールトリレン-2,4-ジイソシアネート、ポリ(ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8-ジイソシアナトオクタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトブタン、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、4,4’-MDI[4,4’-メチレンビス(イソシアン酸フェニル)]、ビス(4-イソシアナトフェニル)メタン、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
上記の式1中のAとして、以下の式4~7が例示される。
【0021】
【化5】


式4中、Pは、Aに隣接する窒素原子に単結合で結合する結合点であり、Dは、水素原子、又は炭素数1~20の炭化水素基であり、複数あるDは同一でも異なっていてもよい。
【0022】
【化6】


式5中、Pは、Aに隣接する窒素原子に単結合で結合する結合点であり、Eは、水素原子、又は炭素数1~20の炭化水素基であり、複数あるEは同一でも異なっていてもよい。
【0023】
【化7】


式6中、Pは、Aに隣接する窒素原子に単結合で結合する結合点である。
【0024】
【化8】


上記の式7中、nは1~32であることが好ましく、1~30であることがより好ましく、1~20であることが更に好ましく、1~5であることが特に好ましい。Pは、Aに隣接する窒素原子に単結合で結合する結合点であり、Fは、水素原子、又は炭素数1~20の炭化水素基であり、複数あるFは同一でも異なっていてもよい。
Aとして、上記式4~6は、式7と比較してウレタン結合量が多く、ウレタン骨格による耐亀裂成長のバランス及び耐破壊特性の向上の観点から、より優れている。
【0025】
(重合体(A)中のジエン骨格)
前記重合体(A)中の前記ジエン骨格は、共役ジエンを含むことが好ましい。
この共役ジエンとしては、炭素数が4~8であることが好ましい。かかる共役ジエン化合物として、具体的には、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等が挙げられる。前記共役ジエン化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
また、前記重合体(A)中の前記ジエン骨格の構造が下記の式8で表されることが好ましい。
【0026】
【化9】

【0027】
前記の式1及び式2を有する前記重合体(A)の構造は、下記の式9で表されることが好ましい。
【0028】
【化10】


上記の式9中、Aは、炭素及び水素以外の元素を有していても良い炭化水素基を表す。
xは1~13500を表し、yは1~250を表す。xは1~10000であることが好ましく、1~5000であることがより好ましく、1~4500であることが更に好ましく、1~4000であることがより更に好ましく、1~600であることが特に好ましい。yは1~200であることが好ましく、1~150であることがより好ましく、1~140であることが更に好ましく、1~100であることが特に好ましい。
【0029】
前記重合体(A)中の前記ウレタン骨格の間に、ジエン骨格を含む非ウレタン骨格が存在することが好ましい。
この非ウレタン骨格の数平均分子量Mnが2400~1350000であることが好ましく、重量平均分子量Mwが2400~2300000であることが好ましく、分子量分布MWDが1.0~2.4であることが好ましい。
非ウレタン骨格の数平均分子量Mnが2400~500000であることがより好ましく、2400~450000であることが更に好ましく、2400~400000であることが特に好ましい。重量平均分子量Mwが2400~1000000であることがより好ましく、Mwが2400~900000であることが更に好ましく、Mwが2400~800000であることが特に好ましい。分子量分布MWDが1.0~2.3であることがより好ましく、1.0~2.2であることが更に好ましく、1.0~2.0であることが特に好ましい。
非ウレタン骨格の分子量が大きすぎると、ウレタンがブロックで存在することになるので、低歪領域でのヒステリシスロスが大きくなり悪化することになる。
前記重合体(A)の共役ジエン部分のミクロ構造は、例えば、cis1,4-ポリブタジエンの場合は、cis1,4-ポリブタジエン中のcis1,4結合含量が90質量%以上であることが好ましく、92質量%以上であることがより好ましく、94質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。
一方、1,2-vinyl結合含量の特に高いポリブタジエンを用いる場合は、1,2-vinyl結合含量が25質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。
本発明において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC-8020、カラム:東ソー製GMH-XL(2本直列)、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、各ポリマー(ウレタン骨格、非ウレタン骨格等を含む。)のポリスチレン換算の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw及び分子量分布MWDを求め、本発明における数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw及び分子量分布MWDとした。
【0030】
(重合体(A)の製造方法)
本発明に係る重合体(A)は、例えば、下記のように、第1工程でcis-オレフィン含有ポリウレタン(cis-PU)を合成し、第2工程でcis1,4-ポリブタジエン(PBD)を合成した後、第3工程でcis-PUとPBDとをポリマースクランブリング反応により、PBD/PUコポリマー(ポリブタジエン/cis-オレフィン含有ポリウレタンコポリマー)を得れば良い。
【0031】
第1工程[cis-オレフィン含有ポリウレタン(cis-PU)の合成]
例えば、トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン及びcis-ブテン-1,4-ジオールのそれぞれの適量に乾燥DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)を適量加え、丸底フラスコ中で合わせ、室温(23℃)で攪拌しながらDBTDL(ジラウリン酸ジブチル錫)を適量加えた後、反応混合物を40℃で48時間攪拌する。その後、メタノールを加えて反応を停止させ、激しく撹拌しながら混合物を水に注ぐ。沈殿した重合体を回収し、真空乾燥して、cis-PU(cis-オレフィン含有ポリウレタン)を得る。
【0032】
第2工程[cis1,4-ポリブタジエン(PBD)の合成]
窒素を充填したシュレンクフラスコ中で、後述するGrubbsの第2世代触媒を、乾燥CHCl中の1,5-シクロオクタジエンの溶液に添加し、これを3回の凍結-真空-解凍サイクルで脱気する。次いで、混合物を周囲温度で2時間撹拌した後、注射器を用いて過量のエチルのビニルのエーテルを添加してクエンチし、次いで12時間撹拌する。溶液を激しく撹拌しながらメタノールに注いだ後、沈殿した重合体を回収し、真空乾燥してcis1,4-ポリブタジエンを得る。
第2工程の合成を行わず、市販のcis1,4-ポリブタジエンを用いてもよい。
【0033】
第3工程[オレフィンクロスメタセシス反応によるポリマースクランブリング反応]
窒素を充填したシュレンクフラスコにおいて、後述するGrubbsの第2世代触媒(ポリマーの主鎖中の二重結合ユニットの総数の1mol%)を、例えば、等量のcis1,4-ポリブタジエン(PBD)及びcis-オレフィン含有ポリウレタン(cis-PU)の乾燥CHCl(ポリマー濃度は70mol%)溶液に加え、これを3回の凍結融解サイクルで脱気する。次いで、混合物を周囲温度で24時間撹拌した後、過量のエチルのビニルのエーテルを加えてクエンチし、室温(23℃)で撹拌する。混合物を6時間撹拌した後、メタノールとCHCl[(メタノール/CHCl)体積比(v/v)=1/1]の溶剤混合物中のTHP(テトラヒドロピラン)とトリエチルアミンの溶液を添加して、残留物を除去する。減圧下で溶剤を除いた後、残渣を再度少量のCHClに溶かし、激しく攪拌しながら水/メタノール混液[(水/メタノール)体積比(v/v)=3/1]に注ぐ。沈殿したポリマーを回収し、真空乾燥してPBD/cis-PUコポリマーを得る。
【0034】
(Grubbsの第2世代触媒)
本発明で用いたGrubbsの第2世代触媒(第2世代グラブス触媒)は、ベンジリデン{1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン}ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(C4665ClPru、分子量:848.97、CAS登録番号:[246047-72-3])であり、Sigma-Aldrich Inc.から購入した。参考までに化学構造式を式10にて下記する。
【0035】
【化11】

【0036】
[ゴム成分]
本発明のゴム組成物に配合される、重合体(A)以外のジエン系ゴム成分としては、例えば、、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、各種ブタジエンゴム、各種スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、アクリロニトリロブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体ゴム、スチレン-イソプレン共重合体ゴムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の重合体(A)以外のジエン系ゴム成分としては、ポリブタジエンゴムを含むことが好ましい。
ポリブタジエンゴムの製造としては、溶液重合法及び乳化重合法のいずれでも良く、溶液重合法では、ガドリニウムメタロセン錯体触媒、ニッケル系触媒、コバルト系触媒、チタン系触媒やアルキルリチウム触媒が使われ、触媒の種類によりミクロ構造が変化する。ニッケル系触媒を用いたポリブタジエンゴムとしては、JSR(株)製のBR01(cis1,4-結合含量:95wt%)等が挙げられ、コバルト系触媒を用いたポリブタジエンゴムとしては、宇部興産(株)製のUBEPOL BR 150(cis1,4-結合含量:98wt%)、150B(cis1,4-結合結合含量:97wt%)、150L(cis1,4-結合結合含量:98wt%)等が挙げられる。
また、1,2-vinyl 結合含量の比較的高いポリブタジエンゴムとしては、Cray Valley社製のRicon 130 (1,2-vinyl結合含量:28wt%)、Ricon 142 (1,2-vinyl結合含量:55wt%)が挙げられ、1,2-vinyl結合含量の特に高いポリブタジエンゴムとしては、Ricon 150 (1,2-vinyl結合含量:70wt%)、Ricon 152 (1,2-vinyl結合含量:80wt%)が挙げられる。
【0037】
[充填材]
本発明のゴム組成物は、必要に応じ、充填材、特に補強性充填材を含有しても良い。
本発明に係る補強性充填材としては、カーボンブラック及びシリカからなる群から選ばれる1種以上の補強性充填材が好適に挙げられる。また、充填材としては、上記の他、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0038】
(カーボンブラック)
本発明のゴム組成物に好適に配合されるカーボンブラックとしては、窒素吸着比表面積(NSA)が20m/g以上200m/g以下が好ましく、30m/g以上160m/g以下がより好ましく、35m/g以上100m/g以下が更に好ましく、40m/g以上100m/g以下が特に好ましい。
ここで、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、JIS K 6217-2:2001に準拠して測定することができる。
また、本発明のゴム組成物に配合されるカーボンブラックとしては、DBP(ジブチルフタレート)吸油量が50ml/100g以上135ml/100g以下が好ましく、55ml/100g以上130ml/100g以下がより好ましく、60ml/100g以上130ml/100g以下が更に好ましく、65ml/100g以上125ml/100g以下が特に好ましい。
ここで、DBP吸油量は、JIS K 6217-4:2008に準拠して測定することができる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、20~150質量部であることが好ましい。カーボンブラックの含有量が、20質量部以上であることで、ゴム組成物の耐亀裂成長性をより向上することができ、150質量部以下であることで、ゴム組成物の作業性を損ねにくい。カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、20~100質量部であることがより好ましく、30~80質量部であることが更に好ましく、30~60質量部であることが特に好ましい。
【0039】
(シリカ)
本発明のゴム組成物に好適に配合されるシリカの種類は特に限定されず、一般グレードのシリカから、表面処理を施した特殊シリカまで、用途に応じて使用することができ、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
以上の中でも、シリカ(B)は、ゴム組成物の作業性、タイヤの耐亀裂成長性をより向上する点から、湿式シリカを用いることが好ましい。
【0040】
(その他の配合剤)
本発明のゴム組成物に配合されるその他の配合剤としては、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択し、使用することができ、例えば、上記充填材以外の無機充填材、硫黄等の加硫剤、ジベンゾチアジルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジル-スルフェンアミド、N-オキシジエチレン-ベンゾチアジル-スルフェンアミド等の加硫促進剤、酸化亜鉛、ステアリン酸等の加硫促進助剤、耐熱架橋剤、N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン等の老化防止剤、日光亀裂防止剤、着色剤、ゴムの柔軟性向上剤、軟化剤、樹脂、カップリング剤等の添加剤などの他、通常ゴム業界で用いる各種配合剤などが挙げられる。これらは、市販品を好適に使用することができる。
日光亀裂防止剤としては、マイクロクリスタリン・ワックス等のワックス類が配合され、大内新興化学工業(株)製、商品名「サンノック」、「オゾノック」;精工化学(株)製、商品名「サンタイト」;川口化学(株)製、商品名「オゾガードG」、「Vanwax-H Special」等が挙げられる。
耐熱架橋剤としては、N,N’-ジフェニルメタンビスマレイミド(以下、「BMI」と略記する)が挙げられ、硫黄架橋と比較して、熱的に安定な架橋構造を与えることができる。
ゴムの柔軟性向上剤としては、ジシクロペンタジエン(DCP)樹脂が好適に用いられ、日本ゼオン社製「クイントン1105」、丸善石油化学(株)の商品名「マルカレッツM」シリーズ(M-890A、M-845A、M-990A等)が挙げられる。
【0041】
[ゴム組成物の調製及び空気入りタイヤの作製]
本発明に係るゴム組成物は、各種配合処方により、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて、加硫剤、加硫促進剤、耐熱架橋剤、加硫促進助剤を含まないマスターバッチ混練段階を行った後、加硫剤、加硫促進剤、耐熱架橋剤、加硫促進助剤を含む最終混練段階を経て得られ、成形加工後、加硫を行い、空気入りタイヤの各種部材として用いられる。
【0042】
[タイヤ以外の用途]
本発明のゴム組成物は、タイヤ以外の用途、例えば、防振ゴム、免振ゴム、クローラ、ベルト、ホース等の各種部材にも好適に用いられる。
【実施例
【0043】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0044】
製造例1[PBD/cis-PUコポリマーI(PB-PU I)の合成]
第1工程[cis-オレフィン含有ポリウレタン(cis-PU)の合成]
式3において、Aが式4で示される化合物(27.8mL、114.0mmol)、cis-ブテン-1,4-ジオール(9.2mL、111.9mmol)及び乾燥DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)(150mL)を丸底フラスコ中で合わせ、室温(23℃)で攪拌しながらDBTDL(ジラウリン酸ジブチル錫) (0.17mL、0.283mmol)を加えた後、反応混合物を室温(23℃)で48時間攪拌した。その後、メタノールを加えて反応を停止させ、激しく撹拌しながら混合物を水に注いだ。沈殿した重合体を回収し、真空乾燥して、36g(95%)のcis-PUを得た。
【0045】
第2工程
第2工程は行わず、cis1,4-ポリブタジエン150L、宇部興産(株)製を用いた。
【0046】
第3工程[オレフィンクロスメタセシス反応によるポリマースクランブリング反応]
窒素を充填したシュレンクフラスコにおいて、上述のGrubbsの第2世代触媒((92.9mg、110μmol;ポリマーの主鎖中の二重結合ユニットの総数の1mmol%)を、cis1,4-ポリブタジエン150L、宇部興産(株)製(PBD:86mol%)及びcis-オレフィン含有ポリウレタン(cis-PU:14mol%)の脱水THF(テトラヒドロフラン:ポリマー濃度は70wl%)溶液に加え、次いで、混合物を室温(23℃)で24時間撹拌した後、過量のエチルビニルエーテルを加えて室温(23℃)で撹拌しクエンチ(急速に冷却)した。メタノールとCHCl[(メタノール/CHCl)体積比(v/v)=1/1]、THP(テトラヒドロピラン:0.68g、5.48mmol)とトリエチルアミン(1.52ml、10.9mmol)の混合溶液を添加し、減圧下で溶剤を一部除いた後、激しく攪拌しながら水/メタノール混液[(水/メタノール)体積比(v/v)=3/1]に注いだ。沈殿したポリマーを回収し、真空乾燥して、PBD/cis-PUコポリマーI[モル比(ウレタン骨格/ジエン骨格):14/86]を得た。
Mn=12,000、Mw/Mn=1.4であった。
【0047】
製造例2[PBD/cis-PUコポリマーII(PB-PU II)の合成]
第1工程[cis-オレフィン含有ポリウレタン(cis-PU)の合成]
式3において、Aが式4で示される化合物(25.2mL、114.0mmol)、cis-ブテン-1,4-ジオール(6.74mL、82.0mmol)及び乾燥DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)(150mL)を丸底フラスコ中で合わせ、室温(23℃)で攪拌しながらDBTDL(ジラウリン酸ジブチル錫) (0.17mL、0.283mmol)を加えた後、反応混合物を室温(23℃)で48時間攪拌した。その後、メタノールを加えて反応を停止させ、激しく撹拌しながら混合物を水に注いだ。沈殿した重合体を回収し、真空乾燥して、36g(95%)のcis-PUを得た。
【0048】
第2工程は行わず、cis1,4-ポリブタジエン150L、宇部興産(株)製を用いた。
但し、第3工程では、cis1,4-ポリブタジエン(PBD:94mol%)及びcis-オレフィン含有ポリウレタン(cis-PU:6mol%)の比率で行い、PBD/cis-PUコポリマーII[モル比(ウレタン骨格/ジエン骨格):6/94]を得た。
Mn=9,000、Mw/Mn=1.3であった。
【0049】
製造例3[PBD/cis-PUコポリマーIII(PB-PU III)の合成]
第1工程[cis-オレフィン含有ポリウレタン(cis-PU)の合成]
式3において、Aが式4で示される化合物(27.8mL、114.0mmol)、cis-ブテン-1,4-ジオール(6.74mL、82.0mmol)及び乾燥DMF(N,N-ジメチルホルムアミド(150mL)を丸底フラスコ中で合わせ、室温(23℃)で攪拌しながらDBTDL(ジラウリン酸ジブチル錫) (0.17mL、0.283mmol)を加えた後、反応混合物を40℃で48時間攪拌した。その後、メタノールを加えて反応を停止させ、激しく撹拌しながら混合物を水に注いだ。沈殿した重合体を回収し、真空乾燥して、36g(95%)のcis-PUを得た。ここで、式1のウレタン骨格中のAは、上記の式4である。
【0050】
第2工程は行わず、cis1,4-ポリブタジエン150L、宇部興産(株)製を用いた。
但し、第3工程では、cis1,4-ポリブタジエン(PBD:98mol%)及びcis-オレフィン含有ポリウレタン(cis-PU:2mol%)の比率で行い、PBD/cis-PUコポリマーIII[モル比(ウレタン骨格/ジエン骨格):2/98]を得た。
Mn=4,000、Mw/Mn=1.5であった。
【0051】
製造例4[PBD/cis-PUコポリマーIV(PB-PU IV)の合成]
第1工程[cis-オレフィン含有ポリウレタン(cis-PU)の合成]
式3において、Aが式5で示される化合物(18.9mL、85.5mmol)、cis-ブテン-1,4-ジオール(6.9mL、85.5mmol)及び乾燥DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)(150mL)を丸底フラスコ中で合わせ、室温(23℃)で攪拌しながらDBTDL(ジラウリン酸ジブチル錫) (0.17mL、0.283mmol)を加えた後、反応混合物を40℃で48時間攪拌した。その後、メタノールを加えて反応を停止させ、激しく撹拌しながら混合物を水に注いだ。沈殿した重合体を回収し、真空乾燥して、25g(95%)のcis-PUを得た。
【0052】
第2工程は行わず、cis1,4-ポリブタジエン150L、宇部興産(株)製を用いた。
但し、第3工程では、cis1,4-ポリブタジエン(PBD:85mol%)及びcis-オレフィン含有ポリウレタン(cis-PU:15mol%)の比率で行い、PBD/cis-PUコポリマーIV[モル比(ウレタン骨格/ジエン骨格):15/85]を得た。
Mn=27,000、Mw/Mn=3.2であった。
【0053】
製造例5[PBD/cis-PUコポリマーV(PB-PU V)の合成]
第1工程[cis-オレフィン含有ポリウレタン(cis-PU)の合成]
式3において、Aが式6で示される化合物(21.0mL、85.5mmol)、cis-ブテン-1,4-ジオール(6.9mL、85.5mmol) 及び乾燥DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)(150mL)を丸底フラスコ中で合わせ、室温(23℃)で攪拌しながらDBTDL(ジラウリン酸ジブチル錫) (0.17mL、0.283mmol)を加えた後、反応混合物を40℃で48時間攪拌した。その後、メタノールを加えて反応を停止させ、激しく撹拌しながら混合物を水に注いだ。沈殿した重合体を回収し、真空乾燥して、28g(94%)のcis-PUを得た。ここで、式1のウレタン骨格中のAは、上記の式6である。
【0054】
第2工程は行わず、cis1,4-ポリブタジエン150L、宇部興産(株)製を用いた。
但し、第3工程では、cis1,4-ポリブタジエン(PBD:67mol%)及びcis-オレフィン含有ポリウレタン(cis-PU:33mol%)の比率で行い、PBD/cis-PUコポリマーV[モル比(ウレタン骨格/ジエン骨格):33/67]を得た。
Mn=16,000、Mw/Mn=1.8であった。
【0055】
実施例1~6及び比較例1~3
表1に示す配合処方に従い9種類のゴム組成物を調製した。表1の指示のようにバンバリーーミキサー内でマスターバッチ混練段階を最高温度160℃にて実施した後、最終混練段階を最高温度110℃にて実施し、9種類のゴム組成物を得た。
これらのゴム組成物を以下の評価方法で評価した。
【0056】
引張試験
JIS K 6251:2010「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムー引張特性の求め方」に準拠し、ダンベル状3号形試験片を作製し、室温(23℃)(23℃)、引張速度500mm/minにて、切断時伸び(Eb)、引張強さ(TS)、タフネス(TF)及び50%伸び引張応力(M50)を測定した。、
【0057】
動的粘弾性試験
ネッチガボ社製、イプレクサー 25N~500Nを用い、23℃、初期歪20%、動歪6%、周波数10Hzにて、動歪6%における動的引張貯蔵弾性率(6%E’)及び動歪6%における動的引張損失弾性率(6%E”)を測定した。
【0058】
耐亀裂成長性
引張試験装置(株式会社島津製作所)を使用し、JIS K6252-1:2015に従い、トラウザ形試験片にて、引裂強さ(単位:kN/m)を測定した。
【0059】
【表1】

【0060】
表1に記載された各種原材料の詳細を下記します。
*1:ポリブタジエン150L(cis-1,4結合:98wt%)、宇部興産(株)製
*2:液状ポリブタジエンRicon130(1,2ビニル結合:28wt%、Mn:2500)、CRAY VALLEY社製
*3:PB-PU I:製造例1で製造されたPBD/cis-PUコポリマーIである。
*4:PB-PU II:製造例2で製造されたPBD/cis-PUコポリマーIIである。
*5:PB-PU III:製造例3で製造されたPBD/cis-PUコポリマーIIIである。
*6:PB-PU IV:製造例4で製造されたPBD/cis-PUコポリマーIVである。
*7:PB-PU V:製造例5で製造されたPBD/cis-PUコポリマーVである。
*8:ステアリン酸:商品名「ステアリン酸50S」、新日本理化株式会社製
*9:老化防止剤6C:N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、商品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業(株)製
*10:ジクミルパーオキシドDCP 40%(タルク:60%)、商品名「パークミルD-40」、日本油脂(株)製
*11:ビスマレイミド:N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、商品名「サンフェルBM」、三新化学工業(株)製
*12:酸化亜鉛:堺化学工業(株)製
【0061】
表1の結果から、明らかなように、PB-PU I~PB-PU Vを配合したゴム組成物は、PB-PUを配合しないゴム組成物と比較して、耐亀裂成長性が非常に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のゴム組成物は、耐破壊特性、特に、耐亀裂成長性に優れるので、空気入りタイヤの各種部材、例えば、サイドウォール、ベルトコーティングゴム、プライコーティングゴムとして好適に用いられる。
また、タイヤ以外の用途、例えば、防振ゴム、免振ゴム、クローラ、ベルト、ホースの各種部材にも好適に用いられる。