(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】質量分析システムにおける針状の構成要素の配置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/62 20210101AFI20231024BHJP
H01J 49/04 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G01N27/62 G
H01J49/04 450
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021192208
(22)【出願日】2021-11-26
【審査請求日】2022-03-23
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファン キント
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン シュバインベルガー
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/020678(WO,A1)
【文献】特開2015-201449(JP,A)
【文献】特表2002-540385(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049272(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/197665(WO,A2)
【文献】特表2004-522954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/60 - G01N 27/70
G01N 27/92
H01J 49/00 - H01J 49/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析を行うためのMSシステム(100)の針状の構成要素(10)のためのパッケージング(1)であって、
レセプタクル(11)であって、前記レセプタクル内の固定位置に前記針状の構成要素を格納するように構成され、前記針状の構成要素が、毛細管、噴霧器針、または電極である、レセプタクルと、
前記針状の構成要素が、前記MSシステムに前記針状の構成要素を取り付けるために前記レセプタクルから突出する取付け位置に、前記レセプタクル内の前記固定位置から前記針状の構成要素を移動させるように構成されたアクチュエータ(12a、12b)と
を備え、
前記アクチュエータは、前記針状の構成要素が取付け位置にあると、前記針状の構成要素からデタッチされるようにさらに構成され、前記針状の構成要素をもたない前記パッケージングは、前記MSシステムから切り離されるように構成された、パッケージング(1)。
【請求項2】
前記針状の構成要素(10)をさらに備える、請求項1に記載のパッケージング。
【請求項3】
前記パッケージングが、前記パッケージングを前記MSシステムと結合するように構成されたコネクタ要素(13)をさらに備える、請求項1または2に記載のパッケージング。
【請求項4】
前記コネクタ要素が、前記パッケージングを前記MSシステムと結合するために、前記MSシステムにおけるそれぞれのカウンターパートに結合されるべき、締結要素を含む、請求項3に記載のパッケージング。
【請求項5】
前記コネクタ要素(13)が、前記MSシステム(100)に対して前記パッケージング(1)を固定するように構成された、請求項3または4に記載のパッケージング。
【請求項6】
前記MSシステムに対する前記パッケージングの固定位置において、前記針状の構成要素が、前記MSシステムの前記針状の構成要素のハウジング(22)の管(21)と、あらかじめ規定された角度において整合される、請求項5に記載のパッケージング。
【請求項7】
前記アクチュエータが、前記レセプタクル(11)内の前記固定位置から前記取付け位置に前記針状の構成要素(10)を押すように構成されたプッシャー(12)である、請求項1から6のいずれか一項に記載のパッケージング。
【請求項8】
前記パッケージングが、前記MSシステムに固定されると、前記パッケージングが、前記取付け位置に前記針状の構成要素(10)を移動させるように前記プッシャー(12)を押すことによって、前記MSシステムに前記針状の構成要素を挿入することを容易にするように構成された、請求項7に記載のパッケージング。
【請求項9】
前記パッケージングが、前記レセプタクル内の前記固定位置に前記針状の構成要素を保つように構成された、弾性要素(14)を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のパッケージング。
【請求項10】
前記パッケージングは、前記アクチュエータが、前記取付け位置に前記針状の構成要素を挿入するように移動されたとき、前記アクチュエータの移動に反する第1の抵抗を提供するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のパッケージング。
【請求項11】
前記第1の抵抗が、ばね要素によって提供される、請求項10に記載のパッケージング。
【請求項12】
前記第1の抵抗が、請求項9に記載の弾性要素によって提供される、請求項10または11に記載のパッケージング。
【請求項13】
前記パッケージングおよび/または前記針状の構成要素は、前記針状の構成要素が、前記取付け位置に位置合わせされたとき、前記アクチュエータの移動に反する第2の抵抗を提供するようにさらに構成され、前記第2の抵抗が、前記第1の抵抗よりも大きい、請求項10から12のいずれか一項に記載のパッケージング。
【請求項14】
前記アクチュエータは、前記針状の構成要素が前記取付け位置に位置合わせされたとき、ある点を越えて移動され得ない、請求項13に記載のパッケージング。
【請求項15】
前記第2の抵抗が、前記パッケージングおよび/または前記針状の構成要素のブロッキング要素によって提供される、請求項13または14に記載のパッケージング。
【請求項16】
前記パッケージングが、前記MSシステムに取り付けられた前記針状の構成要素と係合し、前記レセプタクル内の前記固定位置に前記針状の構成要素を引っ込めるようにさらに構成される、請求項1から15のいずれか一項に記載のパッケージング。
【請求項17】
前記パッケージングが、前記針状の構成要素を移送および格納するように構成される、請求項16に記載のパッケージング。
【請求項18】
前記パッケージングが、使い捨てである、請求項16または17に記載のパッケージング。
【請求項19】
前記針状の構成要素が、前記MSシステムのイオン化源(20)に取り付けられるように構成される、請求項1から18のいずれか一項に記載のパッケージング。
【請求項20】
前記イオン化源が、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源または大気圧光イオン化(APPI)源であり、前記針状の構成要素が、ESI毛細管または噴霧器針またはAPPI毛細管である、請求項19に記載のパッケージング。
【請求項21】
前記アクチュエータが、電気機械的に動作されるアクチュエータである、請求項1から20のいずれか一項に記載のパッケージング。
【請求項22】
前記電気機械的に動作されるアクチュエータが、測定信号によって制御されるように構成される、請求項21に記載のパッケージング。
【請求項23】
前記測定信号が、前記
MSシステムのイオン化源のイオン化電流に基づき、前記イオン化電流が、前記針状の構成要素と前記イオン化源のカウンタプレートとの間の距離の関数である、請求項22に記載のパッケージング。
【請求項24】
質量分析を行うためのMSシステムに針状の構成要素を取り付けるための方法であって、
パッケージングを得る(101)ことであって、前記パッケージングのレセプタクル内の固定位置に前記針状の構成要素を含み、前記針状の構成要素が、毛細管、噴霧器針、または電極である、前記パッケージングを得る(101)ことと、
前記パッケージングのアクチュエータを作動させることによって、前記針状の構成要素が、前記MSシステムに前記針状の構成要素を取り付けるために前記レセプタクルから突出する取付け位置に、前記レセプタクル内の前記固定位置から前記針状の構成要素を移動させる(102)ことと
を含み、
前記針状の構成要素が取付け位置にあると、前記アクチュエータを前記針状の構成要素からデタッチすることと、
前記針状の構成要素をもたない前記パッケージングを前記MSシステムから切り離すことと
をさらに含む、方法。
【請求項25】
質量分析を行うためのMSシステムから針状の構成要素を取り外すための方法であって、
前記針状の構成要素を持たない、前記針状の構成要素のためのパッケージングを、前記パッケージングのアクチュエータを作動させることによって、前記MSシステムに取り付けられた前記針状の構成要素と係合させる(201)ことであって、前記針状の構成要素が、毛細管、噴霧器針、または電極である、パッケージングを前記針状の構成要素と係合させる(201)ことと、
前記パッケージングの前記アクチュエータを作動させることによって、前記パッケージングのレセプタクル内の固定位置に取付け位置から前記針状の構成要素を引っ込める(202)ことと、
前記パッケージングを前記MSシステムから切り離すことと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、質量分析(MS)システムの針状の構成要素(たとえば、エレクトロスプレーイオン化毛細管または噴霧器針、大気圧光イオン化毛細管または大気圧化学イオン化電極)のためのパッケージングに関する。本開示はまた、MSシステムの針状の構成要素のための取付けおよび取外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析の実装に対する、より詳細には、臨床検査室において、ならびに他の実験室環境において質量分析計に結合された、液体クロマトグラフィ(LC)システムまたは流れ注入システム(FIS)に対する関心が高まっている。そのようなMSシステムは、一般的に、LCシステムまたはFISから流れる検体分子を、MSシステムの質量分析計(たとえば、MSベースの分析器)における検体分子のさらなる分析のために気相に変えるためのイオン化源を備える。次に、イオン化源は、針状の構成要素(たとえば、エレクトロスプレーイオン化毛細管)を含むことがあり、針状の構成要素は、針状の構成要素の漸進的な汚染および腐食のために定期的に(たとえば、3カ月ごとに1回、またはいくつかの例ではなお一層頻繁に)交換されなければならないデリケートでもろい要素である。
【0003】
針状の構成要素を交換するプロセスは、ボックスから構成要素を手作業で取り出すことと、(場合によっては、特殊なツールの助けをかりて)MSシステムに構成要素を手作業で挿入することとのうちの1つまたは複数を含むことがある。これは、簡単なタスクではなく、針状の構成要素のもろくてデリケートな性質により、いくらかのレベルの技能および訓練を必要とすることがある。その結果、従来技術の解決策のうちのいくつかを使用するとき、イオン化源内の針状の構成要素の正しい位置が、いくつかの状況では得られないことがある。他の状況では、針状の構成要素は、挿入プロセス中に曲げられることがあり、これは、MSシステムの全体的性能に悪影響を及ぼすことがある。その上、針状の構成要素のこの精巧なイクスチェンジプロセスが失敗した場合、追加のサービス訪問が必要とされ得る。加えて、ユーザが、イクスチェンジプロセス中に針状の構成要素の鋭くて潜在的に汚染された先端に直接触れ得るという潜在的危険性がある。
【0004】
これにより、針状の構成要素をイクスチェンジすることは、通常、いくつかの従来技術のMSデバイスでは、未熟なユーザによってではなく、熟練したサービス技術者によって実施されるべきである、重要ではあるが、同時に退屈なプロセスである。それゆえ、上述の課題を解決することが可能な新しい効率的で簡単な技法を開発することに対するニーズがある。
【発明の概要】
【0005】
1つの一般的態様では、本開示は、質量分析(MS)システムの針状の構成要素のためのパッケージングに関する。パッケージングは、レセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を格納するように構成されたレセプタクルを含む。パッケージングは、針状の構成要素が、MSシステムに針状の構成要素を取り付けるためにレセプタクルから突出する取付け位置に、レセプタクル内の固定位置から針状の構成要素を移動させるように構成されたアクチュエータをさらに備える。
【0006】
第2の一般的態様では、本開示は、第1の一般的態様のパッケージングを使用する、MSシステムにおける針状の構成要素のための取付け方法に関する。
【0007】
第3の一般的態様では、本開示は、MSシステムから針状の構成要素を取り外すための方法に関する。方法は、パッケージングのアクチュエータを作動させることによって、針状の構成要素のためのパッケージングを、MSシステムに取り付けられた針状の構成要素と係合させることを含む。方法は、パッケージングのアクチュエータを作動させることによって、パッケージングのレセプタクル内の固定位置に取付け位置から針状の構成要素を引っ込めることをさらに含む。
【0008】
第1~第3の一般的態様の技法は、有利な技術的効果を有することができる。
【0009】
第1に、本開示の技法は、いくつかの従来技術と比較して、MSシステムにおいて(たとえば、MSシステムのイオン源内で)針状の構成要素(たとえば、エレクトロスプレーイオン化毛細管)を相対的に簡単で正確に導入および配置することを可能にすることができる。詳細には、針状の構成要素は、挿入を遂行するためのアクチュエータを含む本パッケージングによって、イオン源に容易に挿入され得る。いくつかの例では、パッケージングは、セーフティーシリンジに似ている原理を使用することができる。加えて、必要な場合、針状の構成要素はまた、パッケージングを使用することによって、イオン源から容易に取り外され得る。これは、いくつかの従来技術の解決策と比較して、針状の構成要素を破壊または曲げる危険性を低減することができる。また、ユーザが、針状の構成要素を手作業で取り扱うときに怪我をするという危険性が低減される。
【0010】
第2に、本技法は、本技法が、特殊で精巧なインストレーションツールの使用を伴わないという利点を有することができる。これは、針状の構成要素をインストールすることを、(たとえば、MSシステムをサービスする際の訓練をまったくまたはほとんど受けていない人員にとって)より容易に、および/またはより安価にすることができる。
【0011】
第3に、本開示の技法は、古くて潜在的に汚染された針状の構成要素の安全な取外しおよび廃棄を容易にすることができる。特に、本開示のパッケージングは、いくつかの従来技術の解決策と比較して、針状の構成要素の鋭い先端とのユーザによる直接的な接触の危険性を最小限に抑え得る。加えて、本技法のパッキングは、MSシステムのイオン化源におけるデリケートな部分である、針状の構成要素の安全な移送および格納を提供することができる。
【0012】
第4に、本パッケージングを使用して針状の構成要素を挿入/交換するプロセス全体は、ユーザ側の特殊な技能を必要とせず、それゆえ、潜在的に、いくつかの従来技術のMSシステムの場合のように、熟練したサービス技術者を呼ぶ必要なしに、未熟なユーザによって実施され得る。
【0013】
「質量分析計(MS)」という用語は、検体の質量対電荷比に基づいて、検体をさらに分離および/または検出するように設計された質量分析器を備える、分析モジュールを指すことがある。いくつかの例では、質量分析計は、高速走査型質量分析計である。しかしながら、他の例では、質量分析計は、親分子イオンを選択することと、衝突誘起フラグメンテーションによってフラグメントを生成することと、フラグメントまたは娘イオンの質量対電荷(m/z)比に従ってフラグメントまたは娘イオンを分離することとが可能なタンデム質量分析計である。さらに他の例では、質量分析計は、当技術分野で知られている三連四重極質量分析計である。四重極のほかに、飛行時間、イオントラップまたはそれらの組合せを含む、他のタイプの質量分析器も使用され得る。
【0014】
本明細書で使用される「イオン化源」という用語は、帯電した検体分子(分子イオン)を生成するように構成された、質量分析計に液体クロマトグラフィ(LC)システムを結合するか(LC/MS)、または質量分析計に流れ注入システムを結合し(FIS/MS)、液体から気相に帯電した検体分子を転送するインターフェースを指す。いくつかの実施形態によれば、イオン化源は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源、または加熱エレクトロスプレーイオン化(HESI)源、または大気圧化学イオン化(APCI)源、または大気圧光イオン化(APPI)もしくは大気圧レーザーイオン化(APLI)源である。LC/MSまたはFIS/MSインターフェースは、しかしながら、ダブルイオン化源、たとえば、ESI源とAPCI源の両方、またはモジュラーイクスチェンジ可能なイオン化源を備え得る。イオン化源の典型的なパーツは、一般的に、互いに対して直交してまたは同軸に配列された、ネブライザおよびサンプリング毛細管であり得る。LCシステムまたはFISを出る液体は、検討中の特有のイオン化源に応じて、噴霧器針または毛細管または電極など、針状の構成要素を含むプローブを通して導かれる。このようにして、液体は、イオン化が生じ、それにより得られた帯電した検体分子が、気相にもたらされる、噴霧器毛細管の下流のボリュームにおいて噴霧化される。サンプリングデバイス(たとえば、サンプリング毛細管またはオリフィス)が、気相中のイオンを収集し、質量分析計にイオンを導くために設けられる。
【0015】
イオン化源は、液滴を小さくし、MSへのバックグラウンドイオン(たとえば、溶剤クラスタ)の進入を低減することができる、カーテンガスとしても知られる、カウンタガス(たとえば、本質的に浄化された、炭化水素を含まない実験室空気である、N2またはゼロエア)を供給するためのアセンブリをさらに含み得る。アセンブリは、カウンタガスを供給するためのカウンタプレートおよびオリフィスアセンブリを有することができる。イオン化源は、ヒーターガスとしても知られる、補助ガスを供給するためのアセンブリをさらに含み得る。イオン化条件を最適化するために、pH、塩、バッファまたは有機コンテンツを調整するために、イオン化源の直前に補給流を追加することによって、溶剤組成を調整することも可能である。そのようなイオン化源は、当技術分野で知られており、ここではさらに説明されない。
【0016】
FIS流出液に関連する「液体」という用語は、サンプルの予備クロマトグラフィ分離なしにイオン化源に直接注入される上記サンプルまたは他の検体を指す。代替例では、サンプルは、事前クロマトグラフィ分離にかけられ得、これにより、液体は、移動相またはLC溶離剤(溶出溶剤)として使用される溶剤または溶剤の混合物、および当技術分野で知られている他のものなど、液体クロマトグラフィ(LC)技法で通例使用される液体を指すことがある。
【0017】
「サンプル」という用語は、対象とする1つまたは複数の検体を含んでいると思われ、その検出、定性および/または定量が、特有の条件(たとえば、臨床条件)に関連し得る、生物学的材料を指す。サンプルは、血液、唾液、眼球レンズ流体、脳脊髄液、汗、尿、ミルク、腹水、粘液、滑液、腹膜液、羊水、組織、細胞または同様のものを含む生理的流体など、任意の生物学的源から導出され得る。サンプルは、血液からプラズマを準備すること、粘性流体を希釈すること、溶解または同様のものなど、使用に先立って前処理され得、処理の方法は、フィルタ処理、遠心分離、蒸留、濃縮、干渉成分の不活性化、および試薬の添加を伴うことがある。サンプルは、いくつかの場合には源から得られると直接使用されるか、あるいはたとえば、1つまたは複数のインビトロ診断試験を行うことができるようにするために、または対象とする検体をリッチ化する(抽出する/分離する/濃縮する)ためにおよび/または対象とする検体の検出に潜在的に干渉するマトリックス成分を除去するために、サンプルの特性を変更するための前処理および/またはサンプル準備ワークフローに続いて、たとえば、内部標準を追加した後に、別の溶液を用いて希釈された後にまたは試薬と混合された後に使用され得る。対象とする検体の例は、通常は、ビタミンD、乱用薬物、治療薬、ホルモン、および代謝物である。しかしながら、リストは網羅的ではない。
【0018】
いくつかの例では、MSに結合されたイオン化源は、バルブ検出器間コンジットを介してLCシステムまたはFISと接続され得る。いくつかの例では、LCシステムは、特に、質量分析計による検出の前に対象とする検体を分離するために、質量分析のためのサンプルを準備するように、および/または準備されたサンプルを質量分析計に転送するように設計された分析モジュールとして構成され得る。特に、一般的に、LCラン中に、質量分析計は、特定の質量範囲を走査するように設定され得る。LC/MSデータは、個々の質量走査におけるイオン化された電流を合計することと、時間に対する強度点としてその「総」イオン電流をプロットすることとによって表され得る。
【0019】
本明細書で使用される「液体クロマトグラフィまたはLC」という用語は、たとえば、互いから対象とする検体を分離するために、およびそれゆえ、たとえば、質量分析検出による対象とする検体の個々の検出ができるようにするために、LCカラムを通してクロマトグラフィ分離に、サンプルインジェクタによって注入されたサンプルをかける、任意の種類の分析プロセスを指すことがある。他の例では、上記分析プロセスはまた、マトリックス成分、たとえば、後続の検出に依然として干渉し得る、サンプル準備の後の残りのマトリックス成分から対象とする検体を分離することを目的とする。いくつかの例では、液体クロマトグラフィのそのような形態は、圧力下で実施される液体クロマトグラフィ、たとえば、「高性能液体クロマトグラフィ」またはHPLC、「超高性能液体クロマトグラフィ」またはUHPLC、「マイクロ液体クロマトグラフィ」またはμLCおよび「小口径液体クロマトグラフィ」または小口径LCとして使用される。
【0020】
本開示で使用される「液体クロマトグラフィシステムまたはLCシステム」という用語は、分析システムまたはモジュールあるいは液体クロマトグラフィを行うための分析システムにおけるユニットである。LCシステムは、シングルチャネルシステムとして、あるいは並列におよび/または直列に配列された1つまたは複数のLCカラムを備え得るマルチチャネルシステムとして具現化され得る。LCシステムはまた、たとえば、液体、ガス抜き液、調質液、および同様のものを混合するための、サンプルインジェクタ、バルブ、液体源、流体接続およびパーツなどの要素と、圧力センサー、温度センサーおよび同様のものなどの1つまたは複数のセンサーと、とりわけ少なくとも1つのLCポンプとを備え得る。リストは網羅的ではない。
【0021】
「LCカラム」は、クロマトグラフィ性質の分離を実施するための、カラム、カートリッジ、毛細管および同様のもののうちのいずれかを指すことがある。カラムは、一般的に、一般に知られているように、たとえば、対象とする検体の極性あるいはlog P値、サイズまたは親和性に従って、選択された条件下で対象とする検体を捕捉および/または分離ならびに溶出および/または転送するために、移動相が通ってポンピングされる、固定相を用いてパックまたはロードされる。この固定相は、微粒子またはビーズ状または多孔性モノリスであり得る。しかしながら、「LCカラム」という用語は、固定相を用いてパックまたはロードされないが、分離を遂行するために、内側毛細管壁または幾何学的構造の表面積に依拠する、毛細管またはチャネルを指すこともある。例は、分離ベッドが、固体シリコンウエハからインタースティシャルボリュームをエッチング除去することによって形成され、ピラーのアレイを残す、ピラーアレイクロマトグラフィによって提供される。得られたチャネルは、ベッドセグメントを、ピーク分散を制限する最適化流分配器と連結することによって、小さい占有面積上に折り畳められ得る。これは、再生可能な、規則的なパターンで編成された、固定相支持構造を作成する。
【0022】
移動相の組成、換言すれば、移動相をなし、LCカラムの固定相を通してサンプルを搬送することを目的とする、溶剤または溶剤の混合物の濃度は、時間とともに変化する関数であり得る。そのようなクロマトグラフィ分離プロセスは、勾配溶出と呼ばれることがある。勾配溶出中にLCカラムに入る組成の所望の時間依存性は、いくつかの例では、事前にプログラムされ得る。
【0023】
LCカラムを出る「LC溶出液」という用語は、本明細書では、少なくとも1つの対象とする検体を備える溶出液の一部を指し示すために使用される。
【0024】
「流体ストリーム」という用語は、液体が通って流れることができる流体経路、特に、サンプル注入点からのサンプルが、通ってクロマトグラフィプロセスを受け得、最終的に質量分析計に転送され得る流体経路を指すことがある。
【0025】
「MSシステム」という用語は、質量分析を実施するためのデバイスの任意の組合せを指す。たとえば、質量分析システムは、上記で論じられた、1つまたは複数の質量分析計、および/あるいは1つまたは複数のイオン化源を含むことができる。いくつかの例では、MSシステムは、上記で論じられた1つまたは複数のLCシステムまたはFISを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1a】パッケージングのレセプタクル内の、質量分析(MS)システムの針状の構成要素を概略的に示す図である。
【
図1b】パッケージングのレセプタクル内の、質量分析(MS)システムの針状の構成要素を概略的に示す図である。
【
図2】イオン化源の交換可能な部分を形成する針状の構成要素をもつイオン化源と、イオン化源に結合された質量分析計とを含むMSシステムを概略的に図示する図である。
【
図3】MSシステムにおける取付け位置に針状の構成要素を取り付けるためにレセプタクルから突出された針状の構成要素を概略的に示す図である。
【
図4】本開示の、MSシステムの針状の構成要素のためのパッケージング方法を図示するフロー図である。
【
図5】本開示の、MSシステムから針状の構成要素を取り外すための方法を図示するフロー図である。
【
図6】液体クロマトグラフィ(LC)システムを備えるMSシステムを概略的に示す図であって、ここで、LCシステムは、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源に接続された、図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
まず、本開示の技法の一般的概要が、
図1a、
図1b~
図3に関連して与えられる。次いで、質量分析(MS)システムにおける針状の構成要素のためのパッケージングに関する、および針状の構成要素を取り付けるかまたはMSシステムから針状の構成要素を取り外すための方法に関する本開示の技法の様々な態様が、その後、それぞれ、
図4および
図5中に示されているフローチャート中で要約される。最後に、本開示のいくつかのさらなる態様が、MSシステムが、液体クロマトグラフィ(LC)システムを備えるときの
図6の例に関して与えられる。
【0028】
図1aおよび
図1bは、質量分析(MS)システム100の針状の構成要素10のためのパッケージング1の概略例を含む。一例では、MSシステム(たとえば、MSベースの分析器)は、質量分析計30(たとえば、三連四重極質量分析計)と、
図2中に示されているように質量分析計30に結合されたイオン化源20とを備えることができる。本例では、イオン化源は、質量分析計の入口31に向かって、液体(たとえば、対象とする溶出液を含む、液体クロマトグラフィ(LC)システムを出る液体)のイオン化されたガス流を供給するように構成されたエレクトロスプレーイオン化(ESI)源であり得る。
図2中に提示されている例では、針状の構成要素は、ESI源20の交換可能な部分を形成することができる、ESI毛細管または噴霧器針10であり得る。いくつかの例では、ESI源に導かれた液体は、イオン化が起こる、ESI毛細管または噴霧器針10の下流のボリュームにおいて噴霧化され得、ネブライザガス23としても知られる、上記液体をなす帯電した分子の気相の生成をもたらす。
図2の例では、イオン化源20は、カウンタガス24(たとえば、N
2)を供給するように構成されたアセンブリをさらに含み得る。カウンタガス24を供給することは、液滴を小さくし、質量分析計30に入るバックグラウンドイオン(たとえば、溶剤クラスタ)の量を低減することができる。
【0029】
本技法では、パッケージングは、レセプタクル11内の固定位置に針状の構成要素10を格納するように構成されたレセプタクル11を備えることができる。たとえば、レセプタクル11は、(針状の構成要素が、取付け位置に移動されるまで)周囲環境に対して密封され得る。他の例では、レセプタクル11は、1つまたは複数の開口を含むことができるが、とはいえ、周囲環境から針状の構成要素10を遮蔽する。
図1aまたは
図1bに戻ると、例におけるレセプタクルは、プラスチック材料を含む(たとえば、プラスチック材料からなる)ことができる。レセプタクルは、(レセプタクルの内部を検査することを可能にするために)少なくとも部分的に透明であることも、不透明であることもある。他の例では、レセプタクルは、ガラス材料または他の材料を含むことができる。レセプタクルは、針状の要素が、レセプタクルから突出するように通って移動され得る開口を含むことができる。いくつかの例では、レセプタクル(たとえば、開口)は、針状の構成要素が、レセプタクル内の固定位置にあるとき、塵や埃がレセプタクル中に浸入および蓄積するのを防ぐために、キャップ15によって(たとえば、ねじキャップによって)閉じられ得る。キャップ15は、レセプタクルを繰り返し閉じるように構成され得るか、または1回使いきりのキャップであり得る。一例では、閉鎖キャップは、金属要素を備えるねじキャップであり得る。他の例では、当技術分野で知られている、ねじをもたないプラスチックキャップまたは他の手段が、レセプタクル11を閉じるために使用され得る。たとえば、取外し可能な膜が、レセプタクルの開口を閉じるために設けられ得る(たとえば、取外し可能な膜は、アクチュエータを発動させる前に、および/またはMSシステムにパッケージングをアタッチする前に取り外され得る)。
【0030】
本開示の技法では、パッケージング1は、レセプタクル内の固定位置から針状の構成要素を移動させるように構成されたアクチュエータ12をさらに備えることができる。移動された後、針状の構成要素10は、MSシステムに針状の構成要素を取り付けるためにレセプタクル11から突出することができる(たとえば、
図3中に提示されている実施形態を参照)。上記で
図2に関連して論じられたように、針状の構成要素(換言すれば、この図中に表示されているESI毛細管または噴霧器針10)は、ESI源20の交換可能な部分であり得る。この例では、取り付けられた位置は、MSシステムのESI源内であり得る。
【0031】
図1aおよび
図3中に提示されている第1の例では、アクチュエータ12a、12bは、押しボタン(たとえば、固定位置から取付け位置に針状の構成要素を移動させるために、レセプタクルの側壁に沿って押されるように構成された要素)として構築され得る。
図1b中に表示されている第2の例では、アクチュエータ12a、12bは、プッシュロッド(たとえば、レセプタクルの端部から潜在的に延び、固定位置から取付け位置に針状の構成要素を移動させるために押されるように構成された伸長要素)であり得る。すべての場合において、アクチュエータ(たとえば、プッシュロッドまたは押しボタン)は、デタッチ可能な結合機構を通してレセプタクル中の針状の要素に結合され得る(換言すれば、アクチュエータは、針状の要素が取付け位置にあると、針状の要素からデタッチされ得る)。一例では、アクチュエータは、摩擦力を通して針状の要素と係合するように構成される。
【0032】
引き続き
図1~
図3を参照しながら、
図4中に概略的に示されている、質量分析(MS)システムの針状の構成要素のための取付け方法が、さらに開示および提案される。対応する独立請求項の方法ステップが、
図4中に実線によって描画されたボックス内で要約され、従属請求項の方法ステップが、破線によって描かれたボックス内に示されている。取付け方法は、パッケージングのレセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を含むパッケージングを得る101ことを含む。さらなるステップでは、技法は、針状の構成要素が、MSシステムに針状の構成要素を取り付けるためにレセプタクルから突出する取付け位置に、レセプタクル内の固定位置から、パッケージングのアクチュエータを作動させることによって、針状の構成要素を移動させる102ことを含む。
【0033】
いくつかの例では、針状の構成要素は、毛細管または電極、随意に、
図2中に示されている実施形態に関連して上記で論じられたエレクトロスプレーイオン化(ESI)毛細管または噴霧器針である(針状の構成要素のさらなる例が、以下で論じられる)。本技法のパッケージングは、針状の構成要素を備えることができる。一例では、技法は、動作のために新しいMSシステムを最初にセットアップする段階において、MSシステムに、たとえば、
図2および
図3のESI源に針状の構成要素をインストールするために、針状の構成要素をもつパッケージングを使用することを含む。いくつかの他の例では、針状の構成要素をもつパッケージングは、MSシステムにおいて現在インストールされている針状の構成要素を、交換針状構成要素と交換することが必要であるとき、ユーザによって採用されるMSシステムのスペアパーツとして使用され得る。いくつかの例では、交換は、MSシステムのスケジュールされたメンテナンス中に実施され得る。さらに他の例では、交換は、たとえば、針状の構成要素の汚染または経年変化によって引き起こされ得る、MSシステムによって上記針状の構成要素を動作させる際の誤動作の検出に応答して行われなければならない。例では、MSシステムは、検出された誤動作に基づいて、応答を自動的にトリガすることができる。加えて、応答は、針状の要素が交換されるべきであることをユーザに通知するために、アラームを生成することおよび/またはMSシステムの動作を停止することを伴うことができる。いくつかの例では、古い針状の構成要素を交換する前に、ユーザは、古い針状の構成要素にアクセスし、取り外すために、MSシステムの対応するパーツ(たとえば、取付けナットなど、取付け手段)をデタッチする(たとえば、ねじを抜く)必要があり得る。
【0034】
本開示の技法では、パッケージング1は、パッケージングをMSシステムと結合する103ように構成されたコネクタ要素13をさらに備えることができる。コネクタ要素は、MSシステムに対してパッケージングを固定する104ようにさらに構成され得る。MSシステムに対するパッケージングの固定位置では、針状の構成要素は、MSシステムの針状の構成要素のハウジング22の管21(たとえば、ネブライザ管)と、あらかじめ規定された角度において整合され(またはMSシステムの別の構成要素と整合され)得る105。いくつかの例では、針状の構成要素は、管21と並列に整合され得、そのため、あらかじめ規定された角度は、実質的にゼロになる。他の例では、針状の構成要素は、非ゼロの傾斜角を管21と形成するように整合され得る(たとえば、傾き角度は、0度と1度との間、0度と2度との間、または0度と5度との間であり得る)。いくつかの例では、MSシステムに対してパッケージングを固定することは、MSシステムのイオン化源に対して、たとえば、
図2および
図3の例中に示されているESI源に対してパッケージングを固定することを意味することがある。この場合、MSシステムの針状の構成要素のハウジング22は、ESI源の針状の構成要素のハウジングであり得る。本技法のコネクタ要素13は、締結要素を含むことができる。いくつかの例では、締結要素は、パッケージングが、MSシステムの対応する要素にパッケージングをネジでとめることによって、MSシステムに固定され得るようなスレッドであり得る。他の例では、締結要素は、パッケージングが、MSシステムの対応する凹部にパッケージングを接続することによって、MSシステムに固定され得るようなピンまたは鍵であり得る。他の例では、パッケージングは、パッケージングが、MSシステムの対応するピンまたは鍵を凹部に接続することによって、MSシステムに固定され得るような凹部を含み得る。さらに他の例では、締結要素は、パッケージングをMSシステムに結合するために、MSシステムにおけるそれぞれのカウンターパートに結合されるべき、インターロック、整形された表面または別の好適な締結要素であり得る。
【0035】
本開示のアクチュエータは、レセプタクル内の固定位置からMSシステムにおける取付け位置に針状の構成要素を押すように構成されたプッシャーであり得る(たとえば、
図3を参照)。一例では、上記で論じられたように、プッシャーは、
図1a中に示されている押しボタン12aとして構築され得る。他の例では、同じく上記で論じられたように、プッシャーは、
図1b中に描かれているプッシュロッド12bとして設計され得る。しかしながら、アクチュエータは、固定位置から取付け位置への針状の構成要素の移動を遂行するための、任意の機械、電気機械または他の手段を含むことができる。たとえば、アクチュエータは、固定位置から取付け位置に針状の構成要素を移動させるために、それぞれの構成要素(たとえば、ボタンまたはハンドル)を引くかまたは回転させることによって発動されるように構成され得る。これらの例では、パッケージングは、固定位置から取付け位置に針状の構成要素を移動させるために、それぞれの構成要素(たとえば、ボタンまたはハンドル)の移動を並進移動に変換するための好適な要素を含むことができる。一例では、移動を変換するための要素は、歯車機構を含むことができる。いくつかの例では、歯車機構は、離散ステップサイズをもつギアホイールと、ギアホイールによってトリガされる随意の付属カウンタとを備え得る。追加として、アクチュエータまたはプッシャーは、(たとえば、前後に針状の構成要素を移動させるための、またはMSシステムから針状の構成要素を取り外すための)プラーとしても動作するように構成され得る(両方の例が、以下で詳細に論じられる)。
【0036】
本技法では、パッケージングが、MSシステムに固定されると、パッケージングは、たとえば、MSシステムにおける取付け位置に針状の構成要素を移動させるようにプッシャーを押すことによって、MSシステムに針状の構成要素を挿入する106ことを容易にするように構成される。一例では、プッシャーは、固定位置から取付け位置に針状の構成要素を押すことを提供するために、(たとえば、手動で)ユーザによって作動され得る。いくつかの例では、MSシステムに対するパッケージングの固定位置にある針状の構成要素の、ハウジング22の管21とのあらかじめ規定された角度にある、針状の構成要素の向きは、取付け位置におけるものと同じであり得る。いくつかの例では、取付け位置に針状の構成要素を移動させることは、取付け位置に向かって実質的に連続的であり得る。いくつかの他の例では、取付け位置に針状の構成要素を移動させることは、段階的な様式で実施され得、たとえば、移動させることは、異なる時点について異なる速度において取付け位置に向かって一方向に実施され得るか、または移動させることは、取付け位置に対して、それぞれ、順方向および逆方向に前後に実施され得る。追加または代替として、取付け位置に針状の構成要素を移動させることは、(たとえば、取付け位置に針状の構成要素を移動させる間に、時計回りまたは/および反時計回りの様式で)針状の構成要素に平行な軸を中心として、または上記で規定されたあらかじめ規定された角度で整合された軸を中心としてプッシャーを回転させることによって実行され得る。
【0037】
本開示の技法では、パッケージング1は、レセプタクル11内の固定位置に針状の構成要素を保つように構成された弾性要素14を備えることができる。一例では、弾性要素は、
図1aおよび
図1b中に提示されている実施形態中に図示されているばね要素14であり得る。他の例では、弾性スリーブ、管または他の弾性手段が、レセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を保つための弾性要素として使用され得る。いくつかの例では、弾性要素は、プッシャー12a、12bと、閉鎖キャップ15またはレセプタクルの開口を閉じるための他の手段によって閉じられたレセプタクルの端部との間で延びることができる(たとえば、弾性手段は、閉鎖キャップ15によって閉じられたレセプタクルの端部に支持および/または締結され得る)。いくつかの他の例では、弾性要素は、プッシャーと閉鎖キャップとの間の距離よりも短い(たとえば、5%、10%または20%短い)ことがある。加えて、弾性要素14は、針状の要素が弾性要素内に配置され得るように、固定位置において針状の要素を囲むことができる。
【0038】
いくつかの例では、パッケージング1は、針状の構成要素の1つまたは複数の状態(たとえば、プレースメントプロセスの前および/または間の針状の構成要素の1つまたは複数の位置)を指し示すように構成されたインジケータを備えることができる。インジケータは、様々なやり方で(たとえば、色、シンボルおよび/またはテキスト情報または音を提示することによって)状態を指し示すことができる。たとえば、インジケータは、針状の構成要素10がレセプタクル11内の固定位置にあるとき、第1の状態を指し示し得る。たとえば、インジケータは、針状の構成要素10がレセプタクル11内の固定位置にあるとき、所定の色(たとえば、赤)で点灯することができる。他の例では、インジケータは、針状の構成要素10がレセプタクル内の固定位置にあるとき、所定の色(たとえば、赤)を提示する可動機械要素であり得る。針状の構成要素が固定位置にあるという事実は、たとえば、弾性要素14によって加えられた測定された力に基づいて、または位置検出構成要素によって決定され得る。
【0039】
いくつかの例では、パッケージング1は、アクチュエータが、MSシステム100に針状の構成要素10を挿入するように移動されたとき、アクチュエータ12a、12bの移動に反する第1の抵抗を提供するように構成され得る。この場合、ユーザは、MSシステムに針状の構成要素を挿入するとき、(たとえば、固定位置から取付け位置への並進移動の80%またはそれ以上にわたって)第1の抵抗を体感し得る。いくつかの例では、これは、針状の要素がMSシステムにおける取付け位置にユーザによって挿入される速度が、(たとえば、第1の抵抗が存在しない状況と比較して)第1の抵抗によって制限され得るかまたは低減され得ることを意味し得る。アクチュエータの移動に反する第1の抵抗は、弾性要素14によって提供され得る。一例では、第1の抵抗を提供することができる弾性要素は、レセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を保つことができる弾性要素とは異なり得る。他の例では、同じ弾性要素が、アクチュエータの移動に反する第1の抵抗を提供することができ、レセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を保つことができる。いくつかの例では、第1の抵抗を提供する弾性要素は、ばね要素、弾性スリーブ、管または当技術分野で知られている他の弾性手段であり得る。いくつかの例では、パッケージング1は、針状の構成要素10がMSシステムに挿入されたとき、第2の状態を指し示し得る、上述のインジケータを備えることができる。たとえば、インジケータは、針状の構成要素10がMSシステムに挿入されたとき、所定の色(たとえば、オレンジ)で点灯することができる。他の例では、可動機械要素は、針状の構成要素10がMSシステムに挿入されたとき、所定の色(たとえば、オレンジ)を提示することができる。針状の構成要素がMSシステムに挿入されたという事実は、たとえば、弾性要素14によって提供された第1の抵抗に基づいて、または位置検出構成要素によって決定され得る。
【0040】
本開示のパッケージングおよび/または針状の構成要素は、針状の構成要素が取付け位置に位置合わせされたとき、アクチュエータの移動に反する第2の抵抗を提供するようにさらに構成され得る。第2の抵抗は、上述のアクチュエータの移動に反する第1の抵抗よりも大きいことがある。いくつかの例では、アクチュエータは、針状の構成要素が取付け位置に位置合わせされたとき、ある点を越えて移動され得ない。一例では、第2の抵抗は、パッケージングのブロッキング要素によって提供され得る。追加または代替として、第2の抵抗は、針状の構成要素のブロッキング要素によって提供され得る。一例では、ブロッキング要素は、針状の要素のフェルールであり得る。他の例では、ブロッキング要素は、パッケージングまたはMSシステムの防止ピンまたは他のブロッキング要素であり得る。いくつかの例では、ユーザが、第2の抵抗に到達したとき、彼女または彼は、針状の要素が、うまく配置され、MSシステムにおける取付け位置に到達したと結論付けることができる。次いで、針状の構成要素をもたないパッケージングは、MSシステムから切り離され得る。例では、ユーザは、取付け手段(たとえば、取付けナット)を使用してMSシステムに針状の構成要素を最終的に据えることができる。
【0041】
上記で論じられた、レセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を保つように構成された弾性要素を使用することの代替として、本開示のパッケージング1は、パッケージングの内側部分に対するパッケージングの外側部分の回転を可能にするように構成されたスレッドを含むことができる。この場合、パッケージングの内側部分は、レセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を保つように構成され得る。
【0042】
引き続き
図1~
図3および
図6を参照しながら、
図5中に示されている、質量分析(MS)システムから針状の構成要素を取り外すための方法が、さらに開示および提案される。対応する独立請求項の方法ステップが、
図5中に実線によってマークされたボックス内で要約され、従属請求項の方法ステップが、破線によって描かれたボックス内に示されている。針状の構成要素を取り外すための方法は、パッケージングのアクチュエータを作動させることによって、針状の構成要素のためのパッケージングを、MSシステムに取り付けられた針状の構成要素と係合させる201ことを含む。本開示の技法は、パッケージングのアクチュエータを作動させることによって、パッケージングのレセプタクル内の固定位置に取付け位置から針状の構成要素を引っ込める202ことをさらに含む。
【0043】
いくつかの例では、古い針状の構成要素が、MSシステムから取り外されるとき、係合ステップおよび引っ込めステップが、古い針状の構成要素に対して実施され得る。いくつかの例では、レセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を保つための弾性要素14を含む、上記で説明されたパッケージングは、この目的で使用され得る。他の例では、スレッドが、針状の構成要素を保つための弾性要素の代わりに使用される場合、パッケージングは、追加の結合機構を含むことができる。この場合、追加の結合機構(たとえば、ピンまたはスレッド)およびスレッドは、取付け位置にある針状の構成要素と係合することと、取付け位置からレセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を引っ込めることとを提供するように構成され得る。いくつかの例では、スレッドおよび追加の結合機構を使用することは、MSからの古い毛細管の安全な取外しを容易にすることができる。
【0044】
本開示の引っ込めステップは、本開示において規定されているパッケージング(たとえば、含まれた針状の構成要素をもたないパッケージング)を得る203ことを含むことができる。本技法は、針状の構成要素(たとえば、古いまたは新しい針状の構成要素)の移送中の、針状の構成要素の安全な格納を保証することができる。詳細には、本技法の係合ステップおよび引っ込めステップは、ユーザが、(針状の構成要素がMSシステムから取り外される場合)感染性のまたはさもなければ危険な材料で潜在的に汚染されていることがある、針状の構成要素の鋭い先端との直接的な接触を回避し得るように実行され得る。本技法は、パッケージングのレセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を含むパッケージングを廃棄する204ことをさらに含むことができる。たとえば、パッケージングは、レセプタクル内の固定位置に引っ込められた古い針状の構成要素とともに廃棄され得る。
【0045】
本技法の引っ込めステップは、MSシステムにおける取付け位置からレセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を引くことをさらに含むことができる。通常は、針状の構成要素を引くことは、パッケージングがMSシステムと結合されたときに実行され得る。いくつかの例では、引きステップは、MSシステムにおける取付け位置に針状の構成要素(たとえば、新しい針状の構成要素)を移動させるために使用される(たとえば、上記で開示された、プッシャー、プッシュロッド、押しボタン、回転ロッドなどの)同じアクチュエータによって実施され得る。これにより、取付け位置への針状の構成要素の移動(たとえば、連続的または段階的移動)に関するすべての前の例は、逆の場合、すなわち、針状の構成要素がMSシステムから引き出されるときにも適用可能であり得る。追加または代替として、本開示のアクチュエータは、MSシステムにおける取付け位置から針状の構成要素を引くことを容易にするために、上記で列挙された追加の押し/引き手段を備えることができる。たとえば、追加の押し/引き手段は、クランプ状の機構を備え得る。
【0046】
本開示の引っ込めステップは、MSシステムからパッケージングを切り離す206ことを含むことができる。いくつかの例では、MSシステムからパッケージングを切り離すことは、MSシステムにおけるそれぞれのカウンターパートからパッケージングを切り離すことを含むことができる。このコンテキストにおけるそれぞれのカウンターパートは、パッケージングが、MSシステムと結合されるとき、パッケージング1が、第2の一般的態様に関する上記の考察に従ってコネクタ13によって結合され得る、カウンターパートであり得る。これにより、いくつかの例では、MSシステムからパッケージングを切り離すことは、MSシステムにおけるそれぞれのカウンターパートからコネクタ13(たとえば、上記で論じられた、スレッド、ピン、インターロック、鍵、整形された表面、または別の好適な締結要素)を解放/切断することを伴うことができる。本開示の切離しステップは、MSシステムに対する固定位置からパッケージングを取り外す207ことを最終的に含むことができる。
【0047】
上記の例では、エレクトロスプレーイオン化(ESI)毛細管または噴霧器針の取付けが、より詳細に論じられた。しかしながら、同じく上記で論じられたように、針状の構成要素は、MSシステムにおいて採用された任意の針状の構成要素、たとえば、任意の毛細管または針状の電極であり得る。いくつかの例では、針状の構成要素は、概して一方向に延びる。針状の構成要素は、少なくとも1cm(たとえば、少なくとも2cm)の延長部にわたって2mm未満(たとえば、1mm未満)の外径を有することがある。
【0048】
本技法では、針状の構成要素は、MSシステムのイオン化源20に取り付けられるように構成され得る。たとえば、
図2の実施形態に関連して上記で詳細に論じられた一例では、イオン化源は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源であり得、その場合、針状の構成要素は、ESI毛細管または噴霧器針であり得る。いくつかの他の例では、イオン化源は、大気圧光イオン化(APPI)源であり得る。この場合、針状の構成要素は、APPI毛細管であり得る。さらに他の例では、イオン化源は、大気圧化学イオン化(APCI)源であり得る。これらの例では、APCI電極が、針状の構成要素として使用され得る。
【0049】
いくつかの例では、針状の構成要素の移動は、好適な手段を使用することによって自動的に生じることができる。この場合、パッケージングおよびアクチュエータは、モーターへのインターフェース、または(発動に影響を及ぼすための)制御信号を受信するためのインターフェースを提供するように構成され得る。他の例では、アクチュエータは、自動発動と(たとえば、ユーザによる)手動発動の両方を可能にするように構成され得る。いくつかの例では、1つまたは複数の磁性要素が、MSシステムに対する、または/およびパッケージングに対する針状の構成要素の位置を規定するために、パッケージングにおいて、またはMSシステムにおいて使用され得る。いくつかの例では、本開示のアクチュエータは、電気機械的に動作可能なアクチュエータ(たとえば、電気信号を針状の構成要素の移動に変換するように構成されたアクチュエータ)であり得る。電気機械的に動作されるアクチュエータは、パッケージングの一部分であることもないこともあるモーターを含むことができる(たとえば、パッケージングのアクチュエータは、モーターに結合されるように構成され得る)。他の例では、アクチュエータは、針状の構成要素を変換するように構成された磁性要素を含むことができる。
【0050】
いくつかの例では、電気機械的に動作可能なアクチュエータは、測定信号によって制御され得る。測定信号は、イオン化源のイオン化電流に基づき得る。たとえば、イオン化電流は、針状の構成要素とイオン化源のカウンタプレートとの間の距離の関数であり得る。これにより、イオン化電流を測定することによって、針状の構成要素とカウンタプレートとの間の上記距離を正確に決定することが可能になり得る。いくつかの例では、MSシステムにおける針状の構成要素の取付け位置を正確に実現するために、ユーザによる針状の構成要素の手作業挿入の直後に、自動発動が実行され得る。一例では、針状の構成要素10の手作業挿入を完遂すると、ユーザは、針状の構成要素の取付け位置が、十分に到達されなかった(換言すれば、針状の構成要素の位置が、MSシステムにおいて十分に正確ではない)という指示をパッケージングから受信し得る(たとえば、上述のインジケータは、針状の構成要素が第2の状態に依然としてあることを指し示し得る)。一例では、針状の構成要素の位置のそのような不正確さは、パッケージング1の弾性要素14によって加えられた測定された力に基づいて決定され得る。他の例では、上記の位置不正確さは、上記の測定されたイオン化電流に基づいて決定され得る。いくつかの例では、上述の自動発動は、MSシステムにおける針状の構成要素の位置が補正され、MSシステムにおける取付け位置が到達されるようなやり方で実行され得る。いくつかの例では、パッケージング1の上述されたインジケータは、取付け位置が正確に到達され、針状の要素がMSシステム内でうまく配置されたとき、第3の状態を指し示し得る。たとえば、インジケータは、針状の要素がMSシステム内でうまく配置されたとき、所定の色(たとえば、緑)で点灯することができる。他の例では、針状の要素が、MSシステム内でうまく配置されたとき、可動機械要素が、所定の色(たとえば、緑)を提示することができる。この場合、アクチュエータは、針状の要素からデタッチされ得、針状の構成要素をもたないパッケージングは、MSシステムから切り離され得る。いくつかの例では、取付け位置が正確であるという事実は、パッケージング1の弾性要素14によって加えられた測定された力に基づいて(たとえば、上記で論じられた第2の抵抗に基づいて)決定され得る。他の例では、取付け位置の精度は、上記の測定されたイオン化電流に基づいて決定され得る。いくつかの例では、パッケージングのインジケータは、針状の構成要素がMSシステムから取り外される逆の場合において、上記で説明されたものに類似した指示を提供することができる。
【0051】
一例では、MSシステムのイオン化源は、LCシステムから流れ出た液体をイオン化源に注入するように構成された、MSシステムの液体クロマトグラフィ(LC)システム40に接続され得る。いくつかの例では、LCシステムを出る液体は、ESI源に導かれ得る、対象とするサンプルまたはいくつかのサンプル、液体クロマトグラフィ溶出液などを含むことができる。代替的に、MSシステムは、FISシステムから流れ出た液体をイオン化源に注入するように構成された、MSシステムの流れ注入(FIS)システムに接続され得る。例では、FISシステムのサンプルまたは他の検体は、上記サンプルの予備クロマトグラフィ分離なしにイオン化源に直接注入され得る。
【0052】
図6は、液体クロマトグラフィ(LC)システム40に接続された、MSシステム100のイオン化源20の概略例を図示する。いくつかの例では、本開示の針状の構成要素のためのパッケージングは、上記で詳細に説明されたコンテキストにおけるそのようなMSシステムにおいて使用され得る。
図6の右下隅において、
図2に関連して上記で紹介された、質量分析計30およびイオン化源20が示されている。一例では、LCシステムは、交互にイオン化源20に接続可能な複数の流体ストリーム42、43、44(たとえば、2つまたはそれ以上あるいは3つまたはそれ以上の流体ストリーム)を備えることができ、そのため、各流体ストリームは、あらかじめ規定された時間ウィンドウ中にイオン化源20に接続される。
図6中に示されている例では、LCシステム40は、ストリーム選択バルブ50(たとえば、回転バルブ)と、LC溶出液をイオン化源20までバルブ検出器間コンジット10’を通して流すためにストリーム選択バルブ50を介して複数の流体ストリーム42、43、44を交互に接続するように構成されたバルブ検出器間コンジット10’とをさらに備えることができる。MSシステムは、複数の流体ストリーム42、43、44をイオン化源20に接続するための異なる配列をも含むことができる。たとえば、MSシステムは、(回転)バルブとは異なるストリーム選択要素を含むことができる。
【0053】
追加または代替として、
図6のMSシステムは、複数のストリーム選択要素(たとえば、ストリーム選択バルブ)を含むことができる。加えて、LCシステムは、各々が、ESI源に接続可能な2つまたはそれ以上の流体ストリームを含む、流体ストリームの複数のグループを含むことができる。
図6中に描かれている例では、ストリーム選択バルブ50は、イオン化源に入力されるべき、それぞれの流体ストリームから流れるLC溶出液41を供給するために、LCシステムの複数の流体ストリーム42、43、44からのそれぞれの流体ストリームをバルブ検出器間コンジット10’と交互に接続するように構成された複数の流体ストリームポート51、52、53を備える。LCシステムからイオン化源に流入する液体は、これにより、イオン化が起こる、ESI毛細管または噴霧器針10の下流のボリュームにおいて噴霧化され得、帯電した検体分子の気相の生成をもたらす(
図6、右下隅を参照)。例では、ストリーム選択バルブ50は、廃棄物60につながる、複数の流体ストリームからの各流体ストリーム42、43、44について、複数の廃ポート51’、52’、53’をさらに備えることができる。本例では、イオン化源20は、いくつかの例では、バルブ検出器間コンジット50の一部分を形成することができる、ESI毛細管または噴霧器針10を備え、そのため、質量分析計は、イオン化源20を介してバルブ検出器間コンジット10’に接続される。他の例では、噴霧器毛細管は、必ずしもバルブ検出器間コンジット10’の一部分であるとは限らないことがあり、当技術分野で知られている様式でバルブ検出器間コンジット10’に接続され得る。
図6中に提示されている実施形態は、例にすぎず、ポートおよび接続の数は、多くの異なるやり方で、および特に流体ストリームの数に従って適応され得ることを理解されたい。
【0054】
さらなる態様
質量分析システムの針状の構成要素(たとえば、エレクトロスプレーイオン化毛細管または噴霧器針、大気圧光イオン化毛細管または大気圧化学イオン化電極)のためのパッケージングに関する技法のいくつかの態様が、前述のセクションにおいて論じられた。加えて、本開示の技法はまた、以下の態様に従って実行され得る。
1.質量分析(MS)システム(100)の針状の構成要素(10)のためのパッケージング(1)であって、
レセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を格納するように構成されたレセプタクル(11)と、
針状の構成要素が、MSシステムに針状の構成要素を取り付けるためにレセプタクルから突出する取付け位置に、レセプタクル内の固定位置から針状の構成要素を移動させるように構成されたアクチュエータ(12a、12b)と
を備える、パッケージング(1)。
2.針状の構成要素(10)が、毛細管、噴霧器針、または電極、随意に、エレクトロスプレーイオン化(ESI)毛細管である、態様1に記載のパッケージング。
3.針状の構成要素(10)をさらに備える、態様1または2に記載のパッケージング。
4.パッケージングが、パッケージングをMSシステム(100)と結合するように構成されたコネクタ要素(13)をさらに備える、態様1から3のいずれか1つに記載のパッケージング。
5.コネクタ(13)要素が、MSシステム(100)に対してパッケージング(1)を固定するように構成された、態様4に記載のパッケージング。
6.MSシステムに対するパッケージングの固定位置において、針状の構成要素が、MSシステムの針状の構成要素のハウジング(22)の管(21)と、あらかじめ規定された角度において整合される、態様5に記載のパッケージング。
7.コネクタ要素が、パッケージングをMSシステムと結合するために、MSシステムにおけるそれぞれのカウンターパートに結合されるべき、締結要素、随意に、スレッド、ピン、インターロック、鍵、整形された表面または別の好適な締結要素を含む、態様4から6のいずれか1つに記載のパッケージング。
8.アクチュエータが、レセプタクル(11)内の固定位置から取付け位置に針状の構成要素(10)を押すように構成されたプッシャー(12)である、態様1から7のいずれか1つに記載のパッケージング。
9.パッケージングが、MSシステムに固定されると、パッケージングが、取付け位置に針状の構成要素(10)を移動させるようにプッシャー(12)を押すことによって、MSシステムに針状の構成要素を挿入することを容易にするように構成された、態様8に記載のパッケージング。
10.パッケージングが、レセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を保つように構成された、弾性要素(14)、随意にばね要素を含む、態様1から9のいずれか1つに記載のパッケージング。
11.パッケージングは、アクチュエータが、取付け位置に針状の構成要素を挿入するように移動されたとき、アクチュエータの移動に反する第1の抵抗を提供するように構成された、態様1から10のいずれか1つに記載のパッケージング。
12.第1の抵抗が、弾性要素、随意にばね要素によって、さらに随意に態様10に記載の弾性要素によって提供される、態様11に記載のパッケージング。
13.パッケージングおよび/または針状の構成要素は、針状の構成要素が、取付け位置に位置合わせされたとき、アクチュエータの移動に反する第2の抵抗を提供するようにさらに構成され、第2の抵抗が、第1の抵抗よりも大きく、随意に、アクチュエータは、針状の構成要素が取付け位置に位置合わせされたとき、ある点を越えて移動され得ない、態様12に記載のパッケージング。
14.第2の抵抗が、パッケージングおよび/または針状の構成要素のブロッキング要素によって提供される、態様13に記載のパッケージング。
15.ブロッキング要素が、針状の要素のフェルール、あるいはパッケージングまたはMSシステムの防止ピンである、態様14に記載のパッケージング。
16.パッケージングが、MSシステムに取り付けられた針状の構成要素と係合し、レセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を引っ込めるようにさらに構成された、態様1から15のいずれか1つに記載のパッケージング。
17.パッケージングが、パッケージングの内側部分に対するパッケージングの外側部分の回転を可能にするように構成されたスレッドを含み、パッケージングの内側部分が、レセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を保つように構成された、態様1から9のいずれか1つに記載のパッケージング。
18.パッケージングが、追加の結合機構を含み、追加の結合機構およびスレッドが、MSシステムに取り付けられている針状の構成要素と係合することと、レセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を引っ込めることとを可能にするように構成された、態様17に記載のパッケージング。
19.パッケージングが、針状の構成要素を移送および格納するように構成された、態様1から18のいずれか1つに記載のパッケージング。
20.パッケージングが使い捨てである、態様1から19のいずれか1つに記載のパッケージング。
21.針状の構成要素が、MSシステムのイオン化源(20)に取り付けられるように構成され、随意に、イオン化源が、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源または大気圧光イオン化(APPI)源であり、針状の構成要素が、ESI毛細管または噴霧器針またはAPPI毛細管である、態様1から20のいずれか1つに記載のパッケージング。
22.針状の構成要素が、MSシステムのイオン化源に取り付けられるように構成され、イオン化源が、大気圧化学イオン化(APCI)源であり、針状の構成要素がAPCI電極である、態様1から20のいずれか1つに記載のパッケージング。
23.アクチュエータが、電気機械的に動作されるアクチュエータである、態様1から22のいずれか1つに記載のパッケージング。
24.電気機械的に動作されるアクチュエータが、測定信号によって制御されるように構成され、随意に、測定信号が、イオン化源のイオン化電流に基づき、イオン化電流が、針状の構成要素とイオン化源のカウンタプレートとの間の距離の関数である、態様21および23または態様22および23に記載のパッケージング。
25.質量分析(MS)システムに針状の構成要素を取り付けるための方法であって、
パッケージングのレセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を含むパッケージングを得る(101)ことと、
針状の構成要素が、MSシステムに針状の構成要素を取り付けるためにレセプタクルから突出する取付け位置に、レセプタクル内の固定位置から、パッケージングのアクチュエータを作動させることによって、針状の構成要素を移動させる(102)ことと
を含む、方法。
26.固定位置にある針状の構成要素を得ることが、弾性要素によってレセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を保つことを含む、態様25に記載の方法。
27.パッケージングをMSシステムと結合する(103)ことをさらに含む、態様25または26に記載の方法。
28.パッケージングをMSシステムと結合する(103)ことが、MSシステムにおけるそれぞれのカウンターパートにパッケージングを結合する(103)ことを含む、態様27に記載の方法。
29.パッケージングをMSシステムと結合することが、MSシステムに対してパッケージングを固定する(104)ことを含む、態様27または28に記載の方法。
30.MSシステムに対してパッケージングを固定することが、針状の構成要素を、MSシステムの針状の構成要素のハウジング(22)の管(21)と、あらかじめ規定された角度において整合させる(105)ことを含む、態様29に記載の方法。
31.針状の構成要素を移動させることが、レセプタクル内の固定位置から取付け位置に針状の構成要素を押すことを含む、態様26から30のいずれか1つに記載の方法。
32.針状の構成要素を押すことは、パッケージングがMSシステムに固定されると、MSシステムに針状の構成要素を挿入することを含む、態様31に記載の方法。
33.針状の構成要素を移動させることが、測定信号に基づいてアクチュエータを制御することを含む、態様26から32のいずれか1つに記載の方法。
34.測定信号が、MSシステムのイオン化源のイオン化電流に基づき、イオン化電流が、針状の構成要素とイオン化源のカウンタプレートとの間の距離の関数である、態様33に記載の方法。
35.質量分析(MS)システムから針状の構成要素を取り外すための方法であって、
パッケージングのアクチュエータを作動させることによって、針状の構成要素のためのパッケージングを、MSシステムに取り付けられた針状の構成要素と係合させる(201)ことと、
パッケージングのアクチュエータを作動させることによって、パッケージングのレセプタクル内の固定位置に取付け位置から針状の構成要素を引っ込める(202)ことと
を含む、方法。
36.パッケージングのレセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を含むパッケージングを廃棄する(204)ことをさらに含む、態様35に記載の方法。
37.針状の構成要素を引っ込めることが、レセプタクル内の固定位置に針状の構成要素を引く(205)ことを含む、態様35から36のいずれか1つに記載の方法。
38.MSシステムからパッケージングを切り離す(206)ことをさらに含む、態様35から37のいずれか1つに記載の方法。
39.MSシステムからパッケージングを切り離すことが、MSシステムにおけるそれぞれのカウンターパートからパッケージングを切り離すことを含む、態様38に記載の方法。
40.MSシステムからパッケージングを切り離すことが、MSシステムに対する固定位置からパッケージングを取り外す(207)ことを含む、態様38または39に記載の方法。
【符号の説明】
【0055】
1 パッケージング
10 針状の構成要素
10’ バルブ検出器間コンジット
11 レセプタクル
12a アクチュエータ
12b アクチュエータ
13 コネクタ
14 弾性要素
20 イオン化源
21 管
22 ハウジング
23 ネブライザガス
24 カウンタガス
30 質量分析計
31 入口
40 液体クロマトグラフィ(LC)システム
41 LC溶出液
42 流体ストリーム
43 流体ストリーム
44 流体ストリーム
51 流体ストリームポート
51’ 廃ポート
52 流体ストリームポート
52’ 廃ポート
53 流体ストリームポート
53’ 廃ポート
60 廃棄物
100 質量分析(MS)システム