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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】保管庫検索方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20231024BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20231024BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20231024BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B65G61/00 412
B65G1/137 C
H05K13/02 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021200484
(22)【出願日】2021-12-10
(62)【分割の表示】P 2020182346の分割
【原出願日】2017-02-21
(65)【公開番号】P2022036107
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 郁夫
【審査官】落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-115739(JP,A)
【文献】特開2016-207053(JP,A)
【文献】特開2005-104710(JP,A)
【文献】国際公開第2011/092839(WO,A1)
【文献】特開平02-237748(JP,A)
【文献】特開2005-222165(JP,A)
【文献】特開2001-344004(JP,A)
【文献】特開平09-058818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/04
B65G 61/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に部品を装着して基板製品をそれぞれ生産する複数の生産ラインに補給可能な複数種類の前記部品をそれぞれ保管し且つ出庫指令により自動的に前記部品を出庫する複数の保管庫のうちから所定の前記生産ラインで必要とする前記部品を出庫する前記保管庫を検索する保管庫検索方法であって、
複数の前記生産ラインのそれぞれに、生産に用いられる前記部品を保管する複数の前記保管庫を対応保管庫として一対多で対応付ける対応付けステップと、
複数の前記生産ラインの何れか一つに所定種別の前記部品を補給するように要求があり、且つ前記要求をした前記生産ラインに対応した複数の前記対応保管庫において前記要求に応じた前記部品の在庫が十分でない場合に、複数の前記保管庫のうち複数の前記対応保管庫以外で前記要求に応じた前記部品を出庫可能な他の前記保管庫を検索する検索ステップと、
を備え
前記検索ステップにおいて、前記他の前記保管庫を検索する際に、複数の前記生産ラインにおいて終了した生産処理または終了予定の生産処理に用いられ複数の前記生産ラインに補給された状態の残余部品を、複数の前記生産ラインのそれぞれに対応した複数の前記保管庫に保管された前記部品とみなして検索の対象に含ませる保管庫検索方法。
【請求項2】
回路基板に部品を装着して基板製品をそれぞれ生産する複数の生産ラインに補給可能な複数種類の前記部品をそれぞれ保管し且つ出庫指令により自動的に前記部品を出庫する複数の保管庫のうちから所定の前記生産ラインで必要とする前記部品を出庫する前記保管庫を検索する保管庫検索方法であって、
複数の前記生産ラインのそれぞれに、生産に用いられる前記部品を保管する複数の前記保管庫を対応保管庫として一対多で対応付ける対応付けステップと、
複数の前記生産ラインの何れか一つに所定種別の前記部品を補給するように要求があり、且つ前記要求をした前記生産ラインに対応した複数の前記対応保管庫において前記要求に応じた前記部品の在庫が十分でない場合に、複数の前記保管庫のうち複数の前記対応保管庫以外で前記要求に応じた前記部品を出庫可能な他の前記保管庫を検索する検索ステップと、
前記検索ステップによる検索の結果に複数の前記保管庫が含まれる場合に、当該複数の前記保管庫を、前記要求に応じた前記部品を出庫する代替保管庫として選択可能に案内する案内ステップと、
を備える保管庫検索方法。
【請求項3】
回路基板に部品を装着して基板製品をそれぞれ生産する複数の生産ラインに補給可能な複数種類の前記部品をそれぞれ保管し且つ出庫指令により自動的に前記部品を出庫する複数の保管庫のうちから所定の前記生産ラインで必要とする前記部品を出庫する前記保管庫を検索する保管庫検索方法であって、
複数の前記生産ラインのそれぞれに、生産に用いられる前記部品を保管する複数の前記保管庫を対応保管庫として一対多で対応付ける対応付けステップと、
複数の前記生産ラインの何れか一つに所定種別の前記部品を補給するように要求があり、且つ前記要求をした前記生産ラインに対応した複数の前記対応保管庫において前記要求に応じた前記部品の在庫が十分でない場合に、複数の前記保管庫のうち複数の前記対応保管庫以外で前記要求に応じた前記部品を出庫可能な他の前記保管庫を検索する検索ステップと、
を備え
前記生産ラインおよび前記保管庫が設置される区画のそれぞれは、複数の所在区分により示され、
前記検索ステップにおいて、前記要求をした前記生産ラインが設置された前記区画を示す複数の前記所在区分と共通する前記所在区分が多い前記保管庫から順に、前記要求に応じた前記部品を保管しているか否かを判定することにより検索する保管庫検索方法。
【請求項4】
前記検索ステップは、複数の前記生産ラインの何れか一つに所定種別の前記部品を補給するように要求があった場合に、前記要求をした前記生産ラインに対応した複数の前記対応保管庫に前記要求に応じた前記部品の在庫数を問い合わせ、複数の前記対応保管庫の前記在庫数が前記要求された必要数を満たせない場合に、複数の前記保管庫のうち複数の前記対応保管庫以外で前記要求に応じた前記部品を出庫可能な他の前記保管庫を検索する、請求項1-3の何れか一項に記載の保管庫検索方法。
【請求項5】
記生産ラインおよび前記保管庫は複数のフロアに設置され、
前記検索ステップにおいて、前記要求をした前記生産ラインが設置された前記フロア以外の前記保管庫よりも同一の前記フロアに設置された前記保管庫から優先して検索する、請求項1-4の何れか一項に記載の保管庫検索方法。
【請求項6】
前記検索ステップにより検索された他の前記保管庫を代替保管庫に指定するとともに、前記代替保管庫に対して前記要求に応じた前記部品を出庫するように指令する案内ステップをさらに備える、請求項1または3に記載の保管庫検索方法。
【請求項7】
前記案内ステップは、検索の結果に複数の前記保管庫が含まれる場合に、前記要求をした前記生産ラインに対して複数の前記保管庫ごとに設定された案内の優先度に応じて前記保管庫を前記代替保管庫に指定する、請求項に記載の保管庫検索方法。
【請求項8】
前記案内ステップは、検索の結果に複数の前記保管庫が含まれる場合に、前記優先度が最も高い前記保管庫を前記代替保管庫に指定する、請求項に記載の保管庫検索方法。
【請求項9】
前記優先度は、複数の前記保管庫における出庫処理の自動化水準を含み、前記要求をした前記生産ラインと複数の前記保管庫ごとの距離、および前記保管庫における前記部品の在庫数もしくは使用期限の少なくとも一つに基づいて設定される、請求項7または8に記載の保管庫検索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管庫検索方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
保管庫検索方法は、回路基板に部品を装着して基板製品を生産する生産ラインに補給可能な複数種類の部品を保管する複数の保管庫から所定のものを検索する。例えば特許文献1には、生産ラインによる生産処理の実行中に所定種別の部品を補給するように要求があった場合に、オペレータに対して保管庫から要求に応じた部品を出庫するように案内する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-182246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生産管理において、生産ラインや保管庫を備える工場設備の規模に関わらず、部品を補給するように要求があった場合に部品の出庫をより適切に案内することが求められている。
本明細書は、複数の生産ラインおよび複数の保管庫を連携させて、部品の出庫をより適切に案内することが可能な保管庫検索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、回路基板に部品を装着して基板製品をそれぞれ生産する複数の生産ラインに補給可能な複数種類の前記部品をそれぞれ保管する複数の保管庫のうちから所定の前記生産ラインで必要とする前記部品を出庫する前記保管庫を検索する保管庫検索方法であって、複数の前記生産ラインのそれぞれに、生産に用いられる前記部品を保管する一または複数の前記保管庫を対応付ける対応付けステップと、複数の前記生産ラインの何れか一つに所定種別の前記部品を補給するように要求があり、且つ前記要求をした前記生産ラインに対応した前記保管庫において前記要求に応じた前記部品の在庫が十分でない場合に、前記要求に応じた前記部品を出庫可能な他の前記保管庫を検索する検索ステップと、を備える保管庫検索方法を開示する。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によると、部品の補給を要求した生産ラインに対応した保管庫に要求に応じた部品の在庫が十分でない場合に、他の保管庫を対象に部品を補給可能な保管庫が検索される。これにより、検出された保管庫の一つから要求に応じた部品を出庫させて補給することができる。このように、保管庫検索方法は、複数の生産ラインおよび複数の保管庫を連携させて、全体として部品の在庫を管理することができる。よって、部品の出庫をより適切に案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態における管理システムを示す図である。
図2】生産管理装置、生産ライン、および保管庫を模式的に示す平面図である。
図3】生産ラインおよび保管庫の所在に応じた区画情報を示す表である。
図4】部品補給の要求への対応処理を示すフローチャートである。
図5図4における代替候補の検索処理を示すフローチャートである。
図6図4における案内処理の第一態様を示すフローチャートである。
図7図4における案内処理の第二態様を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.実施形態
1-1.管理システム1の概要
生産管理装置は、回路基板に部品を装着して基板製品を生産する複数の生産ラインと、生産ラインに補給される複数種類の部品を保管する複数の保管庫とを管理する。本実施形態において、図1に示すように、生産管理装置50は、他の生産管理装置50と通信可能に接続されることにより連携し、生産を統括管理する管理システムを構成する。管理システム1は、ネットワークを構成する複数の生産管理装置50が相互の情報を利用可能とする。なお、以下では、「回路基板」を単に「基板」と称する。
【0009】
1-2.生産ライン10の構成
生産ライン10は、図2に示すように、生産装置を基板の搬送方向(図2の左右方向)に複数設置して構成される。複数の生産装置のそれぞれは、互いに通信可能に、且つ生産管理装置50が組み込まれたホストコンピュータ(以下、「ホストPC」と称する)と通信可能にそれぞれ接続されている。生産ライン10は、印刷機11、複数の部品装着機14、およびリフロー炉16を備える。
【0010】
印刷機11は、搬入された基板における部品の装着位置にペースト状のはんだを印刷する。複数の部品装着機14のそれぞれは、生産ライン10の上流側から搬送された基板のはんだの上に部品を装着する。部品装着機14による装着処理については後述する。リフロー炉16は、生産ライン10の上流側から搬送された基板を加熱して、基板上のはんだを溶融させてはんだ付けを行う。
【0011】
このように、生産ライン10は、各生産装置に対して基板を順に搬送し、検査処理を含む生産処理を実行して基板製品を生産する。なお、生産ライン10は、例えば生産する基板製品の種別などに応じて、その構成を適宜追加、変更され得る。例えば、生産ライン10には、例えば搬送される基板を一時的に保持するバッファ装置や基板供給装置や基板反転装置、各種検査装置、シールド装着装置、接着剤塗布装置、紫外線照射装置などが適宜設置され得る。
【0012】
1-3.部品装着機14による装着処理
部品装着機14は、生産処理として基板に部品を装着する装着処理を実行する。部品装着機14は、装着処理において、予め生成された制御プログラムや、各種センサから出力される情報、画像処理になどによる認識処理の結果に基づいて、部品を保持する装着ヘッドの動作を制御する。装着処理に用いられる制御プログラムは、生産計画M1(図2を参照)や製品情報M2に基づいて生成される。
【0013】
また、部品装着機14は、実行された装着処理において部品切れが発生しないように、部品装着機14に補給されている複数の部品の残数をそれぞれ管理している。部品装着機14は、例えば所定種別の部品の残数が一定以下となった場合に、ホストPCに対して部品の補給を要求する。これに応じた部品の補給がオペレータによりなされることにより、部品装着機14における装着処理が継続される。
【0014】
なお、上記の部品の補給には、多数の部品が所定間隔で収容されたキャリアテープの補給、直線状の本体内に複数の部品が1列に並べて収容されたスティックの補給、複数の部品がばらばらの状態で収容されたバルクケースの交換が含まれる。なお、キャリアテープの補給には、現在使用中のキャリアテープの後端に補給用のキャリアテープの先端を接続するスプライシング、キャリアテープが巻回された補給用のリールの交換または補給などが含まれる。
【0015】
1-4.保管庫20の構成
保管庫20は、多数種類の部品を当該部品の収容形態に応じて保管する。部品の収容形態には、上記のようにリール、スティック、バルクケースなどが含まれる。保管庫20は、図2に示すように、保管棚21と、作業テーブル22と、搬送装置23と、制御装置24とを備える。保管棚21は、部品の収容形態に応じて形成されている。保管棚21は、個々のリール等を分別可能に構成され、リール等を整列して保持する。
【0016】
作業テーブル22は、保管庫20に入庫または出庫される部品を一時的に載置される。搬送装置23は、保管棚21における所定の保管位置と作業テーブル22との間で部品を搬送する。搬送装置23は、部品の出庫の際には、所定の保管位置にあるリール等を把持し、例えばリール等に貼付された識別符号を読み取って部品の正否を確認する。その後に、搬送装置23は、保持したリール等を作業テーブル22に載置する。
【0017】
制御装置24は、保管庫20に保管されている部品について、識別符号、部品種、残数、収容形態、使用期限などの部品情報とともに、保管棚21における各部品の保管位置を示す保管情報を有する。制御装置24は、例えば所定種別の部品を出庫したり、後に使用予定のある部品を入庫したりするために、搬送装置23の動作を制御するとともに、部品情報および保管情報を適宜更新する。
【0018】
なお、上記の保管庫20は、上記のように自動的に部品の入庫および出庫を行う機能を有し、自動化水準が高いタイプである。一方で、他の保管庫には、部品の搬送を搬送する機能を有さず、自動化水準が低いタイプがある。自動化水準が低いタイプの保管庫には、部品情報と保管情報に基づく保管位置の案内や各種情報の更新を行うものと、部品の有無を判定するのみで保管位置を認識する機能を有しないものとが含まれる。
【0019】
ここで、生産ライン10には、当該生産ライン10による生産に用いられる部品を保管する一または複数の保管庫20が対応付けられている。つまり、同一の建物に複数の生産ライン10および複数の保管庫20がともに設置されている場合に、複数の生産ライン10のそれぞれに供給予定の部品は、複数の保管庫20に混在して保管されるのではなく、生産ライン10に一対一または一対多で対応付けられる保管庫20に保管される。このような対応付けは、生産ライン10と保管庫20との距離に基づく利便性や、保管庫20の制御装置24における部品の管理性を勘案して予め設定されている。
【0020】
また、保管庫20は、例えば対応付けられた生産ライン10と同一のフロアや建物に設置される。複数の保管庫20には、例えば部品の供給主から購入した部品を大量に収容する部品倉庫(図示しない)から部品が適宜補充される。この部品倉庫から保管庫20への補充は、生産計画M1や製品情報M2、部品倉庫の在庫情報などに基づいて、補充時期や補充すべき部品種などが特定され、オペレータが保管庫20に入庫することによりなされる。
【0021】
1-5.生産管理装置50の概要
生産管理装置50は、本実施形態において、上記のように他の生産管理装置50とともに管理システム1を構成する。より詳細には、生産管理装置50は、図2に示すように、同一のフロアに設置された複数の生産ライン10および複数の保管庫20を管理対象として、これらに通信可能に接続されたホストPCに組み込まれている。
【0022】
生産管理装置50は、複数の生産ライン10の何れか一つに所定種別の部品を補給するように要求があった場合に、要求をした生産ライン10に対応した保管庫20から要求に応じた部品を出庫するように管理する。詳細には、生産管理装置50は、先ず対応する保管庫20における所定種別の部品の在庫数を問い合わせる。次に、生産管理装置50は、保管庫20に部品が十分に補充されており必要数を満たす在庫があることを確認して、保管庫20に対して部品を出庫するように指令する。
【0023】
上記のように、生産管理装置50は、通常の運用状態においては、生産ライン10による部品補給の要求に応じて、対応付けされた保管庫20における在庫の確認や、部品の出庫指令などを行う。しかしながら、保管庫20に部品が十分に補充されていないなどの理由により、対応付けされた保管庫20において要求に応じた部品の在庫がなかったり、必要数を満たせなかったりすることがある。そうすると、オペレータは、従来の生産管理においては、対応付けされた保管庫20に部品を補充するか、要求をした生産ライン10に部品を直接補給するような対応を必要とされた。
【0024】
ところで、複数の生産ライン10において互いに異なる種別の基板製品を生産する場合でも、生産に用いられる部品種が共通することがある。そうすると、例えば部品補給の要求をした生産ライン10には対応付けられていないが、同一のフロアに設置された保管庫20に要求に応じた部品が保管されていることがある。
【0025】
生産ライン10と対応付けられた保管庫20の関係性を維持することは、生産管理の観点からは重要である。一方で、上記のような状況下では、要求をした生産ライン10に非対応の保管庫20から部品を出庫させた方が、生産効率を維持する観点からは有効であることがある。そこで、本実施形態の生産管理装置50は、複数の生産ライン10および複数の保管庫20を連携させて、部品の出庫をより適切に案内すべく下記のような構成を採用する。
【0026】
1-6.生産ライン10および保管庫20の所在
複数の生産ライン10および複数の保管庫20のそれぞれは、図3の最右欄に示すように、互いに異なる複数の区画(N1,N2,N3,・・・)の何れかに設置される。複数の区画(N1,N2,N3,・・・)のそれぞれは、国(A,B,・・・)、国における地域(C1,C2,C3,・・・)、地域に設けられた施設(PL1,PL2,PL3,・・・)、施設を構成する建物(B11,B12,B13,・・・)、建物におけるフロア(F1,F2,・・・)、およびフロアにおける設置用領域(D11,D12,D13,・・・)の少なくとも3つ以上の所在区分により示される。
【0027】
例えば、識別符号(La11)を有する生産ライン10が設置された第一の区画N1は、図3の最上段に示すように、第一国A、地域C1、施設PL1、建物B11、フロアF1、設置用領域D11といった6つの所在区画により示される。ここで、地域に設けられた「施設」は、工場や製造所などを含み、一または複数の建物により構成される。上記の区画は、任意の設定値であり、例えば「施設」が一の建物により構成される場合には、施設または建物の一方を所在区分として含むようにしてもよい。
【0028】
生産管理装置50は、上記のような区画情報M3を例えば国ごとに設定することによって、生産ライン10および保管庫20の所在の定量化している。これにより、生産ライン10および保管庫20の所在区分の共通性を評価することができる。また、それぞれの所在区分における各要素の関係性を設定することにより、例えば「建物」の各要素(B11,B12,B13,・・・)同士の距離を関係性として設定することにより、これらに設置された生産ライン10と保管庫20との距離を割り出すことが可能となる。
【0029】
以下では、複数の所在区分のうち最も広範な区分(上記の例における「国(A,B,・・・)」)を、所在区分の最上位とする。また、複数の所在区分は、図3の左から右に向かって区分が狭くなる。複数の所在区分のうち設置用領域(D11,D12,D13,・・・)は、最も狭い区分であり、所在区分の最下位に位置する。
【0030】
なお、図3における太枠は、対応付けされた生産ライン10と保管庫20の組み合わせを示している。例えば、施設PL1の建物B11のフロアF1には、2つの生産ライン10(La11,La12)に対応付けられた保管庫20(Sa13)と、1つの生産ライン10(La14)に対応付けられた保管庫20(Sa15)とが設置されている。通常の運用状態においては、生産ライン10に対する部品の補給、および生産ライン10による生産処理にて余った部品の保管は、図3の太枠で囲まれた生産ライン10と保管庫20との間での部品のやり取りによって完結する。
【0031】
1-7.生産管理装置50の構成
生産管理装置50は、図2に示すように、記憶部51と、検索部52と、案内部53とを備える。記憶部51は、ハードディスクやフラッシュメモリなどにより構成される。記憶部51には、生産計画M1や製品情報M2、区画情報M3(図3を参照)などの設定データが記憶されている。生産計画M1は、生産予定の製品種ごとに目標生産数を示す情報である。製品情報M2は、基板製品の生産に必要とされる部品の部品種および部品数が製品種ごとに記録された情報である。
【0032】
生産管理装置50は、生産ライン10における生産処理の進行度等を認識することにより、生産ライン10の複数の部品装着機14の補給されている部品の残数を把握することができる。さらに、生産管理装置50は、生産予定の製品種と、当該製品種に要する部品数とに基づいて、部品切れが発生する時期を推定することが可能である。よって、部品補給の要求は、上記のように生産ライン10の部品装着機14がホストPCに対して行われる他に、ホストPCに組み込まれた生産管理装置50により必要に応じて行われる場合がある。
【0033】
検索部52は、複数の生産ライン10の何れか一つに所定種別の部品を補給するように要求があり、且つ要求をした生産ライン10に対応した保管庫20において要求に応じた部品の在庫が十分でない場合に、要求に応じた部品を出庫可能な一または複数の保管庫20を検索する。つまり、検索部52は、部品補給の要求をした生産ライン10に対応付けられた保管庫20において部品の在庫が不足する場合には、例えば同一のフロアに設置された非対応の保管庫20や別の建物に設置された非対応の保管庫20のうち、要求に応じた部品の出庫が可能な保管庫20の検出を試行する。
【0034】
ここで、管理システム1を構成し生産管理装置50に通信可能に接続された全ての保管庫20は、検索部52による検索の対象となり得る。本実施形態において、検索部52は、要求に応じた部品を出庫可能な保管庫20を検索する際に、要求をした生産ライン10が設置された区画を示す複数の所在区分と共通する所在区分が多い一または複数の保管庫20から順に、要求に応じた部品を出庫可能な保管庫20の検索を行う。これにより、検索部52による検索処理等の処理負担の軽減を図ることができる。
【0035】
ここで、保管庫20から生産ライン10へと補給された部品は、生産処理に用いられた後に余ると、フィーダ等から外されて再び保管庫20に戻される。このように、生産ライン10において既に終了した生産処理に用いられた残余部品、またはある時期に終了予定にある生産処理に用いられている残余部品は、現在は生産ライン10に補給された状態にあるものの、当該生産ライン10に対応付けられた保管庫20に保管される見込みがある。
【0036】
また、生産管理装置50は、上記のように、生産ライン10における生産処理の進行度等を認識することが可能である。これを利用して、検索部52は、要求に応じた部品を出庫可能な保管庫20を検索する際に、複数の生産ライン10において終了した生産処理または終了予定の生産処理に用いられ複数の生産ライン10に補給された状態の残余部品を、複数の生産ライン10のそれぞれに対応した複数の保管庫20に保管された部品とみなして検索の対象に含ませる。
【0037】
なお、上記の生産ライン10に「補給された状態」には、部品がフィーダ等に装填されて部品装着機14の部品供給装置にセットされた状態、上記のフィーダ等を部品供給装置にセットするために配送台車に積載した状態、複数のフィーダ等を部品供給装置に一斉にセット可能にフィーダ等を保持するデバイスパレットにセットされた状態が含まれる。このような残余部品を予備的に保管状態にある部品とみなして、検索の対象とすることによって、より広範に所定種別の部品の検索を行うことができる。
【0038】
案内部53は、検索部52による検索の結果に基づいて一または複数の保管庫20を案内する。案内部53による検索結果に基づく保管庫20の案内処理には、種々の態様が想定される。案内処理の各態様の詳細については、後述する。また、案内部53は、本実施形態において、複数の保管庫20のうち要求に応じた部品を出庫させる保管庫20(以下、「代替保管庫20T」とも称する)が指定された場合であって、代替保管庫20Tの自動化水準が高く自動的に部品の出庫が可能な場合には、代替保管庫20Tに対して要求に応じた部品を出庫するように指令する。
【0039】
このような構成によると、案内部53により代替保管庫20Tに対する出庫指令が自動的に送出されるので、代替保管庫20Tにおける出庫動作の開始時期が早期化される。また、オペレータは指定された保管庫20に対して出庫指令を送出する作業を省略でき、部品を出庫可能な保管庫20として指定された保管庫20に向かうことができる。
【0040】
1-8.部品補給の要求への対応処理
上記の生産管理装置50による部品補給の要求への対応処理について、図3図7を参照して説明する。ここで、それぞれの生産ライン10は、種々の基板製品を生産する生産処理を実行しているものとする。また、それぞれの保管庫20には、部品の入庫および出庫のたびに部品情報および保管情報が適宜更新されているものとする。
【0041】
生産管理装置50は、複数の生産ライン10の何れか一つに所定種別の部品を補給するように要求があった場合に、図4に示すように、部品補給の要求への対応処理を実行する。なお、部品補給の要求は、生産ライン10の部品装着機14、または生産処理の進行度を監視する生産管理装置50によりなされる。以下では、部品補給の要求をした生産ライン10を、「要求ライン10R」と称する。
【0042】
生産管理装置50は、先ず、要求ライン10Rに対応付けられた保管庫20において要求に応じた部品の在庫が十分であるか否かを判定する(ステップ10(以下、「ステップ」を「S」と表記する))。部品の在庫が十分である場合には(S10:Yes)、生産管理装置50は、後述する検索処理(S20)を省略し、保管庫20の案内処理を実行する(S30)。一方で、部品の在庫が十分でない場合には(S10:No)、検索部52は、代替保管庫20Tの候補となる一または複数の保管庫20(以下、「代替候補20H」とも称する)の検出を試行する検索処理を実行する(S20)。
【0043】
検索部52による検索処理(S20)は、本実施形態において、代替候補20Hが検出されるまで検索対象を徐々に拡張する方法を採用する。具体的には、検索部52は、図5に示すように、先ず要求ライン10Rが設置された区画を取得する(S21)。例えば、要求ライン10Rが図3の最上段に示す第一の生産ライン(La11)である場合には、要求ライン10Rの区画N1は、複数の所在区分(A,C1,PL1,B11,F1,D11)により示される。
【0044】
次に、検索部52は、検索対象の設定処理を実行する(S22)。具体的には、検索部52は、検索対象の範囲を示す変数Kに、初期値として要求ライン10Rの区画N1のうち最下位(設置用領域D11)から一つ上位の所在区分(フロアF1)を代入する。結果として、変数Kは、現在値としてフロアF1を検索対象の範囲として示す。
【0045】
続いて、検索部52は、設定された検索対象において代替候補20Hを検索する(S23)。具体的には、変数Kにより示される検索対象の範囲(フロアF1)に設置された保管庫20に、要求に応じた部品種が保管されているか否かを判定する。つまり、変数Kが検索対象の範囲としてフロアF1を示していることから、同一のフロアF1に設置された保管庫20(Sa15)に要求に応じた部品種が保管されているか否かを判定する。
【0046】
検索部52は、1以上の代替候補20Hが検出されたか否かを判定する(S24)。例えば、上記の検索対象の範囲(フロアF1)に設置された保管庫20(Sa15)には、要求に応じた部品が保管されておらず当該部品を出庫できない。このように、代替候補20Hが検出されなかった場合には(S24:No)、検索部52は、再び検索対象の設定処理を実行する(S22)。具体的には、検索部52は、要求ライン10Rの区画N1のうち現在値(フロアF1)から一つ上位の所在区分(建物B11)を代入する。結果として、変数Kは、現在値として建物B11を検索対象の範囲として示す。
【0047】
続いて、検索部52は、設定された検索対象において代替候補20Hを再び検索する(S23)。具体的には、検索部52は、変数Kが検索対象の範囲として建物B11を示していることから、同一の建物B11に設置された保管庫20(Sa22)に要求に応じた部品種が保管されているか否かを判定する。正確には、同一の建物B11に設置された保管庫20には、先に検索対象の範囲とされた同一のフロアF1に設置された保管庫20(Sa15)が含まれるが、既に検索(S23)を実行された保管庫20は除外するようにしている。
【0048】
上記のように、代替候補20Hが検出されるまで、検索対象の範囲は、一つずつ上位の所在区分に設定され(S22)る。そして、検索部52は、検索対象の設定処理によって新たに検索対象に加えられた一または複数の保管庫20に、要求に応じた部品種が保管されているか否かに基づいて、代替候補20Hを検索する(S23)。検索部52は、上記のような処理を繰り返すことによって、要求ライン10Rが設置された区画を示す複数の所在区分と共通する所在区分が多い一または複数の保管庫20から順に代替候補20Hの検出を試行する。
【0049】
検索部52は、一または複数の代替候補20Hが検出された場合には(S24:Yes)、代替候補20Hの検索処理を終了する。なお、設定された検索対象の範囲に設置された保管庫20に保管された部品には、当該保管庫20が対応付けられた一または複数の生産ライン10において終了した生産処理または終了予定の生産処理に用いられ生産ライン10に補給された状態の残余部品が含まれる。
【0050】
具体的には、検索部52は、代替候補20Hを検索する際に、先ず検索対象の範囲に設置された一または複数の生産ライン10における生産処理の進行度などを取得し、それぞれの残余部品を割り出す。そして、検索部52は、この残余部品が保管庫20に保管されているものとして検索を行う(S23)。
【0051】
なお、残余部品を割り出す場合に、検索部52は、一または複数の生産ライン10において要求に応じた部品種が生産処理に用いられたか否かを先に判定してもよい。検索部52は、要求に応じた部品種が生産処理に用いられたと判定した場合に、その種別の部品が残余部品に該当するか否かを判定するようにしてもよい。これにより、検索部52は、効率的に残余部品の割り出しを行うことができる。
【0052】
図4に示すように、上記のように代替候補20Hの検索処理(S20)が実行された後に、案内部53による案内処理が実行される(S30)。案内部53は、検索部52による検索の結果に基づいて一または複数の保管庫20(代替候補20H)を案内する。ここで、案内部53は、案内処理として複数種類の態様を適用し得る。ここでは、案内処理の2種類の態様を例示する。
【0053】
1-8-1.案内処理の第一態様
案内処理の第一態様において、案内部53は、図6に示すように、先ず検索処理(S20)の結果における代替候補20Hの数を判定する(S311)。検索処理の結果における代替候補20Hの数が複数の場合には(S311:複数)、案内部53は、優先度が最も高い代替候補20Hを代替保管庫20Tに指定する(S312)。
【0054】
上記の「優先度」は、要求をした生産ライン10に対して複数の保管庫20ごとに設定された案内の優先度である。詳細には、優先度は、要求ライン10Rと複数の保管庫20ごとの距離、保管庫20における部品の在庫数もしくは使用期限、および複数の保管庫20における出庫処理の自動化水準の少なくとも一つに基づいて設定される。
【0055】
より具体的には、例えば優先度が要求ライン10Rと複数の保管庫20ごとの距離に基づいて設定されている場合には、要求ライン10Rからの距離が最短の代替候補20Hが代替保管庫20Tに指定される。例えば、同一の施設(PL1)の異なる建物(B12,B13)のそれぞれに設置された複数の保管庫20(Sb12,Sc12)が代替候補20Hである場合には、要求ライン10Rが設置された建物(B11)に近接する方の建物(B12)に設置された保管庫20(Sb12)が代替保管庫20Tに指定される。
【0056】
また、優先度が部品の在庫数に基づいて設定されている場合には、在庫数が多い方や要求する部品数に近い方を保管する代替候補20Hが代替保管庫20Tに指定される。優先度が部品の使用期限に基づいて設定されている場合には、使用期限が近い方を保管する代替候補20Hが代替保管庫20Tに指定される。
【0057】
優先度が複数の保管庫20における出庫処理の自動化水準に基づいて設定されている場合には、自動化水準が高く自動的に部品の出庫が可能な代替候補20Hが代替保管庫20Tに指定される。案内の優先度は、上記のような距離や在庫数等の各要素を複合的に勘案して設定されてもよい。案内の優先度は、例えば生産管理装置50の管理者により予め設定され、優先度情報M4(図2を参照)に記録されている。
【0058】
一方で、検索処理(S20)の結果における代替候補20Hの数が1の場合には(S311:1)、この代替候補20Hを代替保管庫20Tに指定する(S313)。続いて、案内部53は、S312,S313にて指定された代替保管庫20T、を案内する(S314)。具体的には、案内部53は、オペレータが閲覧可能な端末に、代替保管庫20Tに要求に応じた部品が保管されていることを表示することによって案内する。また、案内部53は、要求ライン10Rに対応付けされた保管庫20に十分な在庫があり(S10:Yes)、検索処理(S20)が省略されて代替候補20Hが0の場合には(S311:0)、要求ライン10Rに対応付けられた保管庫20を案内する(S314)。
【0059】
また、案内部53は、上記のように代替保管庫20Tを案内する場合に、代替保管庫20Tが設置された所在区分に基づいて、代替保管庫20Tの設置位置や、設置位置までの移動経路、取りに行った場合の所要時間などを併せて案内してもよい。さらに、案内部53は、上記の案内において、代替保管庫20Tにおける要求に応じた部品の在庫数、使用期限、部品(リール等)の外観などを合わせて案内してもよい。
【0060】
その後に、案内部53は、代替保管庫20T等が部品を自動で出庫可能である場合には(S315:Yes)、上記のような代替保管庫20T等の案内(S314)に加えて、代替保管庫20T等に対して要求に応じた部品を出庫するように指令する(S316)。これにより、例えば案内部53により代替保管庫20Tに対する出庫指令が自動的に送出されるので、代替保管庫20Tにおける出庫動作の開始時期が早期化される。また、オペレータは指定された代替保管庫20Tに対して出庫指令を送出する作業を省略できる。
【0061】
一方で、代替保管庫20T等の自動化水準が低く部品を自動で出庫できない場合には(S314:No)、案内部53は、代替保管庫20T等に対する出庫指令の送出を省略して案内処理を終了する。上記のような案内処理の第一態様の構成によると、要求に応じた部品を出庫可能な代替候補20Hが複数あっても(S311:Yes)、予め設定された優先度に応じて自動的に1つの代替候補20Hが指定されて案内される(S312,S313)。これにより、オペレータの負荷を軽減できるとともに、部品の補給の迅速化を図ることができる。
【0062】
1-8-2.案内処理の第二態様
案内処理の第二態様において、案内部53は、図7に示すように、先ず検索処理(S20)の結果における代替候補20Hがあるか否かを判定する(S321)。検索処理の結果における代替候補20Hが一以上の場合には(S321:Yes)、一または複数の代替候補20Hを選択可能に案内する(S322)。具体的には、案内部53は、オペレータが閲覧可能な端末に、代替候補20Hをリスト表示する。このとき、案内部53は、検索処理(S20)の結果に複数の代替候補20Hが含まれている場合には、それぞれの優先度に応じてリスト表示する。つまり、案内部53は、複数の代替候補20Hを優先度の高い順に並び換えて表示したり、複数の代替候補20Hに優先度を併せて表示したりする。
【0063】
また、案内部53は、複数の代替候補20Hのリスト表示において、複数の代替候補20Hのそれぞれが設置された所在区分に基づいて、代替候補20Hの設置位置や、設置位置までの移動経路、取りに行った場合の所要時間などを併せて案内してもよい。さらに、案内部53は、上記のリスト表示において、代替候補20Hにおける要求に応じた部品の在庫数、使用期限、部品(リール等)の外観などを合わせて案内してもよい。
【0064】
次に、案内部53は、例えばオペレータによる代替候補20Hの選択を受け付けると(S323)、選択された代替候補20Hを代替保管庫20Tに指定する(S324)。なお、案内部53は、検索処理(S20)の結果に含まれる代替候補20Hが一つの場合も同様に、その代替候補20Hを表示して(S322)、代替保管庫20Tに指定してもよいか否かをオペレータに確認するように選択を受け付ける(S323)。
【0065】
続いて、案内部53は、S324にて指定された代替保管庫20Tを案内する(S325)。具体的には、案内部53は、オペレータが閲覧可能な端末に、代替保管庫20Tに要求に応じた部品が保管されていることを表示することによって案内する。このとき、案内部53は、代替保管庫20Tに関する各種情報として、代替保管庫20Tの設置位置や設置位置までの移動距離などを併せて案内してもよい。また、案内部53は、要求ライン10Rに対応付けされた保管庫20に十分な在庫があり(S10:Yes)、検索処理(S20)が省略されて代替候補20Hが0の場合には(S321:No)、要求ライン10Rに対応付けられた保管庫20を案内する(S325)。
【0066】
その後に、案内部53は、代替保管庫20T等の案内をした保管庫20が部品を自動で出庫可能である場合には(S326:Yes)、出庫指令を自動的に送出する設定がなされているか否かを判定する(S327)。出庫指令の送出を自動で行うか手動で行うかは、例えば生産管理装置50の管理者により予め設定され、設定情報として記憶部51に記憶されている。出庫指令を自動的に送出する設定がなされている場合には(S327:Yes)、案内部53は、代替保管庫20T等に対して要求に応じた部品を出庫するように指令する(S328)。
【0067】
一方で、代替保管庫20T等の自動化水準が低く部品を自動で出庫できない場合には(S326:No)、または出庫指令を手動で送出する設定がなされている場合には(S327:No)、案内部53は、代替保管庫20T等に対する出庫指令の送出を省略して案内処理を終了する。上記のような案内処理の第二態様の構成によると、優先度を反映して代替候補20Hを案内しつつ、オペレータに代替保管庫20Tを指定させることができる。これにより、オペレータの判断によって生産状況等に応じた代替保管庫20Tを指定できる。
【0068】
上記の第一態様および第二態様では、検索処理(S20)の検索結果に一または複数の代替候補20Hが検出されるものとした。これに対して、検索処理(S20)を実行したにも関わらず代替候補20Hが検出されなかった場合には、案内部53は、例えばその旨を案内するとともに、要求ライン10Rに対応付けされた保管庫20に部品を補充するか、要求ライン10Rに部品を直接補給するように案内する。
【0069】
また、上記のように部品補給の要求への対応処理において、要求ライン10Rに対応付けられた保管庫20において部品の在庫が十分でなく(S10:No)、案内された代替保管庫20Tから部品を補給すると、代替保管庫20Tにて使用予定であった部品が予定外の生産処理に用いられることになる。そうすると、代替保管庫20Tにおいて将来的に部品が不足することが予測される。
【0070】
そこで、生産管理装置50は、代替保管庫20Tを用いた部品補給が行われた場合には、例えばその旨を記録するとともに、適宜タイミングで代替保管庫20Tに出庫された部品を部品倉庫から補充するように案内してもよい。これにより、部品切れによる生産の停止を防止しつつ、代替保管庫20Tの保管状態を好適に復帰させることができる。
【0071】
2.実施形態の構成による効果
上記の生産管理装置50によると、部品の補給を要求した要求ライン10Rに対応した保管庫20に要求に応じた部品の在庫が十分でない場合に(S10:No)、他の生産ライン10に対応付けられた保管庫20を対象に代替候補20Hが検索される(S20)。
【0072】
これにより、検出された代替候補20Hの一つを代替保管庫20Tに指定して、当該代替保管庫20Tから要求に応じた部品を出庫させて補給することができる。このように、生産管理装置50は、複数の生産ライン10および複数の保管庫20を連携させて、全体として部品の在庫を管理することができる。よって、生産管理装置50は、部品の出庫をより適切に案内することができる。
【0073】
3.実施形態の変形態様
実施形態において、生産管理装置50は、フロアごとに設けられたホストPCに組み込まれた態様を例示した。これに対して、生産管理装置50は、ホストPCの外部装置であってもよい。例えば、生産管理装置50は、既存の生産ライン10を構成する複数の生産装置およびホストPCに対して通信可能に接続された専用装置として構成されてもよい。これにより、生産管理装置50は、建物ごと、施設ごと、地域ごと、または国ごとに設置され、これらの区分ごとに生産ライン10および保管庫20を統括管理する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1:管理システム、 10:生産ライン、 10R:要求ライン、 14:部品装着機、 20:保管庫、 20T:代替保管庫、 50:生産管理装置、 51:記憶部、 52:検索部、 53:案内部、 M1:生産計画、 M2:製品情報、 M3:区画情報、 M4:優先度情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7