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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】躯体補強構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/10 20060101AFI20231024BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
E04B1/10 A
E04H9/02 321B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021044323
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2022143673
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2022-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】舘野 一幸
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-052279(JP,A)
【文献】特開平06-229037(JP,A)
【文献】特開2016-180281(JP,A)
【文献】特開昭49-033419(JP,A)
【文献】特開2000-110246(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111373105(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101269521(CN,A)
【文献】実開平04-036003(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/10,1/26,1/348
E04B 2/56
E04C 3/12-3/18
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体を補強する躯体補強構造において、
前記躯体のうち対向する耐力壁間に架け渡されて設けられるとともに、前記耐力壁の上に設けられた上部構造を支持する複数本一組の第一横架材と、
前記複数本一組の第一横架材間に架け渡されて設けられるとともに、前記複数本一組の第一横架材同士を連結する第二横架材と、を備えており、
前記対向する耐力壁は、前記建物の外周に沿って設けられたものであり、
前記第二横架材は、前記上部構造から間隔を空けて設けられて、前記建物の鉛直荷重を負担しない構成となっており、
前記複数本一組の第一横架材を一つのセットとし、
前記躯体のうち対向する前記耐力壁間には、複数の前記セットが架け渡されて設けられ、さらに、前記複数のセットは互いに間隔を空けて配置されるとともに、当該複数のセット間には前記第二横架材が架け渡されないことを特徴とする躯体補強構造。
【請求項2】
請求項1に記載の躯体補強構造において、
前記第一横架材の上に設けられて、前記第一横架材の上端面から前記上部構造の下面までの高さに設定された上側延長部を更に備えることを特徴とする躯体補強構造。
【請求項3】
請求項2に記載の躯体補強構造において、
前記第二横架材における上下方向の寸法は、上に前記上側延長部が設けられた状態の前記第一横架材における下面から前記上側延長部の上面までの上下方向の寸法よりも短く設定されていることを特徴とする躯体補強構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の躯体補強構造において、
前記複数本一組の第一横架材間には、複数の前記第二横架材が架け渡されて設けられ、さらに、前記複数の第二横架材は互いに間隔を空けて配置されていることを特徴とする躯体補強構造
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の躯体補強構造において、
前記耐力壁は、並べて設けられた複数の壁体と、前記耐力壁のうち前記第一横架材が設けられる位置の両側に配置された前記複数の壁体間に設けられる寸法調整材及び半割受け材と、を備えており、
前記寸法調整材は、前記壁体と等しい高さに設定されるとともに前記第一横架材の梁幅と等しい幅に設定され、
前記半割受け材は、前記寸法調整材よりも高さが低く設定されるとともに前記第一横架材の梁幅と等しい幅に設定され、
前記寸法調整材と前記半割受け材は、一体的に接合して形成されて柱状になっており、
前記第一横架材は、前記耐力壁側の端部が、前記半割受け材の上端面に載せられて固定されていることを特徴とする躯体補強構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、躯体補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木造の建物では、上部荷重を支持し、地震や強風等による外力に対して高い抵抗力を持つ耐力壁の設置が義務づけられている。このような耐力壁をバランスよく設置することで建物の内部に大空間を形成できるようになっている。
例えば特許文献1における建物では、外壁に直交する状態で耐力壁を設置し、建物の内部に大空間を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-138661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、耐力壁が例えば外壁に直交する状態で配置されて部屋内に露出すると、せっかく大空間を形成しても、耐力壁によって視界が遮られたり、思うように動線が確保できなかったりして、使い勝手が良くなかった。
そこで、外壁に直交する状態で配置される耐力壁をなるべく省略することが求められるが、耐力壁を省略してしまうと、上部荷重の支持や、外力に対する抵抗力といった機能が損なわれてしまうことが懸念される。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、部屋内に露出する耐力壁を極力減らしても、上部荷重の支持や外力に対する抵抗力といった機能が損なわれることなく、使い勝手の良い大空間を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図1図13に示すように、建物1の躯体を補強する躯体補強構造10において、
前記躯体のうち対向する耐力壁(外壁)1a間に架け渡されて設けられるとともに、前記耐力壁1aの上に設けられた上部構造(例えば屋根2)を支持する複数本一組の第一横架材11と、
前記複数本一組の第一横架材11間に架け渡されて設けられるとともに、前記複数本一組の第一横架材11同士を連結する第二横架材12と、を備えており、
前記対向する耐力壁1aは、前記建物1の外周に沿って設けられたものであり、
前記第二横架材12は、前記上部構造から間隔を空けて設けられて、前記建物1の鉛直荷重を負担しない構成となっており、
前記複数本一組の第一横架材11を一つのセットとし、
前記躯体のうち対向する前記耐力壁1a間には、複数の前記セットが架け渡されて設けられ、さらに、前記複数のセットは互いに間隔を空けて配置されるとともに、当該複数のセット間には前記第二横架材12が架け渡されないことを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、躯体のうち対向する耐力壁(外壁)1a間に架け渡されて設けられるとともに、耐力壁1aの上に設けられた上部構造(例えば屋根2)を支持する複数本一組の第一横架材11と、複数本一組の第一横架材11間に架け渡されて設けられるとともに、複数本一組の第一横架材11同士を連結する第二横架材12と、を備えるので、躯体補強構造10は、平面視において所謂ラダー状に形成される。すなわち、躯体補強構造10は、剛性が高く、荷重負担を分散しやすい構造体として形成されることとなる。そして、このような躯体補強構造10を建物1に導入すれば、建物1における部屋(屋内スペース5)内に露出する耐力壁を極力減らしたとしても、上部荷重(例えば屋根2)の支持や外力に対する抵抗力といった機能が損なわれることなく、使い勝手の良い大空間(屋内スペース5)を確保することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図3図5に示すように、請求項1に記載の躯体補強構造10において、
前記第一横架材11の上に設けられて、前記第一横架材11の上端面から前記上部構造の下面までの高さに設定された上側延長部(例えば小屋裏用壁パネル13、屋切パネル14)を更に備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、第一横架材11の上に設けられて、第一横架材11の上端面から上部構造(例えば屋根2)の下面までの高さに設定された上側延長部(例えば小屋裏用壁パネル13、屋切パネル14)を更に備えるので、複数本一組の第一横架材11によって上部構造を確実かつ安定的に支持することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図3図5に示すように、請求項2に記載の躯体補強構造10において、
前記第二横架材12における上下方向の寸法は、上に前記上側延長部が設けられた状態の前記第一横架材11における下面から前記上側延長部の上面までの上下方向の寸法よりも短く設定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図に示すように、請求項1から3のいずれか一項に記載の躯体補強構造10において、
前記複数本一組の第一横架材11間には、複数の前記第二横架材12が架け渡されて設けられ、さらに、前記複数の第二横架材12は互いに間隔を空けて配置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図7等に示すように、請求項1から4のいずれか一項に記載の躯体補強構造10において、
前記耐力壁1aは、並べて設けられた複数の壁体WPと、前記耐力壁1aのうち前記第一横架材11が設けられる位置の両側に配置された前記複数の壁体WP間に設けられる寸法調整材AM及び半割受け材HMと、を備えており、
前記寸法調整材AMは、前記壁体WPと等しい高さに設定されるとともに前記第一横架材11の梁幅と等しい幅に設定され、
前記半割受け材HMは、前記寸法調整材AMよりも高さが低く設定されるとともに前記第一横架材11の梁幅と等しい幅に設定され、
前記寸法調整材AMと前記半割受け材HMは、一体的に接合して形成されて柱状になっており、
前記第一横架材11は、前記耐力壁1a側の端部が、前記半割受け材HMの上端面に載せられて固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、部屋内に露出する耐力壁を極力減らしても、上部荷重の支持や外力に対する抵抗力といった機能が損なわれることなく、使い勝手の良い大空間を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】建物を示す立面図である。
図2】建物を示す断面図である。
図3】建物を示す部分拡大断面図である。
図4】建物を示す部分拡大断面図である。
図5】建物を示す部分拡大断面図である。
図6】第一梁受け金物を用いる例を示す斜視図である。
図7】第一横架材の取付について説明する斜視図である。
図8】第二横架材の取付について説明する斜視図である。
図9】建物の設計に係る規則を説明するための建物の概略図である。
図10】第一横架材を支持する形態の他の例を示す概略図である。
図11】第一横架材を支持する形態の他の例を示す概略図である。
図12】第三梁受け金物を用いる例を示す斜視図である。
図13】第四梁受け金物を用いる例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方角は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0023】
図1等において符号1は、建物を示す。この建物1は、躯体の主構造を木造とした平屋建てとされている。建物1は全体的に南北方向よりも東西方向に長く形成されている。
なお、本実施形態の建物1における母屋部分の南北方向の長さは、例えば7メートル超とされ、東西方向の長さは、例えば30メートル超とされている。
【0024】
建物1における母屋部分の屋根2(すなわち、上部構造)は、南側から北側にかけて下り勾配となる片流れ屋根とされている。
なお、屋根2は、母屋材としての屋根梁2aによって支持されている。この屋根梁2aは、東西方向に沿って配置されており、建物1の外壁1aと、後述する躯体補強構造10と、によって支持されている。
また、本実施形態における屋根梁2aは、H型鋼である。
【0025】
本実施形態における建物1は非住宅とされている。非住宅とは、住宅用途ではない建物を指しており、例えば事務所や店舗、工場、倉庫、各種施設等として利用される。本実施形態における建物1は、例えば事務所として利用されている。
なお、本実施形態における建物1は非住宅とされているものとしたが、これに限られるものでなく、住宅とされてもよい。
【0026】
建物1は、当該建物1の母屋部分に付属して設けられた下屋部3を有している。下屋部3は、階段付きの玄関ポーチ3aと、玄関ポーチ3aのうち階段のない部分から地面まで続くスロープ3bと、建物1の内部から使用する収納室(図示省略)と、を有している。
【0027】
玄関ポーチ3aにおいて階段を除く部分と収納室は、下屋部3における片流れ型の屋根本体3cの下方に位置している。また、スロープ3bは、踊り場のある折り返し型スロープとされており、このスロープ3bにおける踊り場よりも上方の、玄関ポーチ3aに接続された部分が、下屋部3における屋根本体3cの下方に位置している。
【0028】
さらに、下屋部3は、周囲に外壁3dが設けられ、屋根本体3cの下方に位置している部分を囲んでいる。ただし、玄関ポーチ3aの階段が設けられた側には開口部が形成されて玄関ポーチ3aは屋外に向かって開放されている。
【0029】
玄関ポーチ3aから建物1の内部に入った位置には風除室4があり、風除室4から更に建物1の内部側に進んだ位置に、事務所として利用される屋内スペース5(すなわち、部屋)がある。屋内スペース5は、平面視において矩形状に形成されている。
【0030】
屋内スペース5は、非耐力壁とされた複数の間仕切壁5a,5bによって適宜区切られている。これら複数の間仕切壁5a,5bには、風除室4と屋内スペース5とを仕切る間仕切壁5aが含まれている。間仕切壁5a,5bには、出入口等に供される開口部が適宜形成され、必要に応じて当該開口部を開閉する建具が設けられる。
【0031】
ここで、建物1の外壁1aは耐力壁であり、下屋部3に隣接する壁(屋外空気に触れるため外壁1a)も耐力壁となっている。外壁1aには、窓や出入口等に供される開口部が適宜形成され、必要に応じて当該開口部を開閉する建具が設けられる。
屋内スペース5は、このような耐力壁である外壁1aによって囲まれた空間となっている。そして、この屋内スペース5には、平面視において外壁1aに直交する状態で耐力壁が配置されていない。
【0032】
なお、本実施形態における建物1は、壁(外壁1a)や床、屋根2といった建物1の構成要素を予め工場にてパネル(壁パネルWP、床パネル、屋根パネル)化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で構築される。ただし、これに限られるものではなく、建物1は、従来の軸組工法や壁式工法の木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等でもよい。
また、パネルとは、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に、面材が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填される。
【0033】
屋内スペース5の上方には天井6が設けられており、天井6と屋根2との間は小屋裏空間7となっている。なお、屋根2は、上記のように片流れ屋根とされているため、これに合わせて、小屋裏空間7も上部が片側に傾斜した状態となっている。
【0034】
以上のような小屋裏空間7には、躯体補強構造10が設けられているとともに、この躯体補強構造10含んで構成された構造として、小屋裏断熱構造と、天井支持構造と、小屋裏換気構造と、が設けられている。
【0035】
(躯体補強構造)
小屋裏空間7には、図3図5等に示すように、屋根2の荷重を支持するとともに、地震や強風等による外力に対する抵抗力を発揮するための躯体補強構造10が複数設けられている。
躯体補強構造10は、建物1における北側及び南側の外壁1a間に架け渡されて設けられた複数の第一横架材11と、これら複数の第一横架材11間に架け渡されて設けられた第二横架材12と、を備える。
【0036】
第一横架材11は、中身が詰まった中実材であり、例えば無垢材(角材:製材)や集成材、LVL(Laminated Veneer Lumber)、CLT(Cross Laminated Timber)による中実材でもよい。また、積層した上記LVLのラミナを、更に縦継ぎ及び積層接着して得られる軸材料としての単板集成材(LVG:Laminated Veneer Glulam)による中実材でもよい。すなわち、第一横架材11は、木製の梁材(桁材でもよい)である。
また、第一横架材11は、長さ方向と直交する厚み方向の寸法(梁幅)が、長さ方向と直交する高さ方向の寸法(梁成)よりも短く設定されている。第一横架材11の梁幅は、80~100mm程度(本実施形態においては90mm)に設定され、梁成は、300~650mm程度(本実施形態においては606mm)に設定されている。
なお、第一横架材11は、梁幅に対して梁成が格段に長いため、高強度小壁(又は、小壁、マグサ)と呼称してもよい。
【0037】
そして、本実施形態においては、2本一組の第一横架材11が、北側及び南側の外壁1a間に、四組分、架け渡されて設けられている。また、これら2本一組の第一横架材11は、互いに間隔S1(図9参照)を空けて配置されている。
なお、一組の第一横架材11の本数は、本実施形態においては2本としたが、これに限られるものではなく、一組が3本以上でもよい。ただし、本数が多くなると、隣り合う組の第一横架材11と重複するため、隣り合う組の第一横架材11と重複しない範囲で本数を決定するものとする。第一横架材11自体の重量やコスト、躯体補強構造10自体の強度等を考慮すれば、2本一組や、3本一組程度の本数が好ましい。
【0038】
第一横架材11の長さ方向に沿う両側面及び下面には、防火面材11aが貼り付けられている。換言すれば、木製の第一横架材11は、防火面材11aによって被覆されることで防火性能を具備することになる。また、防火面材11aに開口部を形成すると防火性能が低下するため、防火面材11aには開口部を形成しない。
なお、防火面材11aとしては、プラスターボードや強化プラスターボードが採用されている。強化プラスターボードは、防火性能の他に、耐火強化、耐震、吸湿、防カビ等の機能を更に有する。
【0039】
第二横架材12は、第一横架材11と同様の材料からなる、中身の詰まった中実材であり、木製の梁材である。
この第二横架材12も、長さ方向と直交する厚み方向の寸法(梁幅)が、長さ方向と直交する高さ方向の寸法(梁成)よりも短く設定されている。第二横架材12における梁成は、第一横架材11における梁成よりも短く設定されている。本実施形態においては、第二横架材12の梁幅は、80~100mm程度(本実施形態においては90mm)に設定され、梁成は、180~360mm程度(本実施形態においては300mm)に設定されている。
なお、第二横架材12は、小梁と呼称してもよい。
【0040】
そして、本実施形態においては、複数の第二横架材12が、2本一組の第一横架材11間に架け渡されて設けられて、ねじれ止めとして機能する。また、これら複数の第二横架材12は、互いに間隔を空けて配置されている。
なお、複数の第一横架材11間に架け渡される第二横架材12の本数は、本実施形態においては2本とするが、これに限られるものではなく、1本でもよいし、2本以上の任意の本数でもよい。ただし、本数が多くなると、北側及び南側の外壁1a間に収まらなくなるため、第二横架材12自体の重量やコスト、躯体補強構造10自体の強度等を考慮すれば、第二横架材12各々の間隔が1820mm~2275mm程度となる本数が好ましい。
また、複数の第二横架材12同士の間隔S2は、構造的合理性により(構造計算によって)決定される。本実施形態においては、2本一組の第一横架材11同士の間隔と同程度に設定されている。すなわち、2本の第一横架材11と2本の第二横架材12とによって形成される枠は、正方形又は正方形に近い長方形になる。
ただし、これに限られるものではなく、構造的合理性により決定された結果、2本の第一横架材11と2本の第二横架材12とによって形成される枠は長方形になってもよい。つまり、複数の第二横架材12同士の間隔S2は、2本一組の第一横架材11同士の間隔よりも広いか、又は狭く設定されていてもよい。
【0041】
また、第二横架材12は、上端面が、第一横架材11の上端面と等しい高さとなるように配置されてもよいし、第一横架材11の上端面よりも下方に位置するように配置されてもよい。
【0042】
躯体補強構造10は、複数本(本実施形態においては2本)一組の第一横架材11と、これら第一横架材11間に架け渡されて設けられた複数の第二横架材12と、を備えるため、平面視において所謂ラダー状(井桁状でもよい)に形成されている。
ここで、ラダーとは、梯子又は梯子の形に似たものを指している。
第一横架材11及び第二横架材12は、このようにラダー状に形成されることで、剛性が高く、荷重負担を分散しやすい構造体として形成されることとなる。
【0043】
躯体補強構造10は、第一横架材11の上に設けられて、当該第一横架材11の上端面から上部構造である屋根2の下面までの高さに設定された上側延長部を更に備える。つまり、上側延長部は、第一横架材11の高さを補完し、第一横架材11によって上部構造である屋根2を間接的に支持できるようにしている。
本実施形態における上側延長部は、第一横架材11の上端面に設けられた複数の小屋裏用壁パネル13と、小屋裏用壁パネル13の上端面に設けられ、かつ屋根2の下面の角度に応じて上面が傾斜して形成された複数の屋切パネル14と、を有する。
【0044】
屋根2は、南側から北側に向かって下り勾配となった片流れ屋根であるため、第一横架材11の上端面からの高さは、南側が一番高く、北側が一番低く設定されており、第一横架材11の上端面と屋根2を構成する屋根パネルとの間の隙間は直角三角形状に形成されることになる。
第一横架材11の上端面に設けられる複数の小屋裏用壁パネル13は、上記の壁パネルWPによって構成されたものであり、矩形状に形成されている。このような矩形状の小屋裏用壁パネル13は、上記の直角三角形状の隙間に配置されるため、複数の小屋裏用壁パネル13は、高さ寸法の異なるものが複数用意されている。
複数の小屋裏用壁パネル13の上端部は、屋根2を構成する屋根パネルの直下に位置しており、上端面は水平に配置されている。そのため、片流れ屋根である屋根2の下面との間には、直角三角形状の隙間が形成されることになる。そして、当該隙間に、屋切パネル14が設けられている。
【0045】
複数の屋切パネル14は、複数の小屋裏用壁パネル13の上端面と、屋根2を構成する屋根パネルの下面との間の直角三角形状の隙間に設けられる略直角三角形状の調整材であり、当該隙間を閉塞している。
より詳細に説明すると、屋根2を構成する屋根パネルは、上記のように框材及び補助桟材を備え、下面には面材が設けられていない。屋切パネル14は、屋根2を構成する屋根パネルのうち框材又は補助桟材の下面に沿って、かつ、上端面が、当該框材及び補助桟材の下面に接して設けられた状態となっている。換言すれば、屋切パネル14の下方に位置する小屋裏用壁パネル13も、小屋裏用壁パネル13の下方に位置する第一横架材11も、屋根2を構成する屋根パネルにおける框材又は補助桟材の下方に配置されていることとなる。
屋切パネル14が、屋根2を構成する屋根パネルに接した状態に設けられるため、屋根2は、小屋裏用壁パネル13及び屋切パネル14を介して第一横架材11によって支持されることとなる。
なお、片流れ屋根である屋根2の勾配方向下端部においては、第一横架材11の上端面と、屋根2を構成する屋根パネルの下面との間隔が狭くなる。その場合は、小屋裏用壁パネル13は用いずに、第一横架材11の上端面に屋切パネル14が直接設けられる(図5参照)。
【0046】
2本一組の第一横架材11のうち、一方(3本一組の場合は中央の1本)の第一横架材11の両側面に貼り付けられた防火面材11aは、当該一方の第一横架材11の上に設けられた小屋裏用壁パネル13の両側面及び屋切パネル14の両側面に対しても貼り付けられている。
上記のように、屋切パネル14は、上端面が、屋根2を構成する屋根パネルのうち框材又は補助桟材の下面に接して設けられた状態となっており、さらに、防火面材11aには開口部を形成しないので、2本一組の第一横架材11のうち一方の第一横架材11と、その上に設けられた小屋裏用壁パネル13及び屋切パネル14は、小屋裏空間7を一方側と他方側に隔絶する小屋裏隔壁BWとして機能することになる。つまり、小屋裏空間7は、小屋裏隔壁BWによって東西方向に複数のエリアに区分けされている。
ここで、小屋裏隔壁とは、建築基準法施行令によって規定されるものであって、火炎が小屋裏を伝播して拡大するのを防ぐために設けられるものである。本実施形態においても小屋裏隔壁BWは、同様の目的で機能する。換言すれば、小屋裏隔壁BWを構成する第一横架材11、小屋裏用壁パネル13、屋切パネル14は、躯体補強構造10が備えるものであるため、躯体補強構造10は、建物1の躯体を補強するだけでなく、小屋裏隔壁BWを更に備えて建物1の防火性も向上できることとなる。
【0047】
2本一組の第一横架材11のうち他方の第一横架材11と、その上に設けられた小屋裏用壁パネル13及び屋切パネル14は、小屋裏隔壁BWとして機能しない。その反対に、当該他方の第一横架材11、小屋裏用壁パネル13及び屋切パネル14は、小屋裏空間7における一方側と他方側を連通して空気流通可能とした通気仕様の壁(以下、通気仕様壁VW)とされている。
通気仕様壁VWにおいて通気が可能となっている部位は、防火面材11aが貼り付けられた他方の第一横架材11を除く部位の任意の箇所である。
【0048】
なお、図2(a),(d)に示すように、小屋裏空間7の最も東側に設けられた躯体補強構造10については、東側の外壁1aまでの距離が短いため、小屋裏隔壁BWを備えないものとする。換言すれば、小屋裏空間7の最も東側に設けられた躯体補強構造10における一方及び他方の第一横架材11と、これらの上にそれぞれ設けられた小屋裏用壁パネル13及び屋切パネル14は、双方とも、通気仕様壁VWとして機能する。
【0049】
また、2本一組の第一横架材11のうち、他方の第一横架材11の両側面に貼り付けられた防火面材11aは、当該他方の第一横架材11の上に設けられた小屋裏用壁パネル13の両側面及び屋切パネル14の両側面には貼り付けられていない。
【0050】
そして、上記の屋根梁2aは、隣り合う小屋裏隔壁BW同士の間と、小屋裏隔壁BWと東西それぞれの外壁1aとの間に架け渡されて設けられている。
すなわち、防火面材11aには開口部を形成しないので、屋根梁2aの施工を行うに当たって、屋根梁2aは、小屋裏隔壁BW(一方の第一横架材11、小屋裏用壁パネル13、屋切パネル14)を貫通して設けられることがない。
これに対し、通気仕様壁VWのうち、他方の第一横架材11の上に設けられた小屋裏用壁パネル13及び屋切パネル14の両側面には、防火面材11aが貼り付けられていないので、屋根梁2aは、通気仕様壁VWのうち、小屋裏用壁パネル13と屋切パネル14を貫通して配置される。
屋根2を構成する屋根パネルは、複数の屋根梁2a間や、屋根梁2aと南北それぞれの外壁1aとの間に架け渡されて設けられる。
【0051】
第二横架材12の上には、第一横架材11の上に設けられるような上側延長部(小屋裏用壁パネル13及び屋切パネル14)は設けられず、第二横架材12は、その上端面が、屋根2を構成する屋根パネルの下面に接しない。そのため、第二横架材12は、第一横架材11とは異なり、鉛直荷重を負担しない。
【0052】
(第一梁受け金物)
図6は、小屋裏隔壁BW(一方の第一横架材11、小屋裏用壁パネル13、屋切パネル14)又は外壁1aに対して屋根梁2aを取り付ける場合の、第一梁受け金物15の例を示す。
なお、屋根梁2aは、上記のようにH型鋼であり、図3等に示すように、上フランジの上面に、屋根2を構成する屋根パネルが載せられた状態となる。そのため、屋根梁2aは、屋根2の傾斜に合わせて傾いた状態で配置される。
【0053】
第一梁受け金物15は、小屋裏隔壁BW又は外壁1aに対し、補強板1bを介して固定されている。補強板1bは、小屋裏隔壁BW又は外壁1aに対してビス留め等により固定されている。補強板1bは、小屋裏隔壁BWに固定される場合は、防火面材11aを介して小屋裏隔壁BWに固定される。
このような第一梁受け金物15は、補強板1bの上面に当接する位置決め部15aと、位置決め部15aより垂下して補強板1bの垂直面に当接する取付部15bと、取付部15bから位置決め部15aとは反対側に垂直に突出形成された梁受部15c、を有する。
位置決め部15a及び取付部1bは、補強板1bに対し、釘・ビス等の固定材により固定されている。
梁受部15cには、貫通孔15dが複数形成されるとともに、当該貫通孔15dの位置に対応してナット15eが溶接されている。そして、梁受部15cには、H型鋼である屋根梁2aのウェブがボルト連結される。すなわち、屋根梁2aのウェブにも、梁受部15cの貫通孔15dに対応する貫通孔が形成されており、これらの貫通孔にボルトを挿通してナット15eに固定できるようになっている。
屋根梁2aは、以上のような第一梁受け金物15を介して、隣り合う小屋裏隔壁BW同士の間と、小屋裏隔壁BWと東西それぞれの外壁1aとの間に架け渡されて設けられている。
【0054】
(第一横架材の取付)
図7は、外壁1aに対して第一横架材11を取り付ける場合の例を示す。
北側の外壁1a及び南側の外壁1aは、図7に示すように、複数の壁パネルWPが同一方向に沿って並べて設けられることで形成されており、北側及び南側の外壁1a間に架け渡される第一横架材11が設けられる位置には、寸法調整材AMと半割受け材HM(方立とも言う)が設けられている。
【0055】
寸法調整材AMは、壁パネルWPと等しい高さに設定されるとともに、第一横架材11の梁幅と等しい幅に設定されている。
半割受け材HMは、寸法調整材AMよりも高さが低く設定されるとともに、第一横架材11の梁幅と等しい幅に設定されている。
寸法調整材AMと半割受け材HMは一体的に接合して形成されて柱状になっており、半割受け材HMの上端面に、第一横架材11が載せられている。すなわち、北側及び南側の外壁1aには、第一横架材11の長さ方向両端部の位置に合わせて半割受け材HMが設けられており、この半割受け材HMによって、第一横架材11の長さ方向両端部を下方から支持している。これにより、鉛直荷重を負担する第一横架材11を、受け材51によって確実かつ安定的に支持することができる。
なお、第一横架材11は、壁パネルWP側から斜めに打ち込まれたビス等の固定材によって、壁パネルWP及び寸法調整材AMに固定されている。また、第一横架材11の固定には、接着剤を併用してもよい。
【0056】
(第二横架材の取付)
図8は、第一横架材11に対して第二横架材12を取り付ける場合の例を示す。
第一横架材11の側面には、補強板1bを介して第二梁受け金物16が固定されている。そして、第二横架材12は、第二梁受け金物16によって受けられた状態となっている。
【0057】
第二梁受け金物16は、補強板1bの上面に当接する位置決め部16aと、位置決め部16aより垂下して補強板1bの垂直面に当接する取付部16bと、この取付部16bから上向きコ字状に突出して延設された梁受部16cと、を有し、釘・ビス等の固定材により固定されている。
第二横架材12の長さ方向両端部は、以上のような第二梁受け金物16を介して、第一横架材11に取り付けられている。すなわち、第二横架材12は、第二梁受け金物16を介して、2本一組の第一横架材11間に架け渡されて設けられている。
【0058】
なお、本実施形態における補強板1bは、第一横架材11の長さ方向に沿って長尺に形成されており、長さ方向両端部が、第一横架材11の長さ方向両端部に達する。
また、図8においては、第一横架材11の上端面と第二横架材12の上端面とが略等しい高さとなっているが、これに限られるものではなく、第一横架材11の上端面は、第二横架材12の上端面よりも上方に位置していてもよい。
【0059】
(小屋裏断熱構造)
小屋裏空間7には、図3図5等に示すように、天井6の上方に位置する小屋裏断熱構造が設けられている。
小屋裏断熱構造は、断熱材20と、断熱材20を支持する支持構造と、を備える。
なお、本実施形態においては、屋根2の下方の小屋裏空間7における断熱構造として説明するが、これに限られるものではなく、建物1が複数階建てで、躯体補強構造10が上下階間に設けられる場合は、下階の屋内スペース5における天井6の上方に位置する天井裏空間に設けられた断熱構造としてもよい。
【0060】
断熱材20は、例えばロックウールマットが用いられる。用いられる断熱材20の厚さは、本実施形態においては200mmとされているが、これに限られるものではなく、小屋裏空間7に対して付与したい断熱性能に応じて適宜変更可能である。
また、外壁1aを構成する壁パネルWPの内部中空部に充填された断熱材と、屋根2を構成する屋根パネルの内部中空部に充填された断熱材も、小屋裏空間7の断熱に寄与する。
【0061】
断熱材20を支持する支持構造は、屋根2を構成する屋根パネルの框材及び補助桟材の側面に取り付けられて下垂する複数の吊木21と、吊木21の下端部に設けられた複数の野縁受け22と、野縁受け22の下面に固定された複数の野縁23と、複数の野縁23の下面に防湿シート24を介して取り付けられた複数の面材25と、を備える。
【0062】
複数の吊木21は、屋根パネルの框材及び補助桟材の側面に取り付けられて下垂するため、取り付けられる位置に応じて長さが異なる。
野縁受け22は、複数の吊木21の下端部側面に架け渡されて固定されている。
複数の野縁23は、縦横に配置されて枠状に形成されている。また、複数の野縁23のうち、第一横架材11に隣接して配置された野縁23は、第一横架材11に対して固定されている。外壁1aに隣接して配置された野縁23は、外壁1aに対して固定されている。その固定位置は、第一横架材11の下端部よりも上方であり、これに伴い面材25の取付位置も、第一横架材11の下端部よりも上方となっている。一方、第二横架材12は、面材25よりも上方に位置している。
面材25は、プラスターボードや強化プラスターボードによって構成されており、防火性能、耐火強化、耐震、吸湿、防カビ等の機能を有する。複数の面材25は、複数の吊木21等によって、第一横架材11の下端部(後述する天井支持構造)よりも上方の高さ位置に配置されている。さらに、複数の面材25は、躯体補強構造10における第一横架材11間と、隣り合う躯体補強構造10間と、躯体補強構造10と外壁1aそれぞれとの間に架け渡された状態となっており、小屋裏空間7を、面材25を境にして上方と下方に仕切っている。
【0063】
断熱材20は、吊木21等によって屋根2を構成する屋根パネルに吊られた面材25の上面に敷設されている。また、この断熱材20における外壁1a側の端部は外壁1aに接し、第一横架材11側の端部は、防火面材11aが貼り付けられた第一横架材11に接している。つまり、断熱材20は、複数の面材25上面に敷き詰められている。これによって、小屋裏空間7には、面材25を境にした上方に、当該面材25と断熱材2を含む断熱ライン・耐火ラインが形成されることとなり、建物1の上下方向における熱や火炎の伝達を防ぎやすい。
さらに、上記のように外壁1aの断熱材と、屋根2の断熱材も小屋裏空間7の断熱に寄与するため、これらの断熱材と敷き詰められた断熱材20との間の空気層も含めて断熱効果を発揮することになる。
【0064】
(天井支持構造)
小屋裏空間7には、図3図5等に示すように、天井6を吊り下げ支持する天井支持構造が設けられている。
なお、本実施形態においては、屋根2の下方の小屋裏空間7における天井支持構造として説明するが、これに限られるものではなく、建物1が複数階建てで、躯体補強構造10が上下階間に設けられる場合は、下階の屋内スペース5における天井6の上方に位置する天井裏空間に設けられた天井支持構造としてもよい。
このような天井支持構造は、複数の鋼製吊梁30と、複数の木製吊梁31と、複数の吊りボルト32と、複数の野縁受け33と、複数の野縁34と、を備える。
【0065】
鋼製吊梁30は、隣り合う躯体補強構造10同士の間と、躯体補強構造10と東西それぞれの外壁1aとの間に架け渡されて設けられたH型鋼である。
躯体補強構造10に対する鋼製吊梁30の取付位置は、上記の小屋裏断熱構造における面材25よりも下方であり、第一横架材11の下端部における側面に、防火面材11aを介して取り付けられている。なお、第一横架材11に対する鋼製吊梁30の取り付けについては、図6の第一梁受け金物15を用いて行われるものとする。すなわち、第一横架材11の下端部における側面には、防火面材11aを挟んで補強板1bが設けられ、その補強板1bに第一梁受け金物15が設けられた状態となっている。
【0066】
木製吊梁31は、各躯体補強構造10における2本一組の第一横架材11間に架け渡されて設けられている。
躯体補強構造10に対する木製吊梁31の取付位置は、上記の小屋裏断熱構造における面材25よりも下方(すなわち、第二横架材12よりも下方)であり、第一横架材11の下端部における側面に、防火面材11aを介して取り付けられている。なお、第一横架材11に対する木製吊梁31の取り付けについては、図8の第二梁受け金物16を用いてもよいし、後述するその他の梁受け金物を用いてもよい(図12図13参照)。
【0067】
吊りボルト32は、H型鋼である鋼製吊梁30に対しては下側フランジに設けられ、木製吊梁31に対しては側面に設けられており、それぞれの吊りボルト32の下端部の位置は揃った状態となっている。
【0068】
複数の吊りボルト32の下端部には、鋼製の野縁受け33が架け渡されて固定されている。さらに、複数の野縁34は、複数の野縁受け33の下端部に設けられている。
そして、複数の野縁34の下面に、天井6が設けられている。すなわち、天井6は、各躯体補強構造10(各第一横架材11)と外壁1aによって支持されている。
天井6は、天井下地としてのプラスターボード(強化プラスターボードでもよい)と、天井仕上げ材としての不燃(又は準不燃)ビニールクロスと、を備えるものとする。すなわち、プラスターボードである天井下地が複数の野縁34の下面に固定されて支持され、天井下地の下面に、天井仕上げ材としての不燃ビニールクロスが貼り付けられて天井6を構成している。
なお、天井6は、プラスターボード又は強化プラスターボードの表面を塗装したものでもよいし、内装用の化粧石膏ボードでもよい。
【0069】
なお、天井6には、空調装置35,36用の開口部が適宜形成され、空調装置35,36は、下端部が屋内スペース5に露出するように設置されている。
空調装置36は、図5に示すように、天井支持構造における複数の鋼製吊梁30間に架け渡された空調装置36用の吊梁37に吊り下げられて設けられた吊りボルト37aによって吊り下げ支持されている。
【0070】
(小屋裏換気構造)
本実施形態における建物1は、上記のように東西方向に長いため、東西方向一方側の端部と他方側の端部に換気口等を設けても、双方の換気口間の距離が長いため、空気の流れが生じにくく、換気効率(換気量)を向上させにくい。また、小屋裏空間7は、上記のように、小屋裏隔壁BWによって複数のエリアに区分けされている。通気仕様壁VWは、上記のように空気流通可能に構成されているため、小屋裏換気の観点からは、小屋裏空間7を複数のエリアに区分けしていない。
以上を踏まえ、本実施形態においては、小屋裏隔壁BWによって区分けされた複数のエリアごとに、小屋裏空間7の換気を行うための小屋裏換気構造が設けられている。
このような小屋裏換気構造は、図1図5等に示すように、換気凹部40と、換気用開口部41と、換気破風42と、を備える。
【0071】
換気凹部40は、図2(c)に示すように屋内スペース5側に窪んだ形状(段差形状)の空間を指しており、小屋裏空間7と連続して一体形成されている。また、この換気凹部40は、各躯体補強構造10における第一横架材11間に位置しており、かつ、建物1における北側の外壁1aに面している。
【0072】
換気凹部40は、屋内スペース5に面する側壁部40aと下面部40bを有している。
側壁部40aは、換気凹部40のうち天井6よりも下方に位置する部分の三方(南側、東側、西側)に設けられている。南側の側壁部40aは、天井6の側縁部に隣接して設けられている。また、東側と西側の側壁部40aは、各躯体補強構造10における第一横架材11の下端部に設けられている。
下面部40bは、屋内スペース5における天井として機能するものであり、三方の側壁部40aと北側の外壁1aに架け渡されて設けられている。すなわち、換気凹部40における下端部を閉塞している。
また、換気凹部40には、上記の断熱材20が連続して設けられている。
【0073】
換気用開口部41は、建物1における外壁1aのうち換気凹部40に面する部位に形成された換気用の開口部である。すなわち、換気用開口部41は、建物1における北側の外壁1aに形成されており、換気凹部40と屋外空間とを連通している。
換気用開口部41は、外壁1aのうち換気凹部40に面する部位の下端部から上端部に亘って、かつ、当該部位の東側端部から西側端部に亘って形成されている。特に、換気用開口部41の下端部は、天井6よりも下方に位置している。換言すれば、換気用開口部41は、外壁1aのうち換気凹部40に面する部位を広く占有して形成されている。そのため、小屋裏空間7内に取り込める空気量が多くなる。
また、換気用開口部41には、換気ガラリ41aが設けられており、この換気ガラリ41aによって、換気用開口部41が空気流通可能な状態で閉塞されている。
さらに、換気用開口部41及び換気ガラリ41aは、片流れ屋根である屋根2の勾配方向下端部における軒先部の直下に位置している。
【0074】
換気破風42は、片流れ屋根である屋根2の勾配方向上端部に設けられた鋼製の破風であり、屋根2を構成する屋根パネルのうち勾配方向の最も上方に位置する屋根パネルの勾配方向上端部を被覆している。つまり、換気破風42は、換気用開口部41よりも上方に位置している。
この換気破風42には、図示しない換気孔が形成されており、小屋裏空間7と屋外空間とを連通している。すなわち、換気破風42は、屋根2における部位を被覆しつつ、換気孔による空気の流通を可能とする換気カバー材である。
【0075】
また、このような小屋裏換気構造の補助として、建物1における南側の外壁1aには、小屋裏空間7と屋外空間とを連通する換気孔が複数形成されている。南側の外壁1aには、これら複数の換気孔を空気流通可能な状態で閉塞する換気フード43が設けられている。
さらに、軒先部と、屋根2における東西の側端部にも、換気破風42と同様の図示しない換気カバー材が設けられており、小屋裏空間7と屋外空間とを連通できるようになっている。
【0076】
本実施形態における小屋裏換気構造においては、複数の小屋裏隔壁BWによって小屋裏空間7が複数のエリアに区分けされ、複数のエリアごとに小屋裏換気ができるようになっている。
小屋裏換気構造における空気の流れは、温められた空気が上昇する性質を考慮すると、換気破風42に形成された換気孔が排気口とされる場合がほとんどであり、その場合、換気用開口部41及び上記の図示しない換気カバー材における換気孔から外気を取り込む。ただし、これに限られるものではなく、換気破風42に形成された換気孔から外気を取り込んで、その他の箇所から排気してもよい。また、換気効率(換気量)を高めるために、小屋裏換気構造が換気扇(ファン)等の装置を備えていてもよい。
【0077】
(建物の設計に係る規則等)
躯体補強構造10を備えた建物は、上記の建物1のように平屋建てとされるか、2階建て、3階建てとされる。そして、躯体補強構造10(第一横架材11、第二横架材12)は、建物が複数階建てである場合も最上階に適用され、屋根荷重、小屋裏壁荷重を負担する。
ただし、これに限られるものではなく、躯体補強構造10は、複数階建ての建物における上下階間に設けられてもよい。すなわち、上記の説明における小屋裏空間7を、下階の天井よりも上方の天井裏空間に代えてもよいものとする。
また、建物の上下階間に躯体補強構造10を適用するにあたって上階の床を設ける場合は、床梁を、隣り合う躯体補強構造10同士の間と、躯体補強構造10と東西それぞれの外壁1aとの間に架け渡して設け、当該床梁や躯体補強構造10の上に床を設けるようにする。より具体的には、床を構成する床パネルを、複数の床梁間や、床梁と南北それぞれの外壁1aとの間に架け渡して設ける。
【0078】
また、第一横架材11は、図9に示すように、耐力壁線L1又は支持壁線L2上に配置される。なお、支持壁線L2は、サポート壁線とも呼称される。
そして、例えば第一横架材11を1本だけ用い、長尺にして耐力壁(南北の外壁1a)間に架け渡したときに座屈が発生するのを防ぐために、第一横架材11は複数本とされ、互いに間隔S1を空けて配置される。さらに、複数本の第一横架材11間に、複数の第二横架材12が架け渡されて設けられる。これら複数の第二横架材12は、互いに間隔S2を空けて配置されている。
第一横架材11同士の間隔S1は、建物を設計する際の基準寸法(モジュール)に基づいて決定され、本実施形態においては、1~2モジュールとされている。
第二横架材12同士の間隔S2は、上記のように、第一横架材11の長さに応じて適宜変更されるものである。
なお、基準寸法(モジュール)は、本実施形態においては910mmに設定されているが、これに限られるものではなく、例えば1000mmでもよいし、その他の寸法でもよい。
【0079】
第一横架材11は、上面に小屋裏用壁パネル13及び屋切パネル14が設けられ、屋切パネル14が屋根2を構成する屋根パネルに接するため、鉛直荷重を負担するが、第二横架材12は、上記のように、第一横架材11よりも梁成が小さいため、鉛直荷重を負担しない。
【0080】
通常は、耐力壁線間距離を長くすると屋内スペース5内に壁や柱を設けなければ面積を広く確保できないが、躯体補強構造10が設けられることで、これを加味して設計を行うことができるので、屋内スペース5の面積を広く確保することができる。
ただし、躯体補強構造10を導入するにあたって、屋内スペース5内に壁や柱が設けられることを完全に排除するものではなく、例えば、屋内スペース5を間仕切りしたい箇所に合わせて、第一横架材11を支持する壁や柱が設けられてもよい。
【0081】
図10は、第一横架材11の長さ方向両端部側に耐力壁50(又は支持壁)が配置され、これら耐力壁50に沿わせて受け材51が配置固定され、これら受け材51によって第一横架材11の長さ方向両端部を下方から支持している。これにより、鉛直荷重を負担する第一横架材11を、受け材51によって確実かつ安定的に支持することができる。
なお、符号52aは、建物を、上記の基準寸法に基づいて設計した場合に必要となる半割寸法調整材52aであり、耐力壁50の幅寸法を調整している。また、耐力壁50は、上記の壁パネルWPによって構成されている。
【0082】
図11は、耐力壁50(又は支持壁)の片側が、2方向から第一横架材11を受ける場合の例を説明している。すなわち、第一横架材11を、平行2方向(耐力壁50と2つの第一横架材11の交点を基点とし、2つの第一横架材11が平面視において正反対に伸びる方向)に配置する場合や、直交2方向に配置する場合の例を指す。
このような例においては、2方向から第一横架材11を受けることにより、芯ずれが発生する場合がある。そのため、正角材である受け材51とは別に、半割材である半割受け材51aや、半割材である半割寸法調整材52aとは別に、正角材である寸法調整材52を適宜組み合わせて用いる。
【0083】
図11(a),(d)においては、半割受け材51aや半割寸法調整材52aのような半割材で換算すると5本分となっている。図11(b),(e)においては、半割材で換算すると6本分となっている。図11(c),(f)においては、半割材で換算すると7本分となっている。
要するに、本実施形態における第一横架材11は、上記のように、半割材である寸法調整材AMと、半割受け材HMが用いられて外壁1aに取り付けられた状態となっている。すなわち、図7の例では、半割材で換算すると2本分となっているが、例えば外壁1aが2方向から第一横架材11を受ける場合は、上記のように、芯ずれが発生する場合があるため、図11のように正角材や半割材を適宜組み合わせて第一横架材11を支えられるようにする。
【0084】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、躯体のうち対向する耐力壁(外壁)1a間に架け渡されて設けられるとともに、耐力壁1aの上に設けられた上部構造(例えば屋根2)を支持する複数本一組の第一横架材11と、複数本一組の第一横架材11間に架け渡されて設けられるとともに、複数本一組の第一横架材11同士を連結する第二横架材12と、を備えるので、躯体補強構造10は、平面視において所謂ラダー状に形成される。すなわち、躯体補強構造10は、剛性が高く、荷重負担を分散しやすい構造体として形成されることとなる。そして、このような躯体補強構造10を建物1に導入すれば、建物1における屋内スペース5内に露出する耐力壁を極力減らしたとしても、屋根2の支持や外力に対する抵抗力といった機能が損なわれることなく、使い勝手の良い大空間(屋内スペース5)を確保することができる。
【0085】
また、第一横架材11の上に設けられて、第一横架材11の上端面から屋根2の下面までの高さに設定された上側延長部(小屋裏用壁パネル13、屋切パネル14)を更に備えるので、複数本一組の第一横架材11によって上部構造を確実かつ安定的に支持することができる。
【0086】
また、天井裏空間に設けられた天井裏断熱構造は、複数本一組の第一横架材11における下端部よりも上方に設けられて、天井裏空間を上下に仕切る面材25と、面材25の上面に敷設された断熱材20と、を備えるので、面材25を境にして、建物1の上下方向における熱の伝達を防ぎやすくなる。また、面材25が耐火性能を有していれば、面材25を境にして、建物1の上下方向における火炎の伝達も防ぎやすくなる。
【0087】
また、天井裏空間に設けられた天井支持構造は、躯体補強構造10における第一横架材11の下端部に設けられた複数の吊梁30,31と、複数の吊梁30,31に取り付けられるとともに垂下して配置された複数の吊材32(33,34)と、を備えており、天井6は、複数の吊材32(33,34)によって吊り支持されているので、天井6を、躯体補強構造10における第一横架材11によって支持できることとなる。これにより、躯体補強構造10は、建物1の躯体を補強するだけでなく、天井6を支持する用途でも利用することができる。
【0088】
また、天井裏空間は、屋根2の下方における小屋裏空間7であり、複数本一組の第一横架材11のうち1本の第一横架材11は、表面が防火面材11aによって被覆されて、小屋裏空間7を一方側と他方側に隔絶する小屋裏隔壁BWを構成しているので、建築基準法施行令に則り、火炎が小屋裏空間7を伝播して拡大するのを防ぐことができる。躯体補強構造10は、建物1の躯体を補強するだけでなく、建物1の防火性も向上できることとなる。
【0089】
また、天井裏空間は、屋根2の下方における小屋裏空間7であり、小屋裏空間7には、複数の躯体補強構造10が設けられるとともに、小屋裏換気構造が設けられており、小屋裏換気構造は、耐力壁1aのうち、各々の躯体補強構造10における第一横架材11間に位置する部位に形成された換気用開口部41と、屋根2のうち換気用開口部41よりも上方に位置する所定の部位を被覆しつつ、空気流通可能に形成された換気カバー材(例えば換気破風42)と、を備えるので、小屋裏空間7を、複数の躯体補強構造10によって複数のエリアに区分けし、換気用開口部41及び換気カバー材を利用して複数のエリアごとに小屋裏換気ができるようになる。これにより、例えば小屋裏空間7が広かったり、一方に長かったりして換気効率を向上させにくい場合であっても、複数のエリアごとに換気を行い、換気効率を向上させることができる。
【0090】
また、小屋裏換気構造は、換気用開口部41が形成された耐力壁1aの部位に面して配置され、小屋裏空間7と連続して一体形成されて、天井6よりも屋内スペース5側に窪んだ形状に形成された換気凹部40を更に備えており、換気用開口部41は、その下端部が、前記天井6よりも下方に位置しているので、その分、換気用開口部41の開口面積を広くすることができる。これにより、小屋裏空間7内に取り込める空気量を多くすることができるので、換気効率を向上させることができる。
また、温められた空気が上昇する性質を考慮すると、天井6よりも下方から空気を取り込んで、上方に向かう空気の流れを形成できるので、換気効率を向上させやすい。
【0091】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。また、以下の各変形例において、上述の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0092】
〔変形例1〕
図12は、外壁1aに対して第一横架材11を取り付ける場合、若しくは、第一横架材11に対して第二横架材12を取り付ける場合の変形例を示す。
なお、ここでは、外壁1aに対して第一横架材11を取り付ける場合について説明するが、第二横架材12も同様にして第一横架材11に取り付けることができる。
【0093】
外壁1aの小屋裏空間7側の側面には、外壁1aにビス留めされた補強板61bを介して第三梁受け金物66が固定されている。そして、第一横架材11は、第三梁受け金物66によって受けられた状態となっている。
第三梁受け金物66は、補強板61bの上面に当接する位置決め部66aと、位置決め部66aより垂下して補強板61bの垂直面に当接する取付部66bと、この取付部66bから上向きコ字状に突出して延設された梁受部66cと、を有し、釘・ビス等の固定材66dにより固定されている。
なお、補強板61bは、外壁1aの幅方向(第一横架材11の長さ方向)に沿って長尺に形成されているが、外壁1aの幅方向両端部に達するような長さには設定されていない。
【0094】
第一横架材11は、以上のような第三梁受け金物66を介して、外壁1aに取り付けられている。第二横架材12も、このような第三梁受け金物66を介して、第一横架材11に取り付けることができる。
【0095】
〔変形例2〕
図13は、外壁1aに対して第一横架材11を取り付ける場合、若しくは、第一横架材11に対して第二横架材12を取り付ける場合の他の例を示す。
なお、ここでは、第一横架材11に対して第二横架材12を取り付ける場合について説明するが、第一横架材11も同様にして外壁1aに取り付けることができる。
【0096】
第一横架材11の側面には、第二横架材12を受けるための第四梁受け金物77が固定される。この第四梁受け金物77は、平面視略コ字型に形成されており、その両片部に複数の孔77aが上下に離間して形成されるとともに、両片部の上下端にそれぞれ溝77bが形成されている。また、第四梁受け金物77の両片部の間の中片部には複数の孔77cが上下に離間して形成されている。
そして、第四梁受け金物77はその中片部を第一横架材11の側面に当接し、ボルトを孔77cに挿通したうえで、第一横架材11に形成された孔に挿通し、ナットを螺合して締め付けることによって第一横架材11の側面に固定されている。
【0097】
また、第二横架材12の長さ方向両端部には、第四梁受け金物77の、対向する両片部に係合する係合部78が形成されている。この係合部78は、第二横架材12の端面に対して当該第二横架材12の厚さ方向に離間して形成された二つのスリット78aと、これらスリット78a間に形成された中実部78bとを有しており、この中実部78bは、第四梁受け金物77を固定する上記ボルトの頭部の分だけ、第二横架材12の端面より窪んで形成されている。
さらに、第二横架材12の端部側面には孔78cが上下に離間して形成され、中実部78bには、当該孔78cと同軸となる孔が形成されているものとする。
【0098】
そして、第二横架材12は、その係合部78を第一横架材11の側面に固定された第四梁受け金物77に係合することによって第一横架材11に取り付けられている。
すなわち、第二横架材12のスリット1aに第四梁受け金物77の両片部をそれぞれ挿入するとともに、第二横架材12の中実部78bを第四梁受け金物77の両片部の間に挿入したうえで、ドリフトピンを第二横架材12の孔78c、第四梁受け金物77の孔77aと溝77b、中実部78bの孔を通すことによって、第一横架材11に第二横架材12が結合される。
【0099】
なお、第一梁受け金物15は、取付対象物が屋根梁2aのように鋼製(型鋼)の場合に用いられる。
また、第二梁受け金物16及び第四梁受け金物77は、取付対象物が第一横架材11や第二横架材12のように木製の場合に用いられ、本実施形態においては、第二梁受け金物16と第四梁受け金物77のち、どちらのタイプが使用されてもよいものとする。
さらに、第一横架材11と第二横架材12との連結は、第二梁受け金物16や第四梁受け金物77等の金物を用いずに、第一横架材11と第二横架材12とを木組みして連結してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 建物
1a 外壁(耐力壁)
2 屋根
2a 屋根梁
5 屋内スペース
6 天井
7 小屋裏空間
10 躯体補強構造
11 第一横架材
11a 防火面材
12 第二横架材
13 小屋裏用壁パネル(上側延長部)
14 屋切パネル(上側延長部)
15 第一梁受け金物
16 第二梁受け金物
20 断熱材
25 面材
30 鋼製吊梁
31 木製吊梁
32 吊りボルト
40 換気凹部
41 換気用開口部
41a 換気ガラリ
42 換気破風
BW 小屋裏隔壁
VW 通気仕様壁
L1 耐力壁線
L2 支持壁線
S1 第一横架材の間隔
S2 第二横架材の間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13