(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】粘着剤層付偏光フィルム、光学部材、及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20231024BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G02B5/30
G02F1/1335 510
(21)【出願番号】P 2021038906
(22)【出願日】2021-03-11
(62)【分割の表示】P 2015183191の分割
【原出願日】2015-09-16
【審査請求日】2021-04-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保井 淳
(72)【発明者】
【氏名】澤▲崎▼ 良平
(72)【発明者】
【氏名】伊▲崎▼ 章典
(72)【発明者】
【氏名】北村 吉紹
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和也
【合議体】
【審判長】杉山 輝和
【審判官】関根 洋之
【審判官】清水 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-133312(JP,A)
【文献】特開2003-238911(JP,A)
【文献】国際公開第2012/063343(WO,A1)
【文献】特開2007-156322(JP,A)
【文献】特開2013-213878(JP,A)
【文献】特開2012-241108(JP,A)
【文献】特開2014-224964(JP,A)
【文献】特開2010-91602(JP,A)
【文献】国際公開第2011/030596(WO,A1)
【文献】特開2004-341310(JP,A)
【文献】特開2008-249970(JP,A)
【文献】特開2009-271519(JP,A)
【文献】特開2013-20213(JP,A)
【文献】特開2012-73563(JP,A)
【文献】特開2013-210488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光フィルムと、当該偏光フィルムに設けられた粘着剤層Aを有する
画像表示装置のバックライト側用の粘着剤層付偏光フィルムであって、
前記偏光フィルムは、厚みが10μm以下の偏光子の片側にのみ透明保護フィルムを有する片面保護偏光フィルムであって、前記粘着剤層Aは、前記偏光子の前記透明保護フィルムを有さない側に設けられており、
前記粘着剤層Aは、透湿度が100g/(m
2・24h)以下であり、厚みが30μm以下であることを特徴とする粘着剤層付偏光フィルム。
【請求項2】
前記粘着剤層Aが、ゴム系ポリマーを主成分として含有する粘着剤層であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤層付偏光フィルム。
【請求項3】
前記ゴム系ポリマーが、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリイソブチレン、及びブチルゴムからなる群から選択される1種以上のゴム系ポリマーであることを特徴とする請求項2に記載の粘着剤層付偏光フィルム。
【請求項4】
前記粘着剤層Aが、さらに粘着付与樹脂を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の粘着剤層付偏光フィルム。
【請求項5】
前記粘着剤層Aが、光拡散性微粒子を含む光拡散粘着剤層A1であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の粘着剤層付偏光フィルム。
【請求項6】
前記光拡散粘着剤層A1のヘイズが10~95%であることを特徴とする請求項5に記載の粘着剤層付偏光フィルム。
【請求項7】
前記光拡散性微粒子が、シリコーン樹脂微粒子、又はスチレン樹脂微粒子であることを特徴とする請求項5又は6に記載の粘着剤層付偏光フィルム。
【請求項8】
前記光拡散性微粒子の体積平均粒子径が、1~4μmであることを特徴とする請求項5~7のいずれかに記載の粘着剤層付偏光フィルム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の粘着剤層付偏光フィルムと、当該粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層側に設けられた輝度向上フィルムを有することを特徴とする光学部材。
【請求項10】
前記輝度向上フィルムの粘着剤層付偏光フィルムを有さない側に、さらにプリズムシートを設けたことを特徴とする請求項9に記載の光学部材。
【請求項11】
請求項1~8の粘着剤層付偏光フィルム、及び請求項9、10記載の光学部材からなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤層付偏光フィルム、当該粘着剤層付偏光フィルムを含む光学部材に関する。また、本発明は、前記粘着剤層付偏光フィルム及び/又は前記光学部材を含む画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置等の画像表示装置においては、軽量化、薄型化の要求が強く、画像表示装置において使用される偏光フィルム等の各種光学部材に対しても、薄型化、軽量化することが要望されており、薄型偏光フィルムの製造方法が種々検討されている。
【0003】
薄型偏光フィルムの製法としては、例えば、ある程度の厚みを有する樹脂基材に形成された薄いポリビニルアルコール(PVA)系重合体層を樹脂基材と一体化された状態で一軸延伸することによって、薄型偏光フィルムを樹脂基材上に製膜する方法(例えば、特許文献1参照)や、基材フィルムの一方の面に、PVA樹脂からなる樹脂層を形成した積層フィルムを特定の延伸倍率で自由端縦一軸延伸して、延伸フィルムを得、当該延伸フィルムを二色性色素で染色して薄型偏光子を形成する方法等が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4691205号明細書
【文献】特許第5048120号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1、2で得られた薄型化偏光フィルムは、いずれも、偏光子の片面を透明保護フィルムで保護した片面保護の偏光フィルムであり、当該片面保護偏光フィルムの偏光子側に粘着剤層を介して各種光学部材等に貼り合せて画像表示装置に組み込むことができるものである。
【0006】
前記片面保護偏光フィルムは薄膜化の観点からは優れているものの、当該片面保護偏光フィルムを被着体に貼り合せた状態で高温加湿環境下に曝した場合に、偏光子に水分が移行し、偏光子が劣化(偏光解消が生じる)してしまう、という問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、高温加湿環境下における片保護偏光フィルムの偏光子の劣化を抑制することができる、粘着剤層付偏光フィルムを提供することを目的とする。また、本発明は、前記粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層が光拡散粘着剤層である粘着剤層付偏光フィルムを提供することも目的とする。また、本発明は、前記粘着剤層付偏光フィルムを含む光学部材、及び、前記粘着剤層付偏光フィルム及び/又は前記光学部材を含む画像表示装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記粘着剤層付偏光フィルムを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、偏光フィルムと、当該偏光フィルムに設けられた粘着剤層Aを有する粘着剤層付偏光フィルムであって、
前記偏光フィルムは、厚みが10μm以下の偏光子の片側にのみ透明保護フィルムを有する片面保護偏光フィルムであって、前記粘着剤層Aは、前記偏光子の前記透明保護フィルムを有さない側に設けられており、
前記粘着剤層Aは、透湿度が300g/(m2・24h)以下であり、厚みが50μm以下であることを特徴とする粘着剤層付偏光フィルムに関する。
【0010】
前記粘着剤層Aが、ゴム系ポリマーを主成分として含有する粘着剤層であることが好ましい。
【0011】
前記ゴム系ポリマーが、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリイソブチレン、及びブチルゴムからなる群から選択される1種以上のゴム系ポリマーであることが好ましい。
【0012】
前記粘着剤層Aが、さらに粘着付与樹脂を含むことが好ましい。
【0013】
前記粘着剤層Aが、光拡散性微粒子を含む光拡散粘着剤層A1であってもよい。
【0014】
前記光拡散粘着剤層A1のヘイズが10~95%であることが好ましい。
【0015】
前記光拡散性微粒子が、シリコーン樹脂微粒子、又はスチレン樹脂微粒子であることが好ましい。
【0016】
前記光拡散性微粒子の体積平均粒子径が、1~4μmであることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、前記粘着剤層付偏光フィルムと、当該粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層A又は粘着剤層A1側に設けられた輝度向上フィルムを有することを特徴とする光学部材に関する。
【0018】
前記光学部材において、前記輝度向上フィルムの粘着剤層付偏光フィルムを有さない側に、さらにプリズムシートを設けることができる。
【0019】
さらに、本発明は、前記粘着剤層付偏光フィルム、及び前記光学部材からなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする画像表示装置に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の粘着剤層付偏光フィルムは、片保護偏光フィルムを使用するものであるため、薄型化できるものであり、かつ、粘着剤層Aの透湿度が300g/(m2・24h)以下であって、かつ厚みが50μm以下であるため、高温加湿環境下における偏光子の劣化を抑制することができる。すなわち、本発明の粘着剤層付偏光フィルムは、粘着剤層Aが低透湿度であって、厚みが50μm以下であるため、高温加湿環境下に曝された場合であっても偏光子に水分が移行することを抑制することができ、その結果、偏光子の劣化による偏光解消を抑制することができる。また、粘着剤層Aが光拡散粘着剤層A1である場合、本発明の粘着剤層付偏光フィルムは光拡散機能を有するため、画像表示装置中に用いられる拡散シートの代わりに使用することもでき、画像表示装置の薄型化をすることができる。また、前記光拡散機能を有する粘着剤層付偏光フィルムをバックライト側に用いることで、バックライトからの光の偏りを解消することでき、より均一な表示をすることができる。また、本発明の光学部材及び画像表示装置は、本発明の粘着剤層付偏光フィルムを含むため、高い信頼性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の粘着剤層付偏光フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図2】本発明の光学部材の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図3】本発明の光学部材の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.粘着剤層付偏光フィルム
本発明の粘着剤層付偏光フィルムは、偏光フィルムと、当該偏光フィルムに設けられた粘着剤層Aを有し、
前記偏光フィルムは、厚みが10μm以下の偏光子の片側にのみ透明保護フィルムを有する片面保護偏光フィルムであって、前記粘着剤層Aは、前記偏光子の前記透明保護フィルムを有さない側に設けられており、
前記粘着剤層Aは、透湿度が300g/(m2・24h)以下であり、厚みが50μm以下であることを特徴とする。
【0023】
本発明の粘着剤層付偏光フィルムの構成について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、
図1における各構成の寸法は、その一例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
図1に示すように、本発明の粘着剤層付偏光フィルム1は、偏光フィルム2の少なくとも片面に粘着剤層A(
図1中の3)を有するものである。また、前記偏光フィルム2は、偏光子4の片面にのみ透明保護フィルム5を有しており、前記粘着剤層A(3)は、前記偏光子4の前記透明保護フィルム5を有さない側(すなわち、偏光子4側)に設けられていればよいものである。前記偏光子4と粘着剤層A(3)は必ずしも接触している必要はないが、本発明の効果を顕著に発現できる観点からは、これらが接触していることが好ましい。
【0025】
また、前記透明保護フィルム5の偏光子4を有さない側に、さらに粘着剤層B(不図示)を設けることもできる。透明保護フィルム5に設ける粘着剤層Bについては、前記特定の透湿度を有する粘着剤層Aであってもいいし、それ以外の粘着剤層であってもよい。粘着剤層Bについては、後述する。
【0026】
(1)粘着剤層A
本発明で用いる粘着剤層Aは、透湿度が300g/(m2・24h)以下であり、厚みが50μm以下であることを特徴とする。
【0027】
本発明で用いる粘着剤層Aは、透湿度が300g/(m2・24h)以下であって、水蒸気の透過率が低いため、水分等により偏光子が劣化することを抑制することができるものである。前記透湿度は、粘着剤層の厚み50μmにおける40℃、92%R.H.条件下での水蒸気透過率(透湿度)であって、その測定方法は実施例に記載の方法により測定することができる。
【0028】
前記透湿度は、300g/(m2・24h)以下であり、200g/(m2・24h)以下であることが好ましく、100g/(m2・24h)以下であることがさらに好ましく、60g/(m2・24h)以下が特に好ましい。また、透湿度の下限値は特に限定されるものではないが、理想的には、水蒸気を全く透過させないこと(すなわち、0g/(m2・24h))が好ましい。粘着剤層Aの透湿度が前記範囲であれば、偏光子に水分が移行することを抑制することができ、偏光子の劣化による偏光解消を抑制することができ、光学信頼性の高い粘着剤層付偏光フィルムとすることができる。
【0029】
本発明で用いる粘着剤層Aの厚みは、50μm以下であり、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。また、粘着剤層Aの厚みの下限値は、特に限定されるものではないが、耐久性の観点からは、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。本発明で用いる粘着剤層Aは、前述の通り水蒸気の透過率が低く、かつ、厚みが50μm以下であるため、高温加湿環境下において、偏光子に水分が移行することを抑制できるものである。その結果、偏光子の劣化による偏光解消を抑制することができ、光学信頼性の高い粘着剤層付偏光フィルムとすることができるものである。
【0030】
片面保護フィルムの偏光子への水分移行は、片面保護偏光フィルムに設けられた粘着剤層Aの粘着面(すなわち、粘着剤層Aの偏光子が設けられた側とは反対側の面)からの水分移行と、粘着剤層Aの側面からの水分移行が考えられる。通常、粘着剤層Aの偏光子を有する側とは反対側には、表示パネル、ガラス板等の被着体が貼り合わされており、粘着剤層Aの面方向からの水分移行はある程度抑制することが可能であるが、粘着剤層Aの側面部分からの水分移行については抑制することが困難であった。本発明で用いる粘着剤層Aは低透湿であって、かつ、厚みが50μm以下であり粘着剤層Aの側面部分の面積が小さいため、当該側面部分からの水分移行量を抑制することができ、偏光子の劣化による偏光解消を抑制できるものである。
【0031】
本発明で用いる粘着剤層Aとしては、透湿度及び厚みが前記範囲であるものであればよく、その組成は限定されず、例えば、ゴム系粘着剤組成物、アクリル系粘着剤組成物、シリコーン系粘着剤組成物、ウレタン系粘着剤組成物等から形成されるものを適宜用いることができる。これらの中でも、透湿度の観点から、ゴム系ポリマーをベースポリマーとするゴム系粘着剤組成物が好ましい。本発明で用いる粘着剤層Aにおいては、前記ゴム系ポリマーを主成分として含有することが好ましい。ここで、「主成分」とは、粘着剤層Aにおいて(又は、粘着剤層Aを形成する粘着剤組成物の全固形分において)、ゴム系ポリマーが40重量%以上含まれることをいう。
【0032】
前記ゴム系ポリマーとは、室温付近の温度域においてゴム弾性を示すポリマーである。ゴム系ポリマーとしては、天然ゴム、合成ゴム、及び熱可塑性エラストマーからなる群から選択される1種以上を用いることが好ましい。
【0033】
前記合成ゴムとしては、ポリイソブチレン(PIB)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエン-イソプレン-スチレンランダム共重合体、イソプレン-スチレンランダム共重合体、EPR(二元系エチレン-プロピレンゴム)、EPT(三元系エチレン-プロピレンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム等を挙げることができる。これらの中でも、透明性、耐光性の観点から、ポリイソブチレン(PIB)、ブチルゴム(IIR)が好ましく、ポリイソブチレン(PIB)がより好ましい。
【0034】
前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS、SISの水添物)、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体(SEP、スチレン-イソプレンブロック共重合体の水添物)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン系ブロックコポリマー);ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリプロピレンとEPT(三元系エチレン-プロピレンゴム)とのポリマーブレンド等のブレンド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの中でも、透明性、耐光性の観点から、スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS、SISの水添物)がより好ましい。
【0035】
前記粘着剤組成物は、ゴム系ポリマーをベースポリマーとして含むものであり、粘着剤組成物におけるゴム系ポリマーの含有量は、40重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、60重量%以上であることがさらに好ましい。ゴム系ポリマーの含有量の上限は特に限定されるものではなく、100重量%以下であればよく、95重量%以下であることが好ましい。
【0036】
前記粘着剤組成物は、被着体である偏光子、光学フィルム、ガラス、表示パネル等に対する接着性の点から、粘着付与樹脂をさらに含むことが好ましい。
【0037】
前記粘着付与樹脂としては、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、石油樹脂系粘着付与樹脂等を挙げることができ、これらを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、テルペン系粘着付与樹脂が透明性、接着性の点から好ましい。
【0038】
テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体等のテルペン重合体や、前記テルペン重合体を変性(フェノール変性、スチレン変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性等)した変性テルペン樹脂等が挙げられる。上記変性テルペン樹脂の例には、テルペンフェノール樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂(水素化テルペン樹脂)等が含まれる。ここでいう水素添加テルペン樹脂の例には、テルペン重合体の水素化物及び他の変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂の水素化物が含まれる。
【0039】
粘着付与樹脂としては、例えば、ヤスハラケミカル(株)製のクリアロンシリーズ、ポリスターシリーズ、荒川化学工業(株)製のスーパーエステルシリーズ、ペンセルシリーズ、パインクリスタルシリーズ等の市販品を使用することができる。
【0040】
前記粘着付与樹脂の軟化点(軟化温度)は、特に限定されないが、例えば、軟化点が80℃以上程度であることが好ましく、100℃以上程度であることがより好ましい。粘着付与樹脂の軟化点の上限値は、特に限定されないが、例えば、200℃以下程度であることが好ましく、180℃以下程度であることが好ましい。なお、ここでいう粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K5902及びJIS K2207のいずれかに規定する軟化点試験方法(環球法)によって測定された値として定義される。
【0041】
前記粘着付与樹脂の添加量は、前記ベースポリマー100重量部に対して、100重量部以下であることが好ましく、80重量部以下であることがより好ましく、50重量部以下であることがさらに好ましい。また、粘着付与樹脂の添加量の下限値は特に限定されるものではないが、0重量部以上であることが好ましく、1重量部以上であることがより好ましく、5重量部以上であることがさらに好ましい。粘着付与樹脂の使用量を前記範囲にすることで、耐熱性、接着性の確保のため好ましい。
【0042】
また、前記粘着剤組成物には、希釈剤として有機溶媒を添加することができる。希釈剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ジメチルエーテル等を挙げることができ、これらを1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、トルエンが好ましい。
【0043】
希釈剤の添加量は、特に限定されるものではないが、粘着剤組成物中のベースポリマー100重量部に対して、50~500重量部程度であることが好ましく、100~300重量部程度であることがより好ましい。希釈剤の添加量が前記範囲であることにより、支持体等へ塗工性の観点から好ましい。
【0044】
前記粘着剤組成物には、任意の適切な添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤の具体例としては、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート、エポキシ化合物、アルキルエーテル化メラミン化合物等)、可塑剤、充填剤、老化防止剤等が挙げられる。粘着剤組成物に添加される添加剤の種類、組み合わせ、添加量等は、目的に応じて適切に設定され得る。粘着剤組成物における前記添加剤の含有量(総量)は、50重量%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましく、30重量%以下であることがさらに好ましい。
【0045】
(光拡散粘着剤層A1)
前記粘着剤層Aは、光拡散性微粒子を含む光拡散粘着剤層A1とすることができる。粘着剤層Aが光拡散粘着剤層A1である場合、本発明の粘着剤層付偏光フィルムに光拡散機能を付与することができるため、好ましい。
【0046】
光拡散性微粒子としては、任意の適切なものを用いることができる。具体例としては、無機微粒子、高分子微粒子等が挙げられるが、これらの中でも、高分子微粒子が好ましい。
【0047】
前記高分子微粒子の材質としては、例えば、シリコーン樹脂、スチレン樹脂、メタアクリル系樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチル)、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、前記粘着剤組成物に対する優れた分散性及び前記粘着剤組成物との適切な屈折率差を有するので、光拡散性能に優れた光拡散粘着剤層A1が得られる。これらの中でも、シリコーン樹脂、スチレン樹脂が特に好ましい。
【0048】
光拡散性微粒子の形状は、例えば、真球状、扁平状、不定形状であり得る。光拡散性微粒子は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
本発明で用いる光拡散性微粒子の屈折率は、前記粘着剤組成物の屈折率よりも低いことが好ましい。前記「粘着剤組成物の屈折率」とは、光拡散性微粒子を含まない粘着剤組成物(すなわち、光拡散性微粒子を添加する前の粘着剤組成物)の屈折率のことである。光拡散性微粒子の屈折率は、1.30~1.70であることが好ましく、1.40~1.65であることがより好ましい。光拡散性微粒子の屈折率が前記範囲であれば、粘着剤組成物との屈折率差を所望の範囲とすることができ、その結果、所望のヘイズ値を有する光拡散粘着剤層A1を得ることができるため好ましい。
【0050】
光拡散性微粒子と粘着剤組成物との屈折率差の絶対値は、0を超えて0.2以下であることが好ましく、0を超えて0.15以下であることがより好ましく、0.01~0.13であることがさらに好ましい。
【0051】
光拡散性微粒子の体積平均粒子径は、1~4μm程度であることが好ましく、2~4μm程度であることがより好ましい。光拡散性微粒子の体積平均粒子径が前記範囲内であれば、前記粘着剤組成物と組み合わせることにより、所望のヘイズ値を有する光拡散粘着剤層A1を得ることができるため好ましい。なお、体積平均粒子径は、例えば、超遠心式自動粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0052】
前記光拡散粘着剤層A1における光拡散性微粒子の含有量は、特に限定されるものではないが、0.3~50重量%であることが好ましく、3~48重量%であることがより好ましく、3~30重量%であることがさらに好ましい。光拡散性微粒子の配合量を前記範囲にすることにより、優れた光拡散性能を有する光拡散粘着剤層A1を得ることができる。
【0053】
前記光拡散粘着剤層A1のヘイズは、特に限定されるものではないが、10~95%であることが好ましく、20~85%であることがより好ましく、30~70%であることがさらに好ましい。ヘイズ値を前記範囲にすることで、所望の拡散性能が得られ、モアレ及びギラツキの発生を良好に抑制することができるため好ましい。光拡散粘着剤層A1の光拡散性能は、マトリクス(粘着剤)の構成材料、ならびに、光拡散性微粒子の構成材料、体積平均粒子径及び配合量等を調整することにより制御することができる。
【0054】
前記粘着剤層A(又はA1)の形成方法については、後述する。
【0055】
(2)偏光フィルム
本発明で用いる偏光フィルムは、偏光子の片面のみに透明保護フィルムを有する片面保護偏光フィルムである。
【0056】
本発明においては、厚みが10μm以下の薄型偏光子を用いる。薄型化の観点から言えば当該厚みは、1~7μmであるのが好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため耐久性に優れ、さらには偏光フィルムとしての厚みも薄型化が図れる点が好ましい。
【0057】
薄型の偏光子としては、代表的には、特開昭51-069644号公報や特開2000-338329号公報や、国際公開第2010/100917号パンフレット、又は特開2014-59328号公報や特開2012-73563号公報に記載されている薄型偏光膜を挙げることができる。これら薄型偏光膜は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂ともいう)層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法による得ることができる。この製法であれば、PVA系樹脂層が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されていることにより延伸による破断等の不具合なく延伸することが可能となる。
【0058】
前記薄型偏光膜としては、積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法の中でも、高倍率に延伸できて偏光性能を向上させることのできる点で、国際公開第2010/100917号パンフレット、又は特開2014-059328号公報や特開2012-073563号公報に記載のあるようなホウ酸水溶液中で延伸する工程を含む製法で得られるものが好ましく、特に特開2014-059328号公報や特開2012-073563号公報に記載のあるホウ酸水溶液中で延伸する前に補助的に空中延伸する工程を含む製法により得られるものが好ましい。
【0059】
前記偏光子の片面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は、前記ポリマーのブレンド物等も前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
【0060】
保護フィルムの厚みは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性等の点より1~500μm程度である。
【0061】
前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。上記の他、偏光子と透明保護フィルムとの接着剤としては、紫外硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等が挙げられる。電子線硬化型偏光フィルム用接着剤は、上記各種の透明保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。また本発明で用いる接着剤には、金属化合物フィラーを含有させることができる。
【0062】
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであっても良い。
【0063】
(3)粘着剤層付偏光フィルム
本発明の粘着剤層付偏光フィルムは、前記片面保護偏光フィルムの偏光子に直接前記粘着剤組成物を塗布し、加熱乾燥等により溶媒等を除去することにより、粘着剤層A(又はA1)を偏光子上に形成することができる。また、支持体等に形成した粘着剤層A(又はA1)を、前記片面保護偏光フィルムの偏光子上に転写して、粘着剤層付偏光フィルムを形成することもできる。
【0064】
粘着剤組成物の塗布方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーター等による押出しコート法等の方法が挙げられる。
【0065】
前記加熱乾燥温度は、30℃~200℃程度が好ましく、40℃~180℃がより好ましく、80℃~150℃がさらに好ましい。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘着剤層A(又はA1)を得ることができる。乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、5秒~20分程度が好ましく、30秒~10分がより好ましく、1分~8分がさらに好ましい。
【0066】
前記支持体としては、例えば、剥離処理したシート(セパレーター)を用いることができる。剥離処理したシートとしては、シリコーン剥離ライナーが好ましく用いられる。
【0067】
セパレーターの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、及びこれらのラミネート体等の適宜な薄葉体等を挙げることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0068】
前記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム等が挙げられる。
【0069】
前記セパレーターの厚みは、通常5~200μm、好ましくは5~100μm程度である。前記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型、及び防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレーターの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を適宜行うことにより、前記粘着剤層A(又はA1)からの剥離性をより高めることができる。
【0070】
なお、上記の粘着剤層付偏光フィルムの作製にあたって用いた、剥離処理したシートは、そのまま粘着剤層付偏光フィルムのセパレーターとして用いることができ、工程面における簡略化ができる。
【0071】
また、前記粘着剤層付偏光フィルムにおいて、粘着剤層A(又はA1)の形成にあたっては、偏光子の表面に、アンカー層を形成したり、コロナ処理、プラズマ処理等の各種易接着処理を施した後に粘着剤層を形成することができる。また、粘着剤層A(又はA1)の表面には易接着処理をおこなってもよい。
【0072】
本発明の粘着剤層付偏光フィルムは、偏光子の厚みが10μm以下の片保護偏光フィルムを用いるため、粘着剤層付偏光フィルム全体としても薄膜化することができる。粘着剤層付偏光フィルムの厚みとしては、35μm以下とすることができる。
【0073】
(4)その他の層
本発明の粘着剤層付偏光フィルムは、前記偏光フィルム、粘着剤層A(又はA1)以外にも、例えば、粘着剤層A以外の粘着剤層B等を含むことができる。具体的には、例えば、粘着剤層付偏光フィルムの透明保護フィルム側に、さらに別の粘着剤層Bを形成することができる。当該粘着剤層Bとしては、特に限定されるものではなく、前記粘着剤層Aや光拡散粘着剤層A1であってもよいし、その他の各種のベースポリマーを含有する粘着剤組成物から形成される粘着剤層を適宜用いることができる。
【0074】
前記ベースポリマーの種類について、特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー等の各種ポリマーが挙げられる。これらベースポリマーの中でも、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性等に優れる点から、(メタ)アクリル系ポリマーが好ましく使用される。以下、粘着剤層Bの形成材料の、アルキル(メタ)アクリレートをモノマー単位として含有する(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤について説明する。
【0075】
前記(メタ)アクリル系ポリマーとしては、炭素数4~24のアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレートを含むモノマー成分を重合することにより得られる。なお、アルキル(メタ)アクリレートはアルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
【0076】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数4~24のアルキル基を有すものを例示できる。アルキル(メタ)アクリレートは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0077】
前記粘着剤層Bに係る(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、ブチルアクリレートを最も多く含んでいることが貯蔵弾性率を制御して、加工性、保管性、耐久性の点から好ましい。
【0078】
本発明において、前記炭素数4~24のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分の全量に対して40重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上である。
【0079】
前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、単官能性モノマー成分として、前記アルキル(メタ)アクリレート以外の共重合モノマーを含有することができる。このような共重合モノマーとしては、例えば、環状窒素含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、環状エーテル基を有するモノマー等が挙げられる。
【0080】
本発明において、前記共重合モノマーは、モノマー成分における前記アルキル(メタ)アクリレートの残部として用いることができ、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分の全量に対して60重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下である。
【0081】
また、前記以外にも、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有する各種共重合モノマー、ケイ素原子を含有するシラン系モノマー等も用いることができる。
【0082】
また、本発明で使用する(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、前記例示の単官能性モノマーの他に、粘着剤の凝集力を調整するために、必要に応じて多官能性モノマーを含有することができる。
【0083】
多官能性モノマーの使用量は、その分子量や官能基数等により異なるが、単官能性モノマーの合計100重量部に対して、3重量部以下で用いることが好ましく、2重量部以下がより好ましく、1重量部以下がさらに好ましい。また、下限値としては特に限定されないが、0重量部以上であることが好ましく、0.001重量部以上であることがより好ましい。多官能性モノマーの使用量が前記範囲内であることにより、接着力を向上することができる。
【0084】
このような(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、紫外線重合等の放射線重合、塊状重合、乳化重合等の各種ラジカル重合等の公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等いずれでもよい。
【0085】
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等は、特に限定されず、公知のものを適宜選択して使用することができる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜のその使用量が調整される。
【0086】
また、(メタ)アクリル系ポリマーは、活性エネルギー線重合により製造する場合には、前記モノマー成分を、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより重合して製造することができる。前記活性エネルギー線重合を電子線で行う場合には、前記モノマー成分には光重合開始剤を含有させることは特に必要ではないが、前記活性エネルギー線重合を紫外線重合で行う場合には、特に、重合時間を短くすることができる利点等から、モノマー成分に光重合開始剤を含有させることができる。光重合開始剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。前記モノマー成分は、放射線照射にあたり、事前に一部を重合してシロップにしたものを用いることができる。
【0087】
光重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを適宜選択して使用することができる。その添加量としても通常用いられる程度の量で使用することができる。
【0088】
前記粘着剤層Bを形成する粘着剤組成物には、架橋剤を含有することができる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、過酸化物等の架橋剤が含まれる。架橋剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせることができる。前記架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましく用いられる。
【0089】
上記架橋剤は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記架橋剤を0.01~5重量部の範囲で含有することが好ましい。架橋剤の含有量は、0.01~4重量部含有することが好ましく、0.02~3重量部含有することがより好ましい。
【0090】
また、架橋剤として、有機系架橋剤や多官能性金属キレートを併用してもよい。
【0091】
前記粘着剤層Bを形成する粘着剤組成物には、接着力を向上させるために、(メタ)アクリル系オリゴマーを含有させることができる。
【0092】
さらに、前記粘着剤層Bを形成する粘着剤組成物には、シランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤の配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して1重量部以下であるのが好ましく、さらに好ましくは0.01~1重量部、さらに好ましくは0.02~0.6重量部である。
【0093】
好ましく用いられ得るシランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
【0094】
さらに前記粘着剤層Bを形成する粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、例えば、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのポリエーテル化合物、着色剤、顔料等の粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機又は有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物等を使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。
【0095】
前記粘着剤層Bは、例えば、前記粘着剤組成物を偏光フィルムの透明保護フィルム上にに塗布し、重合溶剤等を乾燥除去することにより形成することができる。前記形成材料の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0096】
前記粘着剤組成物の塗布方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーター等による押出しコート法等の方法が挙げられる。
【0097】
前記加熱乾燥温度は、好ましくは40℃~200℃であり、さらに好ましくは、50℃~180℃であり、特に好ましくは60℃~170℃である。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘着剤層Bを得ることができる。乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、好ましくは5秒~20分、さらに好ましくは5秒~10分、特に好ましくは、10秒~5分である。
【0098】
また前記粘着剤層Bの形成は、前記形成材料(粘着剤)が、活性エネルギー線硬化型粘着剤の場合には、紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより重合して行うことができる。紫外線照射には、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等を用いることができる。
【0099】
また、前記粘着剤層Bは、支持体に形成したのち、偏光フィルムの透明保護フィルム上に転写することができる。前記支持体としては、本明細書中に記載のものを適宜用いることができる。
【0100】
偏光フィルムの透明保護フィルム上に形成した粘着剤層Bは、実用に供されるまで粘着面を剥離処理したシート(セパレーター)で保護してもよい。実用に際しては、前記剥離処理したシートは剥離される。セパレーターとしては、本明細書中に記載のものを適宜用いることができる。
【0101】
前記粘着剤層Bの厚みは、特に限定されるものではないが、30μm以下であることが好ましく、1~25μmであることがより好ましく、5~25μmであることがさらに好ましく、10~20μmであることが特に好ましい。
【0102】
2.光学部材
本発明の光学部材は、前記粘着剤層付偏光フィルムと、当該粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層A側に設けられた輝度向上フィルムを有することを特徴とする。
【0103】
図2に示すように、本発明の光学部材10において、輝度向上フィルム6は、前記粘着剤層付偏光フィルム1の粘着剤層A(3)を介して直接貼り合わされていてもよく、その他の層を介して積層されていてもよい。また、本発明の光学部材10は、
図3に示すように、前記輝度向上フィルム6の粘着剤層付偏光フィルム1を有さない側に、粘着剤層(不図示)等を介して、プリズムシート7をさらに積層することができる。プリズムシート7は、代表的には、基板とプリズム部とを有する。
【0104】
前記輝度向上フィルム6としては、反射型偏光板を挙げることができる。前記反射型偏光板は、直線偏光分離型の偏光板である。その代表例としては、グリッド型偏光板、屈折率の異なる2種以上の材料の多層薄膜積層偏光板、屈折率の異なる蒸着多層薄膜、屈折率の異なる2種以上の材料の複屈折層多層薄膜積層体、屈折率差を有する2種以上の樹脂を用いた2種以上の樹脂積層体を延伸したもの、直線偏光を直交する軸方向で反射/透過することで分離する偏光板(直線偏光分離型反射偏光板)が挙げられる。これらの中でも直線偏光分離型反射偏光板が好適に用いられる。このような反射型偏光板としては、例えばスリーエム製の商品名「D-BEF」や、日東電工(株)製の商品名「ニポックスAPCF」として市販されているものを用いることもできる。
【0105】
3.画像表示装置
本発明の画像表示装置は、前記粘着剤層付偏光フィルム、及び前記光学部材からなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする。
【0106】
前記粘着剤層Aが拡散粘着剤層A1である場合、本発明の粘着剤層付偏光フィルムは光拡散機能を有するため、例えば、画像表示装置のバックライト側に設けられる拡散シートの代わりに用いることができる。また、その際には、前述の通り、輝度向上フィルムやプリズムシートと伴に光学部材を形成して用いることができる。
【0107】
また、本発明の粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層Aが、拡散機能を有さない場合(すなわち、光拡散性微粒子を含まない粘着剤層Aの場合)には、画像表示装置のバックライト側、視認側のいずれの偏光フィルムとしても用いることができる。
【0108】
本発明の画像表示装置は、本発明の粘着剤層付偏光フィルム又は光学部材を含むものであればよく、その他の構成については、従来の画像表示装置と同様のものを挙げることができる。
【0109】
本発明の画像表示装置は、前記粘着剤層付偏光フィルム又は光学部材を含むため、高い信頼性を有するものである。また、本発明の光学部材は光拡散機能を備えるため、前記光学部材をバックライト側に設けられる拡散シートの代わりに用いることができ、その結果、画像表示装置を薄膜化することができ、かつ、バックライトからの光の偏りを解消することでき、より均一な表示をすることができる。
【実施例】
【0110】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部及び%はいずれも重量基準である。
【0111】
製造例1(粘着剤組成物(A-1)の製造)
ペースポリマーとして、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS、商品名:セプトン2063、スチレン含有量:13%、(株)クラレ製)100重量部と、粘着付与樹脂として、テルペン重合体水素化物(商品名:クリアロンP150、軟化点:約152℃、ヤスハラケミカル(株)製)10重量部を、トルエン300重量部に混合して、粘着剤組成物(A-1)を調製した。
【0112】
製造例2~8(粘着剤組成物(A-2)~(A-8)の製造)
表1に記載の組成にした以外は製造例1と同様にして、粘着剤組成物(A-2)~(A-8)を作製した。なお、製造例8では、粘着剤組成物100重量部に対して、下記表1に記載の量の光拡散性微粒子を添加した。また、粘着付与樹脂の添加量は、ベースポリマー(ゴム系ポリマー)100重量部に対する量である。
【0113】
【0114】
表1中、
SEPSは、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(商品名:SEPTON 2063、スチレン含有量:13%、(株)クラレ製)、
PIBは、ポリイソブチレン(商品名:OPPANOL B80、重量平均分子量(Mw):約75万、BASF社製)、
BRは、ブチルゴム(商品名:JSR BUTYL 365、粘度平均分子量(Mv):約35万、JSR(株)製)、
クリアロンは、テルペン重合体水素化物(商品名:クリアロンP150、軟化点:約152℃、ヤスハラケミカル(株)製)、
水素添加テルペンフェノールは、商品名:YSポリスターUH115、軟化点:約115℃、ヤスハラケミカル(株)製、
光拡散性微粒子は、シリコーン樹脂微粒子(商品名:トスパール145、体積平均粒子径:4μm、屈折率:1.43、シリコーン樹脂系微粒子、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)である。
【0115】
表1の透湿度は、以下の方法で測定した。
(透湿度の測定方法)
製造例1~8で得られた粘着剤組成物(A-1)~(A-8)を用いて、以下の実施例1に記載の方法に準じて、粘着剤層の厚みが50μmである粘着シートを形成した。粘着シートの一方の剥離ライナーを剥がし、粘着面を露出させて、該粘着面により、粘着シートをトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム、厚み25μm、コニカミノルタ(株)製)に貼り合わせた。そして、もう一方の剥離ライナーを剥がして、測定用サンプルを得た。
次に、この測定用サンプルを用いて、下記条件で、透湿度試験方法(カップ法、JIS Z 0208に準じる)により、透湿度(水蒸気透過率)を測定した。
測定温度:40℃
相対湿度:92%
測定時間:24時間
なお、測定の際には、恒温恒湿槽を使用した。
【0116】
製造例9(偏光フィルムの製造)
薄型偏光膜を作製するため、まず、非晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)基材に9μm厚のポリビニルアルコール(PVA)層が製膜された積層体を延伸温度130℃の空中補助延伸によって延伸積層体を生成した。次に、延伸積層体を染色によって着色積層体を生成し、さらに着色積層体を延伸温度65℃のホウ酸水中延伸によって総延伸倍率が5.94倍になるように非晶性PET基材と一体に延伸された4μm厚のPVA層を含む光学フィルム積層体を生成した。このような2段延伸によって非晶性PET基材に製膜されたPVA層のPVA分子が高次に配向され、染色によって吸着されたヨウ素がポリヨウ素イオン錯体として一方向に高次に配向された高機能偏光膜(偏光子)を構成する、厚さ5μmのPVA層を含む光学フィルム積層体を生成した。
【0117】
上記偏光子に係る上記光学フィルム積層体の偏光膜(偏光子、厚み:5μm)の表面に、接着剤層の厚さが0.1μmになるようにポリビニルアルコール系接着剤を塗布しながら、透明保護フィルム(厚さ20μmのラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂フィルムにコロナ処理を施したもの)を貼合せたのち、50℃で5分間の乾燥を行った。次いで、非晶性PET基材を剥離して、薄型偏光子を用いた片保護偏光フィルムを作製した。
【0118】
製造例10(粘着剤層(B-1)の作製)
温度計、攪拌機、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに、モノマー成分として、ブチルアクリレート(BA)99重量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)1重量部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2重量部及び重合溶媒として酢酸エチルを固形分が20%になるように投入した後、窒素ガスを流し、攪拌しながら約1時間窒素置換を行った。その後、60℃にフラスコを加熱し、7時間反応させて重量平均分子量(Mw)110万のアクリル系ポリマーを得た。上記アクリル系ポリマー溶液(固形分100重量部)に、イソシアネート系架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)0.8重量部、シランカップリング剤(商品名:KBM-403、信越化学(株)製)0.1重量部を加えて粘着剤組成物(B-1)を調製した。前記調製した粘着剤組成物(B-1)を、38μmの厚みを有するポリエチレンテレフタレート系剥離ライナー上に乾燥後の厚さが5μm、10μm、20μmとなるように塗布し、常圧下、60℃で1分間及び150℃で1分間加熱乾燥して、各厚み(5μm、10μm、20μm)を有する粘着剤層(B-1)を作製した。粘着剤層Bの透湿度は、1400g/(m2・24h)であった。なお、透湿度の測定は、粘着剤層Aと同様の方法で測定した。
【0119】
実施例1
製造例1で得られた粘着剤組成物(A-1)を、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)の剥離処理面に、最終的な厚みが5μmになるように塗布して塗布層を形成した。次いで、塗布層を130℃で2分乾燥させて、粘着剤層(A-1)を形成し、粘着シートを作製した。また、粘着シートの粘着面には、前記片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)を、剥離処理面と前記粘着剤層が接するように貼り合せた。粘着剤層の両面に被覆されたポリエステルフィルムは、剥離ライナー(セパレーター)として機能する。
【0120】
前記粘着剤シートの一方の剥離ライナーを剥離し、輝度向上フィルム(商品名:D-BEF、スリーエム社製)に積層して、粘着剤層A付輝度向上フィルム(粘着剤層(A-1)/輝度向上フィルム)を形成した。
【0121】
製造例10で得られた厚さ20μmの粘着剤層(B-1)を、製造例9で得られた片保護偏光フィルム(サイズ:縦150mm×横70mm)の片面(透明保護フィルム側)に転写して、粘着剤層B付偏光フィルム(剥離ライナー/粘着剤層(B-1)/透明保護フィルム/偏光子)を得た。
【0122】
粘着剤層A付輝度向上フィルムの粘着剤層Aの剥離ライナーを剥離し、前記粘着剤層B付偏光フィルムの偏光子上に、粘着剤層Aと偏光子が接するように積層して光学部材を得た。粘着剤層Bの剥離ライナーはセパレーターとして残した。得られた光学部材の構成は、剥離ライナー(セパレーター)/粘着剤層(B-1)/透明保護フィルム/偏光子/粘着剤層(A-1)/輝度向上フィルムであった。
【0123】
実施例2~23、比較例1~5
実施例1において、表2に示すように、粘着剤層Aの種類及び厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして光学部材を形成した。比較例1~3では、粘着剤層Aとして、製造例10で得られた各厚みの粘着剤層(B-1)を用いた。また、実施例22、23の光拡散粘着剤層のヘイズ値は、以下の方法により測定した。
【0124】
<ヘイズ値>
実施例22、23で用いた光拡散粘着剤層のヘイズ値について、JIS 7136で定める方法により、ヘイズメーター(消費名:HN-150、(株)村上色彩科学研究所製)を用いて測定した。
【0125】
実施例24
実施例1で得られた粘着剤層(A-1)の粘着シートの一方の剥離ライナーを剥離し、製造例9で得られた片保護偏光フィルム(サイズ:縦150mm×横70mm)の片面(偏光子側)に、粘着剤層(A-1)を転写して、粘着剤層付偏光フィルム(透明保護フィルム/偏光子/粘着剤層(A-1)/剥離ライナー(セパレーター))を得た。
【0126】
実施例25~28
実施例24において、表2に示すように、粘着剤層Aの種類を変更した以外は、実施例24と同様にして粘着剤層付偏光フィルムを形成した。
【0127】
比較例6
製造例10で得られた厚さ5μmの粘着剤層(B-1)を、製造例9で得られた片保護偏光フィルム(サイズ:縦150mm×横70mm)の片面(偏光子側)に転写して、粘着剤層B付偏光フィルム(剥離ライナー(セパレーター)/粘着剤層(B-1)/偏光子/透明保護フィルム)を得た。
【0128】
比較例7
製造例10で得られた厚さ20μmの粘着剤層(B-1)を、製造例9で得られた片保護偏光フィルム(サイズ:縦150mm×横70mm)の片面(偏光子側)に転写して、粘着剤層B付偏光フィルム(剥離ライナー(セパレーター)/粘着剤層(B-1)/偏光子/透明保護フィルム)を得た。
【0129】
上記実施例1~23、比較例1~5で得られた光学部材(測定サンプル:セパレーター(剥離ライナー)付)、実施例24~28、比較例6、7で得られた粘着剤層付偏光フィルム(測定サンプル:セパレーター(剥離ライナー)付)について以下の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0130】
<コーナー部の色抜け>
実施例及び比較例で得られた粘着剤層付偏光フィルムから、延伸方向に直交する方向及び延伸方向をそれぞれ対向する二辺とする試験片(50mm×50mm)を切り出した。実施例1~23、比較例1~5の光学部材については、粘着剤層B上のセパレーターを剥がし、試験片をガラス板に貼り合わせ、これを60℃、湿度90%のオーブン内で300時間放置して加湿し、標準偏光板とクロスニコルの状態に配置した時の、加湿後の偏光フィルムのコーナー部の色抜け状態を顕微鏡により調べた。実施例24~28、比較例6、7の粘着剤層付偏光フィルムについては、粘着剤層A上のセパレーターを剥がし、試験片をガラス板に貼り合せて、前記同様にコーナー部の色抜け状態を顕微鏡により調べた。具体的には、偏光フィルム端部からの色抜けの大きさ(色抜け量:μm)を測定した。顕微鏡としてOlympus社製、MX61Lを用い、倍率10倍で撮影した画像から色抜け量を測定した。複数個所について測定した場合、最も大きいものを色抜け量とした。なお、色抜けした領域は偏光特性が著しく低く、偏光板としての機能を実質的に果たさないので、色抜け量は好ましくは200μm以下であり、より好ましくは100μmであり、さらに好ましくは50μm以下である。
【0131】
<耐久性>
実施例及び比較例で得られた光学部材又は粘着剤層付偏光フィルムを、80℃、60℃/90%R.H.の環境下に300時間投入後の状態を目視又はルーペ(20倍)を用いて観察した。以下の評価基準により評価した。
◎:ルーペで確認しても、不具合(発泡、剥がれ等)の発生がなかった。
〇:目視では不具合が確認できなかったが、ルーペで確認すると使用に問題ない程度の多少の不具合が生じていた。
×:目視で不具合が確認できた。
【0132】
【0133】
表2中、(A-1)~(A-8)は、製造例1~8で得られた粘着剤組成物(A-1)~(A-8)を、(B-1)は、製造例10で得られた粘着剤組成物(B-1)を、D-BEFは、輝度向上フィルム(商品名:D-BEF、スリーエム社製)を示す。
【0134】
表2中の光拡散性微粒子の含有量(%)は、光拡散粘着剤層における光拡散性微粒子の含有量である。
【符号の説明】
【0135】
1 粘着剤層付偏光フィルム
2 偏光フィルム
3 粘着剤層A(又は光拡散粘着剤層A1)
4 偏光子
5 透明保護フィルム
6 輝度向上フィルム
7 プリズムシート
10 光学部材