IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特許-電圧検知ユニット 図1
  • 特許-電圧検知ユニット 図2
  • 特許-電圧検知ユニット 図3
  • 特許-電圧検知ユニット 図4
  • 特許-電圧検知ユニット 図5
  • 特許-電圧検知ユニット 図6
  • 特許-電圧検知ユニット 図7
  • 特許-電圧検知ユニット 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】電圧検知ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20231024BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20231024BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H01M50/569
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021078146
(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公開番号】P2022171476
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】森岡 怜史
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】守作 直人
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 秀樹
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-248513(JP,A)
【文献】特開2020-145087(JP,A)
【文献】特開2013-161566(JP,A)
【文献】特開2003-156518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42-10/48
H01M50/50-50/598
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H05K7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知対象に導通接続されることになる電圧検知端子と、
前記電圧検知端子に導通接続される電線と、
前記電圧検知端子が収容される端子収容凹部と、前記電線を収容するとともに外部に向けて引き出すように案内する電線収容凹部と、を有する板状のハウジングと、
前記端子収容凹部に収容されている前記電圧検知端子を覆うように前記ハウジングに装着されるカバーと、を備え、
前記カバーは、
前記ハウジングへの当該カバーの装着向きに延出するとともに当該カバーの装着時に前記電線収容凹部の開口上に配置される延出片を有し、
前記ハウジングは、
前記カバーの装着時に前記カバーの前記装着向きへの移動に伴って前記延出片が格納される格納穴と、前記電線収容凹部の溝内壁の一部として前記装着向きにおける後方から前方に向かうほど前記格納穴に近づくように前記装着向きに対して傾く傾斜面と、前記傾斜面に連続し且つ前記格納穴の内壁面に連続する案内面と、を有する、
電圧検知ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の電圧検知ユニットにおいて、
前記電線収容凹部は、
前記電圧検知端子と前記ハウジングの電線引出口とを直線状に結ぶ引出方向に沿って前記電線を案内するストレート部と、前記ストレート部に繋がり且つ前記電線を前記引出方向に対して凸形状に屈曲させながら案内する屈曲部と、を有し、
前記傾斜面は、
前記屈曲部の屈曲頂点と、前記屈曲部と前記ストレート部とが繋がる接続点と、の間の前記屈曲部の前記溝内壁の一部である、
電圧検知ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の電圧検知ユニットにおいて、
前記延出片は、
前記電線収容凹部の前記接続点の開口上に前記カバーの装着時に配置され、
前記格納穴は、
前記延出片を格納するように前記接続点の近傍に配置される、
電圧検知ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知対象に導通接続されることになる電圧検知端子が板状のハウジングに収容されるように構成される電圧検知ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、充放電可能な薄板状の蓄電モジュールと導電板とを交互に並べて繰り返し積層することで、複数の蓄電モジュールを導電板を介して直列接続するように構成された、積層型の蓄電装置が提案されている。この種の蓄電装置に用いられる蓄電モジュールは、一般に、その内部に複数の電池セルが内蔵された構造を有し、充放電可能な一つの電池として機能する。従来の蓄電装置の一つでは、個々の蓄電モジュールの出力状態(即ち、基準となるゼロ電位に対する個々の蓄電モジュールの出力面の電位。以下、単に「蓄電モジュールの電圧」ともいう。)を監視するべく、個々の蓄電モジュールの出力面に接触している導電板にバスバ等の検知用端子を接続し、この検知用端子を介して個々の蓄電モジュールの電圧を測定するようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-161340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような構造を有する蓄電装置内の導電板に実際にバスバ等を接続するにあたっては、蓄電モジュールや導電板が薄板状の形状を有することから接続用の他の部品(例えば、ボルト締結用のボルト等)を設置するスペースを確保することが難しい。そこで、上述した従来の蓄電装置では、導電板の側縁部に検知用端子を挿し込むための挿入穴を設け、蓄電モジュールと導電板を積層した積層体の側方から個々の導電板の挿入穴に検知用端子を挿し込むことで、導電板と検知用端子とを接続するようになっている。しかし、この従来の接続法では、検知用端子の挿し込みにあたって導電板の挿入穴と検知用端子との位置合わせが煩雑であることから、接続作業の作業性を向上させ難い。
【0005】
本発明の目的の一つは、検知対象との導電接続における作業性に優れた電圧検知ユニットの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電圧検知ユニットは、下記[1]~[3]を特徴としている。
[1]
検知対象に導通接続されることになる電圧検知端子と、
前記電圧検知端子に導通接続される電線と、
前記電圧検知端子が収容される端子収容凹部と、前記電線を収容するとともに外部に向けて引き出すように案内する電線収容凹部と、を有する板状のハウジングと、
前記端子収容凹部に収容されている前記電圧検知端子を覆うように前記ハウジングに装着されるカバーと、を備え、
前記カバーは、
前記ハウジングへの当該カバーの装着向きに延出するとともに当該カバーの装着時に前記電線収容凹部の開口上に配置される延出片を有し、
前記ハウジングは、
前記カバーの装着時に前記カバーの前記装着向きへの移動に伴って前記延出片が格納される格納穴と、前記電線収容凹部の溝内壁の一部として前記装着向きにおける後方から前方に向かうほど前記格納穴に近づくように前記装着向きに対して傾く傾斜面と、前記傾斜面に連続し且つ前記格納穴の内壁面に連続する案内面と、を有する、
電圧検知ユニットであること。
[2]
上記[1]に記載の電圧検知ユニットにおいて、
前記電線収容凹部は、
前記電圧検知端子と前記ハウジングの電線引出口とを直線状に結ぶ引出方向に沿って前記電線を案内するストレート部と、前記ストレート部に繋がり且つ前記電線を前記引出方向に対して凸形状に屈曲させながら案内する屈曲部と、を有し、
前記傾斜面は、
前記屈曲部の屈曲頂点と、前記屈曲部と前記ストレート部とが繋がる接続点と、の間の前記屈曲部の前記溝内壁の一部である、
電圧検知ユニットであること。
[3]
上記[2]に記載の電圧検知ユニットにおいて、
前記延出片は、
前記電線収容凹部の前記接続点の開口上に前記カバーの装着時に配置され、
前記格納穴は、
前記延出片を格納するように前記接続点の近傍に配置される、
電圧検知ユニットであること。
【0007】
上記[1]の構成の電圧検知ユニットによれば、電線が接続された電圧検知端子を板状のハウジングの端子収容凹部に収容し、電圧検知端子をカバーで覆うことができる。これにより、電圧検知ユニットを薄型化(即ち、板状の外形に)しながら、その内部に電圧検知端子を格納することができる。更に、電圧検知ユニットを検知対象(例えば、積層型の蓄電装置に用いられる導電板等)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニットを検知対象に組み付けた上で、電圧検知端子が露出するようにカバーの位置を適宜調整すれば、露出している電圧検知端子と検知対象とを超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、カバーの装着時に電線収容凹部の開口上にカバーの本体部から延びる延出片が配置されることで、電線収容凹部から電線が抜け出すことが抑制される。これにより、電線収容凹部に電線が適正に収容された状態が維持される。したがって、本構成の電圧検知ユニットは、検知対象との導電接続における作業性に優れる。
【0008】
更に、上記構成の電圧検知ユニットによれば、カバーをハウジングに装着する際、カバーの延出片とハウジングの格納穴とが装着向きに交差する方向にオフセットした場合であっても(即ち、軸ズレが生じていても)、ハウジングの傾斜面に延出片が接触すれば、延出片が格納穴に近づくように軸ズレが低減される。更に、傾斜面に連続する案内面により、延出片を格納穴に適正に導くことができる。よって、カバーをハウジングに装着する作業の作業性が向上する。加えて、電線収容凹部の溝内壁の一部をこの傾斜面として用いることで、ハウジングの小型化にも貢献できる。
【0009】
上記[2]の構成の電圧検知ユニットによれば、ハウジングの電線収容凹部が、ストレート部と屈曲部とを有する。そのため、電線収容凹部がストレート部のみを有する場合に比べ、ハウジングから引き出された電線に意図しない外力が及んだとき、屈曲部と電線との摩擦によってその外力に抗することで、電圧検知端子と電線との接点にその外力が直接的に及び難い。よって、電圧検知端子と電線との電気的接続の信頼性を向上できる。更に、カバーの装着向きに対して傾く傾斜面として屈曲部の溝内壁の一部を用いることで、外力から接点を保護するための屈曲部を、延出片の案内として兼用できる。よって、ハウジングの更なる小型化に貢献できる。
【0010】
上記[3]の構成の電圧検知ユニットによれば、カバーの装着時に、カバーの延出片が、電線収容凹部のストレート部と屈曲部との接続点の開口上に配置される。これにより、電線が電線収容凹部に沿って湾曲されることに起因して特に電線の抜け出しが生じやすい接続点がカバーの延出片によって覆われることで、電線収容凹部から電線が抜け出すことを、強力に抑制することができる。更に、格納穴がこの接続点の近傍に配置されることで、カバーの装着時に延出片を速やかに格納穴に格納することができ、延出片自体の変形等も抑制できる。よって、電線収容凹部がストレート部および屈曲部を有することによる特有の不具合が生じる可能性を低くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検知対象との導電接続における作業性に優れた電圧検知ユニットを提供できる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施形態に係る電圧検知ユニットを含む積層型の蓄電装置を、その一部を分解して示す斜視図である。
図2図2(a)は、図1のA-A断面図であり、図2(b)は、図2(a)のB部の拡大図である。
図3図3は、図1に示す導電モジュールを、その一部を分解して示す斜視図である。
図4図4は、図1に示す本発明の実施形態に係る電圧検知ユニットの分解斜視図である。
図5図5(a)は、電圧検知端子及び電線が収容されたハウジングと、カバーと、を示す上面図であり、図5(b)は、図5(a)のC部の拡大図である。
図6図6は、電圧検知端子及び電線が収容されたハウジングと、カバーと、を示す下面図である。
図7図7(a)は、カバーが仮係止位置にてハウジングに係止された状態を示す上面図であり、図7(b)は、図7(a)のD-D断面図であり、図7(c)は、図7(a)のE部の拡大図である。
図8図8(a)は、カバーが本係止位置にてハウジングに係止された状態を示す上面図であり、図8(b)は、図8(a)のF-F断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電圧検知ユニット5について説明する。以下、説明の便宜上、図1等に示すように、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。
【0015】
電圧検知ユニット5は、典型的には、図1に示す積層型の蓄電装置1に使用される。蓄電装置1は、矩形薄板状の充放電可能な蓄電モジュール2と、隣接する蓄電モジュール2の間を電気的に接続可能な矩形薄板状の導電モジュール3と、を上下方向に交互に積層して構成される。蓄電装置1では、複数の蓄電モジュール2が導電モジュール3を介して電気的に直列に接続されている。蓄電モジュール2は、内部に複数の電池セル(図示省略)が内蔵された構造を有し、蓄電モジュール2全体として、充放電可能な一つの電池として機能する。
【0016】
導電モジュール3は、図1に示すように、矩形薄板状の導電板4(なお、導電板4は、後述するように、ヒートシンクとしての機能も有する。)と、導電板4の右側に連結された矩形薄板状の電圧検知ユニット5と、導電板4の左側に連結された矩形薄板状の対向ユニット6とで、全体として矩形薄板状の形状を有するように構成される。図1図3(特に、図2(a))参照)に示すように、導電板4と電圧検知ユニット5とは、導電板4の右側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部4aと、電圧検知ユニット5の左側端面に設けられた前後方向に延びる凹部5aとが嵌合することで、互いに連結される。導電板4と対向ユニット6とは、導電板4の左側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部4bと、対向ユニット6の右側端面に設けられた前後方向に延びる凹部6aとが嵌合することで、互いに連結されている。
【0017】
上下に隣接する蓄電モジュール2の間に位置する個々の導電モジュール3において、導電板4は、図2(a)に示すように、上下の蓄電モジュール2と直接接触している。このため、導電板4は、上側の蓄電モジュール2の下面と下側の蓄電モジュール2の上面とを導通する機能、並びに、上下の蓄電モジュール2から発生する熱を外部に放出するヒートシンクとしての機能を果たす。
【0018】
上下に隣接する蓄電モジュール2の間に位置する個々の導電モジュール3において、電圧検知ユニット5は、導電板4に接触する後述する電圧検知端子10(図2等参照)を備える。電圧検知ユニット5は、この電圧検知端子10に接続された電線20(図1等参照)を介して、上下の蓄電モジュール2の間の電圧(具体的には、基準となるゼロ電位に対する、下側の蓄電モジュール2の上面(出力面)の電位)を示す信号を出力する機能を果たす。なお、図1図3では電圧検知ユニット5が導電板4の右側に配置されているが、電圧検知ユニット5と同じ機能を有する電圧検知ユニットが導電板4の左側に配置されてもよい。この場合、電圧検知ユニット5と同じ機能を有する電圧検知ユニットとして、電圧検知ユニット5の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、電圧検知ユニット5のミラー品)が使用される。
【0019】
上下に隣接する蓄電モジュール2の間に位置する個々の導電モジュール3において、対向ユニット6としては、蓄電装置1の仕様に応じて、電圧検知ユニット、ダミーユニット、及び、温度検知ユニットのうち、何れか一つが適用される。
【0020】
対向ユニット6が電圧検知ユニットである場合、対向ユニット6として、電圧検知ユニット5の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、上述した電圧検知ユニット5のミラー品)が使用される。この場合、電圧検知ユニット5が導電板4の右側に配置され、且つ、電圧検知ユニット5のミラー品が導電板4の左側に配置される。対向ユニット6(電圧検知ユニット5のミラー品)は、電圧検知ユニット5と同じ機能を果たす。
【0021】
対向ユニット6がダミーユニットである場合、対向ユニット6として、図3に示すように、前後方向に延びる凹部6aを有する単なる樹脂板が使用される。この場合、対向ユニット6は、上下の蓄電モジュール2の間の隙間を埋める機能のみを果たす。
【0022】
対向ユニット6が温度検知ユニットである場合、対向ユニット6として、図1に示すように、ダミーユニットとして使用される樹脂板に温度センサ7(サーミスタ)が組み込まれた構造のものが使用される。この場合、対向ユニット6は、温度センサ7に接続された電線7a(図1参照)を介して、上下の蓄電モジュール2の温度を示す信号を出力する機能を果たす。
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る電圧検知ユニット5の具体的な構成について、図4図8を参照しながら説明する。電圧検知ユニット5は、図4に示すように、ハウジング40と、ハウジング40に収容される電圧検知端子10と、電圧検知端子10に接続され且つハウジング40に収容される電線20と、ハウジング40に装着されるカバー30と、を備える。
【0024】
電圧検知端子10は、ハウジング40に形成された後述する端子収容凹部42(図4参照)に収容され、電線20は、ハウジング40に形成された後述する電線収容凹部46(図4参照)に収容され、カバー30は、ハウジング40に形成された後述するカバー装着凹部41(図4参照)に装着される。以下、電圧検知ユニット5を構成する各部材について順に説明する。
【0025】
まず、電圧検知端子10について説明する。金属製の電圧検知端子10は、1枚の金属板に対してプレス加工等の加工を施すことで形成される。電圧検知端子10は、上方から、ハウジング40の端子収容凹部42に収容される。電圧検知端子10は、図4に示すように、前後方向に延びる矩形平板状の第1部分11と、第1部分11の前端部から左方に延びる矩形平板状の第2部分12と、を有し、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有する平板状の形状を有している。
【0026】
第1部分11の先端部11a(即ち、後端側の端部)の下面には、電線20の一端部が電気的に接続されるように固定される(図6も参照)。電線20の他端部は、蓄電装置1の外部において、電圧計測装置(図示省略)に接続されることになる。第2部分12の先端部12a(即ち、左端側の端部)の下面には、導電板4のフランジ部4aの一部が、超音波接合や溶接等の手法によって固定されることになる(図2(b)参照)。
【0027】
第2部分12の前端縁には、前方に突出する突起部13が形成されている。電圧検知端子10のハウジング40への収容時、突起部13は、ハウジング40に形成された係止溝45(図4参照)に係止されることになる。
【0028】
次いで、カバー30について説明する。カバー30は、樹脂成形品であり、右方から、ハウジング40のカバー装着凹部41に装着される。カバー30は、対向部31と、対向部31から後方に延びる延出部32と、で構成される。対向部31は、主として電圧検知端子10を覆って保護する機能を果たし、延出部32は、主として電線20を覆って保護する機能を果たす。
【0029】
対向部31は、上下方向に間隔を空けて互いに対向する一対の同形の平板部33と、一対の平板部33の前後方向に延びる右端縁同士を前後方向全域に亘って上下方向に連結する連結部34と、で構成される。対向部31は、前後方向からみて、左方に開口する略U字状の形状を有する。各平板部33は、連結部34から繋がる略正方形の平板状の基部33aと、基部33aの前端部から左方に延びる矩形平板状の延出部33bと、から構成され、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有している。延出部32は、対向部31を構成する一対の平板部33のうち上側の平板部33(より具体的には、上側の基部33a)の後端縁から面一で連続して後方に延びており、略矩形平板状の形状を有している。
【0030】
延出部32には、左右方向に延びる一対の電線保持片35が、前後方向に間隔を空けて並ぶように一体に形成されている。各電線保持片35は、図6から理解できるように、延出部32の下面にて下方に隆起して左右方向に延びて、延出部32の左端縁から更に左方に向けて延出している。各電線保持片35の延出端部35aは、上下方向から見て矩形形状の(具体的には、長方形状の)形状を有している。カバー30のハウジング40への装着時、電線保持片35は、ハウジング40に収容された電線20を保持する機能を果たす。なお、上記「矩形形状」は、電線保持片35を成形する際に不可避的に生じ得る延出端部35aの角部分の丸まり等を除いて、その角部分に意図的な面取り処理を施していない、四角形状の形状を表す。換言すると、電線保持片35は、先細り状の(いわゆるテーパ状の)形状を有していない。
【0031】
対向部31を構成する一対の平板部33のうち下側の平板部33(より具体的には、下側の基部33a)の所定箇所には、上側の平板部33に向けて上方に突出する係止部36が形成されている(図7(b)及び図8(b)参照)。係止部36は、ハウジング40に設けられた後述する仮被係止部55及び本被係止部56との協働により、カバー30を、仮係止位置(図7参照)と、本係止位置(図8参照)と、に係止する機能を果たす。
【0032】
次いで、ハウジング40について説明する。ハウジング40は、樹脂成形品であり、図1及び図3等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。ハウジング40の左側端面には、右方に窪み且つ前後方向に延びる凹部5aが形成されている。凹部5aには、導電板4のフランジ部4aが嵌合されることになる(図2等参照)。
【0033】
ハウジング40の上下面におけるカバー30が装着される箇所には、カバー30の全体形状に対応する形状を有して窪むカバー装着凹部41が形成されている(図4参照)。カバー装着凹部41の窪み深さ(上下方向の深さ)は、カバー30(対向部31+延出部32)を構成する樹脂材料の板厚と等しい。よって、カバー30のハウジング40への装着時、ハウジング40の表面とカバー30の表面とは、面一になる(図1及び図8参照)。
【0034】
ハウジング40の上面側のカバー装着凹部41の底面41aにおける電圧検知端子10が収容される箇所には、電圧検知端子10の全体形状に対応する形状を有して更に窪む端子収容凹部42が形成されている(図4参照)。端子収容凹部42の窪み深さ(上下方向の深さ)は、電圧検知端子10の板厚と等しい。よって、電圧検知端子10のハウジング40への装着時、電圧検知端子10の上面と、カバー装着凹部41の底面41aとは、面一になる(図7(b)及び図8(b)参照)。
【0035】
ハウジング40の左端縁における、電圧検知端子10の先端部12aが配置される前後方向位置には、右方に向けて上下方向からみて略矩形状に窪む切欠き43が形成されている。ハウジング40の左側端面にて前後方向に延びる凹部5aは、切欠き43によって分断されている。電圧検知端子10のハウジング40への収容時、電圧検知端子10の先端部12aの上下面が、切欠き43によって露出することになる(図7(b)参照)。
【0036】
端子収容凹部42における電圧検知端子10の先端部11aが配置される箇所には、前後方向に延び且つ上下方向に貫通する貫通孔44が形成されている。電圧検知端子10のハウジング40への収容時、貫通孔44には、電圧検知端子10に接続された電線20の一端部(接点)が進入する(図6参照)。換言すれば、貫通孔44は、端子収容凹部42の底面42aと電線20の一端部との干渉を避けるための逃げ部として機能する。
【0037】
端子収容凹部42における、電圧検知端子10の突起部13(図4参照)が配置される箇所の内壁面には、突起部13に対応して、前方へ窪み且つ凹部5aと連通する係止溝45が形成されている(図4参照)。
【0038】
ハウジング40の上面における電線20が収容される箇所には、電線20が収容される際の電線20の配索形態に対応する形状を有して窪む電線収容凹部46が形成されている(図4参照)。電線収容凹部46は、前後方向に延びる一直線状に延び且つ前後方向に間隔を空けて並ぶ一対のストレート部47と、一対のストレート部47を繋ぐと共に右方に突出するように屈曲しながら延びる屈曲部48と、で構成される一連の溝部である。一対のストレート部47のうち前側のストレート部47の前端は、端子収容凹部42と連通し、一対のストレート部47のうち後側のストレート部47の後端は、ハウジング40の後端縁から電線20が延出する電線引出口49を構成している。このように、電線収容凹部46が屈曲部48を有することで、電線収容凹部46がストレート部47のみで構成される場合に比べ、ハウジング40から引き出された電線20に意図しない外力が及んでも、屈曲部48と電線20との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子10と電線20との接点に大きな外力が及び難い。
【0039】
一対のストレート部47における屈曲部48との境界の近傍箇所には、それぞれ、ストレート部47より幅(左右方向の間隔)が狭い凹部である幅狭凹部51が設けられている。幅狭凹部51の幅は、電線20の外径より僅かに小さい。このため、電線20を左右方向に押圧しながら挟持する機能を果たす。一対の幅狭凹部51に電線20を挟持することで、ハウジング40から引き出された電線20に意図しない外力が及んでも、幅狭凹部51と電線20との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子10と電線20との接点に大きな外力が及び難い。更には、屈曲部48から電線20が抜け出して屈曲部48をまたぐ(即ち、屈曲部48をショートカットする)ように電線20が配索されることを、強力に抑制することができる。
【0040】
ハウジング40の上面側のカバー装着凹部41の底面41aにおける、カバー30の一対の電線保持片35が配置される箇所には、図4に示すように、一対の電線保持片35に対応して、左右方向に延びる一対の電線保持片凹部52が、前後方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。一対の電線保持片凹部52は、電線収容凹部46の屈曲部48の屈曲頂点48a(図4参照)を前後方向に挟むように、配置されている。一対の電線保持片凹部52の底面は、電線収容凹部46の底面より上側に位置している。
【0041】
各電線保持片凹部52は、ハウジング40の上面の右端縁から、電線収容凹部46を横断して、カバー装着凹部41の左端内壁41b(図4参照)まで、左右方向に延びている。カバー装着凹部41の左端内壁41bにおける一対の電線保持片凹部52が接続する箇所には、それぞれ、左方に向けて窪む格納穴53が形成されている(図4参照)。カバー30のハウジング40への装着時、一対の格納穴53には、カバー30の一対の電線保持片35の延出端部35aが挿入されて格納されることになる。一対の格納穴53のうち前側の格納穴53は、一対のストレート部47のうち前側のストレート部47と屈曲部48とが繋がる接続点48b(図4及び図5(a)参照)の周辺(近傍)に配置されている。
【0042】
ハウジング40の下面側のカバー装着凹部41の底面41aにおける、カバー30の係止部36(図7(b)等参照)が配置される箇所と同じ前後方向位置には、図6に示すように、上方に向けて窪む凹部である、当接部54、仮被係止部55、及び本被係止部56が、この順に、右から左に間隔を空けて並ぶように形成されている。図6図8(特に、図6参照)に示すように、当接部54は、ハウジング40の右端縁から連続する凹部である。
【0043】
図4及び図5に示すように、前後一対の電線保持片凹部52のうち、前側の電線保持片凹部52は、接続点48bを横断するように左右方向に延びている。このため、前側の電線保持片凹部52を画成する左右方向に延びる後側の内壁面は、接続点48bの近傍の電線収容凹部46によって分断されている(図5(a)参照)。以下、前側の電線保持片凹部52を画成する左右方向に延びる後側の内壁面のうち、接続点48bの近傍の電線収容凹部46と、カバー装着凹部41の左端内壁41bとの間に位置する部分を、特に、「案内面58」と呼ぶ(図5(b)及び図7(c)参照)。
【0044】
案内面58は、前後一対の格納穴53のうち前側の格納穴53の左右方向に延びる後側の内壁面53a(図7(c)参照)から連続して左右方向に沿って右方に延びる平面である。屈曲部48を画成する内周側の内壁面のうち、案内面58が接続する箇所から屈曲頂点48aに向けて延びる所定長さの部分を、特に、「傾斜面59」と呼ぶ(図5(b)及び図7(c)参照)。傾斜面59は、右方に向かうにつれて後側に移動する向きに、左右方向から傾斜している。換言すると、傾斜面59は、カバー30の装着向きにおける後方から前方に向かうほど格納穴53に近づくように、装着向きに対して傾斜している。傾斜面59は、屈曲頂点48aと接続点48bとの間の屈曲部48の内周側の内壁面(溝内壁)の一部である。更に、案内面58及び傾斜面59を有する溝内壁を「案内部57」と呼ぶ(図5(b)及び図7(c)参照)。案内部57(案内面58+傾斜面59)を設けたことによる作用については後述する。以上、電圧検知ユニット5を構成する各部材について説明した。
【0045】
次いで、電圧検知端子10及びカバー30をハウジング40へ組み付ける際の手順について説明する。まず、電線20があらかじめ超音波接合や溶接等の手法で接続された電圧検知端子10を、ハウジング40の端子収容凹部42に収容する。このため、突起部13が係止溝45に進入し且つ電線20の一端部(接点)が貫通孔44に進入するように、電圧検知端子10が、上方から、ハウジング40の端子収容凹部42に嵌め込まれる。電圧検知端子10のハウジング40への収容が完了した状態では、電圧検知端子10の先端部12aの上下面が、切欠き43によって露出している(図7(b)参照)。
【0046】
次いで、ハウジング40に収容された電圧検知端子10から延びる電線20を、ハウジング40の電線収容凹部46に収容する。このため、電線20が、上方から、一対のストレート部47及び屈曲部48から構成される電線収容凹部46に沿って嵌め込まれる。このとき、一対の幅狭凹部51の上部に位置する電線20の一対の部分を下方に押し込むことで、当該電線20の一対の部分が一対の幅狭凹部51の内部に収容される。電線20のハウジング40への収容が完了した状態では、電線20は、電線引出口49から後方へ向けてハウジング40の外部に延出している。
【0047】
次いで、カバー30をハウジング40に装着する。このため、カバー30の対向部31がハウジング40の上下面のカバー装着凹部41を上下に挟むように、且つ、カバー30の延出部32がハウジング40の上面側のカバー装着凹部41を覆うように、且つ、カバー30の一対の電線保持片35がハウジング40の一対の電線保持片凹部52を覆うように、カバー30が、右方から、ハウジング40のカバー装着凹部41に装着される。
【0048】
カバー30がハウジング40のカバー装着凹部41に装着される際、カバー30の前後一対の電線保持片35がハウジング40の前後一対の格納穴53に対して後側にオフセットしていても(即ち、後側への軸ズレが生じていても)、ハウジング40の案内部57が有する傾斜面59が、前側の電線保持片35の延出端部35aを拾って前側に押すことで、当該軸ズレが低減される。更に、案内部57が有する案内面58により、前側の電線保持片35が前側の格納穴53に導かれる。この結果、後側の電線保持片35も後側の格納穴53に導かれることになる。よって、カバー30をハウジング40に装着する作業の作業性が向上する。
【0049】
カバー30がハウジング40に装着される過程において、カバー30の係止部36は、まず、ハウジング40の当接部54の側面に接触し、当該側面上を摺動しながら当接部54を乗り越え、その後、仮被係止部55の内部に進入して仮被係止部55と係合すると共に仮被係止部55の左側の側面に押し当てられる(図7(b)参照)。これにより、カバー30が仮係止位置にてハウジング40に係止されて、カバー30のハウジング40への装着が完了し(図7参照)、電圧検知ユニット5(図3参照)が得られる。なお、後述するように、カバー30のハウジング40への装着が完了して(カバー30が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット5は、導電モジュール3(図1参照)の組み立てに供されることになる。
【0050】
カバー30が仮係止位置に係止された状態では、図7(a)に示すように、カバー30の対向部31(より具体的には、上下一対の延出部33b)が、電圧検知端子10の先端部12aを覆っていない。このため、電圧検知端子10の先端部12aの上下面が、なおも切欠き43によって露出している(図7(b)参照)。
【0051】
更に、カバー30の一対の電線保持片35が電線収容凹部46のストレート部47及び屈曲部48の一部の開口上に配置される。これにより、電線20が電線収容凹部46から抜け出すことが抑制される。特に、前側の電線保持片35が、電線収容凹部46の接続点48bの開口上に配置される。これにより、電線20が電線収容凹部46に沿って湾曲されることに起因して特に電線20の抜け出しが生じやすい接続点48bが、カバー30の電線保持片35によって覆われる。これにより、電線収容凹部46から電線20が抜け出すことを、強力に抑制することができる。
【0052】
更に、一対の電線保持片35の延出端部35aが一対の格納穴53に受け入れられ、電線保持片35の延出端部35aが、左右方向に寸法H(>0)だけ格納穴53に進入している(図7(c)参照)。これにより、一対の電線保持片35の位置ズレや一対の電線保持片35が電線収容凹部46から離れるような意図しない変形を抑制できる。更に、案内部57が、カバー30の係止部36との間に前側の電線保持片35を挟む位置に配置されていること、並びに、前側の電線保持片35の延出端部35aと、格納穴53の内壁面53a及び案内部57(案内面58)と、が当接すること(図7(c)参照)、との協働によって、係止部36を中心としてカバー30がハウジング40に対して回転する方向に変位すること(即ち、回転ズレ)が抑制される。これにより、そのような回転ズレによって電線保持片35が格納穴53から抜け出す不具合が生じる可能性を低くすることができる。
【0053】
更に、カバー30の電線保持片35の延出端部35aが、面取りされていない矩形形状を有する。これにより、電線保持片35の延出端部35aが面取りされた(即ち、先細り状の)形状を有する場合に比べ、格納穴53の内壁面53aと電線保持片35との接触面積(いわゆる、係り代)を大きくすることができる。これにより、上述したような回転ズレに伴って電線保持片35が格納穴53から抜け出す不具合が生じる可能性を、更に低くすることができる。
【0054】
更に、カバー30の延出部32が電線収容凹部46の屈曲部48の屈曲頂点48aの開口上に配置される。これにより、電線収容凹部46から電線20が抜け出して屈曲部48をまたぐ(即ち、屈曲部48をショートカットする)ように配索されることを、強力に抑制することができる。このように、電線20が電線収容凹部46の屈曲部48から抜け出すことによる特有の不具合が生じる可能性を低くすることができる。
【0055】
カバー30が仮係止位置に係止された状態にて、ハウジング40に対してカバー30を更に左方に押し込むと、カバー30の一対の電線保持片35の延出端部が一対の格納穴53内に更に進入して格納されると共に、カバー30の係止部36が、仮被係止部55を乗り越え、その後、本被係止部56の内部に進入して本被係止部56と係合する(図8参照)。これにより、カバー30が本係止位置にてハウジング40に係止される。
【0056】
カバー30が本係止位置に係止された状態では、図8に示すように、カバー装着凹部41の全域がカバー30によって覆われることで、電線収容凹部46の全体がカバー30の延出部32によって覆われている。これにより、電線収容凹部46から電線20が抜け出すことが抑制される。更に、図8(a)に示すように、カバー30の対向部31(より具体的には、上下一対の延出部33b)が、電圧検知端子10の先端部12aの上下面を覆っている。これにより、電圧検知端子10の全体がカバー30の対向部31によって覆われるので、電圧検知端子10が確実に保護され得る。
【0057】
上述したように、カバー30のハウジング40への装着が完了して(カバー30が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット5は、導電モジュール3(図1参照)の組み立てに供される。具体的には、まず、図3に示すように、導電板4のフランジ部4aと電圧検知ユニット5の凹部5aとが嵌合されることで、導電板4の右側に電圧検知ユニット5が連結される。
【0058】
この状態では、図3及び図7(b)から理解できるように、導電板4のフランジ部4aの一部が電圧検知端子10の先端部12aの下側に重なるように配置されており(図2(b)も参照)、ハウジング40の切欠き43の存在に起因して、電圧検知端子10の先端部12aの上面が上方に露出し、且つ、導電板4のフランジ部4aの一部の下面が下方に露出している。
【0059】
次いで、上方に露出する電圧検知端子10の先端部12aの上面と、下方に露出する導電板4のフランジ部4aの一部の下面とを利用して、電圧検知端子10の先端部12aと導電板4のフランジ部4aの一部とが、超音波接合や溶接等の手法によって固定される。その後、カバー30が仮係止位置から本係止位置に移動されて、電圧検知ユニット5と導電板4との組み付けが完了する。
【0060】
次いで、導電板4のフランジ部4bと対向ユニット6の凹部6aとが嵌合されることで、電圧検知ユニット5が組み付けられた導電板4の左側に対向ユニット6が連結される(図2等参照)。これにより、導電モジュール3の組み立てが完了する。
【0061】
このようにして得られた導電モジュール3は、図1に示す蓄電装置1の組み立てに供される。具体的には、蓄電モジュール2と導電モジュール3とが上下方向に交互に積層されて、これらの積層体を所定の金具等で固定することで、蓄電装置1が得られる。
【0062】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係る電圧検知ユニット5によれば、電線20が接続された電圧検知端子10を板状のハウジング40の端子収容凹部42に収容し、電圧検知端子10をカバー30で覆うことができる。これにより、電圧検知ユニット5を薄型化(即ち、板状の外形に)しながら、その内部に電圧検知端子10を格納することができる。更に、電圧検知ユニット5を蓄電装置1に用いられる導電板4に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニット5を導電板4に組み付けた上で、電圧検知端子10が露出するようにカバー30の位置を適宜調整すれば、露出している電圧検知端子10と導電板4とを超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、カバー30の装着時に電線収容凹部46の開口上にカバー30の延出部32から延びる一対の電線保持片35が配置されることで、電線収容凹部46から電線20が抜け出すことが抑制される。これにより、電線収容凹部46に電線20が適正に収容された状態が維持されて、電線収容凹部46から電線20が抜け出すことでカバー30の装着が困難になる等の不具合が生じる可能性を低くすることができる。したがって、本実施形態に係る電圧検知ユニット5は、検知対象との導電接続における作業性に優れる。
【0063】
更に、カバー30をハウジング40に装着する際、カバー30の電線保持片35とハウジング40の格納穴53とが装着向きに交差する方向(前後方向)にオフセットしていても(即ち、軸ズレが生じていても)、ハウジング40の傾斜面59により、その軸ズレが低減される。更に、ハウジング40の案内面58により、前側の電線保持片35を前側の格納穴53に導くことができる。よって、カバー30をハウジング40に装着する作業の作業性が向上する。更に、電線収容凹部46の溝内壁の一部をこの傾斜面59として用いることで、ハウジング40の小型化にも貢献できる。
【0064】
更に、ハウジング40の電線収容凹部46が、ストレート部47と屈曲部48とを有する。そのため、電線収容凹部46がストレート部47のみを有する場合に比べ、ハウジング40から引き出された電線20に意図しない外力が及んだとき、屈曲部48と電線20との摩擦によってその外力に抗することで、電圧検知端子10と電線20との接点にその外力が直接的に及び難い。よって、電圧検知端子10と電線20との電気的接続の信頼性を向上できる。更に、カバー30の装着向きに対して傾く傾斜面59として屈曲部48の溝内壁の一部を用いることで、上述した外力からの接点の保護としての屈曲部48を、前側の電線保持片35の案内として兼用できる。よって、ハウジング40の更なる小型化に貢献できる。
【0065】
更に、カバー30の装着時に、カバー30の前側の電線保持片35が、電線収容凹部46のストレート部47と屈曲部48との接続点48bの開口上に配置される。これにより、電線20が電線収容凹部46に沿って湾曲されることに起因して特に電線20の抜け出しが生じやすい接続点48bが、カバー30の前側の電線保持片35によって覆われる。これにより、電線収容凹部46から電線20が抜け出すことを、強力に抑制することができる。よって、電線収容凹部46がストレート部47および屈曲部48を有することによる特有の不具合が生じる可能性を低くすることができる。
【0066】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0067】
上記実施形態では、カバー30に、一対の電線保持片35が設けられている。これに対し、カバー30に、1本の電線保持片35が設けられてもよいし、3本以上の電線保持片35が設けられてもよい。
【0068】
更に、カバー30の電線保持片35の延出端部35aが、面取りされていない矩形形状を有している。これに対し、電線保持片35の延出端部35aが、面取りされた(即ち、先細り状の)形状を有していてもよい。
【0069】
ここで、上述した本発明に係る電圧検知ユニット5の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
検知対象(4)に導通接続されることになる電圧検知端子(10)と、
前記電圧検知端子(10)に導通接続される電線(20)と、
前記電圧検知端子(10)が収容される端子収容凹部(42)と、前記電線(20)を収容するとともに外部に向けて引き出すように案内する電線収容凹部(46)と、を有する板状のハウジング(40)と、
前記端子収容凹部(42)に収容されている前記電圧検知端子(10)を覆うように前記ハウジング(40)に装着されるカバー(30)と、を備え、
前記カバー(30)は、
前記ハウジング(40)への当該カバー(30)の装着向きに延出するとともに当該カバー(30)の装着時に前記電線収容凹部(46)の開口上に配置される延出片(35)を有し、
前記ハウジング(40)は、
前記カバー(30)の装着時に前記カバー(30)の前記装着向きへの移動に伴って前記延出片(35)が格納される格納穴(53)と、前記電線収容凹部(46)の溝内壁の一部として前記装着向きにおける後方から前方に向かうほど前記格納穴(53)に近づくように前記装着向きに対して傾く傾斜面(59)と、前記傾斜面(59)に連続し且つ前記格納穴(53)の内壁面(53a)に連続する案内面(58)と、を有する、
電圧検知ユニット(5)。
[2]
上記[1]に記載の電圧検知ユニット(5)において、
前記電線収容凹部(46)は、
前記電圧検知端子(10)と前記ハウジング(40)の電線引出口(49)とを直線状に結ぶ引出方向に沿って前記電線(20)を案内するストレート部(47)と、前記ストレート部(47)に繋がり且つ前記電線(20)を前記引出方向に対して凸形状に屈曲させながら案内する屈曲部(48)と、を有し、
前記傾斜面(59)は、
前記屈曲部(48)の屈曲頂点(48a)と、前記屈曲部(48)と前記ストレート部(47)とが繋がる接続点(48b)と、の間の前記屈曲部(48)の前記溝内壁の一部である、
電圧検知ユニット(5)。
[3]
上記[2]に記載の電圧検知ユニット(5)において、
前記延出片(35)は、
前記電線収容凹部(46)の前記接続点(48b)の開口上に前記カバー(30)の装着時に配置され、
前記格納穴(53)は、
前記延出片(35)を格納するように前記接続点(48b)の近傍に配置される、
電圧検知ユニット(5)。
【符号の説明】
【0070】
4 導電板(検知対象)
5 電圧検知ユニット
10 電圧検知端子
20 電線
30 カバー
35 電線保持片(延出片)
40 ハウジング
42 端子収容凹部
46 電線収容凹部
47 ストレート部
48 屈曲部
48a 屈曲頂点
48b 接続点
53 格納穴
53a 内壁面
58 案内面
59 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8