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特許7372265水溶性ポリビニルアルコールブレンドフィルム、関連方法、および関連物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】水溶性ポリビニルアルコールブレンドフィルム、関連方法、および関連物品
(51)【国際特許分類】
   C08L 29/04 20060101AFI20231024BHJP
   C08L 101/14 20060101ALI20231024BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20231024BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20231024BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20231024BHJP
   B65D 65/46 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
C08L29/04 Z
C08L101/14
C08K3/00
C08K5/00
C08J5/18 CEX
B65D65/46
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020561799
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 US2019027310
(87)【国際公開番号】W WO2019212722
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】62/666,082
(32)【優先日】2018-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508122415
【氏名又は名称】モノソル リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】チルダーズ ジェニファー エル
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ブロンビー パーシー ザ セカンド
(72)【発明者】
【氏名】ニシミ アキオ
(72)【発明者】
【氏名】アサダ ミツノリ
(72)【発明者】
【氏名】リー デイヴィッド エム
【審査官】山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-531603(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0102278(US,A1)
【文献】特表2017-535664(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0226338(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G、C08K、C08L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性フィルムであって、
ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドであって、
第1のアニオン性モノマー単位を含む第1のPVOHコポリマーであって、前記第1のアニオン性モノマー単位が、無水マレイン酸またはレイン酸のアルカリ金属塩を含み、前記第1のアニオン性モノマー単位が、1モル%~3モル%の範囲内の量で、前記第1のPVOHコポリマー中に存在する、第1のPVOHコポリマーと、
第2のアニオン性モノマー単位を含む第2のPVOHコポリマーであって、前記第2のアニオン性モノマー単位が、無水マレイン酸またはレイン酸のアルカリ金属塩を含み、前記第2のアニオン性モノマー単位が、3モル%~10モル%の範囲内の量で、前記第2のPVOHコポリマー中に存在する、第2のPVOHコポリマーと、を含み、
前記第1のPVOHコポリマーが、前記PVOH樹脂ブレンドの総重量に基づいて、10重量%~70重量%の範囲内の量で前記ブレンド中に提供され、前記第1のPVOHコポリマー中に存在する第1のアニオン性モノマー単位の前記量が、前記第2のPVOHコポリマー中に存在する第2のアニオン性モノマー単位の前記量とは異なる、PVOH樹脂ブレンドを含む、水溶性フィルム。
【請求項2】
前記第1および第2のPVOHコポリマーが、ペンダント基を含み、前記第1のPVOHコポリマーが、第1のレベルのペンダント基(a1)を有し、前記第2のPVOHコポリマーが、第2のレベルのペンダント基(a2)を有し、a1とa2との間の差が、2モル%~15モル%の範囲内である、請求項1に記載の水溶性フィルム。
【請求項3】
前記第1のPVOHコポリマーが、前記PVOH樹脂ブレンドの総重量の10重量%~40重量%の範囲内の量で存在する、請求項1~2のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項4】
前記第1および第2のPVOHコポリマーが、ペンダント基を含み、前記第1のPVOHコポリマーが、第1のレベルのペンダント基を有し、前記第2のPVOHコポリマーが、第2のレベルのペンダント基を有し、前記第1のペンダント基および前記第2のペンダント基が、合わせて8モル%~25モル%の範囲内の合計量で存在する、請求項1~3のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項5】
前記第1のPVOHコポリマーが、第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込み(b1)を有する無水マレイン酸コポリマーであり、前記第2のPVOHコポリマーが、第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込み(b2)を有する無水マレイン酸コポリマーであり、b1とb2との間の差が、1モル%~3モル%の範囲内である、請求項1~4のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項6】
前記第1のPVOHコポリマーが、英国規格EN ISO 15023-2:2006 Annex E Brookfield試験法に記載のように、20℃の4%ポリビニルアルコール水溶液の新たに作製した溶液をULアダプタ付きのBrookfield LV型粘度計を使用して測定することによって決定される、20℃で、4cP~30cPの範囲内の4%溶液粘度を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項7】
前記第2のPVOHコポリマーが、英国規格EN ISO 15023-2:2006 Annex E Brookfield試験法に記載のように、20℃の4%ポリビニルアルコール水溶液の新たに作製した溶液をULアダプタ付きのBrookfield LV型粘度計を使用して測定することによって決定される、20℃で、12cP~30cPの範囲内の4%溶液粘度を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項8】
前記PVOH樹脂ブレンドが、前記第1のPVOHコポリマーおよび前記第2のPVOHコポリマーからる、請求項1~7のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項9】
前記水溶性フィルムが、PVOHポリマー以外である少なくとも第3の水溶性ポリマーをさらに含み、前記第3の水溶性ポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、デンプン、変性デンプン、グアーガム、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、ポリアクリレート、ポリアクリレート塩、および前述のもののうちのいずれかのコポリマーのうちの1種以上から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項10】
前記水溶性フィルムが、可塑剤、可塑剤相溶化剤、潤滑剤、剥離剤、フィラー、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、粘着性低減剤、消泡剤、ナノ粒子、漂白剤、および界面活性剤のうちの1種以上から選択される助剤をさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項11】
92上の分子量を有する第1の可塑剤、および150上の分子量を有する第2の可塑剤を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項12】
少なくとも2phrの量でフィラーをさらに含み、前記フィラーが、充填剤、ブロッキング防止剤、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項13】
前記第1のPVOHコポリマーが、無水マレイン酸モノマー、およびレイン酸のアルカリ金属塩のうちの1種以上から選択される第1のアニオン性モノマー単位を含み、
前記第1のPVOHコポリマーが、前記PVOH樹脂ブレンドの総重量の10重量%~70重量%の範囲内の量で存在し、
前記第2のPVOHコポリマーが、無水マレイン酸、およびレイン酸のアルカリ金属塩のうちの1種以上から選択される第2のアニオン性モノマー単位を含み、
前記第2のPVOHコポリマーが、前記PVOH樹脂ブレンドの総重量の30重量%~90重量%の範囲内の量で存在し、
1とa2との間の差が、3モル%~6モル%の範囲内であり、
1が、3モル%~6モル%の範囲内であり、
2が、7モル%~9モル%の範囲内であり、
前記第1のペンダント基および前記第2のペンダント基が、合わせて10モル%~15モル%の範囲内の合計量で存在する、請求項2~12のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【請求項14】
物品であって、
内部パウチ容積を画定するパウチの形態の、請求項1~13のいずれかに記載の水溶性フィルムを含む物品。
【請求項15】
前記内部パウチ容積に収容された組成物をさらに含み、前記組成物が、液体組成物である、請求項14に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、水溶性フィルムおよび関連するパケットに関する。より具体的には、本開示は、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂のブレンドを含み、液体、固体、またはそれらの組み合わせとの接触に使用され得、低分子量ポリオールなどの液体組成物を封入する場合に、フィルムの溶解性を損なうことなく、フィルムの剛性の維持およびパウチの緊張性の維持などの1つ以上の利益を有するポリビニルアルコール系水溶性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性ポリマーフィルムは、送達される材料の分散、注入、溶解、および投与を単純化する包装材料として一般的に使用される。例えば、水溶性フィルムで作製されたパウチは、洗濯洗剤および食器用洗剤などの家庭用ケア組成物を包装するために一般的に使用される。消費者は、このパウチに入れられた組成物をバケツ、シンク、または洗浄機などの混合容器に直接添加することができる。有利なことに、これは、消費者がその組成物を計量する必要性をなくすと同時に正確な投与を提供する。このパウチに入れられた組成物は、ボトルからの液体洗濯洗剤の注入などの、容器からの類似の組成物の分注に関連する汚れも低減することができる。要するに、可溶性の予め計量されたポリマーフィルムパウチは、種々の用途における消費者の使用に利便性を提供する。
【0003】
現在市販されているパウチを作製するために使用されるいくつかの水溶性ポリマーフィルムは、パウチの構成成分(例えば、洗剤)と相互作用し、これは、パウチの特性、例えば、フィルムの剛性を維持する能力に影響を与える。例えば、パウチは、液体洗剤組成物で一般的に使用される液体溶媒、および低分子量ポリオールなどの、その中の内容物と接触したとき、経時的にフィルムが軟化することを実証し得る。そのような軟化は、例えば、パウチの緊張性を低減し、パウチに緩く垂れ下がった外観および感触を付与し得る。別の種類の問題では、フィルムの透明度は、フィルムを通って移動するパウチの構成成分のブルーミング効果によって影響を受ける場合がある。別の種類の問題では、フィルムの溶解度は、その中の内容物と接触したとき、経時的に減少し、洗浄後に残る望ましくない残留物を生じ得る。別の種類の問題では、フィルムの機械的特性は、その中の内容物と接触したとき、経時的に変化し、フィルムの望ましくない硬化またはフィルムの脆性の増加を生じ得る。
【0004】
加えて、2014年12月5日の委員会規制(EU)No.1297/2014号は、物質および混合物の分類、表示、およびパッケージングに関する欧州議会および理事会の規制(EC)No.1272/2008号を、技術的および科学的進歩への適応のために、可溶性パッケージングに収容される単回使用用量の消費者用液体洗濯洗剤に対して追加の規定を要求するように補正した。これらの規定の中には、可溶性パッケージングを20℃の水中に置いたときに、可溶性パッケージがその液体内容物を少なくとも30秒間保持しなければならないという必要条件があった。当然、パウチの内容物を放出するために、フィルムはその後崩壊し、好ましくは完全に溶解しなければならない。
【0005】
したがって、水溶性であり、液体組成物を保持するためのパッケージに形成され得、熱成形または垂直形態充填され得、水溶性フィルムの最終的な溶解性を損なうことなく、フィルムの剛性を維持し、緊張のままであり、かつ/または許容可能な透明度特性を維持する水溶性フィルムの必要性が当技術分野で存在する。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一態様は、第1のアニオン性モノマー単位を含む第1のPVOHコポリマーであって、第1のアニオン性モノマー単位が、無水マレイン酸または無水マレイン酸のアルカリ金属塩を含み、第1のアニオン性モノマー単位が、約1モル%~約3モル%の量で、第1のPVOHコポリマー中に存在する、第1のPVOHコポリマーと、第2のアニオン性モノマー単位を含む第2のPVOHコポリマーであって、第2のアニオン性モノマー単位が、約3モル%~約10モル%の量で、第2のPVOHコポリマー中に存在する、第2のPVOHコポリマーと、を含むポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む水溶性フィルムを提供し、第1のPVOHコポリマー中に存在する第1のアニオン性モノマー単位の量は、第2のPVOHコポリマー中に存在する第2のアニオン性モノマー単位の量とは異なり、任意選択的に、第1のPVOHコポリマーは、PVOH樹脂ブレンドの総重量に基づいて、約10重量%~約70重量%の範囲内の量でブレンド中に提供される。
【0007】
本開示の別の態様は、内部パウチ容積を画定するパウチの形態の本開示の水溶性フィルムを含み、任意選択的に、内部パウチ容積内の液体組成物を含む物品を提供する。
【0008】
さらなる態様および利点は、以下の詳細な説明の考察から当業者に明らかとなるであろう。フィルム、パウチ、およびそれらの作製方法は、様々な形態の実施形態を許容する一方で、本開示は例示的なものであり、本発明を本明細書に記載の特定の実施形態に限定することを意図しないという理解の下で、以下の説明には具体的な実施形態が含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本明細書に記載の液体放出試験(Liquid Release Test)に使用するためのワイヤーフレームケージ(その中に収容された水溶性パウチをより良好に例示するために、上部を開口して示されている)の図である。
図2】スタンド上に置かれたビーカーを含む、液体放出試験を実施するための装置を示し、スタンドは、ケージをビーカーの中に下げるためのロッドを保持し、ロッドは、位置決めねじ(図示せず)付きのカラーによって固定可能である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様は、第1のアニオン性モノマー単位を含む第1のPVOHコポリマーであって、第1のアニオン性モノマー単位が、無水マレイン酸または無水マレイン酸のアルカリ金属塩を含み、第1のアニオン性モノマー単位が、約1モル%~約3モル%の量で、第1のPVOHコポリマー中に存在する、第1のPVOHコポリマーと、第2のアニオン性モノマー単位を含む第2のPVOHコポリマーであって、第2のアニオン性モノマー単位が、約3モル%~約10モル%の量で、第2のPVOHコポリマー中に存在する、第2のPVOHコポリマーと、を含むポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む水溶性フィルムを提供し、第1のPVOHコポリマーは、PVOH樹脂ブレンドの総重量に基づいて、約10重量%~約70重量%の範囲内の量でブレンド中に提供され、第1のPVOHコポリマー中に存在する第1のアニオン性モノマー単位の量は、第2のPVOHコポリマー中に存在する第2のアニオン性モノマー単位の量とは異なる。
【0011】
実施形態では、第1のPVOHコポリマーは、PVOH樹脂ブレンドの総重量の約10重量%~約40重量%の範囲内の量で存在する。実施形態では、第2のPVOHコポリマーは、PVOH樹脂ブレンドの総重量の約30重量%~約90重量%、または約60重量%~約80重量%の範囲内の量で存在する。
【0012】
本開示の実施形態では、第1および第2のPVOHコポリマーは、アニオン性モノマー単位によって提供されるペンダント基を含む。本明細書で使用される場合、ペンダント基は、ビニルエステルと共重合する任意のモノマーからのペンダント基を含み、ビニルエステルからの残留エステル基または加水分解されたエステル基を含まない。例えば、酢酸ビニルの重合からのアセテート基、および残留アセテート基の加水分解から形成されるヒドロキシル基は、ペンダント基とはみなされない。実施形態では、第1のPVOHコポリマーは、第1のレベルのペンダント基(a1)を有し、第2のPVOHコポリマーは、第2のレベルのペンダント基(a2)を有し、a1とa2との間の差は、約2モル%~約15モル%である。第1のペンダント基および第2のペンダント基は、合わせて約8モル%~25モル%の範囲内の合計量で存在し得る。実施形態では、第1のPVOHコポリマーは、第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込み(b1)を有する無水マレイン酸コポリマーであり、第2のPVOHコポリマーは、第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込み(b2)を有する無水マレイン酸コポリマーであり、b1とb2との間の差が、約2~3モル%である。実施形態では、第1のPVOHコポリマーは、20℃で、約4cP~約30cPの範囲内の4%溶液粘度を有する。実施形態では、第2のPVOHコポリマーは、20℃で、約12cP~約30cPの範囲内の4%溶液粘度を有する。
【0013】
実施形態では、水溶性フィルムは、溶解チャンバー試験(「DC残留物」)によって測定される場合、約20重量%以下の残留物値を有する。実施形態では、水溶性フィルムは、比較フィルムの膨潤比値の60%以下である膨潤比値を有し、比較フィルムは、同一であるが、第2のPVOHコポリマーが唯一の樹脂であり、比較フィルム中のその第2のPVOHコポリマーの量は、本発明の水溶性フィルム中の樹脂の総量に等しい。
【0014】
実施形態では、PVOH樹脂ブレンドは、第1のPVOHコポリマーおよび第2のPVOHコポリマーから本質的になる。実施形態では、水溶性フィルムは、PVOHポリマー以外である少なくとも第3の水溶性ポリマーをさらに含む。実施形態では、第1のPVOHコポリマーおよび第2のPVOHコポリマーは、各々独立して、約75%~約99%の範囲内の加水分解度を有する。
【0015】
実施形態では、第1のPVOHコポリマーは、無水マレイン酸モノマー、および無水マレイン酸のアルカリ金属塩のうちの1種以上から選択される第1のアニオン性モノマー単位を含み、第1のPVOHコポリマーは、PVOH樹脂ブレンドの総重量の約10重量%~約70重量%の範囲内の量で存在し、第2のPVOHコポリマーは、無水マレイン酸、および無水マレイン酸のアルカリ金属塩からなる群から選択される第2のアニオン性モノマー単位を含み、第2のPVOHコポリマーは、PVOH樹脂ブレンドの総重量の約30重量%~約90重量%の範囲内の量で存在し、a1とa2との間の差は、約3モル%~約6モル%であり、a1は、約3モル%~約5モル%の範囲内であり、a2は、約7モル%~約9モル%の範囲内であり、第1のペンダント基および第2のペンダント基は、合わせて約2モル%~15モル%の範囲内の合計量で存在する。
【0016】
実施形態では、第1のPVOHコポリマーは、無水マレイン酸モノマー単位を含み、PVOH樹脂ブレンドの総重量の約10重量%~約60重量%の範囲内の量で存在し、水溶性フィルムは、少なくとも30PHRの量で可塑剤をさらに含む。
【0017】
実施形態では、第1のPVOHコポリマーは、無水マレイン酸モノマー単位を含み、PVOH樹脂ブレンドの総重量の約10重量%~約60重量%の範囲内の量で存在し、水溶性フィルムは、92g/モル以上のモル質量を有する第1の可塑剤、および150g/モル以上のモル質量を有する第2の可塑剤をさらに含む。任意選択的に、水溶性フィルムは、第3の可塑剤をさらに含み得る。
【0018】
実施形態では、第1のPVOHコポリマーは、無水マレイン酸モノマー単位を含み、PVOH樹脂ブレンドの総重量の約10重量%~約70重量%の範囲内の量で存在し、水溶性フィルムは、充填剤、ブロッキング防止剤、またはそれらの組み合わせから選択される少なくとも2PHRのフィラーをさらに含む。
【0019】
本開示の別の態様は、内部パウチ容積を画定するパウチの形態の本開示の水溶性フィルムを含む物品を提供する。実施形態では、物品は、内部パウチ容積に収容される組成物をさらに含む。任意選択的に、内部パウチ容積に収容される組成物は、液体組成物である。任意選択的に、液体組成物は、液体洗剤である。任意選択的に、液体洗剤は、低分子量ポリオールを含む。任意選択的に、内部パウチ容積に収容される組成物は、固体である。
【0020】
実施形態では、内部パウチ容積に収容される組成物は液体であり、物品は、液体放出試験によって測定される場合、少なくとも30秒の遅延放出時間を有する。実施形態では、内部パウチ容積に収容される組成物は液体であり、物品は、圧縮試験測定によって測定される場合、300N超の圧縮強度を有する。実施形態では、内部パウチ容積に収容される組成物は液体であり、物品は、圧縮試験測定によって測定される場合、2000N未満の圧縮強度を有する。
【0021】
「含む(備える)」は、本明細書で使用される場合、本開示の実施において相まって用いられ得る様々な構成成分、成分、またはステップを意味する。したがって、「含む」という用語は、より限定的な「本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」という用語を包含する。本組成物は、本明細書に開示の必要とされる要素および任意選択的な要素のうちのいずれかを含み得るか、本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなり得る。例えば、熱成形パケットは、フィルムの熱成形特徴の使用のために本明細書に記載のフィルム「から本質的になり」得る一方で、非熱成形フィルム(例えば、フタ部分)、および例えばインクジェット印刷によるフィルム上の任意選択的な印を含む。本明細書において例示的に開示される発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素またはステップの非存在下で、好適に実施され得る。
【0022】
特に明記されない限り、本明細書で言及するすべての百分率、部、および比率は、本開示のフィルム組成物の総乾燥重量またはパケット内容組成物の総重量に基づいて、本件では、測定はすべて、約25℃で行う。特に明記されない限り、列挙された成分に関連するかかる重量はすべて、活性レベルに基づくものであり、したがって、市販の材料に含まれ得る担体または副生成物を含まない。
【0023】
本明細書に記載されるすべての範囲は、すべての可能なサブセットの範囲およびそのようなサブセットの範囲の任意の組み合わせを含む。デフォルトでは、範囲は、別に記載されない限り、記載される終了点を含む。値の範囲が提供されている場合、その範囲の上限と下限との間の各々の間の値、およびその記載される範囲内の任意の他の記載される値または間にある値は、本開示内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は独立して、そのより小さな範囲内に含まれ得、また、記載される範囲内の任意の具体的に除外される限界値に従って、本開示内に包含される。記載される範囲がこれらの限界値のうちの1つまたは両方を含む場合、これらの含まれる限界値のいずれかまたは両方を除く範囲も、本開示の一部であることが考慮される。
【0024】
例えば、記載される目的物のパラメータまたは記載される目的物に関連付けられた範囲の一部として、本明細書に記載される任意の数値の場合、説明の一部を形成する代替物は、特定の数値の周辺の機能的に等価の範囲であることが明白に考慮される(例えば、「40mm」として開示された寸法について、考慮される別の実施形態は「約40mm」である)。
【0025】
明細書で使用される場合、パケット(複数可)およびパウチ(複数可)という用語は、互換性があるとみなされるべきである。特定の実施形態では、パケット(複数可)およびパウチ(複数可)という用語は、それぞれ、フィルムを使用して作製された容器、および好ましくは、例えば、計量された用量の送達系の形態で、その中に密封された材料を有する、完全に密封された容器を指すために使用される。密封パウチは、ヒートシール、溶剤接着、および接着密封(例えば、水溶性接着剤を用いて)などのプロセスおよび特徴を含む、任意の好適な方法で作製することができる。
【0026】
本明細書で使用される場合、および特に言及されない限り、「重量%(wt.%)」および「重量%(wt%)」という用語は、フィルム中の残留湿度(適用できる場合)を含むフィルム全体の「乾燥」(無水)重量部中の特定の要素の組成、またはパウチ内に内包される全組成物の重量部(適用できる場合)を指すことを意図している。
【0027】
本明細書で使用される場合、および特に言及されない限り、「PHR」(「phr」)という用語は、水溶性フィルム、またはフィルムを作製するために使用される溶液中の水溶性ポリマー樹脂(特に言及されない限り、PVOHまたは他のポリマー樹脂かにかかわらず)の百部当たりの、特定された要素の組成の部を指すことが意図されている。
【0028】
フィルムは、溶液流延法を含む、任意の好適な方法によって作製され得る。フィルムは、垂直型充填封止(VFFS)、または熱成形を含む任意の好適なプロセスによって、容器(パウチ)を形成するために使用され得る。フィルムは、例えば、容器の周囲周辺のフィルム層の溶剤封止またはヒートシールを含む任意の好適なプロセスによって封止され得る。パウチは、例えば、バルク水に送達される材料を投入するために使用され得る。
【0029】
フィルム、パウチ、ならびに関連する作製方法および使用方法は、別に記載しない限り、以下にさらに記載される(実施例および図面に示されるものを含む)1つ以上の追加の任意選択の要素、特徴、およびステップのいずれかの組み合わせを含む、実施形態を含むことが考慮される。
【0030】
任意の実施形態では、水溶性パウチは、組成物を収容(内包)し得る。組成物は、液体、固体、またはそれらの組み合わせから選択することができる。本明細書で使用される場合、「液体」は、自由流動性の液体、ならびにペースト、ゲル、フォーム、およびムースを含む。液体の非限定的な例としては、軽質および重質液体洗剤組成物、布地向上剤、洗濯に一般的に使用される洗剤ゲル、漂白および洗濯添加剤が挙げられる。液体の非限定的な例としては、農業用組成物、自動車用組成物、航空機用組成物、食品および栄養組成物、工業用組成物、家畜用組成物、船舶用組成物、医療用組成物、商業用組成物、軍事および準軍事用組成物、オフィス用組成物、ならびに娯楽および公園用組成物、ペット用組成物、水処理用組成物が挙げられ、任意のかかる使用に適用可能な洗浄組成物および洗剤組成物を含む。気体(例えば懸濁気泡)、または固体(例えば、粒子)は、液体内に含まれ得る。本明細書で使用する「固体」には、粉末、凝集物、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。固体の非限定的な例としては、顆粒、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、および真珠色玉が挙げられる。固体組成物は、これらに限定されないが、スルーザウォッシュ利益、前処理利益、および/または美的効果を含む、技術的利益を提供し得る。
【0031】
洗濯中心の実施形態のいずれかにおいて、組成物は、例えば、液体ライトデューティ液体洗剤組成物および液体ヘビーデューティ液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、布地向上剤、洗濯に一般的に使用される洗剤ゲル、および漂白剤(例えば、有機または無機漂白剤)、および洗濯添加剤の群から選択され得る。
【0032】
水溶性フィルム
本明細書に記載されるフィルムおよび関連するパウチは、水溶性フィルムを含む。一態様では、水溶性フィルムは、アクリル酸アルキル、アルキルアルカクリレート、前述のものの加水分解されたアルカリ金属塩、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される第1のアニオン性モノマー単位を含む第1のPVOHコポリマーと、第2のアニオン性モノマー単位を含む第2のPVOHコポリマーと、を含むポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む。フィルムは、任意の好適な厚さを有し得、約76ミクロン(μm)のフィルム厚が、典型的であり、特に考慮される。考慮される他の値および範囲としては、約5~約200μmの範囲、または約20~約100μm、または約40~約90μm、または約50~約80μm、または約または約60~約65μmの範囲、例えば、65μm、76μm、88μmの値が挙げられる。
【0033】
PVOH樹脂
ポリビニルアルコールは、通常加水分解または鹸化と称されるポリビニルアセテートのアルコール分解により一般に調製される合成樹脂である。実質的にすべてのアセテート基がアルコール基に変換された、完全に加水分解されたPVOHは、強力に水素結合された、高結晶性ポリマーであり、約140°F(約60℃)よりも高温の温水にのみ溶解する。ポリビニルアセテートの加水分解後に十分な数のアセテート基が残存することが可能である、つまりPVOHポリマーが部分的に加水分解される場合、その後、ポリマーは、より弱く水素結合され、それほど結晶性が高くなく、概して、約50°F(約10℃)未満の冷水に溶解する。したがって、部分的に加水分解されたポリマーはPVOHコポリマーであるが一般的にPVOHと称される、ビニルアルコール-ビニルアセテートコポリマーである。
【0034】
具体的には、PVOH樹脂は、アニオン性モノマー単位、ビニルアルコールモノマー単位、および任意選択的にビニルアセテートモノマー単位を含む部分的または完全に加水分解されたPVOHコポリマーを含む。
【0035】
PVOHに基づく水溶性ポリマーフィルムは、溶解特徴の変化を受け得る。コポリ(ビニルアセテートビニルアルコール)ポリマー中のアセテート基は、当業者には、酸加水分解またはアルカリ加水分解のいずれかによって加水分解可能であることが知られている。加水分解度が増加するにつれて、PVOHホモポリマー樹脂から作製されたポリマー組成物は、機械的強度が増加するが、より低い温度で溶解度が低減される(例えば、完全溶解のために熱水温度を必要とする)。したがって、PVOHホモポリマー樹脂をアルカリ環境(例えば、洗濯漂白添加剤から得られる)に曝露すると、樹脂は、所与の水性環境(例えば、冷水媒体)中で迅速かつ完全に溶解するものから、水性環境中でゆっくりかつ/または不完全に溶解するものへと変化し、潜在的に洗濯サイクルの終わりに溶解していないポリマー残留物を生じ得る。これは、市販のPVOHホモポリマー樹脂に代表される酢酸ビニル/アルコールコポリマーのみに基づくフィルムの適用における固有の弱点である。
【0036】
例えば、ビニルアルコール/加水分解メチルアクリレートナトリウム塩樹脂などのペンダントカルボキシル基を有するPVOHコポリマー樹脂は、隣接するペンダントカルボキシル基とアルコール基との間にラクトン環を形成することができ、それ故にPVOHコポリマー樹脂の水溶性を低減させる。洗濯漂白添加剤などの強塩基の存在下では、ラクトン環は、比較的温かく(周囲)高湿度の条件で(例えば、水溶性の高い対応するペンダントカルボキシル基およびアルコール基を形成するラクトン開環反応を介して)数週間にわたって開環し得る。したがって、PVOHホモポリマーフィルムで観察される効果とは反対に、かかるPVOHコポリマーフィルムは、保存中にフィルムとパウチ内部のアルカリ組成物との間の化学的相互作用のためにより可溶性になり得ると考えられる。したがって、パケットが劣化すると、高温(名目上40℃)の洗いサイクル中にパケットが早期にますます溶解しやすくなり得、漂白剤の存在およびその結果生じるpHの影響のためにある特定の洗浄有効成分の効果が低下し得る。
【0037】
所与の用途(例えば、洗浄操作のための組成物がパウチに入った物品)に好適なフィルムの配合では、複数の要因を考慮しなければならない。これらの要因としては、(1)フィルムの強度、フィルムが密封の弱い結合である場合、望ましくは、強度が高いほどより強いパウチ密封に変換される、(2)液体への曝露後のフィルムの弾性率の変化、弾性率の正の変化は、望ましくは、液体組成物を封入するパウチに配合された場合、軟化、緩み、および垂れ下がり、ならびに/または製造中または最終消費者向けパッケージングにおいて互いの上部に積載された場合、変形および他のフィルムへの貼り付きの可能性の低減が提供される、(3)暴露後の液体溶液へのフィルムの膨潤比値、膨潤比値が低いほど、望ましくは、より強いフィルムの剛性、液体溶液への暴露後のフィルム領域(長さx幅)のより小さい変化、ならびに液体組成物を封入するパウチに配合された場合、より大きなパウチの緊張性および軟化、緩み、および垂れ下がりの可能性の低減が提供される、(4)溶解残留物、残留物値が低いほど、望ましくは、積極的な洗浄条件(例えば、低水(例えば、洗濯機の過負荷など)および冷洗浄水条件)の後に、残存する残留フィルムの可能性が低くなる、(5)アニオン変性の程度および種類、ポリマーの特定の変性が、望ましくは、パウチ構成成分、例えば、可塑剤のブルーミング、および/またはフィルムが組成物を封入するパウチに配合される場合、フィルムの軟化のリスクを低減させる、ならびに(6)フィルムの結晶化度、結晶化度値が低いと、望ましくは、積極的な洗浄条件の後に、残存する残留フィルムの可能性が低くなり、結晶化度値が高いと、望ましくは、液体組成物を封入したパウチに配合された場合、軟化、緩み、または垂れ下がりの可能性が低くなる、が挙げられる。多くの場合、PVOHか否かにかかわらず、水溶性ポリマー樹脂は、これらの要因のうちのいくつかに関する好適な特徴を有し得るが、これらの要因の他の特性に関して劣った特徴を有し得る。したがって、フィルムに好ましい特性を有するこれらの要因のうちのすべてではなくとも多くを、水溶性フィルムに提供することが望ましいであろう。
【0038】
これらの要因を考慮すると、本開示は、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンド、および任意選択的に、可塑剤、フィラー、界面活性剤、および以下により詳細に記載されるような他の添加剤を含む1種以上の追加の構成成分を含む水溶性フィルムを含む。PVOH樹脂ブレンドは、1種以上の種類のアニオン性モノマー単位(例えば、PVOHターポリマー(またはコポリマーより多い))を含むPVOHコポリマー(「第1のPVOHコポリマー」)である第1のPVOH樹脂、および1種以上の種類のアニオン性モノマー単位(例えば、PVOHターポリマー(またはコポリマーより多い))を含むPVOHコポリマー(「第2のPVOHコポリマー」)である第2のPVOH樹脂、を含む。いくつかの態様では、PVOH樹脂ブレンドは、第1のPVOHコポリマーおよび第2のPVOHコポリマーのみ(例えば、2種のポリマーの二成分ブレンド)を含む。代替的または追加的には、PVOH樹脂ブレンド、水溶性フィルム、またはその両方は、他のポリマー(例えば、一般的に他の水溶性ポリマー、具体的には他のPVOH系ポリマー、またはその両方)を含まないかまたは実質的に含まないものとして特徴付けられ得る。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」は、第1および第2のPVOHコポリマーが、水溶性フィルム中の水溶性ポリマーの総量の少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも99重量%を構成することを意味する。他の態様では、水溶性フィルムは、1種以上の追加の水溶性ポリマーを含み得る。例えば、PVOH樹脂ブレンドは、第3のPVOHポリマー、第4のPVOHポリマー、第5のPVOHポリマーなど(例えば、アニオン性モノマー単位を含むかまたは含まない、1種以上の追加のPVOHホモポリマーまたはPVOHコポリマー)を含み得る。例えば、水溶性フィルムは、PVOHポリマー以外である(例えば、アニオン性モノマー単位を含むかまたは含まない、PVOHホモポリマーまたはPVOHコポリマー以外の)少なくとも第3(または第4、第5など)の水溶性ポリマーを含み得る。
【0039】
PVOHコポリマー(例えば、樹脂ブレンド中の第1のPVOHコポリマー、第2のPVOHコポリマー、および任意の他のPVOHコポリマー)は、ビニルアルコールモノマー単位、酢酸ビニルモノマー単位(すなわち、完全に加水分解されていない場合)、および単一種類のアニオン性モノマー単位(例えば、単一種類のモノマー単位が、アニオン性モノマー単位の同などの酸形態、塩形態、および任意選択的にエステル形態を含み得る場合)を含むPVOHターポリマーであり得る。いくつかの態様では、PVOHコポリマーは、2つ以上の種類のアニオン性モノマー単位を含み得る。PVOHコポリマーに使用され得るアニオン性モノマー単位の一般的な部類としては、モノカルボン酸ビニルモノマー、そのエステルおよび無水物、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、そのエステルおよび無水物、ならびに前述のもののいずれかのアルカリ金属塩に対応するビニル重合単位が挙げられる。好適なアニオン性モノマー単位の例としては、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル、イタコン酸ジアルキル、無水イタコン酸、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、無水シトラコン酸、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、無水メサコン酸、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、無水グルタコン酸、アクリル酸アルキル、アルキルアルカクリレート、前述のもののアルカリ金属塩、前述のものの加水分解されたアルカリ金属塩、前述のもののエステル、および前述のものの組み合わせを含むビニルアニオン性モノマーに対応するビニル重合単位が挙げられる。
【0040】
ある種類の実施形態では、PVOHは、カルボキシル基変性コポリマーである。別の態様では、PVOHは、ジカルボキシル型のモノマーで変性され得る。これらの実施形態のうちの1つの部類では、両方のカルボニルのα炭素は、不飽和結合(例えば、マレイン酸、フマル酸)に結合している。これらの実施形態のうちの別の部類では、両方のカルボニルのα炭素は不飽和結合に結合し、不飽和結合は、例えばメチル分岐(例えば、シトラコン酸、メサコン酸)でさらに置換される。これらの実施形態のうちの別の部類では、1つのカルボニルのβ炭素および他のカルボニルのα炭素は、不飽和結合(例えば、イタコン酸、cis-グルタコン酸、trans-グルタコン酸)に接続している。アルキルカルボキシル基を提供するモノマーが考慮される。マレイン酸型(例えば、マレイン酸ジアルキル、またはマレイン酸モノメチルを含むマレイン酸モノアルキル)コモノマーが、特に企図される。
【0041】
実施形態では、第1のPVOHコポリマーは、無水マレイン酸、無水マレイン酸のアルカリ金属塩、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される第1のアニオン性モノマーを含む。実施形態では、第2のPVOHコポリマーは、無水マレイン酸、そのアルカリ金属塩、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される第2のアニオン性モノマーを含む。
【0042】
PVOHコポリマー中の1種以上のアニオン性モノマー単位の組み込みレベル(すなわち、PVOHコポリマーのアニオン変性の程度)は、特に限定されない。実施形態では、1種以上のアニオン性モノマー単位は、PVOHコポリマー中に、約1モル%または2モル%~約6モル%または10モル%の範囲内の量(様々な実施形態では、例えば、少なくとも1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、もしくは4.0モル%、および/または最大約3.0、4.0、4.5、5.0、6.0、8.0、もしくは10モル%)で存在する。
【0043】
PVOHコポリマーはまた、コポリマー中に存在するペンダントカルボキシル基のレベルによっても特徴付けられ得る。ペンダントカルボキシル基を有するPVOHコポリマー樹脂は、隣接するペンダントカルボキシル基とアルコール基との間にラクトン環を形成し得る。当該技術分野で既知のように、ラクトン環は、苛性剤の存在下で開環し得る。ラクトン含有ポリマーは、すべてのラクトン環が開環するか、または一部の環のみが開環するように、苛性で処理され得る。例えば、ラクトン環は、PVOH-アクリル酸メチルコポリマー中で形成され、例えば、ラクトン環の70%が開環するように処理され得る。したがって、ペンダント基のレベルは、それらのペンダント基が、遊離であるか、または、例えば、隣接するアルコール基を有するラクトン環の形態であるかに関係なく、コポリマー中へのペンダント基の組み込みのレベルに基づいて、コポリマー中に存在し得るペンダント基の最大量を表す。コポリマー中に存在するペンダント基のレベルは、アニオン性モノマー単位の組み込みのレベルに対応する場合もあれば、対応しない場合もある。例えば、アクリル酸メチルが、5モル%のレベルでPVOHに組み込まれる場合、ラクトン環の70%のみしか開環していなくても(すなわち、3.5モル%)、得られるコポリマーは、約5モル%のペンダント基を有する。加えて、アニオン性モノマーが、無水マレイン酸塩、酸、またはそのエステルなどのジカルボキシレートである場合、コポリマーは、コポリマーに組み込まれたアニオン性モノマー単位当たり2個のペンダント単位を含む。
【0044】
PVOHコポリマー中のペンダント基のレベルは、特に限定されない。実施形態では、ペンダント基は、PVOHコポリマー中に、約0.5モル%、1モル%、2モル%、2.5モル%、または3モル%~約6モル%、または10モル%の範囲内の量(様々な実施形態では、例えば、少なくとも0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、もしくは5.0モル%、および/または最大約3.0、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0、もしくは10モル%)で存在する。PVOH樹脂ブレンドは、約2モル%~約10モル%の範囲内の算術加重平均量のペンダント基
【数1】
を有し得る。すなわち、第1のペンダント基および第2のペンダント基は、合わせて約2モル%~約10モル%、約2モル%~約15モル、約3モル%~約9モル%、約4モル%~約15モル%、または約5モル%~約15モル%の範囲内の合計量で存在する。ペンダント基
【数2】
の算術加重平均は、式
【数3】
によって計算され、式中、Wiは、それぞれのPVOHコポリマーの重量パーセントであり、Piは、PVOHコポリマー中のペンダント基のそれぞれのモル%である。
【0045】
水溶性フィルムは、少なくとも約50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、もしくは90重量%、および/または最大約60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、もしくは99重量%のPVOH樹脂ブレンドを含有し得る。実施形態では、第1のPVOHコポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーおよびPVOHコポリマーの合計の(すなわち、PVOH樹脂ブレンド重量に対して)約10重量%~約70重量%(または約10重量%~約60重量%、約15重量%~約55重量%、または約20重量%~約50重量%、または約10重量%~約50重量%、または約10重量%~約40重量%)の範囲内の量で、水溶性フィルム中に存在する。例えば、第1のPVOHコポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーおよびPVOHコポリマーの合計の少なくとも10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、もしくは50重量%、および/または最大約40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、70重量%、もしくは80重量%の量で存在し得る。実施形態では、代替的または追加的には、第1のPVOHコポリマーの前述の濃度は、フィルム中の水溶性ポリマーの合計含有量、PVOH、または他のものに対する場合がある。
【0046】
実施形態では、第2のPVOHコポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーおよびPVOHコポリマーの合計の(すなわち、PVOH樹脂ブレンド重量に対して)約30重量%~約90重量%(または約40重量%~約90重量%、約65重量%~約85重量%、または約20重量%~約80重量%、または約50重量%~約90重量%、または約60重量%~約90重量%)の範囲内の量で、水溶性フィルム中に存在する。別の態様では、代替的または追加的には、第2のPVOHコポリマーの前述の濃度は、フィルム中の水溶性ポリマーの合計含有量、PVOH、または他のものに対する場合がある。実施形態において、第1のPVOHコポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーおよびPVOHコポリマーの合計の少なくとも10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、もしくは50重量%、および/または最大約40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、70重量%、もしくは80重量%の量で存在し得、第2のPVOHコポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーおよびPVOHコポリマーの合計の少なくとも30重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、もしくは65重量%、および/または最大約60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、もしくは90重量%の量で存在し得る。
【0047】
水溶性フィルムの一態様では、第1のPVOHコポリマーは、アニオン性モノマー単位の第1のレベルの組み込み(すなわち、第1のレベルのアニオン変性)を含み、第2のPVOHコポリマーは、アニオン性モノマー単位の第2のレベルの組み込み(すなわち、第2のレベルのアニオン変性)を含む。様々な実施形態では、アニオン性モノマー単位の第1のレベルの組み込みは、アニオン性モノマー単位の第2のレベルの組み込みとは異なることが理解される。参考までに、第1のPVOHコポリマーは、第1のレベルのペンダント基(a1)およびアニオン性モノマー単位の第1のレベルの組み込み(b1)を有するとして示され、第2のPVOHコポリマーは、第2のレベルのペンダント基(a2)およびアニオン性モノマー単位の第2のレベルの組み込み(b2)を有するとして示される。
【0048】
この態様の改良では、第1および第2のPVOHコポリマーは、a1とa2との間の差が、約0.5モル%~約18モル%(または約1モル%~約18モル%、約2モル%~約16モル%、約3モル%~14モル%、約4モル%~約10モル%、約4モル%~約8モル%、約3モル%~約6モル%、または約4モル%~約5モル%)の範囲内であるように選択され、より一般的には、少なくとも0.5、1、2、もしくは4モル%、および/または最大約1、2、3、4、5、10、12、14、16、もしくは18モル%であり得る。個別には、第1のPVOHコポリマーのペンダント基(a1)のレベルは、約2モル%~約6モル%(もしくは約3モル%~約6モル%、約3モル%~約5モル%、約3モル%~約4モル%、約4モル%~約6モル%、または約2モル%、約2.5モル%、約3モル%、約3.5モル%、約4モル%、約4.5モル%、約5モル%、約5.5モル%、もしくは約6モル%)の範囲内であり得る。代替的または追加的には、第2のPVOHコポリマーのペンダント基(a2)のレベルは、約6モル%~約20モル%(もしくは約6モル%~約16モル%、約6モル%~約10モル%、もしくは約7モル%~約9モル%、または約6モル%、約6.5モル%、約7モル%、約7.5モル%、約8モル%、約8.5モル%、約9モル%、約9.5モル%、約10モル%、約10.5モル%、約11モル%、約11.5モル%、もしくは約12モル%)の範囲内であり得る。
【0049】
実施形態では、第1および第2のPVOHコポリマーは、b11とb2との間の差が、約0.2モル%~約9モル%(および約0.3モル%~約8モル%、約0.4モル%~約7モル%、約0.5モル%~約6モル%、約1モル%~約5モル%、約1.5モル%~約4モル%、約2モル%~約3モル%、例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.6、0.8、1.0、1.25、1.5、1.75、2.0、2.25、2.5、2.75、もしくは3.0モル%、および/または最大約2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0、もしくは9.0モル%)の範囲内であるように選択される。個別には、アニオン性モノマー単位の第1のレベルの組み込み(b1)は、第1のPVOHコポリマー中で、約1モル%~約3モル%(または約1.5モル%~約3モル%、約1.5モル%~約2.5モル%、または約1.5モル%~約2モル%、例えば、約1.75モル%)の範囲内であり得る。代替的または追加的には、アニオン性モノマー単位の第2のレベルの組み込み(b2)は、第2のPVOHコポリマー中で、約3モル%~約10モル%(または約3モル%~約8モル%、約3モル%~約5モル%、約3.5モル%~約4.5モル%、例えば、約4モル%)の範囲内であり得る。
【0050】
本開示の水溶性フィルムに含まれるPVOHホモポリマーおよびPVOHコポリマーの加水分解度(DH)は、約75%~約99%(例えば、約79%~約92%、約88%~92%、約86.5%~約89%、または約88%、90%、91%、もしくは92%、例えば、冷水溶解性組成物については、約90%~約99%、約92%~約99%、約95%~約99%、約98%、約99%、または99%超)の範囲内であり得る。加水分解度が低減すると、樹脂で作製されたフィルムは、機械的強度が低減するが、約20℃未満の温度では溶解度が速くなる。加水分解度が増加すると、ポリマーで作製されたフィルムは、機械的に強くなる傾向があり、熱成形性は低下する傾向がある。PVOHの加水分解度は、ポリマーの水溶性が温度に依存するように選択され得、したがって、ポリマーおよび追加の成分から作製されたフィルムの溶解性も影響を受ける。1つの選択肢では、フィルムは、冷水可溶性である。任意の他のモノマーを含まないコ-ポリ(酢酸ビニルビニルアルコール)ポリマー(例えば、アニオン性モノマーと共重合されていない)については、10℃未満の温度で水に可溶性である冷水可溶性フィルムは、約75%~約90%の範囲内、または約80%~約90%の範囲内、または約85%~約90%の範囲内の加水分解度を有するPVOHを含み得る。別の選択肢では、フィルムは、温水可溶性である。任意の他のモノマーを含まないコ-ポリ(酢酸ビニルビニルアルコール)ポリマー(例えば、アニオン性モノマーと共重合されていない)については、少なくとも約60℃の温度で水に可溶性である温水可溶性フィルムは、少なくとも約98%の加水分解度を有するPVOHを含み得る。
【0051】
樹脂ブレンドの加水分解度はまた、算術加重平均加水分解度
【数4】
によっても特徴付けられ得る。例えば、2つ以上のPVOHポリマーを含むPVOH樹脂の
【数5】
は、式
【数6】
によって計算され、式中、Wiが、対応するPVOHポリマーの重量パーセントであり、Hiが、対応する加水分解度である。
【0052】
PVOHポリマーの粘度(μ)は、英国規格EN ISO 15023-2:2006 Annex E Brookfield試験法に記載のように、新たに作製した溶液をULアダプタ付きのBrookfield LV型粘度計を使用して測定することによって決定される。20℃の4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を述べることが、国際的慣行である。本明細書にセンチポアズ(cP)で指定するすべての粘度は、特に言及されない限り、20℃の4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を指すと理解されるべきである。同様に、ある樹脂が特定の粘度を有する(または有しない)と記載されている場合は、特に言及されない限り、指定された粘度が、対応する分子量分布を本質的に有する樹脂の平均粘度であることを意図する。
【0053】
参考のために、第1のPVOHコポリマーは、20℃で第1の4%溶液粘度(μ1)を有するものとして示され、第2のPVOHコポリマーは、20℃で第2の4%溶液粘度(μ2)を有するものとして示される。様々な実施形態では、第1の粘度μ1は、約4cP~約30cP(例えば、少なくとも約4、8、10、12、もしくは16cP、および/または最大約12、16、20、24、もしくは30cP、例えば、約4cP~約24cP、約10cP~約16cP、または約10cP~約20cP、約20cP~約26cP、または約20cP~約30cP)の範囲内であり得る。代替的または追加的には、第2の粘度μ2は、約4cP~約30cP(例えば、少なくとも約4、8、10、12、もしくは16cP、および/または最大約12、16、20、24、もしくは30cP、例えば、約12cP~約30cP、約10cP~約16cP、または約10cP~約20cP、または約20cP~約30cP)の範囲内であり得る。PVOH樹脂ブレンドが、PVOHポリマーおよびPVOHコポリマー樹脂から選択される3種以上のPVOH樹脂を含む場合、前述の粘度値は、各PVOHポリマーまたはPVOHコポリマーに個別に適用し得る。PVOH樹脂の粘度は、PVOH樹脂の重量平均分子量
【数7】
と相関し、多くの場合、粘度は
【数8】
の代用として使用されることは、当該技術分野において公知である。したがって、第1のPVOHコポリマーおよび第2のPVOHコポリマーを含む水溶性ポリマーの重量平均分子量は、例えば、約30,000~約175,000、または約30,000~約100,000、または約55,000~約80,000の範囲内であり得る。PVOH樹脂ブレンドの平均粘度を指す場合、加重自然対数平均粘度
【数9】
が使用される。2つ以上のPVOHポリマーを含むPVOH樹脂の
【数10】
は、式
【数11】
によって計算され、式中、μιが、対応するPVOHポリマーの粘度である。
【0054】
水溶性フィルムの別の態様では、第1のPVOHコポリマーおよび第2のPVOHコポリマーは、得られる水溶性フィルムが、液体パウチ内容物と接触したとき、フィルムの剛性を維持し、パウチの緊張性を維持し(例えば、緩んで垂れ下がる可能性が低い)、その上、好ましくは、溶解、残留物、および機械的特性をも維持または改善するように、PVOH樹脂ブレンド用に選択される。いくつかの実施形態において、水溶性フィルムは、(a)水溶性フィルムが、溶解チャンバー試験(下記に記載される)によって測定される場合、約20重量%以下、約25重量%以下、約30重量%以下、約35重量%以下、約40重量%以下、約45重量%以下、または約48重量%以下(例えば、約1重量%~約20重量%、約3重量%~約20重量%、約5重量%~約25重量%、約12重量%~約48重量%、約25重量%~約48重量%、約10重量%~約45重量%、約20重量%~約45重量%、または約25重量%~約40重量%の範囲内)の残留物値を有するという特性を有する。いくつかの実施形態では、水溶性フィルムは、(b)水溶性フィルムが、結晶化度試験(下記に記載される)によって測定される場合、少なくとも15%(例えば、約15%~約50%、約15%~約40%、約15%~約35%、約15%~約30%、約15%~約25%、または約15%~約20%の範囲内)の結晶化度値を有するという特性を有する。いくつかの実施形態では、水溶性フィルムは、(c)水溶性フィルムが、作製される場合、フィルムの不透明度に対するパウチ材料のフィルムの不透明度の目視検査によって決定される場合、ブルーミング効果に対して耐性があるという特性を有する。いくつかの実施形態では、水溶性フィルムは、(d)水溶性フィルムが、フィルム膨潤試験(下記に記載される)によって決定される場合、第2のPVOHコポリマーのみを含む同一に調製されたフィルムの膨潤比値の60%以下である膨潤比値を有するという特性を有する。液体パウチ内容物接触したとき、フィルムの剛性を維持し、パウチの緊張性を維持する(例えば、緩んで垂れ下がる可能性が低い)水溶性フィルムを提供するために、特性(a)から(d)の各々が満たされる必要はなく、好ましくは、溶解性、残留物、および機械的特性を維持または改善することが理解されるであろう。例えば、フィルムの剛性の維持およびパウチの緊張性の維持を実証する、15%未満の結晶化度値を有する水溶性フィルムは、例えば、フィルム中に提供される可塑剤の種類および/または量を変更することによって設計され得る。様々な実施形態では、水溶性フィルムは、特性(a)および(b)、(a)および(c)、(a)および(d)、(b)および(c)、(b)および(d)、(c)および(d)、(a)および(b)および(c)、(a)および(b)および(d)、(a)および(c)および(d)、(b)および(c)および(d)、または(a)および(b)および(c)および(d)を有する。一般に、前述の特性を示す水溶性フィルムは、液体組成物(例えば、液体洗濯洗剤)への曝露前の特性を示し、液体組成物への曝露後も前述の特性を維持する。本開示の水溶性フィルムは、特性が、前記特性について本明細書に開示される範囲内にある値を、液体組成物への曝露後に有する場合、液体組成物への曝露後に特性を「維持」する。本開示の水溶性フィルムは、液体組成物への曝露後の特性について、液体組成物への曝露前にフィルムが示したものと正確に同じ値を維持する必要はない。例えば、ある種類の実施形態では、曝露後の特性は、元の値の20%以内、または10%以内であり得、その特性について依然として本明細書に開示された範囲内にあり得る。
【0055】
本開示によるPVOH樹脂ブレンドは、樹脂ブレンドに含まれるPVOHコポリマーが、物理的または化学的特性のうちの1つ以上に対して個別に不足している場合であっても、所望の物理的および化学的特性の組み合わせを有する水溶性フィルムの配合を予期せぬことに可能にする。例えば、ブレンド中の各PVOHコポリマーは、特定の特性では少なくとも1つの望ましくない特性を有するが、ブレンドを組み込む水溶性フィルムは、各PVOHコポリマーの特定の特性に望ましい特性を達成する。例えば、PVOH樹脂ブレンドは、対応する第1のPVOHコポリマー水溶性フィルムが、特性(a)を有し、対応する第2のPVOHコポリマー水溶性フィルムが、特性(a)を有さないように、第1および第2のPVOHコポリマーを含み得る。代替的または追加的には、PVOH樹脂ブレンドは、対応する第1のPVOHコポリマー水溶性フィルムが、特性(b)を有さず、対応する第2のPVOHコポリマー水溶性フィルムが、特性(b)を有するように、第1および第2のPVOHコポリマーを含み得る。代替的または追加的には、PVOH樹脂ブレンドは、対応する第1のPVOHコポリマー水溶性フィルムが、特性(c)を有さず、対応する第2のPVOHコポリマー水溶性フィルムが、特性(c)を有するように、第1および第2のPVOHコポリマーを含み得る。代替的または追加的には、PVOH樹脂ブレンドは、対応する第1のPVOHコポリマー水溶性フィルムが、特性(d)を有さず、対応する第2のPVOHコポリマー水溶性フィルムが、特性(d)を有するように、第1および第2のPVOHコポリマーを含み得る。対応するPVOHコポリマーは、水溶性ポリマー樹脂として、第1のPVOHコポリマーまたは第2のPVOHコポリマーのみを含有するが、それ以外は同じ種類および量の可塑剤および他の添加剤を含み、同じ厚さを有するなどの水溶性フィルムを示す。
【0056】
他の水溶性ポリマー
第1および第2のPVOHコポリマーに加えて使用するための他の水溶性ポリマーとしては、PVOHホモポリマーと称されることもあるビニルアルコール-酢酸ビニルコポリマー、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、水溶性天然ポリマー、例えば、グアーガム、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、およびデンプンが挙げられるが、これらに限定されないもの、水溶性ポリマー誘導体、例えば、変性デンプン、エトキシル化デンプン、およびヒドロキシプロピル化デンプンが挙げられるが、これらに限定されないもの、前述のもののコポリマー、ならびに前述のもののうちのいずれかの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。さらに他の水溶性ポリマーとしては、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、およびそれらの塩、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸、およびそれらの塩、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。このような水溶性ポリマーは、PVOHか否かにかかわらず、種々の供給業者から市販されている。
【0057】
実施形態では、PVOH樹脂ブレンドは、第1のPVOHコポリマーおよび第2のPVOHコポリマーから本質的になる。実施形態では、水溶性フィルムは、PVOHポリマー以外である少なくとも第3の水溶性ポリマーを含む。
【0058】
水溶性フィルムは、これらに限定されないが、可塑剤、可塑剤相溶化剤、界面活性剤、潤滑剤、剥離剤、フィラー、増量剤、架橋剤、粘着防止剤、抗酸化剤、脱粘着剤、消泡剤、層状シリケート型のナノクレイ(例えば、ナトリウムモンモリロナイト)などのナノ粒子、漂白剤(例えば、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、など)、苦味剤(例えば、安息香酸デナトニウム、デナトニウムサッカライド、および塩化デナトニウムなどのデナトニウム塩;オクタアセチルスクロース;キニーネ;ケルセチンおよびナリンゲンなどのフラボノイド;ならびにクアシンおよびブルシンなどのクアシノイド)、および辛味(例えば、カプサイシン、ピペリン、イソチオシアン酸アリル、およびレシンフェラトキシン)などの嫌悪剤、ならびに他の機能的成分などの、他の補助剤および加工助剤を、これらの意図される目的に好適な量で含有し得る。可塑剤を含む実施形態が好ましい。このような薬剤の量は、個別または集合的に、最大約50重量%、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、4重量%、および/または少なくとも0.01重量%、0.1重量%、1重量%、もしくは5重量%であり得る。
【0059】
可塑剤
可塑剤は、材料(通常は樹脂またはエラストマー)に加えられて、(ポリマーのガラス遷移温度を減少させることにより)その材料をより柔軟でより可撓性にし、かつ加工しやすくする液体、固体、または半固体である。ポリマーは、あるいは、ポリマーまたはモノマーを化学的に変性することによって、内部で可塑化し得る。加えてまたはあるいは、ポリマーは、好適な可塑剤の添加によって、外部で可塑化し得る。水は、PVOHおよび水溶性ポリマーを含むがこれに限定されないその他のポリマーに対して非常に効率的な可塑剤として認識されているが、ポリマーフィルムは、低および高相対湿度を含む様々な周囲条件に対して、少なくともある程度の耐性(堅牢性)を有する必要があるため、水の揮発性はその有用性を制限する。
【0060】
可塑剤としては、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、最大400MWのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ソルビトール、2-メチル-1,3-プロパンジオール(MPDiol(登録商標))、エタノールアミン、およびこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましい可塑剤は、グリセリン、ソルビトール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロプレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、またはこれらの組み合わせである。非水可塑剤の総量は、フィルム総量に基づいて、約10重量%~約40重量%、または15重量%~約35重量%、または約20重量%~約30重量%の範囲内、例えば、約25重量%であり得る。グリセリン、ジプロピレングリコール、およびソルビトールの組み合わせが使用され得る。任意選択的に、グリセリンは、約5重量%~約30重量%、または5重量%~約20重量%、例えば、約13重量%の量で使用され得る。任意選択的に、ジプロピレングリコールは、約1重量%~約20重量%、または約3重量%~約10重量%、例えば、6重量%の量で使用され得る。任意選択的に、ソルビトールは、約1重量%~約20重量%、または2重量%~約10重量%、例えば、約5重量%の量で使用され得る。可塑剤の特定の量は、水溶性フィルムの所望のフィルム可塑性特徴および加工性特徴に基づいて、特定の実施形態において選択され得る。低可塑剤レベルでは、フィルムは、脆くなるか、加工が困難になるか、または破断しやすくなり得る。高可塑剤レベルでは、フィルムは、所望の使用には柔らかすぎるか、弱すぎるか、または加工が困難であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、可塑剤は、グリセリン、ソルビトール、およびトリメチロイル(trimethyloyl)プロパンを含み得る。任意選択的に、可塑剤は、30prh以上、または40prh超の量で、例えば、約30prh~約75prh、約30phr~約70phr、約30phr~約60phr、約30phr~約50phr、または約30phr~約45phrの範囲内で含まれ得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、可塑剤は、グリセリン、ソルビトール、および2-メチル-1,3-プロパンジオールを含み得る。任意選択的に、可塑剤は、30phr未満、または25phr未満の量で、例えば、約5phr~約30phr、約10phr~約30phr、約15phr~約30phr、約5phr~約29phr、約5phr~約25phr、約10phr~約25phr、または約15phr~約25phrの範囲内で含まれ得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、可塑剤は、92g/モル以上の分子量を有する第1の可塑剤、および150g/モル以上の分子量を有する第2の可塑剤を含み得る。例えば、第1の可塑剤は、約92g/モル~約149g/モル、約92g/モル~約140g/モル、約92g/モル~約130g/モル、約92g/モル~約120g/モル、約92g/モル~約110g/モル、または約92g/モル~約100g/モルの範囲内の分子量を有し得、第2の可塑剤は、約150g/モル~200g/モル、例えば、約150g/モル~約190g/モル、約160g/モル~約190g/モル、約170g/モル~約190g/モル、または約180g/モル~約190g/モルの範囲内の分子量を有し得る。
【0064】
個々の可塑剤は、画定されたハンセン領域の外側にあるハンセン溶解度パラメータによって特徴付けされ得るが、可塑剤をブレンドすることによって、得られた組み合わせまたは比は、次いで、画定されたハンセン領域内に入り得ることが理解される。したがって、ポリマー樹脂に2種以上の可塑剤が使用される場合、組み合わせは、本明細書に記載されるハンセン溶解度パラメータによって特徴付けられるように選択される。
【0065】
材料の溶解特性は、3つの個々の力、分散力(δD)、極性力(δP)、および水素結合力(δH)によって特徴付けられ得る。式1に示されるように、個々の力は、総凝集エネルギー値(δT)に組み合わせられ得る。
(δT2=(δD2+(δP2+(δH2。(1)
単一の構成成分のための代表的な溶解度パラメータに加えて、ハンセン領域は、個々の溶解度パラメータ(δD)、(δP)、および(δH)を有する球体として、球の範囲を画定する中心と半径RADとして、ハンセン空間で画定され得る。
【0066】
別の態様では、ハンセン領域の画定は、「コア」値をさらに含み得る。コア値は、(δD、δP、δH、およびRADによって画定される)球体の中心が、ある意味で、δD、δP、およびδH方向(+または-)内を移動して、ハンセン領域を拡張し得る量を画定する。したがって、コア値が大きいほど、ハンセン領域が真の球形領域に厳密に近似しなくなる。
【0067】
様々なHSP値を評価するための計算は、HSPIP(現在第4版のHansen Solubility Parametersインターネットサイトから入手可能)などの市販のソフトウェアパッケージを使用して実施され得る。実験的に良好な可塑剤と不十分な可塑剤が試験され得、材料のためのHSP座標δD、δP、およびδHは、実験的に決定され得る。あるいは、個々のHSP座標δD、δP、およびδHは、(HSPIPソフトウェアに含まれている)Y-MB法を使用して計算され得る。HSPパラメータ推定用に選択された方法に関係なく、一貫した方法が、すべての対象の可塑剤およびポリマー構成成分に好適に使用される。例えば、一般的な可塑剤のHSPパラメータが、以下の表に提供される。
【表1】
【0068】
界面活性剤
水溶性フィルムに使用するための界面活性剤は、当該技術分野において公知である。任意には、流延時の樹脂溶液の分散を助けるために界面活性剤が含まれる。本開示の水溶性フィルムに好適な界面活性剤としては、スルホコハク酸ジアルキル、グリセリンとプロピレングリコールとのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のラクチルエステル、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、アルキルポリエチレングリコールエーテル、レシチン、グリセリンとプロピレングリコールとのアセチル化脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸のアセチル化エステル、ミリスチルジメチルアミンオキシド、トリメチルタローアルキルアンモニウムクロリド、第四級アンモニウム化合物、約8~24個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルキルスルフェート、アルキルポリエトキシレートスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、モノエタノールアミン、ラウリルアルコールエトキシレート、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、それらの塩、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
適切な界面活性剤としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性、および双性イオン性クラスが挙げられ得る。好適な界面活性剤としては、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、モノエタノールアミン、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三級アセチレングリコール、およびアルカノールアミド(非イオン性)、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩、および第四級化ポリオキシエチレン化アミン(カチオン性)、約8~24個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルキルスルフェート、アルキルポリエトキシレートスルフェート、およびアルキルベンゼンスルホネート(アニオン性)、ならびにアミンオキシド、N-アルキルベタイン、およびスルホベタイン(双性イオン性)が挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な界面活性剤としては、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、グリセロールおよびプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のラクチルエステル、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、レシチン、グリセロールおよびプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、ならびに脂肪酸のアセチル化エステル、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。様々な実施形態では、水溶性フィルム中の界面活性剤の量は、約0.1重量%~2.5重量%、任意選択的に、約1.0重量%~2.0重量%の範囲である。実施形態では、水溶性フィルム中の界面活性剤の量は、水溶性フィルム中の総水溶性ポリマー100部当たりの部数(phr)で表され、約0.5phr~約4phr、約0.75phr~約3.0phr、約1.0phr~約2.5phr、約1.0phr~約2.0phr、または約1.5phrの範囲内で存在する。
【0070】
界面活性剤は、親水性/親油性バランス(HLB)の観点から特徴付けられ得る。グリフィンの方法は、1954年に記載され(グリフィンWC、”Calculation of HLB Values of Non-Ionic Surfactants,”Journal of the Society of Cosmetic Chemists 5(1954):259)、以下のように非イオン性のHLB値を決定するために当技術分野で使用されている。HLB=20*Mh/M、式中、Mhは、分子の親水性部分の分子質量であり、Mは、分子全体の分子質量であり、0~20のスケールでHLB値を示す。0のHLB値は、完全に親油性/疎水性の分子に対応し、20の値は、完全に親水性/疎油性の分子に対応する。
【0071】
界面活性剤のブレンドは、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアニオン性モノマーを含む水溶性フィルムに有利であることが見出された。したがって、本開示の一態様では、第2のPVOHコポリマーは、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアニオン性モノマーを含み、第1のPVOHコポリマーおよび第2のPVOHコポリマーからのアニオン性ペンダント基の総レベルは、少なくとも約3モル%、少なくとも約3.5モル%、少なくとも約4.0モル%、少なくとも約6モル%、または少なくとも約8モル%であり、水溶性フィルムは、非イオン性界面活性剤、アミンオキシド界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む。前述の態様の改良では、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三級アセチレングリコール、アルカノールアミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。改良では、アミンオキシド界面活性剤は、ジメチルオクチルアミンオキシド、ジメチルデシルアミンオキシド、ジメチルドデシルアミンオキシド、ジメチルテトラデシルアミンオキシド、ジメチルヘキサデシルアミンオキシド、ジメチルオクタデシルアミンオキシド、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される。アミンの供給源は、様々な鎖長のアミンの分布を含み得るので、市販のアミンオキシド界面活性剤は、前述のもののブレンドであり得ることが理解されるであろう。したがって、例として、いくつかの実施形態では、「ジメチルドデシルアミンオキシド」は、アミンオキシドの平均アミンオキシドおよび/または主要部分が、ドデシル鎖を含むアミンオキシドの分布を含み得る。改良では、アニオン性界面活性剤は、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムを含み得る。改良では、カチオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩、第四級化ポリオキシエチレン化アミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。実施形態では、水溶性フィルム中の合計界面活性剤の総量は、約0.5phr~約4phr、約0.75phr~約3.0phr、約1.0phr~約2.5phr、約1.0phr~約2.0phr、または約1.5phrの範囲内である。
【0072】
前述の態様の改良では、水溶性フィルム中に存在する界面活性剤の各々は、界面活性剤の総量の約1重量%~約98重量%、または約10重量%~約80重量%、または約15重量%~約70重量%、または約16重量%~約68重量%、または約17重量%~約42重量%、または約30重量%~約40重量%の範囲内の量で存在し得る。
【0073】
適切な潤滑剤/離型剤には、脂肪酸およびその塩、脂肪アルコール、脂肪エステル、脂肪アミン、脂肪アミンアセテート、ならびに脂肪アミドが含まれ得るが、これらに限定されない。好ましい潤滑剤/離型剤は、脂肪酸、脂肪酸塩、および脂肪アミンアセテートである。ある種類の実施形態において、水溶性フィルム中の潤滑剤/離型剤の量は、約0.02重量%~約1.5重量%、任意で約0.1重量%~約1重量%の範囲であり得る。
【0074】
フィラーは、水溶性フィルムに含まれ得、充填剤、増量剤、ブロッキング防止剤、粘着性低減剤、およびそれらの組み合わせを含み得る。好適なフィラー/充填剤/増量剤/ブロッキング防止剤/粘着性低減剤としては、デンプン、変性デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶性セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、雲母、ステアリン酸およびその金属塩、例えば、ステアリン酸マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい材料は、デンプン、変性デンプン、およびシリカである。ある種類の実施形態において、水溶性フィルム中のフィラー/増量剤/粘着防止剤/脱粘着剤の量は、例えば、約1重量%~約6重量%、または約1重量%~約4重量%、または約2重量%~約4重量%、または約1phr~約6phr、または約1phr~約4phr、または約2phr~約4phrの範囲であり得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、水溶性フィルムは、2phr以上(例えば、2prh~6prまたは2prh~4pr)のフィラーを含み得る。いくつかの実施形態では、フィルムは、2phr以上(例えば、2prh~6prまたは2prh~4pr)のフィラーを含み、フィラーは、充填剤、ブロッキング防止剤、またはそれらの組み合わせを含む。理論に拘束されるつもりはないが、2phr以上(例えば、2prh~6prまたは2prh~4pr)のフィラーを含むことは、可塑剤が、30phr以上の量、例えば、30phr~50phrの範囲内で含まれる場合、フィルムからの可塑剤の滲出または移動を防止するのに有用であり得ると考えられている。
【0076】
ブロッキング防止剤(例えば、SiO2および/またはステアリン酸)は、フィルム中に、少なくとも0.1PHR、もしくは少なくとも0.5PHR、もしくは少なくとも1PHR、または約0.1~5.0PHR、もしくは約0.1~約3.0PHR、もしくは約0.4~1.0PHR、もしくは約0.5~約0.9PHR、もしくは約0.5~約2PHR、もしくは約0.5~約1.5PHR、もしくは0.1~1.2PHR、もしくは0.1~2.7PHRの範囲内、例えば0.5PHR、0.6PHR、0.7PHR、0.8PHR、または0.9PHRの量で存在し得る。
【0077】
ブロッキング防止剤に好適なメジアン粒子径としては、約3~約11ミクロン、または約4ミクロン~約11ミクロン、または約4~約8ミクロン、または約5~約6ミクロンの範囲内、例えば、5、6、7、8、または9ミクロンのメジアン径が挙げられる。好適なSiO2は、水性系で使用するために設計された未処理の合成非結晶質シリカである。
【0078】
水溶性フィルムは、カールフィッシャー滴定によって測定される、少なくとも4重量%、好ましくは約4~約10重量%の範囲の残留水分含有量をさらに有することができる。
【0079】
本開示に従う水溶性フィルムとみなされるためには、フィルムは、約1.5ミル(約0.038mm)の厚さで、MonoSol Test Method MSTM-205に従って、20℃(68°F)の温度の水に300秒以下で溶解する。
【0080】
フィルムの作製方法
1つの企図される部類の実施形態は、水溶性フィルムが、溶液流延法によって形成されることによって特徴付けられる。PVOHの溶剤流延法のためのプロセスは、当技術分野で公知である。例えば、フィルム形成プロセスでは、ポリビニルアルコールポリマーおよび二次添加剤は、溶剤、典型的には、水に溶解され、表面上に計量供給され、ほぼ乾燥されて(または強制乾燥されて)流延フィルムを形成し、次いで得られた流延フィルムを、流延表面から取り外す。プロセスは、バッチ式で実施され得、連続プロセスでより効率的に実施される。
【0081】
ポリビニルアルコールの連続フィルムの形成では、移動している流延表面、例えば連続的に移動している金属ドラムまたはベルト上に溶液の溶液を計量供給し、溶剤が実質的に液体から除去されることを生じ、それによって自己支持性の流延フィルムが形成され、次いで得られた流延フィルムを流延表面から剥ぎ取ることが、従来方法である。
【0082】
任意選択的に、水溶性フィルムは、1つの層または複数の類似した層からなる自立フィルムであり得る。
【0083】
パウチ
本明細書に開示のフィルムは、その中に組成物を収容するパウチを作製するために有用である。パウチ組成物は、粉末、ゲル、ペースト、液体、錠剤、またはそれらの任意の組み合わせなどの任意の形態をとり得る。フィルムはまた、改善された湿潤処理および少ない冷水残留物が望ましい、任意の他の用途にも有用である。フィルムは、パウチの少なくとも1つの側壁、任意選択的にパウチ全体、および好ましくは、少なくとも1つの側壁の外壁を形成する。
【0084】
本明細書に記載のフィルムは、同じフィルムから作製されるか、または他のポリマー材料のフィルムと組み合わせて作製される、2つ以上の区画を有するパケットを作製するためにも使用されてもよい。さらなるフィルムは、例えば、当該技術分野で既知の同じまたは異なるポリマー材料の流延、吹込成形、押出成形、または押出吹込成形により得ることができる。ある種類の実施形態において、追加のフィルムとして使用するのに好適なポリマー、コポリマーまたはこれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸および塩、ポリアミノ酸、またはペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプンおよびゼラチンを含む多糖類、キサンタンガムなどの天然ガム、ならびにカラゲナンから選択される。例えば、ポリマーは、ポリアクリレートおよび水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ならびにそれらの組み合わせから選択され得るか、またはポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびそれらの組み合わせから選択され得る。1つの企図される部類の実施形態は、パケット材料中のポリマーのレベル、例えば、上述のPVOHコポリマーが、上述のように少なくとも60重量%および最大99重量%であることによって特徴付けられる。
【0085】
本開示のパウチは、少なくとも1つの密封された区画を備え得る。それ故に、パウチは、単一の区画または複数の区画を備え得る。水溶性パウチは、界面に密封された2層の水溶性ポリマーフィルムから、またはそれ自体の上に折り重ねられて密封された単一のフィルムによって形成され得る。フィルムのうちの1つまたはその両方とも、上述のPVOHフィルムを含む。フィルムは、水性環境への放出のための任意の所望の組成物を含む内部パウチ容器容積を画定する。組成物は、特に限定されず、例えば、以下に記載の種々の組成物のうちのいずれかを含む。複数の区画を備える実施形態では、各区画は、同一および/または異なる組成物を収容し得る。それにより、組成物は、液体、固体、およびそれらの組み合わせ(例えば、液体中に懸濁した固体)を含むがこれらに限定されない任意の好適な形態をとり得る。実施形態では、パウチは、第1、第2、および第3の区画を備え、これらの各々はそれぞれ、異なる第1、第2、および第3の組成物を収容する。
【0086】
多区画パウチの区画は、同じかまたは異なるサイズ(複数可)および/または容積(複数可)のものでもよい。本多区画パウチの区画は、任意の好適な様式で分離または結合し得る。実施形態では、第2のおよび/または第3のおよび/または後続の区画は、第1の区画に重ね合わせられる。一実施形態では、第3の区画は、第2の区画上に重ね合わせられ得、次いで、第2の区画は、サンドイッチ構成で、第1の区画上に重ね合わせられる。あるいは、第2および第3の区画は、第1の区画上に載せられてもよい。しかしながら、第1、第2、および任意で第3、ならびにそれに続く区画は、並んだ関係で互いにくっつけられてもよいことも同様に想定される。区画は連なって包装され、各区画がミシン目によって個別に分離可能であってもよい。したがって、各区画は、例えば、ある区画からの組成物を用いて布を前処理または後処理するために、エンドユーザによって連なったものの残りから個々に引きちぎられ得る。実施形態では、第1の区画は、例えば、タイヤおよびリム構成で、またはパウチ内パウチ構成で、少なくとも第2の区画によって取り囲まれ得る。
【0087】
実施形態では、多区画パウチは、1つの大きい第1の区画および2つのより小さい区画からなる3つの区画を含む。第2および第3のより小さい区画は、第1のより大きい区画上に載せられる。区画のサイズおよび形状は、この配置が達成可能であるように選択される。区画の幾何学的形状は、同じかまたは異なっていてもよい。実施形態では、第2および任意選択的に第3の区画は各々、第1の区画と比較して、異なる形状(geometry)および形状(shape)を有する。これらの実施形態において、第2および任意で第3の区画は、ある設計において第1の区画上に配置される。このデザインは、例えば、概念もしくは指示を示すために、装飾的、教育的、もしくは例示的であり得、および/または製品の供給元を示すために使用され得る。実施形態では、第1の区画は、周囲が密封された2つの大きい面を有する最大の区画であり、第2の区画はより小さく、第1の区画の1面の表面積の約75%未満、または約50%未満を覆う。第3の区画が存在する実施形態において、前述の構造は同じであり得るが、第2および第3の区画は、第1の区画の1面の表面積の約60%未満、または約50%未満、または約45%未満を覆う。
【0088】
本開示のパウチは、1つ以上の異なるフィルムを含み得る。例えば、単一の区画の実施形態において、パケットは、1つの壁であって、それ自体の上に折り曲げられ、縁で密封された1つの壁、あるいは、縁で一緒に密封された2つの壁でできていてもよい。複数区画の実施形態では、パケットは、任意の所与のパケット区画が単一のフィルムまたは異なる組成物を有する複数のフィルムから作製された壁部を備え得るように、1つ以上のフィルムから作製されてもよい。一実施形態では、多区画パウチは、上外壁、下外壁、および仕切り壁部の少なくとも3つの壁を備える。上外壁および下外壁は、概ね対向し、パウチの外部を形成する。仕切り壁は、パウチの内部にあり、密封線に沿って概ね対向している外側壁に固定される。仕切り壁は、多区画パウチの内部を、少なくとも第1の区画と第2の区画とに分離する。
【0089】
パウチおよびパケットは、任意の好適な装置および方法を使用して作製され得る。例えば、単区画パウチは、当該技術分野で一般的に知られている縦型形成充填、横型形成充填、または回転ドラム充填技術を使用して作製することができる。このようなプロセスは、連続的または断続的のいずれかであり得る。フィルムは、その展性を高めるために、湿潤および/または加熱され得る。方法はまた、フィルムを好適な型に引き込むために真空の使用を伴い得る。フィルムを型に引き込む真空は、フィルムが表面の水平部分上に載せられると、約0.2~約5秒、または約0.3~約3、または約0.5~約1.5秒間適用され得る。この真空は、例えば、10mbar~1000mbarの範囲内、または100mbar~600mbarの範囲内の低圧を提供するようなものであってもよい。
【0090】
パケットが作製される型は、パウチの必要寸法に応じて任意の形状、長さ、幅、および奥行きを有し得る。型はまた、望ましい場合、サイズおよび形状が互いに異なり得る。例えば、最終的なパウチの容積は、約5ml~約300ml、または約10~150ml、または約20~約100mlであり得、型のサイズはそれに応じて調節される。
【0091】
一実施形態では、パケットは、第1および第2の封止区画を備える。第2の封止区画および第1の封止区画が、パウチ内部の仕切り壁を共有するように、第2の区画は、第1の封止区画と概ね重ね合わせられた関係にある。
【0092】
一実施形態では、第1および第2の区画を備えるパケットは、第3の密封された区画をさらに含む。第3の密封された区画および第1の密封された区画が、パウチ内部の仕切り壁を共有するように、第3の密封された区画は、第1の密封された区画と概ね重ね合わせられた関係にある。
【0093】
実施形態では、第1の組成物および第2の組成物は、以下の組み合わせ、液体/液体、液体/粉末、粉末/粉末、および粉末/液体のうちの1つから選択される。
【0094】
いくつかの実施形態では、第1、第2、および第3の組成物は、以下の組み合わせ、固体/液体/液体、および液体/液体/液体の組み合わせのうちの1つから選択される。
【0095】
一実施形態では、単一の区画または複数の密封された区画が、ある組成物を収容する。複数の区画が各々、同じまたは異なる組成物を収容していてもよい。組成物は、液体、粉体、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0096】
一実施形態では、組成物は、任意のそのような使用に適用可能な洗浄組成物および洗剤組成物を含む、液体ライトデューティ液体洗剤組成物および液体ヘビーデューティ液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、手洗いおよび/または機械洗浄用食器洗剤;硬質表面洗浄組成物、布地向上剤、洗濯に一般的に使用される洗剤ゲル、ならびに漂白剤および洗濯添加剤、シャンプーおよびボディウォッシュ、農業用組成物、自動車用組成物、航空機用組成物、食品および栄養組成物、工業用組成物、家畜用組成物、船舶用組成物、医療用組成物、商業用組成物、軍用および準軍事用組成物、オフィス用組成物、ならびに娯楽および公園用組成物、ペット用組成物、水処理用組成物の群から選択され得る。
【0097】
縦型形成、充填、および密封
従来の自動化プロセスの1つは、垂直形態、充填、および密封(VFFS)プロセスを含む。VFFSは、垂直に配向された供給管の周囲にフィルムの単一片を巻き付けるアセンブリ機械などの装置を含む。機械のヒートシールまたは別の方法は、フィルムの対向する縁部を共に固定して側面密封を作製し、フィルムの中空チューブを作製する。続いて、機械のヒートシールまたは別の方法は、底部密封を作製し、それによって、頂部密封が後に形成される開口頂部を有する容器部分を画定する。機械は、特定の量の流動可能な製品を、開口頂端部を通して容器部分に導入する。容器が所望の量の製品を含むと、機械は、例えば別のヒートシール機器にフィルムを前進させて、頂部密封を作製する。最後に、機械はフィルムをカッターに前進させて、頂部密封のすぐ上のフィルムを切断して、充填されたパッケージを提供する。
【0098】
作業中、アセンブリ機械は、ロールからフィルムを前進させてパッケージを形成する。したがって、フィルムは機械を通って容易に進むことができ、機械アセンブリに接着しないか、または加工中に破損するほど脆弱でなはない必要がある。
【0099】
成形、密封、および熱成形
熱成形可能なフィルムは、熱および力の適用を通して成形され得るフィルムである。一般的には、本開示のフィルムは熱成形可能である。
【0100】
当該技術分野で既知のように、フィルムの熱成形は、フィルムを加熱し、(例えば、型内に)それを成形し、次いで、そのフィルムを冷却し、それによってフィルムが、その形状、例えば、その型の形状を保持するであろうプロセスである。熱は、任意の好適な手段を使用して適用され得る。例えば、フィルムは、フィルムを表面上に供給する前、または表面上に供給されると、加熱要素下に、または熱気の中を通過させることによって直接加熱され得る。あるいは、フィルムは、例えば、表面を加熱することによって、またはフィルム上に熱い物品を適用することによって間接的に加熱され得る。実施形態では、フィルムは、赤外光を使用して加熱される。フィルムは、約50~約150℃、約50~約120℃、約60~約130℃、約70~約120℃、または約60~約90℃の範囲の温度に加熱され得る。熱成形は、次のプロセス:型全体に熱軟化されたフィルムを手動でドレーピングすること、または型に対して軟化されたフィルムを圧力によって成形すること(例えば、真空成形)、または正確に知られている温度を有する新たに押出されたシートを成形およびトリミングステーションへ自動的に高速で送り出すこと(automatic high-speed indexing)、またはフィルムの自動配置、プラグ成形および/もしくは空気圧式伸張(pneumatic stretching)および圧力成形のうちの任意の1つ以上によって実施され得る。
【0101】
あるいは、フィルムは、それを表面上に供給する前に、または表面上に供給されると、任意の好適な手段によって、例えば湿潤剤(水、フィルム組成物の溶液、フィルム組成物のための可塑剤、または前述のものの任意の組み合わせを含む)をフィルム上に噴霧することにより直接的に、または表面を湿潤化することによって、もしくは湿潤物品を間接的にフィルムに適用することによって、湿潤化されてもよい。
【0102】
フィルムが加熱および/または濡らされると、フィルムは、好ましくは真空を使用して、適切な型に引き込まれ得る。成形されたフィルムの充填は、任意の好適な手段を利用することによって達成され得る。実施形態では、最も好ましい方法は、製品の形態および必要な充填速度に依存するであろう。実施形態では、成形されたフィルムは、インライン充填技法によって充填される。次いで、充填された開口しているパケットは、任意の好適な方法によって、第2のフィルムを使用して封鎖され、パウチを形成する。これは、水平位置にある間に、連続的な一定の動作で達成され得る。封鎖は、開口しているパケット全体および上に、第2のフィルム、好ましくは水溶性フィルムを連続的に供給し、次いで、典型的には型間の、したがってパケット間の領域で、好ましくは第1のフィルムおよび第2のフィルムを共に密封することによって、達成され得る。
【0103】
パケットおよび/またはその個々の区画を密封する任意の好適な方法が利用され得る。かかる手段の非限定的例としては、ヒートシール、溶剤溶着、溶剤または湿潤密封、およびそれらの組み合わせが挙げられる。典型的には、密封が形成される領域のみが、熱または溶剤で処理される。熱または溶剤は、任意の方法によって、典型的には封鎖材料上、および典型的には、密封を形成する領域上にのみ適用され得る。溶剤または湿潤密封もしくは溶着が使用される場合、熱も適用されることが好ましい場合がある。湿潤または溶剤密封/溶着の好ましい方法は、型の間の領域上、または封鎖材料上に、溶剤を、例えばこれらの領域上に噴霧またはプリントすることによって、選択的に溶剤を適用することと、次いで、これらの領域上に圧力を適用して、密封を形成することと、を含む。例えば、上述のような、密封ロールおよび密封ベルト(任意選択的に熱も提供する)が使用され得る。
【0104】
次いで、形成されたパウチは、切断装置により切断され得る。切断は、任意の好適な方法を使用して達成され得る。また切断は、好ましくは定速で、かつ好ましくは水平位置で、連続的様式によって行われることが好ましい場合がある。切断装置は、例えば、鋭利な物品、または高温の物品、またはレーザーであってもよく、後者の場合、高温の物品またはレーザーは、フィルム/密封領域を「焼き」切る。
【0105】
多区画パウチの異なる区画は、隣接様式で共に作製され得、得られる結合したパウチは、切断によって分離しても分離しなくてもよい。あるいは、区画は別々に作製することができる。
【0106】
実施形態では、パウチは、a)(上述のように)第1の区画を形成するステップと、b)ステップ(a)で形成された封鎖区画内のうちのいくつかまたはすべての中に凹部を形成して、第1の区画の上に重ねられた第2の成形区画を生成するステップと、c)充填し、第3のフィルムによって第2の区画を封鎖するステップと、d)第1、第2、および第3のフィルムを密封するステップと、e)フィルムを切断して多区画パウチを製造するステップと、を含むプロセスに従って作製され得る。ステップ(b)で形成された凹部は、ステップ(a)で調製された区画に真空を印加することによって達成することができる。
【0107】
実施形態では、第2および/または第3の区画(複数可)は、米国特許出願公開第2014/345064(A1)号または米国特許出願公開第2009/312220(A1)号に記載されているように、別個の工程で作製され得、次いで、第1の区画と組み合わせられる。
【0108】
実施形態では、パウチは、a)第1の形成機械上で第1のフィルムを使用して、任意選択的に熱および/または真空を使用して、第1の区画を形成するステップと、b)第1の区画に第1の組成物を充填するステップと、c)第2の形成機械上で、任意選択的に熱および真空を使用して、第2のフィルムを変形させて第2および任意選択的に第3の成形区画を作製するステップと、d)第2および任意選択的に第3の区画に充填するステップと、e)第2および任意選択的に第3の区画を、第3のフィルムを使用して密封するステップと、f)密封された第2および任意選択的に第3の区画を、第1の区画上に配置するステップと、g)第1、第2、および任意選択的に第3の区画を密封するステップと、h)フィルムを切断して多区画パウチを製造するステップと、を含むプロセスに従って作製され得る。
【0109】
第1および第2の形成機械は、上記のプロセスを行うためのそれらの適合性に基づいて選択されてもよい。実施形態では、第1の形成機械は、好ましくは水平形成機械であり、第2の形成機械は、好ましくは回転ドラム式形成機であり、好ましくは第1の形成機械の上方に位置する。
【0110】
適切な供給ステーションを使用することによって、多数の異なるもしくは特有の組成物および/または異なるもしくは特有の液体、ゲルもしくはペースト組成物を組み込む多区画パウチを製造することが可能であり得ることが理解されるべきである。
【0111】
実施形態では、フィルムおよび/またはパウチは、活性剤、潤滑剤、嫌悪剤、またはそれらの混合物などの好適な材料を噴霧または散布される。実施形態では、フィルムおよび/またはパウチは、例えばインクおよび/または活性剤を用いてその上にプリントされる。
【0112】
パウチの内容物
(例えば、パウチまたはパケットの形態の)本物品は、様々な組成物、例えば、家庭用ケア組成物を収容し得る。多区画パウチは、同じかまたは異なる組成物を各々別個の区画に収容し得る。組成物は、水溶性フィルムの近位にある。組成物は、フィルムから約10cm未満、または約5cm未満、または約1cm未満にあってもよい。典型的に、組成物は、フィルムに隣接しているか、またはフィルムに接触している。フィルムは、その中に組成物を収容する、パウチまたは区画の形態であり得る。
【0113】
本開示のこの特徴は、互いから物理的に分離されるかまたは分割される非相溶性成分(例えば、漂白剤および酵素)を含有する組成物を保持するために利用され得る。かかる仕切りは、有用寿命を延長し得る、および/またはかかる成分の物理的不安定性を減少させ得ると考えられる。加えてまたはあるいは、かかる仕切りは、米国特許出願第8,835,372号に記載のように、審美的利益を提供し得る。
【0114】
布地または家庭用ケア組成物は、布地処理、硬質表面、エアーケア、カーケア、食器洗い、布地コンディショニングおよび軟化、洗濯洗剤、洗濯およびリンス添加および/またはケア、硬質表面洗浄および/または処理、消費者または業務向け用途のための他の洗浄のためものを含む。非家庭用ケア組成物は他の用途に使用される。
【0115】
有用な組成物(例えば、家庭用ケア組成物)の非限定的な例としては、ライトデューティおよびヘビーデューティ液体洗剤組成物、ハード表面洗浄組成物、洗濯に一般的に使用される洗剤ゲル、漂白剤および洗濯添加剤、布地向上剤組成物(布地柔軟剤など)、シャンプー、ボディウォッシュ、および他のパーソナルケア組成物が挙げられる。本パウチに使用する組成物は、液体、固体、または粉末の形態をとり得る。液体組成物は、固体を含み得る。固体には、粉末またはマイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、もしくは1つ以上の真珠大のボールなどの凝集体、またはそれらの混合物が挙げられ得る。かかる固体要素は、洗浄により、または前処理、遅延、もしくは連続放出成分として技術的利益を提供し得、加えてまたはあるいは、審美的効果を提供し得る。
【0116】
他の有用な組成物(例えば、非家庭用ケア組成物)の非限定的な例としては、農業用組成物、航空機用組成物、食品および栄養組成物、工業用組成物、家畜用組成物、船舶用組成物、医療用組成物、商業用組成物、軍事および準軍事用組成物、オフィス用組成物、ならびに娯楽および公園用組成物、ペット用組成物、水処理用組成物が挙げられ、任意のかかる使用に適用可能な洗浄組成物および洗剤組成物を含み、布地および家庭用ケア組成物を除く。本パウチに使用する組成物は、液体、固体、または粉末の形態をとり得る。液体組成物は、固体を含み得る。固体には、粉末またはマイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、もしくは1つ以上の真珠大のボールなどの凝集体、またはそれらの混合物が挙げられ得る。かかる固体要素は、洗浄により、または前処理、遅延、もしくは連続放出成分として技術的利益を提供し得、加えてまたはあるいは、審美的効果を提供し得る。
【0117】
本明細書に記載のフィルムによってカプセル化された組成物は、配合される成分および組成物の目的などの要因に応じて、任意の好適な粘度を有し得る。一実施形態では、組成物は、20s-1の剪断速度および20℃の温度で、100~3,000cP、または300~2,000cP、または500~1,000cPの高剪断粘度値、および1s-1の剪断速度および20℃の温度で、500~100,000cP、または1000~10,000cP、または1,300~5,000cPの低剪断粘度値を有する。粘度の測定方法は、当該技術分野において既知である。本開示によれば、PVOHポリマー溶液以外の組成物の剪断粘度測定は、回転レオメーター、例えば、TA instruments AR550を使用して実施される。この計器は、等方性液体用の約50~60μmの隙間を有する40mmの2°もしくは1°のコーン固定具、または粒子を含有する液体用の1000μmの隙間を有する40mmのフラットスチールプレートを含む。測定は、調整ステップ、ピークホールドおよび連続ランプステップを含むフロー手順を使用して実行される。調整ステップは、20℃での測定温度の設定、10s-1の剪断速度での10秒の予備剪断、および選択された温度での60秒の平衡化を含む。ピークホールドは、20℃で0.05s-1の剪断速度を3分間適用し、10秒ごとにサンプリングすることを含む。連続ランプステップは、20℃で0.1~1200s-1の剪断速度で3分間実施され、完全なフロープロファイルを得る。
【0118】
上述のように、組成物は、非家庭用ケア組成物であり得る。例えば、非家庭用ケア組成物は、農業用組成物、航空機用組成物、食品および栄養組成物、工業用組成物、家畜用組成物、船舶用組成物、医療用組成物、商業用組成物、軍事および準軍事用組成物、オフィス用組成物、ならびに娯楽および公園用組成物、ペット用組成物、水処理用組成物から選択され得、任意のかかる使用に適用可能な洗浄組成物および洗剤組成物を含み、布地および家庭用ケア組成物を除く。
【0119】
ある種類の実施形態では、組成物は、農薬、例えば1種以上の殺虫剤、殺真菌剤、除草剤、有害生物防除剤(pesticide)、殺ダニ剤、忌避剤、誘引剤、枯れ葉剤(defoliament)、植物成長調節剤、肥料、殺細菌剤、微量栄養素、微量元素を含む。好適な農薬および二次薬剤は、米国特許第6,204,223号および同第4,681,228号、ならびに欧州特許第EP0989803(A1)号に記載されている。例えば、適切な除草剤は、パラコート塩(例えば、パラコートジクロライドまたはパラコートビス(メチルサルフェート)、ジクワット塩(例えば、ジクワットジブロミドまたはジクワットアルギン酸塩)、およびグリフォセートまたはその塩またはエステル(例えば、グリホセートイソプロピルアンモニウム、グリホセートセスキナトリウムまたはグリホサートトリメシウム、スルホセートとしても知られている)が挙げられる。不適合な作物保護化学物質の対は、例えば米国特許第5,558,228号に記載のように、別々のチャンバーで使用され得る。使用することができる不適合な対の作物保護化学物質は、例えば、ベンスルフロンメチルとモリネート、2,4-Dとチフェンスルフロンメチル、2,4-Dとメチル2-[[[[N-4-メトキシ-6-メチル-1,3,5-トリアジン-2-イル]-N-メチルアミノ]カルボニル]アミノ]-スルホニル]ベンゾエート、2,4-Dとメトスルフロンメチル、マネブまたはマンコゼブとベノミル、グリホサートとメトスルフロンメチル、トラロメトリンおよび任意の有機リン酸塩、例えばモノクロトホスまたはジメトエート、ブロモキシニルとN-[[4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル]-アミノ]カルボニル]-3-(エチルスルホニル)-2-ピリジン-スルホンアミド、ブロモキシニルとメチル2-[[[[(4-メチル-6-メトキシ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]カルボニル]アミノ]スルホニル]-ベンゾエート、ブロモキシニルとメチル2-[[[[N-(4-メトキシ-6-メチル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-N-メチルアミノ]カルボニル]アミノ]-スルホニル]ベンゾエートが挙げられる。別の関連する種類の実施形態では、組成物は、任意選択的に土壌と一緒に、さらに任意選択的に例えば米国特許第8,333,033号に記載の種類の実施形態を含む、マルチ、砂、ピートモス、ウォータージェリー結晶、および肥料から選択された1つ以上の追加成分と一緒に1つ以上の種子を含み得る。
【0120】
別の種類の実施形態では、組成物は水処理剤である。かかる薬剤としては、例えば米国特許出願公開第2014/0110301号および米国特許第8,728,593号に記載のような、攻撃的な酸化化学物質が挙げられる。例えば、消毒剤(sanitizing agent)には、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸リチウムなどの次亜塩素酸塩、ジクロロイソシアヌル酸(「ジクロル」またはジクロロ-s-トリアジントリオン、1,3-ジクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンとも呼ばれる)およびトリクロロイソシアヌル酸(「トリクロル」または1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンとも呼ばれる)などの塩素化イソシアヌレートを含むことができる。消毒化合物の塩および水和物もまた意図される。例えば、ジクロロイソシアヌル酸は、とりわけ、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物として提供され得る。臭素含有消毒剤はまた、単位用量包装用途での使用に好適であり得、とりわけ1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、ジブロモシアノ酢酸アミド、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、および2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオールなどである。酸化剤は、米国特許第7,476,325号に記載のもの、例えばペルオキシモノ硫酸水素カリウムであり得る。組成物は、例えば、米国特許出願公開第2008/0185347号に記載のようなpH調整化学物質であってもよく、例えば、組成物が水と接触すると、発泡性であり、水のpHを調整するような、酸性構成成分およびアルカリ構成成分が挙げられ得る。好適な成分には、重炭酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、水酸化カリウム、スルファミン酸、有機カルボン酸、スルホン酸、およびリン酸二水素カリウムが含まれる。緩衝剤ブレンドとして、例えば、ホウ酸、炭酸ナトリウム、グリコール酸、およびオキソンモノ過硫酸塩を含み得る。
【0121】
水処理剤は、例えば米国特許出願公開第2014/0124454号に記載のような凝集剤であってもよいか、または凝集剤を含んでもよい。凝集剤は、ポリマー凝集剤を含むことができ、例えばポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドコポリマー例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEM)、3-メチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(MAPTAC)またはアクリル酸の、アクリルアミドコポリマー、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、中性ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリリン酸、ポリスチレンスルホン酸、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。凝集剤は、酢酸キトサン、乳酸キトサン、アジピン酸キトサン、グルタミン酸キトサン、コハク酸キトサン、リンゴ酸キトサン、クエン酸キトサン、フマル酸キトサン、塩酸キトサンおよびこれらの組み合わせから選択することができる。水処理用組成物は、例えばジルコニウム化合物、希土類ランタニド塩、アルミニウム化合物、鉄化合物、またはこれらの任意の組み合わせから選択される一種以上の、リン酸塩除去物質を含むことができる。
【0122】
組成物は、例えば、米国特許出願第2006/0172910号に記載のような水垢除去組成物、例えば、クエン酸、またはマレイン酸、またはそれらの硫酸塩、またはそれらの任意の混合物であり得る。
【0123】
例えば、US RE29059 Eに記載のような例えば羽毛などの微粒子;例えば、米国特許出願公開第2004/0144682号および同第2006/0173430号に記載のような超吸収性ポリマー;例えば、米国特許第3,580,390号および米国特許出願公開第2011/0054111号に記載のような顔料および染色剤;例えば、米国特許第8,163,104号に記載のようなろう付け用フラックス(例えば、アルカリ金属フルオロアルミネート、アルカリ金属フルオロシリケート、およびアルカリ金属フルオロ亜鉛酸塩);米国特許出願公開第2007/0003719号に記載のような食品(例えば、コーヒー粉末または乾燥スープ);ならびに例えば、米国特許第4,466,431号に記載のような創傷包帯を含む、様々な他の種類の組成物は、本明細書に記載のパケットへの使用を考慮される。
【0124】
洗濯組成物、洗濯添加剤組成物、および/または布地向上剤組成物を含むパウチでは、組成物は、以下の非限定的な成分のリスト、布地ケア有益剤;洗浄酵素;付着助剤;レオロジー調整剤;ビルダー;漂白剤(bleach);漂白剤(bleaching agent);漂白剤前駆体;漂白ブースター;漂白触媒;香水および/または香水マイクロカプセル(例えば、米国特許第US 5,137,646号を参照されたい);香水を充填したゼオライト;デンプンカプセル化アコード;ポリグリセリンエステル;美白剤;真珠光沢剤;酵素安定化系;アニオン性染料の固定剤、アニオン性界面活性剤の錯化剤、およびそれらの混合物を含む捕捉剤;蛍光増白剤または蛍光剤;汚れ放出ポリマーおよび/または汚れ懸濁ポリマーを含むが、これらに限定されないポリマー;分散剤;消泡剤;非水溶媒;脂肪酸;泡抑制剤、例えば、シリコーン泡抑制剤(米国特許公開第2003/0060390(A1)号、65-77を参照されたい);カチオン性デンプン(米国特許公開第US 2004/0204337(A1)号および米国特許公開第US 2007/0219111(A1)号を参照されたい);スカム分散剤(米国特許公開第US 2003/0126282(A1)号、89-90を参照されたい);直接染料;色相染料(米国特許公開第US 2014/0162929(A1)号を参照されたい);着色剤;乳白剤;酸化防止剤;トルエンスルホネート、クメンスルホネート、およびナフタレンスルホネートなどのヒドロトローブ、色の斑点;着色されたビーズ、球体または押出物;粘土軟化剤;抗菌剤のうちの1種以上を含み得る。これらの成分のうちの任意の1種以上は、米国特許出願公開第US 2010/305020 -(A1)号、米国公開第2003/0139312(A1)号、および米国特許出願公開第US 2011/0023240(A1)号にさらに記載されている。追加的または代替的には、組成物は、界面活性剤、第四級アンモニウム化合物、および/または溶媒系を含み得る。第四級アンモニウム化合物は、布地柔軟剤などの布地向上剤中に存在し得、構造NR4 +の正に帯電した多原子イオンである第四級アンモニウムカチオンを含み、式中、Rは、アルキル基またはアリール基である。
【0125】
界面活性剤
洗剤組成物は、約1重量%~80重量%の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、第1の組成物の構成成分として特に好ましい。好ましくは、第1の組成物は、約5重量%~50重量%の界面活性剤を含む。第2および第3の組成物は、0.1~99.9%のレベルで界面活性剤を含み得る。
【0126】
利用される洗浄性界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、双性イオン性、両性イオン性、またはカチオン性の種類のものであり得、またはこれらの種類の相溶性混合物を含み得る。より好ましくは、界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性界面活性剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、組成物は、ベタイン界面活性剤を実質的に含まない。本明細書で有用な洗剤界面活性剤は、米国特許第3,664,961号、同第3,919,678号、同第4,222,905号、および同第4,239,659号に記載されている。アニオン性および非イオン性界面活性剤が好ましい。
【0127】
有用なアニオン性界面活性剤は、それ自体が、様々な異なる種類のものであり得る。例えば、高級脂肪酸の水溶性塩、すなわち「石鹸」は、本明細書の組成物中の有用なアニオン性界面活性剤である。これは、約8~約24個の炭素原子、好ましくは約12~約18個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム、およびアルキルアンモニウム塩などのアルカリ金属石鹸を含む。石鹸は、油脂を直接鹸化するか、または遊離脂肪酸を中和することによって作製され得る。ココナッツオイルおよびタローに由来する脂肪酸の混合物のナトリウム塩とカリウム塩、すなわちナトリウムまたはカリウムタローおよびココナッツ石鹸が特に有用である。
【0128】
本明細書での使用に好適である追加の非石鹸アニオン性界面活性剤は、その分子構造中に、約10~約20個の炭素原子を含有するアルキル基、およびスルホン酸または硫酸エステル基を有する有機硫酸反応生成物の、水溶性塩、好ましくは、アルカリ金属およびアンモニウム塩を含む。(「アルキル」という用語には、アシル基のアルキル部分が含まれる。)合成界面活性剤のこの基の例としては、a)アルキル硫酸ナトリウム、カリウム、およびアンモニウム、特に、タローまたはココナッツオイルのグリセリドを還元することによって生成されるものなどの高級アルコール(C8~C18)を硫酸化することによって得られるもの、b)アルキルポリエトキシレート硫酸ナトリウム、カリウム、およびアンモニウム、特に、アルキル基が10~22、好ましくは12~18の炭素原子を含有し、ポリエトキシレート鎖が1~15、好ましくは1~6のエトキシレート部分を含有するもの、c)アルキル基が、約9~約15個の炭素原子を直鎖または分枝鎖構成で含有する、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびカリウム、例えば、米国特許第2,220,099号および同第2,477,383号に記載されている種類のものが挙げられる。特に価値があるのは、アルキル基の平均炭素原子数が約11~13であり、C11~C13LASと略される、線状直鎖アルキルベンゼンスルホネートである。
【0129】
好ましい非イオン性界面活性剤は、式R1(OC24nOHのものであり、式中、R1は、C10~C16アルキル基またはC8~C12アルキルフェニル基であり、nは、3~約80である。C12~C15アルコールと、アルコール1モル当たり約5~約20モルのエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、アルコール1モル当たり約6.5モルのエチレンオキシドと縮合したC12~C13アルコールが特に好ましい。
【0130】
溶媒系
洗剤組成物中の溶媒系は、水のみまたは有機溶媒と水との混合物を含有する溶媒系であり得る。好ましい有機溶媒としては、1,2-プロパンジオール、エタノール、グリセリン、ジプロピレングリコール、メチルプロパンジオール、およびそれらの混合物が挙げられる。他の低級アルコール、低分子量ポリオール、モノエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなどのC1~C4アルカノールアミンも使用され得る。本明細書で使用される場合、「低分子量ポリオール」は、50g/モル~1000g/モル、50g/モル~800g/モル、または50g/モル~600g/モルの範囲内の分子量を有する2つ以上のヒドロキシル基を有する分子である。溶媒系は、例えば、本開示の無水固体洗剤の実施形態には存在しない可能性があるが、より典型的には、約0.1重量%~約98重量%、好ましくは少なくとも約1重量%~約50重量%、より一般的には約5重量%~約25重量%の範囲内のレベルで存在する。典型的には、本洗剤組成物は、特に液体形態の場合、組成物の重量に対して、50%未満の水、好ましくは約0.1%~約20%の水、より好ましくは約0.5%~約15%、または約3%~約12%の水を含む。典型的には、本洗剤組成物は、特に液体形態の場合、組成物の重量に対して、約5重量%~約20重量%、または約10重量%~約15重量%のグリセリンを含む。典型的には、本洗剤組成物は、特に液体形態の場合、組成物の重量に対して、30%未満のプロピレングリコール、例えば、約0.1%~25%のプロピレングリコール、0.5%~20%のプロピレングリコール、または5%~15%のプロピレングリコールを含む。
【0131】
本明細書の洗剤組成物は、一般に、成分を合わせて混合することによって調製され得る。真珠光沢材料が使用される場合、混合の後段階に追加される必要がある。レオロジー調整剤が使用される場合、レオロジー調整剤が、水の一部、および任意選択的に最終的に洗剤組成物を構成するために使用される他の成分に分散される予備混合物を最初に形成することが好ましい。この予備混合物は、構造化された液体を形成するような方法で形成される。次いで、この構造化された予備混合物に、予備混合物が攪拌されている間に、水と共に、界面活性剤(複数可)および必須の洗濯添加剤材料が添加され得、任意の洗剤組成物添加剤が使用される。
【0132】
洗剤組成物のpHは、約2~約12、約4~約12、約5.5~約9.5、約6~約8.5、または約6.5~約8.2であり得る。洗濯洗剤組成物は、約6~約10、約6.5~約8.5、約7~約7.5、または約8~約10のpHを有し得る。自動食器洗い組成物は、約8~約12のpHを有し得る。洗濯洗剤添加剤組成物は、約4~約8のpHを有し得る。布地向上剤は、約2もしくは4~約8、または約2~約4、または約2.5~約3.5、または約2.7~約3.3のpHを有し得る。
【0133】
洗剤のpHは、20℃±2℃での洗剤の10%(重量/体積)水溶液のpHとして定義され、固体および粉末洗剤については、これは、20℃±2℃での洗剤の1%(重量/体積)水溶液のpHとして定義される。pHを±0.01pH単位まで測定し得る任意のメーターが好適である。オリオンメーター(Thermo Scientific、Clintinpark-Keppekouter、Ninovesteenweg 198、9320 Erembodegem-Aalst、ベルギー)または同等物が許容可能な測定器である。pHメーターは、カロメルまたは銀/塩化銀を基準とした好適なガラス電極が装備されている必要がある。例としては、メトラーDB115が挙げられる。電極は、製造業者が推奨する電解液に保管される必要がある。
【0134】
洗剤の10%水溶液は、以下の手順に従って調製される。10±0.05グラムの試料を、±0.02グラムまで正確に測定し得る天びんで計量する。試料を100mLのメスフラスコに移し、精製水(水の導電率が<5μS/cmである限り、脱イオン水および/または蒸留水が好適である)で一定量に希釈し、完全に混合する。約50mLの得られた溶液をビーカーに注ぎ、温度を20℃±2℃に調整し、pHメーター製造業者の標準手順に従ってpHを測定する(製造業者の指示に従って、pHアセンブリをセットアップおよび較正することも重要である)。
【0135】
固体および粉末洗剤については、洗剤の1%水溶液は、以下の手順に従って調製される。10±0.05グラムの試料を、±0.02グラムまで正確に測定し得る天びんで計量する。試料を1000mLのメスフラスコに移し、精製水(水の導電率が<5μS/cmである限り、脱イオン水および/または蒸留水が好適である)で一定量に希釈し、完全に混合する。約50mLの得られた溶液をビーカーに注ぎ、温度を20℃±2℃に調整し、pHメーター製造業者の標準手順に従ってpHを測定する(製造業者の指示に従って、pHアセンブリをセットアップおよび較正することも重要である)。
【0136】
組成物を封入するパウチに形成される場合、いくつかのフィルム成分(例えば、可塑剤)が、状況によっては、フィルムから封入された組成物に移動し得、追加的または代替的には、封入された組成物のいくつかの構成成分(例えば、可塑剤、溶媒)が、フィルムに移動し得ることは当該技術分野において既知である。理論に拘束されるつもりはないが、フィルムへの/フィルムからの構成成分のこの移動は、フィルムの膨潤値に変化をもたらし得ると考えられている。
【0137】
漂白剤
無機および有機漂白剤は、本明細書で使用するのに好適な洗浄活性物質である。無機漂白剤にとしては、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、および過ケイ酸塩などの過水和物塩が挙げられる。無機過水和物塩は、通常、アルカリ金属塩である。無機過水和物塩は、追加の保護なしに結晶性固体として含まれ得る。あるいは、当該技術分野で既知のように、塩は、コーティングされ得る。
【0138】
アルカリ金属過炭酸塩、特に、過炭酸ナトリウムは、本明細書に記載される洗剤組成物に使用する好ましい過水和物である。過炭酸塩は、最も好ましくは、コーティングされた形態で、および/またはカプセル化されて製品に組み込まれ、これは、製品内の安定性を提供する。製品の安定性を提供する好適なコーティング材料は、水溶性アルカリ金属硫酸塩と炭酸塩の混合塩を含む。そのようなコーティングは、コーティングプロセスと共に、以前に、英国特許第GB1,466,799号、ならびに米国特許第3,975,280号、同第4,075,116号、および同第5,340,496号に記載されており、各々は、参照により本明細書に組み込まれる。混合塩コーティング材料と過炭酸塩との重量比は、1:99~1:9、好ましくは1:49~1:19の範囲にある。好ましくは、混合塩は、一般式Na2SO4+n+Na2CO3を有する硫酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのものであり、式中、nは、0.1~3、好ましくは0.3~1.0、より好ましくは0.2~0.5である。製品の安定性を提供する別の好適なコーティング材料は、1.8:1~3.0:1、好ましくは1.8:1~2.4:1のSiO2:Na2O比のケイ酸ナトリウム、および/またはペルオキシモノ過硫酸カリウムなどの無機過水和物塩の重量に対して、好ましくは2%~10%(通常3%~5%)のSiO2のレベルで適用されるメタケイ酸ナトリウムを含む。ケイ酸マグネシウム、ケイ酸塩およびホウ酸塩、シリケートおよびホウ酸、ワックス、油、および脂肪石鹸を含有する他のコーティングも有利に使用され得る。
【0139】
有機漂白剤としては、ジアシルおよびテトラアシルペルオキシドを含む有機ペルオキシ酸、特にジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸、およびジペルオキシヘキサデカン二酸を挙げることができる。本明細書では、過酸化ジベンゾイルが好ましい有機過酸である。過酸化ジアシル、特に過酸化ジベンゾイルは、約0.1~約100ミクロン、好ましくは約0.5~約30ミクロン、より好ましくは約1~約10ミクロンの重量平均直径を有する粒子の形態で、存在し得るのが好ましい。好ましくは、粒子の少なくとも約25%~100%、より好ましくは少なくとも約50%、さらにより好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%は、10ミクロンよりも小さく、好ましくは6ミクロンよりも小さい。
【0140】
他の有機漂白剤は、ペルオキシ酸を含み、特定の例は、アルキルペルオキシ酸およびアリールペルオキシ酸である。好ましい代表例は、(a)ペルオキシ安息香酸およびその環置換された誘導体、例えば、アルキルペルオキシ安息香酸、ならびにペルオキシ-α-ナフトエ酸、およびモノ過フタル酸マグネシウム(b)脂肪族または置換された脂肪族ペルオキシ酸、例えば、ペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε-フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノペルオキシヘキサン酸(PAP)]、o-カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N-ノネニルアミドペラジピン酸、およびN-ノネニルアミドペルコハク酸塩、ならびに(c)脂肪族および芳香脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば、1,12-ジペルオキシカルボン酸、1,9-ジペルオキシアゼラン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2-デシルジペルオキシブタン-1,4-二酸、N,N-テレフタロイルジ(6-アミノペルカプロン酸)である。
【0141】
漂白活性化剤は、60℃以下の温度での洗浄の過程で、漂白作用を強化する有機過酸前駆体を含み得る。本明細書での使用に好適な漂白活性化剤としては、過加水分解条件下で、好ましくは1~10個の炭素原子、特に2~4個の炭素原子、および/または任意選択的に置換された過安息香酸を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸与える化合物が挙げられる。好適な物質は、指定された炭素原子数のO-アシル基および/またはN-アシル基、および/または任意選択的に置換されたベンゾイル基を有する。ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N-アシルイミド、特にN-ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特にn-ノナノイル-またはイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-またはイソ-NOBS)、カルボン酸無水物、特に無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、二酢酸エチレングリコール、および2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフラン、およびクエン酸トリエチルアセチル(TEAC)も優先される。
【0142】
本明細書の洗剤組成物での使用に好ましい漂白触媒としては、マンガントリアザシクロノナンおよび関連する錯体(米国特許第4,246,612号および同第5,227,084号)、Co、Cu、Mn、およびFeビスピリジルアミンおよび関連する錯体(米国特許第5,114,611号)、ならびにペンタミンアセテートコバルト(III)および関連する錯体(米国特許第4,810,410号)が挙げられる。本明細書での使用に好適な漂白触媒の完全な説明は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,599,871号に見られ得る。
【0143】
食器洗浄剤
自動食器洗い洗剤での使用に好ましい界面活性剤は、それ自体で、または他の構成成分(例えば、泡抑制剤)と組み合わせによって、低発泡性である。本明細書での使用に好ましいのは、低曇り点および高曇り点の非イオン性界面活性剤ならびにそれらの混合物であり、それらとしては、非イオン性アルコキシル化界面活性剤(特に、C6~C18第一級アルコールから誘導されるエトキシレート)、エトキシル化-プロポキシル化アルコール(例えば、オーリン・コーポレーションのPOLY-TERGENT(登録商標)SLF18)、エポキシ末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、オーリン・コーポレーションのPOLY-TERGENT(登録商標)SLF18B、国際特許公開第WO-A-94/22800号を参照されたい)、エーテル末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、ならびにBASF-Wyandotte Corp.(ミシガン州ワイアンドット)によるPLURONIC(登録商標)、REVERSED PLURONIC(登録商標)、およびTETRONIC(登録商標)などのブロックポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンポリマー化合物、C12~C20アルキルアミンオキシド(本明細書での使用に好ましいアミンオキシドとしては、ラウリルジメチルアミンオキシドおよびヘキサデシルジメチルアミンオキシドが挙げられる)などの両性界面活性剤、ならびにMIRANOL(商標)C2Mなどのアルキルアンホカルボン酸界面活性剤、ならびにベタインおよびスルテインなどの双性イオン性界面活性剤、ならびにそれらの混合物が挙げられる。本明細書での使用に好適な界面活性剤は、例えば、米国特許第3,929,678号および同第4,259,217号、ならびに欧州特許公開第0414 549(A1)号、ならびにPCT特許出願公開第WO 1994/007974(A1)号および同第WO 1994/007986(A1)号に開示されている。界面活性剤は、洗剤中に、洗剤組成物の重量に対して、約0.2重量%~約30重量%、より好ましくは約0.5重量%~約10重量%、最も好ましくは約1重量%~約5重量%のレベルで存在し得る。
【0144】
他の組成物および添加剤
本明細書に記載される洗剤組成物での使用に好適なビルダーとしては、シトレート、カーボネート、シリケート、およびポリホスフェート、例えば、トリポリリン酸ナトリウム、およびトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム、ならびにトリポリリン酸ナトリウムおよびカリウムの混合塩を含む水溶性ビルダーが挙げられる。
【0145】
本明細書に記載される洗剤組成物での使用に好適な酵素としては、CAREZYMEおよびCELLUZYME(ノボ・ノルディスクA/S)を含む細菌および真菌のセルラーゼ;ペルオキシダーゼ;AMANO-P(天野製薬株式会社)、M1 LIPASEおよびLIPOMAX(Gist-Brocades)、ならびにLIPOLASEおよびLIPOLASE ULTRA(ノボ)を含むリパーゼ;クチナーゼ;ESPERASE、ALCALASE、DURAZYM、およびSAVINASE(ノボ)、ならびにMAXATASE、MAXACAL、PROPERASE、およびMAXAPEM(Gist-Brocades)を含むプロテアーゼ;PURAFECT OX AM(Genencor)、ならびにTERMAMYL、BAN、FUNGAMYL、DURAMYL、およびNATALASE(ノボ)を含むαおよびβアミラーゼ;ペクチナーゼ;ならびにそれらの混合物が挙げられる。酵素は、本明細書では、洗浄組成物の重量に対して、典型的には、純粋な酵素の約0.0001重量%~約2重量%の範囲内のレベルで、プリル、顆粒、または共顆粒として添加され得る。
【0146】
本明細書に記載される洗剤組成物での使用に好適な泡抑制剤としては、低い曇り点を有する非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書で使用される場合、「曇り点」は、非イオン性界面活性剤の周知の特性であり、温度の上昇と共に界面活性剤が溶解しにくくなる結果であり、第2の相の出現が観察され得る温度は、「曇り点」と称される。本明細書で使用される場合、「低い曇り点」の非イオン性界面活性剤は、30℃未満、好ましくは約20℃未満、さらにより好ましくは約10℃未満、最も好ましくは約7.5℃未満の曇り点を有する非イオン性界面活性剤系成分として定義される。低い曇り点の非イオン性界面活性剤としては、非イオン性アルコキシル化界面活性剤、特に第一級アルコールから誘導されるエトキシレート、およびポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン(PO/EO/PO)逆ブロックポリマーを挙げることができる。また、そのような低い曇り点の非イオン性界面活性剤としては、例えば、エトキシル化プロポキシル化アルコール(例えば、BASF POLY-TERGENT SLF18)およびエポキシ末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、米国特許第US-A-5,576,281号に記載されているような、BASF POLY-TERGENT SLF18Bシリーズの非イオン性物質)を挙げることができる。
【0147】
本明細書に記載される洗剤組成物での使用に好適な他の構成成分としては、再付着防止、汚れ放出、または他の洗浄特性を有する洗浄ポリマーが挙げられる。本明細書で使用するための再付着防止ポリマーとしては、SOKALAN PA30、PA20、PA15、PA10、およびSOKALAN CP10(BASF GmbH)、ACUSOL 45N、480N、460N(ロームアンドハース)などのアクリル酸含有ポリマー、SOKALAN CP5などのアクリル酸/マレイン酸コポリマー、ならびにアクリル/メタクリルコポリマーが挙げられる。他の好適なポリマーとしては、アルコキシル化ポリアルキレンイミン(例えば、PEI600 EO20および/またはエトキシ硫酸化ヘキサメチレンジアミンジメチルクアット)などのアミン系ポリマーが挙げられる。本明細書で使用するための汚れ放出ポリマーとしては、アルキルおよびヒドロキシアルキルセルロース(米国特許第US-A-4,000,093号)、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、およびそれらのコポリマー、ならびにエチレングリコール、プロピレングリコール、およびそれらの混合物のテレフタレートエステルに基づく非イオン性およびアニオン性ポリマーが挙げられる。
【0148】
重金属イオン封鎖剤および結晶成長抑制剤もまた、洗剤での使用に好適であり、例えば、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、エチレンジホスホネート、ヒドロキシ-エチレン-1,1-ジホスホネート、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミノテトラアセテート、エチレンジアミン-N,N’-ジスクシネートの塩および遊離酸の形態がある。
【0149】
本明細書に記載される洗剤組成物での使用に好適なものはまた、腐食防止剤、例えば、有機銀コーティング剤(特に、Wintershall(ドイツ、Salzbergen)によって販売されているWINOG 70などのパラフィン)、窒素含有腐食防止剤化合物(例えば、ベンゾトリアゾールおよびベンズイミダゾール、英国特許第GB-A-1137741号を参照されたい)、およびMn(II)化合物、特に、有機配位子のMn(II)塩である。
【0150】
本明細書の洗剤組成物での使用に好適な他の構成成分としては、酵素安定剤、例えば、カルシウムイオン、ホウ酸、およびプロピレングリコールが挙げられる。
【0151】
本明細書の洗剤組成物で使用に好適な他の構成成分としては、例えば、米国特許出願公開第2015/0329807号に記載されているような保湿剤が挙げられる。
【0152】
好適なすすぎ添加剤は、当技術分野において既知である。食器洗い用の市販のすすぎ補助剤は、典型的には、低発泡性脂肪アルコールポリエチレン/ポリプロピレングリコールエーテル、可溶化剤(例えば、クメンスルホネート)、有機酸(例えば、クエン酸)、および溶媒(例えば、エタノール)の混合物である。そのようなすすぎ補助剤の機能は、後続の乾燥プロセスの後に水滴、縞、または膜が残らないように、すすがれた表面から薄い干渉性膜の形態で排出できるように、水の界面張力に影響を与えることである。欧州特許第0 197 434 B1号は、界面活性剤として混合エーテルを含有するすすぎ補助剤について記載している。布地柔軟剤などのすすぎ添加剤もまた企図され、本明細書の開示によるフィルムへのカプセル化に好適である。
【0153】
本明細書に記載される水溶性フィルムと液体洗濯洗剤との適合性を試験するための好適な液体洗濯洗剤(LLD)が以下の表に記載される。
【表2】
【表3】
【0154】
使用方法
本明細書に記載されるフィルムおよび物品、ならびにその中に収容される組成物は、例えば、基材をフィルム、物品、および/またはその中に収容される組成物と接触させることによって、基材、例えば布地または硬質表面を処理するために使用され得る。接触工程は、手動で、または自動機械、例えば、自動(トップローディングまたはフロントローディング)洗濯機もしくは自動食器洗い機で行なわれ得る。接触工程は、最大約80℃、または最大約60℃、または最大約40℃、または最大約30℃、または最大約20℃、または最大約15℃、または最大約10℃、または最大約5℃の温度であり得る水の存在下で行なわれ得る。上記のように、本フィルムおよびそれから作製されるフィルムは、冷水溶解に特に好適であり、したがって冷水洗浄(例えば、約1℃~約30℃、または約5℃~約20℃)で利益を提供する。接触工程の後に、複数のすすぎサイクル、または単一のすすぎサイクルが続く場合さえある。フィルムは、良好な溶解特性を有するため、フィルムを溶解および/またはその中に収容された内容物を放出するために必要な水が少なくて済む。
【0155】
溶解チャンバー残留物試験
溶解チャンバー(DC)試験に従った不溶解残留物を特徴とするか、またはこれについて試験される水溶性フィルムを、以下の材料を使用して以下のように分析する。
1.ビーカー(4000ml)、
2.ステンレススチールワッシャー(OD3.5インチ(88.9mm)、ID1.875インチ(47.6mm)、厚さ0.125インチ(3.18mm))、
3.スチレン-ブタジエンゴムガスケット(OD3.375インチ(85.7mm)、ID1.91インチ(48.5mm)、厚さ0.125インチ(3.18mm))、
4.ステンレススチールスクリーン(OD3.0インチ(76.2mm)、200×200メッシュ、ワイヤーOD0.0021インチ(0.053mm)、304SSステンレススチールワイヤークロス)、
5.温度計(0℃~100℃、精度±1℃)、
6.カッティングパンチ(直径1.5インチ(38.1mm))、
7.タイマー(秒単位の精度)、
8.逆浸透(RO)水、
9.バインダークリップ(サイズ#5または同等物)、
10.アルミ鍋(OD2.0インチ(50.8mm))、および
11.ソニケーター
【0156】
試験する各フィルムについて、切断パンチを使用して、3つの試験片を、76μmの厚さを有する選択された試験フィルムから切断する。連続プロセスによって作製されたフィルムウェブから切断される場合、試験片は、ウェブの横断方向に沿って(すなわち、縦方向に垂直に)等間隔にウェブ領域から切断されるべきである。次いで、以下の手順を使用して各試験片を分析する。
1.フィルム試験片を計量し、試験を通して試験片を追跡する。初期フィルム重量(Fo)を記録する。
2.各試験片について2つの音波処理された清潔かつ乾燥したスクリーンのセットを計量し、試験を通してそれらを追跡する。初期スクリーン重量(2つのスクリーンの合計について集合的にSo)を記録する。
3.フィルム試験片を2つのスクリーン、続いて2つのゴムガスケット(スクリーンとワッシャーとの間の各側に1つのガスケット)、次いで2つのワッシャーの中央の間に平らに挟むことによって、試験片溶解チャンバーを組み立てる。
4.ワッシャー周辺で等間隔の4つのバインダークリップで溶解チャンバーアセンブリを固定し、これらのクリップはスクリーンから離して折り返す。
5.実験室の室温(72+/-3°F、22+/-2℃)の1,500mlのRO水でビーカーを充填し、室温を記録する。
6.タイマーを5分の所定の浸漬時間に設定する。
7.溶解チャンバー組立体をビーカーに入れ、直ちにタイマーを開始し、溶解チャンバー組立体を水面におよそ45度の進入角度で挿入する。この進入角度は、チャンバーから気泡を除去するのに役立つ。溶解チャンバー組立体は、試験片フィルムが底部から約10mmで水平に配置されるように、ビーカー底部に静置する。溶解チャンバー組立体の4つの折り返されたバインダークリップは、フィルムをビーカー底部から約10mmの隙間で維持するために好適であるが、任意の他の同等の支持手段を使用してもよい。
8.5分の所定の経過した所定の浸漬時間で、溶解チャンバー組立体をビーカーからおよそ45度の角度でゆっくりと取り出す。
9.溶解チャンバー組立体をアルミ鍋の上に水平に保持して、スクリーンからのあらゆる滴を捕捉し、バインダークリップ、ワッシャー、およびガスケットを注意深く取り外す。挟まれたスクリーンをこじ開けない。
10.挟まれたスクリーン(すなわち、スクリーン/残留未溶解フィルム/スクリーン)をアルミ鍋の上に配置し、100℃のオーブンで30分間乾燥させる。
11.その中にあらゆる残留未溶解フィルムを含む挟まれたスクリーンの乾燥したセットを計量する。溶解チャンバー組立体が最初にビーカーから取り出されたときおよび乾燥中に、鍋に捕捉され、そこから回収された(例えば、掻き取ることによって)あらゆる乾燥フィルム滴を測定し、この乾燥スクリーン重量に加える。最終的な挟まれているスクリーン重量(乾燥したフィルム滴を含む、集合的なSf)を記録する。
12.フィルム試験片に残っている残留物の割合(%)(「DC残留物」)を計算する:DC残留物(%)=100*((Sf-So)/Fo)。
13.挟まれたスクリーンをRO水のビーカーに約20分間浸漬することによって洗浄する。次いで、それらを分解し、少なくとも5分間、またはスクリーン上に残留物が見えなくなるまで、ソニケーター(電源を入れてRO水を充填した)で最終すすぎを行う。
【0157】
本開示による水溶性フィルムの好適な挙動は、DC試験によって測定される場合、約35重量%以下、約40重量%以下、約45重量%以下、または約48重量%以下のDC残留値によって特徴付けられる。一般に、より低いDC残留物値は、積極的な洗浄条件(例えば、低水量条件(例えば、洗濯機の過負荷など)および冷洗浄水条件)の後に、洗浄された物品に残留フィルムが残る可能性を低減させるために望ましい。様々な実施形態では、水溶性フィルムは、少なくとも1、2、5、10、12、15、25、30、もしくは35重量%、および/または最大約15、20、30、35、40、45、もしくは48重量%(例えば、約3重量%~約48重量%、約5重量%~約48重量%、または約12重量%~約48重量%、または約25重量%~約48重量%、または約10重量%~約45重量%、または約20重量%~約45重量%、約25重量%~約40重量%、約30重量%~40重量%、約3重量%~約40重量%、または約3重量%~約35重量%)のDC残留物値を有する。
【0158】
溶解および崩壊試験(MSTM 205)
フィルムは、当該技術分野で既知の方法、MonoSol試験方法205(MSTM 205)に従った溶解時間および崩壊時間を特徴とし得るか、またはそれらを試験され得る。例えば、米国特許第7,022,656号を参照されたい。
装置および材料:
600mLのビーカー
電磁撹拌器(Lablineモデル番号1250または同等物)
電磁撹拌棒(5cm)
温度計(0~100℃±1℃)
テンプレート、ステンレス鋼(3.8cm×3.2cm)
タイマー(0~300秒、秒単位の精度)
Polaroid 35mmスライドマウント(または同等物)
MonoSol 35mmスライドマウントホルダー(または同等物)
蒸留水
【0159】
試験される各フィルムについて、3つの試験片が、3.8cm×3.2cmの試験片であるフィルム試料から切断される。フィルムウェブから切断される場合、試験片は、ウェブの横断方向に沿って等間隔のウェブエリアから切断されるべきである。次いで、以下の手順を使用して各試験片を分析する。
【0160】
各試験片を別々の35mmスライドマウント内にロックする。
【0161】
ビーカーを500mLの蒸留水で満たす。温度計で水温を測定し、必要な場合は、温度を20℃(約68°F)に維持するように水を加熱または冷却する。
【0162】
水柱の高さを記録する。電磁撹拌器をホルダーの基部上に置く。ビーカーを電磁撹拌器上に置き、電磁撹拌棒をビーカーに加え、撹拌器をオンにし、水柱の高さのおよそ5分の1の渦が発達するまで撹拌速度を調節する。渦の奥行きを記録する。
【0163】
スライドマウントの長い端部が水面と平行であるように、35mmスライド台ホルダーのワニ口クランプに35mmスライド台を固定する。ホルダーの深さ調節器は、落下されたとき、クリップの端部が水面下0.6cmになるように据え付けられるべきである。フィルム表面が水の流れに対して垂直になるように、スライドマウントの短い側面のうちの一方はビーカーの側面の隣にあり、他方は撹拌棒の中心の直接上方に位置付けられるべきである。
【0164】
1つの動作で、固定されたスライドおよびクリップを水中に落下させ、タイマーを始動させる。崩壊は、フィルムが破断するときに発生する。すべての目視可能なフィルムがスライドマウントから外されたら、未溶解のフィルム断片がないか溶液の監視を継続しながら、スライドを水の外に引き揚げる。溶解は、すべてのフィルム断片がもはや目視可能でなく、溶液が透明になるときに発生する。
【0165】
結果は、以下の、試料の完全な識別、個々のおよび平均の崩壊時間および溶解時間、ならびに試料を試験した際の水温を含むべきである。
【0166】
フィルム崩壊時間(I)およびフィルム溶解時間(I)は、それぞれ、等式1および等式2において以下に示される指数関数アルゴリズムを使用して、標準または参照フィルム厚さに修正され得る。
修正された=I測定された×(参照厚さ/測定された厚さ)1.93[1]
修正された=S測定された×(参照厚さ/測定された厚さ)1.83[2]
【0167】
引張強度試験および弾性率試験
引張強度(TS)試験に従った引張強度、および弾性率(MOD)試験に従った弾性率(または引張応力)を特徴とするか、またはこれらについて試験される水溶性フィルムを、以下のように分析する。手順は、ASTM D 882(「薄肉プラスチックの引張特性に関する標準試験法(Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting)」)または同等物にしたがった引張強度の決定および10%伸びでの弾性率の測定を含む。フィルムデータの収集には、INSTRON引張試験装置(モデル5544引張試験機または同等物)が使用される。寸法安定性および再現性を確保するために信頼性の高い切断工具で各々切断された最低3つの試験片を、各測定について縦方向(MD)(該当する場合)で試験する。試験は、23±2.0℃および35±5%相対湿度の標準的な実験室雰囲気中で行う。引張強度または弾性率の決定のために、76μmの厚さを有する単一のフィルムシートの1インチ幅(2.54cm)の試料を調製する。次いで、試料をINSTRON引張試験機に移して、35%相対湿度環境での曝露を最小限にしながら試験を進める。500Nロードセルを備えた引張試験機を、製造業者の取扱説明書に従って準備し、較正する。正しいグリップおよびフェースを取り付ける(ゴムコーティングされ、幅25mmである、モデル番号2702-032フェースを有するINSTRONグリップ、または同等物)。試料を引張試験機に載置し、100%弾性率(すなわち、100%フィルム伸びを達成するのに必要な応力)、および引張強度(すなわち、フィルムを破断するのに必要な応力)を測定するために分析する。
【0168】
一般に、フィルムが封止の限界または最弱要素である場合、より強いパウチ密封に相当するので、より高いTS値が望ましい。
【0169】
一般に、より高い剛性を有し、製造中または最終消費者パッケージングにおいて互いの上部に積載されたとき変形し、互いに張り付く可能性がより低いパウチに相当するため、より高いMOD値が望ましい。
【0170】
理論に拘束されるつもりはないが、経時的な弾性率の変化が使用されて、液体洗濯洗剤を収容するパウチが、経時的に緊張のままであるか、またはパウチが、緊張性を失って、緩く垂れ下がった外観および感触を取るかを予測し得ると考えられている。特に、理論に拘束されるつもりはないが、経時的に弾性率のより大きな正の変化(Δ弾性率)(正の勾配または弾性率の増加)を有するフィルムは、周囲条件または最大38℃および80%RH条件下で、約0のΔ弾性率を有するフィルムと比較して、最大少なくとも12週間より緊張のままであり、負のΔ弾性率を有するフィルムよりも実質的に緊張のままであると考えられている。
【0171】
液体放出試験
液体放出試験に従った遅延溶解性を特徴とするか、またはこれを試験される水溶性フィルムおよび/またはパウチを、以下の材料を使用して、以下のように分析する。
・2Lのビーカーおよび1.2リットルの脱イオン(DI)水
試験される水溶性パウチ、フィルムは、76μmの厚さを有し、パウチは、38℃で2週間事前調整される。
・温度計
・ワイヤーケージ
・タイマー
【0172】
実験を行う前に、実験を5回繰り返すのに十分なDI水が使用可能なことを確認し、ワイヤーケージおよびビーカーが清潔かつ乾燥していることを確認する。
【0173】
ワイヤーフレームケージは、鋭い縁部のないプラスチックコーティングされたワイヤーケージ(4インチ×3.5インチ×2.5インチ、または約10cmx9cmx6cm)、または同等物である。ワイヤーのゲージは約1.25mmであるべきであり、ワイヤーは、0.5インチ(1.27cm)の正方形のサイズの開口部を有するべきである。試験パウチ30を備えたケージ28の例示的な画像を図1に示す。
【0174】
試験用に設定するために、ケージ上のパウチを引っかくことなく、パウチが移動するための自由空間を確保しながら、ケージに水溶性パウチを注意深く置く。ワイヤーケージにパウチをしっかりと縛らずに、確実に固定してケージから出ないようにする。ケージ内のパウチの向きは、もしあればパウチの自然浮力が許容されるようなものでなければならない(すなわち、上部に浮上するであろうパウチの側は上部に向けて配置すべきである)。パウチが対称である場合、パウチの配向は一般的に重要ではないであろう。
【0175】
次に、2Lビーカーを1200ミリリットルの20℃のDI水で充填する。
【0176】
次に、パウチを内包するワイヤーフレームケージを水中に降ろす。ケージがビーカーの底から1インチ(2.54cm)にあることを確認する。パウチは必ず、すべての側面が完全に水中にあるようにする。ケージが安定し、かつ移動しないことを確認し、パウチが水中に降ろされると直ちにタイマーを始動させる。ビーカー内の水に対するケージの位置は、例えば、ビーカーの上に固定されたクランプ、およびケージの上部に取り付けられたロッドを使用することによるなど、任意の好適な手段によって調整され、維持され得る。クランプは、ロッドに係合してケージの位置を固定することができ、クランプ上の張力を下げてケージを水中に下すことができる。摩擦係合の他の手段は、例えば、図2に示されるような(位置決めねじは図示せず)、位置決めねじを有するカラーを、クランプの代わりに使用してもよい。図2は、ビーカー30がスタンド40上に載置され、スタンドがケージ10(図示せず)をビーカー30内に下すためのロッド50を保持し、ロッド50が、例えば、摩擦によって、または、ロッド50の穴(図示せず)を用いた係合によって、ロッド50を係合する位置決めねじ(図示せず)を有するカラー60の使用によって、固定した垂直位置を保持可能であることを示す。
【0177】
液体内容物の放出は、水中のパウチを出る液体を最初に目視した証拠として定義される。
【0178】
タイマーを使用して、45秒の停止点(放出時間)で、液体内容物が周囲の水に放出されたときを記録する。
【0179】
合格または不合格のグレードが、各パウチに与えられるであろう。可溶性パウチがその液体を少なくとも30秒以上保持した場合、合格のグレードが得られる。可溶性パウチがその液体を30秒以上保持しなかった場合、不合格のグレードが得られる。
【0180】
試験される各フィルムについて、新たなDI水および新たな水溶性パウチでこのプロセスを5回繰り返す。
【0181】
特に報告されない限り、各フィルム試料種類について、合計少なくとも15個のパウチを試験する。
【0182】
圧縮試験測定
圧縮試験測定による最小300Nの機械的圧縮強度に耐える水溶性カプセルの能力によって特徴付けられる、またはその能力について試験される水溶性フィルムおよび/またはパウチを、以下の材料を使用して、以下のように分析する。
Instron Model 5544(または同等物)
少なくとも15個の試験される水溶性パウチまたはカプセル、フィルムは、76μmの厚さを有し、パウチは、23±1℃広告、相対湿度50±4%で少なくとも24時間事前調整される。
ジッパータイプの袋
2枚の平板(天板:10KN最大荷重T1223-1022/底板:100KN最大荷重T489-74)
ロードセル(静荷重±2kN、最大スピンドルトルク20Nm、ボルトトルク25Nm、重量1.2kg)
マーカー
六角レンチ(6mm)
【0183】
パウチの漏れを検査し、次いで、ジッパー付き袋(両側におよそ57ミクロンの厚さ)に入れる。内部の空気を最小限にして袋を封止する。袋に試料名と番号を表示する。
【0184】
圧縮試験のために方法を開く。ランプ速度は、4mm/sでなければならない。
【0185】
2つのプレートの間に、熱成形された側面を下にして試料を注意深く置き、パウチが底板の中央にあることを確認する。袋内部のカプセルを端から離して移動する。
【0186】
開始を押して試験を実行する。2つのプレートが接合すると、パウチが破裂する。破裂が発生した圧縮強度(例えば、ニュートンで)およびパウチ上の位置を記録する。すべての試料に対してこのプロセスを繰り返す。
【0187】
本開示による水溶性フィルムの好適な挙動は、緊張性試験測定mmによって測定される場合、少なくとも約300Nおよび約2000N未満の圧縮強度値を有するパウチによって特徴付けられる。
【0188】
フィルム膨潤試験測定
液体組成物の存在下での膨潤に対する耐性によって特徴付けられるか、または耐性について試験される水溶性フィルムおよび/またはパウチを、以下のように分析する。
【0189】
フィルムの3つの試料を、より大きなフィルム試料であるロールのフィルムの異なる位置から取得する。3つの2インチ×2インチの正方形(約5cmx5cm)を、パンチで切断する。各試料の重量とゲージを測定し、記録する。
【0190】
各試料について、ペトリ皿の重量を風袋引きし、12gの試験液を皿に添加する。ベース中央のペトリ皿に、フィルム試料を加える。20gの試験液がペトリ皿に存在し、フィルム試料が完全に覆われて試験液に沈むまで、追加の試験液を添加する。ペトリ皿上にキャップまたはカバーを置く。
【0191】
各ペトリ皿をパラフィルムで包み、38℃の温度および80%のRHのコンディショニングオーブンに24時間置く。
【0192】
測定グリッドを、水平面に置く。コンディショニング後、ペトリ皿の包装を解き、フィルム試料を取り除く。フィルム試料を測定グリッド上に置く。フィルム試料の長さおよび幅を記録し、どちらが機械方向であるかを書き留める。キムワイプ(登録商標)または同等品を使用して、フィルム試料の表面から試験液を拭き取る。フィルム試料の重量およびゲージを記録する。
【0193】
膨潤率は、初期重量に対するフィルムに追加された重量の比率である(例えば、(最終重量-初期重量)/(初期重量))。
【0194】
PVOH樹脂のブレンドを含む本開示の水溶性フィルムについては、本開示による水溶性フィルムの好適な挙動は、第1のPVOHコポリマーのみを含む同一の水溶性フィルムと比較して特徴付けられる。具体的には、本開示による水溶性フィルムの好適な挙動は、フィルム膨潤試験によって測定される場合、比較フィルムの膨潤比値の60%以下である膨潤比値によって特徴付けられ、比較フィルムは、同一であるが、第2のPVOHコポリマーが唯一の樹脂であり、比較フィルム中のその第2のPVOHコポリマーの量は、本発明の水溶性フィルム中の樹脂の総量に等しい。
【0195】
膨潤によって、フィルムの寸法が変化し、最終的なフィルムの面積が大きくなるため、パッケージの緊張が少なくなり得るが、同じ量の液体をカプセル化する。
【0196】
結晶化度試験測定
フィルムの結晶化度によって特徴付けられるか、またはこれについて試験される水溶性フィルムおよび/またはパウチを、以下のように分析する。
【0197】
フィルム試料を、22℃および40%RHの環境内で少なくとも24時間調整する。次いで、3mmx3mmの加湿調整フィルム試料を密封セルに取り付ける。次いで、2次元検出器(Bruker AXS社)を備えたD8 DiscoverX線回折計または同等品を用いて、600秒の露光時間を使用して、WAXD測定を実施する。
【0198】
写真画像のリング状の回折データを平均化することによって、一次元プロファイル(強度対2シータ)を得る。ブランクプロファイルを取得し、試料プロファイルから差し引き、バックグラウンド減算プロファイルを提供する。15度と25度の回折角の強度値を結ぶ直線を、バックグラウンド減算プロファイルから減算して、ベースラインを提供する。
【0199】
ガウス関数に、15度~17.6度の回折角の範囲内の強度値と、21度~21.6度の範囲内の強度値とを、非晶質PVOHからの散乱関数として再現させる。最小二乗フィッティングを用いて、ガウス関数のピーク位置、ピーク幅、およびピーク高さを見つける。2つのガウス関数を有するPVOH結晶からの110回折および200回折に起因する19.5度および23度の回折信号を再現する。最小二乗フィッティングを用いて、ピーク位置、ピーク幅、およびピーク高さを見つける。非晶質PVOHであると仮定されるガウス関数のパラメータを固定する。結晶とみなされるガウス関数のフィッティングパラメータを固定し、非晶質PVAに起因するガウス関数の3つのパラメータを、再度最小二乗フィッティングさせる。3つのガウス関数の積分強度値を見つける。見かけの結晶化度を、合計積分強度値の結晶PVOHに起因する2つのガウス関数の積分強度値の合計のパーセンテージとして計算する。
【0200】
理論に拘束されるつもりはないが、フィルム配合中に提供される、樹脂に含まれるアニオン性モノマー単位のレベルを増加させ、樹脂の加水分解度を低下させ、可塑剤の量を増加させ、かつ/または流延後に迅速に水溶性フィルムを冷却することによって、水溶性フィルムの結晶化度を低減させることができると考えられている。さらに、理論に拘束されるつもりはないが、一般に、フィルムの結晶化度が低いほど、液体組成物と接触したとき、フィルムがより膨潤すると考えられている。
【0201】
本開示に従った水溶性フィルムは、以下の実施例の観点からより良好に理解され得、これらの実施例は、単に水溶性フィルムを例示することを意図し、それらの範囲を限定することを多少なりとも意味しない。
【実施例
【0202】
実施例1:単一の樹脂フィルム
実施例1は、単一のPVOHコポリマーである樹脂Aで形成された水溶性フィルムを表す。樹脂Aは、市販のPVOHコポリマーであり、89%~93%の加水分解度の仕様を有し、1.75モル%の無水マレイン酸(ナトリウム塩)の組み込み(例えば、変性)レベルのコモノマーの仕様レベル、および3.5モル%のペンダント基を有し、23cPの20℃での指定された4%溶液粘度を有する。このフィルムには、(i)樹脂A(100重量部)、(ii)グリセリン可塑剤(樹脂100部当たり24.67重量部(phr))、(iii)ソルビトール可塑剤(13.02phr)、(iv)トリメチロールプロパン可塑剤(5.33phr)、(v)プロピレングリコール可塑剤(0.49phr)(vi)フィラー(充填剤およびブロッキング防止剤として、4.85phr)、(vii)界面活性剤および他の加工助剤(酸化防止剤、消泡剤、アミンオキシド界面活性剤、およびカチオン性界面活性剤を含む、3.15phr)、ならびに残りの水(約5~12phr)が含まれていた。前述の水性組成物を流延および乾燥させて、76μmの厚さのフィルム試料を形成し、これらを上記の方法によってDC残留物値値について試験した。液体洗濯洗剤に曝露する前の、周囲条件(例えば、23℃および35%相対湿度(RH))での実施例1によるフィルムの試料の樹脂およびフィルム特性を表1に要約する。表1では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のPVOH樹脂(すなわち、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、ペンダント基が、無水マレイン酸コモノマー単位(M)に対応することをさらに示す。
【0203】
実施例2:単一の樹脂フィルム
実施例2は、単一のPVOHコポリマーである樹脂Bを含んで形成された水溶性フィルムを表す。樹脂Bは、市販のPVOHコポリマーであり、88~92%の範囲内の加水分解度の仕様を有し、4.0モル%の無水マレイン酸(ナトリウム塩)コモノマーの組み込み(例えば、変性)レベル、および8.0モル%のペンダント基を有し、名目上15~20cPの20℃での指定された4%溶液粘度を有する。フィルムには、実施例1に記載されているような量および種類の樹脂B(100重量部)および非樹脂構成成分が含まれていた。フィルムを、実施例1に記載されているように調製および試験した。表1は、液体洗濯洗剤に曝露する前の、周囲条件(例えば、23℃および35%RH)での実施例2によるフィルムの試料の樹脂およびフィルム特性を要約する。表1では、フィルムのアニオン性ペンダント基(P)含有量は、フィルム中のPVOH樹脂(すなわち、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、アニオン性モノマーが、無水マレイン酸コモノマー単位(M)に対応することをさらに示す。
【表4】
【0204】
したがって、表1は、約1.5~約2モル%の範囲内の変性レベルを有するPVOH-マレエートコポリマー(樹脂A)から調製された水溶性フィルムが、約3モル%~約5モル%の範囲内の変性レベルを有するPVOH-マレエートコポリマー(樹脂B)から調製された水溶性フィルムと比較して、より高い残留物値(DC値)を有することを示している。
【0205】
実施例3:単一の樹脂フィルム
実施例3は、実施例1に記載されているような樹脂Aで形成された水溶性フィルムを表す。このフィルムには、(i)樹脂A(100重量部)、(ii)グリセリン可塑剤(6.66phr)、(iii)ソルビトール可塑剤(6.24phr)、(iv)2-メチル-1,3-プロパンジオール可塑剤(13.32phr)、(v)フィラー(充填剤およびブロッキング防止剤として、2.67phr)、(vi)界面活性剤および他の加工助剤(酸化防止剤、消泡剤、および非イオン性界面活性剤を含む、0.83phr)、ならびに残りの水(約5~12phr)が含まれていた。フィルムを、実施例1に記載されているように調製および試験した。液体洗濯洗剤に曝露する前の、周囲条件(例えば、23℃および35%RH)での実施例3によるフィルムの試料の樹脂およびフィルム特性を表2に要約する。表2では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のPVOH樹脂(すなわち、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、ペンダント基が、無水マレイン酸コポリマー単位(M)に対応することをさらに示す。
【0206】
実施例4:単一の樹脂フィルム
実施例4は、実施例2において上記で説明したように、単一のPVOHコポリマー、樹脂Bを含んで形成された水溶性フィルムを表す。フィルムには、実施例3に記載されているような量および種類の樹脂B(100重量部)および非樹脂構成成分が含まれていた。フィルムを、実施例1に記載されているように調製および試験した。表2は、液体洗濯洗剤に曝露する前の、周囲条件(例えば、23℃および35%RH)での実施例4によるフィルムの試料の樹脂およびフィルム特性を要約する。表2では、フィルムのアニオン性ペンダント基(P)含有量は、フィルム中のPVOH樹脂(すなわち、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、アニオン性モノマーが、無水マレイン酸コモノマー単位(M)に対応することをさらに示す。
【表5】
【0207】
したがって、表2は、約1.5モル%~約2モル%の変性を有するPVOH-マレエートコポリマー(樹脂A)から調製された水溶性フィルムが、約3モル%~約5モル%の変性を有するPVOH-マレエートコポリマー(樹脂B)から調製された水溶性フィルムと比較して、より高い残留物値(DC値)を有することを示している。さらに、実施例1および2を実施例3および4と比較すると、約1.5モル%~約2モル%の変性を有するPVOH-マレエートコポリマー(樹脂A)から調製されたフィルムが、約3モル%~約5モル%の変性を有するPVOH-マレエートコポリマー(樹脂B)から調製されたフィルムと比較して、高い可塑剤レベル(例えば、合計30phr超、実施例1および2)および低い可塑剤レベル(例えば、合計30phr未満、実施例3および4)の両方で、より高い残留物値を有したことを実証している。
【0208】
実施例5~8:2種の樹脂ブレンドフィルム
実施例5~8は、前述の実施例1~4において記載されているように、各々が2種のコポリマー樹脂AとBとのブレンドを含む、形成された水溶性フィルムを表す。具体的なブレンドとしては、80重量%の樹脂Aおよび20重量%の樹脂B(実施例5)、60重量%の樹脂Aおよび40重量%の樹脂B(実施例6)、40重量%の樹脂Aおよび60重量%の樹脂B(実施例7)、ならびに20重量%の樹脂Aおよび80重量%の樹脂B(実施例8)が挙げられる。ブレンドフィルムは、フィルム中の樹脂の100%を構成する2種の樹脂を含み、一方、可塑剤および他の非樹脂構成成分は、実施例1について記載されるような量および種類で存在した。フィルムを、実施例1に記載されているように調製および試験した。表3は、実施例5~8の樹脂およびフィルムの特性を要約する。表3の最初および最後のエントリは、フィルム配合物(すなわち、実施例1および2)の単一の樹脂限界を表し、一方、残りの値は、2種の樹脂ブレンド配合物を表す。表3では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のすべてのポリマー樹脂(すなわち、存在する両方の樹脂を含むが、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、アニオン性コモノマー単位が、無水マレイン酸コモノマー単位(M)に対応することをさらに示す。
【表6】
【0209】
実施例5~8は、本明細書に記載される、第1のレベルのアニオン性モノマー変性を含む第1のコポリマーと、第2のレベルのアニオン性モノマー変性を含む第2のコポリマーと、を有するPVOH樹脂ブレンドを含む水溶性フィルムが、特定のブレンド成分、ブレンド成分の相対量、またはその両方を考慮して、PVOH樹脂ブレンドを選択する場合、実質的に有利であるが競合する物理的および化学的特性の組み合わせを示し得ることを例示する。例えば、上記のように、パウチ内組成物送達用途に特に好適であるフィルムは、以下の閾値(a)洗浄用途における、物品上のフィルム残留物を低減または排除するための約20重量%以下のDC残留物値、および(b)液体組成物を封入するパウチに形成される場合、軟化してかつ垂れ下がる可能性が低い硬いパウチを作成するための少なくとも15%の結晶化度、のうちの少なくとも1つを満たす。望ましくは、フィルムは、DC残留物基準(a)および結晶化度基準(b)を満たす。
【0210】
実施例1および2の単一の樹脂フィルムのデータに示されているように、望ましいDC値は、多くの場合、望ましいTSおよび/またはMOD値と競合する。例えば、実施例2のフィルム(樹脂B)は、望ましくは低いDC残留物値を有していたが、結晶化度値を有していなかった。
【0211】
実施例5~8に示されているように、本明細書に記載されるような第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第1のPVOHコポリマー、および本明細書に記載されるような第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第2のPVOHコポリマーを有するPVOH樹脂ブレンドを含有する特定の水溶性フィルムが、基準(a)および/または(b)を満たしていることが予期せぬことに見出された。表3で、「*」でマークされたフィルム特性は、(a)および/または(b)の基準を満たしている。データから、実施例5~8に例示されるように、2種のPVOHアニオン性コポリマーを含むPVOH樹脂ブレンドを含むフィルムは、一般に、約20/80~約80/20(それぞれ重量/重量)の範囲のA/Bブレンド比について、基準(a)および(b)の両方を満たしていることがわかる。
【0212】
実施例9~12:2種の樹脂ブレンドフィルム
実施例9~12は、形成された水溶性フィルムを表し、各々は、2種のコポリマー樹脂AおよびBのブレンドを含む。具体的なブレンドとしては、80重量%の樹脂Aおよび20重量%の樹脂B(実施例9)、60重量%の樹脂Aおよび40重量%の樹脂B(実施例10)、40重量%の樹脂Aおよび60重量%の樹脂B(実施例11)、ならびに20重量%の樹脂Aおよび80重量%の樹脂B(実施例12)が挙げられる。ブレンドフィルムは、フィルム中の樹脂の100%を構成する2種の樹脂を含み、一方、可塑剤および他の添加剤は、実施例3について記載されるような量および種類で存在した。フィルムを、実施例1に記載されているように調製および試験した。表4は、実施例9~12の樹脂およびフィルムの特性を要約する。表4の最初および最後のエントリは、フィルム配合物(すなわち、実施例3および4)の単一の樹脂限界を表し、一方、残りの値は、2種の樹脂ブレンド配合物を表す。表4では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のすべてのポリマー樹脂(すなわち、存在する両方の樹脂を含むが、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、それらが、無水マレイン酸コモノマー単位(M)に対応することをさらに示す。
【表7】
【0213】
実施例9~12は、本明細書に記載される、第1のレベルのアニオン性モノマー変性を含む第1のコポリマーと、第2のレベルのアニオン性モノマー変性を含む第2のコポリマーと、を有するPVOH樹脂ブレンドを含む水溶性フィルムが、特定のブレンド成分、ブレンド成分の相対量、またはその両方を考慮して、PVOH樹脂ブレンドを選択する場合、実質的に有利であるが競合する物理的および化学的特性の組み合わせを示し得ることを例示する。例えば、上記のように、パウチ内組成物送達用途に特に好適であるフィルムは、実施例5~8に記載されている基準のうちの少なくとも1つを満たしている。望ましくは、フィルムは、DC残留物基準(a)DC残留物および(b)結晶化度を満たす。
【0214】
実施例3および4の単一の樹脂フィルムのデータに示されているように、望ましいDC値は、多くの場合、望ましい結晶化度値と競合する。例えば、実施例3のフィルム(樹脂A)は、望ましくなく低いDC残留物値を有していたが、許容可能な結晶化度を有していた。
【0215】
実施例9~12に示されているように、本明細書に記載されるような第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第1のPVOHコポリマー、および本明細書に記載されるような第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第2のPVOHコポリマーを有するPVOH樹脂ブレンドを含有する特定の水溶性フィルムが、基準(a)および/または(b)を満たしていることが予期せぬことに見出された。表4で、「*」でマークされたフィルム特性は、基準(a)および/または(b)を満たしている。データから、実施例9~12に例示されるように、2種のPVOHアニオン性コポリマーを含むPVOH樹脂ブレンドを含むフィルムは、一般に、約20/80~約80/20(それぞれ重量/重量)の範囲のA/Bブレンド比について、両方の基準を満たしていることがわかる。
【0216】
実施例13-18:LLDに暴露された単一の樹脂フィルム
実施例1に従って樹脂Aで調製したフィルムを、本明細書に記載されるように液体洗濯洗剤1(LLD1)に曝露した。フィルムを、周囲条件(23℃、35%RH)、または38℃、80%RHの高ストレス環境で、LLD1と接触して、3、6、9、または12週間保管した後、上記の方法によってDC残留物値について試験した。平均DC値、TS値、およびMOD値を、表5に要約する。表5では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のPVOH樹脂(すなわち、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、ペンダント基が、無水マレイン酸コモノマー単位(M)に対応することをさらに示す。表5の最初のエントリは、フィルム配合物の単一の樹脂限界を表す(すなわち、実施例1)。
【表8】
【0217】
したがって、表5は、約1.5~約2モル%のマレエート変性を有するPVOHコポリマーを有する単一の樹脂フィルムについて、DC残留物値は、一般に、液体洗濯洗剤への暴露、ならびに周囲温度および湿度での保管後に増加することを実証している。表5で、「*」でマークされたフィルム特性は、例5~8に記載されているように、基準(a)を満たしている。
【0218】
実施例19-24:LLDに暴露された単一の樹脂フィルム
実施例3に従って樹脂Aで調製したフィルムを、本明細書に記載されるように液体洗濯洗剤1(LLD1)に曝露した。フィルムを、DC残留物値について、実施例13~18について記載されるように試験した。平均DC値を、表6に要約する。表6では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のPVOH樹脂(すなわち、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、ペンダント基が、無水マレイン酸コモノマー単位(M)に対応することをさらに示す。表6の最初のエントリは、フィルム配合物の単一の樹脂限界を表す(すなわち、実施例3)。
【表9】
【0219】
したがって、表6は、約1.5モル%~2モル%未満のマレエート変性を有するPVOHコポリマーを有する単一の樹脂フィルムについて、DC残留物値は、一般に、液体洗濯洗剤への暴露、ならびに周囲温度および湿度、ならびに38℃および85%RHでの保管後に一定のままであることを実証している。表6で、「*」でマークされたフィルム特性は、例5~8に記載されているように、基準(a)を満たしている。
【0220】
実施例25-30:LLDに暴露された単一の樹脂フィルム
フィルムを、実施例2に従って樹脂Bで調製した。得られたフィルムを、本明細書に記載されるような液体洗濯洗剤1(LLD1)に曝露し、DC残留物値について、実施例13~18について記載されるように試験した。平均DC値を、表7に要約する。表7では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のPVOH樹脂(すなわち、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、ペンダント基が、無水マレイン酸コモノマー単位(M)に対応することをさらに示す。
【表10】
【0221】
したがって、表7は、約3モル%~約5モル%のマレエート変性を含むPVOHコポリマーを有する単一の樹脂フィルムについて、DC残留物値は、一般に、液体洗濯洗剤への暴露および保管後に増加することを実証している。表7で、「*」でマークされたフィルム特性は、例5~8に記載されているように、基準(a)を満たしている。
【0222】
さらに、表5と表7とを組み合わせたデータは、液体洗濯洗剤に暴露され、3、6、または12週間保管された、約1.5~約2モル%のマレエート変性を有するPVOHコポリマー(樹脂A)から調製された水溶性フィルムが、液体洗濯洗剤に暴露され、3、6、または12週間保管された、約3~約5モル%のマレエート変性を有するPVOHコポリマー(樹脂B)から調製された水溶性フィルムと比較して、より高い残留物値(DC値)を有することを示している。
【0223】
実施例31-36:LLDに暴露された単一の樹脂フィルム
フィルムを、実施例4に従って樹脂Bで調製した。得られたフィルムを、本明細書に記載されるような液体洗濯洗剤1(LLD1)に曝露し、DC残留物値について、実施例13~18に記載されるように試験した。平均DC値を、表8に要約する。表8では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のPVOH樹脂(すなわち、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、ペンダント基が、無水マレイン酸コモノマー単位(M)に対応することをさらに示す。
【表11】
【0224】
したがって、表8は、約3モル%~約5モル%のマレエート変性およびペンダント基を含むPVOHコポリマーを有する単一の樹脂フィルムについて、DC残留物値は、一般に、液体洗濯洗剤への暴露および保管後に増加するを実証している、もっとも、約1.5~約2モル%のマレエート変性を有するPVOHコポリマーを有する単一の樹脂フィルムよりもはるかに遅い速度で(すなわち、表6の実施例19~24)あるが。表8で、「*」でマークされたフィルム特性は、例5~8に記載されているように、基準(a)を満たしている。
【0225】
例37~42:2種の樹脂ブレンドフィルム
実施例37~42は、形成された水溶性フィルムを表し、それぞれは、2種のコポリマーである樹脂Aおよび樹脂Bのブレンドを含む。フィルムは各々、80重量%の樹脂Aおよび20重量%の樹脂Bを含んでいた。ブレンドフィルムは、フィルム中の樹脂の100%を構成する2種の樹脂を含んでおり、一方、可塑剤および他の非樹脂構成成分は、実施例1について記載されるような量および種類で存在した。フィルムを、実施例1について記載されているように調製し、実施例13~18について記載されているように試験した。平均DC値を、表9に要約する。表9では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のすべてのポリマー樹脂(すなわち、存在する両方の樹脂を含むが、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、無水マレイン酸コモノマー単位(M)をさらに示す。
【表12】
【0226】
表9で、「*」でマークされたフィルム特性は、例5~8に記載されているように、基準(a)を満たしている。実施例37~42に示されているように、本明細書に記載されるような第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第1のPVOHコポリマーを80重量%、および本明細書に記載されるような第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第2のPVOHコポリマーを20重量%有するPVOH樹脂ブレンドを含有する特定の水溶性フィルムが、一般に、38℃、80%RH条件で少なくとも12週間の保管まで、基準(a)を満たしていることが予期せぬことに見出された。
【0227】
実施例43~48:2種の樹脂ブレンドフィルム
実施例43~48は、形成された水溶性フィルムを表し、それぞれは、2種のコポリマーである樹脂Aおよび樹脂Bのブレンドを含む。フィルムは各々、80重量%の樹脂Aおよび20重量%の樹脂Bを含んでいた。ブレンドフィルムは、フィルム中の樹脂の100%を構成する2種の樹脂を含んでおり、一方、可塑剤および他の非樹脂構成成分は、実施例3について記載されるような量および種類で存在した。フィルムを、実施例1について記載されているように調製し、実施例13~18について記載されているように試験した。平均DC値を、表10に要約する。表10では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のすべてのポリマー樹脂(すなわち、存在する両方の樹脂を含むが、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、無水マレイン酸コモノマー単位(M)をさらに示す。
【表13】
【0228】
表10で、「*」でマークされたフィルム特性は、例5~8に記載されているように、基準(a)を満たしている。実施例43~48に示されているように、本明細書に記載されるような第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第1のPVOHコポリマーを80重量%、および本明細書に記載されるような第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第2のPVOHコポリマーを20重量%有するPVOH樹脂ブレンドを含有する特定の水溶性フィルムが、一般に、周囲条件、および38℃、80%RH条件で少なくとも12週間の保管まで、基準(a)を満たしていることが予期せぬことに見出された。
【0229】
実施例49~54:2種の樹脂ブレンドフィルム
実施例49~53は、形成された水溶性フィルムを表し、それぞれは、2種のコポリマーである樹脂Aおよび樹脂Bのブレンドを含む。フィルムは各々、60重量%の樹脂Aおよび40重量%の樹脂Bを含んでいた。ブレンドフィルムは、フィルム中の樹脂の100%を構成する2種の樹脂を含んでおり、一方、可塑剤および他の非樹脂構成成分は、実施例1について記載されるような量および種類で存在した。フィルムを、実施例1について記載されているように調製し、実施例13~18について記載されているように試験した。平均DC値を、表11に要約する。表11では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のすべてのポリマー樹脂(すなわち、存在する両方の樹脂を含むが、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、無水マレイン酸コモノマー単位(M)をさらに示す。
【表14】
【0230】
表11で、「*」でマークされたフィルム特性は、例5~8に記載されているように、基準(a)を満たしている。実施例49~54に示されているように、本明細書に記載されるような第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第1のPVOHコポリマーを約60重量%、および本明細書に記載されるような第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第2のPVOHコポリマーを約40重量%有するPVOH樹脂ブレンドを含有する特定の水溶性フィルムが、一般に、38℃、80%RH条件で少なくとも12週間の保管まで、基準(a)~(c)を満たしていることが予期せぬことに見出された。
【0231】
実施例55~60:2種の樹脂ブレンドフィルム
実施例55~60は、形成された水溶性フィルムを表し、それぞれは、2種のコポリマーである樹脂Aおよび樹脂Bのブレンドを含む。フィルムは各々、60重量%の樹脂Aおよび40重量%の樹脂Bを含んでいた。ブレンドフィルムは、フィルム中の樹脂の100%を構成する2種の樹脂を含んでおり、一方、可塑剤および他の非樹脂構成成分は、実施例3について記載されるような量および種類で存在した。フィルムを、実施例1について記載されているように調製し、実施例13~18について記載されているように試験した。平均DC値を、表12に要約する。表12では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のすべてのポリマー樹脂(すなわち、存在する両方の樹脂を含むが、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、コモノマーが、無水マレイン酸コモノマー単位(M)に対応することをさらに示す。
【表15】
【0232】
表12で、「*」でマークされたフィルム特性は、例5~8に記載されているように、基準(a)を満たしている。実施例55~60に示されているように、本明細書に記載されるような第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第1のPVOHコポリマーを約60重量%、および本明細書に記載されるような第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第2のPVOHコポリマーを約40重量%有するPVOH樹脂ブレンドを含有する特定の水溶性フィルムが、周囲条件で少なくとも12週間の保管まで、かつ38℃、80%RH条件で少なくとも12週間の保管まで、基準(a)を満たしていることが予期せぬことに見出された。
【0233】
実施例61~66:2種の樹脂ブレンドフィルム
実施例61~66は、形成された水溶性フィルムを表し、それぞれは、2種のコポリマーである樹脂Aおよび樹脂Bのブレンドを含む。フィルムは各々、40重量%の樹脂Aおよび60重量%の樹脂Bを含んでいた。ブレンドフィルムは、フィルム中の樹脂の100%を構成する2種の樹脂を含んでおり、一方、可塑剤および他の非樹脂構成成分は、実施例1について記載されるような量および種類で存在した。フィルムを、実施例1について記載されているように調製し、実施例13~18について記載されているように試験した。平均DC値を、表13に要約する。表13では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のすべてのポリマー樹脂(すなわち、存在する両方の樹脂を含むが、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、無水マレイン酸コモノマー単位(M)をさらに示す。
【表16】
【0234】
表13で、「*」でマークされたフィルム特性は、例5~8に記載されているように、基準(a)を満たしている。実施例61~66に示されているように、本明細書に記載されるような第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第1のPVOHコポリマーを約40重量%、および本明細書に記載されるような第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第2のPVOHコポリマーを約60重量%有するPVOH樹脂ブレンドを含有する特定の水溶性フィルムが、一般に、周囲条件で少なくとも12週間の保管まで、かつ38℃、80%RH条件で少なくとも12週間の保管まで、基準(a)を満たしていることが予期せぬことに見出された。
【0235】
実施例67~72:2種の樹脂ブレンドフィルム
実施例67~72は、形成された水溶性フィルムを表し、それぞれは、2種のコポリマーである樹脂Aおよび樹脂Bのブレンドを含む。フィルムは各々、40重量%の樹脂Aおよび60重量%の樹脂Bを含んでいた。ブレンドフィルムは、フィルム中の樹脂の100%を構成する2種の樹脂を含んでおり、一方、可塑剤および他の非樹脂構成成分は、実施例3について記載されるような量および種類で存在した。フィルムを、実施例1について記載されているように調製し、実施例13~18について記載されているように試験した。平均DC値を、表14に要約する。表14では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のすべてのポリマー樹脂(すなわち、存在する両方の樹脂を含むが、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、無水マレイン酸コモノマー単位(M)をさらに示す。
【表17】
【0236】
表14で、「*」でマークされたフィルム特性は、例5~8に記載されているように、基準(a)を満たしている。実施例67~72に示されているように、本明細書に記載されるような第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第1のPVOHコポリマーを約40重量%、および本明細書に記載されるような第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第2のPVOHコポリマーを約60重量%有するPVOH樹脂ブレンドを含有する特定の水溶性フィルムが、一般に、周囲条件で少なくとも12週間の保管まで、かつ38℃、80%RH条件で少なくとも12週間の保管まで、基準(a)を満たしていることが予期せぬことに見出された。
【0237】
実施例73~78:2種の樹脂ブレンドフィルム
実施例73~78は、形成された水溶性フィルムを表し、それぞれは、2種のコポリマーである樹脂Aおよび樹脂Bのブレンドを含む。フィルムは各々、20重量%の樹脂Aおよび80重量%の樹脂Bを含んでいた。ブレンドフィルムは、フィルム中の樹脂の100%を構成する2種の樹脂を含んでおり、一方、可塑剤および他の非樹脂構成成分は、実施例1について記載されるような量および種類で存在した。フィルムを、実施例1について記載されているように調製し、実施例13~18について記載されているように試験した。平均DC値を、表15に要約する。表15では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のすべてのポリマー樹脂(すなわち、存在する両方の樹脂を含むが、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、無水マレイン酸コモノマー単位(M)をさらに示す。
【表18】
【0238】
表15で、「*」でマークされたフィルム特性は、例5~8に記載されているように、基準(a)を満たしている。実施例73~78に示されているように、本明細書に記載されるような第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第1のPVOHコポリマーを約20重量%、および本明細書に記載されるような第2のレベルのアニオン性モノマーを含む第2のPVOHコポリマーを約80重量%有するPVOH樹脂ブレンドを含有する特定の水溶性フィルムが、一般に、周囲条件で少なくとも12週間の保管まで、かつ38℃、80%RH条件で少なくとも12週間の保管まで、基準(a)を満たしていることが予期せぬことに見出された。
【0239】
実施例79~84:2種の樹脂ブレンドフィルム
実施例79~84は、形成された水溶性フィルムを表し、それぞれは、2種のコポリマーである樹脂Aおよび樹脂Bのブレンドを含む。フィルムは各々、20重量%の樹脂Aおよび80重量%の樹脂Bを含んでいた。ブレンドフィルムは、フィルム中の樹脂の100%を構成する2種の樹脂を含んでおり、一方、可塑剤および他の非樹脂構成成分は、実施例3について記載されるような量および種類で存在した。フィルムを、実施例1について記載されているように調製し、実施例13~18について記載されているように試験した。平均DC値を、表16に要約する。表16では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のすべてのポリマー樹脂(すなわち、存在する両方の樹脂を含むが、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、無水マレイン酸コモノマー単位(M)をさらに示す。
【表19】
【0240】
表16で、「*」でマークされたフィルム特性は、例5~8に記載されているように、基準(a)を満たしている。実施例79~84に示されているように、本明細書に記載されるような第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第1のPVOHコポリマーを約20重量%、および本明細書に記載されるような第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第2のPVOHコポリマーを約80重量%有するPVOH樹脂ブレンドを含有する特定の水溶性フィルムが、周囲条件で少なくとも12週間の保管まで、かつ38℃、80%RH条件で少なくとも12週間の保管まで、基準(a)を満たしていることが予期せぬことに見出された。
【0241】
実施例85:フィルムの膨潤
水溶性フィルムを、単一の樹脂または2種のコポリマーである樹脂AとBとのブレンドから形成した。100/0、80/20、60/40、40/60、30/70、20/80、および0/100の樹脂A対樹脂Bの重量比を有するフィルムを調製した。樹脂A、B、または樹脂Aと樹脂Bとの組み合わせが、本明細書で調製されたフィルム中の樹脂の100%を構成し、一方、可塑剤および他の非樹脂構成成分は、実施例1について記載されるような量および種類で存在した。本明細書に記載されるフィルム膨潤試験に従って、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)200、グリセリン、およびジグリセリンの各々の膨潤比について、フィルムを試験した。平均膨張比を、表17に要約する。
【表20】
【0242】
表17に示されるように、3~5モル%のマレエート変性を有するPVOH-マレエートコポリマー(樹脂B)の量が増えると、水溶性フィルムの膨潤値は一般に増加し、1.5~2モル%のマレエート変性を有するPVOH-マレエートコポリマー(樹脂A)を含まないフィルムで(例えば、0/100のA/B比で)、有意な増加が観察される。理論に拘束されるつもりはないが、フィルムが膨潤比値を実証する場合、それは、同一であるが第2のPVOHコポリマーが唯一の樹脂である比較フィルムの膨潤比値の60%以下であり、比較フィルム中のその第2のPVOHコポリマーの量は、本発明の水溶性フィルム中の樹脂の総量に等しく(例えば、A/Bの比が0/100)、液体組成物を封入するパウチに形成される場合、フィルムは、軟化してかつ垂れ下がる可能性が低い(すなわち、緊張のままである)。
【0243】
実施例86-92:LLDに暴露された単一の樹脂フィルム
フィルムを、実施例4に従って樹脂Bで調製した。前述の水性組成物を流延および乾燥させて、76μmの厚さのフィルム試料を形成した。得られたフィルムを、本明細書に記載されるような液体洗濯洗剤2(LLD2)に曝露した。フィルムを、LLD2と接触して保管する前、および周囲条件(23℃、35%RH)または38℃、80%RHの高ストレス環境で、LLD2と接触して、3、6、または12週間保管した後、上記の方法によってDC残留物値を試験した。平均DC値を、表18に要約する。表18では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のPVOH樹脂(すなわち、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、ペンダント基が、無水マレイン酸コモノマー単位(M)に対応することをさらに示す。
【表21】
【0244】
表18で、「*」でマークされた残留物値は、20重量%以下のDC残留物基準を満たしている。表18は、単一のPVOH樹脂を含む水溶性フィルムが、許容可能な残留物値を有し得ることを実証している。具体的には、表18は、約3~約5モル%のマレエート変性を有する無水マレイン酸コモノマーを含む単一のPVOH樹脂を含む水溶性フィルムが、良好な残留物値を実証することを実証している。
【0245】
例93-99:LLDに暴露された単一の樹脂フィルム
フィルムを、実施例1に従って、樹脂Aおよび非樹脂構成成分で調製した。フィルムを、実施例86~92に記載されているように形成および試験した。平均DC値を、表19に要約する。表19では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のPVOH樹脂(すなわち、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、ペンダント基が、無水マレイン酸コモノマー単位(M)に対応することをさらに示す。
【表22】
【0246】
表19で、「*」でマークされた残留物値は、実施例86~92に記載されているように、DC残留物基準を満たしている。表19は、単一のPVOH樹脂を含む水溶性フィルムが、不十分な残留物値を有し得ることを実証している。具体的には、表19は、約1.5~約2モル%のマレエート変性を有する無水マレイン酸コモノマーを含む単一のPVOH樹脂を含む水溶性フィルムが、液体洗濯洗剤と接触して保管すると、不十分な残留物値を実証し得ることを実証している。
【0247】
実施例100~106:2種の樹脂ブレンドフィルム
実施例100~106は、形成された水溶性フィルムを表し、それぞれは、2種のコポリマーである樹脂Aおよび樹脂Bのブレンドを含む。フィルムは各々、80重量%の樹脂Aおよび20重量%の樹脂Bを含んでいた。ブレンドフィルムは、フィルム中の樹脂の100%を構成する2種の樹脂を含んでおり、一方、可塑剤および他の非樹脂構成成分は、実施例1について記載されるような量および種類で存在した。フィルムを、実施例86~92に記載されているように形成および試験した。平均DC値を、表20に要約する。表20では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のすべてのポリマー樹脂(すなわち、存在する両方の樹脂を含むが、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、無水マレイン酸コモノマー単位(M)をさらに示す。
【表23】
【0248】
表20で、「*」でマークされた残留物値は、実施例86~92に記載されているように、DC残留物基準を満たしている。実施例100~106に示されているように、本明細書に記載されるような第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第1のPVOHコポリマーを約80重量%、および本明細書に記載されるような第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第2のPVOHコポリマーを約20重量%有するPVOH樹脂ブレンドを含有する特定の水溶性フィルムが、一般に、38℃、80%RH条件で少なくとも12週間の保管まで、約80/20のA/Bブレンド比(それぞれ重量/重量)について、許容可能な残留物値および緊張性の基準を満たしていることが予期せぬことに見出された。
【0249】
実施例107~113:2種の樹脂ブレンドフィルム
実施例107~113は、形成された水溶性フィルムを表し、それぞれは、2種のコポリマーである樹脂Aおよび樹脂Bのブレンドを含む。フィルムは各々、60重量%の樹脂Aおよび40重量%の樹脂Bを含んでいた。ブレンドフィルムは、フィルム中の樹脂の100%を構成する2種の樹脂を含んでおり、一方、可塑剤および他の非樹脂構成成分は、実施例1について記載されるような量および種類で存在した。フィルムを、実施例86~92に記載されているように形成および試験した。平均DC値を、表21に要約する。表21では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のすべてのポリマー樹脂(すなわち、存在する両方の樹脂を含むが、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、無水マレイン酸コモノマー単位(M)をさらに示す。
【表24】
【0250】
表21で、「*」でマークされた残留物値は、実施例86~92に記載されているように、DC残留物基準を満たしている。実施例107~113に示されているように、本明細書に記載されるような第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第1のPVOHコポリマーを約60重量%、および本明細書に記載されるような第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第2のPVOHコポリマーを約40重量%有するPVOH樹脂ブレンドを含有する特定の水溶性フィルムが、一般に、38℃、80%RH条件で少なくとも12週間の保管まで、許容可能な残留物値の基準を満たしていることが予期せぬことに見出された。
【0251】
実施例114~120:2種の樹脂ブレンドフィルム
実施例114~120は、形成された水溶性フィルムを表し、それぞれは、2種のコポリマーである樹脂Aおよび樹脂Bのブレンドを含む。フィルムは各々、40重量%の樹脂Aおよび60重量%の樹脂Bを含んでいた。ブレンドフィルムは、フィルム中の樹脂の100%を構成する2種の樹脂を含んでおり、一方、可塑剤および他の非樹脂構成成分は、実施例1について記載されるような量および種類で存在した。フィルムを、実施例86~92に記載されているように形成および試験した。平均DC値を、表22に要約する。表22では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のすべてのポリマー樹脂(すなわち、存在する両方の樹脂を含むが、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、無水マレイン酸コモノマー単位(M)をさらに示す。
【表25】
【0252】
表22で、「*」でマークされた残留物値は、実施例86~92に記載されているように、DC残留物基準を満たしている。実施例114~120に示されているように、本明細書に記載されるような第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第1のPVOHコポリマーを約40重量%、および本明細書に記載されるような第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第2のPVOHコポリマーを約60重量%有するPVOH樹脂ブレンドを含有する特定の水溶性フィルムが、一般に、周囲条件で少なくとも12週間の保管まで、かつ38℃、80%RH条件で少なくとも12週間の保管まで、許容可能な残留物値の基準を満たしていることが予期せぬことに見出された。
【0253】
実施例121~127:2種の樹脂ブレンドフィルム
実施例121~127は、形成された水溶性フィルムを表し、それぞれは、2種のコポリマーである樹脂Aおよび樹脂Bのブレンドを含む。フィルムは各々、20重量%の樹脂Aおよび80重量%の樹脂Bを含んでいた。ブレンドフィルムは、フィルム中の樹脂の100%を構成する2種の樹脂を含んでおり、一方、可塑剤および他の非樹脂構成成分は、実施例1について記載されるような量および種類で存在した。フィルムを、実施例86~92に記載されているように形成および試験した。平均DC値および緊張性値を、表23に要約する。表23では、フィルムのペンダント基(P)含有量は、フィルム中のすべてのポリマー樹脂(すなわち、存在する両方の樹脂を含むが、可塑剤およびその他の非樹脂構成成分を除く)に対してモルベースで提供され、P値は、無水マレイン酸コモノマー単位(M)をさらに示す。
【表26】
【0254】
表23で、「*」でマークされた残留物値は、実施例86~92に記載されているように、DC残留物値基準を満たしている。実施例121~127に示されているように、本明細書に記載されるような第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第1のPVOHコポリマーを約20重量%、および本明細書に記載されるような第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込みを含む第2のPVOHコポリマーを約80重量%有するPVOH樹脂ブレンドを含有する特定の水溶性フィルムが、一般に、周囲条件で少なくとも12週間の保管まで、かつ38℃、80%RH条件で少なくとも12週間の保管まで、許容可能な残留物値の基準を満たしていることが予期せぬことに見出された。
【0255】
上記の説明は、理解を明確にするために示されているに過ぎず、本発明の範囲内の修正は当業者に明らかであり得るため、そこから不必要な限定が理解されるべきではない。
【0256】
本明細書で引用したすべての特許、刊行物、および参考文献は、参照により完全に本明細書に組み込まれる。本開示と、組み込まれる特許、刊行物、および参考文献との間に矛盾がある場合は、本開示が優先されるべきである。
次に、本発明のまた別の好ましい態様を示す。
1. 水溶性フィルムであって、
ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドであって、
第1のアニオン性モノマー単位を含む第1のPVOHコポリマーであって、前記第1のアニオン性モノマー単位が、無水マレイン酸または無水マレイン酸のアルカリ金属塩を含み、前記第1のアニオン性モノマー単位が、約1モル%~約3モル%の量で、前記第1のPVOHコポリマー中に存在する、第1のPVOHコポリマーと、
第2のアニオン性モノマー単位を含む第2のPVOHコポリマーであって、前記第2のアニオン性モノマー単位が、約3モル%~約10モル%の量で、前記第2のPVOHコポリマー中に存在する、第2のPVOHコポリマーと、を含み、
前記第1のPVOHコポリマーが、前記PVOH樹脂ブレンドの総重量に基づいて、約10重量%~約70重量%の範囲内の量で前記ブレンド中に提供され、前記第1のPVOHコポリマー中に存在する第1のアニオン性モノマー単位の前記量が、前記第2のPVOHコポリマー中に存在する第2のアニオン性モノマー単位の前記量とは異なる、PVOH樹脂ブレンドを含む、水溶性フィルム。
2. 前記第2のアニオン性モノマーが、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル、イタコン酸ジアルキル、無水イタコン酸、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、無水シトラコン酸、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、無水メサコン酸、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、無水グルタコン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される、上記1に記載の水溶性フィルム。
3. 前記第1および第2のPVOHコポリマーが、ペンダント基を含み、前記第1のPVOHコポリマーが、第1のレベルのペンダント基(a 1 )を有し、前記第2のPVOHコポリマーが、第2のレベルのペンダント基(a 2 )を有し、a 1 とa 2 との間の差が、約2モル%~約15モル%の範囲内である、上記1または上記2に記載の水溶性フィルム。
4. 前記第1のPVOHコポリマーが、前記PVOH樹脂ブレンドの総重量の約10重量%~約40重量%の範囲内の量で存在する、上記1~3のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
5. 前記第2のアニオン性モノマーが、無水マレイン酸、および無水マレイン酸のアルカリ金属塩のうちの1種以上から選択されるモノマーを含む、上記1~4のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
6. 前記第2のPVOHコポリマーが、前記フィルム中の総PVOHポリマーの約30重量%~約90重量%の範囲内の量で存在する、上記1~3または5のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
7. 前記第1および第2のPVOHコポリマーが、ペンダント基を含み、前記第1のPVOHコポリマーが、第1のレベルのペンダント基を有し、前記第2のPVOHコポリマーが、第2のレベルのペンダント基を有し、前記第1のペンダント基および前記第2のペンダント基が、合わせて約8モル%~25モル%の範囲内の合計量で存在する、上記3~6のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
8. 前記第1のPVOHコポリマーが、第1のレベルのアニオン性モノマーの組み込み(b 1 )を有する無水マレイン酸コポリマーであり、前記第2のPVOHコポリマーが、第2のレベルのアニオン性モノマーの組み込み(b 2 )を有する無水マレイン酸コポリマーであり、b 1 とb 2 との間の差が、約1モル%~3モル%の範囲内である、上記1~7のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
9. 前記第1のPVOHコポリマーが、20℃で、約4cP~約30cPの範囲内の4%溶液粘度を有する、上記1~8のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
10. 前記第2のPVOHコポリマーが、20℃で、約12cP~約30cPの範囲内の4%溶液粘度を有する、上記1~9のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
11. 前記水溶性フィルムが、溶解チャンバー試験によって測定される場合、約20%以下の残留物値を有する、上記1~10のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
12. 前記水溶性フィルムが、少なくとも15%の結晶化度を有する、上記1~11のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
13. 前記PVOH樹脂ブレンドが、前記第1のPVOHコポリマーおよび前記第2のPVOHコポリマーから本質的になる、上記1~12のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
14. 前記水溶性フィルムが、PVOHポリマー以外である少なくとも第3の水溶性ポリマーをさらに含む、上記1~12のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
15. 前記第3の水溶性ポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、デンプン、変性デンプン、グアーガム、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、ポリアクリレート、ポリアクリレート塩、および前述のもののうちのいずれかのコポリマーのうちの1種以上から選択される、上記14に記載の水溶性フィルム。
16. 前記第1のPVOHコポリマーおよび前記第2のPVOHコポリマーが、各々独立して、約75%~約99%の範囲内の加水分解度を有する、上記1~15のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
17. 前記水溶性フィルムが、可塑剤、可塑剤相溶化剤、潤滑剤、剥離剤、フィラー、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、粘着性低減剤、消泡剤、ナノ粒子、漂白剤、および界面活性剤のうちの1種以上から選択される助剤をさらに含む、上記1~16のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
18. 30phr以上の量で1種以上の可塑剤をさらに含む、上記1~17のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
19. 30phr未満の量で1種以上の可塑剤をさらに含む、上記1~17のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
20. 92g/モル以上の分子量を有する第1の可塑剤、および150g/モル以上の分子量を有する第2の可塑剤を含む、上記1~19のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
21. 第3の可塑剤をさらに含む、上記20に記載の水溶性フィルム。
22. 少なくとも2phrの量でフィラーをさらに含む、上記1~21のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
23. 前記フィラーが、充填剤、およびブロッキング防止剤、またはそれらの組み合わせを含む、上記22に記載の水溶性フィルム。
24. 前記第1のPVOHコポリマーが、無水マレイン酸モノマー、および無水マレイン酸のアルカリ金属塩のうちの1種以上から選択される第1のアニオン性モノマー単位を含み、
前記第1のPVOHコポリマーが、前記PVOH樹脂ブレンドの総重量の約10重量%~約70重量%の範囲内の量で存在し、
前記第2のPVOHコポリマーが、無水マレイン酸、および無水マレイン酸のアルカリ金属塩のうちの1種以上から選択される第2のアニオン性モノマー単位を含み、
前記第2のPVOHコポリマーが、前記PVOH樹脂ブレンドの総重量の約30重量%~約90重量%の範囲内の量で存在し、
1 とa 2 との間の差が、約3モル%~約6モル%の範囲内であり、
1 が、約3モル%~約6モル%の範囲内であり、
2 が、約7モル%~約9モル%の範囲内であり、
前記第1のペンダント基および前記第2のペンダント基が、合わせて約10モル%~15モル%の範囲内の合計量で存在する、上記3~23のいずれかに記載の水溶性フィルム。
25. 物品であって、
内部パウチ容積を画定するパウチの形態の、上記1~24のいずれかに記載の水溶性フィルムを含む物品。
26. 前記内部パウチ容積に収容された組成物をさらに含む、上記25に記載の物品。
27. 前記組成物が、液体組成物である、上記26に記載の物品。
28. 前記液体組成物が、液体洗剤である、上記27に記載の物品。
29. 前記液体組成物が、低分子量ポリオールを含む、上記27または上記28に記載の物品。
30. 前記内部パウチ容積に収容された前記組成物が液体であり、前記物品が、液体放出試験によって測定される場合、少なくとも30秒の遅延放出時間を有する、上記25~29のいずれか1項に記載の物品。
図1
図2